JP2000026388A - アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法 - Google Patents

アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法

Info

Publication number
JP2000026388A
JP2000026388A JP10207085A JP20708598A JP2000026388A JP 2000026388 A JP2000026388 A JP 2000026388A JP 10207085 A JP10207085 A JP 10207085A JP 20708598 A JP20708598 A JP 20708598A JP 2000026388 A JP2000026388 A JP 2000026388A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction gas
cooling
ammonium sulfate
water
wastewater
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10207085A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaru Someya
賢 染谷
Kazumitsu Sakurai
和光 櫻井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10207085A priority Critical patent/JP2000026388A/ja
Publication of JP2000026388A publication Critical patent/JP2000026388A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 アンモ酸化反応により発生した反応ガス
の冷却洗浄工程を安定・連続的に運転する方法であっ
て、冷却洗浄工程で使用する循環冷却水中または該工程
から抜き出す廃水中の硫酸アンモニウム、高沸点有機物
および水の濃度を高沸点有機物をx重量%、硫酸アンモ
ニウムをy重量%および水をz重量%とした場合、0<
x≦60,y>0,x+y+z=100、y≦0.00
43x2 −0.763x+45.574,およびy≦
1.2347xで示される範囲、好ましくは0<x≦6
0,y>0,0<z≦80,x+y+z=100,y≦
0.0043x2 −0.763x+45.574,およ
びy≦1.2347xで運転する。 【効果】 硫酸アンモニウムの結晶析出や高沸点有機物
の濃度増加による粘度上昇を抑え、反応ガス冷却洗浄工
程での循環冷却水量を安定に保ち、工程からの廃水抜き
出し配管の詰まりを少なくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアンモ酸化反応によ
るアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方
法において、その反応ガスの冷却洗浄工程で使用する循
環冷却水中または当該工程より抜き出される廃水の硫酸
アンモニウムの結晶析出または高沸点有機物の濃度増加
による粘度上昇を抑えることにより、反応ガス冷却洗浄
工程での循環冷却水量を安定に保ち、且つ反応ガス冷却
洗浄工程からの廃水抜き出し配管の詰まりを少なくする
ことにより、反応ガス冷却洗浄工程を安定且つ連続的に
運転する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロパン、プロピレン、イソブチレンま
たはt−ブチルアルコールのアンモ酸化反応によるアク
リロニトリルまたはメタクリロニトリルの合成法におけ
る反応器出口ガスには、アクリロニトリルまたはメタク
リロニトリル、青酸及びアセトニトリル等の主成分の他
に、未反応アンモニアおよび高沸点有機物が含まれてい
る。従ってこの反応ガスよりアクリロニトリルまたはメ
タクリロニトリルを回収する過程で、これらの物質を除
去することが必要である。
【0003】特に重要なことは、未反応アンモニアを速
やかに固定化し高沸点有機物とともに除去することであ
る。未反応アンモニアの存在は、アクリロニトリルまた
はメタクリロニトリルの回収工程でのpHの上昇の原因
となり、結果としてアクリロニトリルまたはメタクリロ
ニトリルの損失につながることは既によく知られてい
る。また高沸点有機物は回収工程へ持ち込まれるとアク
リロニトリルまたはメタクリロニトリルの回収工程での
熱交換器の汚れや詰まりの原因となり連続運転の支障と
なる。そこで従来よりアンモ酸化反応によって得られる
アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法
としては、反応ガスを反応器を出た後、間接冷却器で冷
やし、次いで冷却洗浄工程へ導き、未反応アンモニアお
よび高沸点有機物を適正な量の硫酸等を含む酸水溶液で
洗い固定化して除去するのが一般的である。
【0004】この方法に用いられる反応ガス冷却洗浄工
程の設備として多段急冷塔を用いる方法が米国特許第3
649179号明細書に開示されている。この方法によ
れば、急冷塔は上下2段区画(またはそれ以上の多段区
画)に分割され、反応ガスは先ず急冷塔下段区画へ導か
れここで硫酸を含んだ第一冷却水で冷却及び洗浄され反
応ガス中の未反応アンモニアおよび高沸点有機物が分離
除去され、次の急冷塔の上段区画へ導かれ、再度、硫酸
を含んだ第二冷却水での冷却及び未反応アンモニアの分
離除去が行われている。そして、この第一、第二冷却水
は反応ガスと直接接触による冷却方式で循環使用されて
いる。また該工程で除去した高沸点有機物および未反応
アンモニアの固定化により生成した硫酸アンモニウムは
水とともに下段区画より廃水として抜き出される。
【0005】反応ガス冷却洗浄工程での反応ガスと水と
の接触が不十分になるとアンモニアおよび高沸点化合物
が後段のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル回
収工程へ持ち込まれるという問題が生じる。従って反応
ガスおよび接触水の偏流を防止し、完全に未反応アンモ
ニア、高沸点有機物および飛散触媒を除去するために
も、安定且つ連続的に冷却水を供給及び循環させ、反応
ガスを水と接触させることが重要である。反応ガス冷却
洗浄工程より抜き出される廃水には多くの硫酸アンモニ
ウムおよび高沸点有機物が含まれており、この廃水を最
終的に処理または廃棄する方法としては焼却処理、湿式
酸化処理または深井戸廃棄法(Deepwellin
g)などがある。特に反応ガス冷却洗浄工程から抜き出
される廃水は有機物濃度が高いため、一般的には焼却処
理が採用される場合が多い。また焼却処理を行う前に、
廃水中に含まれる硫酸アンモニウムを晶析後分離回収す
る方法が採用される場合もある。
【0006】この廃水を焼却処理を行う場合、廃水中に
水が多く含まれると焼却処理時に使用する助燃剤が多量
に必要となるため、経済面から考えてできるだけ水の濃
度を低く抑えた廃水を反応ガス冷却洗浄工程から抜き出
すことが好ましい。しかし反応ガス冷却工程から抜き出
される廃水中の水濃度を低くしすぎると、硫酸アンモニ
ウムおよび高沸点有機物濃度が高くなり、硫酸アンモニ
ウムの結晶析出、廃水の粘度上昇または配管内での高沸
点有機物の固化などによる反応ガス冷却工程での廃水循
環量の低下を招き、その結果反応ガス冷却洗浄が十分に
実施できなくなるため、連続運転に支障をきたすという
問題があった。また反応ガス冷却洗浄工程より抜き出し
た廃水を焼却処理設備へ導く配管内でも、廃水の温度低
下による粘度上昇が原因での廃水の固化により、安定し
て冷却洗浄工程より廃水を抜き出すことができなくなる
という問題があった。
【0007】この反応ガス冷却洗浄工程より抜き出す廃
水中の硫酸アンモニウムおよび高沸点有機物の濃度につ
いては、特公昭44−15645号公報や特公昭49−
25560号公報などで反応ガス冷却洗浄設備より抜き
出す廃水の高沸点有機物濃度について提案されている
が、この場合廃水中の硫酸アンモニウム濃度についての
記述は何ら存在していない。実際に硫酸アンモニウムも
含んだ廃水の高沸点有機物濃度が特公昭44−1564
5号公報や特公昭49−25560号公報記載の範囲と
なるように、反応器の運転条件および反応ガス冷却洗浄
工程の運転条件を操作したところ、硫酸アンモニウムの
濃度が増加した場合、硫酸アンモニウムの結晶が析出し
はじめ、その結果反応ガス冷却洗浄工程からの抜き出し
廃水配管の詰まりが生じた。
【0008】また、米国特許第3649179号明細書
では多段急冷塔の第一冷却水中の硫酸アンモニウムの濃
度が提案されている。しかしこの場合、同時に含まれる
高沸点有機物濃度については何も提案されていない。実
際に反応ガス冷却洗浄工程から抜き出される廃水中の硫
酸アンモニウム濃度が米国特許第3649179号明細
書記載の範囲となるように、反応器の運転条件および反
応ガス冷却洗浄工程の運転条件を操作したところ、高沸
点有機物濃度が増加した場合、廃水の粘度上昇が起こ
り、その結果反応ガス冷却洗浄工における循環冷却水の
流量の低下が起こった。即ち、硫酸アンモニウムと高沸
点有機物が混在する廃水の硫酸アンモニウム結晶の析出
や高沸点化合物による粘度上昇を防ぐためには、個々の
濃度範囲を管理するのではなく、硫酸アンモニウム、高
沸点化合物および水の各濃度の関係をある範囲内に維持
