JP2000017376A - 熱間鍛造用非調質鋼 - Google Patents

熱間鍛造用非調質鋼

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JP2000017376A
JP2000017376A JP10184213A JP18421398A JP2000017376A JP 2000017376 A JP2000017376 A JP 2000017376A JP 10184213 A JP10184213 A JP 10184213A JP 18421398 A JP18421398 A JP 18421398A JP 2000017376 A JP2000017376 A JP 2000017376A
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less
steel
toughness
strength
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JP10184213A
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Yasuhiro Omori
靖浩 大森
Toshiyuki Hoshino
俊幸 星野
Kenichi Amano
虔一 天野
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間鍛造後に冷却速度の制御や時効処理を行
うことなしに、特に加工のほとんど及ばない部分におい
ても十分な引張強さおよび降伏強さ、並びに高い靱性を
そなえる熱間鍛造用鋼について、提案する。 【解決手段】 C:0.05mass%をこえ0.15mass%未満、
Si:0.005 mass%以上2.0 mass%以下、Mn: 2.0mass%
をこえ5.0 mass%以下、S:0.02mass%以上0.50mass%
以下、Cu:1.0 mass%をこえ4.0 mass%以下、Ni:0.1
mass%以上4.0 mass%以下、Cr:0.05mass%以上5.0 ma
ss%以下、Al:0.0002mass%以上0.1 mass%以下、Ti:
0.001 mass%以上0.1 mass%以下、B:0.0003mass%以
上0.03mass%以下およびN:0.0010mass%以上0.0200ma
ss%以下を含有する組成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】この発明は、熱間鍛造のまま使用に供する
非調質鋼、とくに機械構造用鋼に適した、高強度かつ高
靭性の特性を有する非調質鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高強度かつ高靭性を必要とする自
動車あるいは機械構造部品の製造は、機械構造用合金鋼
であるSCM435あるいはSCM440を素材として、熱間加工に
より成形後、強度および靱性を付与するために、焼入れ
焼戻し等の調質処理が施されるのが一般的である。この
熱処理工程は、多くの時間およびエネルギーを要するた
め、これを省略できればコストの大幅な低減が図られ、
省エネルギーにも応えることができる。そこで、この要
請に応えるべく種々の提案がなされている。
【0003】例えば、0.3 〜0.5 mass%の中炭素系Mn鋼
に0.10mass%前後のVを添加したフェライト−パーライ
ト型の非調質鋼が知られている。この非調質鋼は、熱間
圧延後の冷却過程にV炭窒化物を析出させて、フェライ
ト地を強化するとともにパーライトの強度を鋼全体の強
度上昇に利用するものである。
【0004】また、特公平6−6302号あるいは特開平4
−371547号各公報には、0.05〜0.3mass%の低炭素系にM
n, Cr, V等を添加したベイナイト型あるいはマルテン
サイト型の熱間鍛造用非調質鋼が、開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
フェライト−パーライト型非調質鋼は、パーライト中に
セメンタイトとして存在する、0.3 〜0.5 mass%のCを
強度上昇に利用するために、引張強さおよび靭性を両立
することが困難である。また、安定した品質を得るため
には、部品成形後の冷却速度を制御するなどの煩雑な操
作が必要になる。
【0006】一方、後者のベイナイト型非調質鋼は、上
