JP2000080045A - 心疾患治療剤 - Google Patents

心疾患治療剤

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JP2000080045A
JP2000080045A JP11223610A JP22361099A JP2000080045A JP 2000080045 A JP2000080045 A JP 2000080045A JP 11223610 A JP11223610 A JP 11223610A JP 22361099 A JP22361099 A JP 22361099A JP 2000080045 A JP2000080045 A JP 2000080045A
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heart disease
hcv
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Akira Matsumori
昭 松森
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 抗ウイルス剤を有効成分として含有す
る、心筋組織にヒトC型肝炎ウイルスが感染している心
疾患の治療剤。 【効果】 本発明の心疾患の治療剤は、ウイルス性心筋
炎及びそれに関連する心疾患の治療剤として有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、心筋組織にヒトC
型肝炎ウイルスが感染している心疾患の治療剤及び心疾
患の検査法に関する。
【0002】
【従来の技術】心筋炎は、感染、アレルギー、中毒など
による炎症性心筋障害をきたす疾患であり、大半がウイ
ルス性であると考えられている。原因ウイルスとして
は、エンテロウイルスが多く、特にコクサッキーBウイ
ルスが最も高頻度にウイルス性心筋炎を引き起こすと考
えられている。しかしながら、心疾患に関連するウイル
スとしては、コクサッキーBウイルス以外に、インフル
エンザウイルス、コクサッキーAウイルス、サイトメガ
ロウイルス、パラインフルエンザウイルスなど多種のウ
イルスも報告されており、未だ主原因となるウイルスは
確定的ではない(松森昭、循環器Now No. 6 :心筋症・
心筋炎、南江堂、p. 36, 1994 )。
【0003】従来、原因ウイルスの検索は、血清中のウ
イルス抗体の検出という、いわば間接的な手法によるこ
とが多く、心筋からの直接的な証明はほとんどなかっ
た。その理由の一つとして、心筋内へ侵入したウイルス
は数日で姿を消してしまうため、心筋での原因ウイルス
の同定は特に臨床では不可能に近かった。
【0004】近年、ドットブロット、スロットブロット
や in situ ハイブリダイゼーションなどの核酸ハイブ
リダイゼーション法の応用により、心筋生検標本を用い
た研究が可能となり、これまで考えられていた以上に長
期にわたりウイルス遺伝子が組織内に存在することが示
され、ウイルスの持続感染の可能性が示唆された。ま
た、近年開発されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法
により、心筋生検及び剖検標本からより高感度にウイル
スゲノムの検出が行えるようになった。
【0005】しかし、これらの遺伝子解析手法による検
索でも、プローブに用いるDNAの領域やPCR法で増
幅する領域が個々の研究で異なるために、ウイルスゲノ
ム検出の成績も異なるようであり、未だ統一的な結果が
得られていない。
【0006】ウイルス性心筋炎では、急性期に広範な心
筋細胞の壊死・脱落と、心筋組織へのマクロファージや
NK細胞の著明な細胞浸潤が観察され、心筋におけるウ
イルス感染によって細胞性免疫が惹起されると考えるこ
とができる。この結果、急性期にはNK細胞等によりウ
イルス感染した心筋細胞は破壊される。その後、ウイル
スがほとんど消失する亜急性期以降では、主としてT細
胞が浸潤し、この細胞が心筋細胞上に発現された何らか
の抗原を特異的に認識して心筋細胞を攻撃することによ
って、遷延性の心筋障害を引き起こすと考えられる。
【0007】また、この場合、マウスにおけるencephal
omyocarditis(EMC)ウイルス性心筋炎モデルでは腫
瘍壊死因子(TNF−α)が心筋炎を悪化させる方向に
働くことも示されており( T. Yamada et al., Circulat
ion,89, 846, 1994)、ある種のサイトカインも病態の進
行に関与していることが示唆されている。
【0008】現在、ウイルス性心筋炎の特異的治療法と
して確立されたものはないが、最近コクサッキーウイル
スB2が原因と思われるウイルス性心筋炎と、それに引
き続いて発症した拡張型心筋症様病態に、インターフェ
ロンα(IFN−α)が有効であったことが報告された
