JP6967106B2 - 成形燃料、その製造方法、及び石灰石の焼成方法 - Google Patents
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Description
本発明に係る成形燃料は、炭素の含有率が乾燥基準で60質量%以上の炭素原料と、反応前の状態で、酸化カルシウムを主成分として平均粒子径が15μm以下である結合材(バインダー)とを含有する。本明細書において「乾燥基準」とは、含水率が1%未満の成形燃料を基準とするものである。
また、炭素原料は、粒径10mm以下の割合が95質量%以上であることが好ましく、粒径8mm以下の割合が95質量%以上であることがより好ましい。炭素原料の平均粒子径は、15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましい。炭素原料の平均粒子径は、試験用篩いを用いた手篩い及びレーザー回折法により求めることができる。
本発明に係る成形燃料は、以下に示す本発明に係る成形燃料の製造方法によって得られる。本発明に係る成形燃料の製造方法は、炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された平均粒子径が15μm以下の排出ダストとを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を造粒して造粒物を得る造粒工程と、前記造粒物を養生して成形燃料を得る養生工程とを有する。
混合工程は、炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された平均粒子径が15μm以下の排出ダストとを混合して混合物を得る工程である。
炭素原料は、炭素の含有率が乾燥基準で60質量%以上であることが好ましい。乾燥基準の炭素含有率が異なる複数の炭素原料を用いる場合には、炭素原料全体の炭素含有率を60質量%となるように配合すればよい。
混合には、例えば石臼(フレットミル)、ミックスマーラーなどの機器を用いることができる。混合後、造粒までの時間が短いほど、特性の優れた成形燃料が得られる。具体的には、混合から造粒までの時間が短いほど、得られる成形燃料の強度が向上する。
造粒工程は、前記混合工程で得られた混合物を造粒して造粒物を得る工程である。
造粒工程において、造粒方法としては、一対の成形ロールを有するブリケットマシン(ロール型圧縮造粒機)でピロー形ブリケットやアーモンド形ブリケットを製造する圧縮造粒法や、パンペレタイザ(パン型造粒機)で球形に成形する転動造粒法等を適宜適用できる。
養生工程は、前記造粒工程で得られた造粒物を養生して成形燃料を得る工程である。養生工程を経ることで、造粒物は、強固な成形燃料となる。
養生条件としては、気温0〜100℃、湿度60〜100%の条件下で、所定の強度(例えば、1500N)に達するまで養生する。一例として、大気下(気温10〜30℃、湿度60〜100%)であれば、24時間養生を行えば、概ね所定の強度を得ることができる。温度や湿度が高いほど、養生時間を短縮することができる。
本発明に係る石灰石の焼成方法は、炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された排出ダストとを含有する成形燃料を得る燃料製造工程と、前記成形燃料を用いて石灰石を焼成する焼成工程とを有する。
燃料製造工程では、炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された排出ダストとを含有する成形燃料を得る。炭素原料は、炭素の含有率が乾燥基準で60質量%以上であることが好ましい。排出ダストは、平均粒子径が15μm以下であることが好ましい。
燃料製造工程で得られる成形燃料は、上述した本発明に係る成形燃料と同様であり、説明を省略する。
焼成工程は、前記燃料製造工程で得られた成形燃料を用いて、石灰石を焼成する工程である。焼成炉としては、特に限定はなく、例えばメルツ炉、ベッケンバッハ炉、混焼炉、シャフトキルン、及びコマ式炉等の縦型焼成炉、並びにロータリーキルン等の横型焼成炉等が挙げられる。中でも、縦型焼成炉が好ましく、ベッケンバッハ炉が特に好ましい。焼成条件は、それぞれの焼成炉の焼成条件を用いることができるが、例えば、ベッケンバッハ炉においては、最大生産能力200〜400t/日のベッケンバッハ炉で、最高温度1000℃、滞留時間24時間の方法等が挙げられる。ただし、この条件に限定されない。
また、焼成工程で排出された排出ダストを用いて、再度燃料製造工程を経ることで、焼成工程と燃料製造工程とを循環させてリサイクルが可能であり、環境への配慮とコスト削減とを両立することが可能となる。
[落下強度(粉化率)]
成形燃料を1mの高さから繰返し5回、地面(滑らかなコンクリート床)に落下させた。落下の衝撃で発生した8mm以下の破砕物を篩い分けて質量を測定し、全体量に対する割合を粉化率として落下強度を評価した。
[圧潰強度]
円柱状に製造された成形燃料を電気炉内に置き、昇温速度5℃/minで400℃まで加熱した。400℃を保持しつつ30分経過後、円柱の軸方向に荷重をかけて一軸圧縮することで耐荷重である圧潰強度を測定した。耐荷重を圧縮面(円柱の端面)の断面積で除して、圧潰応力を算出した。
