JP2000088020A - 湿式摩擦材 - Google Patents

湿式摩擦材

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JP2000088020A JP26452998A JP26452998A JP2000088020A JP 2000088020 A JP2000088020 A JP 2000088020A JP 26452998 A JP26452998 A JP 26452998A JP 26452998 A JP26452998 A JP 26452998A JP 2000088020 A JP2000088020 A JP 2000088020A
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Mamoru Toyama
護 遠山
Shunei Omori
俊英 大森
Takashi Ota
隆 太田
Shinji Inagaki
伸二 稲垣
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
Fumio Ueda
文雄 植田
Masataka Kawabata
昌隆 川端
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦係数が高く、良好なμ−V特性(dμ/
dV値が大きい)湿式摩擦材を提供すること。 【解決手段】 本発明の湿式摩擦材は、繊維基材と、充
填材と、結合材と、からなる湿式摩擦材であって、充填
材は、孔径分布曲線における最大ピークでの孔径が1.
4nm以上30nm以下であり、孔径分布曲線における
最大ピークの孔径の±40%以内に含まれる細孔の細孔
容積が全体の細孔容積の60%以上である多孔質体を含
有することを特徴とする。本発明の湿式摩擦材は、充填
材として孔径の制御された多孔質体が配合されているた
め、摩擦材の油に対する吸収性、保持性、排出性などが
好ましい値に制御されるとともにすぐれたμ−V特性を
示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿式クラッチに用
いられる摩擦材に関し、詳しくは高い摩擦係数および良
好なμ−V特性を有する湿式摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、自動車などは、発進、停止や
変速を行うため、エンジンから駆動系への動力の伝達を
断続するための機構としてクラッチがもうけられてい
る。このようなクラッチとしては、摩擦クラッチが広く
用いられている。摩擦クラッチは、摩擦を利用して動力
を断続させる装置であり、摩擦板の押しつけ荷重の制御
によりすべりによるスムーズな継合いができる。この摩
擦クラッチには、乾燥状態で使用される乾式クラッチ
と、油液中で使用される湿式クラッチとがある。湿式ク
ラッチは、遊星歯車式の自動変速機内の構成要素として
多板クラッチとして多く使用されている。
【0003】このような湿式クラッチには、湿式摩擦材
が用いられる。湿式摩擦材は、冷却性および耐熱性を有
するために、その内部に油を含浸、保持できると同時
に、高い摩擦係数を有するために、接触面では固体接触
を維持するよう、油を排除できることが必要となってい
る。一般的に湿式摩擦材は、繊維基材にフェノール樹脂
やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたものであ
る。また、摩擦特性を調整するために、充填材や摩擦調
整材としてけい藻土、カシューダスト等も配合される。
【0004】たとえば、特公平7−21298号公報に
は、充填材として、けい藻土、アルミナ粉、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、シリカの無機質充填材が、摩擦調
整材としてグラファイト、カシューダストを用いた湿式
摩擦材があげられている。また、特開平1−11203
8号公報には、充填材に粒径1〜100μmで細孔径が
0.1〜5μmの多孔質のケイ酸カルシウムを配合する
ことによって耐熱性、耐久性を向上させた湿式摩擦材が
開示されている。
【0005】さらに、特開平7−103255号公報に
は、金属合金に多孔質アルミナ、ゼオライト、アルミナ
シリケートなどのセラミックスの多孔微小体もしくはシ
リカゲル、アルミナなどのセラミックス微小体を配合す
ることで、高い摩擦係数を得た摩擦材が開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、湿式摩
