JP2000043386A - インクリボンカートリッジ - Google Patents
インクリボンカートリッジInfo
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- JP2000043386A JP2000043386A JP10219431A JP21943198A JP2000043386A JP 2000043386 A JP2000043386 A JP 2000043386A JP 10219431 A JP10219431 A JP 10219431A JP 21943198 A JP21943198 A JP 21943198A JP 2000043386 A JP2000043386 A JP 2000043386A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】インクリボンカートリッジの大きさを所定範囲
で納め、インク漏れ性を確保しつつ、インク寿命を大幅
に長くさせることができるインクリボンカートリッジを
低コストで提供することにある。 【解決手段】インクリボンとインクを保持し前記インク
リボンにインクを供給するウイックとで構成するインク
リボンカートリッジにおいて、繊維を束ねてインクを含
浸したウイックの片端をインクリボンに接触したことを
特徴とするインクリボンカートリッジである。これによ
り、安価で簡便な構造で、小型かつ印刷桁数の多い印刷
装置の長期耐久使用時の品質を確保し、またインク消耗
の激しい粗悪紙に対しても良好な印字が可能なインクリ
ボンカートリッジを実現する。
で納め、インク漏れ性を確保しつつ、インク寿命を大幅
に長くさせることができるインクリボンカートリッジを
低コストで提供することにある。 【解決手段】インクリボンとインクを保持し前記インク
リボンにインクを供給するウイックとで構成するインク
リボンカートリッジにおいて、繊維を束ねてインクを含
浸したウイックの片端をインクリボンに接触したことを
特徴とするインクリボンカートリッジである。これによ
り、安価で簡便な構造で、小型かつ印刷桁数の多い印刷
装置の長期耐久使用時の品質を確保し、またインク消耗
の激しい粗悪紙に対しても良好な印字が可能なインクリ
ボンカートリッジを実現する。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インパクトドット
あるいは活字輪式の印刷装置に用いるインクリボンカー
トリッジのケース構造に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、リボンカートリッジは、使用者
が手で容易に脱着できるコンパクト性と、かつ使用中に
インクの保持と安定供給かつ外部流出を防止する機能が
要求される。 【0003】インクリボンカートリッジの構造は、イン
クを保持するフェルトと吸蔵体またはウイックを収納す
る。吸蔵体はインクを保持し、ウイックにインクを供給
している。ウイックは吸蔵体から受け取ったインクを適
量転写歯車に供給する。転写歯車は、インクリボンから
回転力を受けると共にインクリボンへインクを移動させ
る。インクリボンは、印字紙と印字ハンマーの中間に移
動して、ハンマーの押しつけ力で印字紙にインクを転写
する。 【0004】そこで吸蔵体はウイックに対し密着し、イ
ンクをウイック方向に移行する。移行速度は、インク粘
度とウイックとの表面張力の差で適量供給する。印字の
最後は、吸蔵体にはインクが存在しない機構になってい
る。一方ウイックは、自身の保有するインクを転写歯車
に適量移行する。合成樹脂の発泡体のため、気孔率で保
有インク量と移行速度は決まる。転写歯車と一定圧力で
接触し、インクリボンにインクを供給する。 【0005】このウイック・吸蔵体の役割について説明
する。インクカートリッジを簡単な構造でインクの寿命
を長くするため、多量のインクを保持させる必要が起こ
り、ウイックや吸蔵体は大きくならざるを得ない。する
と、直接インクリボンに移行するインクは、転写歯車か
ら遠くなるほど、使用率が下がるようになる。つまり遠
くになるほど、使われないインクが存在する。大きさの
限界が見えてくる。そこでウイックや吸蔵体に求められ
る機能として、 多量のインクを保持できる 流動性が良い 移行方向が規定できる 流量が調整可能である 構成部品点数を少なくしたい 等が考えられる。 【0006】従来、上記の機能を満足させるべく、フェ
ルト単体や、ウイックと吸蔵体の組み合わせが提案され
商品化がなされている。フェルト単体は、リインク機構
(インクリボンにインクを供給する)では、安価だが、
上記5項目のいずれも、満足するべきものでない。つま
り、インク保持量は少なく、50万文字程度であり、流
動性は20mm範囲のインクが限界である。流動量の調
整はフェルト単体の断面形状で決まるので、大きさで規
定されると使えなくなる。 【0007】また、ウイックと吸蔵体との組み合わせ
は、インク(印字)の長寿命化には有効な方法である。
しかし、吸蔵体に繊維の不織布を使い、ウイックに合成
樹脂発泡体を使う組み合わせでは、インク寿命は100
万文字と限られ、それ以上の寿命を延ばすためインク量
を増やすと、インクリボンカートリッジからインクが漏
れてしまう不具合が発生する状況である。 【0008】その対策として、特公開平7−32364
6(フジコピアン社)の提案で、ケース内側に凸部を形
成し、ウイックからにじみ出したインクを点で支持する
ことで、表面張力での伝達を阻止している。しかし、イ
ンク量が多く、気孔率が50%以上のウイックや吸蔵体
には、その効果は疑わしい物になっている。 【0009】この転写歯車の役割について説明する。イ
ンクリボンの走行につれて、回転力を得てウイックから
インクをインクリボンに適量供給する。インクリボンと
の接触面積と接触時間に応じて、供給量が決まる。しか
し、印字初回から濃度が薄くなる傾向と、インク流れの
脈動による印字ムラがあるなど課題になってくる。 【0010】さらに、消耗品扱いのインクカートリッジ
では、できるだけ安価な要求は、市場に問うまでもな
く、印字機構の見直しなど抜本的な対策が必定である。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、インク
生地寿命を伸ばすとともに、インクリボンカートリッジ
内の保持インク量が多量になり、安定保持性能を保証す
るためには、ウイックや吸蔵体を大きくすると共に漏れ
