JP2000052789A - 燃料タンクの充填装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 供給ユニット用の、少なくとも１つのサブタ
ンクを有している、自動車の燃料タンクのための充填装
置を改良して、容積流および燃料量ならびに燃料タンク
の幾何学的構成に関連して、サブタンクの充填を可能な
限り簡単に調節することができるようにする。 【解決手段】 燃料タンク１内で充填管２に接続され、
かつ燃料タンク１およびサブタンク３のための各１つの
分岐部材９，１０を有する分配部材７が設けられている
ようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、供給ユニット用
の、少なくとも１つのサブタンクを有している、自動車
の燃料タンクのための充填装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】燃料タンクは充填管を介して燃料で満た
される。この時に燃料が十分に多量の場合には、その一
部分が燃料タンクからサブタンク内へ達する。サブタン
クを常に満たしておくために、しばしばサブタンクの底
部領域には弁が配置されている。この弁は、サブタンク
内における燃料の充填レベルが、少なくともこのサブタ
ンクを取り囲んでいる燃料タンクの領域の高さに相当す
るように配慮する。供給ユニットは燃料をサブタンクか
ら内燃機関に通じる燃料タンクへ供給している。燃料タ
ンク内の充填レベルが十分に高い場合には、内燃機関の
運転中に供給ユニットによって駆動される吸込みジェッ
トポンプを介して燃料がサブタンク内に達する。これに
よって、燃料消費が進行していくと、まずサブタンクを
取り囲んでいる燃料タンクが空にされ、最後にサブタン
ク自体が空にされる。

【０００３】公知の充填装置においては、供給ユニット
の運転のために十分な量の燃料をサブタンク内に流入す
るために、燃料タンクが完全に空にされた後または燃料
タンクの最初の充填時に、極めて多量の燃料を燃料タン
ク内に満たさなければならないという欠点がある。さら
にほんの数リットルしか収容できない予備タンクによる
非常充填時には、自動車が傾斜位置にある場合に、燃料
が全て燃料タンクの側部領域に流れてしまうので、サブ
タンク内に燃料が全く到達しないという問題が生じてし
まう。結果的に自動車をスタートすることができなくな
ってしまう。

【０００４】充填管を通って燃料タンク内に流入する燃
料を直接サブタンク内に導入して、これによりまずサブ
タンクが満たされ、最終的にオーバフローした燃料が燃
料タンク内に分配されるようにすることも考えられる。
しかしながら給油ノズルによる通常の充填の場合には毎
分６０リットルまでの燃料が燃料タンクに送られるの
で、このような構造では燃料が泡立ってしまう。さらに
は、特に容積流が大きい場合には燃料の大部分がサブタ
ンクから再び飛び出してしまうということが分かった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、冒頭で述べた形式の燃料タンクの充填装置を改良し
て、容積流および燃料量ならびに燃料タンクの幾何学的
構成に関連して、サブタンクの充填を可能な限り簡単に
調節することができるような充填装置を提供することで
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、燃料タンク内で充填管に接続さ
れ、かつ燃料タンクおよびサブタンクのための各１つの
分岐部材を有する分配部材が設けられているようにし
た。

【０００７】

【発明の効果】本発明の構成によれば、分配部材は、充
填管を通って流入する燃料の容積流に応じて構成するこ
とができる。たとえば充填管内で、あらかじめ予測可能
な旋流を生ぜしめるような大きい容積流から、比較的小
さい部分流が簡単に分岐され、次いでサブタンクに送ら
れる。さらに、大きい容積流と共に送られた少量の燃料
は分配部材でせき止められて、そのあと主としてサブタ
ンクに送られる。分配部材は充填管に接続可能であるの
で、何も変更することなしに、既存の燃料タンクに充填
管を後から装備することができる。本発明に従って部分
流を確実に分岐することによって、サブタンクの底部領
域に配置される弁を省略することができる。なぜなら
ば、有利には最初の充填時にサブタンクが満たされ、し
かも運転中には吸込みジェットポンプによってこのサブ
タンクを満たすことができるからである。弁を省略する
ことによって、上側のオーバフロー開口を除いて、サブ
タンクを完全に閉鎖して形成することができるので、弁
の省略は重要な利点となる。したがって、弁の非シール
性によってサブタンクが空になることなしに、燃料タン
クがほとんど空の場合に長時間、自動車を傾斜位置で停
止することができる。