擦材が主に使用される湿式クラッチにおいては、摩擦係
数およびμ−V特性のさらなる向上が求められている。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、摩擦係
数が高く、良好なμ−V特性(dμ/dV値が大きい)
を有する湿式摩擦材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明者らは湿式摩擦材に含まれる充填材について検討
を重ねた結果、孔径および細孔容積が制御された多孔質
体を充填材として含有させることで、摩擦材の油とのな
じみ性、保持性や吸収性が制御でき、摩擦特性の改善を
行うことができることを見出した。
【0008】すなわち、本発明の湿式摩擦材は、繊維基
材と、充填材と、結合材と、からなる湿式摩擦材であっ
て、充填材は、孔径分布曲線における最大ピークでの孔
径が1.4nm以上30nm以下であり、孔径分布曲線
における最大ピークの孔径の±40%以内に含まれる細
孔の細孔容積が全体の細孔容積の60%以上である多孔
質体を含有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の湿式摩擦材は、孔径分布
曲線における最大ピークでの孔径が1.4nm以上30
nm以下であり、孔径分布曲線における最大ピークの孔
径の±40%以内に含まれる細孔の細孔容積が全体の細
孔容積の60%以上である多孔質体が充填材として含有
されている。
【0010】多孔質体は、孔径分布曲線における最大ピ
ークでの孔径が1.4nm以上30nm以下である。孔
径が1.4nm未満となると湿式摩擦材に用いられたと
きに、湿式摩擦材の油の吸収特性が悪くなる。また、現
状では、孔径分布曲線における最大ピークでの孔径が3
0nmを超え、かつ孔径分布曲線における最大ピークで
の孔径の±40%以内に含まれる細孔の細孔容積が全体
の細孔容積の60%以上である多孔質体は存在せず、そ
の製造も困難である。
【0011】多孔質体は、孔径分布曲線における最大ピ
ークの孔径の±40%以内に含まれる細孔の細孔容積が
全体の細孔容積の60%以上である。多孔質体の細孔の
孔径を制御することで、湿式摩擦材の油の吸収特性や、
保持性を制御している。多孔質体は、湿式摩擦材中に1
〜40重量%配合される。好ましくは5〜20重量%で
ある。多孔質体の配合量が1重量%未満では多孔質体の
配合効果が十分に得られず、40重量%を超えると樹脂
による多孔質体の結合強度が十分に得られなくなり、多
孔質体の剥離が生じるようになる。
【0012】また、孔径分布曲線は、細孔容積(P)を
孔径(D)で微分した値(dP/dD)を孔径に対して
プロットした曲線をいう。孔径分布曲線は、たとえば、
以下に示す気体吸着法により作成される。この方法にお
いて最もよく用いられる気体は、窒素である。気体吸着
法は、吸着剤を液体窒素温度(−196℃)に冷却し
て、窒素ガスを導入し、その吸着量を定容量法あるいは
重量法で求める。導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加
させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットす
ることにより、吸着等温線を作成する。そしてこの吸着
等温線から、たとえばCranston−Inklay
法、Pollimore−Heal法の計算法を用い
て、孔径分布を求めるものである。
【0013】多孔質体は、ハニカム状の孔を有するもの
であることが好ましい。このようなハニカム状の孔を有
するものとしては、たとえば、特開平8−67578号
公報に記載の層状シリケートに界面活性剤を作用させて
合成したシリカ多孔質体がある。このシリカ多孔質体は
図4に示されるように周期的に湾曲したシリケートシー
トが凸部で上下結合した構造をしており、このシートの
すき間には、均一にそろった細孔が無数に存在してい
る。
【0014】層状シリケートとしては、カネマイト(N
aHSi25・3H2O)が好ましい。また、他の層状
シリケートとしては、ジケイ酸ナトリウム結晶(α、
β、γ、δ−Na2Si25)、マカタイト(Na2Si
49・5H2O)、アイアライト(Na2Si817・x
2O)、マガディアイト(Na2Si1429・xH
2O)、ケニヤイト(Na2Si2041・xH2O)等を
あげることができる。さらに、層状シリケートには、た
とえば、セピオライトのような粘土鉱物を酸の水溶液で
