JP3369303B2 - 光ファイバの非線形屈折率の測定方法および測定装置 - Google Patents

光ファイバの非線形屈折率の測定方法および測定装置

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JP3369303B2
JP3369303B2 JP10658694A JP10658694A JP3369303B2 JP 3369303 B2 JP3369303 B2 JP 3369303B2 JP 10658694 A JP10658694 A JP 10658694A JP 10658694 A JP10658694 A JP 10658694A JP 3369303 B2 JP3369303 B2 JP 3369303B2
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宜敬 波平
佑一 田中
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ケイディーディーアイ株式会社
株式会社応用光電研究室
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光ファイバの非線形
屈折率の測定方法およびこの測定に用いる測定装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを利用した光通信の普及が進
むにつれて、伝送特性の劣化をできるだけ無くす研究も
進められている。最近では、特にソリトン通信と呼ばれ
る通信方式が実用化されようとしている。この方式は、
光の強度が強い、短時間幅パルスと称する光信号を光フ
ァイバを経て伝送する通信方式である。既に知られてい
る通り、光ファイバの屈折率nは、主として、この光フ
ァイバ中を伝搬する光の強度に依存しない屈折率成分n
1 とこの光の強度に依存する屈折率成分n2 とで次式
(1)で表せられることが知られている。尚、屈折率n
にはこの他の屈折率成分も含まれているが、ここでは省
略する。
【0003】 n=n1 +aPn2 (1) 但し、aは定数であり、Pは光のパワーである。
【0004】このソリトン通信方式は、周知の通り、光
ファイバ中を伝搬する光信号パルスの強度が強いとこの
強度に比例して光ファイバの非線形屈折率成分n2 が変
化する現象を積極的に利用した方式である。しかし、こ
の屈折率変化が生ずるため、光信号を構成している光パ
ルスが光ファイバ中で自己位相変調(Self Pha
se Modulataion:セルフ・フェーズ・モ
デュレーション。以下、単にSPMと称する場合があ
る。)を起こし、これが光通信の伝送特性を劣化する一
因となっていた(例えば、文献I:「フジクラ技法」第
84号,1993年4月,第10頁〜第13頁参照)。
従って、従来からこの光ファイバを製造する際に、光フ
ァイバの非線形屈折率n2 をどのような値にすれば、光
通信に向く光ファイバが得られるか等というように、非
線形屈折率n2 の決定は重要な問題であるが、そのため
に光ファイバの非線形屈折率n2 を知ることが重要であ
る。
【0005】そこで、この非線形屈折率を測定する方法
として、従来は、直接法と間接法とが試みられている。
直接法は非線形現象を起こす光そのものの変化を観察す
る方法であり、例えば文献II(「Phy.rev.
A」Vol.17,No.4,pp.1448−145
3,1978)或いは文献III(「Opt.Let
t.」Vol.19,No.4,pp.257−25
9,1994)に開示されている方法である。一方、間
接法は、被測定光ファイバに参照光と非線形効果を与え
る変調光とを同時に入射して参照光の光スペクトルの変
化を測定する方法である(文献I)。
【0006】この発明の理解を容易にするため、先ず、
文献IIに開示されている非線形屈折率n2 の直接測定
方法および測定装置につき簡単に説明する。先ず、測定
の原理につき図8を参照して説明する。
【0007】光ファイバで短時間幅光パルス(以下、短
パルスとも称する。)を伝搬させるとする。短パルスの
光強度を強くしていくと、屈折率が変化するため光スペ
クトルが単峰型でなくなり、次第に光スペクトルの山が
強度の増大に対応して2つ、3つ、・・・と増えてい
き、これにともない、SPMに起因して光スペクトルの
幅(最大位相変位に対応する)が拡がってくる。この光
スペクトルの山の数を知ることにより非線形屈折率n2
を知ることができる。
【0008】図8の(A)〜(F)は、光信号である入
力パルスの光強度の変化に応じて光ファイバからの出力
パルスの光スペクトルがどのように変化をするかを説明
するための図であり、自己位相変調(SPM)による各
最大位相変位(ここでは、最大位相変位を記号△φとし
て表す。)における光スペクトルの変化の測定波形図で
ある。各図は、それぞれ、横軸に周波数(各振動数ω)
を取り、縦軸に光強度を取って示してある。尚、横軸お
よび縦軸の単位は任意の単位としている。
【0009】図8の(A)は、入力(または入射)パル
スの光スペクトルで、光強度が弱いので光スペクトルに
変化を生ぜずにそのまま出力パルスとして光ファイバか
ら出力している例を示している。入力パルスの光強度が
増していくと、それに比例して位相変位(光スペクトル
の広がり)が生じ、この位相変位は光スペクトルの山の
数の増加として現れる。図6の(B)は山が2つ、
(C)は山が3つ、(D)は山が4つ、(E)は山が5
つ、(F)は山が6つとなっている。このように、入力
パルスの光強度の増加と出力パルスの光スペクトルの山
の数の増加とは関係があり、この関係を山の数Mと最大
位相変位△φとで表すと、文献IIより、 △φ=(M−1/2)π (2) の関係がある。尚、この最大位相変位は、図8の(B)
では△φ=1.5π、図8の(C)では△φ=2.5
