JP2000055170A - ラック及びラック歯車装置 - Google Patents

ラック及びラック歯車装置

Info

Publication number
JP2000055170A
JP2000055170A JP10230237A JP23023798A JP2000055170A JP 2000055170 A JP2000055170 A JP 2000055170A JP 10230237 A JP10230237 A JP 10230237A JP 23023798 A JP23023798 A JP 23023798A JP 2000055170 A JP2000055170 A JP 2000055170A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rack
tooth
gear
meshing
teeth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10230237A
Other languages
English (en)
Inventor
Buichi Miyake
武一 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MIYAKE SEIKI KK
Original Assignee
MIYAKE SEIKI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MIYAKE SEIKI KK filed Critical MIYAKE SEIKI KK
Priority to JP10230237A priority Critical patent/JP2000055170A/ja
Publication of JP2000055170A publication Critical patent/JP2000055170A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gears, Cams (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転自由状態で静止している歯車にラックを
摺動させて噛合わせる際、その噛合い開始時における食
付きないしロック状態の発生を防ぐ。 【解決手段】 ラック1の歯のうち、歯車21との噛合
いが開始される端部に位置する歯14の歯先を、La点
と反対端部に向かうにしたがって傾斜面取状に下傾させ
た。ラック1の摺動時にその歯14の歯先が、歯車21
の歯24の歯先面27のうちの点Ga近傍に衝突して
も、互いの歯先面が担がないのでロック状態とならず、
したがってこのような衝突時にはその分噛合いやすい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はラック及びラック歯
車装置に関し、詳しくは、一定方向に摺動させることに
よって歯車(ピニオン)との噛合いが開始され、反対方
向に摺動させることによって歯車との噛合いが解除され
るように形成されたラック、及び該ラックとこれに噛合
う歯車を一端部側において噛合いが開始されかつ噛合い
が解除されるように備えてなるラック歯車装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図8は、常時は噛合い状態になく、相対
的にラック1を左に摺動(直線運動)させることで歯車
21と噛合わせるようにしたラック歯車装置の一例を示
すものである。このものは、例えば、ラック1を原節と
し、これを左(矢印A方向)に摺動(直線運動)させる
ことによって従節をなす回転可能状態にある歯車21を
回転させるように構成されている。このような装置は、
詳しくは図示しないが、例えば、歯車21をその軸回り
に回転自在としておく一方で、噛合い状態にないラック
1を所定量摺動させて噛合いを開始すると同時にその歯
車21を一定方向に所定回転数(角度)回転させる。そ
してラック1の摺動を停止することで歯車21の回転を
停止(ロック)するようにしたものであり、歯車21の
軸の回転を常時、自在或いは可能としておく一方で、適
宜、それを一定方向に回転させ、ある位置、或いは特定
位置で停止(固定)させるような機構に用いられる。
【0003】しかして、図8の状態から矢印A方向にラ
ック1を一定ストロークS摺動させて停止すると、歯車
21は矢印a方向に所定回転数(角度)回転して停止す
る。そして、その位置から逆に矢印B方向にラック1を
同一ストロークS摺動させて停止すると、歯車21は逆