処理して、二酸化珪素以外の元素を除去した層状シリケ
ートを使用することもできる。粘土鉱物としては、セピ
オライト以外にモンモリロナイト、バーミキュウライ
ト、雲母、カオリナイト、スメクタイトが代表的である
が、これらに限定されるものではない。
【0015】界面活性剤としては、アルキルトリメチル
アンモニウム、ジメチルアルキルアンモニウム、アルキ
ルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等の塩化物、臭
化物、ヨウ化物あるいは水酸化物等があげられる。層状
シリケートからの多孔質体の合成法は、まず、界面活性
剤を溶解させた溶媒に層状シリケートを分散させる。こ
の溶媒としては、水が好ましいが、水−アルコール混合
溶液やその他の溶媒でもよい。界面活性剤混合水溶液の
濃度は0.05〜1Mが好ましい。この水溶液への層状
シリケートの分散量としては、0.1Mの混合水溶液1
000mlに対して、たとえばカネマイトでは5〜20
0gの割合であることが好ましい。
【0016】多孔質体の合成は、まず、この分散溶液を
30〜150℃で加熱する。加熱時間は1〜24時間が
好ましく、加熱中は、溶液を攪拌していることが好まし
い。この加熱中の分散溶液のpHは、第一工程として始
めの1〜5時間を10以上とし、第二工程として残りの
時間(最低1時間)は10以下とすることが好ましい。
第一工程に関し、たとえばカネマイトを用いる場合に
は、カネマイト自身がアルカリ性であるので分散溶液の
pHは自然に10以上となる。pHが10以上にならな
い場合には水酸化ナトリウム等の塩基を添加してpHを
10以上にする。
【0017】その後、第二工程として塩酸等の酸を添加
して分散溶液のpHを10以下にする。このとき、好ま
しくはpHを8.5まで下げる。このような、第一、第
二工程におけるpHの制御は、結晶性および耐熱性にす
ぐれた多孔質体を得るためである。第一、第二加熱工程
の後に、分散溶液中の固形生成物をろ過して回収する。
回収した固形生成物を脱イオン水等で繰り返し洗浄する
ことにより、耐熱性の高い多孔質体を得ることができ
る。この固形生成物を乾燥した後、550℃以上の温度
で焼成するか、あるいは塩酸/エタノール混合溶液で処
理することにより、結晶中に取り込まれた界面活性剤が
除去され、多孔質体が得られる。ここで、焼成は空気、
酸素、窒素等の雰囲気で一時間以上加熱することが好ま
しい。また、塩酸/エタノール混合溶液は、他の酸/有
機溶媒の組み合わせであってもよい。
【0018】なお、層状シリケートからの多孔質体の合
成法において、出発物質として層状シリケートのかわり
に水ガラス、粉末ケイ酸ソーダ、Siアルコキシド、シ
リカ等を用いる方法も可能である。本発明の湿式摩擦材
は、繊維基材と充填材と結合材とからなる。これらの繊
維基材、充填材、結合材には、従来の湿式摩擦材に用い
られているものが用いられる。
【0019】繊維基材としては、有機繊維または無機繊
維を単独、あるいは併用して用いることができる。有機
繊維としては、リンタパルプ、木材パルプ、合成パル
プ、ポリエステル系繊維、アクリル繊維、ポリアミド系
繊維、ポリビニルアルコール変成繊維、ポリ塩化ビニル
繊維、ポリプロピレン繊維、炭素繊維などを1種または
複数種混合して用いることができる。また、無機繊維と
しては、チタン酸カルシウム繊維、ガラス繊維、カオリ
ン繊維、シリカ繊維、ボーキサイト繊維、カヤナイト繊
維、ホウ素繊維、マグネシア繊維、金属繊維などを複数
種併用して用いることができる。なお、繊維基材として
は、軽量化のために有機繊維を用いることが好ましい。
【0020】充填材としては、上記多孔質体以外には、
二酸化珪素、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、カオ
リン、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、タルク、珪藻
土などの無機添加剤や、アルミニウム粉末、銅粉末、鉄
粉末、ゴム粉末、カシューダスト、グラファイト粉など
の摩擦調整剤をあげることができる。結合材としては、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹
脂等の熱硬化性樹脂が用いられるが、特にフェノール樹
脂が好ましい。
【0021】本発明の湿式摩擦材は、繊維基材、充填材
からなる混合物および結合材を従来から用いられる湿式
法あるいは乾式法により製造することができる。湿式法
