JP2000044233A - 沈殿炭酸カルシウム含有固形生成物の製造方法 - Google Patents

沈殿炭酸カルシウム含有固形生成物の製造方法

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JP2000044233A JP11076273A JP7627399A JP2000044233A JP 2000044233 A JP2000044233 A JP 2000044233A JP 11076273 A JP11076273 A JP 11076273A JP 7627399 A JP7627399 A JP 7627399A JP 2000044233 A JP2000044233 A JP 2000044233A
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Hubertus Alexander Spaepen
アレクサンデル スペーパン ユーベルテュス
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 望ましい白さと明度とを持つ、製紙で填料
として使用できる沈殿生成物を、連続的又は準連続的に
効率的に製造する。 【解決手段】 水酸化カルシウムの水性懸濁質を順
次、少なくとも2個の一連のライン内スタティックミキ
サを通して供給し、一方前記ミキサのそれぞれのところ
又はその前で、二酸化炭素を前記懸濁質の中に導き、そ
れによって二酸化炭素と前記水性懸濁質とを、前記二酸
化炭素と前記水性媒体の中に溶けた水酸化カルシウムと
の反応を促進するため、それぞれのミキサの中で完全に
混合し、そして前記一連のライン内スタティックミキサ
へ供給された前記懸濁質の中の前記水酸化カルシウム
を、前記懸濁質が前記一連を通るにつれて、段々と消費
し、炭酸カルシウムに転化することを特徴とする、水性
媒体の中で沈殿炭酸カルシウム含有固形生成物を連続的
又は準連続的に製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沈殿炭酸カルシウ
ム含有固形生成物の製造方法に関する。特に、本発明
は、場合によって、炭酸カルシウムに同伴し、それに結
合する非消費固形物を含む水性媒体中で、沈殿炭酸カル
シウムを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙への填料及び紙のコーティングのよう
な用途における、微粒子顔料材料として使用する炭酸カ
ルシウムの合成製造方法は周知である。
【0003】細かい固形材料がアルカリ土類金属炭酸塩
の沈殿物の結晶に同伴し、それに結合するような方法
で、アルカリ土類金属の炭酸塩、特に炭酸カルシウムを
水性懸濁質中で沈殿させると、例えば廃材のような微粒
子固形物を、懸濁水性媒体からより簡単に分離できるよ
うにすることができることもまたEP−A−06040
95より公知である。
【0004】他の先行技術の参照文献が、例えば製紙に
使用する種類の繊維のような、他の非消費固形物を含む
水性媒体中での、沈殿炭酸カルシウムの製造を記載して
おり、その複合生成物は製紙において有用である。
【0005】同伴及び/又は結合非消費固形物の有無に
かかわらず、沈殿炭酸カルシウムの製造方法は周知であ
る。
【0006】TAPPI Monograph Series No. 30, "Paper
Coating Pigments", pages 34-35には、製紙産業用製品
の調製の使用に特に適した、沈殿炭酸カルシウムを調製
する3つの主な商業的方法が記載されている。すべての
3つの方法において、最初に石灰岩を焼成して生石灰を
生成し、そして次に生石灰は水中で消和され水酸化カル
シウムすなわち石灰乳を生成する。第1の方法では、石
灰乳は直接二酸化炭素ガスと共に炭酸塩化させられる。
この工程は、副産物が生成されず、炭酸カルシウム生成
物の性質及び純度を比較的簡単に制御できるという利点
を持つ。第2の方法では、石灰乳はソーダ灰と接触させ
られ、複分解により、沈殿炭酸カルシウムと、水酸化ナ
トリウム溶液とを生じる。もしこの工程を商業的に魅力
のあるものにしようとするならば、水酸化ナトリウムを
十分に完全に炭酸カルシウムから分離しなければならな
い。第3の主な商業的方法では、石灰乳は、最初に、塩
化アンモニウムに接触させられ、塩化カルシウム溶液と
アンモニアガスとを生じる。次に塩化カルシウム溶液
は、ソーダ灰と接触させられ、複分解により、沈殿炭酸
カルシウムと塩化ナトリウム溶液とを生成する。
【0007】炭酸カルシウム含有生成物を、製紙産業
で、填料又はコーティング顔料として使用しようとする
ならば、製紙産業で炭酸カルシウム含有生成物が使用で
きる前に取り除かなければならない望ましくない副生物
を生じない処理であるため、一般的に上述の第1の方
法、すなわち石灰乳の二酸化炭素ガスとの直接炭酸塩化
を使用することが好ましい。一般的に、石灰乳を炭酸塩
化する工程は、バッチベースで実行される。容器が、適
当な温度及び濃度で、多量の石灰乳で充填され、そして
二酸化炭素含有ガスが該容器内に、一般的には細かい泡
の形態で入れられる。容器の内容物の良好な混合を確保
するため、かつ二酸化炭素含有ガスの小さい泡の形成及
び持続を促進するために、機械的攪拌手段を提供するこ
とができる。二酸化炭素含有ガスを入れることは、十分
に、存在するすべての水酸化カルシウムが炭酸カルシウ
ムに転化するまで、続けられる。これは、容器の中の懸
濁液のpHをモニタすることにより、便利に、指示させ
ることができる。pHが、懸濁液が十分に中性反応とな
るレベルである、7のあたりに低下したとき、この反応
は完了したと考えられる。この工程は、カスケードとし
て接続した上述の種類の複数容器を有する、2以上の段
