JP2000113851A - 電子増倍管およびマルチチャンネルプレートならびにそれらの製造方法 - Google Patents

電子増倍管およびマルチチャンネルプレートならびにそれらの製造方法

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JP2000113851A
JP2000113851A JP10296036A JP29603698A JP2000113851A JP 2000113851 A JP2000113851 A JP 2000113851A JP 10296036 A JP10296036 A JP 10296036A JP 29603698 A JP29603698 A JP 29603698A JP 2000113851 A JP2000113851 A JP 2000113851A
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channel
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electron
diamond
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Chikao Kimura
親夫 木村
Takashi Sato
高 佐藤
Fumio Takamura
文雄 高村
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New Japan Radio Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二次電子の放出率が高い電子増倍面を有する
電子増倍管、マルチチャンネルプレート、およびその製
造方法を提供する。 【解決手段】 板状の絶縁性基体1と、その絶縁性基体
1に貫通孔が設けられその貫通孔の内壁面に電子の衝突
により二次電子を放出する電子増倍面3が形成されるチ
ャンネル2と、その電子増倍面3に電圧を印加するた
め、絶縁性基体1の両面にそれぞれ設けられるカソード
電極4およびアノード電極5とからなっている。そし
て、絶縁性基体1の少なくとも前記電子増倍面3がダイ
ヤモンドまたはダイヤモンドライクカーボンにより形成
されるか、チャンネル2に屈曲部2aが形成される構造
にする。電子増倍面3をダイヤモンドにより形成するに
は、ワイヤの表面にダイヤモンドを析出させた後にワイ
ヤをエッチングにより除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イメージインテン
シファイア、光電子増幅器などに用いられる電子増倍
管、マルチチャンネルプレートおよびそれらの製造方法
に関する。さらに詳しくは、チャンネル構造を改良する
ことにより、電子増倍率を向上させ得る電子増倍管、マ
ルチチャンネルプレートおよびそれらの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】二次電子放出現象を利用した電子増倍管
は、光電子増倍管をはじめとして広く実用化されてい
る。電子増倍管は、ガラスパイプやセラミックパイプの
内壁をチャンネルとして、そのチャンネル壁面に電界に
よって加速された電子を衝突させることにより、複数個
の二次電子を発生させる機構になっている。この電子増
倍管をマイクロサイズ化して高密度に集積化することに
より、平面構造のマルチチャンネルプレートが形成さ
れ、イメージインテンシファイアなどのイメージデバイ
スに用いられている。近年、このイメージデバイスに対
する要求は、高密度、高感度、高速動作、広ダイナミッ
クレンジへと一層の高性能化が要求されている。そのた
め、電子増倍管に対してこれらの高性能化を満たすた
め、電子増倍率の向上が要求されている。
【0003】電子増倍管の電子増倍率は、主として、材
料に基づく電子増倍面の二次電子放出特性、電子が壁面
に衝突する回数およびそのエネルギーに依存する。した
がって、電子増倍率を向上させるためには、(1)高二
次電子放出率の材料を使用する方法、(2)チャンネル
