JP2000083580A - 粉末青果物の製造方法 - Google Patents

粉末青果物の製造方法

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JP2000083580A JP25207698A JP25207698A JP2000083580A JP 2000083580 A JP2000083580 A JP 2000083580A JP 25207698 A JP25207698 A JP 25207698A JP 25207698 A JP25207698 A JP 25207698A JP 2000083580 A JP2000083580 A JP 2000083580A
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drying
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 添加物を特に用いなくても糖を充分に結晶化
させて粉末化を図ることができるようにし、流動性の高
い粉末を得ることができるようにする。 【解決手段】 青果物の原料として生のミニトマトを使
用し、この原料をミキサーで磨砕する磨砕工程(a)
と、磨砕した原料を真空凍結乾燥機によって20℃以下
で乾燥し、乾燥終了時の原料の水分含有率が20〜25
重量%の範囲になるようにする真空凍結乾燥工程(b)
と、乾燥後の原料を不活性ガス中に密封して例えば−3
0℃の冷凍庫に入れ所定時間静置する静置工程(c)
と、静置後の原料をミルで粉砕する粉砕工程(d)とを
備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜や果実等の青
果物を粉末にする粉末青果物の製造方法に係り、特に、
生の青果物を真空凍結乾燥して粉砕する粉末青果物の製
造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】一般に、野菜や果実等の青果物を粉末に
し、この粉末青果物を各種保存食品や調理食品あるいは
薬品等に利用することが行なわれている。従来、この種
の粉末青果物の製造方法としては、例えば、特開平4−
316448号公報に掲載された方法が知られている。
これは、青果物として主に人参を粉末にする技術であ
り、生の人参を40℃以下で凍結乾燥し、水分含有率を
4重量%以下の乾燥人参を得る。次に、この乾燥人参を
−196℃の液体窒素中に投入して瞬間凍結させて低温
脆性を与え、その後、粉砕機で低温雰囲気中で微粉末化
するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の従来
の粉末青果物の製造方法にあっては、特に、糖含有率が
比較的高い青果物において、得られた粉末青果物がべと
ついてしまい、さらさらした流動性の高い粉末が得られ
にくいという問題があった。その理由は、凍結乾燥して
液体窒素中で瞬間凍結させた後、すぐに粉砕機で粉砕を
行なっているので、粉体中の糖が充分に結晶化できず
に、流動性を損ねてしまうことに起因している。これを
解消するために、従来においては、原料に塩化カルシウ
ムや塩化ナトリウム等の各種の添加物を添加することも
行なっているが、添加物を使用する分、製造が煩雑にな
るとともに、青果物の純度を損ねてしまう欠点がある。
【0004】尚、青果物を乾燥させる方法としては、上
記の他に、例えば、特開平6−153782号公報に掲
載されたものが知られている。これは、青果物の水分含
有率が85〜40重量%になるまで熱風乾燥し、その
後、真空凍結乾燥を行なっている。しかしながら、この
真空凍結乾燥方法を用いて乾燥させた青果物において
も、単に、粉末化した場合には、特に、糖含有率が比較
的高い青果物では、上記と同様の問題を生じてしまうば
かりでなく、加熱により色素の退色,風味の変化,栄養
分の損失が回避できないという問題を生じてしまう。本
発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、添加物
を特に用いなくても糖を充分に結晶化させて粉末化を図
ることができるようにし、さらさらした流動性の高い粉
末を得ることができるようにした粉末青果物の製造方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るための本発明の技術的手段は、生の青果物を真空凍結
乾燥機によって乾燥する真空凍結乾燥工程と、該真空凍
結乾燥工程で乾燥された青果物を粉砕して粉末青果物を
得る粉砕工程とを備えた粉末青果物の製造方法におい
て、上記真空凍結乾燥工程と粉砕工程との間に、乾燥さ
れた青果物を所定時間静置する静置工程を設けた構成と
している。この静置工程によって、糖の結晶化が充分に