階で実施可能であるが、それでもそれぞれの段階はバッ
チベースで行われる。バッチ処理は、一般的に、高度に
監視する必要があるという不利な点を持ち、バッチ処理
からバッチ処理の間での生成物の変化が発生しがちであ
る。バッチベースより、完全に連続的ベースで、炭酸カ
ルシウム沈殿工程を運転できることが望ましい。反応物
は、連続的に反応しながら、反応領域を進行する。十分
に完全な水酸化カルシウムの炭酸塩化を起こすため、反
応物が設備中で適当な滞留時間を取れるような工程設備
を用意する必要がある。反応物が設備の中で過ごす滞留
時間は、反応物が設備を通過する、経路の長さに比例し
ている。このように、滞留時間を増加させるためには、
設備の物理的な大きさを増大させる必要があり、これは
次に設備の主要な費用を増加させる。そのため、水酸化
カルシウムの炭酸塩化の化学反応をできるだけ迅速に行
うことは、経済的な見地から当然重要である。
【0008】WO−A−97/05061は、沈殿炭酸
カルシウムの連続的生成のための設備を記載する。その
設備は、一般的に、10から15の相互に連結されたセ
ルを含み、それぞれのセルは、水酸化カルシウムを含む
懸濁質の入口の導管と、部分的に炭酸塩化された水酸化
カルシウムの出口の導管と、二酸化炭素含有煙道ガスが
その下に供給され、円筒形のチューブに囲まれた中空の
軸により回転させられるプロペラ型の攪拌器とが与えら
れている。入口の導管は、軸と円筒形のチューブとの間
の空間と通じており、出口の導管がセルの外部の壁を通
過し、そしてそれが円筒形チューブとセルの壁との間の
セルの部分から懸濁質を引き出す。攪拌器が動作してい
るときは、セルの壁の近くの懸濁質の液面が上がること
により、懸濁質が出口の導管を通してあふれるようにな
り、そして同時に入口の導管を通して新鮮な懸濁質を引
き入れる。一方、二酸化炭素含有ガスは、軸を通して下
に送られ、攪拌器により分散させられて、水酸化カルシ
ウム含有懸濁質と二酸化炭素ガスとの間の大きい接触面
積を与えるとされる細かい泡の形態で、懸濁質を通して
上昇する。それぞれのセルには、セルの内容の温度を制
御するための水ジャケットが装備されている。
【0009】DE−A−2742829は、3段階の工
程の、円柱を通して上方に流れる、体積で10〜40%
の二酸化炭素を含むガスと反対向きに、水酸化カルシウ
ム懸濁質の小滴を噴霧するという沈殿炭酸カルシウムの
連続的製造の設備を記載する。3段階の工程における懸
濁質の小滴の大きさは、それぞれ、0.2〜1.0m
m、1.0〜2.0mm及び1.5〜2.0mmであ
り、3段階のそれぞれで達成される炭酸塩化の程度は、
それぞれ、5〜15%、95〜98%及び100%であ
る。この設備では、液体の水酸化カルシウム懸濁質の小
滴が気相で浮遊しているので、逆転反応の事例の一つと
いうことができる。
【0010】US−A−4888160には、炭酸塩化
工程で使用された二酸化炭素ガスの利用率の改善され
た、石灰石から得た水酸化カルシウムから炭酸カルシウ
ムを製造する炭酸塩化処理が記載されている。二酸化炭
素含有ガスは、反応容器と通じている再循環配管システ
ムの中を流れる再循環流の中に注入される。二酸化炭素
含有ガスは、例えば流れが90°曲がるところのよう
な、再循環配管システムの中に位置する流れの荒い点又
は領域に注入される。少なくとも1個のライン内スタテ
ィックミキサが、もっとも好適には二酸化炭素含有ガス
の流入点のすぐ下流のところで、再循環配管システムの
中に含まれることが好ましい。これは、”ストレートス
ルー”よりむしろ、再循環システムである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に従って、水性媒
体の中で沈殿炭酸カルシウム含有生成物を連続的又は準
連続的に製造する方法において、水酸化カルシウムの水
性懸濁質を順次、少なくとも2個の一連のライン内スタ
ティックミキサを通して供給し、一方前記ミキサのそれ
ぞれのところ又はその前で、二酸化炭素を前記懸濁質の
中に導き、それによって二酸化炭素と前記水性懸濁質と
を、前記二酸化炭素と前記水性媒体の中に溶けた水酸化
カルシウムとの反応を促進するため、それぞれのミキサ
の中で完全に混合し、そして前記一連のライン内スタテ
ィックミキサへ供給された前記懸濁質の中の前記水酸化
カルシウムを、前記懸濁質が前記一連を通るにつれて、
段々と消費し、炭酸カルシウムに転化することを特徴と
する方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明による方法では、一連のラ
イン内スタティックミキサは、少なくとも3個の同様な
ミキサ、好ましくは4個から7個の同様なミキサを含
む。ライン内スタティックミキサのそれぞれは、外部ケ
ーシング、及び処理された水性懸濁質が方向の変化、例
えば多くの迅速な変化を受けるようにさせる、複数の内
部のスタティックな羽根すなわちバッフルを含む。ライ
ン内スタティックミキサのそれぞれは、ミキサ中で、細
かい泡の形態で、混合された懸濁質を通して、二酸化炭
素を均一に分配できることが望ましい。
【0013】本発明による方法の反応速度は、特に、二
酸化炭素含有ガスと水酸化カルシウムの水性懸濁質との
間の接触面積に依存する。この接触面積は、二酸化炭素
含有ガスが、可能な限りもっとも小さい泡の形態で、懸
濁質を通して、移動することを確実にすることにより、
増加させることができる。そのため、ガスが小さい泡の
形態で懸濁質に入ること、泡は懸濁質の全体にわたって
よく拡散すること、及び泡は設備を通過する経路の十分
に全体にわたって小さいままであることが重要である。
本発明は、これらの要求を満たすものである。
【0014】本発明による方法では、水性懸濁質は、一