は、上記の混合物を水中でスラリー状とし、これを抄紙
して抄紙体を形成する。この抄紙体に結合材を含浸させ
て加圧加熱して製造する方法である。また、乾式法は、
結合材を含めて混合物を成形型内に注入して加圧加熱成
形して製造する方法である。
【0022】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。 (実施例)本実施例は、充填材に多孔質体を用いた湿式
摩擦材である。本実施例の湿式摩擦材は、基材にはセル
ロース繊維が、結合材にはフェノール樹脂が18mas
s%となるように、充填材としてはシリカ多孔質体が1
3mass%となるように配合されている。
【0023】なお、ここでのシリカ多孔質体は、孔径分
布曲線における最大ピークでの孔径が2.8nmであ
り、孔径分布曲線における最大ピークでの孔径の±40
%以内に含まれる細孔の細孔容積が全体の気孔容積の6
4%であった。 (シリカ多孔質体の製造方法)シリカ多孔質体は、以下
の方法で作成された。
【0024】日本化学工業(株)製の粉末ケイ酸ソーダ
(SiO2/Na2O=2.00)を700℃で6時間空
気中で焼成し、ジケイ酸ソーダ(δ−Na2Si25
に結晶化させた。この結晶50gを500ccの水に分
散させ、3時間攪拌した後、ろ過により固形分を回収し
てカネマイト結晶を得た。このカネマイトを乾燥させる
ことなく、乾燥重量換算で50g分を0.1molのヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(C16
33N(CH33Cl)水溶液1000mlに分散させ、
70℃で3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散
液のpHは12.3であった。70℃での加熱攪拌を行
いながら2規定の塩酸を添加して、分散液のpHを8.
5に下げ、3時間加熱した後に室温まで放冷した。
【0025】生成した固形生成物を1000mlのイオ
ン交換水中に分散、攪拌させる洗浄を5回繰り返し行っ
た後、60℃で24時間乾燥させた。乾燥後、窒素雰囲
気下で450℃で3時間の加熱を行った後に大気中で5
50℃で6時間焼成して多孔質体を得た。 (湿式摩擦材の製造方法)湿式摩擦材は、以下の方法で
作製された。
【0026】まず、メタノールに結合材を16.6%配
合し、これに配合する摩擦材への配合重量分の充填材を
くわえて、結合材樹脂のメタノール希釈溶液を作製し
た。この希釈溶液を基材のペーパーに含浸させ、過剰な
結合材樹脂を加圧ろ過により取り除いた後、80℃で2
時間乾燥させた。乾燥後、成形圧力が60kPa、温度
が180℃で2時間の熱プレスを施し、結合材樹脂を硬
化させ、湿式摩擦材を得た。
【0027】また、比較例として、従来の充填材を配合
した湿式摩擦材および、充填材を配合しない湿式摩擦材
を作製した。このときの摩擦材の製造方法は、実施例と
同様に行われた。なお、比較例の湿式摩擦材に用いられ
た充填材およびその割合を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】(比較例1)本比較例は、充填材としてケ
イ藻土を用いた以外は、実施例と同様な湿式摩擦材であ
り、ケイ藻土の配合量は21mass%であった。本比
較例に用いられたケイ藻土は、孔径分布曲線における最
大ピークでの孔径が1μm(1000nm)であり、本
発明に用いられた多孔質体に比べて孔径が大きい。
【0030】(比較例2)本比較例は、充填材を含まな
い以外は、実施例と同様の材質および製造方法で作成さ
れた湿式摩擦材である。 (比較例3)また、比較例3として、市販の湿式摩擦材
を用いた。本比較例の摩擦材は、充填材としてカシュー
ダストを含むものであった。
【0031】(評価)実施例および比較例の湿式摩擦材
に摩擦試験を行い、摩擦材の摩擦特性を測定した。摩擦
試験は、図1に示されるスラスト・カラー型摩擦試験機
により行われた。なお、すべり速度、試験時間等の試験
条件は、表2に示されるように行われた。また、摩擦係
数としては、荷重付加後30秒の値を測定した。測定結
果としては、ならし後評価を用い、図2に油温80℃で
のすべり速度と摩擦係数との関係を、図3にdμ/dV
値を示した。
【0032】摩擦試験には、エポキシ系接着剤を塗布し
たSPHC材よりなるプレート試片に実施例および比較
例の湿式摩擦材をはりつけ、室温で24時間乾燥させる
ことで接着させた試験片が用いられた。また、摩擦材の
相手材としてはS45C材により形成され、外径25.
