以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態では、説明を簡単にするため、1画素の横の長さと縦の長さとは等しいこととする。
図5は、本発明を適用した表示システム(システムとは、複数の装置が論理的に集合した物をいい、各構成の装置が同一筐体中にあるか否かは、問わない)の一実施の形態の構成例を示している。
図5において、表示システムは、リモートコマンダ10と、表示処理装置20とから構成されている。
リモートコマンダ10は、表示処理装置20で表示される画像をスクロールするときに操作されるスクロールキー11、その他、表示処理装置20の電源をオン又はオフするときに操作される図示せぬ電源キー等を有する。リモートコマンダ10は、ユーザによって操作され、その操作に対応した操作信号を、赤外線等の電波によって、表示処理装置20に送信する。
表示処理装置20は、画像を表示させる画像処理装置としての、例えば、TVであり、バッファ21、画像フォーマット検出部22、読み出し部23、画像変換部24、表示制御部25、表示部26、及び制御部27から構成される。
バッファ21には、例えば、地上波ディジタル放送等で放送された放送データ等の画像(データ)を含むデータが供給される。バッファ21は、そこに記憶されるデータを一時記憶する。
画像フォーマット検出部22は、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像の画像全体のアスペクト比、さらには、その画像における有効な動画部分の有効画像のアスペクト比等を含む画像フォーマットを検出し、その画像フォーマットに基づき、さらには、必要に応じて、表示部26の表示画面の画面フォーマットにも基づき、読み出し部23、画像変換部24、及び表示制御部25を制御する。
ここで、画像フォーマット検出部22には、表示部26の表示画面の画面フォーマットが、あらかじめ記憶されていることとする。画面フォーマットには、表示部26の表示画面のアスペクト比と、横及び縦の画素数等の画面サイズとが含まれる。なお、表示部26は、表示処理装置20から独立した装置として構成することができ、この場合、例えば、その独立した装置としての表示部26から、画像フォーマット検出部22に対して、表示部26の画面フォーマットが供給される。
また、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像は、どのような画像フォーマットの画像であってもよいが、以下では、説明を簡単にするため、例えば、前述の図2に示した通常4:3画像、通常16:9画像、及びレターボックス画像の3種類であることとする。
さらに、画像フォーマット検出部22が検出する画像フォーマットには、アスペクト比の他、有効画像の横及び縦の画素数等の画像サイズを認識することができる情報が含まれることとする。
なお、例えば、画像フォーマット(の情報)が、放送データに含まれる場合には、画像フォーマット検出部22は、放送データから画像フォーマットを検出する。
ここで、画像フォーマット検出部22において、あるコンテンツの画像についての画像フォーマットの検出は、繰り返し行っても良いし、1回だけ行っても良い。あるコンテンツの画像についての画像フォーマットの検出を1回だけ行う場合には、コンテンツが変わるたびに、画像フォーマットの検出が行われる。
読み出し部23は、画像フォーマット検出部22からの制御に基づき、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像から、有効画像を読み出し、後述するサイズ変換の対象となる対象画像として、画像変換部24に供給する。
画像変換部24は、画像フォーマット検出部22からの制御に基づいて、すなわち、画像フォーマットと画面フォーマットとに基づいて、読み出し部23からの対象画像としての有効画像を、横又は縦のサイズが表示部26の表示画面の横又は縦のサイズと一致し、かつ、表示部26の表示画面の画面サイズ以上の画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍した画像である表示用画像に変換するサイズ変換を行い、そのサイズ変換によって得られる表示用画像を、表示制御部25に供給する。
表示制御部25は、画像変換部24からの表示用画像を表示部26に表示させる。さらに、表示制御部25は、画像フォーマット検出部22や制御部27の制御にしたがい、表示部26に表示される表示用画像を、その表示部26の表示画面に映っていない表示用画像の部分である非表示領域が移る方向にスクロールさせる。
表示部26は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、表示制御部25の制御にしたがって、表示用画像を、表示画面に表示する。
制御部27は、リモートコマンダ10から送信されてくる操作信号を受信し、その操作信号に基づいて、表示制御部25を制御する。
次に、図6を参照して、図5の読み出し部23の処理について、さらに説明する。
上述したように、読み出し部23は、画像フォーマット検出部22からの制御に基づき、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像から、有効画像を、画像変換部24でのサイズ変換の対象となる対象画像として読み出し、画像変換部24に供給する。
ここで、本実施の形態では、バッファ21(図5)には、通常4:3画像、通常16:9画像、又はレターボックス画像を含むデータが記憶される。
また、画像フォーマット検出部22は、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像の画像全体のアスペクト比、さらには、その画像における有効画像のアスペクト比及び画像サイズを含む画像フォーマットを検出し、その画像フォーマットに基づき、読み出し部23を制御する。
すなわち、画像フォーマット検出部22は、画像フォーマットに基づき、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像のうちの有効画像を認識し、その有効画像を読み出すように、読み出し部23を制御する。
その結果、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像が、その画像全体が有効画像となっている通常16:9画像、又は通常4:3画像である場合には、読み出し部23は、図6上から1番目、又は2番目にそれぞれ示すように、通常16:9画像の全体、又は通常4:3画像の全体を、対象画像として読み出し、画像変換部24に供給する。
また、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像が、その一部が有効画像となっているレターボックス画像である場合には、読み出し部23は、図6上から3番目(下から1番目)に示すように、レターボックス画像における、上下のレターボックス領域を除いた、アスペクト比が16:9の有効画像である16:9画像を、対象画像として読み出し、画像変換部24に供給する。
次に、図7及び図8を参照して、図5の画像変換部24の処理について説明する。
画像変換部24は、上述したように、画像フォーマット検出部22からの制御に基づいて、読み出し部23からの対象画像としての有効画像を、横又は縦のサイズが表示部26の表示画面の横又は縦のサイズと一致し、かつ、表示部26の表示画面の画面サイズ以上の画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍した画像である表示用画像に変換するサイズ変換を行う。
すなわち、画像フォーマット検出部22は、画像フォーマットと画面フォーマットとに基づき、対象画像としての有効画像のアスペクト比と、表示部26の表示画面のアスペクト比とが一致するかどうかを判定する。
そして、対象画像としての有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致する場合には、画像フォーマット検出部22は、図7に示すように、有効画像を表示用画像に変換するように、画像変換部24を制御し、対象画像としての有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致しない場合には、画像フォーマット検出部22は、図8に示すように、有効画像を表示用画像に変換するように、画像変換部24を制御する。
すなわち、対象画像としての有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致する場合には、画像フォーマット検出部22は、例えば、図7に示すように、表示画面の横又は縦のサイズのうちの一方のサイズとしての、例えば、横の画素数H1と、有効画像の横又は縦のうちの対応する一方としての横の画素数H2とに基づき、有効画像の横の画素数H2を、表示画面の横の画素数H1に一致させる倍率(以下、適宜、変換係数という)H1/H2を求め、有効画像の横及び縦の画素数を、その変換係数H1/H2倍するように、画像変換部24を制御する。
画像変換部24は、画像フォーマット検出部22の制御にしたがい、読み出し部23からの対象画像としての有効画像の横及び縦の画素数を、変換係数H1/H2倍する。これにより、有効画像は、横又は縦の画素数が表示画面の横又は縦の画素数とそれぞれ一致し、かつ、表示画面の画面サイズと等しい画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦の画素数を同一倍である変換係数H1/H2倍した表示用画像に変換される。
すなわち、いまの場合、対象画像としての有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致するので、表示画面の縦の画素数V1と、有効画像の縦の画素数V2との比V1/V2は、変換係数H1/H2に等しい(表示画面の縦の画素数V1と、有効画像の縦の画素数V2との比V1/V2が変換係数であるということができる)。
したがって、横×縦の画素数がH2×V2の有効画像の横及び縦の画素数を、変換係数H1/H2(=V1/V2)倍することにより、横×縦の画素数が、表示画面の横×縦の画素数であるH1×V1に等しい画像、つまり、横又は縦のサイズがそれぞれ表示画面の横又は縦のサイズと一致し、かつ、表示画面の画面サイズと等しい画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍である変換係数H1/H2倍した画像が、表示用画像として得られる。
ここで、図7上側は、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが16:9で一致する場合の表示用画像を示している。
また、図7下側は、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが4:3で一致する場合の表示用画像を示している。
有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致する場合、画像変換部24において、有効画像をサイズ変換することにより得られる表示用画像の画像サイズとしての、例えば、横×縦の画素数は、表示画面の画面サイズに一致するので、表示用画像は、表示部26の表示画面の全体を有効に利用して表示することができる。
また、表示用画像は、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍である変換係数H1/H2倍した画像であるので、表示用画像のアスペクト比は、有効画像のアスペクト比と一致し、すなわち、例えば、有効画像が4:3画像であれば、表示用画像も4:3画像となり、有効画像16:9画像であれば、表示用画像も16:9画像となり、その結果、表示用画像は、有効画像に映っている被写体が変形されずに反映された画像となる。
一方、対象画像としての有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致しない場合には、画像フォーマット検出部22は、例えば、図8に示すように、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とに基づき、有効画像の横又は縦のうちの一方の画素数を、表示画面の横又は縦のうちの対応する一方の画素数に一致させる倍率としての変換係数Kを求め、有効画像の横及び縦の画素数を、その変換係数K倍するように、画像変換部24を制御する。
すなわち、画像フォーマット検出部22は、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致しない場合には、表示画面の横の画素数H1と有効画像の横の画素数H2との比である横比H1/H2、及び表示画面の縦の画素数V1と有効画像の縦の画素数V2との比である縦比V1/V2を求める。さらに、画像フォーマット検出部22は、横比H1/H2と縦比V1/V2とのうちの大きい方を、変換係数Kに決定し、有効画像の横及び縦の画素数を、その変換係数K倍するように、画像変換部24を制御する。
したがって、図8上側に示すように、表示画面のアスペクト比が16:9(=H1:V1)であり、有効画像のアスペクト比が4:3(=H2:V2)である場合には、表示画面及び有効画像の画素数によって決まる定数をaとすると、横比H1/H2が16/4×aとなるとともに、縦比V1/V2が9/3×aとなって、横比H1/H2が縦比V1/V2より大となるので、横比H1/H2が、変換係数Kとなる。
また、図8下側に示すように、表示画面のアスペクト比が4:3(=H1:V1)であり、有効画像のアスペクト比が16:9(=H2:V2)である場合には、表示画面及び有効画像の画素数によって決まる定数をbとすると、横比H1/H2が4/16×bとなるとともに、縦比V1/V2が3/9×bとなって、縦比V1/V2が横比H1/H2より大となるので、縦比V1/V2が、変換係数Kとなる。
