JP2000006374A - 印刷濃度調整装置 - Google Patents

印刷濃度調整装置

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JP2000006374A
JP2000006374A JP10175181A JP17518198A JP2000006374A JP 2000006374 A JP2000006374 A JP 2000006374A JP 10175181 A JP10175181 A JP 10175181A JP 17518198 A JP17518198 A JP 17518198A JP 2000006374 A JP2000006374 A JP 2000006374A
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film thickness
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ink film
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JP10175181A
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Tomokimi Tomita
朝仁 富田
Mikiya Hirose
幹哉 広瀬
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オフセット印刷機において所望の印刷濃度を高
い精度で得るため、インキ調整キーの開度調整等により
インキ装置を調整した結果としてのインキ供給量そのも
のを、インキ調整キーの開度とインキ供給量の特性を考
慮して直接制御する印刷濃度調整装置の提供。 【解決手段】オフセット印刷機のインキ装置を制御して
印刷濃度を調整する印刷濃度調整装置であって、絵柄面
積率を入力してインキ装置のインキ調整キーを初期設定
値に設定するとともに、操作量を入力して前記インキ調
整キーを制御設定値に再設定するインキ調整キー設定手
段と、前記インキ膜厚の実測値と、インキ膜厚の目標値
と、前記初期設定値を入力して前記インキ調整キーを再
設定するための前記操作量を演算する操作量演算手段
と、を有する印刷濃度調整装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオフセット印刷の技
術分野に属する。特に、オフセット印刷機におけるイン
キ装置を制御することにより所望の印刷濃度を得るため
の印刷濃度調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷機においてはインキの供
給量を適正に設定する必要性がある。インキの供給量が
不足する場合は印刷物において濃度が不足することとな
り、インキの供給量が過剰の場合は印刷物において濃度
が過剰となる。さらに、多色印刷の場合には各色インキ
の供給量が適正でない場合は印刷物において色調のバラ
ンスが崩れ所望の色調再現が得られない。オフセット印
刷機におけるインキの供給量は、印刷開始前であれば、
印刷版のサイズ(印刷機により決まる)と印刷版の絵柄
面積率の版胴軸方向の分布からインキの使用量を予測
し、インキ壺のインキ調整キーの開度を、その分布に合
わせてプリセットすることが行われる。また印刷開始後
であれば、印刷物における印刷再現に基づいてインキ供
給量の修正が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、印刷開始
前であれば印刷版の絵柄面積率の版胴軸方向の分布が考
慮され、それに基づいてインキ供給量がプリセットされ
る。しかし、印刷版の絵柄面積率を考慮しただけでは、
精度の高いプリセットを行うことができない。その理由
は、上述のようにインキの供給量はインキ壺のインキ調
整キーの開度によって調整される。そのインキ調整キー
の開度は、手動の場合にはインキ壺の目盛りによって合
わせ、自動の場合には遠隔にある操作盤に表示される目
盛りによって合わせるものである。このように目盛りに
よって合わせることが成立するためには、インキ調整キ
ーの開度とインキ供給量とが一意的に定まり再現性も得
られることが前提条件である。ところが実際は、インキ
壺に設けられた複数のインキ調整キーの間にバラツキが
存在し、また機械的な磨耗等による経年変化があり、そ