行なわれ、そのため、粉砕処理して得られた粉末青果物
のべとつきが抑制され、流動性の向上が図られる。
【0006】そして、必要に応じ、上記静置工程を、該
静置工程で乾燥された青果物が、X線回折装置により、
測定条件を 走査範囲 5〜50° スキャンスピード 2°/min スキャンステップ 0.02° 走査軸 2θ/θ 試料セルの回転速度 30〔rpm〕 にして強度を測定したときに、 2θ=21°における強度が96〔cps〕以上 2θ=20°における強度が96〔cps〕以上 2θ=19°における強度が96〔cps〕以上 の少なくともいずれか1つの強度を示すように該青果物
を乾燥させる構成としている。ここで、2θ=21°
は、D−グルコース(D−Glucose)の結晶粉末
において高い強度を示す角度の内の1つ、2θ=20°
は、D−フルクトース(D−Fructose)の結晶
粉末において高い強度を示す角度の内の1つ、2θ=1
9°はスクロース(Sucrose)の結晶粉末におい
て高い強度を示す角度の内の1つであり、いずれの角度
も流動性の高い指標として相関が良い角度として、選択
されたものである。尚、D−グルコース,D−フルクト
ース並びにスクロースは青果物に広く存在する糖として
知られている。従って、測定値が上記の範囲に至るよう
に静置すれば、糖の結晶化が充分に行なわれ、そのた
め、粉砕処理して得られた粉末青果物のべとつきが抑制
され、流動性の向上が図られる。
【0007】そしてまた、必要に応じ、上記静置工程
を、10℃以下の温度で行なう構成としている。10℃
を越える環境では、結晶化の促進が図りにくい。特に、
上記静置工程を、5℃以下の温度で行なうことが有効で
ある。低温で保持することにより、糖の結晶化が促進さ
れる。この場合、上記静置工程を、氷点温度以下の温度
で行なうことが有効である。特に、上記静置工程を、−
20℃以下の温度で行なうことが有効である。より一
層、糖の結晶化が促進される。
【0008】また、必要に応じ、上記静置工程を、不活
性ガスの雰囲気中で行なう構成としている。これによ
り、湿気のない雰囲気になるとともに、成分の酸化が防
止され、そのため、糖の結晶化の環境が向上させられ
る。更に、上記真空凍結乾燥工程において、青果物の乾
燥を乾燥終了時の青果物の水分含有率が20〜25重量
%の範囲になるように行なう構成としている。凍結乾燥
による水分量が比較的高く保持されるので、糖の結晶化
の環境が向上させられる。
【0009】更にまた、必要に応じ、上記真空凍結乾燥
工程において、青果物の乾燥を20℃以下の温度で行な
う構成としている。一般に、真空凍結乾燥において、凍
結後に温度を上げて乾燥させるが、この乾燥温度は、4
0℃〜80℃程度が一般的である。80℃を越えると風
味が劣化し褐変が進んで好ましくないとされている。本
発明では、40℃よりも更に低温の20℃以下の環境で
乾燥させることにより、ビタミンC等の有用成分の破壊
が確実に抑制され、青果物の有用成分の保持が向上させ
られる。また、必要に応じ、上記真空凍結乾燥工程の前
に、生の青果物を磨砕する磨砕工程を設けた構成として
いる。静置工程においても、磨砕させられた乾燥状態で
静置させられるので、糖の結晶化にムラが生じることが
防止され、そのため、粉砕した後の粉末粒子が均一化
し、より一層、流動性の向上が図られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発
明の実施の形態に係る粉末青果物の製造方法について説
明する。この実施の形態においては、青果物として、近
年急速に普及しているミニトマトを対象としている。図
1に示す工程図を用い、実施の形態に係る粉末青果物の
製造方法は、以下の工程から構成される。 (a)磨砕工程 (b)真空凍結乾燥工程 (c)静置工程 (d)粉砕工程 以下、各工程について説明する。
【0011】(a)磨砕工程 青果物の原料として、生のミニトマトを使用し、これを
ミキサーで磨砕し、原料を、ペースト状にする。 (b)真空凍結乾燥工程 ペースト状のミニトマト原料を凍結乾燥させる。この凍
結乾燥においては、例えば、図2に示す温度条件で行な
い、先ず、−40℃で60分間、原料を凍結させる。そ
の後、徐々に温度を上げ、20℃以下(実施の形態では
20℃)で例えば48時間、原料の乾燥を行なう。この
乾燥は、乾燥終了時の原料の水分含有率が20〜25重
量%の範囲になるようにする。低温の20℃以下の環境
で乾燥させられるので、ビタミンC等の有用成分の破壊
が確実に抑制される。
【0012】(c)静置工程 乾燥後の原料を樹脂製の袋に入れ、かつ、袋内に不活性
ガスとして窒素ガスを充填して密封する。その後、例え
ば−30±1℃の冷凍庫に入れ、例えば14日間静置す
る。この静置工程によって、糖の結晶化が促進される。
