JP2000039432A - エマルション圧延油の潤滑性試験装置および潤滑性試験方法 - Google Patents
エマルション圧延油の潤滑性試験装置および潤滑性試験方法Info
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- JP2000039432A JP2000039432A JP10205259A JP20525998A JP2000039432A JP 2000039432 A JP2000039432 A JP 2000039432A JP 10205259 A JP10205259 A JP 10205259A JP 20525998 A JP20525998 A JP 20525998A JP 2000039432 A JP2000039432 A JP 2000039432A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 エマルション圧延油の高速圧延時の潤滑性が
シミュレ−トできる潤滑性試験装置を得る。 【解決手段】 回転軸1aおよび2aが平行な2本のロ
ーラー1および2間に無端状のストリップ3を掛け回し
てローラー1および2を駆動させ、ストリップ3に所定
の走行速度を与えるストリップ走行装置5と、前記無端
状ストリップ3の上方または下方に配置され、ストリッ
プ3の表面にエマルション圧延油6をスプレーするエマ
ルションスプレ−ノズル7と、エマルションスプレ−ノ
ズル7のストリップ3走行方向後方の所定距離L離れた
位置に配置され、ストリップ3上の未転相のエマルショ
ン6を吹き飛ばすエアブローノズル8とから構成される
エマルション圧延油の潤滑性試験装置。
シミュレ−トできる潤滑性試験装置を得る。 【解決手段】 回転軸1aおよび2aが平行な2本のロ
ーラー1および2間に無端状のストリップ3を掛け回し
てローラー1および2を駆動させ、ストリップ3に所定
の走行速度を与えるストリップ走行装置5と、前記無端
状ストリップ3の上方または下方に配置され、ストリッ
プ3の表面にエマルション圧延油6をスプレーするエマ
ルションスプレ−ノズル7と、エマルションスプレ−ノ
ズル7のストリップ3走行方向後方の所定距離L離れた
位置に配置され、ストリップ3上の未転相のエマルショ
ン6を吹き飛ばすエアブローノズル8とから構成される
エマルション圧延油の潤滑性試験装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧延に用いられ
るエマルション圧延油の潤滑性(プレートアウト性)を
実験室的に測定することのできる試験装置、およびその
装置を使用した潤滑性試験方法に関する。
るエマルション圧延油の潤滑性(プレートアウト性)を
実験室的に測定することのできる試験装置、およびその
装置を使用した潤滑性試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ストリップ(鋼帯)を冷間圧延するとき
には、油脂を水中に乳化分散させてエマルションとした
圧延油を、走行中のストリップあるいは圧延ロールの表
面に潤滑剤として供給しながら圧延する。
には、油脂を水中に乳化分散させてエマルションとした
圧延油を、走行中のストリップあるいは圧延ロールの表
面に潤滑剤として供給しながら圧延する。
【0003】このような冷間圧延におけるエマルション
圧延油(以下、単にエマルションと称する)の給油方式
としては、冷間タンデム圧延機の場合、循環給油(リサ
ーキュレーション)方式と直接給油(ダイレクト)方式
がある。
圧延油(以下、単にエマルションと称する)の給油方式
としては、冷間タンデム圧延機の場合、循環給油(リサ
ーキュレーション)方式と直接給油(ダイレクト)方式
がある。
【0004】そして、潤滑とロ−ルの冷却を同一のエマ
ルションで行なう循環給油方式の場合には、牛脂、鉱油
または合成エステルを2〜3%程度含む低濃度のエマル
ションが多量に用いられ、使用後のエマルションは再び
タンクに戻され、繰り返し使用される。
ルションで行なう循環給油方式の場合には、牛脂、鉱油
または合成エステルを2〜3%程度含む低濃度のエマル
ションが多量に用いられ、使用後のエマルションは再び
タンクに戻され、繰り返し使用される。
【0005】また、直接給油方式の場合には、潤滑には
10〜20%濃度のパーム油や牛脂のエマルションを直
接ストリップに吹き付け、ロ−ルの冷却は別のノズルか
ら冷却水を吹き付ける方法で行われ、使用されたエマル
ションは回収され、油と水に分離再生後再使用される
か、そのまま廃液として処理される。
10〜20%濃度のパーム油や牛脂のエマルションを直
接ストリップに吹き付け、ロ−ルの冷却は別のノズルか
ら冷却水を吹き付ける方法で行われ、使用されたエマル
ションは回収され、油と水に分離再生後再使用される
か、そのまま廃液として処理される。
【0006】このように圧延油として供給されるエマル
ションは、圧延ロールとストリップとの間の摩擦を軽減
し、圧延動力の低減に寄与するだけでなく、ヒートスク
ラッチと呼ばれる焼付き疵の防止や、ストリップの表面
を美麗に仕上げる上で重要な役割を担っている。
ションは、圧延ロールとストリップとの間の摩擦を軽減
し、圧延動力の低減に寄与するだけでなく、ヒートスク
ラッチと呼ばれる焼付き疵の防止や、ストリップの表面
を美麗に仕上げる上で重要な役割を担っている。
【0007】油脂が水中に乳化分散したエマルションの
潤滑機構としては、圧延ロールによる加工領域(ロール
バイト)の入口で、ストリップや圧延ロールに供給され
たエマルションが油と水に分離され、油分のみがロール
バイトに引き込まれて、潤滑効果を発揮するという説明
が広く受け入れられている。
潤滑機構としては、圧延ロールによる加工領域(ロール
バイト)の入口で、ストリップや圧延ロールに供給され
たエマルションが油と水に分離され、油分のみがロール
バイトに引き込まれて、潤滑効果を発揮するという説明
が広く受け入れられている。
【0008】このように、エマルションが油と水とに分
離され、油分が金属表面に付着する性質を、プレートア
ウト性(離水展着性)と呼び、エマルションの潤滑性能
を支配する主要因とされている。
離され、油分が金属表面に付着する性質を、プレートア
ウト性(離水展着性)と呼び、エマルションの潤滑性能
を支配する主要因とされている。
【0009】そして、エマルションのプレ−トアウト性
は、エマルションがスプレ−されてからロ−ルバイトに
達するまでに形成されたプレ−トアウト量によって評価
され、プレ−トアウト量が大きいほど、プレ−トアウト
性はよいと評価される。
は、エマルションがスプレ−されてからロ−ルバイトに
達するまでに形成されたプレ−トアウト量によって評価
され、プレ−トアウト量が大きいほど、プレ−トアウト
性はよいと評価される。