の前提条件は必ずしも成立しない。また、インキの状
態、特にインキの流動特性は環境温度、製造ロット、取
り扱いによって異なり、インキ壺の目盛りにインキ調整
キーの開度を合わせることによって、常に一定のインキ
供給量が得られることにはならない。
【0004】そこで本発明の目的は、オフセット印刷機
において所望の印刷濃度を高い精度で得るため、インキ
調整キーの開度調整等によりインキ装置を調整した結果
としてのインキ供給量そのものを、インキ調整キーの開
度とインキ供給量の特性を考慮して直接制御する印刷濃
度調整装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は下記の本発
明によって達成される。すなわち、本発明の第1の態様
の印刷濃度調整装置は、オフセット印刷機のインキ装置
を制御して印刷濃度を調整する印刷濃度調整装置であっ
て、絵柄面積率を入力してインキ装置のインキ調整キー
を初期設定値に設定するとともに、操作量を入力して前
記インキ調整キーを制御設定値に再設定するインキ調整
キー設定手段と、インキ膜厚の実測値と、インキ膜厚の
目標値と、前記初期設定値を入力して前記インキ調整キ
ーを再設定するための前記操作量を演算する操作量演算
手段と、を有するようにしたものである。本発明によれ
ば、インキ調整キー設定手段により、まず、絵柄面積率
が入力されインキ装置のインキ調整キーが初期設定値に
設定される。そして、操作量演算手段により、インキ膜
厚の実測値と、インキ膜厚の目標値と、その初期設定値
が入力されインキ調整キーを再設定するための操作量が
演算される。インキ調整キー設定手段により、次に、そ
の操作量が入力されそのインキ調整キーが制御設定値に
再設定される。したがって、インキ調整キーの開度調整
等によりインキ装置を調整した結果としてのインキ供給
量そのものを、インキ調整キーの開度とインキ供給量の
特性を考慮して直接制御する印刷濃度調整装置が提供さ
れる。
【0006】また本発明の第2の態様の印刷濃度調整装
置は、第1の態様の印刷濃度調整装置において、絵柄面
積率と、用紙種類と、インキ種類とを入力して前記イン
キ膜厚の目標値を演算する目標値演算手段を有するよう
にしたものである。本発明によれば、目標値演算手段に
より、絵柄面積率と、用紙種類と、インキ種類とが入力
され、前述のインキ膜厚の目標値が演算される。また本
発明の第3の態様の印刷濃度調整装置は、第1または第
2の態様の印刷濃度調整装置において、前記インキ膜厚
に関する状態量を検出する検出ヘッドと、前記インキ膜
厚に関する状態量を入力してインキ膜厚の実測値を演算
する実測値演算手段と、前記インキ元ローラの軸と平行
方向に前記検出ヘッドを移動し所定の位置に停止する走
査手段と、を有するようにしたものである。本発明によ
れば、検出ヘッドにより、インキ膜厚に関する状態量が
検出され、実測値演算手段により、そのインキ膜厚に関
する状態量が入力されインキ膜厚の実測値が演算され、
走査手段により、インキ元ローラの軸と平行方向に前述
の検出ヘッドが移動され所定の位置に停止する。したが
って、インキ元ローラの軸方向のインキ膜厚分布を測定
することができる。
【0007】また本発明の第4の態様の印刷濃度調整装
置は、第1〜第3のいずれかの態様の印刷濃度調整装置
において、前記実測値はインキ元ローラの軸と平行方向
のインキ膜厚の分布の実測値であり、前記目標値はイン
キ元ローラの軸と平行方向のインキ膜厚の分布の目標値
となるようにしたものである。前述のように走査手段は
インキ元ローラの軸と平行方向に検出ヘッドを移動し所
定の位置に停止するからインキ膜厚の分布の実測値を得
ることができる。本発明によれば、その実測値と目標値
に基づいてインキ供給量をインキ膜厚の分布として制御
することができる。
【0008】また本発明の第5の態様の印刷濃度調整装
置は、第1〜第4のいずれかの態様の印刷濃度調整装置
において、前記操作量は前記インキ装置におけるインキ
元ローラの軸と平行方向のインキ供給量の分布を操作す
るための分布操作量と前記インキ装置における全体のイ
ンキ量を操作するための全体操作量とからなるようにし
たものである。本発明によれば、分布操作量によりイン
キ調整キーの開度調整を行い、全体操作量によりインキ
出しローラの回転速度調整を行うことでインキ供給量を
制御することができる。また本発明の第6の態様の印刷
濃度調整装置は、第1〜第5のいずれかの態様の印刷濃
