JP2000114924A - 弾性表面波コンボルバ - Google Patents

弾性表面波コンボルバ

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JP2000114924A
JP2000114924A JP10278815A JP27881598A JP2000114924A JP 2000114924 A JP2000114924 A JP 2000114924A JP 10278815 A JP10278815 A JP 10278815A JP 27881598 A JP27881598 A JP 27881598A JP 2000114924 A JP2000114924 A JP 2000114924A
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acoustic wave
electrode
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JP10278815A
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Hiromasa Gotou
広将 後藤
Naohiro Kuze
直洋 久世
Kazuhiko Yamanouchi
和彦 山之内
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弾性表面波の電界を半導体により有効に伝
え、半導体中の電子と効率よく相互作用させる弾性表面
波コンボルバを提供すること。 【解決手段】 弾性表面波コンボルバは、圧電体基板1
上に入力電極5と、出力取り出し電極7と、半導体層と
を備える。この半導体層は入力電極5から伝搬する弾性
表面波の伝搬路上外に位置し、伝搬路上には該伝搬路に
対して直角に配置された複数のグレーティング電極6を
有する。出力取り出し電極7は半導体層上で複数のグレ
ーティング電極6と交差するように配置され、半導体層
をn型半導体層3とp型半導体層4の積層から構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電体基板を伝搬
する弾牲表面波と半導体中の電子との相互作用を利用し
た弾性表面波コンボルバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波と半導体層の電子との相互作
用を用いた機能素子として弾性表面波コンボルバがあげ
られる。この弾性表面波コンボルバはスペクトル拡散通
信のCDMA(Code Division Mu1t
ip1e Access)方式用の相関器として非常に
注目されている。従来より、CDMA用相関器としてデ
ジタルLSIやアナログLSIなどが検討されてきた
が、いずれも消費電力が極めて大きく、低消費電力化が
要求される携帯機器などへの応用には大きな障害となっ
ていた。そこで、原理的には消費電力が0である弾性表
面波コンボルバが、低消費電力と高速同期捕捉という特
徴を生かして実用化が検討され始めている。この弾性表
面波コンボルバに関しては、圧電体基板の上に弾性表面
波の伝搬路上全体に出力電極があるエラスティック型、
Si基板上にZnO膜を形成した構造の圧電膜/半導体
基板型、圧電体基板上にInSb膜を形成した構造の半
導体膜/圧電体基板型の3つの構造が提案されている。
第1のエラスティック型では半導体層がないために、弾
性表面波の非線形相互作用が小さく、十分な出力は得ら
れず、入力帯域幅が26MHzで効率は−59dBmし
か得られていない。第2の圧電膜/半導体基板型はSi
基板上のZnO薄膜の構造で入力帯域幅24MHzで−
42dBmの効率が得られ、一部の無線LANで実用化
されている。第3の半導体膜/圧電体基板型について
は、本発明者らの研究によれば(K.Yamanouc
hi,W.Sato、H.Odagawa IEEE
Ultrasonics Symposium 158
3−1586(1996))、半導体層を伝搬路上外に
配置し、伝搬路上のグレーティング電極により弾性表面
波の電界を半導体に伝え相互作用させる構造のストリッ
プカップルド型コンボルバにおいて、InSb−LiN
bO3 系で初期実験レベルにおいて入力帯域幅が3MH
zであるが−35dBmのコンボリューション出カが得
