JP2000029858A - 最適化装置 - Google Patents

最適化装置

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JP2000029858A
JP2000029858A JP10200121A JP20012198A JP2000029858A JP 2000029858 A JP2000029858 A JP 2000029858A JP 10200121 A JP10200121 A JP 10200121A JP 20012198 A JP20012198 A JP 20012198A JP 2000029858 A JP2000029858 A JP 2000029858A
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Japan
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mutation
chromosome
chromosomes
gene
diversity
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JP10200121A
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Yutaka Kuramochi
裕 倉持
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SGAは、経験に頼る部分が多く、局所解へ
の収束を防止したり、環境変化への柔軟な適応能力を維
持するのが困難であった。 【解決手段】 特定の同一染色体構造を持つ染色体が全
染色体に対して占める割合が一定値以上に上昇して局所
解に陥っていることを突然変異実行判定部9にて判定
し、対立遺伝子損失率算出部8に遺伝子座ごとに記録さ
れた収束世代が早いもの程高い確率で選択されるルーレ
ット選択機能を有した特殊突然変異発生部10によっ
て、全ての染色体に対して突然変異を行っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、最適化問題の解候
補を生命の染色体である遺伝子配列に見立てて表現し、
染色体の問題適応度によって自然淘汰や、遺伝子配列操
作を繰り返すことによって、最適解を探索する遺伝的ア
ルゴリズムを使用した最適化装置に係り、特に、所定の
目標を達成しようとする制御システムや環境変化に応じ
て最適解を自律的に求める最適化装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】組合せ最適化問題(combinatorial opti
mization problem)は、グラフとか有限集合などの組合
せ構造上のある制約条件を満たす解の中で、与えられた
目的関数を最大(あるいは最小)にする最適解(optima
l solution)を見出すという形に定義される。一般に、
一つの問題(problem)は、入力データによって具体的
に定まる無数の問題例(problem instance)から構成さ
れている。その問題のアルゴリズムは、問題例が入力さ
れると、それに対する正しい答えを計算して出力するも
のである。
【0003】そして、アルゴリズム(近似アルゴリズ
ム)の設計にあたって、主要な考え方の一つに局所探索
法(local search)がある。これは、適当な初期解xか
ら始め、その近傍N(x)を探索し、その中にxより良
い目的関数値を持つ解x'が存在すれば、x'を改めてx
とみなし、同様の探索を反復するという方法である。N
(x)の中に改善解がなければ、xを出力して終了する
ことになるが、このxは近傍Nのもとで局所最適解(lo
cal optimal solution)である。
【0004】この局所探索法の一つとして、生物の遺伝
機構を模倣した遺伝的アルゴリズム(genetic algorith
m、以後、GAと略す)がある。GAは生物の遺伝機構
のうち進化・適応にかかわる部分に着目したものであ
り、生物の進化・適応は、既存の個体(親)から新たな
個体(子)が生まれる際に個体の持つ染色体間の交叉
や、染色体を構成する遺伝子の突然変異などが発生し、
その結果、環境に適応した染色体を持つ個体が生き延び
