JP2000081163A - 調節弁を含む流体機器 - Google Patents

調節弁を含む流体機器

Info

Publication number
JP2000081163A
JP2000081163A JP11183804A JP18380499A JP2000081163A JP 2000081163 A JP2000081163 A JP 2000081163A JP 11183804 A JP11183804 A JP 11183804A JP 18380499 A JP18380499 A JP 18380499A JP 2000081163 A JP2000081163 A JP 2000081163A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seat ring
control valve
noise
fluid
valve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11183804A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasushi Nakashiba
安司 中芝
Kuniaki Seto
邦聰 瀬戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinkawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Shinkawa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinkawa Electric Co Ltd filed Critical Shinkawa Electric Co Ltd
Priority to JP11183804A priority Critical patent/JP2000081163A/ja
Publication of JP2000081163A publication Critical patent/JP2000081163A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lift Valve (AREA)
  • Details Of Valves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 産業用調節弁や絞り部等を持つ流体機器騒音
の低減及び防止を図る。 【解決手段】 弁箱にシートリングホルダ40が固定さ
れており、シートリングホルダ40にシートリング20
が固定されている。シートリング20は放射状孔21を
有する多孔型シートリングである。バルブステム62に
よって弁本体60が開閉される。流入口50から第1室
51に入った流体はシートリング20と弁本体60の隙
間から第2室52に入り、流出口53から出てゆき、騒
音・振動の低減に役立つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は調節弁を含む流体
機器に係り、特に圧縮,非圧縮性流体を取扱う流体機器
から発生する騒音・振動を低減した制振及び消音構造を
備えた調節弁を含む流体機器に関する。
【0002】
【従来の技術】 国内外の装置産業で使用される多くの
産業用調節弁の役割は、従来では単に流体の圧力,流量
を制御することにあった。近年においては環境問題への
対応から、本来の役割のうえに、制御の際に発生する騒
音の低減化が要求されるようになってきた。騒音低減に
関する研究においては、わが国よりも欧米が先行してお
り、特に騒音発生が著しい高温,高圧力域での実験的研
究が主体として行われてきた。その流体力学的メカニズ
ムは、調節弁縮流部における音速噴流によるジェットノ
イズ、液体では、キャビテーションノイズとして解明さ
れている。したがって、これらの騒音発生に対する回避
策として、調節弁構造を縮流部の流速が漸次制御できる
ように変更することにより、静音化する構造が採用され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の課題は、上
述した問題点を改善して、流体機器から発生する特異騒
音や流体騒音等を防止した構造を有する調節弁を含む流
体機器を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 しかしながら、調節弁
騒音は先述のような場合だけで発生するとは限らず、亜
音速流れ、特に低圧力域において、調節弁としては最適
制御範囲の70〜90%ストローク付近で時として発生
する、笛の音に似た耳障りな騒音が確認されている。こ
の現象は一度発生するとプラント自体の条件を変更する
か、調節弁自体の取替えをしない限り、現在のところ回
避できない。この騒音については、国内外で深く追求さ
れて研究された形跡がなく現在に至っており、その発生
