JP2000015258A - 植物病原菌殺菌用電解機能水 - Google Patents

植物病原菌殺菌用電解機能水

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JP2000015258A
JP2000015258A JP11075008A JP7500899A JP2000015258A JP 2000015258 A JP2000015258 A JP 2000015258A JP 11075008 A JP11075008 A JP 11075008A JP 7500899 A JP7500899 A JP 7500899A JP 2000015258 A JP2000015258 A JP 2000015258A
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electrolyzed
functional water
sprayed
residual chlorine
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JP11075008A
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Koichi Miyashita
公一 宮下
Keiji Nagano
敬二 永野
Takeshi Muto
剛 武藤
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】植物の生理障害の発生を抑制しつつ、植物、土
壌等の殺菌、消毒に用いることができる植物病原菌殺菌
用電解機能水を提供する。 【解決手段】イオン透過性の隔膜3を介して陽極板6と
陰極板7とを設けた電解槽2に塩化カリウム水溶液を供
給して電解する。電解槽2の陽極側17から得られ、p
Hが3.0〜7.0の範囲にあり、有効残留塩素濃度が
20ppm以上である。好ましくは、pHが3.0〜
5.0の範囲にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物病原菌の殺菌
に用いる電解機能水に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、イオン透過性の隔膜を介して陽極
板と陰極板とを設けた電解槽に塩化物を含む原水を供給
して電解することにより、前記電解槽の陽極側から得ら
れる酸性の電解機能水が知られている。前記塩化物は通
常の場合、塩化ナトリウムが用いられ、生成する電解機
能水は、pHが2.5〜2.7の範囲の酸性であって電
解生成物としての塩素及び次亜塩素酸等の塩素化合物を
含む。前記電解機能水は、前記塩素及び塩素化合物によ
る殺菌効果を有するので、食器、食品、水道水等の殺
菌、消毒に用いられる。
【0003】前記電解機能水の殺菌効果は、植物病原菌
に対しても有効であり、植物、圃場等に散布して植物、
土壌等の殺菌、消毒に用いることが考えられる。
【0004】しかしながら、前記電解機能水を植物、圃
場等に散布すると、植物に葉枯れ、発育不全等の生理障
害が現れるという不都合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる不都
合を解消して、植物の生理障害の発生を抑制しつつ、植
物等の殺菌、消毒に用いることができる植物病原菌殺菌
用電解機能水を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記塩化
ナトリウムを含む原水の電解により得られる電解機能水
による植物の生理障害について検討したところ、次の知
見を得た。
【0007】まず、植物の葉枯れは、前記電解機能水の
pHが低い場合に生じる。そこで、本発明者らは前記電
解機能水の殺菌作用とpHとの関係について検討を重ね
た結果、前記電解機能水の殺菌作用は主として塩素及び
塩素化合物によるものであり、植物が葉枯れを起こさな
い程度にpHを高くしても、所定の有効残留塩素濃度を
確保すれば、十分に殺菌作用が得られることを見出し
た。
【0008】次に、植物の発育不全は、前記電解機能水
に含まれるナトリウムによるものと考えられる。一般
に、海洋植物、塩生植物を除く高等植物の生体膜にはイ
オンの移送を司るイオンポンプが存在することが知られ
ている。前記イオンポンプにはナトリウムポンプ、プロ