連のミキサの第1段に、50kPaから100kPaの
範囲の液圧で入ることが好ましい。水性懸濁質の液圧
は、それが一連のライン内スタティックミキサを通過す
るにつれて、段々低下するように、都合よく整える。一
連中のライン内ミキサの第1の中の懸濁質と混合するた
めに供給された二酸化炭素は、50kPaから150k
Paの範囲の圧力とすることができる。少なくとも2個
の後続のライン内ミキサ中の懸濁質と混合するために供
給された二酸化炭素は、ミキサからミキサの間を移動す
るにつれ、段々と減少した圧力とすることができる。そ
れぞれのライン内スタティックミキサ中の懸濁質と混合
するための二酸化炭素は、それぞれの懸濁質との混合の
ために、別個の導管に沿って供給することができる。そ
れぞれの導管に沿って供給される二酸化炭素は、1個の
共通の二酸化炭素源から供給することができる。それぞ
れの導管は、水性懸濁質と混合するために供給された二
酸化炭素の圧力を独立して調節する手段を含むことがで
きる。
【0015】本発明による方法では、沈殿炭酸カルシウ
ムが、カルシウムイオンと二酸化炭素由来の炭酸イオン
との反応によりその中で生成する水性懸濁質は、水性媒
体の中で生成した沈殿炭酸カルシウムの結晶に同伴し及
び/又はそれに結合する、非消費固形物、すなわち化学
反応に実質的に関与しない固形物を含むことができる。
非消費固形物は繊維、例えば製紙に使用する種類の、又
は製紙作業からのごみの流れの中に存在するセルロース
パルプ繊維を含むことができる。繊維がごみの流れの中
に存在するところでは、繊維は粒子状物質、例えば顔料
又は填料の物質の混合物と共に存在することがある。
【0016】非消費固形物は、例えば、製紙、紙のコー
ティング又は紙のインクを抜く工程のような、工業工程
の水性排出物から得ることができた。
【0017】例えば、水性懸濁質が、工業排出物からの
微細繊維の非消費固形物を含むところでは、この方法
は、出願人のEP−A−604095A又はEP−A−
658606に記載されるように実行することができ
る。
【0018】他に、非消費固形物は、例えば我々のEP
−0,892,019−A1に記載したように、無機の
粒子状の填料又は顔料の物質を含む又は含まないごみの
流れから得たのではない繊維を含むことができる。非消
費固形物は、沈殿炭酸カルシウムを、重量で10%から
90%、例えば重量で25%から75%の非消費固形物
を含む沈殿炭酸カルシウムを含んだ集合生成物になる総
量の中に存在できる。ある場合には、非消費固形物の少
なくとも20%が、非繊維質の粒子状顔料又は填料の物
質を含むことができる。
【0019】水性媒体は本管の水を含むことができる
し、又は他の方法として、それは従来の方法では微粒子
を水から分離することが難しい、非消費固形物、例えば
繊維及び/又は微粒子状の不用物質の希釈した懸濁質を
含むことができる。そのような希釈した懸濁質は、例え
ば、製紙工場で紙のシートを製造する工程の白濁水のご
みの流れとして、生成する。そのような懸濁質は、一般
的に、直径76μmの丸い穴を通過できることを意味す
る”微細繊維”として、技術上周知である細かい固形物
を含む。一般的に、”微細繊維”は細かいセルロース及
び他のフィブリル及び細かい鉱物粒子、例えば2μm以
下の水準の直径の鉱物粒子を含む。
【0020】本発明の方法によると、バッチ的ではなく
連続的な方法で、炭酸カルシウム含有生成物を製造する
ことができ、場合によってそれが、例えば繊維及び/又
は微細繊維のような非消費固形物質に同伴し及び/又は
結合し、そのため後述するような公知の用途で有用とな
ることを特徴とする。
【0021】本発明の方法で水性媒体中で使用される水
酸化カルシウムは、別に準備し、水性媒体に加えること
ができるし、又は他の方法として、例えば酸化カルシウ
ムを消和することによりその水性媒体中のもとの位置に
準備することもできる。水性媒体が消和により生じた水
酸化カルシウムを含むところでは、その水酸化カルシウ
ムは懸濁質の形態になる。二酸化炭素との反応が進行す
るにつれ、カルシウムイオンは緩やかに溶液に溶け出
し、連続的に消費され、置換される。この方法により形
成された懸濁質は、好ましくは、0.5モルから3.0
モルの間の、特に1.0から2.0モルの、水酸化カル
シウムを含む。消和のための、水性媒体の温度は、0°
Cから80°Cまでにできる。温度は消和工程の間に上
昇し、もし水性媒体が消和後適当な温度でなければ、二
酸化炭素含有ガスを導入する前に冷やすことができる。
【0022】水酸化カルシウムの効率的な分散と溶解と
は、例えば水性懸濁質をかき混ぜることのような、攪拌
により助けられ、水酸化物を含む粒子状固形物質の均一
な分散がなされる。
【0023】アルカリ土類金属イオンが含まれ、本発明
による方法で二酸化炭素と反応させた水性媒体はまた、
沈殿物製造に使用されるために知られた種類の1以上の
化学薬品を含むことができる。それは、例えば、生成物
にいわゆる酸の許容度を与えるために緩衝液を、又は沈
殿物の結晶の核形成を促進するために技術上知られた有
機添加材を含むことができる。
【0024】本発明による方法で使用される二酸化炭素
は、例えば圧縮ガスシリンダーに入れて商業的に供給さ
れるような十分に純粋な二酸化炭素でも構わないし、ま
た他のガスとの混合中に存在するのでも構わない。供給
された二酸化炭素ガスは、他の方法として、例えば空
気、窒素などのような、他の不活性気体で薄めることが
できる。二酸化炭素は、例えば、(第1の態様に従った
工程で使用するために)生石灰を消石灰への転化のため
に生成している、石灰焼成設備から得られる、煙道ガス
のような、消費されたガスとの混合として存在すること
ができる。水性媒体中にあるときの二酸化炭素は、泡、
好ましくは細かい泡として存在するようになり、また前