記の靭性の不足を補うために提案されたものであるが、
熱間鍛造のままでは降伏強さが低く、庄廷後に時効処理
を施す必要がある。さらに、この種の鋼は、小さい部品
で十分な靭性を確保できるものの、冷却速度の遅い大物
部品で靭性が不十分となるため、ベイナイト変態温度域
の冷却速度を制御する必要がある。また、従来のベイナ
イト型非調質鋼では、熱間鍛造において加工の及ばない
部分の靭性が、加工が及んだ部分のそれに比べて低下す
ることも問題であった。
【0007】従って、この発明では、熱間鍛造後に冷却
速度の制御や時効処理を行うことなしに、特に加工のほ
とんど及ばない部分においても十分な引張強さおよび降
伏強さ、並びに高い靱性をそなえる熱間鍛造用鋼につい
て、提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の課題
を解決するための方途について鋭意究明したところ、図
1に模式で示すようなベイナイト組織に調整すること
が、極めて有利であるとの知見を得て、この発明を完成
した。すなわち、図1に示すように、べイナイト組織中
にブロック組織を積極的に生成させて、加工の及ばない
部分においても靱性を向上し、またCuの析出にて鋼の強
度を上昇し、さらにMn, Ni, CrおよびB等を添加して焼
入れ性を向上させると、熱間鍛造後に調質処理を行うこ
となく、高い強度および靭性が得られることを、見出し
た。
【0009】とりわけ、Cuは、冷却速度が遅い場合に著
しい強度上昇を可能にする上、適正範囲のSとの併用に
より被削性の向上に有効に作用し、高強度および優れた
被削性を両立し得ること、さらにべイナイト組織中での
ブロック組織の生成促進には、Mn, Cu, CrおよびBの中
でも、MnおよびCuが極めて有効であり、これらの添加に
より加工が十分に及ばない部分においても高い靭性が得
られること、を新規に知見した。
【0010】この発明の要旨構成は、次のとおりであ
る。 (1) C:0.05mass%をこえ0.15mass%未満、Si:0.005
mass%以上2.0 mass%以下、Mn: 2.0mass%をこえ5.0
mass%以下、S:0.02mass%以上0.50mass%以下、Cu:
1.0 mass%をこえ4.0 mass%以下、Ni:0.1 mass%以上
4.0 mass%以下、Cr:0.05mass%以上5.0 mass%以下、
Al:0.0002mass%以上0.1 mass%以下、Ti:0.001 mass
%以上0.1 mass%以下、B:0.0003mass%以上0.03mass
%以下およびN:0.0010mass%以上0.0200mass%以下を
含み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴
とする熱間鍛造用非調質鋼。
【0011】(2) 上記(1) において、さらにV:0.5 ma
ss%以下およびW:0.5 mass%以下の1種または2種を
含むことを特徴とする熱間鍛造用非調質鋼。
【0012】(3) 上記(1) または(2) において、さらに
Mo:0.05mass%以上3.0 mass%以下およびNb:0.005 ma
ss%以上 0.15 mass%以下の1種または2種を含むこと
を特徴とする熱間鍛造用非調質鋼。
【0013】(4) 上記(1) 、(2) または(3) において、
さらにZr:0.02mass%以下、Mg:0.02mass%以下、Hf:
0.1 mass%以下および REM:0.02mass%以下のl種また
は2種以上を含むことを特徴とする熱間鍛造用非調質
鋼。
【0014】(5) 上記(1) 、(2) 、(3) または(4) にお
いて、さらにP:0.10mass%以下、Pb:0.30mass%以
下、Co:0.1 mass%以下、Ca:0.02mass%以下、Te:0.
05mass%以下、Se:0.10mass%以下、Sb:0.05mass%以
下およびBi:0.30mass%以下の1種または2種以上を含
むことを特徴とする熱間鍛造用非調質鋼。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、この発明の非調質鋼におけ
る各成分の限定理由を詳細に説明する。 C:0.05mass%をこえ0.15mass%未満 Cは、強度の確保およびベイナイト組織中にブロック組
織を形成させるために0.05mass%をこえる量が必要にな
るが、0.15mass%をこえると、靱性を損なうために、0.
