JP2000063936A - プラスチック加工機用部品およびその製造方法 - Google Patents
プラスチック加工機用部品およびその製造方法Info
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- JP2000063936A JP2000063936A JP10246572A JP24657298A JP2000063936A JP 2000063936 A JP2000063936 A JP 2000063936A JP 10246572 A JP10246572 A JP 10246572A JP 24657298 A JP24657298 A JP 24657298A JP 2000063936 A JP2000063936 A JP 2000063936A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 部品本体の靭性を減ずることなく、樹脂が接
触する表面の耐摩耗性の向上を図る。 【解決手段】 プラスチック加工機において軟化したプ
ラスチックと直接接触する部品の素材に、C量が0.1
〜1.0(wt%)の低炭素乃至中炭素合金鋼を用い、
その表面に浸炭焼入れにより高濃度に浸炭された層を形
成し、表面の耐摩耗性を強化する。
触する表面の耐摩耗性の向上を図る。 【解決手段】 プラスチック加工機において軟化したプ
ラスチックと直接接触する部品の素材に、C量が0.1
〜1.0(wt%)の低炭素乃至中炭素合金鋼を用い、
その表面に浸炭焼入れにより高濃度に浸炭された層を形
成し、表面の耐摩耗性を強化する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック加工
機用部品およびその製造方法に係り、特に、押出機や射
出成形機などの部品で軟化したプラスチックと直接接触
する部品およびその製造方法に関する。
機用部品およびその製造方法に係り、特に、押出機や射
出成形機などの部品で軟化したプラスチックと直接接触
する部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軟化(溶融)したプラスチックが高速、
高圧で接触通過する部品には、例えば、押出機ではオリ
フィスプレート、スクリュエレメントなどがあり、射出
成形機ではノズルが代表的なものである。これらの部品
に要求される機械的性質では、耐摩耗性と耐食性がとり
わけ重要である。
高圧で接触通過する部品には、例えば、押出機ではオリ
フィスプレート、スクリュエレメントなどがあり、射出
成形機ではノズルが代表的なものである。これらの部品
に要求される機械的性質では、耐摩耗性と耐食性がとり
わけ重要である。
【0003】最近では、成形製品の性能向上を目的とし
て硬質材料であるシリカやガラス繊維、腐食性のガスを
発生する安定剤や難燃剤が添加されることもあり、一層
の耐食性および耐摩耗性の向上が要求されるようになっ
てきている。
て硬質材料であるシリカやガラス繊維、腐食性のガスを
発生する安定剤や難燃剤が添加されることもあり、一層
の耐食性および耐摩耗性の向上が要求されるようになっ
てきている。
【0004】従来、この種のプラスチック加工機用部品
の材料には、例えば、SUS440CやSKD11また
はその改良材のように、C量が0.90〜1.60wt
%で、他にCr、Mo、Vなどを含む高炭素高合金鋼が
用いられている。C含有量の高い鋼は、熱処理によって
耐摩耗性の向上が容易であるため、焼入れ、焼き戻しを
することでマルテンサイトの素地に炭化物を分布させて
耐摩耗性を向上させている。また、Cr、Moなどを添
加するのは、耐食性を向上させるためである。
の材料には、例えば、SUS440CやSKD11また
はその改良材のように、C量が0.90〜1.60wt
%で、他にCr、Mo、Vなどを含む高炭素高合金鋼が
用いられている。C含有量の高い鋼は、熱処理によって
耐摩耗性の向上が容易であるため、焼入れ、焼き戻しを
することでマルテンサイトの素地に炭化物を分布させて
耐摩耗性を向上させている。また、Cr、Moなどを添
加するのは、耐食性を向上させるためである。
【0005】プラスチック加工機用部品の高炭素高合金
