JP2000102601A - 骨適合性チタン材料 - Google Patents

骨適合性チタン材料

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JP2000102601A
JP2000102601A JP10273590A JP27359098A JP2000102601A JP 2000102601 A JP2000102601 A JP 2000102601A JP 10273590 A JP10273590 A JP 10273590A JP 27359098 A JP27359098 A JP 27359098A JP 2000102601 A JP2000102601 A JP 2000102601A
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Takao Hanawa
隆夫 塙
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨組織形成が迅速で、しかも基材のチタンま
たはチタン合金との結合が強い表面層を持つものとす
る。 【解決手段】 チタンまたはチタン合金の表面にチタン
およびカルシウムを含有する非平衡酸化層を有する骨適
合性チタン材料とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、骨適合性
チタン材料とその製造方法に関するものである。さらに
詳しくは、この出願の発明は、人工骨、人工歯根等とし
て骨内に埋入された際に、その周囲に迅速に骨組織が形
成されて強い結合が可能とされる、新しい骨適合性チタ
ン材料とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、チタンまたはチタ
ン合金は、人工骨や人工歯根等として優れた金属材料で
あることが知られている。そして従来では、骨内への埋
入の際にすみやかに骨組織が形成されるように、チタン
またはチタン合金の表面にハイドロキシアパタイトの薄
膜を形成しておくことによって骨伝導性を向上させるこ
とが主として試みられてきている。
【0003】しかしながら、この従来のハイドロキシア
パタイト薄膜の場合には、基材としてのチタンまたはチ
タン合金材との界面が問題となっており、この界面の存
在によって破壊強度の点において充分に満足できる構造
となっていないという欠点があった。だが、これまでの
ところ、このようなハイドロキシアパタイト薄膜を表面
に有するチタンまたはチタン合金に代わるものとして、
骨組織の迅速な形成という骨伝導性に優れ、しかもチタ
ンまたはチタン合金との界面も問題となることのない結
合強度の優れた構造が見出されていないのも実情であっ
た。
【0004】そこで、この出願の発明は、以上のとおり
の従来技術の問題点を解消し、人工骨や人工歯根等の硬
組織に埋入される材料として有用な、埋入時のすみやか
な骨組織の形成と、優れた結合性を実現することのでき
る、新しい骨適合性のチタン材料を提供することを課題
としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、まず第1には、チタンま
たはチタン合金の表面にチタンおよびカルシウムを含有
する非平衡酸化層を有することを特徴とする骨適合性チ
タン材料を提供し、また、第2には、非平衡酸化層が多
層構造を有している骨適合性チタン材料も提供する。
【0006】そして、この出願の発明は、第3には、骨
適合性チタン材料の製造方法であって、チタン酸カルシ
ウムをターゲットもしくは蒸発源物質として、チタンま
たはチタン合金の表面に、チタンおよびカルシウムを含
有する非平衡酸化層を気相イオン蒸着することを特徴と
する骨適合性チタン材料の製造方法を提供する。さらに
この出願の発明は、前記の製造方法に関し、第4には、
不活性ガスイオンをアシスト照射して気相イオン蒸着す
る方法を、第5には、気相イオン蒸着後に不活性ガスイ
オンを照射する方法を、第6には、気相イオン蒸着前に
不活性ガスイオンをチタンまたはチタン合金の表面に照
射して表面清浄化を行う方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】この出願の発明は上記のとおりの
特徴を有するものであるが、以下にその実施の形態につ
いて説明する。まず、この発明の骨適合性材料の基材と
してのチタンまたはチタン合金は、従来より知られてい
るものをはじめ各種のチタンを主成分とする金属材であ
ってよい。この発明においてはこの基材の表面に酸化層
が配設されていることを必須としているが、このものは
次の要件を備えていなければならない。
【0008】<I>チタンおよびカルシウムを含有する
こと <II>非平衡酸化層であること 以上要件は、この発明においては、気相イオン蒸着とす
ることにより、さらに好ましくは、チタン酸カルシウ
ム、たとえばCaTiO3 等をターゲット物質、あるい
は蒸発源物質としてのスパッタ蒸着、イオンプレーティ
ング、イオンビーム蒸着等のイオン工学手段による蒸着
として実現されることになる。
【0009】チタンまたはチタン合金表面に、アルゴン
等の不活性ガスイオンをアシスト照射しながらCaTi
2 をスパッタ蒸着することや、CaTiO3 をスパッ
タ蒸着した後直ちにアルゴン等の不活性ガスイオンを注
入することで、チタン及びカルシウムを含有する組成の
傾斜した非平衡酸化層を形成する。これにより、比較的
低エネルギーの装置及び安定な出発原料を使用して、骨
伝導性に優れたチタンまたはチタン合金を得ることがで
きるようになる。
【0010】そして、この発明においては、表面酸化層
は、カルシウムとともにチタンを含有する傾斜組成を持
ち、基材としてのチタンまたはチタン合金とは明瞭な界
面を持たない極めて薄い組織となり、このため界面での
破壊を全く問題にする必要もないほど薄くて優れた骨伝
導性を有する表面層となる。形成される酸化物は、カル
シウム及びチタンを含有し、その組成は処理時間によっ
て異なることになる。表面は処理前と比較して水酸基が
多い。このような点を考慮して、骨適合性材料としての
用途に応じて、処理手法、処理条件を定めればよい。い
ずれの場合にも、無機イオンのみを含有するハンクス溶
液(疑似体液)に浸漬すると、未処理材料よりもリン酸
カルシウムの析出が速く、骨伝導性の向上していること
がわかる。
【0011】表面処理試料をリン酸緩衝液に浸漬すると
表面のカルシウム量が減少し、カルシウムイオンが表面
から微量に溶出するために、リン酸カルシウムの析出が
加速されたことがわかる。なお、イオン工学的手段とし
てのスパッタやイオンプレーティング、そしてアルゴン
等の不活性ガスイオンの照射によるイオンミキシング、