05mass%をこえ0.15mass%未満の範囲とした。
【0016】Si:0.005 mass%以上2.0 mass%以下 Siは、脱酸および固溶強化を達成するのに最低0.005 ma
ss%を必要とし、一方で過剰に添加すると靭性を低下さ
せるため、0.005 〜2.0 mass%の範囲とした。
【0017】Mn: 2.0mass%をこえ5.0 mass%以下 Mnは、焼入れ性を向上し、またブロック組織を含むベイ
ナイト組織とすることによって、強度および靭性を確保
するために2.0 mass%をこえる含有が必要である。一
方、5.0 mass%をこえると切削性が劣化するため、5.0
mass%を上限とする。
【0018】S:0.02mass%以上0.50mass%以下 Sは、特にCuとの複合添加により切削性を向上させる元
素であり、その効果を発揮させるには0.02mass%以上の
添加が必要である。しかし、過剰に添加すると清浄性が
劣り、靭性の低下を招くために、上限は0.50mass%とす
る。
【0019】Cu:1.0 mass%をこえ4.0 mass%以下 Cuは、析出強化およびSとの複合添加による被削性の向
上に加えて、べイナイト組織中のブロック組織の生成を
促進して靭性を向上するために添加する。この効果を発
揮するには、1.0 mass%をこえる含有が必要であり、一
方 4.0mass%をこえると靭性が急激に低下するため、4.
0 mass%を上限とする。
【0020】ここで、CuおよびSが被削性に及ぼす影響
を調査した実験結果について、詳しく述べる。すなわ
ち、表1に示す種々の成分の鋼ブルームを連続鋳造によ
り複数製造し、各ブルームを熱間圧延により50mmφの棒
鋼としたのち、1250℃に加熱後、熱間鍛造にて30mmφに
成形し、800 〜400 ℃の温度域を0.001 〜80℃/sの冷
却速度で冷却した。
【0021】
【表1】
【0022】かくして得られた鋼材のうち、0.1 ℃/s
で冷却した鋼材の被削性を評価した結果について、従来
鋼であるJIS 4105に規定されたSCM435QT品のドリル寿命
と比較して、図2に示す。この被削性は、ドリル切削試
験でドリルが折損するまでの総穴開け深さで評価した。
なお、切削条件は4mmφのハイスドリルを用いて回転数
1500rpm 、送り量0.10mm/rev 、穴開け深さ12mm/個の
条件で行った。
【0023】また、このとき形成される切屑の形状を観
察し、細かく分断した良好な切屑が発生する場合には
◎、分断した切屑が発生する場合を○、断続的に連続切
屑が発生する場合を△、連続的に長い切屑が発生し作業
を阻害する場合を×とし、切屑処理性を評価した。その
評価結果を図3に示す。
【0024】図2から、従来のJIS 鋼のドリル寿命(約
300mm)に対して、工具寿命を約2倍の600mm をこえるた
めには、Cu≧1.0 mass%かつS>0.010 mass%の条件を
満足させること、さらに図3に示す、切屑処理性を両立
させるためには、Cu>1.0 mass%かつS>0.020 mass%
の条件を満足する必要があることが明らかになった。こ
れらの適正範囲は、いずれの冷却速度についても同様で
あった。
【0025】次に、図4に圧延後の冷却速度と引張強さ
との関係を示すように、圧延後の冷却速度が約5℃/s
以下の場合には、冷却過程でCuが微細に析出し強度上昇
に有効に作用していることが、わかる。一般的な熟間鍛
造においては、鍛造後の冷却速度は5℃/s以下である
から、この発明の鋼を用いれば、鍛造後の冷却速度を管
理することなく、つまり非調質で高強度化を達成し得る
ことは明らかである。
【0026】また、冷却速度0.6 ℃/sの場合におけ
る、Cu添加量が強度上昇に及ぼす影響を、図5に示す。
同図から、Cu添加量が 1.0mass%をこえると、△TS(Cu
無添加の場合のTSとの差)が急激に大きくなることがわ
かる。さらに、Cu≧1.5 mass%とすれば、より大きな強