この場合、低温でかつ不活性ガスの雰囲気中で行なうの
で、湿気のない雰囲気になるとともに、成分の酸化が防
止され、そのため、糖の結晶化の環境が向上させられ
る。更に、乾燥後の原料の水分含有率が20〜25重量
%の範囲になっており、水分量が比較的高く保持されて
いるので、この点でも糖の結晶化の環境が向上させられ
る。また、磨砕させられた乾燥状態で静置させられるの
で、糖の結晶化にムラが生じることが防止される。 (d)粉砕工程 静置後、袋から原料を取出して、ミルで粉砕し、ミニト
マトの粉末を得る。ここで、使用するミルとしては、ロ
ッドミル,ボールミル,パンミル及びローラミル等、通
常粉砕で用いられるミルであればいずれでも構わない。
このミニトマトの粉末は、静置工程によって、糖の結晶
化が充分に行なわれているので、べとつきが抑制され、
流動性の向上が図られる。また、磨砕させられた乾燥状
態で静置させられ、糖の結晶化にムラが生じることが防
止されているので、粉末粒子が均一化しており、この点
でも、より一層、流動性の向上が図られる。
【0013】また、この実施の形態においては、上記の
静置工程(c)を、該静置工程で乾燥されたミニトマト
が、X線回折装置により、その測定条件を 走査範囲 5〜50° スキャンスピード 2°/min スキャンステップ 0.02° 走査軸 2θ/θ 試料セルの回転速度 30〔rpm〕 にして強度を測定したときに、 2θ=21°における強度が96〔cps〕以上 2θ=20°における強度が96〔cps〕以上 2θ=19°における強度が96〔cps〕以上 の少なくともいずれか1つを示すように、ミニトマトを
乾燥させる構成となっている。これにより、粉砕処理し
て得られたミニトマト粉末のべとつきが抑制され、流動
性の向上が図られるのである。
【0014】ここで、X線回折装置において、上記測定
条件(〜)で、2θ=21°における強度が96
〔cps〕以上、2θ=20°における強度が96〔c
ps〕以上、2θ=19°における強度が96〔cp
s〕以上の少なくともいずれか1つの強度を示す場合に
は、流動性が高いとする根拠について説明する。先ず、
スタンダードとしてミニトマトに含まれている糖である
結晶化したD−グルコース,D−フルクトース,スクロ
ースについて、上記の条件での強度〔cps〕を測定し
た。その結果を図3に示す。この結果から、強度の高い
角度として、D−グルコースについては、2θ=17
°,19°,21°,28°を選択し、D−フルクトー
スについては、2θ=14°,17°,20°,28°
を選択し、スクロースについては、2θ=11°,19
°,20°,25°を選択した。
【0015】そして、種々の条件で製造したトマト粉末
の手ざわりによる官能試験を行ない、流動性の良いもの
(○)、流動性のやや悪い(べとつきがややある)もの
(△)、流動性が悪い(べとつきが多くある)もの
(×)の3つのカテゴリーに分類し、各々のカテゴリー
に分類したトマト粉末について、上記の条件での強度
〔cps〕を測定し、各カテゴリー毎に、上記のD−グ
ルコース,D−フルクトース,スクロースについて選択
した各角度において、外れ値を除いた平均値を求めた。
その結果を図4(表1)に示す。次に、この結果から、
図4(表1)に示すように、各カテゴリー間のX線回折
ピークの強度差を求め、差の大きい角度においては、結
晶化(流動性)を評価する精度の良い指標とすることが
できるので、差(傾き)の大きい角度を各糖毎に夫々1
つ選択した(図4中の評価の欄)。選択した角度は、D
−グルコースが2θ=21°,D−フルクトースが2θ
=20°,スクロースが2θ=19°である。選択され
た角度における、カテゴリー毎の強度値を、グラフにし
て図5に示す。そして、当該角度において、流動性の良
いもの(○)と流動性のやや悪いもの(△)との強度の
平均値を算出し(D−グルコースが96〔cps〕,D
−フルクトースが94〔cps〕,スクロースが93.
5〔cps〕)、この平均値以上の強度があれば、流動
性が良いとすることができるので、D−グルコースの9
6〔cps〕を採用して、各角度における基準を96
〔cps〕以上としたものである。尚、望ましくは、1
00〔cps〕である。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例に係る粉末青果物の製
造方法について説明する。本実施例で用いた青果物原料
は、ミニトマトであり、1998年岩手県浄法寺町産ミ
ニトマト(品種:ミニキャロル)を用いた。磨砕工程で
は、原料を剥皮せずに家庭用ジューサー・ミキサー(M
J−C38型,松下電器(株)製)を用いて室温で、1
0秒間磨砕し、ペースト状の原料Bを得た。真空凍結乾
燥工程では、真空凍結乾燥器(共和真空凍結乾燥装置R
LE−103型,共和真空技術(株)製)を用いて乾燥