π、図8の(D)では△φ=3.5π、図8の(E)で
は△φ=4.5πおよび図8の(F)では△φ=5.5
πである。
【0010】一方、非線形屈折率n2 は、媒質に依存す
る値であって、次式で与えられている。
【0011】 n2 =Aeff △φc/(ω00eff ) (3) ここで、Aeff はファイバの有効断面積、cは光速、ω
0 は入射光周波数、P0は入射光ピーク強度(W/cm2
)およびZeff は測定ファイバの実効長である。尚、
eff 、c、ω0 、Zeff は、測定時に予め知られてい
る値である。P0は測定により求められる値である。
【0012】従って、光スペクトルの山の発生とSPM
の幅(すなわち山の数M)とは密接の関係にあり、短パ
ルスの時間幅(s)、パワー(W)、光スペクトルの性
質、光ファイバの有効断面積(m2 )および長さ(m)
の条件を予め知っておけば、この光スペクトルの山の数
Mを知ることにより、(2)式より最大位相変位△φが
判り、従って、(3)式より非線形屈折率n2 を知るこ
とができる。
【0013】そこで、直接法による光ファイバの非線形
屈折率の測定は、次のようにして行われている(文献I
I)。被測定光ファイバに短時間幅光パルス(通常は、
100ps以下の持続時間のパルス)を入射させ、その
時の入射光強度に対して、光ファイバからの出力パルス
の光スペクトル変化を観察する。この光スペクトル変化
の観測は、自己位相変調(SPM)による最大位相変位
△φ(これは光スペクトルの山の数を意味する。)を測
定することによって行っていた。この測定のために用い
られている装置を図9に示す。
【0014】図9は、文献IIに開示されている従来
の、光ファイバの非線形屈折率の測定装置の一例を示す
該略図である。10はアルゴン−イオンレーザで音響光
学セルとrfドライバとで制御されて波長514.5n
mのレーザのモードロックパルスを発振する。12はア
イソレータで、ファラディ回転子と2つの偏光子とから
なり、レーザ10と光ファイバ14との間に設けてあ
る。光ファイバ14との光結合は対物レンズL1 および
2 で行っている。M1 およびM2 は光スペクトルをモ
ニタするためのビームスプリッターで、アイソレータ1
2とレンズL1 との間およびファイバ14とフォトダイ
オード16との間に設けてある。FP1 およびFP2
スキャンニング型ファブリペロエタロン(図示せず)
と、その後方に設けたパワーメータ(図示せず)と、こ
れに接続したオッシロスコープ(図示せず)とで主とし
て構成されていて光スペクトルを測定するための光スペ
クトル測定手段である。フォトダイオード16は、出力
パルスのパワーを測定するためのものである。
【0015】この装置で測定する場合、短パルスを被測
定光ファイバ14に入射させる。短パルスのパワーを変
化させることにより光スペクトル測定手段FP2 で光ス
ペクトルの変化を測定する。光スペクトルの変化は、光
スペクトルの極大ピークの数(山の数)の変化に対応す
るので、極大ピークの数Mを知れば非線形屈折率n2
知ることができる。この出力パルスの光スペクトルの山
の数Mを光スペクトル測定手段FP2 の高分解能スキャ
ンニング型ファブリペロエタロン(以下、SFPとも称
する。)で肉眼で直接観測するか、或いは、オッシロス
コープ上に表示された光スペクトルを肉眼で直接観測す
る(文献IIおよびIII)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来のS
FP或いはオッシロスコープ上での実際の測定では、山
すなわち極大ピークが4つあるからといって必ずしも極
大ピークが4個であるとの断定を下すことができない。
肉眼で観測するため、測定値である山の数を読むとき
に、個人差や読み取り誤差が大きくなってしまう。その
ため、一つの測定値を読み出すのに、例えば短パルス
(入力光パルス)の入力パワー(入射光強度)を微小変
化させて、光スペクトルの山の変化を観測することを、
数回以上繰り返して、極大ピークの数を数えて測定精度
を上げる必要があった。このため、1点のデータを測定
するのに時間が掛かり、しかも、入力光パルスの入射光
強度を連続的に変えて測定できず、不連続なすなわち離
散的な入射強度に対する光スペクトルの山の数の測定と
なってしまっていた。
【0017】そこで、従来より、光ファイバへの入射光
パルスの光強度の連続的変化に追従して、光スペクトル
変化を自動的に測定し、従って、測定値に個人差が入り
込まずに、精度よく、しかも、短時間で、光ファイバの
被線形屈折率を自動的に測定するための方法および装置
の実現が望まれていた。
【0018】
【課題を解決するための手段および作用】そこで、この
出願にかかる発明者等は、種々の研究および実験を繰り
返した結果、 光スペクトルの変化は、中心周波数で顕著に現れるこ
と、 被測定光ファイバを透過した出力光の光スペクトルの
山の数の変化には、入力パワー(入射光強度)の変化が
必要であり、この山の変化にはどの程度の入力パワーが
必要であるかを知ると、入力パワーの変化に対する位相
変位がわかる(両者の関係がわかる)こと、 光スペクトルの山の数は入力パワー(入射光強度:単
位はW/cm2 )の変化に対応した、中心周波数近傍で
のフィルタリング後の透過強度(出射光強度または出力
パワー(W/cm2 ))の変化を知ればわかること、す
なわち、被測定光ファイバへの入力パワーと、被測定光
ファイバからの、光スペクトルの中心周波数またはその
近傍の周波数での出力パワー(透過光強度)との関係を
表わすデータ曲線の極大・極小が、光ファイバからの出
力光の光スペクトルの山および谷に対応すること、 この極大や極小を与える入射光強度(入力パルスのピ
ーク強度とも言う。)P0 を求めれば、あとは最大位相
変位△φが求まれば、△φとP0 との関係直線が得ら
れ、この直線の傾きから、または、既に述べた(3)式