られていた(WO98/04040)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、弾性表
面波コンボルバを実際の携帯機器や無線LANなどへの
応用を可能にするためには、さらに安定して高効率を達
成することが求められている。本発明者らの提案してい
る上述の弾性表面波コンボルバにおいては、弾性表面波
の伝搬路上外に半導体薄膜を配置する構造であるため、
弾性表面波の伝搬損失は従来の伝搬路上に出力電極を有
するコンボルバよりも高い効率を得ることができる。し
かし、さらに高効率を得るために、弾性表面波の電界を
半導体により有効に伝え、半導体中の電子と効率よく相
互作用させる必要がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明者らが鋭意検討を行った結果、本発明者ら
の先に提案した伝搬路上外に半導体層を配置した弾性表
面波コンボルバにおいて、半導体層をp型半導体層とn
型半導体層との接合によるpn接合を形成することで極
めて高い効率を有する弾性表面波コンボルバを実現し
た。
【0005】さらに、このp型半導体層とn型半導体層
との組成を限定することで、より高い効率を達成でき
る。また、Sbを含んだ緩衝層を挿入することにより、
半導体層の結晶性を向上させることでこれまでにない極
めて高い効率を達成した。
【0006】ここで、半導体層というのは、伝搬してき
た弾性表面波と相互作用する電子が存在する層であり、
p型半導体層とn型半導体層が接合した層の全体のこと
である。
【0007】すなわち、請求項1記載の本発明の弾性表
面波コンボルバは、圧電体基板上に入力電極と、出力取
り出し電極と、半導体層とを備え、前記半導体層は前記
入力電極から伝搬する弾性表面波の伝搬路上外に位置
し、前記伝搬路上には該伝搬路に対して直角に配置され
た複数のグレーティング電極を有し、前記出力取り出し
電極は前記半導体層上で前記複数のグレーティング電極
と交差するように配置された弾性表面波コンボルバにお
いて、前記半導体層がn型半導体層とp型半導体層の積
層からなることを特徴とする。
【0008】請求項2記載の本発明の弾性表面波コンボ
ルバは、請求項1記載の弾性表面波コンボルバにおい
て、前記n型半導体層がInAsx Sb1-x (0≦x≦
1)からなり、かつ前記p型半導体層がGaAsy Sb
1-y (0≦y≦0.5)からなることを特徴とする。
【0009】また、請求項3記載の本発明の弾性表面波
コンボルバは、請求項1または2記載の弾性表面波コン
ボルバにおいて、前記圧電体基板と前記半導体層の間に
Sbを含む緩衝層が挿入されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。図1に本発明の基本となる弾性表面波コンボルバ
を示す。1は圧電体基板、3はn型半導体層、4はp型
半導体層、5はすだれ状の入力電極、6はグレーティン
グ電極、7は出力取り出し電極、8はアース取り出し電
極である。本発明におけるp型半導体層とn型半導体層
は、同様の材料を用いてドーピングによりp型とn型を
制御して用いることができるが、伝導の型がp型、n型
の組み合わせであれば異なる材料どうしを接合させて用
いてもよい。n型半導体層とは多数キャリアが電子であ
る半導体層のことであり、p型半導体層とは正孔が多数
キャリアである半導体層のことをいう。n型半導体層と
しては、GaAs,InSb,InAs等が好ましい、
また2元系だけでなく、それらを組み合わせた3元混晶
や4元混晶も好ましく用いられる。例えば、Inx Ga
1-x As,Inx Ga1-x Sb,InAsy Sb1-y
どが3元混晶、Inx Ga1-x Asy Sb1-y などが4
元混晶の例である。伝導が電子により行われるn型半導
体の高電子移動度を得るために、組成として、例えばI
xGa1-x M(MはAs,SbなどのV族半導体)の
xは0≦x≦1.0が可能だが、0.5≦x≦1.0が
好ましく、0.8≦x≦1.0がより好ましい範囲であ
る。InAsy Sb1-y のyは、0≦y≦1.0の範囲
で高電子移動度が可能であり、0≦y≦0.5が好まし
い。またp型半導体としては、もともと正孔が多数キャ
リアであるGaSbが好ましい。また3元混晶ではGa
Asy Sb1-y(0<y≦0.5)を用いてもよい。ま
た、多数キャリアが電子である半導体を用いる場合で