て次世代の親となり、環境に適応しない個体は淘汰され
るという考えの特徴を問題の解探索に応用したものであ
る。すなわち、解を染色体(遺伝子の一次元ストリング
ス)と見立てて表現して解候補となる染色体集団を形成
し、自己複製(reproduction)、交叉(crossover)、
突然変異(mutation)等の操作を繰り返し施して多様な
染色体(解候補)を形成すると共に、淘汰、選択(sele
ction)等の操作により解候補のいくつかを残して他は
捨てて最適解の探索を行うものである。
【0005】ここで、環境に相当するものが目的関数ま
たは評価関数であり、目的関数を最適にするものほど大
きな値を採るようなに評価関数が染色体に対して定義さ
れる。そして、この評価関数を用いて、解集団の中で高
い適応度の染色体をより高い確率で選択・自己複製する
ものである。また、交叉は、これらの染色体から2つの
染色体を選択して、その遺伝子を互いに入れ替える操作
であり、例えば、任意の同じ長さの遺伝子配列を染色体
から切取り、お互いの遺伝子配列を入れ替えて染色体に
連結し、新たな染色体を作成する一点交叉など、様々な
遺伝子の交叉方法がある。さらに、突然変異は、任意の
染色体の任意の遺伝子座にある遺伝子を別の遺伝子にラ
ンダムに変異させるものである。そして、GAは、これ
らの操作の繰り返しにより多様な染色体を発生させ、目
的関数値からより最適な解を得ようとするものである。
【0006】ここで、最も基本となる単純GA(以下、
SGAと略す)の操作フローを図7に示す。ここでは突
然変異に着目して、従来の突然変異を起こす手法を中心
に説明する。同図に示す操作フローでは、全染色体の全
遺伝子座に対して、設定された割合に応じて遺伝子座を
ランダムに規定数に達するまで選択し、選択された遺伝
子座に現在設定されている遺伝子と異なる遺伝子と入れ
替える操作を行っている。
【0007】図7において、まず、条件パラメータを入
力すると共に評価関数を設定し(ステップ21)、複数
の初期解候補(染色体)を生成する(ステップ22)。
そして、交叉を行う染色体の2つの候補から任意の遺伝
子を2つ選択して入れ替えることにより交叉処理を行う
(ステップ23)。さらに、ランダムに選択した遺伝子
に対して突然変異を発生させた後(ステップ24)、こ
れらの染色体群の評価・選択を行って、環境への適応度
(fitness)の低い染色体(解候補)を淘汰する(ステ
ップ25)。そして、収束もしくは、所定実行回数にな
っている場合には(ステップ26→Y)、その結果を出
力する(ステップ27)。収束せずかつ所定実行回数に
満たない場合には(ステップ26→N)、ステップ23
に戻り、以降、収束もしくは、所定実行回数になるまで
繰り返す。
【0008】このようなSGAは、最も単純なので簡単
に利用することができるが、突然変異の発生割合の設定
方法が探索問題に依存し、経験に頼る部分が多い。ま
た、ランダム性を改善するために染色体の遺伝子配列を
複数の部分に分割し、分割された部分ごとに突然変異を
起こさせて評価する、局所改善型の突然変異手段も考え
られているが、この場合、総当たり戦のような手法に近
くなるため、その計算量は膨大となり遺伝的アルゴリズ
ムの本来の利点を損ないかねない。さらに、突然変異を
変異率の高いグループと低いグループに分けて実現する
手段も考えられているが、元の親染色体がそれぞれ2つ
のグループに複製されて別々に評価されるために個体数
が増加するので、何らかの方法で個体数を低く押さえる
必要があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】多変数パラメータの組
合せ最適化手法としては、目的関数の数学的性質や制約
条件への制限が少なくて比較的広範囲の問題に容易に適
用できることから、GAが様々な分野で利用されてい
る。しかしながら、GAの遺伝的操作は容易に応用でき
る反面、最適化プロセスの途中で早期収束(染色体の多
様性の喪失)して局所解に陥りやすいという問題があ
る。この局所解への収束を防止したり、環境変化への柔
軟な適応能力を維持するためには、染色体の多様性維持
が重要な解決策であり、この多様性維持に関する提案が
いくつか行われている。
【0010】ところで、遺伝的操作の重要な一部を担う
操作として突然変異があげられる。突然変異は多様性維
持にとって欠かせない重要な手段である一方で、突然変
