JP2000037442A - 樹脂製アンプルおよびその製造方法 - Google Patents

樹脂製アンプルおよびその製造方法

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  • Containers Opened By Tearing Frangible Portions (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 搬送時等に意図せずに首部が折れることな
く、しかも片手で簡単に首部の折り取りが可能で、その
際に反動によって内容物が飛散する等の不具合も生じな
い樹脂性アンプルとその製造方法を提供する。 【解決手段】 内容物を収容するための胴部1に繋がる
肩部2とその上方の首部3との間に厚肉部4を設け、そ
の厚肉部4に形成する切り込み部5の形状・寸法を、切
り込み角度θが20〜40°、その先端の曲率半径Rが
0.1〜0.4mm、その切り込み部5の形成位置にお
ける樹脂の肉厚t3 が0.6〜0.75mmの範囲とす
ることで、切り込み部5のノッチ効果を確実なものとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂製のアンプルと
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薬液等を収容するアンプルは一般にガラ
ス製であり、胴部の上方に一体形成された首部を折り取
ることによって内容液を抽出するようになっている。首
部の折り取りに際しては、通常、首部のつけ根部に専用
の器具等によって外部から疵をつけて折損の切っ掛けを
与えた後、首部を側方に押すことにより、ガラスの脆性
を利用して折り取る。
【0003】また、近年、ガラスに代えて樹脂を材質と
したアンプルの製造が試みられている。このような樹脂
製のアンプルの製造には、一般にダイレクトブロー成形
法が採用されている。また、樹脂の材料としてはダイレ
クトブロー用のポリプロピレンが主として用いられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
にアンプルの材質をガラスに代えて樹脂とすれば、その
製造コストを大幅に低減し得ることは想像に難くない
が、従来のダイレクトブロー成形法により成形された樹
脂製アンプルは、首部を折り取るために胴部との間に切
り込みを形成しているのであるが、その材質が脆性に乏
しいこともあって、首部の折り取りが困難であり、両手
が必要であるばかりでなく、折り取り時に内容物が飛散
してしまう恐れもあった。
【0005】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、首部の折り取りが容易で、内容物を飛散させる
ことなく片手で十分に首部を折り取ることのできる樹脂
製アンプルと、そのような樹脂性アンプルを効率的に再
現性よく製造することのできる方法の提供を目的として
いる。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の樹脂製アンプルは、内容物を収容する胴部
と、胴部の上方に位置してその内部が胴部内に連通し、
かつ、当該胴部よりも外径寸法の小さい首部と、その首
部と胴部との間を繋ぐ厚肉の肩部を備えるとともに、首
部と肩部との境界部に位置する厚肉部の外周面に円周状
に形成された首部折り取り用の切り込み部を備えた樹脂
製アンプルにおいて、上記切り込み部の切り込み角度が
20〜40°でその先端の曲率半径が0.1〜0.4m
mであり、かつ、当該切り込み部形成位置における樹脂
の肉厚が0.6〜0.75mmの範囲であることによっ
て特徴づけられる。ここで、本明細書において切り込み
角度とは、図2(B)にθで示すように、切り込み部に
けおる樹脂の開口角度を言う。
【0007】また、本発明の樹脂製アンプルの製造方法
は、請求項1に係る発明の樹脂製アンプルを製造する方
法であって、上記首部、厚肉部、切り込み部、および肩
部の一部を射出成形法によって成形するとともに、その
射出成形時に上記胴部を形成すべき樹脂を肩部の下方に
一体成形し、その一体成形された樹脂をブロー成形法に
よって胴部形状に成形することによって特徴づけられ
る。
【0008】本発明は、ガラス製のアンプルと同等の操
作性のもとに樹脂製アンプルの首部の折り取りを可能と
すべく、鋭意研究した結果としてなされたものである。
樹脂製アンプルにおいては、ガラス製のアンプルのよう
にその材料の脆性の利用により部分的に疵を付けること
によって折り取ることはできず、首部のつけ根部にあら
かじめ円周状の切り込み部を入れる必要があり、その切
り込み部の形状・寸法の選択によって、首部の折り取り
が容易になることが本発明者による実験の結果として判
明した。
【0009】すなわち、切り欠き部は首部と肩部との境
界部分に設けた厚肉部に設け、その切り込み角度θを2
0〜40°、その先端の曲率半径Rを0.1〜0.4m
mの範囲とそれぞれし、その切り込み部の形成位置にお
ける樹脂の肉厚(片側)t3を0.6〜0.75mmの
範囲とすることによって、その切り込み部のノッチ効果
によってはじめて首部の折り取りを容易になし得ること
が判った。
【0010】切り込み角度θが20°よりも小さいと、
搬送時等において意図せずに首部が折れることがあり、
40°を越えると十分なノッチ効果(切り欠き効果)が
得られず首部の折り取りが困難となる。また、切り込み