【0010】なお、プレ−トアウト量としては、通常ス
トリップ上に形成された油脂層の厚さ(油膜厚さ)、あ
るいは単位面積当たりの油脂層の重量(質量)が用いら
れる。
トリップ上に形成された油脂層の厚さ(油膜厚さ)、あ
るいは単位面積当たりの油脂層の重量(質量)が用いら
れる。
【0011】図5は、ロールバイト入口の潤滑状況を示
した模式図であるが、ロールバイト入口でストリップ3
1あるいは圧延ロール32に、ノズル33等によりスプ
レーされたエマルション34のうち、油分だけが水から
分離してストリップ31表面あるいは圧延ロール32表
面に油層(プレートアウト層)35として付着し、付着
分離した油層のみがロールバイトに引き込まれる。
した模式図であるが、ロールバイト入口でストリップ3
1あるいは圧延ロール32に、ノズル33等によりスプ
レーされたエマルション34のうち、油分だけが水から
分離してストリップ31表面あるいは圧延ロール32表
面に油層(プレートアウト層)35として付着し、付着
分離した油層のみがロールバイトに引き込まれる。
【0012】したがって、潤滑性に優れたエマルション
とは、プレートアウト性に優れたエマルション、言い換
えればロールバイト入口で油膜を安定して生成できるエ
マルションであるといえる。
とは、プレートアウト性に優れたエマルション、言い換
えればロールバイト入口で油膜を安定して生成できるエ
マルションであるといえる。
【0013】上述したエマルションのプレ−トアウト
性、すなわち潤滑性を調べる試験方法としては、第28回
塑性加工春季講演会論文集{(1980),p169}や特公昭63-
44198号公報に示されている方法をはじめとして、従来
から種々考案されている。
性、すなわち潤滑性を調べる試験方法としては、第28回
塑性加工春季講演会論文集{(1980),p169}や特公昭63-
44198号公報に示されている方法をはじめとして、従来
から種々考案されている。
【0014】図6は、第28回塑性加工春季講演会論文集
{(1980),p169}に記載された、従来のプレ−トアウト
性の試験方法を示す正面図であり、(a)はスプレ−法
を、(b)は高速走行体スプレー法を、(c)は高速回
転体スプレー法を示す。
{(1980),p169}に記載された、従来のプレ−トアウト
性の試験方法を示す正面図であり、(a)はスプレ−法
を、(b)は高速走行体スプレー法を、(c)は高速回
転体スプレー法を示す。
【0015】スプレー法は、静止したサンプル(試料
板)41をヒ−タ−42で加熱し、ノズル43から所定
時間エマルション44をスプレーし、サンプル41上の
プレートアウト量を測定するものである。
板)41をヒ−タ−42で加熱し、ノズル43から所定
時間エマルション44をスプレーし、サンプル41上の
プレートアウト量を測定するものである。
【0016】高速走行体スプレー法は、段付鋼板サンプ
ル51を用い、赤外線ランプ52で加熱後、1対の回転
ロール53の間に段付鋼板サンプル51の厚い部分51
aを噛み込ませて、段付鋼板サンプル51に速度を与え
ながら、ノズル54からエマルション55をスプレーし
て、回転ロール53に接触しない段付鋼板サンプル51
の薄くなった部分51bのプレートアウト量を測定す
る。
ル51を用い、赤外線ランプ52で加熱後、1対の回転
ロール53の間に段付鋼板サンプル51の厚い部分51
aを噛み込ませて、段付鋼板サンプル51に速度を与え
ながら、ノズル54からエマルション55をスプレーし
て、回転ロール53に接触しない段付鋼板サンプル51
の薄くなった部分51bのプレートアウト量を測定す
る。
【0017】高速回転体スプレー法は、赤外線ランプ6
1で加熱したサンプル62を、回転ロール63に貼り付
けて速度を与え、ノズル64からエマルション65をス
プレーして、サンプル62上のプレートアウト量を測定
する。
1で加熱したサンプル62を、回転ロール63に貼り付
けて速度を与え、ノズル64からエマルション65をス
プレーして、サンプル62上のプレートアウト量を測定
する。
【0018】また、図7は、特公昭63-44198号公報に開
示された従来のプレートアウト性の試験装置の正面図で
あり、図6(c)の高速回転体スプレー法に使用される
装置を改良したものである。この装置によりプレートア
ウト性の試験を行うときには、サンプル71を回転ドラ
ム72の外表面に貼り付け、回転ドラム72に内蔵した
ヒーター73によりサンプル71を加熱し、エマルショ
ンをスプレ−ノズル74から回転ドラム72の外表面を
めがけスプレーする。スプレーノズル74の先端近傍に
は、シャッター75が設けられており、回転ドラム72
上のサンプル71が、スプレーノズル74の前面にきた
ときに、エマルションを1回だけスプレーする機構とな
っている。
示された従来のプレートアウト性の試験装置の正面図で
あり、図6(c)の高速回転体スプレー法に使用される
装置を改良したものである。この装置によりプレートア
ウト性の試験を行うときには、サンプル71を回転ドラ
ム72の外表面に貼り付け、回転ドラム72に内蔵した
ヒーター73によりサンプル71を加熱し、エマルショ
ンをスプレ−ノズル74から回転ドラム72の外表面を
めがけスプレーする。スプレーノズル74の先端近傍に
は、シャッター75が設けられており、回転ドラム72
上のサンプル71が、スプレーノズル74の前面にきた
ときに、エマルションを1回だけスプレーする機構とな
っている。
【0019】上述した従来の試験方法においては、まず
サンプルへの単位面積または単位時間当たりのエマルシ
ョンの供給量を、実圧延並みに合わせることに努力が払
われてきた。すなわち、例えば、スプレーノズルから、
流量Q(L/min)のエマルションが、板幅W(m)のストリップ
にスプレー厚さL(m)で供給され、ストリップが走行速度
Vs(m/min)で圧延されているものとすると、この時のエ
マルションの流量密度ω(L/min・m2)は、次の(1)
式で与えられる。 ω=Q/(W・L)……(1)
サンプルへの単位面積または単位時間当たりのエマルシ
ョンの供給量を、実圧延並みに合わせることに努力が払
われてきた。すなわち、例えば、スプレーノズルから、
流量Q(L/min)のエマルションが、板幅W(m)のストリップ
にスプレー厚さL(m)で供給され、ストリップが走行速度
Vs(m/min)で圧延されているものとすると、この時のエ
マルションの流量密度ω(L/min・m2)は、次の(1)
式で与えられる。 ω=Q/(W・L)……(1)
【0020】また、スプレ−時間τ(min)は、次の
(2)式で与えられるので、 τ=L/Vs……(2) 走行するストリップ上への単位面積当たりの圧延油の供
給量Φ(L/m2)は、次の(3)式で与えられる。 Φ=ω・τ=Q/(W・Vs)……(3)