方向に回転し、ラック1は原位置に戻り、噛合いが解除
される。そして、再度ラック1の摺動、停止を繰返すこ
とで、歯車21の回転、停止、噛合い解除が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
歯車装置では、ラック1と歯車21の双方の歯の噛合い
のタイミングが設定されていないことから、非噛合い状
態から噛合い状態となる方向にラック1の摺動(以下、
非噛合い状態から噛合い状態となる方向にラックを摺動
することを前進ともいい、これと逆方向に摺動すること
を後退ともいう)を行っても、双方の歯がうまく噛合わ
ずに干渉し、ラック1がその位置から前進しないロック
状態を起してしまうことがある。このような場合には、
一端後退して噛合うまで、前進、後退を繰返さないとい
けない。こうした問題は、噛合い状態からラックを後退
して噛合いを解除した後、再度前進する場合においても
同様に発生する。
【0005】すなわち、歯車に非噛合い状態にあるラッ
クを摺動して噛合わせる際には噛合い干渉を起こし、円
滑な噛合いが行われず、両歯が食い付きないしロック状
態を起こしてしまうといった問題があり、ラックの前
進、後退を何度も繰返すことを余儀なくされていた。と
くに、例えば1つのラックに複数の歯列を設け、その各
歯列に対し、複数の歯車が同時に噛み合うように構成さ
れてなるラック歯車装置ではとくにロック状態を起こし
易く、その問題が大きい。さらに、このような歯車装置
では、ラックの前進の都度、歯相互の衝突を発生させて
いたことを意味し、したがって歯先の摩耗やチッピング
を招き、歯車装置としての寿命の低下を招いていたとい
った指摘もあった。
【0006】こうした中、本願発明者らは前記ラック歯
車装置において噛合い時に両歯が円滑に噛合わずにロッ
ク状態になる原因について各種の試験等を繰返したとこ
ろ、図9,10などに示したように、歯車21の静止位
置が、ラック1との噛合い時において一定の状態にある
場合に発生しがちであることを知るに至った。
【0007】図10は図9の要部拡大図であるが、同図
に示したように、ラック1の歯4のうち、噛合い開始端
をなす図9の左端の歯4のLa点(前方(図示左側)の
歯面6aと平坦な歯先面7との交差稜(角))が、矢印
A方向に前進させたとき、静止している歯車21の歯2
4の歯先27のうち、点Ga(前方(図示左側)の歯面
26aと歯先面27との交差稜)近傍に当接ないし衝突
(以下、衝突という)する場合においてロック状態が発
生しがちである。すなわち、このような状態で歯車21
が静止している下で、ラック1を前進させると、ラック
1の噛合い開始端の歯4の点Laは、歯車21の歯先面
27のうちの点Ga近傍に衝突する。
【0008】この衝突及び摩擦により、回転自由状態の
歯車21は、ラック1の前進に連れて微量若しくは微小
角度(ラック1の摺動ガイドの遊び分、或いは衝突時の
変形分など)回転し、同図中2点鎖線で示したようにそ
れぞれ前方(図左)に移動、或いは回転し、ラック1の
歯4が歯車21の歯24に食付くようになる。そしてこ
の移動により、同時に両歯4,24の歯先面7,27相
互間がなす角度θが小さくなって、ついには歯先面7,
27相互が押し合う圧接状態となる。かくして、両歯
4,24はロック(かついだ)状態となり、以後、ラッ
ク1の前進ないし噛合いが得られないのである。
【0009】また、図11に示したように、ラック1の
噛合い開始端をなす歯4のLa点が、静止している歯車
21の歯24の歯先27のうち、点Gb(後方(図示右
側)の歯面26bと歯先面27との交差稜)近傍に衝突
する場合においても発生しがちである。すなわち、この
ような状態で歯車21が静止している下で、ラック1を
矢印A方向に前進させると、ラック1の噛合い開始端の
歯4の点Laは、歯車21の歯先面27のうちの点Gb
近傍に衝突する。
【0010】この衝突及び摩擦によっても前記したのと
同様に、回転自由状態の歯車21は、ラック1の前進に
連れて微量若しくは微小角度(ラックの摺動ガイドの遊
び分、或いは衝突時の変形分など)回転し、同図中2点
鎖線で示したようにそれぞれ前方(図左)に移動し、ラ
ック1の歯4が歯車21の歯24に食付きを起すのであ
る。そして、この移動により、同時に両歯4,24の歯
先面7,27相互間がなす角度θが小さくなって、つい
には歯先面7,27相互が押し合う圧接状態となり、図
10の場合と略同様に両歯はロック状態となり、以後、
ラックの前進ないし噛合いが得られないのである。
【0011】ただしこの場合には、ラック1の噛合い開
始をなす歯4の点Laが歯車21の歯24の点Gbの近
