JP2000119881A - 軟水ボイラ用防食剤及びその製造方法 - Google Patents

軟水ボイラ用防食剤及びその製造方法

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JP2000119881A JP10285097A JP28509798A JP2000119881A JP 2000119881 A JP2000119881 A JP 2000119881A JP 10285097 A JP10285097 A JP 10285097A JP 28509798 A JP28509798 A JP 28509798A JP 2000119881 A JP2000119881 A JP 2000119881A
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彰博 坂西
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秀治 牧浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸
化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩との反応生成物より
なる防食剤において、その防食剤本来の特性を維持しつ
つ、臭気発生の抑制された防食剤及びその製造方法を提
供すること。 【解決手段】 単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属
水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応せしめて
得られる成分よりなる軟水ボイラ用防食剤であって、単
糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又
はアルカリ金属炭酸塩を不活性ガス雰囲気下で反応させ
て得られる反応生成物であることを特徴とする軟水ボイ
ラ用防食剤及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は市水、地下水等の軟
水を用いるボイラの水質管理に適用される軟水ボイラ用
防食剤及びその製造方法に関し、特に、発生蒸気への着
臭を抑制する必要のある食品工業、病院、製薬工業又は
ビルの空調関連などで運転されているボイラ用の防食剤
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軟水ボイラの用水中には塩素イオン、硫
酸イオン、硝酸イオン及び炭酸イオン等のいわゆる腐食
性イオンが含まれているため、ボイラ内部の腐食が絶え
ず間題となっている。特に、近年は高温、高負荷運転が
行われるようになり、ボイラ内部の腐食環境はより厳し
いものとなっているため、何らかの処理が不可欠となっ
ている。これらの腐食を防止するため、従来よりヒドラ
ジン、アスコルビン酸塩、エルソルビン酸塩、亜硫酸
塩、重合隣酸塩、糖類、糖類のアルカリ処理物、タンニ
ン、リグニンスルホン酸塩などの各種薬剤が単体、ある
いは複合された形で使用されているが、これらの従来か
ら使用されている防食剤はいずれも臭気の発生、毒性、
発癌性、公害性、防食効果、管理要領などの面において
何らかの欠点を有している。これらの防食剤の中で、本
出願人が先に提案した単糖類及び/又は二糖類とアルカ
リ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩との反応
生成物よりなる軟水ボイラ用防食剤(特許第25757
40号特許公報)は、その防食性能、低公害性、安全性
及びコスト等の面で高い評価を受け、地域冷暖房、食品
工業及び病院等において広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記単糖類及
び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアル
カリ金属炭酸塩との反応生成物よりなる防食剤は、ボイ
ラの運転中に複雑な分解反応を経て、極微量のアルデヒ
ド類及びケトン類などの臭気を有する成分を生成し、発
生蒸気が特有の臭気を帯びる欠点がある。このような臭
気は、空調機器における加湿、病院における機器の殺菌
及び食品の加工等の生蒸気を直接使用する用途では特に
大きな間題となる。本発明はこのような従来技術の実状
に鑑み、前記糖類からの防食剤において、その防食剤本
来の特性を維持しつつ、臭気発生の抑制された防食剤及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
する手段として次の(1)〜(4)の構成を含むもので
ある。 (1)単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物
及び/又はアルカリ金属炭酸塩とを反応せしめて得られ
る成分よりなる軟水ボイラ用防食剤であって、単糖類及
び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアル
カリ金属炭酸塩を不活性ガス雰囲気下で反応させて得ら
れる反応生成物よりなることを特徴とする軟水ボイラ用
防食剤。 (2)単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物
及び/又はアルカリ金属炭酸塩とを反応させる軟水ボイ
ラ用防食剤の製造方法において、単糖類及び/又は二糖
類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸
塩を不活性ガス雰囲気下で反応させることを特徴とする
軟水ボイラ用防食剤の製造方法。 (3)単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/
又は炭酸アルカリの配合比が重量比で80:20〜1
0:90の範囲であることを特徴とする前記(2)の軟
水ボイラ用防食剤の製造方法。 (4)前記反応を80〜90℃の温度範囲で行うことを
特徴とする前記(2)又は(3)の軟水ボイラ用防食剤
の製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において使用する糖類、ア
ルカリの種類、及び糖類とアルカリの配合比などは、前
記特許2575740号特許公報記載の内容とほぼ同じ
である。すなわち、使用する単糖類の例としてはグルコ
ース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、アラ
ビノース、キシロースなどを挙げることができ、また、
二糖類としてはサツカロース、ラクトース、マルトース
などが挙げられる。アルカリ金属水酸化物の例として水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またアルカリ金属炭
酸塩としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げ
られる。単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び
/又は炭酸アルカリの配合比は重量比で80:20〜1
0:90の範囲がよく、好ましくは75:25〜10:
90の範囲である。この比はアルカリの種類によりほと
んど影響されることはない。
【0006】本発明の防食剤は次のようにして製造する
ことができる。すなわち、密閉可能な反応容器中に単糖
類及び/又は二糖類を水溶液として仕込み、反応容器中
の酸素を不活性ガスにて置換する。次にこの水溶液を加
熱昇温し、60〜95°、好ましくは80〜90℃に保
ちながら前記配合割合となる量の水酸化アルカリ及び/
又は炭酸アルカリの水溶液を徐々に添加し、さらに同温
度で最高5時間以内、好ましくは20分〜1時間程度保
持して反応させた後、冷却することによって本発明の防
食剤を得ることができる。保持時間が長くなると不活性
ガスの消費量や生産効率などの点で不利となる。通常の
場合、この反応はアルカリ添加終了後20〜30分で完
了する。なお、不活性ガスの通気は、反応容器内の酸素
が不活性ガスで置換された後は通気量を下げ、以後は容
器内の不活性雰囲気が保持できる程度に、反応終了まで
連続的又は間欠的に通気を続行すればよい。
【0007】不活性ガスとしては、本発明で使用する糖
類、アルカリ剤及び糖類とアルカリ剤との反応生成物に
対して反応性の無いものであれば特に限定することなく
使用できる。中でも窒素ガスが安価であり最も適当であ
る。
【0008】本発明の防食剤には、必要に応じてポリア
クリル酸塩、ポリマレイン酸塩、EDTA塩、ホスホン
酸塩、アミノ酸塩等のスケール分散剤、補助防錆剤、消
泡剤などの添加が可能である。また、ボイラ水中にアミ
ン類、アンモニア等のアルカリ剤を添加併用することも
できる。
【0009】[作用]本発明において不活性ガス雰囲気
で反応させることによる作用機構については明確ではな
いが、単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカリ及び/
又は炭酸アルカリとを不活性ガス雰囲気、すなわち、酸
素濃度の低い条件で反応させることにより、防食剤の使
用中に分解して臭気発生の原因となる物質の生成のみが
特異に抑制され、臭気成分を含まない防食剤が得られる
ものと推定される。
【0010】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 (実施例1)グルコース60gと水70gとを攪拌装
置、不活性ガス置換用通気管、コンデンサを装備した内
容積300ミリリットルの密閉可能なガラス製反応容器
に仕込み、窒素ガスを約300ミリリットル/分の流量
にて5分間通し、反応容器内の空気を窒素ガスにて置換
した。その後、窒素ガスの流量を約20ミリリットル/
分に落とした状態で加熱昇温し、ガラス製反応容器内の
温度を85±5℃に調整しながら、水酸化ナトリウムの
水溶液(20g/50g)を徐々に添加した。水酸化ナ
トリウム水溶液添加後、85±5℃にて30分間攪拌を
行い、冷却して本発明による防食剤(反応生成物)を得
た。
【0011】(実施例2〜6、比較例1〜6)水の使用
量は合計で120gの一定とし、単糖類及び/又は二糖
類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリの種類と配
合割合を表1に示すように変化させた以外は実施例1と
同様にして実施例2〜6の防食剤を得た。また、窒素ガ
スによる置換を行わなかった以外は実施例1〜6と同様
に操作し、表1に示す比較例1〜6の防食剤を得た。
【0012】(防食試験)実施例1〜6により窒素ガス
で置換しながら反応させた本発明の防食剤試料6種類
と、比較例1〜6により窒素ガスを使用せず反応させた
比較例の防食剤試料6種類を対象として、臭気の有無及
び防食性能について比較試験を実施した。試験方法は次
のとおりである。表2に示す分析値の上水道水に、上記
各防食剤試料をそれぞれの水溶液中における防食剤の濃
度が0.2wt%(濃度は反応生成物中の固形分換算)
となるように添加した。これらの水溶液をそれぞれ0.