から、非線形屈折率n2 が求まること、 この最大位相変位△φは、既に述べた(2)式から、
入力光強度を小さい値から大きな値へと増大させる場合
には、△φの値の小さい方から順次に得られることが知
られているので、データ曲線に最初に現れた極小がM=
2すなわち△φ=1.5πに相当し、次に現れた極大が
M=3すなわち△φ=2.5πに相当し、さらに、次に
現れた極小がM=4すなわち△φ=3.5πに相当し、
次に現れた極大がM=5すなわち△φ=4.5πに相当
し、・・・というような関係にあり(図8参照)、従っ
て、これらの極大および極小に対応する入射光強度P0
に対応する最大位相変位△φを知ることができること、
および データ曲線の極大・極小を求めるには、この曲線の傾
きすなわち微分係数が零である点を求めれば、その点の
入射光強度で極大または極小となるので、入射光ピーク
強度P0 を知ることができることという結論に達した。
【0019】そこで、この発明の測定方法は、被測定光
ファイバに短パルスの入射光を入射させ、この入射光の
入射光強度の変化に対応した、被測定光ファイバを透過
してきた出射光の光スペクトルの変化からこの出射光の
最大位相変位を知り、その最大位相変位に対応する入射
光のピーク強度を求め、これらピーク強度と最大位相変
位とから被測定光ファイバの非線形屈折率を測定する方
法であって、入射光強度と離散的な値をとる最大位相変
位との対応関係を予め定めておき、光スペクトルの中心
周波数またはその近傍の周波数を中心とする狭い帯域に
限定して、この入射光強度と出射光強度との関係を表わ
す曲線を求め、この曲線の傾き(微分係数)が零となる
入射光強度を入射光のピーク強度として求め、予め定め
ておいた対応関係から、求められた入射光のピーク強度
がどの最大位相変位に対応するか決定してその最大位相
変位を求めるという各処理を含むことを特徴とする。
【0020】この構成による作用につき説明する。最大
位相変位の小さい値が入射光強度の弱い側に該当し、最
大位相変位のより高い値が入射光強度のより強い側に該
当しているという両者の対応関係が予めわかっており、
そして、この関係は被測定光ファイバの種類に拘らず成
立するので、この関係を予め定めておく。
【0021】次に、被測定光ファイバに狭い帯域の短パ
ルスを入射させてその時の入射光強度と出射光強度との
関係を求める。このとき入射光の光強度を連続的に変え
て測定する。この場合、入射光の性質として、△ν×△
t(ここで、△νは短パルスの光スペクトルの半値幅で
あり、△tは短パルスの時間の半値幅である。)はでき
るだけ小さくする必要があることは物理的に周知事項で
あり、従って、観察の対象となる光スペクトルの帯域を
このようにできるだけ狭い帯域とすることによって光ス
ペクトルの変化をより詳細かつ確実に測定できる。この
測定も、中心周波数ω0 またはその近傍の周波数を中心
とする狭い帯域に限定して、例えば△νまたはそれ以下
の帯域幅で、行う。そして、入射光強度の変化に対応し
た出力光強度をプロットすると、山と谷とを交互に有す
る曲線(データ曲線)となり、この曲線に極大・極小が
あることがわかる。この極大・極小は光スペクトルの山
の変化に対応して現れるので、この曲線の傾きすなわち
微分係数が零となる点を求めると、その点が極大点また
は極小点の位置であり、従って、その点での入射光強度
を入射光のピーク強度の値として知ることができる。そ
して、入射光強度を弱い方から順次に連続的に強い方へ
と変化させているので、この極大や極小が何番目に生じ
ているかがわかる。よって、先に説明した対応関係から
この極大・極小、すなわちその入射光のピーク強度がど
の最大位相変位の値に対応しているかがわかる。入射光
のピーク強度とこれに対応する最大位相変位の両者の値
がわかれば、(3)式から非線形屈折率n2 をマニュア
ルまたは自動的に計算により求めることができる。
【0022】この発明の実施に当たり、好ましくは、入
射光強度を小さい強度から大きい強度へと連続的に変え
るのが良い。このようにすれば、入射光強度と離散的な
値をとる最大位相変位との対応関係がわかりやすくな
る。
【0023】また、この発明の実施に当たり、好ましく
は、狭い帯域を、入射光としての短パルスの光スペクト
ルの半値幅(△ν)以下とするのが良い。このようにす
れば、光スペクトルの山の変化を詳しく観測することが
できる。この場合、特に、使用する光源の出す光の時間
幅に応じて光スペクトルの半値幅も決まるが、好ましく
は、半値幅(△ν)を13GHz程度とするのが良い。
【0024】次に、この発明の測定装置は次のような特
徴を有する。この装置は、被測定光ファイバへの入射光
を短パルスとして入射させるための短パルス光源と、こ
の入射光の光強度を連続的に調整できるパワー可変装置
と、この被測定光ファイバからの出射光の光スペクトル
を選択する光スペクトルフィルタと、この被測定光ファ
イバへの入射光の光強度(これは短パルス光源の出射光
の光強度に対応するが、ここでは入射光強度と称す
る。)を測定するための入射側パワーメータと、この光
スペクトルフィルタの後段に設けられ、この光スペクト
ルフィルタの出射光の光強度(ここでは出射光強度と称
する。)を測定するための出射側パワーメータと、この
入力側および出射側パワーメータの出力が供給されて、
この入射光強度と出射光強度との関係を表わす曲線を求
めて、この曲線の微分係数が零となる入射光強度を入射
光のピーク強度として少なくとも求めるための測定部
と、この測定部の出力を表示する表示装置とを具えるこ
とを特徴とする。
【0025】この構成によれば、短パルス光源から被測
定光ファイバへ入射する短パルス(入力光パルスすなわ
ち入射光)の光強度(パワー)を、パワー可変装置で、
パワーが増大または減少する方向へと連続的に変えるこ
とができる。そして、この被測定光ファイバへの入射光
の光強度を入射側パワーメータでモニタしながら、その