傍に衝突することから、ラック1の摺動方向から見た歯
4,24相互の掛かり(重なり)が大きい(深い)た
め、歯車21の歯24の歯先が障害(壁)となってラッ
ク1の前進を止めているともいえる。これより理解され
るように、ラック1の噛合い開始をなす歯4のLa点が
歯車21の歯24の歯先の点Gaないし点Gbの間、つ
まり歯先に衝突するように静止している場合に、歯の噛
合いの干渉が発生し、ロック状態が発生する危険性があ
るのである。
【0012】さらに、このようなロック状態の発生は、
図12に示したように、ラック1の噛合い開始をなす歯
4の歯先面7が、歯車21の歯24の歯先のうちの点G
aに圧接する位置関係にある場合にも発生する。すなわ
ち、発生率は低いがこの状態となるように歯車21が静
止しており、その下でラック1を摺動せると、ラック1
の噛合い開始をなす歯4の歯先面7は、歯車21の歯2
4の点Gaに圧接状態となる。このとき、前記した場合
と同様に回転自由状態の歯車21は、ラック1の前進に
連れて微量若しくは微小角度回転し、同図中2点鎖線で
示したようにそれぞれ前方(図左)に移動し、ラック1
の歯4が歯車21の歯24に食付きを起し、両歯4,2
4の歯先面相互間が圧接状態となり、以後、ラックの前
進ないし噛合いが得られないのである。このようにラッ
クと歯車の歯が食付きないしロック状態となるのは、歯
車の歯とラックの歯がこうした位置関係にあるときにお
いて噛合いを開始するときに発生するのである。
【0013】本発明は、ロック状態に至るこうした知見
に基づいてなされたものであり、ラックを一定方向に摺
動させることによって歯車との噛合いが開始され、反対
方向に摺動させることによって歯車との噛合いが解除さ
れるように形成されたラック歯車装置において、その噛
合い開始時における食付きないしロック状態の発生を可
及的に低減し、円滑な噛合いを確保できるようにするこ
とをその目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のラックは、端部に位置する歯の歯先を、該
端部と反対端部に向かうにしたがって低位となるように
形成したもの、つまりは、端部に位置する歯のたけが該
端部と反対端部に向かうにしたがって低くなるように形
成したものである。すなわち、一定方向に摺動させるこ
とによって歯車との噛合いが開始され、反対方向に摺動
させることによって歯車との噛合いが解除されるように
形成されたラックであって、歯車との噛合いが開始され
る端部に位置する歯の歯先を、該端部と反対端部に向か
うにしたがって低位となるように形成したことにある。
【0015】この手段において、一定方向に摺動させる
ことによって歯車との噛合いが開始され、反対方向に摺
動させることによって歯車との噛合いが解除されるよう
に形成されたラックとは、次のラックを指称する。すな
わち、歯車の噛合い開始端又は解除端において、図8の
ラックのように、歯が切上げ(加工)状態になく、噛合
う歯車が回転して通り抜けできる(切抜け状態にある)
ラックを指称する。しかして、本発明のラックと歯車と
を組み合わせてなるラック歯車装置では次のような作用
を成す。
【0016】まず、図10に示したように、ラック1の
歯4のうち、噛合い開始端をなす歯4のLa点(前方の
歯面6aと平坦な歯先面7との交差稜(角))が、静止
している歯車21の歯24の歯先のうち、点Ga(前方
の歯面26aと歯先面27との交差稜)近傍に衝突する
場合には次のようである。すなわち、このような状態で
歯車が静止している場合、前記本発明においては図2,
3に示したように、ラック1を図中矢印A方向に前進さ
せると、ラック1の噛合い開始端にある歯14の点La
は、歯車21の歯24の歯先面27のうちの点Ga近傍
に衝突する。
【0017】この衝突及び摩擦により、回転自由状態の
歯車21は、ラック1の前進に連れて微量若しくは微小
角度回転し、それぞれ前方(図左)に移動し、或いは回
転する。この移動により、従来においては図10に示し
たように、両歯の歯先面相互間がなす角度θが小さくな
って歯先面相互が押し合う圧接ないしロック状態とな
る。しかし本発明では、端部に位置する歯14、つま
り、ラック1の歯のうち噛合い開始をなす歯(歯形のう
ち)14の歯先を、該端部(点La)と反対端部に向か
うにしたがって(次第に)低位となるように形成してあ
る(図2,3参照)。すなわち、その歯14の歯先の後
方部位が傾斜面取状などに切り欠かれているため、歯車
21の歯先(面)27は、ラック1の歯先(面)17に
圧接状態とならないのである。
【0018】このように、従来では両歯の歯先相互間が