メカニズムや調節弁構造上の有効な回避構造等は不明で
ある。
【0005】ここでは、調節弁騒音に関する流体仕様を
非圧縮,圧縮性流体の2つに分類して説明する。まず、
非圧縮性流体については、実公昭61−2382号公報
の「フーデッドデスクバルブの笛吹音発生防止装置」が
ある。この考案は、元々バルブ自体の持つ構造上から生
ずる流体の吹き出し流れによって形成される流体自体の
水膜が引き起こす笛吹音の防止装置である。この場合の
笛吹音は、シートリングと弁本体との隙間から垂直に吹
き上げる環状噴流が傘状の遮蔽板内側に衝突した後、円
錐状で重力落下する際に元の水面との間に円錐状水膜が
形成され、形成されたその水膜内部に生じる共鳴音であ
る。この騒音は水膜を形成しない構造にすれば防止可能
であり、この発明の対象とする騒音・振動とは原理的に
異なるものである。
【0006】又、高圧流体に於いてはキャビテーション
騒音が主体であり、キャビテーションを制御する構造が
いろいろ提案されている。最終的には内部流路での流体
流速を漸次制御して、騒音を低減する手段が採用されて
いる。
【0007】次に、圧縮性流体については、特に亜音速
以上の高速流体によって発生する調節弁騒音について
は、その発生する音の強さが流速にほぼ依存すること
が、これまでの研究成果から解明されている。その解決
手段として調節弁内部流速を一定速度以下に制御する構
造を流路に取り入れて静音化する方法が一般的に採用さ
れている。
【0008】高速流体によって発生する騒音は、発生源
によってジェット騒音、境界層騒音、はくり流騒音に分
類されており、それらの音の強さはすべて流速に依存す
ることが確認されている。但し、上記の高速流体騒音に
も、調節弁内部構造によって発生、増幅される共鳴音も
含まれることがある。これらの高速流体による共鳴音
は、他の大きな音響エネルギーを持つジェット騒音など
に隠されて表面化しないため、これまで特別な消音防止
構造は構築されていない。これらの亜音速以下の流体に
よって発生する調節弁騒音は、ジェット騒音等に比較し
て、その発生頻度や、音圧の強さ、研究者の興味等の点
から、これまで取り上げられなかった。その中でも、特
異な音圧ピークを持つ特異騒音については、全く未解決
のままである。
【0009】図1は調節弁装置の縦断側面図、第2図は
従来の単純型シートリングを示すもので、(イ)は平面
図、(ロ)は縦断側面図である。図1において、流入口
50から流入した所定圧力を有する流体は、第1室51
内に流入し、次に単純型シートリング10と弁本体60
との間隙から流出した流体は、第2室52内に流入し、次
に流出口53へ送出される。この際に、上述した間隙部
分で上述した騒音が発生する。流出口53から送出され
る流量は、上述した間隙を調節することにより、即ち弁
本体60に連動したバルブステム62を変位させること
により、調節される。図2における単純型シートリング
10は、従来の標準型と称される円筒形状であり、本発
明では比較対象とするため、本発明と共に試験に供され
る。この単純型シートリング10は、図2(イ),
(ロ)において、外形Dが51.5mm,内径dが28.
0mm,長さLは44.3mmである。弁本体当接傾斜面部
分11は、弁本体60との間隙を構成する一部領域で、
バルブステム62を締め切った場合には流体漏れがない
ように、密閉するために、面取りした形状が必要であ
る。この単純型シートリング10は、シートリングホル
ダ40を介在させて、固定されている。この種の単純型
シートリング10は、特異な音圧ピークを持つ騒音が大
きく、環境上問題があった。
【0010】第1の発明に係る調節弁を含む流体機器
は、シートリングを備えるグローブ型調節弁を含む流体
機器において、流れの乱れを抑制し、放射音響インピー
ダンスを増加するように、前記シートリングを多孔型シ
ートリングとしたものである。
【0011】第2の発明に係る調節弁を含む流体機器
は、シートリングを備えるグローブ型調節弁を含む流体
機器において流れの乱れを抑制し、放射音響インピーダ
ンスを増加するように、テーパ型シートリングとしたも
のである。
【0012】第3の発明に係る調節弁を含む流体機器
は、流れの乱れを抑制し、放射音響インピーダンスを増
加するように、回転タイプの調節弁又は絞り部を備える
ノズルあるいは流体機器の入口をテーパ型の形状とした
ものである。
【0013】即ち本発明の解決手段は、グローブ型調節
弁(玉形弁)の内部部品であるシートリングの形状を、
流れの乱れを制御し、放射音響インピーダンスを増加す
るように、多孔型シートリング20又はテーパ型シート
リング30としたものである。
【0014】グローブ型調節弁に限らず、回転タイプの
調節弁でもよいし、また絞り部を有するノズルあるいは
流体機器の入口を、テーパ型の形状とすることもある。
【0015】
【発明の実施の形態】 本発明の第1の実施の形態は、
図1・図3に示す如く多孔型シートリングを使用した調