そして、画像変換部24は、画像フォーマット検出部22の制御にしたがい、読み出し部23からの対象画像としての有効画像の横及び縦の画素数を、変換係数K倍する。これにより、有効画像は、横又は縦のうちの一方の画素数が表示画面の横又は縦のうちの対応する一方の画素数と一致し、かつ、表示画面の画面サイズ以上の画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍である変換係数K倍した表示用画像に変換される。
すなわち、図8上側に示すように、表示画面のアスペクト比が16:9(=H1:V1)であり、有効画像のアスペクト比が4:3(=H2:V2)である場合には、上述したように、横比H1/H2が、変換係数Kとなる。
この場合、横×縦の画素数がH2×V2の有効画像の横及び縦の画素数は、変換係数K=H1/H2倍され、その結果、図8上側に示すように、横の画素数が、表示画面の横の画素数であるH1に等しく、縦の画素数が、表示画面の縦の画素数であるV1より大のV1'の画像、つまり、横のサイズが表示画面の横のサイズH1と一致し、かつ、表示画面の画面サイズより大の画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍である変換係数K=H1/H2倍した画像が、表示用画像として得られる。
すなわち、表示画面のアスペクト比が16:9であり、有効画像のアスペクト比が4:3である場合には、アスペクト比が有効画像のアスペクト比と同一の4:3で、横の画素数が表示画面の横の画素数H1と一致し、かつ、縦の画素数が表示画面の縦の画素数V1よりも大の画像が、表示用画像として得られる。
一方、図8下側に示すように、表示画面のアスペクト比が4:3(=H1:V1)であり、有効画像のアスペクト比が16:9(=H2:V2)である場合には、上述したように、縦比V1/V2が、変換係数Kとなる。
この場合、横×縦の画素数がH2×V2の有効画像の横及び縦の画素数は、変換係数K=V1/V2倍され、その結果、図8下側に示すように、縦の画素数が、表示画面の縦の画素数であるV1に等しく、横の画素数が、表示画面の横の画素数であるH1より大のH1'の画像、つまり、縦のサイズが表示画面の縦のサイズV1と一致し、かつ、表示画面の画面サイズより大の画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍である変換係数K=V1/V2倍した画像が、表示用画像として得られる。
すなわち、表示画面のアスペクト比が4:3であり、有効画像のアスペクト比が16:9である場合には、アスペクト比が有効画像のアスペクト比と同一の16:9で、縦の画素数が表示画面の縦の画素数V1と一致し、かつ、横の画素数が表示画面の横の画素数H1よりも大の画像が、表示用画像として得られる。
以上のように、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致しない場合、画像変換部24において、有効画像をサイズ変換することにより得られる表示用画像の横又は縦のうちの、一方のサイズとしての画素数は、表示画面の横又は縦のうちの対応する一方の画素数に一致し、かつ、表示用画像の横又は縦のうちの他方の画素数は、表示画面の横又は縦のうちの対応する他方の画素数より大になるので、表示用画像においては、表示部26の表示画面に表示しきれない横又は縦の部分が生じるものの、表示画面の利用という観点からは、表示用画像を、表示部26の表示画面の全体を有効に利用して表示することができる。
さらに、表示用画像は、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍である変換係数K倍した画像であるので、表示用画像のアスペクト比は、有効画像のアスペクト比と一致し、すなわち、例えば、有効画像が4:3画像であれば、表示用画像も4:3画像となり、有効画像16:9画像であれば、表示用画像も16:9画像となり、その結果、表示用画像は、有効画像に映っている被写体が変形されずに反映された画像となる。
なお、画像変換部24が行うサイズ変換は、画像サイズとしての、例えば、画素数を変換する画素数変換であるが、この画素数変換は、いわゆる補間処理や間引き処理によって行うことができる他、本件出願人が先に提案しているクラス分類適応処理によって行うことができる。クラス分類適応処理についての詳細は、後述する。
次に、図9及び図10を参照して、図5の表示制御部25の処理について説明する。
図7で説明したように、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致する場合には、画像変換部24において得られる表示用画像の画像サイズは、表示部26の表示画面の画面サイズに一致するので、表示制御部25は、画像変換部24から供給される表示用画像の全体を、表示部26の表示画面の全体に表示させる。
一方、図8で説明したように、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致しない場合には、画像変換部24において得られる表示用画像の横又は縦のうちの一方の画素数は、表示画面のそれに一致するが、他方の画素数は、表示画面のそれより大となるので、表示制御部25において、画像変換部24から供給される表示用画像の全体を、(同時に)表示部26の表示画面の全体に表示させることはできない。
すなわち、例えば、表示画面のアスペクト比が16:9であり、有効画像のアスペクト比が4:3である場合には、アスペクト比が有効画像のアスペクト比と同一の4:3で、横の画素数が表示画面の横の画素数H1と一致し、かつ、縦の画素数が表示画面の縦の画素数V1よりも大の画像が、表示用画像として得られるので、そのような4:3画像の表示用画像を、アスペクト比が16:9の表示画面に表示する場合には、図9左側に示すように、表示用画像の上又は下の部分が、表示画面に映らない部分である非表示領域となる。
そこで、表示制御部25は、画像フォーマット検出部22及び制御部27の制御にしたがい、表示部26の表示画面に表示される表示用画像を、非表示領域が映る方向にスクロールさせる。
すなわち、いま、表示用画像のうちの、表示画面に映る部分を、表示領域ということとすると、例えば、図9左側に示すように、4:3画像の表示用画像が、その上と下の部分が、非表示領域となるように表示されている場合において、表示用画像が、例えば、上方向にスクロールされることにより、非表示領域となっていた下の部分が表示領域となって、ユーザ(視聴者)は、非表示領域となっていた下の部分を見ることができる。また、表示用画像が、例えば、下方向にスクロールされることにより、非表示領域となっていた上の部分が表示領域となって、ユーザは、非表示領域となっていた上の部分を見ることができる。
一方、例えば、表示画面のアスペクト比が4:3であり、有効画像のアスペクト比が16:9である場合には、アスペクト比が有効画像のアスペクト比と同一の16:9で、縦の画素数が表示画面の縦の画素数V1と一致し、かつ、横の画素数が表示画面の横の画素数H1よりも大の画像が、表示用画像として得られるので、そのような16:9画像の表示用画像を、アスペクト比が4:3の表示画面に表示する場合には、図9右側に示すように、表示用画像の左又は右の部分が、表示画面に映らない非表示領域となる。
そこで、表示制御部25は、画像フォーマット検出部22及び制御部27の制御にしたがい、表示部26の表示画面に表示される表示用画像を、非表示領域が映る方向にスクロールさせる。
すなわち、例えば、図9右側に示すように、16:9画像の表示用画像が、その左と右の部分が、非表示領域となるように表示されている場合において、表示用画像が、例えば、左方向にスクロールされることにより、非表示領域となっていた右の部分が表示領域となって、ユーザは、非表示領域となっていた右の部分を見ることができる。また、表示用画像が、例えば、右方向にスクロールされることにより、非表示領域となっていた左の部分が表示領域となって、ユーザは、非表示領域となっていた左の部分を見ることができる。
図10は、以上のように、表示部26の表示画面に表示される表示用画像を、非表示領域が映る方向にスクロールさせるスクロール処理を行う図5の表示制御部25の構成例を示している。
図10において、表示制御部25は、スクロール処理部50を有し、スクロール処理部50は、画像フォーマット検出部22及び制御部27の制御にしたがい、表示部26の表示画面に表示される表示用画像を、非表示領域が映る方向にスクロールさせる。
すなわち、スクロール処理部50は、バッファ51と読み出し部52とから構成される。
バッファ51には、図5の画像変換部24から表示用画像が供給される。バッファ51は、画像変換部24から供給される表示用画像を、例えば、フレーム(又はフィールド)単位で一時記憶する。
読み出し部52は、画像フォーマット検出部22及び制御部27の制御にしたがい、バッファ51に記憶された表示用画像のうちの、表示部26の表示画面の画面サイズに一致する画像サイズ分の領域を読み出して、表示部26に供給することで、表示部26の表示画面に表示される表示用画像を、非表示領域が映る方向にスクロールさせる。
すなわち、図5の画像フォーマット検出部22は、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致する場合には、表示用画像のスクロールの禁止を表すスクロールフラグを、読み出し部52に供給する。
また、画像フォーマット検出部22は、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致しない場合には、表示用画像の、非表示領域が映る方向へのスクロールを許可するスクロールフラグを、読み出し部52に供給する。
つまり、画像フォーマット検出部22は、例えば、有効画像のアスペクト比が4:3であり、表示画面のアスペクト比が16:9である場合には、図9左側に示した、表示用画像の、非表示領域が映る上下方向(縦方向)へのスクロールを許可するスクロールフラグを、読み出し部52に供給する。
また、画像フォーマット検出部22は、例えば、有効画像のアスペクト比が16:9であり、表示画面のアスペクト比が4:3である場合には、図9右側に示した、表示用画像の、非表示領域が映る左右方向(横方向)へのスクロールを許可するスクロールフラグを、読み出し部52に供給する。
そして、読み出し部52は、画像フォーマット検出部22からのスクロールフラグが表す、スクロールを許可する方向のスクロールを指示するスクロール信号が、制御部27から供給された場合、そのスクロール信号に応じて、バッファ51に記憶された表示用画像から読み出して表示部26に供給する領域を変更することにより、表示部26の表示画面に表示される表示用画像をスクロールさせる。
すなわち、図5の制御部27は、例えば、リモートコマンダ10から、スクロールキー11の操作(スクロール操作)に対応する操作信号を受信すると、その操作信号に対応したスクロール信号を、読み出し部52に供給する。
読み出し部52は、制御部27から供給されるスクロール信号に応じて、上述したように、表示部26の表示画面に表示される表示用画像をスクロールさせる。
なお、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致する場合には、バッファ51には、表示部26の表示画面の画面サイズに一致する画像サイズの表示用画像が記憶され、読み出し部52は、その表示用画像全体を、バッファ51から読み出して、表示部26に供給する。この場合、表示画面の全体に、表示用画像の全体が表示される。
次に、図11のフローチャートを参照して、図5の表示処理装置20の処理について説明する。
バッファ21には、例えば、地上波ディジタル放送等で放送された放送データ等の画像を含むデータが供給される。バッファ21は、そこに記憶されるデータを一時記憶する。
そして、ステップS11において、画像フォーマット検出部22は、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像の画像フォーマットを検出し、ステップS12に進む。
ステップS12では、画像フォーマット検出部22は、画像フォーマットに基づき、バッファ21に記憶されたデータに含まれる画像における有効画像を認識し、その有効画像を表す情報を、読み出し部23に供給して、ステップS13に進む。
ステップS13では、画像フォーマット検出部22は、画像フォーマットと、表示部26の表示画面の画面フォーマットとに基づき、表示画面の横の画素数H1と有効画像の横の画素数H2との比である横比H1/H2、及び表示画面の縦の画素数V1と有効画像の縦の画素数V2との比である縦比V1/V2を求める。さらに、画像フォーマット検出部22は、横比H1/H2と縦比V1/V2とのうちの大きい方(等しい場合には、いずれか一方)を、変換係数Kに決定し、その変換係数Kを表す情報を、画像変換部24に供給して、ステップS13からステップS14に進む。
ステップS14では、画像フォーマット検出部22は、画像フォーマットと画面フォーマットとに基づき、スクロールフラグをセットする。
すなわち、画像フォーマット検出部22は、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致する場合には、表示用画像のスクロールの禁止を表す情報を、スクロールフラグにセットする。
また、画像フォーマット検出部22は、有効画像のアスペクト比と、表示画面のアスペクト比とが一致しない場合には、表示用画像の、非表示領域が映る方向へのスクロールの許可を表す情報を、スクロールフラグにセットする。
そして、画像フォーマット検出部22は、スクロールフラグを、表示制御部25に供給して、ステップS14からステップS15に進む。