(A. Heim et al., Clin. Cardiol., 17, 563,1994)。
一方、実験的なマウスモデルでは、IFN−αの他、Ri
bavirine(抗ウイルス剤)、FK565(免疫賦活
剤)、カプトプリル(アンジオテンシン転換酵素(AC
E)阻害剤)などの有効性が示されている(A. Matsumo
ri, Viral Infections of the Heart (ed. J.E. Bamatv
ala)、 Edward Armold, London, p.110, 1993)。ただ
し、実際の臨床ではウイルス同定が確立していないた
め、積極的な抗ウイルス療法を行うというより、心機能
をモニターしながら強心薬等による対症療法を行う、と
いうのが現状である。
【0009】ウイルス性心筋炎が臨床上特に問題となる
のは、心筋炎それ自体ばかりでなく、遷延化した心筋障
害が起こることにより、拡張型心筋症につながる場合が
あると考えられているからである(河合忠一、日本医師
会雑誌、第111 巻、p.56, 1994)。
【0010】ウイルス性心筋炎はしばしば心異常を後遺
する。即ち、急性期を乗り越えれば約43%は完全治癒す
るが、約40%は後遺症を残し、3.2 %は再発あるいは再
燃をきたす(河村慧四郎他、昭和57年度厚生省特定疾
患特発性心筋症調査研究班報告書、p. 16 、1983)。更
に、その後の追跡調査でも、後遺症をきたした一部が拡
張型心筋症様病像を呈したことが明らかにされ、急性期
後も長期の追跡が必要と考えられている。
【0011】拡張型心筋症は、心筋に原発性の変性又は
機能障害をきたして収縮不全となり、心室が拡大してう
っ血性心不全の病態を呈する。その予後は極めて不良
で、発症後5年及び10年の生存率はそれぞれ54%及び36
%である(河合忠一ら、昭和57年度厚生省特定疾患特
発性心筋症調査研究班研究報告書、p. 63 、1983)。こ
のため、欧米では心臓移植適応の最優先疾患の一つとな
っており、我国でも病因究明と治療法確立を目指して、
厚生省特定疾患として調査研究班が組織されている。
【0012】拡張型心筋症に対する治療は、ジギタリス
製剤、利尿剤、βブロッカー、ACE阻害薬などによる
対症療法が主である。このような内科的治療も、心筋の
予備力が残っているうちはその効果が期待できるが、心
不全を繰り返すうちに限界となり、最終的には心臓移植
の適応となる。また、肥大型心筋症の一部はミオシン重
鎖遺伝子異常によると考えられているが、その大部分は
原因不明で、ウイルス感染からの移行が無視できず、ま
たその治療法も未確立である。
【0013】前述したように、ウイルス性心筋炎及びそ
れに関連して発症する拡張型心筋症及び肥大型心筋症に
おいては特異性の高い治療法が未だ確立されておらず、
その開発が急務の課題となっている。特に拡張型心筋症
は現状では「不治の病」とも思われ、その治療剤及び検
査法の開発の意義は極めて大きい。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した課
題を解決すべく、ウイルス性心筋炎及びそれに関連する
心疾患の治療剤及び検査法を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の発明を包
含する。 (1)抗ウイルス剤を有効成分として含有する、心筋組
織にヒトC型肝炎ウイルス(human hepatitis C virus
: HCVと略す)が感染している心疾患の治療剤。 (2)抗ウイルス剤がヒトC型肝炎ウイルスの増殖を抑
制することを特徴とする前記(1)に記載の治療剤。 (3)抗ウイルス剤がヒト・インターフェロンα、β又
はγである前記(1)に記載の治療剤。
【0016】(4)心疾患が心筋炎又は心筋症である前
記(1)に記載の治療剤。 (5)心筋症が拡張型心筋症又は肥大型心筋症である前
記(4)に記載の治療剤。 (6)ヒトC型肝炎ウイルスを検出することにより心筋
炎又は心筋症を検査する方法。
【0017】(7)抗ウイルス剤の、心筋組織にヒトC
型肝炎ウイルスが感染している心疾患の治療剤としての
使用。 (8)抗ウイルス剤を、心筋組織にヒトC型肝炎ウイル
スが感染している心疾患の患者に投与することを特徴と
する心疾患の治療方法。 (9)ヒトC型肝炎ウイルスが検出された心筋炎又は心
筋症の患者に抗ウイルス剤を投与することを特徴とする
心疾患の治療方法。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の対象となる心疾患とは、
ウイルス性心筋炎及びそれに関連する心疾患であり、ウ
イルス性心筋炎とウイルスの関与が認められた心筋症を
示す。また原因不明の特発性心筋症であってもウイルス
性心筋炎との関連が考えられる拡張型心筋症や肥大型心
筋症は本発明の対象に含まれる。
【0019】すでに述べたように、ウイルス性心筋炎及