述したように、二酸化炭素に接触される水酸化カルシウ
ムは、カルシウムイオンが二酸化炭素との反応により消
費されるに従い、水性媒体中に溶けていく固形の水酸化
カルシウムの懸濁質だけでなく、カルシウムイオン及び
水酸化物イオンを含む水性媒体もまた、含むことができ
る。
【0025】二酸化炭素含有ガスをそこに入れるときの
水性媒体の温度は、好ましくは10°Cから80°C、
特に20°Cから60°Cの範囲である。
【0026】本発明の第1の態様に従う方法で形成され
た炭酸カルシウム含有沈殿生成物は、例えば、脱水によ
り、及び/又は沈殿物含有懸濁質を粉砕にかけること、
例えば同時係属出願EP 96307320.0に記載
するような、摩耗粉砕媒体で摩耗粉砕することにより、
更に処理することができる。
【0027】本発明による方法により製造された沈殿生
成物は、十分に純粋な炭酸カルシウムの結晶で形成され
ていようと、沈殿物含有複合物の形態であろうと、形成
された粒子状炭酸カルシウム沈殿物が有用であることが
知られている応用法で使用できる。
【0028】このように、沈殿生成物は、例えば、紙、
塗料、ポリマー、プラスチック、セメント及びセラミッ
ク、及びそれらから作られる物品の製造のための構成物
として、公知の方法で、粒子状の填料、顔料、増量材、
又は性質調節剤として、使用できる。沈殿生成物は、特
定用途のために選択された性質を持たせることができ
る。生成物は、製造後にそれを特定用途の利用に適合さ
せるため、公知の化学的又は物理的工程により処理する
ことができる。
【0029】紙のコーティング構成物の細かい顔料とし
ての使用のための沈殿生成物の好ましい形態は、少なく
とも重量で70%、望ましくは重量で少なくとも90%
の沈殿粒子が、5μmより小さい同等の球の(沈降によ
り計測したときの)直径を持つような、粒子の大きさの
分布を持つものである。沈殿生成物の粒子の大きさの好
ましい分布は、2μmより小さい同等の球の(沈降によ
り計測した)直径を持つ粒子の重量によるパーセンテー
ジが50パーセント以上であることである。沈殿生成物
の最終用途での利用により、特定の大きさの分布が決定
される。
【0030】沈殿生成物は一般に、菱面体又は偏三角面
体の異型のいずれかの炭酸カルシウムの方解石結晶形、
又は霰石結晶形、又はこれらの形の混合を含むことにな
る。炭酸カルシウムが沈殿する結晶形は、反応条件に依
存する。
【0031】我々のEP 96307320.0に記載
したように、第1の態様に従う方法を実行した条件は、
沈殿生成物の選ばれた結晶形を優勢に生じるように選ぶ
ことができる。沈殿工程中、優勢に好ましい結晶形を実
現するために一般的に必要な工程の条件は当業者に周知
である。実際上得られる結晶形は、どのような場合で
も、どの選ばれた形も100%となることはないであろ
う。1つの結晶形がたとえそれが優勢であるときでも、
他の形と混合することは普通のことである。そのような
混合した形は、一般的に、適当な生成物の性質を与え
る。
【0032】水性懸濁質の形態の沈殿生成物は、(10
0 rpmの軸速度を使用してブルックフィールド粘度
計で測定したときに)500m Pa.s未満の粘度を
持つことが好ましく、ポンプで送り、流すことができる
スラリーであることが好ましい。
【0033】本発明による方法で製造された沈殿生成物
は、例えば上述したように、その生成物の応用での使用
で知られた、他の粒子状物質と混合することができる。
【0034】例えば、沈殿生成物が紙のコーティングの
ための顔料材料として使用される場合は、それは1以上
の他の顔料材料、例えば二酸化チタン、タルク、硫酸カ
ルシウム、カオリン、焼成したカオリン、及び沈殿又は
粉砕した炭酸カルシウムから選んだ既知の材料と混合す
ることができる。紙のコーティング顔料混合物は、沈殿
生成物とカオリンの混合物を含むことが有益である。そ
のような顔料混合物は、重量で5%から99%の、特に
20%から70%の沈殿生成物を含むことができる。紙
のコーティングの用途では、プレーティカオリンが、顔
料の沈殿生成物との混合物を、場合によって顔料の他の
顔料成分との混合物を作るために、特に好適である。”
プレーティ”カオリンとは、少なくとも20:1、好ま
しくは少なくとも30:1の縦横比を持つカオリンを意
味する。
【0035】顔料混合物は、それぞれの必要な顔料の水
性懸濁質を混合することにより作ることができ、これに
より顔料混合物を含む水性懸濁質が作られる。そのよう
な水性懸濁質は、分散した水性懸濁質でよく、また混合
物をつくるために使用される顔料の各個の水性懸濁質は
それぞれ分散剤を含むことができる。混合された各個の
水性懸濁質、及びそのような懸濁質の濃縮液の中の顔料
を分散させるために使用する分散剤は、同じでも異なっ
ていてもよい。
【0036】親水性接着剤と混合された、本発明に従う
方法により作られた沈殿生成物の水性懸濁質を含む紙の
コーティング構成物。構成物に使用される沈殿生成物
は、上述のように、1以上の顔料と混合することができ
る。接着剤は、顔料の全体の乾燥重量すなわち存在する
顔料に基づいて、重量で4%から30%で作ることがで
きる。接着剤は、例えば、カゼイン、及び例えばスチレ
ンブタジエンゴム及びアクリルポリマーのラテックスの
ような、澱粉、蛋白質の接着剤からなるグループから選
んだ、技術上使用される既知の紙のコーティング接着剤
の1つで構わない。
【0037】沈殿生成物を使用して製造された紙のコー
ティング構成物は、場合によって、紙のコーティング構
成物に従来から使用されている1以上の添加剤、例えば
顔料の全体の乾燥重量すなわち存在する顔料に基づいて
重量で2%までの量の、増粘剤などもまた含むことがで
きる。増粘剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム又は合成アクリル増粘剤のような、先行技術