トンポンプ等があり、これらのイオンポンプは生体膜の
内側から外側へ、或いは外側から内側へ、特定のイオン
を移送するものである。
【0009】前記ナトリウムポンプはナトリウム−カリ
ウムATPアーゼの働きによるものであり、生体膜の外
側から内側へK+ を取り込む流れと、生体膜の内側から
外側へNa+ を押し出す流れとがあるが、環境のナトリ
ウム濃度が異常に高くなると、前記2つの流れが共に阻
害される。従って、ナトリウム濃度が異常に高い環境下
では、ナトリウムが細胞外に排出されずに細胞内に蓄積
され、このような細胞は死に至る。また、前記ナトリウ
ムポンプが正常に作用しないと、H+ の移送を司るプロ
トンポンプの作用も正常に作用しなくなり、光合成、呼
吸機能が阻害される。また、pHが低くなることはH+
濃度が高くなることを意味し、そのようなH+ 濃度が高
い環境下では、前記イオンポンプに障害が生じるものと
考えられる。
【0010】そこで、本発明者らは、前記塩化物として
塩化ナトリウムに代えて塩化カリウムを用いること及び
pHを高くすることにより、植物の発育不全を防止でき
ることを見出した。
【0011】本発明は前記知見に基づいてなされたもの
であり、イオン透過性の隔膜を介して陽極板と陰極板と
を設けた電解槽に塩化カリウム水溶液を供給して電解す
ることにより該電解槽の陽極側から得られる電解機能水
であって、pHが3.0〜7.0の範囲にあり、有効残
留塩素濃度が20ppm以上であることを特徴とする植
物病原菌殺菌用電解機能水にある。
【0012】本発明の植物病原菌殺菌用電解機能水は、
塩化カリウム水溶液の電解により得られるので、実質的
にナトリウムを含まず、植物や土壌にナトリウムが蓄積
されることがない。従って、前記ナトリウムポンプの作
用不全による植物の生理障害を防止することができ、し
かも植物の肥効成分であるカリウムを補給することがで
きる。
【0013】本発明の植物病原菌殺菌用電解機能水は前
記電解槽の陽極側から得られるので、アルカリ性となる
ことはあり得ず、酸性乃至中性領域にある。また、本発
明の植物病原菌殺菌用電解機能水は、酸性領域にあって
もそのpHが3.0以上であるので、植物に散布しても
葉枯れを起こしにくい。一方、本発明の植物病原菌殺菌
用電解機能水はpH7.0以下であれば、有効残留塩素
濃度を20ppm以上に維持することができ、植物病原
菌に対して十分な殺菌性を備え、植物、土壌の殺菌、消
毒に用いることができる。
【0014】また、本発明の植物病原菌殺菌用電解機能
水は、pHが3.0〜5.0の範囲にあることにより、
分子状塩素(Cl2 )としてよりも、次亜塩素酸(HC
lO)として存在する塩素が多くなり、より安定した殺
菌作用が得られる。さらに、塩素ガスの発生を抑制する
ことができる。
【0015】また、本発明の植物病原菌殺菌用電解機能
水によれば、前記のように植物に散布しても葉枯れ等の
生理障害を起こしにくいので、散布量を増加することが
でき、前記殺菌作用を増大させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、添付の図面を参照しながら
本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図
1は本実施形態の電解機能水の製造に使用する電解水生
成装置のシステム構成図である。また、図2は、本発明
の電解機能水を噴霧した胡瓜と、他の液体を噴霧した胡
瓜と、全く液体を噴霧しなかった胡瓜とにおけるうどん
こ病発病度の経日変化を示すグラフであり、図3は本発
明の電解機能水を噴霧した胡瓜と、他の液体を噴霧した
胡瓜と、全く液体を噴霧しなかった胡瓜とにおける生理
障害発生率の経日変化を示すグラフである。
【0017】図1示の電解水生成装置1において、電解
槽2はイオン透過性の隔膜3を介して対向する電解室
4,5にそれぞれ電極板6,7を備える。電極板6,7
は、電源装置8に接続されてその極性を交互に切換える
ことができるようになっており、例えば、電極板6が陽
極板、電極板7が陰極板となる。
【0018】各電解室4,5には原水供給導管9,10
が接続されている。原水供給導管9,10は導管11、
電磁弁12を介して図示しない水道管等に接続され、濃
塩化カリウム水溶液タンク13からメータリングポンプ
14により供給される濃塩化カリウム水溶液が導管11
内で原水と混合されて所定濃度の塩化カリウム水溶液が