を長くして衝突回数を増やす方法、が有効である。
【0004】従来の電子増倍管は、パイプ状の内壁面を
形成する必要性から、たとえば鉛ガラスのようなガラス
やセラミックスなどが用いられている。従来のマルチチ
ャンネルプレートは、束ねたガラスパイプを加熱、軟化
させた状態で引き伸ばすことにより多数のパイプを有す
るプレートを形成したり、特開平4−87247号公報
に示されるように、高鉛ガラスの基板にエッチングによ
りパイプを形成し、水素のような還元性ガス雰囲気で熱
処理をすることにより形成されている。
【0005】また、電子の衝突回数を増やすため、チャ
ンネルの開口面積を変えずに単にチャンネルを長くする
と、両端に印加する電圧を高くする必要があり、デバイ
スの使用電圧が高くなるため、単に使いにくくなるばか
りでなく、壁面への残留ガスイオン衝撃による損傷を増
加させるという欠点があり、望ましい改善策とはいえな
い。さらに、このようなパイプに平行な方向から入射す
る電子はチャンネルの壁面に衝突する回数が少ないため
電子増倍機能が増大しない。このような問題を解決する
ため、たとえば特開平4−87247号公報に示され、
図4(a)〜(b)に示されるように、マルチチャンネ
ルプレートのチャンネル22をプレート21の面21a
に対して斜めにしたり、チャンネル22の径を電子入射
側から電子出射側に向かって徐々に小さくすることによ
り、入射する電子が、チャンネル22の内壁面に衝突し
やすくして、二次電子を増大させる方法が考えられてい
る。なお、図4で24はカソード電極(入力側)、25
はアノード電極(出力側)をそれぞれ示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子を衝突させ
る電子増倍面がガラスやセラミックスにより構成される
電子増倍管では、二次電子放出率が低いと共に、抵抗が
大きく高電圧を印加して電子を加速しないと、必要な二
次電子増倍が得られないという問題がある。一方、高二
次電子放出率を有する材料として、ダイヤモンドの(1
11)面が負の電子親和力を有するため二次電子放出率
が大きく入出力間に印加する電圧が低くできることが知
られているが、ダイヤモンドによりパイプを作ることは
技術的に困難で、実用化されていない。
【0007】また、電子を衝突させる回数を増加させる
ため、チャンネルをプレート面に対して斜めに傾けた
り、その径を出力側で小さくなるように徐々にその径を
変化させても、電子増倍面を構成するパイプと平行に入
射する電子は殆ど衝突することがなく、充分には二次電
子の放射に寄与せず、高い電子増倍率が得られないとい
う問題がある。
【0008】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、二次電子の放出率が高いダイヤモン
ドを使用した電子増倍管、マルチチャンネルプレート、
およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】本発明の他の目的は、チャンネル長を極端
に長くすることなく確実に電子の衝突回数を増やすこと
ができる構造にして電子増倍率を向上することができる
電子増倍管およびマルチチャンネルプレートを提供する
ことにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、電子増倍率を
高くすることができる電子増倍面の構造およびそれらの
製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電子増倍管は、
板状の絶縁性基体と、該絶縁性基体に貫通孔が設けられ
該貫通孔の内壁面に電子の衝突により二次電子を放出す
る電子増倍面が形成されるチャンネルと、前記電子増倍
面に電圧を印加するため前記絶縁性基体の両面にそれぞ
れ設けられる電極とを有し、前記絶縁性基体の少なくと
も前記電子増倍面がダイヤモンドまたはダイヤモンドラ
イクカーボンからなっている。
【0012】ここにダイヤモンドライクカーボンとは、
純粋なダイヤモンドの他に、グラファイトやアモルファ