度調整装置において、前記目標値と前記実測値とをグラ
フィカルに表示する表示手段を有するようにしたもので
ある。本発明によれば、表示手段により目標値と実測値
とがグラフィカルに表示されるから、目標値に対する実
測値のずれ等の状況を的確に判別することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に本発明について実施の形態に
より説明する。本発明の印刷濃度調整装置の構成を絵図
として図1に示す。図1において、1はオフセット印刷
機のインキ元ローラ上のインキ膜厚に関する状態量を検
出する検出ヘッド、2はインキ元ローラの軸と平行方向
に前記検出ヘッドを移動し所定の位置に停止する走査手
段、3は走査手段2の走査を制御する走査制御手段、4
はインキ膜厚に関する状態量を入力してインキ膜厚の実
測値を演算する実測値演算手段、5はパーソナルコンピ
ュータ等のデータ処理装置である。データ処理装置5
は、絵柄面積率と、用紙種類と、インキ種類とを入力し
てインキ膜厚の目標値を演算する目標値演算手段と、イ
ンキ膜厚の実測値と、インキ膜厚の目標値と、初期設定
値を入力してインキ調整キーを再設定するための操作量
を演算する操作量演算手段と、目標値と実測値とをグラ
フィカルに表示する表示手段とを構成する。また、6は
オフセット印刷機の印刷ユニット、7は印刷ユニット6
のインキ装置のインキ元ローラ、8は印刷機の操作盤に
設けられているインキ調整キー設定手段である。
【0010】図1に示すように、絵柄面積率は、データ
処理装置5とインキ調整キー設定手段8によって入力が
行われる。絵柄面積率は刷版絵柄面積率計によって印刷
版を測定したデータとして、または製版データから導出
するデータとして得ることができる。いずれの場合も、
印刷ユニットの各インキ調整キーに対応する領域ごとに
印刷版のインキ着肉部分の面積の割合を示すデータとし
て絵柄面積率が得られる。データ処理装置5の操作量演
算手段はインキ膜厚の実測値と、インキ膜厚の目標値
と、初期設定値を入力してインキ調整キーを再設定する
ための操作量を演算する。そして、データ処理装置5の
目標値演算手段は、絵柄面積率と、用紙種類と、インキ
種類とを入力して、インキ膜厚の目標値を演算する。ま
た、インキ調整キー設定手段8は、その絵柄面積率を入
力してインキ装置のインキ調整キーを初期設定値に設定
する。またデータ処理装置5の操作量演算手段が演算し
た操作量を入力してインキ調整キーを制御設定値に再設
定する。
【0011】印刷ユニット6のインキ装置は、インキ調
整キー設定手段8が設定する初期設定値を入力して、イ
ンキ装置のインキ調整キーを初期設定値によって決定さ
れる開度に一致するように開く動作を行う。また印刷ユ
ニット6のインキ装置は、インキ調整キー設定手段8が
再設定する制御設定値を入力して、インキ装置のインキ
調整キーを制御設定値によって決定される開度に一致す
るように開く動作を行う。インキ元ローラ7は回転を行
い、その周面とインキ調整キーの開度によって決まる間
隙に基づいて、インキ壺のインキをその周面に導出す
る。したがって、インキ元ローラ7の周面にはインキ調
整キーの開度によって決まるインキ膜厚のインキが形成
される。
【0012】検出ヘッド1はインキ元ローラ7のインキ
膜厚に関する状態量を検出し実測値演算手段4に出力す
る。実測値演算手段4はその状態量からインキ膜厚を演
算しデータ処理装置5の操作量演算手段に出力する。走
査手段2は走査制御手段3の制御下においてインキ元ロ
ーラ7の軸と平行方向に前記検出ヘッドを移動して所定
の位置に停止する。検出ヘッド1は停止したその位置で
インキ膜厚に関する状態量を検出する。停止する所定の
位置は、通常は各インキ調整キーに対応するインキ元ロ
ーラ7の各位置である。走査手段2は所定の移動と停止
を行いながらインキ元ローラ7の所定範囲を走査する。
【0013】データ処理装置5の操作量演算手段は実測
値演算手段4が出力するインキ膜厚の実測値を入力す
る。また、インキ膜厚の目標値を入力する。操作量演算
手段はインキ膜厚の実測値、およびインキ膜厚の目標値
から開度変更量としての操作量を演算しインキ調整キー
設定手段8に出力する。一方、データ処理装置5の目標
値演算手段は絵柄面積率と用紙種類とインキ種類を入力
して、前述のインキ膜厚の目標値を演算する。また、目
標値演算手段は含水率の値によって目標値の補正を行
う。インキ調整キー設定手段8は操作量であるインキ調