原水供給導管9,10から各電解室4,5に供給される
ようになっている。
【0019】また、各電解室4,5で前記塩化カリウム
水溶液の電解により生成する酸性またはアルカリ性の電
解水は電解水取出導管15,16により取り出され、三
方弁19,20により酸性の電解水は酸性電解水取出導
管17から、アルカリ性の電解水はアルカリ性電解水取
出導管18から取り出されるようになっている。
【0020】電解水生成装置1では、制御手段21によ
り電極板6,7の極性切り換えと、該極性切り換えに対
応する三方弁19,20の接続方向の制御とを行うよう
になっており、例えば、制御手段21により電極板6を
陽極、電極板7を陰極として電解を行うときには、三方
弁19により電解水取出導管15と酸性電解水取出導管
17とを接続するとともに、三方弁20により電解水取
出導管16とアルカリ性電解水取出導管18とを接続す
る。この場合には、電解室4が陽極側となるので電解室
4で酸性の電解水が生成し、陰極側となる電解室5には
アルカリ性の電解水が生成する。そして、電解室4で生
成した酸性の電解水は酸性電解水取出導管17から、電
解室5で生成したアルカリ性の電解水はアルカリ性電解
水取出導管18から取り出される。
【0021】電解水生成装置1では、電極板6,7の極
性を前記のまま固定しておくと、陰極側の電極板7に炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の塩基性化合物の析
出物からなるスケールが付着して次第に電解効率が低減
するので、これを防止するために、電極板6,7の極性
を周期的に交互に切り換えるようになっている。
【0022】制御手段21により、電極板6を前記と逆
の陰極とし、電極板7を陽極とするように極性を切り換
えて電解を行うと、今度は電解室4でアルカリ性の電解
水が生成し、電解室5では酸性の電解水が生成する。そ
こでこの場合には、制御手段21は、三方弁19により
電解水取出導管15とアルカリ性電解水取出導管18と
を接続するとともに、三方弁20により電解水取出導管
16と酸性電解水取出導管17とを接続し、電解室4で
生成したアルカリ性の電解水はアルカリ性電解水取出導
管18から、電解室5で生成した酸性の電解水は酸性電
解水取出導管17から取り出されるようにする。従っ
て、電極板6,7の極性が切り換えられても、酸性また
はアルカリ性の電解水が取り出される導管は変わらな
い。
【0023】本実施形態の電解水生成装置1では、メー
タリングポンプ14から濃塩化カリウム水溶液を供給し
て導管11内に0.5〜2.0%の塩化カリウム水溶液
が生成するようにする。そして、該塩化カリウム水溶液
を原水供給導管9,10から各電解室4,5に0.5〜
2.0リットル/分で供給し、電極板6,7の間に3〜
15A、4〜20Vの電圧を印加して電解を行う。これ
により、酸性電解水取出導管17から、酸性の電解機能
水が得られる。該電解機能水は、pH3.0以上の酸性
であると共に、有効残留塩素濃度20ppm以上であ
り、殺菌作用を備えている。
【0024】前記電解機能水は、前記範囲のpHである
ことから植物や圃場に散布しても植物に葉枯れ等の生理
障害を起こしにくい。また、前記電解機能水は、塩化カ
リウム水溶液の電解により得られるので、前記原水に不
可避的に含まれるもの以外に実質的にナトリウムを含ま
ず、植物や圃場に散布しても植物のナトリウムによる生
育不全を起こさない。従って、前記電解機能水は、植物
病原菌の殺菌用電解機能水として、植物、土壌の殺菌、
消毒に用いることができる。
【0025】前記電解機能水において、前記有効残留塩
素濃度は、塩化カリウム水溶液の電解により生成する塩
素及び次亜塩素酸によるものである。ここで、pHを
3.0以上、好ましくは3.0〜5.0の範囲とするこ
とにより、分子状塩素(Cl2)としてよりも、次亜塩
素酸(HClO)として存在する塩素が多くなる。この
結果、より安定した殺菌作用が得られ、しかも塩素ガス
の発生を抑制することができる。塩素ガスは刺激臭を有
するので、塩素ガスの発生を抑制することにより散布作
業が容易になる。また、塩素ガスの発生を抑制すること
により、塩素ガスによる装置の金属部分の腐食を防止す
る効果を得ることもできる。
【0026】次に、本実施形態の電解機能水における有
効残留塩素濃度及びpHと、殺菌効果及び生理障害との
関係について説明する。
【0027】まず、有効残留塩素濃度と、殺菌効果との
