JP2000053978A - 炭素水素含有化合物からのメタンリッチガスの合成法及びsngないし都市ガスの製造方法 - Google Patents

炭素水素含有化合物からのメタンリッチガスの合成法及びsngないし都市ガスの製造方法

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JP2000053978A
JP2000053978A JP10220647A JP22064798A JP2000053978A JP 2000053978 A JP2000053978 A JP 2000053978A JP 10220647 A JP10220647 A JP 10220647A JP 22064798 A JP22064798 A JP 22064798A JP 2000053978 A JP2000053978 A JP 2000053978A
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gas
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carbon
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Akira Ninomiya
章 二宮
Toshitsune Todaka
利恒 戸高
Misuzu Sato
美鈴 佐藤
Hiroyasu Nishiguchi
宏泰 西口
Tatsuki Ishihara
達己 石原
Yusaku Takita
祐作 滝田
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OITA GAS KK
OOITA GAS KK
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OITA GAS KK
OOITA GAS KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低級飽和炭化水素から、炭素の析出を抑え、
SNGないし都市ガスに有効な高濃度のメタン含有ガス
を脱炭酸工程を省略して合成する方法の提供。 【解決手段】 気相にて低級飽和炭化水素を、元素の周
期表第VIII族金属を担体に担持した触媒と希釈材を含有
する反応触媒と多段で接触する。接触反応で劣化した反
応触媒を空気接触で再生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素水素含有化合
物からメタンを合成する方法及び代替天然ガス(SN
G)ないし都市ガスを製造する方法に関する。より詳し
くは、炭素水素含有化合物、特に飽和炭化水素を特定の
触媒と接触して高濃度のメタンを含むガスを合成する方
法及びこの方法を利用したSNGないし都市ガスの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ガスの高カロリー化には、成分ガス
としてメタンが配分される。メタンは天然ガスの主成分
として産出する他、石油に随伴して産出する石油ガスか
らも得られる。メタンの合成法としては各種の炭素を含
む炭化水素を部分酸化して一酸化炭素となし、これを触
媒を用いて水素化することによっても得られる。メタン
の価格は季節や国内外の需要バランスによって変化す
る。一方、多くが熱エネルギー源として利用されている
プロパンやブタン等の価格も変動するので、水素/炭素
比が大きいこれらの飽和炭化水素から効率良くメタンが
合成できれば工業的メリットは大きい。例えば、プロパ
ンからメタンの合成を示せば、以下の反応(1)のよう
になり、炭素の析出を伴う。 C3 8 →2CH4 +C (1) 飽和炭化水素からの対応する不飽和炭化水素への脱水素
反応では、通常は触媒上への少量の炭素の析出が進行す
るが、炭素の析出を活性を低下させるために、これをい
かにして防止するかに腐心されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】メタンの合成法として
上記の炭化水素の部分酸化、水素化による方法では、プ
ロセスが複雑になるばかりでなく、エネルギー的にロス
が大きい。又、これらの方法は高圧で貴金属が用いら
れ、脱炭酸工程を必要としていた。従って、貴金属を用
いずに常圧で運転され、しかも脱炭酸工程の不要なプロ
セスの構築が待望されていた。そして一段構成の簡単な
プロセスで、炭素数2以上の飽和炭化水素から直接メタ
ンを合成することができれば、エネルギーの改善にな
り、そのような合成法の開発が望まれていた。
【0004】本発明者らは、先に、気相にて飽和炭化水
