JP2000086521A - 経口用抗アレルギー性組成物 - Google Patents

経口用抗アレルギー性組成物

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JP2000086521A
JP2000086521A JP10255815A JP25581598A JP2000086521A JP 2000086521 A JP2000086521 A JP 2000086521A JP 10255815 A JP10255815 A JP 10255815A JP 25581598 A JP25581598 A JP 25581598A JP 2000086521 A JP2000086521 A JP 2000086521A
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phospholipid
fatty acid
dha
weight
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JP10255815A
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English (en)
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Yukihisa Tanaka
幸久 田中
Hidehiko Hibino
英彦 日比野
Kazuya Morisawa
和也 守沢
Yoshiro Nakano
善郎 中野
Yoko Tomobe
容子 友部
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Original Assignee
NOF Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗アレルギー性効果の著しい経口用組成物を
提供する。 【解決手段】A成分として、グリセリンのsn1位−ま
たはsn2位−の脂肪酸若しくはsn1位−,sn2位
−の両方の脂肪酸がドコサヘキサエン酸であるリン脂質
を含有する脂質100重量部に対して、B成分として、
アスタキサンチンまたはアスタキサンチンの脂肪酸エス
テルを0.001〜5重量部含有することを特徴とする
経口用抗アレルギー性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドコサヘキサエン
酸を含有するリン脂質とアスタキサンチンを有効成分と
して含有してなる経口用抗アレルギー性組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】α−リノレン酸(以下ALA)、エイコ
サペンタエン酸(以下EPA)やドコサヘキサエン酸
(以下DHA)等のn−3系高度不飽和脂肪酸が経口で
摂取してもほとんど副作用がなく抗アレルギー作用を呈
することが知られている。これまで、このような高度不
飽和脂肪酸を経口的に摂取してアレルギーを治療した報
告について以下に記す。特開昭59−152324号公
報ではn3高度不飽和脂肪酸とn6高度不飽和脂肪酸の
適切な組み合わせがアレルギー性鼻炎やアトピーなどの
治療に有効であることを示している。伊藤ら〔日本小児
アレルギー学会誌 Vol.6,pp87−91(19
92)〕、はALAを豊富に含むエゴマ油を小児アトピ
ー性皮膚炎患者に投与して改善効果をあげている。河原
ら〔臨床栄養Vol.87,pp185−189(19
95)〕及び菊池ら〔日本小児アレルギー学会誌 Vo
l.8,pp18−26(1994)〕、新宅ら〔アレ
ルギーの臨床 Vol.14,pp296−305
(1994)〕はALAを含むエゴマ油とEPA,DH
Aを含む精製魚油の両者を粉末油脂をアトピー性皮膚炎
患者に投与して改善効果を観察している。田上ら〔皮膚
科紀要 Vol.91,pp129−137(199
6)〕はEPA,DHAを含む魚油を乾癬患者に投与し
て改善効果を報告している。杉本ら〔アレルギーの臨床
Vol.6,pp210−212(1986)〕は難治
性喘息患者に魚油を投与した改善例を報告している。以
上の報告ではいずれもALA,EPA,DHAを10‐
50%程度含有する油脂を投与した例である。また、高