関係を調べるために、次の実験を行った。本実験では、
次亜塩素酸ナトリウムにより有効残留塩素濃度が各1
0、20、30、40、50ppmの試験液を調製し
た。次に、植物病原菌であるFusarium菌が1×
104 個/cm3 、1×105 個/cm3 、1×106
個/cm3 、1×107 個/cm3 、1×108 個/c
3 の濃度で含まれるように調製した菌懸濁液を前記試
験液でそれぞれ10倍に希釈した菌液を調製した。そし
て、前記菌液1ミリリットルをポテトデキストロース寒
天培地に塗布し、3日間培養後、コロニーの発生数をカ
ウントした。
【0028】尚、本発明の電解機能水は、植物の生理障
害を防止するために塩化カリウム水溶液の電解により製
造されるものであり、その有効残留塩素濃度は実際には
次亜塩素酸カリウムによるものである。しかし、本実験
は単に有効残留塩素濃度による殺菌効果を確認するもの
であって、ナトリウムによる生理障害は無関係である。
また、次亜塩素酸カリウムは通常試薬として市販されて
いない。そこで、ここでは一般に市販されていて入手が
容易な次亜塩素酸ナトリウムで代用している。結果を表
1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示す実験結果から、有効残留塩素濃
度が10ppmの場合には菌濃度が1×107 個/cm
3 になると、3日培養後のコロニー数が非常に多くなる
ことが認められる。これに対し、有効残留塩素濃度が2
0ppm以上であれば、菌濃度が1×107 個/cm3
であってもある程度の殺菌効果が得られることが認めら
れる。
【0031】次に、有効残留塩素濃度及びpHと、殺菌
効果との関係を調べるために、次の実験を行った。本実
験では、次亜塩素酸ナトリウムにより有効残留塩素濃度
が各0、10、30ppmになるようにするとともに、
塩酸と水酸化ナトリウムとpHを7.0と2.5とにな
るようにして試験液を調製した。次に、植物病原菌であ
るFusarium菌が1×104 個/cm3 、1×1
5 個/cm3 、1×106 個/cm3 、1×107
/cm3 、1×108 個/cm3 の濃度で含まれるよう
に調製した菌懸濁液を前記試験液でそれぞれ10倍に希
釈した菌液を調製した。そして、前記菌液1ミリリット
ルをポテトデキストロース寒天培地に塗布し、3日間培
養後、コロニーの発生数をカウントした。次亜塩素酸ナ
トリウムを使用する理由は前述のとおりである。結果を
表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2に示す実験結果から、有効残留塩素濃
度が同一であれば、pHが異なってもほぼ同一の結果が
得られ、有効残留塩素濃度による殺菌効果にpHがあま
り影響していないことが認められる。
【0034】従って、表1及び表2から、有効残留塩素
濃度が20ppm以上あれば、pHに関わらず、殺菌効
果が得られることが明らかである。
【0035】次に、pHと、植物の生理障害との関係を
調べるために、塩酸を添加してpHを調整した水を胡瓜
(品種:シャープ7)に葉1枚当たり20ミリリットル
の割合で散布し、胡瓜の葉の葉枯れ、葉焼け等の生理障
害の発生度合いを観察した。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3に示す実験結果から、pH2.6以下
では葉枯れ、葉焼け等の生理障害が起きるが、pH3.
2では前記生理障害が起きなかった。このことよりpH
を比較的高くすることで(例えばpH2.6以上)、生
理障害を起こしにくくすることが可能であることが推定
できる。
【0038】次に、有効残留塩素濃度と、植物の生理障
害との関係を調べるために、次亜塩素酸ナトリウムを添
加して有効残留塩素濃度を調整した水を胡瓜(品種:シ
ャープ7)に葉1枚当たり20ミリリットルの割合で散
布し、生理障害の発生度合いを観察した。次亜塩素酸ナ
トリウムを使用する理由は前述のとおりである。結果を
表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】表4に示す実験結果から、有効残留塩素濃
度は、植物の生理障害に関与していないことが認められ
る。また、この実験では、いずれの胡瓜の葉においても
付着した菌に対しての殺菌効果が示された。
【0041】表1〜表4の結果をまとめると、pH3.