スカーボンのようなカーボンも含む意味である。
【0013】この構成にすることにより、電子親和力を
有するダイヤモンドを電子増倍面にしているため、電子
放出率が大きく、電子増倍率を向上させることができ
る。
【0014】前記チャンネルが、少なくとも1か所に屈
曲部を有するように形成されていることが、電子の電子
増倍面での衝突を多くすることができるため好ましい。
【0015】本発明の電子増倍管の他の形態は、板状の
絶縁性基体と、該絶縁性基体に貫通孔が設けられ該貫通
孔の内壁面に電子の衝突により二次電子を放出する電子
増倍面が形成されるチャンネルと、前記電子増倍面に電
圧を印加するため前記絶縁性基体の両面にそれぞれ設け
られる電極とを有し、前記チャンネルが少なくとも1か
所に屈曲部を有するように形成されている。この構造に
することにより、電子増倍面での電子の衝突回数を増大
させることができるため、電子増倍率を向上させること
ができる。
【0016】前記電子増倍面に不純物がドーピングされ
て所望の抵抗値にされることにより、内部にキャリアを
有するためより多くの二次電子を放出することができる
と共に、両電極間の抵抗が下がり、低電圧で駆動するこ
とができるため好ましい。
【0017】前記電子増倍面の表面に凹凸が形成されて
いることにより、核発生密度を飛躍的に高めることがで
き、二次電子増倍率を向上させることができる。
【0018】絶縁性基体に電子増倍面が複数個設けられ
ることによりマルチチャンネルが形成され、該マルチチ
ャンネルのそれぞれのチャンネルに前記チャンネルの各
構造を適用することにより、前述のそれぞれの特性を有
するマルチチャンネルプレートが得られる。
【0019】本発明の電子増倍管の製造方法は、(a)
ワイヤの表面にダイヤモンド膜を被膜し、(b)該ダイ
ヤモンド膜を被膜したワイヤを絶縁基体により固着し、
(c)前記ワイヤが固着された絶縁基体を板状体に切断
し、(d)前記ワイヤをエッチングにより除去し、
(e)前記板状体の両面にそれぞれ電極を形成すること
を特徴とする。
【0020】前記(b)工程で、ダイヤモンドを被膜し
たワイヤを複数本束ねて固着することにより、マルチチ
ャンネルプレートを形成することができる。
【0021】前記ワイヤの少なくとも1か所に屈曲部を
形成してから前記ダイヤモンド膜を被膜するか、前記
(c)工程で、板状体を前記ワイヤに対する垂直面から
傾けて形成し、該板状体を少なくとも2枚前記ワイヤが
接続するように貼着することにより、チャンネルに屈曲
部を有する電子増倍管またはマルチチャンネルプレート
を得ることができる。
【0022】前記ダイヤモンド膜を被膜する少なくとも
初期段階に不純物をドーピングすることにより、前記ワ
イヤが除去されて露出するダイヤモンド膜の表面を所望
の抵抗値に形成することができる。
【0023】前記ワイヤの表面に高融点金属微粒子を煙
着することにより凹凸を形成したり、前記ワイヤに金属
ワイヤを用い、該金属ワイヤの表面を酸化させ、または
高融点金属酸化物を前記ワイヤの表面に煙着し、その後
還元することにより表面に凹凸を形成してから前記ダイ
ヤモンド膜を被膜することにより、核発生密度を高めて
二次電子を放出しやすいダイヤモンド膜を成膜すること
ができると共に、表面積の大きい電子増倍面を形成する
ことができ、高二次電子増倍面を形成することができ
る。ここに煙着とは、数十〜数百Torrの不活性ガス
または不活性ガスと酸素の混合ガス中で、物質を蒸発さ
せ、蒸発物質が蒸発源の近傍でガス分子と衝突後、凝縮
してクラスタ(微粒子)を形成し基板上に微粒子を成長
する気相成長法である。
【0024】前記ワイヤの表面に白金族の金属微粒子を
被膜した後、前記ダイヤモンド膜を被膜することによ
り、電子放出に有効な(111)面のダイヤモンドの結
晶面を形成しやすいため好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しながら本発
明の電子増倍管、マルチチャンネルプレートおよびそれ
らの製造方法について説明をする。
【0026】本発明による電子増倍管は、図1にマルチ
チャンネルプレートの一実施形態の断面説明図および斜