純度のEPAエチルエステルを小泉ら〔日皮会誌Vo
l.101,pp1713−1716(1991)〕は
乾癬患者に、また、笹本ら〔日本小児アレルギー学会誌
Vol.3,pp140−145,(1989)〕はア
トピー性皮膚炎患者にそれぞれ投与して改善効果を報告
している。特開平2−32017号公報はγリノレン酸
とDHAを併用して経口投与した場合に、炎症性皮膚疾
患に効果があることを示している。特開平7−2678
56号公報は95%以上の純度を持つDHAのエチルエ
ステル、リン脂質、トリグリセリドが経口免疫抑制剤と
しての機能を持ちアトピー性皮膚炎や膠原病などの自己
免疫疾患の治療に効果があることを示している。また、
特開平2‐45424号公報では1−位にオレイン酸、
2−位にDHAを有する特定の構造をもつフォスファチ
ジルコリンが抗アレルギー性に効果があることが示され
ている。また、ALA、EPA、DHAなどを軟膏やク
リーム、化粧料に配合して抗アレルギー性の効果を示し
た報告も見られる。たとえば,特開昭3−90022号
公報ではEPAまたはそのエチルエステルが、特開平5
−279240号公報、特開平5−279241号公
報、特開平5−286845号公報、特開平6−650
50号公報などでは、DHAもしくはこれを含む油脂と
コラーゲン、オウゴン抽出物、センブリエキス、ヒアル
ロン酸などを配合した皮膚外用剤が、特開平6−408
87号公報、特開平6−136393号公報ではDHA
及びその誘導体を配合した洗浄剤が、特開平8−109
128号公報にはDHA及びこの誘導体を配合した外用
剤が、特開平9−143067号公報では95%以上に
精製したDHA及びその塩,エステルが、アトピー性皮
膚炎や乾癬などアレルギー性皮膚疾患に塗布された場合
に治療効果があることが報告されている。
【0003】一方、特開平7−300421号公報、特
開平2−49091号公報にはオキアミ油から得られた
アスタキサンチン及びそのジエステルのそのものの抗炎
症作用が開示されている。また、従来アスタキサンチン
の抗炎症作用などは知られているが、DHA含有リン脂
質とアスタキサンチンまたはアスタキサンチンの脂肪酸
エステルの組成物の優れた抗アレルギー効果は知られて
いない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ほと
んど副作用を有しないドコサヘキサエン酸とアスタキサ
ンチンまたはその脂肪酸エステルとを含有する抗アレル
ギー作用を有するリン脂質組成物を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み、高脂血症に効果のあるといわれる薬剤を種
々検討した結果、ほとんど副作用を有しないドコサヘキ
サエン酸とアスタキサンチンまたはその脂肪酸エステル
とを配合すると著しい抗アレルギー効果を有する知見を
得て、本発明を完成した。即ち、本発明は次の(1)〜
(3)である。 (1)A成分として、グリセリンのsn1位−またはs
n2位−の脂肪酸若しくはsn1位−,sn2位−の両
方の脂肪酸がドコサヘキサエン酸であるリン脂質を含有
する脂質100重量部に対して、B成分として、アスタ
キサンチンまたはアスタキサンチンの脂肪酸エステルを
0.001〜5重量部含有することを特徴とする抗アレ
ルギー性組成物。 (2)脂肪酸基準として、リン脂質中にドコサヘキサエ
ン酸が、15重量%〜100重量%である前記の抗アレ
ルギー性組成物。 (3)抗アレルギー性組成物において、ドコサヘキサエ
ン酸由来のリン脂質が、60重量%〜99重量%である
前記の抗アレルギー性組成物。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明でいうリン脂質とはフォス
ファチジルコリン及びフォスファチジルエタノールアミ
ン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジル
セリン、ファスファチジン酸などがである。また、これ
らリン脂質の1位または2位のいずれかのみに脂肪酸が
結合しているリゾリン脂質などである。さらにこれらの
リン脂質単独あるいは2種類以上を混合して用いること
ができる。本発明において用いられるリン脂質は、イク
ラやマグロ・カツオなどの卵巣、イワシ、マグロ、カツ
