JP2000102854A - Esr溶解法によるインコネル706合金の製造方法 - Google Patents

Esr溶解法によるインコネル706合金の製造方法

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JP2000102854A
JP2000102854A JP27771598A JP27771598A JP2000102854A JP 2000102854 A JP2000102854 A JP 2000102854A JP 27771598 A JP27771598 A JP 27771598A JP 27771598 A JP27771598 A JP 27771598A JP 2000102854 A JP2000102854 A JP 2000102854A
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Hitoshi Ishida
斉 石田
Haruhiko Toda
晴彦 戸田
Koichi Sakamoto
浩一 坂本
Tatsuhiko Sodo
龍彦 草道
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ESR溶解法において、偏析の少ないインコ
ネル706合金とその製造方法を提供する。 【解決手段】 質量%で、 Ni:40.0〜43.0%、Cr:15.50
〜16.50 %、 Nb:2.30〜3.20%、 Ti:1.50〜1.80%およ
び残部がFeと不可避的不純物からなるインコネル706
合金のESR溶解法において、凝固時の冷却速度を 1.5
℃/min以上としたESR溶解法によるインコネル706
合金の製造方法である。また、上記インコネル706合
金のESR溶解法による鋳塊の凝固組織のデンドライト
2次アームスペーシングが 200μm 以下であるインコネ
ル706合金鋳塊である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスタービン等に
使用される偏析の少ないインコネル706合金をESR
溶解法(エレクトロスラグ再溶解法)で製造する技術分
野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】ESR溶解法は、水冷銅鋳型内に被溶解
金属である一次電極をつり下げ、水冷銅鋳型底部に挿入
したスラグに接触させ、一次電極−水冷銅鋳型間に大電
流を流し、スラグの抵抗熱でスラグを溶解させ、スラグ
の溶解熱を利用して一次電極を再溶解しながら溶けた溶
湯をスラグ内部で精錬しつつ、水冷銅鋳型内に二次鋳塊
として積層凝固させることにより、高品質の鋳塊を製造
する溶解プロセスである。
【0003】このESR溶解法においては、二次鋳塊と
水冷銅鋳型間の熱伝達を良くすることで鋳塊の品質を改
善できることが一般に知られている。しかしながら、E
SR溶解法では、二次鋳塊と水冷銅鋳型間に凝固収縮に
よるエアギャップとスラグが凝固した層が生成するた
め、これが鋳塊−鋳型間の熱伝達を阻害し、鋳塊品質を
悪くする。また、インコネル706合金は合金成分にNb
などを含んでおり、これらが凝固の際に偏析し、鋳塊品
質を悪化させるため、他の合金と比較して製造が困難な
合金である。また、合金成分のNb濃度が高くなるほど偏
析が起こり易くなる傾向がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、インコネ
ル706合金のESR溶解法による製造において、均質
な合金を溶製するためには、最適な操業条件を把握して
おく必要がある。特に、Nb濃度の高いインコネル706
合金を製造する場合や、外径 800mmを超すような大型の
鋳塊などを製造する場合には、製造条件を厳密に制御し
なければならない。しかしながら、このような鋳塊にお
いては、製造時の鋳塊の冷却速度などの製造条件が十分
に把握されていないため、製品での欠陥の原因となる偏
析などが鋳塊内部に起こり、均一な組成を持つ高い品質
の合金製品を安定して製造することができなかった。ま
た、これまでの製造方法は経験的な操業に依存してお
り、最適な操業条件を明確な数値で示したものはない。
【0005】また、高品質の大型鋳塊を製造するため
に、ESR溶解法において、鋳塊−鋳型間に粉末金属を
導入して溶融させ鋳塊−鋳型間の熱伝達を良くする方法
や、低融点の溶融金属を充填して鋳塊−鋳型間の熱伝達
を良くする方法が、本出願人から出願され特願平07-229
172 号に開示してあるが、均質な合金鋳塊を製造するた
の定量的な冷却速度および凝固組織のデンドライト2次
アームスペーシングの制御については記載されていな
い。
【0006】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、ESR溶解法において、冷却速度を制
御することにより凝固組織のデンドライト2次アームス
ペーシングを制御し、偏析の少ないインコネル706合
金とその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】その要旨は、質量%で、
Ni:40.0〜43.0%、Cr:15.50〜16.50 %、 Nb:2.30〜3.