異の多用は優秀な染色体を破壊し探索効率を著しく損な
うという副作用も存在している。このため、多様性維持
の手法として染色体の出現頻度や符号間距離を用いて評
価関数にスケーリングを施したり、エリート個体や希少
個体を保存する遺伝的操作により希少な染色体が淘汰さ
れないように突然変異への依存度を低くするような工夫
をした手法等が提案されている。
【0011】しかしながら、遺伝子座から一度失われた
対立遺伝子(2進数で表される染色体の“1に対する
0"または“0に対する1")は、突然変異を行わなけれ
ば復元することができず、遺伝的操作における突然変異
は必須の手法となっている。
【0012】そこで本発明は、以上のような多様性維持
に関する突然変異の果たす役割と課題(効果と副作用)
を鑑みたうえで、各種提案されている多様性維持手法と
組み合わせた際に、少ない計算量で多変数・多個体数に
柔軟に対応することができ、探索効率を改善した最適化
装置を提案することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】全ての染色体の各配列位
置ごとに、遺伝子座が特定の遺伝子のみで占められる総
損失対立遺伝子数(以後、TALと略す)が高まり、特
定の同一染色体構造を持つ染色体が全染色体に対して占
める割合が一定値以上に上昇した場合、探索空間が限定
されて各染色体が局所に集中している(局所解に陥って
いる)ことになる。そこで、本発明では、これを多様性
検出手段にて検出している。さらに、各遺伝子座が特定
の遺伝子に収束するまでの世代数を遺伝子座ごとに記録
する回数計測手段も備えている。また、遺伝子座ごとに
記録された収束世代が早いもの程、高い確率で選択され
るルーレット選択機能を有した特殊突然変異手段を備え
ている。そして、これらの各機能手段を各種提案されて
いる交叉や評価関数及び淘汰を用いた遺伝的アルゴリズ
ムに組み込んで使用する。
【0014】また、これらの機能手段を交叉を行う遺伝
子交叉手段の前に配置し、多様性検出手段にて規定数以
上の同一染色体が検出された場合に限り、全ての染色体
の特殊突然変異手段のルーレット機能により選択された
一箇所の遺伝子座にのみ突然変異を発生させている。す
なわち、多様性検出手段にて検出された場合に限定して
新たな突然変異の手法に基づく変異を行うことにより、
優良染色体の破壊を防止している。また、遺伝子交叉手
段の前に行われることで、突然変異率が拡散され、近傍
探索と広域探索の両立が可能になる。
【0015】そこで本発明では、このような効果を得る
ことができる最適化装置として、以下にその構成を示
す。
【0016】1.最適化問題の解候補を遺伝子の配列で
ある染色体として表現し、この染色体に対して自然淘汰
の操作を繰り返すことにより最適解の探索を行う遺伝的
アルゴリズムを用いた最適化装置であって、前記最適解
候補の要素である配列モデルを初期値として複数種類の
前記染色体を生成する染色体配列生成手段と、全ての前
記染色体の同じ配列位置にある遺伝子座の遺伝子が同じ
になるまでの前記自然淘汰の繰り返し操作の回数を各配
列位置ごとに計測して記録する回数計測手段と、前記染
色体の問題適応度を評価関数により評価する評価手段
と、前記評価手段による評価値の低い前記染色体を削除
する染色体淘汰手段と、前記染色体群の中から選択され
た染色体間で遺伝子配列を交叉し、新たな遺伝子配列の
染色体を生成する遺伝子交叉手段と、前記染色体群の遺
伝子座を任意の割合で選択して変異させる突然変異手段
と、前記染色体の種類の多様性が失われたことを検出し
て多様性検出値を出力する多様性検出手段と、全ての前
記染色体に対して任意の遺伝子座を選択して変異させる
特殊突然変異手段とを備え、前記多様性検出手段から出
力される多様性検出値が所定値に達した場合にのみ前記
特殊突然変異手段による変異を行うことを特徴とする最
適化装置。
【0017】2.請求項1記載の最適化装置において、
前記多様性検出手段は、全ての染色体において、同じ配
列位置にある遺伝子座の遺伝子が同じになっている配列
位置を検出し、全てが同じ遺伝子となっている配列位置
の割合を多様性検出値として出力することを特徴とする
最適化装置。
【0018】3.請求項1または請求項2記載の最適化
装置において、前記特殊突然変異手段は、全ての前記染
色体に対して、任意に選択された一箇所の遺伝子座のみ
