JP2000029083A - カスケ―ド型ラマン共振器システムおよび装置 - Google Patents

カスケ―ド型ラマン共振器システムおよび装置

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JP2000029083A JP11107330A JP10733099A JP2000029083A JP 2000029083 A JP2000029083 A JP 2000029083A JP 11107330 A JP11107330 A JP 11107330A JP 10733099 A JP10733099 A JP 10733099A JP 2000029083 A JP2000029083 A JP 2000029083A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 パワーがスケーラブルで、装置の入力波長
(λ)についての独立性がより大きい装置を提供す
る。 【解決手段】 光エネルギー源に結合されている光伝送
メディア(32)と、光伝送メディアにおいて形成さ
れ、出力波長λにおいて光エネルギーを放射するため
の光学的キャビティを規定する少なくとも1つのペアの
格子(44、46、52、54)とを含み、前記格子の
少なくとも1つのペアはラマン・ストークス・オーダの
シフトに対する最大利得には対応しない波長において前
記光伝送メディアの中で書き込まれ、光エネルギーはラ
マン・ストークス・オーダのシフトに対する最大利得に
対応する波長において格子が書き込まれた場合よりも小
さい効率で変換され、最大の反射効率はラマン・ストー
クス・オーダのシフトに対応する波長において発生する
ようになっている装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光増幅器およびレ
ーザに関する。特に、本発明は、カスケード型ラマン共
振器を使っている光増幅器およびレーザの装置および方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】光増幅器およびレーザは、光通信システ
ムの中で使われ、そのシステム全体にわたって生じた損
失を補償する。光増幅器は特定の波長における光をポン
プするためにラマン増幅器またはレーザを含むことが多
い。たとえば、米国特許第5,323,404号を参照
されたい。
【0003】一般に、ラマン増幅器およびラマン・レー
ザは光源からの光を非線形の光伝送メディア(たとえ
ば、光ファイバ、通常はシリカベースの光ファイバ)の
振動モードに変換し、異なる(通常は、より長い)波長
において再放射することを伴う非線形の光学的プロセス
である刺激型ラマン散乱に基づいている。
【0004】たとえば、カスケード型のラマン・レーザ
は出力波長λn の放射に対する光学的キャビティを規定
する一対の反射器の他に、波長λn-1<λn(ここで、n
≧2)の放射に対する対応している光学的キャビティを
規定している少なくとも1つのラマン・ストークス・オ
ーダの反射器ペアを有する非線形光伝送メディアを伴う
ラマン・レーザである。その反射器は、たとえば、ブラ
ッグ(Bragg)格子、エッチングされた格子または
インライン屈折率格子である。溶融シリカが非線形メデ
ィアとして使われるとき、最大ラマン利得は13.2テ
ラヘルツ(THz)の周波数シフトにおいて発生し、そ
れは約1.0〜1.5ミクロン(μm)のポンプ波長に
対するほぼ50〜100ナノメートル(nm)の波長シ
フトに対応する。
【0005】カスケード型ラマン共振器(CRR)は、
特定の出力波長(λn )においてラマン・レーザのエネ
ルギーを発生するための非線形の光伝送メディアを含
む。さらに詳しく言えば、カスケード型ラマン共振器
は、ポンプ波長(λp )において動作しているポンプ・
レーザなどの光源からの光を所望の出力波長(λn )へ
変換する。そのようなカスケード型ラマン共振器の適切
な応用としては、たとえば、リピータのない光ファイバ
通信システムにおけるリモートにポンプされるエルビウ
ム(Er)ファイバ増幅器などがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のカスケ
ード型ラマン共振器は、通常は所望のカスケード型ラマ
ン共振器の出力波長(λn )によって変わる特定のポン
プ波長(λp )において動作する光源を必要とする。た
とえば、出力波長(λn )が1480nmであるカスケ
ード型ラマン共振器は、1117nmのポンプ波長(λ
p )において動作するポンプ・レーザなどの光源につい
てのみ使える。それは最大のラマン利得、すなわち、約
13.5THzの周波数シフトに対応している波長にお
いて隔てられている一連の共振器に対応する。同様に、
出力波長(λn )が1450nmであるカスケード型ラ
マン共振器は、1100nmのポンプ波長(λp )にお
いて動作しているポンプ・レーザなどの光源についての
み使える。
【0007】したがって、パワーがスケーラブルで、装
置の入力波長(λp )についての独立性がより大きいラ
マン・レーザ装置が利用できることが望ましい。そのよ
うな装置はその装置の所望の出力波長(λn )へ導く、
ラマン・ストークス・オーダに対応する特定のポンプ波
長(λp )のみを有する光源での使用に限定されないよ
うな、多様性の大きい装置となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、特許請求の範
囲に規定されている。本発明の実施形態としては、光フ
ァイバ通信システムの中で光を変換するための装置など
がある。本発明の実施形態は一連のラマン・ストークス
・オーダの反射器およびその中の1つの出力反射器を有
している光エネルギー伝送メディアを有するカスケード
型ラマン共振器(CRR)または他の適切なラマン周波
数シフト・デバイスを提供する。変換効率は最大効率よ
り小さいが、異なるポンプ・レーザ波長がそれによって
変換されるのに十分な効率の変換を提供する1つまたは
それ以上の反射器が書き込まれる。たとえば、カスケー
ド型ラマン共振器の内部の反射器はポンプ波長(λp
に対する最大のラマン利得においてでは必ずしもない
が、それでも十分な変換効率を提供する波長において書