20%、 Ti:1.50〜1.80%および残部がFeと不可避的不純
物からなるインコネル706合金の鋳塊を製造するに際
し、凝固時の冷却速度を 1.5℃/min以上としたESR溶
解法によるインコネル706合金の製造方法である。
【0008】また、上記インコネル706合金のESR
溶解法による鋳塊の凝固組織のデンドライト2次アーム
スペーシングが 200μm 以下であるインコネル706合
金鋳塊である。
【0009】
【発明の実施の形態】ここで、デンドライト2次アーム
スペーシングとは金属の凝固組織に現れるデンドライト
組織のアーム間隔を測定したもので、冷却速度か速くな
るとデンドライト2次アームスペーシングが小さくなる
ことが知られており、一定の関係式で表現することがで
きる。また、材料の違いによってもこの関係式は変化
し、冷却速度を評価する手段として一般的な指標となっ
ている。
【0010】金属の凝固の際には、液相から固相への変
化が起こり、このときにできる固相の形態は様々であ
る。固相の形態は合金組成や凝固条件によっても変化す
るが、多くの場合、デンドライトと呼ばれる樹枝状の固
相が生成される。したがって、液相から固相への遷移過
程においては樹枝状の固相とその枝の隙間に液相が共存
した状態になる。また、一般に凝固過程では固相から液
相に合金成分が押し出されるため、デンドライト樹枝間
の液相濃度は初期の成分濃度よりも高い濃度となる。
【0011】この濃度の高い液相が、凝固の進行にとも
ない最終凝固部に向かって濃化した場合や、極端な場合
では、ある一部分に集中したりすると、凝固終了時に成
分の濃化した領域ができてしまい、鋳塊内部に合金成分
の不均一、つまり偏析が生じる。
【0012】したがって、偏析をなくすためには、この
合金成分の濃化した液相の移動をできる限り少なくして
やればよいことになる。これには、デンドライトの間隔
を狭くすることが効果的であり、樹枝状デンドライトの
枝間距離、すなわち、デンドライト2次アームスペーシ
ングが小さければ、結果的に偏析が減ることになる。
【0013】本発明は、凝固時の冷却速度を大きくして
デンドライト2次アームスペーシングを小さくして偏析
の少ないインコネル706合金鋳塊を製造するものであ
る。そのためには、凝固時の冷却速度は 1.5℃/min以上
とし、より偏析を少なくするためには、冷却速度は 2.5
℃/min以上が望ましい。また、鋳塊においては、偏析の
少ないインコネル706合金鋳塊としてデンドライト2
次アームスペーシングは 200μm 以下とし、より偏析の
少ない鋳塊では、デンドライト2次アームスペーシング
は 100μm 以下が望ましい。なお、大型の鋳塊を製造す
る場合には、鋳塊−鋳型間の熱伝達をHeガスやインコネ
ル706合金よりも融点の低い溶融金属を用いた冷却方
法を採用することにより本発明に最適な冷却が実現でき
る。
【0014】
【実施例】ESR溶解法での状況を実際の鋳塊サイズで
の溶解で確認することは非常に困難なため、ESR溶解
の状況を模擬的に再現するため、一方向凝固実験装置を
用いた実験を行なった。一方向凝固実験は様々な凝固過
程を模擬する上で最も基本的な実験方法の一つである。
溶解した金属を一方向から凝固させることにより、平滑
な凝固界面の進行状況を作り出し、基本的な凝固現象を
実験的に再現し、凝固過程を確認した。実験は請求項に
示した冷却条件を含めた数種類の冷却条件でインコネル
706合金を一方向凝固させる試験条件で実施した。
【0015】まず、 Ni:40.0〜43.0%、Cr:15.50〜16.5
0 %、 Nb:2.30〜3.20%、 Ti:1.50〜1.80%および残部
がFeの組成からなるインコネル706合金を30mmφ×80
mmの円筒状るつぼ内で溶解し、これをるつぼ下部から冷
却することにより所定の冷却条件で溶湯を一方向から凝
固させた。このときの冷却条件は表1の通りである。
【0016】
【表1】
【0017】ここで、表1のV (℃/min) は冷却速度、
G(deg/mm)は温度勾配、R(mm/min)は凝固界面の移動速
度を示し、V=GRの関係が成り立つ。
【0018】表1に示す Ch.No.1-1〜1-4 の各サンプル
について、長手方向に2分割し、分割面を研磨し、研磨
面を光学顕微鏡で観察した。研磨面には、デンドライト
の樹枝間に液相が満たされていた平らな部分(正常部
分)とデンドライトの樹枝状晶が剥き出しになって凹凸
になっている部分(欠陥部分)が存在する。この凹凸部
分はデンドライト樹枝間の液相が移動し、デンドライト
のみが残って凹凸になったものであり、この欠陥部分の
面積が大きい場合には液相の移動が起こり易く、偏析が
起こり易いことになる。また、欠陥部分の面積が小さい