鋼以外の材料としては、粉末焼結法によって微細な炭化
物を素地に均一に分布させた、いわゆる粉末ハイス系の
材料も一部に使用されている。また、粉末ハイス系材料
と、比較的靭性の大きい材料とを接合させた複合材も一
部に利用されている。
鋼以外の材料としては、粉末焼結法によって微細な炭化
物を素地に均一に分布させた、いわゆる粉末ハイス系の
材料も一部に使用されている。また、粉末ハイス系材料
と、比較的靭性の大きい材料とを接合させた複合材も一
部に利用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来か
ら使用されている高炭素高合金鋼は、そのほとんどが溶
製材であるため、凝固組織の影響を受けて析出する炭化
物が鍛延方向に連なって分布する偏析傾向が著しいとい
う欠点がある。この偏析傾向は、強度の上では異方性が
大きいというかたちであらわれ、耐摩耗性の上では、炭
化物の分布の不均一さのために耐摩耗性にばらつきがで
る。
ら使用されている高炭素高合金鋼は、そのほとんどが溶
製材であるため、凝固組織の影響を受けて析出する炭化
物が鍛延方向に連なって分布する偏析傾向が著しいとい
う欠点がある。この偏析傾向は、強度の上では異方性が
大きいというかたちであらわれ、耐摩耗性の上では、炭
化物の分布の不均一さのために耐摩耗性にばらつきがで
る。
【0007】また、高炭素高合金鋼は、その高いC量の
ために、本来的に靭性を犠牲にして強度や耐摩耗性を高
めたものであり、前記の偏析傾向もあって、衝撃値が小
さく、切り欠き感度も高い材料である。このため、高炭
素高合金鋼を材質とする部品では、集中荷重が作用する
とツールマークや研削逃げ溝に沿って割れが生じたりす
る問題が指摘されている。
ために、本来的に靭性を犠牲にして強度や耐摩耗性を高
めたものであり、前記の偏析傾向もあって、衝撃値が小
さく、切り欠き感度も高い材料である。このため、高炭
素高合金鋼を材質とする部品では、集中荷重が作用する
とツールマークや研削逃げ溝に沿って割れが生じたりす
る問題が指摘されている。
【0008】そこで、本発明の目的は、前記従来技術の
有する問題点を解消し、部品本体の靭性を減ずることな
く、樹脂が接触する表面の耐摩耗性を向上できるように
したプラスチック加工機用部品およびその製造方法を提
供することにある。
有する問題点を解消し、部品本体の靭性を減ずることな
く、樹脂が接触する表面の耐摩耗性を向上できるように
したプラスチック加工機用部品およびその製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、プラスチック加工機において軟化した
プラスチックと直接接触する部品であって、C量が0.
1〜1.0(wt%)の低炭素乃至中炭素合金鋼を素材
として、その表面に浸炭焼入れにより高濃度に浸炭され
た表層が形成されていることを特徴とするものである。
めに、本発明は、プラスチック加工機において軟化した
プラスチックと直接接触する部品であって、C量が0.
1〜1.0(wt%)の低炭素乃至中炭素合金鋼を素材
として、その表面に浸炭焼入れにより高濃度に浸炭され
た表層が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】また、プラスチック加工機用部品を製造す
るための本発明方法は、C量が0.1〜1.0(wt
%)の低炭素乃至中炭素合金鋼を素材に、所定の形状、
寸法のプラスチック加工機用の部品を機械加工する工程
と、前記部品を浸炭焼入れし、その表面を高濃度に浸炭
する工程と、を含むことを特徴とする。
るための本発明方法は、C量が0.1〜1.0(wt
%)の低炭素乃至中炭素合金鋼を素材に、所定の形状、
寸法のプラスチック加工機用の部品を機械加工する工程
と、前記部品を浸炭焼入れし、その表面を高濃度に浸炭
する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】本発明によれば、低炭素乃至中炭素合金鋼
を素材とすることで、部品内部の靭性を確保しつつ、プ
ラスチックと接触する部品表面は、浸炭焼入れ処理によ
り微細な炭化物の析出した表層によって耐摩耗性を強化
する。