することが大切であるが、その範囲に関しては明確には
なっていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はアンモ酸化反
応によるアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの
製造方法において、その反応ガスの冷却洗浄工程で使用
する循環冷却水または該工程から抜き出される廃水の硫
酸アンモニウムの結晶析出または高沸点有機物の濃度増
加による粘度上昇を抑えることで、反応ガス冷却洗浄工
程での循環洗浄液量を安定に保ち、且つ反応ガス冷却洗
浄工程からの廃水抜き出し配管の詰まりを少なくし、反
応ガス冷却洗浄工程を安定且つ連続的に運転する方法に
関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、アンモ酸化反応
によるアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製
造方法において、その反応ガスの冷却洗浄工程で使用す
る循環冷却水中または該工程から抜き出される廃水中の
硫酸アンモニウム、高沸点有機物および水の各濃度をあ
る特定の濃度範囲とすることによって硫酸アンモニウム
の結晶析出または高沸点有機物の濃度増加による粘度上
昇を抑え、その結果反応ガス冷却洗浄工程での循環冷却
水量を安定に保ち、且つ反応ガス冷却洗浄工程からの廃
水抜き出し配管の詰まりを少なくすることを見出し本発
明を完成させた。
【0011】すなわち本発明は、反応ガス冷却洗浄工程
から排出される廃水中の高沸点有機物の重量に対する硫
酸アンモニウムの重量が0より大きく1.2347以下
であるアンモ酸化反応によるアクリロニトリルまたはメ
タクリロニトリルの製造方法において、その反応ガスの
冷却洗浄工程で使用する循環冷却水中または該工程から
抜き出される廃水中の硫酸アンモニウム、高沸点有機物
および水の濃度を高沸点有機物をx重量%、硫酸アンモ
ニウムをy重量%および水をz重量%とした場合、0<
x≦60,y>0,x+y+z=100、y≦0.00
43x2 −0.763x+45.574,およびy≦
1.2347xで示される範囲、好ましくは0<x≦6
0,y>0,0<z≦80,x+y+z=100,y≦
0.0043x2 −0.763x+45.574,およ
びy≦1.2347xで運転することを特徴とするアク
リロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法であ
る。
【0012】なお、ここで述べる高沸点有機物とは、後
に示す高沸点有機物濃度測定方法で測量される物質であ
り、例えばアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル
よりも沸点の高い酢酸、アクリル酸、フマロニトリル、
スクシノニトリル等の物質の他、アクリロニトリルまた
はメタクリロニトリルの反応・重合物やタール状の物質
も含まれる。以下に、本発明の内容について詳しく述べ
る。プロピレンまたはプロパンのアンモ酸化反応により
アクリロニトリルを製造する場合、またはイソブチレン
またはt−ブチルアルコールのアンモ酸化反応によりメ
タクリロニトリルを製造する場合、目的成分のアクリロ
ニトリルまたはメタクリロニトリルの収量を高めるた
め、副反応で生成するアクロレインまたはメタクロレイ
ンの生成量を少なくしなければならない。そのためには
プロパンまたはプロピレンに対するアンモニアのモル
比、またはイソブチレンまたはt−ブチルアルコールに
対するアンモニアのモル比を化学量論比より大きな値で
反応させる必要がある。その結果、反応器出口ガス中に
は必然的に未反応アンモニアが残っているのが一般的で
ある。
【0013】勿論、未反応アンモニア以外に反応器出口
ガス中にはアクリロニトリルまたはメタクリロニトリ
ル、青酸およびアセトニトリル等の主成分の他に、高沸
点有機物および反応器からの飛散触媒等も含まれてい
る。目的とするアクリロニトリルまたはメタクリロニト
リルの収量を上げるためには、未反応アンモニアを速や
かに固定化し除去することが重要であり、そのために反
応器出口ガスを冷却し、未反応アンモニアを固定化除去
する反応ガス冷却洗浄工程が設けられ、適正な量の酸を
含む水溶液を循環し反応ガスが冷却洗浄されている。こ
の反応ガス冷却洗浄工程で反応ガスに含まれる高沸点有
機物および反応器からの飛散触媒も同時に循環冷却液で
洗浄される。反応ガス中の未反応アンモニアを酸で固定
化し、且つ高沸点有機物および飛散触媒を反応ガスから
除いた時に発生する、未反応アンモニアと酸の反応物、
高沸点有機物および飛散触媒を含む水溶液は、再び反応
ガス冷却洗浄工程の循環冷却水として使用され、この水