視図が示されるように、板状の絶縁性基体1と、その絶
縁性基体1に貫通孔が設けられその貫通孔の内壁面に電
子の衝突により二次電子を放出する電子増倍面3が形成
されるチャンネル2と、その電子増倍面3に電圧を印加
するため、絶縁性基体1の両面にそれぞれ設けられるカ
ソード電極4およびアノード電極5とからなっている。
そして、絶縁性基体1の少なくとも前記電子増倍面3が
ダイヤモンドまたはダイヤモンドライクカーボンからな
っていることに特徴がある。
【0027】絶縁基体1は、たとえば樹脂やガラスから
なり、図1(b)に斜視図が示されるように、貫通孔の
内面に電子増倍面3が形成されたチャンネル2が設けら
れており、少なくともその電子増倍面3はダイヤモンド
からなっている。すなわち、電子増倍面3を構成するダ
イヤモンドは、カーボンを結晶成長させたもので、完全
な単結晶になっていなくても、多結晶の構造になってい
てもよい。このカーボン膜の周囲は、エポキシ樹脂など
の樹脂や、鉛ガラスなどのガラスにより固着されてお
り、このカーボン膜および樹脂などにより絶縁性基体1
が0.5〜1mm程度の厚さで、マルチチャンネルプレ
ートを形成するには、たとえば直径が6cm程度に形成
されている。
【0028】チャンネル2は、直径が0.04〜0.1m
m程度で、たとえばイメージインテンシファイア用のマ
ルチチャンネルプレートを形成するには、36万〜14
0万個程度形成されている。このチャンネル2の内面
は、前述のように、二次電子放射率の高いダイヤモンド
膜が設けられており、電子増倍面3が形成されている。
そして、図1に示される例では、このチャンネル2に屈
曲部2aが1か所設けられており、縦断面形状がく字型
に形成されている。この屈曲部の角度は、あまり大きく
曲げると電子の通過が困難になり、小さすぎると電子の
衝突回数を増やす効果が得られない。そのため、たとえ
ばマルチチャンネルプレート面に垂直方向に対するチャ
ンネルの傾き角θ(図1(a)参照)が、10〜45゜
の範囲に入るように屈曲部2aを設けることが好まし
い。また、屈曲部の数は、図1に示されるように、マル
チチャンネルプレートの厚さの中心部に1か所だけ設け
られることにより、チャンネルの入力側と出力側が平面
的に同じ位置になり、入力する画像情報と出力する画像
情報の位置ずれが少なくなるため好ましいが、屈曲部を
2以上にしても、同様に入力側と出力側の位置を平面的
に同じ位置になるように形成することができ、屈曲部の
浅い角度に対しても電子の衝突回数を増やすことがで
き、屈曲部の数には限定されない。
【0029】チャンネル2の内面の電子増倍面3は、凹
凸が形成されていることが、表面積が大きくなり、二次
電子を放出しやすくなること、二次電子を放出しやすい
ダイヤモンド粒子を増大させる核発生密度を飛躍的に向
上させることができるため好ましい。
【0030】電極4、5は、電子増倍面3に電位を印加
するためのもので、Au/Ti、Alなどの金属をスパ
ッタリングまたは真空蒸着により0.5〜2μm程度の
厚さに形成される。この際、チャンネル2内に電極用金
属が付着しないように、レジストをチャンネル2内に含
浸させてからスパッタリングまたは真空蒸着をする。
【0031】つぎに、図1に示される電子増倍管の製造
方法を図2を参照しながら説明する。まず、図2(a)
に示されるように、たとえばタングステンまたはモリブ
デンなどからなる40〜100μmφ程度の太さの金属
ワイヤ7を屈曲させて屈曲部7aを形成する。このワイ
ヤ7は、前述のようにタングステンなどの高融点金属材
料がダイヤモンド膜の合成の点から好ましいが、高融点
金属材料以外にも、銅、白金などを使用することができ
る。
【0032】つぎに、図2(b)に示されるように、ワ
イヤ7の周囲にダイヤモンド膜3aを成長させる。具体
的には、ダイヤモンド膜合成装置内にワイヤ7をセッテ
ィングし、反応ガスのメタンおよび酸素を、キャリアガ
スの水素と共に導入し、800〜1000℃で反応させ
るマイクロ波プラズマ法により、金属ワイヤ7の表面に
ダイヤモンド膜3aが成長する。この際、ワイヤ7が白