場合には液相の移動が起こり難く、偏析が起こり難いこ
とになる。
【0019】表2に、光学顕微鏡観察面のデンドライト
2次アームスペーシング(実施例ではDASと記載)と
上記欠陥部分の面積測定結果を示す。表2のDASは各
サンプルの観察面における平均値を示し、欠陥率は各サ
ンプルの観察面積に占める欠陥部分の面積を百分率で示
したものである。
【0020】
【表2】
【0021】表2の結果をもとに冷却速度とDASとの
関係をグラフにしたものが図1である。これを見ると冷
却速度が大きくなるとDASが小さくなり、冷却速度が
小さくなるとDASが大きくなることがわかる。このよ
うに冷却速度とDASとの間には相関関係が存在する。
【0022】また、表2より冷却速度と欠陥率、DAS
と欠陥率との関係をグラフにしたものを図2、図3に示
す。経験上、欠陥率が 2%以下であれば材料として均質
であると判定されることから、この条件を満たす冷却速
度とDASを図2、3から知ることができる。
【0023】まず、冷却速度と欠陥率との関係について
みると、冷却速度が 1.5℃/min以上であれば欠陥率は 2
%以下となる。また、冷却速度が 2.5℃/min以上であれ
ば欠陥率はほぼ 0%となる。次に、DASと欠陥率との
関係についてみると、DASが 200μm 以下であれば欠
陥率は 2%以下となる。また、DASが 100μm 以下で
あれば欠陥率はほぼ 0%となる。
【0024】このように、図2の冷却速度と欠陥率、図
3のDASと欠陥率との関係からインコネル706合金
のESR溶解法において、凝固時の冷却速度を 1.5℃/m
in以上、望ましくは 2.5℃/min以上の条件で制御する
か、あるいは凝固組織のデンドライト2次アームスペー
シングを 200μm 以下、望ましくは 100μm 以下にする
ことにより、偏析のない均質な鋳塊を得ることができ
る。
【0025】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明のESR溶解法によれば、鋳塊サイズに関わらず、
冷却速度または凝固組織のデンドライト2次アームスペ
ーシングを制御することにより偏析のない鋳塊が得られ
るため、成分の均一な、高温強度に優れ、機械加工性の
良いインコネル706合金製品の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における冷却速度とDASとの関係を示
す図である。
【図2】実施例における冷却速度と欠陥率との関係を示
す図である。
【図3】実施例におけるDASと欠陥率との関係を示す
図である。
フロントページの続き (72)発明者 坂本 浩一 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 草道 龍彦 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4K001 AA42 BA23 FA01 GA14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 Ni:40.0〜43.0%、Cr:15.50
    〜16.50 %、 Nb:2.30〜3.20%、 Ti:1.50〜1.80%およ
    び残部がFeと不可避的不純物からなるインコネル706
    合金の鋳塊を製造するに際し、凝固時の冷却速度を 1.5
    ℃/min以上としたことを特徴とするESR溶解法による
    インコネル706合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記インコネル706合金のESR溶解
    法による鋳塊の凝固組織のデンドライト2次アームスペ
    ーシングが 200μm 以下であることを特徴とするインコ
    ネル706合金鋳塊。
JP27771598A 1998-09-30 1998-09-30 Esr溶解法によるインコネル706合金の製造方法 Pending JP2000102854A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043620A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Nippon Steel & Sumitomo Metal Ni基超合金の鋳塊の製造方法
CN107576679A (zh) * 2017-08-31 2018-01-12 辽宁科技大学 一种标定电渣重熔生产高速钢过程的电渣锭局部冷却速度的方法

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