節弁である。多孔型シートリング20は、2段の放射状
孔21を備える。これらの孔21は、内径と外径との間
を貫通する合計8個の放射状貫通孔で、第1室51に開
口している。この多孔型シートリング20は、例えば図
1に示された調節弁において単純型シートリング10と
取替えて使用される。
【0016】本発明の第2の実施の形態は、図1・図4
に示す如くテーパ型シートリングを使用した調節弁であ
る。第2の実施の形態のテーパ型シートリング30は、
図4に示すように、内径のテーパ部分31は、截頭円錐
面の形状をしている。
【0017】
【実施例】 本発明の第1実施例は、図1・図3に示す
如く多孔型シートリングを使用した調節弁である。多孔
型シートリング20は、2段の放射状孔21を備える。
これらの孔21は、内径と外径との間を貫通する合計8
個の放射状貫通孔である。さらに他方端に、弁本体当接
傾斜面部分11がある。この多孔型シートリング20
は、例えば図1に示された調節弁において単純型シート
リング10と取替えて使用される。
【0018】本発明の第2の実施例は、図1・図4に示
す如くテーパ型シートリングを使用した調節弁である。
第2の実施の形態のテーパ型シートリング30は、図4
に示すように、内径のテーパ部分31は、截頭円錐面の
形状をし、傾斜角q=13.6である。長さL,内径d,
外径Dは、上述した単純型シートリング及び多孔型シー
トリングと共通でL=44.3mm;d=28.0m
m;D=51.5mmである。
【0019】これら第1,2の実施の形態の形状構造が
弁本体60(図1)と多孔型シートリング20又はテー
パ型シートリング30との隙間から、一定の流体と調節
弁条件下でひとつの噴流形態で発生する微小じょう乱
(音が伝播する際に必要となる媒体の部分的な乱れ、主
に圧力変動を表現する。英語では、disturbance。圧縮
性流体力学(内部流れの理論と解析)理工学社 松尾一
泰著 九大教授 1994.11.10発行 P.2
6.上から17〜18行目)によるシートリング内部で
の共鳴と増幅を防止できることを、音が管やダクト内を
伝播する際に用いられる開口端補正理論と放射音響イン
ピーダンス理論を用いて立証した。開口端補正理論と
は、図5に示す如く端が開放の管内を音が伝播する時、
その開放端で音が反射し位相にズレを生じさせて基本と
なる管の長さが見かけ上長くなるため、これを補正する
理論である。
【0020】また、放射音響インピーダンス理論とは、
管やダクト内を伝播した音が開口端から放射される時、
先の開口端補正理論と同様に放射音の一部が音源側に反
射されることを明らかにした理論で、放射音響インピー
ダンスとは、この放射音に対する出口端(内部)の反射
の割合を指す。(機械工学便覧 A5流体工学 日本機
械学会編 1992.11.10発行 P.A5−13
4〜135右段下から2行目〜左段上から5行目)。
【0021】図5(イ),(ロ)に、上述した開口端補
正理論に従い、実験に供した各シートリング10,2
0,30の補正例を示す。図5中λは音の波長、fは音
の周波数で、音速をc(約340000mm/秒)とし
たとき、 c=λ・f の関係がある。
【0022】実験時の実験室内周囲条件は、平均温度2
2℃,平均大気圧1018hPaである。調節弁内部部
品の1つのシートリング内部流路形状を、特異騒音の発
生が確認されている従来の単純型シートリング10に加
えて、新たに発明した多孔型シートリング20及びテー
パ型シートリング30とを製作して、騒音発生の比較実
験をした。
【0023】実験は以下の内容を持つ装置および手順,
方法で実施した。実験装置は、実用の調節弁流量特性実
験に転用可能な装置で、図6のコンプレッサ70,エア
タンク71,圧力調節弁72,サイレンサ73,吸音材
を内部に装着した集合胴74,実験用調節弁65および
背圧負荷部からなる閉ループとして構成されている。パ
イプラインは、エアタンク71よりも下流側は25.4
mmの実験用調節弁65を除き、JIS10K、スケジュ
ール、NO.20番の38.1mmの鋼管で接続されてい
る。
【0024】音響測定用は、1/4インチのコンデンサ
マイクロホン(B&K製)80を実験用調節弁65の下
流、流れに対して直角に水平から30度の仰型および実
験用調節弁65の出口から0.2mの位置に設置した。
そして20kHzバンドのフラット特性の計測用増幅器
(B&K製)81とFFTアナライザ82を音圧レベル
と周波数分析用として使用した。
【0025】圧力測定は、15連の水中マノメータ75
および圧力サンサ76として拡散形半導体圧力トランス
デューサ(トヨダ工機製)を使用した。圧力センサ76
の出力を圧力測定用直流増幅器77を介して圧力測定及
びFFTアナライザ制御用コンピュータ78に接続し
た。
【0026】流れの可視化用に、デジタル高速度カメラ
83とこの出力を入力する各種の画像処理装置(フォト