(2)式で与えられるので、 τ=L/Vs……(2) 走行するストリップ上への単位面積当たりの圧延油の供
給量Φ(L/m2)は、次の(3)式で与えられる。 Φ=ω・τ=Q/(W・Vs)……(3)
【0021】したがって、圧延速度が上昇するとストリ
ップやロールに供給される単位面積当たりの圧延油量が
減少するため、実圧延の単位面積当たりの圧延油供給量
Φを再現するためには、スプレー条件とサンプルの速度
Vsを適正に選択する必要がある。
ップやロールに供給される単位面積当たりの圧延油量が
減少するため、実圧延の単位面積当たりの圧延油供給量
Φを再現するためには、スプレー条件とサンプルの速度
Vsを適正に選択する必要がある。
【0022】また通常の冷間圧延では、圧延後にはスト
リップの温度は100℃以上になり、特に高速高圧下を行
なうタンデム圧延では、200℃近くになることも珍しく
ない。したがって、ストリップの温度条件を再現すべ
く、あらかじめサンプルを加熱するなどの工夫がなされ
てきたのである。
リップの温度は100℃以上になり、特に高速高圧下を行
なうタンデム圧延では、200℃近くになることも珍しく
ない。したがって、ストリップの温度条件を再現すべ
く、あらかじめサンプルを加熱するなどの工夫がなされ
てきたのである。
【0023】さらに、プレートアウト性の評価として
は、特公昭63-44198号公報に述べられているように、エ
マルションをスプレーされたサンプルは、十分に乾燥さ
れた後、サンプル上の残留付着油分量を精密天秤などで
秤量する方法が通常とられている。
は、特公昭63-44198号公報に述べられているように、エ
マルションをスプレーされたサンプルは、十分に乾燥さ
れた後、サンプル上の残留付着油分量を精密天秤などで
秤量する方法が通常とられている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の試験方法で得られたエマルションのプレートア
ウト性の評価結果は、実圧延が低速圧延の場合のエマル
ションの潤滑性とはほぼ一致するが、冷間タンデム圧延
などで通常とられる1000m/min以上の高速圧延の場
合のエマルションの潤滑性とは、全く一致しない場合が
多いという問題点がある。
た従来の試験方法で得られたエマルションのプレートア
ウト性の評価結果は、実圧延が低速圧延の場合のエマル
ションの潤滑性とはほぼ一致するが、冷間タンデム圧延
などで通常とられる1000m/min以上の高速圧延の場
合のエマルションの潤滑性とは、全く一致しない場合が
多いという問題点がある。
【0025】この発明は、従来技術の上述のような問題
点を解消するためになされたものであり、高速圧延の場
合にも、潤滑性を正確に評価することのできるエマルシ
ョン圧延油の潤滑性試験装置、およびこの潤滑性試験装
置を使用した潤滑性試験方法を提供することを目的とし
ている。
点を解消するためになされたものであり、高速圧延の場
合にも、潤滑性を正確に評価することのできるエマルシ
ョン圧延油の潤滑性試験装置、およびこの潤滑性試験装
置を使用した潤滑性試験方法を提供することを目的とし
ている。
【0026】
【課題を解決するための手段】この発明に係るエマルシ
ョン圧延油の潤滑性試験装置は、回転軸が平行な2本の
ローラー間に無端状のストリップを掛け回してローラー
を駆動させ、ストリップに所定の走行速度を与えるスト
リップ走行装置と、前記無端状ストリップの上方または
下方に配置され、ストリップの表面にエマルション圧延
油をスプレーするエマルションスプレ−ノズルと、該エ
マルションスプレ−ノズルのストリップ走行方向後方の
所定距離離れた位置に配置され、ストリップ上の未転相
のエマルションを吹き飛ばすエアブローノズルとから構
成されるものである。
ョン圧延油の潤滑性試験装置は、回転軸が平行な2本の
ローラー間に無端状のストリップを掛け回してローラー
を駆動させ、ストリップに所定の走行速度を与えるスト
リップ走行装置と、前記無端状ストリップの上方または
下方に配置され、ストリップの表面にエマルション圧延
油をスプレーするエマルションスプレ−ノズルと、該エ
マルションスプレ−ノズルのストリップ走行方向後方の
所定距離離れた位置に配置され、ストリップ上の未転相
のエマルションを吹き飛ばすエアブローノズルとから構
成されるものである。
【0027】また、この圧延に係るエマルション圧延油
の潤滑性試験方法は、前記エマルション圧延油の潤滑性
試験装置を使用して、エマルション圧延油の潤滑性を試
験する方法であって、前記無端状のストリップの一部ま
たは該ストリップ表面に張りつけた鋼板サンプルを所定
温度に加熱した後、前記ストリップ走行装置によりスト
リップを所定走行速度で走行させながら、前記ストリッ
プまたは鋼板サンプルの加熱した部分に、ストリップの
上方または下方からエマルション圧延油をスプレ−し、
スプレ−してから所定時間後にストリップまたは鋼板サ
ンプル上の未転相のエマルションをエア−ブロ−した
後、ストリップまたは鋼板サンプル上に残留する油脂分
の厚さまたは重量を測定し、油脂分の厚さまたは重量か
らエマルション圧延油の潤滑性を評価するものである。
の潤滑性試験方法は、前記エマルション圧延油の潤滑性
試験装置を使用して、エマルション圧延油の潤滑性を試
験する方法であって、前記無端状のストリップの一部ま
たは該ストリップ表面に張りつけた鋼板サンプルを所定
温度に加熱した後、前記ストリップ走行装置によりスト
リップを所定走行速度で走行させながら、前記ストリッ
プまたは鋼板サンプルの加熱した部分に、ストリップの
上方または下方からエマルション圧延油をスプレ−し、
スプレ−してから所定時間後にストリップまたは鋼板サ
ンプル上の未転相のエマルションをエア−ブロ−した
後、ストリップまたは鋼板サンプル上に残留する油脂分
の厚さまたは重量を測定し、油脂分の厚さまたは重量か
らエマルション圧延油の潤滑性を評価するものである。
【0028】このエマルション圧延油の潤滑性試験装置
を使用して、エマルション圧延油の潤滑性の試験を行う
場合には、ストリップを所定温度に加熱した後、前記ス
トリップ走行装置により、ストリップに実際の圧延の場
合と同じ走行速度を付与する。
を使用して、エマルション圧延油の潤滑性の試験を行う
場合には、ストリップを所定温度に加熱した後、前記ス
トリップ走行装置により、ストリップに実際の圧延の場
合と同じ走行速度を付与する。
【0029】そして、所定の走行速度で走行中のストリ
ップの上方または下方から、エマルションスプレ−ノズ
ルにより、ストリップ表面の一部に向けて、エマルショ
ン圧延油をスプレ−する。
ップの上方または下方から、エマルションスプレ−ノズ
ルにより、ストリップ表面の一部に向けて、エマルショ
ン圧延油をスプレ−する。
【0030】スプレ−されたストリップ上のエマルショ
ン圧延油は、水中に油滴が分散しているタイプのエマル
ションから、油中に水分が分散しているタイプのエマル