オなどの頭部、腹部、内臓などの魚体、イカ製品の製造
時に副生成される皮などの海産物加工品あるいはその残
渣などが有効に利用できる。本発明において用いられる
リン脂質としては、特開平8−59678号公報、特開
昭64−50890号公報などで示されているように各
原料を凍結乾燥や真空乾燥を行って、水分の除去を行っ
た後に、エタノール、メタノール、ヘキサン、クロロホ
ルムなどの有機溶剤またはエタノール、メタノールと蒸
留水と混合した水性溶媒として用いて抽出することによ
って得たものを使用することができる。例えば、また、
特公平7−59586号公報に記載されているように、
無酸素状態下での溶剤抽出などによって同様に得たリン
脂質を使用するすることもできる。また上記方法によっ
て得られた抽出液を、高速液体クロマトグラフィー、遠
心液体抽出機あるいはシリカゲルカラムなどで更に高濃
度に濃縮して得たリン脂質を使用することも可能であ
る。またさらに、特開平1−311087号公報に記載
されているように、DHAのエチルエステルや遊離脂肪
酸から化学合成あるいはフォスフォリパーゼなどの酵素
による合成が可能であることが開示されており、これの
方法によって得られたリン脂質を用いることができる。
本発明のリン脂質組成物は、上記のごとく食品工業の生
産場面で得られる副産物なども利用できるなどの利点が
ある。本発明で用いるDHAを含有するリン脂質はこれ
まで知られていたn−3高度不飽和脂肪酸の抗アレルギ
ー作用を更に高める効果を有するものである。
【0007】本発明で使用されるアスタキサンチンは次
の(1)〜(4)の製造方法により得ることができる。 (1)化学合成によって得られたアスタキサンチン(特
開昭52−68157号公報)、 (2)サケなどの魚体やカニなどの甲殻類の殻から抽出
されたもの(特開昭58−88353号公報)、 (3)酵母や緑藻などの菌体が生産する油脂から抽出・
分画精製されたアスタキサンチン(特開平1−1870
82号公報、4−79884号公報など)、 (4)イクラやオキアミなどから抽出された油脂から抽
出精製されたアスタキサンチン、 などが挙げられる。また、上記の方法によって得られた
アスタキサンチンと脂肪酸とをエステル化したアスタキ
サンチン脂肪酸エステルを使用することができる。それ
らのアスタキサンチンとアスタキサンチン脂肪酸エステ
ルは単独で使用してもよいし、併用してもよい。アスタ
キサンチン脂肪酸エステルの脂肪酸としては、例えば、
酢酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸、ラウリン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニ
ン酸、リノール酸、リノレイン酸、EPA、DHA等が
挙げられる。これらの脂肪酸は、単独で用いてもよい
し、または2種以上を併用してもよい。
【0008】本発明のDHA含有リン脂質とアスタキサ
ンチンあるいはアスタキサンチンの脂肪酸エステルとの
配合比率については、通常、DHA含有リン脂質100
重量部に対して、アスタキサンチンあるいはアスタキサ
ンチンの脂肪酸エスエルが0.001〜5重量部であ
る。アスタキサンチンあるいはアスタキサンチンの脂肪
酸エスエルが0.001重量部より少ないとアスタキサ
ンチンあるいはアスタキサンチンの脂肪酸エスエルの効
果が発現し難くなり好ましくなく、5重量部より多いと
リン脂質の過酸化を促進する可能性があるので好ましく
ない。
【0009】本発明のDHA含有リン脂質とアスタキサ
ンチンあるいはアスタキサンチンの脂肪酸エステルとの
配合方法については、通常使用するかき混ぜ方法やミキ
サー等の配合機械が使用できる。
【0010】本発明の組成物は経口投与することによっ
て抗アレルギー作用を呈することができる。用法として
は、通常成人換算で、600mg/日〜10g/日であ
る。より好ましくは、1g/日〜5g/日である。
【0011】本発明の組成物を経口投与する際には、形
状を、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、糖衣錠などの固形製
剤として投与することができる。 また、リン脂質の持
つ乳化能を利用し、一般の乳化剤の代替としてパンや菓
子、その他あらゆる食品の素材として投与することが可
