JP2000026880A - 潤滑システム - Google Patents

潤滑システム

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JP2000026880A
JP2000026880A JP10213552A JP21355298A JP2000026880A JP 2000026880 A JP2000026880 A JP 2000026880A JP 10213552 A JP10213552 A JP 10213552A JP 21355298 A JP21355298 A JP 21355298A JP 2000026880 A JP2000026880 A JP 2000026880A
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Japan
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zinc
lubricating oil
molybdenum
sliding portion
lubrication system
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JP10213552A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Iwasaki
浩之 岩崎
Shigeko Taguchi
滋子 田口
Hiroshi Nakanishi
博 中西
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Tonen General Sekiyu KK
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
Petroleum Energy Center PEC
Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車のエンジンなどの内燃機関、ギヤ及び
自動変速機などの動力伝達機構、油圧機構、軸受け、又
は摺動部を有する機関などの、潤滑油が関与する種々の
摩擦部分で、低摩擦係数を与える潤滑システムを提供す
る。 【解決手段】 潤滑油に有機モリブデン化合物と硫黄供
給成分を含有した潤滑油組成物(MoとSが10〜10
000重量ppm)を用い、摩擦面の摺動部材に亜鉛が
含有する金属材料(Znが0.01〜10体積%)を用
いる潤滑システムを提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動部位の摩擦を
低減させるための潤滑システムに関し、さらに詳しく
は、摺動部位を有する、自動車のエンジンなどの内燃機
関、ギヤ及び自動変速機などの動力伝達機構、油圧機
構、軸受け等に用いられる潤滑システムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、摺動部位を有する機関である、
内燃機関や、自動変速機、緩衝器、パワーステアリング
などの駆動系機器や、ギヤなどには、その作動を円滑に
するために潤滑油が用いられている。特に内燃機関用潤
滑油は、主としてピストンリングとシリンダライナ、ク
ランク軸やコネクティングロツドの軸受、カムとパルプ
リフタを含む動弁機構など、各種摺動部分の潤滑のほ
か、エンジン内の冷却や燃焼生成物の清浄分散、さらに
は錆や腐食を防止するなどの作用を果たす。このよう
に、内燃機関用潤滑油には、多様な性能が要求され、し
かも近年、内燃機関の高性能化、高出力化、運転条件の
苛酷化などに伴い、高度な性能が要求されてきている。
このため、内燃機関用潤滑油には、このような要求性能
を満たすための各種添加剤、例えば摩耗防止剤、金属清
浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤などが配合されている。
内燃機関用潤滑油の基本的機能として、特にあらゆる条
件下で機関を円滑に作用させ、摩耗、焼付き防止を行う
ことが重要である。エンジン潤滑部は、大部分が流体潤
滑状態にあるが、動弁系やピストンの上下死点などでは
境界潤滑状態となりやすく、このような境界潤滑下にお
ける摩耗防止性は、一般にジチオリン酸亜鉛やジチオカ
ルバミン酸亜鉛の添加によって付与されている。ところ
で、内燃機関では、潤滑油が関与する摩擦部分でのエネ
ルギー損失が大きいために、摩擦損失低減や燃費低減対
策として、例えば、特公平3−23595号公報等に示
すように、摩擦調整剤を始め、各種の添加剤を組み合わ
せた潤滑油が使用されている。自動車の内燃機関は、広
範囲の油温度、回転数、負荷で運転されており、したが
って、さらに燃費を向上させるためには、内燃機関用潤
滑油は、広範囲の使用条件下での摩擦特性に優れる必要
がある。
【0003】従来、潤滑油の摩擦係数を低くするため
に、有機モリブデン化合物の添加、有機モリブデン化合
物と金属系清浄剤の組合せ配合(例えば特公平6−62
983号公報)、又は有機モリブデン化合物と硫黄系化
合物の組合せ配合(例えば特公平5−83599号公
報)などが行われている。また、ギヤ油等の動力伝達油
でも、伝達効率や省燃費性能の向上のため、有機モリブ
デン化合物とリン酸エステルの組合せ配合(例えば特公
平3−68920号公報)などが提案されている。しか
しながら、これらの提案にも拘わらず、未だ充分な低摩
擦特性を持った潤滑システムは少なかった。そのため
に、摩擦調整剤、特に有機モリブデン化合物の効果を最
大限に発揮する添加剤配合を中心とする潤滑油側からの
改善と、摺動部位を有する機関側からの改善とを組み合
わせた、総合的な潤滑システムの技術開発が強く望まれ
てきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の潤滑システムのもつ問題点を解消するため、潤滑油側
からの改善と摺動部位を有する機関側からの改善とを組
み合わせることにより、自動車のエンジンなどの内燃機
関、ギヤ及び自動変速機などの動力伝達機構、油圧機
構、軸受け、又は摺動部を有する機関などの、潤滑油が
関与する種々の摩擦部分で、低摩擦係数を与える新規な
