JP2000088306A - クリーンルームシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 清浄度の維持が確実にできるとともに、エネ
ルギー効率がよく、メンテナンスやフィルター交換等が
容易にでき、騒音を有効に抑制可能なクリーンルームシ
ステムを提供する。 【解決手段】 仕切枠５で形成された複数のフィルター
チャンバーの各々にフィルター１７又は盲パネルを装着
して天井３を形成し、この天井内に室内循環空気を送り
込んで加圧天井チャンバー１９を形成するための送風機
７を備えたクリーンルームシステムにおいて、前記フィ
ルターチャンバーの仕切枠５部分を負圧にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はクリーンルームに関
し、特に天井に装着したフィルターを介して空気を循環
させるクリーンルームシステムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】病院や半導体製造工場等のクリーンルー
ムとして、従来加圧天井チャンバー方式およびファンフ
ィルターユニット（ＦＦＵ）方式が用いられている。図
５は、従来の加圧天井チャンバー方式の構成図である。
建物１内のクリーンルーム２には、システム天井３およ
びフリーアクセスフロア４が備る。システム天井３は、
屋根側から吊られ縦横の格子状に配設された仕切枠５で
仕切られた矩形のフィルターチャンバー（矩形枠）にク
リーンルームのクラスに応じてＵＬＰＡまたはＨＥＰＡ
フィルター６を全体にあるいは適当な複数の位置に装着
したものである。フィルター６が装着されないフィルタ
ーチャンバーには盲パネル（図示しない）が装着され
る。フリーアクセスフロア４は、空気が自由に通過可能
である。クリーンルーム２の外部のリターンスペース１
２にはクリーンルーム２の室内空気循環用の送風機７お
よび消音ボックス１０が備わる。１１は建物１の躯体を
構成する構造体を示す。送風機７により、天井内（シス
テム天井３の上側）に循環空気が送り込まれるため、天
井内は周囲に対し陽圧（正圧）となって、天井内全体が
加圧チャンバー８として構成される。空気は、この正圧
の加圧チャンバー８から各フィルター６を通してクリー
ンルーム２内に流入し、フリーアクセスフロア４を通し
て床下に流れ、床下からドライコイル９を通して除湿さ
れ、リターンスペース１２内の送風機７に吸引され循環
する。

【０００３】この加圧チャンバー方式では、天井内が正
圧であるため、各フィルター６と仕切枠５との間は完全
なシール性を保つ必要がある。シール性が完全でない
と、正圧の天井内空気がフィルター６と仕切枠５との間
の隙間からフィルターを通さないでクリーンルーム２内
に流入するからである。

【０００４】このような加圧チャンバー方式によれば、
室内空気循環のために少ない台数の大型の送風機７を用
いモータも大型のものを用いることができるため、エネ
ルギー効率がよくなり、省エネルギーの運転が可能にな
るとともに、設置台数が少ないためメンテナンスや管理
が容易になる。また、消音ボックス１０により送風機の
騒音を効果的に消音することができる。

【０００５】図６は、従来のＦＦＵ方式の構成図であ
る。前記図５の構成と同様に、クリーンルーム２は仕切
枠５で形成されたシステム天井３を有している。このシ
ステム天井３の仕切枠５で形成された各矩形枠であるフ
ィルターチャンバーにフィルター１４と小型ファン１３
とを組合せて一体化したファンフィルターユニット１５
が装着される。このファンフィルターユニット１５のフ
ァン１３により、天井内部１６の空気を吸引してフィル
ター１４を通してクリーンルーム２内に供給する。クリ
ーンルーム２内の空気は、フリーアクセスフロア４を通
して床下に流れ、さらにドライコイル９を通して除湿さ
れ、リターンスペース１２を流れて天井内部１６に戻り
循環する。このＦＦＵ方式では天井に設けた各ファン１
３により天井内部１６の空気を吸引するため、天井内部
１６は周囲に対し陰圧（負圧）になる。

【０００６】このようなＦＦＵ方式においては、天井内
が負圧であるため、各フィルターチャンバーの仕切枠部
分のリーク等により天井内の空気がフィルターを通さず
にクリーンルーム内に流入することはなく、クリーンル
ーム内の清浄度が確実に保たれる。したがって、フィル
ター１４と仕切枠５との間のシール性については、前述
の加圧天井チャンバーの場合に比べ、厳しさは要求され
ない（多少の隙間があってもクリーンルーム側にリーク
することはなく問題はない）。

【０００７】また、各フィルターチャンバーごとにファ
ンが設けられるため、フィルター交換の場合等に、クリ
ーンルーム全体の運転を停止することなく、個々のファ
ンのみを停止してフィルターを交換することができ、ク
リーンルームの稼働率が高まり使用性が向上する。