対策が必要になる。 【0012】粗悪紙使用でインクの消費量が多く、かつ
安価なインクリボンカートリッジが切望されてきた。ま
た、インクを収納しているウイックを直接インクリボン
に押し当てると印字ムラが発生していた。 【0013】本発明はこのような課題を解決するために
なされたものであり、その目的はインクリボンカートリ
ッジの大きさを限られた範囲で納め、部品点数を減らし
低コスト化を計り、簡便な機構によりインク寿命を大幅
に長くさせることができるインクリボンカートリッジを
提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明は、以下の手段を有する。 【0015】インクリボンとインクを保持し前記インク
リボンにインクを供給するウイックとで構成するインク
リボンカートリッジにおいて、繊維を束ねインクを含浸
したウイックの片端をインクリボンに接触させたことを
特徴とするインクリボンカートリッジである。 【0016】また、合成樹脂をバインダーにして繊維を
束ねたウイックを使用したことを特徴とする請求項1記
載のインクリボンカートリッジである。 【0017】また、束ねられた繊維の中心部が外周部よ
り密度が低いウイックを使用したことを特徴とする請求
項1記載のインクリボンカートリッジである。 【0018】また、フイルムで繊維を円筒状や角柱状等
に束ね、端部からインクを供給するための開口部を付け
たウイックを使用したことを特徴とする請求項1記載の
インクリボンカートリッジである。 【0019】また、ウイックをバネやインクカートリッ
ジの壁を変形したバネやインクリボンの走行で得た回転
力を伝達する歯車で、ウイックをインクリボンに押し当
てる機構を使用したことを特徴とする請求項1記載のイ
ンクリボンカートリッジである。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に沿って説
明する。図1は、本発明に用いるインクリボンカートリ
ッジの上ケースを開いた平面図である。これを用いてカ
ートリッジの構造、インクリボン1の動作、インク供給
の方法を説明する。 【0021】インクリボン1は駆動歯車6と係合する従
属歯車11にはさまれて移動力を得ている。カートリッ
ジ内のインクリボン1は、印字の際一定の張力で移動さ
せるために規制バネ8等で押さえられる。ウイック9に
貯蔵されているインクはウイック9の片端部と接触され
たインクリボン1と毛細管現象によって移動する。ウイ
ック9のインクは、転写歯車5が図1のように右回りに
回転すると接触しているインクリボン1に転写される。 【0022】図示していないがヘッド内のハンマーと記
録用紙の間をインクリボン1は移動し、インクリボン1
のハンマーに、ハンマーで圧し当てられると、記録用紙
に所定時間、所定圧力で接触し、インクリボン1のイン
クが記録用紙に転写する。上記構成部品を、下ケース7
に収納し、上ケース(図示せず)が係合し覆い固定され
てインクリボンカートリッジが完成される。 【0023】次にインクの流れについて説明する。また
図6のようにウイック断面図を示すが、ウイック9はプ
ラスチック繊維を一方向に束ね、合成樹脂14を硬化し
た。 【0024】図5に繊維同士の位置関係を示した。ウイ
ック9は外周部に合成樹脂14で被覆し硬く繊維密度の
高くしたウイック4を配し、繊維密度の粗い中心部3と
で構成される。つまり大量のインクが中心部を流れる。
図1で示すようにインクリボン1の圧力で変形したウイ
ック9の片側の中央部は、より高い接触面積とインクリ
ボン移行速度に応じてインクの供給を得ていることが大
きな特徴となっている。このことが図7で示す従来の構
成部品であった転写歯車5を省略できることにつながっ
ている。 【0025】図2(a)にウイック9平面図を示すが、
腰のある特性をもつインクリボン1は、印字使用時以外
では2カ所の支持部材2で支えられウイック9と接触し
ていない。常時接触していると、インクリボン1にイン
クが過多に供給され、印字ムラが発生し重大な欠陥にな
る。 【0026】一方、図2(b)に示すように、インクが
十分含浸されたウイック9の中心部にインクリボン1を
一定の圧力で接触している時だけインクを供給してい
る。ここが本発明の大きな特徴となっている。 【0027】吸収したインク量に対して、使われたイン
ク量をインク使用率といい、ウイック9内に使われずに
残存するインク量をデッドインクという。 【0028】ここで使われるインクリボン1は、図8
(a)(b)で示すように1層平織りのインクリボンを
2枚に重ね合わせ2層インクリボン1とした。長寿命用
に選定・開発された2層インクリボン1や 高張力糸を
使ったインクリボン1などで、剛性が高いと共に、破断
強度も向上しており、腰のあるインクリボン1を作って
いる。 【0029】[実施例1]ウイック9は、図5のように
化学繊維の長繊維13でよりをかけている。繊維の太さ
は2から10デニールで数万本を収束している。 【0030】繊維13はポリエチレンテレフタレート
(PET)の他にナイロン66(ポリアミド66)やア
クリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)があり、合
成樹脂(バインダー)14としてウレタン樹脂の他にエ
ポキシ樹脂・フェノール樹脂・メラニン樹脂などが考え
られる。糸は、普通5D(デニール)や3Dが使われ、
デニール数が少ないほど気孔率が高まり、インクを多く
吸収保持できる。また、一本の糸は図5のように隣接す
る糸とところどころで接触し前記合成樹脂14で固定す
る。気孔率を高めるために繊維の“より“を大きくする
ことが必要だ。しかし、高めすぎると繊維同志の結束力
が弱まりひび割れが発生する。 【0031】幅2mmで高さ4mmで長さ65mmで、
中心部が幅方向へ露出するようにウイックの片側を研磨
加工した。図2に本発明のウイック9がインクリボン1
と接触する状態を示す。図2(a)は待機状態で、張り
のあるインクリボン1が支持部材2に妨げられて直接イ
ンク供給はされない。一方図2(b)は張力のかかった
インクリボン1で稼働中を表している。支持部材2がイ
ンクリボン1の張力で図のように変形し、接触し易くし
ている。 【0032】前記ウイック9の片側を専用のインクに片
側を浸け、毛細管現象を利用して約12時間でインクが
ウイック9の中に充填した。 【0033】その時、ウイック9の重さは0.5gでイ
ンク充填後は1.1gであった。吸収インク量は、1.