き込まれる。
【0009】本発明の1つの実施形態においては、カス
ケード型ラマン共振器は1つのポンプ反射器および一対
の高反射格子によって規定される光学的キャビティを伴
う光ファイバを含み、その最大反射波長は理論的な最大
ラマン利得が発生する波長には対応しないが、十分な変
換効率に対して受け入れ可能な範囲内にある。代わり
に、一連の中間のラマン・ストークス反射器の中の1つ
またはそれ以上の反射器および低反射の出力反射器は必
ずしも理論的に最大のラマン利得に対応する波長におい
て書き込まれないが、変換効率が十分な許容できる範囲
内にある波長において書き込まれる。
【0010】本発明の他の代替実施形態によると、カス
ケード型ラマン共振器はポンプ反射器を使用しない。さ
らに詳しく言えば、たとえば、約4Wを超える十分に大
きなポンプ・パワーで動作しているとき、ポンプ波長
(λp )の範囲内で通常書き込まれる、ポンプ反射器が
不要であるファイバの最初の約500mにおいて十分な
変換が存在する。
【0011】本発明の実施形態に従って設計されたカス
ケード型ラマン共振器は、ポンプ波長(λp )が異なる
ポンプ・レーザについても使える。たとえば、普通は1
117nmからの光エネルギーを1480nmの出力信
号波長に変換する1480nmのカスケード型ラマン共
振器は、たとえば、1100nmのポンプ・レーザから
の光エネルギーを1480nmの出力信号波長に変換す
るためにも使える。
【0012】代わりに、たとえば、約4W以下の低いポ
ンプ・パワーで動作するとき、カスケード型ラマン共振
器(CRR)は吸収されない光を反射するために約11
00nmにおいて書き込れる追加の高反射格子を含む。
この方法で、1480nmのカスケード型ラマン共振器
は、1117nmのポンプ・レーザに加えて、1100
nmのポンプ・レーザ光源で使える。従来の装置におい
ては、1100nmのポンプ・レーザは、1100nm
のポンプ・レーザからの光エネルギーを1450nmの
出力信号波長に変換するように従来は設計されている1
450nmのカスケード型ラマン共振器でのみ使われ
る。
【0013】また、同様に、本発明の実施形態による
と、普通は1100nmのポンプ・レーザからの光エネ
ルギーを1450nmの出力信号波長に変換する145
0nmのカスケード型ラマン共振器は、1117nmの
ポンプ・レーザからの光エネルギーを1450nmの出
力信号波長に変換するのにも使える。代わりに、たとえ
ば、約4W以下の低いポンプ・パワーで動作していると
き、1450nmのカスケード型ラマン共振器は吸収さ
れない光を反射するために約1117nmにおいて書き
込まれる追加の高反射格子を含む。従来の装置において
は、1117nmのポンプ・レーザは、通常は、111
7nmのポンプ・レーザからの光エネルギーを1480
nmの出力信号波長に変換するように設計されている1
480nmのカスケード型ラマン共振器でのみ使われ
る。
【0014】本発明の実施形態によるカスケード型ラマ
ン共振器(CRR)デバイスは、与えられた複数のポン
プ波長に対して所望の出力波長において各種の応用に対
して十分な光出力を提供するという意味でパワー・スケ
ーラブルである。また、本発明の実施形態によるデバイ
スは複雑でなく、そして従来の装置のものより安価であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】次の説明においては、図面の説明
全体を通して本発明の理解を深めるために、類似のコン
ポーネントは同じ参照番号によって参照される。以下に
は特定の機能、構成および装置が説明されるが、そのよ
うな説明は例を示す目的だけのために行われていること
を理解されたい。この分野の技術に熟達した人であれ
ば、本発明の精神および適用範囲から逸脱することなし
に、他のステップ、構成および装置も使えることが分か
る。
【0016】本発明の実施形態は理論的に最大の効率以
下での光の変換が多くの光ファイバ・レーザの応用に対
してそれでも十分であるという有利な実現に基づいてい
る。したがって、ラマン周波数シフト・デバイスの内部
に含まれている光エネルギー伝送メディアにおいて書き
込まれる少なくとも1つの反射格子ペアは、中間のスポ
ークス・オーダの理論的な最大利得に直接対応して書か
れる必要はない。そのような実現は、たとえば、異なる
ポンプ波長で動作している与えられた複数のポンプ・レ
ーザに対して所望の出力波長において光ファイバ増幅
(ラマン・シフトによる)を提供するのに十分であると
いう意味でパワーがスケーラブルな、カスケード型ラマ
ン共振器(CRR)および他の適切な光変換デバイスを
作るために使われる。
【0017】また、本発明の実施形態は、たとえば、約
4Wより大きい高ポンプ・パワーに対して、ポンプされ
る光に対する十分なポンプ・パワーにおける光ファイバ
の長さの関係において、ポンプされる光は完全には効率
的にではないにしても、光ファイバの最初の100mに
おいて吸収されるという有利な実現に基づいている。し
たがって、そのような高いポンプ・パワーにおいて動作
しているとき、ポンプの反射器はその光変換デバイスの
内部では不要である。
【0018】ここで図1を参照すると、光ファイバのレ
ーザ・システム10が示されている。この光ファイバ・
レーザ・システム10は、たとえば、λp のポンプ波長
においてポンプ・レーザ14からの光エネルギーを受け
取り、その光エネルギーをλnの出力波長において出力
の光エネルギーに変換するように適応されているカスケ
ード型ラマン共振器(CRR)12を含む。そのポンプ
・レーザは、たとえば、高パワーのダイオード・レーザ
16およびクラッディングのポンプ型ファイバ・レーザ
18を含む。ポンプ・レーザ14のコンポーネントは例
を示す目的だけのために与えられ、本発明の実施形態の
制限であることを意味するものではない。本発明の実施
形態に従って、ポンプ・レーザ14は従来型の構造のも
のであってよいことを理解されたい。適切なポンプ・レ
ーザは、たとえば、1117ナノメートル(nm)のク
ラッディング・ポンプ型ファイバ・レーザ(CPFL)
である。
【0019】カスケード型ラマン共振器12は1つの出
力領域34に対して書き込まれる少なくとも1つの反射
格子、および入力領域36に対して書き込まれる少なく