圧接状態となる場合でも本発明では圧接状態とならな
い。したがって、ラックの前進が妨げられることもな
く、ラック1の噛合い開始をなす歯14は衝突した歯車
21の歯24の歯先面27を滑るようにしてその前方の
歯溝29に入り込み(図2,3参照)、同時にラック1
の歯14のLa点は前方の歯24の歯面26bに当接す
る。しかして、以後は双方の歯が円滑にすべり接触し、
或いは円滑に噛み合うことができるのである。
【0019】なお、前記本発明のラックは、端部に位置
する歯の歯先を、該端部と反対端部に向かうにしたがっ
て次第に低位となるように形成するのであるが、低位の
基端となる位置(以下、低位開始位置)は、噛合いを円
滑にする上からは、La点若しくは同点に可及的に近付
けるのが好ましい。歯の強度やチッピングの問題がない
範囲でその位置を設定すればよい。
【0020】また、低位としていく割合は、噛合いを円
滑にするためにはなるべく急勾配で歯たけ(歯の高さ)
が低くなるようにするのが好ましい。具体的には、歯の
モジュールなどに応じて設定することになるが、一般的
には低位としない従来の平坦な歯先に対し、5〜45度
の角度範囲で低位となるようにするのが適切である。5
度より小さいと、圧接防止効果が不十分となり、45度
を越えるようだとチッピングを生じやすく強度不足を招
き易いためである。より好ましい範囲は、7〜35度で
ある。なお、傾斜は直線状でもよいが、凸と成す円弧状
としてもよい。
【0021】そして、本発明のより好ましいラック歯車
装置は次のようである。すなわち、請求項3に記載の本
発明は、請求項1又は2記載のラックと、該ラックに噛
合う歯車を前記端部側において噛合いが開始されかつ噛
合いが解除されるように備えてなるラック歯車装置であ
って、前記歯車はその全歯に対し、両歯面の歯先寄り部
位と歯先との交差部位に面取を付けてなることを特徴と
するものである。
【0022】このようなラック歯車装置においては前記
歯車の全歯に、その両歯面の歯先寄り部位と歯先との交
差部位に面取を付けたものであることから、ラックの歯
が歯車の歯に衝突する際において、図3のような位置関
係にある場合には、歯車の歯24の歯先は例えば同図中
の1点鎖線で示したようになっているから、その歯車の
歯24に衝突することなく、その前方の歯溝に入り込む
ことができ、円滑な噛合いが確保される。さらに図12
のような位置関係にある場合でも、図4,5に示したよ
うに歯車21の歯24(歯形形状)をなしていることか
ら、ラック1の歯のうち噛合い開始端をなす歯14は歯
車21の歯24に衝突することなく、その前方の歯溝2
9に入り込み、前方の歯24の歯面26bに当る。
【0023】なお、この場合歯車の全歯の夫々について
両歯面に付ける面取は、両歯面(前後の歯面)に均等に
なるべく大きく付けるのが好ましい。つまり、歯先円の
平坦部はなるべく小さくする(歯先の歯形形状がV字形
を成すようにする)のが好ましい。なお、面取(角度)
は、歯先円の歯先中心に対する接線に対し、45度など
の傾斜面取としてもよいし円弧状の面取としてもよい。
【0024】さらに、本発明のより好ましいラック歯車
装置は次のようである。すなわち、請求項4に記載の本
発明は、請求項1又は2記載のラックと、該ラックに噛
合う歯車を前記端部側において噛合いが開始されかつ噛
合いが解除されるように備えてなるラック歯車装置であ
って、前記歯車はその全歯の歯先を、噛合いが開始され
る際に回転する方向の前方に位置する歯面側に向かうに
したがって低位となるように形成したことにある。つま
り全歯について歯のたけが、噛合いが開始される際に回
転する方向の前方に位置する歯面側に向かうにしたがっ
て低くなるように形成したものである。
【0025】すなわち、このようなラック歯車装置にお
いては、前記歯車の全歯の歯先を、噛合いが開始される
際に回転する方向の前方に位置する歯面側に向かうにし
たがって次第に低位となるように形成してなるものであ
る。つまり、歯車の歯を、図6,7に示した歯形形状と
したことから、図11のような位置関係にある場合で
も、図6,7に示したようにその歯車21の歯24に衝
突することなく、その前方の歯溝29に入り込むことが
できるので極めて円滑な噛合いが確保される。
【0026】なお、請求項4記載の本発明では歯車の全
歯の歯先を、噛合いが開始される際に回転する方向(図
6中の円弧状矢印a)の前方に位置する歯面26a側に
向かうにしたがって次第に低位となるように形成するの
であるが、低位開始位置は、噛合いを円滑にする上から
は、図7中のGb点(後方(図示右側)の歯面26bと
歯先面27との交差稜)とするのが好ましい。このよう