能である。また、前記のように容易に乳化液を作成でき
るので、飲料などへの形状で摂取することも容易であ
る。
【0012】リン脂質はその粘度が非常に高く食品や医
薬品の素材として用いる場合には操作性が悪く、その応
用範囲が制限されてしまう。このため、リン脂質の粘度
を下げるために植物油や魚油などの中性脂質に溶かし込
んで利用することも可能である。または天然素材から抽
出精製する場合には中性脂質が共存するようにするその
精製度を下げたものを使用してもよい。なお、前記のよ
うに取り扱い性から、抗アレルギー性組成物において、
ドコサヘキサエン酸由来のリン脂質が、60重量%〜9
9重量%であり、その他の中性脂質40重量%〜1重量
%であることが望ましい。また、リン脂質は高い乳化力
を有し、乳化液を容易に作成できるので、前記の飲料の
他に、経管、経静脈輸液などへの応用が期待される。
【0013】
【発明の効果】本発明のDHA含有リン脂質とアスタキ
サンチンまたはその脂肪酸エステルを含有する組成物
は、ほとんど副作用を有しないドコサヘキサエン酸含有
リン脂質とアスタキサンチンまたはその脂肪酸エステル
とを含有するので、副作用も殆どなく、また、優れた抗
アレルギー作用を有するとともに、酸化安定性に優れて
いる。したがって、従来は医師などによる処方箋によっ
て得られる治療薬を、一般の薬局の店頭で得られるよう
にすることができる。
【0014】
【実施例】以下、具体例に基づいて、本発明を更に詳細
に説明する。 分析方法; 〔1〕リン脂質の分析 1)<脂質の抽出> 試料3gをクロロホルムに溶解して水洗した後、溶媒を
留去して、脂質を得た。 2)<リン脂質の定量> 冷アセトン法により脂質約1.2gからリン脂質を分画
し、重量を測定した。 3)<ホスファチジルコリンの定量> 前記の方法で得られたリン脂質約1mgについて、次の
条件の薄層クロマトグラフィーを行った。展開後、ホス
ファチジルコリン、およびその他のリン脂質の画分をか
き取り、モリブデンブルー吸光光度法でリン量を測定し
た。リン量から下記の式によりホスファチジルコリンに
換算した。 <薄層クロマトグラフィーの条件> 薄層;シリカゲル(Merck社No.5631) 展開方法;2次元展開法、(展開溶媒1→展開溶媒2) 展開溶媒1;クロロホルム/メタノール/7N水酸化ア
ンモニウム混合溶媒(=130/60/8、V/V/
V) 展開溶媒2;クロロホルム/メタノール/酢酸/水混合
溶媒(=170/25/25/6、V/V/V/V) 検出方法;ディトマー試薬噴霧。 <ホスファチジルコリンに換算式> ホスファチジルコリン(%)={A/(A+B)}×ア
セトン不溶物含量(%) ここで、Aはホスファチジルコリン中のリン量(mg/
g)、Bはその他のリン脂質中のリン量(mg/g) 4)<リン脂質およびホスファチジルコリンの分画> 脂質について下記の条件1のカラムクロマトグラフィー
を行い、リン脂質画分を得た。さらにリン脂質画分につ
いて条件2のカラムクロマトグラフィーを行い、ホスフ
ァチジルコリンの画分を得た。 <カラムクロマトグラフの操作条件1> 試料;脂質約0.3g、カラム;Kieselgel6
0(Merck社製)15g、クロマト管;2cm×2
0cm、溶出液;クロロホルム(洗浄)、メタノール
(リン脂質画分)。 <カラムクロマトグラフの操作条件2> 試料;リン脂質画分約50mg、カラム;Kiesel
gel60(Merck社製)5g、クロマト管;1c
m×20cm、溶出液;クロロホルム/メタノール(=
3/2)(洗浄)、クロロホルム/メタノール(リン脂
質画分)。
【0015】〔2〕DHA脂肪酸の測定方法 約500mgの試料を冷却管を付けたエステル化用の5
0ml容共栓付きナス型フラスコに採り、1/2Nの水
酸化ナトリウム−メタノール溶液6mlを添加する。油
滴が消失して均一な溶液になるまで約7分間水浴上で加
熱する。次に三フッ化ほう素−メタノール試薬7mlを
添加して2分間沸騰後、冷却管頭頂部よりヘキサン5m
lを加え、さらに1分間沸騰させる。加熱を止め、ヘキ
サン溶液がフラスコの首まで到達するまで精製水を加
え、ヘキサン溶液を採った。このヘキサン溶液に精製水
約10mlを加え、撹拌後静置し、分層する。水槽を除
去後、同じ操作を3回繰り返す。この洗浄操作の後にヘ
キサン溶液に硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、硫酸