を素材とすることで、部品内部の靭性を確保しつつ、プ
ラスチックと接触する部品表面は、浸炭焼入れ処理によ
り微細な炭化物の析出した表層によって耐摩耗性を強化
する。
【0012】従来から素材に用いられてきた高炭素高合
金鋼は、本来的に靭性が乏しく、また、耐摩耗性向上の
ために行う焼入れによって炭化物の偏析が生じるという
欠点があったが、低炭素乃至中炭素合金鋼を部品の素材
にすることで、部品内部の靭性を確保することができ
る。また、部品全体の硬度を高めるために焼入れをする
という方法はとらずに、表面だけを高濃度に浸炭するこ
とで硬化させ、耐摩耗性の向上を図る。
金鋼は、本来的に靭性が乏しく、また、耐摩耗性向上の
ために行う焼入れによって炭化物の偏析が生じるという
欠点があったが、低炭素乃至中炭素合金鋼を部品の素材
にすることで、部品内部の靭性を確保することができ
る。また、部品全体の硬度を高めるために焼入れをする
という方法はとらずに、表面だけを高濃度に浸炭するこ
とで硬化させ、耐摩耗性の向上を図る。
【0013】低炭素乃至中炭素合金鋼のC量の範囲を
0.1〜1.0(wt%)としたのは、次のような理由
による。C量が0.1〜1.0(wt%)であれば、焼
入れ性と靭性の確保を両立できるからである。C量が
1.0wt%を越えると、浸炭焼入れを行ったときに、
大きな炭化物が部品内部の素地に偏析して分布するよう
になる。したがって、炭化物の偏析による特定方向の靭
性低下を防ぐために、C量の上限は1.0wt%であ
る。
0.1〜1.0(wt%)としたのは、次のような理由
による。C量が0.1〜1.0(wt%)であれば、焼
入れ性と靭性の確保を両立できるからである。C量が
1.0wt%を越えると、浸炭焼入れを行ったときに、
大きな炭化物が部品内部の素地に偏析して分布するよう
になる。したがって、炭化物の偏析による特定方向の靭
性低下を防ぐために、C量の上限は1.0wt%であ
る。
【0014】押出機や射出成形機などのプラスチック加
工機では、樹脂や添加物に多くの種類がある。その部品
に要求される耐食性、耐摩耗性のレベルは、押出機と射
出成形機とで違うばかりでなく、成形に使用される樹脂
や添加物の種類、成形条件に応じて異なってくる。一般
的には、浸炭焼入れによる耐摩耗性の強化と同時に十分
な耐食性の向上を図るために、上記の範囲のCを含有す
る低炭素乃至中炭素合金鋼としては、マルテンサイト系
ステンレス鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、耐熱鋼その
他の耐食性の良好な合金鋼であることが好ましい。具体
的には、低炭素乃至中炭素合金鋼としては、SUS40
3、SUS410J1、SUS420J1、SUS42
0J2、SUS431、SUS440A、SUS440
B、SUS430、SUS434のいずれかのマルテン
サイト系ステンレス鋼、または、SKD4、SKD5、
SKD6、SKD7、SKD8、SKD61、SKD6
2のいずれかの合金工具鋼が、内部の靭性の確保と、表
面の耐摩耗性、耐食性の向上に有効である。
工機では、樹脂や添加物に多くの種類がある。その部品
に要求される耐食性、耐摩耗性のレベルは、押出機と射
出成形機とで違うばかりでなく、成形に使用される樹脂
や添加物の種類、成形条件に応じて異なってくる。一般
的には、浸炭焼入れによる耐摩耗性の強化と同時に十分
な耐食性の向上を図るために、上記の範囲のCを含有す
る低炭素乃至中炭素合金鋼としては、マルテンサイト系
ステンレス鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、耐熱鋼その
他の耐食性の良好な合金鋼であることが好ましい。具体
的には、低炭素乃至中炭素合金鋼としては、SUS40
3、SUS410J1、SUS420J1、SUS42
0J2、SUS431、SUS440A、SUS440
B、SUS430、SUS434のいずれかのマルテン
サイト系ステンレス鋼、または、SKD4、SKD5、
SKD6、SKD7、SKD8、SKD61、SKD6
2のいずれかの合金工具鋼が、内部の靭性の確保と、表
面の耐摩耗性、耐食性の向上に有効である。
【0015】耐摩耗性と靭性の向上に重点をおき、耐食