整キーの開度変更量を入力して印刷ユニット6のインキ
装置のインキ壺に設けられたインキ調整キーの開度を変
更する。これにより、インキ供給量が変更されインキ元
ローラ7上のインキ膜厚の分布も変更される。この変更
はインキ膜厚の実測値と目標値とが一致する方向に行わ
れる。
【0014】本発明の印刷濃度調整装置における印刷濃
度調整の処理過程をフロー図として図2に示す。また、
絵柄面積率と目標インキ膜厚値との関係をグラフとして
図3に示す。また、インキ調整キーの開度とインキ膜厚
値の関係をグラフとして図4に示す。次に、この図2,
図3,図4と前述の図1に基づいて本発明の印刷濃度調
整装置の全体的な動作と処理過程について説明する。ま
ず、図2のステップS1において、絵柄面積率を入力し
てインキ調整キー設定手段8はインキ調整キーの開度を
初期設定値に設定する。勿論、絵柄面積率だけでなく、
用紙種類やインキ種類を初期設定値の設定要因として含
めることができる。このインキ調整キーの開度を初期設
定に設定する方法は周知であるから詳細な説明は省略す
る。
【0015】次に、ステップS2において、データ処理
装置5の目標値演算手段はインキ元ローラ7上のインキ
膜厚の目標値を演算する。目標値は、すくなくとも絵柄
面積率データ、インキの種類、用紙の種類(上質紙、コ
ート紙)に基づいて演算される。また、印刷機の型、印
刷速度、および校正印刷物の濃度分布に関する目標値の
補正等を目標値を演算の要因として含めることができる
(後述する)。これらの入力データに基づいて、目標値
演算手段はインキ元ローラ7の軸と平行方向のインキ膜
厚の分布として適正な印刷再現を得られるようにインキ
膜厚の目標値を演算する。
【0016】この目標値は各インキ色によって異なるた
め各々のインキ装置に対して異なる設定が行われる。ま
た目標値の設定は通常は印刷開始前に行われる。図3に
示すグラフは絵柄面積率と目標インキ膜厚値との関係を
示している。インキの種類として、インキA、インキB
を、また用紙種類として、上質紙、マットコート紙、ア
ート・コート紙を区別して絵柄面積率と目標インキ膜厚
値との関係が示されている。図3に示すグラフは、実際
はそれに相当するルックアップテーブル、または近似関
数の形態でデータ処理装置5の目標値演算手段が保有す
る。そして、インキ膜厚の目標値の演算を行う場合に
は、そのルックアップテーブルを参照するか、または近
似関数に変数を代入することが行われる。
【0017】次に、ステップS3において、インキ元ロ
ーラ7上の所定位置のインキ膜厚を測定するため走査手
段2を動作させインキ元ローラ7の軸と平行方向に検出
ヘッド1を移動し所定位置で停止する。そして、検出ヘ
ッド1によってインキ膜厚に関する状態量を検出する。
インキ膜厚に関する状態量の検出は印刷開始前に行われ
る。インキ元ローラが独立駆動で回転する場合には、印
刷機を停止させた状態でインキ元ローラだけを回転させ
て検出する。インキ元ローラが独立駆動で回転するので
はなく、印刷機を運転する駆動系によって動作するもの
であれば、印刷機を空転させ、インキ元ローラを回転さ
せ、インキ膜厚に関する状態量を検出する。
【0018】また、実測値演算手段4がインキ膜厚に関
する状態量を入力してインキ膜厚の実測値を演算する。
ここで、所定位置(複数ある所定位置の内の一箇所)の
インキ膜厚の実測値が得られる。求めようとする実測値
はインキ元ローラ7の軸と平行方向のインキ膜厚の分布
であるから、所定位置を移動し検出ヘッド1によって全
範囲(全所定位置)の検出を行い実測値演算手段4によ
って全範囲の実測値が、同様に、演算される。また、デ
ータ処理装置5の表示手段によって目標値と実測値とが
グラフィカルに表示される。目標値と実測値だけでな
く、インキ壺の各インキ調整キーの開度、インキ出しロ
ーラの回転速度、印刷速度も同時に表示すると状況を一
層的確に把握することができる。
【0019】次に、ステップS4において、データ処理
装置5の操作量演算手段により、目標値と実測値とが比
較され操作量が演算される。操作量はインキ装置におけ
るインキ元ローラ7の軸と平行方向のインキ供給量の分
布を操作するための分布操作量とインキ装置における全
体のインキ量を操作するための全体操作量とからなる。
分布操作量はインキ調整キーの開度を修正するための操
作量である。このインキ調整キーの開度は、インキ調整
キー設定手段が設定している初期設定値を入力して、そ