とも1つの反射格子セットを有している、ある長さの光
ファイバ32または他の適切な光伝送メディアを含む。
反射格子は、たとえば、ブラッグ格子、エッチ型の格
子、インラインの屈折率格子または他の適切な高反射率
のファイバ反射手段である。もう1つの観点から、図1
に示されているカスケード型ラマン共振器12は、ファ
イバ32の両端に対してスプライスされている一組の、
あるいは複数のマッチされたファイバのブラッグ格子を
含む。
【0020】光ファイバ32の出力領域34に対して書
き込まれるファイバ格子のセットは、たとえば、最大の
反射波長がポンプ・レーザ14からのポンプ波長(λ
p )にほぼ等しい、少なくとも1つの高反射ポンプ格子
42を含む。また、出力ファイバの格子セットは最大の
反射波長が最大の利得に対応する中間ストークス・オー
ダ(λn-1 ,λn-2 ,λn-3 ,...)の中の波長に本
質的に対応する高反射格子44を含む。また、出力ファ
イバ格子セットは最小の反射率が光ファイバ・レーザ・
システム10の所望の出力波長(λn )にほぼ等しい少
なくとも1つの低反射または透過性の格子46を含む。
【0021】光ファイバ32の入力領域36に対して書
き込まれるファイバ格子セットは、最大反射の波長が最
大の利得に対応する中間のストークス・オーダ(λ
n-1 ,λn-2 ,λn-3 ,...)の範囲内の波長に本質
的に対応する高反射格子52を含む。また、入力のファ
イバ格子セットは最大反射波長が所望の出力波長(λ
n )にほぼ等しい少なくとも1つの高反射格子54を含
む。
【0022】前にここで説明されたように、中間のスト
ークス・オーダの最大利得は、たとえば、ポンプ・レー
ザの動作波長(λp )から出発して約13.2テラヘル
ツ(THz)の周波数シフトにおいて発生する。13.
2THzのシフトは約1.0〜1.5ミクロン(μm)
のポンプ波長に対する約50〜100ナノメートル(n
m)の波長シフトに対応する。中間のラマン・ストーク
ス・オーダのパワーはそれが連続したラマン・ストーク
ス・オーダにほとんど完全に変換されるまで、カスケー
ド型ラマン共振器12のキャビティの中に循環される。
たとえば、動作において、図1に示されている光ファイ
バ・レーザ・システム10はポンプ波長λp においてポ
ンプ・レーザ14から受信し、そしてその光エネルギー
を出力波長λn における出力の光エネルギーに効果的に
変換する。
【0023】ここで図2aを参照すると、従来の光ファ
イバ・レーザ・システム装置20が示されている。装置
20は入力の、動作波長、すなわち、ポンプ波長(λ
p )が約1117nmであるポンプ・レーザ14を含む
・ポンプ・レーザ14は、たとえば、スプライス(一般
的に、「x」によって示されている)によってカスケー
ド型ラマン共振器(CRR)12に対して接続されてい
る。
【0024】カスケード型ラマン共振器12は書き込ま
れる少なくとも1つの屈折率格子の付いた出力領域3
4、および少なくとも1つの書き込まれる屈折率格子の
付いた入力領域36を有しているある長さの光ファイバ
32を含む。出力領域34は中心波長が約1175n
m、1240nm、1310nmおよび1396nmで
ある反射率の高い複数の格子44を含む。また、出力領
域34は、たとえば、ポンプ・レーザ14の動作波長λ
p にほぼ等しい約1117nmの最大反射波長を有して
いる、たとえば、高反射格子42の形式での、ポンプ反
射器を含む。また、出力のファイバ格子セットも最小の
反射が光ファイバ・レーザ・システム20の所望の出力
波長(λn )にほぼ等しい低反射または透過性の格子4
6を少なくとも1つ含む。
【0025】入力領域36は中心波長が約1175n
m、1240nm、1310nmおよび1396nmで
ある反射率の高い複数の格子52を含む。また、入力領
域36は最大の反射が、所望の出力波長λn にほぼ等し
い1480nmである高反射格子54を少なくとも1つ
含む。
【0026】入力領域36の反射格子52は、出力領域
34の対応している反射格子44と組み合わさって、そ
れらの間に以前にここで説明されたようにラマン散乱を
許容する光キャビティを規定する。詳しく言えば、反射
格子44、52はそれらの中心波長がポンプ波長(λp
=1117nm)と出力波長(λn =1480nm)と
の間の中間のラマン・ストークス・オーダに対応するよ
うに書き込まれる。動作において、図2aの従来の装置
は、入力またはポンプの波長が1117である光のエネ
ルギーを1480nmの波長の出力波長エネルギーに変
換する。
【0027】ここで図2bを参照すると、波長(λp
が約1100nmであるポンプ・レーザ14を使ってい
る従来の光ファイバ装置22が示されている。装置22
はそれに対して動作するように接続されているカスケー
ド型ラマン共振器12を、たとえば、スプライス(一般
に「X」で示されている)によって含む。
【0028】カスケード型ラマン共振器12は出力領域
34および入力領域36を備えている光ファイバ32を
含む。出力領域34は通信波長が約1156nm、12
18nm、1287nmおよび1366nmである複数
の高反射格子44、および、たとえば、最大反射波長が
約1100nm(ポンプ・レーザ14の動作波長、すな
わち、ポンプ波長λp )である高反射格子42の形式で
のポンプ反射器を含む。また、出力フィルタ格子セット
は最小反射率が光ファイバ・レーザ・システム20の所
望の出力波長(λn )にほぼ等しい低反射の、すなわ
ち、透過性の格子46を少なくとも1つ含む。
【0029】入力領域36は、中心波長が約1156n
m、1218nm、1287nm、および1366nm
である複数の高反射格子52を含む。また、領域36は
最大反射が1480nm、すなわち、所望の出力波長λ
n にほぼ等しい少なくとも1つの高反射格子54を含
む。
【0030】光ファイバ32の入力および出力の領域3
6、34に対して書き込まれる反射格子は、それぞれの
最大反射波長(すなわち、それぞれの中心波長)が、入
力ポンプ波長(1100nm)と出力波長(1450n
m)との間の中間のラマン・ストークス・オーダ(すな
わち、1156nm、1218nm、1287nm、1
366nm)に対応するように書き込まれる。動作にお
いて、図2bに示されている光ファイバ装置22は、入