にし、ラック1の端部の歯14についても、その低位開
始位置をLa点としておけば、ラック1を摺動すると、
ほとんど噛合い不良を招かない。歯車の歯の強度やチッ
ピング防止のため、歯先には若干(0.1〜0.3m
m)の平坦部を設けるのが好ましいが、歯車の材質や用
途等に応じ、これらに問題がない範囲で適宜に設定すれ
ばよい。
【0027】また、低位としていく割合は噛合いを円滑
にするためには、ラックの歯先と同様になるべく急勾配
となるようにするのが好ましい。具体的には、歯のモジ
ュールなどに応じて設定することになるが、一般的には
ラックのLa点が、歯車のいずれの歯の歯先に当たるこ
となく、常に、いずれかの歯の後方(図7右側)の歯面
26bに当るように、前方に位置する歯面側に向かって
面取状にその歯先を切欠くのがよい。なお傾斜は直線状
でもよいが、凸と成す円弧状としてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るラックおよび
ラック歯車装置の実施形態例について、図1〜7を参照
して詳細に説明する。まず、図1〜3に基いて請求項1
及び2記載のラックの実施形態例を説明する。図中1
は、左右に細長状に形成されたラックであって摺動案内
面2に沿って(ガイド部材図示せず)左右に摺動(直線
運動)できるように設けられている。本例のラック1
は、その左端部1a寄りの所定の範囲に多数の歯(歯列
ともいう)4〜4,14が刻設されており、欠歯部位3
を挟んでさらにその右側の所定の範囲に多数の歯4〜
4,14が刻設されている。このうち左側の歯列は、歯
車がその左右端部1a,1bに通り抜け可能に切り抜け
られている。また、右側の歯列は、その左端部1cにの
み歯車が通り抜け可能に形成されている。
【0029】そして、ラック1の左右の各歯列の左端部
にある歯14が、図2,3に示したように、その歯先の
左端部から右端部に向かうにしたがって、摺動案内面2
に平行な線に対し例えば30度で直線状(傾斜状)に下
傾するよう形成され、傾斜面15をなしている。ただ
し、本例では低位開始位置をLa点より若干右側として
いる。すなわち、歯先の左端部に若干の平坦部(歯先面
17)を残している。一方、このようなラック1に対し
ては、2つの通常の歯車21が配置され、ラック歯車装
置を成すように構成されている。ただし両歯車21と
も、ラック1が右側端部に位置しているときは噛合い状
態になく、左端側(図中矢印A方向)に摺動すること
で、その左右の各歯列に対してそれぞれ同時に噛合い、
一定回転数(角度)回転するように軸止めされている。
【0030】しかして、本例のラック1と歯車21から
なるラック歯車装置では、ラック1が右端にある位置か
ら前進されるときは次のようである。ただし、噛合い開
始端にある歯14の点Laは、左右の歯車21の歯24
の歯先面27のうちの点Ga近傍に衝突するものとす
る。すなわち、このような場合においてラック1を図中
矢印A方向に前進させると、ラック1の噛合い開始端に
ある歯14の点Laは、各歯車21の歯24の歯先面2
7のうちの点Ga近傍に衝突する。このとき、図3中2
点鎖線で示したように、歯車21はラック1の摺動案内
面2の遊び分や衝突時の変形分などにより若干回転(変
位)し、ラック1も若干前進するが、ラック1の端部に
位置する歯14の歯先がLa点と反対側を傾斜面取状に
形成されているため、そのような回転があっても、歯車
21の歯先(面)27は、ラック1の歯先(面)に圧接
状態となることは殆どない。
【0031】これにより、ラック1の前進が確保される
ので、ラック1の歯14は衝突した歯車21の歯24の
歯先面27を滑るようにしてその前方の歯溝29に入り
込むことができる(図2,3参照)。つまり、このよう
なラック1を用いたラック歯車装置では、ラック1の噛
合い開始端にある歯14の点Laが、各歯車21の歯2
4の歯先面27のうちの点Ga近傍に衝突するような場
合には、ラック1と歯車21の歯の噛合いのタイミング
が設定されていない場合であっても、その分、噛合いや
すいものとすることができる。なお、図3中の歯車21
の歯24に1点鎖線で示したように面取が付けられてい
れば、前記のような場合には、ラック1はその歯24に
触れることなく前方の歯溝29に入込むことができる。
詳しくは後述する。
【0032】なお、このようなラック1は、ラック盤、
ブローチ盤、或いはギアシェーパなどにおいて、その歯
(歯先)4,14の形状に合わせて形成した刃物で歯切
り加工することで形成できる。もちろん、例えばピニオ
ンカッターで従来と同様に歯切り加工した後、各歯列の