を変異させることを特徴とする最適化装置。
【0019】4.請求項1、請求項2または請求項3に
記載の最適化装置において、前記特殊突然変異手段は、
前記回数計測手段により計測される繰り返し操作の回数
が少ない配列位置の遺伝子座が高い確率で選択されるよ
うに構成されたルーレット選択により、突然変異を発生
させる遺伝子座を決定することを特徴とする最適化装
置。
【0020】5.請求項1、請求項2、請求項3または
請求項4に記載の最適化装置において、前記特殊突然変
異手段による突然変異は、前記遺伝子交叉手段による遺
伝子配列の交叉よりも前に行うように構成したことを特
徴とする最適化装置。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の最適化装置の一実施の形
態について図面と共に説明する。図1は本実施の形態の
構成を示す説明図であり、以下、各ブロックの詳細な内
容を説明する。なお、本実施の形態の最適化装置にて最
適化を行う対象として、ナップザック問題の最適解を求
めるものとする。
【0022】このナップザック問題は、「いろいろな重
さと価値を持つ多数の荷物をナップザックに入れる際
に、制限容量を超えずに詰め込む荷物の価値の合計をで
きるだけ大きくするには、どの荷物を選べば良いか」と
いう問題である。
【0023】そして、遺伝的アルゴリズムを用いてこの
問題の最適解を求めるために、固有の重さと価値を有す
るL個の荷物それぞれに1からLの番号を付け、この荷
物の番号を遺伝子Xi(i=1〜L)に対応させると、
染色体は、{X1,X2,…,XL}となる。
【0024】そして、合計の価値g(x)が所定の価値b以
上で、かつ総重量z(x)が最小となる解を求めるものとす
ると、数1に示すような式となる。
【0025】
【数1】 ここで、c1,c2,…,cLは各荷物の重さを示す定
数であり、a1,a2,…,aLは各荷物の価値を示す
定数である。また、変数xの各成分xj( j = 1,2,…,L )
は染色体の遺伝子座Xi(i=1,2,…,L)に対応してお
り、遺伝子座が採り得る対立遺伝子は0,1の2種類と
する。
【0026】そして、数1のような制約条件、目的関数
を定義すると数2に示すような適応度関数が得られる。
【0027】
【数2】 この結果、fを最大とするような数1のxj(j=1,2,
…,L)を求めれば良いことが分かる。
【0028】したがって、本実施の形態では、まず、条
件パラメータ入力・評価関数設定部1にて、乱数を用い
て各定数を生成する。ここでは、係数aj,cjは1から1
00までの整数をランダムに割当て、L=50に設定す
る。そして、bはajの総和の0.5倍程度のランダムな
値とし、ペナルティ・パラメータrは100とする。
【0029】次に、初期解候補生成部(染色体配列生成
手段)2にて、複数の初期解候補を生成する。遺伝子座
Xi(i=1,2,…,L)は0または1の値でL=50
としているので、50ビットのビット列としてランダム
に100個体の染色体{X1,X2,…,XL}を生成
することにする。そして、対立遺伝子損失率算出部8に
おいて染色体集団の多様性を評価する。この多様性評価
の尺度としては、損失アレル数(Alleles lost)として提
案されている手法を用いる。この損失アレル数は、以下
に示す数3の式によって定義される。
【0030】
【数3】 ここで、δ(n,i)はnという遺伝子が遺伝子座iに存
在しないときに1となり、存在するときに0となること
を示している。本実施の形態では、0,1の2値を採る
ため、染色体群中の全ての染色体の遺伝子座Xiで遺伝
子が0または1のみ存在するとき、一方の遺伝子が存在
しなくなるので1となる。この損失アレル数AL[i]
(i=1,2,…,L)を遺伝子座全てについて求めたものが、
総損失アレル数(Total Allels lost,TAL)となる。
【0031】そして、L=50としているので、TAL
の最大値は50となり、このときは全染色体の遺伝子配
列が同一であることを示している。したがって、このT
ALを対立遺伝子損失率算出部8で求め、TAL値が大
きいほど多様性が失われたと判断する。また、対立遺伝
子損失率算出部(回数計測手段)8では同時に遺伝子座
iがAL[i]=1となるまでのGA操作回数を遺伝子座
ごとに記録する。