ロン製FASTCAM-ultima-3他)とを用いた。各種の画像処
理装置とは、メモリユニット84,モニタ85,フレー
ムメモリユニット86,ビデオレコーダ87,画像解析用
コンピュータ88,ビデオプリンタ89等である。
【0027】次に、実験用調節弁65は、1インチ単座
型グローブバルブのボディをアクリル樹脂でモデル化
し、内部部品には実用のSUS316材質弁本体とシート
リングが装着されている。
【0028】今回実験対象にしたグローブ型単座式調節
弁は別名玉型弁とも呼ばれ、弁本体形状でイコールパー
セント,リニア,オン−オフの固有流量特性を持たせるこ
とができる実用上最も多く使用されている機種である。
【0029】その流量特性の中で特異騒音が確認されて
いるイコールパーセント特性の実用基準弁本体を2個用
いて実験に採用した。実用基準弁本体の寸法は図8にお
いて、M=26mm,N=17mm,Q=3.5mm,
T=5.5mm,U=F27.85mm,W=F32.0
0mm,Y=77°,Z=60°である。1つの実用基
準弁本体には弁本体周りの静圧分布測定に使用するた
め、図7に示すように、図1の弁本体60先端に0.2
mmの全圧孔TPおよび弁本体壁面に0.2mmの静圧孔S
P1〜SP6が水平方向に約60度ごとに、全圧孔TP
側から天に向けて図1の鍔61まで4mm間隔で6箇所に
開削した。特異騒音の比較実験用のシートリングとして
単純型シートリングの他に、今回開発した特殊加工形状
の多孔型シートリング及びテーパ型シートリングを準備
した。
【0030】他方の実用基準弁本体は、表面に照明反射
防止用のつや消し塗料を塗布して、高速度カメラ83に
よる流れの可視化実験に用いた。これらの部材を実験用
調節弁65に組み込み、実験用調節弁65へ導入する流
体条件を1.0kPaから10.0kPaまで1.0k
Pa(以降、この条件を流体条件と呼ぶ)毎および実験
用調節弁の条件を1.0kPaごとに調節弁の全開位置
(図8)から全閉位置(図9)までの弁開度(弁のリフ
ト量)をパーセント表示して、全開時の100%から6
2.5%まで全閉方向にセット(以降、この条件を調節
弁条件と呼ぶ)し、流体条件及び調節弁条件でそれぞれ
の実験を先の測定機器を使用して実施した。実験手段と
して、音響,圧力測定を同時測定し、高速度カメラ83
による画像撮影はその後実施した。
【0031】実用の調節弁特性試験装置と特異騒音の発
生が確認された調節弁を模した図6の実験装置と図1の
実験用調節弁を製作して現象を再現させ、今回発明した
多孔型シートリング及びテーパ型シートリングを装着し
て、エアを試験流体にして特異騒音の防止と消音効果を
実験により確認した。ここで使用した試験流体は、脱湿
された清浄エアである。
【0032】次に実験方法について説明する。コンプレ
ッサ70によって加圧した空気をエアクーリングセパレ
ータとエアドライヤ,ミストフィルタを通して清浄化し
た後、約3mのエアタンク71に貯蔵する。貯蔵した
清浄エアを圧力調節弁72で各流体条件ごとに圧力制御
し、サイレンサ73や消音材を内張りした集合胴74を
経て実験用調節弁65の入口へ導入した。
【0033】音響測定は、清浄エアを流体条件(1.0
kPa〜10.0kPa)ごとに実験用調節弁65へ導
入し、調節弁65の条件(弁開度%)ごとに測定して、
周波数解析と音圧評価を行った(図10〜図12)。図
中、S.P.LはSoundPressure Levelの頭文字を取っ
たもので、音の強さを実効音圧で表したもので音圧レベ
ルと呼ばれる。
【0034】同時に、全圧孔と静圧孔を持つ実用基準弁
本体を60度ごとに回転させ、弁本体60の周りの水平
と垂直方向の静圧分布を15連水中マノメータ75によ
り1mm単位で測定した(水平方向圧:図13〜図14,
垂直方向圧:図15〜図17)。これらの実験は、全て
実験用調節弁65の入口までの管内に騒音源がないこと
を確認した後に、実施した。
【0035】最後に、空気流路内に可視化用のカーボン
系微粒子を挿入し、実験用調節弁65の流れに直角方向
の図1の第2室52側面に焦点を当て、デジタル高速度
カメラ83で撮影を行った(図18〜図21)。撮影
は、9000コマ/秒で騒音発生時と未発生時の流体,
調節弁条件に絞って実施した。撮影画像では、使用した
実用基準弁本体につや消し塗料が塗布されているため黒
くなった。Kは光の陰になって暗くなり見えない範囲で
ある。
【0036】実験手順に沿ってそれぞれの結果に基づき
説明をする。図10〜図12の音響測定結果について説
明する。音響測定では、単純型シートリング10によっ
て発生する特異騒音だけに着目した。実験用調節弁から
は特異騒音だけでなく、弁箱(室)共鳴騒音も含まれる
が、これらは別の実験結果から音響原因が特定されてお
り、削除した。同時に計測される弁箱(室)等による共
鳴騒音はFFTアナライザによる実測データからは削除
できないため、図10乃至図12にはそれらも含めて表
示している。着目した特異騒音周波数列は実線で示し