も、伝導型がn型からp型へと変わる程度にドーピング
を行い用いることができる。このドーピングによってp
型半導体に転換させた例としてはp−GaAs,p−I
nAs,p−InAsy Sb1-y ,p−Inx Ga1-x
As,p−InSb,p−Inx Ga1-x Sb,p−I
x Ga1-x Asy Sb1-y等が好ましい。また、p型
半導体層は最表面になるため、酸化されやすい材料を用
いた場合には酸化されにくい半導体保護層をp型半導体
層上に形成してもよい。この半導体保護層の膜厚はp型
半導体層が酸化されない程度の膜厚があれば良いため、
より薄くすることが好ましく、30nm以下とするのが
よい。
【0011】また、n型半導体とp型半導体のトータル
の膜厚h1は5μm以下であることが好ましく、より好
ましくは1μm以下が良く、さらに好ましくは0.8μ
m以下が良い。また、弾性表面波の電界を有効に半導体
層に伝えるためにp型半導体層の膜厚は1μm以下とす
ることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下が良
く、さらに好ましくは0.2μm以下が良い。
【0012】本発明における緩衝層として、例えば、A
lSb,GaSbなどの2元系、AlGaSb,AlA
sSb,AlInSbなどの3元系、AlGaAsS
b,AlInAsSb,AlInGaSb,AlInP
SbやAlGaPSbなどの4元系が好ましい例である
が、2種以上の半導体薄膜が積層されていても良い。さ
らに、上記3元系以上の緩衝層の組成を決める際に、半
導体層を構成している結晶と結晶構造がおなじでかつ該
結晶の格子定数と同じか、もしくは近い値を有する組成
に調整することで、半導体層のより大きな電子移動度を
実現させることができる。ここで格子定数が近いという
のは、半導体層を構成する結晶の格子定数と緩衝層を構
成する結晶の格子定数との違いが、±10%以内、より
好ましくは±7%以内、さらに好ましくは±5%以内を
いう。また、該緩衝層の膜厚は半導体層の上に配置され
たグレーティング電極の作製を容易にするために薄いほ
ど好ましい。即ち、緩衝層の膜厚h1は2nm≦h1≦
1000nmが好ましく、5nm≦h1≦500nmが
より好ましく、10nm≦h1≦100nmがさらに好
ましい範囲である。また、上記した緩衝層は、半導体層
内の電子と伝搬路上を移動する表面波との相互作用を効
率的に行うために、半導体層と電気的に絶縁している必
要がある。即ち、緩衝層の抵抗値は半導体層より少なく
とも5〜10倍以上高く、好ましくは100倍以上、よ
り好ましくは1000倍以上高くするのがよい。
【0013】本発明においては、圧電体基板と該緩衝層
との間に誘電体層が挿入されていてもよい。誘電体層と
しては、例えば、SiO,SiO2 ,窒化シリコン、C
eO2 ,CaF2 ,BaF2 ,SrF2 ,TiO2 ,Y
23 ,ZrO2 ,MgO,Al23 ,Ta25
どが用いられる。誘電体層の膜厚は薄い方がよく、20
0nm以下が好ましく、100nm以下がより好まし
い。
【0014】緩衝層や半導体層などの成膜は、一般に薄
膜が成長できる方法であれば何でもよいが、例えば、一
般的な蒸着法や分子線エピタキシー(MBE)法、有機
金属分子線エピタキシー(MOMBE)法および有機金
属気相成長(MOCVD)法は特に好ましい方法であ
る。本発明における圧電体基板は、圧電体単結晶基板で
も基板上に圧電体薄膜が形成されたものでもよい。本発
明の弾性表面波コンボルバにおいて、圧電体基板として
LiNbO3 、LiTaO3 やLi247 、KNb
3 、PZT等は好ましく用いられる。また、64度Y
カット、41度Yカット、128度Yカット、Yカット
またはXカットまたはZカットのLiNbO3 や36度
Yカット、Xカット、YカットのLiTaO3 などの基
板カット面を用いることも好ましい。圧電性薄膜基板
は、サファイア、SiやGaAs等の単結晶基板の上に
圧電性薄膜が形成されたものであり、圧電性薄膜として
例えば、ZnO,LiNbO3 、LiTaO3 ,KNb
3 ,PZT,PbTiO3 ,BaTiO3 やLi2
47 などは好ましく用いられる薄膜材料である。ま
た、サファイア、SiやGaAs等の単結晶基板と上記
圧電体薄膜との間にSiOやSiO2 などの誘電体膜が
挿入されていてもよい。さらに、圧電体薄膜基板とし