で増粘剤として使用することが知られている1以上の物
質を包含する。
【0038】前記紙のコーティング構成物は、場合によ
って、他の顔料を含む更に1以上の分散した水性懸濁質
と共に、沈殿生成物を含む分散した水性懸濁質を、接着
剤及び例えば増粘剤のような他の自由選択の成分と一緒
に、当業者によく知られている方法で混合することによ
り、作ることができる。
【0039】本発明の方法により作られた沈殿生成物を
含む水性懸濁質は、水性の主役の媒体を、沈殿固形生成
物から部分的又は完全に分離するために、既知の方法で
構わない1以上の分離工程を使用して、処理することが
できる。例えば、濾過、沈殿、遠心分離、又は蒸発脱水
のような工程を使用できる。圧搾濾過器を使用する濾過
が好適である。分離された水性媒体、例えば水は、場合
によって、1以上のそれ自体が知られている化学的、生
化学的又は機械的な工程による更なる精製又は浄化によ
り、例えば製紙工場で、例えば製紙原料の希釈への使用
のために又は洗浄機械類のシャワーとしての使用のため
に、再使用のため循環処理することができる。分離され
た固形物は、サンプルに実施した測定により品質の制御
のために評価することができ、次に貯蔵タンクに送り、
そしてその後は、例えば上述したようなユーザの用途で
の使用のため、必要に応じて供給することができる。固
形物を含む懸濁質は、ユーザの設備での使用のため再希
釈してもよい。
【0040】本発明の方法により製造された沈殿生成物
を含む水性懸濁質を、ユーザの用途での使用、例えば製
紙工場での使用のために供給する前に、脱水する必要は
ない。水性懸濁質又はスラリーは、実質的に脱水するこ
となく、貯蔵タンク又は直接ユーザの設備に送ることが
できる。
【0041】沈殿生成物を紙を作る構成物の填料として
使用する場合は、沈殿生成物は、水の中の種々の濃縮物
の1つとして工場に供給することができる。濃縮物は、
薄い懸濁質の形態から、乾燥した粒子状固形物までの範
囲にわたることができる。本発明に従う方法により作っ
た後の沈殿生成物は、それを、例えば製紙工場のような
ユーザの設備に、必要な濃縮物の形で供給するために、
例えば脱水をするかしないかのような、適当な処理を行
っても行わなくてもよい。
【0042】沈殿生成物が、例えば紙を作る構成物のよ
うな、ユーザの構成物に加えられる形態の希釈又は濃縮
の程度は、その結果としての製品、例えば紙のシートの
性質に重大な影響は与えない。しかし、経済的及び実際
的な理由から、ポンプで送れる濃縮した水性のスラリー
の形態の製品を供給することがより適当であろう。製品
を他の場所での工程に使用するために供給する場合は、
運送前に、その製品を乾燥させることが好ましい。供給
する前に製品を濃縮又は乾燥させ、そして続いて次に使
用する前にきれいな水の中で再分散又は希釈させた場
合、濃縮及び希釈の処置は、生成物の有用性に大きい影
響は与えない。
【0043】いずれにしても、沈殿生成物を製紙の填料
として使用する場合は、沈殿生成物は、製紙技術に通じ
た当業者に明確に明らかであるように、製造する必要が
ある紙の品質に従って選ばれた主役の繊維だけでなく、
従来の填料物質、例えば沈殿又は天然の、また例えば粉
砕した、炭酸カルシウム、カオリンまたは他の粘土、メ
タカオリン、タルク、硫酸カルシウム等の成分及び構成
物とも又、色々な割合で混合することができる。一般的
に、これらの物質は、混合したときに、スラリーの形態
であることが多い。
【0044】紙の製造者は、例えば仕上げのような、紙
を作る構成物へ追加する間際に、水性懸濁質中の(本発
明に従って製造した)沈殿生成物の濃度及び懸濁質を供
給する速度を、通常、選択できる。上述のように、この
ため、濃縮された形態で製紙工場に供給された懸濁質の
再希釈が必要となる。一般的に、追加された懸濁質は沈
殿生成物に寄与し、それは、場合によって、紙を作る構
成物の固形物の内容の重量で30%までの他の粒子状填
料と共に生じる。
【0045】本発明の実施の形態を、今から添付の図面
に関する例により説明する。
【0046】図1に示すように、例えば製紙工場の排水
再生システムから得た、いわゆる”白濁水”のような、
細かい固形物質の懸濁質がタンク1に貯蔵される。懸濁
質は、一般的に乾燥重量ベースにおいて重量で固形物の
約0.5%から約8%の範囲の、全体の固形物の内容を
持ち、そして固形物は一般的に、直径76μmの丸い穴
を通過するような短いセルロースの繊維、及び実質的に
すべてが1μmより小さい同等の球の直径を持つ、細か
い鉱物填料粒子の混合物を含む。混合液は、ポンプ2に
より、流量計3を通して、5から10バール(50kP
aから100kPa)の範囲の液圧で、導管4の中に供
給される。ポンプは、例えばMoyno又は”MON
O”(登録商標)の型のようなシングルロータスクリュ
ーポンプ型が便利である。この型のポンプは、エラスト
マーのステータの中に、それと同軸上で回転する金属ロ
ータを含み、ロータ及びステータは、それらの間の空間
を通過する液体を、実質的にらせん状の通路をたどらせ
るように設計されている。この型のポンプは、20バー
ル以上位までの圧力で液体を供給する能力を持つ。重量
で約5%から約40%の範囲の固形物の内容を持つこと
ができる、水酸化カルシウムの懸濁質が、タンク5の中
に準備され、そして、ポンプ2と同じ型が便利であるポ
ンプ6により、流量及び密度の複合メータ7及びスロッ
トルバルブ8を通して、石灰懸濁質が不用固形物質の懸
濁質と混合するところである導管4に供給される。ポン
プ6により供給された水酸化カルシウムの一部は、スロ
ットルバルブ9を通して、逆にタンク5に進路を変えら
れる。導管4の中の混合物の、水酸化カルシウム懸濁質
