JP5114742B2 - 高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法 - Google Patents

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本発明は、製鉄プロセスにおいて発生する焼結ダスト、高炉ダストなどの含鉄ダストや、ペレットフィード(ペレット用原料)として用いられる微粉状鉄鉱石等からなる微粉状鉄含有原料に、微粉状炭材を配合し、ペレット造粒して製造する高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法に関する。
現在の製鉄プロセスにおける高炉用鉄原料は、平均粒度が約2〜3mmの粉状鉄鉱石を主要な鉄含有原料とし、これに、石灰石、珪石などの副原料と、粉コークス、無煙炭などの炭材を配合し、水分を調整しながら混合、造粒して、擬似造粒子(1mm以上の核粒子の表面に0.5mm以下の微粉粒子が付着した造粒物)とした後、焼結機で焼結した焼結鉱が主流を占めている。
一方、製鉄プロセスにおいて多量に発生する焼結ダスト、高炉ダストなどを集塵機で回収した含鉄集塵ダスト、さらに、スラッジ、スケール粉等の微粉のダスト(これらは一般に製鉄ダストと称する)や、ペレットフィード(ペレット用原料)などの微粉状鉄鉱石も、塊成化することにより高炉用鉄原料として用いられる。これらは、粒径0.25mm以下の微粉粒子が全体の80%以上を占める微粉状鉄含有原料であるため、焼結鉱プロセスで造粒し、焼結する際に、造粒物が崩壊して原料充填層の通気性が悪化し、生産性が低下する原因となりやすい。
したがって、このような微粉状原料を主要な鉄含有原料として焼成などにより塊成化する場合には、焼結鉱プロセスよりも高い混合・造粒機能が求められ、通常、混合機を用いて鉄含有原料と副原料に水分を添加し混合した後、さらに、ドラムミキサーに比べて高い造粒能力を有するディスクペレタイザーなどの造粒機を用いて、粒径0.25mm以下の微粉粒子を主体する球状のペレットを製造することが行なわれている。
また、通常ペレットを焼成する場合は、ペレットは、焼結プロセスにおける擬似造粒子に比べて、密度が高い造粒物であるため、燃焼ガスなどを熱源とする外部加熱型の焼成機が用いられる。そのため、莫大な製造エネルギー、および、製造コストがかかる点が問題であった。
一方、粒径0.25mm以下の微粉粒子が全体の80%以上を占める微粉状鉄含有原料は、非焼成型塊成化プロセスを用いて、造粒してペレットにした後、養生してペレットの強度を高め、そのまま、高炉用鉄原料として使用することも古くから行なわれている。
例えば、非焼成型塊成化プロセスとして、高炉2次灰、転炉ダスト、焼結ダスト、スラリーなどの製鉄所で発生する製鉄ダストをペレットに造粒する際に、製鉄ダストの粒度分布を適正範囲に調整し、生石灰、セメントなどの結合材(バインダー)と6〜12%の水分を添加し、ディスクペレタイザー等により造粒してペレットを製造し、その後、ヤード堆積等により、数日間、養生(主に、CaO系バインダーの水和反応の促進と乾燥)して硬化させるコールドボンドペレットの製造方法が知られている(例えば、特許文献1、参照)。
従来の非焼成型塊成化プロセスでは、造粒後のペレットの強度を高めるため、ヤードで、自然養生を行っていた。しかし、この方法では、ペレットの強度発現までの時間(養生時間)が長くなるため、成品ヤードの占有率が高くなり、作業性が低下することから、養生時間の短縮化が求められ、この改善方法について、従来から種々の提案がなされている。
例えば、粉状の含鉄原料に、高炉水砕スラグの微粉末を5〜12重量%、および、生石灰を0.5〜5重量%配合し、この配合原料に水を5〜12重量%添加して混練および塊成化した後、養生を行う非焼成塊成鉱の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2、参照)。この方法によれば、50℃の温度、48時間の養生時間(総処理時間)で、約60kg/cm2の冷間圧潰強度のペレットが得られる。
また、微粉鉱石類にバリウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、および、硫酸塩のうちの1種または2種以上を、BaO値に換算して0.1〜10.0%、および、セメント系バインダーを配合し、これらを造粒してペレットとした後、養生を行って、ペレットの強度を向上する非焼成ペレットの製造法が提案されている(例えば、特許文献3、参照)。
この方法によれば、バリウム化合物によるセメントの水和反応と、硬質ゲルの結晶化を促進するため、室温、96時間の養生時間(総処理時間)で、約200kg/Piece(粒径15mmのペレットの場合113kg/cm2に相当)の冷間圧潰強度のペレットが得られる。
高炉用非焼成ペレットには、高炉までの搬送および装入時に崩壊しない強度が要求され、その搬送や装入の方法によって異なるが、概ね、85kg/cm2程度以上の強度が必要であると言われている。
なお、一般にペレットの圧潰強度は、JIS M8718「鉄鉱石ペレット圧潰強度試験方法」に準じて、被測定試料1個に対して、規定の加圧速度で圧縮荷重を掛けることにより、破壊させた時の荷重値を測定し、強度指数は、通常、単位断面積当たりの荷重値(kg/cm2)で表示する。
また、この強度指数に代えて、強度指数を、便宜的に被測定試料1個に対する荷重値そのもの(kg/Piece)で表示することもある。なお、前述の通常の焼成により製造されたペレットの冷間圧潰強度は150kg/cm2程度である。
また、粉状含鉄ダストに生石灰含有バインダーと水を添加混合した後、成型して生塊成鉱を製造した後、生塊成鉱を1m以上の高さになるように堆積し、ドームテントなどにより大気と遮断した状態で、生塊成鉱中の水分の蒸発量に応じて、散水または水蒸気を供給しつつ、CO2を3%以上含有する燃焼排ガスを、理論上の炭酸塩化に必要なガス流量の5倍以上の流量で供給して、養生する非焼成塊成鉱の製造方法が提案されている(例えば、特許文献4、参照)。
この方法によれば、生塊成鉱内に強制的に水分と炭酸ガスを供給し、水和反応および炭酸塩化反応を促進することにより、自然養生に比べて、強度発現を早めることができ、110℃の焼結機排ガスを用い、36時間の養生時間(総処理時間)で、約40kg/Piece(粒径15mmのペレットの場合23kg/cm2に相当)程度の冷間圧潰強度のペレットが得られる。
これらの非焼成ペレットの養生方法は何れも、ヤード養生を前提としたものであり、非焼成ペレットの強度発現のための抜本的なプロセス効率の改善には至っていない。
これに対して、養生を、放置、水蒸気吹込、および、乾燥の各工程に区分し、各工程における温度および時間を制御する装置および方法についても提案されている。
例えば、ペレットの養生において、放置装置(ビン)を用いて、ペレットを、常温〜60℃の温度で、3日間以内、相対湿度80〜100%の雰囲気中に放置し、水蒸気処理装置を用いて、100℃の温度で水蒸気を吹き込み、加熱装置を用いて、100〜500℃の空気で加熱(乾燥工程)し、これらの放置、水蒸気吹込、および、乾燥の各工程を連続的に行う製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法及び装置が提案されている(例えば、特許文献5、参照)。
この方法によれば、50時間の養生時間(総処理時間)で、冷間圧潰強度約174.5kg/Piece(粒径15mmのペレットの場合、99kg/cm2に相当)の冷間圧潰強度のペレットが得られる。