素を、ニッケル等の元素の周期表第VIII族金属を担体に
担持した触媒と接触することにより、メタンを含有する
ガスの合成法を開発した。しかし、この合成法は、飽和
炭化水素を高度に接触分解するには500℃以上の反応
温度を要し、少なからずの炭素の析出を伴い、メタンの
濃度も決して満足したものではない。
【0005】本発明は、炭素水素含有化合物、特に飽和
炭化水素からより低温の反応温度においても、炭素の析
出が抑えられ、常圧でも効率的に高濃度のメタン含有ガ
スを合成することができる方法を提供することを目的と
する。又、本発明は、貴金属を用いずに常圧で運転さ
れ、しかも脱炭酸工程の不要なSNGないし都市ガスの
製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】飽和炭化水素を触媒の存
在なしに強大なエネルギーで分解すると、アセチレン等
と共に、固体炭素が生成することは古くから知られてい
る。飽和炭化水素は、炭素−炭素結合があるので、触媒
を用いて炭素−炭素結合を温和な条件で切断し、水素移
行させれば、飽和炭化水素のみの反応ガスからメタンを
合成することが可能であると思われる。本発明者らは、
このような考えから鋭意研究を行った結果、先に本発明
者らが開発した上記の合成法において、飽和炭化水素と
上記触媒との接触を、多段で行うことにより本発明の目
的が達成できることを見出だして本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、炭化水素及び低級ア
ルコールから選ばれる炭素水素含有化合物を、元素の周
期表第VIII族金属を担体に担持した触媒と気相にて多段
で接触することからなるメタンリッチガスの合成法を要
旨とする。又、本発明のメタンリッチガスの合成法は、
上記炭素水素含有化合物が炭素数2〜20の飽和炭化水
素であることを特徴とする。又、本発明のメタンリッチ
ガスの合成法は、上記触媒は更に希釈材を含むものであ
ることを特徴とする。又、本発明のメタンリッチガスの
合成法は、上記元素の周期表第VIII族金属の担持量は
0.1〜50重量%であることを特徴とする。又、本発
明のメタンリッチガスの合成法は、上記元素の周期表第
VIII族金属はニッケルであり、上記担体はシリカであ
り、上記希釈材はα−アルミナであることを特徴とす
る。又、本発明のメタンリッチガスの合成法は、上記接
触温度が150〜800℃であることを特徴とする。
【0008】更に、本発明は、元素の周期表第VIII族金
属を担体に担持した触媒と希釈材を含む反応触媒を充填
した直列の多段の反応装置に炭化水素及び低級アルコー
ルから選ばれる炭素水素含有化合物を供給してメタンリ
ッチガスを合成する工程を有するSNGないし都市ガス
を製造する方法であり、少なくとも第1段目の該反応装
置において酸素含有ガスを供給して該反応触媒を再生す
る工程を有することからなるSNGないし都市ガスの製
造方法を要旨とする。又、本発明のSNGないし都市ガ
スの製造方法は、更に熱量調整工程を有することを特徴
とする。又、本発明のSNGないし都市ガスの製造方法
は、上記炭素水素含有化合物は炭素数が2〜20の飽和
炭化水素であることを特徴とする。又、本発明のSNG
ないし都市ガスの製造方法は、上記元素の周期表第VIII
族金属の担持量は0.1〜50重量%であることを特徴
とする。又、本発明のSNGないし都市ガスの製造方法
は、上記元素の周期表第VIII族金属はニッケルであり、
上記担体はシリカであり、上記希釈材はα−アルミナで
あることを特徴とする。又、本発明のSNGないし都市
ガスの製造方法は、上記メタンリッチガスを合成する工
程は150〜800℃で行われることからなることを特
徴とする。又、本発明のSNGないし都市ガスの製造方
法は、上記反応触媒の再生は300〜1000℃で行わ
れることからなることを特徴とする。
【0009】飽和炭化水素が分解する場合、前記反応
(1)の他に反応(2)の炭素析出反応も進行する。つ
まり、反応(1)、反応(2)を合わせた反応(3)が
進行する。 C3 8 →3C+4H2 (2) 2C3 8 →3CH4 +2H2 +3C (3) 又、生成する固体炭素の形態が触媒の寿命に影響を与え
る。即ち、触媒金属上に繊維状の炭素が成長するなら
ば、触媒の露出表面積の減少速度が小さいため触媒活性
の低下は小さい。一方、固体炭素が触媒の表面上を筏上
に覆い、反応の進行に伴って筏の面積が増大し、ついに
は全表面を覆うような生成が起これば触媒の寿命は短く
なる。従って、触媒の露出表面積の減少させないような
炭素析出を行わせることができれば、触媒の寿命を延長
させることができる。この問題点についても鋭意研究を
