JP5730076B2 - 光源装置、検査装置及び光干渉断層撮像装置 - Google Patents
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通信ネットワーク分野では、高速な波長切替、また、検査装置の分野では高速で広範な波長掃引が、要望されている。
検査装置における波長可変(掃引)光源の用途としては、レーザ分光器、分散測定器、膜厚測定器、波長掃引型光干渉トモグラフィー(Swept Source Optical Coherence Tomography)装置等がある。
波長掃引光源を用いて医用画像撮像装置を構成する場合には、掃引速度が早いほど像取得時間を短縮でき、生体組織を生体より採取せずに生体中でそのまま観察する生体観察(所謂、in situ−in vivo imaging)にも好適である。
特許文献1は、光増幅媒体と、該光増幅媒体の外部に回折格子を用いた反射器を備えた波長可変光源を開示する。図12に特許文献1に記載の光源装置を示す。
図13においては、移動可能なメンブレン反射体1314と凹面反射体1316とで光共振器が構成され、駆動電極1312とメンブレン反射体1314との間に電圧を印加することで共振器長1318を変化させて波長選択を行う。
図13の素子は、メンブレン反射体1314と凹面反射体1316の2つの反射器を用い、この2枚の反射器の間隔で決まる共振ピーク間の周波数差、即ち、自由スペクトル間隔(Free Spectral Range:FSR)に従い、波長を選択的に透過又は反射させるものである。
特許文献2に開示された波長選択素子では、FSRを45〜80nmに設定すると、2枚の反射器の間隔は、15μm〜25μmであるとしている。
しかしながら、眼底用のOCT装置の光源に適用するに適した挿引中心波長を840nm、FSRを80nmとして、波長選択素子を構成しようとすると、2枚の反射器の間隔は、4.4μmと狭い値を取る必要がある。この狭い間隔で可動反射器を100KHz以上の高速駆動は、電極の配置等細部を工夫して行っても実現が困難であるというのが実状である。
本発明は、OCT装置に適した波長で高速に波長挿引可能な光源装置を提供することを目的とする。
分割され2方向に導かれた光束は、第二、第三の反射部材に入射する。そこで個々に反射され、往きの光路を逆方向に戻り、光増幅媒体に到達して光増幅媒体内で合波される。
この観点にたつと、本発明の光源装置は、光を増幅させる光増幅媒体と、該光増幅部材で増幅された光の光束を、波面分割する分割部材と、前記光増幅媒体の一方の側に位置する第一の反射部材と、前記光増幅媒体の他方の側に位置する第二及び第三の反射部材を有し、第二の反射部材は、前記分割部材により分割された光束の一方を反射し、前記分割部材を介して前記光増幅媒体に戻すものであり、第三の反射部材は、前記分割部材により分割された光束の他方を反射し、前記分割部材を介して前記光増幅媒体に戻すものとした形態を包含する。
反射膜105は、光増幅媒体101の一方の側に位置する第一の反射部材として機能する。106、107は第二、第三の反射部材であり、それぞれ第一の反射部材105と対をなして光共振器を構成する。第三の反射部材107には、反射部材107の位置を光束が進む方向に変化させる光路長差調整部材109が具備されている。
光束103は、光束分離素子104により光束103の径方向に(空間的に)2分され、分割された光束103aと光束103bはこれらをそれぞれ垂直に反射するように設置された反射部材106及び107に向かって集光する。
本例の光源装置では、光増幅媒体101を挟んで、反射部材105と、反射部材106及び107と、の間で光が共振し波長が選択される。ここで、反射部材106は共振器としての機能のほかに光源の出力機能をも兼ね備えており、反射と透過の両方を備えた特性をもつ。
今、理解し易くするために、x=0とし、光路変調の変調A−D光路とA−B光路で共通の波長λoで共振し発振していたとする。
この(1),(2)式からδxとδλの式を導くと、以下の式(3)が得られる。
そのため、特許文献2に記載された波長選択素子のようにファブリペローの2枚の反射器を光束の進行方向に離間して配置するのではなく、一対の反射器の片方の反射器を光束の進行方向に垂直な方向に空間的に分離して配置する。
そして2つに分けたそれぞれの光束をそれぞれの分離した反射器で戻す本方式では、ファブリペロー素子と等価の効果を実現できる。