ションあるいは油単相へと転相していき、次第にプレ−
トアウト層が形成される。
ン圧延油は、水中に油滴が分散しているタイプのエマル
ションから、油中に水分が分散しているタイプのエマル
ションあるいは油単相へと転相していき、次第にプレ−
トアウト層が形成される。
【0031】そして、ストリップのエマルション圧延油
をスプレ−された個所が、スプレ−されてからロ−ルバ
イトに達するまでの距離と同等の距離走行した時点で、
ストリップ上の未転相のエマルションがエアブロ−され
る。
をスプレ−された個所が、スプレ−されてからロ−ルバ
イトに達するまでの距離と同等の距離走行した時点で、
ストリップ上の未転相のエマルションがエアブロ−され
る。
【0032】このようにすると、ストリップの表面に
は、実圧延においてエマルション圧延油がスプレ−され
てからロ−ルバイトに達するまでに形成されたプレ−ト
アウト層(油脂分の層)のみが残留する。
は、実圧延においてエマルション圧延油がスプレ−され
てからロ−ルバイトに達するまでに形成されたプレ−ト
アウト層(油脂分の層)のみが残留する。
【0033】したがって、この油脂分の厚さまたは重量
を測定することにより、実圧延におけるエマルション圧
延油のプレ−トアウト性、すなわち潤滑性を正確に評価
することができる。
を測定することにより、実圧延におけるエマルション圧
延油のプレ−トアウト性、すなわち潤滑性を正確に評価
することができる。
【0034】また、ストリップ上方からも下方側から
も、エマルション圧延油をスプレ−することができるの
で、ストリップ上下での、エマルション圧延油のプレ−
トアウト性の差異を正確に把握することができる。
も、エマルション圧延油をスプレ−することができるの
で、ストリップ上下での、エマルション圧延油のプレ−
トアウト性の差異を正確に把握することができる。
【0035】なお、厚さ1mm程度以下の鋼板が、エマ
ルション圧延油のプレ−トアウト性を把握するための対
象である場合には、適当な幅、長さに切り取った鋼板サ
ンプルをストリップに接着して、試験を行ってもよい。
ルション圧延油のプレ−トアウト性を把握するための対
象である場合には、適当な幅、長さに切り取った鋼板サ
ンプルをストリップに接着して、試験を行ってもよい。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態のエマルショ
ン圧延油の潤滑性試験装置を、図面を参照して説明す
る。図1は本発明の実施の形態のエマルション圧延油の
潤滑性試験装置の構成を示す正面図であり、図1(a)
はストリップ上面側の潤滑性試験装置、図1(b)はス
トリップ下面側の潤滑性試験装置である。このエマルシ
ョン圧延油の潤滑性試験装置は、回転軸1aおよび2a
が平行な2本のローラー1および2間に、無端状のスト
リップ3を掛け回し、ローラー1を電動機4により駆動
させ、ストリップ3を走行させて、ストリップ3に所定
の走行速度を与えるストリップ走行装置5と、無端状ス
トリップ3の上方または下方に配置され、ストリップ3
の表面にエマルション6をスプレーするエマルションス
プレ−ノズル7と、エマルションスプレ−ノズル7のス
トリップ3走行方向後方の所定距離L離れた位置に配置
され、ストリップ3上の未転相のエマルション6を吹き
飛ばすエアブローノズル8と、前記ストリップ3に若干
の張力を付与するための押えロ−ラ−9と、ストリップ
3を加熱するための加熱装置10およびエマルション6
をエマルションスプレ−ノズル7に供給するエマルショ
ン供給装置11とから構成されている。
ン圧延油の潤滑性試験装置を、図面を参照して説明す
る。図1は本発明の実施の形態のエマルション圧延油の
潤滑性試験装置の構成を示す正面図であり、図1(a)
はストリップ上面側の潤滑性試験装置、図1(b)はス
トリップ下面側の潤滑性試験装置である。このエマルシ
ョン圧延油の潤滑性試験装置は、回転軸1aおよび2a
が平行な2本のローラー1および2間に、無端状のスト
リップ3を掛け回し、ローラー1を電動機4により駆動
させ、ストリップ3を走行させて、ストリップ3に所定
の走行速度を与えるストリップ走行装置5と、無端状ス
トリップ3の上方または下方に配置され、ストリップ3
の表面にエマルション6をスプレーするエマルションス
プレ−ノズル7と、エマルションスプレ−ノズル7のス
トリップ3走行方向後方の所定距離L離れた位置に配置
され、ストリップ3上の未転相のエマルション6を吹き
飛ばすエアブローノズル8と、前記ストリップ3に若干
の張力を付与するための押えロ−ラ−9と、ストリップ
3を加熱するための加熱装置10およびエマルション6
をエマルションスプレ−ノズル7に供給するエマルショ
ン供給装置11とから構成されている。
【0037】次に、上述した本発明の実施の形態のエマ
ルション圧延油の潤滑性試験装置を使用して、エマルシ
ョン圧延油の潤滑性を試験する方法を説明する。この装
置により、エマルション6のプレートアウト性を試験す
るときには、接触式あるいは放射式の温度計12によ
り、ストリップ3の温度をモニターし、加熱条件を調節
しながら、赤外線ヒーターや電気ヒーターなどからなる
加熱装置10で、ストリップ3を実際に圧延されるとき
の温度に、あらかじめ加熱する。
ルション圧延油の潤滑性試験装置を使用して、エマルシ
ョン圧延油の潤滑性を試験する方法を説明する。この装
置により、エマルション6のプレートアウト性を試験す
るときには、接触式あるいは放射式の温度計12によ
り、ストリップ3の温度をモニターし、加熱条件を調節
しながら、赤外線ヒーターや電気ヒーターなどからなる
加熱装置10で、ストリップ3を実際に圧延されるとき
の温度に、あらかじめ加熱する。
【0038】そして、所定温度に加熱されたストリップ
3を実圧延と同じ所定の速度vで走行させ、ストリップ
3の表面にエマルションスプレ−ノズル7から、エマル
ション6をスプレ−する。
3を実圧延と同じ所定の速度vで走行させ、ストリップ
3の表面にエマルションスプレ−ノズル7から、エマル
ション6をスプレ−する。
【0039】そして、ストリップ3のエマルション6が
スプレ−された部分が、エアブローノズル8の位置まで
走行してきたときに、エアブローノズル8から圧縮空気
13が噴射され、ストリップ3表面のプレ−トアウトし
ていない未転相のエマルション6が吹き飛ばされる。
スプレ−された部分が、エアブローノズル8の位置まで
走行してきたときに、エアブローノズル8から圧縮空気
13が噴射され、ストリップ3表面のプレ−トアウトし
ていない未転相のエマルション6が吹き飛ばされる。
【0040】エマルションスプレ−ノズル7とエアブロ
ーノズル8の間の距離Lは、実圧延におけるエマルショ
ンスプレ−点からロ−ルバイトまでの距離と同じに設定
してあるので、その間に転相したプレートアウト層のみ