重ね、反応条件を選択することによって相当延長させる
ことができた。
【0010】飽和炭化水素からのメタンへの合成は、ま
ず初めに飽和炭化水素が分解し、前記反応(1)、反応
(2)を合わせた反応(3)が進行する。そして、未反
応の飽和炭化水素が反応(3)の水素と下記反応(4)
のように水素化分解すると推定し、常圧でのメタン合成
触媒反応を行ってみた。その結果、推定通り、飽和炭化
水素からのメタンへの合成は、前記反応(1)、反応
(2)を合わせた反応(3)及び前記反応(3)、反応
(4)を合わせた下記反応(5)の二段階で起こる逐次
反応のようになることが判った。 C3 8 +2H2 → 3CH4 (4) C3 8 +3CH4 +2H2 → 3CH4 +3CH4 (5)
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる炭素水
素含有化合物は炭化水素及び低級アルコールから選ばれ
る。用いられる炭化水素は、炭素数が2以上、特に2〜
20の炭化水素であり、飽和炭化水素並びにモノオレフ
ィン、ジオレフィン及びアセチレン類の不飽和炭化水素
を包含する。上記炭化水素は、それらの混合物でも良い
ことは言うまでもない。効率の点からは、炭素数の小さ
い炭化水素ほど好ましい。供給源の点では炭素数が3及
び4のものが好ましい。
【0012】飽和炭化水素としては、エタン、プロパ
ン、ブタン類等が、モノオレフィンとしては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン類等が、ジオレフィンとして
は、プロパジエン、ブタジエン類等が、アセチレン類と
しては、アセチレン、プロピン、ブチン等が挙げるれ
る。これら炭化水素の中でも、飽和炭化水素が好まし
い。従って、炭化水素としては、炭素数が3及び4のL
PG(プロパン、ブタン類)、特にプロパンが好まし
い。低級アルコールとしては、炭素数が1ないし4のメ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が
挙げるれるが、特にメタノールが望ましい。上記炭素水
素含有化合物の中でも、特に飽和炭化水素が好ましい。
【0013】本発明で用いられる触媒は、元素の周期表
第VIII族金属を担体に担持したものである。該第VIII族
金属は、ニッケル、鉄、コバルトの他、白金族金属、す
なわち、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、イリジウム、白金であるが、特にニッケルが好まし
い。これらは2種以上併用することができる。
【0014】上記金属を担持する担体としては、シリ
カ、アルミナ(特にα−アルミナ)、チタニア、シリカ
−アルミナ(特にα−アルミナ)、窒化珪素、炭化珪素
等が挙げられるが、特にシリカが好ましい。これらは2
種以上併用することができる。これら担体への上記金属
の担持量は、0.1〜50重量%、特に1〜20重量%
である。担持量が0.1重量%未満では、活性が低く、
充分な性能を示すことができず、50重量%を超える
と、それ以上の効果が得られず、触媒が高価になるばか
りでなく、炭素の析出が増大して、メタンの収率が低下
する恐れがある。
【0015】上記担体への上記金属の担持法は、一般的
な方法で良い。例えば、上記金属の硝酸塩の水溶液に担
体を浸漬した後、該担体をホットプレート上で蒸発乾固
する。或いは硝酸塩の水溶液に担体を浸漬したものに、
希釈アンモニア水を滴下し中和沈殿させ、必要に応じて
熟成放置する。更に濾過し、乾燥させる。このようにし
て調製した触媒前駆体を乾燥する。乾燥温度は、100
〜130℃が良い。得られた乾燥体は、粉砕して粒度を
揃えるか、更に粉砕し成型する。その後、300℃以
上、好ましくは300〜500℃の温度で空気焼成す
る。焼成時間は、焼成温度にもよるが、1〜50時間程
度、好ましくは2〜24時間程度である。上記のように
して空気焼成された触媒は、還元性ガスで還元される。
還元性ガスとしては、水素、一酸化炭素、炭化水素等い
ずれの還元剤も使用できる。
【0016】上記触媒は、そのまま反応器に充填して用
いても良いが、反応に対して不活性な充填物(以下、希
釈材という。)で希釈して用いても良い。希釈材として
は、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ(特にα−アルミ
ナ)、チタニア、シリカ−アルミナ(特にα−アルミ
ナ)、マグネシア、モレキュラーシーブ(特にモレキュ
ラーシーブ5A)、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、