度上昇効果が得られる。
【0027】なお、従来鋼では熱間鍛造後の冷却過程に
おいて、鍛造部品同士が重なり合うなどして冷却速度が
各鍛造部品が単一で空冷された場合に比べて遅くなった
場合には、組織が軟化し、強度不足が生じるため、冷却
管理が必要であり、製造コストが上昇するという問題が
あった。この点、図4に示したように、この発明に従っ
てCuを添加した鋼は、冷却速度が遅くなった場合でも、
Cuの析出強化により組織の軟化を小さく抑えられ、安定
した強度が得られるため、冷却速度の管理が不要とな
る。
【0028】Ni:0.1 mass%以上4.0 mass%以下 Niは、強度および靭性を向上させるのに有効な元素であ
り、またCuを添加した場合には、圧延時のCu割れを防止
する効果も有する。これら効果を発揮させるには、0.1
mass%以上の含有が必要であるが、高価である上、過剰
に添加してもその効果が飽和するため、 4.0mass%以下
とする。
【0029】Cr:0.05〜5.0 mass% Crは焼入れ性を向上し、熱間鍛造後の冷却速度に対する
強度および靭性の変化の低減に有効である。また、熱間
鍛造後のブロック組織生成促進にも効果がある。このた
め0.05mass%を超える含有が必要であるが、一方過剰に
添加すると靭性を低下するため5.0 mass%以下とする。
【0030】Al:0.0002mass%以上0.1 mass%以下 Alは、脱酸剤として働くほか、NとともにAlN を形成し
て組織を微細化し靭性を向上する作用を有する。このた
めには0.0002mass%以上の含有が必要であるが、添加量
が 0.1mass%をこえるとアルミナ系介在物が増えて靭性
を損なうため、0.1 mass%を上限とする。
【0031】Ti:0.001 mass%以上0.1 mass%以下 Tiは、析出強化に加え、NとともにTiN を形成して組織
の微細化に寄与し、靭性を向上する作用を有し、また脱
酸剤としても機能する。このためは0.01mass%以上は添
加する必要があるが、過剰に添加すると、冷却速度の遅
い場合に粗大なTiN を析出し、却って靭性を低下するた
め、0.1 mass%を上限とする。
【0032】B:0.0003mass%以上0.03mass%以下 Bは、焼入れ性を向上させる元素であり、冷却速度に対
する強度および靭性の変化を抑制するのに有効であり、
さらに熱間鍛造後のブロック組織の生成促進にも有効で
あるために、必須の成分である。その効果を発揮するに
は、0.0003mass%以上の添加が必要である。一方、過剰
に添加してもその効果は飽和するため、0.03mass%を上
限とする。
【0033】N:0.0010mass%以上0.0200mass%以下 Nは、AlあるいはTiとともにAlN およびTiN を形成して
析出し、熱間鍛造等の加熱時において結晶粒成長を抑制
するピニングサイトとして、組織を微細化し靭性を向上
する働きがある。しかし、0.0010mass%未満ではAlN お
よびTiN の析出による効果を十分に得られず、一方0.02
00mass%をこえて添加すると、効果が飽和するばかり
か、固溶Nはむしろ鋼材の靭性を低下させるため、0.00
10〜0.0200mass%の範囲とする。
【0034】さらに、この発明の鋼では、焼入性、靭性
あるいは切削性の向上を目的として、以下の成分を添加
することが可能であり、各成分の添加量は次のとおりで
ある。
【0035】まず、強度向上を図るためには、V:0.5
mass%以下およびW:0.5 mass%以下の1種または2種
を添加することが有効である。 V:0.5 mass%以下 Vは、V(C, N)を生成して析出強化に利用されると
ともに、オーステナイト域で析出したV(C, N)をべ
イナイト生成核として利用することで、組織の微細化お
よび靭性の向上に寄与する。しかし、 0.5mass%をこえ
て添加すると、効果は飽和し、また連鋳割れ等の問題も
