JP2000095592A - ガス発生剤成型体 - Google Patents

ガス発生剤成型体

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JP2000095592A
JP2000095592A JP10264070A JP26407098A JP2000095592A JP 2000095592 A JP2000095592 A JP 2000095592A JP 10264070 A JP10264070 A JP 10264070A JP 26407098 A JP26407098 A JP 26407098A JP 2000095592 A JP2000095592 A JP 2000095592A
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gas generating
gas
tank
kpa
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Hiroshi Yamato
洋 大和
Takeshi Takabori
健 高堀
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C06EXPLOSIVES; MATCHES
    • C06DMEANS FOR GENERATING SMOKE OR MIST; GAS-ATTACK COMPOSITIONS; GENERATION OF GAS FOR BLASTING OR PROPULSION (CHEMICAL PART)
    • C06D5/00Generation of pressure gas, e.g. for blasting cartridges, starting cartridges, rockets
    • C06D5/06Generation of pressure gas, e.g. for blasting cartridges, starting cartridges, rockets by reaction of two or more solids

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  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Air Bags (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】初期の膨張速度を従来よりもより穏やかにし、
初期のバッグ膨張の勢いによる加害性をなくすと共に、
30〜50msec後には十分な乗員拘束能を保持できる程
度にバッグを膨張させるエアバッグ用に適したガス発生
剤成型体を得る。 【解決手段】 ガス発生剤成型体の内部にクラックを形
成させることにより、燃焼初期には成型体の外表面から
燃焼が緩やかに進行し、燃焼がクラックに到達した後
は、成型体の内部から急激に燃焼する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス発生挙動が改
善されたガス発生剤成型体及びその成型体を用いたエア
バッグ用ガス発生器システムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車
等に装填されるエアバッグシステムに用いるガス発生剤
に対しては、バッグ膨張時間が非常に短時間(通常40
〜50msec以内)であること、燃焼後のガスが人体に対
して無害であること等の非常に厳しい要求がなされてい
る。従来、ガス発生挙動及びバッグ膨脹挙動について
は、特に運転席(以下「D席(ドライバー席)」と略記
する)側では乗員の着座位置が比較的固定化されるた
め、これまでの膨脹挙動性能で十分安全であると信じら
れてきた。しかし、エアバッグシステムが広く利用され
標準装備に近付くにつれ、D席側といえども座高の高い
人又は低い人、ハンドルにしがみついた形で運転する人
等、使用時の状態は百人百様であり、また助手席等の乗
客席(以下「P席(パッセンジャー席)」と略記する)
側についても、子供等を乗車させる場合等、種々の形態
があるので、これらを考慮したより安全なエアバッグシ
ステムの技術開発が望まれるようになってきた。
【0003】例えば、より安全なエアバッグシステムと
するため、D席側ではガス発生開始から10msecの間の
膨脹速度を従来よりもより緩やかにし、初期のバッグ膨
脹の勢いによる加害性をなくすと共に、30〜70msec
後においては十分な乗員拘束能を保持するような技術が