炭素原料として、石炭コークス粉、石炭ガス化炉から発生する残渣物の微粉部分であるファインスラグ(FS)、及びオイルコークス燃焼ボイラから発生する未燃分を電気集塵機で捕集したPCカーボンを用いた。各炭素原料の組成を下記表1に示す。なお、石炭コークス粉、ファインスラグ、PCカーボンの平均粒子径は、それぞれ2000μm、108μm、112μmである。
ベッケンバッハ炉を用いて1000℃で24時間、石灰石を焼成した際に排出された排ガスのうち、サイクロンセパレーターを通過した後バグフィルターに捕集されたバグフィルター(BF)ダスト、サイクロンセパレーターに捕集されたサイクロンダスト、原料石灰石の輸送系統で集塵された石灰石ダストを用いた。各ダストに含有される化合物の組成を、下記表2に示す。なお、BFダスト、サイクロンダスト、石灰石ダストの平均粒子径は、それぞれ6μm、150μm、55μmである。
粒子径8mm以下、水分7%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉22gに粒子径20μm以下、水分2%のBFダストを5g加えた。さらに、水3gを加えて袋内で1分間振り混ぜ、手混合を行った。混合物を直径30mmの金枠に入れ、100N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で24h放置し、養生を行うことで実施例1に係る直径30mm×高さ28mmの円柱状の成形燃料を得た。
粒子径8mm以下、水分7%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉18gに粒子径0.7mm以下、水分50%、固定炭素68%を含むファインスラグ6gを加え、袋内で均一になるまで振り混ぜた。次に、石炭コークス粉とファインスラグとの混合炭素原料24gに粒子径20μm以下、水分2%のBFダスト5gを加え、さらに水2gを加えて袋内で1分間振り混ぜた。混合物を直径30mmの金枠に入れ、50N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で24h放置し、養生を行うことで実施例2に係る直径30mm×高さ28mmの円柱状の成形燃料を得た。
粒子径8mm以下、水分7%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉16gに粒子径0.7mm以下、水分50%、固定炭素68%を含むファインスラグ10gを加え、袋内で均一になるまで振り混ぜた。次に、石炭コークス粉とファインスラグとの混合炭素原料26gに粒子径20μm以下、水分2%のBFダスト5gを加え、さらに水1gを加えて袋内で1分間振り混ぜた。混合物を直径30mmの金枠に入れ、50N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で24h放置し、養生を行うことで実施例3に係る直径30mm×高さ28mmの円柱状の成形燃料を得た。
粒子径8mm以下、水分7%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉17gに粒子径0.5mm以下、水分1%、固定炭素92%を含むPCカーボン4gを加え、袋内で均一になるまで振り混ぜた。次に、石炭コークス粉とPCカーボンとの混合炭素原料21gに粒子径20μm以下、水分2%のBFダスト5gを加え、さらに水5gを加えて袋内で1分間振り混ぜた。混合物を直径30mmの金枠に入れ、38N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で72h放置し、養生を行うことで実施例4に係る直径30mm×高さ28mmの円柱状の成形燃料を得た。
下記表4には、各成形燃料における乾燥基準の質量比をまとめる。
粒子径8mm以下、水分12%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉24gに粒子径200μm以下、水分1%のサイクロンダスト6gを加え、袋内で1分間、手混合を行った。混合物を直径30mmの金枠に入れ、100N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で24h放置し、養生を行うことで比較例1に係る直径30mm×高さ28mmの成形燃料を得た。
養生日数を72hに変更する以外は比較例1と同様にして、比較例2に係る成形燃料を得た。
粒子径8mm以下、水分12%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉24gに粒子径100μm以下、水分1%の石灰石ダスト6gを加え、袋内で1分間、手混合を行った。混合物を直径30mmの金枠に入れ、100N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で24h放置し、養生を行うことで比較例3に係る直径30mm×高さ28mmの成形燃料を得た。
養生日数を72hに変更する以外は比較例3と同様にして、比較例4に係る成形燃料を得た。
粒子径8mm以下、水分12%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉30gを直径30mmの金枠に入れ、100N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で24h放置し、養生を行うことで比較例5に係る直径30mm×高さ28mmの成形燃料を得た。