性については、高いレベルは要求されない条件で使用さ
れる部品については、少量のNi、Cr、Mo等を含む
低合金鋼を用いてもよい。
性については、高いレベルは要求されない条件で使用さ
れる部品については、少量のNi、Cr、Mo等を含む
低合金鋼を用いてもよい。
【0016】これらの材料としては、例えば、特殊用途
合金鋼ボルト材(SNB21−1〜5、SNB22−1
〜5、SNB23−1〜5、SNB24−1〜5)、高
温用合金鋼ボルト材(SNB7、SNB16)、中空鋼
鋼材(SKC3、SKC11、SKC24、SKC3
1)、高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ1、SUJ2、
SUJ3、SUJ4、SUJ5)、クロムモリブデン鋼
鍛鋼品(SFCM)、ニッケルモリブデン鋼鍛鋼品(S
FNCM)、機械構造用工具鋼(SNC、SNCM、S
Cr、SCMでC量が0.15〜0.5wt%のもの、
SACM645)などを挙げることができる。
合金鋼ボルト材(SNB21−1〜5、SNB22−1
〜5、SNB23−1〜5、SNB24−1〜5)、高
温用合金鋼ボルト材(SNB7、SNB16)、中空鋼
鋼材(SKC3、SKC11、SKC24、SKC3
1)、高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ1、SUJ2、
SUJ3、SUJ4、SUJ5)、クロムモリブデン鋼
鍛鋼品(SFCM)、ニッケルモリブデン鋼鍛鋼品(S
FNCM)、機械構造用工具鋼(SNC、SNCM、S
Cr、SCMでC量が0.15〜0.5wt%のもの、
SACM645)などを挙げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるプラスチック
加工機用部品の製造方法の一実施形態について、添付の
図面を参照して説明する。図1は、本発明によるブラス
チック加工機用部品の製造工程を示す図である。製造工
程は、焼きなましの工程と、機械加工の工程と、プラズ
マ浸炭法による浸炭焼入れの工程とからなるものであ
る。
加工機用部品の製造方法の一実施形態について、添付の
図面を参照して説明する。図1は、本発明によるブラス
チック加工機用部品の製造工程を示す図である。製造工
程は、焼きなましの工程と、機械加工の工程と、プラズ
マ浸炭法による浸炭焼入れの工程とからなるものであ
る。
【0018】本発明の製造方法が適用となる部品には、
主なものとして、押出機ではオリフィスプレート、スク
リュエレメント、射出成形機ではノズルがある。これら
の部品の材料として、C量の含有量が0.1〜1.0w
t%の範囲にあるマルテンサイト系ステンレス鋼のSU
S420J2、SUS403や合金工具鋼のSKD61
を用い、まず、材料を所定の高い温度に十分な時間保持
した後、徐冷して焼なましを行う。次に、焼なましによ
り軟化させた材料に機械加工を行い、材料を切削して所
定の形状、所定の寸法の部品に加工する。
主なものとして、押出機ではオリフィスプレート、スク
リュエレメント、射出成形機ではノズルがある。これら
の部品の材料として、C量の含有量が0.1〜1.0w
t%の範囲にあるマルテンサイト系ステンレス鋼のSU
S420J2、SUS403や合金工具鋼のSKD61
を用い、まず、材料を所定の高い温度に十分な時間保持
した後、徐冷して焼なましを行う。次に、焼なましによ
り軟化させた材料に機械加工を行い、材料を切削して所
定の形状、所定の寸法の部品に加工する。
【0019】浸炭焼入れの工程では、部品の表面、とり
わけ樹脂が直接接触するようになる面に対して、プラズ
マ浸炭法によって高濃度に炭素を浸透させる。その後、
焼入れを行うことによって、部品の表面に高炭素濃度の
浸炭層を形成する。この浸炭焼入れを行うことにより、
部品内部では硬度HRC30〜54(材料の本来的の硬
度)であるのを、部品表層を硬度HRC60〜64程度
まで硬化させる。
わけ樹脂が直接接触するようになる面に対して、プラズ
マ浸炭法によって高濃度に炭素を浸透させる。その後、
焼入れを行うことによって、部品の表面に高炭素濃度の
浸炭層を形成する。この浸炭焼入れを行うことにより、
部品内部では硬度HRC30〜54(材料の本来的の硬