金であれば、(111)面の結晶面でダイヤモンド結晶
層が成長する。2〜5μm程度の厚さ成長した後に、熱
フィラメント法により成長を続け、トータルとして20
〜50μm程度の厚さにダイヤモンド膜3aを成長す
る。このように、初期段階でマイクロ波プラズマ法を用
いることにより、高密度プラズマのため、ワイヤ7の表
面へのダイヤモンド粒子の核発生密度を高めることがで
き、電子放出が可能なダイヤモンド粒子を増大させるこ
とができる点で好ましく、また、成長中期以降に熱フィ
ラメント法を用いることにより、成膜速度を早くするこ
とができるため好ましい。しかし、これらの方法以外に
も燃焼炎法、プラズマジェット法などのCVD法により
ダイヤモンドの結晶を成長させることができる。
【0033】つぎに、図2(c)に示されるように、ダ
イヤモンド膜3aが被膜されたワイヤ7を複数本束ね、
たとえばエポキシ樹脂などの樹脂や鉛ガラスなどのガラ
スにより接着してロッド状にする。その後、ロッド状に
した複数の金属ワイヤ群を切断することにより、図2
(d)に示されるような板状体にする。なお、図2では
ダイヤモンド膜3aを被膜したワイヤ7間の間隙が示さ
れていないが、その間隙部には樹脂またはガラスが充填
されており、ダイヤモンド膜3aと共に絶縁性基体1を
構成している。なお、図2(d)で、中間部分のダイヤ
モンド膜3aを被膜したワイヤ7の図示は省略されてい
る。
【0034】その後、図2(e)に示されるように、切
断面をダイヤモンド粉末により研磨し、塩酸、硫酸など
のエッチング液を用いて金属ワイヤ7をエッチングする
ことにより、貫通孔としチャンネル2を形成する。
【0035】その後、チャンネル2をレジストなどの含
浸により閉塞し、スパッタリングまたは真空蒸着法によ
り、Au/TiまたはAlなどの金属を板状体の両面に
成膜し、カソード電極4およびアノード電極5を形成す
ることにより、図1(a)に示されるようなマルチチャ
ンネルプレートを形成することができる。
【0036】本発明によれば、電子増倍管の電子増倍面
をダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカーボンに
より形成しているため、高い二次電子放射率を得ること
ができ、高い電子増倍率を得ることができる。
【0037】さらに、チャンネルに少なくとも1か所の
屈曲部を設けることにより、チャンネルと平行に入射し
てきた電子でも必ず電子増倍面と衝突し、その衝突によ
り発生した二次電子がさらに電子増倍面に衝突し、電子
の衝突回数を増やすことができ、電子増倍率が向上す
る。しかも、屈曲部が設けられることにより、入射側と
出力側との平面的位置のずれをなくすることができ、入
射する画像情報と出力する画像情報の位置ずれをなくす
ることができる。この屈曲部による効果は、電子増倍面
がダイヤモンド膜で形成されていなくても得られる。
【0038】さらに、本発明の製造方法によれば、ワイ
ヤの表面にダイヤモンド膜またはダイヤモンドライクカ
ーボンを結晶成長させてから、ワイヤをエッチングによ
り除去しているため、二次電子放射率の高いダイヤモン
ドを電子増倍面としたチャンネルを簡単に製造すること
ができ、非常に電子増倍率の高い電子増倍管を得ること
ができる。
【0039】図3は、本発明のマルチチャンネルプレー
トの製造方法の他の例の説明図である。すなわち、前述
の例では、ワイヤ7に屈曲部を形成し、そのワイヤ7に
ダイヤモンド膜3aを被膜して束ねることによりマルチ
チャンネル構造を形成したが、図3に示される例は、ワ
イヤは直線のままで、プレート8に加工する(切り出
す)際に、プレート面8aをワイヤに直角ではなく、斜
めになるようにプレート8を形成し(図3(a)参
照)、同様に形成したプレート8をワイヤ7部分が接続
されるようにエポキシ樹脂により貼着することにより、
ワイヤの屈曲部を形成する(図3(b)参照)もので、
その後の工程は、前述と同様にワイヤをエッチングによ
り除去し、電極を形成することによりチャンネル2に屈
曲部2aが形成されたマルチチャンネルプレートを形成
することができる。この方法を用いることにより、曲っ