1−0.5=0.6gで、インク気孔率は、(1.1−
0.5)÷1.1=55%であった。その内、印字に使
われるインク比率は70%であるから、0.6×0.7
=0.42g。従来のスポンジ発砲体の吸蔵体10やウ
イック9は、インク使用率は、20%から30%と低
く、今回のウイック9を活用することで部品削減やスペ
ース縮小化が計られ本発明の有効性のある特徴になって
いる。 【0034】前記ウイック9をインクリボンカートリッ
ジに装着し、耐久性の高い2枚重ねのシームレスリボン
周長20cmをインク0.16gしみ込ませて、インク
リボンカートリッジに入れた。プリンターに前記インク
リボンカートリッジを装着し、普通紙(王子製紙45k
レジ紙)と粗悪紙で評価した。 【0035】ここで粗悪紙とは、中進国でよく使われ、
鋭利な形状で硬度の高い無機質が多く含まれる紙の繊維
が粗い紙をさし、プリンタへの影響は、ハンマー摩耗が
早く、インクリボン1の生地寿命が半分以下と短く、イ
ンク消耗が早くなる。 【0036】一方、日本国内に広く出回っている普通紙
では、印字耐久評価した結果、280万文字でインク寿
命はあり、粗悪紙では、インク寿命は240万文字であ
った。市販に出回っているインクリボン1は、1層イン
クリボンを1mから5mと長くすることで長寿命を達成
している。しかし、本発明のようにわずか長さ20cm
で550万文字を達成でき画期的なことである。 【0037】このことから目標印字文字数を達成するた
めに必要なインク量は、0.35gから0.40gであ
る。つまり、0.1g/100万文字と高いインク使用
率を達成した。 【0038】また同時に鮮明な2枚複写が確認出来た。
拡大鏡で表面の印字濃淡を観察した結果、初期から印字
ムラは少なく、200万文字印字後も濃淡の変化が少な
かった。このことは、印字初回インクリボン1に含まれ
るインクが3000文字印字で消化し、それ以後、ウイ
ック9内のインクが一定量継続して使われたことにな
る。従来言われている初回印字は濃いめの印字で10万
文字印字頃から極端に印字濃度が薄くなる傾向に歯止め
がかかった。 【0039】一方、従来例で示されている市販品で内蔵
されている転写歯車5や吸蔵体10が、本発明の構成で
は削除され、低コスト化とコンパクト性向上に大きく寄
与している。 【0040】インクを高保持・高供給する機能を発揮す
る繊維収束したウイック9とその形状と配置方法を採用
する本発明の提案で、ウイック9単体でも十分長寿命イ
ンクを実現できた。 【0041】さらに、インクリボン自体のインク保持機
能を多層インクリボン1は付加し、インクカートリッジ
の機能を向上した事は本発明の特徴である。 【0042】ウイック9はインクを適量インクリボン1
に供給するが、接触する片端に柔軟性を持たせること
で、しなりのある接触状態が保てる。インクリボン1は
固有の高い剛性から直線形状を保ち、インクリボン1の
支持部材2の位置関係から駆動時は強く接触し非駆動時
は、半接触状態になる。つまりインク使用時には、ウイ
ック9からインクリボン1へインクの供給が自動的にな
される機構になっている。またインクリボン1の回転力
が張力になり、ウイック9の片端に強く接触する画期的
な構成になっている。 【0043】また、図4(a)平面図と(b)側面図のよ
うに、補助的に追加されたウイック9のインクリボン1
への押さえバネ12は、インクカートリッジの成型時に
同時に作られるため、軽微な材料代のみ追加されること
になる。かつウイック9のバタツキや製造上のラフな形
状精度にも対応できる構造になっている。 【0044】このように、従来にない簡潔した構成で、
長寿命と低コストを同時に実現した本発明は、工業的に
も有効な提案である。 【0045】[実施例2]ウイック9は、図5のように
ナイロン66(ポリアミド66)製の長繊維13でより
をかけて、ウエーブが一本一本にかかっている。繊維自
体腰が、水分吸収後弱くなるので、繊維の太さは2から
6デニールで数万本を収束している。 【0046】幅2mmで高さ4mmで長さが65mmの
片側をウイック9の柔らかい芯(中心部)が柔軟にイン
クリボン1に接触するように研磨加工した。前記ウイッ
ク9の片側を専用のインクに浸け、毛細管現象を利用し
て約12時間でインクがウイック9の中に充填した。 【0047】図3に本発明のウイック9がインクリボン
1と接触する状態を示す。図3(a)は待機状態で、張
りのあるインクリボン1が支持部材2に妨げられて直接
インク供給はされない。一方図3(b)は張力のかかっ
たインクリボン1で稼働中を表している。インクリボン
1の位置関係は、支持部材2の位置とウイック押さえバ
ネ12の位置により、供給されるインク量が決定され
た。 【0048】その時、ウイック9の重さは0.55gで
インク充填後は1.1gであった。吸収インク量は、
1.1−0.55=0.55gで、インク気孔率は、
(1.1−0.55)÷1.1=50%であった。その
内、印字に使われるインク比率は65%であるから、
0.5×0.65=0.325g前記ウイック9をイン
クリボンカートリッジに装着し、耐久性の高い2枚重ね
のシームレスリボン周長20cmをインク0.16gし
み込ませて、インクリボンカートリッジに入れた。プリ
ンターに前記インクリボンカートリッジを装着し、普通
紙(王子製紙45kレジ紙)と粗悪紙で評価した。 【0049】印字耐久評価した結果、普通紙では240
万文字で、粗悪紙では、205万文字であった。 【0050】また同時に鮮明な2枚複写が確認出来た。
拡大鏡で表面の印字濃淡を観察した結果、初期から印字
ムラは少なく、200万文字印字後も濃淡の変化が少な
かった。一方、従来例で示されている市販品で内蔵され
ている転写歯車5や吸蔵体10が、本発明の構成では削
除され、低コスト化に大きく寄与している。 【0051】インクを高保持・高供給する機能を発揮す
る繊維収束したウイック9を採用することで、ウイック
9単体でも十分長寿命インクを実現できた。 【0052】さらに、インクリボン寿命を長くすべく、
繊維自体の引張強度強さを向上した高張力糸のインクリ
ボン1や、普通糸インクリボン1を2枚重ね合わせた多
層インクリボン1を使うことでインクリボン切れを飛躍
的に減少させると共に、インクリボン自体のインク保持
機能を多層インクリボン1は付加し、インクカートリッ
ジの機能を向上した事は本発明の特徴である。 【0053】また、追加されたウイック9のインクリボ