窒化珪素、炭化珪素等が挙げられるが、特にα−アルミ
ナが好ましい。これら希釈材は、上記触媒と同サイズに
したものが望ましい。又、これら希釈材は、触媒体積に
対して1%から10000%、好ましくは100%から
1000%である。希釈材が少なすぎると、析出炭素で
閉塞を起こす危険性があり、多すぎると経済的に問題で
ある。
【0017】上記炭素水素含有化合物と上記触媒との気
相接触反応は、炭素水素含有化合物含有ガス(供給ガ
ス)を、触媒上に供給することによりなされる。該炭素
水素含有化合物に対して希釈ガスを用いる必要はない
が、用いることは問題にならない。場合によっては、接
触反応が吸熱反応なので、希釈ガスは熱量のバッファと
して効果を示すことが期待される。希釈ガスとして窒
素、ヘリウム、アルゴン等の反応に関与しない気体を用
いることができる。供給ガスの炭素水素含有化合物の濃
度は、1.0〜100モル%、好ましくは50〜100
モル%である。1.0モル%未満では、経済的に不利で
ある。
【0018】上記炭素水素含有化合物と上記触媒との接
触反応温度は、反応すべき供給ガスの種類と組成による
が、高温すぎる反応は触媒寿命が急激に低下する傾向に
あるので経済的でない。又、低温すぎると未反応成分割
合が増加するので、150〜800℃の範囲が好適であ
るが、多段接触において第1段目の反応温度よりも第2
段目以降のそれを低くするのが望ましく、従って、第1
段目の反応温度を300〜600℃、第2段目以降の反
応温度を200〜400℃とするのが、特に好ましい。
【0019】触媒当たりの供給ガス量である空間速度
(space velosity)は、10l−ガス/l−触媒/時間
(以下10/hのように記す)ないし10000/hが
適当で、より好ましくは50/h〜2000/hであ
る。勿論、第1段目及び第2段目以降の空間速度は同一
であっても、異なっても良く、上記の範囲内で変化させ
得ることは言うまでもない。反応の形式は、気層流通固
定床式が一般的であるが、流動床式でも良い。勿論、第
1段目及び第2段目以降の反応の形式は同一であって
も、異なっても良い。流動床式の場合、後述の触媒上に
付着した炭素を除去する場合、すなわち触媒再生のより
良い効率が期待される。
【0020】連続して反応を行うと、触媒上に固体炭素
が析出し、炭素水素含有化合物の転化率が低下してく
る。その場合、供給ガスを停止し、触媒を再生する。再
生には種々の方法を用いることができる。例えば、酸素
を含むガスを供給し、一酸化炭素或いは二酸化炭素とし
て析出炭素を除去する方法である。この場合、酸素濃度
の高い再生ガスの供給は炭素の燃焼により触媒層温度の
過昇を招くので、触媒の希釈割合に応じた酸素濃度の選
定が必要である。その他、水蒸気を供給して、メタンを
回収する方法、超音波や振動で炭素を大部分除去し、残
存炭素を上記の酸素を含むガスと接触して除去する方法
等があり、経済性によって選択することができる。
【0021】上記のようにすることによって、炭素水素
含有化合物、特に低級炭化水素からメタンリッチガスを
効率良く合成することができるが、本発明は、この合成
法を利用して、従来の弊害を排除して炭化水素からSN
Gないし都市ガスを製造することができる。
【0022】すなわち、本発明は、更に元素の周期表第
VIII族金属を担体に担持した触媒と希釈材を含む反応触
媒を充填した直列の多段の反応装置に炭素水素含有化合
物を供給してメタンリッチガスを合成する工程を有する
SNGないし都市ガスを製造する方法であり、少なくと
も第1段目の該反応装置において酸素含有ガスを供給し
て該反応触媒を再生する工程を有することからなるSN
Gないし都市ガスの製造方法に関する。
【0023】この製造方法で用いられる上記炭素水素含
有化合物は、上記合成法において用いられる炭素水素含
有化合物であり、その好ましい態様は上記合成法におけ
る場合と同じで良い。又、同様にこの製造方法で用いら
れる上記反応触媒も、上記合成法において用いられる触
媒と希釈材を含むものであって、その好ましい態様は上
記合成法における場合と同じで良い。本発明の方法は、
多段の反応装置を直列に配し、その多段の反応装置に上
記反応触媒を充填し、該反応装置に上記合成法と同様に
して飽和炭化水素を供給する工程を有するものであり、
少なくとも第1段目の該反応装置において酸素含有ガス
を供給して該反応触媒を再生する工程を有することから
なる。
【0024】上記触媒を再生する工程は、該反応装置に
酸素含有ガスを供給して、連続した該炭素水素含有化合
物の供給により該反応装置の反応触媒上に析出した固体
炭素を燃焼(酸化)除去することからなる。該反応装置