望まれるようになってきており、またP席側においても
同様にガス発生挙動を制御する技術が望まれている。
【0004】このような技術として、特開平8−207
696号公報においては二段階でガスを発生させること
により、作動当初の段階で比較的ゆっくりバッグを膨脹
させ、二段目で迅速なガス発生を行う技術を開示してい
る。一般にこのようなシステムはデュアルアウトプット
システム又はスマートエアバッグシステム等と呼ばれ、
乗員への加害性を低減するシステムとして注目をされて
いる。しかし、この種の技術では二つの着火機構が必要
となるため、高価な電気雷管等が二つ必要となりコスト
高の要因となるし、さらにガス発生器内の構造が複雑と
なり容器の大きさが大きくなるという問題点がある。
【0005】本発明は、ガス発生剤成型体単独でガス発
生挙動を制御し、その結果としてエアバッグの膨脹速度
を制御することができるガス発生剤成型体を提供するこ
とを目的とする。また本発明は、前記ガス発生剤成型体
を用いたエアバッグ用ガス発生器システムを提供するこ
とを他の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記した
課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ガス発生剤成
型体の構造を、最初に着火する表面部分と遅れて着火す
る内部部分とで異ならせることにより、例えばエアバッ
クシステムに適用した場合に適したガス発生挙動に改善
できることを見出し、本発明を完成した。即ち本発明
は、少なくとも成型体の内部にクラックを有するガス発
生剤成型体を提供する。また本発明は、上記のガス発生
剤成型体をガス発生剤として有するエアバッグ用ガス発
生器システムを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のガス発生剤成型体は、少
なくとも内部にクラックを有するものであればよく、そ
の他、内部と共に外表面にクラックを有しているもので
もよいが、この場合には、外表面と内部のクラックとが
連結していないことが好ましい。本発明のガス発生剤成
型体は、内部にのみクラックを有しているものが特に好
ましい。
【0008】なお、本発明のガス発生剤成型体におい
て、「内部にのみクラックを有する」場合には、例えば
単孔状(マカロニ状)成型体や多孔状成型体の場合、外
表面及び内表面(孔部分の表面)にクラックがないこと
を意味する。表面におけるクラックの有無の確認は、目
視又は8〜16倍程度の拡大観察を基準とする。
【0009】本発明のガス発生剤成型体の形状は特に限
定されるものではなく、無孔状、単孔状、多孔状、ディ
スク等の所望形状にすることができる。本発明のガス発
生剤成型体を単孔状のものを例にとって図1及び図2に
基づいて説明する。図1は長さ(縦)方向への断面図、
図2は直径(横)方向への断面図を示す。
【0010】単孔状のガス発生剤成型体10は、中央部
に孔11を有し、内部にのみクラック12を有してい
る。このクラック12は、成型体10の内部に製造方法
に起因して形成された間隙で、燃焼時おける成型体10
の内部の燃焼表面積をクラックがない場合と比較して増
大させ、燃焼ガス発生挙動を改善するように作用するも
のである。よって、その形状、大きさ、長さ、数、形成
位置、形成方向等はガス発生剤成型体10の形状、製造
条件等により異なるものであり、特に限定されるもので
はない。
【0011】本発明のガス発生剤成型体は、成型体の体
積をV0とし、成型体の内部空間容積をVとするとき、
V/V0が好ましくは0.02〜0.50、特に好まし
くは0.02〜0.30である。このようにV/V0
前記範囲内に設定すると、即ち内部にクラックを形成し
て内部の燃焼表面積を大きくすると、エアバッグ用ガス
発生器システムに適した燃焼挙動に改善することができ
る。なお、かかるV/V0における内部空間容積(V)
は、外表面にもクラックを有する場合には、それを含ま
ない値を意味する。
【0012】本発明のガス発生剤成型体は、ガス発生剤
成型体を用いたエアバック用ガス発生器によるタンク燃
焼試験において、所望のタンク最大圧をP(kPa)、タン
ク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧P(kPa)到達ま
での時間をTmsecとしたとき、0.25×Tmsec後のタ
ンク圧力が好ましくは0.20×P(kPa)以下、0.8
0×Tmsec後のタンク圧力が好ましくは0.70×P(k
Pa)以上である。0.25×Tmsec後のタンク圧力が
0.20×P(kPa)以下であると、初期のエアバック膨
