JP2021121787A - 散乱体計測装置及び散乱体計測方法 - Google Patents

散乱体計測装置及び散乱体計測方法 Download PDF

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達史 大山
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万里子 宮下
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【課題】ミー散乱光を簡単に直接抽出する。【解決手段】散乱体計測装置100は、第1光を出射する光源30と、第1光を内部で干渉させて第1干渉光を出射するエタロン10と、第2光を内部で干渉させて第2干渉光を出射するエタロン20と、第2干渉光を受光し、受光強度に応じた信号を生成する受光器50と、エタロン10内での第1光の光路長χ1及びエタロン20内での第2光の光路長χ2の少なくとも一方の調整を行う制御部70とを備える。制御部70は、第1干渉光が連続体で反射されることにより発生する反射光が第2光としてエタロン20に入射した場合に、反射光の第2干渉光に対応する信号に基づいて調整を行う。制御部70は、第1干渉光が散乱体で散乱されることにより発生する散乱光が第2光としてエタロン20に入射した場合に、散乱光の第2干渉光に対応する信号に基づいて散乱体に含まれるエアロゾルの計測を行う。【選択図】図3

Description

本開示は、散乱体計測装置及び散乱体計測方法に関する。
従来、大気中のエアロゾルの分布の観測を行う技術として、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)が知られている。ライダーは、観測領域の大気中に短パルスのレーザ光を照射し、その散乱光を信号として計測して解析することにより、黄砂、花粉、埃又は微小水滴などの空気中を浮遊する計測対象物、すなわち、エアロゾルの状態を観測する技術である。散乱光にはミー散乱光成分とレイリー散乱光成分とが含まれる。ミー散乱は、レーザ光の波長と同等以上の粒径の微粒子によって起こる散乱現象である。レイリー散乱は、レーザ光の波長よりも小さな微粒子によって起こる散乱現象である。散乱光からレイリー散乱光成分を分離除外することでミー散乱光成分を得ることができる。
従来、単一縦モードのレーザ光を照射光として用いて、エアロゾルによるミー散乱と、大気構成分子によるレイリー散乱とが含まれる散乱光をフィルタで分光分離する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。エアロゾルによるミー散乱の半値全幅は、照射されたレーザ光の半値全幅にほぼ等しい。大気構成分子によるレイリー散乱の半値全幅は、大気構成分子の熱運動によるドップラー効果で広がる。特許文献1に開示された方法は、この半値全幅の違いを利用して分光分離する方法である。
この方法においては、レイリー散乱光を計測するために、レーザの狭帯域化及びその波長と分光素子のスペクトル特性をわずかにずらして合わせる必要がある。このため、その制御は容易ではなく、長期間の連続観測が困難になる。
また、マルチ縦モードレーザを光源として用いて、エアロゾルによるミー散乱と大気構成分子によるレイリー散乱とが含まれる散乱光を、分光により検出し、これらを分離する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。ここでは、マルチ縦モードレーザのスペクトルモード間隔が一定であることを利用し、これと同じスペクトル間隔の光を選択的に透過させる干渉計を用いて分光する。レイリー散乱光成分は、レーザ光のスペクトルモード間隔の間を埋めるようなスペクトルを持ち、ミー散乱光成分を干渉計により除去し、レイリー散乱信号を得ることができる。
国際公開第2003/73127号 特許第6243088号公報
しかしながら、上記従来技術はどちらも、レイリー散乱光を計測するための技術であり、ミー散乱光を抽出するためには、全散乱光からレイリー散乱光を減算する必要がある。また、干渉部の調整が難しいという課題がある。
そこで、本開示は、ミー散乱光を簡単に直接抽出することができる散乱体計測装置及び散乱体計測方法を提供する。
本開示の一態様に係る散乱体計測装置は、第1光を出射する光源と、前記第1光の光路上に配置され、前記第1光を内部で干渉させて第1干渉光を出射する第1エタロンと、第2光の光路上に配置され、前記第2光を内部で干渉させて第2干渉光を出射する第2エタロンと、前記第2干渉光を受光し、受光強度に応じた信号を生成する受光器と、前記第1エタロン内での前記第1光の光路長χ、及び、前記第2エタロン内での前記第2光の光路長χの少なくとも一方の調整を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記第1干渉光が連続体で反射されることにより発生する反射光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記反射光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記調整を行い、前記第1干渉光が散乱体で散乱されることにより発生する散乱光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記散乱光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記散乱体に含まれるエアロゾルの計測を行う。
本開示の一態様に係る散乱体計測方法は、第1光を出射するステップと、前記第1光の光路上に配置された第1エタロンの内部で前記第1光を干渉させて第1干渉光を出射するステップと、第2光の光路上に配置された第2エタロンの内部で前記第2光を干渉させて第2干渉光を出射するステップと、前記第2干渉光を受光し、受光強度に応じた信号を生成するステップと、前記第1干渉光が連続体で反射されることにより発生する反射光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記第1エタロン内での前記第1光の光路長χ、及び、前記第2エタロン内での前記第2光の光路長χの少なくとも一方の調整を、前記反射光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて行うステップと、前記第1干渉光が散乱体で散乱されることにより発生する散乱光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記散乱光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記散乱体に含まれるエアロゾルの計測を行うステップとを含む。