た。
【0037】単純型シートリングから発生する特異騒音
の周波数は2.5〜2.6kHzで、この測定時の流体
条件は1kPa、調節弁条件は弁開度81.25%であ
る。
【0038】同一の流体条件及び調節弁条件下で、今回
発明した多孔型シートリング及びテーパ型シートリング
による騒音発生の比較結果を、図11〜図12に示し騒
音発生状態の差を明確にした。図10〜図12のスペク
トル分布は、図11の多孔型シートリングが図10の単
純型シートリングに比べ、特異騒音に対して低減効果を
持ち、他の弁箱(室)共鳴音についても同様の効果を持
つことを示している。一方、図12のテーパ型シートリ
ングは、全ての流体条件,調節弁条件のほぼ全域で特異
騒音を含む他の共鳴による騒音にも防止効果が出ること
を示している。また、図12のテーパ型シートリングの
スペクトル分布は、他の2つのシートリングのスペクト
ル分布に比較して、ピーク部の山がなだらかになってお
り、騒音発生防止効果がより大きいことを示している。
この図10〜図12の周波数50Hz付近で共通するピ
ークは、この実験室特有の無聴覚の暗騒音であり、暗騒
音スペクトル分布から今回の実験用調節弁騒音とは無関
係である。
【0039】次に、図13〜図14及び図15〜図17
の静圧測定用実用基準弁本体による弁本体周りの水平と
垂直方向静圧分布結果から、シートリング形状によって
特異騒音の発生時と未発生時の分布に大きな差が生じる
ことが示される。
【0040】図13〜14は、入口圧力5kPaの同一
の流体条件および複数の調節弁条件(弁開度)下での3
種類のシートリングによる水平方向静圧分布比較を示し
ており、この分布特徴は特異騒音が発生する単純型シー
トリング及び多孔型シートリングの形状では分布に歪が
生じ、未発生のテーパ型シートリングではほぼ均一な分
布になる違いを明確にしている。
【0041】この水平方向静圧分布で流れを等エントロ
ピと仮定した場合、全弁開度において単純型シートリン
グの静圧が多孔型シートリング及びテーパ型シートリン
グの各静圧より低くなっており、このことは単純型シー
トリングの場合が、多孔型シートリング及びテーパ型シ
ートリングの場合より流体流速が速いことを意味してい
る。極端に歪が大きい点では、吹き出しの環状噴流自体
が偏っていることを意味している。
【0042】次に、図15〜17の垂直方向の静圧分布
は、特異騒音発生がないテーパ型シートリングと、発生
がある単純型シートリング及び多孔型シートリングの圧
力分布の違いを示している。特に弁本体とシートリング
の隙間付近(SP2〜3)での静圧分布差が大きくなっ
ており、これもこの付近での流速に差がでることを意味
している。
【0043】この垂直方向静圧分布からは弁本体静圧孔
の位置関係より、単純型シートリング及び多孔型シート
リングの騒音発生がある場合には吹き出し流れの方向が
弁本体側面に沿い、騒音が無いテーパ型シートリングの
場合はシートリング表面に沿う流れになっていることを
表している。
【0044】この3種類の垂直方向静圧分布からは、単
純型および多孔型シートリングを装着した場合の騒音発
生時は、静圧(SP2及びSP3)がテーパ型シートリ
ングに比べて高くなっていること、即ちこれらの静圧孔
付近の流速が遅くなることから、吹き出し流れが弁本体
から離れていることが示される。逆に、騒音未発生のテ
ーパ型シートリングでは静圧(SP2およびSP3)が
低くなっていることから、即ちこれらの静圧孔近辺の流
速が速くなることから、吹き出し流れが弁本体側へ沿っ
ていることが示される。
【0045】以上のことから、シートリングに多孔やテ
ーパを設けることが弁本体とシートリングの隙間からの
吹き出し流れを均一化した乱れの少ない環状噴流にし特
異騒音の発生を抑制していることが確認された。
【0046】図18〜図21に示す如く高速度写真結果
からも、吹き出し流れが騒音発生の単純型および多孔型
シートリングでは弁本体とシートリングの中間に主に噴
出し、騒音未発生のテーパ型シートリングでは弁本体と
シートリング側へ沿って噴出している。
【0047】これらの画像が意味することは、弁本体周
りの静圧分布差から得られた流れの状態の違いを裏付け
たことになる。
【0048】これらの結果から今回発明した2種類の多
孔型シートリング及びテーパ型シートリングの形状は、
弁本体60とシートリングとの隙間からの吹き出し流れ
のプロファイルを変える効果があることから、共鳴が生
じ易い長いシートリングに有効である。
【0049】そしてこの抑制効果は、今回用いた理論の
波及性から他の調節弁機種および絞り部を有するノズル
や流体機械の特異騒音発生に対しても有効である。
【0050】
【発明の効果】 本発明によれば、多様な流体機械内の
噴流の乱れと放射音響インピーダンス増加を抑制し、特
異騒音の発生防止に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で実験に供されるアクリル製調節弁の