【0032】次に、突然変異実行判定部(多様性検出手
段)9においてTAL=50となるか、全ての適応度値
fが同一となった場合に、GA操作が局所解に陥ったと
判断し、特殊突然変異発生部(特殊突然変異手段)10
にて、以下に説明する本願特有の特殊突然変異を実行
し、局所解に陥っていないと判断したときは特殊突然変
異発生部10での特殊突然変異を実行しない構成となっ
ている。
【0033】そして、この特殊突然変異発生部10での
染色体の遺伝子座に対する特殊突然変異操作は、TAL
=50または、全ての適応度値fが同一となった場合に
実行されるため、ほぼ全ての染色体の遺伝子配列が同一
になっているときのみに行われることになる。そこで、
特殊突然変異発生部10では全ての染色体に対して、そ
の遺伝子座のうちの一箇所を突然変異させるものとす
る。
【0034】なお、どの遺伝子座を突然変異させるかは
ルーレット選択により決定する。このルーレット選択で
は、上記した対立遺伝子損失率算出部8で求めた各遺伝
子座iがAL[i]=1となるまでのGA操作回数を用い
て、GA操作回数が少ない遺伝子座ほど高い確率で選択
されるようにルーレットを構成し、乱数により突然変異
を発生させる遺伝子座を決定する。また、遺伝子は0,
1の2値しか採らないため、選択された遺伝子座は現在
の値と異なるもう一方の値に変化させるものとする。例
えば、選択された遺伝子座の値が0であれば1に変化さ
せる。そして、染色体群100個体に対して、1箇所ず
つ遺伝子座を選択して突然変異を行った後、100個の
染色体群は交叉候補選択及び交叉処理部3に出力され
る。
【0035】交叉候補選択及び交叉処理部(遺伝子交叉
手段)3では、適応度値fが高いもの程選択される可能
性を高くし、また同一個体の重複選択を許して、ルーレ
ット選択により交叉対象となる親染色体を選択する。こ
こでは、50個体を選択して交叉するものとする。そし
て、交叉点はランダムに選択され交叉される。この交叉
候補選択及び交叉処理部3で交叉したときの染色体の状
態例について、図2及び図3を用いて説明する。なお、
説明を簡略化するために各図とも染色体の遺伝子座数を
8とし、その遺伝子の1箇所だけが突然変異を受けてい
る染色体同士を交叉させる場合について示している。
【0036】図2において、染色体h1に対して、特殊
突然変異発生部10によって遺伝子座X6に突然変異が
施されてY6となった染色体h2と遺伝子座X3に突然
変異が施されてY3となった染色体h3とを、X4とX
5との間の交叉点で交叉すると、突然変異を受ける前の
染色体h1が復元されると共に、突然変異を2箇所受け
た染色体h4が生成する。この結果、元の染色体に戻っ
た方の突然変異率は0であり、2箇所の突然変異を受け
た染色体の突然変異率は0.04となる。
【0037】同様に、図3に示すように、染色体h1に
対して、特殊突然変異発生部10によって遺伝子座X6
に突然変異が施されてY6となった染色体h2と遺伝子
座X5に突然変異が施されてY5となった染色体h5と
を、X4とX5との間の交叉点で交叉した場合には、染
色体h2,h5のいずれにも変化は生じず、どちらも突
然変異率0.02となる。
【0038】このように、突然変異実行判定部9が局所
解に陥ったと判断し、本提案突然変異発生部10が実行
された場合は、交叉候補選択及び交叉処理部3での交叉
は上記したようになるため、局所解を中心に突然変異率
0.02と0.04の染色体が生成され、新たな解探索
が行われることとなる。
【0039】交叉候補選択及び交叉処理部3で所定数の
染色体が交叉された染色体群は、突然変異発生部(突然
変異手段)4により全染色体の全遺伝子座の中からラン
ダムに選択されたごく少数の遺伝子座に対して突然変異
を行う。ここでは、突然変異率0.005としている。
その後、評価・選択及び解候補淘汰部(染色体淘汰手
段)5により評価値の低い個体が淘汰され、次世代の親
となる染色体が選択され生き残る。その後、収束及び実
行回数判定部(評価手段)6により、収束していないま
たはGA操作回数が設定値に達していないと判断された
場合には、評価・選択及び解候補淘汰部5により選択さ
れて生き残った染色体を新たな染色体群として、対立遺
伝子損失率算出部8へ供給し、以下同じ動作を繰り返
す。また、収束及び実行回数判定部6で収束または実行
回数設定値(本実施例では400世代)に達したと判断