ナトリウムを濾別してガスクロマトグラフィー用の試料
とした。この試料をガスクロマトグラフィー(ヒューレ
ットパッカード社5890)にDB−WAXキャピラリ
ーカラム(J&W Scientific社製カラム
で、厚さ0.25μmのポリエチレングリコールを固定
相液体とする。内径0.25mm、長さ30m)を装着
し、注入口、検出器の各温度を250℃、250℃と
し、カラム温度は140℃から210℃まで5℃/分で
昇温した。検出は水素炎イオン化検出器を用い、キャリ
アガスはヘリウムガスとした。DHA、EPAおよび各
脂肪酸は、メチルエステル化したもののピーク面積%を
それぞれの脂肪酸の重量%とした。
【0016】〔3〕アスタキサンチンおよびその脂肪酸
エステルの含量測定; <アスタキサンチンの分析方法>アスタキサンチンの含
量の分析は高速液体クロマトグラフィーを用い以下に示
す条件で行った。 機種;高速液体クロマトグラフィー{以下、HPLCと
略す、Cica−Merck社製のHibar col
umn LiChrosorb Si 60のカラムを
装着した東ソー(株)社製、8020システム}、 移動相;n−ヘキサン/酢酸エチル/酢酸=50/50
/1(v/v/v) 流量;2ml/min 検出方法;紫外可視吸収スペクトル492nm。 前記の条件において分析した結果、アスタキサンチン脂
肪酸ジエステル、アスタキサンチン脂肪酸モノエステ
ル、遊離アスタキサンチンはそれぞれ保持時間2.3,
3.9および5.2分付近に検出される。この3種類の
アスタキサンチンのピーク面積の合計を100重量%と
して、それぞれのピーク面積比をアスタキサンチン脂肪
酸ジエステル、アスタキサンチン脂肪酸モノエステルお
よび遊離アスタキサンチンのそれぞれの組成比(重量
%)として算出した。
【0017】製造例1:タラコリン脂質組成物 市販タラコ2000gを−40℃に凍結後、16時間5
0torrで乾燥し、900gの乾燥体を得た。これに
クロロフォルム/メタノール(=1/2(v/v))混
合溶媒6リットルを加え、4℃で約2時間に冷却した後
に沈殿を濾別した。この残渣を同様の操作で2回抽出を
行いタラコ全脂質を200g得た。このタラコ全脂質2
00gを−20℃に冷却したアセトンに溶かし込み冷ア
セトンに不溶なリン脂質20gを得た。リン脂質に化学
合成されたアスタキサンチンを150mg/100gと
なるように添加した。このタラコリン脂質組成物にはホ
スファチジルコリン(=PC)、ホスファチジルエタノ
ールアミン(=PE),トリグリセリド(=TG)は7
5.1重量%、10.7重量%、11.9重量%、含ま
れており、それぞれDHA濃度は22.3%、24.9
%、17.0%であった。
【0018】製造例2:イクラリン脂質組成物 市販イクラ2000gを製造例1と同様に処理して、ア
セトンに不溶なリン脂質30gを得た。このリン脂質に
はイクラ由来のアスタキサンチンが124mg/100
g含まれていた。このイクラコリン脂質組成物にはP
C,PE,TGが61.2重量%、19.5重量%、1
5.3重量%含まれており、それぞれDHA濃度は2
8.7%、21.9%、13.7%であった。
【0019】製造例3:イワシリン脂質組成物 イワシを煮沸した後に圧搾した。圧搾滓を乾燥後粉砕し
てフィッシュミールとした。このフィッシュミールをH
anson and Olley変法によってクロロホ
ルムで抽出した。カラムクロマトグラフィー用シリカゲ
ル(Merck社製、7734,70−230mes
h)300gをクロロホルムに懸濁し、オープンカラム
に詰め、前記の抽出液を充填して分画を行った。クロロ
ホルム2リットル、クロロホルム/メタノール(=4:
1(v/v))5リットル混合溶剤を展開溶媒として用
い、PCとPEを得た。ここで得られたPCtオPEお
よびイワシから得た魚油を添加した。更にファフィア酵
母(Phaffia Rhodozyma)から得た油
脂をヘキサン/エタノール(=80:20(v/v))
混合溶媒で抽出した後に、これをアセトン中で水酸化カ
リウムによって遊離脂肪酸を除去して得た油脂を添加し
た。このリン脂質組成物はPC、PE、TGをそれぞれ
71.1重量%、8.7重量%、18.2重量%含有し
ており、それぞれのDHA濃度は、32.3%、19.