びそれが遷延化した心筋障害の終末像ともいうべき拡張
型心筋症において、コクサッキーウイルスなどのエンテ
ロウイルスが原因ウイルスの一つと考えられながらも、
多種のウイルスの関与も示唆されている。このようなウ
イルスの関与が推定される特発性心疾患においては、的
確な治療法の確立のために原因ウイルスの同定が必須で
ある。
【0020】本発明者は、従来報告のなかったHCVが
心疾患に関与し得ることを想定し、鋭意検討の結果、H
CVが心筋症の原因となり得ることを明らかにした。更
に、ウイルスが関与する特発性心疾患の治療にインター
フェロン(IFN)などのHCVの増殖を抑制する抗ウ
イルス剤が有用であろうとする新たな治療法を提案し、
本発明を完成した。
【0021】ウイルス性心筋炎の診断は、心症状(胸
痛、呼吸困難、動悸等)、カゼ様症状(発熱、頭痛、咳
嗽等)、消化器症状(悪心、嘔吐、腹痛等)などの他、
頻脈あるいは徐脈、また心電図の異常などから行われ、
更に血清学的あるいは心生検標本などの組織学的検査か
らHCVを同定することにより行われる。前記に述べた
診断の具体的項目は、より詳細には、例えば、厚生省特
定疾患特発性心筋症調査研究班の昭和63年度研究報告
及び平成2年度研究報告に記載されている。
【0022】本発明においてはHCVの同定が必須とな
るため、HCVの検出手法をウイルス性心筋炎の診断用
途に用いる方法も本発明に含まれる。ここでいうHCV
の検出手法とは、血液、血清や心筋生検標本を検体とし
て、バイオアッセイ、ラジオ・イムノアッセイ、エンザ
イムイムノアッセイ、免疫凝集法、蛍光抗体法、電気泳
動法、HCV生物活性の検出などにより、HCVを同定
することを示す。簡便性と迅速性の点からは、抗HCV
抗体を用いた血清学的診断やRT(reverse transcripta
se )−PCR法を用いた遺伝子解析が望ましい。ただ
し、心筋生検標本中におけるウイルス量が常に検出レベ
ルにあるとは限らないこと、患者への検査の負担の軽減
を考慮すると、実際上は血清中の抗HCV抗体の検出に
よってHCV感染の証明は十分である。
【0023】一方、拡張型心筋症の診断は、心不全、不
整脈、心音異常、心電図異常、胸部X線写真異常、心エ
コー異常などにより行われるが、診断のより具体的な項
目は、例えば、厚生省特定疾患特発性心筋症調査研究班
の昭和60年度研究報告書に記載されている。
【0024】本発明で用いられるHCVに対して抑制作
用を示す薬剤は、抗ウイルス剤として利用され得る薬剤
であれば特に限定されないが、ヒトIFNが好ましく用
いられる。抗ウイルス剤としてはRibavirin や核酸誘導
体などのそれ自身がHCV抑制作用を有する薬剤の他、
グリチルリチン製剤、有機ゲルマニウム化合物、イミダ
ゾール誘導体、小紫胡湯などIFN誘起作用を有する薬
剤も含まれる。
【0025】本発明に用いられるIFNはα型、β型、
γ型、あるいはコンセンサス型、ハイブリット型のいず
れでもよく、またその由来も天然型、遺伝子組換え型、
化学合成型のいずれでもよいが、HCV抑制効果が明ら
かなIFN−α、IFN−βがより好ましい。そのなか
でも、天然型IFN−βが特に好ましく用いられる。天
然型においては、α、β型の生産では血液系細胞及びそ
の樹立株化細胞が、β型の生産では線維芽細胞及びその
樹立株化細胞が好んで用いられる。
【0026】遺伝子組換え技術を利用してIFNを調製
する場合には、宿主細胞として、CHO(チャイニーズ
ハムスター卵巣)細胞、マウスC127細胞、BHK
(ベビーハムスター腎)細胞などの哺乳動物細胞、カイ
コ、夜盗蛾などの昆虫細胞、大腸菌、枯草菌、酵母など
の微生物などを用いることができる。更に、トランスジ
ェニックアニマルとして、マウス、ラット、ハムスタ
ー、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシなどを用いるこ
とができる。
【0027】このようにして調製されたIFNは、原料
となる細胞培養上清、虫体抽出液、菌抽出液、生体抽出
液、血液、乳汁などから種々のクロマトグラフィーによ
り、精製分離することができる。用いるクロマトグラフ
ィーはIFNに親和性を有するものであればいずれでも
よいが、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)やリン酸カル
シウムを吸着素材とするカラム、ヘパリンや色素や疎水
基をリガンドとするカラム、金属キレートカラム、イオ
ン交換カラム、ゲル濾過カラムなどである。
【0028】本発明におけるIFNとしては、天然型I
FN−βを特に好んで用いることができ、この天然型I
FN−βは、例えば次の方法で調製することができる。
【0029】即ち、ガラスもしくはプラスチックなどの
表面、又はアガロース、キチン質、DEAE化デキストラン
などのマイクロキャリアー表面上などで培養されたIF
N−β産出細胞を、例えば、PolyI:Cのような合成二