部先端の曲率半径Rは、0.1mmよりも小さいと同じ
く搬送時等において意図せずに首部が折れることがあ
り、逆に0.4mmを越えると同様にしてノッチ効果が
得られにくく、首部の折り取りが困難となる。更に、切
り込み部形成位置における樹脂の肉厚が0.6mmより
も薄いと搬送時等において意図せずに首部が折れること
があり、0.75mmを越えると、上記の切り込み角度
範囲およびその先端の曲率半径の範囲に収まっていて
も、首部折り取りに要する力が大きくなり、折り取り時
における反動によって内容物が零れる等の不具合が生じ
る。
【0011】そして、以上のような切り込み部近傍の寸
法的条件を満たすのに有効な製造方法が本発明方法であ
って、いわゆるインジェクションブロー成形と称される
成形方法である。このインジェクションブロー成形法
は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製の
ボトルの製造等において公知であるが、このインジェク
ションブロー成形法がアンプルの製造に供されたことは
従来なく、樹脂製アンプルは専らダイレクトブロー成形
法によって製造されていたことは前記した通りである。
【0012】このインジェクションブロー成形法は、所
要部分をインジェクョン(射出)成形法によって成形す
るとともに、他の部分をブロー成形法によって成形する
方法であって、射出成形時に他の部分のブロー成形に要
する樹脂を空洞を設けた状態で成形する。アンプルの製
造に際しては、首部折り取り用の切り欠き部を含めてそ
の若干下方側(胴部側)まで、つまり首部、厚肉部、切
り欠き部、および肩部の一部の領域を射出成形法によっ
て成形し、その射出成形の際に胴部のブロー成形用の樹
脂を肩部の下方側に一体成形する。このような本発明の
製造方法の採用により、前記した本発明の樹脂製アンプ
ルの切り欠き部近傍の寸法的条件を満たすことが可能と
なる。
【0013】なお、本発明において用いる樹脂は特に限
定されるものではないが、医薬品並びに食品等の収容等
に多用されているポリプロピレンを用いることが好まし
く、また、その製造方法との関連においてインジェクシ
ョンブロー成形法用のポリプロピレン(例えば日本ポリ
プロピレン株式会社製 商品名ジェイアロマー、チッソ
株式会社製 商品名チッソポリプロXF1800等)を
用いることが更に好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について述べる。図1は本発明の実施の形態
の全体構成を示す正面図で、図2(A)はその切り込み
部5の近傍の部分拡大縦断面図であり、同図(B)は更
にそのB部拡大図である。
【0015】薬液等の内容物を収容するための有底円筒
状の胴部1は、その先端(上側)部が徐々に小径となる
肩部2に連なり、その肩部2の上方に首部3が設けられ
ているとともに、その肩部2と首部3との間には他部に
比して肉厚の厚い厚肉部4が形成されている。また、首
部3は胴部1の肉厚よりも厚く、肩部2は胴部1側から
次第に厚肉になって厚肉部4に連なっている。そして、
その厚肉部4に切り込み部5が形成されている。
【0016】厚肉部4の肉厚は、図2(A)に示すよう
に、肩部2の直上で、かつ、切り込み部5の直下部にお
ける肉厚t1 が約4.7mm、切り込み部5の直上部に
おける肉厚t2 が約3.2mm程度である。
【0017】そして、切り込み部5は、図2(B)に示
すように、この例においてその切り込み角度θが36°
で、先端の曲率半径Rは0.2mmであって、この切り
込み部5の形成位置における樹脂の肉厚t3 が0.6m
mである。
【0018】次に、以上の本発明の実施の形態の製造方
法について述べる。まず、射出成形法により、図3に示
すような半製品である成形品を成形する。このとき、図
中PLで示すラインより下方部分は後工程のブロー成形
工程により成形する領域を示し、それよりも上方部分
は、首部3の頂部に形成された内容物注入のための開口
部3aの閉塞のための成形を除いて当該射出成形法によ
り最終製品形状に成形する領域を示している。従って、
図1にもPLで示すように、最終製品における首部3、
厚肉部4、切り込み部5および肩部2の一部が射出成形
法によって成形される。
【0019】また、半製品におけるPLよりも下方のブ
ロー成形用樹脂部10には、首部3から連通する空洞1
0aが形成されている。そして、PLは射出成形工程に
おけるキャビティの上型と下型とのパーティングライン
を示しており、半製品の射出成形後に下型を外して上型
ごと加熱工程に移送されて、ブロー成形用樹脂部10の
みがブロー成形に必要な温度にまで加熱された後に、ブ
ロー成形工程に移送される。
【0020】ブロー成形工程においては、半製品をブロ
ーキャビティ内に挿入するとともに、その首部3の開口
部3aからブローコアの延伸ロッドをブロー成形用樹脂
部10の空洞10a内に挿入してブロー成形することに
よって、胴部1を成形する。
【0021】ブロー成形後、首部3の開口部3aから内
容物を胴部1内に注入した後、首部3の頂部に閉塞用の
加熱した型を押し当てることにより、該当箇所の樹脂を
溶融軟化させて、図1に示したように開口部3aを閉塞
する。
【0022】実際の成形例を示すと、成形機として日精
エー・エス・ビー機械株式会社製のASB−500HII
を用いるとともに、樹脂として日本ポリプロピレン株式
会社製のポリプロピレンジェイアロマーを用い、図1な