の設定値に基づいて演算が行われる。
【0020】図4に示すグラフは絵柄面積率と目標イン
キ膜厚値との関係を示している。インキの種類として、
インキA、インキBをを区別してインキ調整キーの開度
とインキ元ローラ7上のインキ膜厚値との関係が示され
ている。図4に示すグラフは、実際はそれに相当するル
ックアップテーブル、または近似関数の形態でデータ処
理装置5の操作量演算手段が保有する。そして、操作量
であるインキ調整キーの開度の演算を行う場合には、そ
のルックアップテーブルを参照するか、または近似関数
に変数を代入することが行われる。
【0021】次に、ステップS5において、データ処理
装置5の操作量演算手段が出力する操作量をインキ装置
のインキ調整キー設定手段8が入力し、インキ調整キー
設定手段8はインキ装置の設定を修正する。たとえばイ
ンキ調整キー設定手段8は分布操作量に基づいてインキ
装置のインキ調整キーの開度を修正し、全体操作量に基
づいてインキ出しローラの回転速度を修正する。
【0022】次に、ステップS6において、再びインキ
膜厚の検出が行われる。このステップS6は前述のステ
ップS3と同様である。インキ元ローラ7上の所定位置
のインキ膜厚を測定するため走査手段2を動作させイン
キ元ローラ7の軸と平行方向に検出ヘッド1を移動し所
定位置で停止する。そして、検出ヘッド1によってイン
キ膜厚に関する状態量を検出する。実測値演算手段4が
インキ膜厚に関する状態量を入力してインキ膜厚の実測
値を演算する。所定位置を移動し検出ヘッド1によって
全範囲(全所定位置)の検出を行い実測値演算手段4に
よって全範囲の実測値が、同様に、演算される。そし
て、データ処理装置5の表示手段によって目標値と実測
値とがグラフィカルに表示される。
【0023】次に、ステップS7において、インキ膜厚
値の目標値と実測値との差異が評価され、差異が許容範
囲内である場合には終了とする。また、差異が許容範囲
内である場合には継続とし、ステップS5に戻り、以降
の過程を繰り返す。このステップS5におけるインキ調
整キーの開度の修正は、インキ調整キー設定手段8が設
定している直近の設定値を入力して、その設定値に基づ
いてデータ処理装置5の操作量演算手段によって演算が
行われる。たとえば、インキ膜厚値の目標値70μmで
実測値が65μmであるとする。インキAが用いられて
いるとして、データ処理装置5の操作量演算手段は、図
4のグラフの傾きから差異の5μmに相当するインキ調
整キーの開度(%)の修正量(Δ%)を演算する。この
修正量に基づいてインキ調整キー設定手段8はインキ調
整キーの開度の修正を行う。
【0024】ここで、データ処理装置5の目標値演算手
段によるインキ膜厚の目標値を演算する方法について、
上述した絵柄面積率、インキ種類、用紙種類だけでな
く、印刷機の型、印刷速度、含水率、および校正印刷物
の濃度分布に関する等を考慮に入れてる方法について説
明する。これらを考慮に入れた目標値の設定方法につい
て説明図を図5に示す。図5に示すように、たとえば次
の数1に示す演算式において該当する数値を代入して決
定する。
【数1】Tk = C×Sk×i×p×t×f(v)×
Ik(q) ただし、 Tk ; 第k番インキ調整キーに対応す
るインキ膜厚 C ; 係数 Sk ; 第k番インキ調整キーに対応する絵柄面積率 i ; インキの種類(色、銘柄)により決まる定数 p ; 用紙の種類により決まる定数 t ; 印刷機の型により決まる定数 f(v) ; 印刷速度vにより決まる補正関数fの値 Ik(q) ; 第k番インキ調整キーに対応する校正
印刷物の濃度qにより決まる補正関数Iの値
【0025】図5において、図1と同一部分には同一番
号を付してある。以下の図において同様とする。図5に
おいて、31は刷版における各インキ調整キーに対応す
る領域の絵柄面積率を測定する刷版絵柄面積率計、32
は校正印刷物、33は校正印刷物32上のベタマークの
濃度を測定する濃度計である。ベタマークは網点面積が
100%、すなわち全面にインキがついている濃度測定
用の印刷パターン(たとえば矩形形状)である。このベ
タマークは校正印刷物の版胴の軸と平行方向の側端近く
の印刷絵柄から外れた余白部分に版胴の軸と平行方向に
配列される。また各インキ色のベタマークが重ならない
ように配列される。数1における第k番インキ調整キー
に対応する絵柄面積率Skは刷版絵柄面積率計31によ
