JP2000095599A - 半導体結晶の作製方法 - Google Patents

半導体結晶の作製方法

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JP2000095599A
JP2000095599A JP10264741A JP26474198A JP2000095599A JP 2000095599 A JP2000095599 A JP 2000095599A JP 10264741 A JP10264741 A JP 10264741A JP 26474198 A JP26474198 A JP 26474198A JP 2000095599 A JP2000095599 A JP 2000095599A
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Kenji Maruyama
研二 丸山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転位の少ない良質のZnSe単結晶又はZn
Se系混晶単結晶を比較的短時間で製造することができ
る半導体単結晶の作製方法を提供する。 【解決手段】 石英ガラスからなる容器11内に、Te
又はSe等を主成分とする被覆層で覆われた原料部材
(ZnSe化合物)14と、種結晶16とを密封してな
るアンプル10を用意する。アンプル10の全体を50
0℃に加熱すると被覆層が溶融し、原料部材14は溶液
15aで覆われる。誘導加熱ヒータ24により原料部材
14の下端部及びその近傍の溶液を1050℃に加熱
し、アンプル10を下方に移動させる。これにより、種
結晶16上にZnSe系単結晶が成長する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ZnSe単結晶及
びZnSe系混晶単結晶(以下、「ZnSe系単結晶」
ともいう)の製造方法に関し、特に青色発光ダイオード
素子及び半導体レーザーダイオード素子などの光半導体
素子を製造する際にエピタキシャル成長用基板として用
いるZnSe系単結晶の製造に好適な半導体結晶の作製
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化合物半導体材料を用いた発光ダイオー
ドや半導体レーザーダイオードが開発され、DVD(Di
gital Versatile Disc)装置やその他の装置に使用され
ている。DVD装置等の光記憶装置では、光の波長が短
いほど高密度の記録が可能である。現在、DVD装置に
は波長が630〜670nmの光を出力する赤色半導体
レーザーダイオードが使用されているが、より波長が短
い青色半導体レーザーダイオードの実用化が要望されて
いる。
【0003】青色半導体レーザーダイオードから出力さ
れる光の波長は400〜520nmであり、赤色半導体
レーザーダイオードから出力される光の波長の約60〜
70%である。このため、赤色半導体レーザーダイオー
ドに替えて青色半導体レーザーダイオードを使うと、光
記憶装置の記憶容量を2倍から3倍程度大きくすること
ができる。例えば、現行のDVDの片面記録容量は約5
Gバイトであるが、青色半導体レーザーダイオードを使
うと約15Gバイトとすることができる。
【0004】青色系発光素子の製造には、青色光のエネ
ルギーに対応したバンドギャップを持つ半導体、いわゆ
るワイドギャップ半導体が使用される。ワイドギャップ
半導体の中では、ZnSe(Zinc Selenide :セレン化
亜鉛)系半導体とGaN(Galium Nitride:窒化ガリウ
ム)系半導体が有望視されている。しかし、いずれの材
料も、デバイス作製に必要なエピタキシャル成長用基板
を工業的に安価に製造する方法が確立されていない。
【0005】従来は、ZnSe又はGaNをエピタキシ
ャル成長させる場合に、格子定数が近い他の材料からな
る基板を使用している。例えば、ZnSe系半導体のエ
ピタキシャル成長にはGaAs基板が使用され、GaN
系半導体のエピタキシャル成長にはサファイア基板が使
用されている。しかしながら、GaAs基板を用いたZ
nSe半導体レーザーダイオードでは、格子不整合に起
因して転位が発生し、レーザーダイオードの性能劣化の
原因となることが報告されている(S. Tomiya et al.,
Appl. Phys. Lett. 66, 1208(1995))。GaAs基板の
格子定数は5.654Å、ZnSe結晶の格子定数は
5.668Åであり、格子定数の差は小さいものの0.