潤滑システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に対し鋭意研究を重ねた結果、潤滑油添加剤として有用
な有機モリブデン化合物の潤滑メカニズムに関する従来
の定説、すなわち、モリブデンと、該有機モリブデン化
合物の分子内に存在する硫黄原子又は有機モリブデン化
合物以外の添加剤の分子内等に存在する硫黄原子とが、
摺動部位表面で結合し、その結果生成した二硫化モリブ
デンが潤滑性能を発揮すると考えられてきた潤滑メカニ
ズムを見直し、潤滑油に有機モリブデン化合物と硫黄原
子を含有した潤滑油組成物を用い、さらに摩擦面の摺動
部材に亜鉛を含有する金属材料を用いると、摩擦面の摩
擦係数が驚異的に低くなることを見出した。本発明は、
これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0006】すなわち、本発明によれば、摺動部位の摩
擦を低減させるための潤滑システムであって、(A)該
摺動部位に使用される潤滑油は、モリブデン(Mo)成
分をMo量として10〜10000重量ppm、さらに
硫黄(S)供給成分をS量として10〜10000重量
ppm含有し、かつ、(B)該摺動部位には、亜鉛(Z
n)元素が摺動部位単位体積当たり0.01〜10体積
%存在する、ことを特徴とする潤滑システムが提供され
る。
【0007】本発明は、上記した如く、モリブデン(M
o)と硫黄(S)を含有した潤滑油と摩擦面の摺動部材
に亜鉛を含有した金属材料を用いた、新規な潤滑油シス
テムに係わるものであるが、その好ましい態様として
は、次のものが包含される。
【0008】摺動部位に存在する亜鉛(Zn)元素
が、潤滑油添加剤成分の亜鉛含有化合物から供給される
ことを特徴とする上記記載の潤滑システム。 潤滑油添加剤成分の亜鉛含有化合物が、ジチオリン酸
亜鉛及びジチオカルバミン酸亜鉛からなる群より選ばれ
る少なくとも1種の亜鉛含有化合物であることを特徴と
する前記記載の潤滑システム。 摺動部位に存在する亜鉛(Zn)元素が、潤滑油中に
分散した硫化亜鉛微粒子から供給されることを特徴とす
る上記記載の潤滑システム。 摺動部位に存在する亜鉛(Zn)元素が、潤滑油中に
分散した酸化亜鉛微粒子又は硫化亜鉛微粒子から供給さ
れ、その添加量は、潤滑油組成物全重量基準で、亜鉛の
量として100〜5000重量ppmであることを特徴
とする上記の潤滑システム。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。 1.潤滑油 (1)潤滑油基油 本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑油組成物にお
いて、該潤滑油組成物に用いられる基油は、特に限定さ
れるものではなく、一般に潤滑油基油として用いられて
いるものならば何でも使用することができる。すなわ
ち、これらに該当するものとしては、鉱油、合成油、或
いはそれらの混合油がある。
【0010】鉱油としては、原油の常圧又は減圧蒸留に
より誘導される潤滑油原料をフェノール、フルフラー
ル、N−メチルピロリドンの如き芳香族抽出溶剤で処理
して得られる溶剤精製ラフィネート、潤滑油原料を水素
化処理用触媒の存在下において水素化処理条件下で水素
と接触させて得られる水素化処理油、ワックスを異性化
用触媒の存在下において異性下条件下で水素と接触させ
て得られる異性化油、あるいは溶剤精製工程と水素化処
理工程及び異性化工程等を組み合わせて得られる潤滑油
留分などを挙げることができる。いずれの製造法におい
ても、脱蝋工程、水素化仕上げ工程、白土処理工程等の
工程は、常法により、任意に採用することができる。鉱
油の具体例としては、軽質ニュートラル油、中質ニュー
トラル油、重質ニュートラル油及びブライトストック等
が挙げられ、要求性状を満たすように適宜混合すること
により基油を調整することができる。
【0011】合成油としては、例えば、ポリα−オレフ
ィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキ
ルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、
ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレ
ングルコールエーテル、シリコーン油等を挙げることが
できる。
【0012】これらの基油は、それぞれ単独で、あるい
は二種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と
合成油を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用す
る基油は、100℃において、通常、2〜20mm2
sの動粘度を有し、好適な動粘度は3〜15mm2/s
の範囲である。潤滑油基油の動粘度が高すぎると、撹拌
抵抗が大になり、また流体潤滑域での摩擦係数が高くな
り、省燃費特性が悪化し、逆に動粘度が低すぎると、内
燃機関の動弁系、ピストン、リングや軸受等の摺動部、
動力伝達機構のギヤや、自動変速機のギヤ軸受、クラッ
チ等の摺動部において摩耗が増加するという難点が生じ
る。
【0013】(2)モリブデン(Mo)成分 本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑油組成物にお
いて、該潤滑油組成物の必須で有用なモリブデン成分
は、分子内にモリブデンを含有した化合物であれば、何
でも使用することができるが、好ましいものは、モリブ
デンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデンジ
チオホスフェート(MoDTP)、モリブデンホスフェ
ート、又はモリブデンアミン錯体などの少なくとも1種
の有機モリブデン化合物である。
【0014】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
のモリブデン成分として用いることができるモリブデン
ジチオカルバメートは、次の一般式(1)で表される化
合物である。 一般式(1)
【0015】
【化1】 (式中、R1は、それぞれ炭素数7〜24の炭化水素基
であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、
XはS又は0である。)
【0016】前記一般式(1)におけるR1により表さ
れる炭素数7〜24の炭化水素基としては、例えば、炭
素数7〜24のアルキル基、炭素数7〜24のアルケニ
ル基、炭素数7〜24のシクロアルキル基、炭素数7〜
24のアリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記ア
ルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分
枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油組成物において
は、R1により表される炭化水素基の炭素数が8〜18
であることが特に好ましい。R1で表される炭化水素基
の具体例としては、オクチル、ノニル、デシル、ウンデ
シル、ドデシル、トリデシル、オクテニル、ノネニル、
デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、
テトラデセニル、へキサデセニル、オクタデセニル、ジ
メチルシクロへキシル、エチルシクロヘキシル、メチル
シクロヘキシルメチル、シクロへキシルエチル、プロピ
ルシクロへキシル、プチルシクロヘキシル、へプチルシ
クロへキシル、ジメチルフェニル、メチルペンジル、フ
ェネチル、ナフチル、ジメチルナフチル基などを挙げる
ことができる。
【0017】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
のモリブデン成分として用いることができるモリブデン
ジチオホスフェートは、次の一般式(2)で表される化
合物である。 一般式(2)
【0018】
【化2】 (式中、R2は、それぞれ炭素数3〜24の炭化水素基
であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、
XはS又は0である。)
【0019】前記一般式(2)におけるR2により表さ
れる炭素数3〜24の炭化水素基としては、例えば、炭
素数3〜24のアルキル基、炭素数3〜24のアルケニ
ル基、炭素数3〜24のシクロアルキル基、炭素数3〜
24のアリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記ア
ルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分
枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油システムで、潤
滑油組成物においては、R2により表される炭化水素基
の炭素数が8〜18であることが特に好ましい。R2
表される炭化水素基の具体例としては、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オク
テニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニ
ル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、
オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシク
ロヘキシル、メチルシクロヘキシルメチル、シクロへキ
シルエチル、プロピルシクロへキシル、プチルシクロヘ
キシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、
メチルペンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフ
チル基などを挙げることができる。
【0020】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
のモリブデン成分として用いることができるモリブデン
ホスフェートは、次の一般式(3)で表される化合物で
ある。 一般式(3)
【0021】
【化3】 (式中、R3は、それぞれ炭素数3〜24の炭化水素基
であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、
x、y、zは3以下である。)
【0022】前記一般式(3)におけるR3により表さ
れる炭素数3〜24の炭化水素基としては、例えば、炭
素数3〜24のアルキル基、炭素数3〜24のアルケニ
ル基、炭素数3〜24のシクロアルキル基、炭素数3〜
24のアリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記ア
ルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分
枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油システムで、潤
滑油組成物においては、R3により表される炭化水素基
の炭素数が8〜18であることが特に好ましい。R3
表される炭化水素基の具体例としては、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オク
テニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニ
ル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、
オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシク
ロヘキシル、メチルシクロヘキシルメチル、シクロへキ
シルエチル、プロピルシクロへキシル、プチルシクロヘ
キシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、
メチルペンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフ
チル基などを挙げることができる。
【0023】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