って刷版を測定して得られる。また、数1における校正
印刷物の濃度分布は濃度計33によって校正印刷物32
のベタマークを測定して得られる。濃度計33は図5に
示す矢印←→の方向に走査が行われ、インキ色ごとに校
正印刷物の濃度分布が測定される。
【0026】濃度計33としては、たとえば、周知の反
射濃度計と走査機構とデータ処理装置を組み合わせて実
現することができる。すなわち反射濃度計の測定ヘッド
部分を走査機構の移動ステージに載せておく。そしてパ
ーソナルコンピュータ等のデータ処理装置において、測
定ヘッドの移動と測定動作の制御を行うとともに測定に
より得られたデータを収集する。ベタマークは必ずしも
第k番インキ調整キーに対応して校正印刷物に設けなく
てもよい。校正印刷物の濃度分布の測定に支障のない範
囲で間隔を開けて設けることができる。データ処理装置
は、適当な間隔を置いて得られた測定データに基づいて
周知の補間法を適用して第k番インキ調整キーに対応し
た校正印刷物の濃度を演算することができる。すなわ
ち、濃度計33は校正印刷物32の測定を行うことによ
り第k番インキ調整キーに対応する校正印刷物の濃度q
を測定値として出力する。
【0027】校正印刷物の濃度分布に対する目標値の補
正関数I(q)の一例を図6に示す。図6(A)は補正
関数の値の一例を示す図であり、図6(B)は各インキ
色のベタマークの標準濃度の一例を表として示した図で
ある。図6(A)において、横軸は校正印刷物の濃度、
すなわち“q”の値であり、縦軸は補正関数I(q)の
値である。図6(A)に示すように、補正関数I(q)
の値は校正印刷物の濃度qが標準濃度であれば“1”で
ある。また、校正印刷物の濃度qが標準濃度から高い方
に外れた場合は、補正関数I(q)の値は“1”よりも
大きくなる。図6(A)の一例では、濃度qが標準濃度
から“0.2”高くなると、補正関数I(q)の値は
“1.2”となる。逆に、校正印刷物の濃度qが標準濃
度から低い方に外れた場合は、補正関数I(q)の値は
“1”よりも小さくなる。図6(A)の一例では、濃度
qが標準濃度から“0.2”低くなると、補正関数I
(q)の値は“0.8”となる。
【0028】図6(B)に示すように、標準濃度はイン
キ色によって異なる。したがって、補正関数I(q)は
インキ色毎に異なったものとなる。この補正関数I
(q)の値は、標準濃度からのずれを補正するように予
測して決定することができる。また、校正印刷物の濃度
分布を補正するようにインキ膜厚の補正を行った実験値
により決定することができる。
【0029】本発明の印刷濃度調整装置における検出ヘ
ッドと走査手段の配置図を図7に示す。図7(A)は正
面図、図7(B)は上面図である。図7において、図1
と同一部分には同一番号を付してある。図7において、
68a,68bは印刷ユニットのフレーム、69a,6
9bはフレーム68a,68bに走査手段2を取り付け
るためのブラケット、60は検出ヘッド1を支持するス
テージの移動案内のためのガイドレール、61は検出ヘ
ッド1の電力供給線や信号線等が走査の際に干渉しない
ようにするための配線ガイドである。
【0030】図7に示すように、検出ヘッド1はガイド
レール60によってインキ元ローラ7の軸と平行方向に
移動可能に支持されたステージ(図示せず)に設けられ
る。ステージはパルスモータとモータ・コントローラ等
により駆動されるタイミングベルト(歯付きベルト)に
よって移動が行われ、所定の位置に停止することができ
る。また、検出ヘッド1の測定軸の方向がインキ元ロー
ラ7の中心軸に向かうようにインキ元ローラ7の周面に
センサー測定ポイントが置かれる。
【0031】次に、インキ元ローラ7上のインキ膜厚を
測定する動作について説明する。その一連の動作は走査
制御手段3にプログラムされている。図1において走査
制御手段3として示す図は制御ボックスの図であり、走
査制御手段3はその中に納められたプログラマブルシー
ケンサー等から構成される。オペレータ等による測定動
作の開始を指示する入力により走査制御手段3は駆動モ
ータ(図示せず)を動作させ、移動ステージ(図示せ
ず)を移動して、その移動ステージ上の検出ヘッド1が
インキ元ローラ7上の所定の位置のインキ膜厚を測定可
能なようにする。所定の位置は、通常は、インキ壺(図
示せず)に設けられた複数のインキ調整キーの各々に対
応する位置である。インキ調整キーがNo.1〜No.
32まであるとすると、最初は、検出ヘッド1はNo.