ステップS15では、読み出し部23は、画像フォーマット検出部22から直前のステップS12で供給された有効画像を表す情報に基づいて、バッファ21からの有効画像の読み出しを開始し、サイズ変換の対象となる対象画像として、画像変換部24に供給して、ステップS16に進む。
ステップS16では、画像変換部24は、画像フォーマット検出部22から直前のステップS13で供給された変換係数Kを表す情報に基づいて、読み出し部23からの対象画像としての有効画像を、その横と縦の画素数を変換係数K倍した表示用画像に変換するサイズ変換を開始し、その結果得られる表示用画像を、表示制御部25に供給して、ステップS17に進む。
ステップS17では、表示制御部25が、画像変換部24から供給される表示用画像を、表示部26に表示させる表示制御処理を開始し、ステップS18に進む。
すなわち、表示制御部25を構成するスクロール処理部50(図10)において、バッファ51が、画像変換部24から供給される表示用画像の記憶を開始し、読み出し部52が、バッファ51に記憶された表示用画像の読み出し、及び表示部26への供給を開始する。
ステップS18では、表示制御部25が、スクロール処理を開始して、ステップS19に進む。なお、スクロール処理については、図12を参照して後述する。
ステップS19では、画像フォーマット検出部22が、バッファ21に記憶された画像の画像フォーマットが変化したかどうかを判定する。
すなわち、画像フォーマット検出部22は、例えば、バッファ21に記憶された画像の画像フォーマットを常時検出しており、ステップS19では、バッファ21に記憶された画像の画像フォーマットが変化したかどうかが判定される。
ステップS19において、バッファ21に記憶された画像の画像フォーマットが変化していないと判定された場合、ステップS19に戻る。
また、ステップS19において、バッファ21に記憶された画像の画像フォーマットが変化したと判定された場合、ステップS12に戻り、その変化後の画像フォーマットを用いて、上述した場合と同様の処理が繰り返される。
次に、図12のフローチャートを参照して、図11のステップS18で開始される、表示制御部25(図10)によるスクロール処理について説明する。
スクロール処理では、ステップS31において、表示制御部25を構成するスクロール処理部50(図10)の読み出し部52が、図11のステップS14で画像フォーマット検出部22(図5)から供給されたスクロールフラグに基づき、表示用画像のスクロールが許可されているかどうかを判定する。
ステップS31において、スクロールが許可されていないと判定された場合、すなわち、スクロールフラグが、表示用画像のスクロールの禁止を表している場合、ステップS31に戻る。
また、ステップS31において、スクロールが許可されていると判定された場合、すなわち、スクロールフラグが、表示用画像の、非表示領域が映る方向へのスクロールの許可を表している場合、ステップS32に進み、読み出し部52は、スクロール操作がされたかどうかを判定する。
ステップS32において、スクロール操作がされていないと判定された場合、ステップS31に戻る。
また、ステップS32において、スクロール操作がされたと判定された場合、すなわち、ユーザがリモートコマンダ10(図5)のスクロールキー11を操作(スクロール操作)することにより、その操作に対応する操作信号が制御部27で受信され、その操作信号が表すスクロールを指示するスクロール信号が、制御部27から表示制御部25を構成するスクロール処理部50の読み出し部52に供給された場合、ステップS33に進み、読み出し部52は、制御部27からのスクロール信号に応じて、バッファ51から読み出す表示用画像の位置(範囲)を変更することにより、表示部26で表示される表示用画像をスクロールさせ、ステップS31に戻る。
以上のように、画像フォーマットと画面フォーマットとに基づいて、有効画像を、横又は縦のサイズが表示画面の横又は縦のサイズと一致し、かつ、表示部26の表示画面の画面サイズ以上の画像サイズの画像であって、有効画像の横及び縦のサイズを同一倍した画像である表示用画像に変換し、表示部26に表示される表示用画像を、表示部26の表示画面に映っていない表示用画像の部分である非表示領域が映る方向にスクロールさせるようにしたので、画像に映っている被写体を変形させずに、表示部26の表示画面の全体を有効に利用して画像を表示することができる。
なお、以上の実施の形態では、画像フォーマットが、放送データに含まれる場合には、画像フォーマット検出部22において、放送データから画像フォーマットを検出するようにしたが、画像フォーマット検出部22では、その他、例えば、有効画像の横と縦との画素数の比を、画像フォーマットにおける有効画像のアスペクト比として検出することができる。
ここで、上述したように、1画素の横の長さと縦の長さとが等しいこととすると、画像の横と縦との画素数の比は、画像のアスペクト比を正確に表すから、有効画像の横と縦との画素数の比によれば、コンテンツによっては微妙にアスペクト比が違う画像のアスペクト比を、正確に検出することができる。
次に、図13は、本発明を適用した表示システムの他の一実施の形態の構成例を示している。
なお、図中、図5の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図13の表示システムは、リモートコマンダ10が、調整キー12を新たに設けて構成され、表示処理装置20が、表示制御部25に代えて表示制御部35を設けて構成されることを除いて、図5の表示システムと同様に構成されている。
リモートコマンダ10の調整キー12は、後述する合成率を調整するときにユーザによって操作され、リモートコマンダ10は、調整キー12の操作に対応した操作信号を、制御部27に送信する。
表示制御部35は、図5の表示制御部25と同様に、画像変換部24からの表示用画像を表示部26に表示させ、さらに、画像フォーマット検出部22や制御部27の制御にしたがい、表示部26に表示される表示用画像をスクロールさせる他、字幕等のテロップに関する各種のテロップ処理を行う。
以下、図14ないし図20を参照して、テロップ処理について説明する。
例えば、上述の図9左側に示したように、表示部26の表示画面のアスペクト比が16:9であり、有効画像のアスペクト比が4:3である場合には、画像変換部24において、アスペクト比が有効画像のアスペクト比と同一の4:3で、横の画素数が表示画面の横の画素数と一致し、かつ、縦の画素数が表示画面の縦の画素数よりも大の画像が、表示用画像として得られるので、そのような4:3画像の表示用画像を、アスペクト比が16:9の表示画面に表示する場合には、図9左側に示すように、表示用画像の上又は下の部分が、表示画面に映らない部分である非表示領域となる。
非表示領域に映る被写体ついては、ユーザがリモートコマンダ10をスクロール操作することにより、表示用画像をスクロールすることで見ることができる。しかしながら、非表示領域にテロップが映っている場合には、ユーザが、非表示領域にテロップが移っていることに気がつかず、その結果、表示用画像のスクロールをせずに、テロップを見逃してしまうことがある。
すなわち、図14は、表示部26の表示画面に表示された表示用画像を示している。
図14においては、上述の図9左側と同様に、アスペクト比が有効画像のアスペクト比と同一の4:3で、横の画素数が表示画面の横の画素数と一致し、かつ、縦の画素数が表示画面の縦の画素数よりも大の4:3画像の表示用画像が、アスペクト比が16:9の表示画面に表示されており、その結果、表示用画像の上及び下の部分が、非表示領域となっている。
さらに、図14では、表示用画像には、その下部に、テロップが映っているが、そのテロップが映っている部分が、非表示領域となっている。
ここで、表示用画像において、テロップが映っている部分を囲む、なるべく小さな長方形状(例えば、最小の長方形状)の領域を、以下、適宜、テロップ領域という。
図14に示したように、テロップが映っている部分が、非表示領域となっている場合には、ユーザがスクロールキー11(図13)をスクロール操作して、表示用画像を上方向にスクロールさせないと、テロップを見ることができないが、テロップが非表示領域に映っていることを知らない(認識していない)ユーザが、そのようなスクロール操作を行うことは困難である。
そこで、図13の表示制御部35では、表示用画像のうちの、非表示領域に、テロップを含むテロップ領域が存在するかどうかを判定し、非表示領域にテロップ領域が存在する場合には、その非表示領域のテロップ領域を、表示部26の表示画面に映る表示用画像の部分である表示領域の一部である合成領域に、所定の合成率で合成する(いわゆるαブレンディングをする)テロップ処理を行うようになっている。
ここで、テロップ領域の画素値をPと、表示領域の合成領域の画素値をQと、所定の合成率をαと、それぞれ表すこととすると、表示制御部35は、例えば、式P×α+Q×(1-α)にしたがって、テロップ領域を、合成領域に合成する。
図15及び図16は、表示制御部35が行うテロップ処理の概要を説明する図である。
表示制御部35は、表示用画像のうちの、非表示領域に、テロップ領域が存在するかどうかを判定し、非表示領域にテロップ領域が存在する場合には、その非表示領域のテロップ領域をコピーする。さらに、表示制御部35は、図15に示すように、表示領域の、テロップ領域になるべく近い領域であって、テロップ領域のコピーであるコピーテロップ領域の全体が表示領域に現れる領域を、合成領域として、コピーテロップ領域を、合成領域に、所定の合成率で合成する。
コピーテロップ領域を、表示領域の、テロップ領域になるべく近い位置の領域である合成領域に合成することにより、その合成後の合成領域が不自然な画像となることを防止することができる。
すなわち、図16は、コピーテロップ領域が、表示領域の、テロップ領域になるべく近い位置の領域である合成領域に合成された表示用画像を模式的に示している。
コピーテロップ領域が、表示領域の合成領域に合成されると、コピーテロップ領域のテロップ以外に映っている画像(背景)と、合成領域に映っている画像とが合成される。
この場合、合成領域を、表示領域の、テロップ領域になるべく近い領域(テロップ領域の近傍)とすることにより、コピーテロップ領域のテロップ以外に映っている画像と、合成領域に映っている画像とは、一般に、類似した画像となっているはずなので、特に、その画像が風景等であれば、コピーテロップ領域を合成した合成後の表示領域が極端に不自然な画像となることを防止することができる。
ここで、コピーテロップ領域を、合成領域に合成するときの合成率は、例えば、ユーザが調整キー12(図13)を操作することで調整することができる。すなわち、表示制御部35(の後述する図19のテロップ領域合成部64)では、ユーザによる調整キー12の操作に応じた合成率で、コピーテロップ領域を、合成領域に合成することができる。
例えば、コピーテロップ領域の度合いを大にするように合成率を調整することで、テロップを見やすくすることができる。
また、表示制御部35では、非表示領域のテロップ領域から、合成領域までの距離に応じた合成率で、コピーテロップ領域を、合成領域に合成することができる。
すなわち、表示制御部35では、非表示領域のテロップ領域から、合成領域までの距離が近いほど、コピーテロップ領域の割合が大となる合成率で(非表示領域のテロップ領域から、合成領域までの距離が遠いほど、合成領域の割合が大となる合成率で、コピーテロップ領域を、合成領域に合成することができる。
なお、コピーテロップ領域を、合成領域に合成するときの最終的な合成率としては、調整キー12の操作に応じた合成率(以下、第1の合成率ともいう)、又は、非表示領域のテロップ領域から、合成領域までの距離に応じた合成率(以下、第2の合成率ともいう)のうちのいずれか一方を選択して採用する他、例えば、第1と第2の合成率の平均値等の、第1と第2の合成率を所定の重みで重み付け加算した値を採用することが可能である。
ところで、表示用画像のスクロールの状態や、有効画像に映っているテロップの位置によっては、テロップ領域(の一部、又は全部)が、合成領域に存在し、この場合、コピーテロップ領域を、合成領域に合成すると、合成領域に存在するテロップと、コピーテロップ領域におけるテロップとが重なって、テロップが見にくくなるおそれがある。
すなわち、図17は、テロップ領域が非表示領域と、表示領域との両方に存在する表示用画像を示している。
テロップ領域が、表示領域と非表示領域に存在する場合、表示領域の、テロップ領域になるべく近い領域(テロップ領域の近傍)である合成領域は、図17上側に示すように、表示領域に存在するテロップ領域に重なることがある。
合成領域が、表示領域に存在するテロップ領域と重なる場合、コピーテロップ領域を、合成領域に合成すると、図17下側に示すように、表示領域に存在するテロップ領域におけるテロップと、コピーテロップ領域におけるテロップとが重なって、テロップが見にくくなる。
そこで、表示制御部35では、テロップ領域が、非表示領域に存在するかどうかを判定する他、テロップ領域が、コピーテロップ領域を合成しようとする合成領域にも存在するかどうかを、さらに判定し、テロップ領域が、非表示領域に存在し、かつ、表示領域の一部である合成領域にも存在する場合には、その、合成領域に存在するテロップ領域の全体が、表示領域に含まれるように、又は、非表示領域に含まれるように、表示部26に表示される表示用画像をスクロールさせる。
これにより、テロップ領域が、合成領域に存在することに起因して、合成領域に存在するテロップ領域におけるテロップと、コピーテロップ領域におけるテロップとが重なって、テロップが見にくくなることを防止することができる。
ここで、以下、適宜、表示制御部35において、テロップ領域が、合成領域に存在する場合に、テロップ領域の全体が、表示領域、又は非表示領域に含まれるように、表示用画像をスクロールさせる処理を、自動スクロール処理という。
図18は、自動スクロール処理の概要を説明する図である。