度)であるのを、部品表層を硬度HRC60〜64程度
まで硬化させる。
【0020】その後は、必要に応じて、研磨仕上げなど
の仕上げ加工を行う。
の仕上げ加工を行う。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。図2は、浸炭焼入れを行った素材材料SU
S420J2の組織を示す。この図2に明瞭に示される
ように、部品の表層のみに微細な炭化物が析出し、内部
には炭化物が析出していないのがわかる。この浸炭層に
ついて、表面からの距離を横軸にとって、硬さ分布を示
すのが図3である。浸炭焼入れによって、部品の表層で
は表面に近いほど硬化していることがわかる。また、図
4は、表面からの距離を横軸に、浸炭層の浸炭濃度の変
化を示す図である。部品の表面に近いほど炭素が高濃度
に浸透している。
に説明する。図2は、浸炭焼入れを行った素材材料SU
S420J2の組織を示す。この図2に明瞭に示される
ように、部品の表層のみに微細な炭化物が析出し、内部
には炭化物が析出していないのがわかる。この浸炭層に
ついて、表面からの距離を横軸にとって、硬さ分布を示
すのが図3である。浸炭焼入れによって、部品の表層で
は表面に近いほど硬化していることがわかる。また、図
4は、表面からの距離を横軸に、浸炭層の浸炭濃度の変
化を示す図である。部品の表面に近いほど炭素が高濃度
に浸透している。
【0022】このように、プラスチックと直接接触する
部品表面については、浸炭焼入れ処理により微細な炭化
物が高濃度に析出した表層によって耐摩耗性を強化する
ことができ、部品内部では炭化物の偏析がないので、そ
の材料のもつ靭性を減ずることなく必要な靭性を確保す
ることができる。
部品表面については、浸炭焼入れ処理により微細な炭化
物が高濃度に析出した表層によって耐摩耗性を強化する
ことができ、部品内部では炭化物の偏析がないので、そ
の材料のもつ靭性を減ずることなく必要な靭性を確保す
ることができる。
【0023】これに対して、図5、図6は比較例とし
て、部品全体を焼入れした(焼入硬さHRC55)SU
S440Cの組織を示す図である。このうち、図5は、
素材鍛伸方向に直角な断面の組織を示す。焼入れした高
炭素高合金鋼では、炭化物が偏析して鍛伸方向に連なっ
て分布しているのが図5にはっきりと示されている。図
6は、素材鍛伸方向に平行な断面の組織を示す。図6に
示めされているように、集中荷重などがかかると、炭化
物の偏析のために焼き戻しマルテンサイトの素地に網状
に分布する炭化物に沿ってクラックが発生する。
て、部品全体を焼入れした(焼入硬さHRC55)SU
S440Cの組織を示す図である。このうち、図5は、
素材鍛伸方向に直角な断面の組織を示す。焼入れした高
炭素高合金鋼では、炭化物が偏析して鍛伸方向に連なっ
て分布しているのが図5にはっきりと示されている。図
6は、素材鍛伸方向に平行な断面の組織を示す。図6に
示めされているように、集中荷重などがかかると、炭化
物の偏析のために焼き戻しマルテンサイトの素地に網状
に分布する炭化物に沿ってクラックが発生する。
【0024】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、部品本体の靭性を確保することで部品の破損
を防止し、しかも樹脂との接触面の耐摩耗性の向上を同
時に達成することができる。
によれば、部品本体の靭性を確保することで部品の破損
を防止し、しかも樹脂との接触面の耐摩耗性の向上を同
時に達成することができる。
【図1】本発明によるプラスチック加工機用部品の製造
方法の工程図。
方法の工程図。
【図2】本発明の実施例による浸炭焼入れをした材料S
US420Jの組織を倍率50倍で撮影した写真。
US420Jの組織を倍率50倍で撮影した写真。
【図3】図2の実施例における浸炭層の硬さ分布を示す
図。
図。
【図4】図2の実施例における浸炭層の浸炭濃度の変化
を示す図。
を示す図。
【図5】本発明との比較例として、焼入れした材料SU
S440Cの素材鍛伸方向に直角な断面の組織を倍率2
00倍で撮影した写真。
S440Cの素材鍛伸方向に直角な断面の組織を倍率2
00倍で撮影した写真。
【図6】本発明との比較例として、焼入れした材料SU