て、サファイアやSiなどの単結晶基板の上に、上記圧
電体薄膜のうちの異なる種類の薄膜が交互に積み重ねら
れたような多層積層膜を形成していてもよい。例えばL
iNbO3 とLiTaO3 からなる多層積層膜などは好
ましい例である。圧電体基板上の入力電極および伝搬路
上のグレーティング電極の材質には特に制限はないが、
例えば、Al,Au,Pt,Cu,Al−Ti合金、A
l−Cu合金、AlとTiの多層電極等が好ましく用い
られる。本発明のグレーティング電極は、弾性表面波の
電界を効率よく半導体層に伝えるだけでなく、その反射
を出来るだけ小さくするような電極幅および電極間隔で
形成される。すなわち、本発明のグレーティング電極の
電極幅Lおよび電極間隔Sは、弾性表面波の波長λに対
してλ/8以上、λ以下にすることが好ましい。さらに
グレーティング電極での反射による弾性表面波の減衰を
できるだけ小さくするためには、λ/3nあるいはλ/
2n(nは正の整数)にすることがより好ましく、λ/
4、λ/6やλ/8にすることが特に好ましい。また、
グレーティング電極の幅は、伝搬路の幅より広いことが
好ましい。グレーティング電極と出力取り出し電極およ
びアース取り出し電極との交差部分における電極幅Lお
よび電極間の間隔Sは、それぞれλ/16以上λ/2以
下であることが好ましい。例えば、伝搬路上のグレーテ
ィング電極幅および電極間隔をλ/8にすれば、半導体
層上でグレーティング電極と出力取り出し電極が交差す
る部分では、電極幅および電極間隔はλ/16となる。
また、弾性表面波の伝搬路の幅Wと半導体薄膜の幅aは
適当な値に選ぶことができるが、弾性表面波コンボルバ
のサイズを考慮するとW/a>1とするのが好ましく、
経験上W/a=8〜10付近でインピーダンスマッチン
グがとりやすい。また、本発明による弾性表面波コンボ
ルバでは、アース取り出し電極を出力側に接続し、出力
取り出し電極をアース側に接続した場合でも、ほぼ同等
の効率値を得ることができるため、アース取り出し電極
と出力取り出し電極がそれぞれ出力とアースに1対1で
配線されていれば良い。
【0015】
【実施例】以下に本発明を具体的な実施例により述べる
が、本発明はこれらの例のみに限定されるものではな
い、また、実際の弾性表面波コンボルバのデバイス化の
際には、一方向性電極の利用により、弾性表面波の双方
向性による損失分は軽減できる。また、広帯域の弾性表
面波コンボルバを得るためには、チャープ型電極を用い
ることも有効である。
【0016】(実施例1)圧電体基板1として直径3イ
ンチの128度YカットLiNbO3 単結晶基板を用い
て、該圧電体基板の上にMBE法によりn型半導体層3
としてノンドープInSbを200nmの厚さで、p型
半導体層4としてノンドープGaSbを50nmの厚さ
で成長させた。n型半導体層の電気的特性を調べるため
に同成長条件でノンドープInSbのみを成長させた膜
特性を室温でvan der Pauw法により測定し
たところ、キャリア密度n0 =3.2×1016/cm
3 、電子移動度μ=3450cm2 /Vsを得た。この
GaSb/InSb/LiNbO3 構造を用いて弾性表
面波コンボルバ作製を行った。まず半導体層表面に東京
応化製のフォトレジスト(TSMR−9300N)を塗
り、4500rpm,20秒の条件でスピンコートし
た。この塗布条件でのフォトレジストの厚さは1.6μ
mであった。95℃で30分間プレヒートした後、MI
KASA製露光機を用いて、4.2秒間露光し、専用の
現像液を用いて、弾性表面波の伝搬路上以外にストリッ
プ状のパターンを形成した。その後、塩酸系のエッチン
グ液を用いて半導体層をストリップ状にエッチングし
た。アセトンで表面のフォトレジストを除去した後、電
極作製工程を行った。先ほどの工程と同様にフォトレジ
ストをスピンコートするが、電極のリフトオフをより容
易にするためにフォトレジストはShipley社のM
icroposit MPS1400−22P/Rを用
いて行った。スピンコートは3500rpm,40秒の
条件で行い0.6μmの厚さとした。次に、先ほどと同
様のMIKASA製の露光機を用いて6.0秒間露光
し、専用現像液で現像し、電極パターンを形成した。こ
の工程では弾性表面波の伝搬路上および半導体層にまた
がるグレーティング電極6、電極ピッチ6μm(波長λ
=24μm)、開口長700μm、対数36、帯域幅3
MHzで設計した弾性表面波の2つの入力電極5(信号