ン1への押し当てバネは、インクカートリッジの成型時
に同時に作られるため、軽微な材料代のみ追加されるこ
とになる。 【0054】このように、従来にない簡潔した構成で、
長寿命と低コストを同時に実現した本発明は、工業的に
も有効である。 【0055】[従来例]次に、図7のように従来一般に
用いられている1層構造のインクリボン1についても同
様に特性を調査した。ウイック9と吸蔵体10との2体
部品構成で組み立てた。ウイック9は、ウレタン製の発
泡体(UBF3イノアック社製)で、内部の気泡がつな
がっている素材である。ウイック9の片側は、転写歯車
5と接触し、インクは更にインクリボン1へと移動す
る。ウイック9に隣接して吸蔵体10を置き、ウイック
9で使われたインクを供給する。吸蔵体10は、繊維を
ウイック方向に収束したものである。 【0056】幅2mmで高さ4mmで長さが65mmの
UBF3製ウイック9と幅2mmで高さ4mmで長さが
45mmの吸蔵体10の片側を専用のインクに浸け、毛
細管現象を利用して約24時間でインクが中に充填し
た。 【0057】前記ウイック9と吸蔵体10をインクリボ
ンカートリッジ7に装着し、耐久性の高い2枚重ねのシ
ームレスリボン周長20cmをインク0.16gしみ込
ませて、インクリボンカートリッジ7に入れた。プリン
ターに前記インクリボンカートリッジ7を装着し、前記
普通紙と前記粗悪紙で評価した。 【0058】ウイック9の重さは1.5gでインク充填
後は2.3gであった。吸収インク量は、2.3g−
1.5g=0.8gで、インク気孔率は、(2.3g−
1.5g)÷2.3g=0.35であった。その内、印字
に使われるインク比率は15%であるから、0.8g×
0.15=0.12gであった。 【0059】一方隣接する吸蔵体2は、幅2mmで高さ
4mmで長さが25mmのウイック9の重さ0.3g
で、インク保持量は0.22gです。 【0060】専用のイン前記吸蔵体10から流れるイン
ク量が、0.16gでウイック1のインク量が0.12
gだから、0.16g+0.12g=0.28gであっ
た。 【0061】印字耐久評価した結果、目標としている印
字文字数の200万文字に対し、ウイック9と吸蔵体1
0との2部品構成で印字耐久試験をしたところ、普通紙
では、220万文字のインク寿命はあり、粗悪紙では1
80万文字であった。 【0062】また同時に鮮明な2枚複写が確認出来た。
拡大鏡で表面の印字濃淡を観察した結果、初期から印字
ムラがでた。ウイック1の中のインクの流れに脈動が考
えられた。50万文字印字後も印字濃淡が極端に変化
し、判読に苦しむ状況にあった。このことは、印字初回
インクリボン8に含まれるインクが3000文字印字で
消化し、それ以後、ウイック1内のインクが転写歯車9
を伝わって一定量継続して使われたことになる。従来言
われている初回印字は濃いめの印字で10万文字印字頃
から極端に印字濃度が薄くなる傾向が再確認された以上
の特性調査をまとめると表1に様になる。 【0063】表1から明らかなように、インク寿命と粗
悪紙への生地長寿命の両方を満足するには、本発明のイ
ンクリボンカートリッジ構成が最も良い。又、以下のよ
うなことが明らかとなった。 【0064】表2から本発明の部品点数が比較例や従来
例と比べ、如何に少ないかが明白になった。ケースの大
きさを小さくできない要因として、吸蔵体10の存在が
有ったが、今回の提案でインクカートリッジ自体の小型
軽量化へ大きく前進させる礎を築いた。 【0065】 【表1】 【0066】 【表2】 【0067】 【発明の効果】上記構成により、繊維を一方向に束ねた
ウイック使うので、インクの流動方向が規制されると共
に、繊維間に含まれる量も多く出来、又中心部が中空構
造を採用することで保インク量は増加しインク漏れ不具
合も減少する。つまり長インク寿命化に対して、含浸さ
れるインクの量は多くなる効果あり、特に消費量の高い
粗悪紙に対して、品質の差が際だってくる。 【0068】さらに同一方向に繊維を束ねた構造である
ため、インク使用率が1.5倍も高く、デッドインクが
少なくなる分、省スペース化が達成できる。さらに長繊
維を使用することで、印字の初期から寿命まで供給され
るインク量が一定で安定しているため、印字濃度が極端
に薄くなる従来構造より飛躍的に、印字品質が向上す
る。 【0069】多層インクリボン1の使用で、印字ハンマ
ーに打たれ強い生地を実現し、コンパクトにして、長寿
命のインクリボン1を組み込めた。 【0070】さらに、コストアップ要因の一つの吸蔵体
や転写歯車を構成部品から外せられ、組立工数削減・品
質管理項目の削除などの付帯管理項目を削減できた。
あるいは活字輪式の印刷装置に用いるインクリボンカー
トリッジのケース構造に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、リボンカートリッジは、使用者
が手で容易に脱着できるコンパクト性と、かつ使用中に
インクの保持と安定供給かつ外部流出を防止する機能が
要求される。 【0003】インクリボンカートリッジの構造は、イン
クを保持するフェルトと吸蔵体またはウイックを収納す
る。吸蔵体はインクを保持し、ウイックにインクを供給
している。ウイックは吸蔵体から受け取ったインクを適
量転写歯車に供給する。転写歯車は、インクリボンから
回転力を受けると共にインクリボンへインクを移動させ
る。インクリボンは、印字紙と印字ハンマーの中間に移
動して、ハンマーの押しつけ力で印字紙にインクを転写
する。 【0004】そこで吸蔵体はウイックに対し密着し、イ
ンクをウイック方向に移行する。移行速度は、インク粘
度とウイックとの表面張力の差で適量供給する。印字の
最後は、吸蔵体にはインクが存在しない機構になってい
る。一方ウイックは、自身の保有するインクを転写歯車
に適量移行する。合成樹脂の発泡体のため、気孔率で保
有インク量と移行速度は決まる。転写歯車と一定圧力で
接触し、インクリボンにインクを供給する。 【0005】このウイック・吸蔵体の役割について説明
する。インクカートリッジを簡単な構造でインクの寿命
を長くするため、多量のインクを保持させる必要が起こ
り、ウイックや吸蔵体は大きくならざるを得ない。する
と、直接インクリボンに移行するインクは、転写歯車か
ら遠くなるほど、使用率が下がるようになる。つまり遠
くになるほど、使われないインクが存在する。大きさの
限界が見えてくる。そこでウイックや吸蔵体に求められ
