JP2000082763A - 窒化アルミニウム基板 - Google Patents

窒化アルミニウム基板

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JP2000082763A JP11142547A JP14254799A JP2000082763A JP 2000082763 A JP2000082763 A JP 2000082763A JP 11142547 A JP11142547 A JP 11142547A JP 14254799 A JP14254799 A JP 14254799A JP 2000082763 A JP2000082763 A JP 2000082763A
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英樹 佐藤
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裕 小森田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度エネルギー法例えばレーザー加工を施
しても秀れた耐電圧特性を発揮でき、しかも半導体素子
用基板として有効に活用できる窒化アルミニウム基板を
提供する。 【解決手段】 窒化アルミニウム基板に高密度エネルギ
ー化合を施した後、1000〜1800℃で熱処理する
ことにより、該基板表面にアルミニウムの酸化物、窒化
物又は酸窒化物からなる群及び/又は該窒化アルミニウ
ム基板の焼結助剤の酸化物、窒化物又は酸窒化物の群か
ら選ばれた少なくとも1種を含む化合物を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
基板に関する。
【0002】
【従来の技術】年を追って拡大の一途を辿ってきたセラ
ミックスの利用範囲の中で、電子部品分野は重要な位置
を占めるに至っており、半導体基板も重要な用途になっ
ている。そのうち窒化アルミニウムセラミックスを半導
体用基板に適用する技術は、最近開発され実用化の域に
達しているものの、細部についてはなお勢力的な研究が
進められているのが現状である。
【0003】今後特に特化される分野が量産化技術であ
る。そこで、今回この量産化技術について種々工夫した
経過を半導体基板の量産技術を例に上げて説明する。先
ず、通常の半導体基板の製造方法について説明する。
【0004】大きさが長さ10mm×幅10mm×厚さ
0.7mmのセラミック基板を用意する。次にこの基板
にメタライズ層を形成する。そして、その上に無電解メ
ッキを形成する。更に、メッキ上の一部にシリコン半導
体チップをマウントし、メッキ層の他部とボンディング
ワイヤーにより電気的に接続し、更に、樹脂による保護
層を被覆してトランジスタモジュールを形成する。
【0005】そこで本願発明者らは、次の事に気が付い
た。まず小さい基板ごとにこのような工程を行うのは得
策でないこと。また半導体基板が小型になるにつれて歩
留まりが悪くなることである。
【0006】そこで本願発明者らは、大型のセラミック
基板を使用する方法を考案した。即ち、この方法は大型
のセラミックス基板を処理する数個の工程からなる。ま
ず、大型のセラミックス基板を用意する。この基板にメ
タライズ層を各半導体基板ごとのパターンの部分にそれ
ぞれ設ける。次にその上に無電解メッキ層を被着させ
る。更に、このセラミック基板を各半導体基板ごとに分
割し、更にまた、半導体基板のメッキ上に半導体チップ
をマウントし、半導体チップとメッキ部分とにボンディ
ングワイヤーを設ける。次に必要な場合、樹脂などで被
着して最終製品のトランジスタモジュールとなる。
【0007】この場合、所定の寸法に基板を分割する方
法としては、高密度エネルギー加工法が利用される。高
密度エネルギー法としては、例えばレーザー法や電子ビ
ーム法があり、電子ビーム法より装置が簡単かつ安価な
レーザー法が好ましい。
【0008】レーザー法は、基板の予定した部分に直接
レーザー光を照射して複数の穴、または孔及び/又は溝
(今後これらを加工部と呼称する)を形成し、そしてメ
ッキ工程後加工部に沿って基板を切断する方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような窒化アルミ
ニウム基板表面に加工部を高密度エネルギー法により形
成すると、高密度エネルギーにさらされた被処理表面近
くに金属アルミニウムの析出が発見された。ところで、
この金属アルミニウムの存在が半導体基板の特性の低下