溶液の中に新たな未反応アンモニア固定用の酸および/
または新たな供給水を添加後、反応ガス冷却洗浄工程で
再使用される。しかし、この水溶液を循環使用している
と、この水溶液中の未反応アンモニアと酸の反応物、高
沸点有機物および飛散触媒の濃度が増加する。そこで、
これらの濃度を一定に保つため、新たな未反応アンモニ
ア固定用の酸および/または新たな供給水を添加する前
の循環冷却水の一部は、反応ガス冷却洗浄工程からの廃
水として系外へ抜き出される。
【0014】未反応アンモニアを固定化するために用い
られる酸としては単独でも二種類以上の酸を混合しても
良いが、一般的には有価な硫酸アンモニウムとして回収
する為や後処理の容易さから硫酸が用いられる。従っ
て、反応ガス冷却洗浄工程で使用される循環冷却水中ま
たは該工程から抜き出される廃水中には高沸点化合物、
水の他に未反応アンモニアの固定化により生成した硫酸
アンモニウム等が含まれる。この工程については図1を
用いて更に詳細に説明するが、本発明がこれらにより何
ら限定されるものではない。反応器からの反応ガスは導
管1により急冷塔2へ導かれる。この急冷塔2では上部
より酸を含んだ冷却洗浄用の水が分散され、反応ガスと
水が接触することで反応ガスの冷却洗浄が行われる。冷
却洗浄後の水は急冷塔2の底部より抜き出され導管3を
通して循環使用され、この水中には急冷塔2で反応ガス
より除去した高沸点有機物および未反応アンモニアの固
定化により生成した硫酸アンモニウムが含まれる。未反
応アンモニア固定用の硫酸の供給は導管5より行われ
る。また冷却洗浄後の反応ガスは導管6を通して後段の
反応ガス冷却洗浄設備またはアクリロニトリルまたはメ
タクリロニトリル回収工程へ運ばれる。反応ガス冷却洗
浄後に発生する廃水は、導管3内の冷却洗浄用水の一部
を導管7を通して系外へ廃水として抜き出される。急冷
塔へ冷却洗浄用水を供給する場合は、導管8を通して行
われる。
【0015】本発明で使用する反応ガス冷却洗浄工程
は、反応ガスと循環冷却水が直接接触できる図1のよう
な設備であれば良く、必要に応じて2区画以上に分割す
ることもできる。また当該急冷塔内部には、反応ガスと
循環冷却水の接触を良くするために充填層を設けたり、
液分散用のスプレーノズルを設けても良い。また急冷塔
の運転操作条件は、急冷塔の構造または後工程への高沸
点有機物および未反応アンモニアの持ち込み量などによ
り運転操作が決定される。本発明で使用する硫酸の供給
量の調整は、硫酸を一定量供給しながら反応器運転条件
を変更させ未反応アンモニア量を調整する方法、急冷塔
冷却洗浄循環水のpHを見ながら供給硫酸量を調整する
方法、または導管6を通して送られたアクリロニトリル
またはメタクリロニトリル回収工程でのpHを見ながら
供給硫酸量を調整する等を採用しても良い。
【0016】本発明における反応ガス冷却洗浄工程で使
用する循環冷却水中および該工程より抜き出す廃水中の
高沸点有機物、硫酸アンモニウムおよび水の重量濃度は
次に示す方法で求める。すなわち、反応ガス冷却洗浄工
程より抜き出した廃水を蒸発皿に直接採取し、この採取
した液を沸騰浴で水分を蒸発させた後105℃で1時間
乾燥させ、デシケーター内で放冷する。残存物を40℃
の温水に溶解し、ホルムアルデヒド法により残存物中の
硫酸アンモニウムの量を測定する。ホルムアルデヒド法
は硫酸アンモニウムにホルムアルデヒドを加えて、生成
した硫酸をアルカリ滴定することにより硫酸アンモニウ
ム量を測定する方法である。下記式に採取したサンプル
量Sg、残存物量Tg(乾燥後の高沸点有機物と硫酸ア
ンモニウムの合計量)および測定された硫酸アンモニウ
ムの量Ugをあてはめ、それぞれの量から高沸点有機
物、硫酸アンモニウムおよび水の濃度を算出する。
【0017】 x(重量%)=〔(T−U)/S〕×100 y(重量%)=(U/S)×100 z(重量%)=〔(S−T)/S〕×100 x:高沸点有機物の重量濃度(重量%) y:硫酸アンモニウムの重量濃度(重量%) z:水の重量濃度(重量%) なお、該廃水中には反応器からの飛散触媒が微量含まれ
ているが、上記分析方法により、該触媒濃度は高沸点有
機物の重量濃度に含まれる。
【0018】本発明における反応ガス冷却洗浄工程で使
用する循環冷却水または該工程より抜き出す廃水中の高
沸点有機物重量濃度(x重量%)、硫酸アンモニウム重
量濃度(y重量%)および水の重量濃度(z重量%)範
囲は、0<x≦60、y>0、x+y+z=100、y
≦0.0043x2 −0.763x+45.574、お
よびy≦1.2347xで示される範囲である。この各
濃度の関係を図で示すと図2の斜線で示された部分の濃
度範囲である。更に該廃水を焼却処理する場合経済性を
考慮し、好ましくは0<x≦60、y>0、0<z≦8
0、x+y+z=100、y≦0.0043x2 −0.