は通常1槽から形成されているが、その場合は間欠的に
該炭素水素含有化合物の供給を停止すると共に酸素含有
ガスを供給して触媒を再生する。しかし、該反応装置が
流動床の場合は、該反応装置は炭素水素含有化合物を供
給して反応を行う反応槽に、酸素含有ガスを供給して反
応触媒の再生を行う再生槽を併設させた2槽形成も採る
ことができる。この場合は、該反応触媒は反応槽及び再
生槽を循環し、該炭素水素含有化合物は供給を停止され
ることなく連続的に反応槽に供給される。このように該
反応触媒の再生を行うことにより該反応装置の長期間の
安定稼働を可能とする。この触媒再生は、少なくとも第
1段目の反応装置において行われるが、勿論第2段目以
降の反応装置においても、同様に行うことはなんら支障
がない。その場合、第2段目以降の反応装置よりも、通
常より高温で反応が行われる第1段目の反応装置ににお
いて、その頻度を多くするのがより有効である。
【0025】上記触媒再生は、反応装置に酸素含有ガス
を供給することによりなされるが、酸素含有ガスとして
は、典型的には空気である。勿論、酸素ガスそのものの
他、酸素ガスを窒素ガスその他の不活性ガスで希釈した
混合ガス、更には二酸化炭素ガスそのもの及びその希釈
ガスも使用可能である。触媒再生は、用いる反応触媒の
金属の種類や析出した固体炭素の量にもよるが、通常3
00〜1000℃で行われる。上記のように本発明の方
法においては、上記触媒再生の間、反応装置への飽和炭
化水素の供給を停止する場合があるが、その場合は、第
1段目の反応装置を複数並列に配置し、交互に又は順次
に触媒再生工程を適用できるような構成にすれば、その
ような弊害を避けることができる。又、この酸素含有ガ
スの供給による触媒再生工程において、前記のように水
蒸気供給、超音波や振動による炭素除去等の方法も併せ
て採用することができる。
【0026】上記のようにして、第1段目の反応装置及
び第2段目の反応装置で炭素水素含有化合物を反応触媒
と接触することにより、SNGや都市ガスに有効な高濃
度のメタン含有ガスを製造することができるが、SNG
や都市ガスには熱量の規格があり、上記メタン含有ガス
の熱量がそれらの規格に合致しない場合は、上記メタン
含有ガスの熱量を調整してそれらの規格に合致させる必
要がある。本発明はこの熱量調整工程を必要に応じて有
するものである。熱量調整には熱量を上げる場合と下げ
る場合があり、熱量を上げる場合は熱量調整ガスとして
プロパン、ブタン等が、熱量を下げる場合は熱量調整ガ
スとして空気が通常用いられる。
【0027】上記本発明の方法を、図示したものが図1
である。図1の脱硫工程は、原料の炭素水素含有化合物
(図中、飽和炭化水素)中の硫黄による反応触媒の被毒
を避けるためのものであって、該炭化水素が脱硫精製さ
れたものであれば、この工程は省略することができる。
この脱硫工程を経たか経ない飽和炭化水素は、本発明の
第1段反応が行われるメタン合成工程に導入され、生成
したメタンリッチガスは第2段反応が行われる水素化分
解工程に導入され、ここで更に高濃度のメタン含有ガス
を生成させる。このメタン含有ガスは、その規格に合致
すればそのまま、規格に合致しない場合は熱量調整工程
を経て、SNG、更には都市ガスとして利用される。一
方、メタン合成工程において飽和炭化水素との接触によ
る炭素の析出で劣化した反応触媒は、触媒再生工程にお
いて酸素含有ガスと高温で接触して炭素を酸化除去する
ことにより再生される。なお、図示されていないが、水
素化分解工程においても、必要ならば触媒再生工程を設
けることは可能である。又、メタン合成工程及び/又は
水素化分解工程は、必要に応じて2段以上の工程として
も良い。
【0028】上記のように本発明の方法は、従来のSN
Gや都市ガスの製造法において必須の脱炭酸工程が不要
であり、酸素や空気を用いた場合の触媒再生工程以外
は、殆ど二酸化炭素を放出せず、炭素数の低減に伴う二
酸化炭素の燃焼排ガス発生量も少なく、地球温暖化の防
止に役立つものである。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により、詳細に説明す
る。 (実施例1)触媒の調製 硝酸ニッケル六水和物(和光純薬社製、試薬特級)とシ
リカ(アエロジルシリカ−380;日本アエロジル社
製)を精製せずにそのまま用いた。まず、硝酸ニッケル
六水和物50.25gを50mlの純水に溶解し、これ
に91.5gのシリカを入れ、よく攪拌しながらホット
プレート上で蒸発乾固した。これを550℃で5時間、
空気気流中で焼成した。この焼成物を1200kg/c
2 でプレス成型した後、粉砕し、14〜32メッシュ
に整粒した。この触媒粒子を300ml/分の水素気流