に顕著にきいてくる事を発見した。即ち、電子部品とし
て必要な電気伝導層としてメッキ層で基板を被覆する
が、その際金属アルミニウムもメッキされ、電子部品と
して使用する基板に求められる耐電圧特性を損なう。ま
た、もっともメッキされない金属アルミニウムだけでも
耐電圧特性を低下させることが判明した。
【0010】そこで、金属アルミニウムを除去する方法
を本発明者らは試作した。これは、ホーニングによる機
械的な手段と、水中に設置した基板をレーザーで照射す
る方法である。しかし、前記では、金属アルミニウムを
完全に除去したかどうかを証明するのが難しく、後者に
あっては、要求されるシステムが複雑になる不利益が避
けられない。
【0011】本発明は、このような事情により成された
もので、下記の事項を目的とするものである。先ず。第
1には、窒化アルミニウム基板を形成する際に生ずる欠
点を除去し、第2には、この簡便な方法により所定の耐
電圧特性を保有する窒化アルミニウム基板を形成する事
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】高密度加工法によって加
工された部分(複数の穴または孔及び/または溝)を有
する窒化アルミニウム基板において、加工された基板を
1000℃〜1800℃の温度で加熱することによりそ
の加工部付近に再凝固層を有し、その再凝固層がアルミ
ニウムの酸化物、窒化物または、酸窒化物からなる群及
び/または該窒化アルミニウム基板の焼結助剤からなる
群から選ばれて構成された化合物に本発明に係わる窒化
アルミニウム基板の特徴がある。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係わる窒化アルミニウム
基板は、高密度エネルギー加工により加工部を形成する
加工工程及び切断工程によって製造されるが、特に、加
工工程について説明する。
【0014】窒化アルミニウム基板を所定の寸法に切断
するのに先立って、その表面に施す高密度エネルギー加
工例えばレーザー加工により金属アルミニウムが形成さ
れるのは、上記の通りである。しかし、これに続く10
00℃〜1800℃の熱処理工程により金属アルミニウ
ムが消滅して、しかもアルミニウムの酸化物、窒化物ま
たは酸窒化物からなる群及び/または窒化アルミニウム
の焼結助剤の酸化物、窒化物または酸窒化物からなる群
から選定した少なくとも1種類の化合物から再凝固層が
形成される事実が判明した。この場合、窒化アルミニウ
ムの焼結助剤としては例えばイットリウム及びカルシウ
ムなどがある。
【0015】本発明は、この事実を基にして完成したも
ので、高密度加工法を施しても、新たな導電層が形成さ
れず、耐電圧特性に秀でた窒化アルミニウム基板が得ら
れる。
【0016】即ち、本願発明の方法は、高密度エネルギ
ー加工後、加熱(1000℃〜1800℃)する事によ
り金属アルミニウムを除去する所に特徴がある。この場
合加熱は大気中か窒素中が好ましい。
【0017】
【実施例】本発明に係わる窒化アルミニウム基板は、溝
などの加工部の形成工程に高密度エネルギー加工を利用
するが、高密度エネルギー加工法は、穴の形成及び切断
にも使用する場合がある。
【0018】本発明に係わる実施例を説明するのに提出
する図1乃至図4は必要な電子顕微鏡写真である。図1
は窒化アルミニウム基板をレーザー処理により加工部形
成工程を行った後の断面図を400倍に拡大した電子顕
微鏡写真である。レーザーで形成した穴の断面図は、ほ
ぼ逆三角形で、窒化アルミニウム基板の厚さの1/3よ
り多少浅い深さを持っている。
【0019】この図面は、図6bにあるように、窒化ア
ルミニウム基板1に形成した加工部2(連続的な穴)に
沿った断面写真を示している。この写真から分かるよう
に、いくつかの輝く部分[例えば図1の部分(1)]が
窒化アルミニウム基板の穴の表面に存在する。
【0020】この部分は、金属アルミニウムで構成され
ていた。なお、この場合、高密度エネルギー加工法とし
てレーザー加工法が用いられ、ピークパワー(10K
W)の“YAG”レーザーが使用された。
【0021】図2はレーザにより加工部形成加熱(約1
600℃)した窒化アルミニウムの断面部を示す400
倍の電子顕微鏡写真である。ここに示されている窒化ア
ルミニウム基板の穴の表面からは金属アルミニウムが消
滅していることが確かめられた。この穴の表面にはいく
らか輝いている部分(3)が見うけられるが、これらは
再凝固層であり、絶縁性を示す部分であった。またその