る機能として、 多量のインクを保持できる 流動性が良い 移行方向が規定できる 流量が調整可能である 構成部品点数を少なくしたい 等が考えられる。 【0006】従来、上記の機能を満足させるべく、フェ
ルト単体や、ウイックと吸蔵体の組み合わせが提案され
商品化がなされている。フェルト単体は、リインク機構
(インクリボンにインクを供給する)では、安価だが、
上記5項目のいずれも、満足するべきものでない。つま
り、インク保持量は少なく、50万文字程度であり、流
動性は20mm範囲のインクが限界である。流動量の調
整はフェルト単体の断面形状で決まるので、大きさで規
定されると使えなくなる。 【0007】また、ウイックと吸蔵体との組み合わせ
は、インク(印字)の長寿命化には有効な方法である。
しかし、吸蔵体に繊維の不織布を使い、ウイックに合成
樹脂発泡体を使う組み合わせでは、インク寿命は100
万文字と限られ、それ以上の寿命を延ばすためインク量
を増やすと、インクリボンカートリッジからインクが漏
れてしまう不具合が発生する状況である。 【0008】その対策として、特公開平7−32364
6(フジコピアン社)の提案で、ケース内側に凸部を形
成し、ウイックからにじみ出したインクを点で支持する
ことで、表面張力での伝達を阻止している。しかし、イ
ンク量が多く、気孔率が50%以上のウイックや吸蔵体
には、その効果は疑わしい物になっている。 【0009】この転写歯車の役割について説明する。イ
ンクリボンの走行につれて、回転力を得てウイックから
インクをインクリボンに適量供給する。インクリボンと
の接触面積と接触時間に応じて、供給量が決まる。しか
し、印字初回から濃度が薄くなる傾向と、インク流れの
脈動による印字ムラがあるなど課題になってくる。 【0010】さらに、消耗品扱いのインクカートリッジ
では、できるだけ安価な要求は、市場に問うまでもな
く、印字機構の見直しなど抜本的な対策が必定である。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、インク
生地寿命を伸ばすとともに、インクリボンカートリッジ
内の保持インク量が多量になり、安定保持性能を保証す
るためには、ウイックや吸蔵体を大きくすると共に漏れ
対策が必要になる。 【0012】粗悪紙使用でインクの消費量が多く、かつ
安価なインクリボンカートリッジが切望されてきた。ま
た、インクを収納しているウイックを直接インクリボン
に押し当てると印字ムラが発生していた。 【0013】本発明はこのような課題を解決するために
なされたものであり、その目的はインクリボンカートリ
ッジの大きさを限られた範囲で納め、部品点数を減らし
低コスト化を計り、簡便な機構によりインク寿命を大幅
に長くさせることができるインクリボンカートリッジを
提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め、本発明は、以下の手段を有する。 【0015】インクリボンとインクを保持し前記インク
リボンにインクを供給するウイックとで構成するインク
リボンカートリッジにおいて、繊維を束ねインクを含浸
したウイックの片端をインクリボンに接触させたことを
特徴とするインクリボンカートリッジである。 【0016】また、合成樹脂をバインダーにして繊維を
束ねたウイックを使用したことを特徴とする請求項1記
載のインクリボンカートリッジである。 【0017】また、束ねられた繊維の中心部が外周部よ
り密度が低いウイックを使用したことを特徴とする請求
項1記載のインクリボンカートリッジである。 【0018】また、フイルムで繊維を円筒状や角柱状等
に束ね、端部からインクを供給するための開口部を付け
たウイックを使用したことを特徴とする請求項1記載の
インクリボンカートリッジである。 【0019】また、ウイックをバネやインクカートリッ
ジの壁を変形したバネやインクリボンの走行で得た回転
力を伝達する歯車で、ウイックをインクリボンに押し当
てる機構を使用したことを特徴とする請求項1記載のイ
ンクリボンカートリッジである。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に沿って説
明する。図1は、本発明に用いるインクリボンカートリ
ッジの上ケースを開いた平面図である。これを用いてカ
ートリッジの構造、インクリボン1の動作、インク供給
の方法を説明する。 【0021】インクリボン1は駆動歯車6と係合する従
属歯車11にはさまれて移動力を得ている。カートリッ
ジ内のインクリボン1は、印字の際一定の張力で移動さ
せるために規制バネ8等で押さえられる。ウイック9に
貯蔵されているインクはウイック9の片端部と接触され
たインクリボン1と毛細管現象によって移動する。ウイ
ック9のインクは、転写歯車5が図1のように右回りに
回転すると接触しているインクリボン1に転写される。 【0022】図示していないがヘッド内のハンマーと記
録用紙の間をインクリボン1は移動し、インクリボン1
のハンマーに、ハンマーで圧し当てられると、記録用紙
に所定時間、所定圧力で接触し、インクリボン1のイン
クが記録用紙に転写する。上記構成部品を、下ケース7
に収納し、上ケース(図示せず)が係合し覆い固定され
てインクリボンカートリッジが完成される。 【0023】次にインクの流れについて説明する。また
図6のようにウイック断面図を示すが、ウイック9はプ
ラスチック繊維を一方向に束ね、合成樹脂14を硬化し
た。 【0024】図5に繊維同士の位置関係を示した。ウイ
ック9は外周部に合成樹脂14で被覆し硬く繊維密度の
高くしたウイック4を配し、繊維密度の粗い中心部3と
で構成される。つまり大量のインクが中心部を流れる。
図1で示すようにインクリボン1の圧力で変形したウイ
ック9の片側の中央部は、より高い接触面積とインクリ
ボン移行速度に応じてインクの供給を得ていることが大
きな特徴となっている。このことが図7で示す従来の構
成部品であった転写歯車5を省略できることにつながっ
ている。 【0025】図2(a)にウイック9平面図を示すが、
腰のある特性をもつインクリボン1は、印字使用時以外
では2カ所の支持部材2で支えられウイック9と接触し
ていない。常時接触していると、インクリボン1にイン
クが過多に供給され、印字ムラが発生し重大な欠陥にな
る。 【0026】一方、図2(b)に示すように、インクが
十分含浸されたウイック9の中心部にインクリボン1を