【０００８】このように前述の加圧チャンバー方式およ
びＦＦＵ方式ともにそれぞれの利点を有している。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、加圧チ
ャンバー方式においては、前述のようにエネルギー効率
がよく、メンテナンス性が良好で、消音効果も大きいと
いう利点を有する反面、天井内が加圧されて正圧となる
ため、各フィルターチャンバーの仕切枠部分のリーク等
により天井内の空気がフィルターを通さずにクリーンル
ーム内に流入する可能性があり、クリーンルームの清浄
度の維持が難しい。また、フィルター交換等の場合に
は、クリーンルーム全体の運転を停止しなければならず
クリーンルームの稼働率が低下する。

【００１０】また、ＦＦＵ方式の場合には、前述のよう
に、クリーンルームに対し天井内が負圧になるため、ク
リーンルームの清浄度の維持が確実にでき、またクリー
ンルーム全体の運転を停止することなく個々のフィルタ
ー交換等が行える等の利点を有する反面、小型ファンを
多数使用するため、エネルギー効率が悪く全体として大
きな電力を消費するとともに多数のファンが天井内に設
けられるためメンテナンスや管理も面倒になる。また個
々のファンの騒音は小さいが多数台のファンが集合した
合成騒音が大きくなりこれを有効に消音することは困難
である。

【００１１】本発明は上記従来技術を考慮したものであ
って、従来の加圧チャンバー方式およびＦＦＵ方式の利
点を併せ持ち、清浄度の維持が確実にできるとともに、
エネルギー効率がよく、メンテナンスやフィルター交換
等が容易にでき、騒音を有効に抑制可能なクリーンルー
ムシステムの提供を目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、仕切枠で形成された複数のフィルター
チャンバーの各々にフィルター又は盲パネルを装着して
天井を形成し、この天井内に室内循環空気を送り込んで
加圧天井チャンバーを形成するための送風機を備えたク
リーンルームシステムにおいて、前記フィルターチャン
バーの仕切枠部分を負圧にしたことを特徴とするクリー
ンルームシステムを提供する。

【００１３】この構成によれば、フィルターチャンバー
の仕切枠部分が負圧であるため、加圧されて正圧の天井
内の空気がフィルターと仕切枠間のリーク等により天井
側からクリーンルーム内にフィルターを通さずに流入し
ようとしても、このようなリーク部分の空気は仕切枠部
分の負圧に吸引されてクリーンルーム内に流入すること
はない。したがって、クリーンルームの清浄度が確実に
維持される。

【００１４】好ましい構成例では、前記天井内に前記仕
切枠部分から空気を吸引して天井内に吐出するためのフ
ァンを設けたことを特徴としている。

【００１５】この構成によれば、適当な位置のフィルタ
ーチャンバー上に小型のファンを設け、相互に連通して
いる各フィルターチャンバーの仕切枠部分の空気を吸引
して天井内に吐出する。これにより、少ない台数の小型
ファンにより仕切枠部分を負圧にすることができる。

【００１６】別の好ましい構成例では、前記仕切枠部分
を、ダクトを介して前記送風機の吸込側に連通させたこ
とを特徴としている。

【００１７】この構成によれば、室内空気循環用の送風
機を利用して、その吸込み力により仕切枠部分からダク
トを介して空気を吸引して負圧にすることができる。

【００１８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の第１の実施の形
態に係るクリーンルームシステムの構成図である。建物
１内のクリーンルーム２には、システム天井３およびフ
リーアクセスフロア４が備る。システム天井３は、縦横
の格子状に配設された後述の仕切枠５で仕切られた矩形
のフィルターチャンバー（矩形枠）にクリーンルームの
クラスに応じてＵＬＰＡまたはＨＥＰＡフィルター１７
を全体にあるいは適当な複数の位置に装着したものであ
る。フィルター１７が装着されないフィルターチャンバ
ーには盲パネル（図示しない）が装着される。このよう
にフィルター１７または盲パネルが装着された矩形枠で
あるフィルターチャンバーを構成する仕切枠５は、後述
の構成例で示すように、フィルターまたは盲パネルとの
間の仕切り部分に密閉空間が形成され、この密閉空間部
分は縦横の仕切枠５に沿って相互に連通している。

【００１９】フリーアクセスフロア４は、空気が自由に
通過可能である。このフリーアクセスフロア４の床下に
は、例えば機械室が設けられ空調用機器等が設置され
る。この場合には、フリーアクセスフロア４はその下面
側に設けた多数の支持脚（図示しない）を介して機械室
天井部のコンクリート枠材（図示しない）上に設置され
て支持される。