側面図である。
【図2】 (イ),(ロ)は従来の標準型シートリング
を示す平面図及び縦断側面図である。
【図3】 (イ),(ロ)は本発明における多孔型シー
トリングを示す縦断側面図,底面図である。
【図4】 (イ),(ロ)は本発明におけるテーパ型シ
ートリングを示す縦断側面図,底面図である。
【図5】 (イ),(ロ)は開口端補正理論を説明する
図である。
【図6】 実験装置の全体を示す図である。
【図7】 (ロ)図は(イ)図の弁本体の測定用全圧孔
及び静圧孔の配置を示す下面図である。(ロ)図は図1
の要部の詳細側面図であるが測定用全圧孔及び静圧孔は
同一母線上にずらして画いてある。(ハ)図は(ロ)図
のシートリングの平面図で、図13及び図14の静圧の
測定方向を示している。
【図8】 弁本体全開位置における要部の側面図であ
る。
【図9】 弁本体全閉位置における要部の側面図であ
る。
【図10】 単純型シートリングの音響スペクトルの図
である。
【図11】 多孔型シートリングの音響スペクトル図で
ある。
【図12】 テーパ型シートリングの音響スペクトル図
である。
【図13】 3種類のシートリングで弁開度100;9
3.75;87.5;81.25%における水平圧力分
布の図である。
【図14】 3種類のシートリングで弁開度75.0;
68.75;62.5%における水平圧力分布の図であ
る。
【図15】 単純型シートリングで特異騒音が発生する
条件での垂直圧力分布比較の図である。
【図16】 多孔型シートリングで特異騒音が発生する
条件での垂直圧力分布比較の図である。
【図17】 テーパ型シートリングで特異騒音が発生す
る条件での垂直圧力分布比較の図である。
【図18】 高速度カメラによる撮影位置を示す説明図
である。
【図19】 高速度カメラによる単純型シートリングに
おける流れの状態写真の模式図である。
【図20】 高速度カメラによる多孔型シートリングに
おける流れの状態写真の模式図である。
【図21】 高速度カメラによるテーパ型シートリング
における流れの状態写真の模式図である。
【符号の説明】
10 単純型シートリング 11 弁本体当接傾斜面部分 20 多孔型シートリング 21 放射方向の孔 30 テーパ型シートリング 31 テーパ部分 40 シートリングホルダ 50 流入口 51 第1室 52 第2室 53 流出口 60 弁本体 61 鍔 62 バルブステム 65 試供調節弁 70 コンプレッサ 71 エア・タンク 72 圧力調節弁 73 サイレンサ 74 集合胴 75 水柱マノメータ 76 圧力センサ 77 圧力測定用直流増幅器 78 圧力測定及びFET制御用コンピュータ 80 コンデンサマイクロホン 81 音響測定用直流増幅器 82 FFTアナライザ 83 デジタル高速度カメラ 84 メモリユニット 85 モニタ 86 フレームメモリユニット 87 ビデオレコーダ 88 画像解析用コンピュータ 89 ビデオプリンタ a GP−IBインターフェイス d 内径の寸法 D 外径の寸法 L 長さ h1 第1段目孔の高さ h2 第2段目孔の高さ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートリングを備えるグローブ型調節弁
    を含む流体機器において、流れの乱れを抑制し、放射音
    響インピーダンスを増加するように、前記シートリング
    を多孔型シートリングとしたことを特徴とする調節弁を
    含む流体機器。
  2. 【請求項2】 シートリングを備えるグローブ型調節弁
    を含む流体機器において流れの乱れを抑制し、放射音響
    インピーダンスを増加するように、テーパ型シートリン
    グとしたことを特徴とする調節弁を含む流体機器。
  3. 【請求項3】 流れの乱れを抑制し、放射音響インピー
    ダンスを増加するように、回転タイプの調節弁又は絞り
    部を備えるノズルあるいは流体機器の入口をテーパ型の
    形状としたことを特徴とする調節弁を含む流体機器。
JP11183804A 1998-07-01 1999-06-29 調節弁を含む流体機器 Pending JP2000081163A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11183804A JP2000081163A (ja) 1998-07-01 1999-06-29 調節弁を含む流体機器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-186443 1998-07-01
JP18644398 1998-07-01
JP11183804A JP2000081163A (ja) 1998-07-01 1999-06-29 調節弁を含む流体機器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000081163A true JP2000081163A (ja) 2000-03-21