1のインキ調整キーに対応するインキ元ローラ7上の位
置に移動し、そこのインキ膜厚を測定する。
【0032】インキ膜厚の測定は所定の時間の間に複数
回の測定が行われ、平均値としての測定値が求められ
る。その間、検出ヘッド1は停止しているが、インキ元
ローラ7は回転しており、インキ元ローラ7の周面回り
の複数箇所の測定が行われ、その平均値としての測定値
が求められることとなる。この測定値の演算は、実測値
演算手段4において行われる。実測値演算手段4はイン
キ膜厚に関する状態量である検出ヘッド1の出力信号を
A/D変換してディジタルデータとし、そのデータの処
理を行って、インキ膜厚を演算する。実測値演算手段4
としては、専用のマイクロコンピュータ、プログラマブ
ルシーケンスコントローラ、パーソナルコンピュータ等
のデータ処理を行うことのできる装置が用いられる。
【0033】No.1のインキ調整キーに対応するイン
キ元ローラ7上の位置のインキ膜厚の測定が終了する
と、次に、検出ヘッド1はNo.2のインキ調整キーに
対応するインキ元ローラ7上の位置に移動し、そこのイ
ンキ膜厚を測定する。このような測定動作を繰返し、N
o.1〜No.32のインキ調整キーに対応するインキ
元ローラ7上の位置のインキ膜厚の測定が終了すると、
次に、測定ヘッド1はNo.1のインキ調整キーに対応
するインキ元ローラ7上の位置に戻り、そこのインキ膜
厚を再び測定する。オペレータ等による測定動作の停止
を指示する入力がない限り、走査制御手段3によってそ
ような測定動作が繰返される。
【0034】一方、上記の測定動作によって得られたN
o.1〜No.32のインキ調整キーに対応するインキ
元ローラ7上の位置のインキ膜厚の測定データ(実測
値)は、データ処理装置5の表示手段において、縦軸が
インキ膜厚で横軸がインキ調整キーの番号の棒グラフよ
うなグラフィカルなデータに変換され、ディスプレイ等
に出力される。また、その測定データ(実測値)ととも
に所望のデータ(目標値)も縦軸がインキ膜厚で横軸が
インキ調整キーの番号の棒グラフようなグラフィカルな
データに変換され、ディスプレイ等に出力される。これ
により両者の比較が容易となり、オペレータは制御状態
を的確に把握することができる。
【0035】次に、本発明の印刷濃度調整装置に用いる
ことができる検出ヘッドについて説明する。インキ元ロ
ーラ上のインキ膜厚を検出する検出ヘッドの方式として
は、インキ膜厚によって検出値が変化する電気容量型セ
ンサとインキ膜厚によって検出値が変化しない渦電流型
センサを組合せて用いる方式がある。また、インキ膜厚
によって検出値が変化する波長の光とインキ膜厚によっ
て検出値が変化しない波長の光を組合せて用いる方式が
ある。前者はインキ元ローラが導電体である必要性があ
る。2つの特徴的な検出値からインキ膜厚を導出する基
本的な考え方は同じであるから、ここでは後者の方式に
ついてだけ説明する。
【0036】インキ元ローラ上のインキ膜厚を検出する
検出ヘッド1の方式の一例は、異なる少なくとも2つの
波長の光に対する反射光量(反射率)を検出する方式で
ある。2つの波長の光の内の一方はインキ膜により一部
吸収されインキ元ローラ表面で反射される波長の光と
し、他方はインキ膜により吸収されずインキ元ローラ表
面で反射される波長の光とする。その2つの波長が1つ
の白色光源から特定波長を透過する2つのフィルターを
通過した2つの波長の光の場合には反射光量の比から、
また、その2つの波長が2つの異なる波長の光を放出す
る発光体によって生じる2つの波長の光の場合には反射
率の比から変換テーブル等に基づいてインキ膜厚を導出
することができる。
【0037】たとえば、1つの白色光源から特定波長を
透過する2つのフィルターを通過した2つの波長の光の
反射光量をVs(インキ膜により一部吸収される波長の
反射光量;測定光出力),Vc(インキ膜により吸収さ
れない波長の反射光量;基準光出力)とする。まず、下
記の数2にしたがって吸光度Xを演算する。
【数2】X = log(Vc/Vs)
【0038】このとき、吸光度Xとインキ膜厚Yとの間
には下記の数3の関係がある。
【数3】Y = a + b × X したがって、あらかじめ実験によりa,bを決定してお
くことにより、またはXとYの関係を記述した変換テー
ブルを決定しておくことにより、インキ膜厚を求めるこ
とができる。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、オフセッ
ト印刷機において所望の印刷濃度を高い精度で得るた
め、インキ調整キーの開度調整等によりインキ装置を調
整した結果としてのインキ供給量そのものを、インキ調
整キーの開度とインキ供給量の特性を考慮して直接制御
する印刷濃度調整装置が提供される。また本発明の第2