表示用画像にテロップ領域が存在する存在パターンとしては、例えば、図18に示すようなパターンがある。
パターンAでは、テロップ領域が、表示領域にのみ存在する。パターンAでは、テロップ領域が非表示領域に存在しないので、自動スクロール処理は行われない(行う必要がない)。
パターンBでは、テロップ領域が、非表示領域にのみ存在する。パターンBでは、テロップ領域が、非表示領域にのみ存在するので、自動スクロール処理は行われない。
パターンCでは、テロップ領域が、表示用画像の上側と下側に存在し、下側のテロップ領域は、非表示領域と、表示領域の、下側のテロップ領域の近傍の領域、つまり、合成領域との両方に存在する。この場合、表示制御部35は、例えば、パターンC’として示すように、テロップ領域が合成領域に存在しなくなるように、表示用画像をスクロールする自動スクロール処理、すなわち、上側のテロップ領域が非表示領域にのみ含まれ、かつ下側のテロップ領域が表示領域にのみ含まれるように、表示用画像を上側にスクロールする自動スクロール処理を行う。
パターンDでは、2段のテロップ領域が、表示用画像の下側に存在し、その2段のテロップ領域のうちの1段目のテロップ領域が、表示領域に存在するとともに、2段目のテロップ領域が、非表示領域に存在する。すなわち、パターンDでは、表示領域において、1段目のテロップ領域が、非表示領域に存在する2段目のテロップ領域の近傍の領域としての合成領域に存在する。この場合、表示制御部35は、例えば、パターンD’として示すように、テロップ領域が合成領域に存在しなくなるように、表示用画像をスクロールする自動スクロール処理、すなわち、2段のテロップ領域の両方が、表示領域にのみ含まれるように、表示用画像を上側にスクロールする自動スクロール処理を行う。
パターンEでは、テロップ領域が、表示用画像の下側に存在し、そのテロップ領域は、非表示領域と、表示領域の、テロップ領域の近傍の領域、つまり、合成領域との両方に存在する。この場合、表示制御部35は、テロップ領域が合成領域に存在しなくなるように、表示用画像をスクロールする自動スクロール処理、すなわち、テロップ領域が、表示領域にのみ含まれるように、表示用画像を上側にスクロールする自動スクロール処理、又は、テロップ領域が、非表示領域にのみ含まれるように、表示用画像を下側にスクロールする自動スクロール処理を行う。
パターンFでは、テロップ領域が、表示用画像の上側と下側に存在し、上側のテロップ領域は、表示領域にのみ存在し、下側のテロップ領域は、非表示領域にのみ存在する。しかしながら、パターンFは、テロップ領域が、非表示領域と合成領域の両方に存在するパターンではないので、自動スクロール処理は行われない。
パターンGでは、テロップ領域が、表示用画像の上側と下側に存在し、その上側のテロップ領域は、非表示領域と、表示領域の、上側のテロップ領域の近傍の領域、つまり、合成領域との両方に存在し、下側のテロップ領域も、非表示領域と、表示領域の、下側のテロップ領域の近傍の領域、つまり、合成領域との両方に存在する。この場合、表示制御部35は、テロップ領域が合成領域に存在しなくなるように、表示用画像をスクロールする自動スクロール処理、すなわち、上側のテロップ領域が非表示領域にのみ含まれ、かつ下側のテロップ領域が表示領域にのみ含まれるように、表示用画像を上側にスクロールする自動スクロール処理を行う。ここで、このように、パターンGの表示用画像を、上側にスクロールした場合、テロップ領域の存在パターンは、パターンC’に一致する。
なお、パターンGについては、表示制御部35において、上側のテロップ領域が表示領域にのみ含まれ、かつ下側のテロップ領域が非表示領域にのみ含まれるように、表示用画像を下側にスクロールすることによっても、テロップ領域が合成領域に存在しなくなるように、表示用画像をスクロールすることができるので、そのようなスクロールを、自動スクロール処理として行うこともできる。このように、パターンGの表示用画像を、下側にスクロールした場合、テロップ領域の存在パターンは、パターンFに一致する。
パターンHでは、テロップ領域が、表示用画像の上側と下側に存在し、パターンGと同様に、上側のテロップ領域は、非表示領域と合成領域の両方に存在し、下側のテロップ領域も、非表示領域と合成領域の両方に存在する。
しかしながら、パターンHでは、テロップ自体が大きいために、テロップ領域も大きく、上側、又は下側のいずれにスクロールしても、上側、又は下側のテロップ領域が、非表示領域と合成領域の両方に存在するパターンとなり、テロップ領域が合成領域に存在しなくなるように、表示用画像をスクロールすることができない。
このように、テロップ領域が合成領域に存在しなくなるように、表示用画像をスクロールすることができない場合には、表示制御部35は、自動スクロール処理を行わずに、例外処理を行う。
ここで、例外処理としては、例えば、ユーザによるリモートコマンダ10(図13)の操作に応じて、コピーテロップ領域を表示の仕方を決定する処理や、コピーテロップ領域のクロスフェード表示を行う処理、コピーテロップ領域の合成を、合成率を1.0として行う処理等を採用することができる。
図19は、スクロール処理の他に、テロップ処理をも行う図13の表示制御部35の構成例を示している。
なお、図19において、図10の表示制御部25と同様に構成される部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
すなわち、図19において、表示制御部35は、スクロール処理部50の他に、テロップ処理部60を有しており、テロップ処理部60は、テロップ処理を行う。
テロップ処理部60は、バッファ61、テロップ判定部62、テロップ領域抽出部63、及びテロップ領域合成部64から構成される。
バッファ51には、図13の画像変換部24から表示用画像が供給される。バッファ51は、画像変換部24から供給される表示用画像を、例えば、スクロール処理部50のバッファ51と同様に一時記憶する。
なお、スクロール処理部50のバッファ51と、テロップ処理部60のバッファ61とでは、同一の表示用画像が記憶される。また、スクロール処理部50のバッファ51と、テロップ処理部60のバッファ61とは、1つのバッファで兼用することが可能である。
テロップ判定部62は、バッファ61に記憶された表示用画像を参照し、テロップ領域が、非表示領域に存在するかどうか、さらには、そのテロップ領域を合成しようとする表示領域の一部の領域、すなわち、表示領域の、テロップ領域の近傍の領域である合成領域に、テロップ領域が存在するかどうかを判定し、その判定結果に応じて、テロップ領域抽出部63と、スクロール処理部50の読み出し部52とを制御する。
すなわち、テロップ判定部62には、制御部27(図13)からスクロール信号が供給されるようになっており、テロップ判定部62は、そのスクロール信号に基づき、表示部26に表示される表示用画像のスクロールの状態を認識する。
テロップ判定部62は、表示用画像のスクロールの状態と、バッファ61に記憶された表示用画像とに基づき、表示部26に表示される表示用画像において、テロップ領域が、非表示領域に存在するかどうか、さらには、合成領域に存在するかどうかを判定し、つまり、表示部26に表示される表示用画像にテロップ領域が存在する存在パターンを判定し、存在パターンが、例えば、図18のパターンC,D,E、又はGに該当する場合、つまり、テロップ領域が、非表示領域と合成領域の両方に存在する場合には、図18で説明したように、表示用画像をスクロールさせるスクロール信号を生成して、読み出し部52に供給する。
また、存在パターンが、例えば、図18のパターンA,B,又はFに該当する場合、つまり、テロップ領域が、非表示領域と合成領域の両方に存在しない場合には、制御部27から供給されるスクロール信号を、そのまま、読み出し部52に供給する。
さらに、テロップ判定部62は、テロップ領域が、非表示領域にのみ存在すると判定した場合、その非表示領域に存在するテロップ領域の抽出を、テロップ領域抽出部63に指示する。
テロップ領域抽出部63は、テロップ判定部62からのテロップ領域の抽出の指示にしたがい、バッファ61に記憶された表示用画像から、非表示領域に存在するテロップ領域を抽出し、そのコピーであるコピーテロップ領域を、テロップ領域合成部64に供給する。
テロップ領域合成部64には、テロップ領域抽出部63からコピーテロップ領域が供給される他、制御部27(図13)から合成率が供給されるとともに、読み出し部52から、バッファ51に記憶された表示用画像のうちの、表示部26の表示画面の画面サイズに一致する画像サイズ分の領域、つまり、表示領域(の画像)が供給される。
テロップ領域合成部64は、テロップ領域抽出部63からコピーテロップ領域が供給されない場合には、読み出し部52からの表示領域を、そのまま、表示部26に供給して表示させる。
また、テロップ領域合成部64は、テロップ領域抽出部63からコピーテロップ領域が供給された場合には、制御部27からの合成率で、テロップ領域抽出部63からのコピーテロップ領域を、読み出し部52からの表示領域のうちの、コピーテロップ領域の元のコピー領域の近傍の領域である合成領域に合成し、その合成後の表示領域を、表示部26に供給して表示させる。
以上のように構成される表示制御部35は、図5の表示制御部25が行う図12で説明したスクロール処理を行う他、テロップ処理も行う。
すなわち、図20は、テロップ処理を説明するフローチャートである。
なお、テロップ処理は、例えば、図12のスクロール処理と同様に、図11のステップS18で開始される。
テロップ処理では、ステップS51において、テロップ判定部62が、バッファ61に記憶された表示用画像を参照し、表示用画像の非表示領域に、テロップ領域が存在するかどうかを判定する。
ステップS51において、非表示領域にテロップ領域が存在しないと判定された場合、すなわち、例えば、図18のパターンAのように、表示領域にのみ、テロップ領域が存在する場合、又は、テロップ領域が表示用画像に存在しない場合、ステップS51に戻る。
なお、この場合、テロップ領域合成部64は、読み出し部52から供給される表示領域を、そのまま、表示部26に供給して表示させる。
また、ステップS51において、非表示領域にテロップ領域が存在すると判定された場合、すなわち、図18のパターンB,C,D,E,F,G、又はHのように、非表示領域にテロップ領域が存在する場合、ステップS52に進み、テロップ判定部62は、合成領域にテロップ領域が存在するかどうかを判定する。
ステップS52において、合成領域にテロップ領域が存在しないと判定された場合、すなわち、図18のパターンB、又はFのように、テロップ領域が非表示領域に存在するが、合成領域には存在しない場合、テロップ判定部62は、非表示領域に存在するテロップ領域の抽出の指示を、テロップ領域抽出部63に供給して、ステップS55に進む。
ステップS55では、テロップ領域抽出部63は、テロップ判定部62からのテロップ領域の抽出の指示にしたがい、バッファ61に記憶された表示用画像から、非表示領域に存在するテロップ領域を抽出し、そのコピーであるコピーテロップ領域を、テロップ領域合成部64に供給して、ステップS56に進む。
ステップS56では、テロップ領域合成部64は、制御部27からの合成率で、テロップ領域抽出部63からのコピーテロップ領域を、読み出し部52からの表示領域のうちの、コピーテロップ領域の元のコピー領域の近傍の領域である合成領域に合成し、その合成後の表示領域を、表示部26に供給して、ステップS51に戻る。
一方、ステップS52において、合成領域にテロップ領域が存在すると判定された場合、すなわち、図18のパターンC,D,E,G、又はHのように、テロップ領域が非表示領域と合成領域との両方に存在する場合、ステップS53に進み、テロップ判定部62は、テロップ領域が、合成領域に存在しない状態に、表示用画像をスクロールすることができるかどうかを判定する。
ステップS53において、テロップ領域が、合成領域に存在しない状態に、表示用画像をスクロールすることができると判定された場合、すなわち、図18のパターンC,D,E、又はGのように、テロップ領域が非表示領域と合成領域との両方に存在するが、表示用画像のスクロールによって、テロップ領域が、合成領域に存在しない状態にすることができる場合、ステップS54に進み、テロップ判定部62は、そのようなスクロールを行うスクロール信号を、読み出し部52に供給する。
この場合、読み出し部52では、テロップ判定部62からのスクロール信号に応じて、バッファ51から読み出す表示用画像の位置(範囲)を変更し、これにより、テロップ領域が、合成領域に存在しない状態となるように、表示部26で表示される表示用画像をスクロールする自動スクロール処理が行われる。
ステップS54の自動スクロール処理によって、図18のパターンB,C’、又はFのように、テロップ領域が非表示領域に存在するが、合成領域には存在しない状態になった場合には、ステップS55に進み、以下、上述した場合と同様の処理が行われる。
なお、ステップS54の自動スクロール処理によって、図18のパターンD’のように、テロップ領域が表示領域にのみ存在する状態となった場合には、ステップS55及びS56の処理はスキップされ、ステップS51に戻る。
一方、ステップS53において、テロップ領域が、合成領域に存在しない状態に、表示用画像をスクロールすることができないと判定された場合、すなわち、図18のパターンHのように、表示用画像をどのようにスクロールしても、テロップ領域が合成領域に存在しない状態とならない場合、ステップS57に進み、表示制御部35は、上述したような例外処理を行って、ステップS51に戻る。
以上のように、非表示領域に、テロップ領域が存在するかどうかを判定し、テロップ領域が非表示領域に存在する場合には、テロップ領域(コピーテロップ領域)を、表示領域の、テロップ領域の近傍の合成領域に、所定の合成率で合成するようにしたので、画像変換部24(図13)でのサイズ変換によって、非表示領域に存在することになったテロップを、簡単に、表示領域に表示することができる。