中、400℃で5時間還元した。この触媒のニッケル含
有量は10重量%であった。接触反応 (第1段反応) 反応は常圧流通固定床式反応装置を用いた。内径13m
mのステンレススチール製管に、上記触媒1.0cc
(約0.32g)と触媒と同粒子サイズのα−アルミナ
9ccとを混合したものを充填し、表1に示す各温度
で、プロパン80モル%、窒素20モル%の組成からな
る供給ガスを30ml/分の速度で供給した。反応後の
ガスをFID及びTCDガスクロマトグラフィーにて分
析し、それらの結果からプロパンの転化率とメタン等へ
の選択率を算出し、それらの結果を表1に示した。な
お、メタンへの選択率は、次式にて計算した。 メタンへの選択率=100(1/3生成したメタンのモ
ル数)/(反応したプロパンのモル数)(%) [表1] 反応温度 転化率 選択率 (%) (℃) (%) メタン エタン 固体炭素 350 1.4 13.0 2.4 84.6 400 31.7 52.7 0.3 47.0 450 83.1 60.7 − 39.3 500 100.0 53.9 − 46.1 550 100.0 47.1 − 52.9 なお、例えば上記反応温度450℃における反応後のガ
ス組成(モル%)は、メタン52.2%、水素30.4
%、プロパン17.4%である。
【0030】接触反応(第2段反応) 第1段反応で用いたと同様の反応装置に第1段反応で用
いたと同一の反応触媒を充填し、第1段反応の反応温度
450℃における反応後のガス組成とほぼ同じ比率のプ
ロパン:メタン:水素=5:15:10(モル比)の組
成からなる供給ガスを表2に示す各温度で30ml/分
の速度で供給した。反応後のガス組成を第1段反応の場
合と同様にして分析し、それら結果を表2に示した。な
お、炭素の析出は観測されなかった。 [表2] 反応温度 反応後のガス組成 (モル%) (℃) メタン 水素 エタン 固体炭素 220 48.8 33.8 0.3 17.1 240 58.6 27.0 0.8 13.6 260 95.3 1.9 0.4 2.4 280 96.3 1.2 0.2 2.3 300 94.0 2.8 0.2 3.0 320 88.0 5.8 0.3 5.9 340 78.8 17.2 0.3 7.7 360 73.7 17.1 0.3 8.9 380 78.0 14.5 0.3 7.2 400 90.0 9.2 0.1 0.3 表2から明らかなように、第2段反応は260〜300
℃においてメタンの濃度が最も高くなることが判る。こ
の260〜300℃での反応の平均ガス組成(モル%)
は、メタン95.2%、水素2.0%、エタン0.2
%、プロパン2.6%であり、これはその組成から、S
NGとして要求される熱量を充分満たしている。
【0031】更に、この生成ガスを都市ガス(13A)
として供給する場合、熱量が不足するのでプロパンで熱
量調整を行い下記組成の混合ガスを得た。 メタン87.4%、水素1.8%、エタン0.2%、プ
ロパン10.6% 又、上記混合ガスの性状は下記の通りであり、ウオッベ
指数(WI)、燃焼速度(MCP)は、都市ガス(13
A)としての規格(括弧内の数値)を満たしている。 発熱量 (MJ) 46.0 比 重 (空気=1) 0.65 ウオッベ指数(WI)(52.7〜57.8) 56.9 燃焼速度(MCP) (35〜47) 37.7 露 点 (1MPa)(℃) −36.7
【0032】(実施例2)実施例1と同様にして第1段
反応を500℃で3時間行ったところ、プロパンの転化
率が下ってきたので、プロパンの供給を停止した。プロ
パン供給停止後の反応触媒をSEM(走査型電子顕微
鏡)で観察した。その結果、反応触媒表面上にフィラメ
ント状の炭素が析出していた。次いで、この第1段反応
装置に、600℃で空気を供給して、反応触媒の再生を
行った。その間、生成ガス(一酸化炭素及び二酸化炭
素)を測定したが、空気供給開始9時間後には生成ガス
は測定されなくなった。更に、この反応触媒の再生が終
了した第1段反応装置に、450℃でプロパンの供給を
再開すると共に、そこで得られた反応ガスを実施例1と
同様にして第2段反応装置に290℃で供給したとこ
ろ、実施例1の第2段反応で得られる生成ガスとほぼ同
一の組成を有する生成ガスが得られた。上記の実施例の
結果から、飽和炭化水素の多段接触工程と反応触媒の再
生工程を組み合わせる本発明の方法では、SNGないし
都市ガスに好適な高濃度のメタンを含有するガスを、脱
炭酸工程が不要で製造することができることが判る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、工業的に供給が容易な