いしは図2に示した樹脂製アンプルをインジェクション
ブロー成形法によって製造した。その結果、得られたア
ンプルは片手で容易に首部3を折り取ることができ、そ
の際、内容物である液体が飛び出す等の不具合は全く生
じなかった。また、首部3を折り取った後の破断面は、
切り込み部5に完全に沿っていることが確認された。
【0023】なお、比較例として、切り込み部5の形成
位置における肉厚t3 のみを0.76mmとして、切り
込み部5の切り込み角度θおよびその先端の曲率半径
R、使用樹脂等を含めて他は上記と全く同じとしてアン
プルを製造したが、首部3の折り取りにある程度以上の
力が必要であり、片手で折り取った場合には、その反動
で内容物である液体が外部に飛散する可能性があった。
【0024】更に、切り込み部5の角度θ、およびその
先端の曲率半径Rを数種類に変更して同様の実験を行っ
たが、角度θが40°を越える場合、および半径Rが
0.4mmよりも大きい場合には、首部3の折り取り時
にノッチ効果が乏しいが故に、首部3が折れるまでに押
圧方向に撓み、折れる際の反動で内容物が飛散する不具
合が生じた。
【0025】更にまた、切り込み部5の形成位置におけ
る肉厚t3 が0.6mm未満の場合、および角度θが2
0°未満の場合、更にはその先端の曲率半径Rが0.1
mm未満の場合には、首部3が折れやすく、搬送時や開
口部3aの閉塞工程等において意図せずに首部3が折れ
てしまう可能性があることが判った。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明の樹脂製アンプル
によれば、その首部と肩部の境界部分に設けられた厚肉
部に形成すべき切り込み部の形状および寸法を選択する
ことによって、首部を片手で簡単に折り取ることがで
き、しかもその際に内容物が飛散する等の不具合が生じ
ることがなく、また、搬送時等において首部が意図せず
に折れてしまうといった不具合も生じることがない。
【0027】また、本発明の樹脂製アンプルの製造方法
によると、上記の本発明の樹脂製アンプルを、その切り
込み部の形状・寸法、特にその切り込み部形成位置にお
ける樹脂の肉厚精度を高精度のもとに再現性よく効率的
に製造することができ、操作性および取扱性において従
来のガラス製アンプルと同等の品質のものを低コストで
製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の全体構成を示す正面図で
ある。
【図2】図2(A)は、図1の切り込み部5の近傍の拡
大断面図であり、図2(B)は、その拡大図である。
【図3】本発明方法を用いて製造される半製品の説明図
で、射出成形工程により得られる成形品の全体構成を示
す正面図である。
【符号の説明】
1 胴部 2 肩部 3 首部 3a 開口部 4 厚肉部 5 切り込み部 10 ブロー成形用樹脂部 10a 空洞

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内容物を収容する胴部と、胴部の上方に
    位置してその内部が胴部内に連通し、かつ、当該胴部よ
    りも外径寸法の小さい首部と、その首部と胴部との間を
    繋ぐ肩部を備えるとともに、肩部と首部との境界部に位
    置する厚肉部の外周面に円周状に形成された首部折り取
    り用の切り込み部を備えた樹脂製アンプルにおいて、上
    記切り込み部の切り込み角度が20〜40°でその先端
    の曲率半径が0.1〜0.4mmであり、かつ、当該切
    り込み部形成位置における樹脂の肉厚が0.6〜0.7
    5mmの範囲であることを特徴とする樹脂製アンプル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の樹脂製アンプルを製造
    する方法であって、上記首部、厚肉部、切り込み部、お
    よび肩部の一部を射出成形法によって成形するととも
    に、その射出成形時に上記胴部を形成すべき樹脂を肩部
    の下方に一体成形し、その一体成形された樹脂をブロー
    成形法によって胴部形状に成形することを特徴とする樹
    脂製アンプルの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009154950A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Yoshino Kogyosho Co Ltd アンプル容器
JP2009269620A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Yoshino Kogyosho Co Ltd 樹脂製アンプル
JP2013180764A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Yoshino Kogyosho Co Ltd 合成樹脂製アンプル容器
JP2014069856A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Yoshino Kogyosho Co Ltd 合成樹脂製アンプル容器
KR101452897B1 (ko) * 2013-03-25 2014-10-22 한남대학교 산학협력단 캡슐형 소변 검사 키트

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