張速度を適正に保ち、乗員への安全性を確保することが
でき、0.80×Tmsec後のタンク圧力が0.70×P
(kPa)以上であると、衝突時における乗員の安全性を確
保することができる。
【0013】なお、本発明におけるタンク燃焼試験は以
下に示す方法により行なった。 (タンク燃焼試験)内容積60リットルのSUS(ステ
ンレス鋼)製タンク内に、ガス発生剤成型体を充填した
インフレータを固定し、室温においてタンクを密閉後、
外部着火電気回路に接続する。別にタンクに設置された
圧力トランスデューサーにより、着火電気回路スイッチ
を入れた時間を0として、タンク内の圧力上昇変化を時
間0〜200msecの間測定する。各測定データをコンピ
ュータ処理により最終的にタンク圧力/時間曲線とし
て、ガス発生剤成型体の性能を評価する曲線を得る。燃
焼終了後はタンク内のガスを一部抜き取り、CO及びN
Ox等のガス分析に供する。
【0014】このような本発明のガス発生剤成型体を無
孔状、単孔状、多孔状にした場合、例えば下記の寸法に
することができる。無孔状成型体の外径d及び長さLは
特に限定されないが、dは1.0〜5.0mmが好まし
く、Lは1.5〜30mmが好ましい。また、無孔状成型
体のL/dの値は0.5以上が好ましく、0.5〜1
0.0が特に好ましい。L/dの値を前記のとおりにす
ると、ガス発生器内への充填効率を適正に保持すること
ができる。
【0015】単孔状成型体の孔の内径dの値は0.2〜
1.5mmが好ましく、0.4〜1.0mmが特に好まし
い。dの値が0.2mm以上であると、着火システムの熱
エネルギーによる成型体内面(単孔面)の初期着火面積
が不足して、所望の結果が得られない事態を防止でき、
1.5mm以下であると、成型体の嵩密度が小さくなって
体積効率が悪くなることを防止できる。 単孔状成型体の長さLは1.5〜30mmが好ましい。
【0016】単孔状成型体のL/dの値は0.5以上が
好ましく、0.5〜10.0が特に好ましい。L/dの
値を前記のとおりにすると、ガス発生器内への充填効率
を適正に保持することができる。単孔状成型体の外径D
は、2.0〜5.0mmが好ましい。
【0017】多孔状成型体の孔の内径dは、単孔状成型
体の場合と同様の理由で0.2〜1.5mmが好ましく、
0.4〜1.0mmが特に好ましく、長さLは1.5〜3
0mmが好ましい。多孔状成型体のL/dの値は、単孔状
成型体の場合と同様の理由で0.5以上が好ましく、
0.5〜10.0が特に好ましい。多孔状成型体の外径
Dは、3.0〜15.0mmが好ましい。多孔状成型体の
孔の数は特に限定されないが、例えば2〜7の範囲で適
宜選択することができる。
【0018】本発明のガス発生剤成型体は、製造上の便
宜から押出成型法を適用し、下記の方法で上記したよう
な無孔状、単孔状、多孔状等の所望形状の成型体を製造
することができる。
【0019】まず、燃料となる含窒素化合物、酸化剤及
びバインダー、さらに必要に応じて他の成分を配合した
ガス発生剤を、バインダーを溶解できる溶剤と共に混練
し、塊状物にする。
【0020】含窒素化合物としては、トリアゾール誘導
体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカ
ルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体から選ばれる1
種又は2種以上の混合物を挙げることができる。これら
の具体例としては、5−オキソ−1,2,4−トリアゾ
ール、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、5,
5’−ビ−1H−テトラゾール、グアニジン、ニトログ
アニジン、シアノグアニジン、トリアミノグアニジン硝
酸塩、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、ビウレット、
アゾジカルボンアミド、カルボヒドラジド、カルボヒド
ラジド硝酸塩錯体、蓚酸ジヒドラジド、ヒドラジン硝酸
塩錯体等を挙げることができる。これらの含窒素化合物
の中でもテトラゾール誘導体及びグアニジン誘導体から
選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特にニトログア
ニジン、硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミ
ノテトラゾールが好ましく、分子中の炭素数が少ない点
からニトログアニジンが最も好ましい。ニトログアニジ
ンとして針状結晶状の低比重ニトログアニジンと塊状結
晶の高比重ニトログアニジンがあり、いずれでも使用で
きる。
【0021】ガス発生剤中の含窒素化合物の配合割合
は、分子式中の炭素元素、水素元素及びその他の酸化さ
れる元素の数によって異なるが、通常25〜56重量%
の範囲が好ましく、30〜40重量%の範囲が特に好ま
しい。ガス発生剤中の酸化剤の種類により、含窒素化合
物の配合割合の絶対数値は異なるが、完全酸化理論量よ
り多いと発生ガス中の微量CO濃度が増大し、完全酸化
理論量及びそれ以下になると発生ガス中の微量NOx濃
度が増大する。従って両者の最適バランスが保たれる範
囲が最も好ましい。
【0022】酸化剤としては、アルカリ金属又はアルカ
リ土類金属から選ばれたカチオンを含む硝酸塩の少なく
とも1種から選ばれた酸化剤が好ましい。硝酸塩以外の
酸化剤、即ち亜硝酸塩、過塩素酸塩等のエアバッグイン
フレータ分野で多用されている酸化剤も用いることがで
きるが、硝酸塩に比べて亜硝酸塩分子中の酸素数が減少
すること又はバッグ外へ放出されやすい微粉状ミストの
生成を減少させる等の観点から硝酸塩が好ましい。アル
カリ金属又はアルカリ土類金属から選ばれたカチオンを
含む硝酸塩としては、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、
硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム等を挙げること
ができ、硝酸ストロンチウムが特に好ましい。
【0023】ガス発生剤中の酸化剤の配合割合は、用い
られる含窒素化合物の種類と量により絶対数値は異なる
が、40〜65重量%の範囲が好ましく、特に上記のC
O及びNOx濃度に関連して45〜60重量%の範囲が
好ましい。
【0024】バインダーは、ガス発生剤の燃焼挙動に大
幅な悪影響を与えないものであれば何れでも使用可能で
ある。バインダーとしては、カルボキシメチルセルロー
スの金属塩、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロ
ース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、澱粉等の多
糖誘導体、ステアリン酸カルシウム等の有機バインダ
ー、二硫化モリブデン、酸性白土、タルク、ベントナイ
ト、ケイソウ土、カオリン、シリカ、アルミナ等の無機
バインダーを挙げることができる。
【0025】バインダーの配合割合は0〜15重量%の
範囲が好ましく、押出成型においては3〜15重量%の
範囲であることが好ましい。量的には多い側でより成型
体の破壊強度が強くなるが、量が多いほど組成物中の炭
素元素及び水素元素の数が増大し、炭素元素の不完全燃
焼生成物である微量COガスの濃度が増大し、発生ガス
の品質を低下させるため好ましくない。特に15重量%
を超える量では酸化剤の相対的存在割合の増大を必要と
し、ガス発生化合物の相対的割合が低下し、実用できる
ガス発生器システムの成立が困難となる。
【0026】その他の成分としては、スラグ形成剤を配
合することができる。スラグ形成剤は、ガス発生剤中の
特に酸化剤成分の分解によって生成するアルカリ金属又
はアルカリ土類金属の酸化物をミストとしてインフレー
タ外へ放出することを避けるため、液状から固体状に変
えて燃焼室内に止める機能を有するものであり、金属成
分の違いによって最適化されたスラグ形成剤を選ぶこと
ができる。例えば、硝酸カルシウムから発生する酸化カ
ルシウム、粘土中の主成分である酸化アルミニウム及び
酸化ケイ素の三成分系における酸化混合物の粘度及び融
点は、各々その組成比によって1350℃から1550
℃の範囲で粘度が3.1ポアズから約1000ポアズま
で変化し、融点は組成により1350℃から1450℃
に変化する。これらの性質を利用してガス発生剤の混合
組成比に応じたスラグ形成能を発揮することができる。
スラグ形成剤としては、酸性白土、シリカ、ベントナイ
ト系、カオリン系等のアルミノケイ酸塩を主成分とする
天然に産する粘土、合成マイカ、合成カオリナイト、合
成スメクタイト等の人工的粘土、含水マグネシウムケイ
酸塩鉱物の一種であるタルク等から選ばれるものを挙げ
ることができ、これらの中でも酸性白土又はシリカが好
ましく、特に酸性白土が好ましい。スラグ形成剤の配合
割合は1〜20重量%の範囲が好ましく、3〜10重量
%の範囲が特に好ましい。多すぎると線燃焼速度の低下
及びガス発生効率の低下をもたらし、少なすぎるとスラ
グ形成能を十分発揮することができない。
【0027】溶剤としては、水溶性バインダーの場合は
水、有機物可溶性のバインダーの場合はエーテル、酢酸
エチル、アセトン等の有機溶剤を挙げることができる。