させた。およそ48時間後に真空凍結乾燥が終了してい
ることを確認した後、乾燥物原料を取り出した。乾燥物
原料をハイバリヤフィルム袋(CANSFILEM
F,3種5層:LDPE(低密度ポリエチレン)/AP
O(接着性樹脂)EVOH(エチレンビニールアルコー
ルの共重合体)/APO/LDPE,四国化工(株)
製)に入れて窒素ガス充填してからヒートシールをし
て、更に、外部温度の影響を押さえるためにスチロール
瓶(A−70,サンプラテック(株)製)に入れた。静
置工程及び粉砕工程では、原料を−30±1℃の冷凍庫
に入れ、14日後、吸湿しないようにすばやく取出し
て、家庭用ミル(MJ−C38型,松下電器(株)製)
を用いて粉砕した。
【0017】そして、この実施例で製造されたトマト粉
末について、X線回折装置(RINT2200V,理学
電機(株)製)を用いて、上記の条件(〜)でX線
回折強度を測定し、流動性の評価を行なった。その結果
を、図6(表2)に示す。この結果から、2θ=21°
における強度が103〔cps〕、2θ=20°におけ
る強度が101〔cps〕、2θ=19°における強度
が98〔cps〕であり、いずれも、強度が96〔cp
s〕以上であるので、結晶化したD−グルコース,D−
フルクトース,スクロースの量が高いことを示してお
り、流動性が高いことが示されている。
【0018】
【実験例】次に、各種条件で製造した粉末ミニトマトの
X線回折パターンの比較実験を行なった。試料として
は、上記実施例と同様の真空凍結乾燥工程で得られた乾
燥物原料を用いた。この乾燥物原料を22等分し、それ
ぞれをハイバリヤフィルム袋(CANSFILEM
F,四国化工(株)製)に入れて窒素ガス充填してから
ヒートシールをして、さらにそれぞれを外部温度の影響
を押さえるためにスチロール瓶(A−70,サンプラテ
ック(株)製)に入れた。そして、7本の試料を−30
±1℃の冷凍庫に、7本の試料を4±1℃の冷蔵庫に、
7本の試料を30±1℃の恒温庫に入れ、真空凍結乾燥
後から1日後、1週間後、2週間後、4週間後、12週
間後、24週間後、48週間後にそれぞれの庫内から1
本ずつ取出し、吸湿しないようにすばやく試料を家庭用
ミル(MJ−C38型,松下電器(株)製)を用いて粉
砕した。この各粉末をX線回折装置(RINT2200
V,理学電機(株)製)を用いて、上記の条件(〜
)でX線回折強度を測定し、流動性の評価を行なっ
た。また、真空凍結乾燥工程で得られた乾燥物原料を、
静置工程を設けずに即座にミルで粉砕したものの測定も
行なった。この結果、乾燥物原料を即座にミルで粉砕し
たものは、X線回折強度が略0であり、流動性が極めて
悪かった。1日を過ぎると、温度が低いほどX線回折ピ
ークの強度が高い傾向が見られ、流動性の良いものが得
られた。7日以上では、日が経過するほど、また、温度
が低いほど、X線回折ピークの強度が高い傾向が見られ
た。即ち、静置工程の温度が低い程、粉末を良く流動化
させるのであり、特に、10℃以下の温度で行なうこと
が望ましく、5℃以下ではなお良く、氷点温度以下、取
り分け、−20℃以下の温度で行なうことが有効である
と判断された。
【0019】次に、別の実験例について説明する。これ
は、乾燥前の原料について状態の異なる原料を4種(原
料A,B,C,D)調製し、これらについて、性状を比
較した。詳しくは、トマト特有の赤色色素(リコピン)
が果皮に多く含まれているために果皮の有無がミニトマ
ト粉末の色に大きな影響を及ぼすこと、ミニトマト乾燥
物の形状が粉末化の難易に関係することが考えられるの
で、洗浄してへたを取り除いたミニトマトを4種類の方
法で真空凍結乾燥することにした。即ち、剥皮しない固
形状の原料(以下「原料A」と呼ぶ)、剥皮せずに家庭
用ジューサーミキサー(MJ−C38型,松下電器
(株)製)を用いて室温で、10秒間磨砕したペースト
状の原料(以下「原料B」と呼ぶ)、90℃のお湯に2
秒間浸漬後剥離した固形状の原料(以下「原料C」と呼
ぶ)、90℃のお湯に2秒間浸漬後剥離した固形状の原
料(原料C)を原料Bと同様にして磨砕したペースト状
の原料(以下「原料D」と呼ぶ)の各原料を、真空凍結
乾燥器(共和真空凍結乾燥装置RLE−103型,共和
真空技術(株)製)を用いて乾燥させた。
【0020】この乾燥においては、各原料をそれぞれ専
用のアルミニウム製バット(30×45×2.5cm)
に入れ、専用の温度センサを試料に差し、真空凍結乾燥
器に設置している運転,記録計,冷凍機,棚冷却,棚温
制御などのスイッチを作動させた。品温が棚温(−30
℃)に達したらトラップ冷却のスイッチを作動させた。
コールドトラップ温度が−40℃に達したら真空計と真
空ポンプのスイッチを作動させ、引口弁を全開にした。
真空計が10.1〔Pa〕に達したら棚温制御(−40
℃の条件下で凍結,+20℃の条件下で保存)を開始さ