部分の粒界は、はっきりと形成されており、周りの窒化
アルミニウム基板のものと違った構造を持っているのが
明瞭である。
【0022】図3は図1における(a)の部分を拡大し
たのがこの写真であり、加工部をレーザーで形成後の窒
化アルミニウム基板の断面図を4000倍に拡大した電
子顕微鏡写真である。図3bにおいて穴の表面に輝いて
いるのが、部分(1)金属アルミニウムであり、(2)
がAlNである。
【0023】図4は図2の(b)を拡大したものであ
る。この図は、窒化アルミニウム基板にレーザー加工部
を形成後約1600℃で加熱した窒化アルミニウム基板
の部分断面を4000倍に拡大した電子顕微鏡写真であ
る。この図に見られるように粒状の再凝固層(3)(3
23 ・5Al23 と表示した)は、窒化アルミニ
ウム基板の元の組織に隣接して成長しており、厚さは、
約2〜3μmである。
【0024】図5は、縦軸がAl−Kβスペクトル強
度、横軸が波長を示すEPMA(Electron P
robe Mictro Analyzer)図であ
る。曲線イは図1に(a)と示した穴の表面の輝かしい
部分の測定結果、曲線ロは、図1で(2)とした窒化ア
ルミニウム基板の測定結果、曲線ハは、図2bに(1)
とした穴の表面の輝いた部分の測定結果である。
【0025】曲線イは、86.56にピークがある。こ
の曲線は、金属アルミニウムを示すものである。曲線ロ
は、86.64にピークがありそして87.28(a)
に膨らみがある。この曲線は、窒化アルミニウムを現す
ものである。曲線ハは、86.72にピークがあり、8
7.56(b)に膨らみがあり、アルミニウム・イット
リウム酸化物(3Y23 ・5Al23 )を現すもの
である。曲線ハに現れたイットリウム成分は、窒化アル
ミニウムの焼結助剤である。即ち、熱負荷が金属アルミ
ニウムに加えられると金属アルミニウムが消滅して絶縁
成分が得られる。
【0026】このように本発明の再凝固層は、アルミニ
ウム及び窒化アルミニウムの焼結助剤の酸化物などで構
成されていることは明らかである。これらの実験結果に
は示されていないが、窒化アルミニウムの焼結助剤の種
類、量、レーザー加工条件に依存して、酸化物、窒化
物、酸窒化物の夫々の形成量が決まる。
【0027】以上本願発明をメタライズ層に適用する場
合について述べてきた。しかし、本願発明はメタライズ
法以外の技術(金属直接接合法、厚膜法、薄膜法など)
などにも当然適用できる。そこで、このような本願発明
を銅直接接合基板[DBC基板(株)東芝商標]に応用
例を以下に説明する。即ち、レーザーにより窒化アルミ
ニウム基板を加工する。その際生じた金属アルミニウム
を消滅させるために1050℃〜1250℃の空気中で
加熱すると、加工部に存在する金属アルミニウムがアル
ミナに変換する。その後、窒化アルミニウム基板表面に
厚さ0.1mm〜1mmの銅板を乗せて1000℃〜1
100℃に保持した窒素中で10分間加熱して両者を接
合する。
【0028】この後は、加工部に沿って窒化アルミニウ
ム基板を分割して所定の大きさの分割基板を形成する
が、場合によっては銅板にメッキを施す。このような工
程で、空気中での加熱が不十分である場合には金属アル
ミニウムが全てAl23 に変化せず、加工部に導通部
分が残り、耐電圧などの基板の電気的特性が悪化する。
【0029】更に、厚膜基板に関する例を示す。窒化ア
ルミニウム基板+アルミナ層+厚膜の構成で、厚膜の種
類としては、Ag−Pb/Ag−Pt/Au/Cuなど
が適用できる。即ち、レーザーにより窒化アルミニウム
基板を加工する。その際生じた金属アルミニウムを消失
させるために1050℃〜1250℃の空気中で加熱す
ると、加工部に存在する金属アルミニウムがアルミナに
変換する。その後厚膜であるAuペーストを塗布し、9
00℃に維持した空気中で加熱して回路を形成する。窒
化アルミニウム基板に厚膜を形成するには、窒化アルミ
ニウム基板にメタライズ層を形成するのと同様な工程
(非酸化性雰囲気中で加熱)後Ag−Ptを塗布乾燥後
900℃に維持した窒素中で加熱して回路を形成するこ
ともできる。
【0030】このように、Alの酸化物と窒化物、窒化
アルミニウム基板の焼結助剤で構成する本発明に係わる
窒化アルミニウム基板のレーザー処理表面に形成される
再凝固層が明瞭に示されている。しかし、この実験結果
には示されていないが、レーザー処理条件によっては窒
化アルミニウム基板の焼結助剤に基ずく酸窒化物も形成
させる。
【0031】本発明の他の実施例を図6a、b及びcを
参照して説明する。図6aに示すように窒化アルミニウ