用入力電極と参照信号用入力電極)、出力取り出し電極
7、アース取り出し電極8を一度の露光によりパターニ
ングした。この際、グレーティング電極6は伝搬路上の
グレーティング電極の幅L1を3μm、グレーティング
電極間の間隔S1を3μm、半導体層上のグレーティン
グ電極の幅L2を1.5μm、グレーティング電極間の
間隔S2を1.5μmとなるように形成した。電極蒸着
前にRIE装置を用いてO2 プラズマによりレジスト残
を完全に除去した後、真空蒸着機でAlを0.3μmの
厚さで形成し、アセトンに浸けリフトオフし、図1に示
したものと同構造の弾性表面波コンボルバを完成した。
本実施例の素子の一方の入力電極5に163MHzの周
波数の入力信号(1mW,0dB)を入力し、かつもう
一方の入力電極5から同じ163MHzの周波数の参照
信号(1mW、0dB)を入力した場合に、出力取り出
し電極7からの出カ信号をスペクトラムアナライザによ
り測定した。周波数326MHzに非線形信号である良
好なコンボリューション出力が得られ、その効率は−2
7.5dBmであった。
【0017】(比較例1)圧電体基板1として直径3イ
ンチの128度YカットLiNbO3 単結晶基板を用い
て、該圧電体基板の上に、MBE法によりn型半導体で
あるノンドープInSbを200nmの厚さで成長させ
た。InSb層の電気的特性はキャリア密度n0 =3.
4×1016/cm3 、電子移動度μ=3520cm2
Vsであり、実施例1で用いた膜と同等の特性であっ
た。コンボルバ作製プロセスは実施例1と同様の方法で
行い、図1と同様の構造のコンボルバを完成した。素子
の一方の入力電極5に163MHzの周波数の入力信号
(1mW、0dB)を入力し、かつもう一方の入力電極
5から同じ163MHzの周波数の参照信号(1mW、
0dB)を入力した場合に、出力取り出し電極7からの
出力信号をスペクトラムアナライザにより測定した。周
波数326MHzに非線形信号であるコンボリューショ
ン出力が得られたが、その効率は−32.0dBmであ
った。pn接合を用いない構造の弾性表面波コンボルバ
では効率が低い結果となった。
【0018】(実施例2)圧電体基板1として直径3イ
ンチの128度YカットLiNbO3 単結晶基板を用い
て、該圧電体基板の上にMBE法により緩衝層2として
Al0.5 Ga0.5As0.1 Sb0.9 を50nmの厚さで
成長させた後、n型半導体層3のノンドープInSbを
200nmの厚さでp型半導体層4のノンドープGaS
bを50nmの厚さで成長させた。n型半導体層の電気
的特性を室温でvan der Pauw法により測定
したところ、キャリア密度n0 =2.1×1016/cm
3 、電子移動度μ=5830cm2 /Vsを得た。その
後、実施例1に記載したものと同様のリソグラフィー技
術を用いて、緩衝層2,n型半導体層3,p型半導体層
4を弾性表面波の伝搬路外にのみ存在するように、スト
リップ状にエッチングした。次に同様のリソグラフィー
技術でリフトオフ法により、弾性表面波伝搬路上および
半導体層にまたがるグレーティング電極6、電極ピッチ
6μm(波長λ=24μm)、開口長700μm、対数
36、帯域幅3MHzで設計した弾性表面波の2つの入
力電極5(信号用入力電極と参照信号用入力電極)、出
力取り出し電極7、アース取り出し電極8をパターニン
グした。この際、グレーティング電極6は伝搬路上のグ
レーティング電極の幅L1を3μm、グレーティング電
極間の間隔S1を3μm、半導体層上のグレーティング
電極の幅L2を1.5μm、グレーティング電極問の間
隔S2を1.5μmとなるように形成した。電極形成前
にRIE装置を用いてレジスト残を完全に除去し、真空
蒸着機でAlを0.3μmの厚さで形成した。以上の工
程を経て作製した弾性表面波コンボルバは図2に示す構
造となる。本実施例の素子の一方の入力電極5に163
MHzの周波数の入力信号(1mW、0dB)を入力
し、かつもう一方の入力電極5から同じ163MHzの
周波数の参照信号(1mW、0dB)を入力した場合
に、出力取り出し電極7からの出力信号をスペクトラム
アナライザにより測定した。周波数326MHzに非線
形信号である良好なコンボリューション出力が得られ、
その効率は−16.5dBmであった。
【0019】(比較例2)圧電体基板1として直径3イ
ンチの128度YカットLiNbO3 単結晶基板を用い