せ、棚加熱のスイッチを作動させた。およそ48時間後
に真空凍結乾燥が終了していることを確認した後、棚温
制御と棚加熱のスイッチを切り、引口弁を閉め、真空を
解除した後に試料を取出した。再び引口弁を全開し、真
空計が600〔Pa〕以下であることを確認して引口弁
を閉めた。真空ポンプ,トラップ冷却,冷凍機,記録計
などのスイッチを切り、注水弁を開き、融氷スイッチを
作動させた。庫内に付着した氷が融解したことを確認し
てドレーン弁を全開して排水し、融氷,運転のスイッチ
を切った。なお、庫内を完全に乾燥させるため、扉とド
レーン弁は全開させておいた。
【0021】次に、真空凍結乾燥させたミニトマト(原
料A〜D)を、ハイバリヤフィルム袋(CANSFIL
EM F,四国化工(株)製)に入れて窒素ガス充填し
てからヒートシールをして、5℃以下のもとで約1週間
以上静置した。そして、この静置させた後のミニトマト
(原料A〜D)の粉砕を行った。各原料を家庭用ミル
(MJ−C38型,松下電器(株)製)を用いて粉砕し
た。粉砕後は、同様にハイバリヤフィルム袋に入れて窒
素充填しヒートシールをして、−20℃の冷凍庫内で保
存した。ここで、原料A〜Dから調製した粉末をそれぞ
れ粉末A〜Dと呼ぶ。
【0022】これらの粉末について、以下の項目につい
て測定した。 (1)粒子径の測定 実体顕微鏡(HFX−II,ニコン(株)製)とカメラ
(FX−36WA,ニコン(株)製)を用いて、各粉末
(A〜D)につき5枚の白黒写真を撮影した。倍率は、
222.2倍であった。パーソナル画像処理・解析装置
(ドットアナライザーDA−5000R,王子計測機器
(株)製)を用いて典型的な粒子形を示す写真を1画像
(512×475画素)として入力し原画像を得た。こ
の時の照度は1670(ルックス)であり焦点距離は5
7cmであった。粒子の輪郭が明確になるしきい値(8
bit)を設定して2値化した。尚、試料A〜Dのそれ
ぞれのしきい値は207,207,236,236であ
った。これらの輪郭の画像を試料粉末の断面図形とし
た。粒子の特徴量としてフェレ径(X)〔μm〕,フェ
レ径(Y)〔μm〕,外接円直径の内接円直径に対する
比である楕円率〔−〕を求めた。また、ラフネス〔−〕
を次式によって求めた。 ラフネス=周囲長[mm]/包絡周囲長[mm] (1)
【0023】(2)色特性の測定 色彩色差計(反射物体色用CIE表色系拡散照明垂直受
光方式デジタル色彩色差計,CR−100型,ミノルタ
(株)製)を用いて、各粉末(A〜D)の国際照明委員
会CIE表色系の明度L* ,赤緑色度a* ,青黄色度b
*,赤色度a */b* を測定した。試料には、4種のミニ
トマト粉末とそれぞれの10重量%水溶液を用いた。 (3)ミニトマト粉末のpH測定 pHメーター(カスタニー LAB pHメーターF−
23, (株)堀場製作所製)を用いて、各ミニトマト粉
末の10重量%水溶液の室温におけるpHを測定した。
【0024】(4)成分の定量 100℃に調節した乾燥機(EYELA WFO−45
0D,東京理科器械(株)製)に、アルミニウム製秤量
容器(φ52mm×H25mm)を入れ、1時間加熱後
にシリカゲルを入れたデシケータに移し、45分間放冷
した後、0.1mgまで秤量(W0 )した。粉末A〜D
を0.1mgまで秤量(W1 )し、乾燥機が100℃に
達してから3時間乾燥後、デシケータに移して放冷し、
秤量(W2 )した。試料の水分含量〔%,w/w〕は次
式により求めた。 試料の水分含量=(W1 −W2 )×100/(W1 −W0 ) (2) ミニトマト粉末の還元糖含量は、各試料を10重量%水
溶液にし、ソモギーネルソン法により測定し、グルコー
ス量として求めた。ミニトマト粉末のアスコルビン酸含
量は、各試料を10重量%水溶液にし、ヒドラジン比色
定量法により測定し、全アスコルビン酸含量、L−アス
コルビン酸含量、デヒドロ−L−アスコルビン酸含量を
求めた。ミニトマト粉末の遊離アミノ酸組成は、各試料
を10重量%水溶液にし、全自動高速液体クロマトグラ
フ(JLC−300,日本電子(株)製)を用いて分析
した。すなわち試料1.00gを蒸留水9.00gに溶
解させ、20℃で20,000×g,10分間遠心分離
して上清液を得た。これを孔径0.45μmのクロマト
ディスク(13A,(株)バイオフィールド製)で限外
ろ過してから2.5mlに定容し、50重量%スルホサ
リチル酸水溶液1mlを加えてアミノ酸組成分析用試料
とした。分離カラムにはポリエチレン樹脂(スチレン・
ジビニルベンゼン共重合体)にスルホン酸基を導入した
イオン交換樹脂を充填したパックドカラム(6φ×90
mm,標準仕様)を用いた。緩衝液には栄研化学(株)
製のリチウム系緩衝液(クエン酸リチウム緩衝液1:
pH2.93,クエン酸リチウム緩衝液2:pH3.