また、テロップ領域の近傍の領域を合成領域として、その合成領域に、テロップ領域を合成するようにしたので、合成領域にテロップ領域を合成した合成後の表示領域が、違和感のある画像となることを防止することができる。
さらに、テロップを含む領域であるテロップ領域を抽出するので、テロップそのもののみを抽出する場合に比較して、処理の容易化、簡便化を図ることができる。
また、合成領域にテロップ領域が存在する場合には、自動スクロール処理により、合成領域にテロップ領域が存在しない状態にしてから、テロップ領域の合成を行うので、合成領域にテロップ領域が存在し、その合成領域に、テロップ領域が合成されることによって、テロップが見にくくなることを防止することができる。
次に、上述したように、画像変換部24(図5、図13)が行うサイズ変換は、画像サイズとしての、例えば、画素数を変換する画素数変換であるが、この画素数変換は、補間処理や間引き処理によって行うことができる他、クラス分類適応処理によって行うことができる。以下、図21ないし図31を参照して、クラス分類適応処理について説明する。
なお、ここでは、第1の画像データ(画像信号)を第2の画像データ(画像信号)に変換する画像変換処理を例に、クラス分類適応処理について説明する。
第1の画像データを第2の画像データに変換する画像変換処理は、その第1と第2の画像データの定義によって様々な信号処理となる。
即ち、例えば、第1の画像データを低空間解像度の画像データとするとともに、第2の画像データを高空間解像度の画像データとすれば、画像変換処理は、空間解像度を向上させる空間解像度創造(向上)処理ということができる。
また、例えば、第1の画像データを低S/N(Siginal/Noise)の画像データとするとともに、第2の画像データを高S/Nの画像データとすれば、画像変換処理は、ノイズを除去するノイズ除去処理ということができる。
さらに、例えば、第1の画像データを所定の画素数(画像サイズ)の画像データとするとともに、第2の画像データを、第1の画像データの画素数を多くまたは少なくした画像データとすれば、画像変換処理は、画像のリサイズ(拡大または縮小)を行うリサイズ処理(サイズ変換)ということができる。
また、例えば、第1の画像データを低時間解像度の画像データとするとともに、第2の画像データを高時間解像度の画像データとすれば、画像変換処理は、時間解像度を向上させる時間解像度創造(向上)処理ということができる。
さらに、例えば、第1の画像データを、MPEG(Moving Picture Experts Group)符号化などのブロック単位で符号化された画像データを復号することによって得られる復号画像データとするとともに、第2の画像データを、符号化前の画像データとすれば、画像変換処理は、MPEG符号化および復号によって生じるブロック歪み等の各種の歪みを除去する歪み除去処理ということができる。
なお、空間解像度創造処理において、低空間解像度の画像データである第1の画像データを、高空間解像度の画像データである第2の画像データに変換するにあたっては、第2の画像データを、第1の画像データと同一の画素数の画像データとすることもできるし、第1の画像データよりも画素数が多い画像データとすることもできる。第2の画像データを、第1の画像データよりも画素数が多い画像データとする場合、空間解像度創造処理は、空間解像度を向上させる処理であるとともに、画像サイズ(画素数)を拡大するリサイズ処理でもある。
以上のように、画像変換処理によれば、第1および第2の画像データをどのように定義するかによって、様々な信号処理を実現することができる。
以上のような画像変換処理としてのクラス分類適応処理では、第2の画像データのうちの注目している注目画素(の画素値)を、所定の一定の規則に従って複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類することにより得られるクラスのタップ係数と、注目画素に対して選択される第1の画像データの画素(の画素値)とを用いた演算により、注目画素(の画素値)が求められる。
すなわち、図21は、クラス分類適応処理による画像変換処理を行う画像変換装置101の構成例を示している。
図21において、画像変換装置101では、そこに供給される画像データが、第1の画像データとして、タップ選択部112及び113に供給される。
注目画素選択部111は、第2の画像データを構成する画素を、順次、注目画素とし、その注目画素を表す情報を、必要なブロックに供給する。
タップ選択部112は、注目画素(の画素値)を予測するのに用いる第1の画像データを構成する画素(の画素値)の幾つかを、予測タップとして選択する。
具体的には、タップ選択部112は、注目画素の時空間の位置から空間的または時間的に近い位置にある第1の画像データの複数の画素を、予測タップとして選択する。
タップ選択部113は、注目画素を、一定の規則に従って、幾つかのクラスのうちのいずれかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いる第1の画像データを構成する画素の幾つかを、クラスタップとして選択する。すなわち、タップ選択部113は、タップ選択部112が予測タップを選択するのと同様にして、クラスタップを選択する。
なお、予測タップとクラスタップは、同一のタップ構造(注目画素に対する位置関係)を有するものであっても良いし、異なるタップ構造を有するものであっても良い。
タップ選択部112で得られた予測タップは、予測演算部116に供給され、タップ選択部113で得られたクラスタップは、クラス分類部114に供給される。
クラス分類部114は、タップ選択部113からのクラスタップに基づき、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、係数出力部115に供給する。
ここで、クラス分類を行う方法としては、例えば、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)等を採用することができる。
ADRCを用いる方法では、クラスタップを構成する画素(の画素値)が、ADRC処理され、その結果得られるADRCコードにしたがって、注目画素のクラスが決定される。
なお、KビットADRCにおいては、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値の最大値MAXと最小値MINが検出され、DR=MAX-MINを、集合の局所的なダイナミックレンジとし、このダイナミックレンジDRに基づいて、クラスタップを構成する各画素の画素値がKビットに再量子化される。すなわち、クラスタップを構成する各画素の画素値から、最小値MINが減算され、その減算値がDR/2Kで除算(再量子化)される。そして、以上のようにして得られる、クラスタップを構成するKビットの各画素の画素値を、所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。従って、クラスタップが、例えば、1ビットADRC処理された場合には、そのクラスタップを構成する各画素の画素値は、最大値MAXと最小値MINとの平均値で除算され(小数点以下切り捨て)、これにより、各画素の画素値が1ビットとされる(2値化される)。そして、その1ビットの画素値を所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。
なお、クラス分類部114には、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値のレベル分布のパターンを、そのままクラスコードとして出力させることも可能である。しかしながら、この場合、クラスタップが、N個の画素の画素値で構成され、各画素の画素値に、Kビットが割り当てられているとすると、クラス分類部114が出力するクラスコードの場合の数は、(2N)K通りとなり、画素の画素値のビット数Kに指数的に比例した膨大な数となる。
従って、クラス分類部114においては、クラスタップの情報量を、上述のADRC処理や、あるいはベクトル量子化等によって圧縮することにより、クラス分類を行うのが好ましい。
係数出力部115は、後述する学習によって求められたクラスごとのタップ係数を記憶し、さらに、その記憶したタップ係数のうちの、クラス分類部114から供給されるクラスコードに対応するアドレスに記憶されているタップ係数(クラス分類部114から供給されるクラスコードが表すクラスのタップ係数)を出力する。このタップ係数は、予測演算部116に供給される。
ここで、タップ係数とは、ディジタルフィルタにおける、いわゆるタップにおいて入力データと乗算される係数に相当するものである。
予測演算部116は、タップ選択部112が出力する予測タップと、係数出力部115が出力するタップ係数とを取得(受信)し、その予測タップとタップ係数とを用いて、注目画素の真値の予測値を求める所定の予測演算を行う。これにより、予測演算部116は、注目画素の画素値(の予測値)、すなわち、第2の画像データを構成する画素の画素値を求めて出力する。
次に、図22のフローチャートを参照して、図21の画像変換装置101による画像変換処理について説明する。
ステップS111において、注目画素選択部111は、画像変換装置101に入力される第1の画像データに対する第2の画像データを構成する画素のうち、まだ、注目画素とされていないものの1つを、注目画素として選択し、ステップS112に進む。すなわち、注目画素選択部111は、例えば、第2の画像データを構成する画素のうち、ラスタスキャン順で、まだ、注目画素とされていないものが、注目画素として選択される。
ステップS112において、タップ選択部112と113が、そこに供給される第1の画像データから、注目画素についての予測タップとクラスタップとするものを、それぞれ選択する。そして、予測タップは、タップ選択部112から予測演算部116に供給され、クラスタップは、タップ選択部113からクラス分類部114に供給される。
クラス分類部114は、タップ選択部113から、注目画素についてのクラスタップを受信し、ステップS113において、そのクラスタップに基づき、注目画素をクラス分類する。さらに、クラス分類部114は、そのクラス分類の結果得られる注目画素のクラスを表すクラスコードを、係数出力部115に出力し、ステップS114に進む。
ステップS114では、係数出力部115が、クラス分類部114から供給されるクラスコードに対応するアドレスに記憶されているタップ係数を取得して(読み出して)出力する。さらに、ステップS114では、予測演算部116が、係数出力部115が出力するタップ係数を取得し、ステップS115に進む。
ステップS115では、予測演算部116が、タップ選択部112が出力する予測タップと、係数出力部115から取得したタップ係数とを用いて、所定の予測演算を行う。これにより、予測演算部116は、注目画素の画素値を求めて出力し、ステップS116に進む。
ステップS116では、注目画素選択部111が、まだ、注目画素としていない第2の画像データがあるかどうかを判定する。ステップS116において、まだ、注目画素としていない第2の画像データがあると判定された場合、ステップS111に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS116において、まだ、注目画素とされていない第2の画像データがないと判定された場合、処理を終了する。
次に、図21の予測演算部116における予測演算と、係数出力部115に記憶されたタップ係数の学習について説明する。
いま、例えば、高画質の画像データ(高画質画像データ)を第2の画像データとするとともに、その高画質画像データをLPF(Low Pass Filter)によってフィルタリングする等してその画質(解像度)を低下させた低画質の画像データ(低画質画像データ)を第1の画像データとして、低画質画像データから予測タップを選択し、その予測タップとタップ係数を用いて、高画質画像データの画素(高画質画素)の画素値を、所定の予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、高画質画素の画素値yは、次の線形1次式によって求められることになる。
但し、式(1)において、xnは、高画質画素yについての予測タップを構成する、n番目の低画質画像データの画素(以下、適宜、低画質画素という)の画素値を表し、wnは、n番目の低画質画素(の画素値)と乗算されるn番目のタップ係数を表す。なお、式(1)では、予測タップが、N個の低画質画素x1,x2,・・・,xNで構成されるものとしてある。
ここで、高画質画素の画素値yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
いま、第kサンプルの高画質画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(2)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(2)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(3)において、xn,kは、第kサンプルの高画質画素についての予測タップを構成するn番目の低画質画素を表す。
式(3)(または式(2))の予測誤差ekを0とするタップ係数wnが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのようなタップ係数wnを求めることは、一般には困難である。
そこで、タップ係数wnが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適なタップ係数wnは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(4)において、Kは、高画質画素ykと、その高画質画素ykについての予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