て、該圧電体基板の上にMBE法により綬衝層2として
Al0.5 Ga0.5As0.1 Sb0.9 を50nmの厚さで
成長させた後、n型半導体であるであるノンドープIn
Sbを200nmの厚さで成長させた。InSb層の電
気的特性はキャリア密度n0 =2.2×1016/cm
3 、電子移動度μ=5940cm2 /Vsであり、実施
例2で用いた膜と同等の特性であった。コンボルバ作製
プロセスは実施例2と同様の方法で行い、図2と同様の
構造のコンボルバを完成した。素子の一方の入力電極5
に163MHzの周波数の入力信号(1mW、0dB)
を入力し、かつもう一方の入力電極5から同じ163M
Hzの周波数の参照信号(1mW、0dB)を入力した
場合に、出力取り出し電極7からの出力信号をスペクト
ラムアナライザにより測定した。周波数326MHzに
非線形信号であるコンボリューション出力が得られた
が、その効率は−21.5dBmであった。この構造の
弾性表面波コンボルバでは、緩衝層の導入により半導体
層の結晶性が向上することで効率の向上は可能である
が、半導体層をpn接合型としていないために実施例2
よりは効率が低くなった例である。
【0020】
【発明の効果】本発明の弾性表面波コンボルバにおい
て、半導体層をn型半導体層とp型半導体層により形成
することで、弾性表面波と電子の相互作用が効率的に行
うことができ、弾性表面波の出力効率の大幅向上を達成
できた。
【0021】さらに、このp型半導体層とn型半導体層
との組成を、前記n型半導体層がInAsx Sb1-x
(0≦x≦1)からなり、かつ前記p型半導体層がGa
AsySb1-y (0≦y≦0.5)からなるように限定
することで、より高い効率を達成できた。
【0022】また、Sbを含んだ緩衝層を挿入すること
により、半導体層の結晶性を向上させることでこれまで
にない極めて高い効率を達成できた。
【0023】すなわち、本発明の弾性表面波コンボルバ
はこれまでの移動体通信の携帯機器に用いられる部品に
大きな変革をもたらすことができ、将来の発展が大きく
期待されているスペクトル拡散通信におけるCDMA用
相関器として用いることが可能となり、システムの低消
費電力を達成することができ、産業上の有用性は計り知
れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す弾性表面波コンボルバ
の概略図である。
【図2】本発明の一実施例を示す弾性表面波コンボルバ
の概略図である。
【符号の説明】
1 圧電体基板 2 緩衝層 3 n型半導体層 4 p型半導体層 5 すだれ状入力電極 6 グレーティング電極 7 出力取り出し電極 8 アース取り出し電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久世 直洋 静岡県富士市鮫島2番地の1 旭化成工業 株式会社内 (72)発明者 山之内 和彦 宮城県仙台市太白区松が丘37−13 Fターム(参考) 5J097 AA01 AA35 BB08 DD25 FF07 GG04 HA02 HA03 HA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体基板上に入力電極と、出力取り出
    し電極と、半導体層とを備え、前記半導体層は前記入力
    電極から伝搬する弾性表面波の伝搬路上外に位置し、前
    記伝搬路上には該伝搬路に対して直角に配置された複数
    のグレーティング電極を有し、前記出力取り出し電極は
    前記半導体層上で前記複数のグレーティング電極と交差
    するように配置された弾性表面波コンボルバにおいて、
    前記半導体層がn型半導体層とp型半導体層の積層から
    なることを特徴とする弾性表面波コンボルバ。
  2. 【請求項2】 前記n型半導体層がInAsx Sb1-x
    (0≦x≦1)からなり、かつ前記p型半導体層がGa
    Asy Sb1-y (0≦y≦0.5)からなることを特徴
    とする請求項1に記載の弾性表面波コンボルバ。
  3. 【請求項3】 前記圧電体基板と前記半導体層の間にS
    bを含む緩衝層が挿入されていることを特徴とする請求
    項1または2記載の弾性表面波コンボルバ。
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