763x+45.574、およびy≦1.2347xで
示される範囲である。この各濃度の関係を図で示すと図
3の斜線で示された部分の濃度範囲である。
【0019】本発明における反応ガス冷却洗浄工程での
循環冷却水中または該工程から抜き出される廃水中の高
沸点有機物および硫酸アンモニウムの濃度の制御方法に
ついては、反応器の運転条件を変更し反応ガスに含まれ
る未反応アンモニアまたは高沸点有機物の量を制御する
方法、反応ガス冷却洗浄工程の運転圧力を変更し水の蒸
発量を制御する方法、該工程での導管5を通して注入す
る硫酸の量を制御する方法、洗浄冷却水より導管7を通
して抜き出す廃水の量を制御する方法、導管8を通して
反応ガス冷却洗浄工程へ供給する水の量を制御する方法
のうち少なくとも1つ以上の制御方法を採用して行われ
る。また反応ガス冷却洗浄工程へ供給する水について
は、アンモ酸化反応で生成する水の凝縮分でも良く、ア
クリロニロリルまたはメタクリロニトリルの回収精製工
程で排出される廃水および/または有機物を含む水溶液
の一部または全部を再利用しても良い。また多段急冷塔
を反応ガス冷却洗浄工程に使用する場合、上段区画の高
沸点有機物および硫酸アンモニウムの濃度が比較的低い
循環冷却水の一部を導き、反応ガス冷却洗浄工程から抜
き出される廃水中の高沸点有機物および硫酸アンモニウ
ムの濃度を調整しても良い。
【0020】本発明における反応ガス冷却洗浄工程での
循環冷却水中または該工程から抜き出される廃水中の高
沸点有機物および硫酸アンモニウムの濃度を管理するに
あたり、簡便な管理方法の一つとして当該工程の循環冷
却水または該工程から抜き出される廃水の比重を測定し
運転管理することが有効な方法である。特に硫酸アンモ
ニウムまたは高沸点有機物どちらか一方の濃度がほぼ一
定の場合は、特に有効な方法である。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。
【実施例1】反応ガス冷却洗浄工程が2区画からなり、
第一洗浄冷却部が図1に示すような構造である直径が
9.7mの2段急冷塔を用いて実施した。第一急冷部上
部にはホロコーンタイプのスプレーノズルが急冷塔第一
洗浄冷却部の断面積に対して2.3個/m2 の密度で設
置されており、充填物等の設置は無く、約150T/H
の洗浄冷却水が導管3を通して第一急冷部全断面にまん
べんなく散布されている。洗浄冷却水にはpHが5.5
になるように導管5より硫酸が注入され、この洗浄冷却
水の一部を廃水として導管7より抜き出した。また洗浄
冷却水中の高沸点有機物および硫酸アンモニウムの濃度
の調整方法としては、反応器の運転条件を変更し反応ガ
スに含まれる未反応アンモニアの量を調整する方法、洗
浄冷却水より導管7を通して抜き出す廃水の量を調整す
る方法および第一急冷部の後部に備えている第二急冷部
冷却洗浄循環水の一部を導管8を通して注入する方法に
より行った。この方法で抜き出す廃水の高沸点有機物が
35wt%および硫酸アンモニウムの濃度が15wt%
となるように運転を行ったところ、約6ヶ月の運転を継
続したが、導管3での洗浄冷却水の循環量の低下も認め
られず、安定した運転が継続できた。また廃水抜き出し
導管7の詰まりも認められず、安定して廃水を抜き出す
ことができた。この運転により、反応ガス冷却洗浄工程
を長期間安定且つ連続的に運転することができた。なお
このときの廃水を採取し高沸点有機物および硫酸アンモ
ニウムの濃度を測定したところ、それぞれ36.2wt
%および15.4wt%であった。
【0022】また、上記の運転で得られた導管7の廃水
を1リットルのビーカーに採り、温浴中に浸し、廃水温
度を85℃に保った状態で、該廃水の粘度を測定したと
ころ、13cpであった。また廃水を室温まで下げ26
℃となったところで再び該廃水の粘度を測定したところ
27cpであった。この結果、この廃水の高沸点有機物
および硫酸アンモニウムの濃度では、粘度上昇は認めら
れなかった。なお粘度の測定には、( 株) 東京計器製C
形粘度計を用いて行った。
【0023】
【比較例1】実施例1記載と同じ設備および運転方法に
より、廃水の高沸点有機物の濃度が48wt%および硫
酸アンモニウムの濃度が22wt%となるように運転を
行ったところ、3日目に廃水の抜き出し導管より安定し
て廃水を抜き出すことができなくなり、大きな流量変動
を起こすようになった。更に6日目には、導管3の第一
急冷部洗浄冷却水循環量が実施例1の運転時と同じスプ
レーノズル上流圧にした場合、106T/Hまで低下し
ていることが認められた。結果として、反応ガス冷却洗
浄工程を安定且つ連続的に運転することができなかっ
た。なおこのときの廃水の高沸点有機物および硫酸アン
モニウムの濃度を測定したところ、それぞれ47.5w
t%および23.5wt%であった。また、上記の運転
で得られた導管7の廃水を1リットルのビーカーに採取
後、更に水分を蒸発させ、高沸点有機物および硫酸アン
モニウムを濃縮した。濃縮後の廃水中の高沸点有機物お
よび硫酸アンモニウムの濃度を測定したところ、それぞ
