JP3248559B2 - 光ファイバ零分散波長分布の測定方法および測定装置 - Google Patents

光ファイバ零分散波長分布の測定方法および測定装置

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JP3248559B2 JP10976795A JP10976795A JP3248559B2 JP 3248559 B2 JP3248559 B2 JP 3248559B2 JP 10976795 A JP10976795 A JP 10976795A JP 10976795 A JP10976795 A JP 10976795A JP 3248559 B2 JP3248559 B2 JP 3248559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバ分散値の測
定方法に関する。特に、ファイバ長手方向の零分散波長
の分布を把握するための光ファイバ零分散波長分布の測
定方法および測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバの分散値を測定する方法とし
て、米国特許第4,752,125号,C.Lin,e
t al.(Bell syst.Tech.J.,1
983,62,pp.475−462),P.J.Ve
lla,et al.(Electron.Let
t.,1984,20,pp.167−168),B.
Costa,et al.(IEEE J.Quant
um Electron.,1982,QE−18,p
p.1509−1515),特開昭63−309833
号公報,M.Stern,et al.(IEEE
J.LightwaveTechnol.,1992,
10,pp.1777−1780)等が光ファイバの総
分散値を測定する方法を提案している。米国特許第4,
752,125号およびC.Lin,et al.の方
法は、2波長のパルスの伝搬後のそれらの時間的ずれか
ら群速度遅延時間差を測定して光ファイバ両端間の総分
散値を求める。
【0003】P.J.Vella,et al.および
B.Costa,et al.の方法は、正弦状に変調
した2波長の光を伝搬後にそれらの位相差から群速度遅
延時間差を測定して光ファイバ両端間の総分散値を求め
る。
【0004】特開昭63−309823号公報および
M.Sternの方法は、零分散波長に等しい波長の高
強度光の電力が非線形効果により他の波長の光に変化さ
れることを利用し、伝搬後の光スペクトルにおいて過剰
な損失を受けている波長を零分散波長として決定する。
この方法は、平均的な零分散波長を測定する。しかし、
上述した全ての方法では、光ファイバ中の零分散波長の
分布を測定するには、光ファイバを切断し、切断された
光ファイバのそれぞれについて零分散波長を測定しなけ
ればならなかった。
【0005】上述した従来技術の一例として、波長が異
なる2つの光パルスを被測定光ファイバに入射し、その
出射端における群遅延時間差を測定して総分散値を測定
する測定装置の構成を図1に示す。
【0006】この装置は、パルス発生器1、パルス発生
器1の出力パルスに応じて動作する光源駆動部2a,2
b、光源駆動部2aによって駆動される波長λ1 の光源
3、光源駆動部2bによって駆動される波長λ2 の光源
4、光源3,4から出力される光パルスを合波して被測
定光ファイバ6に入射する合波器5、被測定光ファイバ
6の出力光を受光する高速受光器7、高速受光器7の出
力を観測するサンプリングオシロスコープ8で構成され
ている。
【0007】本構成では、波長λ1 ,λ2 の2つの光パ
ルスを被測定光ファイバ6に入射し、その出射端の高速
受光器7で各光パルスを受光し、その群遅延時間差Δτ
をサンプリングオシロスコープ8で観測する。そして、
ファイバ長手方向に沿った波長分散値の平均値Dave
【0008】
【数1】 Dave =Δτ/{(λ1 −λ2 )・L} …(1) により求める。ここで、Lは被測定光ファイバ6の長さ
である。
【0009】以上の説明から明らかなように、この測定
装置で得られるものは、光ファイバの両端間での総分散
量からの単位長さ当たりの分散値、すなわち平均分散値
である。
【0010】一方、信号の伝送速度の高速化につれ、特
に例えば光ソリトン伝送のように、光ファイバの局所的
な分散値の把握が設計上必要になる場合がある。この場
合の分散は導波路分散と材料分散の和である全分散であ
る。なお、高速度伝送の場合にはシングルモードファイ
バが使用されるので、モード分散を考慮する必要はな
い。
【0011】光ファイバの分散値の分布を測定する方法
が、M.Ohasi,et al.(Electro
n.Lett.1993,29,pp.426−42
8)およびC.Unger,et al.(Tech.
Digest Symp.onOptical Fib
er Measurement,Boulder(19
94),pp.65−68)に開示されている。これら
の方法は、光ファイバ両端から測定したOTDR波形か
らモードフィールド径の分布を推定し、その分布から構
造分散の分布を推定する。しかし、これらの方法では、
モードフィールド径からの分散値を間接的に推定する手
法であるため誤差が大きい。また、分布が推定できるの
は全分散でなく導波路分散のみである。
【0012】また、さらに被測定ファイバ両端でのアク
セスが必要であるという問題がある。
【0013】特開平2−281122号公報には、光フ
ァイバの分散値の分布を求める技術が開示されている。
この技術は波長λpuの励起パルスと波長λprの探査光の
相対的な遅延時間差が励起パルスの鋸歯状波によってラ
マン増幅に変換されることを利用する。しかし、鋸歯状
の高出力励起パルスを作るのが難しいので、この技術は
実用的ではない。
【0014】励起光パルスにより探査光を直交偏波に打
ち抜き、これを受信端で観測することにより分布情報を
得ることも考えられる。この方法は探査光の波長を変調
し、これがファイバの分散により振幅変調に変換される
ことを利用(分散が大きければ振幅も大きくなる)す
る。この方法には、被測定ファイバ両端でのアクセスが
必要であるという問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】要するに、従来法では
分散がファイバ長手方向にどのように分布しているか、
あるいは零分散波長がどのように分布しているかを把握
することができず、あるいは著しく困難であった。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、被測定
光ファイバの長手方向における零分散波長の分布を測定
する方法を提供することである。
【0017】本発明の他の目的は、かかる測定のための
装置を提供することにある。
【0018】本発明による光ファイバ零分散波長分布の
測定方法は、被測定光ファイバ内に光パルスまたは光パ
ルスと励起光を入射し、前記被測定光ファイバの長さ方
向の光パルスの電力分布を示す光パルスの後方散乱光波
形を観察し、観察された前記後方散乱波形から、前記被
測定光ファイバ中の変調不安定性が発生する部分を測定
し、前記被測定光ファイバの変調不安定性発生部分の零
分散波長を前記光パルスまたは励起光の波長から決定す
ることを特徴とする。
【0019】ここで、前記光パルスまたは光パルスと励
起光として探査光パルスと励起光を被測定光ファイバ内
に入射し、前記被測定光ファイバの長さ方向の探査光パ
ルス電力分布を示す探査光パルスの後方散乱光波形か
ら、前記励起光によって誘起される変調不安定性により
探査光パルス電力が増幅されたことを示す被測定光ファ
イバの利得発生部分を検出し、前記被測定光ファイバの
利得発生部分の零分散波長を前記励起光の波長から決定
する。
【0020】励起光の波長を掃引し、被測定光ファイバ
の各部分で探査光パルス電力の増幅が検出される波長を
その部分の零分散波長として決定する。
【0021】当該励起光として、互いに直交する偏波面
を有し、かつ同一の波長と強度を有する二つの光が偏波
合成された光を用いる。
【0022】当該探査光パルスとして、互いに直交する
偏波面を有し、かつ同一の波長と強度を有する二種類の
光パルスが偏波合成された光パルスを用いる。
【0023】当該励起光および当該探査光パルスの少な
くとも一方の偏波状態をランダムに変化させ、かつ被測
定光ファイバの入射端における励起光または探査パルス
の偏波状態が後方散乱光波形の測定に際して互いに異な
る状態で、繰り返し生成された複数の当該後方散乱波形
を平均化することにより、被測定光ファイバの平均的利
得発生部分を検出する。
【0024】当該励起光をパルス列化し、希土類を添加
した光ファイバにより光を直接増幅する光ファイバ増幅
器により増幅する工程を含み、ここで、当該パルス列化
された励起光のパルス時間幅が当該探査パルス光のパル
ス時間幅よりも短く、当該パルス化された励起光の繰り
返し周波数が当該探査光パルスの占有時間内に複数個の
パルス列化された当該励起光のパルスが存在する繰り返
し周波数である。
【0025】当該パルス列化した励起光パルスをバース
ト状のパルス列とし、当該励起光パルスバーストと当該
探査光パルスを同期して被測定ファイバに入射させる。
【0026】ここで、前記光パルスまたは光パルスと励
起光として、探査光パルスと励起光を被測定光ファイバ
内に入射し、前記励起光波長を対称軸に前記探査光パル
ス波長とほぼ対称な波長を有する波長変換光パルスの後
方散乱光波形から、前記励起光によって誘起される変調
不安定性により被測定光ファイバの波長変換光パルスが
生じた部分を検出し、前記被測定光ファイバの波長変換
が生じた部分の零分散波長を前記励起光の波長から決定
する。
【0027】励起光の波長を掃引し、被測定光ファイバ
の各部分で波長変換光のパルス発生が検出される波長を
その部分の零分散波長として決定する。
【0028】当該励起光として、互いに直交する偏波面
を有し、かつ同一の波長および強度を有する二つの光が
偏波合成された光を用いる。
【0029】当該探査光パルスとして、互いに直交する
偏波面を有し、かつ同一の波長をおよび強度有する二種
類の光パルスが偏波合成された光パルスを用いる。
【0030】当該励起光および当該探査光パルスの少な
くとも一方の偏波状態を変化させ、かつ被測定光ファイ
バの入射端における励起光または探査パルスの偏波状態
が後方散乱光波形の測定に際して互いに異なる状態で、
繰り返し生成された複数の当該後方散乱波形を平均化す
ることにより、被測定光ファイバの平均的利得発生部分
を検出する。
【0031】当該励起光をパルス列化し、希土類を添加
した光ファイバにより光を直接増幅する光ファイバ増幅
器により増幅する工程を含み、ここで、当該パルス列化
された励起光のパルス時間幅が当該探査パルス光のパル
ス時間幅よりも短く、当該パルス化された励起光のパル
ス繰り返し周波数が当該探査光パルスの占有時間内に複
数個のパルス列化された当該励起光のパルスが存在する
繰り返し周波数である。
【0032】当該パルス列化した励起光パルスをバース
ト状のパルス列とし、当該励起光パルスバーストと当該
探査光パルスを同期して被測定ファイバに入射させる。
【0033】ここで、前記光パルスまたは光パルスと励
起光として1種類の光パルスを前記被測定光ファイバ内
に入射し、前記被測定光ファイバの長さ方向の前記光パ
ルスの電力分布を示す光パルスの後方散乱光波形から、
光パルスによって誘起される変調不安定性により光パル
ス電力が過剰に減衰したことを示す被測定光ファイバの
過剰損失発生部分を検出し、被測定光ファイバの過剰損
失発生部分の零分散波長を光パルスの波長から決定す
る。
【0034】光パルスの波長を掃引し、被測定光ファイ
バの各部分で光パルス電力の過剰な減衰が検出される波
長をその部分の零分散波長として決定する。
【0035】本発明による光ファイバ零分散波長分布の
測定装置は、光パルスを発生するパルス光源手段と、前
記被測定光ファイバで発生した前記光パルスの後方散乱
光を受光する受光手段と、前記受光器出力から前記被測
定光ファイバの長さ方向の前記光パルスの電力分布を示
す後方散乱光波形を生成し、後方散乱光の波形から被測
定光ファイバ中の変調不安定性発生部分を検出する手段
とを備えたことを特徴とする。
【0036】ここで、前記検出手段は前記被測定光ファ
イバの過剰損失発生部分を検出する。
【0037】励起光を発生する励起光源手段と前記励起
光と前記光パルスを合波して合波された励起光と光パル
スを被測定光ファイバに入射する合波器とをさらに具
え、前記検出手段は前記被測定光ファイバの利得発生部
分を検出する。
【0038】前記励起光源手段は互いに直交する偏波面
を有し、かつ同一の波長と強度を有する二つの励起光を
発生する2組の励起光源からなり、前記装置は前記二つ
の励起光を偏波合成する偏波合成器をさらに具える。
【0039】前記パルス光源手段はそれぞれ互いに直交
する偏波面を有し、かつ同一の波長と強度を有する二種
の光パルスを発生する2組のパルス光源からなり、前記
装置は前記二種の光パルスを偏波合成する偏波合成器を
さらに具える。
【0040】前記励起光の偏波状態を変化させる手段お
よび前記光パルスの偏波状態を変化させる手段の少なく
とも一つをさらに有する。
【0041】前記励起光をパルス列化する手段およびパ
ルス列化された励起光を増幅する光ファイバ増幅器をさ
らに有する。
【0042】前記パルス列化した励起光パルスをパルス
バーストの列とする手段および励起光パルスバーストと
前記光パルスを同期して前記被測定光ファイバに入射さ
せる手段をさらに有する。
【0043】ここで、励起光を発生する励起光源手段
と、前記励起光と前記光パルスを合波して被測定光ファ
イバに入射する合波器と、をさらに有し、前記受光手段
は前記励起光波長を対称軸に前記光パルス波長とほぼ対
称な波長を有する波長変換光パルスの後方散乱光を受光
し、前記検出手段は前記波長変換光パルスの発生部分を
検出する。
【0044】前記励起光源手段は互いに直交する偏波面
を有し、かつ同一の波長と強度を有する二つの励起光を
発生する2組の励起光源からなり、前記装置は前記二つ
の励起光を偏波合成する偏波合成器をさらに具える。
【0045】前記パルス光源手段はそれぞれ互いに直交
する偏波面を有し、かつ同一の波長と強度を有する二種
の光パルスを発生する2組のパルス光源からなり、前記
装置は前記二種の光パルスを偏波合成する偏波合成器を
さらに具える。
【0046】前記励起光の偏波状態を変化させる手段お
よび前記光パルスの偏波状態を変化させる手段の少なく
とも一つをさらに有する。
【0047】前記励起光をパルス列化する手段およびパ
ルス列化された励起光を増幅する光ファイバ増幅器をさ
らに有する。
【0048】前記パルス列化した励起光パルスをパルス
バーストの列とする手段および励起光パルスバーストと
前記光パルスを同期して前記同期された励起光のパルス
バーストの列と光パルスを前記被測定光ファイバに入射
させる手段をさらに有する。
【0049】
【作用】被測定光ファイバの零分散波長分布の測定は、
入射光による変調不安定が異常分散領域(通常の光ファ
イバでは零分散波長の長波長側、以下この前提に基づ
く)でのみ発生することを利用する。すなわち、被測定
光ファイバへ入射する励起光の波長が、被測定光ファイ
バの各部分における零分散波長を僅かに越えた異常分散
領域の波長であれば、その部分に励起光による変調不安
定性が誘起される。この変調不安定性による現象を被測
定光ファイバの全長にわたって測定することにより、そ
の現象が現れた部分の零分散波長を励起光の波長から決
定することができる。すなわち、被測定光ファイバの各
部分の零分散波長と入射光波長の大小関係が変調不安定
性の有無によりわかる。
【0050】この変調不安定性は、以下の現象を呈す
る。
【0051】(1)被測定光ファイバに光パルスと励起
光を入射したときに、励起光波長に応じて光パルス電力
が増幅する、(2)被測定光ファイバに光パルスと励起
光を入射したときに、励起光波長を対称軸に光パルス波
長とほぼ対称な波長を有する波長変換光パルスが生成さ
れる、(3)被測定光ファイバに光パルスを入射したと
きに、光パルスの電力が他の波長の光電力に変換されて
光パルス自身が減衰する、本発明においては、これらの
変調不安定性による現象を利用する。すなわち、光パル
スの後方散乱光波形から被測定光ファイバの利得発生部
分を検出することができる。このとき、被測定光ファイ
バの利得発生部分の零分散波長は励起光の波長より僅か
に短いと推定される。なお、利得発生のない部分の零分
散波長は、励起光波長を越えるか、励起光波長を大きく
下回る波長と推定される。
【0052】さらに、励起光の波長を掃引すれば、被測
定光ファイバの各部分の正常分散領域の波長から零分散
波長を越えて異常分散領域の波長に到達したことを利得
の有無により検出できる。すなわち、利得が生じた時点
の励起光の波長を被測定光ファイバの利得発生部分の零
分散波長として決定することができる。
【0053】被測定光ファイバに光パルスと励起光を入
射したときに、励起光による変調不安定が発生している
部分のみに波長変換光パルスが生じる現象を利用し、波
長変換光パルスの後方散乱光波形からその変調不安定が
発生した部分を検出することができる。このとき、被測
定光ファイバの波長変換部分の零分散波長は励起光の波
長より僅かに短いと推定される。なお、波長変換光パル
スが発生していない部分の零分散波長は、励起光波長を
越えるか、励起光波長を大きく下回る波長と推定され
る。
【0054】励起光の波長を掃引すれば、被測定光ファ
イバの各部分の正常分散領域の波長から零分散波長を越
えて異常分散領域の波長に到達したことを波長変換光パ
ルスの有無により検出できる。すなわち、波長変換光パ
ルスが発生した時点の励起光の波長を被測定光ファイバ
の波長変換が生じた部分の零分散波長として決定するこ
とができる。
【0055】さらに、励起パルスの後方散乱光波形から
被測定光ファイバの過剰損失発生部分を検出することが
できる。このとき、被測定光ファイバの過剰損失発生部
分の零分散波長は励起パルスの波長より僅かに短いと推
定される。なお、損失のない部分の零分散波長は、励起
パルス波長を越えるか、励起パルス波長を大きく下回る
波長と推定される。
【0056】励起パルスの波長を掃引すれば、被測定光
ファイバの各部分の正常分散領域の波長から零分散波長
を越えて異常分散領域の波長に到達したことを損失の有
無により検出できる。すなわち、損失が生じた時点の励
起パルスの波長を被測定光ファイバの過剰損失発生部分
の零分散波長として決定することができる。
【0057】
【実施例】光ファイバ零分散波長分布の測定は、光パル
ス試験器で観測する後方散乱光波形から、被測定光ファ
イバの異常分散領域(通常の光ファイバでは零分散波長
の長波長側、以下この前提に基づく)でのみ発生する変
調不安定性の有無を検出する。すなわち、上述した
(1),(2),(3)に示す変調不安定性による現象
を被測定光ファイバの全長にわたって観測し、その現象
が現れた部分の零分散波長を励起光または光パルスの波
長から決定する。また、被測定光ファイバに入射する励
起光またはパルス光の波長を短波長側から長波長側へ徐
々に掃引し、短波長側から順に現れる変調不安定性によ
って、被測定光ファイバ内に分布する短い零分散波長を
有する部分から順次決定していく。
【0058】まず、前述した変調不安定現象のうちの第
1の現象の観測から光ファイバ零分散波長分布を測定す
る実施例について説明する。
【0059】図2は、光ファイバ零分散波長分布の測定
装置の第1の基本構成を示す。
【0060】図2において、光パルス試験器(OTD
R)10は、パルス発生・駆動部11,波長可変の光源
12,方向性結合器13,高速受光器14および後方散
乱光波形表示部15により構成される。21は励起光源
駆動部、22は波長可変の励起光源、23は光パルス試
験器10から出射された探査光パルス(以下「OTDR
パルス」という。)と励起光源22から出射された励起
光を合波して被測定光ファイバ6に入射する合波器であ
る。
【0061】光パルス試験器10は、OTDRパルスを
被測定光ファイバ6に入射する。被測定光ファイバ6内
ではOTDRパルスが伝搬する際に各部で後方散乱光が
発生する。光パルス試験器10は、被測定光ファイバ6
の各部で発生して戻ってきた後方散乱光を方向性結合器
13で分岐し、高速受光器14で受光して後方散乱光波
形表示部15にその波形を表示させる。ここで、後方散
乱光の電力は、発生部におけるOTDRパルスの電力に
比例するが、OTDRパルスは各部に到達するまでに光
ファイバの損失を受けて減衰しており、さらに後方散乱
光もOTDRパルスの入射端まで戻る過程で同量の損失
を受ける。また、後方散乱光はOTDRパルスが伝搬中
に各部から連続的に戻っており、より遠くからの後方散
乱光が入射端に戻るまでの時間は長くなる。したがっ
て、被測定光ファイバ6に入射したOTDRパルスに比
べて戻ってくる後方散乱光の波形は著しく広がることに
なり、その波形を観測すれば被測定光ファイバ6内のO
TDRパルス電力の長さ方向の分布が判明する。また、
その距離に対するOTDRパルス電力の変化の傾きが被
測定光ファイバ6の損失を表すことになる。
【0062】ここで、本装置構成による零分散波長分布
の測定原理について説明する。
【0063】変調不安定は光ファイバの非線形現象の1
つであり、4波混合で位相整合が自己位相変調により行
われる場合に相当し、高強度光を光ファイバに入射させ
るとその高強度光の波長の短波長側と長波長側の側波帯
に利得が発生する現象である。このときのファイバ単位
長当たりの利得G(dB)は、励起波長における分散値
をD、非線形屈折率係数をn2 、有効コア断面積をA
eff 、真空中での光速c、励起光のパワーをP0 、励起
光の波長をλpu、励起光波長からの波長シフト量をΔλ
とすると、
【0064】
【数2】
【0065】で与えられる。
【0066】図3は、Dの値を0.05,0.1,0.
2,0.5(ps/km/nm)としたときに(2)式
により計算されるGの波長特性を示す。なお、λpu=1
550(nm)、P0 =100(mW)、Aeff =50
(μm2 )、n2 =3.2×10-16 (cm2 /W)と
した。
【0067】例えば、光パルス試験器10で被測定光フ
ァイバ6の損失を監視しながら、励起光の波長λpuを徐
々に長波長側へ変化させてλ0 となった時に、被測定光
ファイバのある部分の測定が初めて減少したとする。す
なわち、その部分で局所的な利得が発生したとする。こ
の場合は、その部分の零分散波長がλ0 であると推定で
きる。さらに、励起光波長を長波長側へ変化させてλ1
となった時に、別の部分で初めて損失が減少したとすれ
ば、その部分の零分散波長はλ1 であると推定できる。
このようにして零分散波長を順次決定していければ、被
測定光ファイバ6の全長にわたって零分散波長の分布を
測定することができる。
【0068】励起光の波長λpuと、OTDRパルスの波
長λprは任意に選択できるが、図4に示すようにOTD
Rパルスが励起光によって誘起された変調不安定による
利得を受けるように設定する必要がある。すなわち、λ
prを変調不安定性による利得が発生する範囲内に定める
必要がある。したがって、励起光源22(波長λpu)お
よび光パルス試験器10の光源12(波長λpr)を波長
可変にして調整する。なお、波長可変の光源に替えて広
帯域の光源とその一部を切り出す波長可変フィルタを用
いてもよい。
【0069】変調不安定は異常分散領域でのみ発生する
が、図3に示すように分散値の絶対値が小さいほどまた
は励起光波長が零分散波長に近いほど、利得の帯域幅は
広くなる。零分散波長λZDの近傍での分散値の傾きをs
としたときの分散値Dが
【0070】
【数3】 D=s・(λpu−λZD) …(3) で与えられるとすれば、(2)式は
【0071】
【数4】
【0072】となる。(4)式からλpu,λprと、発生
するファイバ単位長当たりの利得Gとの関係を計算でき
る。λpuとλprの選び方はいろいろあるが代表的なもの
として、 (a)λprを一定にして、λpuを掃引する (b)λpuとλprの差を一定にして、λpuを掃引する 方法がある。
【0073】図5は、(b)の場合(λpu−λpr=Δ
λ)の場合において、Δλの値を4,6,8,10,2
0,30(nm)としたときの励起光波長λpuとファイ
バ単位長当たりの利得Gの関係を示す。なお、λZD=1
550(nm)、s=0.07(ps/km/nm
2 )、P0 =100(mW)、Aeff =50(μm
2 )、n2 =3.2×10-16 (cm2 /W)とした。
図5に示すように、励起光波長λpuを短波長から長波長
側へ掃引した場合に、単位長当たりの利得Gが立ち上が
る時の励起光波長が零分散波長λZDとなる。
【0074】励起光の波長λpuとOTDRパルスの波長
λprの差を大きくすれば利得が発生する波長範囲が狭く
なり、上述の立ち上がりの点を求めなくても単位長当た
りの利得がピークとなる波長を零分散波長λZDとしても
測定誤差は小さい。しかし、実際には単位長当たりの利
得が低くなり、感度が不足する問題がある。したがっ
て、これら2つの波長λpuとλprは、波長精度、簡便
性、励起光パワー等を考慮して決定する必要がある。
【0075】この点についてさらに詳しく説明する。
【0076】理論的には、励起光波長(λpu)が連続的
に掃引されれば、λprがどの様な値であっても利得の検
出は可能である。但し、実用的にはλprがλpuから大き
く離れる場合、あるいは接近しぎる場合に問題が生ずる
ため、λpuに関し、測定に適したλprの範囲が存在す
る。
【0077】図5に示したようにλprがλpuから大きく
離れた場合、λpuを短波長から長波長側に掃引した時に
発生する利得が検出される波長範囲は、零分散波長から
僅かな範囲に限られる。
【0078】図5ではΔλ=10nmの時に約1.2n
m程度の範囲となるが、Δλがさらに大きく、例えば図
5に示すように、Δλ=30nmであればλpuの範囲は
約0.1nm程度と極めて狭い範囲に限定される。逆に
言うと、λpuを一定にすると、利得が検出される零分散
波長の範囲が0.1nmであると言うことができる。
【0079】このような狭い波長範囲であっても、零分
散波長の分布がほとんど一様な光ファイバであれば、そ
の波長範囲内に零分散波長が存在する区間が比較的長い
ため利得発生をOTDRで捉えることが出来る。しかし
ながら、零分散波長の変化の激しい光ファイバでは狭い
波長範囲内に零分散波長が存在する区間の長さは相対的
に短くなる。利得の発生する区間の長さがOTDRの距
離分解能より短くなれば局部的な利得の発生を検出する
ことは難しい。
【0080】OTDRの距離分解能を上げる(識別距離
区間を短くする)には光パルスの幅を短くする必要があ
る。しかしながら、光パルスの幅が短くなると光パルス
のエネルギが少なくなり、ただでさえ検出が難しい後方
散乱波形の検出は高分解能の測定ではさらに困難とな
る。
【0081】現実的な例として、1550nm帯の市販
のOTDRで約20dBのダイナミックレンジ(例えば
長さ50kmで0.4dB/kmの損失を有する光ファ
イバを測定する場合に相当)の測定を行う場合を想定す
ると、距離分解能は約100mになる。従って、上記の
Δλ=30nmの場合では1nm/km(=0.1nm
/100m)以上の零分散波長の傾きを有する部分は測
定できないことになる。これは実用的でない。
【0082】測定可能な零分散波長の傾きの範囲を広げ
るためには、Δλを出来るだけ小さく設定することが望
ましい。上記の例の場合、実用的な観点から10nm/
kmまでの零分散波長変動を測定可能にするためにはΔ
λには10nm以下の値が要求される。
【0083】逆にλprがλpuに接近しすぎる場合にはλ
puを光フィルタで遮断出来ないという問題が生ずる。非
線形利得を発生させるためには一般に励起光強度は高く
ならざるを得ない。しかしながら励起光が強いと、その
後方散乱光あるいは端部からのフレネル反射光にマスク
されてOTDRの光パルス(探査光)の後方散乱光の検
出が難しくなる。この場合、光フィルタを使用して励起
光の後方散乱光あるいはフレネル反射光を遮断すること
が考えられるが、一般的な光フィルタの濾波特性は理想
的な矩形形状とはならないためにλpuからλprへ漏れ込
むという問題が生じる。例えば実用的な光フィルタとし
て誘電体多層膜型の光フィルタを使用し、励起光の後方
散乱光あるいはフレネル反射光を40dB抑圧する場合
を考えると、λpuとλprの差Δλは5nm程度以上必要
となる。
【0084】上述のように、1550nm帯の測定で ・市販のOTDRを使用する。(測定ダイナミックレン
ジは20dB程度まで考える。) ・励起光遮断フィルタは誘電体多層膜型を使用する。
【0085】という場合は、実用的なλprの目安として λpu−10nm≦λpr≦λpu−5nm または λpu+5nm≦λpr≦λpu+10nm 程度の値が妥当である。図6は、OTDRパルスの後方
散乱光波形を示す。ここで、被測定光ファイバ6の零分
散波長分布は入射端側から区間A,B,Cの順に155
5(nm)、1550(nm)、1553(nm)とな
っているものとする。通常の光ファイバでは零分散波長
の短波長側が正常分散領域であり、長波長側が異常分散
領域であるので、励起光の波長λpuを短波長側から長波
長側に掃引する。
【0086】(1)λpu<1550(nm)の範囲で
は、被測定光ファイバの全区間が正常分散領域であるの
で変調不安定は発生せず、光パルス試験器で観測される
OTDRパルスの後方散乱光の波形は励起光がない場合
と変わらない。
【0087】(2)λpuが1550(nm)を僅かに越
えた時点(λpu=1550+α)では、区間Bが異常分
散領域となって変調不安定により誘起される利得が発生
する。ここで、αはプラスではあるが、零より僅かに大
きな値である。すなわち光パルス試験器で観測されるO
TDRパルスの後方散乱光の波形は、区間Bの部分の傾
きが緩やかになる。これにより、区間Bの零分散波長λ
ZDは1550(nm)であると決定できる。
【0088】(3)λpuが1553(nm)を僅かに越
えた時点(λpu=1553+α)では、区間Bの利得は
減少する。一方、区間Cが異常分散領域となって利得が
発生し、区間Cの部分の傾きが穏やかになる。これによ
り、区間Cの零分散波長λZDは1553(nm)である
と決定できる。
【0089】(4)λpuが1555(nm)を僅かに越
えた時点(λpu=1555+α)では、区間B,Cの利
得は減少する。一方、区間Aが異常分散領域となって利
得が発生し、区間Aの部分の傾きが緩やかになる。これ
により、区間Aの零分散波長λZDは1555(nm)で
あると決定できる。
【0090】このように、励起光の波長λpuを短波長側
から長波長側に掃引して利得の有無を検出することによ
り、被測定光ファイバの全区間にわたって零分散波長λ
ZDを決定することができる。
【0091】図7は、測定装置の実施例の具体的な構成
を示す。
【0092】図7において、光パルス試験器(OTD
R)10は図2に示す基本構成と同じである。励起光源
22は1.5μm帯分布帰還型半導体レーザ(DFB−
LD)22Aと光増幅器22Bにより構成し、合波器2
4は方向性結合器により構成し、光パルス試験器10と
合波器24との間にOTDRパルスのみを通過させまた
励起光から後方散乱光を遮断する帯域通過型光フィルタ
16を配置する。また、合波器24および被測定光ファ
イバ6の反対の端部に無反射終端器31を接続し、開放
端からのOTDRパルスおよび励起光の反射を軽減す
る。
【0093】ここで、DFB−LDをパルス状に駆動す
れば、DFB−LDの出力の幅が広がるので光ファイバ
内での誘導ブリルアン散乱の発生を抑制し、また光増幅
器は平均出力パワー飽和特性を有するので光増幅器から
高強度光を得やすい。ただし、励起光の繰り返し周波数
をOTDRパルスのそれよりも十分に大きくする。
【0094】OTDRパルスと励起光を被測定光ファイ
バ6に入射し、光パルス試験器10で観測されるOTD
Rパルスの後方散乱光波形から励起光によって誘起され
た変調不安定による利得の有無を検出する。そして、利
得が検出されたときの励起光の波長からその部分の零分
散波長を決定する。
【0095】図8(A)〜(C)は、図7に示した装置
で観測されたOTDRパルスの後方散乱光波形を示す。
【0096】なお、DFB−LDをパルス駆動し、約6
00(Mb/s)のNRZ波形の励起光を出力させてい
る。図8(A)の後方散乱光波形は、励起光がない場合
あるいは励起光パワーが低い場合であり、通常の光ファ
イバ損失特性を示している。図8(B)の後方散乱光波
形は、励起光パワーが大きく、かつ励起光波長が155
0.9(nm)の場合である。図に示すように、入射端
から6〜10(km)と15〜18(km)の2区間で
部分的に変調不安定性による利得発生が認められる。
【0097】したがって、この部分の零分散波長λZD
1550.9(nm)以下であることが推定される。
【0098】また、励起光の波長を短波長から長波長側
に掃引してある部分で初めて利得発生が認められた場合
には、この部分の零分散波長は1550.9(nm)で
あり、他の部分の零分散波長は1550.9(nm)を
越える波長であると言える。また、励起光の波長をさら
に長波長側に掃引していけば、他の部分の零分散波長を
短波長側から順に決定することができる。励起光の波長
掃引は、DFB−LDの温度を変える方法が簡便であ
る。また、外部共振器を有するレーザ、あるいは分布ブ
ラッグ反射型レーザ(DBR−LD)を用いて励起光の
波長掃引を行うことも可能である。
【0099】図8(C)は、被測定光ファイバ6の無反
射終端器65を外して光スペクトラムアナライザで励起
光近傍の光スペクトルを観測した結果を示す。励起光の
ピークパワーが高いときには、低いときに認められなか
ったサイドバンドピークが観測される。これは、変調不
安定性により誘起された利得により、光増幅器22Bが
励起光とともに出力した自然放出光が増幅されたピーク
であり、本発明による測定法の妥当性を示す傍証となっ
ている。
【0100】ところで、励起光により発生した利得を探
査光(OTDRパルス)が効率よく受けるためには、両
者の偏波が一致することが望ましい。しかしながら、光
ファイバ伝搬中に両者の偏波状態は変化し、しかもこの
変化は両者で必ずしも一致する訳ではない。したがっ
て、光ファイバへの入射時に励起光とOTDRパルスの
偏波を一致させておいても伝搬した先で両者の偏波が常
時一致するとは限らない。図9に励起光とOTDRパル
スの偏波の差を模式的に示す。図9中矢印は偏波方向を
示す。
【0101】上記問題を解決するために、互いに直交偏
波した励起光あるいは互いに直交偏波したOTDRパル
スを合成して光ファイバ中に入射し、伝搬中に励起光あ
るいは互いに直交偏波したOTDRパルスの偏波が変化
しても必ず両者の偏波が一致する様にするとよい。また
は、励起光あるいはOTDRパルスの偏波をランダムに
変化させることにより、OTDRパルスの受ける利得を
時間的に平均化するとよい。
【0102】図10に、励起光源駆動部21A,励起光
源22Aおよび励起光源駆動部21B,励起光源22B
により、互いに偏波面が直交し、かつ同一の波長を有す
る二つの励起光を生成し、それらを偏波合成器25で偏
波合成して励起光とする構成のブロック図、およびその
時のOTDRパルスと励起光の偏波の様子を模式的に示
す。
【0103】入射端で直線偏波の光も光ファイバ中を伝
搬すると偏波状態が変化し、一般には楕円偏波になる
が、この偏波状態は直交する2つの偏波成分で記述でき
る。入射時に直交する直線偏波を有しかつ強度の等しい
2つの励起光を偏波合成して入射してやれば、偏波合成
された励起光は光ファイバのどの部分においても任意の
方向に対してOTDRパルスの偏波成分と同じ強度値の
偏波成分を有する様にすることができる。
【0104】したがって、図10の構成をとれば、OT
DRパルスの偏波が光ファイバを伝搬中に変化し、どの
状態な偏波状態、すなわち直線偏波、楕円偏波、円偏波
いずれになっても、それを直交偏波に分解した場合のど
ちらの偏波にも同じ強度の励起光の偏波成分が存在する
ことになり、偏波状態の変動に影響されないOTDRパ
ルスの非線形利得の発生が期待できる。
【0105】図11にOTDR10内にパルス発生・駆
動部11A,11Bおよび波長可変の光源12A,12
Bを設けて互いに偏波面が直交し、かつ同一の波長を有
する光パルスを生成し、それらを偏波合成器25で合成
してOTDRパルスとする構成のブロック図およびその
時のOTDRパルスと励起光の偏波の様子を模式的に示
す。
【0106】この様な構成をとることにより、図10の
励起光の場合と同様にOTDRパルスは光ファイバのど
の部分においても任意の方向に対して同じ強度の偏波成
分を有する様にすることができる。
【0107】したがって、図11の構成をとれば、励起
光の偏波がファイバ伝搬中に変化しどの状態な偏波状
態、すなわち直線偏波、楕円偏波、円偏波いずれになっ
ても、それを直交偏波に分解した場合のどちらの偏波に
も同じ強度値を有するOTDRパルスの偏波成分が存在
することになり、偏波状態の変動に影響されないOTD
Rパルスの非線形利得の発生が期待できる。
【0108】図12にOTDRパルスの偏波を偏波制御
器駆動部26と偏波制御器27でランダムになるように
制御し、同様に励起光の偏波を偏波制御器駆動部28と
偏波制御器29でランダムに制御する構成のブロック図
と、その時のOTDRパルスと励起光の様子を模式的に
示す。OTDRパルスと励起光のどちらか一方の偏波の
ランダム化は利得発生を十分に安定化する。
【0109】励起光とOTDRパルスの偏波を独立に、
急速に、かつランダムに時間的に変化させれば、光ファ
イバ中を伝搬した後も、偏波方向が一致する両者の偏波
成分が急速にかつランダムに時間的に変動することにな
る。従って、発生する非線形利得も変動するが、これを
時間平均すれば安定な平均非線形利得値を比較的短い平
均時間に対して得ることができる。すなわち強制的に偏
波を変動させて、時間平均的に安定な偏波の一致を得る
ことが出来る。これは光ファイバのどの部分でも同様で
ある。具体的には励起光およびOTDRパルスの少なく
とも一方の偏波状態を入射端で変化させ、繰り返し生成
されたOTDRパルスの複数の後方散乱光波形を平均化
することにより、被測定光ファイバの平均的利得発生部
分を検出する。
【0110】図10,11または図12に示した構成に
よって、光ファイバを伝搬中の励起光とOTDRパルス
の偏波に関係なく、OTDRパルスは励起光によって発
生した利得または時間平均利得を安定に受けることがで
きる。
【0111】さらに、励起光電力が大きければ大きい程
非線形に起因する利得を発生する効率がよい。従って、
半導体レーザの光源の出力が励起光に対して不十分な場
合がある。すなわち、図13に示すように、励起光が光
ファイバ中で減衰し、利得を効果的に発生できない場合
がある。この場合、半導体レーザ光源の出力を光増幅器
でブーストして測定に使用することが考えられる。1.
55μm帯ではエルビウムをドープした光ファイバによ
って光を増幅する増幅器(EDFA)を使用することが
現時点で最も有効な手段である。しかしながらEDFA
は図14に示す飽和特性を有するため、また光ファイバ
の光損失のために、例えば50kmといった入射端から
遠く離れた点での零分散波長の測定を可能にするために
必要な励起光電力を得ることは容易でない。
【0112】上記問題を解決するために、EDFAの平
均電力増幅特性を利用するとよい。すなわちEDFAの
最大出力電力は平均値で制限されるため、励起光を時間
的占有率の小さなパルスにパルス化して使用すれば、平
均電力は同じでもパルスのピーク電力値を増大すること
が可能となり、その結果光非線形効果を効率よく発生さ
せることが出来る。
【0113】図15は、パルス化電源32により、励起
光としてパルスを利用し、エルビウム等の希土類を添加
した光ファイバにより励起光パルスを直接増幅する光フ
ァイバ増幅器33により増幅する構成を示す。ここで、
パルス列化された励起光のパルス時間幅がOTDRパル
スのパルス時間幅よりも短く、パルス化された励起光の
パルス繰り返し周波数がOTDRパルスの占有時間内に
複数個のパルス列化された励起光のパルスが存在する繰
り返し周波数である。
【0114】例えば、光ファイバ増幅器が出力飽和し
て、最大出力電圧が100mWであるとする。励起光が
連続波であれば光ファイバ増幅器で増幅された励起光の
ピーク電力は100mWのままである。しかし、例えば
励起光を繰り返し周波数が100MHzすなわち繰り返
し周期が10n秒でパルス幅が1n秒のパルス列にすれ
ば、パルスのデューティ比は1/10であるから光ファ
イバ増幅器の平均電力増幅特性により、その出力である
励起光パルス列のパルスピーク電力は1Wとなる。
【0115】従って、平均電力が同じ100mWであっ
ても非線形利得の発生効率を高くすることが可能とな
る。
【0116】図16は繰返し周期を有するパルス列に替
えて励起光パルスとしてバースト状態のパルス列を利用
し、この励起光のパルスバーストとOTDRパルスを共
通発振器34によって同期して被測定ファイバに入射さ
せる構成を示す。
【0117】例えば、図15の場合と同様に光ファイバ
増幅器が出力飽和して、最大出力電圧が100mWであ
るとする。図15の場合は励起光パルス列のパルスピー
ク電力は1Wとなるものの、OTDRパルス列と時間的
に重ならない励起光パルスはOTDRパルスの非線形利
得発生には寄与しないことになり、この部分の光電力は
有効に使われないこととなる。励起光パルスの内、光フ
ァイバ伝搬中にOTDRパルスと時間的に重なる部分の
み増幅するようにすればより効率的である。
【0118】例えばOTDRパルスが繰り返し周波数1
0KHzのパルス幅1μ秒のパルスであるとすれば、励
起光パルスバーストをこのOTDRパルスと同期をとっ
てバースト繰り返し10KHz、すなわち繰り返し周期
100μ秒のパルスバースト化すればよい。このパルス
バーストが伝搬中のOTDRパルスと励起光パルスのず
れに対する余裕をもって、2μ秒のバースト幅を有する
とすればバーストの時間占有率は1/50となり、これ
にパルスの時間占有率1/10を掛けた1/500が平
均的なデューティ比となり、光ファイバ増幅器の出力で
ある励起光パルスバースト列のパルスピーク電力は50
mWとなる。
【0119】従って、平均値が同じ100mWであって
も非線形利得の発生効率をさらに高くすることが可能と
なる。
【0120】図15または図16に示した構成によっ
て、励起光パルスのピーク電力を増大できるので光非線
形効果を効率よく発生することができる。
【0121】次に、前述した変調不安定現象のうちの第
2の現象の観測から光ファイバ零分散波長分布を測定す
る実施例について説明する。
【0122】図17は、光ファイバ零分散波長分布の測
定装置の第2の基本構成を示す。
【0123】図17において、10′は光パルス試験器
(OTDR)であり、図2に示す光パルス試験器10の
構成を加えて、高速受光器14の前段に波長変換光パル
スのみを通過させる帯域通過型光フィルタ17を挿入す
る。
【0124】図18は、OTDRパルスと波長変換光パ
ルスの関係を示す。これは、図4に示す波長関係を有す
るOTDRパルスと励起光を被測定光ファイバ6に入射
したときに、反対側の端から出射される出力光の光スペ
クトルである。図18に示すように励起光によって誘起
される波長不安定性により、励起光波長(1556.5
nm)を対称軸としてOTDRパルス(1548nm)
とほぼ反対側に波長変換光パルス(1565nm)が生
成される。帯域通過型光フィルタ17を介してこの波長
変換光パルスの後方散乱光波形を観測することにより、
同様にして被測定光ファイバ6の零分散波長分布を測定
することができる。
【0125】図19は、波長変換光パルスの後方散乱光
波形を示す。ここで、被測定光ファイバ6の零分散波長
分布は、入射端側から区間A,B,Cの順に1555
(nm)、1550(nm)、1553(nm)となっ
ているものとする。通常の光ファイバでは零分散波長の
短波長側が正常分散領域であり、長波長側が異常分散領
域であるので、励起光の波長λpuを短波長側から長波長
側に掃引する。
【0126】(1)λpu<1550(nm)の範囲で
は、被測定光ファイバの全区間が正常分散領域であるの
で変調不安定は発生せず、光パルス試験器には波長変換
光パルスの後方散乱光は観測されない。
【0127】(2)λpuが1550(nm)を僅かに越
えた時点(λpu=1550+α)では、区間Bが異常分
散領域となって変調不安定により波長変換光パルスが発
生する。すなわち光パルス試験器で観測される波長変換
光パルスの後方散乱光の波形は、区間Bの部分で傾きが
生じる。なお、区間Cは正常分散領域であるので波長変
換光パルスは発生せず、区間Bで発生した波長変換光パ
ルスが光ファイバの損失によって減衰する。これによ
り、区間Bの零分散波長λZDは1550(nm)である
と決定できる。
【0128】(3)λpuが1553(nm)を僅かに越
えた時点(λpu=1553+α)では、区間Bで発生す
る波長変換光パルスのパワーは低下する。一方、区間C
が異常分散領域となって波長変換光パルスが発生する。
これにより、区間Cの零分散波長λZDは1553(n
m)であると決定できる。
【0129】(4)λpuが1555(nm)を僅かに越
えた時点(λpu=1555+α)では、区間Aが異常分
散領域となって波長変換光パルスが発生する。これによ
り、区間Aの零分散波長λZDは1555(nm)である
と決定できる。
【0130】このように、励起光の波長λpuを短波長側
から長波長側に掃引して波長変換光パルスの発生を検出
することにより、被測定光ファイバの全区間にわたって
零分散波長λZDを決定することができる。
【0131】図11および図12に示した励起光とOT
DRパルスの偏波の変化による不確さを抑制して非線形
の効果を安定に検出する方法および図15および図16
に示した励起光のパルス列を用い光ファイバ増幅器で増
幅する方法は図17の構成において採用することもでき
る。
【0132】次に、上述した変調不安定現象のうちの第
3の現象の観測から光ファイバ零分散波長分布を測定す
る実施例について説明する。
【0133】図20は被測定光ファイバの零分散波長分
布を波長変換光パルスの後方散乱光の波形を観察するこ
とによって測定する装置の詳細なブロック図である。図
20において、方向性結合器24が図17の合波器23
に替えて用いられ、光サーキュレータ33Aと33Bお
よび帯域透過型光フィルタ34Aと34Bが具えられて
いる。光サーキュレータ33A,33Bはそれぞれ三つ
のポート331,332および333を有し、ポート3
31に入射した光はポート332から出射し、一方ポー
ト332に入射した光はポート333から出射する。光
サーキュレータ33Aのポート333と光サーキュレー
タ33Bのポート331は透過中心波長1550nmを
有する帯域透過型光フィルタ34Aを介して接続され、
光サーキュレータ33Aのポート331は透過中心波長
1562nmの帯域透過型フィルタ34Bを介して光サ
ーキュレータ33Bのポート333と接続されている。
OTDR10から出射して光サーキュレータ33Aのポ
ート332に入射した光パルスのうち、波長1550n
mの光パルスが合波器24によって励起光とともに被測
定光ファイバ6に入射される。また被測定光ファイバ6
から戻ってくる光のうち、波長1562nmの部分がO
TDR10に入射される。この場合、図17に示した光
フィルタ17は不要である。
【0134】図20に示した装置を用い、波長1556
nmの励起光と波長1550nmのOTDRパルスを被
測定光ファイバ6に入射し、被測定光ファイバからの波
長1562nmのみの戻り光の波形を観察した、すなわ
ち波長変換光を観察した。
【0135】まず、励起光がなくOTDRパルスのみが
光ファイバに入射された場合の被測定光ファイバ6から
の波長1562nmの戻り光の波形、すなわち被測定光
ファイバ中の戻り光の電力分布を図21に示す。後方散
乱光はない。単に励起パルス光源内の光増幅器による一
様な自然放出光雑音が観察される。入射励起パルスの電
力が小さい場合は戻り光の波形は図21に示したと同様
である。図22は、励起光パルスの時間平均電力が10
mWと大きい場合の被測定光ファイバ6からの戻り光の
波形、すなわち異常分散領域または零分散に近い部分で
のみ変換されたパルスの後方散乱光を示す。図22に示
すように、被測定光ファイバ6の入射端からほぼ6.5
kmから9.5kmの距離範囲で波長1562nmの波
長変換光パルスの後方散乱光が観察された。従って、被
測定光ファイバ6のこの距離範囲は1556nmの波長
に対して負分散であることがわかる。被測定光ファイバ
のある部分の零分散波長は励起パルスの波長を掃引する
ことによって知ることができる。すなわち、励起パルス
の波長を短波長から長波長へ掃引することによってある
部分で後方散乱光が最初に観察されたとき、その時の励
起光の波長がその部分の零分散波長であると結論づける
ことができる。本実施例では、励起光の波長が1556
nmに達した時に、入射端から6.5kmの距離の部分
で波長変換パルスの後方散乱光が観察された。従って被
測定光ファイバのこの部分の零分散波長は1556nm
である。
【0136】図23は、光ファイバ零分散波長分布の測
定装置の第3の基本構成を示す。本装置は、被測定光フ
ァイバ6にOTDRパルスを入射し、そのOTDRパル
ス自身の減衰を観測する構成であり、光パルス試験器
(OTDR)10と、OTDRパルスのみを通過させる
帯域通過型光フィルタ16により構成される。
【0137】被測定光ファイバ6に入射されるOTDR
パルスの波長を掃引し、異常分散領域に入ると変調不安
定が発生し、その部分でOTDRパルスの電力が他の波
長の光電力に変換されてOTDRパルス自身が減衰す
る。このOTDRパルスの後方散乱光を帯域通過型光フ
ィルタ16を介して光パルス試験器10に受光させる
と、変調不安定発生部分で光ファイバ損失が増大したよ
うな後方散乱光波形が得られる。なお、帯域通過型光フ
ィルタ16は高速受光器14の前段に配置してもよい。
【0138】図24は、OTDRパルスの後方散乱光波
形を示す。ここで、被測定光ファイバ6の零分散波長分
布は入射端側から区間A,B,Cの順に1555(n
m)、1550(nm)、1553(nm)となってい
るものとする。通常の光ファイバでは零分散波長の短波
長側が正常分散領域であり、長波長側が異常分散領域で
あるので、OTDRパルスの波長λprを短波長側から長
波長側に掃引する。
【0139】(1)λpr<1550(nm)の範囲で
は、被測定光ファイバの全区間が正常分散領域であるの
で変調不安定は発生せず、光パルス試験器で観測される
OTDRパルスの後方散乱光に過剰な減衰はみられな
い。
【0140】(2)λprが1550(nm)を僅かに越
えた時点(λpr=1550+α)では、区間Bが異常分
散領域となって変調不安定によりOTDRパルスが減衰
する。すなわち光パルス試験器で観測されるOTDRパ
ルスの後方散乱光の波形は、区間Bの部分で傾きが急に
なる。これにより、区間Bの零分散波長λZDは1550
(nm)であると決定できる。
【0141】(3)λprが1553(nm)を僅かに越
えた時点(λpr=1553+α)では、区間Bの過剰な
減衰は緩やかになる。一方、区間Cが異常分散領域とな
ってOTDRパルスが減衰し、区間Cの部分の傾きが急
になる。これにより、区間Cの零分散波長λZDは155
3(nm)であると決定できる。
【0142】(4)λprが1555(nm)を僅かに越
えた時点(λpr=1555+α)では、区間Aが異常分
散領域となってOTDRパルスが過剰に減衰し、区間A
の部分の傾きが急になる。これにより、区間Aの零分散
波長λZDは1555(nm)であると決定できる。
【0143】このように、OTDRパルスの波長λpr
短波長側から長波長側に掃引してその減衰を検出するこ
とにより、被測定光ファイバの全区間にわたって零分散
波長λZDを決定することができる。
【0144】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、被測定光
ファイバの全長にわたって零分散波長λZDの分布λ
ZD(z)を測定することができる。これにより、局所的
な分散値が設計上重要なパラメータとなる非線形伝送経
路の具体的設計が可能となる。
【0145】また、零分散波長の分布λZD(z)が求ま
れば、零分散波長近傍の波長λS に対する分散値の分布
D(z)を推定することができる。たとえば、一般に
1.5μm零分散シフトファイバの平均零分散波長λ
ZD-ave近傍での分散値の波長に対する平均的な傾きは、
【0146】
【数5】
【0147】と考えられるので、これを使えば信号波長
λS における分散値の分布D(z)は、
【0148】
【数6】
【0149】により推定することができる。
【0150】また、変調不安定性は4波混合の位相整合
が自己位相変調により行われる場合に相当するが、位相
整合が零分散波長近傍の波長で行われるような他の形式
の位相整合による4波混合を利用しても本発明の効果は
ほとんど変わらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバの分散値を測定する従来の測定装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】光ファイバの零分散波長分布の測定装置の実施
例の基本構成を示すブロック図である。
【図3】光ファイバ単位長当たりの利得Gの波長特性を
示す図である。
【図4】励起光波長λpuとOTDRパルス波長λprの関
係を示す図である。
【図5】励起光波長λpuとファイバ単位長当たりの利得
Gの関係を示す図である。
【図6】OTDRパルスの後方散乱光波形を示す図であ
る。
【図7】測定装置の実施例の具体的構成を示す図であ
る。
【図8】(A)〜(C)はそれぞれ図7に示した装置で
観測されたOTDRパルスの後方散乱光波形を示す図で
ある。
【図9】励起光とOTDRパルスの偏波の差を示す模式
図である。
【図10】偏波面が互いに直交する二つの励起光を偏波
合成して励起光とする構成を示すブロック図である。
【図11】偏波面が互いに直交する二つの光パルスを偏
波合成してOTDRパルスとする構成を示すブロック図
である。
【図12】OTDRパルスおよび励起光の偏波をそれぞ
れがランダムとなるように制御する構成を示すブロック
図である。
【図13】励起光の減衰を示す模式図である。
【図14】光ファイバ増幅器の飽和特性を示すグラフで
ある。
【図15】励起光をパルス化し、光ファイバ増幅器によ
り増幅する構成を示すブロック図である。
【図16】励起光をバースト状のパルス列とし、この励
起光パルスバーストとOTDRパルスを同期させる構成
を示すブロック図である。
【図17】光ファイバの零分散波長分布の測定装置の第
2の基本構成を示すブロック図である。
【図18】OTDRパルスと波長変換光パルスの関係を
示す図である。
【図19】波長変換光パルスの後方散乱光波形を示す図
である。
【図20】光ファイバの零分散波長分布を波長変換パル
スの後方散乱光の波形を観察することによって測定する
装置の詳細ブロック図である。
【図21】OTDRパルスのみを光ファイバに入射した
時の戻り光の波形を示すグラフである。
【図22】励起光の電力が大きい場合の波長変換パルス
の後方散乱光の波形を示すグラフである。
【図23】光ファイバの零分散波長分布の測定装置の第
3の基本構成を示すブロック図である。
【図24】OTDRパルスの後方散乱光波形を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 パルス発生器 2 光源駆動部 3 波長λ1 の光源 4 波長λ2 の光源 5 合波器 6 被測定光ファイバ 7 高速受光器 8 サンプリングオシロスコープ 10 光パルス試験器(OTDR) 11 パルス発生・駆動部 12 波長可変の光源 13 方向性結合器 14 高速受光器 15 後方散乱光波形表示部 16,17 帯域通過型光フィルタ 21 励起光源駆動部 22 励起光源 23 合波器 31 無反射終端器 33A,33B 光サーキュレータ 34A,34B 帯域透過型光フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猿渡 正俊 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−180729(JP,A) 特開 平2−281122(JP,A) 特開 昭63−309833(JP,A) 特開 平6−331495(JP,A) 特開 平2−251729(JP,A) 特開 平6−341924(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/08 JICSTファイル(JOIS)

Claims (31)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定光ファイバ内に光パルスまたは光
    パルスと励起光を入射し、 前記被測定光ファイバの長さ方向の光パルスの電力分布
    を示す光パルスの後方散乱光波形を観察し、 観察された前記後方散乱光波形から、前記被測定光ファ
    イバ中の変調不安定性が発生する部分を測定し、 前記被測定光ファイバの変調不安定性発生部分の零分散
    波長を前記光パルスまたは励起光の波長から決定するこ
    とを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、前記光パルスまたは光パルス
    と励起光として探査光パルスと励起光を被測定光ファイ
    バ内に入射し、 前記被測定光ファイバの長さ方向の探査光パルス電力分
    布を示す探査光パルスの後方散乱光波形から、前記励起
    光によって誘起される変調不安定性により探査光パルス
    電力が増幅されたことを示す被測定光ファイバの利得発
    生部分を検出し、 前記被測定光ファイバの利得発生部分の零分散波長を前
    記励起光の波長から決定することを特徴とする光ファイ
    バ零分散波長分布の測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、 励起光の波長を掃引し、被測定光ファイバの各部分で探
    査光パルス電力の増幅が検出される波長をその部分の零
    分散波長として決定することを特徴とする光ファイバ零
    分散波長分布の測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、当該励起光として、互いに直
    交する偏波面を有し、かつ同一の波長と強度を有する二
    つの光が偏波合成された光を用いることを特徴とする光
    ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、当該探査光パルスとして、互
    いに直交する偏波面を有し、かつ同一の波長と強度を有
    する二種類の光パルスが偏波合成された光パルスを用い
    ることを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測定方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、当該励起光および当該探査光
    パルスの少なくとも一方の偏波状態をランダムに変化さ
    せ、かつ被測定光ファイバの入射端における励起光また
    は探査パルスの偏波状態が後方散乱光波形の測定に際し
    て互いに異なる状態で、繰り返し生成された複数の当該
    後方散乱光波形を平均化することにより、被測定光ファ
    イバの平均的利得発生部分を検出することを特徴とする
    光ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項2に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、当該励起光をパルス列化し、
    希土類を添加した光ファイバにより光を直接増幅する光
    ファイバ増幅器により増幅する工程を含み、ここで、当
    該パルス列化された励起光のパルス時間幅が当該探査パ
    ルス光のパルス時間幅よりも短く、当該パルス化された
    励起光の繰り返し周波数が当該探査光パルスの占有時間
    内に複数個のパルス列化された当該励起光のパルスが存
    在する繰り返し周波数であることを特徴とする光ファイ
    バ零分散波長分布の測定方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、当該パルス列化した励起光パ
    ルスをバースト状のパルス列とし、当該励起光パルスバ
    ーストと当該探査光パルスを同期して被測定ファイバに
    入射させることを特徴とする光ファイバ零分散波長分布
    の測定方法。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法において、前記光パルスまたは光パルス
    と励起光として、 探査光パルスと励起光を被測定光ファイバ内に入射し、 前記励起光波長を対称軸に前記探査光パルス波長とほぼ
    対称な波長を有する波長変換光パルスの後方散乱光波形
    から、前記励起光によって誘起される変調不安定性によ
    り被測定光ファイバの波長変換光パルスが生じた部分を
    検出し、 前記被測定光ファイバの波長変換が生じた部分の零分散
    波長を前記励起光の波長から決定することを特徴とする
    光ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の光ファイバ零分散波
    長分布の測定方法において、 励起光の波長を掃引し、被測定光ファイバの各部分で波
    長変換光のパルス発生が検出される波長をその部分の零
    分散波長として決定することを特徴とことを特徴とする
    光ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の光ファイバ零分散波
    長分布の測定方法において、当該励起光として、互いに
    直交する偏波面を有し、かつ同一の波長および強度を有
    する二つの光が偏波合成された光を用いることを特徴と
    する光ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  12. 【請求項12】 請求項9に記載の光ファイバ零分散波
    長分布の測定方法において、当該探査光パルスとして、
    互いに直交する偏波面を有し、かつ同一の波長をおよび
    強度を有する二種類の光パルスが偏波合成された光パル
    スを用いることを特徴とする光ファイバ零分散波長分布
    の測定方法。
  13. 【請求項13】 請求項9に記載の光ファイバ零分散波
    長分布の測定方法において、当該励起光および当該探査
    光パルスの少なくとも一方の偏波状態をランダムに変化
    させ、かつ被測定光ファイバの入射端における励起光ま
    たは探査パルスの偏波状態が後方散乱光波形の測定に際
    して互いに異なる状態で、繰り返し生成された複数の当
    該後方散乱光波形を平均化することにより、被測定光フ
    ァイバの平均的利得発生部分を検出することを特徴とす
    る光ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  14. 【請求項14】 請求項9に記載の光ファイバ零分散波
    長分布の測定方法において、当該励起光をパルス列化
    し、希土類を添加した光ファイバにより光を直接増幅す
    る光ファイバ増幅器により増幅する工程を含み、ここ
    で、当該パルス列化された励起光のパルス時間幅が当該
    探査パルス光のパルス時間幅よりも短く、当該パルス化
    された励起光のパルス繰り返し周波数が当該探査光パル
    スの占有時間内に複数個のパルス列化された当該励起光
    のパルスが存在する繰り返し周波数であることを特徴と
    する光ファイバ零分散波長分布の測定方法。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の光ファイバ零分散
    波長分布の測定方法において、当該パルス列化した励起
    光パルスをバースト状のパルス列とし、当該励起光パル
    スバーストと当該探査光パルスを同期して被測定ファイ
    バに入射させることを特徴とする光ファイバ零分散波長
    分布の測定方法。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載の光ファイバ零分散波
    長分布の測定方法において、前記光パルスまたは光パル
    スと励起光として1種類の光パルスを前記被測定光ファ
    イバ内に入射し、前記被測定光ファイバの長さ方向の前
    記光パルスの電力分布を示す光パルスの後方散乱光波形
    から、光パルスによって誘起される変調不安定性により
    光パルス電力が過剰に減衰したことを示す被測定光ファ
    イバの過剰損失発生部分を検出し、被測定光ファイバの
    過剰損失発生部分の零分散波長を光パルスの波長から決
    定することを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測
    定方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の光ファイバ零分散
    波長分布の測定方法において、 光パルスの波長を掃引し、被測定光ファイバの各部分で
    光パルス電力の過剰な減衰が検出される波長をその部分
    の零分散波長として決定することを特徴とする光ファイ
    バ零分散波長分布の測定方法。
  18. 【請求項18】 光パルスを発生するパルス光源手段
    と、 前記被測定光ファイバで発生した前記光パルスの後方散
    乱光を受光する受光手段と、 前記受光器出力から前記被測定光ファイバの長さ方向の
    前記光パルスの電力分布を示す後方散乱光波形を生成
    し、後方散乱光の波形から被測定光ファイバ中の変調不
    安定性発生部分を検出する手段とを備えたことを特徴と
    する光ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  19. 【請求項19】 請求項18に記載の装置において、前
    記検出手段は前記被測定光ファイバの過剰損失発生部分
    を検出することを特徴とする光ファイバ零分散波長分布
    の測定装置。
  20. 【請求項20】 請求項18に記載の装置において、励
    起光を発生する励起光源手段と前記励起光と前記光パル
    スを合波して合波された励起光と光パルスを被測定光フ
    ァイバに入射する合波器とをさらに具え、前記検出手段
    は前記被測定光ファイバの利得発生部分を検出すること
    を特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の装置において、前
    記励起光源手段は互いに直交する偏波面を有し、かつ同
    一の波長と強度を有する二つの励起光を発生する2組の
    励起光源からなり、前記装置は前記二つの励起光を偏波
    合成する偏波合成器をさらに具えることを特徴とする光
    ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  22. 【請求項22】 請求項20に記載の装置において、前
    記パルス光源手段はそれぞれ互いに直交する偏波面を有
    し、かつ同一の波長と強度を有する二種の光パルスを発
    生する2組のパルス光源からなり、前記装置は前記二種
    の光パルスを偏波合成する偏波合成器をさらに具えるこ
    とを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  23. 【請求項23】 請求項20に記載の装置において、前
    記励起光の偏波状態を変化させる手段および前記光パル
    スの偏波状態を変化させる手段の少なくとも一つをさら
    に有することを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の
    測定装置。
  24. 【請求項24】 請求項20に記載の装置において、前
    記励起光をパルス列化する手段およびパルス列化された
    励起光を増幅する光ファイバ増幅器をさらに有すること
    を特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  25. 【請求項25】 請求項24に記載の装置において、前
    記パルス列化した励起光パルスをパルスバーストの列と
    する手段および励起光パルスバーストと前記光パルスを
    同期して前記被測定光ファイバに入射させる手段をさら
    に有することを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の
    測定装置。
  26. 【請求項26】 請求項18に記載の装置において、励
    起光を発生する励起光源手段と、前記励起光と前記光パ
    ルスを合波して被測定光ファイバに入射する合波器と、
    をさらに有し、前記受光手段は前記励起光波長を対称軸
    に前記光パルス波長とほぼ対称な波長を有する波長変換
    光パルスの後方散乱光を受光し、前記検出手段は前記波
    長変換光パルスの発生部分を検出することを特徴とする
    光ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  27. 【請求項27】 請求項26に記載の装置において、前
    記励起光源手段は互いに直交する偏波面を有し、かつ同
    一の波長と強度を有する二つの励起光を発生する2組の
    励起光源からなり、前記装置は前記二つの励起光を偏波
    合成する偏波合成器をさらに具えることを特徴とする光
    ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  28. 【請求項28】 請求項26に記載の装置において、前
    記パルス光源手段はそれぞれ互いに直交する偏波面を有
    し、かつ同一の波長と強度を有する二種の光パルスを発
    生する2組のパルス光源からなり、前記装置は前記二種
    の光パルスを偏波合成する偏波合成器をさらに具えるこ
    とを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  29. 【請求項29】 請求項26に記載の装置において、前
    記励起光の偏波状態を変化させる手段および前記光パル
    スの偏波状態を変化させる手段の少なくとも一つをさら
    に有することを特徴とする光ファイバ零分散波長分布の
    測定装置。
  30. 【請求項30】 請求項26に記載の装置において、前
    記励起光をパルス列化する手段およびパルス列化された
    励起光を増幅する光ファイバ増幅器をさらに有すること
    を特徴とする光ファイバ零分散波長分布の測定装置。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載の装置において、前
    記パルス列化した励起光パルスをパルスバーストの列と
    する手段および励起光パルスバーストと前記光パルスを
    同期して前記同期された励起光のパルスバーストの列と
    光パルスを前記被測定光ファイバに入射させる手段をさ
    らに有することを特徴とする光ファイバ零分散波長分布
    の測定装置。
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