力の、すなわち、ポンプの波長が1100nmである入
力の光エネルギーを1450nmの波長の出力光エネル
ギーへ変換する。
【0031】図2a〜bに示されている従来の装置につ
いての前記の説明から明らかであるように、従来の装置
においては、入力および出力の領域36、34は特定の
動作波長の入力源についてのみ使えるように構成されて
いる。たとえば、図2aに示されている装置20は動作
(ポンプ)波長λpが約1117nmであるポンプ・レ
ーザ14についてのみ使える。同様に、図2bに示され
ている装置22は、動作(ポンプ)波長λp が約110
0nmであるポンプ・レーザ14についてのみ使える。
したがって、異なる所望の出力波長λn を得るために、
異なる入力波長(したがって異なるポンプ・レーザ)が
必要である。したがって、従来の装置においては、カス
ケード型ラマン共振器は、通常は、ある波長で動作して
いる単独のポンプ・レーザについてのみ使える。
【0032】経済的な観点から、カスケード型ラマン共
振器は総合の光ファイバ・レーザ・システム装置の合計
コストの約40%を占める。したがって、ポンプ・レー
ザはその合計コストの約60%に寄与し、そして最初の
ポンプ・レーザに加えて必要な追加の各ポンプ・レーザ
は光ファイバ・レーザ・システムの総合コストに対して
さらに60%を追加する。
【0033】本発明の実施形態によれば、光は多くの光
ファイバ・レーザの応用に対して最大ではないが十分な
変換効率によって特徴付けられる波長において拡散する
刺激型のラマン拡散を使って変換される。この方法で、
ポンプ・レーザなどの光エネルギー源の有用性が有利に
拡大される。たとえば、従来は単独のカスケード型ラマ
ン共振器(CRR)の構成だけでしか使えなかったポン
プ・レーザが、本発明によると、複数のカスケード型ラ
マン共振器(CRR)の構成で使える。
【0034】ここで図3を参照すると、ラマン利得スペ
クトルのグラフ30が示されている。グラフ30から、
ラマン利得は約3THz〜15THzの範囲で延びてい
る「実用的」ラマン利得で42THzまでの周波数シフ
トに対して発生するが、最大のラマン利得に対応してい
る周波数シフトにおいて得られるよりも効率の低い動作
で発生することがわかる。したがって、本発明の実施形
態によると、カスケード型ラマン共振器および他の適切
な光ファイバ・レーザ・デバイスは、共振キャビティの
周波数シフトがこの周波数範囲内に落ちるが、理論的に
最大の変換効率を提供する周波数では必ずしもないよう
に構成される。さらに詳しく言えば、1つまたはそれ以
上の格子または他の反射手段は、それぞれの中心波長が
必ずしもラマン・ストークス・オーダの最大利得に対応
する必要がないように書き込まれる。そのような構成は
カスケード型ラマン共振器および他の適切なデバイスの
有用性を、ある種の応用において、たとえば、特定の波
長において動作するポンプ・レーザまたは他の光エネル
ギー源に対して設計されているデバイスが、他の波長に
おいて動作する光源と一緒に使える範囲に拡大する。
【0035】たとえば、本発明の実施形態によると、カ
スケード型ラマン共振器は示されている周波数範囲内で
最大化されていないが、十分な周波数シフトを考慮する
ポンプ反射器、出力反射器およびラマン・ストークス・
オーダの反射器を有する。すなわち、これらの反射器を
形成する格子ペアの1つまたはそれ以上が、1つまたは
それ以上のポンプ・レーザの動作波長の中間ストークス
・オーダの最大利得に対応して書き込まれる必要は必ず
しもない。しかし、その格子は理論的な最大反射波長の
許される範囲内で書き込まれ、したがって効率は低いが
入力の、すなわち、ポンプの波長λp から所望の出力波
長λn への十分な光変換が可能である。この方法で単独
のカスケード型ラマン共振器は従来のカスケード型ラマ
ン共振器の装置と違って、2つ以上のレーザ波長(たと
えば、λp1、λp2)から所望の出力波長λn へ光を変換
するのに十分に柔軟性がある。
【0036】ここで図4を参照すると、本発明の実施形
態に従って光ファイバ・レーザ・システム装置40が示
されている。装置40は、入力または出力の波長(λ
p )が、たとえば、1100nm、1117nmまたは
他の適切な波長、たとえば、波長が約1085nm〜1
130nmの範囲内のポンプ・レーザ14などの光エネ
ルギー源を含む。ポンプ・レーザ14は、たとえば、ス
プライス(一般的に、「x」で示されている)によって
カスケード型ラマン共振器(CRR)12に接続されて
いる。
【0037】カスケード型ラマン共振器12は、出力領
域34および入力領域36を備えている光ファイバ32
などの光伝送メディアを含む。出力領域34は、たとえ
ば、高反射格子42の形式での約1117nmの波長に
おいて最大反射が発生する出力領域34の中に書き込ま
れるポンプ反射器を含む。以下にさらに詳細に説明され
るように、高反射ポンプ格子42によって、カスケード
型ラマン共振器12が1117nmの入力波長に対して
1480nmのレージングを提供すること(すなわち、
1117/1480のCRR)が可能となる。
【0038】本発明の代わりの実施形態によると、出力
領域34も約1100nmの波長において最大反射が発
生する出力領域34の中に書き込まれる、たとえば、高
反射格子43の形式での別の反射格子を含む。以下にさ
らに詳しく説明されるように、高反射ポンプ格子42お
よび/または高反射格子43においてカスケード型ラマ
ン共振器12が1100nmの入力波長に対して148
0nmのレージング(すなわち、1100/1480の
CRR)を提供することができる。
【0039】また、出力領域34はラマン・ストークス
・オーダの波長シフトに少なくとも概略対応する波長に
おいて反射するように出力領域34の設計の中に書き込
まれる複数の反射格子44も含む。たとえば、図に示さ
れているように、出力領域34の中の反射格子は、中心
波長が約1175nm、1240nm、1310nmお
よび1390nmである。しかし、本発明の実施形態に
よると、1つまたはそれ以上の反射格子44が、たとえ
ば、それぞれの中心波長がラマン・ストークス・オーダ
の波長シフトの最大利得には対応しないが、最大利得に
対する理論的なラマン・シフトの約±20nmの範囲内
のシフトに対応し、理論的には理想的ではないが、与え