一定の圧力で接触している時だけインクを供給してい
る。ここが本発明の大きな特徴となっている。 【0027】吸収したインク量に対して、使われたイン
ク量をインク使用率といい、ウイック9内に使われずに
残存するインク量をデッドインクという。 【0028】ここで使われるインクリボン1は、図8
(a)(b)で示すように1層平織りのインクリボンを
2枚に重ね合わせ2層インクリボン1とした。長寿命用
に選定・開発された2層インクリボン1や 高張力糸を
使ったインクリボン1などで、剛性が高いと共に、破断
強度も向上しており、腰のあるインクリボン1を作って
いる。 【0029】[実施例1]ウイック9は、図5のように
化学繊維の長繊維13でよりをかけている。繊維の太さ
は2から10デニールで数万本を収束している。 【0030】繊維13はポリエチレンテレフタレート
(PET)の他にナイロン66(ポリアミド66)やア
クリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂)があり、合
成樹脂(バインダー)14としてウレタン樹脂の他にエ
ポキシ樹脂・フェノール樹脂・メラニン樹脂などが考え
られる。糸は、普通5D(デニール)や3Dが使われ、
デニール数が少ないほど気孔率が高まり、インクを多く
吸収保持できる。また、一本の糸は図5のように隣接す
る糸とところどころで接触し前記合成樹脂14で固定す
る。気孔率を高めるために繊維の“より“を大きくする
ことが必要だ。しかし、高めすぎると繊維同志の結束力
が弱まりひび割れが発生する。 【0031】幅2mmで高さ4mmで長さ65mmで、
中心部が幅方向へ露出するようにウイックの片側を研磨
加工した。図2に本発明のウイック9がインクリボン1
と接触する状態を示す。図2(a)は待機状態で、張り
のあるインクリボン1が支持部材2に妨げられて直接イ
ンク供給はされない。一方図2(b)は張力のかかった
インクリボン1で稼働中を表している。支持部材2がイ
ンクリボン1の張力で図のように変形し、接触し易くし
ている。 【0032】前記ウイック9の片側を専用のインクに片
側を浸け、毛細管現象を利用して約12時間でインクが
ウイック9の中に充填した。 【0033】その時、ウイック9の重さは0.5gでイ
ンク充填後は1.1gであった。吸収インク量は、1.
1−0.5=0.6gで、インク気孔率は、(1.1−
0.5)÷1.1=55%であった。その内、印字に使
われるインク比率は70%であるから、0.6×0.7
=0.42g。従来のスポンジ発砲体の吸蔵体10やウ
イック9は、インク使用率は、20%から30%と低
く、今回のウイック9を活用することで部品削減やスペ
ース縮小化が計られ本発明の有効性のある特徴になって
いる。 【0034】前記ウイック9をインクリボンカートリッ
ジに装着し、耐久性の高い2枚重ねのシームレスリボン
周長20cmをインク0.16gしみ込ませて、インク
リボンカートリッジに入れた。プリンターに前記インク
リボンカートリッジを装着し、普通紙(王子製紙45k
レジ紙)と粗悪紙で評価した。 【0035】ここで粗悪紙とは、中進国でよく使われ、
鋭利な形状で硬度の高い無機質が多く含まれる紙の繊維
が粗い紙をさし、プリンタへの影響は、ハンマー摩耗が
早く、インクリボン1の生地寿命が半分以下と短く、イ
ンク消耗が早くなる。 【0036】一方、日本国内に広く出回っている普通紙
では、印字耐久評価した結果、280万文字でインク寿
命はあり、粗悪紙では、インク寿命は240万文字であ
った。市販に出回っているインクリボン1は、1層イン
クリボンを1mから5mと長くすることで長寿命を達成
している。しかし、本発明のようにわずか長さ20cm
で550万文字を達成でき画期的なことである。 【0037】このことから目標印字文字数を達成するた
めに必要なインク量は、0.35gから0.40gであ
る。つまり、0.1g/100万文字と高いインク使用
率を達成した。 【0038】また同時に鮮明な2枚複写が確認出来た。
拡大鏡で表面の印字濃淡を観察した結果、初期から印字
ムラは少なく、200万文字印字後も濃淡の変化が少な
かった。このことは、印字初回インクリボン1に含まれ
るインクが3000文字印字で消化し、それ以後、ウイ
ック9内のインクが一定量継続して使われたことにな
る。従来言われている初回印字は濃いめの印字で10万
文字印字頃から極端に印字濃度が薄くなる傾向に歯止め
がかかった。 【0039】一方、従来例で示されている市販品で内蔵
されている転写歯車5や吸蔵体10が、本発明の構成で
は削除され、低コスト化とコンパクト性向上に大きく寄
与している。 【0040】インクを高保持・高供給する機能を発揮す
る繊維収束したウイック9とその形状と配置方法を採用
する本発明の提案で、ウイック9単体でも十分長寿命イ
ンクを実現できた。 【0041】さらに、インクリボン自体のインク保持機
能を多層インクリボン1は付加し、インクカートリッジ
の機能を向上した事は本発明の特徴である。 【0042】ウイック9はインクを適量インクリボン1
に供給するが、接触する片端に柔軟性を持たせること
で、しなりのある接触状態が保てる。インクリボン1は
固有の高い剛性から直線形状を保ち、インクリボン1の
支持部材2の位置関係から駆動時は強く接触し非駆動時
は、半接触状態になる。つまりインク使用時には、ウイ
ック9からインクリボン1へインクの供給が自動的にな
される機構になっている。またインクリボン1の回転力
が張力になり、ウイック9の片端に強く接触する画期的
な構成になっている。 【0043】また、図4(a)平面図と(b)側面図のよ
うに、補助的に追加されたウイック9のインクリボン1
への押さえバネ12は、インクカートリッジの成型時に
同時に作られるため、軽微な材料代のみ追加されること
になる。かつウイック9のバタツキや製造上のラフな形
状精度にも対応できる構造になっている。 【0044】このように、従来にない簡潔した構成で、
長寿命と低コストを同時に実現した本発明は、工業的に
も有効な提案である。 【0045】[実施例2]ウイック9は、図5のように
ナイロン66(ポリアミド66)製の長繊維13でより
をかけて、ウエーブが一本一本にかかっている。繊維自
体腰が、水分吸収後弱くなるので、繊維の太さは2から
6デニールで数万本を収束している。 【0046】幅2mmで高さ4mmで長さが65mmの
片側をウイック9の柔らかい芯(中心部)が柔軟にイン