の態様の印刷濃度調整装置によれば、目標値演算手段に
より、絵柄面積率と、用紙種類と、インキ種類とが入力
され、前述のインキ膜厚の目標値が演算される。また本
発明の第3の態様の印刷濃度調整装置によれば、インキ
元ローラの軸方向のインキ膜厚分布を測定することがで
きる。また本発明の第4の態様の印刷濃度調整装置によ
れば、その実測値と目標値に基づいてインキ供給量をイ
ンキ膜厚の分布として制御することができる。また本発
明の第5の態様の印刷濃度調整装置によれば、分布操作
量によりインキ調整キーの開度調整を行い、全体操作量
によりインキ出しローラの回転速度調整を行うことでイ
ンキ供給量を制御することができる。また本発明の第6
の態様の印刷濃度調整装置によれば、表示手段により目
標値と実測値とがグラフィカルに表示されるから、目標
値に対する実測値のずれ等の状況を的確に判別すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷濃度調整装置の構成を示す絵図で
ある。
【図2】本発明の印刷濃度調整装置における印刷濃度調
整の処理過程を示すフロー図である。
【図3】絵柄面積率と目標インキ膜厚値との関係をグラ
フとして示す図である。
【図4】インキ調整キーの開度とインキ膜厚値の関係を
グラフとして示す図である。
【図5】目標値の設定方法についての説明図である。
【図6】校正印刷物の濃度分布に関する目標値の補正関
数I(q)の一例を示す図である。
【図7】本発明の印刷濃度調整装置における検出ヘッド
と走査手段の配置図である。
【符号の説明】
1 検出ヘッド 2 走査手段 3 走査制御手段 4 実測値演算手段 5 データ処理装置 6 印刷ユニット 7 インキ元ローラ 8 インキ調節キー設定手段 31 刷版絵柄面積率計 32 校正印刷物 33 濃度計 60 ガイドレール 61 配線ガイド 68a,68b フレーム 69a,69b ブラケット

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オフセット印刷機のインキ装置を制御して
    印刷濃度を調整する印刷濃度調整装置であって、 絵柄面積率を入力してインキ装置のインキ調整キーを初
    期設定値に設定するとともに、操作量を入力して前記イ
    ンキ調整キーを制御設定値に再設定するインキ調整キー
    設定手段と、 インキ膜厚の実測値と、インキ膜厚の目標値と、前記初
    期設定値を入力して前記インキ調整キーを再設定するた
    めの前記操作量を演算する操作量演算手段と、 を有することを特徴とする印刷濃度調整装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の印刷濃度調整装置におい
    て、絵柄面積率と、用紙種類と、インキ種類とを入力し
    て前記インキ膜厚の目標値を演算する目標値演算手段を
    有することを特徴とする印刷濃度調整装置。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の印刷濃度調整装置
    において、前記インキ膜厚に関する状態量を検出する検
    出ヘッドと、 前記インキ膜厚に関する状態量を入力してインキ膜厚の
    実測値を演算する実測値演算手段と、 前記インキ元ローラの軸と平行方向に前記検出ヘッドを
    移動し所定の位置に停止する走査手段と、 を有することを特徴とする印刷濃度調整装置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか記載の印刷濃度調
    整装置において、前記実測値はインキ元ローラの軸と平
    行方向のインキ膜厚の分布の実測値であり、前記目標値
    はインキ元ローラの軸と平行方向のインキ膜厚の分布の
    目標値であることを特徴とする印刷濃度調整装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか記載の印刷濃度調
    整装置において、前記操作量は前記インキ装置における
    インキ元ローラの軸と平行方向のインキ供給量の分布を
    操作するための分布操作量と前記インキ装置における全
    体のインキ量を操作するための全体操作量とからなるこ
    とを特徴とする印刷濃度調整装置。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか記載の印刷濃度調
    整装置において、前記目標値と前記実測値とをグラフィ
    カルに表示する表示手段を有することを特徴とする印刷
    濃度調整装置。
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