結果を測定部へ入力する。被測定光ファイバを通過した
透過光(出力光パルスすなわち出射光)を、一旦光スペ
クトルフィルタに通して波長を選択した後、フィルタ通
過後の出射光の光強度を出射側パワーメータでモニタし
ながら、その結果を測定部へ入力する。このフィルタリ
ングにより帯域幅の狭い領域での光スペクトルの変化を
詳細に観測でき、従って、出射光の光強度の変化を詳細
に検出できる。測定部では、この両光強度の入力に基づ
いて、入射光強度と出射光強度との関係を表わす曲線を
求めていき、同時にその曲線の微分係数が零となる入射
光強度を求め、その値を表示装置であるディスプレイ装
置で表示させるか、或いはプリンタで打ち出して表示す
ることができる。この微分係数が零となる点での入射光
強度がピーク強度であり、このピーク強度が入射光強度
を変化させていったとき、何番目に求まったピーク強度
であるかを知れば、既に説明した式(2)から山の数が
定まるので、このピーク強度に対応する最大位相変位が
わかる。従って、この測定装置の結果を用いれば、その
後は、少なくともマニュアル計算で、式(3)から非線
形屈折率を求めることができる。
【0026】この発明の装置の好適実施例によれば、測
定部に、メモリを設けておき、このメモリには入射光強
度と非線形屈折率との関係をこの入射光強度をアドレス
として予め記憶しておき、このメモリから入射光のピー
ク強度に対応した非線形屈折率を読み出しできるように
しておくのが良い。このようにすれば、入射光強度と出
射光強度曲線から求めたピーク強度から、直接、非線形
屈折率を自動的に読み出して測定部から表示装置に出力
することができる。尚、この測定部をマイクロコンピュ
ータを用いて構成するのが好ましい。
【0027】また、好ましくは、短パルス光源には、短
時間幅パルス発生半導体レーザと、この半導体レーザか
らの光を波形整形のための光スペクトルフィルタと、こ
の光スペクトルフィルタからの波形整形済みの光を増幅
するエルビューム添加ファイバ増幅器とを少なくとも設
けておくのが良い。このようにすれば、半導体レーザか
らのレーザ光を光スペクトルフィルタでトリートメント
して光スペクトルの半値幅(△ν)が所望の半値幅の短
パルスにすることができ、また、エルビューム添加ファ
イバ増幅器によって、パワー可変装置へ入力する波形整
形済みの短パルスの光強度を適当な光強度へと増幅させ
ることができる。
【0028】また、この発明の装置では、好ましくは、
パワー可変装置を、短パルス光源の構成要素として光ス
ペクトルフィルタの後段に設けておくのが良い。
【0029】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の光ファイ
バの非線形屈折率の測定方法および測定装置の実施例に
つき説明する。尚、この実施例では、測定方法と装置と
を合わせて説明する。また、以下説明する実施例は、こ
の発明の好適例であるので、この発明はこの好適例にの
み限定されるものではないことは当業者に明らかであ
る。
【0030】図1は、この発明の測定方法を実施するた
めの測定装置の一実施例の概略を示してある。この発明
の測定装置は、主要構成要件として、短パルス光源20
と、パワー可変装置30と、光スペクトルフィルタ40
と、入射側パワーメータ50と、出射側パワーメータ6
0と、測定部70と、表示装置80とを具えていて、こ
の装置の短パルス光源20と光フィルタである光スペク
トルフィルタ40との間に被測定光ファイバ100を光
結合させて、この被測定光ファイバ100の非線形屈折
率を測定しようとする構成となっている。以下、これら
構成要件につき順次説明する。
【0031】短パルス光源20は、被測定光ファイバ1
00への入射光を短パルスとして入射させるための光源
であり、この実施例では、短時間幅パルス発生半導体レ
ーザすなわち半導体レーザ(発振器)21としてのゲイ
ンスイッチDFB半導体レーザ、光フィルタである第一
光スペクトルフィルタ22、エルビューム添加ファイバ
増幅器(EDFA:以下、単にアンプとも称する。)2
3、光フィルタである第二光スペクトルフィルタ24お
よびカプラ25で主として構成してある。この実施例で
は、この短パルス光源20のアンプ23と第二光スペク
トルフィルタ24との間に上述したパワー可変装置30
を光結合させて設けてある。尚、アンプ23および第二
光スペクトルフィルタ24は所要に応じて設ければ良
い。
【0032】半導体レーザ21として、例えば、安藤電
気(株)社製の商品番号AQ−4158Bを用いてお
り、これより波長が1.55μmの、かつ、30psの
時間幅で波長幅1nmの光パルスを発振する。この光パ
ルスを第一光スペクトルフィルタ22でいわゆるトラン
スフォームリミテッドの光に整形(トリートメント)す
る。この整形により光パルスの半値幅(△ν)を、分解
能が最小となるように、予め決めておく。このため、好
ましくは、時間幅(△t)と半値幅(△ν)との積(す
なわち△t×△ν)が0.4程度となるようにするのが
良い。このようにすると、光パルスの半値幅△νを13
GHz程度とすることができるので、光として存在する
ときの最小単位、すなわち、光が純粋に1つとして存在
する光パルスを得ることができる。従って、この光の光
強度を連続的に変えていったときに、光ファイバ100
を通過した短パルスの光スペクトルがSPMに起因して
変化するが、この変化を、光スペクトルの山や谷の沸き
出しとして、明確に測定することができる。尚、この光
スペクトルの沸き出しは、丁度、泉の沸き出しにより順
次に波紋が湧き出て広がるのと同じように見えるので、
ここでは「沸き出し」と表現した。このようにして得ら
れた波形整形済み光の光スペクトルの例を図2の(A)
に示す。ここで、この光スペクトルの中心波長を振動数
でω0 で示してある。
【0033】このような波形整形済みの光パルスの時間
幅△tと波長幅△νとを測定する。そのため、この実施