28,クエン酸リチウム緩衝液3:pH3.46,
クエン酸リチウム緩衝液4:pH2.83,クエン酸
緩衝液5:pH3.65,0.3N水酸化リチウム
液)を用いた。発色試薬にはニンヒドリン試液(日本電
子200A型アミノ酸分析機用ニンヒドリン試液:ワコ
ーニンヒドリン試液−200Aセット,和光純薬工業
(株)製)を用いた。
【0025】上記の測定結果および考察について示す。 1.ミニトマト粉末の粒子径 ミニトマト粉末の実体顕微鏡像から粉体の粒子径を表す
フェレ径、輪郭の滑らかさを表すラフネス、粒子の形状
を表す楕円率について計測した。結果を図7(表3)に
示す。粉末Aと粉末Bは、粉末Cと粉末Dと比較してフ
ェレ系の標準偏差が大きいことから粒子径の大きさには
かなりばらつきがあることが分かった。また、粉末Cと
粉末Dは、粉末Aおよび粉末Bと比較するとフェレ系の
標準偏差が小さく、粒子の大きさがそろっていた。楕円
率は1に近いほうが真円に近いが、これも粉末Aと粉末
B、粉末Cは標準偏差が大きいので円形の粒子が多いも
のの楕円形の粒子も存在していることが分かった。粉末
Dの楕円率は標準偏差が最も小さく、円形の粒子が多く
含まれていた。ラフネスは全試料とも1に近く、標準偏
差も小さいことから全試料とも滑らかな輪郭を持つこと
が分かった。
【0026】2.ミニトマト粉末の色特性 色特性の測定結果を図8(表4)に示す。粉末Bがもっ
とも赤色度(a* /b* )が高く、粉末Aがもっとも低
かった。粉末Cと粉末Dはほぼ同じ赤色度をした。一
方、各粉末を10重量%水溶液にした場合、粉末Bが最
も赤色度が高く粉末Cが最も低かった。以上の結果か
ら、ペースト状のミニトマトから調製した粉末の方が固
形状のミニトマトから調製した粉末よりも赤色度が高
く、また剥皮せずに調製した粉末の方が剥皮して調製し
た粉末よりも赤色度が高いことがわかった。ペースト状
のミニトマトから調製した粉末の方が固形状のミニトマ
トから調製した粉末よりも赤色度が高いのはジューサー
内でのせん断による発熱によって褐変が生じているから
であると思われる。剥皮せずに調製した粉末の方が剥皮
して調製した粉末よりも赤色度が高いのはミニトマト果
皮の色に起因するものだと思われる。また、水溶液状態
のほうが粉末状態よりも赤色度が高いのは赤色色素であ
るリコピンが系に均一に存在するためであると思われ
る。
【0027】3.ミニトマト粉末のpH 各粉末を10重量%水溶液にした際のpHは、試料A,
B,Dで3.9、試料Cで4.0であった。 4.ミニトマトの成分 水分含量,還元糖量,L−アスコルビン酸含量の測定結
果を図9(表5)に示す。粉末A〜Dの水分含量は全て
20.0%(w/w)であった。粉末A〜Dの還元糖量
は全て1,510mg/100g固形分であった。粉末
AではL−アスコルビン酸含量が多く、デヒドロ−L−
アスコルビン酸含量が少なかった。乾燥・粉砕での工程
数が増える毎にL−アスコルビン酸含量が減少しデヒド
ロ−L−アスコルビン酸含量が増加した。遊離アミノ酸
量の測定結果を図10(表6)に示す。遊離アミノ酸の
うち必須アミノ酸の全量では、色特性と類似した傾向で
あり粉末Bが最も多かった。中でもスレオニン含量が多
く、生ミニトマトについても同じことがいえることから
ミニトマトの特徴といえる。食品素材としては成分、特
にL−アスコルビン酸及び必須アミノ酸の含量が多い粉
末Bが適切であると思われた。
【0028】上記の結果を要約すると、ミニトマトの固
形分含量はおよそ10重量%であり、粉末化することに
よりミニトマトを食品素材として利用する場合に貯蔵性
を高めるとともにその体積を約1/10に減少させるこ
とができる。本実験で調製したミニトマト粉末の平均粒
子径は10〜20μmであり、粉体(powder)の
定義とされる100μm以下であるので粉体である。ま
た、ミニトマトを剥皮せずに調製した粉末は粒子径の大
きさにかなりばらつきがあった。粉末粒子は、円形状の
ものがほとんどであるが楕円形のものも存在し、その輪
郭は全体的に滑らかであった。ミニトマト粉末は、生の
ミニトマトよりも赤色度が低下するが、元の量の水分
(真空凍結乾燥で昇華させた水分)を加えることで生の
ミニトマトよりも赤色度を呈することが分かった。ミニ
トマト粉末のpHと還元糖含有は、生のミニトマトの場
合とほぼ等しかった。L−アスコルビン酸含量と遊離ア
ミノ酸中の必須アミノ酸含量は生トマトと同等かそれ以
上であることが分かった。粉末Bでは赤色度が高く、L
−アスコルビン酸含有と必須アミノ酸含量が多かった。
よって、食品素材としては粉末Bが適切であると思われ
た。
【0029】尚、上記実施の形態及び各実施例において
は、青果物としてミニトマトについて本発明を適用した
が、必ずしもこれに限定されるものではなく、各種の野
菜や果実等の青果物に本発明を適用して良いことは勿論
である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の粉末青果
物の製造方法によれば、真空凍結乾燥工程と粉砕工程と
の間に、乾燥された青果物を所定時間静置する静置工程
を設けたので、この静置工程によって、糖の結晶化を充
分に行なわせることができ、そのため、特に添加物を使
用しなくても粉砕処理して得られた粉末青果物のべとつ
きを抑制して、流動性の向上を図ることができる。そし