が、ストリップ3上に残ることになる。
ーノズル8の間の距離Lは、実圧延におけるエマルショ
ンスプレ−点からロ−ルバイトまでの距離と同じに設定
してあるので、その間に転相したプレートアウト層のみ
が、ストリップ3上に残ることになる。
【0041】エマルション6は、エマルション供給装置
11のエマルションタンク14で所定の濃度、粒径、温
度に調整される。
11のエマルションタンク14で所定の濃度、粒径、温
度に調整される。
【0042】また、エマルションスプレ−ノズル7から
のエマルション6のスプレー量は、ストリップ3への単
位面積当たりの供給量が、実機条件を再現できるよう
に、前記した(3)式により決定される。
のエマルション6のスプレー量は、ストリップ3への単
位面積当たりの供給量が、実機条件を再現できるよう
に、前記した(3)式により決定される。
【0043】スプレーされたエマルション6の周囲への
飛散を防ぐために、エマルションスプレーノズル7は、
塗布室15内に設けられている。これにより霧状の余剰
なエマルション6のストリップ3表面への付着が防止で
きる。
飛散を防ぐために、エマルションスプレーノズル7は、
塗布室15内に設けられている。これにより霧状の余剰
なエマルション6のストリップ3表面への付着が防止で
きる。
【0044】エアーブローノズル8から噴射される圧縮
空気13の圧力および流量は、ストリップ3上の油分は
除去されず、エマルション6中の水分が100%除去で
きるように選定される。
空気13の圧力および流量は、ストリップ3上の油分は
除去されず、エマルション6中の水分が100%除去で
きるように選定される。
【0045】ストリップ3上のエマルション6がスプレ
ーされた場所が、再びエマルションスプレ−ノズル7の
位置まで回転してきたときに、エマルション6が同じ場
所に再度スプレーされるのを防ぐために、エマルション
スプレ−ノズル7にエマルション6を供給するための電
磁弁(図示せず)が、エマルション6をスプレーしてか
ら所定時間後に、自動的に閉じられるようになってい
る。
ーされた場所が、再びエマルションスプレ−ノズル7の
位置まで回転してきたときに、エマルション6が同じ場
所に再度スプレーされるのを防ぐために、エマルション
スプレ−ノズル7にエマルション6を供給するための電
磁弁(図示せず)が、エマルション6をスプレーしてか
ら所定時間後に、自動的に閉じられるようになってい
る。
【0046】プレートアウト性の評価は、エアーブロー
ノズル8の後方に赤外線吸収式の膜厚計16などを設
け、油膜の厚さを計測することにより行われる。
ノズル8の後方に赤外線吸収式の膜厚計16などを設
け、油膜の厚さを計測することにより行われる。
【0047】なお、厚さ1mm程度以下の鋼板がサンプ
ルである場合には、適当な長さと幅に切ったサンプルを
鋼またはアルミのストリップ3に接着し、試験後にサン
プルをストリップ3から剥がして重量を測定し、脱脂前
後のサンプル重量からプレートアウト性の評価を行って
も良い。
ルである場合には、適当な長さと幅に切ったサンプルを
鋼またはアルミのストリップ3に接着し、試験後にサン
プルをストリップ3から剥がして重量を測定し、脱脂前
後のサンプル重量からプレートアウト性の評価を行って
も良い。
【0048】本発明のエマルション圧延油の潤滑性試験
装置を、何故に上述のように構成し、何故に上述のよう
な方法で潤滑性の試験を行うのか説明する。
装置を、何故に上述のように構成し、何故に上述のよう
な方法で潤滑性の試験を行うのか説明する。
【0049】発明者等は、実際の高速圧延の結果と従来
の試験結果との食い違いに関して、詳細な検討を行なっ
た結果、従来の試験方法には、プレートアウト性を支配
する重要な因子が、見落とされていることを発見した。
の試験結果との食い違いに関して、詳細な検討を行なっ
た結果、従来の試験方法には、プレートアウト性を支配
する重要な因子が、見落とされていることを発見した。
【0050】すなわち、エマルションが供給される場合
に、ロールバイト直近でスプレーされる場合は言うまで
もなく、ロ−ルバイトから若干離れた位置で、エマルシ
ョンをストリップ上にスプレーする場合にも、高速圧延
になると、エマルションがスプレーされてロールバイト
に達するまでの時間が、非常に短くなる。すなわち、図
5の模式図に示したエマルションがスプレーされたS点
から、ロールバイトR点に達するまでの時間が短くな
る。例えばストリップの走行速度が1000m/minの場
合、仮にS−R間が2mとしても0.1sec、2000m/mi
nの場合にはS−R間が1〜4mとすれば0.04〜0.1secと
なる。すなわち時間にして1/10〜1/100secのオーダーと
なる。
に、ロールバイト直近でスプレーされる場合は言うまで
もなく、ロ−ルバイトから若干離れた位置で、エマルシ
ョンをストリップ上にスプレーする場合にも、高速圧延
になると、エマルションがスプレーされてロールバイト
に達するまでの時間が、非常に短くなる。すなわち、図
5の模式図に示したエマルションがスプレーされたS点
から、ロールバイトR点に達するまでの時間が短くな
る。例えばストリップの走行速度が1000m/minの場
合、仮にS−R間が2mとしても0.1sec、2000m/mi
nの場合にはS−R間が1〜4mとすれば0.04〜0.1secと
なる。すなわち時間にして1/10〜1/100secのオーダーと
なる。
【0051】エマルションが潤滑剤としての効果を発揮
するためには、S−R間で油分が水から分離し、油膜
(プレートアウト層)を生成する必要がある。図2の模
式図にこの過程を詳細に示すが、水に油滴が分散したい
わゆるO/W型のエマルション21が、ストリップ22
の表面にスプレ−ノズル23から噴射された際、エマル
ション21中の油滴24がストリップ22の表面にまず
衝突することにより圧力を受け、次にストリップ22と
の相対速度でせん断を受け、さらに温度上昇をともなっ
たストリップ22と物理的に吸着したり、場合によって
は水分の蒸発を生じて、O/W型のエマルション21が
W/O型(油中に水滴が分散)のエマルションあるいは
油単相に転相する。これによりプレートアウト層25を
生じるのであると考えられる。
するためには、S−R間で油分が水から分離し、油膜
(プレートアウト層)を生成する必要がある。図2の模
式図にこの過程を詳細に示すが、水に油滴が分散したい
わゆるO/W型のエマルション21が、ストリップ22
の表面にスプレ−ノズル23から噴射された際、エマル
ション21中の油滴24がストリップ22の表面にまず
衝突することにより圧力を受け、次にストリップ22と
の相対速度でせん断を受け、さらに温度上昇をともなっ
たストリップ22と物理的に吸着したり、場合によって
は水分の蒸発を生じて、O/W型のエマルション21が
W/O型(油中に水滴が分散)のエマルションあるいは