4%、8.4%であった。このときのアスタキサンチン
濃度は110mg/100gであった。
【0020】製造例4:化学合成リン脂質組成物 特開平1−311087号公報の方法によってグリセロ
フォスファチジルコリン1molとDHAクロライド4
molからジドコサヘキサエノイルフォスファチジルコ
リン(DHA−PC)を得た。このときのDHA濃度9
7%であった。99%ドコサヘキサエン酸をジ−シクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC)で酸無水化物化した
後にジメチルピリジンを触媒にグリセロール反応して9
7%DHAトリグリセライド(DHA−TG)を得た。
このDHA−PCとDHA−TGを6:4(w/w)で
混合し、更に製造例1と同様に化学合成したアスタキサ
ンチンを100mg/100gとなるよう添加した。
【0021】製造例5:DHA入り卵黄リン脂質組成物 ニワトリにDHAの豊富な飼料を与えて産出される市販
のDHA入り卵(市販品;健脳卵)を用い、製造例1と
同様に乾燥して乾燥体を得た。この乾燥体にクロロホル
ム/メタノール(=2:1(v/v))有機溶媒を加
え、4℃に冷却しながら2回抽出を行い、遠心エバポレ
ーターで脱溶剤し、リン脂質組成物を得た。このリン脂
質組成物はPC、PE、TGをそれぞれ20.2%、6
0.5%、17.2%含有しており、それぞれのDHA
濃度は7.2%、24.8%、1.5%であった。ここ
に化学合成した遊離アスタキサンチンを250mg/1
00gになるように添加した。
【0022】製造例6;イクラリン脂質液 製造例2で示したイクラリン脂質組成物に脂質濃度が1
%となるように精製水を加え、この溶液を氷浴中でホモ
ジナイザーによって12000rpm、20分間乳化し
てイクラリン脂質の乳化液を調製した。
【0023】製造例7:タラコリン脂質2(アスタキサ
ンチンなし) 製造例1と同様にタラコリン脂質を抽出した。製造例1
とは異なりアスタキサンチンを添加しなかった。
【0024】製造例8:卵黄リン脂質組成物 市販鶏卵から卵白取り除き、卵黄のみを用いて製造例5
と同様にして、卵黄リン脂質を得た。これにマグロ魚油
を加えて、さらにアスタキサンチンを加えて120mg
/100gに調整した。この組成物は、PC、TGをそ
れぞれ70%、30%含有しており、それぞれのDHA
濃度は3.1%、30.1%であった。
【0025】動物試験方法:以下の方法によりモデル動
物を用いて本発明の評価を行った。 〔試験動物〕;ddYマウス(チャールスリバー)を4
週齢で動物入荷後1週間の馴化飼育を行った後に、実験
開始時の体重のばらつきが各群で揃うように1群を4匹
とし、1ケージに1匹ずつ飼育した。 〔飼育方法〕;毎日5g/匹となるようにエサを粉末給
餌器にて与え、食べ残しのエサは廃棄し、粉末給餌器は
洗浄し、毎日新しいエサを与え、DHAの過酸化の影響
を極力避けるように心がけた。おおむね2回/週の割合
で体重測定を行い、床敷きの交換は週1回とした。各群
のマウスのエサは脂肪無添加の精製飼料(日本クレア社
製)に紅花油1.2wt%を添加したものをベースと
し、被験油脂として製造例で示した各リン脂質組成物油
脂を4.8wt%添加した。対照群1には被験油脂の代
わりにコーン油を用い、対照群2には臨床でアレルギー
治療に用いられている柴朴湯1wt%を添加した。配合
組成を表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】〔抗アレルギー性の試験〕;各試験リン脂
質組成物投与開始後第15日にマウスの背部を剃毛し
た。翌日に剃毛部に0.5%ジニトロフルオロベンゼン
(=DNFB、アセトン;オリーブ油=4:1に溶かし
たもの))100μlを塗布した(Induction)。第1
9日に各マウスの耳介厚をシックネスメーターで測定し
た(0hとする)。測定後、0.2%DNFB(アセト
ン;オリーブ油=4:1に溶かしたもの)を耳介に20
μl塗布し(Challenge)、6時間後(6h)、24時
間後(24h)に耳介厚を0hと同様に測定して0hと
の耳介厚の差からリン脂質組成物の抗アレルギー性に機
能性を判定した。耳介浮腫を抑え、0hとの差が小さい
ほど抗アレルギー性があるものとした。
【0028】実施例1 製造例1で示したタラコリン脂質組成物をマウスのエサ
に前述の割合で混合して飼育後前述の通り処置して耳介
厚を測定した。6時間および24時間後と処置前と耳介
の差を測定した。6、24時間いずれの場合も対照群
1、2より有意に浮腫を抑制していた。
【0029】実施例2 実施例1のタラコリン脂質組成物の代わりに、製造例2
で示したイクラリン脂質組成物を用いて実施例1と同様
に飼育後前述の通り処置して耳介厚を測定した。6時間
および24時間後と処置前と耳介の差を測定した。6、