また、粉状含鉄原料に、水硬性結合剤および水を添加、混錬、造粒した後のペレットの養生において、相対湿度80%以上の雰囲気下で、20〜90℃の温度、かつ、保持温度および保持時間が[保持温度(℃)×保持時間(hr)≧300]を満足する条件で保持し、その後、蒸気吹込および乾燥の各処理を行う製鉄用非焼成塊成鉱の製造方法が提案されている(例えば、特許文献6、参照)。
この方法によれば、最短で6時間の養生時間(総処理時間)で、冷間圧潰強度約160kg/Piece(粒径15mmのペレットの場合、91kg/cm2に相当)の冷間圧潰強度のペレットが得られる。
以上、説明した通り、ペレットの非焼成型塊成化プロセスにおいては、製造エネルギー、および、コストが軽減されるものの、焼成型塊成化プロセスに比べて、ペレットの冷間圧潰強度が低く、養生による高強度化および養生処理時間の短縮化が課題であった。
一方、非焼成型塊成化プロセスによれば、焼成型塊成化プロセスでは不可能である炭材のペレット内への多量添加が可能となるため、近年、高炉操業時の還元材比(コークス比)の低減を目的とし、このプロセスを利用したカーボン内装非焼成ペレットの製造方法が検討されている。
例えば、鉄鉱石、または、製鉄所で発生した多種の含鉄、含炭系集塵ダストからなる含酸化鉄原料に、鉄鉱石類の被還元酸素を還元し金属鉄とするために必要な理論炭素量の80〜120%のカーボン量(全原料中のC含有量:10〜15質量%程度)に相当するカーボン系炭材を配合し、早強ポルトランドセメントを加えて混錬、成型し、その後、7日間の養生により、常温での圧潰強度が7850kN/m2(80kg/cm2に相当)以上のカーボン内装非焼成塊成鉱を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献7、参照)。
しかし、従来の含炭非焼成ペレットは、高炉用原料として要求される冷間圧潰強度85kg/cm2以上を維持するために、全原料中の炭素含有割合(T.C)を15質量%(炭素当量で1.2に相当)未満に制限せざるを得なかったため、含炭非焼成ペレット中の酸化鉄の直接還元を十分に促進できても、含炭非焼成ペレット以外に高炉に装入される焼結鉱などの主要な高炉用鉄含有原料の還元を、十分に促進することはできなかった。
また、従来法により、ポルトランドセメントなどの水硬性バインダーを多量に添加することで、含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度は、ある程度まで向上することができるが、高炉内の還元温度域で、上記バインダーは脱水反応を起こすため、十分な熱間強度を維持することはできなかった。
また、非焼成型塊成化プロセスにより、カーボン含有量が高い含炭非焼成ペレットを製造する場合には、さらに、以下の問題があることが明らかになった。
つまり、含炭非焼成ペレットは、カーボンを含有しない通常のペレットに比べて、造粒直後の強度が低下し、また、カーボンは疎水性を有し、かつ、多孔質であるため、ペレットの強度維持に必要となる添加水分量も、カーボンを含有しない通常のペレットに比べて多くなる。
その結果、カーボン含有量の増加とともに、冷間圧潰強度を維持するための含炭非焼成ペレット中の水分含有量が高くなり、造粒後の養生(セメントの水和反応の促進および乾燥)における強度発現までの時間(養生時間)も、カーボンを含有しない通常のペレットに比べて長くなるという問題があった。
また、含炭非焼成ペレットの強度維持のための水分量およびバインダー量の増加は、含炭非焼成ペレット中の付着水および結晶水を増加させることになり、高炉内での爆裂発生、昇温速度の遅延、低温熱保存帯の形成、高温強度の低下などの高炉用鉄原料の良好な還元性、および、高炉の安定操業を維持するための阻害要因となるため、好ましくない。
上述した従来の非焼成型塊成化プロセスにおける養生技術(例えば、特許文献1〜6、参照)は、カーボンを含有しない通常のペレットを適用される方法である。含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度は、カーボンを含有しない通常のペレットに比べて低下し、必要強度の発現のための養生処理時間も増加するため、これらの従来の養生方法では、含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度の向上、および、必要強度を発現するための養生時間の短縮などの点で、十分な効果は期待できない。
したがって、高炉操業時の還元材比を大幅に低減するために、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15質量%(炭素当量で1.2に相当)以上で、かつ、85kg/cm2以上の冷間圧潰強度とともに、還元温度域での熱間強度(還元時の強度)にも優れた炭材内装非焼成塊成鉱を、非焼成型塊成化プロセスにより、効率的に製造する方法が望まれている。
特開昭53−130202号公報 特開平5−271798号公報 特開昭56−105438号公報 特開2001−348624号公報 特開昭55−100940号公報 特開昭57−9841号公報 特開2003−342646号公報
本発明は、上記従来技術の現況に鑑み、高炉操業時の還元材比の大幅な低減が期待できる、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15質量%以上の高炉用含炭非焼成ペレットを、85kg/cm2以上の冷間圧潰強度を維持しつつ、高い生産性で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、含炭非焼成ペレットの高強度化および養生処理の処理時間の短縮を、水蒸気によるセメント養生と、乾燥過程の導入による養生後の冷間強度の変化について、実験などにより鋭意検討した。その結果、カーボン含有量の高い含炭非焼成ペレット中の造粒直後からの経過時間が、蒸気養生後の強度に大きく影響することがわかった。
本発明は、この知見に基づいて上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)微粉状鉄含有原料と微粉状炭材に水硬性バインダーを添加し、かつ全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように、前記微粉状炭材の配合割合を調整し、さらに、水分を調整しつつ混合、造粒した後、養生処理することにより、冷間圧潰強度85kg/cm2以上の含炭非焼成ペレットを製造する方法であって、前記養生処理は、前記造粒後のペレットを一次養生用ヤードで12〜48時間大気中に放置した後、該ペレットを二次養生用シャフト炉に装入し、該シャフト炉内で、60〜90℃の温度と5時間以上の処理時間で蒸気吹込処理を行い、その後、引き続き連続して、乾燥処理を行い、かつ、前記蒸気吹込処理と前記乾燥処理の総処理時間が8時間以内となるようにすることを特徴とする高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(2)前記乾燥処理は、乾燥後のペレット中の水分含有量が5%以下となるように、100〜300℃の温度と1時間以上の処理時間で行うことを特徴とする上記(1)に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(3)前記混合、造粒は、水分が10〜15質量%となるように調整して行うことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(4)前記水硬性バインダーの添加量は、全原料に対する割合で、5〜10質量%となるように調整することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(5)前記微粉状鉄含有原料として、焼結ダスト、および、微粉状鉄鉱石の1種または2種を用いることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(6)前記粉状炭材として、粉コークス、コークスダスト、および、高炉一次灰の何れか1種または2種以上を用いることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