例では、時間幅測定装置26および波長幅測定装置27
を、第一光スペクトルフィルタ22とアンプ23との間
の光路で光パルスの時間幅と波長幅とを測定できるよう
に、設けてある。
【0034】次に、この光パルスをアンプ23に入力し
て20dB程度上げて10mW程度にまで増幅させ、こ
の増幅後の光パルスをパワー可変装置30に入射させ
る。このパワー可変装置30では、入射光の光強度(入
射光強度という。)を連続的に調整して調整済の光パル
スをこれより出射させる。このパワー可変装置30を、
好ましくは、周知の構造の可変アッテネータ(例えば、
ヒューレットパッカード社製の商品番号8157A)で
構成するのが良い。このアッテネータ30では、入射光
の光強度をdB単位で小さい値PL から大きい値PH
(例えばPH =10PL )へと連続的に変えて出射す
る。さらに、この実施例では、この出射光パルスを第二
光スペクトルフィルタ24でトリートメントして整形し
た後、光カプラ25を介して、被測定光ファイバ100
へ入射させるとともに、光カプラ25から入射側パワー
メータ60へ入射させる。この実施例では、カプラ25
として、通常の1入力−2出力の光ファイバ型のカプラ
を用いている。
【0035】被測定光ファイバ100として、ここでは
例えば10〜20km程度の長さであって、1.55μ
mの波長の光に対応する光ファイバとする。この光ファ
イバ100を短パルスの光が透過するとき、既に説明し
たようにSPMに起因して、光パルスの光強度に応じて
光スペクトルの広がりが生ずる。この光パルスの光強度
は、アッテネータ30によって弱い方から強い方へと順
次に変えられていくので、一番弱い強度の光パルスの光
スペクトルに対してより強い強度の光パルスの光スペク
トルの方が広がってくる。この光スペクトルの広がりに
対応して、光スペクトルの山のピーク値はそれほど変化
しないが、その代わりに、光スペクトルの山が割れて山
の数が2個、3個、4個、・・・というように、中心波
長またはその近傍の波長を中心として順に沸き出すよう
に、増大する。すなわち、光スペクトルの幅の変化は光
スペクトルの山の数の変化に対応する。
【0036】図2は、光スペクトルの変化と最大位相変
位との関係の一例を説明するための図であり、横軸に波
長を周波数ωでプロットし、縦軸には光スペクトル強度
を任意の単位でプロットして示してある。そして各図
は、光スペクトルを中心周波数ω0 を縦方向に揃えて縦
方向に並べて示してある。そして、例えば、図2の
(A)で示す単峰光スペクトルの状態からの山の変化の
状態を、最大位相変位△φが1.5π、2.5π、3.
5π、4.5π、5.5πとなる場合につき、図2の
(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に順次に示
す。この光スペクトルの沸き出しは、従来装置の場合と
同様にして干渉計等を用いて肉眼で観測することもでき
るが、この発明では、そのような観測或いは測定手段を
使用せずに、後述するように自動的にこの光スペクトル
の変化を測定する。
【0037】そのため、被測定光ファイバ100から出
射した光パルスを光スペクトルフィルタ40に入射させ
てこの光パルスの光スペクトルから中心波長ω0 を中心
として帯域幅△ν(入力光パルスの半値幅=13GHz
に対応する。)以下の波長帯域の光スペクトルのみの光
を選択して出射させる。このように、狭い帯域だけを切
り出して光スペクトルのパワーを測定するのは光スペク
トルの微小変化を光学的に確実にとらえて、光スペクト
ルの山の変化を確実に電気的に測定するためである。こ
の実施例では、このスペクトルを切り出す帯域の幅を△
ν=13GHz幅とする。
【0038】図3は、図2の各光スペクトルに対応し
て、中心周波数ω0 を中心とした帯域幅△νで波長選択
された状態を示す図であり、横軸に波長を周波数ωでプ
ロットし、縦軸には光スペクトル強度を任意の単位でプ
ロットして示してある。そして各図は、光スペクトルを
中心周波数ω0 を縦方向に揃えて縦方向に並べて示して
ある。図3の(A)は、光スペクトルの広がっていな
い、入力光パルスに対応する状態の光スペクトルであ
り、図3の(B)、(C)、(D)、(E)、(F)は
図2の(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に対応
した、抽出された光スペクトルをそれぞれ実線で示して
いる。尚、図3中、点線部分は被測定光ファイバ100
からの出射光の光スペクトルとして存在している部分で
あるが、この光スペクトルフィルタ40で切り落とされ
た部分でもある。
【0039】この光スペクトルフィルタ40からの光パ
ルスを後段に設けられた出射側パワーメータ50に入射
させてそのパワーを被測定光ファイバ100の透過光強
度として測定する。一方、既に説明した通り、入射側パ
ワーメータ60には入射光パルスが入力しているので、
そのパワーを測定できる。両パワーメータ50および6
0は、通常光学の測定に用いられていて測定精度等がこ
の発明の装置に適当であると認められる装置を使用すれ
ば良い。これらパワーメータ50および60の測定デー
タを測定部70に入力させて、この測定部70で、入射
光強度と出射光強度との関係を表わす曲線を求め、しか
も、この曲線の微分係数が零となる入射光強度を少なく
とも求める。ここで求まった入射光強度が入射光のピー
ク強度でもある。
【0040】次に、この測定部につき説明する。測定部
70は主としてマイクロコンピュータで構成する。マイ
クロコンピュータは、図示せずも、通常は、CPU(中
央処理装置)、メモリ、入出力装置その他の装置を含ん
でおり、さらに、この測定部にはマイクロコンピュータ
には外部から情報を入力できるキーボード等の入力手段
(図示せず)を設けてある。そして、好ましくは、この
メモリには、入射光強度と非線形屈折率との関係をこの