のモリブデン成分として用いることができるモリブデン
アミン錯体は、次の一般式(4)で表される化合物であ
る。 一般式(4)
【0024】
【化4】 (式中、R4は、それぞれ炭素数3〜24の炭化水素基
であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、
x、y、zは3以下である。)
【0025】前記一般式(4)におけるR4により表さ
れる炭素数3〜24の炭化水素基としては、例えば、炭
素数3〜24のアルキル基、炭素数3〜24のアルケニ
ル基、炭素数3〜24のシクロアルキル基、炭素数3〜
24のアリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記ア
ルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分
枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油システムで、潤
滑油組成物においては、R4により表される炭化水素基
の炭素数が8〜18であることが特に好ましい。R4
表される炭化水素基の具体例としては、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オク
テニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニ
ル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、
オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシク
ロヘキシル、メチルシクロヘキシルメチル、シクロへキ
シルエチル、プロピルシクロへキシル、プチルシクロヘ
キシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、
メチルペンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフ
チル基などを挙げることができる。
【0026】本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑
油組成物においては、上記の有機モリブデン化合物を、
1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よく、組成物全重量基準で、有機モリブデン化合物をM
o量として10〜10000重量ppm、好ましくは1
00〜2000重量ppm、更に好ましくは500〜1
000重量ppmとなるように配合する。有機モリブデ
ン化合物の配合量が、組成物全重量基準でMo量として
10重量ppm未満であると、摩擦特性の向上効果が十
分に発揮されないし、10000重量ppmを超える
と、その量の割には効果の向上が認められず、またスラ
ッジ生成の原因となりやすい。
【0027】本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑
油組成物は、これら有機モリブデン化合物を必須成分と
して含有させることにより、自動車のエンジンなどの内
燃機関、ギヤ及び自動変速機などの動力伝達機構、油圧
機構、軸受け、又は摺動部を有する機関などの潤滑油と
して用いられた場合、潤滑油が関与する種々の摩擦部分
で、低摩擦特性の顕著な効果を奏する。
【0028】(3)硫黄供給成分 本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑油組成物は、
潤滑油基油に必須成分として、上記のモリブデン成分以
外に硫黄供給成分を含有するものである。すなわち、上
記のモリブデン成分の有機モリブデン化合物の効果を最
大限に発揮するために、硫黄分を必要とするものであ
る。硫黄分としては、潤滑油基油に含有されるもの、有
機モリブデン化合物分子内に含まれるもの、又は添加剤
として配合された硫黄供給成分からのものがある。好ま
しいのは、有機モリブデン化合物分子内に含まれた硫黄
分又は添加剤として配合された硫黄供給成分からの硫黄
分である。硫黄供給成分として、有効なのは、ジブチル
ジサルファイドとジベンジルジサルファイド等の無灰系
サルファイド化合物、硫化油脂、テトラアルキルチオパ
ーオキシホスフェート、ジチオカルバミン酸亜鉛とジチ
オカルバミン酸ビスマス等のジチオカルバミン酸金属
塩、ジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。中でも特に好ま
しいのは、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜
鉛、ジチオカルバミン酸ビスマス、無灰系サルファイド
化合物、又はテトラアルキルチオパーオキシホスフェー
トである。これらを有機モリブデン化合物と併用する
と、摩擦低減性能に優れたものになる。
【0029】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
の硫黄供給成分として用いることができるジチオリン酸
亜鉛としては、耐摩耗剤又は酸化防止剤として配合され
るものであるが、次の一般式(5)で表される化合物で
ある。 一般式(5)
【0030】
【化5】 (式中、R5は炭素数3〜18の炭化水素基であり、そ
れらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0031】前記一般式(5)におけるR5により表さ
れる炭素数3〜18の炭化水素基としては、例えば、炭
素数3〜18の直鎖及び/又は分枝のアルキル基又はア
リール基である。本発明の潤滑油組成物においては、R
5により表される炭化水素基の炭素数が3〜12である
ことが特に好ましい。R5で表される炭化水素基の具体
例としては、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、
オクチル、ラウリル基などを挙げることができる。
【0032】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
の硫黄供給成分として用いることができるジチオカルバ