られた応用に対しては十分な変換効率を提供するように
書き込まれる。
【0040】また、出力領域34は最小の反射がラマン
・ストークス・オーダの波長シフトに対応する、たとえ
ば、約1480nmの、光ファイバ・レーザ・システム
40の所望の出力波長(λn )にほぼ等しい、少なくと
も1つの低反射または透過性の格子46も含む。しか
し、本発明の実施形態によると、低反射または透過性の
格子46は、たとえば、その最大反射がラマン・ストー
クス・オーダの波長シフト(1480nm)、すなわ
ち、1480nm±20nmの最大利得に対応しないよ
うに書き込まれる。
【0041】本発明の実施形態によると、入力領域36
の中の1つまたはそれ以上の格子52および出力領域3
4の中の格子44はラマン・ストークス・オーダの利得
の最大値に対応しないが、それらは依然として互いにマ
ッチしているか、あるいは補完し合っていることに留意
する必要がある。すなわち、格子52、44はやはり前
のように光学的キャビティを規定する必要がある。たと
えば、出力領域の中の格子44が、たとえば、1245
nm(理論的な1240nmの代わりの)において最大
の反射に対して書き込まれる場合、入力領域36の中の
対応している格子52も同様に1245nmにおいて最
大の反射に対して書き込まれる必要がある。この方法
で、適切なラマン散乱に対して必要な規定された光学的
キャビティが維持される。
【0042】入力領域36は出力領域34の中の複数の
反射格子44にマッチするか、あるいは補完するよう
に、すなわち、少なくとも概略的にラマン・ストークス
・オーダの波長シフトに対応するように書き込まれる複
数の高反射格子52を含む。詳しく言えば、反射格子4
4と反射格子52の両方が約1175nm、1240n
m、1310nmおよび1396nmの中心波長を持つ
ように書き込まれる。
【0043】また、入力領域36は、たとえば、高反射
格子54の形式での高反射出力反射器も含む。高反射格
子54はその最大反射がほぼ所望の出力波長λn におい
て発生するように入力領域36の内部に書き込まれる。
【0044】動作において、入力領域36の反射格子5
2は、出力領域34の対応している反射格子44と組み
合わさって、それらの間に以前にここで開示されたよう
に、ラマン散乱を許容する光学的キャビティを規定す
る。詳しく言えば、ポンプ・レーザ14(たとえば、入
力波長λp が約1100nmまたは1117nmであ
る)からの入力光エネルギーが本質的に妨げられないで
入力領域36を通過する。そのとき、光エネルギーは実
質的に、入力領域36と出力領域34との間の光ファイ
バ32の領域におけるラマン散乱によって1175nm
に変換される。初期に変換されない光は高反射格子42
(1117nm)および/または高反射格子43(11
00nm)によって、2つの1175nmの格子によっ
て規定される光学的キャビティの中へ反射される。
【0045】その(変換された)1175nmの光は次
に2つの1175nmの格子によって入力領域36と出
力領域34との間の光ファイバ32の領域の中に反射さ
れて戻され、そこでラマン散乱によって1240nmに
実質的に変換される。その1240nmの光は、次に2
つの1175nmの格子によって入力領域36と出力3
4との間の光ファイバ32の領域に反射されて戻され、
ラマン散乱によって実質的に1310nmに変換され
る。同様に、その1310nmの光は1396nmに変
換され、次に1480nmに変換される。
【0046】所望の出力波長(λn )において伝搬す
る、その(変換された)1480nmの光は、次に入力
領域36の中の高反射格子54によって反射される。1
480nmの光は次に低反射または透過性の格子46お
よび出力領域34の残りの部分を通過して共振器12の
出力に達する。
【0047】従来の装置においては、高反射ポンプ反射
器の格子はポンプ・レーザの波長(λp )にほぼ等しい
反射が最大となる波長を持つように書き込まれる。ラマ
ン・ストークス・オーダの反射器格子は所望の入力波長
(λp )から最大利得に対する理論的な最大周波数シフ
トに基づいて書き込まれ、低反射出力反射器の格子は所
望の出力波長(λn )に対応している反射を満足するよ
うに書き込まれる。
【0048】たとえば、従来の装置においては、動作波
長が1100nmのポンプ・レーザの場合、ポンプ反射
器は最大の反射が1100nmの波長において発生する
ように書き込まれる。また、最大の利得に対応するラマ
ン周波数シフトは、たとえば、1156nm、1218
nm、1287nmおよび1366nmの波長において
発生し、したがって、ラマン・ストークス・オーダの反
射器格子はこれらの周波数シフトに対応するように書き
込まれる。最後に、出力反射器の格子は最小の反射が1
450nmの波長において発生するように書き込まれ
る。たとえば、図2aおよび上記の対応している説明を
参照されたい。
【0049】同様に、従来の装置においては、動作波長
が1117nmのポンプ・レーザの場合、ポンプ反射器
は1117nmの波長において反射が最大になるように
書き込まれる。また、最大利得に対応するラマン周波数
シフトは、たとえば、1175nm、1240nm、1
319nm、および1396nmの波長において発生
し、したがって、ラマン・ストークス・オーダの反射器
格子はこれらの周波数シフトに対応するように書き込ま
れる。出力反射器の格子は最小の反射が1480nmの
波長において発生するように書き込まれる。たとえば、
図2bおよび上記の対応している説明を参照されたい。
【0050】しかし、本発明の実施形態は、ラマンの利
得スペクトルの幅が約60nmであることを有利に認識
する。したがって、たとえば、1100nmの波長にお
いて動作しているポンプ・レーザはたとえば、1120
nm〜1180nmの波長から利得を提供する。そのよ
うな利得は、たとえば、1117nmのポンプ・レーザ
で動作するように設計され(すなわち、1117/14
80のCRR)、1117nmからの第1のラマン・シ
フトに対する最大利得は1175nmにおいて発生す
る。したがって、本発明の実施形態に従って、たとえ
ば、図4に示されているように構成された1117/1
480のCRRは、1117nmのポンプ・レーザによ
ってポンプされるだけでなく(従来行われているよう