て、静置工程で乾燥された青果物が、X線回折装置によ
り所定の測定条件でX線回折強度を測定したときに、所
定強度を示すように青果物を乾燥させる構成とした場合
には、測定値が所定範囲に至るように静置すれば、糖の
結晶化が充分に行なわれ、そのため、粉砕処理して得ら
れた粉末青果物のべとつきを抑制して流動性の向上を図
ることができる。そしてまた、静置工程を10℃以下の
温度で行なう場合、5℃以下の温度で行なう場合、氷点
温度以下の温度で行なう場合、−20℃以下の温度で行
なう場合には、低温で保持するので、糖の結晶化をより
一層促進させることができる。特に、温度が低い程、そ
の効果が高い。
【0031】また、上記静置工程を不活性ガスの雰囲気
中で行なう場合には、湿気のない雰囲気にすることがで
きるとともに、成分の酸化を防止することができるの
で、より一層、糖の結晶化の環境を向上させることがで
きる。更に、真空凍結乾燥工程において、青果物の乾燥
を乾燥終了時の青果物の水分含有率が20〜25重量%
の範囲になるように行なう場合には、凍結乾燥による水
分量を比較的高く保持するので、糖の結晶化の環境を向
上させることができるとともに、ビタミンC等の有用成
分の破壊や色素の退色を抑制できる。更にまた、真空凍
結乾燥工程において、青果物の乾燥を20℃以下の温度
で行なう場合には、低温の環境で乾燥させるので、ビタ
ミンC等の有用成分の破壊を確実に抑制することがで
き、青果物の有用成分の保持を向上させることができ
る。また、真空凍結乾燥工程の前に、生の青果物を磨砕
する磨砕工程を設けた場合には、静置工程においても磨
砕させられた乾燥状態で静置されるので、糖の結晶化に
ムラが生じることを防止することができ、そのため、粉
砕した後の粉末粒子を均一化することができ、より一
層、流動性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る粉末青果物の製造方
法を示す工程図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る粉末青果物の製造方
法において、真空凍結乾燥工程の温度条件を示すグラフ
図である。
【図3】糖のX線回折パターンを示すグラフ図である。
【図4】各種条件で製造した粉末ミニトマトの評価カテ
ゴリー毎のX線回折ピーク強度値(平均)を示す表図で
ある。
【図5】特定の回折角度における流動性の評価カテゴリ
ー毎のX線回折ピーク強度値を示すグラフ図である。
【図6】本発明の実施例に係るミニトマト粉末のX線回
折結果を示す表図である。
【図7】本発明の実施例に係るミニトマト粉末の粒子径
の測定結果を示す表図である。
【図8】本発明の実施例に係るミニトマト粉末の色特性
の測定結果を示す表図である。
【図9】本発明の実施例に係るミニトマト粉末の水分含
量,還元糖量,L−アスコルビン酸含量の測定結果を示
す表図である。
【図10】本発明の実施例に係るミニトマト粉末の遊離
アミノ酸量の測定結果を示す表図である。
【符号の説明】
(a) 磨砕工程 (b) 真空凍結乾燥工程 (c) 静置工程 (d) 粉砕工程
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年7月14日(1999.7.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】そして、上記静置工程を、該静置工程で乾
燥された青果物が、X線回折装置により、測定条件を 走査範囲 5〜50° スキャンスピード 2°/min スキャンステップ 0.02° 走査軸 2θ/θ 試料セルの回転速度 30〔rpm〕 にして強度を測定したときに、 2θ=21°における強度が96〔cps〕以上 2θ=20°における強度が96〔cps〕以上 2θ=19°における強度が96〔cps〕以上 の少なくともいずれか1つの強度を示すように該青果物
を乾燥させる構成としている。ここで、2θ=21°
は、D−グルコース(D−Glucose)の結晶粉末
において高い強度を示す角度の内の1つ、2θ=20°
は、D−フルクトース(D−Fructose)の結晶
粉末において高い強度を示す角度の内の1つ、2θ=1
9°はスクロース(Sucrose)の結晶粉末におい
て高い強度を示す角度の内の1つであり、いずれの角度
も流動性の高い指標として相関が良い角度として、選択
されたものである。尚、D−グルコース,D−フルクト
ース並びにスクロースは青果物に広く存在する糖として
知られている。従って、測定値が上記の範囲に至るよう
に静置するので、糖の結晶化が充分に行なわれ、そのた
め、粉砕処理して得られた粉末青果物のべとつきが抑制
され、流動性の向上が図られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】そしてまた、上記静置工程を、10℃以下
の温度で行なう構成としている。10℃を越える環境で
は、結晶化の促進が図りにくい。特に、上記静置工程
を、5℃以下の温度で行なう。低温で保持することによ
り、糖の結晶化が促進される。この場合、上記静置工程
を、氷点温度以下の温度で行なうことが有効である。特
に、上記静置工程を、−20℃以下の温度で行なうこと