ミン酸亜鉛としては、耐摩耗剤として配合されるもので
あるが、次の一般式(6)で表される化合物である。 一般式(6)
【0033】
【化6】 (式中、R6は炭素数3〜18の炭化水素基であり、そ
れらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0034】前記一般式(6)におけるR6により表さ
れる炭素数3〜18の炭化水素基としては、例えば、炭
素数3〜18の直鎖及び/又は分枝のアルキル基又はア
リール基である。本発明の潤滑油組成物においては、R
6により表される炭化水素基の炭素数が3〜12である
ことが特に好ましい。R6で表される炭化水素基の具体
例としては、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、
オクチル、ラウリル基などを挙げることができる。
【0035】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
の硫黄供給成分として用いることができる無灰系サルフ
ァイド化合物は、2個以上の硫黄原子が隣り合って結合
した硫黄原子グルーフを分子構造内に有する、例えば、
油脂やポリオレフィンの硫化物など、次のような一般式
(7)で表される有機化合物である。 一般式(7)
【0036】
【化7】 (式中、R7、R8、R9は炭素数3〜18の炭化水素基
であり、それらは互いに同一でも異なっていてもよ
い。)
【0037】上記の一般式中で、R7は、鎖状及び環状
(脂環式及び芳香族)の、又はこれらが組み合わされて
含有される炭化水素基を表す。不飽和結合があってもよ
いが、飽和炭化水素基が好ましい。中でも、アルキル
基、アリール基、アルキルアリール基、ペンジル基、ア
ルキルペンジル基が好ましい。R8は、鎖状及び環状
(脂環式及び芳香族)の、又はこれらが組み合わされて
含有される、結合部位を2個有する炭化水素基を表し、
特にアルキレン基が好ましい。R9は、鎖状の炭化水素
基を表し、特にアルキル基が好ましい。x、yは2以上
の整数である。
【0038】具体的には、硫化まっこう油、硫化ピネン
油、硫化大豆油、硫化ポリオレフィン、ジアルキルジサ
ルファイド、ジアルキルポリサルファイド、ジペンジル
ジサルファイド、ジターシャリープチルジサルファイ
ド、ポリオレフインポリサルファイド、ビスアルキルポ
リサルファニルチアジアゾール、硫化フェノールなどが
挙げられる。これらの化合物の中でも、ジアルキルポリ
サルファイド、ジペンジルジサルファイドが好ましく、
ビスアルキルポリサルファニルチアジアゾールが特に好
ましい。
【0039】なお、潤滑油添加剤として、サルファイド
結合を含有するCaフェネートなどの金属を含有する化
合物が使用されているが、これは摩擦係数が大きいた
め、好ましくない。これに対して、上記のサルファイド
化合物は、金属を含まない無灰系であり、有機モリブデ
ン化合物と組み合わせて用いられることにより、低い摩
擦係数を与え、優れた性能を発揮する。
【0040】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
の硫黄供給成分として用いることができるビスジチオカ
ーバメートは、耐摩耗剤として配合されるものである
が、次の一般式(8)で表される化合物である。 一般式(8)
【0041】
【化8】 (式中、R10は炭素数3〜24の炭化水素基であり、そ
れらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0042】前記一般式(8)におけるR10により表さ
れる炭素数3〜24の炭化水素基としては、例えば、炭
素数3〜24のアルキル基、炭素数3〜24のアルケニ
ル基、炭素数3〜24のシクロアルキル基、炭素数3〜
24のアリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記ア
ルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分
枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油システムで、潤
滑油組成物においては、R10により表される炭化水素基
の炭素数が8〜18であることが特に好ましい。R10
表される炭化水素基の具体例としては、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オク
テニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニ
ル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、
オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシク
ロヘキシル、メチルシクロヘキシルメチル、シクロへキ
シルエチル、プロピルシクロへキシル、プチルシクロヘ
キシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、
メチルペンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフ
チル基などを挙げることができる。
【0043】本発明の潤滑油システムで、潤滑油組成物
の硫黄供給成分として用いることができるテトラアルキ
ルチオパーオキシホスフェートは、耐摩耗剤又は極圧剤
として配合されるものであるが、次の一般式(9)で表
される化合物である。 一般式(9)
【0044】
【化9】 (式中、R11は炭素数3〜24の炭化水素基であり、そ
れらは互いに同一でも異なっていてもよい。)
【0045】前記一般式(9)におけるR11により表さ
れる炭素数3〜24の炭化水素基としては、例えば、炭
素数3〜24のアルキル基、炭素数3〜24のアルケニ
ル基、炭素数3〜24のシクロアルキル基、炭素数3〜
24のアリール基、アルキルアリール基、アリールアル
キル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記ア
ルキル基やアルケニル基は直鎖状であってもよいし、分
枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油システムで、潤
滑油組成物においては、R11により表される炭化水素基
の炭素数が8〜18であることが特に好ましい。R11
表される炭化水素基の具体例としては、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オク
テニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニ
ル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、
オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシク
ロヘキシル、メチルシクロヘキシルメチル、シクロへキ
シルエチル、プロピルシクロへキシル、プチルシクロヘ
キシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、
メチルペンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフ
チル基などを挙げることができる。
【0046】本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑
油組成物においては、上記の硫黄供給成分を、1種用い
てもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよ
く、組成物全重量基準で、硫黄供給成分と有機モリブデ
ン化合物に由来する硫黄の量として10〜10000重
量ppm、好ましくは1000〜3000重量ppm、
より好ましくは2000〜3000重量ppmとなるよ
うに配合する。硫黄の量が10重量ppm未満では目的
の効果が得られず、10000重量ppmを越えると腐
食摩耗が増大する恐れがある。
【0047】本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑
油組成物は、これら硫黄供給成分と前述の有機モリブデ
ン化合物を必須成分として含有させることにより、自動
車のエンジンなどの内燃機関、ギヤ及び自動変速機など
の動力伝達機構、油圧機構、軸受け、又は摺動部を有す
る機関などの潤滑油として用いられた場合、潤滑油が関
与する種々の摩擦部分で、低摩擦特性の顕著な効果を奏
する。
【0048】(4)その他の添加剤成分 本発明の潤滑油システムに用いられる潤滑油組成物に
は、潤滑油基油に必須成分として上記の有機モリブデン
化合物と硫黄供給成分を配合するものであるが、各種用
途に適応した性能を確保するため、さらに必要に応じ
て、各種添加剤、即ち粘度指数向上剤、流動点降下剤、
無灰分散剤、金属清浄剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、耐
摩耗剤、極圧剤、金属不活性化剤、防錆剤、腐食防止
剤、消泡剤、着色剤などを本発明の目的を損なわない範
囲で適宜添加することができる。
【0049】粘度指数向上剤としては、一般にポリメタ
クリレート系、オレフィンコポリマー系(ポリイソブチ
レン系、エチレン−プロピレン共重合体系)、ポリアル
キルスチレン系、スチレン−ブタジエン水添共重合体
系、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系等が
挙げられ、中でも、ポリメタクリレート系が好ましく用
いられる。これらは、通常3〜35重量%の割合で使用
される。
【0050】流動点降下剤としては、一般にエチレン−
酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンと
の縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、
ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げら
れ、中でも、ポリメタクリレートが好ましく用いられ
る。これらは、通常0.01〜5重量%の割合で使用さ
れる。
【0051】無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハ
ク酸イミド系、ポリアルケニルコハク酸アミド系、ベン
ジルアミン系、コハク酸エステル系、コハク酸エステル
−アミド系及びホウ素含有無灰分散剤等が挙げられる。
これらの中でもポリアルケニルコハク酸イミド(ポリブ
テニルコハク酸イミド)系が好ましく用いられる。これ
らは、通常0.1〜10重量%の割合で使用される。
【0052】金属清浄剤としては、Ca、Mg、Ba等
のスルホネート系、フェネート系、サリシレート系、ホ
スホネート系のものがあり、これらは、通常0.05〜
5重量%の割合で使用される。
【0053】酸化防止剤としては、一般にアルキル化ジ
フェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アル
キル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化
防止剤、2,6−ジターシャリ−ブチルフェノール、
4,4’−メチレンビス−(2,6−ジターシャリ−ブ
チルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、ジラウ
リル−3,3’−チオジプロピオネイト等の硫黄系酸化
防止剤、ホスファイト等のリン系酸化防止剤更に、ジチ
オリン酸亜鉛等が挙げられ、中でも、アミン系酸化防止
剤、フェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。こ
れらは、通常0.05〜5重量%の割合で使用される。
【0054】摩擦調整剤としては、上記の必須成分であ
る有機モリブデン化合物以外に、例えば、脂肪酸、高級
アルコール、脂肪酸エステル、油脂類、多価アルコール
(部分)エステル、ソルビタンエステル、アミン、アミ
ド、硫化エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステ
ル、リン酸エステルアミン塩などが挙げられる。これら