油単相に転相する。これによりプレートアウト層25を
生じるのであると考えられる。
【0052】この過程はスプレーされると瞬時に起こる
のではなく、上述した力学条件、温度条件の下での転相
といった遷移過程(反応)に起因するため、時間依存過
程であると考えられる。それに所要する時間は短時間か
もしれないが、いずれにしてもある時間を必要とするこ
とは言うまでもない。
のではなく、上述した力学条件、温度条件の下での転相
といった遷移過程(反応)に起因するため、時間依存過
程であると考えられる。それに所要する時間は短時間か
もしれないが、いずれにしてもある時間を必要とするこ
とは言うまでもない。
【0053】発明者らは、このように、プレートアウト
性には、転相のための時間が、大きな影響を与えるとい
う結論に到達した。
性には、転相のための時間が、大きな影響を与えるとい
う結論に到達した。
【0054】一方、従来の試験方法においては、サンプ
ルにエマルションがスプレーされた後、測定を行なうま
での間に必要以上の時間が経過したり、人為的に乾燥さ
せてプレートアウト量が測定されている。すなわち、従
来の試験方法では、上述したような、エマルションをス
プレーしてから、プレートアウト層を形成するまでの転
相時間を、再現することができないため、従来の試験方
法による評価結果と実圧延で得られる潤滑性とは対応し
ない。
ルにエマルションがスプレーされた後、測定を行なうま
での間に必要以上の時間が経過したり、人為的に乾燥さ
せてプレートアウト量が測定されている。すなわち、従
来の試験方法では、上述したような、エマルションをス
プレーしてから、プレートアウト層を形成するまでの転
相時間を、再現することができないため、従来の試験方
法による評価結果と実圧延で得られる潤滑性とは対応し
ない。
【0055】本来、図5に示すS−R間の短時間で転相
した油膜(プレートアウト層)のみが潤滑に寄与するの
で、それのみを評価するべきなのに、従来の試験方法で
は、R点で水中にまだ分散している未転相の油滴にも、
十分な転相時間を与えて、油膜として評価することにな
る。言い換えれば、エマルションがS−R間を移動する
間の、短時間のプレートアウト挙動を再現することがで
きず、必要以上に長い時間をかけたプレートアウト挙動
を、シミュレ−トしてしまうことになる。
した油膜(プレートアウト層)のみが潤滑に寄与するの
で、それのみを評価するべきなのに、従来の試験方法で
は、R点で水中にまだ分散している未転相の油滴にも、
十分な転相時間を与えて、油膜として評価することにな
る。言い換えれば、エマルションがS−R間を移動する
間の、短時間のプレートアウト挙動を再現することがで
きず、必要以上に長い時間をかけたプレートアウト挙動
を、シミュレ−トしてしまうことになる。
【0056】したがって、正確にプレートアウト挙動を
再現するためには、エマルションがロールバイトに達し
た時点で、未転相のO/W型エマルションを除去し、転
相したプレートアウト層のみを、サンプル上に残す必要
がある。
再現するためには、エマルションがロールバイトに達し
た時点で、未転相のO/W型エマルションを除去し、転
相したプレートアウト層のみを、サンプル上に残す必要
がある。
【0057】また、従来よりストリップ上面側と下面側
の潤滑性に差が生じることが、しばしば指摘されてい
る。すなわち、ストリップの上面側と下面側のエマルシ
ョン供給条件を全く同一にそろえても、場合によっては
ストリップの上面側と下面側に形成される油膜厚に差が
生じ、圧延後のストリップ上の残脂量の差として検出さ
れたり、それが製品として上下面の表面光沢度や、表面
粗さの差になって表れるという問題があった。特に高速
圧延時の上下面のプレートアウト性の差や、その原因に
関しては、不明な点が多く、上記の転相時間が短い条件
下で、ストリップ上面側と下面側のプレートアウト挙動
を、再現する試験方法の確立が、待望されていた。
の潤滑性に差が生じることが、しばしば指摘されてい
る。すなわち、ストリップの上面側と下面側のエマルシ
ョン供給条件を全く同一にそろえても、場合によっては
ストリップの上面側と下面側に形成される油膜厚に差が
生じ、圧延後のストリップ上の残脂量の差として検出さ
れたり、それが製品として上下面の表面光沢度や、表面
粗さの差になって表れるという問題があった。特に高速
圧延時の上下面のプレートアウト性の差や、その原因に
関しては、不明な点が多く、上記の転相時間が短い条件
下で、ストリップ上面側と下面側のプレートアウト挙動
を、再現する試験方法の確立が、待望されていた。
【0058】そこで発明者らは、従来の試験方法でのエ
マルションのスプレー条件や温度条件などの再現性に加
えて、プレートアウトの転相時間をも再現でき、さらに
これらの条件を、ストリップ上面側と下面側のいずれに
ついても、実現できる簡便な試験方法を考案したのであ
る。
マルションのスプレー条件や温度条件などの再現性に加
えて、プレートアウトの転相時間をも再現でき、さらに
これらの条件を、ストリップ上面側と下面側のいずれに
ついても、実現できる簡便な試験方法を考案したのであ
る。
【0059】
【実施例】実施例1 実圧延でのストリップ上面側(以下単に上面側という)
のプレートアウト性を評価するために、図1(a)に示
す装置を、また実圧延でのストリップ下面側(以下単に
下面側という)のプレートアウト性を評価するために、
図1(b)に示す装置を用いて実験を行った。ローラー
1および2の外径はともに500φmm、ストリップ3
には厚さ0.2mm、幅200mmの冷延鋼板を用い
た。加熱装置10には赤外線ランプを用い、ストリップ
3を100℃になるまで加熱した。
のプレートアウト性を評価するために、図1(a)に示
す装置を、また実圧延でのストリップ下面側(以下単に
下面側という)のプレートアウト性を評価するために、
図1(b)に示す装置を用いて実験を行った。ローラー
1および2の外径はともに500φmm、ストリップ3
には厚さ0.2mm、幅200mmの冷延鋼板を用い
た。加熱装置10には赤外線ランプを用い、ストリップ
3を100℃になるまで加熱した。
【0060】実験条件は上下面とも表1に示す条件と
し、対象とするエマルション6は、表2に示すaおよび
bの2種類とした。エマルションaおよびbとも基油は同
一の合成エステルとし、異なる界面活性剤を用いてエマ
ルション6を作成した。そして、平均粒径、濃度、温度
とも同一にそろえた。
し、対象とするエマルション6は、表2に示すaおよび
bの2種類とした。エマルションaおよびbとも基油は同
一の合成エステルとし、異なる界面活性剤を用いてエマ
ルション6を作成した。そして、平均粒径、濃度、温度
とも同一にそろえた。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】図3のグラフに実験結果に基づく転相時間