に)、1100nmのポンプ・レーザによっても同様に
ポンプされる。
【0051】同様に、60nmの幅の利得のスペクトル
は1100nmのポンプ・レーザで動作するように設計
されているカスケード型ラマン共振器(すなわち、11
00/1450のCRR)が1117nmのポンプ・レ
ーザによってポンプされるだけでなく(従来行われてい
るように)、1100nmのポンプ・レーザによっても
ポンプされるのに十分である。本発明の実施形態に従っ
て構成された1100/1450のCRRが、光ファイ
バ・レーザ・システム装置50の一部として図5に示さ
れている。
【0052】光ファイバ・レーザ・システム装置50は
ポンプ波長(λp )が約1100nmであるポンプ・レ
ーザ14などの光エネルギー源を含む。ポンプ・レーザ
14は、カスケード型ラマン共振器(CRR)12に接
続されている。カスケード型ラマン共振器12は出力領
域34および入力領域36を備えた光ファイバ32を含
む。出力領域34は最大反射が約1100nmにおいて
発生するように書き込まれるポンプ反射器(たとえば、
高反射格子42)を含む。
【0053】本発明の実施形態によると、出力領域34
は、たとえば、高反射格子45の形式で、最大反射が約
1117nmの波長において発生するように出力領域3
4において書き込まれる別のポンプ反射器を含む。カス
ケード型ラマン共振器12が1117nmの入力波長に
対して1450nmのレージング(すなわち、1117
〜1450のCRR)を提供することができるのは、高
反射格子45の追加によるものである。
【0054】出力領域34において書き込まれる反射格
子44は、少なくとも概略的に、最大利得に対応してい
るラマン・ストークス・オーダの波長シフトに対応す
る。したがって、1100/1450のCRRの場合、
反射格子44の中心波長は、理論的な最大のラマン散乱
の変換効率に対して約1175nm、1240nm、1
310nmおよび1396nmである。しかし、本発明
の実施形態によると、1つまたはそれ以上の反射格子4
4は最大利得のラマン・ストークス・オーダの波長シフ
トには対応せず、理論的に理想的な場合より低いが、与
えられた応用に対しては十分な変換効率を提供するシフ
トに対応する。さらに詳しくいえば、1つまたはそれ以
上の格子44は前記の中央波長の±20nmの範囲内で
書き込まれる。
【0055】また、出力領域34は約1450nmにお
いて最大反射に対して書き込まれる少なくとも1つの低
反射または透過性の格子46も含む。しかし、本発明の
実施形態によると、透過性の格子46は、たとえば、そ
の反射がラマン・ストークス・オーダの波長シフト(1
450nm)の最大利得に対応しないように書き込まれ
る。たとえば、格子46はその最大反射が1450±2
0nmにあるように書き込まれる。
【0056】入力領域36は、たとえば、中心波長が理
論的な最大のラマン散乱変換効率に対する約1175n
m、1240nm、1310nm、および1396nm
となるように書き込まれる複数の高反射格子52を含
む。また、入力領域36はその高反射格子の最大反射が
約1450nm(すなわち、λn )において発生するよ
うに書き込まれる高反射格子54も含む。しかし、本発
明の1つの実施形態によると、少なくとも1つの格子5
2および/または格子54が、たとえば、その最大反射
がラマン・ストークス・オーダの波長シフト(1450
nm)の最大利得に対応しないように書き込まれる。さ
らに詳しく言えば、1つまたはそれ以上の格子52、5
4が前記の中央波長の±20nmの範囲内で書き込まれ
る。
【0057】ここで前に説明されたように、1つまたは
それ以上の格子52および44は、本発明の実施形態に
よると、ラマン・ストークス・オーダの最大利得には対
応しないが、その格子は依然としてそれぞれの対応して
いる格子にマッチするか、あるいはそれらを補完する必
要がある。すなわち、格子52、44は、やはり前記の
ように光学的キャビティを規定する必要がある。たとえ
ば、出力領域34の中の格子44が、たとえば、136
0nm(理論的な1366nmの代わりに)において最
大反射となるように書き込まれる場合、入力領域36の
中の対応している格子52も同様に最大反射が1360
nmにおいて発生するように書き込まれる必要がある。
この方法で、適切なラマン散乱のために必要な規定され
た光学的キャビティが維持される。
【0058】動作において、光ファイバ・レーザ・シス
テム装置50は入力波長(λp )が1100nmの入力
光を1450nmの出力波長(λn )の光に、従来の方
法で変換する。しかし、本発明の実施形態によると、光
ファイバ・レーザ・システム装置50は1117nmの
入力波長(λp )の光も1450の出力波長(λn )の
光に変換する。
【0059】また、本発明の実施形態による有利な実現
によって、1つまたはそれ以上のラマン・ストークス・
オーダ反射器格子ペアの書込みが単に理論的な最大利得
のラマン周波数シフトにおいてではなく、カスケード型
ラマン共振器の中で必要な変換周波数に基づいて変化す
ることを許す。同様に、理論的な最大利得のラマン周波
数シフトだけの代わりに、必要な変換周波数によって変
わる高反射ポンプ反射器および/または低反射出力反射
器の書込みを変化させることができる。
【0060】ここで図6a〜bを参照すると、各種のポ
ンプ・パワー強度に対するシミュレートされたポンプ吸
収と光ファイバの長さとの関係のグラフが示されてい
る。図6aのグラフから、比較的大きいポンプ・パワー
(たとえば、約4Wより大きいポンプ・パワー)に対し
て、ほとんどの光は実際的に、たとえば、光ファイバの
最初の100mの範囲内で吸収されることが分かる。し
たがって、本発明の代わりの実施形態によると、比較的
大きいポンプ・パワー(たとえば、4W以上)において
動作しているとき、ポンプ反射器は不要である。逆に、
図6bに示されているように、ポンプのパワーが小さい
場合、約500m後でも、光の大部分はファイバによっ
て吸収されない。
【0061】ここで図7を参照すると、本発明の1つの
代わりの実施形態による光ファイバ・レーザ・システム
装置70が示されている。詳しく言えば、光ファイバ・
レーザ・システム装置70は比較的大きいポンプ・パワ