挿引波長のサンプリング波長間隔δΛとOCT装置によって検出可能な被検物体の厚み方向(光軸方向)の最大幅Lには以下の式(13)の関係がある。
希土類添加光ファイバは、高利得で良好な雑音特性を得るためには好適である。色素添加光ファイバは、蛍光色素材料やそのホスト材料などを適宜選択することで可変波長の選択肢が増す。
第二及び第三の反射部材は、光増幅媒体で増幅された光の光束を該光束の径方向に分離した状態で反射させるが、光束の分離には反射型プリズムを用いることもできるし、光束の分離を光束(平行光束)が照射される領域に第二及び第三の反射部材を並べて配置することで行うこともできる。反射型プリズムを用いる場合、プリズムの稜線を境に光束を分離しても良い。反射プリズムの稜線をなす角は、光束より分離された主光線同士が平行となる角度とすることが好適である。詳細は、実施例で後述する。
図1は、本発明の光源装置の一例を示す模式図である。
図1において、101は可干渉な光束を生成する光増幅媒体であり、中心波長0.84μmの発光スペクトルを有する半導体光増幅器を用いた。光増幅媒体101の両端面の一方は光共振器の第一の反射部材としての反射器もしくは反射膜105を構成する。他方は無反射膜108が施されている。102は光増幅媒体から出射した発散光束を集光させるための集光レンズ、103は光増幅媒体101から出射した光束である。104は光束103を分割する光束分離素子として機能する反射型プリズムである。106、107はそれぞれ第二、第三の反射部材であり、第一の反射部材105と、互いに対となって複数の光共振器を構成している。第二の反射部材106は光共振器としての機能のほかに光源の出力部としての機能をも兼ねており、光の反射機能と透過機能の両方を備える。第三の反射部材107は、反射部材107の位置を光束が進む方向に変化させる光路長差調整部材として電歪素子109を具備する。
L14.41μmの設定は、集光レンズ102の実効NAを0.1程度に設計すると、焦点深度内で反射部材106と107を設定でき、光路変調用ベース107と光束分離素子104の相対位置の初期補正によってL1=4.41μmを実現した。
ここで、単層ピエゾの印加電圧を−200,−100,0,+100,+200ボルトと変化させると、
δx=−200nm,−100nm,0.100nm,200nmと変化する。
このとき式(12)より、
δλ=−38nm,−19nm,0.19nm,38nmが得られる。
出力波長はλo+δλなので、以下の通り波長の変化が得られる。
即ち、λ=802nm,821nm,859nm,878nmである。このようにピエゾ素子の駆動電圧を制御することで波長挿引が可能となる。
ピエゾ素子に印加する電圧を100KHz以上で駆動することにより波長挿引速度が100KHz以上となる光源が実現できた。
検出可能な被検物体の厚み方向(光軸方向)の最大幅Lは,サンプリング波長間隔δΛを0.08nm。中心挿引波長λoを0.84μmとすると式(13)より、
L=4.41mmとなる。
また、検出可能な被検体の厚み方向(光軸方向)の分解能ΔLは式(14)よりΔλ=0.08μmとして、
ΔL=4.4μmとなる。
図4を用いて実施例2の光源装置について述べる。
図4に示した光源装置は、図1の装置に類似するものであるが図1における第三の反射部材107に代えて反射部材106bを配置したことと、第二の反射部材106aを用いたことが図1の装置との違いである。
ここで、第二の反射部材106aは実施例1と同様に共振器の反射機能の他に光源の出力(透過)機能をも兼ねている。本実施例2においては、第三の反射部材106bが、実施例1における反射部材106と異なり、反射率を低く抑えた反射部材としたところに特長がある。
挿引速度に関しては、実施例1と同様にピエゾ素子により100KHz以上の波長挿引が実現できる。
このようにして、掃引波長が安定な波長挿引光源が実現できる。
図5に示した光源装置の例について述べる。
本例の装置は、実施例1及び実施例2に示した装置に比べて光軸方向に対する垂直方向のサイズを省サイズ化した例である。
実施例1では光束分離プリズム104で二つの方向に光束を反射分離したが、本実施例では、図5に示すように、光束103を構成する光束103bを光束分離プリズム104bにより偏向させ、同じく光束103を構成する103aは空間を通過させる構成を採用している。この構成により、実施例1及び2で説明した装置に比べて、