ム基板1は、厚さ0.635×2インチ角の寸法で熱伝
導率は、130W/mKの基板である。この基板は次に
レーザー加工し1インチ角の溝を設けた窒化アルミニウ
ム基板である(図6b参照)。この後、1600℃に維
持した窒素雰囲気中で一時間処理する(本願発明の加熱
処理)。更に基板は各部分に対応したパターンを設ける
工程に移行する。このパターニング工程によりメタライ
ズパターン3は、加工部(溝)2で区画された1インチ
角内に整理される。このパターンは、例えばMo、W及
びTi、Zr及びHfからなる4A族そしてTiOのよ
うな化合物から作られるペーストを使用するスクリーン
印刷により形成する。
【0032】次に、1700℃に維持する窒素混合雰囲
気により処理して第6cに示すようにメタライズパター
ン3を焼成する。引続いて、メタライズパターン3は図
示しない厚さ4μmのNi層を無電解メッキ法により被
覆する。この後、窒化アルミニウム基板1は、分割溝に
沿って切断された。各基板について、耐電圧試験を行っ
た結果、各基板は秀れた耐電圧値を示した。
【0033】
【発明の効果】このように、本発明に係わる窒化アルミ
ニウム基板は、高密度エネルギー法例えばレーザー加工
を施しても秀れた耐電圧特性を発揮でき、しかも半導体
素子用基板としても極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
各図面は原出願に準ずる。
【図1】図1は窒化アルミニウム基板にレーザ処理を施
して加工部形成工程を行った後の断面を示し、2個の穴
(底部が紙面の下方)及びこれ連続した金属組織の40
0倍の電子顕微鏡写真である。
【図2】図2はレーザにより加工部形成加熱(1600
℃)して得られる2個の穴(底部が紙面の下方)及びこ
れ連続した金属組織の400倍の電子顕微鏡写真であ
る。
【図3】図3は図1における(a)部分を4000倍に
拡大した金属組織の電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は図2における(b)部分を4000倍に
拡大した金属組織の電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は縦軸にスペクトル強度、横軸に波長を採
ったEPMA曲線である。
【図6】図6aは窒化アルミニウム基板の特定な部分を
示す図、図6bは溝として示された加工部を形成した窒
化アルミニウム基板の特定な部分を示す図、図6cは区
分された窒化アルミニウム基板の特定な部分を示す図で
ある。
【符号の説明】
1:窒化アルミニウム基板 2:スクライブライン 3:メタライズパターン

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム基板において、該基板
    表面にアルミニウムの酸化物、窒化物又は酸窒化物から
    なる群及び/又は該窒化アルミニウム基板の焼結助剤の
    酸化物、窒化物又は酸窒化物の群から選ばれた少なくと
    も1種を含む化合物を具備することを特徴とする窒化ア
    ルミニウム基板。
  2. 【請求項2】 該化合物にイットリウムが含まれている
    ことを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム基
    板。
  3. 【請求項3】 該窒化アルミニウム基板に穴又は溝が形
    成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の窒化アルミニウム基板。
  4. 【請求項4】 該化合物が穴、孔又は溝付近に形成され
    ていることを特徴とする請求項3記載の窒化アルミニウ
    ム基板。
  5. 【請求項5】 該化合物がアルミニウム・イットリウム
    酸化物であることを特徴とする請求項1ないし請求項4
    のいずれかに記載の窒化アルミニウム基板。
  6. 【請求項6】 該窒化アルミニウム基板は大型基板を切
    断することにより形成されたことを特徴とする請求項1
    ないし請求項5いずれかに記載の窒化アルミニウム基
    板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001261444A (ja) * 2000-03-24 2001-09-26 Toshiba Corp 窒化アルミニウム基板およびその製造方法

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