【０００８】たとえば分配部材は、多数の管より成る束
として形成することもできる。しかしながら本発明の有
利な構成では、分配部材の、充填管に面した端部に多数
の分岐部材のための共通の部分部材が設けられている
と、分配部材を特に安価に製造することができ、燃料タ
ンク内に取り付けることができる。このために本発明の
充填装置は、構造的に特に簡単に構成されている。

【０００９】本発明の別の有利な構成では、共通の部分
部材内に燃料を各分岐部材へガイドするための分離壁が
配置されていると、分配部材は構造上特に簡単に形成さ
れる。

【００１０】本発明の別の有利な構成では、分離壁が共
通の部分部材を互いに上下に位置する複数の通路に分割
していると、充填管が燃料タンク内へ直に開口している
場合および燃料の容積流が小さい場合に、全ての燃料が
既存の分岐部材に達する。燃料の容積流が大きい場合に
は、まず部分流は上側の通路へガイドされる。

【００１１】分離壁がその最も長い延長線に対して横方
向で湾曲されていると、構造的に特に安価な費用で、ガ
ス状の燃料および空気を非常に簡単に分配部材から導出
させることができる。分離壁の湾曲によって通路の側方
または中央には、ガスが集まる狭い領域が生ぜしめられ
る。次いでガスを分配部材の最も高い位置の方向で導出
させることができる。

【００１２】本発明の別の有利な構成では、分離壁が共
通の部分部材のための挿入体として形成されていると、
分配部材を特に安価に製造することができる。

【００１３】本発明の別の有利な構成では、分配部材
が、互いに結合される多数の分離壁を有していると、燃
料タンク内に配置された多数のサブタンク内へ、構造的
に特に安価な費用で燃料を供給することができる。

【００１４】本発明の別の有利な構成では、サブタンク
のための分岐部材が、下方に向かって突出するバッフル
薄板（Ｓｃｈｗａｌｌｂｌｅｃｈ）を有していると、サ
ブタンク内における燃料の泡立ちを簡単に回避すること
ができる。

【００１５】本発明の別の有利な構成では、１つの分岐
部材が燃料をサブタンクの底部領域にまでガイドするた
めに形成されていると、燃料の泡立ちをさらに減少させ
ることができる。

【００１６】本発明の別の有利な構成では、分配部材が
燃料タンクの上側のシェル部分に配置するために設けら
れていると、この分配部材を簡単に取り付けることがで
きる。これによって燃料タンクの両シェル部分を接合す
る前に、分配部材を上側のハーフシェルに固定すること
ができる。しかしながら分配部材をブロー成形法によっ
て製造された燃料タンク内に取り付けることも可能であ
る。これによって分配部材は開口部を通って燃料タンク
内に組み込まれ、この開口部で固定される。

【００１７】本発明の別の有利な構成では、共通の部分
部材がその最も長い延長線に沿って分割されていると、
部分部材を軸方向で離型可能な射出成形鋳型内で安価に
製造することができる。

【００１８】本発明の別の有利な構成では、分配部材の
部分が互いにクリップ結合されていると、この分配部材
を簡単に取り付けることができる。分配部材は完全に燃
料タンクの内側に配置されているので、分離壁に関して
特別なシール性を要求する必要はない。

【００１９】原則的に充填装置には、充填管からの燃料
の漏出を防止するために逆止弁が設けられている。それ
ぞれの分岐部材に各１つの逆止弁を配置することができ
る。しかしながら本発明の別の有利な構成では、分配部
材と充填管との間に逆止弁が配置されていると、本発明
による充填装置を特に安価に構成することができる。た
とえば逆止弁は、ばねによってプレロード（もしくは予
圧）のかけられた球、またはフラップを有することがで
きる。

【００２０】逆止弁と分配部材とが、前もって組み付け
可能な構成ユニットとして構成されていると、本発明に
よる充填装置の製造コストをさらに安価にすることがで
きる。