本鎖RNAによる誘発処理と、続いて行う超誘発処理
(例えば、シクロヘキシミドとアクチノマイシンDの組
合わせによる代謝阻害法又は紫外線照射法など)に付し
た後、細胞を更に培養液中で24〜72時間培養するこ
とにより、この培養液中に産出されたヒトIFN−βを
含有する産出液を取得する。このようにして得られたI
FN−βは、産出液中では一般的に低濃度であり、また
産出液にはIFN−βの他に細胞由来又は添加物由来の
多くの夾雑物を含んでいるので、医療用として用いるに
はIFN−βを更に濃縮精製することが必要である。
【0030】IFN−βの濃縮精製法としては、特に限
定されないが、IFN−βに親和性を有するリガンドを
不溶化した担体、例えば、ブルー色素を結合させた不溶
性担体及び金属キレート基結合担体を用いるクロマトグ
ラフィーによる方法が好ましい。即ち、粗IFN−β含
有物を、ブルー色素を結合させた不溶性担体と接触させ
た後、溶離液を用いて該IFN−βを溶液として回収
し、次いでこのIFN−β溶液を亜鉛などの金属をキレ
ート化させたキレート基結合担体に接触させた後、溶離
液を用いて回収し、濃縮精製されたIFN−βを得ると
いう方法である。こうして得られた精製IFN−β標品
は、非経口投与剤あるいは経口投与剤などに製剤化さ
れ、心疾患治療剤として用いることができる。
【0031】非経口投与のための剤形としては、例え
ば、点眼剤、軟膏剤、注射剤、貼付剤、塗布剤、坐薬、
経鼻吸収剤、経肺呼吸剤、経皮吸収剤などが挙げられ
る。溶液製剤は自体公知の方法、例えば、IFNを通
常、水溶液として、あるいは懸濁液として、更には乳化
してリポソ−ムに包埋させた状態で調製され得る。固体
製剤は、自体公知の方法、例えばIFNにマンニト−
ル、トレハロ−ス、ソルビト−ル、ラクト−ス、グルコ
−スなどを賦形剤として加え、凍結乾燥物として調製さ
れ得る。更にこれを粉体化して用いることもできる。ゲ
ル化剤は、自体公知の方法、例えばIFNをグリセリ
ン、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、コンドロイチ
ン硫酸などの増粘剤や多糖に溶解した状態で調製され得
る。
【0032】経口投与のための剤形としては、例えば、
水溶液、懸濁液、カプセル剤の他、賦形剤として糖、デ
ンプン、セルロース、ケイ酸塩などを用いた錠剤として
調製され得る。
【0033】いずれの製剤においても、安定化剤として
ヒト血清アルブミン、ヒト免疫グロブリン、α2 マクロ
グロブリン、アミノ酸、多糖類などを添加することがで
き、また分散剤あるいは吸収促進剤としてIFNの生理
活性を損なわない範囲でアルコール、糖アルコール、イ
オン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを添加す
ることができる。また、微量金属や有機酸塩も必要に応
じて加えることができる。
【0034】本発明の心疾患治療剤の投与量は、患者の
年齢、体重、投与対象疾患、症状、投与形態、投与ルー
トなどに応じて適宜決定されるが、有効成分であるヒト
C型肝炎ウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス剤として
IFN−βを用いる場合には、一般にはIFN−βとし
て1万単位〜1000万単位/日、好ましくは100万
単位〜600万単位/日の範囲で治療効果を達成できる
期間投与される。
【0035】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限られるものではない。 実施例1 心疾患患者のウイルスの同定 心疾患に対するウイルスの関与を明らかにするために、
心疾患患者に対して血清学的検査及び心筋標本における
RT−PCR法によるウイルスの同定を行った。対象は
虚血性心疾患40例(男性24例、女性16例、平均年
齢57.7±8.2 歳)及び拡張型心筋症36例(男性25
例、女性11例、平均年齢46.5±15.8歳)である。
【0036】抗HCV抗体検出のために患者から採血を
行い、すぐに血清を分離して検査時まで−80℃で保存し
た。抗HCV抗体検出にはOrtho Diagnostics 社(Rant
on,NJ, U.S.A.) の第二世代ラジオイムノアッセイを用
いた。また、血清中HCV−RNAは既法(H. Hagiwar
a ら,Hepatalogy, 17, 545, 1993) に従って測定し
た。
【0037】心筋標本は各患者からインフォームド・コ
ンセント取得の上、心筋生検鉗子を用いて心カテーテル
挿入時に右心室内壁から採取した。各部位から5検体を
採取し、うち2検体をウイルス検査試料としてすぐに液
体窒素中にて検査時まで保存した。検査時には、凍結試
料を200 μl の4Mグアニジン・チオシアネート/25m
Mクエン酸(pH7.0 )/5%サルコシル(sarcosyl)/0.