Family

ID=26502093

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11183804A Pending JP2000081163A (ja) 1998-07-01 1999-06-29 調節弁を含む流体機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000081163A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005257043A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Tlv Co Ltd 気液分離器を備えた弁
JP2008157325A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 弁装置
JP2011190890A (ja) * 2010-03-15 2011-09-29 Tlv Co Ltd 調節弁
EP2693287A1 (en) * 2012-07-30 2014-02-05 Danfoss A/S Valve arrangement for controlling a heating or cooling fluid and tool arrangement for replacing at least a part of such a valve arrangement
CN105889596A (zh) * 2015-02-17 2016-08-24 株式会社不二工机 流量调节阀
EP3115667A1 (en) 2015-07-10 2017-01-11 Azbil Corporation Regulating valve
EP3115668A1 (en) 2015-07-10 2017-01-11 Azbil Corporation Regulating valve
CN106795981A (zh) * 2014-10-08 2017-05-31 三菱电机株式会社 膨胀阀及使用膨胀阀的制冷循环装置
EP3354946A4 (en) * 2015-08-05 2019-04-03 Kabushiki Kaisha Fujikin VALVE
CN110414156A (zh) * 2019-07-31 2019-11-05 武汉理工大学 一种四边简支板相对辐射声阻抗的确定方法
WO2021218845A1 (zh) * 2020-04-26 2021-11-04 浙江三花智能控制股份有限公司 电子膨胀阀
WO2024043454A1 (ko) * 2022-08-26 2024-02-29 주식회사 경동나비엔 재순환 밸브

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005257043A (ja) * 2004-03-15 2005-09-22 Tlv Co Ltd 気液分離器を備えた弁
JP2008157325A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 弁装置
JP2011190890A (ja) * 2010-03-15 2011-09-29 Tlv Co Ltd 調節弁
EP2693287A1 (en) * 2012-07-30 2014-02-05 Danfoss A/S Valve arrangement for controlling a heating or cooling fluid and tool arrangement for replacing at least a part of such a valve arrangement
CN106795981A (zh) * 2014-10-08 2017-05-31 三菱电机株式会社 膨胀阀及使用膨胀阀的制冷循环装置
EP3205916A4 (en) * 2014-10-08 2018-05-09 Mitsubishi Electric Corporation Expansion valve, and refrigeration cycle device using expansion valve
CN105889596A (zh) * 2015-02-17 2016-08-24 株式会社不二工机 流量调节阀
EP3115668A1 (en) 2015-07-10 2017-01-11 Azbil Corporation Regulating valve
EP3115667A1 (en) 2015-07-10 2017-01-11 Azbil Corporation Regulating valve
EP3354946A4 (en) * 2015-08-05 2019-04-03 Kabushiki Kaisha Fujikin VALVE