は、通常0.05〜3重量%の割合で使用される。
【0055】耐摩耗剤としては、一般に上記の必須成分
に用いられるジチオリン酸亜鉛又はモリブデン以外のジ
チオリン酸金属塩(Pb、Sbなど)、上記の必須成分
に用いられるジチオカルバミン酸亜鉛又はモリブデン以
外のジチオカルバミン酸金属塩(Pb、Sbなど)、ナ
フテン酸金属塩(Pbなど)、脂肪酸金属塩(Pbな
ど)、ホウ素化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステ
ル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、中でも、リ
ン酸エステル系、ジチオリン酸金属塩系が好ましく用い
られる。これらは、通常0.05〜5重量%の割合で使
用される。
【0056】極圧剤としては、一般に上記の必須成分と
して用いられる硫黄供給物以外に、リン酸エステル、亜
リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げら
れ、これらは、通常0.05〜3重量%の割合で使用さ
れる。
【0057】金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾ
ール、トリアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導
体、チアジアゾール誘導体等が挙げられ、これらは、通
常0.001〜3重量%の割合で使用される。
【0058】防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケ
ニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキ
ルスルホン酸塩、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪
酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレ
ンエーテル等が挙げられ、これらは、通常0.01〜3
重量%の割合で使用される。る。更に、本発明の潤滑油
組成物には、腐蝕防止剤、消泡剤、着色剤等その他の添
加剤も所望に応じて使用することができる。
【0059】2.摺動部位 さらに、本発明の潤滑油システムには、上記の潤滑油と
ともに、該潤滑油が供給される摩擦面の摺動部位に、亜
鉛(Zn)元素が、金属最表面から深さ1mm以内の領
域内で、摺動部位単位体積当たり0.01〜10体積
%、好ましくは0.05〜1.0体積%、更に好ましく
は0.1〜0.5体積%存在する必要がある。すなわ
ち、上述の有機モリブデン化合物を含有した潤滑油を用
いることにより、潤滑油の摩擦特性を向上させることが
できるが、これのみでは不充分であって、摺動部位に亜
鉛(Zn)元素が存在するようにすれば、有機モリブデ
ン化合物の効果を最大限に発揮でき、摩擦を低減して目
的を達成できる。その摺動部位に亜鉛(Zn)元素が存
在する方法として以下に示す、該摺動部位を構成する又
は該摺動部位を被覆する亜鉛含有材料から供給される方
法、及び/又は亜鉛が摺動中に潤滑油中から摩擦面に供
給される方法などがある。
【0060】(1)亜鉛含有材料から供給される方法 本発明の潤滑システムに用いられる摺動部位には、亜鉛
(Zn)元素が存在する必要があるが、それを達成する
ために、亜鉛含有材料から供給される方法がある。亜鉛
含有材料として、摺動部位を構成する亜鉛含有材料又は
摺動部位を被覆する亜鉛含有材料がある。摺動部位を構
成する亜鉛含有材料としては、亜鉛を含有した材料であ
れば用いることができ、例えば、亜鉛鉄板(亜鉛と鉄と
を合金化させたものや、亜鉛メッキを施した鋼板又は鋼
帯も含む)や軸受け用亜鉛アルミニウム合金などがあ
る。また、摺動部位を被覆する亜鉛含有材料としては、
摺動部位表面に亜鉛又は亜鉛・アルミニウム合金を溶
射、蒸着又はメッキされた亜鉛層であればよい。この場
合、摺動部位としては、従来の摺動部材料を用いること
ができる。
【0061】(2)潤滑油中から供給される方法 本発明の潤滑システムに用いられる摺動部位には、亜鉛
(Zn)元素が存在する必要があるが、それを達成する
ために、上記の亜鉛含有材料から供給される方法の代わ
りに、又は更に加えて、亜鉛が摺動中に潤滑油中から摩
擦面に供給される方法がある。すなわち、摺動中に摩擦
面に亜鉛が介在するように、潤滑油中から摩擦面に亜鉛
が供給されて、亜鉛が金属材料の表面に付着して、摩擦
低減に寄与するものであればよい。摺動中に摩擦面に亜
鉛が介在するように、潤滑油中から金属材料の摩擦面に
亜鉛を供給する方法として、次の2方法がある。 金属材料表面の亜鉛(Zn)が、ジチオリン酸亜鉛又
はジチオカルバミン酸亜鉛等から選ばれた潤滑油添加剤
成分の亜鉛含有化合物の少なくとも1種から金属材料の
表面に供給される方法。 金属材料表面の亜鉛(Zn)が、潤滑油中に分散し
た、金属亜鉛微粒子、クロム酸亜鉛微粒子、酸化亜鉛微
粒子又は硫化亜鉛微粒子から金属材料の表面に供給され
る方法。
【0062】潤滑油添加剤成分の亜鉛含有化合物として
は、ジチオリン酸亜鉛又はジチオカルバミン酸亜鉛等が
挙げられるが、これらは、潤滑油組成物全重量基準で、
亜鉛の量が10〜10000重量ppmとなるように、
好ましくは1000〜3000重量ppm、より好まし
くは2000〜3000重量ppmとなるように配合す
る。この配合量で金属材料表面に亜鉛の量が0.01〜
10体積%含有するものである。
【0063】潤滑油中に分散した、金属亜鉛微粒子、ク
ロム酸亜鉛微粒子、酸化亜鉛微粒子又は硫化亜鉛微粒子
は、平均粒径1.0μm以下、特に好ましくは平均粒径
0.1μm以下であり、その添加量は、潤滑油組成物全
重量基準で、亜鉛の量として100〜5000重量pp
mである。平均粒径1.0μmを越えると油中で分散が
困難になり、摩耗が増大する恐れがある。また、添加量
が亜鉛の量として100重量ppm未満では、目的の効
果が得られず、5000重量ppmを越えると油中で分
散が困難になる。本発明の潤滑油システムに用いられる
潤滑油中に分散した亜鉛微粒子は、好ましくは、酸化亜