と不用固形物質の懸濁質との割合は、バルブ8及び9の
設定を調節することにより決定できる。混合された懸濁
質は、圧力計10によりモニタされる圧力のもと、水酸
化カルシウムと不用固形物質との完全な混合をもたらす
ライン内スタティックミキサ11に送られる。ライン内
スタティックミキサは、円筒形の外部ケーシング、及び
混合された懸濁質に多くの急な方向の変化を受けるよう
にさせる、多数の内部のスタティックな羽根すなわちバ
ッフルを含むと便利である。この方法で、導管4の中を
流れる懸濁質の乱流は増加し、有効な混合が起こる。
【0047】ライン内ミキサ11を出る混合された懸濁
質は、次に、それぞれがライン内ミキサ11と大体の設
計が同様である、一連の更に6個のミキサ12、13、
14、15、16及び17を通過する。10バールの圧
力の二酸化炭素ガスが、供給手段18から、導管19を
通して、マニホルドシステムに送られ、導管19中のそ
のガスの圧力は圧力計20によりモニタされる。二酸化
炭素ガスは、ライン内ミキサ12から17のそれぞれの
上流の端に、それぞれスロットルバルブ21、22、2
3、24、25及び26を通して、計量しながら供給さ
れ、ライン内ミキサ12から17のそれぞれへのガスの
流量は、それぞれ流量計27、28、29、30、31
及び32によりモニタされる。ライン内ミキサ13、1
4、15、16及び17に流入する混合された懸濁質の
液圧は、それぞれ圧力計33、34、35、36及び3
7によりモニタされる。混合された懸濁質の液圧は、そ
の懸濁質が、それぞれの連続したライン内ミキサを通過
するにつれて減少し、また懸濁質中に存在する水酸化カ
ルシウムは、二酸化炭素ガスとの接触を通じて、段々炭
酸カルシウムに転化され、そして最終のライン内ミキサ
17を出る懸濁質は、転化されていない水酸化カルシウ
ムを実質的に含まない。ライン内ミキサの設計は、二酸
化炭素ガスが、混合した懸濁質の全体にわたって、極め
て細かい泡の形態で、均一に分散するようなものであ
る。これは、ガスと懸濁質との間で非常に大きい接触面
積があることを確実にするものであり、それにより炭酸
塩化反応が迅速に進行し、そのため炭酸塩化が、懸濁質
が一連のライン内ミキサを通過する時間内に、実質的に
完了する。
【0048】沈殿炭酸カルシウムを含む懸濁質は、最終
のライン内ミキサ17をスロットルバルブ38を通して
出て、そしてこの生成物懸濁質のpHは、pH計39に
よりモニタされる。
【0049】図1に示した設備を使用して実行した方法
の例は以下の通りである。
【0050】例1 製紙工場からの白濁水の不用物懸濁質は重量で8%の、
短いセルロースの繊維及び細かい鉱物填料粒子を含んだ
固形物の混合物を含んでいた。希釈水がこの懸濁質に、
固形物の濃度を重量で2.25%に減少させるのみ十分
な量、追加され、そして希釈された混合液はMoyno
ポンプによって、均質性を確実にするためのライン内ス
タティックミキサを通して、約27kg.min-1の速
度で、ポンプで送られた。重量で20%の水酸化カルシ
ウムを含有する懸濁質が別に準備され、そしてこの懸濁
質はMoynoポンプによって、2.22kg.min
-1の速度で、不用物懸濁質と混ぜ合わせるため、ポンプ
で送られた。混ぜ合わされた懸濁質は、約29kg.m
in-1の速度で、完全な混合を確実にするため、ライン
内スタティックミキサを通過した。混合された懸濁質
は、設備が6個ではなく5個のライン内ミキサを含んで
いたことを除いて、図1に関して上述したように、一連
のライン内スタティックミキサに入った。混合された懸
濁質は、6バールの液圧で、第1のライン内ミキサに入
った。
【0051】加圧された二酸化炭素ガスが、5個のライ
ン内ミキサのそれぞれに入るときに、以下の表1に示す
条件のもとで、混合された懸濁質の中に導かれた。
【0052】
【表1】
【0053】二酸化炭素ガスの合計の供給速度、すなわ
ち約18kg.hr-1は、混合された懸濁質中に供給さ
れた水酸化カルシウムを完全に炭酸塩化するために計算
された化学量論の速度である約16kg.hr-1よりや
や大きかった。
【0054】最終のライン内ミキサから得られた沈殿生
成物は、不用固形物の微細繊維が、ほぼ同じ重量の良好
な結晶形の沈殿炭酸カルシウムに同伴し、それに結合す
る、懸濁質であった。生成物は、良好な白色及び軽度の
分散特性を持つことが見出され、また、前述の方法によ
る製紙のため、製紙の機械のヘッドボックスへ送り込む
ための、セルロースの繊維及びぬれた原料の他の成分と
混合するには、非常に適した材料であることが見出され
た。
【0055】例2 沈殿炭酸カルシウムは、図1に関して上述の装置を使用
して、連続的な工程により、調製された。乾燥重量で1
3.9%の水酸化カルシウムを含む水酸化カルシウム懸
濁質が、102l.hr-1の流量で、1980l.hr
-1の流量の水と共に、一連の6個のライン内スタティッ
クミキサの第1の中に、7.3バールの液圧で、ポンプ
で送られた。二酸化炭素ガスは、それぞれのライン内ミ
キサの上流の端で、水酸化カルシウム懸濁質中に導か
れ、非常に細かい泡の形態で、それぞれのミキサ中の懸
濁質の全体にわたって分散させられた。それぞれのミキ
サで、水酸化カルシウムの炭酸カルシウムへの転化が起
き、そのため最終のライン内ミキサを出る懸濁質は、転
化されていない水酸化カルシウムを実質的に含まなかっ
た。二酸化炭素ガスの合計の供給速度は、18.5k
g.hr-1であった。水酸化カルシウム懸濁質、及び二
酸化炭素ガスの流量は、毎時210モルの水酸化カルシ
ウム、及び毎時420モルの二酸化炭素に対応した。ガ
ス及び懸濁質の混合物は、ガスの栓を形成することな
く、工程のそれぞれの段を通して均一に流れた。これ
は、それぞれのライン内ミキサの上流側に供給されたガ