うちの左端部の歯14についてのみその歯先を図示した
ように加工することでも形成できる。なお、同歯14の
低位開始位置は歯先17と前方の歯面6aとの交差稜L
aから後方に例えば0.1〜0.3mm程度離すのがよ
い。すなわち、歯先のうち前方の歯面6a寄り部位に若
干のフラット部を設けるのが強度上適切である。
【0033】次に、請求項3記載のラック歯車装置を具
体化したものについて、図4,5を参照しながら説明す
る。図4は、そのようなラック歯車装置の実施形態を示
すラックの先端部分近傍の拡大図であり、図5はその要
部拡大図である。ただしこのものは前記形態における歯
車の歯の形状のみが異なるものであることから、同一部
位には同一の符号を付に止め、相違点のみ説明する。す
なわち、本形態のラック歯車装置は、歯車21の全歯2
4に対し、両歯面26a,26bの歯先寄り部位と歯先
面27との交差部位に面取25a,25bを付けたもの
である。本例では、歯先中央に平坦部(歯先面27)を
若干残し、歯先に対して45度で同一の面取を施してい
る。
【0034】このようなラック歯車装置においては、ラ
ック1と歯車21とが図3のような位置関係にある場合
には、前記もしたが図4,5において明らかなように、
ラック1の端部の歯14は歯車の歯24の歯先に衝突す
ることなく、その前方の歯溝29に入り込むことができ
る。したがって、さらに円滑な噛合いが確保される。
【0035】さて次に、請求項4記載のラック歯車装置
を具体化したものについて、図6,7を参照しながら説
明する。図6は、そのようなラック歯車装置の実施形態
を示すラックの先端部分近傍の拡大図であり、図7はそ
の要部拡大図である。ただしこのものも前記形態におけ
る歯車の歯の形状のみが異なるものであることから、同
一部位には同一の符号を付に止め、相違点のみ説明す
る。すなわち、本形態のラック歯車装置は、歯車21の
全歯24の歯先を、噛合いが開始される際に回転する方
向(図6中円弧状矢印a)の前方に位置する歯面26a
側に向かうにしたがって傾斜面取状に形成したものであ
る。なお、この傾斜面25cの傾斜角αは、ラック1の
歯14のLa点が、歯車21のいずれの歯24の歯先に
も当たることなく、常に、いずれかの歯24の後方(図
7右側)の歯面26bに当るように、Gb点から一定の
角度以上の傾斜とするのが好ましいが、本例ではチッピ
ングなどの防止のため、若干歯先面27を残したものと
している。
【0036】しかして、このようなラック歯車装置にお
いては、ラック1と歯車21とが図10〜12のいずれ
の位置関係にあるような場合でも、ラック1の端部の歯
14は歯車21の歯24にほとんど衝突することなく、
歯溝29に入り込むことができるから、極めて円滑な噛
合いが確保される。なお、図4,5及び図6,7の歯車
の歯は、ホブなどにおいてその歯(先)形状にあった刃
を形成して加工するなど適宜の手段で形成できる。つま
り、本発明を成す歯車の歯形も、刃物を所定形状に形成
しておくことで、従来と同様に形成できることから、製
造コストのアップを招くこともない。
【0037】本発明にかかる前記形態のラック1と、前
記各形態の歯車21との組合わせによる図1のラック歯
車装置において、ラック1を矢印A方向に摺動して各歯
車に噛合わせる試験をそれぞれ1000回行い、その場
合においてロック状態を起こすことなく、円滑な噛合い
が確保される回数を確認した。結果は表1に示した通り
である。
【0038】ただし、試料No1は、ラック1のみ本発
明品(図2,3参照)を用い、歯車は従来のインボリュ
ート歯形の平歯車を用いた場合である。そして試料No
2は、図4,5に示した通りのラックと、全歯の両歯面
に45度面取を付けた歯車からなるラック歯車装置を用
いた場合である。ただし、歯先中央の平坦面部の幅を
0.2mmとした。さらに、試料No3は、図6,7に
示した通りのラックと歯車を用いた場合である。ただ
し、平坦面部の幅を0.2mmとし、歯先における接線
に対し20度で傾斜状に切欠いたものである。なお、比
較例は、従来のラック及び平歯車からなるラック歯車装
置である。
【0039】なお、歯車は、歯面がインボリュート歯形
で、モジュール1、圧力角20度、歯数は100、ピッ
チ円直径100mmであり、ラックは歯面が直線の歯形
で、モジュール1、圧力角20度、そして歯は左右それ
ぞれの歯列とも12のものをベースとし、ともにS45
C製とした。そして、ラックの摺動速度は、約100c
m/秒とした。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示したように、比較例では、46.