103の光束の光軸方向に垂直な平面方向に対し,小さくなり省サイズ化が実現できた。また、104bは光束103の片側しか反射せず光束分離素子104bの反射面の面精度の影響が半分で済むので、挿引波長が精度よく制御できるとともに光源のサイズを小型化できるという効果がある。
図6は実施例4の光源装置を示す模式図である。本例の装置は、実施例1の装置に比べて小型化と更なる高速挿引を可能とする構成である。
図6の装置においては、光増幅媒体101からの光束はレンズ102により平行光束となる。この平行光束を103aと103bに2分しそれぞれ反射部材106、107によりこれまで同様に反射させる。これにより、光束分離素子はないため更なる装置の小型化が実現可能となる。
そして、一方の光共振器を構成する反射部材105と他方の光共振器を構成する反射部材106及び107との距離が短縮できる。
ある波長の光を生成する時間が1nSecとすると、この光共振器では光が3往復できることが理解される。生成する波長を1000点とすると1MHz以上の波長挿引が実現できる。このように共振器長を短くするとともに、光束光路可変変調の駆動周波数を1MHz以上にすることにより、1MHzの高速波長掃引が可能な波長挿引光源が小型の装置で実現できる。
図7に示した光源装置の例について述べる。これは、実施例4の装置を更に小型化する例である。
本実施例では、光増幅媒体101としてこれまでの端面発光タイプの半導体光増幅器ではなく、面発光タイプ(面型発光素子タイプ)の光増幅器を採用する。
こうすると、図6の装置で採用した集光レンズ102は不要となり、光増幅媒体から出射した光束103aと103bをそれぞれ反射部材106、107で反射させることができる。この構成を採用すると数ミリから数センチサイズの小型で高速に波長挿引可能な光源が実現できる。
本実施例は、図3の装置で説明した光路長差調整部材を機械的微小変位機構で構成した例である。
図8に本例の特徴部を示す。図8の119が、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械素子)素子で構成した機械的微小変位機構である。
MEMS素子119は、曲げ部分(ヒンジ)と電極部120を備え、電極部120に電位差を与えることにより、反射部材107を400nm程度変位させることができる。
更に本例の装置では空気揺らぎ起因による不安定性の改善を図っている。光束103が光束分離素子104により分割されてから、再び光束分離素子に戻るまでの光路を安定にするために、硝材115で光路の大半を覆い、空気揺らぎを低減させた。この構成により、安定した波長挿引の光源装置が実現できる。
本実施例は、図3や図8の装置で説明した光路長差調整部材をEO(Electro−Optic, 電気光学)素子を用いて構成した例である。図9に本例の特徴部を示す。図9の118は電気光学効果を生じさせるニオブ酸リチウムの薄膜であり、114は透明電極を示している。ニオブ酸リチウムは電気光学効果を生み出す非線形定数γが高く、約30pm/Vである。電圧と屈折率の関係は、電圧をかける結晶の厚みをd,屈折率をneとすると、以下の式(15)が成り立つ。
このことから、ニオブ酸リチウムの層を30層にすると一層あたり約100Vで駆動すれば、実施例1と同様に0.84μmを中心波長として約80nmの幅で波長挿引できる。
図10に、図9に示した例の変形例を示す。図10においては、図9の薄膜のニオブ酸リチウムに対してバルクのニオブ酸リチウム118を採用すると共に、図9の透明電極114に対して光束を反射する機能を兼ねた電極114を採用している。
図10に示すように電極114のなす角θが以下の式(16)を満足するとき入射光束と出射光束は平行になる。
回通過する。
本例は、本発明の波長挿引光源装置を備えた光干渉断層撮像装置(OCT)の例である。
OCT装置は、一方のアーム(測定部)において得られる光軸方向に複数の界面を有する検体からの反射光と、他方のアーム(参照部)において得られる参照面からの反射光と、を干渉させ、光源の波長を挿引することにより得られる変調干渉信号をフーリエ変換して、断層情報を得る装置である。
図11において1182は本発明の波長挿引光源装置を用いた光源部、1186は検体である眼を構成する眼底の網膜を示す。1190は眼底を走査するためのミラーであり、検体1186からの反射光を伝達させる光ファイバー1185と共に検体測定部を構成する。
1188は参照ミラーであり、参照ミラーからの反射光を伝達させる光ファイバー1187と共に参照部を構成する。