8リットル取り、内容積1リットルのオートクレーブに
入れ、防食性能を確認するためのテストピース(構造用
鋼材、JlS−G−3101、SS−400、35×5
0×1.2mm)を防食剤溶液中に浸漬した。次にオー
トクレーブをセットし、180±5℃にて2日間の加熱
試験を行った。試験終了後、オートクレーブのエアーベ
ントを開放して蒸気の臭気を確認するとともに常温まで
冷却した後、テストピースを取り出して発錆の有無を確
認した。
【0013】試験結果は表3に示すとおりであり、本発
明による防食剤6種類についてはいずれも蒸気の臭気は
ほとんど無く、テストピースの表面には黒色の酸化皮膜
が形成され、発錆も全く認めれなかった。一方、比較例
6種類についてもテストピースの表面には黒色の酸化皮
膜が形成され、いずれも発錆は認められなかったが、本
発明による防食剤6種類に比べて蒸気の臭気が強いこと
が確認された。本試験に用いた防食剤の実施例と比較例
の配合は次の通りである。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
【発明の効果】本発明による防食剤は、単糖類及び/又
は二糖類と水酸化アルカリ及び/又は炭酸アルカリを反
応させて得られる従来の防食剤の防食性能を維持したま
ま、この種の防食剤の最大の欠点であった臭気の発生が
大幅に低減された防食剤である。従って、ボイラの生蒸
気を使用する食品工業、病院、製薬工業等においてもボ
イラの清缶剤、防食剤として充分適用可能となった。
フロントページの続き (72)発明者 森本 敬 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 坂西 彰博 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 馬渡 憲次 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 牧浦 秀治 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内 (72)発明者 成田 朋生 奈良県奈良市西九条町5丁目2番地の5 共栄社化学株式会社奈良研究所内 (72)発明者 津呂 宗孝 奈良県奈良市西九条町5丁目2番地の5 共栄社化学株式会社奈良研究所内 Fターム(参考) 4K062 AA03 BA11 BC01 BC02 CA04 CA08 EA02 EA20 FA06 GA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属
    水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応せしめて
    得られる成分よりなる軟水ボイラ用防食剤であって、単
    糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又
    はアルカリ金属炭酸塩とを不活性ガス雰囲気下で反応さ
    せて得られる反応生成物よりなることを特徴とする軟水
    ボイラ用防食剤。
  2. 【請求項2】 単糖類及び/又は二糖類とアルカリ金属
    水酸化物及び/又はアルカリ金属炭酸塩を反応させる軟
    水ボイラ用防食剤の製造方法において、単糖類及び/又
    は二糖類とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金
    属炭酸塩とを不活性ガス雰囲気下で反応させることを特
    徴とする軟水ボイラ用防食剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 単糖類及び/又は二糖類と水酸化アルカ
    リ及び/又は炭酸アルカリの配合比が重量比で80:2
    0〜10:90の範囲であることを特徴とする請求項2
    に記載の軟水ボイラ用防食剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記反応を80〜90℃の温度範囲で行
    うことを特徴とする請求項2又は3に記載の軟水ボイラ
    用防食剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011147893A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Kurita Water Ind Ltd ボイラ水系の水処理方法

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