された場合には、結果出力部7に最高の評価値を持つ染
色体が最適解として出力される。
【0040】以上説明したように、従来の遺伝的アルゴ
リズムにおける通常の遺伝的操作では、交叉した後に、
かなり低く設定された確率で各染色体の遺伝子座中から
任意に選択された遺伝子座に対して突然変異を起こして
いるが、本発明の特殊突然変異発生部10では、全ての
染色体に対して突然変異を発生させており、また、この
特殊突然変異は局所解に陥ったと判断したときのみ実行
している。さらに、従来の通常の突然変異と分離併用す
る構成としており、しかも交叉するの前に特殊突然変異
を行うように構成している。
【0041】このように、特殊突然変異を交叉する前に
行うことで、突然変異率が交叉により再配分され、突然
変異率の低い個体から高い個体まで、最適解と思われる
染色体を中心に近傍探索可能な染色体を発生することが
できる。これは、図2に示したように、同一染色体の異
なる一箇所の遺伝子座のみを突然変異した染色体同士を
交叉した場合、1/2の確率で突然変異する前の染色体
が再生成されるため、突然変異を加えた染色体が最適解
であったとしても、早期に最適解へ再収束され、しかも
突然変異を2箇所受けた個体も生成されるため最適解を
破壊することなく多様性を維持することができる。さら
に、突然変異実行判定部9により突然変異を抑制する期
間と積極的に発生させる期間とを区別することで、突然
変異の抑制期間では収束速度が向上され、突然変異発生
期間では多様性を発生させて局所解へ陥ることを防止
し、近傍探索と広域探索の両方を可能にすることができ
る。
【0042】また、遺伝子座の多様性を観察すること
と、従来から用いられているルーレット選択を用いるこ
とのみで本発明を実現できるため、処理の増大を招くこ
ともなく、多変数・多個体数の問題に対しても簡単に対
応可能となる。
【0043】ここで、本発明の有効性について、シミュ
レーション結果と共に説明する。図4は本発明の最適化
装置を用いてナップザック問題の最適解を求めたときの
シミュレーション結果と単純遺伝的アルゴリズム(SG
A)を用いてナップザック問題の最適解を求めたときの
シミュレーション結果とを示すグラフである。縦軸には
TAL及び適応度を採っており、横軸には世代数を採っ
ている。なお、ここで示す本発明と比較例(SGA)は
共に、通常の突然変異は行っていない(突然変異率
0)。
【0044】SGAでは、交叉と淘汰のみの遺伝操作で
あるため、初期収束により早い段階でTALが最大値と
なって一種類の個体に収束し、それ以後は適応度に変化
が起こらないことが分かる。このグラフの例では、偶然
にも初期収束で高い適応度が得られているが、低い適応
度の局所解に収束してした場合でも、それ以上適応度が
改善されることはない。
【0045】このようなSGAに対して、本発明は、交
叉と淘汰に加えて特殊突然変異操作を行ったものである
(同様に、通常の突然変異は用いていない)。ここで
は、突然変異を発生させる同一個体数のしきい値を全個
体が同一染色体となった場合に設定して行った(すなわ
ちTALが最大値となる場合)。この結果、TALが最
大値となった時点で突然変異が発生し、TALが低下す
る。その後、再び急速に収束するが、さらに高い適応度
の解が生成されるたびに適応度が上昇して行く。このた
め、同図に示すグラフでは偶然にも初期収束の適応度が
低くなっているが、次第に改善されて行くことが分か
る。
【0046】図5はSGAに従来のランダムな突然変異
を行った場合の弊害を説明するためのグラフである。そ
れぞれ図4と同様に、縦軸にはTAL及び適応度を採っ
ており、横軸には世代数を採っており、括弧内の数値が
突然変異率を表している。そして、図5では、2種類の
突然変異率についてシミュレーションした結果を示して
いる。同図より、変異率0.005の場合には、多様性
が失われ、早期に収束するが、適応度の低い結果しか得
ることができないことが分かる。また、変異率0.01
の場合には、多様性は維持されるものの、収束する様子
がなく、世代数が大きくなると、優良な遺伝子の破壊に
より適応度が低下する場合があることが分かる。
【0047】この図5に対して、本発明を実行した結果
が図6に示すグラフであり、通常の突然変異部分の変異
率を0.005に設定して図1と共に説明した本発明に
よる処理を行ったものと、比較例として突然変異率0.