CN110414156A (zh) * 2019-07-31 2019-11-05 武汉理工大学 一种四边简支板相对辐射声阻抗的确定方法
CN110414156B (zh) * 2019-07-31 2023-06-16 武汉理工大学 一种四边简支板相对辐射声阻抗的确定方法
WO2021218845A1 (zh) * 2020-04-26 2021-11-04 浙江三花智能控制股份有限公司 电子膨胀阀
WO2024043454A1 (ko) * 2022-08-26 2024-02-29 주식회사 경동나비엔 재순환 밸브

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2000081163A (ja) 調節弁を含む流体機器
JP3514613B2 (ja) 音響検出手段用気体力学的多段乱れシールド
JPS61136065A (ja) 操作弁
US4130173A (en) Apparatus and method for reducing flow disturbances in a flowing stream of compressible fluid
Nakano et al. Noise and vibration related to the patterns of supersonic annular flow in a pressure reducing gas valve
Dhamanekar et al. Effect of impingement surface roughness on the noise from impinging jets
US20020162589A1 (en) Fluid control device with reduced sound generation
US4853014A (en) Method and apparatus for cleaning conduits
JPH0518795A (ja) 整流ダクト及び気体流量計測装置
US4922937A (en) Method and apparatus for cleaning conduits
Akamine et al. Experimental study on acoustic phenomena of supersonic jet impinging on inclined flat plate
Tinney et al. Designing an anechoic chamber for the experimental study of high speed heated jets
US4921546A (en) Method and apparatus for cleaning conduits
JPH05502283A (ja) 絞り弁
US3598081A (en) Pneumatic sound generator
US5711350A (en) Piping systems providing minimal acoustically-induced structural vibrations and fatigue
Huang Suppression of vortex shedding from a circular cylinder by internal acoustic excitation
Ng Control valve noise
Kawasaki et al. A Study on Screech Tone Emitted from Underexpanded Radial Jet
WO1980000064A1 (en) A blowing device having a low noise level
Jörg et al. Experimental investigation of the acoustic reflection coefficient of a modeled gas turbine impingement cooling section
Ibrahim et al. Experimental investigation of screech-tone characteristics of jet interaction with a flat plate
Kinzie et al. Aeroacoustic characteristics of model jet test facility flow conditioners
Alapati The role of nozzle exit-lip surface roughness on jet noise
Laodeno et al. Characterization of AE signals generated by gas leak on pipe with artificial defect at different wall thickness