(7)前記水硬性バインダーとして、ポルトランドセメント、ベントナイト、および、高炉水滓スラグの何れか1種または2種以上を用いることを特徴とする上記(1)〜(6)の何れかに記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
本発明によれば、冷間強度に優れたカーボン含有量の高い含炭非焼成ペレットを、短時間に、安定した品質で供給することができる。その効果は、広大なヤード面積を使用することなく、従来に比べ、大幅なプロセス効率を上昇させることができるだけでなく、品質が安定する他、高炉に装入される水分量を削減することができるので、高炉操業時の還元材比(コークス比)を大幅に低減でき、工業的および社会的貢献は多大なものである。
本発明の実施形態について以下に詳細に説明する。
本発明の実施形態の一例を、図8に示す。
先ず、ホッパー18から、Fe系原料2、C系原料3、および、水硬性バインダー1を、それぞれ所定の配合量となるように切り出し、Fe系原料2、および、C系原料3を、ボールミルなどの粉砕機4により、最大粒径が2mm以下となるように事前に粉砕する。この実施形態では、原料配合後に粉砕した例を示したが、配合原料を構成する各原料を粉砕した後、配合して配合原料とすることもできる。
Fe系原料2としては、製鉄プロセスにおいて多量に発生する焼結ダスト、スラッジ、スケール粉や、ペレットフィード(ペレット用原料)などの微粉状鉄鉱石等が用いられる。C系原料3としては、粉コークス、コークスダスト、高炉一次灰などが用いられる。
水硬性バインダー1は、原料中に含有する水分や添加水分との水和反応により硬化し、造粒物の冷間圧潰強度を高める機能を有するバインダーを意味する。このようなものとして、ポルトランドセメント、ベントナイト、高炉水砕スラグを主成分とする微粉末、アルカリ刺激剤からなる時効性バインダーなどが挙げられる。
粉砕した原料を、レディゲミキサー、アイリッヒミキサーなどの混錬機5を用いて、水分含有量が10〜15質量%となるように調湿しつつ混錬し、その後、パンペレタイザーなどの造粒機6で造粒し、振動篩7で5mm以上の造粒品と5mm未満の未造粒品とに篩い分ける。5mm未満の未造粒品は、再度、原料として活用される。
造粒して得られたペレット(以下、この養生前のペレットを、生ペレットという場合もある)は、高炉用鉄原料としての所定強度となるように養生する。本発明における養生は、一次養生用ヤード8で行なわれる生ペレットの放置処理と、水蒸気吹込および乾燥の機能を有する二次養生用シャフト炉9で行なわれる生ペレットの蒸気吹込処理、および、乾燥処理に分けられる。
一次養生用ヤード8における生ペレットの放置処理は、約800m2の一次養生用ヤード8に、生ペレットを約1.5mの高さまで積み付け、放置する。この際、降雨の影響を防ぐために、屋根つきヤードに生ペレットを積み付け、表面を防水シートで覆って、水和熱、凝集熱の保温と水分の蒸発の防止を図りながら、所定時間放置するのが好ましい。
放置処理工程では、ペレット中の水分を拡散し、ペレット内部の水分を均一に分散するとともに、水硬性バインダーとの水和反応により水和物を生成させる。放置処理工程は、室温の大気雰囲気下で行なわれるが、水和反応は発熱反応であるため、発熱によって、ペレット層内の温度は、40〜60℃となる。
放置処理後の生ペレットは、一次養生用ヤード8から払い出され、二次養生用シャフト炉9に装入され、シャフト炉内で、生ペレットの水蒸気吹込処理、および、乾燥処理が連続的に行われる。
二次養生用シャフト炉9には、本体上部に、ペレット装入口10が設けられていて、ここから、放置処理後の生ペレットが装入される。ペレット装入口10の直下の本体側面には、ガス排出口11が設けられ、このガス排出口11から下方に、所定距離を隔てた位置の炉体側面に、蒸気吹込口12が設けられている。
ペレット装入口10から装入された生ペレットは、ガス排出口11から水蒸気吹込口12までの領域を降下する過程で、水蒸気吹込口12から吹き込まれた60〜90℃の水蒸気の上昇流と接触することにより、水蒸気吹込処理が行われる。
なお、ペレットの水蒸気吹込処理の処理時間は、ペレット装入口10入側のペレット装入速度(ペレット排出口17出側のペレット排出速度とほぼ同等とする)を基に算出されるガス排出口11から水蒸気吹込口12までの領域のペレットの滞留時間から求められる。
ペレットの水蒸気吹込処理の処理時間は、ペレット装入速度により、5時間以上の所定時間に調整することができる。ペレットの水蒸気吹込処理では、主として、前記放置処理で生成した水和物を成長させ、硬化させることにより、ペレット強度を発現させる。
シャフト炉の炉体側面の水蒸気吹込口12の下部には、熱風吹込口13および熱風出口14が同じ高さ位置に設けられ、さらに、その下部には、冷風吹込口15および冷風出口16が同じ高さ位置に設けられている。
ペレットは、水蒸気吹込口12から熱風吹込口13、さらに、冷風吹込口15までの領域を降下する過程で、熱風吹込口13から吹き込まれた100〜300℃の熱風と接触し、さらに、冷風吹込口15から吹き込まれた室温の冷風と接触することにより、乾燥後のペレット中の水分含有量が5%以下となるように1時間以上の処理時間で乾燥処理が行われる。
ペレットの乾燥処理の処理時間は、シャフト炉内での水蒸気吹込処理と前記乾燥処理の総処理時間が8時間以内となるように調整される。
ペレットの乾燥処理では、ペレット内の水分を低減し、ペレットを構成する微粒子間の距離を縮小し、微粒子間の固体架橋結合を強化することにより、ペレット強度を向上させる。
また、ペレット中の水分の低減により、高炉内での装入物の水分を低減することができ、シャフト上部の吸熱反応による昇温遅れの悪影響が緩和され、その結果、本発明の含炭非焼成ペレットによる高炉の還元材比の低減効果がより高められる。
二次養生用シャフト炉9の本体の最下部には、ペレット排出口17が設けられ、水蒸気吹込処理、乾燥処理がなされたペレットが排出され、高炉用鉄原料の一部として、高炉19に装入される。
本発明は、微粉状鉄含有原料と微粉状炭材に水硬性バインダーを添加し、かつ、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように、前記微粉状炭材の配合割合を調整し、さらに、水分を調整しつつ混合、造粒した後、養生処理をすることにより、冷間圧潰強度85kg/cm2以上の含炭非焼成ペレットを製造することを前提とする。
また、本発明は、冷間圧潰強度85kg/cm2以上で、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%の含炭非焼成ペレットを製造するために、養生処理は、造粒後のペレットを、一次養生用ヤードで、12〜48時間、大気中に放置した後、二次養生用シャフト炉に装入し、該シャフト炉内で、60〜90℃の温度と5時間以上の処理時間で蒸気吹込処理を行い、その後、引き続き連続して、乾燥処理を行い、かつ、蒸気吹込処理と乾燥処理の総処理時間が8時間以内となるようにすることを特徴とする。