たワイヤを一定の場所に屈曲部を有するように束ねる作
業がなく、容易に屈曲部を有するマルチチャンネルを製
造することができる。
【0040】前述の各例では、ワイヤ7へのダイヤモン
ド膜3aの成長を純粋なダイヤモンドの成長により行っ
たが、ダイヤモンドの成長の際に、ジボラン(B
2 4 )ガス、またはホスフィン(PH3 )を反応ガス
と共に導入することにより、ホウ素(B)またはリン
(P)をドーピングしたダイヤモンド膜を成長させて抵
抗値を下げることができ、その混合割合に応じて所望の
表面抵抗値に形成することができる。この不純物をドー
ピングすることにより、ダイヤモンドはその内部にキャ
リアを有するため、より多くの二次電子を放出させるこ
とができると共に、両端間に印加する電圧を低くしても
所望の二次電子を得ることができる。
【0041】また、前述の各例では、ワイヤ上に直接ダ
イヤモンド膜を成長したが、ワイヤの表面にタングステ
ンなどの高融点金属の微粒子を煙着法により設けた後
に、前述の方法によりダイヤモンド膜を成長することに
より、ダイヤモンドの核発生密度を飛躍的に高めること
ができる。核発生密度とは、単位面積当りの核発生数の
ことであり、核発生密度の増大は、電子放出可能なダイ
ヤモンド粒子の増大を意味し、より二次電子増倍率を高
くしたマルチチャンネルプレートを得ることができる。
【0042】核発生密度を向上させる他の方法として、
金属ワイヤを陽極酸化、酸化性雰囲気による酸化、水蒸
気による酸化などにより表面を酸化させ、さらに還元す
ることにより金属ワイヤの表面に微小な荒れを形成し、
その後にダイヤモンドを析出させてもよい。この酸化お
よび還元の工程が施された金属ワイヤの表面は微小なダ
メージを受けているため、ダイヤモンドの核が生成され
やすいサイトが多数存在する。この表面にダイヤモンド
を析出させる場合、表面が未処理の場合に比べ、核発生
密度が増大し、上記微粒子を付着させたときと同様の効
果を有する高二次電子増倍率のマルチチャンネルプレー
トを得ることができる。
【0043】また、上記タングステン微粒子の代りに、
白金黒などの白金族微粒子を付着させたワイヤの表面に
ダイヤモンドを析出させてもよい。白金上に析出するダ
イヤモンドは、電子放出に有効な(111)面が成長し
やすいことが知られている。この(111)面は、前述
のようにとくに二次電子の放射率が高く、より高二次電
子増倍率のマルチチャンネルプレートを得ることができ
る。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、非常に電子増倍率を向
上させた電子増倍管を得ることができる。その結果、こ
の電子増倍管を多数束ねたマルチチャンネルプレートを
用いることにより高感度なイメージインテンシファイア
を得ることができ、近年の高性能化の要求を満たすこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子増倍管を用いたマルチチャンネル
プレートの一実施形態の断面および斜視説明図である。
【図2】図1のマルチチャンネルプレートの製造工程を
示す図である。
【図3】本発明のマルチチャンネルプレートの製造方法
の他の例の説明図である。
【図4】従来のマルチチャンネルプレートの断面説明図
である。
【符号の説明】
1 絶縁性基体 2 チャンネル 2a 屈曲部 3 電子増倍面 3a ダイヤモンド膜 4 カソード電極 5 アノード電極 7 ワイヤ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の絶縁性基体と、該絶縁性基体に貫
    通孔が設けられ該貫通孔の内壁面に電子の衝突により二
    次電子を放出する電子増倍面が形成されるチャンネル
    と、前記電子増倍面に電圧を印加するため前記絶縁性基
    体の両面にそれぞれ設けられる電極とを有し、前記絶縁
    性基体の少なくとも前記電子増倍面がダイヤモンドまた
    はダイヤモンドライクカーボンからなる電子増倍管。
  2. 【請求項2】 前記チャンネルが、少なくとも1か所に