式(4)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(5)に示すように、総和Eをタップ係数wnで偏微分したものを0とするwnによって与えられる。
そこで、上述の式(3)をタップ係数wnで偏微分すると、次式が得られる。
式(5)と(6)から、次式が得られる。
式(7)のekに、式(3)を代入することにより、式(7)は、式(8)に示す正規方程式で表すことができる。
式(8)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることにより、タップ係数wnについて解くことができる。
式(8)の正規方程式を、クラスごとにたてて解くことにより、最適なタップ係数(ここでは、自乗誤差の総和Eを最小にするタップ係数)wnを、クラスごとに求めることができる。
次に、図23は、式(8)の正規方程式をたてて解くことによりタップ係数wnを求める学習を行う学習装置121の構成例を示している。
図23において、学習装置121の学習用画像記憶部131は、タップ係数wnの学習に用いられる学習用画像データを記憶している。ここで、学習用画像データとしては、例えば、解像度の高い高画質画像データを用いることができる。
教師データ生成部132は、学習用画像記憶部131から学習用画像データを読み出す。さらに、教師データ生成部132は、学習用画像データから、タップ係数の学習の教師(真値)、すなわち、式(1)による予測演算としての写像の写像先の画素値となる教師データを生成し、教師データ記憶部133に供給する。ここでは、教師データ生成部132は、例えば、学習用画像データとしての高画質画像データを、そのまま教師データとして、教師データ記憶部133に供給する。
教師データ記憶部133は、教師データ生成部132から供給される教師データとしての高画質画像データを記憶する。教師データは、第2の画像データに相当する。
生徒データ生成部134は、学習用画像記憶部131から学習用画像データを読み出す。さらに、生徒データ生成部134は、学習用画像データから、タップ係数の学習の生徒、すなわち、式(1)による予測演算としての写像による変換対象の画素値となる生徒データを生成し、生徒データ記憶部135に供給する。ここでは、生徒データ生成部134は、例えば、学習用画像データとしての高画質画像データをフィルタリングすることにより、その解像度を低下させることで、低画質画像データを生成し、この低画質画像データを、生徒データとして、生徒データ記憶部135に供給する。
生徒データ記憶部135は、生徒データ生成部134から供給される生徒データを記憶する。生徒データは、第1の画像データに相当する。
学習部136は、教師データ記憶部133に記憶された教師データとしての高画質画像データを構成する画素を、順次、注目画素とし、その注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データとしての低画質画像データを構成する低画質画素のうちの、図21のタップ選択部112が選択するのと同一のタップ構造の低画質画素を、予測タップとして選択する。さらに、学習部136は、教師データを構成する各画素と、その画素が注目画素とされたときに選択された予測タップとを用い、クラスごとに、式(8)の正規方程式をたてて解くことにより、クラスごとのタップ係数を求める。
すなわち、図24は、図23の学習部136の構成例を示している。
注目画素選択部141は、教師データ記憶部133に記憶されている教師データを構成する画素を、順次、注目画素として選択し、その注目画素を表す情報を、必要なブロックに供給する。
タップ選択部142は、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データとしての低画質画像データを構成する低画質画素から、図21のタップ選択部112が選択するの同一の画素を選択し、これにより、タップ選択部112で得られるのと同一のタップ構造の予測タップを得て、足し込み部145に供給する。
タップ選択部143は、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データとしての低画質画像データを構成する低画質画素から、図21のタップ選択部113が選択するのと同一の画素を選択し、これにより、タップ選択部113で得られるのと同一のタップ構造のクラスタップを得て、クラス分類部144に供給する。
クラス分類部144は、タップ選択部143が出力するクラスタップに基づき、図21のクラス分類部114と同一のクラス分類を行い、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、足し込み部145に出力する。
足し込み部145は、教師データ記憶部133から、注目画素となっている教師データ(画素)を読み出し、その注目画素と、タップ選択部142から供給される注目画素についての予測タップを構成する生徒データ(画素)とを対象とした足し込みを、クラス分類部144から供給されるクラスコードごとに行う。
すなわち、足し込み部145には、教師データ記憶部133に記憶された教師データyk、タップ選択部142が出力する予測タップxn,k、クラス分類部144が出力するクラスコードが供給される。
そして、足し込み部145は、クラス分類部144から供給されるクラスコードに対応するクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kを用い、式(8)の左辺の行列における生徒データどうしの乗算(xn,kxn',k)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
さらに、足し込み部145は、やはり、クラス分類部144から供給されるクラスコードに対応するクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kと教師データykを用い、式(8)の右辺のベクトルにおける生徒データxn,kおよび教師データykの乗算(xn,kyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
すなわち、足し込み部145は、前回、注目画素とされた教師データについて求められた式(8)における左辺の行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)と、右辺のベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)を、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)またはベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)に対して、新たに注目画素とされた教師データについて、その教師データyk+1および生徒データxn,k+1を用いて計算される、対応するコンポーネントxn,k+1xn',k+1またはxn,k+1yk+1を足し込む(式(8)のサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部145は、教師データ記憶部133(図23)に記憶された教師データすべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、式(8)に示した正規方程式をたてると、その正規方程式を、タップ係数算出部146に供給する。
タップ係数算出部146は、足し込み部145から供給される各クラスについての正規方程式を解くことにより、各クラスについて、最適なタップ係数wnを求めて出力する。
図21の画像変換装置101における係数出力部115には、以上のようにして求められたクラスごとのタップ係数wnが記憶されている。
ここで、第1の画像データに対応する生徒データとする画像データと、第2の画像データに対応する教師データとする画像データの選択の仕方によって、タップ係数としては、上述したように、各種の画像変換処理を行うものを得ることができる。
すなわち、上述のように、高画質画像データを、第2の画像データに対応する教師データとするとともに、その高画質画像データの空間解像度を劣化させた低画質画像データを、第1の画像データに対応する生徒データとして、タップ係数の学習を行うことにより、タップ係数としては、図25上から1番目に示すように、低画質画像データ(SD(Standard Definition)画像)である第1の画像データを、その空間解像度を向上させた高画質画像データ(HD(High Definition)画像データ)である第2の画像データに変換する空間解像度創造処理としての画像変換処理を行うものを得ることができる。
なお、この場合、第1の画像データ(生徒データ)は、第2の画像データ(教師データ)と画素数が同一であっても良いし、少なくても良い。
また、例えば、高画質画像データを教師データとするとともに、その教師データとしての高画質画像データに対して、ノイズを重畳した画像データを生徒データとして、タップ係数の学習を行うことにより、タップ係数としては、図25上から2番目に示すように、低S/Nの画像データである第1の画像データを、そこに含まれるノイズを除去(低減)した高S/Nの画像データである第2の画像データに変換するノイズ除去処理としての画像変換処理を行うものを得ることができる。
さらに、例えば、ある画像データを教師データとするとともに、その教師データとしての画像データの画素数を間引いた画像データを生徒データとして、タップ係数の学習を行うことにより、タップ係数としては、図25上から3番目に示すように、画像データの一部である第1の画像データを、その第1の画像データを拡大した拡大画像データである第2の画像データに変換する拡大処理(リサイズ処理)としての画像変換処理を行うものを得ることができる。
なお、拡大処理を行うタップ係数は、高画質画像データを教師データとするとともに、その高画質画像データの空間解像度を、画素数を間引くことにより劣化させた低画質画像データを生徒データとして、タップ係数の学習を行うことによっても得ることができる。
また、例えば、高フレームレートの画像データを教師データとするとともに、その教師データとしての高フレームレートの画像データのフレームを間引いた画像データを生徒データとして、タップ係数の学習を行うことにより、タップ係数としては、図25上から4番目(1番下)に示すように、所定のフレームレートの第1の画像データを、高フレームレートの第2の画像データに変換する時間解像度創造処理としての画像変換処理を行うものを得ることができる。
次に、図26のフローチャートを参照して、図23の学習装置121の処理(学習処理)について、説明する。
まず最初に、ステップS121において、教師データ生成部132と生徒データ生成部134が、学習用画像記憶部131に記憶された学習用画像データから、教師データと生徒データを生成し、教師データ記憶部133と生徒データ生成部134にそれぞれ供給して記憶させる。
なお、教師データ生成部132と生徒データ生成部134において、それぞれ、どのような生徒データと教師データを生成するかは、上述したような種類の画像変換処理のうちのいずれの処理用のタップ係数の学習を行うかによって異なる。
その後、ステップS122に進み、学習部136(図24)において、注目画素選択部141は、教師データ記憶部133に記憶された教師データのうち、まだ、注目画素としていないものを、注目画素として選択し、ステップS123に進む。ステップS123では、タップ選択部142が、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データから予測タップとする生徒データとしての画素を選択し、足し込み部145に供給するとともに、タップ選択部143が、やはり、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データからクラスタップとする生徒データを選択し、クラス分類部144に供給する。
そして、ステップS124に進み、クラス分類部144は、注目画素についてのクラスタップに基づき、注目画素のクラス分類を行い、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、足し込み部145に出力して、ステップS125に進む。
ステップS125では、足し込み部145は、教師データ記憶部133から、注目画素を読み出し、その注目画素と、タップ選択部142から供給される注目画素について選択された予測タップを構成する生徒データとを対象とした式(8)の足し込みを、クラス分類部144から供給されるクラスコードごとに行い、ステップS126に進む。
ステップS126では、注目画素選択部141が、教師データ記憶部133に、まだ、注目画素としていない教師データが記憶されているかどうかを判定する。ステップS126において、注目画素としていない教師データが、まだ、教師データ記憶部133に記憶されていると判定された場合、ステップS122に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS126において、注目画素としていない教師データが、教師データ記憶部133に記憶されていないと判定された場合、足し込み部145は、いままでのステップS122乃至S126の処理によって得られたクラスごとの式(8)における左辺の行列と、右辺のベクトルを、タップ係数算出部146に供給し、ステップS127に進む。
ステップS127では、タップ係数算出部146は、足し込み部145から供給されるクラスごとの式(8)における左辺の行列と右辺のベクトルによって構成されるクラスごとの正規方程式を解くことにより、各クラスごとに、タップ係数wnを求めて出力し、処理を終了する。