25%の不整合がある。また、GaAs基板とZnSe
結晶とは熱膨張係数も異なる。このため、ZnSeエピ
タキシャル成長層に歪みが残り、転位などの欠陥が発生
してレーザーダイオードの特性が劣化する原因となる。
【0006】ZnSe系単結晶をエピタキシャル成長さ
せる場合に転位の発生を防ぐためには、低転位のZnS
e基板や格子定数がZnSe単結晶の格子定数に近く、
低転位のZnSe系基板を開発することが重要である。
低転位の基板を用いることにより、レーザーダイオード
の活性領域となるエピタキシャル成長層の転位を低減す
ることができ、長寿命のレーザーダイオードを実現する
ことができる。
【0007】ZnSe単結晶、あるいはZnSe系単結
晶の製造方法として、ブリッジマン法などの高温かつ高
圧条件下で結晶を成長させる融液成長法が知られてい
る。しかし、融液成長法では低転位のZnSe単結晶を
作製することは困難である。なぜならば、ZnSeは融
点が1526℃であり、高温相の六方晶から低温相の立
方晶への相転移温度が1420℃であるので、ブリッジ
マン法などの融液成長法では冷却時に相転移を生じ、相
転移に起因する双晶欠陥等が発生して、良質の単結晶を
得ることができない(例えば、Michael S., Journal of
Crystal Growth.86. 132(1988))。
【0008】相転移に伴う双晶欠陥等の発生を避けるた
めに、ZnSeの相転移温度である1420℃以下の温
度で結晶成長を行えば、安定な立方晶を成長させること
ができると考えられる。そこで、1420℃以下で成長
可能な化学気相成長法(特開平1−264990号公
報)、物理気相成長法(G. Cantwell et al., Jounal o
f Applied Physics 71. 2931(1992))などの気相成長法
や、固相で結晶粒成長を行う固相成長法(特許番号第2
585629号)が提案されている。
【0009】しかし、気相成長法では、例えば成長速度
が0.35mm/日と遅い(藤原ら、1997年秋期、第5
8回応用物理学会学術講演会講演予稿集 第一分冊、P.
275)ため、生産性が悪い。また、固相成長法は多結晶
の結晶粒を成長させ単結晶化させる方法であるが、この
方法では得られる単結晶粒のサイズや方位は全くランダ
ムである。従って、面方位を制御した大きな単結晶を製
造することは難しく、量産に適した方法とは言えない。
【0010】ZnSeの相転移温度である1420℃以
下で結晶成長を行う方法として、例えば、特開平2−1
29099号公報には、ZnとSeの原料比率を意図的
に1:1からずらすことにより、結晶の析出開始温度を
前記の相転移温度以下としてZnSe単結晶を成長させ
る方法が記載されている。この方法は、Se含有量が5
7.5〜92.5mol %、残部がZnからなる融液を形
成し、この融液を冷却してZnSe単結晶を成長させる
ものである。
【0011】このように、Seリッチの原料組成の場
合、ZnSeの相転移温度である1420℃よりも低い
温度でZnSe単結晶を析出させることができるが、単
結晶の成長にともなって融液の組成が変わり、単結晶の
成長速度が次第に遅くなる。従って、特開平2−129
099号公報に記載された方法では結晶の成長に長時間
を要し、生産性が十分とはいえない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、Ga
As基板上にZnSeをエピタキシャル成長させると格
子定数の不整合に起因して転位などの欠陥が発生する。
融液成長法では、冷却時に生じる相転移に起因して双晶
欠陥等が発生する。気相成長法では成長速度が極めて遅
く、固相成長法では大きな単結晶を形成することが困難
である。また、ZnとSeとの原料比率を1:1からず
らす方法では、生産性が十分でない。
【0013】本発明は、転位の少ない良質のZnSe単
結晶又はZnSe混晶単結晶を比較的短時間で製造する
ことができる半導体単結晶の作製方法を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記した課題は、図3に
例示するように、原料部材14を溶液15aで覆い、前
記原料部材14及び溶液15aを加熱して前記原料部材
14の原料成分を前記溶液15a中に溶解させ、前記溶
液15a中に溶解した前記原料成分を析出させて単結晶
を成長させることを特徴とする半導体結晶の作製方法に
より解決する。
【0015】上記した課題は、図2〜図4に例示するよ
うに、ZnSe化合物を主成分とする原料部材14の周
囲をZn(亜鉛)、Se(セレン)、Be(ベリリウ
ム)及びTe(テルル)からなる群から選択された少な
くとも1種の元素を主成分とする被覆層15で被覆して
容器11内に密封し、前記被覆層15を加熱し溶融させ
て前記原料部材14を溶液15aで覆い、前記原料部材
14を更に局所的に加熱して前記原料部材14の原料成
分を前記溶液15a中に溶解させ、該溶液15a中に溶
解した前記原料成分を析出させてZnSe系単結晶17
を成長させることを特徴とする半導体結晶の作製方法に
より解決する。
【0016】この場合、前記原料部材14を加熱する温
度は1420℃以下とすることが好ましい。また、前記
容器11内には、ZnSe系単結晶からなる種結晶16
を入れておくことが好ましい。Teを主成分とする材料
で前記被覆層15を形成した場合は、種結晶16を原料
部材14よりも下側に配置する。Seを主成分とする材
料で前記被覆層15を形成した場合は、種結晶16を原
料部材14よりも上側に配置する。
【0017】更に、前記原料部材14の形状を、前記容
器11の内壁と相似形とすることが好ましい。更にま
た、前記原料部材14又は前記被覆層15中に、0.0
01at%〜10.0at%のBeを含有したり、I
族、III 族、V族又はVII族の元素を含有させてもよ
い。以下、作用について説明する。
【0018】本発明においては、原料部材を溶液で覆
い、原料部材を加熱して原料部材の原料成分を溶液中に
溶解させる一方、溶液中に溶解した原料成分を析出させ
て単結晶を成長させる。ZnSe化合物を原料としてZ
nSe系単結晶を作製する場合、1420℃以上の温度
で結晶を作製すると、冷却時に相転移を生じるので良質
の単結晶を作製することができない。しかし、原料部材
を溶液で覆うことにより、1420℃以下の温度でも原
料部材から溶液中に原料成分が溶解し、溶解した原料成
分は溶液中を拡散して温度の低い部分で析出する。本発
明においては、このように原料部材を溶液で覆って溶液
中に原料成分を溶解し、その一方、溶液に溶解した原料
成分を析出させて単結晶を成長させるので、相転移のな
い状態を保つことができるため、良質な単結晶を得るこ
とができる。この場合、原料部材から溶液中に常に原料
成分が供給されるので、単結晶の成長にともなう溶液の
組成の変化がなく、成長速度の低下が回避される。従っ
て、比較的短時間で大型の単結晶を作製することができ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、添付の図面を参照して説明する。図1は本発明の実
施の形態のZnSe系単結晶作製方法において使用する
アンプルの一例を示す断面図である。アンプル10は、
容器11と該容器11内に密封された原料部材14、被
覆層15及び種結晶16により構成される。容器11
は、例えば石英ガラス等の耐熱性を有する材料からな
り、下部はロート状に形成され、下部から上側の部分は
円筒状に形成されている。容器11の内側下端部にはZ
nSe単結晶、あるいはZnSe系単結晶からなる種結
晶16が配置される。種結晶16の上には、被覆層15
により周囲が被覆された原料部材14が配置される。本
実施の形態では、被覆層15はTeのみからなり、原料
部材14はZnSe化合物からなるとする。また、本実
施の形態では、原料部材14は円柱状の形状であり、原
料部材14と種結晶16との間にはTe(被覆層25)
が充填される。
【0020】容器11の上部は、例えば石英ガラスから
なるプラグ12により密閉される。このプラグ12の下
側中央には凸部12aが設けられており、この凸部12
aにより原料部材14を上側から押さえるようになって
いる。また、この凸部12aのためにプラグ12の下側
にはリング状の空間13が形成される。本実施の形態に
おいては、空間13内は真空となっているが、空間内1
3にAr又はN2 などの不活性ガスを充填してもよい。
【0021】図2は本実施の形態のZnSe系単結晶作
製方法において使用する単結晶作製装置を示す模式図で
ある。この単結晶作製装置は筒状の空間を有する縦型加
熱炉であり、その筒状の空間内にアンプル10を配置す
るようになっている。アンプル10は支持部材(図示せ
ず)により支持され、該支持部材により炉内の空間を上
下方向に移動する。
【0022】単結晶作製装置は、抵抗加熱ヒータ21と
誘導加熱ヒータ24との2つの加熱手段を有している。
抵抗加熱ヒータ21は電力が供給されると炉内の空間を
ほぼ均一の温度に加熱する。一方、誘導加熱ヒータ24
は、誘導コイル22と誘導加熱部23とにより構成さ
れ、誘導コイル22に高周波電流を供給すると誘導加熱
部23に誘導電流が流れて発熱し、誘導加熱部23の近
傍を抵抗加熱ヒータ21よりも高い温度で局所的に加熱
する。
【0023】単結晶作製装置には、炉内の空間にAr又
はN2 等のガスを供給するガス供給装置(図示せず)と
が設けられている。ガス供給装置から供給されるガスに
より、グラファイトからなる誘導加熱部23が高温に曝
されても損傷を受けることが防止される。以下、上述の
アンプル10及び単結晶作製装置を使用したZnSe系
単結晶の作製方法について説明する。
【0024】まず、図2に示すように、アンプル10を
単結晶作製装置の内部空間に配置する。このとき、原料
部材14が誘導加熱部23よりも若干上側に位置するよ
うにする。次に、抵抗加熱ヒータ21に通電してアンプ
ル10の全体を500℃に加熱する。ZnSe化合物の
融点は前述したように1526℃であるので、種結晶1
6及び原料部材14は固体のままであるが、Teの融点
は450℃であるので、図3に示すように、被覆層15
は溶融して溶液15aとなる。また、Teの比重は6.
24、ZnSeの比重は5.4であるので、原料部材1
4は浮力により上側に移動しようとするが、プラグ12
の凸部12aにより原料部材14の上部が押さえられる
ので、原料部材14が浮き上がることはなく、原料部材
14の周囲はTeの溶液15aに被覆される。
【0025】次に、誘導コイル22に高周波電流を供給
して誘導加熱部23を発熱させる。このとき、誘導加熱
部23による加熱温度は、ZnSe結晶の六方晶と立方
晶との相転移点の温度(1420℃)よりも低い温度、
例えば1050℃とする。原料部材14の下端部及びそ
の近傍の溶液15aを1050℃に加熱すると、原料部
材14から溶液15a中にZn及びSeが溶解(拡散)
する。
【0026】図5は、横軸に温度(1000/T及び
℃)をとり、縦軸にZnSeの溶解度をとって、Se溶
液及びTe溶液に対するZnSeの溶解度を示す図であ
る。この図5に示すように、1050℃の温度では、S
e溶液に対するZnSeの溶解度は0.76%であり、
Te溶液に対するZnSeの溶解度は11%である。図
3に示すように原料部材14の下端部及びその近傍の溶
液15aを1050℃に加熱すると、原料部材14から
溶液15aにZnSeが溶解する。
【0027】次いで、アンプル10を徐々に下方(図3
の矢印で示す方向)に移動させる。そうすると、溶液1
5aに溶解したZn及びSeは、温度が比較的低い種結
晶16側に移動し、種結晶16の表面でTeが0.00
1at%乃至10.0at%混入したZnSe系混晶結
晶(ZnSe系結晶)となって析出する。アンプル10
の下方への移動にともなって、図4に示すように原料部
材14の下端部からZn及びSeが溶液15a中に溶解
し、一方、種結晶16の上にZnSe系混晶単結晶17
が成長していく。このようにして、転位が少なく、面方
位が制御された良質のZnSe系混晶単結晶を作製する
ことができる。
【0028】本実施の形態においては、図3に示したよ
うに、ZnSe化合物からなる原料部材14の全面をT
e溶液15aで被覆するので、原料部材14中の蒸気圧
の高い元素の解離を防ぐことができる。仮に、原料部材
14の周囲が溶液15aで覆われていないとすると、S
eの1050℃における蒸気圧は17.8atm と高いの
で、原料部材14から空間中にSeが離脱してしまう。
しかし、本実施の形態のように原料部材14の全面をT
e溶液15aで覆うと、原料部材14から溶液15a中
に溶解したSeは溶液15a中を拡散する。アンプル1
0が移動しないとすると溶液15a中に溶解したSeは
高温部に集中し、原料部材14からのSeの解離が抑制
される。このときの圧力はTeの蒸気圧により決まり、
0.61atm と小さくなる。
【0029】また、本実施の形態においては、原料部材
14の全面をTe溶液15aで覆っているため低温部か
らの蒸気圧の高い元素の解離を防ぐこともできる。すな
わち、原料部材14全体は抵抗加熱ヒータ11により5
00℃に加熱される。ZnSe化合物が溶液15aに覆
われていないとすると、Seの500℃における蒸気圧
は0.01atm であり原料部材14からSeが解離す
る。しかし、本実施の形態では、原料部材14の周囲が
Te溶液15aに覆われているため、SeはTe溶液1
5aに溶解し、溶液15a中を移動する。500℃のと
きのSeのTe溶液15aに対する溶解度は0.009
6%であり、1050℃のときの溶解度の1000分の
1以下と極めて小さいため、実質的に無視することがで
きる。
【0030】上記の実施の形態の方法について、結晶成
長速度の上限は以下のように見積もることができる。組
成的過冷却を生じさせない成長速度は、下記(1)式で
表わされる。 R<D2 ・G/(C1 ・m) …(1) ここで、Rは結晶成長速度、D2 は溶液中の溶質の拡散
係数、Gは温度勾配、C1 は原料中の溶質濃度、mは液
相線の勾配である。
【0031】Te溶液を用いた場合、D2 、G、C1
びmの値は例えば下記(2)〜(5)に示す値となる。 D2 =4.2×10-82 /s …(2) G =6.7×103 K/m …(3) C1 =0.5 …(4) m =9.0×102 K …(5) (2)〜(5)の値を(1)に代入すると、 R<54mm/日 となる。すなわち、本実施の形態の方法によれば、最大
54mm/日の結晶成長速度が得られる。
【0032】本実施の形態においては、上述したよう
に、原料部材14の周囲をTe溶液15aで覆い、原料
部材14の下端部及びその近傍の溶液15aをZnSe
の六方晶と立方晶との相転移温度(1420℃)よりも
低い温度(1050℃)に加熱し、原料部材14から溶
液15a中にZn及びSeを溶解させて種結晶16上に
ZnSe系混晶単結晶17を成長させる。溶液15a中
には原料部材14からZn及びSeが溶解し、溶液15
a中のZn及びSe濃度はほぼ一定に維持される。従っ
て、単結晶の成長にともなって結晶の成長速度が遅くな
るということはなく、大型のZnSe系混晶単結晶を工
業生産上問題ない速度で製造することができる。
【0033】また、温度の変動等により溶液15a中で
微小な結晶が発生し、それが種結晶16上に成長してい
る単結晶中に取り込まれて単結晶に欠陥が発生すること
が考えられるが、本実施の形態においては、種結晶16
を容器11の下側に配置しているので、溶液15a中に
ZnSeの微小な結晶が発生すると、その結晶は浮力に
より溶液15aの上側に移動する。このため、成長中の
ZnSe系混晶単結晶17に微小な結晶が取り込まれて
欠陥の原因となることが防止され、良質な単結晶が得ら
れる。
【0034】なお、上記の実施の形態でおいては、原料
部材14がZnSe化合物からなるとしたが、本発明は
これに限定されるものではなく、原料部材14中にBe
又はTe等を含有してもよい。また、被覆層15はTe
からなるとしたが、Te、Se、Zn及びBeのうちの
いずれか1種又は2種以上の元素を主成分として被覆層
15を形成してもよい。原料部材14又は被覆層15に
Be又はTeを添加することにより、Be又はTeを含
有する混晶単結晶が得られる。あるいは、原料部材14
又は被覆層15にBe及びTeの両方を添加することに
より、Be及びTeを含有する混晶単結晶が得られる。
結晶中にBe元素及び/又はTe元素を含有させること
によって、イオン度を下げることができ、その結果、双
晶の発生が抑制され、結晶欠陥の発生をより一層減少す
ることができる。
【0035】図6は横軸にBeの含有量X(但し、0≦
X≦1)をとり、縦軸にイオン度f 1 をとって、Bex
Zn1-X Se混晶のイオン度を計算した結果を示す図で
ある。また、図7は横軸にTeの含有量X(但し、0≦
X≦1)をとり、縦軸にイオン度f1 をとって、ZnS
1-X TeX 混晶のイオン度を計算した結果を示す図で
ある。ZnSeのイオン度は0.63(J. C. Phillip
s, Bonds and Bands inSemiconductors, 1973 Academic
Press, New York)であるが、これらの図6,図7に示
すように、結晶中にBe又はTeを含有させることによ
りイオン度を下げることできる。
【0036】また、結晶中にBe元素とTe元素を含有
させることによって、格子定数とバンドギャップを変え
ることもできる。図8に、Be、Zn、Se及びTeか
らなる四元混晶の格子定数とバンドギャップとの関係を
示す。この図8に示すようにBe、Zn、Se及びTe
からなる四元混晶の場合、各元素の割合を調整すること
により、格子定数を5.14Å〜6.10Åの範囲で変
化させることができる。また、Beの含有量を0.00
1at%〜10.0at%の範囲で調整することによ
り、格子定数をZnSe単結晶の格子定数と同じ値
(5.668Å)に保ちながら、バンドギャップを2.
7eV〜3.5eVの範囲で調整することができる。
【0037】また、原料部材14又は被覆層15には、
作製するZnSe系単結晶の電気的性質(導電型)を制
御するために、I族、III 族、V族又はVII族の元素、
例えばLi(リチウム)、Ga(ガリウム)、N(窒
素)、Cl(塩素)、Br(臭素)又はI(ヨウ素)を
少量含有していてもよい。更に、上記の実施の形態で
は、アンプル10を移動することにより誘導加熱ヒータ
24で局所的に加熱する領域を一方向に移動したが、ア
ンプル10の位置を固定し、誘導加熱ヒータ24又は加
熱炉全体を一方向に移動させてもよい。また、アンプル
10と誘導加熱ヒータ24又は加熱炉全体の両方を移動
させることにより、局所加熱領域を移動させてもよい。
【0038】また、上記の実施の形態ではアンプル10
の全体を均一に加熱するヒータとして抵抗加熱方式のヒ
ータを使用し、アンプル10の一部を局所的に加熱する
ヒータとして誘導加熱方式のヒータを使用したが、これ
らのヒータの構成は上記実施の形態に限定されるもので
はない。例えば、アンプル10の全体を加熱するヒータ
を誘導加熱方式のヒータにより構成し、アンプル10の
一部を局所的に加熱するヒータを抵抗加熱方式のヒータ
により構成してもよい。また、アンプル10の全体を加
熱するヒータ及びアンプル10の一部を局所的に加熱す
るヒータをいずれも独立に加熱温度を制御できる抵抗加
熱方式のヒータで構成してもよく、あるいはこれらのヒ
ータをいずれも独立に加熱温度を制御できる誘導加熱方
式のヒータで構成してもよい。更に、これらのヒータ
を、抵抗加熱及び誘導加熱方式以外の方式のヒータによ
り構成してもよい。
【0039】(アンプルの例2)図9はアンプルの例2
を示す断面図である。アンプル30aの容器31は、図
1に示すアンプル10の容器11と同様に、石英ガラス
等の耐熱性を有する材料からなり、下部がロート状に形
成され、下部よりも上の部分が円筒状に形成されてい
る。容器31の内側下端部にはZnSe単結晶又はZn
Se系混晶単結晶からなる種結晶36が配置される。種
結晶36の上には、被覆層35により周囲が被覆された
原料部材34が配置される。原料部材34の形状は、容
器31の内壁とほぼ相似形となっている。
【0040】容器31の上部は、石英ガラス等の耐熱性
を有する材料からなるプラグ32により密閉される。こ
のプラグ32の下側中央には凸部32aが設けられてお
り、この凸部32aにより原料部材34を上側から押さ
えるようになっている。また、この凸部32aのため
に、プラグ32の下側にはリング状の空間33が形成さ
れる。
【0041】原料部材34は、ZnSe化合物、又はZ
nSe化合物を主成分としてBe又はTe等の元素を含
有する材料により形成されている。また、被覆層35
は、Te、Se、Zn及びBeのいずれか1種の金属若
しくは2種以上の合金、又はこれらの金属若しくは合金
にI族、III 族、V族又はVII族の元素等を含有した金
属により形成されている。
【0042】図1に示す構造のアンプル10の場合、容
器11の下部がロート状に形成されているのに対し原料
部材14が円柱状であるので、単結晶の成長初期段階に
おいて、種結晶16上に成長した単結晶と原料部材14
との間の溶液層の層厚が変化する。これに対し、図9に
示す構造のアンプル30aでは、原料部材34の下部が
容器31の壁面と相似形になっているので、単結晶の成
長初期段階においても、種結晶36上に成長した単結晶
と原料部材との間の溶液層の層厚が殆ど変化しない。従
って、図9に示すアンプル構造とすることにより、原料
部材からの元素の拡散距離が変化しないため、単結晶の
成長初期段階における成長条件が図1に示すアンプル構
造よりも安定するという利点がある。
【0043】(アンプルの例3)図10はアンプルの例
3を示す断面図である。図10において、図9と同一物
には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。図