【００２１】本発明によれば多くの実施例が可能であ
る。本発明の基本原理をさらに明確にするために、３つ
の実施例が図示されており、以下に説明されている。

【００２２】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面につき詳しく説明する。

【００２３】図１には充填管２とサブタンク３とを備え
た、自動車の燃料タンク１が図示されている。サブタン
ク３内には供給ユニット４が配置されている。燃料タン
ク１は２つのシェル部分５，６から構成されている。上
側のシェル部分５の内側には分配部材７が固定されてい
る。分配部材７は、逆止弁８を介して充填管２に接続さ
れていて、サブタンク３に通じる分岐部材９と、サブタ
ンク３の側方で底部領域にまでガイドされる分岐部材１
０とを有している。両分岐部材９，１０をこのような形
式で配置し、ほぼ同じ長さで配置することによって、自
動車が傾斜位置にある場合でも、両分岐部材９，１０の
一方における貫流が優先的に行われることは十分に回避
することができる。供給ユニット４は燃料をサブタンク
３の底部領域から２つの出口１１，１２に送っている。
第１の出口１１は、燃料タンク１の底部領域に配置され
た吸込みジェットポンプ１３に接続されていて、第２の
出口１２は図示されていない自動車の内燃機関に通じて
いる。

【００２４】燃料タンク１内に充填される燃料は、分配
部材７の開始点から直接、両分岐部材９，１０に分配さ
れる。サブタンク３内に開口する分岐部材９は、燃料タ
ンク１の底部領域にガイドされる分岐部材１０の下側に
位置している。これによって充填管２を貫流する燃料の
容積流が小さい場合には、燃料は全てサブタンク３に送
られる。大きい容積流は両方の分岐部材９，１０に達す
るので、サブタンク３内における激しい泡立ちは回避さ
れる。容積流の分配は、両分岐部材９，１０の横断面の
比率によって簡単に調節することができる。

【００２５】図２には、２つの分岐部材１６，１７のた
めの１つの共通の部分部材１５を備えた分配部材１４が
示されている。明確に示すために部分部材１５は断面図
で示されている。部分部材１５内には、この部分部材１
５を互いに上下に位置する２つの通路１９，２０に分割
するための水平な分離壁１８が配置されている。一方の
分岐部材１６は、下側に向かって突出するバッフル薄板
２１を有している。分配部材１４を図１に図示された燃
料タンク１内に配置する場合に、バッフル薄板２１は上
側からサブタンク３内に導入される。他方の分岐部材１
７は、燃料を図１に図示されている燃料タンク１内へガ
イドするための溝２２を有している。

【００２６】図３は、両分岐部材１６，１７が分配部材
１４の端部のすぐ直前で互いに分離されている状態を上
側から見た図である。これによって両分岐部材１６，１
７はほぼ同じ長さを有している。

【００２７】図４には、それぞれの分岐部材２４〜２６
に通じる３つの通路２７〜２９を有する分配部材２３の
横断面図が示されている。これらの通路２７〜２９は、
分配部材２３のための挿入体として形成された分離壁３
０，３０ａによって互いに分離されている。分配部材２
３はこの分離壁３０，３０ａの領域に、通路２７〜２９
のための共通の部分部材３１を有している。水平な分離
壁３０は、この分離壁３０の最も長い延長線に対して横
方向で湾曲されている。さらに図４には、分配部材２３
がその最も長い延長線に沿って分割されていて、その分
離箇所がクリップ結合体３２，３３で固定される状態が
示されている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による充填装置を備えた燃料タンクの概
略図である。

【図２】充填装置の第２実施例の分配部材を上側から見
た図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った縦断面図であ
る。

【図４】充填装置の別の実施例の分配部材の横断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 燃料タンク、 ２ 充填管、 ３ サブタンク、
４ 供給ユニット、５，６ シェル部分、 ７，１４，
２３ 分配部材、 ８ 逆止弁、 ９，１０，１６，１
７，２４，２５，２６ 分岐部材、 １１，１２ 出
口、 １３ 吸込みジェットポンプ、 １５，３１ 部
分部材、 １８，３０，３０ａ 分離壁、 １９，２
０，２７，２８，２９ 通路、 ２１ バッフル薄板、
２２ 溝、 ３２，３３ クリップ結合体