3%の噛合い成立率しかなかったのに対し、試料No1
では61.5%、試料No2では93.1%、試料No
3では100%の成立率であった。このことは、本発明
の効果を実証するものであると同時に、試料No2、3
のラック装置では好ましい効果が得られることが分か
る。つまり、従来では、噛合い確保のためには、摺動を
略2回繰り返す必要があったのに対し、試料No2,3
のラックでは、そのような繰返しをほとんど要しないこ
とを意味し、とりわけ料No3のものでは、その繰返し
を皆無とし得ることを意味するものである。
【0042】なお、前記においては、一体からなり2つ
の歯列をもつラックにおいて、2つの歯車を同時に噛合
わせるラック歯車装置において具体化したが、これらの
数が多くなるほど、噛合い不良の発生の可能性が増大す
る。そして、本発明は、その数にかかわらず具体化でき
る。当然のことながら、ラック歯車装置は1つの歯列と
1つの歯車とからなるものにおいても具体化できる。
【0043】また、前記形態では、歯車の軸位置を移動
することなく、ラックを摺動させることで、噛合い、或
いは解除をさせる装置で具体化したが、本発明では、こ
の逆であっても同様に具体化できる。つまり、可動ラッ
クとしたラック歯車装置でも、固定ラックとして歯車を
その軸をラックに沿って移動させるようにしたラック歯
車装置においても、全く同様の効果があることは明かで
ある。
【0044】さらに、前記形態ではラックについて歯車
との噛合いが開始される端部に位置する一歯(のみ)に
ついてのみ、該端部と反対端部に向かうにしたがって次
第に低位となるように形成したが、全部の歯についてこ
のように形成してもよい。
【0045】さらに、前記においては平歯車において具
体化したが、はすば歯車や、やまば歯車においても具体
化できる。また前記形態では、インボリユート歯形の歯
車において具体化したが、サイクロイド歯形の歯車にお
いても同様に具体化できる。本発明は、その要旨を逸脱
しない範囲で、適宜に設計変更して具体化でき、各種の
装置において、回転自由状態にて静止している歯車に対
し、ラックを相対的に摺動させて噛合わせるようにした
ラック歯車装置に、ラックや歯車の材質にかかわりなく
広く適用できる。
【0046】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のラックによれば、回転自由状態にて静止している非噛
合い状態にある歯車に対し、ラックを摺動させて噛合わ
せる際において噛合い干渉を起こすことを有効に防止で
き、噛合いを円滑に行わせることができる。この結果、
ラックの前進、後退の繰返を低減できるので歯車装置の
歯の摩耗やチッピング防止効果も高く、歯車装置として
の寿命の延長も期待される。また、本発明のラック歯車
装置によれば、そのような噛合わせをさらに円滑に行わ
せることができるため、さらにその長寿命化が図られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラックの一形態例を用いたラック歯車
装置の概略構成図。
【図2】図1のラックの先端部分近傍の拡大図。
【図3】図2の要部拡大図。
【図4】請求項3記載のラック歯車装置の実施形態を示
すラックの先端部分近傍の拡大図。
【図5】図4の要部拡大図。
【図6】請求項4記載のラック歯車装置の実施形態を示
すラックの先端部分近傍の拡大図。
【図7】図6の要部拡大図。
【図8】従来のラック歯車装置の一例を示す概略構成
図。
【図9】図8のラックの先端部分近傍の拡大図であって
ロック状態の説明図。
【図10】図9の要部拡大図。
【図11】図9における別のロック状態の説明用要部拡
大図。
【図12】図9における別のロック状態の説明用要部拡
大図。
【符号の説明】
1 ラック 7,27 歯先 14 端部に位置する歯(歯車との噛合いが開始される
端部に位置する歯) 21 歯車 26a,26b 歯車の歯面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 端部に位置する歯の歯先を、該端部と反
    対端部に向かうにしたがって低位となるように形成した
    ことを特徴とするラック。
  2. 【請求項2】 一定方向に摺動させることによって歯車
    との噛合いが開始され、反対方向に摺動させることによ
    って歯車との噛合いが解除されるように形成されたラッ
    クであって、歯車との噛合いが開始される端部に位置す
    る歯の歯先を、該端部と反対端部に向かうにしたがって
    低位となるように形成したことを特徴とするラック。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のラックと、該ラッ
    クに噛合う歯車を前記端部側において噛合いが開始され
    かつ噛合いが解除されるように備えてなるラック歯車装
    置であって、前記歯車はその全歯に対し、両歯面の歯先
    寄り部位と歯先との交差部位に面取を付けてなることを
    特徴とするラック歯車装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のラックと、該ラッ
    クに噛合う歯車を前記端部側において噛合いが開始され
    かつ噛合いが解除されるように備えてなるラック歯車装
    置であって、前記歯車はその全歯の歯先を、噛合いが開
    始される際に回転する方向の前方に位置する歯面側に向
    かうにしたがって低位となるように形成してなることを
    特徴とするラック歯車装置。