入射光強度をアドレスとして予め記憶させておき、か
つ、この入射光のピーク強度に対応した非線形屈折率を
読み出しできる状態にしておく。
【0041】次に、図4を参照して、この測定部70の
動作フローの一例につき説明する。尚、この動作例を説
明するに当たり、コンピュータ制御に必要な動作条件そ
の他は当然に設定されているものとし、ここではこの制
御自体に発明の特色があるのではないので、それらの説
明はここではその詳細を省略する。この実施例では、入
射側パワーメータ60の出力および出射側パワーメータ
50の出力をそれぞれPIN(t)およびPOUT (t)
(但し、tは時間を表わすパラメータ)で表わす。ま
た、処理ステップをSで表わす。測定部70が始動する
と、CPUがPIN(t)およびPOUT (t)をメモリへ
と読み込んで一旦記憶する(S1)。一方、この記憶さ
れたデータPIN(t)およびPOUT (t)を、タイミン
グを取りながらメモリから読み出して(S2)、P
IN(t)およびPOUT (t)の関係を表わす入出力光強
度曲線を形成する(S3)。この曲線は表示装置80で
表示させてもよいが、表示させなくてもよい。この曲線
の一例を図6に示す。図6の横軸に入射光強度をプロッ
トして示してあるが、その単位はアッテネータ30の相
対指示値をdB単位で示してある。この図の縦軸には、
被測定光ファイバ100を透過して波長選択された後の
光パルスの光強度(出射光強度)を相対値でプロットし
て示してある。
【0042】図6において、横軸を例えばアッテネータ
の目盛りで表示しても良く、この例では、横軸の一番左
側の目盛りは10であって一番右端の目盛りは0であ
り、その間の入射光強度は目盛り10に対し目盛り0で
の光強度はdB単位で丁度10倍となっている。この横
軸の入射光強度に対し透過光強度すなわち出射光強度を
プロットすると、山と谷のある曲線(透過光強度が入射
光強度の関数曲線となっている。)となる。図示の例で
は、最初に山の極大値P(0)が現れ、次に谷の極小値
P(1)が現れ、次に山の極大値P(2)が現れ、とい
うように順次にその後にも極小値P(3)、極大値P
(4)・・・が現れる。P(0)は単峰光スペクトルの
最大値であるので、ここではこれを除き、その次から現
れるピーク値に注目する。光スペクトルの山や谷の数は
入射光強度が増大して行くと増えて行くので、この曲線
の極大値および極小値もそれに応じて発生する。従っ
て、最初の山の次に発生した谷の極小値P(1)は山の
数Mが2の場合に対応するので、既に説明した式(2)
からこれに対応する最大位相変位△φ(1)は1.5π
となり、これは丁度図3の(B)の光スペクトルに対応
する。また、このときの入射光強度従って入射光ピーク
強度が横軸の読みからP0 (1)であることが判る。同
様に、次の山の極大値P(2)はMが3の場合に相当す
るので、最大位相変位△φ(2)は2.5πであり、こ
れは丁度図3の(C)の光スペクトルに対応し、これに
対応する入射光ピーク強度がP0 (2)である。同様に
してP(3)はM=4に相当して△φ(3)が3.5π
(これは丁度図3の(D)の光スペクトルに対応)で入
射光ピーク強度がP0 (3)となり、P(4)はM=5
に相当して△φ(4)は4.5π(れは丁度図3の
(E)の光スペクトルに対応)で入射)で入射光ピーク
強度がP0 (4)となり、このように順次に最大位相変
位と入射光ピーク強度との関係が判る。
【0043】そこで、この発明では、この入射光強度と
出射光強度との関係を表わす曲線の極大点および極小点
をその曲線の微分係数が零となる条件から自動的に検出
してそれに対応する入射光ピーク強度を自動的に読み出
す。そのため、この実施例では、メモリから微小時間だ
け異なるt1 およびt2 でのPIN(t1 )とPIN(t
2 )およびPOUT (t1 )とPOUT (t2 )をそれぞれ
読み出してきて△PIN(t)(=ーPIN(t1 )−PIN
(t2 )ー)を求めるとともに(S4)、△POU T
(t)(=ーPOUT (t1 )−POUT (t2 )ー)を求
め(S5)、それぞれを、一旦、メモリに記憶してから
読み出して、或いは、直接これらの値を用いて、曲線の
傾きである微分係数△D=△POUT (t)/△P
IN(t)を求める(S6)。
【0044】次に、この△Dが△D=0であるかを判定
し(S7)、零(0)でなければステップのS1に戻
る。△D=0であれば、それを適当なカウンタにカウン
トしておいて今回が何回目の零であるかをカウントする
(S8)。カウントがN(但しNは正の整数)であれ
ば、N≧2かどうかをしらべ(S9)、N=1であると
きは、まだ光スペクトルが2つに割れていないので、ス
テップのS1へ戻る。N≧2である場合には、変化して
2つ以上に割れているので、微分係数△D=△POUT
(t)/△PIN(t)=0を与えた入射光強度PIN(t
1 )またはPIN(t2)がP0 (M)であるので、これ
をメモリから読み出す(S10)。尚、このカウント数
Nは光スペクトルの山の数MとN−1=Mの関係にあ
る。N=2であるとM=1であるので、入射光強度P0
(1)が入射光のピーク強度となる。このようにして、
順次に生ずる微分係数△D=0から、これに対応する入
射光のピーク強度P0 (2)、P0 (3)、P0 (4)
・・・をメモリから読み出してきて、これらをカウント
数Nと関連付けてメモリに記憶させる(S10)。次
に、何回目に△D=0となったかを検出し、その回数N
をメモリから読み取る(S11)。このステップS11
の後は図5の動作フローに続く。
【0045】次に、入射光のピーク強度P0 (M)から
最大位相変位△φ(M)をメモリから読み出す(S1
2)。そのため、予め、メモリには入射光強度とこの離
散的な値をとる最大位相変位との対応関係を記憶させて
おく。その手法として、この実施例では、好ましくは、