フロントページの続き (71)出願人 390009416 Ｋｒｕｐｐｓｔｒａｂｅ 105，Ｆｒａｎ ｋｆｕｒｔ ａｍ Ｍａｉｎ，ＢＲＤ (72)発明者 ペーター アンドレアス レーヴ ドイツ連邦共和国 エアバッハ アン デ ア ツェントリンデ 20 (72)発明者 トーマス ツァップ ドイツ連邦共和国 エシュボルン ベルリ ナー シュトラーセ 13 (72)発明者 クリスティアン コッホスマイヤー ドイツ連邦共和国 ドルトムント グロー セ ハイームシュトラーセ 52

Claims (14)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 供給ユニット用の、少なくとも１つのサ
   ブタンクを有している、自動車の燃料タンクのための充
   填装置において、 燃料タンク（１）内で充填管（２）に接続され、かつ燃
   料タンク（１）およびサブタンク（３）のための各１つ
   の分岐部材（９，１０，１６，１７，２４，２５，２
   ６）を有する分配部材（７，１４，２３）が設けられて
   いることを特徴とする、燃料タンクの充填装置。
2. 【請求項２】 分配部材（１４，２３）の、充填管
   （２）に面した端部に、複数の分岐部材（１６，１７，
   ２４，２５，２６）のための共通の部分部材（１５，３
   １）が設けられている、請求項１記載の充填装置。
3. 【請求項３】 燃料を分岐部材（１６，１７，２４，２
   ５，２６）にガイドするために、共通の部分部材（１
   ５，３１）内に分離壁（１８，３０，３０ａ）が配置さ
   れている、請求項１または２記載の充填装置。
4. 【請求項４】 分離壁（１８，３０）が共通の部分部材
   （１５，３１）を、互いに上下に位置する複数の通路
   （１９，２０，２７〜２９）に分割している、請求項１
   から３までのいずれか１項記載の充填装置。
5. 【請求項５】 分離壁（３０）が、この分離壁（３０）
   の最も長い延長線に対して横方向で湾曲されている、請
   求項１から４までのいずれか１項記載の充填装置。
6. 【請求項６】 分離壁（３０，３０ａ）が、共通の部分
   部材（３１）のための挿入体として形成されている、請
   求項１から５までのいずれか１項記載の充填装置。
7. 【請求項７】 分配部材（２３）が、互いに結合された
   複数の分離壁（３０，３０ａ）を有している、請求項１
   から６までのいずれか１項記載の充填装置。
8. 【請求項８】 サブタンク（３）のための分岐部材（１
   ６）が、下方に向かって突出するバッフル薄板（２１）
   を有している、請求項１から７までのいずれか１項記載
   の充填装置。
9. 【請求項９】 １つの分岐部材（９）が、サブタンク
   （３）の底部領域にまで燃料をガイドするために形成さ
   れている、請求項１から８までのいずれか１項記載の充
   填装置。
10. 【請求項１０】 分配部材（７）が燃料タンク（１）
    の、上側のシェル部分（５）に配置するために設けられ
    ている、請求項１から９までのいずれか１項記載の充填
    装置。
11. 【請求項１１】 共通の部分部材（３１）が、この部分
    部材（３１）の最も長い延長線に沿って分割されてい
    る、請求項１から１０までのいずれか１項記載の充填装
    置。
12. 【請求項１２】 分配部材（２３）の部分が、互いにク
    リップ結合されている、請求項１から１１までのいずれ
    か１項記載の充填装置。
13. 【請求項１３】 分配部材（７）と充填管（２）との間
    に逆止弁（８）が配置されている、請求項１から１２ま
    でのいずれか１項記載の充填装置。
14. 【請求項１４】 逆止弁（８）と分配部材（７）とが、
    前もって組み付け可能な構成ユニットとして構成されて
    いる、請求項１から１３までのいずれか１項記載の充填
    装置。