引き起こすため、0.5 mass%以下の範囲とする。
【0036】W:0.5 mass%以下 Wは、固溶強化による強度上昇に加えて、Cと反応して
WCを析出し、強度の上昇に寄与するが、0.5 mass%を
こえて添加すると、急激な靭性低下を招くため0.5 mass
%以下とする。
【0037】次に、焼入性を改善して強度の向上を図る
ために、Mo:0.05〜3.0 mass%およびNb:0.005 〜0.15
mass%の1種または2種を添加することが有効である。 Mo:0.05〜3.0 mass% Moは、0.05mass%以上の添加によって、常温および高温
での強度を上昇する効果があるが、過剰に添加するとコ
ストアップをまねくため、0.05〜3.0 mass%の範囲で添
加する。
【0038】Nb:0.005 〜0.15mass% Nbは、焼入れ性の向上、析出強化および靭性の向上のた
めに、0.005 mass%以上で添加するが、0.15mass%をこ
えて添加すると、熱間加工性を阻害するため、0.005 〜
0.15mass%の範囲で添加する。
【0039】また、脱酸成分として作用させるととも
に、結晶粒の微細化による靭性の向上を図るために、Z
r:0.1 mass%以下、Mg:0.02mass%以下、 REM:0.02m
ass%以下およびHf:0.1 mass%以下の1種または2種
以上を添加することができる。
【0040】Zr:0.1 mass%以下 Zrは、脱酸剤として作用するとともに、結晶粒の微細化
によって強度および靭性を高めるのに有効であるが、
0.1mass%をこえて含有しても、その効果は飽和するた
め、 0.1mass%以下とする。
【0041】Mg:0.02mass%以下 Mgは、脱酸剤として作用するとともに、結晶粒の微細化
によって強度および靭性を高めるのに有効であるが、0.
02mass%をこえて含有しても、その効果は飽和するた
め、0.02mass%以下とする。
【0042】Hf:0.1 mass%以下 Hfは、結晶粒の微細化によって強度および靭性を高める
のに有効であるが、0.10mass%を超えて含有しても、そ
の効果は飽和するため、0.10mass%以下とする。
【0043】REM :0.02mass%以下 REM は、結晶粒の微細化によって強度および靭性を高め
るのに有効であるが、0.02mass%をこえて含有しても、
その効果は飽和するため、0.02mass%以下とする。
【0044】さらに、切削性の向上を図るために、P:
0.10mass%以下、Pb:0.30mass%以下、Ca:0.02mass%
以下、Te:0.05mass%以下、Co:0.10mass%以下、Se:
0.10mass%以下、Sb:0.05mass%以下およびBi:0.30ma
ss%以下の1種または2種以上を含有することができ
る。
【0045】P:0.10mass%以下 Pは、切削性の向上を目的として添加するが、過剰の添
加は靭性あるいは耐疲労性に悪影響を及ぼすため、0.10
mass%以下にする必要があり、好ましくは0.07mass%以
下とする。
【0046】Pb:0.30mass%以下 Pbは、融点が低く、切削時の鋼材の発熱により溶融する
と、液体潤滑作用を発揮して切削性を向上させる元素で
あるが、0.30mass%をこえると、その効果は飽和し、耐
疲労性が低下するため、0.30mass%以下の範囲とする。
【0047】Ca:0.02mass%以下 Caは、Pbとほぼ同様の効果を有する元素であるが、0.02
mass%をこえると、その効果が飽和するため、0.02mass
%以下の範囲とする。
【0048】Co:0.10mass%以下 Coも、PbやCaとほぼ同様な効果を有する成分であるが、
0.10mass%をこえると、その効果が飽和するため、0.10
mass%以下とする。
【0049】Te:0.05mass%以下 Teは、PbやCaと同じく切削性を向上する成分であり、0.