(sec)と油膜厚さ(μm)との関係を示す。図中の
従来法では、プレートアウトするまでの転相時間を∞と
表示しているが、これはエマルションのスプレーのみを
行ない、エアーブローをしない実験の場合で、測定まで
に充分に長い時間が経過していることを意味している。
本発明による表1の実験条件では、プレートアウトする
までの転相時間を、0.01〜0.15秒の間で変化さ
せることができる。従来法によるプレートアウト量に比
べて、転相時間が短くなると、プレートアウト量は減少
することが分かる。
(sec)と油膜厚さ(μm)との関係を示す。図中の
従来法では、プレートアウトするまでの転相時間を∞と
表示しているが、これはエマルションのスプレーのみを
行ない、エアーブローをしない実験の場合で、測定まで
に充分に長い時間が経過していることを意味している。
本発明による表1の実験条件では、プレートアウトする
までの転相時間を、0.01〜0.15秒の間で変化さ
せることができる。従来法によるプレートアウト量に比
べて、転相時間が短くなると、プレートアウト量は減少
することが分かる。
【0064】また、従来法では、エマルションaの方が
エマルションbよりもプレートアウト量が多いが、本発
明法では、転相時間が実機条件相当の1/10〜1/100秒と
短くなるにつれてこの傾向が逆転し、エマルションbの
方がエマルションaよりもプレートアウト量が多くな
る。
エマルションbよりもプレートアウト量が多いが、本発
明法では、転相時間が実機条件相当の1/10〜1/100秒と
短くなるにつれてこの傾向が逆転し、エマルションbの
方がエマルションaよりもプレートアウト量が多くな
る。
【0065】この理由は、水の中に油滴が分散したO/W
エマルションは、ストリップ表面上で転相する時間が、
界面活性剤の種類によって差があるためと考えられ、従
来法の充分に時間を与えた場合と、本発明法の短時間で
シミュレートした場合とで、大きな差が出たのである。
エマルションは、ストリップ表面上で転相する時間が、
界面活性剤の種類によって差があるためと考えられ、従
来法の充分に時間を与えた場合と、本発明法の短時間で
シミュレートした場合とで、大きな差が出たのである。
【0066】また下面側に比べて、上面側の方のプレー
トアウト量が多くなっている。これは同じエマルション
のスプレー条件でも、下面側は、スプレーしたエマルシ
ョンのうち、プレートアウトしないものはただちに落下
するのに対し、上面側ではスプレーしたエマルションが
ストリップ上に滞留し、実質的にエマルションの供給量
が多くなるためと単純には理解できる。
トアウト量が多くなっている。これは同じエマルション
のスプレー条件でも、下面側は、スプレーしたエマルシ
ョンのうち、プレートアウトしないものはただちに落下
するのに対し、上面側ではスプレーしたエマルションが
ストリップ上に滞留し、実質的にエマルションの供給量
が多くなるためと単純には理解できる。
【0067】しかし、興味深いのは、従来法のように十
分に長い転相時間をとった場合には、エマルションaで
は上面側と下面側のプレートアウト量の差が非常に大き
く、エマルションbではその差が小さいことである。一
方、本発明法のように転相時間が短い場合においては、
上面側と下面側のプレートアウト量の差は小さくなり、
1/100secオーダーの転相時間ではその差はほとんどなく
なる。特に、エマルションaでこの傾向は顕著である。
これは、転相時間が非常に長い場合には、エマルション
の実質供給量が、プレートアウト性に影響を与えるのに
対して、転相時間が短い場合には、エマルションの短時
間での油膜への転相過程が、プレートアウト性を支配す
ることを意味している。
分に長い転相時間をとった場合には、エマルションaで
は上面側と下面側のプレートアウト量の差が非常に大き
く、エマルションbではその差が小さいことである。一
方、本発明法のように転相時間が短い場合においては、
上面側と下面側のプレートアウト量の差は小さくなり、
1/100secオーダーの転相時間ではその差はほとんどなく
なる。特に、エマルションaでこの傾向は顕著である。
これは、転相時間が非常に長い場合には、エマルション
の実質供給量が、プレートアウト性に影響を与えるのに
対して、転相時間が短い場合には、エマルションの短時
間での油膜への転相過程が、プレートアウト性を支配す
ることを意味している。
【0068】したがって、従来法で圧延油のプレートア
ウト性すなわち潤滑性を評価すると、誤った評価結果を
与えることになるのである。
ウト性すなわち潤滑性を評価すると、誤った評価結果を
与えることになるのである。
【0069】以上の結果を実証するために、表2で示し
た2種類のエマルションを用いて実圧延を行なった。こ
の圧延においては、5スタンドタンデム圧延機を使用
し、循環給油方式によりエマルションを供給しながら、
圧延速度1800m/minで、仕上げ板厚0.2m
m、板幅900mmの鋼板の圧延を行った。
た2種類のエマルションを用いて実圧延を行なった。こ
の圧延においては、5スタンドタンデム圧延機を使用
し、循環給油方式によりエマルションを供給しながら、
圧延速度1800m/minで、仕上げ板厚0.2m
m、板幅900mmの鋼板の圧延を行った。
【0070】このときの圧延後のストリップに残留した
残脂量を、図4の棒グラフに示す。残脂量は、圧延後の
ストリップを1m×1mの大きさのサンプルに切断し、
サンプルの上面および下面を有機溶剤で脱脂し、脱脂前
後のサンプルの重量の変化からmg/m2として求め
た。
残脂量を、図4の棒グラフに示す。残脂量は、圧延後の
ストリップを1m×1mの大きさのサンプルに切断し、
サンプルの上面および下面を有機溶剤で脱脂し、脱脂前
後のサンプルの重量の変化からmg/m2として求め
た。
【0071】エマルションaよりエマルションbの方が、
圧延後のストリップの残脂量は多くなっている。また、
上面側と下面側の残脂量の差が、エマルションaではわ
ずかである。
圧延後のストリップの残脂量は多くなっている。また、
上面側と下面側の残脂量の差が、エマルションaではわ
ずかである。
【0072】この圧延における圧延機のスタンド間距離
は4mであり、圧延速度1800m/minのときに、
ストリップにエマルションがスプレーされてからロール
バイトに達するまでの時間は、最大でも0.13秒であ
る。このような短時間のプレートアウト性に関する、図
3の本発明装置を使用した場合の傾向と、図4の実圧延
の場合の傾向とは非常によく一致している。すなわち、
本発明装置を使用してプレートアウト性の実験を行うこ
とにより、実際の圧延機を使用した高速圧延におけるエ
マルションの潤滑性が、良好にシミュレートできること
が分かる。
は4mであり、圧延速度1800m/minのときに、