カウント数Nを用いてこの対応関係を付けておく。この
Nがわかれば、N−1=Mの関係および既に説明した
(2)式の関係から、このNに対応した最大位相変位△
φ(M)の値がわかる。例えば、数Nの値2,3,4,
・・・に対応して△φ(M)の値は1.5π,2.5
π,3,5π,・・・の値を取る。一方、このNの値と
入射光強度との関係は、光強度を強めていくに従って、
対応曲線の微分係数△Dが零となる回数が増えていくこ
ともわかっているので、Nの小さい値(但し、N≧2)
から順に最大位相変位△φに対して1.5π,2.5
π,3,5π,・・・の値を割り当てておけば良い。
【0046】このようにしておけば、Nをカウンタから
読み出して、これに対応する入射光強度すなわちここで
は入射光のピーク強度P0 (2)、P0 (3)、P0
(4)・・・がわかり、また、これらピーク強度P0
(2)、P0 (3)、P0 (4)・・・に対応する最大
位相変位△φ1.5π,2.5π,3,5π,・・・の
値を知ることができる。
【0047】図7は、このピーク強度P0 (横軸にプロ
ットしてある。)と最大位相変位△φ(縦軸にプロット
してある。)との関係をプロットして示した直線図であ
る。この図7には、3本の被測定光ファイバにつき測定
した結果を示している。直線Iは、(Aeff c/ω0
eff が26.7[W-1]の光ファイバであり、直線I
Iは、(Aeff c/ω0 )Zeff が18.7[W-1]の
光ファイバであり、直線IIIは、(Aeff c/ω0
eff が15.3[W-1]の光ファイバである。このよ
うに、このピーク強度P0 と最大位相変位△φとの関係
は実質的に直線関係となる。尚、この図7において、各
直線は原点(0,0)から始まっている。その理由は、
入射光強度が零であるときは、光ファイバ中では位相変
位が起こらないので、最大位相変位は零であり、従っ
て、非線形屈折率も零である。このため、これらの直線
は必ず原点(0,0)から始まる。
【0048】このように、この発明では、ピーク強度P
0 (M)とこれに対応する最大位相変位△φ(M)とが
わかるので、既に説明した(3)式を用いて、この直線
の傾きを知れば、非線形屈折率を知ることができる。そ
のため、これらの値をメモリから読み出してきて、これ
らの値の比(△φ(M)/P0 (M))を求める(S1
3)。この比の値(△φ(M)/P0 (M))を既に説
明した(3)式に代入して非線形屈折率n2 を求めるこ
とができる(S14)。その結果をメモリに記憶させる
と共に、所要に応じて出力させて(S15)、表示装置
80で表示させる。
【0049】次に、以上の処理ステップをリピートする
か判定し(S16)、リピートの必要がある場合には図
4のステップS1に戻る。リピートの必要がないと判定
されれば、この一連の処理を終了する。
【0050】上述した実施例では、入射光強度とこの離
散的な値をとる最大位相変位との対応関係を、入射光強
度と出射光強度との関係を表わす曲線の微分係数△Dが
零となるカウント数Nを用いて、付けている。そこで、
入射光強度を弱い強度から強い強度へと順に可変させて
いって微分係数△Dをモニタする場合には、予め、各最
大位相変位の値に対して、入射光強度と非線形屈折率と
の関係をテーブル(表)状にしてメモリに記憶させてお
く。そのようにすれば、微分係数△Dが零を与える入射
光のピーク強度をアドレスとして非線形屈折率を読み出
すことができる。このとき、ピーク強度が小さい値から
大きい値となる順に、最大位相変位の小さい値から大き
い値へと対応付けて非線形屈折率をメモリしておけば良
い。
【0051】上述した実施例では、最大位相変位△φを
求めた後、マイクロコンピュータを利用して非線形屈折
率n2 を求めているが、そのようにする代わりに、最大
位相変位とピーク強度P0 とを表示装置80で表示させ
て、これら値を用いて筆算により非線形屈折率を求めて
もよいし、或いは、非線形屈折率n2 と△φ/P0 との
関係をグラフにしておいて、このグラフを読み取ってn
2 を求めてもよい。
【0052】
【発明の効果】上述した説明からも明らかなように、こ
の発明の非線形屈折率の測定方法および装置によれば、
被測定光ファイバに対する入射光強度とこれよりの出射
光強度(透過光強度)との関係曲線の微分係数が零とな
る位置から、入射光のピーク強度P0 とこれに対応する
最大位相変位△φとを求め、これらの両者から△φ/P
0 を求め、さらにこの値△φ/P0 から非線形屈折率n
2 を求めている。従って、従来の場合のような、光スペ
クトルの山の数の変化を干渉計およびオッシロスコープ
上で肉眼で観測することはないので、この発明の方法お
よび装置では、測定の自動化を図れる、そのため、測定
誤差が生ずるおそれが少なく、短時間に、精確に入射光
のピーク強度とそれに対応する最大位相変位とを測定で
きる。
【0053】例えば、図7に示すように、各直線の付近
に付した小丸印は、従来方法で肉眼で測定して得た場合
のピーク強度P0 と最大位相変位△φとの関係を示して
いるが、同一の最大位相変位に対する入射光のピーク強
度にバラツキ(横軸方向に沿って小さな白丸印が重なら
ないでずれている。)が生じているのがわかる。これに
対し、この発明の方法であると、ピーク強度P0 と最大
位相変位△φとの関係は直線的になっているので、最大
位相変位に対するピーク強度を正確に求めることでき
る。
【0054】また、この発明の方法および装置によれ
ば、被測定光ファイバへの入射光強度を連続的に可変さ
せながら入射光のピーク強度とそれに対応する最大位相
変位とを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の測定装置の概略図である。
【図2】(A)〜(F)は、この発明の説明に供する、
光スペクトルの変化と最大位相変位の例を示す図であ
る。
【図3】(A)〜(F)は、この発明の説明に供する、