05mass%をこえると、その効果が飽和するとともに、耐
疲労性が低下するため、0.05mass%以下の範囲とする。
【0050】Sb:0.05mass%以下 Sbも、Co, Pb, CaおよびTeとほぼ同様な効果を有する成
分であるが、0.05mass%をこえると、その効果が飽和す
るため、0.05mass%以下とする。
【0051】Bi:0.30mass%以下 Biも、Sb, Co, Pb, CaおよびTeとほぼ同様な効果を有す
る成分であるが、0.30mass%をこえると、その効果が飽
和するため、0.03mass%以下とする。
【0052】Se:0.10mass%以下 Seは、Mnと結合してMnSeを形成し、これがチップブレイ
カーとして作用することにより被削性を改善する。しか
し、0.10mass%をこえる添加は、耐疲労性に悪影響を及
ほすため、0.10mass%以下とする。
【0053】なお、以上の添加成分において、微量でも
その効果を発揮する成分については、特に下限は規定し
ない。
【0054】この発明の非調質鋼は、上述した基本組成
に成分調整をすることによって、熱間鍛造後の冷却速度
が小さい場合でも、高強度かつ高靭性は勿論、優れた被
削性をも得られるため、熱間鍛造後の冷却速度を厳密に
制御する必要はなく、機械構造部品の一般に従って製造
すればよい。
【0055】例えば、上述した基本組成に成分調整した
熱間圧延棒鋼を1250℃に加熱後、1050〜1250℃の温度域
での熱間鍛造により所定の形状を得た後、放冷または徐
冷により、所期した特性を得ることができる。
【0056】この熱間鍛造後は特別な処理を必要としな
いが、熱間鍛造後に室温まで冷却してから、 150℃以上
800℃未満の温度域で30s以上の再加熱処理を行うこと
により、強度上昇を図ることも可能である。
【0057】
【実施例】表2〜4に示す種々の成分組成の鋼を転炉に
て溶製し、連続鋳造によりブルームとした後、熱間圧延
により65mmφの棒鋼とした。次いで、1250℃に加熱後、
熱間鍛造にて30mmφに成形し、800 〜500 ℃の温度域を
(1) 0.05℃/s,(2) 0.5℃/s,(3) 5℃/sの冷却
速度で冷却した。また、熱間鍛造加工において加工の及
ばない部分を想定して、65mmφの棒鋼を切削により30mm
φの棒鋼に加工し、これを1250℃に加熱後、冷却速度が
30℃/min となる放冷も実施した。さらにこれらの棒鋼
の一部に関しては、 550℃で40min 保持する熱処理を実
施した。かくして得られた棒鋼から、引張試験片(JIS4
号)および衝撃試験片(JIS3号)を採取して機械的性質
を調査した。その調査結果を表5〜10に示す。なお、被
削性は図2に示した実験と同様に評価し、切屑処理性は
図3に示した実験と同様に評価した。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】表5〜10に示す通り、この発明に従う鋼
は、いずれの冷却速度においても、また加工の及ばない
場合においても、引張り強さT.S.≧923 MPa と高く、か
つ高強度になっても靭性は u20≧92J/cm2 以上と極
めて良好であり、被削性についても従来型の非調質鋼で
ある鋼50および51よりも優れたドリル寿命を示した。
【0068】これに対して、比較例である鋼34は、C量
がこの発明の下限に達していないため、加工が及ばない
場合の靭性が低下した。一方、鋼35は、C量がこの発明
の上限よりも高いために靭性が低下した。鋼36は、Si量
がこの発明の上限よりも高いために靭性が低下した。鋼
37は、Mn量がこの発明の下限に達していないため、強度
および加工が及ばない場合の靭性が低下した。
【0069】同様に、鋼38は、Mn量がこの発明の上限よ
りも高いために、切削性が低下した。鋼39は、Ni量がこ
の発明の下限に達していないため、圧延中に熱間脆性が
生じた。鋼40は、Cu量がこの発明の下限に達していない
ため、強度、靭性、切削性および切屑処理性が低下し
た。鋼41は、Cu量がこの発明の上限よりも高いために、
靭性が低下した。鋼42は、S量がこの発明の下限に達し
ていないため、切削性および切屑処理性が低下した。鋼
43は、Cr量がこの発明の上限よりも高いために、靭性が
低下した。鋼44は、Ti量がこの発明の上限よりも高いた
めに、靭性が低下した。鋼45は、B量がこの発明の下限
に達していないため、ブロック組織の生成が十分でなく
靭性が低下した。鋼46は、N量がこの発明の上限よりも
高いために、靭性が低下した。
【0070】また、従来型の非調質鋼である鋼48の強度
および靭性は、冷却速度依存性が大きい。すなわち、フ
ェライト−パーライト組織である鋼48は、冷却速度が速
い場合でも、T.S.は766MPaと低く、冷却速度が遅くなる
と、さらに低くなる。そして、靭性は冷却速度の速い場
合でも40J/cm2 程度であり、冷却速度の遅い場合は30
J/cm2 程度にとどまる。