なお、学習用画像データの数が十分でないこと等に起因して、タップ係数を求めるのに必要な数の正規方程式が得られないクラスが生じることがあり得るが、そのようなクラスについては、タップ係数算出部146は、例えば、デフォルトのタップ係数を出力するようになっている。
次に、図27は、クラス分類適応処理による画像変換処理を行う他の画像変換装置151の構成例を示している。
なお、図27の画像変換装置151において、図21における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。すなわち、画像変換装置151は、係数出力部115に代えて、係数出力部155が設けられている他は、図21の画像変換装置101と同様に構成されている。
係数出力部155には、クラス分類部114からクラス(クラスコード)が供給される他、例えば、ユーザの操作その他に応じて外部から入力されるパラメータzが供給されるようになっている。係数出力部155は、後述するようにして、パラメータzに対応するクラスごとのタップ係数を生成し、そのクラスごとのタップ係数のうちの、クラス分類部114からのクラスのタップ係数を、予測演算部116に出力する。
図28は、図27の係数出力部155の構成例を示している。
係数生成部161は、係数種メモリ162に記憶されている係数種データと、パラメータメモリ163に記憶されたパラメータzとに基づいて、クラスごとのタップ係数を生成し、係数メモリ164に供給して上書きする形で記憶させる。
係数種メモリ162は、後述する係数種データの学習によって得られるクラスごとの係数種データを記憶している。ここで、係数種データは、タップ係数を生成する、いわば種になるデータである。
パラメータメモリ163は、ユーザの操作等に応じて外部から入力されるパラメータzを上書きする形で記憶する。
係数メモリ164は、係数生成部161から供給されるクラスごとのタップ係数(パラメータzに対応するクラスごとのタップ係数)を記憶する。そして、係数メモリ164は、クラス分類部114(図27)から供給されるクラスのタップ係数を読み出し、予測演算部116(図27)に出力する。
図27の画像変換装置151では、外部から係数出力部155に対して、パラメータzが入力されると、係数出力部155(図28)のパラメータメモリ163において、そのパラメータzが、上書きする形で記憶される。
パラメータメモリ163にパラメータzが記憶されると(パラメータメモリ163の記憶内容が更新されると)、係数生成部161は、係数種メモリ162からクラスごとの係数種データを読み出すとともに、パラメータメモリ163からパラメータzを読み出し、その係数種データとパラメータzに基づいて、クラスごとのタップ係数を求める。そして、係数生成部161は、そのクラスごとのタップ係数を、係数メモリ164に供給し、上書きする形で記憶させる。
画像変換装置151では、タップ係数を記憶しており、そのタップ係数を出力する係数出力部115に代えて設けられている係数出力部155において、パラメータzに対応するタップ係数を生成して出力することを除いて、図21の画像変換装置101が行う図22のフローチャートにしたがった処理と同様の処理が行われる。
次に、図27の予測演算部116における予測演算、並びに図28の係数生成部161におけるタップ係数の生成および係数種メモリ162に記憶させる係数種データの学習について説明する。
図21の実施の形態における場合のように、高画質の画像データ(高画質画像データ)を第2の画像データとするとともに、その高画質画像データの空間解像度を低下させた低画質の画像データ(低画質画像データ)を第1の画像データとして、低画質画像データから予測タップを選択し、その予測タップとタップ係数を用いて、高画質画像データの画素である高画質画素の画素値を、例えば、上述の式(1)の線形1次予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
ここで、高画質画素の画素値yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
図28の実施の形態では、係数生成部161において、タップ係数wnが、係数種メモリ162に記憶された係数種データと、パラメータメモリ163に記憶されたパラメータzとから生成されるが、この係数生成部161におけるタップ係数wnの生成が、例えば、係数種データとパラメータzを用いた次式によって行われることとする。
但し、式(9)において、βm,nは、n番目のタップ係数wnを求めるのに用いられるm番目の係数種データを表す。なお、式(9)では、タップ係数wnが、M個の係数種データβ1,n,β2,n,・・・,βM,nを用いて求められるようになっている。
ここで、係数種データβm,nとパラメータzから、タップ係数wnを求める式は、式(9)に限定されるものではない。
いま、式(9)におけるパラメータzによって決まる値zm-1を、新たな変数tmを導入して、次式で定義する。
式(10)を、式(9)に代入することにより、次式が得られる。
式(11)によれば、タップ係数wnは、係数種データβm,nと変数tmとの線形1次式によって求められることになる。
ところで、いま、第kサンプルの高画質画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(12)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(12)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(13)において、xn,kは、第kサンプルの高画質画素についての予測タップを構成するn番目の低画質画素を表す。
式(13)のwnに、式(11)を代入することにより、次式が得られる。
式(14)の予測誤差ekを0とする係数種データβm,nが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのような係数種データβm,nを求めることは、一般には困難である。
そこで、係数種データβm,nが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適な係数種データβm,nは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(15)において、Kは、高画質画素ykと、その高画質画素ykについての予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
式(15)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(16)に示すように、総和Eを係数種データβm,nで偏微分したものを0とするβm,nによって与えられる。
式(13)を、式(16)に代入することにより、次式が得られる。
いま、Xi,p,j,qとYi,pを、式(18)と(19)に示すように定義する。
この場合、式(17)は、Xi,p,j,qとYi,pを用いた式(20)に示す正規方程式で表すことができる。
式(20)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)などを用いることにより、係数種データβm,nについて解くことができる。
図27の画像変換装置151においては、多数の高画質画素y1,y2,・・・,yKを学習の教師となる教師データとするとともに、各高画質画素ykについての予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kを学習の生徒となる生徒データとして、クラスごとに式(20)の正規方程式をたてて解く学習を行うことにより求められたクラスごとの係数種データβm,nが、係数出力部155(図28)の係数種メモリ162に記憶されており、係数生成部161では、その係数種データβm,nと、パラメータメモリ163に記憶されたパラメータzから、式(9)にしたがって、クラスごとのタップ係数wnが生成される。そして、予測演算部116において、そのタップ係数wnと、高画質画素としての注目画素についての予測タップを構成する低画質画素(第1の画像データの画素)xnを用いて、式(1)が計算されることにより、高画質画素としての注目画素の画素値(に近い予測値)が求められる。
次に、図29は、式(20)の正規方程式をクラスごとにたてて解くことにより、クラスごとの係数種データβm,nを求める学習を行う学習装置171の構成例を示している。
なお、図中、図23の学習装置121における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。すなわち、学習装置171は、生徒データ生成部134と学習部136に代えて、生徒データ生成部174と学習部176がそれぞれ設けられているとともに、パラメータ生成部181が新たに設けられている他は、図23の学習装置121と同様に構成されている。
生徒データ生成部174は、図23の生徒データ生成部134と同様に、学習用画像データから生徒データを生成し、生徒データ記憶部135に供給して記憶させる。
但し、生徒データ生成部174には、学習用画像データの他、図28のパラメータメモリ163に供給されるパラメータzが取り得る範囲の幾つかの値が、パラメータ生成部181から供給されるようになっている。すなわち、いま、パラメータzが取り得る値が0乃至Zの範囲の実数であるとすると、生徒データ生成部174には、例えば、z=0,1,2,・・・,Zが、パラメータ生成部181から供給されるようになっている。
生徒データ生成部174は、学習用画像データとしての高画質画像データを、例えば、そこに供給されるパラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFによってフィルタリングすることにより、生徒データとしての低画質画像データを生成する。
従って、生徒データ生成部174では、学習用画像データとしての高画質画像データについて、Z+1種類の、空間解像度の異なる生徒データとしての低画質画像データが生成される。
なお、ここでは、例えば、パラメータzの値が大きくなるほど、カットオフ周波数の高いLPFを用いて、高画質画像データをフィルタリングし、生徒データとしての低画質画像データを生成するものとする。従って、ここでは、値の大きいパラメータzに対応する低画質画像データほど、空間解像度が高い。
また、本実施の形態では、説明を簡単にするために、生徒データ生成部174において、高画質画像データの水平方向および垂直方向の両方向の空間解像度を、パラメータzに対応する分だけ低下させた低画質画像データを生成するものとする。
学習部176は、教師データ記憶部133に記憶された教師データ、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データ、およびパラメータ生成部181から供給されるパラメータzを用いて、クラスごとの係数種データを求めて出力する。
パラメータ生成部181は、パラメータzが取り得る範囲の幾つかの値としての、例えば、上述したようなz=0,1,2,・・・,Zを生成し、生徒データ生成部174と学習部176に供給する。
次に、図30は、図29の学習部176の構成例を示している。なお、図中、図24の学習部136における場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
タップ選択部192は、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データとしての低画質画像データを構成する低画質画素から、図27のタップ選択部112が選択するのと同一のタップ構造の予測タップを選択し、足し込み部195に供給する。
タップ選択部193は、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された生徒データとしての低画質画像データを構成する低画質画素から、図27のタップ選択部113が選択するのと同一のタップ構造のクラスタップを選択し、クラス分類部144に供給する。
但し、図30では、タップ選択部192と193に、図29のパラメータ生成部181が生成するパラメータzが供給されるようになっており、タップ選択部192と193は、パラメータ生成部181から供給されるパラメータzに対応して生成された生徒データ(ここでは、パラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFを用いて生成された生徒データとしての低画質画像データ)から、予測タップとクラスタップをそれぞれ選択する。
足し込み部195は、図29の教師データ記憶部133から、注目画素を読み出し、その注目画素、タップ選択部192から供給される注目画素について構成された予測タップを構成する生徒データ、およびその生徒データを生成したときのパラメータzを対象とした足し込みを、クラス分類部144から供給されるクラスごとに行う。
すなわち、足し込み部195には、教師データ記憶部133に記憶された注目画素としての教師データyk、タップ選択部192が出力する注目画素についての予測タップxi,k(xj,k)、およびクラス分類部144が出力する注目画素のクラスが供給されるとともに、注目画素についての予測タップを構成する生徒データを生成したときのパラメータzが、パラメータ生成部181から供給される。
そして、足し込み部195は、クラス分類部144から供給されるクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xi,k(xj,k)とパラメータzを用い、式(20)の左辺の行列における、式(18)で定義されるコンポーネントXi,p,j,qを求めるための生徒データおよびパラメータzの乗算(xi,ktpxj,ktq)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。なお、式(18)のtpは、式(10)にしたがって、パラメータzから計算される。式(18)のtqも同様である。