1 Mメルカプトエタノールに溶解し、RNAを既法(T-
L. Fong ら,J. Clin. Invest., 88, 1058, 1991) に従
って抽出した。
【0038】PCRはマウス白血病逆転写酵素(murine
leukemia reverse transcriptase)で一本鎖cDNAを
合成した後、Tag ポリメラーゼによって行った。増幅反
応は、92℃で5分、55℃で2分、72℃で3分を1サイク
ルした後、95℃で1分、55℃で1分、72℃で2分を35サ
イクル行った。二次増幅も同様に35サイクル行った。プ
ライマーはHCVのよく保存された5'-noncoding regio
n の20〜25 merの4種類(センス・ヌクレオチドNo. 29
−53とNo. 54−73, アンチセンス・ヌクレオチドNo. 31
0-334 とNo. 179-198 )を用いた。PCR産物はエチジ
ウムブロミド(1μg /ml)含有の3%アガロース・ゲ
ル電気泳動により検出した。
【0039】血清中の抗HCV抗体検出の結果は表1の
とおりであった。即ち、拡張型心筋症と診断された患者
の16.7%は血清中の抗HCV抗体が陽性であり、これは
虚血性心疾患患者の陽性率 2.5%に比べて統計学的に有
意(p<0.05)に高く、拡張型心筋症とHCVの関連が
強く示唆された。
【0040】
【表1】
【0041】更に、抗HCV抗体陽性であった拡張型心
筋症6症例において、心筋標本からのHCV−RNAの
検出をRT−PCR法にて行い、その結果は表2のとお
りであった。
【0042】
【表2】
【0043】表2の結果から、少なくとも6症例中3症
例において心筋標本からHCV−RNAが検出され、検
査時にも心筋においてHCV感染のあることが分かっ
た。また、このときのPCR産物は約145 bpを示し、ゲ
ノムタイプIIであることが分かった。心筋標本のHCV
−RNAが陰性で血清中抗HCV抗体が陽性の症例は、
過去においてHCV感染があったことが推定された。
【0044】一方、35名の肥大型心筋症患者(男性25
名、女性10名、平均年齢55.8±11.6歳)に対して、血液
検査及び心筋バイオプシーを実施した。その結果、35名
の患者のうち、抗HCV抗体陽性患者は6名(17.1%)
であり、虚血性心疾患全体の頻度(2.5 %)に比べると
有意に高頻度であった(p<0.05)。この抗HCV抗体
陽性患者6名のHCV関連の検査結果は表3のとおりで
あった。
【0045】
【表3】
【0046】表3の結果から、少なくとも6症例中3症
例において心筋標本からHCV−RNAが検出され、検
査時にも心筋においてHCV感染があり、肥大型心筋症
患者で高率に心筋にHCVが感染していることが分かっ
た。
【0047】以上の結果から、拡張型心筋症患者及び肥
大型心筋症患者から有意に高率で抗HCV抗体が検出さ
れ、そのうち少なくとも、半数の症例で心筋標本中から
HCV−RNAが検出された。このことから拡張型心筋
症の発症にHCVの関与が強く示唆された。
【0048】なお、本検討と別に、36例の心筋炎及び心
筋症患者について、エンテロウイルス、カルジオウイル
ス、A型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(1型及
び2型)、T細胞白血病ウイルス、インフルエンザウイ
ルス(A型及びB型)及びレオウイルスなどのRNAウ
イルス、また25例について、アデノウイルス、サイトメ
ガロウイルス、EBウイルス、B型肝炎ウイルス、ヘル
ペスウイルス6型、水泡帯状包疹ウイルス、単純ヘルペ
スウイルス(1型及び2型)などのDNAウイルスに対
するPCR法を行い、心筋感染ウイルスの検索を行った
が、これらのウイルス群ではエンテロウイルスRNAが
1症例から検出されたのみであった(検出率2.8 %)。