ストリップにエマルションがスプレーされてからロール
バイトに達するまでの時間は、最大でも0.13秒であ
る。このような短時間のプレートアウト性に関する、図
3の本発明装置を使用した場合の傾向と、図4の実圧延
の場合の傾向とは非常によく一致している。すなわち、
本発明装置を使用してプレートアウト性の実験を行うこ
とにより、実際の圧延機を使用した高速圧延におけるエ
マルションの潤滑性が、良好にシミュレートできること
が分かる。
【0073】
【発明の効果】本発明により、エマルションがスプレー
されてからロールバイトに入るまでの短時間でのプレー
トアウト性をシミュレートできるため、実際の圧延機で
高速圧延する時の潤滑性能が、正しく評価できる。
されてからロールバイトに入るまでの短時間でのプレー
トアウト性をシミュレートできるため、実際の圧延機で
高速圧延する時の潤滑性能が、正しく評価できる。
【0074】また、圧延時のストリップ上面、下面それ
ぞれのプレートアウト性が、的確に評価できる。
ぞれのプレートアウト性が、的確に評価できる。
【図1】本発明の実施の形態のエマルション圧延油の潤
滑性試験装置の構成を示す正面図であり、図1(a)は
ストリップ上面側の潤滑性試験装置、図1(b)はスト
リップ下面側の潤滑性試験装置装置である。
滑性試験装置の構成を示す正面図であり、図1(a)は
ストリップ上面側の潤滑性試験装置、図1(b)はスト
リップ下面側の潤滑性試験装置装置である。
【図2】エマルション圧延油からプレ−トアウト層が形
成される過程を示す模式図である。
成される過程を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態のエマルション圧延油の潤
滑性試験装置を使用して潤滑性の試験を行ったときの、
転相時間と油膜厚さとの関係を示すグラフである。
滑性試験装置を使用して潤滑性の試験を行ったときの、
転相時間と油膜厚さとの関係を示すグラフである。
【図4】実際の圧延を行った後の鋼板に残留した残脂量
を示す棒グラフである。
を示す棒グラフである。
【図5】ロールバイト入口の潤滑状況を模式的に示した
模式図である。
模式図である。
【図6】従来のプレ−トアウト性の試験方法を示す正面
図であり、(a)はスプレ−法を、(b)は高速走行体
スプレー法を、(c)は高速回転体スプレー法を示す。
図であり、(a)はスプレ−法を、(b)は高速走行体
スプレー法を、(c)は高速回転体スプレー法を示す。
【図7】従来のプレートアウト性の試験装置の正面図で
ある。
ある。
1 ロ−ラ− 1a 回転軸 2 ローラー 2a 回転軸 3 ストリップ 4 電動機 5 ストリップ走行装置 6 エマルション 7 エマルションスプレ−ノズル 8 エアブローノズル 9 押えロ−ラ− 10 加熱装置 11 エマルション供給装置 12 温度計 13 圧縮空気 14 エマルションタンク 15 塗布室 16 膜厚計
Claims (2)
- 【請求項1】 回転軸が平行な2本のローラー間に無端
状のストリップを掛け回してローラーを駆動させ、スト
リップに所定の走行速度を与えるストリップ走行装置
と、前記無端状ストリップの上方または下方に配置さ
れ、ストリップの表面にエマルション圧延油をスプレー
するエマルションスプレ−ノズルと、該エマルションス
プレ−ノズルのストリップ走行方向後方の所定距離離れ
た位置に配置され、ストリップ上の未転相のエマルショ
ンを吹き飛ばすエアブローノズルとから構成されること
を特徴とするエマルション圧延油の潤滑性試験装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載のエマルション圧延油の
潤滑性試験装置を使用して、エマルション圧延油の潤滑
性を試験する方法であって、前記無端状のストリップの
一部または該ストリップ表面に張りつけた鋼板サンプル
を所定温度に加熱した後、前記ストリップ走行装置によ
りストリップを所定走行速度で走行させながら、前記ス
トリップまたは鋼板サンプルの加熱した部分に、ストリ
ップの上方または下方からエマルション圧延油をスプレ
−し、スプレ−してから所定時間後にストリップまたは
鋼板サンプル上の未転相のエマルションをエアブロ−し
た後、ストリップまたは鋼板サンプル上に残留する油脂
分の厚さまたは重量を測定し、油脂分の厚さまたは重量
からエマルション圧延油の潤滑性を評価することを特徴
とするエマルション圧延油の潤滑性試験方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10205259A JP2000039432A (ja) | 1998-07-21 | 1998-07-21 | エマルション圧延油の潤滑性試験装置および潤滑性試験方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10205259A JP2000039432A (ja) | 1998-07-21 | 1998-07-21 | エマルション圧延油の潤滑性試験装置および潤滑性試験方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000039432A true JP2000039432A (ja) | 2000-02-08 |
Family
ID=16504032
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10205259A Pending JP2000039432A (ja) | 1998-07-21 | 1998-07-21 | エマルション圧延油の潤滑性試験装置および潤滑性試験方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000039432A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015121497A (ja) * | 2013-12-24 | 2015-07-02 | 株式会社神戸製鋼所 | 潤滑性評価装置及び潤滑性評価方法 |
AU2012283207B2 (en) * | 2011-07-08 | 2015-09-17 | Nestec S.A. | Pulsed electric field treatment process and dairy product comprising bioactive molecules obtainable by the process |
-
1998
- 1998-07-21 JP JP10205259A patent/JP2000039432A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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