スは、そのミキサ中の懸濁質の中の水酸化カルシウムに
より、よく吸収されたことを示すものであった。
【0056】沈殿生成物は、菱面体の結晶形を優勢に持
つ沈殿炭酸カルシウムであった。炭酸カルシウムの粒子
の大きさの分布は、重量で86%が5μmより小さい同
等の球の直径を持つ粒子から成り、重量で50%が2μ
mより小さい同等の球の直径を持つ粒子から成るような
ものであった。炭酸カルシウムの色及び明度は、波長4
57nmの光の反射率が92.8%及び波長570nm
の光の反射率が95.1%であるようなものであった。
反射率テストは、国際標準番号ISO 2470に従っ
て実施した。
【0057】例3 炭酸カルシウムは、図1に関して前述の装置を使用し
て、連続的な工程により微粒子状の不用物質の懸濁質の
中で沈殿した。不用物質の懸濁質は、製紙工場の白濁水
再生回路から得られた。それは、乾燥重量で13.9%
の水酸化カルシウムを含む水酸化カルシウム懸濁質と共
に、ライン内スタティックミキサを通して、ポンプで送
られた。不用物質の懸濁質は、重量で2.45%の乾燥
した微粒子状不用物質を含んでおり、短いセルロースの
繊維と細かい鉱物填料物質との混合物、すなわち”微細
繊維”を含んでおり、約2000kg.hr-1の速度で
ポンプで送られた。水酸化カルシウム懸濁質は、約20
0kg.hr-1の速度でポンプで送られ、そのため混合
された懸濁質は、7.7バールの液圧、約2200k
g.hr-1の流量で、一連の6個のライン内スタティッ
クミキサの第1に入った。二酸化炭素ガスが、それぞれ
のライン内ミキサの上流の端で、混合された懸濁質に導
かれ、そしてそれぞれのミキサ中の懸濁質の全体にわた
って、非常に細かい泡の形態で分散した。それぞれのミ
キサ中で、水酸化カルシウムの炭酸カルシウムへの転化
が起こり、そのため最終のライン内ミキサを出る懸濁質
は、転化されていない水酸化カルシウムを実質的に含ま
なかった。二酸化炭素ガスの合計の供給速度は約17k
g.hr-1であった。水酸化カルシウム懸濁質、及び二
酸化炭素ガスの流量は、毎時366モルの水酸化カルシ
ウム、及び毎時377モルの二酸化炭素に対応した。再
び、ガス及び懸濁質の混合物は、ガスの栓を形成するこ
となく、工程のそれぞれの段を通して均一に流れた。
【0058】沈殿生成物は、良好な白色及び結晶形を持
つ沈殿炭酸カルシウムの結晶に同伴し、それに結合す
る、微細繊維の構成物粒子の懸濁質であった。懸濁質中
に含まれる構成物の粒子は、濾過により脱水され、そし
て波長457nm及び570nmの光の反射率のパーセ
ンテージは、それぞれ、ISO標準番号2470に従っ
て計測された。濾過速度はまた、EP−A−06040
95に記載された方法に従って決定された。結果は下記
の表2に示す。同じテストをまた、微粒子状不用物質の
もとの懸濁質の脱水したサンプルに実施し、そしてその
結果も、比較のため、以下の表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】これらの結果は、本発明の実施による方
法により得られた沈殿生成物は、望ましい白さと明度と
を持つことを示し、それにより、製紙の機械のヘッドボ
ックスへ、前述の方法による製紙で填料としての使用の
ために送り込むため、セルロースの繊維及びぬれた原料
の他の成分と混合するには、非常に適した材料となる。
固形物質を含む懸濁質の濾過速度は、約10の係数で増
加し、それが懸濁している水性媒体から非常により簡単
に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】細かい非消費粒子状物質を含む水性懸濁質中で
炭酸カルシウムを連続的に沈殿させる設備の概略の工程
図である。
【符号の説明】
1 タンク 2 ポンプ 3 流量計 4 導管 5 タンク 6 ポンプ 7 流量及び密度の複合メータ 8 スロットルバルブ 9 スロットルバルブ 10 圧力計 11 ミキサ 12 ミキサ 13 ミキサ 14 ミキサ 15 ミキサ 16 ミキサ 17 ミキサ 18 二酸化炭素供給手段 19 導管 20 圧力計 21 スロットルバルブ 22 スロットルバルブ 23 スロットルバルブ 24 スロットルバルブ 25 スロットルバルブ 26 スロットルバルブ 27 流量計 28 流量計 29 流量計 30 流量計 31 流量計 32 流量計 33 圧力計 34 圧力計 35 圧力計 36 圧力計 37 圧力計 38 スロットルバルブ 39 pH計

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体の中で沈殿炭酸カルシウム含有
    固形生成物を連続的又は準連続的に製造する方法におい
    て、水酸化カルシウムの水性懸濁質を順次、少なくとも
    2個の一連のライン内スタティックミキサを通して供給
    し、一方前記ミキサのそれぞれのところ又はその前で、
    二酸化炭素を前記懸濁質の中に導き、それによって二酸
    化炭素と前記水性懸濁質とを、前記二酸化炭素と前記水
    性媒体の中に溶けた水酸化カルシウムとの反応を促進す
    るため、それぞれのミキサの中で完全に混合し、そして
    前記一連のライン内スタティックミキサへ供給された前
    記懸濁質の中の前記水酸化カルシウムを、前記懸濁質が
    前記一連を通るにつれて、段々と消費し、炭酸カルシウ
    ムに転化することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、前記一
    連のライン内スタティックミキサが、少なくとも3個の
    同様なミキサを有することを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、前記一