24時間いずれの場合も対照群1、2より有意に浮腫を
抑制していた。
【0030】実施例3 製造例3で示したイワシラリン脂質組成物をマウスのエ
サに前述の割合で混合して飼育後前述の通り処置して耳
介厚を測定した。6時間および24時間後と処置前と耳
介の差を測定した。6、24時間いずれの場合も対照群
1、2より有意に浮腫を抑制していた。
【0031】実施例4 製造例4で示した化学合成のリン脂質組成物をマウスの
エサに前述の割合で混合して飼育後前述の通り処置して
耳介厚を測定した。6時間および24時間後と処置前と
耳介の差を測定した。6、24時間いずれの場合も対照
群1、2より有意に浮腫を抑制していた。
【0032】実施例5 製造例5で示したDHA入り卵黄よりのリン脂質組成物
をマウスのエサに前述の割合で混合して飼育後前述の通
り処置して耳介厚を測定した。6時間および24時間後
と処置前と耳介の差を測定した。6、24時間いずれの
場合も対照群1、2より有意に浮腫を抑制していた。
【0033】実施例6 前記の製造例6の乳化液を毎日吸水器によって2.4g
/匹ずつ与えた。全ての乳化液を飲んだ後は通常通り井
戸水を与えた。このときのマウスのエサは無脂肪の精製
飼料に1.2wt%相当の紅花油は混合したが、試験油
脂は混合しなかった。その他の条件は他群と同様にし、
飼育後前述の通り処置して耳介厚を測定した。6時間お
よび24時間後と処置前と耳介の差を測定した。6、2
4時間いずれの場合も対照群1、2より有意に浮腫を抑
制していた。
【0034】比較例1 公知の方法により高純度DHAエチルエステルを得た
後、カラムクロマトで分画して99%DHAエチルエス
テル得た。さらにこれにアスタキサンチンを150mg
/100gとなるようにマウスのエサに混合して飼育後
前述の通り処置して耳介厚を測定した。6時間および2
4時間後と処置前と耳介の差を測定した。6、24時間
いずれの場合も対照群1と比べて有意な浮腫の抑制は認
められたが、対照群2と比べて有意な浮腫の抑制は見ら
れなかった。
【0035】比較例2 マグロより得た魚油をマウスのエサに前述の割合で混合
して飼育後前述の通り処置して耳介厚を測定した。マグ
ロ魚油は97%がトリグリセライドで、DHA濃度は3
0.1%であった。6時間および24時間後と処置前と
耳介の差を測定した。6、24時間いずれの場合も対照
群1と比べて有意な浮腫の抑制は認められなかった。
【0036】比較例3 製造例7で得られたアスタキサンチンを配合していない
タラコリン脂質を用いて、前記と同様に6時間および2
4時間後と処置前と耳介の差を測定した。6、24時間
いずれの場合も対照群1と比べて有意な浮腫の抑制は認
められなかった。
【0037】比較例4 製造例8で示した卵黄リン脂質組成物をマウスのエサに
前述の割合で混合して飼育後前述の通り処置して耳介厚
を測定した。6時間および24時間後と処置前と耳介の
差を測定した。6、24時間いずれの場合も対照群1と
比べて有意な浮腫の抑制は認められたが、対照群2と比
べて有意な浮腫の抑制は見られなかった。以上の結果を
表2、3および4に示した。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】以上の結果から本発明のA成分とB成分の
組み合わせである実施例が比較例に比べて、抗アレルギ
ー性の評価が著しくよいことがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 DA41 GA17 MA02 MA04 MA52 NA03 NA05 NA06 NA14 ZB13 4C206 AA01 AA02 CB25 DB02 DB56 KA01 KA18 KA19 MA02 MA04 MA24 MA72 NA03 NA05 NA06 NA14 ZB13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A成分として、グリセリンのsn1位−ま
    たはsn2位−の脂肪酸若しくはsn1位−,sn2位
    −の両方の脂肪酸がドコサヘキサエン酸であるリン脂質
    を含有する脂質100重量部に対して、B成分として、
    アスタキサンチンまたはアスタキサンチンの脂肪酸エス
    テルを0.001〜5重量部含有することを特徴とする
    抗アレルギー性組成物。
  2. 【請求項2】脂肪酸基準として、リン脂質中にドコサヘ
    キサエン酸が、15重量%〜100重量%である請求項
    1記載の経口用抗アレルギー性組成物。
  3. 【請求項3】抗アレルギー性組成物において、ドコサヘ
    キサエン酸由来のリン脂質が、60重量%〜99重量%
    である請求項1または2記載の経口用抗アレルギー性組
    成物。
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