クリボン1に接触するように研磨加工した。前記ウイッ
ク9の片側を専用のインクに浸け、毛細管現象を利用し
て約12時間でインクがウイック9の中に充填した。 【0047】図3に本発明のウイック9がインクリボン
1と接触する状態を示す。図3(a)は待機状態で、張
りのあるインクリボン1が支持部材2に妨げられて直接
インク供給はされない。一方図3(b)は張力のかかっ
たインクリボン1で稼働中を表している。インクリボン
1の位置関係は、支持部材2の位置とウイック押さえバ
ネ12の位置により、供給されるインク量が決定され
た。 【0048】その時、ウイック9の重さは0.55gで
インク充填後は1.1gであった。吸収インク量は、
1.1−0.55=0.55gで、インク気孔率は、
(1.1−0.55)÷1.1=50%であった。その
内、印字に使われるインク比率は65%であるから、
0.5×0.65=0.325g前記ウイック9をイン
クリボンカートリッジに装着し、耐久性の高い2枚重ね
のシームレスリボン周長20cmをインク0.16gし
み込ませて、インクリボンカートリッジに入れた。プリ
ンターに前記インクリボンカートリッジを装着し、普通
紙(王子製紙45kレジ紙)と粗悪紙で評価した。 【0049】印字耐久評価した結果、普通紙では240
万文字で、粗悪紙では、205万文字であった。 【0050】また同時に鮮明な2枚複写が確認出来た。
拡大鏡で表面の印字濃淡を観察した結果、初期から印字
ムラは少なく、200万文字印字後も濃淡の変化が少な
かった。一方、従来例で示されている市販品で内蔵され
ている転写歯車5や吸蔵体10が、本発明の構成では削
除され、低コスト化に大きく寄与している。 【0051】インクを高保持・高供給する機能を発揮す
る繊維収束したウイック9を採用することで、ウイック
9単体でも十分長寿命インクを実現できた。 【0052】さらに、インクリボン寿命を長くすべく、
繊維自体の引張強度強さを向上した高張力糸のインクリ
ボン1や、普通糸インクリボン1を2枚重ね合わせた多
層インクリボン1を使うことでインクリボン切れを飛躍
的に減少させると共に、インクリボン自体のインク保持
機能を多層インクリボン1は付加し、インクカートリッ
ジの機能を向上した事は本発明の特徴である。 【0053】また、追加されたウイック9のインクリボ
ン1への押し当てバネは、インクカートリッジの成型時
に同時に作られるため、軽微な材料代のみ追加されるこ
とになる。 【0054】このように、従来にない簡潔した構成で、
長寿命と低コストを同時に実現した本発明は、工業的に
も有効である。 【0055】[従来例]次に、図7のように従来一般に
用いられている1層構造のインクリボン1についても同
様に特性を調査した。ウイック9と吸蔵体10との2体
部品構成で組み立てた。ウイック9は、ウレタン製の発
泡体(UBF3イノアック社製)で、内部の気泡がつな
がっている素材である。ウイック9の片側は、転写歯車
5と接触し、インクは更にインクリボン1へと移動す
る。ウイック9に隣接して吸蔵体10を置き、ウイック
9で使われたインクを供給する。吸蔵体10は、繊維を
ウイック方向に収束したものである。 【0056】幅2mmで高さ4mmで長さが65mmの
UBF3製ウイック9と幅2mmで高さ4mmで長さが
45mmの吸蔵体10の片側を専用のインクに浸け、毛
細管現象を利用して約24時間でインクが中に充填し
た。 【0057】前記ウイック9と吸蔵体10をインクリボ
ンカートリッジ7に装着し、耐久性の高い2枚重ねのシ
ームレスリボン周長20cmをインク0.16gしみ込
ませて、インクリボンカートリッジ7に入れた。プリン
ターに前記インクリボンカートリッジ7を装着し、前記
普通紙と前記粗悪紙で評価した。 【0058】ウイック9の重さは1.5gでインク充填
後は2.3gであった。吸収インク量は、2.3g−
1.5g=0.8gで、インク気孔率は、(2.3g−
1.5g)÷2.3g=0.35であった。その内、印字
に使われるインク比率は15%であるから、0.8g×
0.15=0.12gであった。 【0059】一方隣接する吸蔵体2は、幅2mmで高さ
4mmで長さが25mmのウイック9の重さ0.3g
で、インク保持量は0.22gです。 【0060】専用のイン前記吸蔵体10から流れるイン
ク量が、0.16gでウイック1のインク量が0.12
gだから、0.16g+0.12g=0.28gであっ
た。 【0061】印字耐久評価した結果、目標としている印
字文字数の200万文字に対し、ウイック9と吸蔵体1
0との2部品構成で印字耐久試験をしたところ、普通紙
では、220万文字のインク寿命はあり、粗悪紙では1
80万文字であった。 【0062】また同時に鮮明な2枚複写が確認出来た。
拡大鏡で表面の印字濃淡を観察した結果、初期から印字
ムラがでた。ウイック1の中のインクの流れに脈動が考
えられた。50万文字印字後も印字濃淡が極端に変化
し、判読に苦しむ状況にあった。このことは、印字初回
インクリボン8に含まれるインクが3000文字印字で
消化し、それ以後、ウイック1内のインクが転写歯車9
を伝わって一定量継続して使われたことになる。従来言
われている初回印字は濃いめの印字で10万文字印字頃
から極端に印字濃度が薄くなる傾向が再確認された以上
の特性調査をまとめると表1に様になる。 【0063】表1から明らかなように、インク寿命と粗
悪紙への生地長寿命の両方を満足するには、本発明のイ
ンクリボンカートリッジ構成が最も良い。又、以下のよ
うなことが明らかとなった。 【0064】表2から本発明の部品点数が比較例や従来
例と比べ、如何に少ないかが明白になった。ケースの大
きさを小さくできない要因として、吸蔵体10の存在が
有ったが、今回の提案でインクカートリッジ自体の小型
軽量化へ大きく前進させる礎を築いた。 【0065】 【表1】 【0066】 【表2】 【0067】 【発明の効果】上記構成により、繊維を一方向に束ねた
ウイック使うので、インクの流動方向が規制されると共
に、繊維間に含まれる量も多く出来、又中心部が中空構
造を採用することで保インク量は増加しインク漏れ不具
合も減少する。つまり長インク寿命化に対して、含浸さ
れるインクの量は多くなる効果あり、特に消費量の高い
粗悪紙に対して、品質の差が際だってくる。 【0068】さらに同一方向に繊維を束ねた構造である
ため、インク使用率が1.5倍も高く、デッドインクが
少なくなる分、省スペース化が達成できる。さらに長繊