溶剤の使用量は、一般的にはガス発生剤量100重量部
に対して5〜30重量部が好ましい。
【0028】次いで、場合により過剰の溶剤を除いた
後、ガス発生剤の塊状物を加圧条件下で金型を通して押
出しすることで紐状体をつくり、紐状体の表面が乾燥状
態になる前に裁断機により、所望の長さに裁断する。
【0029】その後、この溶剤を含んだ状態の裁断物
を、予乾燥せずに、高温に保持した乾燥機に直接入れて
溶剤を急激に乾燥することにより、内部にクラックを有
する本発明のガス発生剤成型体を得ることができる。内
部にクラックが発生するのは、このように急激に乾燥す
ることにより、ガス発生剤成型体内部で急激に蒸発した
溶剤が外部に放出されずに内部に空間を作るためであ
る。よって、同じレベルのクラックを再現させるために
は、ガス発生剤成型体が含む溶剤量、乾燥温度、乾燥機
内の風量及び圧力等の要素が重要となり、特に重要なも
のは、ガス発生剤成型体が含む溶剤量及び乾燥温度であ
る。例えば、溶剤として水を用いた場合は、水分量は5
%以上、乾燥温度は60℃以上であることが好ましい。
水分量が5%以上であると、ガス発生剤成型体が適度な
硬さになっており、クラックが発生しやすくなり、乾燥
温度が60℃以上であると水の急激な蒸発が起こりやす
く、クラックが発生しやすい。
【0030】このように内部にクラックを有するガス発
生剤成型体は、前記成型体が着火システムの熱エネルギ
−で着火するとき、穏やかに燃焼が開始され、燃焼がク
ラックに到達した後は、成型体の内部からも燃焼が始ま
る。初期に着火されるのはガス発生剤成型体の表面だけ
であるので相対的に少ない量のガスしか発生しないが、
燃焼がクラックに到達した後は、成型体の内部からも燃
焼が始まり、クラックの存在により急激に燃焼表面積が
増加するため、相対的に多量のガスを発生する。このた
め最大圧到達までの時間遅れがなく初期着火段階のみを
制御することができ、この点でガス発生出力全体を若干
低下させ初期段階を制御するいわゆるデパワ−技術と根
本的に異なるものである。
【0031】本発明のガス発生剤成型体は、発射薬のよ
うなガス発生能を必要とするいかなる装置にも用いるこ
とができるが、特に自動車、航空機等に搭載される人体
保護のために供せられるエアバッグ用ガス発生器システ
ム用として好適である。次に、本発明のガス発生剤成型
体を用いたエアバッグ用ガス発生器システムについて説
明する。
【0032】本発明のガス発生剤成型体を含むエアバッ
ク用ガス発生器システムの構造は特に限定されず、現在
汎用されているものをそのまま用いることができ、例え
ば、図3に示す構造のものを用いることができる。図3
に示すガス発生器は、本発明の実施形態を説明するため
だけに用いるものであり、本発明の適用対象が図3に示
す構造のガス発生器に限定されるものではない。ガス発
生器10において、12は点火手段収容室(エンハンサ
室)、14は伝火薬、16は点火器、18はガス出口、
20はガス発生剤燃焼室、22はガス発生剤成型体、3
0はクーラントフィルター、32はガス流路間隙、40
はガス排出口である。
【0033】本発明のガス発生器システムは、タンク最
大圧P(kPa)と、タンク圧の立ち上がり開始からタンク
最大圧P(kPa)到着までの時間Tmsecとは、タンク最大
圧P(kPa)が好ましくは110〜220(kPa)で、タンク
圧の立ち上がり開始からタンク最大圧P(kPa)到着まで
の時間Tが好ましくは30〜70msec、特に好ましくは
30〜50msecであるD席用ガス発生器システムに適し
ているが、これに限定されるものではない。例えば、最
大圧P(kPa)が好ましくは350〜500(kPa)で、タン
ク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧P(kPa)到着ま
での時間Tが50〜90msec、特に好ましくは50〜7
0msecであるP席用ガス発生器システムにも適用できる
ものである。
【0034】
【実施例】以下実施例及び比較例をあげて本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0035】実施例1 ニトログアニジン31部(以下、「部」は「重量部」を
示す)、硝酸ストロンチウム54部、酸性白土5部及び
カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩10部に対
し、15部に相当する水を添加し混合捏和した。次に、
捏和混合物を外径3.2mm、内径0.80mmの金型を通
して圧力80kg/cm2の加圧条件下で押出し、単孔状の
紐状体を得た。さらに、この紐状体を裁断機により4.