ー(たとえば、4W以上)で動作するポンプ・レーザ1
4を備えたカスケード型ラマン共振器12を組み合わせ
て使用している。図に示されているように、光ファイバ
・レーザ・システム装置70は、出力領域34および入
力領域36を備えている光ファイバ32を含む。出力領
域34はたとえば、中間のストークス・オーダ(λ
n-1 ,λn-2 ,λn-3 ,...)に少なくとも概略的に
対応するように書き込まれる複数の格子44を含む。同
様に、入力領域36は、たとえば、中間のストークス・
オーダ(λn-1 ,λn-2 ,λn-3 ,...)に少なくと
も概略的に対応するように書き込まれる複数の格子52
を含む。また、入力領域36は最大反射の波長が所望の
出力波長(λn )にほぼ等しい高反射格子54を含む。
【0062】しかし、本発明のこの代替実施形態によれ
ば、カスケード型ラマン共振器12はポンプ反射器を含
まない。ここで前に説明されたように、大きいポンプ・
パワー(たとえば、約4Wより大きい)で動作している
ポンプ・レーザ14の場合、光ファイバの最初の100
m以内で十分な吸収が発生し、したがって、その光変換
デバイスの内部にはポンプ反射器が不要となる場合が多
い。したがって、ポンプ・パワーが比較的小さい(たと
えば、約4Wより小さい)場合、ポンプ・レーザの特定
の波長(λp )に対応しているポンプ反射器は、その出
力格子セットにおいて書き込まれなければならない場合
がある。
【0063】図7に示されている本発明のカスケード型
ラマン共振器装置70は、たとえば、図4に示されてい
る本発明の装置40と比較される。図4の装置において
は、カスケード型ラマン共振器12は、最大反射が11
17nmの波長において発生するように書き込まれるポ
ンプ反射器42を含み、図5に示されている本発明の装
置50では、カスケード型ラマン共振器12は1100
nmの波長において最大反射となるように書き込まれる
ポンプ反射器42を含む。
【0064】本発明による光ファイバ・レーザ・システ
ム装置およびデバイスは従来の装置より複雑でなく安価
である。さらに、本発明による装置のスケーラブルなパ
ワーの特徴は追加の柔軟性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な光ファイバ・レーザ・システムの概略
図である。
【図2a】従来の光ファイバ・レーザ・システム装置の
概略図である。
【図2b】従来の光ファイバ・レーザ・システム装置の
概略図である。
【図3】溶融シリカ・ファイバの光伝送メディアで、約
1μmのポンプ波長の場合のラマン利得のスペクトルの
グラフを示す図である。
【図4】本発明の1つの実施形態による光ファイバ・レ
ーザ・システムの概略図である。
【図5】本発明の別の実施形態による光ファイバ・レー
ザ・システムの概略図である。
【図6a】大きいポンプ・パワーに対する光の吸収と光
ファイバの長さとの関係を示すグラフを示す図である。
【図6b】小さいポンプ・パワーに対する光の吸収と光
ファイバの長さとの関係を示すグラフを示す図である。
【図7】本発明の代わりの実施形態による光ファイバ・
レーザ・システムの概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウィリアム アルフレッド リード アメリカ合衆国 07901 ニュージャーシ ィ,サミット,ブラックバーン ロード 143

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力波長がλp である光エネルギー源を
    含んでいる光通信システム(10)の内部で光エネルギ
    ーを入力波長λp より大きい出力波長λnに変換するた
    めの装置において、 前記光エネルギー源に結合されている光伝送メディア
    (32)と、 前記光伝送メディアにおいて形成され、前記出力波長λ
    n において光エネルギーを放射するための光学的キャビ
    ティを規定する少なくとも1つのペアの格子(44、4
    6、52、54)とを含み、 前記格子の少なくとも1つのペアはラマン・ストークス
    ・オーダのシフトに対する最大利得には対応しない波長
    において前記光伝送メディアの中で書き込まれ、光エネ
    ルギーはラマン・ストークス・オーダのシフトに対する
    最大利得に対応する波長において格子が書き込まれた場
    合よりも小さい効率で変換され、最大の反射効率はラマ
    ン・ストークス・オーダのシフトに対応する波長におい
    て発生するようになっており、 規定された光学的キャビティは入力波長λp の光エネル
    ギーを出力波長λn の光エネルギーに変換するようにな
    っている装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、入力波
    長λp における光エネルギーの最大反射を提供する波長
    において前記光伝送メディア内に形成される反射格子を
    さらに含む装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の装置において、前記光
    伝送メディアの中で第1の入力波長λp1において光エネ
    ルギーの最大反射を提供する波長において形成されてい
    る第1の反射格子と、第2の入力波長λp2において光エ
    ネルギーの最大反射を提供する波長において前記光伝送
    メディア内に形成されている第2の反射格子とをさらに
    含み、第1および第2の入力波長のうちの少なくとも1
    つが入力波長λp とは異なっている装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の装置において、ラマン
    ・ストークス・オーダのシフトの最大利得に対応してい
    ない波長における格子が、ラマン・ストークス・オーダ
    のシフトの最大利得に対応する波長の約±20nmの範
    囲内にある装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の装置において、最大効
    率より低い効率で反射を提供する波長において前記光伝
    送メディア内に形成された少なくとも1つの反射格子を