粒子径8mm以下、水分12%、固定炭素87%を含む石炭コークス粉30gに澱粉0.9gを加え、袋内で1分間、手混合を行った。混合物を直径30mmの金枠に入れ、100N/mm2の圧力で造粒した。造粒物を室温で24h放置し、養生を行うことで比較例6に係る直径30mm×高さ28mmの成形燃料を得た。
Claims (8)
- 炭素原料と結合材とを含有する成形燃料であって、
前記炭素原料は炭素の含有率が乾燥基準で60質量%以上であり、
前記結合材は反応前の状態で、酸化カルシウムを主成分とし、平均粒子径が15μm以下であり、
粉化率が30%以下であり、
30〜100N/mm 2 の圧力で造粒され、
直径30mm、高さ28mmの円柱状として、昇温速度5℃/minで400℃まで昇温し、400℃で30分経過後、円柱の軸方向に一軸圧縮した際の耐荷重が1500N以上であり、
粒径が10〜100mmであることを特徴とする成形燃料。 - 前記結合材は、石灰石を焼成したときに排出された排出ダストであることを特徴とする請求項1に記載の成形燃料。
- 炭素原料と結合材とを含有する成形燃料であって、
前記炭素原料は炭素の含有率が乾燥基準で60質量%以上であり、
前記結合材は反応前の状態で、平均粒子径が15μm以下、CaOの含有量が40〜65質量%、SiO2の含有量が10〜30質量%、Fe2O3の含有量が0.5〜5質量%、Al2O3の含有量が1〜10質量%、MgO,P,S,NaおよびKの含有量が、いずれも5質量%以下の排出ダストであり、
粉化率が30%以下であり、
30〜100N/mm 2 の圧力で造粒され、
直径30mm、高さ28mmの円柱状として、昇温速度5℃/minで400℃まで昇温し、400℃で30分経過後、円柱の軸方向に一軸圧縮した際の耐荷重が1500N以上であり、
粒径が10〜100mmであることを特徴とする成形燃料。 - 石灰石焼成用である請求項1乃至3のいずれかに記載の成形燃料。
- 炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された平均粒子径が15μm以下の排出ダストとを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を30〜100N/mm 2 の圧力で造粒して造粒物を得る造粒工程と、
前記造粒物を養生して、粉化率が30%以下であり、直径30mm、高さ28mmの円柱状として、昇温速度5℃/minで400℃まで昇温し、400℃で30分経過後、円柱の軸方向に一軸圧縮した際の耐荷重が1500N以上であって、粒径が10〜100mmの成形燃料を得る養生工程と、
を有することを特徴とする成形燃料の製造方法。 - 炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された平均粒子径が15μm以下、CaOの含有量が40〜65質量%、SiO2の含有量が10〜30質量%、Fe2O3の含有量が0.5〜5質量%、Al2O3の含有量が1〜10質量%、MgO,P,S,NaおよびKの含有量が、いずれも5質量%以下の排出ダストとを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を30〜100N/mm 2 の圧力で造粒して造粒物を得る造粒工程と、
前記造粒物を養生して、直径30mm、高さ28mmの円柱状として、昇温速度5℃/minで400℃まで昇温し、400℃で30分経過後、円柱の軸方向に一軸圧縮した際の耐荷重が1500N以上であって、粒径が10〜100mmの成形燃料を得る養生工程と、
を有することを特徴とする成形燃料の製造方法。 - 炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された平均粒子径が15μm以下の排出ダストとを含有し、粉化率が30%以下であり、直径30mm、高さ28mmの円柱状として、昇温速度5℃/minで400℃まで昇温し、400℃で30分経過後、円柱の軸方向に一軸圧縮した際の耐荷重が1500N以上であって、粒径が10〜100mmの成形燃料を、30〜100N/mm 2 の圧力で造粒して得る燃料製造工程と、
前記成形燃料を用いて石灰石を焼成する焼成工程と
を有することを特徴とする石灰石の焼成方法。 - 炭素原料と、石灰石を焼成したときに排出された平均粒子径が15μm以下、CaOの含有量が40〜65質量%、SiO2の含有量が10〜30質量%、Fe2O3の含有量が0.5〜5質量%、Al2O3の含有量が1〜10質量%、MgO,P,S,NaおよびKの含有量が、いずれも5質量%以下の排出ダストとを含有し、直径30mm、高さ28mmの円柱状として、昇温速度5℃/minで400℃まで昇温し、400℃で30分経過後、円柱の軸方向に一軸圧縮した際の耐荷重が1500N以上であって、粒径が10〜100mmの成形燃料を、30〜100N/mm 2 の圧力で造粒して得る燃料製造工程と、
前記成形燃料を用いて石灰石を焼成する焼成工程と
を有することを特徴とする石灰石の焼成方法。
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