れ49. 5wt%および21. 1wt%であった。この
濃縮した廃水の粘度を実施例2と同様の方法で測定した
ところ、廃水温度85℃の場合44cpであり、室温ま
で冷却した場合は、急激に廃水の粘度が上昇し、測定で
きなかった。
【0024】
【発明の効果】本発明は、アンモ酸化反応によるアクリ
ロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法におい
て、反応ガス冷却洗浄工程または廃水抜き出し導管での
硫酸アンモニウムの結晶析出または高沸点有機物の濃度
増加による粘度上昇を抑えることで反応ガス冷却洗浄工
程での循環洗浄液量を安定に保ち、且つ反応ガス冷却洗
浄工程からの廃水抜き出し配管の詰まりを少なくするこ
とができる。その結果、反応ガス冷却洗浄工程を安定且
つ連続的に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反応ガス冷却洗浄工程で用いられる急
冷塔の一例のフローを示す図である。
【図2】本発明の請求項1記載の高沸点有機物、硫酸ア
ンモニウムおよび水の濃度範囲を斜線部で示す図であ
る。
【図3】本発明の請求項2記載の高沸点有機物、硫酸ア
ンモニウムおよび水の濃度範囲を斜線部で示す図であ
る。
【符号の説明】
1 反応器から急冷塔への反応ガス導入導管 2 急冷塔 3 循環冷却水導管 4 循環冷却水の冷却器(冷却器が無くても良い) 5 循環冷却水への硫酸供給導管 6 急冷塔で冷却洗浄された後の急冷塔出口ガス導管 7 循環冷却水の抜き出し導管 8 急冷塔への供給水導管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応ガス冷却洗浄工程から排出される廃
    水中の高沸点有機物の重量に対する硫酸アンモニウムの
    重量が0より大きく1.2347以下であるアンモ酸化
    反応によるアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル
    の製造方法において、該製造方法における反応ガス冷却
    洗浄工程から排出される硫酸アンモニウムを含む廃水中
    の高沸点化合物、硫酸アンモニウムおよび水の重量濃度
    が、高沸点有機物をx重量%、硫酸アンモニウムをy重
    量%および水をz重量%とした場合、0<x≦60、y
    >0、x+y+z=100、y≦0.0043x2
    0.763x+45.574、およびy≦1.2347
    xで示される範囲で運転することを特徴とするアクリロ
    ニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
  2. 【請求項2】 水の重量濃度(z重量%)が0<z≦8
    0の範囲で運転することを特徴とする請求項1記載のア
    クリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法。
  3. 【請求項3】 運転が比重を測定して工程管理すること
    を特徴とする請求項1または2記載のアクリロニトリル
    またはメタクリロニトリルの製造方法。
JP10207085A 1998-07-08 1998-07-08 アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法 Pending JP2000026388A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10207085A JP2000026388A (ja) 1998-07-08 1998-07-08 アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10207085A JP2000026388A (ja) 1998-07-08 1998-07-08 アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000026388A true JP2000026388A (ja) 2000-01-25

Family

ID=16533957

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10207085A Pending JP2000026388A (ja) 1998-07-08 1998-07-08 アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000026388A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014162777A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 酸性溶液の添加方法
KR20160141786A (ko) * 2014-03-31 2016-12-09 이네오스 유럽 아게 반응기 유출물로부터 개선된 암모니아 제거