    連のライン内スタティックミキサが、4個から7個の同
    様なミキサを有することを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
    の方法において、前記ライン内スタティックミキサのそ
    れぞれが、外部ケーシングと、前記懸濁質が方向の変化
    を受けるようにさせる複数の内部のスタティックな羽根
    すなわちバッフルとを有することを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 上記の請求項のいずれか1つに記載の方
    法において、前記ライン内スタティックミキサのそれぞ
    れが、二酸化炭素を、細かい泡の形態で、混合した前記
    懸濁質を通して均一に分配させることを特徴とする方
    法。
  6. 【請求項6】 上記の請求項のいずれか1つに記載の方
    法において、前記水性懸濁質が、前記一連のミキサの第
    1に、50kPaから100kPaの範囲の液圧で入る
    ことを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 上記の請求項のいずれか1つに記載の方
    法において、前記水性懸濁質の液圧が、前記一連のライ
    ン内スタティックミキサを通過するにつれて、段々に低
    下することを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 上記の請求項のいずれか1つに記載の方
    法において、二酸化炭素を、前記一連中の、前記第1の
    ライン内ミキサの中の前記懸濁質と混合するために、5
    0kPaから150kPaの範囲の圧力で供給すること
    を特徴とする方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法において、二酸化
    炭素を、前記一連中の、少なくとも2個の後続のライン
    内ミキサの中の前記懸濁質と混合するために、ミキサか
    らミキサの間で、段々に減少する圧力で、供給すること
    を特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 上記の請求項のいずれか1つに記載の
    方法において、それぞれのライン内スタティックミキサ
    の中の前記懸濁質と混合される前記二酸化炭素を、別個
    の導管に沿って、それぞれの前記懸濁質との混合のた
    め、供給することを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の方法において、そ
    れぞれの導管に沿って供給された前記二酸化炭素を、共
    通の源から供給することを特徴とする方法。
  12. 【請求項12】 請求項10又は請求項11に記載の方
    法において、それぞれの導管が、前記水性懸濁質と混合
    するために供給した前記二酸化炭素の圧力を独立して調
    節する手段を有することを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 上記の請求項のいずれか1つに記載の
    方法において、前記水性懸濁質が、前記水性媒体中で生
    じた沈殿炭酸カルシウムに同伴し、それに結合する、非
    消費固形物を有することを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の方法において、前
    記非消費固形物が繊維及び/又は粒子を有することを特
    徴とする方法。
  15. 【請求項15】 請求項13に記載の方法において、前
    記非消費固形物がセルロースの繊維及び/又は無機の顔
    料粒子を有することを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 請求項14又は請求項15に記載の方
    法において、前記非消費固形物が微細繊維を含むことを
    特徴とする方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法において、前
    記微細繊維を工業工程の水性排出物から得たことを特徴
    とする方法。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の方法において、前
    記微細繊維を製紙または紙のコーティング工程からの水
    性排出物から得たことを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 上記の請求項のいずれか1つに記載の
    方法において、前記非消費固形物が、前記水性媒体中の
    前記非消費固形物の前記水性懸濁質の、重量で0.5%
    から20%までを構成することを特徴とする方法。
  20. 【請求項20】 請求項13から請求項19までのいず
    れか1つに記載の方法において、第1のライン内スタテ
    ィックミキサ中で、二酸化炭素と混合するために供給し
    た、前記非消費固形物と水酸化カルシウムとの重量の割
    合が、1:10から10:1の範囲であることを特徴と
    する方法。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の方法において、前
    記非消費固形物の水性懸濁質と、前記水酸化カルシウム
    の水性懸濁質とを、ライン内スタティックミキサ中で混
    合し、第1のライン内スタティックミキサへ供給する水
    性懸濁質を生成することを特徴とする方法。
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