0以上の酸性であって、有効残留塩素濃度が20ppm
以上であれば、植物病原菌に対して殺菌効果があると共
に、植物に生理障害が起きにくいことが明らかである。
【0042】次に、実施例を示す。
【0043】
【実施例1】本実施例では、前記電解水生成装置1で、
メータリングポンプ14から濃塩化カリウム水溶液を供
給して導管11内に0.8%の塩化カリウム水溶液が生
成するようにした。そして、該0.8%の塩化カリウム
水溶液を原水供給導管9,10から各電解室4,5に
1.0リットル/分で供給し、電極板6,7の間に6
A、15V程度の電圧を印加して電解を行った。この結
果、酸性電解水取出導管17から、pH3.2、有効残
留塩素濃度31ppmの電解機能水A(実施例1)が得
られた。
【0044】また、比較のために、別の電解槽を使用し
て、pH2.7、有効残留塩素濃度32ppmの電解機
能水B(比較例1)を得た。
【0045】次に、植物病原菌であるFusarium
菌が1×108 個/cm3 及び1×106 個/cm3
濃度で含まれるように調製した菌懸濁液を前記電解機能
水A,Bでそれぞれ10倍に希釈した菌液を調製した。
そして、前記菌液1ミリリットルをポテトデキストロー
ス寒天培地に塗布し、3日間培養後、コロニーの発生数
をカウントした。結果を表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】表5に示す実験結果から、電解機能水Aに
よればpHが3.2であり、電解機能水Bの2.7より
も高いにも関わらず、電解機能水Bと同等の有効残留塩
素濃度で、電解機能水Bと同等の殺菌効果が得られるこ
とが明らかである。
【0048】次に、電解機能水Bと同一の条件で得られ
たpH2.6〜2.8、有効残留塩素濃度30〜32p
pmの電解機能水を、約2ヶ月わたり週2回の割合で温
室内の胡瓜に対し1リットル/4株、2リットル/4
株、4リットル/4株の割合で散布し、井水を2リット
ル/4株で散布した場合と、胡瓜のうどん粉病菌(Sp
haerotheca fuligine Polla
cci)に対する殺菌効果及び生理障害の有無を比較し
た。結果を表6に示す。
【0049】
【表6】
【0050】表6に示す実験結果から、pH2.6〜
2.8、有効残留塩素濃度30〜32ppmの電解機能
水によれば、その有効残留塩素濃度により殺菌効果は得
られるものの、生理障害が起き、その程度は散布濃度が
高くなるほど強いことが明らかである。一方、井水は略
中性であって実質的に有効残留塩素濃度0であり、殺菌
効果が得られない替わりに、生理障害は起きない。
【0051】
【実施例2】本実施例では、実施例1と同様にして、前
記電解水生成装置1で塩化カリウム水溶液の電解を行
い、酸性電解水取出導管17から、pH3.6、有効残
留塩素濃度31ppm、酸化還元電位(ORP)131
7mVの電解機能水C(実施例2)が得られた。
【0052】比較のために、市販の電解水生成装置(三
浦電子株式会社製、商品名:OXILYZER)を用い
て塩化ナトリウム水溶液の電解を行い、pH2.6、有
効残留塩素濃度36ppm、酸化還元電位(ORP)1
365mVの電解機能水D(比較例2)を得た。また、
井水に次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)及び塩酸を
添加して、有効残留塩素濃度及びpHを調整し、pH
2.7、有効残留塩素濃度31ppm、酸化還元電位
(ORP)1363mVの調整水(比較例3)を得た。
また、pH7.0、有効残留塩素濃度0ppm、酸化還
元電位(ORP)918mVの井水を比較例4とした。
【0053】前記各液体の性状をまとめて、表7に示
す。
【0054】
【表7】
【0055】本実施例では、電解機能水C(実施例
2)、電解機能水D(比較例2)、調整水(比較例
3)、井水(比較例4)を、鉢植えの胡瓜(品種:シャ
ープ7)に噴霧して、うどんこ病発病度及び生理障害
(葉枯れ)発生率を測定した。また、全く噴霧を行わな
いものをコントロールとし、前記うどんこ病発病度及び
生理障害(葉枯れ)発生率を測定した。
【0056】前記胡瓜は、樹皮加工植物支持材(今市木