が有効である。より一層、糖の結晶化が促進される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の粉末青果
物の製造方法によれば、真空凍結乾燥工程と粉砕工程と
の間に、乾燥された青果物を所定時間静置する静置工程
を設けたので、この静置工程によって、糖の結晶化を充
分に行なわせることができ、そのため、特に添加物を使
用しなくても粉砕処理して得られた粉末青果物のべとつ
きを抑制して、流動性の向上を図ることができる。そし
て、静置工程で乾燥された青果物が、X線回折装置によ
り所定の測定条件でX線回折強度を測定したときに、所
定強度を示すように青果物を乾燥させる構成としたこと
から、測定値が所定範囲に至るように静置するので、
の結晶化が充分に行なわれ、そのため、粉砕処理して得
られた粉末青果物のべとつきを抑制して流動性の向上を
図ることができる。そしてまた、静置工程を、5℃以下
の温度で行なう場合、氷点温度以下の温度で行なう場
合、−20℃以下の温度で行なう場合には、低温で保持
するので、糖の結晶化をより一層促進させることができ
る。特に、温度が低い程、その効果が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B016 LC03 LC06 LE02 LG11 LP01 LP08 LP13 4B022 LA05 LB06 LJ08 LR06 LR10 4B069 BA01 BA02 BA07 BA12 HA07 KA02 KB06 KC03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生の青果物を真空凍結乾燥機によって乾
    燥する真空凍結乾燥工程と、該真空凍結乾燥工程で乾燥
    された青果物を粉砕して粉末青果物を得る粉砕工程とを
    備えた粉末青果物の製造方法において、 上記真空凍結乾燥工程と粉砕工程との間に、乾燥された
    青果物を所定時間静置する静置工程を設けたことを特徴
    とする粉末青果物の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記静置工程を、該静置工程で乾燥され
    た青果物が、X線回折装置により、該X線回折装置の測
    定条件を 走査範囲 5〜50° スキャンスピード 2°/min スキャンステップ 0.02° 走査軸 2θ/θ 試料セルの回転速度 30〔rpm〕 にしてX線回折強度を測定したときに、 2θ=21°における強度が96〔cps〕以上 2θ=20°における強度が96〔cps〕以上 2θ=19°における強度が96〔cps〕以上 の少なくともいずれか1つを示すように該青果物を乾燥
    させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の粉末
    青果物の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記静置工程を、10℃以下の温度で行
    なうことを特徴とする請求項1または2記載の粉末青果
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記静置工程を、5℃以下の温度で行な
    うことを特徴とする請求項3記載の粉末青果物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 上記静置工程を、氷点温度以下の温度で
    行なうことを特徴とする請求項4記載の粉末青果物の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 上記静置工程を、−20℃以下の温度で
    行なうことを特徴とする請求項5記載の粉末青果物の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 上記静置工程を、不活性ガスの雰囲気中
    で行なうことを特徴とする請求項1,2,3,4,5ま
    たは6記載の粉末青果物の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記真空凍結乾燥工程において、青果物
    の乾燥を乾燥終了時の青果物の水分含有率が20〜25
    重量%の範囲になるように行なうことを特徴とする請求
    項1,2,3,4,5,6または7記載の粉末青果物の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 上記真空凍結乾燥工程において、青果物
    の乾燥を20℃以下の温度で行なうことを特徴とする請
    求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の粉末青
    果物の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記真空凍結乾燥工程の前に、生の青
    果物を磨砕する磨砕工程を設けたことを特徴とする請求
    項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載の粉末
    青果物の製造方法。
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