S440Cの素材鍛伸方向に平行な断面の組織を倍率2
00倍で撮影した写真。
S440Cの素材鍛伸方向に平行な断面の組織を倍率2
00倍で撮影した写真。
Claims (4)
- 【請求項1】プラスチック加工機において軟化したプラ
スチックと直接接触する部品であって、 C量が0.1〜1.0(wt%)の低炭素乃至中炭素合
金鋼を素材として、その表面に浸炭焼入れにより高濃度
に浸炭された表層が形成されていることを特徴とするプ
ラスチック加工機用部品。 - 【請求項2】前記低炭素乃至中炭素合金鋼は、マルテン
サイト系ステンレス鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼、耐
熱鋼その他の耐食性の良好な合金鋼であることを特徴と
する請求項1に記載のプラスチック加工機用部品。 - 【請求項3】前記低炭素乃至中炭素合金鋼は、SUS4
03、SUS410J1、SUS420J1、SUS4
20J2、SUS431、SUS440A、SUS44
0B、SUS430、SUS434のいずれかのマルテ
ンサイト系ステンレス鋼、または、SKD4、SKD
5、SKD6、SKD7、SKD8、SKD61、SK
D62のいずれかの合金工具鋼であることを特徴とする
請求項2に記載のプラスチック加工機用部品。 - 【請求項4】プラスチック加工機において軟化したプラ
スチックと直接接触する部品を製造する方法であって、 C量が0.1〜1.0(wt%)の低炭素乃至中炭素合
金鋼を素材に、所定の形状、寸法のプラスチック加工機
用の部品を機械加工する工程と、 前記部品を浸炭焼入れし、その表面を高濃度に浸炭する
工程と、を含むことを特徴とするプラスチック加工機用
部品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10246572A JP2000063936A (ja) | 1998-08-17 | 1998-08-17 | プラスチック加工機用部品およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10246572A JP2000063936A (ja) | 1998-08-17 | 1998-08-17 | プラスチック加工機用部品およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000063936A true JP2000063936A (ja) | 2000-02-29 |
Family
ID=17150421
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10246572A Pending JP2000063936A (ja) | 1998-08-17 | 1998-08-17 | プラスチック加工機用部品およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000063936A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104046912A (zh) * | 2013-03-15 | 2014-09-17 | 丁年花 | 一种耐热钢高合金蓖板的加工方法 |
CN105839165A (zh) * | 2016-04-20 | 2016-08-10 | 深圳八六三计划材料表面技术研发中心 | 一种奥氏体不锈钢及提高硬度和耐蚀性的处理方法 |
-
1998
- 1998-08-17 JP JP10246572A patent/JP2000063936A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104046912A (zh) * | 2013-03-15 | 2014-09-17 | 丁年花 | 一种耐热钢高合金蓖板的加工方法 |
CN105839165A (zh) * | 2016-04-20 | 2016-08-10 | 深圳八六三计划材料表面技术研发中心 | 一种奥氏体不锈钢及提高硬度和耐蚀性的处理方法 |
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