あるいはイオン注入、さらには事前のイオンクリーニン
グという処理は、従来公知の条件、装置等の各種手段と
して行うことができる。
【0012】また、これらイオン工学的手段の適用に際
しては、酸化層を形成するための酸素ガスを反応域に導
入してイオン化励起する手段を採用してもよいし、この
手段を補助的に採用してもよい。そこで以下に実施例を
示し、さらに詳しくこの発明について説明する。
【0013】
【実施例】研磨・洗浄したチタン上にCaTiO3 を1
000V、10mAの低エネルギーでスパッタ蒸着し
た。またスパッタ蒸着と同時に500V、0.1mA/
cm 2 のアルゴンイオンをアシスト照射して、CaTi
3 をミキシングした。いずれも処理前にアルゴンイオ
ン照射によって、チタン表面を清浄化した。
【0014】試料表面をX線光電子分光で分析したとこ
ろ、表1に示す結果が得られた。アルゴンアシストなし
のスパッタ蒸着では30分以上でカルシウムとチタンが
ほぼ等量含有されているのに対して、アシストした場合
はチタンよりもカルシウム量が少なく、組成は処理時間
で異なる。また、アシストしない場合よりも処理層は薄
い。表面水酸基量は未処理チタンよりも多かった。
【0015】60分アシストしながらスパッタ蒸着した
試料を、リン酸緩衝液に浸漬したときのカルシウム量の
変化を図1に示す。時間とともにカルシウムが減少して
おり、溶出していることが明らかである。図2は同一試
料をハンクス溶液に30日間浸漬したときのリン酸カル
シウム析出にともなうカルシウム及びリンの量の増加を
示している。処理を行うことでリン酸カルシウム析出が
加速されていることがわかる。
【0016】したがって、CaTiO3 をチタン表面に
アルゴンイオンをアシスト照射しながら低エネルギーで
スパッタ蒸着すると、カルシウム及びチタンを含有する
表面酸化層が形成され、疑似体液中でのリン酸カルシウ
ム析出が加速される。この一因として、酸化層中のカル
シウムが微量溶出すること及び表面水酸基量が多いため
に水溶液中での電荷サイトが多いことが挙げられる。
【0017】
【表1】
【0018】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、骨伝導性に優れた表面をチタンまたはチ
タン合金表面に形成でき、機械的性質に優れている金属
表面に骨形成能という一種の生体機能を付与できること
により、生体用金属材料の使用範囲を大きく広げること
ができる。
【0019】また、比較的低エネルギーでの表面処理で
あるので、比較的低価格の装置で処理が行える。また、
ターゲットのCaTiO3 が安定した物質であるので、
安価に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リン酸緩衝液浸漬によるカルシウム量の変化を
示した図である。
【図2】ハンクス溶液浸漬によるリン酸カルシウム析出
にともなうカルシウム及びリンの増加を示した図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月13日(1999.9.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、チタンまたはチタン合金
の表面にチタンおよびカルシウムを含有する非平衡酸化
層を有することを特徴とする骨適合性チタン材料の製造
方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】すなわち、この出願の発明は、前記骨適合
性チタン材料の製造方法であって、チタン酸カルシウム
をターゲットもしくは蒸発源物質として、チタンまたは
チタン合金の表面に、チタンおよびカルシウムを含有す
る非平衡酸化層を気相イオン蒸着することを特徴とする
骨適合性チタン材料の製造方法を提供する。そして、
の出願の発明は、前記の製造方法において、不活性ガス
イオンをアシスト照射して気相イオン蒸着することを、
さらには、気相イオン蒸着後に不活性ガスイオンを照射
することを特徴としている。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AB01 AB03 AB06 BA12 BB08 CF142 CF22 CG02 CG03 DA01 DC03 DC05 EA14 EA15 4C097 AA01 CC02 CC03 DD06 DD10 SC05 4K029 AA02 BA50 BD00 CA06 CA08 FA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンまたはチタン合金の表面にチタン
    およびカルシウムを含有する非平衡酸化層を有すること
    を特徴とする骨適合性チタン材料。
  2. 【請求項2】 非平衡酸化層が多層構造を有している請
    求項1の骨適合性チタン材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の骨適合性チタン材料
    の製造方法であって、チタン酸カルシウムをターゲット
    もしくは蒸発源物質として、チタンまたはチタン合金の
    表面に、チタンおよびカルシウムを含有する非平衡酸化
    層を気相イオン蒸着することを特徴とする骨適合性チタ
    ン材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 不活性ガスイオンをアシスト照射して気
    相イオン蒸着する請求項3の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4の製造方法において、
    気相イオン蒸着後に不活性ガスイオンを照射する骨適合
    性チタン材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3ないし5のいずれかの製造方法
    において、気相イオン蒸着前に不活性ガスイオンをチタ
    ンまたはチタン合金の表面に照射して表面清浄化を行う
    骨適合性チタン材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008538515A (ja) * 2005-03-21 2008-10-30 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア マイクロ構造表面上における制御可能なナノ構造化
WO2009147819A1 (ja) 2008-06-03 2009-12-10 学校法人中部大学 骨修復材料及びその製造方法

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