1184は検体測定部からの反射光(光束)と参照部からの反射光(光束)を合波して干渉部を構成するファイバーカップラーである。1495は干渉部からの干渉光(変調干渉信号)を検出する光検出部としての光電変換素子である。
1196は電気的に検出した信号をデジタル化し、フーリエ変換などのデータ処理を行い、検体の断層画像を構築する画像処理部としてのコンピュータである。つまり、光検出部で検出された光に基づいて断層像が得られる。1197はその断層像を可視化するディスプレーである。
光源部1182より出射された光束は、ファイバー1183を通り、カップラー1184で2方向に分岐する。
分岐した他方の光束はファイバー1187を通り参照ミラー1188を照射する。この反射光はファイバー1187を再び通りファイバーカップラー1184に戻る。
カップラー1184で被検面からの反射光と参照面からの反射光が干渉した後、ファイバー1194を通って光電変換素子1195に入る。
この信号をデジタル化しコンピュータ1196でフーリエ変換することにより断層信号が得られる。これはポイントとしての断層信号なので、ミラー1190を走査して一次元方向の断層信号を測定し、ディスプレー1197により可視化することにより光断層像が得られる。
本例のOCT装置は、光源部1182に本発明の光源装置を用いたものであり、本発明による光源装置は、挿引速度100KHz以上が得られるため高速に光断層像が検出でき、また検出深さが深く、深さ方向の検出分解能が高いOCT装置を提供できる。
103 光束
105 第一の反射部材
106 第二の反射部材
107 第三の反射部材
109 光路長差調整部材
Claims (8)
- 光増幅媒体と、
前記光増幅媒体の一方の側から射出された光束を反射する第一の反射部材と、
前記光増幅媒体の他方の側から射出された光束の一部を反射する第二の反射部材と、
前記光増幅媒体の他方の側から射出された光束の他の一部を反射する第三の反射部材と、
を有し、
前記第二の反射部材から光が出力される光源装置であって、
前記第一の反射部材と前記光増幅媒体と前記第二の反射部材とを含んで規定される第一の光路と、前記第一の反射部材と前記光増幅媒体と前記第三の反射部材とを含んで規定される第二の光路と、の光路長差を変化させる調整部材をさらに有し、
前記第二の反射部材と前記第三の反射部材は、前記光増幅媒体の他方の側から射出された光束の一部と他の一部とが径方向に分離した状態で照射されるように配置され、
前記第一の光路の光路長は固定され、
前記調整部材は、前記光源装置の波長を掃引するために、前記第二の光路の光路長を変化させることを特徴とする光源装置。 - 前記光増幅媒体の他方の側から射出された光束の一部と他の一部とを径方向に分離する光束分離部材を有することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
- 前記第二の反射部材と前記第三の反射部材は、前記光束分離部材で分離された光束が集光する位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
- 前記光束分離部材は、反射型プリズムであることを特徴とする請求項2又は3に記載の光源装置。
- 前記第二の光路の光路長は、前記第一の光路の光路長より長いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光源装置。
- 前記調整部材は、電歪素子、微小機械変位素子、電気光学素子のうち何れかを用いたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光源装置。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光源装置を光源部として用いたことを特徴とする検査装置。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光源装置を用いた光源部と、
前記光源部からの光を検体に照射し、検体からの反射光を伝達させる検体測定部と、
前記光源部からの光を参照ミラーに照射し、該参照ミラーからの反射光を伝達させる参照部と、
前記検体測定部からの反射光と前記参照部からの反射光との干渉光を検出する光検出部と、
前記光検出部で検出された前記干渉光に基づいて、前記検体の断層像を得る画像処理部と、
を有することを特徴とする光干渉断層撮像装置。
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