以下に、本発明が前提とする含炭非焼成ペレットの冷間圧潰強度および全原料中の炭素含有割合(T.C)の限定理由、および、本発明の特徴とする含炭非焼成ペレットの養生における放置処理、水蒸気吹込処理、および、乾燥処理の条件の限定理由について説明する。
(含炭非焼成ペレットの炭素含有割合(T.C)、および、冷間圧潰強度)
本発明では、冷間圧潰強度は85kg/cm2以上で、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%の含炭非焼成ペレットを製造することを前提とする。
高炉用非焼成ペレットに要求される冷間圧潰強度は、高炉までの搬送および装入時に崩壊しないだけの85kg/cm2程度以上の強度が必要である。この理由から、本発明における含炭非焼成ペレットの養生処理後の冷間圧潰強度は、85kg/cm2以上とする。
なお、本発明の養生処理後の含炭非焼成ペレットの圧潰強度は、JIS M8718「鉄鉱石ペレット圧潰強度試験方法」に準じて、被測定試料1個に対して、規定の加圧速度で圧縮荷重をかけることにより、破壊させた時の荷重値を測定した、単位断面積当たりの荷重値(kg/cm2)で表示する強度指数を意味する。
また、含炭非焼成ペレット中のカーボン含有量は、従来から酸化鉄を還元させるのに必要な理論上の炭素量に対する炭素含有量(T.C)の比である「炭素当量」を、炭素による酸化鉄の還元度の目安として設計されている。
本発明において、含炭非焼成ペレット中の炭素含有割合(T.C)が、全原料に対する割合で15質量%以上(炭素当量:1.2以上に相当する)の場合は、高炉での使用の際に、非焼成ペレット中のカーボンが自己の酸化鉄を還元するだけでなく、余剰カーボンがガス化して、非焼成ペレット以下に装入される焼結鉱などの高炉用鉄含有原料の還元を促進することが可能となる。
したがって、本発明では、含炭非焼成ペレット中の炭素含有割合(T.C)の下限は、高炉での使用の際に、非焼成ペレット中のカーボンが自己の酸化鉄を還元するだけでなく、さらに、余剰カーボンがガス化して、非焼成ペレット以下に装入される焼結鉱などの高炉用鉄含有原料の還元を促進して、高炉操業時の還元比を低減するために、全原料に対する割合で15質量%とする。
しかし、含炭非焼成ペレット中の炭素含有割合(T.C)が過度に高くなると、造粒直後の生ペレットの落下強度が低下し、造粒歩留の低下や、搬送中の崩壊が起こり易くなる。
図1に、含炭非焼成ペレットの炭素含有割合(T.C)および造粒直後の水分量と、造粒直後の落下強度との関係を示す。
造粒時の水硬性バインダーとして、早強ポルトランドセメントを用い、全原料に対する割合で、10質量%(一定)添加した。
造粒後の生ペレットの落下強度は、粒径10〜15mmのペレットを、1mの高さから落下させる落下試験を行い、同じペレットを繰り返し落下させてペレットが崩壊に至るまでの繰り返し落下回数を測定することにより求めた。造粒後の生ペレットの落下強度は、実機での生ペレットの造粒歩留を良好に維持し、かつ、養生工程までの搬送で崩壊しないために、5回以上とする必要がある。
図1から、造粒時の水分含有量が一定の条件では、含炭非焼成ペレットの炭素含有割合(T.C)が増加するとともに、造粒後の生ペレットの冷間圧潰強度は低下する。これは、カーボンは疎水性を有し、かつ、多孔質であるため、カーボンを含有しない通常のペレットに比べて、造粒時に、水分がカーボンにトラップされ、造粒直後のペレットの強度に寄与する水分が少なくなるためであると考えられる。
図1によれば、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25重量%の含炭非焼成ペレットを造粒する場合には、造粒直後の生ペレットの落下強度を5回以上に維持するためには、炭素含有割合(T.C)の増加に応じて、造粒時の水分含有量を10〜15質量%の範囲で調整する必要がある。
なお、造粒直後の生ペレットの落下強度を維持するために必要な水分含有量10〜15%は、10質量%の早強ポルトランドセメントの水和反応に必要となる理論上の水分含有量3%から見て、過剰な水分の添加状態を示唆している。したがって、造粒直後の生ペレットにおいては、水硬性バインダーの水和反応は、ほとんど進んでおらず、造粒直後の生ペレットの冷間圧潰強度は、添加水の液架橋が主体となって発現した強度である。
以上から、含炭非焼成ペレット中の炭素含有割合(T.C)が、全原料に対する割合で25質量%を超えると、図1に示されるように、造粒直後の生ペレットの落下強度が低下し、実機での生ペレットの造粒歩留を良好に維持し、かつ、養生工程までの搬送で崩壊しないために必要となる造粒直後の生ペレットの落下強度5回以上を確保することが困難となる。
なお、図1によれば、炭素含有割合(T.C)が全原料に対する割合で25質量%を超える場合、造粒時の添加水分量を15%超まで増加することにより、造粒直後の生ペレットの落下強度を、多少、向上することはできる。
しかし、造粒直後の生ペレットの水分含有量が15%超と過剰になると、本発明におけるペレットの冷間圧潰強度85kg/cm2以上の強度発現に必要な養生処理の総処理時間、つまり、放置処理、水蒸気吹込処理、および、乾燥処理の処理時間の合計が長くなり、含炭非焼成ペレットの生産性を低下させるため、好ましくない。
これらの理由から、含炭非焼成ペレット中の炭素含有割合(T.C)の上限は、全原料に対する割合で、25質量%とする。
(放置処理における処理時間)
一般に、水硬性バインダーの水和反応によるペレットの強度発現は、水硬性バインダー中に含有するカルシウムシリケート(CaO・SiO2)、カルシウムアルミネート(CaO・Al23)の水和反応によるコロイド状水和物( nCaO・SiO2・rH2O, nCaO・Al23・rH2O) の生成、粒子間の空隙への浸透、凝固、および、硬化によって行なわれると考えられている。
例えば、水硬性バインダーとしてポルトランドセメントを用いた場合の水和反応の反応式は、以下に示す通りである。
3CaO・SiO2+(3+r−n)H2O=nCaO・SiO2・rH2O+(3−n)・Ca(OH)2
2CaO・SiO2+(2+r−n)H2O=nCaO・SiO2・rH2O+(2−n)・Ca(OH)2
3CaO・Al23+(3+r+w−n)H2O=nCaO・Al23・rH2O+(3−n)・Ca(OH)2+wH2
3CaO・Al23+15H2O=3/4・(4CaO・Al23・19H2O)+1/4(Al23・3H2O)
4CaO・Al23・Fe23=(4+r+h/2−n)H2O=nCaO・Al23・rH2O+hHFeO3+(4−n)・Ca(OH)2
本発明では、微粉状鉄含有原料と微粉状炭材に水硬性バインダーを添加し、かつ、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように、微粉状炭材の配合割合を調整し、さらに、水分を調整しつつ混合、造粒した後、養生処理することにより、冷間圧潰強度85kg/cm2以上の含炭非焼成ペレットを製造することを前提とする。
本発明者らは、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15質量%以上の含炭非焼成ペレットを養生処理し、水和反応によるコロイド状水和物(nCaO・SiO2・rH2O,nCaO・Al23・rH2O)の生成、粒子間の空隙への浸透、凝固、および、硬化によってペレットの強度を発現する場合には、カーボンを含有しない通常のペレットに比べて、ペレット内部にコロイド状水和物を均一に生成することが、ペレットの冷間圧潰強度を向上するために重要であることを確認した。