6mm、内径20.0mm、摩擦面積200mm2の円
筒形のリング試片であって、摩擦面の表面あらさが0.
04〜0.06μmRaとなるように研磨されたものが
用いられた。さらに、潤滑油には、DexronIIタ
イプのATFが用いられた。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示されるように摩擦試験は、ならし
を行った後にそれぞれの油温で行われ、すべり速度を
0.01m/sから2.0m/sへと大きくしていった
ときの摩擦係数を測定することで行われた。 (測定結果)図2より、本実施例の湿式摩擦材は油温が
80℃では、すべり速度が変化しても摩擦係数がおよそ
0.2と高く保たれている。比較例1は、すべり速度が
0.75m/sより小さいときには摩擦係数がおよそ
1.6から1.4まで低下し、その後この値でほぼ一定
となっている。比較例2は、すべり速度が0m/s時に
摩擦係数が0.2となり、すべり速度が増加していくと
摩擦係数は減少していき、2.0m/sでは、摩擦係数
がおよそ0.12にまで減少している。比較例3は、す
べり速度が0.1m/sより大きい範囲では摩擦係数が
およそ0.16と一定に保たれている。
【0035】図3より、実施例の摩擦材は、油温が40
℃ではdμ/dV値が正の値となっているように、dμ
/dV値が−0.01以上と大きくなっている。また、
比較例1および3はdμ/dV値が大きくなっている
が、比較例2は120℃ではdμ/dV値が正の値とな
っているが40℃および80℃においては−0.01よ
り小さくなっている。
【0036】図2および図3より、実施例の湿式摩擦材
は、すべり速度が増加しても摩擦係数が高く保たれてい
るとともに、μ−V特性としてdμ/dV値も大きくな
っている。本実施例は、摩擦材中に充填材として配合さ
れる多孔質体について細孔の孔径をほぼ一定に制御して
いるため、摩擦材の油に対する吸収性、保持性、排出性
などが好ましい値に制御されている。
【0037】
【発明の効果】本発明の湿式摩擦材は、充填材として孔
径の制御された多孔質体が配合されているため、摩擦係
数を高く保つとともにすぐれたμ−V特性を示すように
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スラストカラー型摩擦試験の概略を示す図で
ある。
【図2】 実施例および比較例の摩擦材のすべり速度と
摩擦係数との関係を示す図である。
【図3】 実施例および比較例の摩擦材のdμ/dV値
を示した図である。
【図4】 ハニカム状の孔を有するシリカ多孔質体の図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大森 俊英 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 太田 隆 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 稲垣 伸二 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 福嶋 喜章 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 植田 文雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 川端 昌隆 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3J058 BA73 BA76 FA01 GA02 GA34 GA55 GA71 GA73 GA88 GA93 GA94

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維基材と、充填材と、結合材と、から
    なる湿式摩擦材であって、 前記充填材は、孔径分布曲線における最大ピークでの孔
    径が1.4nm以上30nm以下であり、該孔径分布曲
    線における該最大ピークの孔径の±40%以内に含まれ
    る細孔の細孔容積が全体の細孔容積の60%以上である
    多孔質体を含有することを特徴とする湿式摩擦材。
  2. 【請求項2】 前記多孔質体は、ハニカム状の孔を有す
    るものである請求項1記載の湿式摩擦材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019505735A (ja) * 2015-12-01 2019-02-28 シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーSchaeffler Technologies AG & Co. KG 湿式摩擦フェーシング
US11333213B2 (en) 2015-12-01 2022-05-17 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Wet running friction lining

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