この結果はHCVの検出率(3/36=8.3 %)より有意
に低く、エンテロウイルスよりHCVの関与が大きいこ
とを示唆した。
【0049】実施例2 マウスEMCウイルス性心筋炎
におけるIFNの効果(その1) 1群12匹、3群の4週令雄DBA/2マウスにEMCウ
イルス (10 pfu/0.1ml) を腹腔内に接種した。対照群に
は生理食塩水0.1 mlを、A群にはウイルス接種前日に大
腸菌組換え型マウスIFN−β(東レ株式会社製)105
IU/0.1mlを、B群にはウイルス接種と同時にマウスIF
N−β 105 IU/0.1mlをそれぞれ腹腔内に接種した。ウ
イルス接種後4日目に各群6匹のマウスを屠殺し、心筋
中のEMCウイルスを定量した。また、7日目に各群6
匹のマウスを屠殺し、心筋の炎症に由来する細胞浸潤像
及び壊死巣などを組織学的に調べた。どちらの検査も既
報(A. Matsumori et al., J. Am. Coll. Cardiol., 9,
1320, 1987) に従って行った。
【0050】結果は表4に示したように、IFN−βの
投与によってEMCウイルスの増殖抑制と心筋病変は著
明に軽減された。ここで用いたEMCウイルス感染DB
A/2マウスモデルは、ウイルス性心筋炎発症後、慢性
期には心筋病変が心肥大(hypertrophy of the heart)、
心臓拡張(cardiac dilatation)などの拡張型心筋症類似
の病像へと進展することが明らかにされている (A. Mat
sumoriとC.Kawai, Circulation, 65, 1230, 1982) 。こ
のことから、IFN−β投与によりウイルス性心筋炎か
ら拡張型心筋症への移行が阻止できることが分かった。
【0051】
【表4】
【0052】実施例3 マウスEMCウイルス性心筋炎
におけるIFNの効果(その2) 4群の4週令雄DBA/2マウスにEMCウイルス(10
pfu/0.1ml )を腹腔内に接種した。対照群にはリン酸緩
衝生理食塩水(PBS)0.1ml を、IFN投与群には大
腸菌組換え型マウスIFN−β(東レ株式会社製)104
IU/0.1ml(C群)又は105 IU/0.1ml(D群)を、それぞ
れウイルス接種当日、接種後1日目、2日目、3日目に
皮下投与した。接種後7日目にマウスの生存数を調べ
た。また、生き残ったマウスの心臓重量、心筋炎を反映
する心筋中の細胞浸潤及び壊死巣を実施例2に準じて調
べた。
【0053】結果は表5に示したように、IFN−βの
投与によって、マウスの死亡率は有意に低下し、生き残
ったマウスでは心肥大や心筋病変が抑えられ、正常レベ
ル(EMCウイルス非接種群)に近いことが分かった。
このことから、ウイルス性心筋炎に対するIFN−βの
治療効果が示された。
【0054】
【表5】
【0055】
【発明の効果】本発明の心疾患治療剤は、ウイルス性心
筋炎及びそれに関連する心疾患の治療剤として有用であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗ウイルス剤を有効成分として含有す
    る、心筋組織にヒトC型肝炎ウイルスが感染している心
    疾患の治療剤。
  2. 【請求項2】 抗ウイルス剤がヒトC型肝炎ウイルスの
    増殖を抑制することを特徴とする請求項1記載の治療
    剤。
  3. 【請求項3】 抗ウイルス剤がヒト・インターフェロン
    α、β又はγである請求項1記載の治療剤。
  4. 【請求項4】 心疾患が心筋炎又は心筋症である請求項
    1記載の治療剤。
  5. 【請求項5】 心筋症が拡張型心筋症又は肥大型心筋症
    である請求項4記載の治療剤。
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