そして、ペレット内部にコロイド状水和物を均一に生成させるためには、水蒸気吹込処理をする前に、造粒後の生ペレットを所定時間放置することが必要となることが判明した。
図2に、カーボンを含有しない通常の非焼成ペレットおよび炭素含有割合(T.C)が20質量%の含炭非焼成ペレットを用い、造粒直後の生ペレットを、一次養生用ヤードで放置処理をした場合の放置時間とペレット内部の水分量およびコロイド状水和物の分布との関係を示す。
造粒時の水分添加量は、造粒直後の生ペレットの落下強度が5回程度となるように調整した。この結果、炭素含有割合(T.C)が20質量%の含炭非焼成ペレットの生ペレットの水分含有量(平均で13質量%)は、カーボンを含有しない通常の非焼成ペレットの水分含有量(平均で7質量%)に比べて、高くなっている。
試験は、実際の800m2の一次養生用ヤードに、生ペレットを、約1.5mの高さまで積み付けて行う放置処理における水和反応の発熱量に起因する温度上昇を模擬し、粒径15〜20mmの生ペレットを用い、恒温槽を用い、密閉容器に装入した生ペレットが50℃の飽和水蒸気雰囲気下に一定時間保持されるようにした。
所定の放置時間の経過後の生ペレットは切り出され、ペレット断面の外周部a、中間部b、および、中心部cの各部位の水分含有量、および、コロイド状水和物(nCaO・SiO2・rH2O,nCaO・Al23・rH2O)の量を測定した。
コロイド状水和物量は、赤外分光分析装置を用いて各部位の赤外吸収スペクトルを測定し、各種のコロイド水和物の量を定量化し、これらの合計の相対比で示した。
図2(A)から、炭素含有割合(T.C)が20質量%の含炭非焼成ペレットを用いた場合は、カーボンを含有しない通常の非焼成ペレットに比べて、造粒直後の生ペレット内部の水分量の分布の不均一性が顕著となり、外周部aの水分量が、中心部cに比べて、高くなる。
これは、原料の混練時に均一に添加した水分は、造粒時のペレットの転動によって、遠心力でペレット外周へ移動するが、含炭非焼成ペレットの場合には、カーボンが疎水性を有し、かつ、多孔質であるため、水分がカーボンにトラップされ、生ペレット内部の水分量の分布の不均一性を、より助長するためと考えられる。
図2(A)によれば、含炭非焼成ペレットの場合には、造粒直後の生ペレットを放置処理し、その内部の水分量の分布を均一にするための処理時間を、カーボンを含有しない通常の非焼成ペレットに比べて長くする必要があることが判る。具体的には、含炭非焼成ペレットの場合、カーボンを含有しない通常の非焼成ペレットの4時間の放置処理時間と同程度の水分均一性を得るためには、12時間の放置処理時間が必要となる。
また、図2(B)から、含炭非焼成ペレットの場合には、造粒直後の生ペレット内部の水分量分布の不均一性に起因して、コロイド状水和物量の分布も、カーボンを含有しない通常の非焼成ペレットに比べて、不均一性の程度が顕著となる。これは、含炭非焼成ペレットの場合には、造粒直後の生ペレット内部の水分量分布の不均一性に起因して、外周部aにおける水和反応によるコロイド状水和物の生成が、中心部cに比べて、遅くなるためと考えられる。
さらに、本発明者らは、この造粒直後の生ペレット内部の水分量分布に起因して生じるコロイド状水和物量の不均一性が、その後の水蒸気吹込処理および乾燥処理における強度発現に対し、大きな影響を与えることを確認した。
図3に、図2に示される放置処理時間が4時間および12時間の場合のペレットの外周部a、中間部b、および、中心部cの各部位の水分量と同じ水分量で、かつ、水分の不均一性が小さい粒径3〜6mmの生ペレットを製造し、これらを、放置処理、水蒸気吹込処理および乾燥処理をして、ペレットの冷間圧潰強度を測定した結果を示す。
なお、放置処理は、図2と同じ条件、つまり、50℃の飽和水蒸気中に4時間および12時間、行った。また、水蒸気吹込処理は、80℃の飽和水蒸気を5時間吹き込んで行い、乾燥処理は、200℃の熱風で水分が2質量%となるまで行った。
図3に示すように、図2に示される放置処理時間が4時間の場合のペレットの外周部a、中間部b、および、中心部cの各部位は、放置処理の後、さらに、水蒸気吹込処理および乾燥処理をした後も、放置処理時間が12時間の場合に比べて、冷間圧潰強度の不均一性は顕著となる。
特に、放置処理で、水分含有量が低く、コロイド状水和物量も少なかった中心部cの水蒸気吹込処理および乾燥処理後の冷間圧潰強度の低下は、著しい。
これは、放置処理における処理時間が4時間と不十分なため、水硬性バインダーの水和反応進行のために必要な水分が不足し、コロイド状水和物量が十分に生成していない中心部cにおいては、その後の水蒸気吹込処理および乾燥処理によっても、十分な冷間圧潰強度を得ることができないことを示唆している。
以上のように、放置処理時間が不十分な場合には、その後の水蒸気吹込処理および乾燥処理の後に得られるペレットの平均冷間圧潰強度が低下するのみならず、ペレット内部の冷間圧潰強度分布の不均一化が顕著となる。特に、放置処理における処理時間が不十分な場合に生じる、ペレット中心部の強度不足部位は、構造欠陥となって、この欠陥部位から破壊が起こるので、ペレット全体の冷間圧潰強度を低下させることとなり、好ましくない。
以上のような、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15質量%以上の含炭非焼成ペレットを養生処理する場合における特有な課題を踏まえ、造粒直後の生ペレット内部の水分分布の不均一性を改善し、養生後のペレットの平均冷間圧潰強度を向上するために、本発明は、造粒直後の生ペレットを、一次養生用ヤードで、所定時間、大気中に放置する放置処理を行うものである。
本発明者らは、養生処理において、水蒸気吹込処理および乾燥処理の条件を一定とし、放置処理の処理時間を変化させた場合の、平均冷間圧潰強度の変化を実験的に求めた。図4(A)に、その処理条件を示す。
生ペレットは、焼結ダストおよび微粉状鉄鉱石からなる微粉状鉄含有原料に、全原料中のカーボン含有量(T.C)が20質量%となるように配合割合を調整して、高炉一次灰、コークスダストおよび粉コークスからなる微粉炭材を配合し、さらに、水硬性バインダーとして、早強ポルトランドセメントを添加し、これら全原料の最大粒度が2mm以下になるように粉砕した後、水分が13%となるように調整しつつ造粒することによって、平均粒径13.0mm(粒径11〜15mm)の生ペレットを製造した。
また、含炭非焼成ペレットとの比較のため、原料中に微粉炭材を含まない生ペレットも、同様に製造した。
養生試験は、1水準当り、50粒(約150g)の生ペレットを用い、放置処理、水蒸気吹込処理、および、乾燥処理を行う恒温槽静置試験を行った後、養生後のペレットの平均冷間圧潰強度を測定することによって行った。
養生試験における放置処理は、密閉容器に装入した生ペレットを、50℃の温度T1の飽和水蒸気雰囲気下に、一定の処理時間t1保持することによって行った。50℃の温度の飽和水蒸気雰囲気は、実際の800m2の一次養生用ヤードに生ペレットを、約1.5mの高さまで積み付けて行う放置処理における水和反応熱に起因する温度上昇を考慮して設定した。
水蒸気吹込処理は、恒温槽を用いて、密閉容器に装入した放置処理後のペレットを、80℃の温度T2の熱湯で水封した状態で所定の処理時間t2保持することによって行った。
乾燥処理は、恒温槽を用いて、開放容器に装入した放置処理および水蒸気吹込処理後のペレットを、200℃の温度T3で1時間(一定)の処理時間t3保持することによって行った。