材開発協同組合製、商品名:クリプトモス)を培地とし
て、合成樹脂製の鉢(日本ポリ鉢販売株式会社製、24
cmφ)に入れたものに、1998年5月19に播種
し、肥料溶液(大塚ハウス肥料販売株式会社、B処方、
1単位)を1日に2回供給して栽培した。
【0057】前記胡瓜は、前記各種液体を噴霧するもの
と、噴霧を行わないコントロールとをそれぞれ1つの試
験区として、1試験区当り7株を使用した。前記液体の
噴霧は、肩掛型蓄圧式噴霧器(株式会社協立商会製作所
製、商品名:KP−6)を用い、1998年7月9日か
ら7月20日にかけて3〜4日毎に、1回につき約30
0ml/株となるようにして行った。前記各液体を噴霧
した場合と、噴霧しなかった場合(コントロール)との
前記うどんこ病発病度を図2に、生理障害発生率を図3
に示す。
【0058】前記うどんこ病発病度は、表8に示す評価
基準に基づいて、次式(1)により算出した。
【0059】
【表8】
【0060】
【数1】
【0061】(式中、n0 ,n1 ,n2 ,n3 ,n4
表8の評価基準にあてはまる葉数を、n0 ,n1
2 ,n3 ,n4 の係数はそれぞれの評価値を示す) また、前記生理障害発生率は次式(2)により算出し
た。
【0062】
【数2】
【0063】また、図2及び図3において、バーは供試
数7の標準誤差を示す。
【0064】図2から、本実施例の電解機能水Cを噴霧
した胡瓜は、井水(比較例4)を噴霧した胡瓜及び液体
を全く噴霧しなかったコントロールの胡瓜に比較して、
うどんこ病の発病度が低いことが明らかである。また、
本実施例の電解機能水Cを噴霧した胡瓜の発病度は、比
較例2の電解機能水D及び比較例3の調整水を噴霧した
胡瓜の発病度と同程度であり、有意差は認められなかっ
た。
【0065】従って、本実施例の電解機能水Cは、比較
例2の電解機能水D及び比較例3の調整水よりもpHが
高いにも関わらず、植物病原菌の殺菌について同程度の
有効残留塩素濃度を備える比較例2の電解機能水D及び
比較例3の調整水と同等の効果を示すことが示された。
【0066】また、図3から、本実施例の電解機能水C
を噴霧した胡瓜の生理障害発生率は、比較例4の井水を
噴霧した胡瓜及び液体を全く噴霧しなかったコントロー
ルの胡瓜に比較してやや高くなるが、比較例2の電解機
能水D及び比較例3の調整水を噴霧した胡瓜に比較する
と、格段に低いことが明らかである。従って、本実施例
の電解機能水Cによれば、比較例2の電解機能水D及び
比較例3の調整水に比較して、生理障害の発生を顕著に
抑制することができ、比較例2の電解機能水D及び比較
例3の調整水よりも多量に散布することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解機能水の製造に使用する電解水生
成装置の一例を示すシステム構成図。
【図2】本発明の電解機能水を噴霧した胡瓜と、他の液
体を噴霧した胡瓜と、全く液体を噴霧しなかった胡瓜と
におけるうどんこ病発病度の経日変化を示すグラフ。
【図3】本発明の電解機能水を噴霧した胡瓜と、他の液
体を噴霧した胡瓜と、全く液体を噴霧しなかった胡瓜と
における生理障害発生率の経日変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1…電解水生成装置、 2…電解槽、 3…隔膜、 6
…陽極板、 7…陰極板、 17…酸性電解水取出導
管。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオン透過性の隔膜を介して陽極板と陰極
    板とを設けた電解槽に塩化カリウム水溶液を供給して電
    解することにより該電解槽の陽極側から得られる電解機
    能水であって、pHが3.0〜7.0の範囲にあり、有
    効残留塩素濃度が20ppm以上であることを特徴とす
    る植物病原菌殺菌用電解機能水。
  2. 【請求項2】pHが3.0〜5.0の範囲にあることを
    特徴とする請求項1記載の植物病原菌殺菌用電解機能
    水。
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