鉛微粒子又は硫化亜鉛微粒子であり、特に好ましくは硫
化亜鉛微粒子である。
【0064】本発明の潤滑システムの用途としては、特
に限定されず、具体的用途としては、自動車及びトラッ
クエンジン、2サイクルエンジン等の内燃機関、タービ
ン、自動変速機、トランスアクスル、ギヤ、金属加工、
油圧機械等の潤滑油が介在する摺動部を例示することが
できる。
【0065】
【実施例】以下に、本発明について実施例及び比較例を
挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実
施例に特に限定されるものではない。なお、実施例にお
ける潤滑油システムの摩擦係数は、往復動型摩擦試験機
を用いて測定し、以下に示す試験条件、試験方法で摩擦
試験を行った。また、摩擦面の亜鉛付着量等の観察もX
PSにより、実施した。 試験条件 ・試験片(摩擦材):SUJ−2 ・プレート :24mm径×7mm ・シリンダー :15mm×22mm ・温度 :20〜120℃ ・荷重 :400N ・振幅 :1.5mm ・振動数 :50Hz ・試験時間 :30分
【0066】実施例1〜11 潤滑油基油として、溶剤精製パラフィン系鉱油(100
ニュートラル油、100℃における粘度4mm2/s)
を使用し、これに有機モリブデン化合物(MoDTC又
はMoDTP)及び、表1に示す種類と量の各配合成分
を含有する潤滑油組成物を調製し、摩擦係数を測定し
た。結果を表1に示す。また、摩擦面の亜鉛付着量分析
結果も表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】比較例1〜6 表1に示す潤滑油基油成分と有機モリブデン化合物(M
oDTC)及び酸化亜鉛微粒子を同表に示す割合で配合
し、潤滑油組成物を調製し、実施例1〜11と同様に、
摩擦係数と摩擦面の亜鉛付着量を測定した。結果を表2
に示す。
【0069】
【表2】
【0070】上記の実施例と比較例の結果から、潤滑油
基油に有機Mo化合物と硫黄供給成分を配合させた潤滑
油組成物と、摩擦面に亜鉛が介在するように潤滑油中か
ら亜鉛を供給した金属材料又は亜鉛が含有した金属材料
を用いることにより、摩擦係数が低減することが明らか
になった。
【0071】
【発明の効果】本発明の潤滑油システムは、潤滑油基油
に有機Mo化合物と硫黄供給成分を配合させた潤滑油組
成物と、摩擦面に亜鉛が介在するように潤滑油中から亜
鉛を供給した金属材料又は亜鉛が含有した金属材料を用
いることにより、有機モリブデン化合物の摩擦低減効果
を最大限に発揮し、摩擦係数を低減させる作用を有して
いる。本発明の潤滑油システムは、自動車のエンジンな
どの内燃機関用、ギヤ、自動変速機、ショックアブソー
バなどの各種機関等に好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 10:04 10:12 40:02 40:04 40:08 40:25 80:00 (72)発明者 田口 滋子 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 中西 博 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4H104 AA11C AA13C AA19C BE01C BG10C BG11C BH04C BH07C EA07C FA02 FA03 FA06 PA01 PA02 PA03 PA41 QA12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】摺動部位の摩擦を低減させるための潤滑シ
    ステムであって、(A)該摺動部位に使用される潤滑油
    は、モリブデン(Mo)成分をMo量として10〜10
    000重量ppm、さらに硫黄(S)供給成分をS量と
    して10〜10000重量ppm含有し、かつ、(B)
    該摺動部位には、亜鉛(Zn)元素が摺動部位単位体積
    当たり0.01〜10体積%存在する、ことを特徴とす
    る潤滑システム。
  2. 【請求項2】モリブデン(Mo)成分が、モリブデンジ
    チオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート、モ
    リブデンホスフェート、及びモリブデンアミン錯体から
    なる群より選ばれる少なくとも1種の有機モリブデン化
    合物であることを特徴とする請求項1記載の潤滑システ
    ム。
  3. 【請求項3】硫黄(S)供給成分が、モリブデンジチオ
    カーバメート、モリブデンジチオホスフェート、ジチオ
    カルバミン酸亜鉛、ジチオリン酸亜鉛、無灰系サルファ
    イド化合物、ビスジチオカーバメート及びテトラアルキ
    ルチオパーオキシホスフェートからなる群より選ばれる
    少なくとも1種の硫黄含有化合物であることを特徴とす
    る請求項1記載の潤滑システム。
  4. 【請求項4】摺動部位に存在する亜鉛(Zn)元素が、
    潤滑油中に分散した酸化亜鉛微粒子又は硫化亜鉛微粒子
    から供給されることを特徴とする請求項1記載の潤滑シ
    ステム。
  5. 【請求項5】摺動部位に存在する亜鉛(Zn)元素が、
    該摺動部位を構成する又は該摺動部位を被覆する亜鉛含
    有材料から供給されることを特徴とする請求項1記載の
    潤滑システム。
  6. 【請求項6】該摺動部位を構成する亜鉛含有材料が、亜
    鉛鉄板、又は亜鉛アルミニウム合金であることを特徴と
    する請求項7記載の潤滑システム。
  7. 【請求項7】該摺動部位を被覆する亜鉛含有材料が、摺
    動部位表面に溶射、蒸着又はメッキされた亜鉛層である
    ことを特徴とする請求項7記載の潤滑システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004339486A (ja) * 2003-03-26 2004-12-02 Infineum Internatl Ltd ダイヤモンド様炭素で被覆された表面を潤滑化する方法
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