LPG(プロパン、ブタン類)等の飽和炭化水素から、
高濃度のメタンを含有するガスを製造することができ、
従ってこの手法を利用することにより新規のSNG製造
プロセスの実現や都市ガス原料に好適なガスの効率的合
成を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】SNGないし都市ガスの製造方法を示すフロー
チャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二宮 章 大分県別府市内成1497番地 (72)発明者 戸高 利恒 大分県別府市竹の内2組 (72)発明者 佐藤 美鈴 大分県大分市政所一丁目4番39−501号 (72)発明者 西口 宏泰 大分県大分市宮崎937番地の1 (72)発明者 石原 達己 大分県大分市鴛野959番地の22 (72)発明者 滝田 祐作 大分県大分市宮崎台三丁目4番33号 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 AA10 BA01A BA02A BA02B BB02B BB12C BC65A BC68A BC68C BC69A CC04 CC05 CC17 CC40 FA02 FB29 FB30 FB31 FB44 FC07 FC08 GA06 4H039 CA11 CG50 CG90

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素及び低級アルコールから選ばれ
    る炭素水素含有化合物を、元素の周期表第VIII族金属を
    担体に担持した触媒と、気相にて多段で接触することか
    らなるメタンリッチガスの合成法。
  2. 【請求項2】 上記炭素水素含有化合物は炭素数が2〜
    20の飽和炭化水素である請求項1記載のメタンリッチ
    ガスの合成法。
  3. 【請求項3】 上記触媒は更に希釈材を含むものである
    ことからなる請求項1又は2記載のメタンリッチガスの
    合成法。
  4. 【請求項4】 上記元素の周期表第VIII族金属の担持量
    は0.1〜50重量%である請求項1〜3のいずれかに
    記載のメタンリッチガスの合成法。
  5. 【請求項5】 上記元素の周期表第VIII族金属はニッケ
    ルであり、上記担体はシリカであり、上記希釈材はα−
    アルミナである請求項3又は4に記載のメタンリッチガ
    スの合成法。
  6. 【請求項6】 上記接触温度は150〜800℃である
    請求項1〜5のいずれかに記載のメタンリッチガスの合
    成法。
  7. 【請求項7】 元素の周期表第VIII族金属を担体に担持
    した触媒と希釈材を含む反応触媒を充填した直列の多段
    の反応装置に炭化水素及び低級アルコールから選ばれる
    炭素水素含有化合物を供給してメタンリッチガスを合成
    する工程を有する代替天然ガス(SNG)ないし都市ガ
    スを製造する方法であり、少なくとも第1段目の該反応
    装置において酸素含有ガスを供給して該反応触媒を再生
    する工程を有することからなるSNGないし都市ガスの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 更に熱量調整工程を有することからなる
    請求項7記載のSNGないし都市ガスの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記炭素水素含有化合物は炭素数が2〜
    20の飽和炭化水素である請求項7又は8記載のSNG
    ないし都市ガスの製造方法。
  10. 【請求項10】 上記元素の周期表第VIII族金属の担持
    量は0.1〜50重量%である請求項7ないし9のいず
    れかに記載のSNGないし都市ガスの製造方法。
  11. 【請求項11】 上記元素の周期表第VIII族金属はニッ
    ケルであり、上記担体はシリカであり、上記希釈材はα
    −アルミナである請求項7ないし10のいずれかに記載
    のSNGないし都市ガスの製造方法。
  12. 【請求項12】 上記メタンリッチガスを合成する工程
    は150〜800℃で行われることからなる請求項7な
    いし11のいずれかに記載のSNGないし都市ガスの製
    造方法。
  13. 【請求項13】 上記反応触媒の再生は300〜100
    0℃で行われることからなる請求項7ないし12のいず
    れかに記載のSNGないし都市ガスの製造方法。
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