図4(B)に、養生処理において、水蒸気吹込処理および乾燥処理の条件を一定とし、放置処理の処理時間を変化させた場合の、放置処理の処理時間t1と養生後の含炭非焼成ペレットの平均冷間圧潰強度との関係を示す。
図4(B)から、カーボンを含まない通常ペレットの場合は、1時間の放置処理で養生後の平均冷間圧潰強度は85kg/cm2を達成することができるが、カーボン含有量(T.C)が20質量%の含炭非焼成ペレットの場合は、放置処理における処理時間を十分に確保しなければ、生ペレット内部の水分分布の不均一性が原因となり、養生後の平均冷間圧潰強度は85kg/cm2を達成することはできないことが判る。
図4によれば、水蒸気吹込処理の温度:80℃、処理時間:5時間、および、乾燥処理の温度:200℃、処理時間:1時間の一定条件において、含炭非焼成ペレットの養生後の平均冷間圧潰強度を85kg/cm2以上とするためには、放置処理における処理時間を12時間以上とする必要があることが判る。
放置処理後の水蒸気吹込処理でも、水硬性バインダーの水和反応は生じるが、高温での水和反応では、水和反応とともに、コロイド状水和物の成長、硬化が急激に生じるため、コロイド状水和物が十分に拡散する前に成長、硬化が生じて、ペレット内部に水和結合の脆弱部が残存し、ペレットの平均冷間圧潰強度の改善は期待できない。
図4(B)から、含炭非焼成ペレットの場合、ペレット内部において、コロイド状水和物を分散して生成させ、コロイド状水和物の拡散により、ペレット内部の微細粒子間の空隙に十分に浸透させることにより、ペレット内部の強度分布の不均一性を抑制し、平均冷間圧潰強度を向上するためには、水蒸気吹込処理に比べて低温(水和反応熱のみ)で、ゆっくり(長時間)放置させる放置処理が有効であることが判る。
以上の理由から、本発明における造粒直後の生ペレットの放置処理における処理時間の下限は12時間以上とする。
一方、放置処理における処理時間が48時間を超えると、放置処理による養生後の含炭非焼成ペレットの平均冷間圧潰強度を向上する効果が飽和し、ペレット同士の固着が進行し、塊砕処理が必要となり、また、放置処理時間の長期化は、1次養生用ヤードの占有率の拡大による生産性の低下につながるため、好ましくない。この理由から放置処理における処理時間の上限は48時間とする。
なお、本発明で、放置処理は、一次養生用ヤードに生ペレットを積み付けることで行なわれ、放置処理時の生ペレット層内の温度は、水和反応熱による温度上昇と外部の大気の温度との関係で多少変化するが、これにより、養生後のペレットの平均冷間圧潰強度が急激に低下しないことを確認している。
しかし、好ましくは、放置処理を実施する季節による気温の変化に応じて、放置処理の処理時間や、後述する水蒸気処理の温度または処理時間を調整をすることが望ましい。
(水蒸気吹込における温度および処理理時間)
本発明では、冷間圧潰強度85kg/cm2以上で、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%の含炭非焼成ペレットを製造するために、養生処理において、放置処理における処理時間に加えて、その後に行われる、水蒸気吹込処理における温度および処理時間を適正化する必要がある。
図5に、炭素含有割合(T.C)が20質量%の含炭非焼成ペレットを、養生処理において、放置処および乾燥処理の条件を一定とし、水蒸気吹込処理の温度を80℃とし、処理時間を変化させた場合の、水蒸気吹込処理の処理時間t2と養生後の含炭非焼成ペレットの平均冷間圧潰強度との関係を示す。
生ペレットの製造、および、養生試験の方法は、図2で説明したとおりである。
放置処理における温度T1は50℃、処理時間t1は1時間、12時間、および、24時間の3条件とし、水蒸気吹込処理の温度T2は80℃とし、乾燥処理における温度T3は200℃、処理時間t3は1時間とした。
図5から、放置処理における処理時間が一定の条件では、養生後の平均冷間圧潰強度は水蒸気吹込処理の処理時間が5時間までは、処理時間の増加とともに著しく向上するが、処理時間が5時間以上になると、上記強度の上昇代が小さくなり、結局、最高到達強度は、放置処理における処理時間によってほぼ決まることが判る。
このことからも、図3および図4(B)と同様に、含炭非焼成ペレットの養生後の平均冷間圧潰強度向上のためには、養生処理における放置処理の処理時間が重要であることが示唆される。
図5によれば、放置処理における処理時間が12時間以上であれば、水蒸気吹込処理の処理時間を5時間以上とすることにより、養生後の平均冷間圧潰強度は、85kg/cm2を達成することができる。一方、放置処理における処理時間が12時間未満(図では、1時間)の場合には、水蒸気吹込処理の処理時間を増加しても、養生後の平均冷間圧潰強度は、85kg/cm2を達成することができない。
前述したように、放置処理における処理時間が短い場合は、放置処理により、ペレット内部に、コロイド状水和物を分散して生成させ、コロイド状水和物の拡散により、ペレット内部の微細粒子間の空隙に十分に浸透させることができず、その後の水蒸気吹込処理では、コロイド状水和物が十分に拡散せずに、成長、硬化が生じて、ペレット内部に、水和結合の脆弱部が残存し、平均冷間圧潰強度が低下する。
以上の理由から、本発明における造粒直後の生ペレットの放置処理における処理時間を12時間以上とすることに加えて、水蒸気吹込処理の処理時間を5時間以上とする。
図6に、炭素含有割合(T.C)が20質量%の含炭非焼成ペレットを、養生処理において放置処理および乾燥処理の条件を一定とし、水蒸気吹込処理の処理時間を7時間とし、温度を変化させた場合の、水蒸気吹込処理の温度T2と養生後の含炭非焼成ペレットの平均冷間圧潰強度との関係を示す。
生ペレットの製造、および、養生試験の方法は、図2で説明したとおりである。
放置処理における温度T1は50℃、処理時間t1は6時間、12時間、及び、48時間の3条件とし、水蒸気吹込処理の処理時間t2は、7時間とし、乾燥処理における温度T3は200℃、処理時間t3は1時間とした。
図6によれば、放置処理における処理時間によって、水蒸気吹込処理における最適な温度および到達圧潰強度の条件が異なるものの、放置処理における処理時間が12時間以上であれば、水蒸気吹込処理の温度を60〜90℃とすることにより、養生後の平均冷間圧潰強度は、85kg/cm2を達成することができる。
一方、放置処理における処理時間が12時間未満(図では、6時間)の場合には、水蒸気吹込処理の温度によらず、養生後の平均冷間圧潰強度は、85kg/cm2を達成することができない。
以上の理由から、本発明における造粒直後の生ペレットの放置処理における処理時間を12時間以上とすることに加えて、水蒸気吹込処理の温度を60〜90℃とする。
図6において、放置処理の処理時間が6時間と12時間の場合に、水蒸気吹込処理の温度が80℃付近で、平均冷間圧潰強度が最大となった理由は、以下のように考えられる。
放置処理の処理時間が、6時間と12時間と、比較的短い場合には、その処理時間が48時間の場合に比べて、ペレット内、特に、中心側に、未反応の水硬性バインダーが残存しているため、水蒸気吹込処理の温度が80℃までは、温度が高くなるとともに、水硬性バインダーの水和反応が促進され、その結果、平均冷間圧潰強度が高くなる。
しかし、温度が80℃を超えて高くなると、水和反応により生成したコロイド状水和物中のイオン拡散が大きくなり、水和物の成長により、水和結合部組織が粗大化する。また、水和結合部と鉄鉱石粒子などの原料粒子、さらには、水、空気との熱膨張係数の差の増大により、硬化後の水和結合部内部、水和結合部と鉄鉱石粒子などの原料粒子との界面に亀裂や空隙が形成される。その結果、温度が80℃を超えて高くなると、逆に、平均冷間圧潰強度が低下する。