被測定光ファイバを透過した光を光スペクトルフィルタ
で波長選択して出射した光パルスの一例を示す図であ
る。
【図4】この発明の実施例の説明に供する動作フロー図
である。
【図5】この発明の実施例の説明に供する、図4の動作
フローに続く動作フロー図である。
【図6】この発明の説明に供する、入射光強度と出射光
強度との実測データの一例を示す関係曲線図である。
【図7】この発明および従来の測定方法および装置の説
明に供する、最大位相変位と入射光のピーク強度との関
係を示す直線図である。
【図8】(A)〜(F)は、この発明および従来の測定
方法および装置の説明に供する、SPMによる最大位相
変位における光の変化の測定例を示す図である。
【図9】従来装置の説明図である。
【符号の説明】
20:短パルス光源 21:半導体レーザ 22:第一光スペクトルフィルタ 23:エルビューム添加ファイバ増幅器(EDFA) 24:第二光スペクトルフィルタ 25:カプラ 26:時間幅測定器 27:波長幅測定器 30:パワー可変装置 40:光スペクトルフィルタ 50:出射側パワーメータ 60:入射側パワーメータ 70:測定部 80:表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−221959(JP,A) 特開 平4−192386(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/08 H04B 3/46 - 3/48 H04B 17/00 - 17/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定光ファイバに短パルスの入射光を
    入射させ、該入射光の入射光強度の変化に対応した、該
    被測定光ファイバを透過してきた出射光の光スペクトル
    の変化から該出射光の最大位相変位を知り、該最大位相
    変位を与える、前記入射光のピーク強度を求めて当該被
    測定光ファイバの非線形屈折率を測定するに当たり、 前記入射光強度と離散的な値をとる前記最大位相変位と
    の対応関係を予め求めておき、 前記光スペクトルの中心周波数またはその近傍の周波数
    を中心とする狭い帯域に限定して、前記入射光強度と出
    射光強度との関係を表わす曲線を求め、 該曲線の傾き(微分係数)が零となる入射光強度を入射
    光のピーク強度として求め、 前記対応関係を用いて該入射光のピーク強度から非線形
    屈折率を求めることを特徴とする光ファイバの非線形屈
    折率の測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光ファイバの非線形屈
    折率の測定方法において、前記入射光強度を小さい強度
    から大きい強度へと連続的に変えることを特徴とする光
    ファイバの非線形屈折率の測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光ファイバの非線形屈
    折率の測定方法において、前記狭い帯域を、前記入射光
    としての短パルスの光スペクトルの半値幅(△ν)以下
    とすることを特徴とする光ファイバの非線形屈折率の測
    定方法。
  4. 【請求項4】 被測定光ファイバへの入射光を短パルス
    として入射させるための短パルス光源と、 該入射光の光強度を連続的に調整できるパワー可変装置
    と、 前記被測定光ファイバからの出射光の光スペクトルを選
    択する光スペクトルフィルタと、 前記被測定光ファイバへの入射光の光強度(この光強度
    を入射光強度と称する。)を測定するための入射側パワ
    ーメータと、 前記光スペクトルフィルタの後段に設けられ、該光スペ
    クトルフィルタの出射光の光強度(この光強度を出射光
    強度と称する。)を測定するための出射側パワーメータ
    と、 該入射側および出射側パワーメータの出力が供給され
    て、入射光強度と出射光強度との関係を表わす曲線を求
    めて、該曲線の微分係数が零となる、前記入射光強度を
    入射光のピーク強度として少なくとも求めるための測定
    部と、 該測定部の出力を表示する表示装置とを具えることを特
    徴とする光ファイバの非線形屈折率の測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の光ファイバの非線形屈
    折率の測定装置において、 前記測定部は、前記入射光強度と前記非線形屈折率との
    関係を前記入射光強度をアドレスとして記憶されてお
    り、かつ、前記入射光のピーク強度に対応した前記非線
    形屈折率を読み出しできるメモリを具えていることを特
    徴とする光ファイバの非線形屈折率の測定装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の光ファイバの非線形屈
    折率の測定装置において、 前記短パルス光源は、短時間幅パルス発生半導体レーザ
    と、該半導体レーザからの光を波形整形するための光ス
    ペクトルフィルタと、該光スペクトルフィルタからの波
    形整形済みの光を増幅するエルビューム添加ファイバ増
    幅器とを少なくとも具えることを特徴とする光ファイバ
    の非線形屈折率の測定装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光ファイバの非線形屈
    折率の測定装置において、 前記パワー可変装置を、前記短パルス光源の構成要素と
    して前記光スペクトルフィルタの後段に設けたことを特
    徴とする光ファイバの非線形屈折率の測定装置。
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