JP10230237A 1998-07-31 1998-07-31 ラック及びラック歯車装置 Pending JP2000055170A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10230237A JP2000055170A (ja) 1998-07-31 1998-07-31 ラック及びラック歯車装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10230237A JP2000055170A (ja) 1998-07-31 1998-07-31 ラック及びラック歯車装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000055170A true JP2000055170A (ja) 2000-02-22

Family

ID=16904688

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10230237A Pending JP2000055170A (ja) 1998-07-31 1998-07-31 ラック及びラック歯車装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000055170A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010103803A1 (ja) * 2009-03-09 2010-09-16 三菱重工業株式会社 直線移動装置
CN107143628A (zh) * 2016-10-13 2017-09-08 深圳市兆威机电有限公司 齿轮齿条传动组件及传动设备
WO2021218654A1 (zh) * 2020-04-27 2021-11-04 北京京东乾石科技有限公司 啮合适配机构及物流系统
WO2023228214A1 (en) * 2022-05-25 2023-11-30 Falcon Autotech Private Limited Rack and pinion drive apparatus

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010103803A1 (ja) * 2009-03-09 2010-09-16 三菱重工業株式会社 直線移動装置
US8522636B2 (en) 2009-03-09 2013-09-03 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Rectilinear motion device
CN107143628A (zh) * 2016-10-13 2017-09-08 深圳市兆威机电有限公司 齿轮齿条传动组件及传动设备
WO2018068355A1 (zh) * 2016-10-13 2018-04-19 深圳市兆威机电有限公司 齿轮齿条传动组件及传动设备
WO2021218654A1 (zh) * 2020-04-27 2021-11-04 北京京东乾石科技有限公司 啮合适配机构及物流系统
WO2023228214A1 (en) * 2022-05-25 2023-11-30 Falcon Autotech Private Limited Rack and pinion drive apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW397905B (en) Transmission device for coverting a torque between rotary movement and linear movement
EP1884686B1 (en) Conical involute gear and gear pair
EP1770308A2 (en) Gears and gearing apparatus
JPH02129452A (ja) 一方向回転歯車
JP2008240793A (ja) 樹脂製歯車
JP2000055170A (ja) ラック及びラック歯車装置
CN103228907A (zh) 发动机起动装置
EP3527849B1 (en) Rack and pinion drive component and drive equipment
US4222691A (en) Method for machining the screw of a compression or expansion machine and a device for the application of said method
JP2001248710A (ja) インボリュート歯車装置およびこれを用いたエンジンの始動装置
JP2001514088A (ja) 歯車部材およびピニオン部材を互いに噛合わせる方法
JPH07285486A (ja) 自転車用チェン
JP4208713B2 (ja) 噛合いアセンブリ
JP3849778B2 (ja) ギヤ駆動装置
US20160169298A1 (en) Synchronizer and transmission
JP2006194396A (ja) ウオームギヤ減速機
CN201730981U (zh) 一种用于自动同步离合器中具有斜线型棘轮棘爪的装置
US7032487B2 (en) Corrugated fin cutting device and cutting method
CN210371855U (zh) 一种电动车的变速箱
CN110219979B (zh) 一种换挡组件及其换挡拨头和换挡拨块
JP2008020460A (ja) 時計ムーブメントに組み込まれる駆動歯車
US20060207368A1 (en) Rack and optical drive utilizing the same
US4474074A (en) Transmission with an apparatus for preventing a reverse gear from disengaging from the meshed position
CN204921960U (zh) 一种倒挡锁止装置、变速器操纵机构及汽车
JP2007100744A (ja) 歯車及び歯車装置