02のSGAの結果とを示したものである。なお、突然
変異部分の変異率以外は図4に示した本発明内容及びS
GAの内容と同一のパラメータを用いている。同図か
ら、本発明では(通常の)突然変異発生部4での突然変
異の変異率を低く設定した状態で、突然変異率が高い
(変異率0.02)SGAと同等の性能を得ることがで
き、世代数が増加しても優良染色体の破壊がないので、
適応度の低下を防止することができることが分かる。さ
らに、本発明は、突然変異率の多様性を有しているの
で、解決すべき問題に合わせて適した突然変異率を設定
する必要がなく、同一パラメータで様々な問題に対処す
ることができる。
【0048】以上説明したように、本発明の最適化装置
は、ナップザック問題に対して局所解に陥ることなく最
適解を見つけることができる。したがって、「ある条件
を満たしながら、最大の効率をあげる組合せを求める」
という組合せ最適化問題を効率的に解決することになる
ので、例えば、一定予算内での物資の購入、金融取引で
の意思決定、電子基板上での素子の配置、航空機のフラ
イトスケジュールなど多様な応用問題に対しても適応す
ることができる。
【0049】さらに、GAは、多変数パラメータの最適
化手法として、目的関数の数学的性質や制約条件への制
限が少なく、比較的広範囲の問題に容易に適応できるの
で、上記実施の形態で検証した特定の問題に対する結果
から、他の最適化問題でも効果を発揮することは容易に
想像できる。
【0050】そして、上記した本実施の形態では、SG
Aと組み合わせることによりその効果を実証したが、突
然変異以外の遺伝操作に多様性維持手法を用いた改良型
GAシステムと本発明とを組み合わせることで、さらに
効果をあげることができる。
【0051】
【発明の効果】本発明の最適化装置は、特殊突然変異を
交叉する前に行うことで、突然変異率が交叉により再配
分され、突然変異率の低い個体から高い個体まで、最適
解と思われる染色体を中心に近傍探索可能な染色体を発
生することができる。この結果、最適解を破壊すること
なく多様性を維持することができるので、様々な最適化
問題に対して利用することができる。
【0052】また、遺伝子座の多様性を観察すること
と、従来から用いられているルーレット選択を用いるこ
とのみで本発明を実現できるため、処理の増大を招くこ
ともなく、多変数・多個体数の問題に対しても簡単に対
応可能となる。
【0053】さらに、特殊突然変異を抑制する期間と積
極的に発生させる期間とを区別しているので、突然変異
の抑制期間では収束速度が向上され、突然変異発生期間
では多様性を発生させて局所解へ陥ることを防止し、近
傍探索と広域探索の両方を可能にしてより適応度の高い
最適解を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の最適化装置の一実施の形態を示す説明
図である。
【図2】本発明の最適化装置で行われる特殊突然変異を
説明するための図である。
【図3】本発明の最適化装置で行われる特殊突然変異を
説明するための図である。
【図4】本発明とSGA(比較例)のナップザック問題
の結果による総損失対立遺伝子数(TAL)と適応度を
示すグラフである。
【図5】SGA(比較例)で突然変異の変異率を変えた
場合のTALと適応度を示すグラフである。
【図6】SGAに本発明を使用した場合と高い突然変異
率を持つSGA(比較例)のTALと適応度を示すグラ
フである。
【図7】単純遺伝的アルゴリズム(SGA)による処理
手順を説明するための図である。
【符号の説明】
1 条件パラメータ入力・評価関数設定部 2 初期解候補生成部(染色体配列生成手段) 3 交叉候補選択及び交叉処理部(遺伝子交叉手段) 4 突然変異発生部(突然変異手段) 5 評価・選択及び解候補淘汰部(染色体淘汰手段) 6 収束及び実行回数判定部(評価手段) 7 結果出力部 8 対立遺伝子損失率算出部(回数計測手段) 9 突然変異実行判定部(多様性検出手段) 10 特殊突然変異発生部(特殊突然変異手段)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最適化問題の解候補を遺伝子の配列である