10に示すアンプル30bの容器31bは、下部が円錐
形に形成されており、下部よりも上の部分が円筒状に形
成されている。そして、種結晶36aは、容器31bの
下端部に配置されている。
【0044】容器31bの下端部の形状を図10に示す
ように円錐状とした場合、種結晶36aを用いて種結晶
36aの上に単結晶を成長させることができるのは勿論
であるが、種結晶36aを使用しない場合でも良質の単
結晶を作製することができる。すなわち、初期段階で最
も低い温度となる容器31bの最下部から結晶が自然発
生して種結晶36aを形成し、その自然発生した種結晶
36aを核として単結晶が成長する。
【0045】(アンプルの例4)図11はアンプルの例
4を示す断面図である。図11において、図9と同一物
には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。こ
の図11に示すアンプル30cでは、第1の原料部材3
4aの中心軸に沿って、第2の原料部材34bが配置さ
れている。第2の原料部材34bは、第1の原料部材3
4aと組成が異なる材料により形成されている。第1の
原料部材34aは例えばZnSe化合物からなり、第2
の原料部材34bは例えばZnSe化合物を主成分と
し、Be又はTe等の元素を含有した材料からなる。
【0046】結晶成長時には、溶液中に第1の原料部材
34a及び第2の原料部材34bから各原料成分が溶解
して、種結晶36の上に所定の組成の単結晶を成長させ
ることができる。(アンプルの例5)図12はアンプル
の例5を示す断面図である。
【0047】図12に示すアンプル40では、容器40
は石英ガラス等の耐熱性を有する材料からなり、上部は
逆ロート状に形成され、上部から下側の部分は円筒状に
形成されている。また、容器40の下端部は、石英ガラ
ス等からなるプラグ41により密閉されている。このプ
ラグ41には突起41aが設けられている。容器40の
内側には、被覆層45により周囲が被覆された原料部材
44が配置されている。また、容器40の上端部には種
結晶46が配置され、種結晶46の下端部は被覆層45
に若干埋まっている。また、被覆層45の上には、真空
又は不活性ガスが充填された空間43が設けられてい
る。
【0048】原料部材44は、ZnSe化合物、又はZ
nSe化合物を主成分としてBe又はTe等の元素を含
有する材料により形成されている。被覆層45は、Se
を主成分とする材料により形成されている。ZnSeの
比重は前述したように5.4であるのに対し、Seの比
重は4.8と軽いので、被覆層45を溶融すると、原料
部材44は下側に移動しようとする。このため、このア
ンプル40ではプラグ41の凸部41aにより原料部材
4を支持し、原料部材が移動しないようにしている。単
結晶は種結晶46の下側に成長する。温度の変動等の不
安定な条件のときに溶液中に自然発生したZnSe結晶
は、重力により下側に移動し、種結晶の下に成長する単
結晶に取り込まれることがない。これにより、良質な単
結晶が得られる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
原料部材を溶液で覆い、原料部材中の元素を溶液中に溶
解させる一方で、溶液中に溶解した元素を析出させて単
結晶を成長させるので、相転移による双晶欠陥等の発生
が回避され、良質な単結晶を作製することができる。ま
た、原料部材から溶液中に原料が溶解し、溶液の組成が
一定に維持されるので、結晶の成長速度が低下すること
なく、工業生産上問題ない成長速度で単結晶を作製する
ことができる。
【0050】特に、本発明はZnSe系単結晶の作製に
有用であり、青色発光素子の実用化に多大の貢献をな
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態のZnSe系単結晶
作製方法において使用するアンプルの一例を示す断面図
である。
【図2】図2は実施の形態のZnSe系単結晶作製方法
において使用する単結晶作製装置を示す模式図である。