【００２０】クリーンルーム２の外部のリターンスペー
ス１２にはクリーンルーム２の室内空気循環用の送風機
７および消音ボックス１０が備わる。１１は建物１の躯
体を構成する構造体を示す。送風機７により、天井内
（システム天井３の上側）に循環空気が送り込まれるた
め、天井内は周囲に対し陽圧（正圧）となって、天井内
全体が加圧チャンバー１９として構成される。空気は、
この正圧の加圧チャンバー１９から各フィルター１７を
通してクリーンルーム２内に流入し、フリーアクセスフ
ロア４を通して床下機械室に流れ、機械室からドライコ
イル９を通して除湿され、リターンスペース１２内の送
風機７に吸引され循環する。

【００２１】本実施形態においては、システム天井３の
フィルター１７が装着されていないフィルターチャンバ
ー部分に仕切部吸引用の小型ファン１８を設ける。この
ファン１８は、仕切枠５に沿って形成された各フィルタ
ー１７または盲パネルの仕切部分の密閉空間の空気を吸
引してこれを天井内部１９側に吐出するものである。こ
の場合、ファン１８を設けたフィルターチャンバーの下
面側は盲パネルで覆っておくことが望ましい。また、こ
の場合、仕切枠に沿って形成された密閉空間とファン１
８が連通するように盲パネルを構成する。

【００２２】このようにシステム天井３の仕切枠５に沿
った仕切空間部分をファン１８によって吸引することに
より、この仕切空間部分が周囲に対し負圧になるため、
加圧されて正圧状態の天井内の空気がフィルターまたは
盲パネルと仕切枠間のリーク等により天井側からクリー
ンルーム内にフィルターを通さずに流入しようとして
も、このようなリーク部分の空気は仕切枠部分の負圧に
吸引されてクリーンルーム内に流入することはない。し
たがって、クリーンルームの清浄度が確実に維持され
る。

【００２３】図２は、本発明の第２の実施の形態に係る
クリーンルームシステムの構成図である。この実施形態
においては、前記第１の実施形態における仕切部吸引用
のファン１８に代えて、仕切枠５に沿って形成されたフ
ィルターチャンバーの仕切部分にダクト２０を接続し、
このダクト２０を室内空気循環用の送風機７の吸込側に
連通させたものである。これにより、縦横に連通してい
る仕切枠５に沿った仕切部分の空気が送風機７に吸引さ
れて仕切部分が周囲に対し負圧になる。したがって、前
記第１の実施の形態と同様に、加圧されて正圧の天井内
の空気がフィルターまたは盲パネルと仕切枠間のリーク
等により天井側からクリーンルーム内にフィルターを通
さずに流入しようとしても、このようなリーク部分の空
気は仕切枠部分の負圧に吸引されてクリーンルーム内に
流入することはない。したがって、クリーンルームの清
浄度が確実に維持される。その他の構成および作用効果
は前記第１の実施形態と同様である。

【００２４】図３は、本発明の実施形態における仕切枠
部分の詳細構成図であり、図４はこの仕切枠により仕切
られた天井面の図である。仕切枠５は、例えばアルミの
押出し成型品からなり、中空状の拡大頭部５ａと、この
拡大頭部５ａの上面中央に設けた吊下げ用の係止部５ｂ
と、拡大頭部５ａの下側の腹部５ｃと、この腹部５ｃの
下端部に設けた支持枠部５ｅとにより構成される。腹部
５ｃには、長手方向（図に垂直な方向）に沿って適当な
間隔で孔５ｄが形成され、この孔５ｄにより腹部５ｃの
両側は相互に連通する。

【００２５】腹部５ｃの下端の支持枠部５ｅには支持板
２４がネジ２５により取付けられる。この支持板２４に
より、フィルター１７または盲パネル２３を固定保持す
る。フィルター１７は、その周囲の保持枠材１７ａを拡
大頭部５ａの下側に設けたパッキン２２と支持板２４間
に挟まれて固定保持される。盲バネル２３は、その側面
部２３ａを拡大頭部５ａの下側に設けたパッキン２２と
支持板２４間に挟まれて固定保持される。

【００２６】フィルター１７あるいは盲パネル２３の交
換時等には、これらを取外した後、パネル材２７が一時
的にそのフィルターチャンバー部分の仕切枠上に載せら
れて、そのフィルターチャンバーを塞ぐ。フィルター１
７あるいは盲パネル２３が装着された状態ではこのよう
なパネル材２７は不要であり取外される。このようなパ
ネル材２７は支持板２４上に載せて支持してもよい。