    さらに含んでいて、反射格子の波長は入力波長λp のラ
    マン・ストークス・オーダのシフトの最大利得には対応
    しないが、入力波長λp のラマン・ストークス・オーダ
    のシフトの最大利得に対応する波長の約±20nm内に
    あるようになっている装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の装置において、前記光
    伝送メディアは入力領域および出力領域を含み、前記少
    なくとも1つのペアの格子は、前記入力領域において書
    き込まれる少なくとも1つの格子および、前記出力領域
    において書き込まれる補完用の格子をさらに含む装置。
  7. 【請求項7】 光エネルギーを出力波長λn に変換する
    ためのカスケード型ラマン共振器(CRR)(12)で
    あって、 入力領域(36)および出力両方(34)を含んでい
    る、入力波長がλp である光エネルギー源に結合するた
    めの光伝送メディア(32)と、 出力波長λn に対応していて、前記光伝送メディアの入
    力領域の中に形成されている第1の反射格子(54)
    と、 n≧2の中間のラマン・ストークス・オーダのシフトλ
    1 ,λ2 ,...,λn に対応している、前記光伝送メ
    ディアの入力領域内に形成されている少なくとも1つの
    第2の反射格子(52)と、 n≧2の中間のラマン・ストークス・オーダのシフトλ
    1 ,λ2 ,...,λn に対応していて前記光伝送メデ
    ィアの出力領域内に形成され、それぞれの第2の格子を
    補完し、ラマン散乱の前記光伝送メディア内に光学的キ
    ャビティが規定される方法で対になっている格子を形成
    する少なくとも1つの第3の反射格子(44)と、 出力波長λn において光エネルギーの最大反射を提供す
    る波長において前記光伝送メディアの出力領域の中で書
    き込まれ、前記第1の反射格子を補完していて、前記光
    伝送メディアの内部で格子のペアを形成している少なく
    とも1つの透過性の格子(46)とを含み、 第2の反射格子およびそれぞれの第3の反射格子によっ
    て形成される少なくとも1つの格子ペアの格子が、ラマ
    ン・ストークス・オーダのシフトの最大利得に対応しな
    い波長において書き込まれ、光エネルギーは、前記反射
    格子がラマン・ストークス・オーダのシフトの最大利得
    に対応する波長において書かれた場合より低い効率で変
    換されるようになっているカスケード型ラマン共振器。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の装置において、前記光
    伝送メディアの出力領域において形成され、入力波長λ
    p において光エネルギーの最大の反射を提供する波長に
    おいて形成されている反射ポンプ格子をさらに含む装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の装置において、第1の
    入力波長λp1において光エネルギーの最大反射を提供す
    る波長において、前記光伝送メディアの出力領域の中に
    形成されている反射ポンプ格子と、第2の入力波長λp2
    において光エネルギーの最大反射を提供する波長におい
    て前記光伝送メディアの出力領域の中に形成されている
    第2のポンプ反射格子とをさらに含み、第1および第2
    の入力波長のうちの少なくとも1つが入力の波長λp
    異なっている装置。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載の装置において、ラマ
    ン・ストークス・オーダのシフトの最大利得に対応して
    いない波長における格子が、ラマン・ストークス・オー
    ダのシフトの最大利得に対応している波長の約±20n
    mの範囲内の波長において書き込まれるようになってい
    る装置。
  11. 【請求項11】 請求項7に記載の装置において、最大
    効率より低い効率で反射を提供する波長において、前記
    伝送メディアの出力領域において形成されている少なく
    とも1つの反射格子をさらに含み、その反射格子の波長
    は入力の波長λpのラマン・ストークス・オーダのシフ
    トの最大利得には対応しないが、入力波長λpのラマン
    ・ストークス・オーダのシフトの最大利得の約±20n
    mの範囲内にあるようになっている装置。
  12. 【請求項12】 光通信システム(10)であって、 入力波長がλpである光エネルギー源(14)と、 前記エネルギー源に対して光学的に結合されていて、入
    力領域(36)および出力領域(34)を有しているカ
    スケード型ラマン共振器(12)であって、前記入力領
    域は出力波長λn に対応している波長においてその中に
    形成されている反射格子(54)、およびn≧2の中間
    のストークス・オーダのλ1 ,λ2 ,...,λn に対
    応している波長においてその中に形成されている少なく
    とも1つの反射格子(52)とを含み、そして前記出力
    領域は中間のストークス・オーダλ1 ,λ2 ,...λ
    n に対応している波長においてその中に形成されている
    少なくとも1つの反射格子(44)と、出力波長λn
    対応している波長においてその中に形成されている透過
    性の格子(46)を含んでいるラマン共振器とを含み、 入力領域の格子および対応している出力領域の格子によ
    って形成されている格子のペアのうちの少なくとも1つ
    が、ラマン・ストークス・オーダのシフトの最大利得に
    は対応しない波長において書き込まれ、光エネルギーは
    その格子がラマン・ストークス・オーダのシフトの最大
    利得に対応する波長において書き込まれた場合よりは低
    い効率で変換され、最大の反射効率はラマン・ストーク
    ス・オーダのシフトに対応する波長において発生するよ
    うになっているシステム。
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