【図3】図3は実施の形態のZnSe系単結晶作製方法
を示す模式図であり、図2に示す工程の次の工程を示す
図である。
【図4】図4は実施の形態のZnSe系単結晶作製方法
を示す模式図であり、図3に示す工程の次の工程を示す
図である。
【図5】図5はSe溶液及びTe溶液に対するZnSe
の溶解度を示す図である。
【図6】図6はBex Zn1-X Se混晶のイオン度を計
算した結果を示す図である。
【図7】図7はZnSe1-X TeX 混晶のイオン度を計
算した結果を示す図である。
【図8】図8は、Be、Zn、Se及びTeからなる四
元混晶の格子定数とバンドギャップとの関係を示す図で
ある。
【図9】図9はアンプルの例2を示す断面図である。
【図10】図10はアンプルの例3を示す断面図であ
る。
【図11】図11はアンプルの例4を示す断面図であ
る。
【図12】図12はアンプルの例5を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10,30a,30b,30c,40 アンプル、 11,31,31b,41 容器、 12,32,42 プラグ、 14,34,44 原料部材、 15,35,45 被覆層、 15a 溶液 16,36,36a,46 種結晶、 17 単結晶、 21 抵抗加熱ヒータ、 22 誘導コイル、 23 誘導加熱部、 24 誘導加熱ヒータ、 34a 第1の原料部材、 34b 第2の原料部材。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料部材を溶液で覆い、前記原料部材を
    加熱して前記原料部材の原料成分を前記溶液中に溶解さ
    せ、前記溶液中に溶解した前記原料成分を析出させて単
    結晶を成長させることを特徴とする半導体結晶の作製方
    法。
  2. 【請求項2】 ZnSe化合物を主成分とする原料部材
    の周囲をZn、Se、Be及びTeからなる群から選択
    された少なくとも1種の元素を主成分とする被覆層で被
    覆して容器内に密封し、 前記被覆層を加熱し溶融させて前記原料部材を溶液で覆
    い、 前記原料部材を更に局所的に加熱して前記原料部材の原
    料成分を前記溶液中に溶解させ、該溶液中に溶解した前
    記原料成分を析出させてZnSe系混晶単結晶を成長さ
    せることを特徴とする半導体結晶の作製方法。
  3. 【請求項3】 前記原料部材を局所的に加熱する温度を
    1420℃以下とすることを特徴とする請求項2に記載
    の半導体結晶の作製方法。
  4. 【請求項4】 前記原料部材又は前記被覆層は、0.0
    01at%乃至10.0at%のBeを含有し、残部が
    Se、Te及びZnからなることを特徴とする請求項2
    に記載の半導体結晶の作製方法。
  5. 【請求項5】 前記原料部材の形状を、前記容器の内壁
    とほぼ相似形にすることを特徴とする請求項2に記載の
    半導体結晶の作製方法。
  6. 【請求項6】 前記原料部材又は前記被覆層中に、I
    族、III 族、V族及びVII族の元素のうちの少なくとも
    1種以上の元素を含有することを特徴とする請求項2に
    記載の半導体結晶の作製方法。
  7. 【請求項7】 前記容器内に、前記被覆層で被覆した原
    料部材とともにZnSe系単結晶からなる種結晶を密封
    することを特徴とする請求項2に記載の半導体結晶の作
    製方法。
  8. 【請求項8】 Teを主成分とする材料で前記被覆層を
    形成し、前記種結晶を前記原料部材よりも下側に配置す
    ることを特徴とする請求項7に記載の半導体結晶の作製
    方法。
  9. 【請求項9】 Seを主成分とする材料で前記被覆層を
    形成し、前記種結晶を前記原料部材よりも上側に配置す
    ることを特徴とする請求項7に記載の半導体結晶の作製
    方法。
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