【００２７】このような仕切枠５は、係止部５ｂに吊り
ボルト２１を係止させてターンバックル（図示しない）
等を介して建物の構造材から吊下げられる。このような
仕切枠５により図４に示すように、天井面が格子状に仕
切られ、各格子がフィルターチャンバー２９を構成す
る。各フィルターチャンバー２９を構成する仕切枠５に
前述のようにフィルター１７または盲パネル２３が装着
されシステム天井３を形成する。

【００２８】このようにして仕切枠５により格子状に仕
切られた各フィルターチャンバー２９にフィルター１７
または盲パネル２３が装着されたシステム天井３におい
て、仕切枠５により形成された各フィルターチャンバー
の仕切部分には、仕切枠５に沿って縦横相互に連通した
密閉空間３０（図３）が形成される。本発明では、この
密閉空間３０が、前述のように、周囲に対し負圧となる
ように構成される。この場合、前述の第１実施形態にお
いて、盲パネル２３を装着したフィルターチャンバー上
に仕切部吸引用のファン１８（図１）を設ける場合に
は、盲パネル２３の側面部２３ａ（図３）に仕切部の密
閉空間３０と連通する孔を形成しておく。あるいは、盲
パネルに代えて別のパネル材を支持板２４上に載せて天
井下面側を覆い、仕切部の空間３０からファン１８によ
り空気を吸引してもよい。

【００２９】また、前述の第２実施形態においては、仕
切部の密閉空間３０に連通する複数の適当な位置にダク
ト２０（図２）を接続させ、密閉空間３０内の空気をリ
ターンスペース１２に設けた送風機７により吸引させ仕
切り部分の密閉空間を負圧にする。

【００３０】なお、本発明の室内空気循環用送風機７
は、図示した構成例に限定されず、機械室等に設置され
た空調機内に組込まれた送風機であってもよい。この場
合、空調機から給気ダクトを通して天井内に循環空気を
必要に応じて外気を加えて送り込む。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、天井
に設けたフィルターチャンバーの仕切枠部分が負圧であ
るため、加圧されて正圧の天井内の空気がフィルターと
仕切枠間のリーク等により天井側からクリーンルーム内
にフィルターを通さずに流入しようとしても、このよう
なリーク部分の空気は仕切枠部分の負圧に吸引されてク
リーンルーム内に流入することはない。したがって、ク
リーンルームの清浄度が確実に維持される。また、室内
空気循環のために少ない台数の大型の送風機を用いモー
タも大型のものを用いることができるため、エネルギー
効率がよくなり、省エネルギーの運転が可能になるとと
もに、設置台数が少ないためメンテナンスや管理が容易
になる。また、消音ボックスにより送風機の騒音を効果
的に消音することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１の実施形態の構成図。

【図２】 本発明の第２の実施形態の構成図。

【図３】 本発明に係るシステム天井の仕切枠部分の断
面図。

【図４】 本発明に係るシステム天井の平面図。

【図５】 従来の加圧チャンバー方式のクリーンルーム
の構成図。

【図６】 従来のＦＦＵ方式のクリーンルームの構成
図。

【符号の説明】

１：建物、２：クリーンルーム、３：システム天井、
４：フリーアクセスフロア、５：仕切枠、６：フィルタ
ー、７：送風機、８：加圧チャンバー、９：ドライコイ
ル、１０：消音ボックス、１１：構造体、１２：リター
ンスペース、１３：ファン、１４：フィルター、１５：
ファンフィルターユニット、１６：天井内部、１７：フ
ィルター、１８：仕切部吸引用のファン、１９：加圧チ
ャンバー、２０：ダクト、２１：吊りボルト、２２：パ
ッキン、２３：盲パネル、２４：支持板、２５：ネジ、
２７：パネル材、２９：フィルターチャンバー、３０：
密閉空間。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】仕切枠で形成された複数のフィルターチャ
   ンバーの各々にフィルター又は盲パネルを装着して天井
   を形成し、 この天井内に室内循環空気を送り込んで加圧天井チャン
   バーを形成するための送風機を備えたクリーンルームシ
   ステムにおいて、 前記フィルターチャンバーの仕切枠部分を負圧にしたこ
   とを特徴とするクリーンルームシステム。
2. 【請求項２】前記天井内に前記仕切枠部分から空気を吸
   引して天井内に吐出するためのファンを設けたことを特
   徴とする請求項１に記載のクリーンルームシステム。
3. 【請求項３】前記仕切枠部分を、ダクトを介して前記送
   風機の吸込側に連通させたことを特徴とする請求項１に
   記載のクリーンルームシステム。