0mmの長さに裁断し、単孔状成型体を得た。この単孔状
成型体を、予乾燥せずに80℃に調温した乾燥機に直接
入れ、水分を急激かつ十分に飛ばして図1及び図2に示
すようなガス発生剤成型体を得た。同様の方法で、さら
に2バッチ分のガス発生剤成型体を得た。このガス発生
剤成型体をカッターナイフ(NT Cutter D-400、エヌテ
ィー(株)製)で割り、縦断面及び横断面をルーペ(ピ
ーク・ズーム・ルーペ816、8〜16倍)で観察し、
ガス発生剤成型体内部の状態を調べた。その結果、内部
には図1及び図2に示したような状態でクラックが発生
していた。得られたガス発生剤成型体37gを用いて、
計3回の室温における60リットルのタンク燃焼試験を
行った。結果を表1に示す。また、タンク燃焼試験で得
られた圧力〜時間曲線を図4に示した。
【0036】比較例1 乾燥機に入れる前に、予乾燥を行い、水分量を5%以下
にした以外は実施例1と同様にしてガス発生剤成型体を
得た。このガス発生剤成型体を実施例1と同様にして切
断し、観察したが、ガス発生剤成型体内部にはクラック
が発生していなかった。得られたガス発生剤成型体につ
いて実施例1と同様な評価を行った。結果を表1に示
す。また、タンク試験で得られた圧力〜時間曲線を図5
に示した。
【0037】
【表1】
【0038】表1及び図4から明らかなように、初期の
タンク圧力上昇曲線が緩やかになり、しかも最大圧力到
達時間は所望の時間内(30〜50msec)で、目的とし
た圧力〜時間曲線が得られていることが分かった。そし
て、製造バッチが違っていても同様な燃焼カーブが得ら
れており、製造に再現性があることが分かった。また、
タンク内は非常にきれいで、CO及びNOx等のガス濃
度は、2800リットル程度の車室内に拡散したと仮定
したときに、人体に対して問題の無い数値であった(6
0リットルタンク内でのCO=10,000ppm以内、
NOx=2,000ppm以内)。一方、表1及び図5か
ら明らかなように、比較例は最大圧到達時間が70msec
と非常に遅くなっており、加害性低減効果が不十分であ
った。
【0039】
【発明の効果】本発明のガス発生剤成型体は、内部にク
ラックを有しているため、着火初期には相対的に少ない
量のガスしか発生しないが、燃焼がクラックに到達した
後は、急激に燃焼表面積が増加するため、相対的に多量
のガスを発生する。このため、エアバッグ用ガス発生器
システムに適用した場合、ガス発生開始から10msecの
間の膨脹速度を従来よりもより緩やかにし、初期のバッ
グ膨脹の勢いによる加害性をなくすと共に、30〜50
msec後においては十分な乗員拘束能を保持することがで
きる。しかも、このような機能をガス発生剤成型体のみ
によってなすことができるため、既存のガス発生器にそ
のまま適用することができ、製造コストを上げることも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で製造したガス発生剤成型体の縦断
面である。
【図2】 実施例1で製造したガス発生剤成型体の横断
面である。
【図3】 エアバッグ用ガス発生器システムに用いるガ
ス発生器の厚さ方向への断面図である。
【図4】 実施例1のタンク燃焼試験で得られた圧力〜
時間曲線である。
【図5】 比較例1のタンク試験で得られた圧力〜時間
曲線である。
【符号の説明】
10 単孔状ガス発生剤成型体 11 孔 12 クラック

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも成型体の内部にクラックを有
    するガス発生剤成型体。
  2. 【請求項2】 ガス発生剤成型体の体積をV0とし、前
    記成型体の内部空間容積をVとするとき、V/V0
    0.02〜0.50である請求項1記載のガス発生剤成
    型体。
  3. 【請求項3】 ガス発生剤成型体を用いたエアバック用
    ガス発生器によるタンク燃焼試験において、所望のタン
    ク最大圧をP(kPa)、タンク圧の立ち上がり開始からタ
    ンク最大圧P(kPa)到達までの時間をTmsecとしたと
    き、0.25×Tmsec後のタンク圧力が0.20×P(k
    Pa)以下であり、0.80×Tmsec後のタンク圧力が
    0.70×P(kPa)以上である請求項1又は2記載のガ
    ス発生剤成型体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3のガス発生剤成型体
    をガス発生剤として有するエアバッグ用ガス発生器シス
    テム。
  5. 【請求項5】 タンク最大圧P(kPa)が110〜220
    (kPa)で、タンク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧
    P(kPa)到着までの時間Tが30〜70msecである請求
    項4記載のエアバッグ用ガス発生器システム。
  6. 【請求項6】 タンク最大圧P(kPa)が350〜500
    (kPa)で、タンク圧の立ち上がり開始からタンク最大圧
    P(kPa)到着までの時間Tが50〜90msecである請求
    項4記載のエアバッグ用ガス発生器システム。
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