さらに、足し込み部195は、やはり、クラス分類部144から供給されるクラスコードに対応するクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xi,k、教師データyk、およびパラメータzを用い、式(20)の右辺のベクトルにおける、式(19)で定義されるコンポーネントYi,pを求めるための生徒データxi,k、教師データyk、およびパラメータzの乗算(xi,ktpyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。なお、式(19)のtpは、式(10)にしたがって、パラメータzから計算される。
すなわち、足し込み部195は、前回、注目画素とされた教師データについて求められた式(20)における左辺の行列のコンポーネントXi,p,j,qと、右辺のベクトルのコンポーネントYi,pを、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネントXi,p,j,qまたはベクトルのコンポーネントYi,pに対して、新たに注目画素とされた教師データについて、その教師データyk、生徒データxi,k(xj,k)、およびパラメータzを用いて計算される、対応するコンポーネントxi,ktpxj,ktqまたはxi,ktpykを足し込む(式(18)のコンポーネントXi,p,j,qまたは式(19)のコンポーネントYi,pにおけるサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部195は、0,1,・・・,Zのすべての値のパラメータzにつき、教師データ記憶部133に記憶された教師データすべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、式(20)に示した正規方程式をたてると、その正規方程式を、係数種算出部196に供給する。
係数種算出部196は、足し込み部195から供給されるクラスごとの正規方程式を解くことにより、各クラスごとの係数種データβm,nを求めて出力する。
次に、図31のフローチャートを参照して、図29の学習装置171の処理(学習処理)について、説明する。
まず最初に、ステップS131において、教師データ生成部132と生徒データ生成部174が、学習用画像記憶部131に記憶された学習用画像データから、教師データと生徒データを、それぞれ生成して出力する。すなわち、教師データ生成部132は、学習用画像データを、例えば、そのまま、教師データとして出力する。また、生徒データ生成部174には、パラメータ生成部181が生成するZ+1個の値のパラメータzが供給される。生徒データ生成部174は、例えば、学習用画像データを、パラメータ生成部181からのZ+1個の値(0,1,・・・,Z)のパラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFによってフィルタリングすることにより、各フレームの教師データ(学習用画像データ)について、Z+1フレームの生徒データを生成して出力する。
教師データ生成部132が出力する教師データは、教師データ記憶部133に供給されて記憶され、生徒データ生成部174が出力する生徒データは、生徒データ記憶部135に供給されて記憶される。
その後、ステップS132に進み、パラメータ生成部181は、パラメータzを、初期値としての、例えば0にセットし、学習部176(図30)のタップ選択部192および193、並びに足し込み部195に供給して、ステップS133に進む。ステップS133では、注目画素選択部141は、教師データ記憶部133に記憶された教師データのうち、まだ、注目画素としていないものを、注目画素として、ステップS134に進む。
ステップS134では、タップ選択部192が、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された、パラメータ生成部181が出力するパラメータzに対する生徒データ(注目画素となっている教師データに対応する学習用画像データを、パラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFによってフィルタリングすることにより生成された生徒データ)から予測タップを選択し、足し込み部195に供給する。さらに、ステップS134では、タップ選択部193が、やはり、注目画素について、生徒データ記憶部135に記憶された、パラメータ生成部181が出力するパラメータzに対する生徒データからクラスタップを選択し、クラス分類部144に供給する。
そして、ステップS135に進み、クラス分類部144は、注目画素についてのクラスタップに基づき、注目画素のクラス分類を行い、その結果得られる注目画素のクラスを、足し込み部195に出力して、ステップS136に進む。
ステップS135では、足し込み部195は、教師データ記憶部133から注目画素を読み出し、その注目画素、タップ選択部192から供給される予測タップ、パラメータ生成部181が出力するパラメータzを用い、式(20)における左辺の行列のコンポーネントxi,Ktpxj,Ktqと、右辺のベクトルのコンポーネントxi,KtpyKを計算する。さらに、足し込み部195は、既に得られている行列のコンポーネントとベクトルのコンポーネントのうち、クラス分類部144からの注目画素のクラスに対応するものに対して、注目画素、予測タップ、およびパラメータzから求められた行列のコンポーネントxi,Ktpxj,Ktqとベクトルのコンポーネントxi,KtpyKを足し込み、ステップS137に進む。
ステップS137では、パラメータ生成部181が、自身が出力しているパラメータzが、その取り得る値の最大値であるZに等しいかどうかを判定する。ステップS137において、パラメータ生成部181が出力しているパラメータzが最大値Zに等しくない(最大値Z未満である)と判定された場合、ステップS138に進み、パラメータ生成部181は、パラメータzに1を加算し、その加算値を新たなパラメータzとして、学習部176(図30)のタップ選択部192および193、並びに足し込み部195に出力する。そして、ステップS134に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS137において、パラメータzが最大値Zに等しいと判定された場合、ステップS139に進み、注目画素選択部141が、教師データ記憶部133に、まだ、注目画素としていない教師データが記憶されているかどうかを判定する。ステップS139において、注目画素としていない教師データが、まだ、教師データ記憶部133に記憶されていると判定された場合、ステップS132に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS139において、注目画素としていない教師データが、教師データ記憶部133に記憶されていないと判定された場合、足し込み部195は、いままでの処理によって得られたクラスごとの式(20)における左辺の行列と、右辺のベクトルを、係数種算出部196に供給し、ステップS140に進む。
ステップS140では、係数種算出部196は、足し込み部195から供給されるクラスごとの式(20)における左辺の行列と右辺のベクトルによって構成されるクラスごとの正規方程式を解くことにより、各クラスごとに、係数種データβm,nを求めて出力し、処理を終了する。
なお、学習用画像データの数が十分でないこと等に起因して、係数種データを求めるのに必要な数の正規方程式が得られないクラスが生じることがあり得るが、そのようなクラスについては、係数種算出部196は、例えば、デフォルトの係数種データを出力するようになっている。
画像変換部24(図5、図13)が行うサイズ変換は、以上のようなクラス分類適応処理によって行うことができる。
すなわち、画像変換部24において、サイズ変換をクラス分類適応処理によって行う場合には、図29の学習装置171において、ある画像データを教師データとするとともに、その教師データとしての画像データの画素数を、パラメータzに対応して間引いた画像データを生徒データとして、または、所定のサイズの画像データを生徒データとするとともに、その生徒データとしての画像データの画素をパラメータzに対応する間引き率で間引いた画像データを教師データとして、係数種データの学習を行う。
そして、画像変換部24を、図27の画像変換装置151によって構成し、学習によって求めた係数種データを、画像変換部24としての画像変換装置151(図27)の係数出力部155を構成する係数種メモリ162(図28)に記憶させておく。
この場合、画像フォーマット検出部22(図5、図13)から、画像変換部24としての画像変換装置151に対して、パラメータzとして、有効画像の横又は縦の画素数を、表示部26の表示画面の横又は縦の画素数に一致させる倍率である変換係数を与えることによって、画像変換部24としての画像変換装置151において、有効画像の横又は縦の画素数を、表示部26の表示画面の横又は縦の画素数に一致させるサイズ変換を、クラス分類適応処理によって行うことができる。
次に、上述した一連の処理は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
そこで、図32は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク205やROM203に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体211に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体211は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体211からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部208で受信し、内蔵するハードディスク205にインストールすることができる。
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)202を内蔵している。CPU202には、バス201を介して、入出力インタフェース210が接続されており、CPU202は、入出力インタフェース210を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部207が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)203に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU202は、ハードディスク205に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部208で受信されてハードディスク205にインストールされたプログラム、またはドライブ209に装着されたリムーバブル記録媒体211から読み出されてハードディスク205にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)204にロードして実行する。これにより、CPU202は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU202は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース210を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部206から出力、あるいは、通信部208から送信、さらには、ハードディスク205に記録等させる。
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
すなわち、本実施の形態では、16:9画面に、4:3画像の表示用画像を表示する場合を例に、テロップ処理を説明したが、テロップ処理は、その他、例えば、4:3画面に、16:9画像の表示用画像を表示する場合等にも行うことができる。
また、有効画像、ひいては、表示用画像、さらには、表示部26の表示画面のアスペクト比は、4:3や16:9に限定されるものではない。
さらに、本実施の形態では、説明を分かりやすくするために、画像変換部24(図5、図13)において、有効画像の全体を対象にサイズ変換を行うようにしたが、サイズ変換は、有効画像のうちの、その有効画像のサイズ変換後の表示用画像の表示領域に対応する部分だけを対象として行うことができる。
さらに、本実施の形態では、表示処理装置20(図5、図13)のバッファ21に、地上波ディジタル放送等で放送された放送データが供給されることとしたが、バッファ21には、その他、DVD等の記録媒体から再生されたデータを供給するようにすることができる。
10 リモートコマンダ, 11 スクロールキー, 12 調整キー, 20 表示処理装置, 21 バッファ, 22 画像フォーマット検出部, 23 読み出し部, 24 画像変換部, 25 表示制御部, 26 表示部, 27 制御部, 35 表示制御部, 50 スクロール処理部, 51 バッファ, 52 読み出し部, 60 テロップ処理部, 61 バッファ, 62 テロップ判定部, 63 テロップ抽出部, 64 テロップ領域合成部, 201 バス, 202 CPU, 203 ROM, 204 RAM, 205 ハードディスク, 206 出力部, 207 入力部, 208 通信部, 209 ドライブ, 210 入出力インタフェース, 211 リムーバブル記録媒体