    染色体として表現し、この染色体に対して自然淘汰の操
    作を繰り返すことにより最適解の探索を行う遺伝的アル
    ゴリズムを用いた最適化装置であって、 前記最適解候補の要素である配列モデルを初期値として
    複数種類の前記染色体を生成する染色体配列生成手段
    と、 全ての前記染色体の同じ配列位置にある遺伝子座の遺伝
    子が同じになるまでの前記自然淘汰の繰り返し操作の回
    数を各配列位置ごとに計測して記録する回数計測手段
    と、 前記染色体の問題適応度を評価関数により評価する評価
    手段と、 前記評価手段による評価値の低い前記染色体を削除する
    染色体淘汰手段と、 前記染色体群の中から選択された染色体間で遺伝子配列
    を交叉し、新たな遺伝子配列の染色体を生成する遺伝子
    交叉手段と、 前記染色体群の遺伝子座を任意の割合で選択して変異さ
    せる突然変異手段と、 前記染色体の種類の多様性が失われたことを検出して多
    様性検出値を出力する多様性検出手段と、 全ての前記染色体に対して任意の遺伝子座を選択して変
    異させる特殊突然変異手段とを備え、 前記多様性検出手段から出力される多様性検出値が所定
    値に達した場合にのみ前記特殊突然変異手段による変異
    を行うことを特徴とする最適化装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の最適化装置において、前記
    多様性検出手段は、全ての染色体において、同じ配列位
    置にある遺伝子座の遺伝子が同じになっている配列位置
    を検出し、全てが同じ遺伝子となっている配列位置の割
    合を多様性検出値として出力することを特徴とする最適
    化装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の最適化装置
    において、前記特殊突然変異手段は、全ての前記染色体
    に対して、任意に選択された一箇所の遺伝子座のみを変
    異させることを特徴とする最適化装置。
  4. 【請求項4】請求項1、請求項2または請求項3に記載
    の最適化装置において、前記特殊突然変異手段は、前記
    回数計測手段により計測される繰り返し操作の回数が少
    ない配列位置の遺伝子座が高い確率で選択されるように
    構成されたルーレット選択により、突然変異を発生させ
    る遺伝子座を決定することを特徴とする最適化装置。
  5. 【請求項5】請求項1、請求項2、請求項3または請求
    項4に記載の最適化装置において、前記特殊突然変異手
    段による突然変異は、前記遺伝子交叉手段による遺伝子
    配列の交叉よりも前に行うように構成したことを特徴と
    する最適化装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7631215B2 (en) 2004-12-15 2009-12-08 Casio Hitachi Mobile Communications Co., Ltd. Personal digital assistant and data recovery method
JP2011072064A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Fujitsu Ltd 最適負荷配電方法及び最適負荷配電プログラム
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WO2020054841A1 (ja) * 2018-09-14 2020-03-19 富士フイルム株式会社 化合物探索方法、化合物探索プログラム、記録媒体、及び化合物探索装置

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