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014162777A (ja) * 2013-02-27 2014-09-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd 酸性溶液の添加方法
KR20160141786A (ko) * 2014-03-31 2016-12-09 이네오스 유럽 아게 반응기 유출물로부터 개선된 암모니아 제거
JP2017517381A (ja) * 2014-03-31 2017-06-29 イネオス ユーロープ アクチェンゲゼルシャフト 改良された反応器排出物からのアンモニア除去
KR102256418B1 (ko) * 2014-03-31 2021-05-26 이네오스 유럽 아게 반응기 유출물로부터 개선된 암모니아 제거

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7942939B2 (en) Method and facility for producing a coarse-grained ammonium sulfate product by crystallization
JP4558870B2 (ja) 塔式処理方法および装置
TW200835680A (en) Integrated process and apparatus for preparing methacrylic esters from acetone and hydrocyanic acid
US8334399B2 (en) Method for producing acetone cyanohydrin and the subsequent products thereof by specific cooling
JPS60204749A (ja) ニトロベンゼンの製造方法
EA033625B1 (ru) Производство карбамида с контролируемым содержанием биурета
DE102006059512A1 (de) Destillative Aufarbeitung von Acetoncyanhydrin und Verfahren zur Herstellung von Metharcylsäureesther und Nachfolgeprodukten
US3433822A (en) Process for the production of acrylonitrile
JP2002121180A (ja) 有機物質が存在するガス混合物から前記物質を単離するための方法および装置
TWI414509B (zh) 製備氰醇之方法及氰醇於製備甲基丙烯酸烷酯上之用途
JP2000026388A (ja) アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造方法
JP2000026390A (ja) アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを製造する方法
KR0150115B1 (ko) 아크릴로니트릴의 제조방법
JPH0892189A (ja) アクリロニトリル製造中に廃棄物質を低減する方法
JP5364884B2 (ja) (メタ)アクリロニトリルの製造方法
JP2004217656A (ja) アクリロニトリル精製プロセスにおける凝縮させた冷却オーバーヘッドの再循環
TW201618845A (zh) 驟冷塔操作和底物處理
CN1659201A (zh) 由脲生产三聚氰胺的方法、特别是在第一分离步骤中得到不含三聚氰胺的尾气的方法
JP2000026389A (ja) アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造法
US6649795B2 (en) Process for decomposing a carbamate aqueous solution coming from the urea recovery section of a urea production plant
EP3981485A1 (en) Bottom chamber of a stripper
JPH08206643A (ja) アクリロニトリル製造に於ける急冷塔廃水の処理方法
DE1618627C3 (de) Verfahren zur Gewinnung von aromatischen Polynitrilen
JP2004010579A (ja) アクリロニトリルの製造方法
EA040927B1 (ru) Контроль образования биурета при производстве карбамида

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080916

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090203