一方、図6において、放置処理の処理時間が48時間の場合には、既に、ペレット内部の中心側まで、コロイド状水和物が分散し生成しているため、水蒸気吹込処理の温度を上昇することによる水和反応の促進による平均冷間圧潰強度の向上は生じない。
このようなペレットでは、水蒸気吹込処理の温度が高くなるとともに、コロイド状水和物の成長による水和結合部組織の粗大化が生じ、また、水和結合部と鉄鉱石粒子などの原料粒子、さらには、水、空気との熱膨張係数の差の増大により、硬化後の水和結合部の内部、水和結合部と鉄鉱石粒子などの原料粒子との界面に亀裂や空隙が形成される。
その結果、水蒸気吹込処理の温度の上昇とともに、平均冷間圧潰強度が低下する。
図7(A)に放置処理の処理時間が12時間および48時間の場合の水蒸気吹込処理温度と養生後のペレットの気孔量との関係を示す。
気孔量は、水銀圧入ポロシメーターを用いて測定される気孔率で示した。
図7(A)から、放置処理の処理時間が48時間の場合は、12時間の場合に比べて水蒸気吹込処理温度によらず、養生後のペレットの気孔量が低くなっていることが判る。これは、放置処理の処理時間が48時間の場合には、既に、ペレット内部の中心側までコロイド状水和物が分散して生成し、さらに、水蒸気吹込処理および乾燥処理後(養生後)の水和結合部組織も緻密な構造となり、水和結合部界面に、亀裂や空隙が少なくなっていることを示している。
また、放置処理の処理時間が48時間の場合は、水蒸気吹込処理の温度が上昇するとともに、水和物の成長による水和結合部組織の粗大化、水和結合部界面での亀裂や空隙が多くなり、その結果、養生後のペレットの気孔量が増加する。
一方、放置処理の処理時間が6時間と12時間の場合は、水蒸気吹込処理の温度が80℃までは、温度の上昇による未反応水硬性バインダーの水和反応の促進により、養生後のペレットの気孔量が減少するが、80℃を超えて温度が上昇すると、水和物の成長による水和結合部組織の粗大化、水和結合部界面での亀裂や空隙が多くなり、その結果、養生後のペレットの気孔量が増加する。
図7(B)に、12時間の処理時間で放置処理したペレットを、80℃および100℃の温度で、水蒸気吹込処理した場合における養生後ペレットの破面のSEM(電子顕微鏡)像を示す。
100℃の温度で水蒸気吹込処理した場合における養生後のペレットの組織は、80℃の温度で水蒸気吹込処理した場合に比べて、多孔質構造の組織である。
(乾燥処理における温度および処理時間)
本発明において、ペレットの乾燥処理は、ペレット内の水分を低減し、微粒子間の距離距離を縮小し、微粒子間の固体架橋結合を強化することにより、ペレットの平均冷間圧潰強度を向上させるために行なわれる。
また、ペレット中の水分の低減により、高炉内での装入物の水分を低減することができ、シャフト上部の吸熱反応による昇温遅れの悪影響が緩和され、その結果、本発明の含炭非焼成ペレットによる高炉の還元材比の低減効果が、より高められる。
本発明では、乾燥処理の条件は、通常の生ペレットを乾燥処理する条件の範囲内でよく、ペレットの水分含有量が5%以下となるように乾燥することにより、十分、強度が発現する。好ましくは、乾燥処理における熱風の温度を100〜300℃とし、処理時間を1時間以上とする。
なお、乾燥処理で使用するガスの組成および流量は、特に限定されるものではなく、通常は、乾燥した熱風が用いられる。また、焼結機のクーラーの排ガスの顕熱などを、再利用してもよい。
また、ペレットの圧潰強度の向上の点から、乾燥処理においてCO2を含むガスを用いることは、水硬性バインダーの水和反応の副生成物であるCa(OH)2の炭酸塩化を促進し、ペレットの圧潰強度をさらに向上することが可能となるので、好ましい。
さらに、使用する水硬性バインダーは、特に限定されるものでなく、ポルトランドセメント、ベントナイト、高炉水砕スラグなどが使用される。また、その配合量も、特に限定されるものではないが、全原料に対する割合で5〜10重量%の範囲とするように調整するこことが好ましい(5質量%未満では、水硬性バインダーの効果が限定される。10質量%超では、冷間圧潰強度は十分に発現できるが、高炉内の還元温度域で、上記バインダーは脱水反応を起こし、十分な熱間強度を維持できないため、高炉内でのペレットの粉化を招く他、高炉のスラグ量も増加させるので、含炭非焼成ペレットによる高炉の還元材比の低減効果が限定される。)。
(蒸気吹き込み処理と前記乾燥処理の総処理時間)
蒸気吹込処理と乾燥処理の総処理時間は長いほど、養生後の含炭ペレットの平均冷間強度は向上するが、時間とともに強度向上量は減少し、蒸気や熱風の使用量も増大し、ランニングコストが悪化する。
また、総処理時間が8時間以内での処理速度であれば、比較的小規模な設備で蒸気吹込処理と乾燥処理をすることができる。例えば、日産12000トンの大型高炉において、非焼成ペレットを全装入鉄系原料の3%分使用する場合、日産500トンのペレット製造が必要となり(ペレットの嵩密度が1.5トン/m3)、養生および乾燥設備規模は111m3の反応容器となるので、安価な設備コストで、養生および乾燥設備を建設することが可能となる。
以下、実施例により本発明の効果について説明する。
焼結ダストおよび微粉状鉄鉱石からなる微粉状鉄含有原料に、全原料中のカーボン含有量(T.C)が20質量%となるように配合割合を調整して、高炉一次灰、コークスダストおよび粉コークスからなる微粉炭材の配合し、さらに、水硬性バインダーとして、早強ポルトランドセメントを添加し、これら全原料の最大粒度が2mm以下になるように粉砕し、その後、水分が13%となるように調整しつつ造粒して、平均粒径13.0mmの生ペレットを製造した。
養生試験は、1水準当り、50粒(約150g)の生ペレットを用い、恒温槽を用いて、同一ペレットについて、放置処理、水蒸気吹込処理、および、乾燥処理を行う恒温槽静置試験を行った後、養生後のペレットの平均冷間圧潰強度を測定することによって行った。
養生試験における放置処理は、密閉容器に装入した生ペレットを、50℃の温度T1の飽和水蒸気雰囲気下に、一定の処理時間t1保持することによって行った。50℃の温度の飽和水蒸気雰囲気は、実際の800m2の一次養生用ヤードに、生ペレットを約1.5mの高さまで積み付けて行う放置処理における水和反応熱に起因する温度上昇を考慮して設定した。
水蒸気吹込処理は、恒温槽を用いて、密閉容器に装入した放置処理後のペレットを所定の温度T2の熱湯で水封した状態で、所定の処理時間t2保持することによって行った。
乾燥処理は、恒温槽を用いて、開放容器に装入した放置処理および水蒸気吹込処理後のペレットを、200℃の温度T3で1時間(一定)の処理時間t3保持することによって行った。
表1に、含炭非焼成ペレットの養生処理条件と評価結果を示す。
なお、ペレットの圧潰強度は、JIS M8718「鉄鉱石ペレット圧潰強度試験方法」に準じて、被測定試料1個に対して、規定の加圧速度で圧縮荷重をかけることにより、破壊した時の荷重値を測定し、単位断面積当たりの荷重値(kg/cm2)で表示した。
また、還元材比は、有効容積5500m3の高炉を用い、非焼成ペレットを全装入鉄系原料に対して3%使用する操業を実施した場合の、定期修繕日とその前後日を除く約1ヶ月間の平均値で評価した。なお、通常操業における鉄系原料割合は、焼結鉱比80%、塊鉱石比15%、ペレット比5%であり、このときの還元材比は、490kg/tpであった。