    屈曲部を有するように形成されてなる請求項1記載の電
    子増倍管。
  3. 【請求項3】 板状の絶縁性基体と、該絶縁性基体に貫
    通孔が設けられ該貫通孔の内壁面に電子の衝突により二
    次電子を放出する電子増倍面が形成されるチャンネル
    と、前記電子増倍面に電圧を印加するため前記絶縁性基
    体の両面にそれぞれ設けられる電極とを有し、前記チャ
    ンネルが少なくとも1か所に屈曲部を有するように形成
    されてなる電子増倍管。
  4. 【請求項4】 前記電子増倍面に不純物がドーピングさ
    れて所望の抵抗値に形成されてなる請求項1、2または
    3記載の電子増倍管。
  5. 【請求項5】 前記電子増倍面の表面に凹凸が形成され
    てなる請求項1、2、3または4記載の電子増倍管。
  6. 【請求項6】 板状の絶縁性基体と、該絶縁性基体に電
    子増倍面が複数個設けられることにより形成されるマル
    チチャンネルと、該マルチチャンネルの両端部にそれぞ
    れ設けられる電極とからなり、前記マルチチャンネルの
    それぞれのチャンネルが請求項1、2、3、4または5
    記載のチャンネルの構造であるマルチチャンネルプレー
    ト。
  7. 【請求項7】 (a)ワイヤの表面にダイヤモンド膜を
    被膜し、(b)該ダイヤモンド膜を被膜したワイヤを絶
    縁基体により固着し、(c)前記ワイヤが固着された絶
    縁基体を板状体に加工し、(d)前記ワイヤをエッチン
    グにより除去し、(e)前記板状体の両面にそれぞれ電
    極を形成することを特徴とする電子増倍管の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7の製造方法において、(b)工
    程で、ダイヤモンドを被膜したワイヤを複数本束ねて固
    着することによりマルチチャンネルプレートを形成する
    マルチチャンネルプレートの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ワイヤの少なくとも1か所に屈曲部
    を形成してから前記ダイヤモンド膜を被膜する請求項7
    または8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記(c)工程で、板状体を前記ワイ
    ヤに対する垂直面から傾けて形成し、該板状体を少なく
    とも2枚前記ワイヤが接続するように貼着し、前記ワイ
    ヤをエッチングにより除去する請求項7または8記載の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記ダイヤモンド膜を被膜する少なく
    とも初期段階に不純物をドーピングすることにより、前
    記ワイヤが除去されて露出するダイヤモンド膜の表面を
    所望の抵抗値に形成する請求項7、8、9または10記
    載の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記ワイヤの表面に高融点金属微粒子
    を煙着することにより凹凸を形成し、その後前記ダイヤ
    モンド膜を被膜する請求項7、8、9、10または11
    記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記ワイヤに金属ワイヤを用い、該金
    属ワイヤの表面を酸化させ、または高融点金属酸化物を
    前記ワイヤの表面に煙着し、その後還元することにより
    表面に凹凸を形成してから前記ダイヤモンド膜を被膜す
    る請求項7、8、9、10または11記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記ワイヤの表面に白金族の金属微粒
    子を被膜した後、前記ダイヤモンド膜を被膜する請求項
    7、8、9、10、11、12または13記載の製造方
    法。
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