維を使用することで、印字の初期から寿命まで供給され
るインク量が一定で安定しているため、印字濃度が極端
に薄くなる従来構造より飛躍的に、印字品質が向上す
る。 【0069】多層インクリボン1の使用で、印字ハンマ
ーに打たれ強い生地を実現し、コンパクトにして、長寿
命のインクリボン1を組み込めた。 【0070】さらに、コストアップ要因の一つの吸蔵体
や転写歯車を構成部品から外せられ、組立工数削減・品
質管理項目の削除などの付帯管理項目を削減できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクカートリッジの上ケースを開い
た平面図。 【図2】(a)は本発明の実施例1を示すウイックの片
端の平面図。(b)は張力のあるインクリボンと接して
いるウイックの片端の平面図。 【図3】(a)は本発明の実施例2を示すウイックの片
端の平面図。(b)は張力のあるインクリボンと接して
いるウイックの片端の平面図。 【図4】(a)は本発明の実施例1を示すウイック押さ
えバネの平面図。(b)は本発明の実施例1を示すウイ
ック押さえバネの側面図。 【図5】本発明のウイック内の繊維の平面拡大図。 【図6】本発明のウイックの実施例の断面図。 【図7】従来例のインクカートリッジの上ケースを開い
た平面図。 【図8】(a)は本発明の実施例で示した2層インクリ
ボンの断面図。(b)は本発明の実施例で示した2層イ
ンクリボンの斜視図。 【符号の説明】 1 インクリボン 2 支持部材 3 密度の粗いウイック中心部 4 密度の高い合成樹脂で被覆したウイック外周部 5 転写歯車 6 駆動歯車 7 インクリボンカセットの下ケース 8 規制バネ 9 ウイック 10 吸蔵体 11 従属歯車 12 ウイック押さえバネ 13 ウイックの繊維 14 合成樹脂(バインダー) 15 インクの流れ方向 16 1層の平織りインクリボン
た平面図。 【図2】(a)は本発明の実施例1を示すウイックの片
端の平面図。(b)は張力のあるインクリボンと接して
いるウイックの片端の平面図。 【図3】(a)は本発明の実施例2を示すウイックの片
端の平面図。(b)は張力のあるインクリボンと接して
いるウイックの片端の平面図。 【図4】(a)は本発明の実施例1を示すウイック押さ
えバネの平面図。(b)は本発明の実施例1を示すウイ
ック押さえバネの側面図。 【図5】本発明のウイック内の繊維の平面拡大図。 【図6】本発明のウイックの実施例の断面図。 【図7】従来例のインクカートリッジの上ケースを開い
た平面図。 【図8】(a)は本発明の実施例で示した2層インクリ
ボンの断面図。(b)は本発明の実施例で示した2層イ
ンクリボンの斜視図。 【符号の説明】 1 インクリボン 2 支持部材 3 密度の粗いウイック中心部 4 密度の高い合成樹脂で被覆したウイック外周部 5 転写歯車 6 駆動歯車 7 インクリボンカセットの下ケース 8 規制バネ 9 ウイック 10 吸蔵体 11 従属歯車 12 ウイック押さえバネ 13 ウイックの繊維 14 合成樹脂(バインダー) 15 インクの流れ方向 16 1層の平織りインクリボン
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】インクリボンとインクを保持し前記インク
リボンにインクを供給するウイックとで構成するインク
リボンカートリッジにおいて、 繊維を束ねてインクを含浸したウイックの片端をインク
リボンに接触させたことを特徴とするインクリボンカー
トリッジ。 【請求項2】合成樹脂をバインダーにして繊維を束ねた
ウイックを使用したことを特徴とする請求項1記載のイ
ンクリボンカートリッジ。 【請求項4】束ねられた繊維の中心部が外周部より密度
が低いウイック使用したことを特徴とする請求項1記載
のインクリボンカートリッジ。 【請求項5】フイルムで繊維を円筒状や角柱状等に束
ね、端部からインクを供給するための開口部を付けたウ
イックを使用したことを特徴とする請求項1記載のイン
クリボンカートリッジ。 【請求項6】ウイックをバネやインクカートリッジの壁
を変形したバネやインクリボンの走行で得た回転力を伝
達する歯車で、ウイックをインクリボンに押し当てる機
構を使用したことを特徴とする請求項1記載のインクリ
ボンカートリッジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10219431A JP2000043386A (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | インクリボンカートリッジ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10219431A JP2000043386A (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | インクリボンカートリッジ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000043386A true JP2000043386A (ja) | 2000-02-15 |
Family
ID=16735301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10219431A Withdrawn JP2000043386A (ja) | 1998-08-03 | 1998-08-03 | インクリボンカートリッジ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000043386A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102092201A (zh) * | 2011-01-10 | 2011-06-15 | 珠海天威飞马打印耗材有限公司 | 色带盒 |
-
1998
- 1998-08-03 JP JP10219431A patent/JP2000043386A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102092201A (zh) * | 2011-01-10 | 2011-06-15 | 珠海天威飞马打印耗材有限公司 | 色带盒 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |