JP2022121937A - 体液の検査デバイスおよび体液の分析方法 - Google Patents

体液の検査デバイスおよび体液の分析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022121937A
JP2022121937A JP2021018939A JP2021018939A JP2022121937A JP 2022121937 A JP2022121937 A JP 2022121937A JP 2021018939 A JP2021018939 A JP 2021018939A JP 2021018939 A JP2021018939 A JP 2021018939A JP 2022121937 A JP2022121937 A JP 2022121937A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measurement
cell
cells
testing device
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021018939A
Other languages
English (en)
Inventor
達郎 板橋
Tatsuro ITABASHI
博 吉田
Hiroshi Yoshida
哲 井上
Satoru Inoue
則子 服部
Noriko Hattori
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
IB CO Ltd
Nipro Corp
Original Assignee
IB CO Ltd
Nipro Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by IB CO Ltd, Nipro Corp filed Critical IB CO Ltd
Priority to JP2021018939A priority Critical patent/JP2022121937A/ja
Publication of JP2022121937A publication Critical patent/JP2022121937A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Automatic Analysis And Handling Materials Therefor (AREA)

Abstract

【課題】複数の測定用セル内での検体の反応時間の管理の容易化が図られ得る、新規な構造とされた体液の検査デバイスを提供する。【解決手段】検体供給口54と、測定用セル12と、該検体供給口54と該測定用セル12とを接続する検体流路60とを、備えた体液の検査デバイス10において、検体供給口54が3個以上の測定用セル12に対して等しい長さの検体流路60によって接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、生体の体液について、例えばコレステロールや脂肪酸,グルコース,カルシウム,尿酸などの成分を分析するのに用いられる体液の検査デバイス、および当該検査デバイスが好適に用いられる体液の分析方法に関する。
生体の体液の分析方法の一つとして、特定の試薬を収容した測定用セル内へ、生体から分離された微量の体液を導き入れて試薬との反応状態を測定する方法が知られている。
かかる分析方法の実施に際しては、特許第5931709号公報(特許文献1)に示されているように、検体供給口と測定用セルが検体流路で接続されて設けられたプレート状部材を備えた検査デバイスが用いられる。このような検査デバイスでは、一般に検体供給口へ供給された体液が、検体流路を通じて測定用セルに導かれ、測定用セル内での試薬との反応状態を光学的に観察することで成分の測定が行われる。
ところで、従来構造の検査デバイスでは、特許文献1の図2にも示されているように、複数の測定用セルが設けられており、それぞれが検体流路を通じて検体供給口へ接続されている。これら複数の測定用セルには、検出すべき成分に応じて選定された試薬が予め収容されており、体液中の複数の成分を同時に測定可能とされている。
特許第5931709号公報
ところが、上述の如き従来構造の検査デバイスでは、複数の測定用セルにおいて体液中の成分を精度良く測定することが難しい場合があった。例えば各測定用セルに収容された試薬と体液との反応を測定するに際しては、反応初期から経時的な変化や所定時間経過後の状態を観察することが必要とされる場合があるが、従来構造の検査デバイスでは、各測定用セル内での試薬と体液との反応経過時間を反応初期から正確に把握することが難しかった。更に、複数の測定用セルへの体液の導入タイミングがずれると、各測定用セル内での試薬と体液との反応経過時間を正確に把握することが難しかった。
また、測定用セル内での試薬と体液の反応状態の光学的な観察は、例えば透過光又は反射光を受光する光学素子により測定用セルを撮像して分析用の光学情報を取得することによって行われる。その際、特許文献1に記載されている従来構造の検査デバイスでは、複数の測定用セルが直線上に配列されており、光学素子を測定用セルの配列方向へ移動させつつ、順次に測定用セルの撮像が行われる。しかし、このような従来方法では、光学素子を含むカメラユニットを移動させる必要があることから、測定装置が複雑となってトラブルも発生しやすく、作動制御も難しかった。また、カメラユニットの移動に伴って複数の測定用セルの撮像に時間差が発生することを避け難く、各測定用セル内での試薬と体液との反応経過を反応初期から撮像することも難しかった。
さらに、検体供給口に供給された体液を各測定用セルへ導き入れるための、押圧操作等によって及ぼされる圧力が小さい場合には、検体流路上での体液の流速が小さくなって、各測定用セルに対する体液の導入タイミングの差が一層大きくなってしまう。
体液の検査デバイスに関する本発明の解決課題は、複数の測定用セルへの検体の導入タイミングの差を抑えることができる、新規な構造の体液の検査デバイスを提供することにある。
体液の検査方法に関する本発明は、かかる本発明に従う構造とされた体液の検査デバイスを用いることも好適とされて、複数の測定用セルの撮像を容易に且つ時間差を抑えて精度良く行なうことのできる、新規な体液の検査方法を提供することにある。
また、検査項目を増やすために更に多くの測定用セルが必用になった場合であっても、多数(例えば5個以上)の測定用セルを優れたスペース効率をもって配置することを可能とし、且つ、それら多数の測定用セルが、測定用撮影カメラ(光学素子)の一つの視野内へ入るように容易に設定することも可能とし、それによって、複数の検査項目であっても、検査デバイスを小型化することが可能となり、撮影するためのカメラの位置を固定でき、全体の測定機器自体も小型化できる事にもつながるような、新規な検査デバイスの実現に資することも、本発明は解決課題の一つとしている。
以下、本発明を把握するための態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
体液の検査デバイスに関する第1の態様は、検体供給口と、測定用セルと、該検体供給口と該測定用セルとを接続する検体流路とを、備えた体液の検査デバイスであって、前記検体供給口が3個以上の前記測定用セルに対して等しい長さの前記検体流路によって接続されているものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、3個以上の測定用セルにおいて、検体供給口から検体流路を経て各測定用セルに到達するまでの検体流路の長さの相違に起因する時間差を抑えることができる。それ故、例えば各測定用セルに予め収容された試薬と検体との反応状況を経時的に観察する場合や、特定時間の経過時点で観察する場合に、各測定用セル内での試薬と検体との反応開始時点の差が抑えられることで、計時を含む測定作業の簡略化や測定精度の向上も図られ得る。
また、各測定用セルまでの検体流路の長さを揃えることは、複数の測定用セルを効率的に配置することにもつながる。即ち、より好適には後述の態様に記載されているように、例えば一つの略円形等を為す整列ライン上に複数の測定用セルを配することとなるが、それによって、撮像カメラの視野を考慮して一つの撮像カメラの一つの視野内に多くの測定用セルを優れたスペース効率をもって配置することができて、複数の検査項目であっても、検査デバイスを小型化することが可能となり、撮影するためのカメラを固定でき、全体の測定機器自体も小型化できる事にもつながるような、新規な検査デバイスの実現に資することも可能になる。
体液の検査デバイスに関する第2の態様は、前記第1の態様に係る体液の検査デバイスにおいて、前記検体供給口と前記3個以上の測定用セルとを接続する前記検体流路が、一方の端部が該検体供給口へ接続された共用流路と、該共用流路の他方の端部から分岐して該3個以上の測定用セルにそれぞれ接続された分岐流路とを有しているものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、共用流路を設けたことにより、検体供給口から各測定用セル毎に個別の検体流路を並設した場合に比して、検体流路内への余分な体液の残留分が抑えられる。また、少なくとも共用流路上では、検体供給口から各測定用セルに至る流路条件が同一とされることから、検体供給口から各測定用セルに至る検体の時間差の更なる軽減も図られ得る。更にまた、検体供給口を比較的に大きくして検体の供給を容易にしつつ、共用流路の流路断面積を制限することで、各測定用セルへの検体の流入状態を整えたり安定化させたりすることも可能になる。
体液の検査デバイスに関する第3の態様は、前記第2の態様に係る体液の検査デバイスにおいて、前記共用流路からの前記分岐流路の分岐点に分岐セルが設けられており、該分岐セルから各該分岐流路が延び出しているものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、分岐点に設けた分岐セルにおいて容積を確保することで、検体の各分岐流路への流入条件を均等化することが可能になり、例えば共用流路から直接に各分岐流路へ分岐させる場合に比して、各分岐流路へ流れ込む検体の流動方向の差などに起因する、各測定用セル相互間における検体の流入差を軽減することもできる。
体液の検査デバイスに関する第4の態様は、前記第3の態様に係る体液の検査デバイスにおいて、前記分岐セルが、ブランク値を得るためのブランクセルとされたものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、検体流路上に設けた前述の分岐セルを利用することで、ブランクセルを良好なスペース効率をもって設けることが可能になる。
体液の検査デバイスに関する第5の態様は、前記第1~4の何れかの態様に係る体液の検査デバイスにおいて、前記3個以上の測定用セルが、検査プレートの面方向におけるX方向で互いに離隔した複数の該測定用セルと、該検査プレートの面方向で該X方向に直交するY方向で互いに離隔した複数の該測定用セルとを、含んでいるものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、特許文献1に記載のようにX方向に延びる直線上に複数の測定用セルを配列した従来構造に比して、3個以上の複数の測定用セルを二次元領域において良好なスペース効率をもって配することが可能になる。特に略円形とされるカメラユニットの視野内により多くの測定用セルを納めることが可能になって、多数の測定用セルの撮像に際して発生する時間差を抑えることも容易となる。
体液の検査デバイスに関する第6の態様は、前記第5の態様に係る体液の検査デバイスにおいて、前記3個以上の測定用セルが、前記検査プレートの面方向に広がる円周上で互いに離隔して配置されているものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、略円形とされるカメラユニットの一つの視野内に複数の想定用セルをより効率的に納めることができるように配置することが可能になる。なお、測定用セルが配置される円周は、真円である必要はなく、略同心的な複数の円周であっても良い。
体液の検査デバイスに関する第7の態様は、前記第5又は第6の態様に係る体液の検査デバイスにおいて、前記検査プレートの面上で前記複数の測定用セルの配置領域を外側へ外れた位置に前記検体供給口が設けられているものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、複数の測定用セルの配置領域を外れて検体供給口が設けられることから、例えば光学素子を用いて複数の測定用セルを撮像するに際して、検体供給口が邪魔になるようなこともない。また、例えば検体供給口を大きな開口をもって形成するに際しても、複数の測定用セルの配置領域への悪影響が回避されることとなり、例えば狭い領域へ複数の測定用セルを配置することで撮像を容易としつつ、検体供給口を充分に大きな開口をもって形成することも可能になる。
体液の検査デバイスに関する第8の態様は、前記第1~7の何れかの態様に係る体液の検査デバイスであって、前記検体流路において、前記検体供給口から前記3個以上の測定用セルのそれぞれに至る経路が互いに等しい流路条件とされているものである。
本態様の体液の検査デバイスでは、流路長さだけでなく、流路断面形状や流路断面積、流路分岐数といった流路条件が、各測定用セルに至る経路間で等しくされていることで、各経路において検体の流動抵抗の大きな差が抑えられる。その結果、検体供給口から各測定用セルに至る検体の時間差の更なる軽減が図られ得る。
なお、本発明に係る体液の検査デバイスでは、上記の各態様に記載の構成に限定されるものでなく、また各態様に記載の任意の構成を組み合わせて採用することも可能である。具体的には、例えば以下のような態様も採用され得る。即ち、本発明に係る体液の検査デバイスは、「検体供給口と、測定用セルと、該検体供給口と該測定用セルとを接続する検体流路とを、備えた体液の検査デバイスであって、前記検体流路が、該検体供給口から分岐点まで延びる共用流路と、該共用流路の該分岐点から分岐して3個以上の前記測定用セルにそれぞれ接続された分岐流路とを有しており、且つ、該3個以上の前記測定用セルは、該分岐点の周りに周方向で互いに所定角度を隔てた位置に配置されていると共に、該3個以上の前記測定用セルは、該分岐点周りの円形領域内に配置されており、更に、該円形領域を外れた位置に前記検体供給口が配置されていると共に、該検体供給口に比して前記分岐点は小さな面積をもって形成されている検査デバイス」も、一つの態様として含む。このような態様の検査デバイスでは、光学的な観察領域(測定用セルが配置された円形領域)から、検体供給口を外したことで、(検体供給するのに比較的に大きな開口面積が必用とされる検体供給口を除いて)複数の測定用セルを優れたスペース効率をもって光学的観察領域内に配することが可能になる。また、検体供給口から分岐点までの距離を設定することで、検体が偏って各測定用セルへ導入されることを防止又は軽減できることも期待できる。さらに、例えば分岐点をブランクに設定すれば、ブランクセルの設置スペースの効率化も図られることに加えて、ブランクセルの周囲に配置された各測定用セルとの比較観察も容易且つ精度良く実施可能となる。
体液の分析方法に関する第1の態様は、体液の検査デバイスに設けられて検体が収容された複数の測定用セルを、透過光又は反射光を受光する光学素子を用いて撮像することにより分析用の光学情報を取得するに際して、前記光学素子が受光し得る視野内に前記複数の測定用セルの全てが納まる状態で、該光学素子の位置を固定したままで該複数の測定用セルを撮像するものである。
本態様の体液の分析方法に従えば、光学素子を用いて撮像するに際して、複数の測定用セルを同じ視野内において同時に撮像することができることから、例えば複数の測定用セルを光学素子との相対位置を変えつつ複数回に分けて撮像することに起因する時間差を避けることができ、各測定用セル内での試薬と体液との反応経過時間を高精度に設定することが可能になる。また、複数の測定用セルを光学素子との相対位置を固定的に設定できることから、例えば相対移動を行う機構や作動が不要となり、装置(測定機器)や制御の簡略化および装置自体の小型化が可能になり、装置における不具合発生の軽減を図ることもできる。
体液の分析方法に関する第2の態様は、前記第1の態様に係る体液の分析方法であって、透過光又は反射光を受光する前記光学素子と、透過光又は反射光を照射する光源との、少なくとも一方について、前記複数の測定用セルに対する距離を等しく設定するものである。
本態様の体液の分析方法に従えば、複数の測定用セルの相互間において、特に光学的な測定条件の均一化が図られて、測定精度の向上が図られ得る。
体液の分析方法に関する第3の態様は、前記第1又は第2の態様に係る体液の分析方法であって、前記検査デバイスとして、前述の何れかの態様に係る体液の検査デバイスを用いるものである。
すなわち、体液の分析方法に関する第1又は第2の態様を実施するに際しては、前述の何れかの態様に係る体液の検査デバイスを好適に用いることができる。その結果、例えば各測定用セル内での試薬と体液との反応経過時間を一層精度良く揃えることが可能になったり、光学素子の一つの視野内に複数の測定用セルをより効率的に納めることが可能になるなどといった技術的効果を享受することも可能になる。
体液の検査デバイスに関する本発明によれば、3個以上の測定用セルへの検体の導入タイミングの差を抑えることができて、例えば各測定用セル内での試薬と検体との反応開始時点の差が抑えて測定精度の向上等を図ることが可能になる。
体液の検査方法に関する本発明によれば、複数の測定用セルの撮像を容易に且つ時間差を抑えて精度良く行なうことができる。
本発明の一実施形態としての体液の検査デバイスを示す図であって、(a)は表側の斜視図であり、(b)は裏側の斜視図である。 図1に示された検査デバイスの縦断面図である。 図1に示された検査デバイスの組立部品斜視図である。 図1に示された検査デバイスにおいて積層構造のプレート状部を構成するスペーサプレートを示す平面図。 図1に示された検査デバイスにおいて積層構造のプレート状部を構成するベースプレートを示す平面図。 図1に示された検査デバイスにおいて積層構造のプレート状部を構成するカバープレートを示す平面図。 図1に示された検査デバイスを用いた測定用セルを用いて撮像装置により測定を行う方法を説明するための概略説明図である。 図8に示された撮像装置の要部説明図である。 図7に示された撮像装置による測定用セルの撮像時における撮像エリアを示す説明図である。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図1~3には、本発明の実施形態としての体液の検査デバイス10が示されている。かかる検査デバイス10は、複数の測定用セル12を備えたプレート状部14と、該プレート状部14の基端側を固定的に保持する保持部16とを、有している。
より詳細には、プレート状部14は、図3に示されているように、3枚の分割プレートが重ね合わされた積層構造とされている。即ち、プレート状部14は、図4に示すスペーサプレート20に対して、図5に示すベースプレート22が下面側へ重ね合わされていると共に、図6に示すカバープレート24が上面側へ重ね合わされている。
これらスペーサプレート20,ベースプレート22,カバープレート24は、互いに略同じ外周の形状及び大きさとされている。具体的には、何れも長手矩形の薄肉で平坦なプレート形状とされており、図4~6中の右側となる先端側は両角がカットされて取扱いの容易さや安全性の向上等が図られている。
スペーサプレート20には、長さ方向(図4中の左右方向)の中央よりも基端側(図4中の左側)に位置して、基端側孔30がプレート厚さ方向に貫通して形成されている。本実施形態では、かかる基端側孔30が、スペーサプレート20の幅方向の略中央に位置する円形の孔とされている。
スペーサプレート20の長さ方向の中央よりも先端側には、後述のブランクセルが形成されることとなる幅方向の略中央に位置して先端側孔32がプレート厚さ方向に貫通して形成されている。本実施形態では、かかる先端側孔32が、基端側孔30よりも僅かに小さい円形の孔とされている。
さらに、先端側孔32の周囲には、3個以上の複数個(本実施形態では6個)の周辺孔34が、それぞれプレート厚さ方向に貫通して形成されている。これら複数の周辺孔34は、円形又はそれに近い楕円乃至はオーバル形状とされており、長軸を先端側孔32に向けて、先端側孔32の中心点回りの一つの円周上に略一定間隔で配されている。周辺孔34の大きさは特に限定されないが、先端側孔32と略同じか大きな開口面積とされることが望ましい。
複数の周辺孔34の各中心をつないだ配置ラインを円形又はそれに近い楕円乃至はオーバル形状にすることで、後述するように各周辺孔34で形成されて検体を収容する複数の測定用セル12を、1つの測定カメラの認識画像中(一つの撮像素子からなる光学素子106の単一の視野内)に効率的に収めることが可能になる。特に、持ち運びが可能で可搬性が良好な検査機器であるためには、複数のカメラを内蔵するよりは、単数のカメラである事が望ましく、当該単数のカメラが位置固定に設置されて、当該カメラの一つの視野において複数、可能であれば全ての測定用セル12を一度に認識できることが望ましい。更に、全ての測定用セル12について、測定用の照明光(セルへの透過光又は反射光)を均等に受けることが望ましく、必要に応じて、照明光路上には反射板や拡散板,レンズなどが配設され得る。尤も、照明用の光源は単一である必要はなく、各測定用セル12への照明条件を略等しくするために、例えば各測定用セル12毎に同じ照明を装備する他、例えば全ての測定用セルに均等に照明光を与える面発光のLED照明装置などを採用することも可能である。また、画像認識する測定カメラの撮像素子についても、各測定用セル12からの透過光又は反射光の受光条件を略等しくすることが望ましい。それ故、好適には、各測定用セル12は、測定カメラの撮像素子と、測定用の照明光の光源との、少なくとも一方に対する距離を等しく設定される。
より詳細には、例えば性能として、画素数が160万画素程度、解像度が1440×1080程度、ピクセルサイズが3.45×3.45μm程度の単一の撮像素子であるCMOSセンサを用い、フレームレートが10~60FPS程度とされて、測定用セル12の近接撮像に対応し得る光学的性能を備えた、USB接続等で作動制御可能なデジタルカメラは、市販品として現時点で入手可能である。この程度のデジタルカメラの採用を前提として、カメラレンズの表面からスペーサプレート20までの距離を50mm以下又は30mm以下(例えば29mm等)にした場合でも、当該デジタルカメラ(測定カメラ)の一つの認識画像中に、一つの円周上に配置された全ての周辺孔34が納まるようにすることが望ましい。例えば、デジタルカメラにおける撮像素子への入射光の光軸を周辺孔34が配置された円周の中心軸に合わせることにより、一つの円周上に配置された全ての周辺孔34について、単一の撮像素子との距離を等しく設定することが容易である。また、実質的に一つの共通した照明用光源を採用する場合には、照明光の光軸を周辺孔34が配置された円周の中心軸に合わせることにより、一つの円周上に配置された全ての周辺孔34について、当該照明用光源との距離や照明条件を等しく設定することが容易である。
具体的には、上述の観点から、入手可能なデジタルカメラの視野角などを考慮すると、スペーサプレート20の先端側において、複数の周辺孔34が互いに離隔して配置される一つの円周は、直径が5mm以下の円周とされることが好ましく、より好ましくは直径が4mm以下の円周とされる。また、一つの円周上に配置される周辺孔34の大きさや数を考慮すると、当該円周の直径は1.0mm以上とされることが望ましい。
尤も、このような周辺孔34(測定用セル12)が配置される円周や、周辺孔34自体の大きさ、ひいてはスペーサプレート20の大きさは、使用する測定カメラや当該測定カメラとスペーサプレート20との撮像時の設定距離などに応じて適宜変更される。例えば、カメラレンズとスペーサプレート20との距離を30mm程度とした一つの例示的態様では、直径が略4mmの円周上に3~16個の周辺孔34を設定することが好適であり、より好適には3~14個の周辺孔34が設定される。また、各周辺孔34の内径(楕円等の場合には平均内径)は、1.0~5.0mmの範囲内に設定することが望ましく、より望ましくは1.0~3.0mmの範囲内に設定される。同様な例示的態様として、円周上に配置される全ての周辺孔34は、直径が10mmの円内に納まるように設けられることが望ましく、より望ましくは直径が8mmの円内に抑えるように設けられることが望ましい。
また、スペーサプレート20の長さ方向の中間部分には、幅方向の略中央を基端側から先端側に向かって延びて、基端側孔30と先端側孔32とをつなぐ中央溝40が設けられている。本実施形態では、かかる中央溝40が、略一定の幅寸法のスリット形状をもって直線状に延びている。
更にまた、スペーサプレート20の先端部分には、先端側孔32から各周辺孔34に向けて延びる複数本(本実施形態では6本)の分岐溝42が設けられている。本実施形態では、かかる分岐溝42が、先端側孔32を中心として放射状に各周辺孔34に向けて延びており、それぞれ略一定の幅寸法のスリット形状をもって直線的に且つ相互に略一定の交角をもって形成されている。なお、本実施形態の分岐溝42は、中央溝40と断面が略同じ形状及び大きさとされているが、限定されるものでない。
一方、ベースプレート22は、貫通する孔や溝などが形成されていない。また、カバープレート24は、基端側に位置して厚さ方向に貫通する注入用孔46が形成されている。注入用孔46は、スペーサプレート20の基端側孔30に対応する位置に設けられており、基端側孔30と略同じか大きな孔であって、本実施形態では基端側孔30より一回り大きな円形孔とされている。
そして、スペーサプレート20の上下両面に対して略全体的に密接状態で、ベースプレート22とカバープレート24が重ね合わされており、接着等によって一体的に固定されることでプレート状部14とされている。例えばポリエステル系フィルムの両面にアクリル系接着材を付することで全体として透明とされた極薄フィルム状の両面テープを用いて、スペーサプレート20の上下両面にベースプレート22とカバープレート24を略全面に亘って固着することもできる。
これにより、スペーサプレート20の先端側孔32、周辺孔34、中央溝40、分岐溝42が、何れもプレート両面への開口部においてベースプレート22とカバープレート24によって液密に覆蓋されている。また、スペーサプレート20の基端側孔30は、下側開口がベースプレート22で液密に覆蓋されていると共に、上側開口がカバープレート24の注入用孔46を通じて外部に開口されている。
この結果、プレート状部14の内部には、先端側に位置する分岐セル50が、スペーサプレート20の先端側孔32を利用して形成されていると共に、分岐セル50の周囲に位置する複数の測定用セル12が、スペーサプレート20の複数の周辺孔34を利用して形成されている。また、プレート状部14の基端側の内部には、上方に向けて開口する検体供給口54が、スペーサプレート20の基端側孔30とカバープレート24の注入用孔46を利用して形成されている。更にまた、プレート状部14の内部において、検体供給口54と分岐セル50とをつなぐ共用流路56が、スペーサプレート20の中央溝40を利用して形成されていると共に、分岐セル50から分岐して該分岐セル50を各測定用セル12につなぐ複数本の分岐流路58が、スペーサプレート20における複数本の分岐溝42を利用してそれぞれ形成されている。
すなわち、共用流路56と複数本の分岐流路58とによって、検体供給口54へ供給された体液などの液状の検体を、複数の測定用セル12の全てに導き入れる検体流路60が構成されている。また、本実施形態では、複数の測定用セル12の全てが配置された領域、換言すれば最外周に位置する各測定用セル12を連続線で繋いだ囲繞域として想定される、複数の測定用セル12の配置領域から外側に外れた位置に、検体供給口54が設けられている。これにより、全ての測定用セル12を含む測定カメラの認識画像領域および照明領域から外れた位置に、検体供給口54を設定し得る。それ故、例えば検体供給口54の開口が大きい場合でも、測定カメラの認識画像領域および照明領域を不必要に大きくする必要なく、複数の測定用セルを効率的に当該領域内に納めることも可能になる。
なお、ベースプレート22とカバープレート24は、検体の光学的検査に際して透光性が要求される各測定用セル12の形成部分を除いて、着色領域62,64とされることが望ましい。本実施形態では、後述するように分岐セル50が測定用のブランクセルを構成することから、ベースプレート22とカバープレート24における当該分岐セル50の形成部分も、透光性が要求されることから、着色領域62,64から外されている。ベースプレート22とカバープレート24における着色領域62,64では、ベースプレート22およびカバープレート24の光線透過率が下げられ、略光線不透過性とされる。これにより、不均一な外乱光による検査精度への悪影響を回避したりすることができる。
具体的には、例えば図5,6に示されているように、本実施形態のベースプレート22とカバープレート24にあっては、各測定用セル12および分岐セル50の形成部分がそれぞれ透明なセル窓66,68とされているが、その他の領域は黒色の着色領域62,64とされている。なお、黒色等の着色を付すには、印刷や着色フィルムの貼着など公知の手法が採用可能であり、ベースプレート22やカバープレート24において上下少なくとも一方の面が着色される。尤も、着色領域62,64は、光の反射などによるノイズの発生を抑えるものであれば良く、黒色への着色に限定されない。
なお、ベースプレート22においては、スペーサプレート20への重ね合わせ面となる上面に着色層を設けることで、当該着色層の層厚寸法分だけ測定用セル12の形成部分に設定された透明領域を周囲の着色領域62に比して凹んだ凹所としても良い。このような凹所をベースプレート22における測定用セル12の形成領域に設けることで、例えば測定用セル12内での検体との反応物質などを付着させておくための収容部分として、当該凹所を利用することもできる。
また、ベースプレート22において非着色領域とされた各セル窓66と、カバープレート24において非着色領域とされた各セル窓68は、各測定用セル12における検体の検査に支障を与えない程度の大きさ及び形状とされていれば良く、スペーサプレート20の周辺孔34(測定用セル12)と同一である必要はない。
尤も、好ましくは、スペーサプレート20の周辺孔34に比して、ベースプレート22のセル窓66とカバープレート24のセル窓68は、何れも、略相似形状で一回り小さくされる。これにより、例えば製造寸法誤差によって周辺孔34の中心に対してセル窓66やセル窓68の中心が多少ずれた場合でも、セル窓66やセル窓68が周辺孔34から外周へはみ出してしまうことが防止される。
なお、本実施形態では、測定用セル12を形成する周辺孔34や上下のセル窓66,68が、対応して楕円形状乃至はオーバル形状とされているが、円形などの他の形状であっても良い。尤も、一つの径方向が他の径方向に比して大きな長軸とされる実施形態の如き楕円形状乃至はオーバル形状とされることで、長軸方向に所定距離を隔てて並べて多くの光学的測定点を設定しつつ、短軸を小さくして測定用セル12の容積すなわち充填に必要な検体量を抑えることが可能になる。
さらに、後述するようにプレート状部14の下方から測定用光を照射して、プレート状部14の上方に配された光学素子106で上方から撮像する装置を用いる場合には、測定用の照射光の入光側となるベースプレート22のセル窓66は、カバープレート24のセル窓68よりも一回り小さくされることが望ましい。これにより、例えばスペーサプレート20に対するずれ量が大きくなった場合でも、光学素子106による上方からの撮像の可能な領域を確保する利点や、測定用セル12に対して下方から照射される光線量や照射範囲を略一定に保つ利点などがある。なお、ベースプレート22のセル窓66を透過して測定用セル12内へ照射される測定用光は、拡散や回折、反射などの作用で測定用セル12内の広い領域を照射し得る。
なお、スペーサプレート20は、例えば微細な多孔体とされることにより、ガス透過性で液不透過性の材質が好ましい。例えば検体として血清などを想定すると実質的な孔径が0.5~5μm程度の多孔体が採用され得る。具体的には、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、セルロース混合ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート等を用いた不織布やメンブランフィルタなどが好適に採用され得る。また、測定用セル12への水性の検体の充填を容易とするには親水性が望ましいが、液体の浸潤による目詰まりを抑える等の目的から疎水性としても良い。
また、ベースプレート22およびカバープレート24は、何れも、強度や硬度、透光性を考慮したうえで、ガス及び液の不透過性の材質が好ましい。より好適には光透過性に優れたものであり、例えばアクリル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリトレフィンなどが好適に採用され得る。なお、測定用セル12への水性の検体の充填を容易とするには表面を親水性とすることが望ましい。
尤も、上述の材質は例示的であり、スペーサプレート20、ベースプレート22、カバープレート24の材質は制限されるものでなく、要求される耐薬品性や耐検体性、耐環境性能や検査装置による要求条件などを考慮して、樹脂系やガラス系などを含めて、各種材質から選択可能である。特に、光学的な観察を考慮した場合でも、少なくともスペーサプレート20は透光性を問われる必要がなく、ベースプレート22やカバープレート24であっても、例えば反射式の光学的観察法による場合には、一方の内面を反射面とすることなどにより、当該一方のプレートに透光性を与える必要がない。また、スペーサプレート20、ベースプレート22、カバープレート24の各寸法も特に限定されるものでないが、光学的測定への影響を考慮すると、何れも30~300μm程度の厚さ寸法とされることが望ましい。
一方、前記保持部16は、図1~3に示されているように、全体としてプレート状部14よりも厚肉のブロック板形状とされており、本実施形態では、硬質の樹脂材料からなる単一の成形品で構成されている。
保持部16は、略一定の厚さで広がる矩形の板状本体18を有している。板状本体18には、長さ方向の中央より基端側において左右両縁がえぐられたように幅狭とされた把持部70が設けられている。また、板状本体18の下面には、基端側に位置して二次元バーコードの如き識別符号72が付されており、当該識別符号72を利用して、検査デバイス10や検体などを識別することができるようになっている。
さらに、板状本体18の下面には、長さ方向の略中央から先端側に向かって所定幅で広がって先端面に開口する取付凹部74が形成されている。この取付凹部74に嵌め入れられた状態で、前述のプレート状部14の基端部分が組み付けられている。プレート状部14は、長さ方向の中央よりも基端側が、板状本体18の取付凹部74の底面に対して密接状態で重ね合わされて、接着などによって固着されている。
板状本体18へ固着されたプレート状部14は、長さ方向の中央部分よりも先端側が板状本体18から突出しており、この突出部分に、分岐セル50と複数の測定用セル12の全てが位置している。
一方、板状本体18において、プレート状部14の検体供給口54は、プレート状部14に重ね合わされている。そして、この検体供給口54が位置する、プレート状部14の取付凹部74の略中央部分には、検体注入穴80が設けられている。検体注入穴80は、板状本体18を板厚方向に貫通しており、プレート状部14の検体供給口54と略同じか大きい円形孔とされている。
板状本体18における検体注入穴80の周囲には、上方に向かって突出する環状の周壁82が形成されている。検体注入穴80は、周壁82内において、上方に向かって次第に拡開するテーパ状案内面84を有している。なお、周壁82の上端面には、上方に突出する断面形状で全周に亘って連続して延びるリング状のシール突起86が、複数条形成されている。
また、検体注入穴80において、プレート状部14に重なる下端部は、拡径されたフィルタ収容部88(図2参照)とされている。このフィルタ収容部88に嵌め入れられた状態で、フィルタ90が装着されて、プレート状部14の検体供給口54を覆うように組み付けられている。
かかるフィルタ90の装着は任意であり、例えば血球が通過不能な血球分離型フィルタを採用することで、検体の事前処理を簡略化することができる。かかるフィルタ90としては、例えばセルロヒスアセテートフィルタ、ポリフッ化エチレンフィルタなどの樹脂を使用したメンブランフィルタやガラスフィルタなどが採用され得る。
上述の如き本実施形態の検査デバイス10は、生体の体液について成分を分析するのに用いられる。具体的には、例えば生体から採取した体液としての血液を、検体注入穴80を通じて検査デバイス10へ注入し、各測定用セル12において、予め収容させた試薬と反応させることで、成分を分析することができる。
用いられる試薬は、測定すべき成分に応じて公知の物質が適宜に採用されるものであって限定されない。かかる試薬は、検体の目的成分と反応させるものだけでなく、検体の測定時に目的成分との反応を妨害や抑制して調節したり、測定誤差の要因となる物質を除去するための物質を含む。測定すべき成分も限定されるものでなく、例えば乳牛の周産期疾患に関与すると考えられる血液中のコレステロール(T-Cho)、遊離脂肪酸(NEFA)、トリグリセリド(TG)、グルコース(Glu)、カルシウム(Ca)、無機リン(iP)なとが例示的に挙げられる。
試薬の具体例は示すまでもないところであるが、念のために例示すると、例えばグルコースの測定に際しては、NAD、2-(4-ヨードフェニル)-3-(2,4ジニトロフェニル)-5-(2,4ジスルフォフェニル)-2H-テトラゾリウム、ポリビニルピロリドン、リン酸緩衝液、グルコース脱水酵素、ジアホラーゼなどを含んだ試薬の採用が挙げられる。また、尿素窒素やクレアチニンを測定するときには、例えばアスコルビン酸酸化酵素、アルギン酸ナトリウム、オルトフェニレンジアミン、リン酸緩衝液、尿酸酸化酵素、ペルオキシターゼなどを含んだ試薬が挙げられる。
これらの試薬は、予め検査デバイス10の製造段階において、各測定用セル12の内面に滴下させたうえで乾燥処理などによって付着させておくことが望ましい。また、成分調整等の物質は、流路上に付着させておいても良い。
このような試薬が収容された各測定用セル12に対して、検体注入穴80へ供給された血液(検体)は、フィルタ90から検体供給口54を通じて、共用流路56から分岐セル50を経て、各分岐流路58により導き入れられる。かかる血液の各測定用セル12への導入は、例えば血液の表面張力や外的圧力などを利用して行うことができる。
例えば検体注入穴80を通じて外部から空気圧を及ぼすことで、血液を各測定用セル12へ向けて送り込むことができる。具体的には、例えば保持部16の検体注入穴80を覆うようにして、ゴムやシリコーン等のエラストマで形成されて外方に膨らんだドーム状の弾性カバーを被せて、当該弾性カバーを手指等で押圧することで、検体注入穴80を通じて空気圧を血液へ及ぼすことができる。その際、弾性カバーの開口する外周端面を、周壁82の上端面のシール突起86に押し付けることでシール性を確保して空気圧を効率的に血液へ及ぼすことができる。
また、血液を、検体供給口54から共用流路56、分岐セル50及び各分岐流路58を通じて各測定用セル12へ導き入れるに際して、流路やセル内に予め入っていた空気は、通気性のあるスペーサプレート20を通じて外部へ排出される。その結果、各測定用セル12は、導き入れられた血液によって速やかに充填され得る。
各測定用セル12へ導入された血液について、必要とされる試薬との反応を経て、当該血液(検体)の成分測定が行われることとなるが、かかる検体の成分の測定は、従来から公知の光学測定装置を用いて、測定用セル内での検体と試薬との反応状態を光学的に観察することで行うことができる。例えば、図7~8に示されているように、光学測定装置92は、タッチスクリーンで構成された表示操作窓94の下方の略中央にステージ96が設けられており、ステージ96を上下に挟んで、下方には光源97が設けられていると共に、上方には撮像装置としての受光部98が設けられている。
ステージ96には、透明な上下の支持板100,102間にスリット状のプレート挿入部104が形成されており、前述の如き検査デバイス10のプレート状部14を、光学測定装置92の前方から当該プレート挿入部104へ差し入れることにより測定状態にセットされるようになっている。かかるセット状態では、複数の測定用セル12が設けられたプレート状部14の先端部分が、光源97からの照明光で照射されると共に、受光部98の光学素子である受光素子106による受光エリア内とされて光学的な撮像が可能とされる。なお、ステージ96に検査デバイス10をセットして測定する際には、ステージ96を含む測定用エリアの全体が遮光カバーなどの蓋体で覆われて、外部からの入光による外乱を防止することが望ましい。
光学測定装置は、比色分析法などの原理によって血液や尿などの体液中の特定物質の量や存否を色の変化として測定する生化学装置であって、一般に光源97としてキセノンランプなどが用いられ、受光部98としてフォトダイオードが用いられる。また、図8では省略してあるが、一般に光源97から受光部98へ至る光路上には、光フィルタやグレーティング、光格子、レンズ(フォーカスレンズやコリメートレンズ等)などが配されて、検出すべき光波長に対応した感度や分解能が実現されるようになっている。なお、受光部98は、例えば前述の如き撮像素子を備えたデジタルカメラが好適に採用され、光源97は、例えば前述の如き照明用の光源が好適に採用され得る。測定用セル12の透過孔として撮像された光信号は、例えば波長分析や光度分析などの信号処理がなされ、A/D変換器によって数値化されて演算処理結果が、検出すべき成分の量や存否などの測定結果情報として出力されることとなる。
尤も、光学測定装置92の具体的構成は限定されるものでなく、例えば光源を受光部98と共にステージ96の上方に設置して、光源からの照明光をプレート状部14のベースプレート22やステージ96の支持板102などによって反射させることで、受光部98の受光素子106で光学的に撮像することも可能である。また、ステージ96の支持板100,102の厚さを調節したり、光源97の上下位置を調節するなどして、光路長を調節や補正する機構を採用することも可能である。このような光路長の調節機構は、例えば試薬との反応で発色した検体(試料)の吸光度が高い場合に、光学的な撮像光量を確保するにも有効である。
上述の如き検査デバイス10を用いた検体の成分測定によれば、3個以上の測定用セル(特に本実施形態では全ての測定用セル)12において、検体供給口54から検体を導き入れる検体流路60が互いに等しくされている。それ故、各測定用セル12において、各測定用セル12へ検体が到達するまでの検体流路の長さの相違に起因する時間差を抑えることができる。その結果、例えば各測定用セル12に予め収容された試薬と検体との反応による発色状態を、経時的に観察する場合や、特定時間の経過時点で観察する場合等において、各測定用セル12内での試薬と検体との反応開始時点の差が抑えられることで、計時を含む測定作業の簡略化や測定精度の向上が図られ得る。
特に本実施形態では、検体流路60が、流路長の一部において全ての測定用セル12での共通の流路とされる共用流路56を含んで構成されていることから、各測定用セル12毎に検体流路の全長に亘って並列的に形成する場合に比して、各測定用セル12へ至る流路長さのばらつきを一層容易に且つ精度良く実現できる。
また、共用流路56の終点となるプレート状部14の先端を中心とする円周上で、互いに周方向で離隔して全ての測定用セル12が形成されていることから、それら全ての測定用セル12を良好なスペース効率で設けることができる。しかも、プレート状部14の先端を各測定用セル12に接続する複数の分岐流路58を、プレート状部14の先端を中心とした放射線状に形成することで、それら全ての分岐流路58を、互いに同じ長さで容易に且つ良好なスペース効率で設けることができる。特に、本実施形態では、プレート状部14において保持部16が取り付けられた基端側に設けられた検体供給口54から、保持部16から離れた先端側に向かってプレート状部14の長さ方向に直線的に延びる共用流路56が設けられており、該共用流路56の先端に設けられた分岐セル50から複数本の分岐流路58が互いに等しい長さで直線的に放射状に設けられていることで、検体供給口54から各測定用セル12に至る検体流路が、少ない流路湾曲部や流路屈曲部、流路分岐部、流路長さをもって、効率的に且つ等しい長さで形成され得る。
さらに、本実施形態では、複数の分岐流路58が長さだけでなく断面の形状や面積も同じとされていることにより、全ての測定用セル12について、検体流路60の全長にわたる経路における流路断面積や流路断面形状、流路長さや流路分岐数といった流路条件が互いに等しくされている。このように、流路の長さを含む流路条件が等しくされていることで、各測定用セル12に対する検体の到達の時間差や流量差を可及的に抑えることが可能になる。
特に本実施形態では、共用流路56の先端に位置する、共用流路56から各分岐流路58への分岐点に位置して分岐セル50が設けられている。この分岐セル50は、平面視において共用流路56の幅寸法よりも大きな中間貯留部状とされており、本実施形態では略円形乃至は多角形の平面形状とされている。かかる分岐セル50の外周から延びだすようにして複数の分岐流路58が設けられていることから、共用流路56から送られてきた検体の流れが分岐セル50で拡散的に抑制されることで、検体の特定方向に向かう流動エネルギーが抑えられる結果、各分岐流路58に対して一層等しい条件で検体が流入されることとなる。
また、かかる分岐セル50は、基準値などを取得する測定用のブランクセルとして利用することができ、別途にブランクセルを設ける場合に比してスペース効率の向上が図られ得る。また、当該分岐セル50は、全ての測定用セル12に至る検体の流路上に設けられることから、全ての測定用セル12に対するブランクセルとして好適である。
そして、このように複数の測定用セル12が、プレート状部14の幅方向となるX方向だけでなく、プレート状部14の長さ方向となるY方向においても、所定の領域内で互いに離隔して分散的に配置された本実施形態の検査デバイス10では、光学測定装置92の受光素子106による撮像エリア内に、かかる複数の測定用セル12を効率的に位置せしめることが可能になる。特に、光学素子106の視野(光学的な受光可能エリアとなる撮像エリア)は、一般に略円形とされるところ、本実施形態のように全ての測定用セル12が円周上に配置された態様とすることで、図8,9に示されているように、光学素子106の一つの視野110内へ効率的に位置せしめることができる。また、光源97による照明エリア112も円形とする方が効率的で容易とされる。
その結果、図8から判るように、光源97と受光部98の間に検査デバイス10のプレート状部14を固定的にセットした測定状態において、これら光源97と受光部98と検査デバイス10の何れも動かす必要なく、全ての測定用セル12を対象として受光素子106による光学的な撮像情報を取得することができる。従って、複数の測定用セル12を対象とした測定を可能にする光学測定装置92であっても、光源97、受光部98、検査デバイス10等をX-Y方向に移動させる機構が不要となり、構造や制御の簡略化が図られると共に、移動に伴う時間的なロスも回避されて、複数の測定用セル12を対象とする測定を効率的に行うことが可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明か上述の実施形態などにおける具体的な記載によって限定されるものでない。
例えば、全ての測定用セル12が、検体供給口54から長さの等しい検体流路によって接続されている必要はなく、試薬との接触時間を管理する必要がない等の場合には、当該試薬が収容された測定用セルを長さの異なる検体流路で接続しても良い。
また、複数の測定用セル12からなるグループを複数設定し、グループ毎に当該グループに属する測定用セルに至る検体流路の長さを等しく設定することも可能である。具体的には、例えば前記実施形態において、分岐セル50の回りに径寸法の違う大小二つの円周を想定し、内周側の円周上において第一グループに属する複数の測定用セルを周方向で離隔位置せしめると共に、外周側の円周上において第二グループに属する複数の測定用セルを周方向で離隔位置せしめ、それぞれ分岐セル50から放射状に延びる分岐流路(第一グループと第二グループでは分岐流路長が異なる)で各測定用セルに接続することもできる。
また、検体流路は、共用流路56と分岐流路58の組合せによって構成される必要はなく、例えば検体供給口54から各測定用セル12に向かってそれぞれ独立して延びる複数本の並列的な検体流路を等しい長さで形成しても良い。
検体流路の具体的な形状や分岐態様は限定されるものでなく、複数の測定用セルの配置態様などを考慮して適宜に設定可能であり、分岐点を複数設けたり、湾曲や屈曲等する流路態様を採用することも可能である。分岐点において、所定容積の分岐セル50を設けることも必須ではない。
また、測定用セル12やブランクセル(分岐セル)50などの大きさや形状も限定されるものでなく、測定成分や試薬などを考慮して、異なる大きさや形状の測定用セル12を組み合わせて採用することも可能である。
プレート状部14や保持部16を含む検査デバイス10の具体的形状や構造も限定されるものでない。例えば、スペーサプレート20とベースプレート22、カバープレート24からなる3層の積層構造体に限定されるものでなく、例えばベースプレート22の上面に開口する凹部や凹溝を形成してカバープレート24で上面開口を覆蓋することで検体供給口54や測定用セル12、検体流路60などを形成することもできる。また、スペーサプレート20を有色の光不透過性の材質とすることで、ベースプレート22やカバープレート24の全体を透明にすることも可能である。更にまた、ベースプレート22やカバープレート24を通気性とすることで、非通気性のスペーサプレート20を採用することも可能である。また、スペーサプレート20の上下少なくとも一方に通気性且つ液不透過性のフィルタ層を設ける(測定用セル部分等は適宜貫通孔を設ける)等して検体流路や測定用セル内の残留エアの排出を許容する構造を採用することで、スペーサプレート20とベースプレート22、カバープレート24の何れも通気性のない材質を採用することができる。
また、プレート状部14における複数の測定用セル12の配置態様は、検体流路の流路長が相互に等しくされる限り任意であって限定されるものでない。例えば、複数の測定用セル12を、多角形の周上に配置する他、格子状の格子点や千鳥状の交互点などの各種態様をもって配置することも可能である。
10 検査デバイス
12 測定用セル
14 プレート状部
16 保持部
18 板状本体
20 スペーサプレート
22 ベースプレート
24 カバープレート
30 基端側孔
32 先端側孔
34 周辺孔
40 中央溝
42 分岐溝
46 注入用孔
50 分岐セル
54 検体供給口
56 共用流路
58 分岐流路
60 検体流路
62 着色領域(ベースプレート)
64 着色領域(カバープレート)
66 セル窓(ベースプレート)
68 セル窓(カバープレート)
70 把持部
72 識別符号
74 取付凹部
80 検体注入穴
82 周壁
84 テーパ状案内面
86 シール突起
88 フィルタ収容部
90 フィルタ
92 光学測定装置
94 表示操作窓
96 ステージ
97 光源
98 受光部
100 支持板(上)
102 支持板(下)
104 プレート挿入部
106 受光素子
110 視野
112 照明エリア

Claims (11)

  1. 検体供給口と、測定用セルと、該検体供給口と該測定用セルとを接続する検体流路とを、備えた体液の検査デバイスであって、
    前記検体供給口が3個以上の前記測定用セルに対して等しい長さの前記検体流路によって接続されている体液の検査デバイス。
  2. 前記検体供給口と前記3個以上の測定用セルとを接続する前記検体流路が、
    一方の端部が該検体供給口へ接続された共用流路と、該共用流路の他方の端部から分岐して該3個以上の測定用セルにそれぞれ接続された分岐流路とを有している請求項1に記載の体液の検査デバイス。
  3. 前記共用流路からの前記分岐流路の分岐点に分岐セルが設けられており、該分岐セルから各該分岐流路が延び出している請求項2に記載の体液の検査デバイス。
  4. 前記分岐セルが、ブランク値を得るためのブランクセルである請求項3に記載の体液の検査デバイス。
  5. 前記3個以上の測定用セルが、
    検査プレートの面方向におけるX方向で互いに離隔した複数の該測定用セルと、
    該検査プレートの面方向で該X方向に直交するY方向で互いに離隔した複数の該測定用セルと
    を、含んでいる請求項1~4の何れか一項に記載の体液の検査デバイス。
  6. 前記3個以上の測定用セルが、前記検査プレートの面方向に広がる円周上で互いに離隔して配置されている請求項5に記載の体液の検査デバイス。
  7. 前記検査プレートの面上で前記複数の測定用セルの配置領域を外側へ外れた位置に前記検体供給口が設けられている請求項5又は6に記載の体液の検査デバイス。
  8. 前記検体流路において、
    前記検体供給口から前記3個以上の測定用セルのそれぞれに至る経路が互いに等しい流路条件とされている請求項1~7の何れか一項に記載の体液の検査デバイス。
  9. 体液の検査デバイスに設けられて検体が収容された複数の測定用セルを、透過光又は反射光を受光する光学素子を用いて撮像することにより分析用の光学情報を取得するに際して、
    前記光学素子が受光し得る視野内に前記複数の測定用セルの全てが納まる状態で、該光学素子の位置を固定したままで該複数の測定用セルを撮像する体液の分析方法。
  10. 透過光又は反射光を受光する前記光学素子と、透過光又は反射光を照射する光源との、少なくとも一方について、前記複数の測定用セルに対する距離を等しく設定する請求項9に記載の体液の分析方法。
  11. 前記検査デバイスとして、請求項1~8の何れか一項に記載の体液の検査デバイスを用いる請求項9又は10に記載の体液の分析方法。
JP2021018939A 2021-02-09 2021-02-09 体液の検査デバイスおよび体液の分析方法 Pending JP2022121937A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021018939A JP2022121937A (ja) 2021-02-09 2021-02-09 体液の検査デバイスおよび体液の分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021018939A JP2022121937A (ja) 2021-02-09 2021-02-09 体液の検査デバイスおよび体液の分析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022121937A true JP2022121937A (ja) 2022-08-22

Family

ID=82933047

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021018939A Pending JP2022121937A (ja) 2021-02-09 2021-02-09 体液の検査デバイスおよび体液の分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022121937A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100839496B1 (ko) 혈액 검사 유닛 및 혈액 검사 장치
KR102287272B1 (ko) 검사장치 및 그 제어 방법
US10807087B2 (en) Lateral flow device, assay device and kit and method for analyzing a fluid sample
US8003060B2 (en) Reaction vessel with integrated optical and fluid control elements
JP2003287534A (ja) 体液検査ユニットおよび体液検査装置
KR100968524B1 (ko) 생체 시료 분석용 마이크로-나노 플루이딕 바이오칩
JP2003287532A (ja) 血液検査ユニット
WO2015130233A1 (en) Urinalysis device for quantitative urinalysis
US9248448B2 (en) Multisample bionanochip platform
US20140134652A1 (en) Methods of and Systems for Improved Detection Sensitivity of Assays
JP2007248428A (ja) センサユニット及び全反射プリズム
US20120200856A1 (en) Sample analysis apparatus
KR101537055B1 (ko) 다채널 흡광도 분석시스템
JP2022121937A (ja) 体液の検査デバイスおよび体液の分析方法
CN100456037C (zh) 体液检查部件
JP2011145276A (ja) マイクロビーズ検査用のセル及びマイクロビーズの解析方法
CN110402383B (zh) 光流控诊断系统
US6640197B2 (en) Self aligning sensor array system
TW202407329A (zh) 信號檢測機構及其方法
CN117517303A (zh) 光学分析物传感器
JP2007248429A (ja) センサユニット及び全反射プリズム
JP2003287531A (ja) 体液検査ユニット
JP2003287502A (ja) 体液検査装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210218

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231024

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240527