【0071】この点、従来型の非調質鋼でも鋼47は、強
度と靭性のバランスがいずれの冷却速度でも鋼48に比べ
て良好であるが、従来型の調質鋼である鋼49, 50および
発明鋼のそれに比べると各特怯とも低いレベルにある。
すなわち、鋼48および47は、比較的冷却速度の速い小さ
い部品に適用できる可能性はあるものの、冷却速度の遅
い大きい部品には不向きであることがわかる。また、比
較鋼47は加工が加わらない場合の靭性が調質鋼あるいは
発明鋼に比較して低い値しか得られていない。これに村
して、発明鋼の機械的性質および靭性は、その冷却速度
依存性が極めて小さく、部品形状が変化した場合、例え
ば大断面形状となった場合あるいは加工が十分に及ばな
い部分においても、十分な強度および靭性を均等に付与
できる。
【0072】
【発明の効果】この発明の非調質鋼は、従来の非調質鋼
より優れた強度および靭性をバランス良く有するため、
高強度かつ高靭性を必要とする自動車用重要保安部品あ
るいはシャフト類、転動部品および摺動部品など、各種
機械部品に広く活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の非調質鋼が有するベイナイト組織の
模式図である。
【図2】CuおよびS含有量とドリル寿命との関係を示す
図である。
【図3】CuおよびS含有量と切屑処理性との関係を示す
図である。
【図4】圧延材の引張り強さに及ぼす圧延後の冷却速度
の影響を示す図である。
【図5】強度上昇に及ぼすCuの影響を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 天野 虔一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.05mass%をこえ0.15mass%未満、 Si:0.005 mass%以上2.0 mass%以下、 Mn: 2.0mass%をこえ5.0 mass%以下、 S:0.02mass%以上0.50mass%以下、 Cu:1.0 mass%をこえ4.0 mass%以下、 Ni:0.1 mass%以上4.0 mass%以下、 Cr:0.05mass%以上5.0 mass%以下、 Al:0.0002mass%以上0.1 mass%以下、 Ti:0.001 mass%以上0.1 mass%以下、 B:0.0003mass%以上0.03mass%以下およびN:0.0010
    mass%以上0.0200mass%以下を含み、残部Feおよび不可
    避的不純物からなることを特徴とする熱間鍛造用非調質
    鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1において、さらにV:0.5 mass
    %以下およびW:0.5 mass%以下の1種または2種を含
    むことを特徴とする熱間鍛造用非調質鋼。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、さらにMo:
    0.05mass%以上3.0 mass%以下およびNb:0.005 mass%
    以上 0.15 mass%以下の1種または2種を含むことを特
    徴とする熱間鍛造用非調質鋼。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3において、さらに
    Zr:0.02mass%以下、 Mg:0.02mass%以下、 Hf:0.1 mass%以下およびREM:0.02mass%以下のl種
    または2種以上を含むことを特徴とする熱間鍛造用非調
    質鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4において、さ
    らにP:0.10mass%以下、 Pb:0.30mass%以下、 Co:0.1 mass%以下、 Ca:0.02mass%以下、 Te:0.05mass%以下、 Se:0.10mass%以下、 Sb:0.05mass%以下およびBi:0.30mass%以下の1種ま
    たは2種以上を含むことを特徴とする熱間鍛造用非調質
    鋼。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1199375A4 (en) * 2000-03-24 2003-01-22 Kawasaki Steel Co UNREFINED STEEL HAVING REDUCED MATERIAL ANISOTROPY AND IMPROVED STRENGTH, TENACITY AND WORKABILITY
JP2011518957A (ja) * 2008-05-06 2011-06-30 アンデュステール クルゾ 大型部材用の高性能鋼

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