表1に示したNo.1の比較例は、従来のヤード養生方法を用いて含炭非焼成ペレットを製造した例であり、ヤードにおいて、生ペレットを14日間(336時間)養生し、高炉用ペレットの目標とする85kg/cm2の圧潰強度を得ることができた。しかし、ペレット中の水分は7.5%と高く、広大なヤードを占有することにより、製鐵所内の物流効率が低下した。さらに、高炉での使用においては、装入水分の増加に起因するシャフト部の昇温遅れが顕在化し、高い還元材比となった。
No.2の比較例は、水蒸気吹込処理の温度および処理時間は、本発明の範囲内であるが、放置処理の処理時間が、本発明の範囲より短いため、養生処理の総処理時間は17時間と短縮され、成品ペレットの水分も2%以下と良好であったが、成品ペレットの冷間圧潰強度は85kg/cm2を達成できなかった。その結果、高炉での使用においては、装入粉の増加に起因するシャフト上部の通気性悪化が顕在化し、高い還元材比となった。
No.3の比較例は、放置処理の処理時間および水蒸気吹込処理の温度は、本発明の範囲内であるが、水蒸気吹込処理の処理時間が、本発明の範囲より短いため、養生処理の総処理時間は19時間と短縮され、成品ペレットの水分も2%以下と良好であったが、成品ペレットの冷間圧潰強度は85kg/cm2を達成できなかった。その結果、高炉での使用においては、装入粉の増加に起因するシャフト上部の通気性悪化が顕在化し、高い還元材比となった。
No.4の比較例は、放置処理の処理時間および水蒸気吹込処理の処理時間は、本発明の範囲内であるが、水蒸気吹込処理の温度が、本発明の範囲より低いため、養生処理の総処理時間は52時間と短縮され、成品ペレットの水分も2%以下と良好であったが、成品ペレットの冷間圧潰強度は85kg/cm2を達成できなかった。その結果、高炉での使用においては、装入粉の増加に起因するシャフト上部の通気性悪化が顕在化し、高い還元材比となった。
No.5の比較例は、放置処理の処理時間および水蒸気吹込処理の処理時間は、本発明の範囲内であるが、水蒸気吹込処理の温度が、本発明の範囲より高いため、養生処理の総処理時間は52時間と短縮され、成品ペレットの水分も2%以下と良好であったが、成品ペレットの冷間圧潰強度は85kg/cm2を達成できなかった。その結果、高炉での使用においては、装入粉の増加に起因するシャフト上部の通気性悪化が顕在化し、高い還元材比となった。
一方、No.6〜9は、放置処理の処理時間、水蒸気吹込処理の温度、および、処理時間が、本発明の範囲内を満足する発明例であり、養生処理の総処理時間(放置処理、水蒸気吹込処理、および、乾燥処理の各処理時間の合計)は19〜57時間と短縮でき、かつ、成品ペレットの冷間圧潰強度は、85kg/cm2以上を達成できた。また、成品ペレットの水分も、3%以下と良好であった。
その結果、低強度に起因する粉装入や水分上昇に起因する悪影響を回避して、含炭非焼成ペレットによるシャフト効率の大幅な向上が得られたので、還元材比が470kg/tp以下と大幅に低下した。
含炭非焼成ペレットの炭素含有割合(T.C)および造粒直後の水分量と、造粒直後の落下強度との関係を示す図である。 含炭非焼成ペレットを用い、(A)造粒直後の生ペレットを一次養生用ヤードで放置処理をした場合の放置時間とペレット内部の水分量、および、(B)コロイド状水和物の分布との関係を示す図である。(C)は、ペレット断面を示す。 放置処理後のペレットの外周部a、中間部b、および、中心部cの各部位に相当するペレットの冷間圧潰強度を測定した結果を示す。 (A)養生処理における処理条件、および、(B)養生処理において水蒸気吹込処理および乾燥処理の条件を一定とし、放置処理の処理時間を変化させた場合の、放置処理の処理時間t1と養生後の含炭非焼成ペレットの平均冷間圧潰強度との関係を示す図である。 含炭非焼成ペレットを、養生処理において、放置処理および乾燥処理の条件を一定とし、水蒸気吹込処理の温度を80℃とし、処理時間を変化させた場合の、水蒸気吹込処理の処理時間t2と養生後の含炭非焼成ペレットの平均冷間圧潰強度との関係を示す図である。 含炭非焼成ペレットを、養生処理において、放置処理および乾燥処理の条件を一定とし、水蒸気吹込処理の処理時間を7時間とし、温度を変化させた場合の、水蒸気吹込処理の温度T2と養生後の含炭非焼成ペレットの平均冷間圧潰強度との関係を示す図である。 (A)水蒸気養生処理の温度と養生後のペレットの気孔量との関係、および、(B)養生後のペレット破面のSEM像(電子顕微鏡)を示す図である。 本発明の実施形態の一例を説明するための含炭非焼成ペレットの製造工程を示す図である。
符号の説明
1 水硬性バインダー
2 Fe系原料
3 C系原料
4 粉砕機
5 混錬機
6 造粒機
7 振動篩
8 一次養生用ヤード
9 二次養生用シャフト炉
10 ペレット装入口
11 ガス排出口
12 水蒸気吹込口
13 熱風吹込口
14 熱風出口
15 冷風吹込口
16 冷風出口
17 ペレット排出口
18 ホッパー
19 高炉
a 外周部
b 中間部
c 中心部

Claims (7)

  1. 微粉状鉄含有原料と微粉状炭材に水硬性バインダーを添加し、かつ、全原料中の炭素含有割合(T.C)が15〜25質量%となるように、前記微粉状炭材の配合割合を調整し、さらに、水分を調整しつつ混合、造粒した後、養生処理することにより、冷間圧潰強度85kg/cm2以上の高炉用含炭非焼成ペレットを製造する方法であって、前記養生処理は、前記造粒後のペレットを一次養生用ヤードで12〜48時間大気中に放置した後、該ペレットを二次養生用シャフト炉に装入し、該シャフト炉内で、60〜90℃の温度と5時間以上の処理時間で蒸気吹込処理を行い、その後、引き続き連続して、乾燥処理を行い、かつ、前記蒸気吹込処理と前記乾燥処理の総処理時間が8時間以内となるようにすることを特徴とする高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  2. 前記乾燥処理は、乾燥後のペレット中の水分含有量が5%以下となるように、100〜300℃の温度と1時間以上の処理時間で行うことを特徴とする請求項1に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  3. 前記混合、造粒は、水分が10〜15質量%となるように調整して行うことを特徴とする請求項1または2に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  4. 前記水硬性バインダーの添加量は、全原料に対する割合で、5〜10質量%となるように調整することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  5. 前記微粉状鉄含有原料として、焼結ダスト、および、微粉状鉄鉱石の1種または2種を用いることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  6. 前記粉状炭材として、粉コークス、コークスダスト、および、高炉一次灰の何れか1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
  7. 前記水硬性バインダーとして、ポルトランドセメント、ベントナイト、および、高炉水滓スラグの何れか1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の高炉用含炭非焼成ペレットの製造方法。
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