また、本開示の一態様は、上記散乱体計測方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することができる。あるいは、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
本開示によれば、ミー散乱光を簡単に直接抽出することができる。
図1は、実施の形態1に係る散乱体計測装置による散乱体の計測を説明するための図である。 図2は、実施の形態1に係る散乱体計測装置による連続体を利用した光路長の調整を説明するための図である。 図3は、実施の形態1に係る散乱体計測装置の構成を示す図である。 図4は、エタロンの構造を示す図である。 図5は、実施の形態1に係る散乱体計測装置の基本動作を示すフローチャートである。 図6は、実施の形態1に係る散乱体計測装置の動作を示すフローチャートである。 図7は、実施の形態1に係る散乱体計測装置と連続体との間に散乱体が存在する場合の光路長の調整を説明するための図である。 図8は、実施の形態1に係る散乱体計測装置による光路長の調整処理を示すフローチャートである。 図9は、実施の形態1に係る散乱体計測装置による散乱体の計測処理の一例を示すフローチャートである。 図10は、実施の形態1に係る散乱体計測装置による散乱体の計測処理の別の一例を示すフローチャートである。 図11は、エタロンから出射される光のスペクトルの一例を示す図である。 図12は、図11に示されるマルチ光のピークの1つを拡大して示す図である。 図13は、散乱光のスペクトルを示す図である。 図14は、エタロンの光軸の傾きを変化させることによる光路長の変化を説明するための図である。 図15は、エタロンの光軸の傾きと干渉光の信号強度との関係を示す図である。 図16は、エタロンの温度を変化させることによる光路長の変化を説明するための図である。 図17Aは、実施の形態2に係る散乱体計測装置による光路長の調整を説明するための図である。 図17Bは、実施の形態2に係る散乱体計測装置による散乱体の計測を説明するための図である。 図18は、実施の形態2に係る散乱体計測装置の動作を示すフローチャートである。 図19Aは、実施の形態2の変形例に係る散乱体計測装置による光路長の調整を説明するための図である。 図19Bは、実施の形態2の変形例に係る散乱体計測装置による散乱体の計測を説明するための図である。
(本開示の概要)
本開示の一態様に係る散乱体計測装置は、第1光を出射する光源と、前記第1光の光路上に配置され、前記第1光を内部で干渉させて第1干渉光を出射する第1エタロンと、第2光の光路上に配置され、前記第2光を内部で干渉させて第2干渉光を出射する第2エタロンと、前記第2干渉光を受光し、受光強度に応じた信号を生成する受光器と、前記第1エタロン内での前記第1光の光路長χ、及び、前記第2エタロン内での前記第2光の光路長χの少なくとも一方の調整を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記第1干渉光が連続体で反射されることにより発生する反射光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記反射光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記調整を行い、前記第1干渉光が散乱体で散乱されることにより発生する散乱光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記散乱光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記散乱体に含まれるエアロゾルの計測を行う。
これにより、連続体からの反射光を受光することで得られる信号に基づいて、第2エタロンを通過する干渉光の信号強度が高くなるように光路長を調整することができる。連続体からの反射光の強度は散乱体からの散乱光の強度よりも高いので、反射光に対応する信号とノイズとの判別が容易になる。このため、ノイズの影響を抑制しながら干渉光の信号強度が高くなるときの光路長に精度良く調整することができる。光路長の調整がされることにより、散乱体からの微弱な散乱光が第2エタロンに入射した場合に第2エタロンから出射される第2干渉光であるミー散乱光の強度も高くすることができる。したがって、ミー散乱光を簡単に直接抽出することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記調整を行った後、前記計測を行ってもよい。
これにより、光路長が適切に調整された後に散乱体の計測が行われるので、強度が高いミー散乱光を受光することができ、ミー散乱光を簡単に抽出することができる。
また、例えば、前記計測は、前記第1干渉光の出射方向を変更しながら繰り返し行われ、前記制御部は、前記計測の合間に前記調整を行ってもよい。
これにより、計測中に環境の変化などによって光路長が適切な長さからずれた場合であっても、光路長を再び調整することができる。このため、十分な強度のミー散乱光を受光できる期間が長くなるので、散乱体計測装置による散乱体の計測が可能な期間を長くすることができる。
また、例えば、前記制御部は、前記第2干渉光に対応する前記信号の信号強度が最大になるように前記調整を行ってもよい。
これにより、ミー散乱光の強度が最大になるので、ミー散乱光を簡単に抽出することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記第1エタロン及び前記第2エタロンの少なくとも一方の光軸の傾きを変更することで、前記調整を行ってもよい。
これにより、光軸の傾きが変更されたエタロンに対する光の入射角が変更されるので、エタロン内を通過する光の光路長が変化する。このように、エタロンの光軸の傾きを変更することで、光路長を簡単に調整することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記第1エタロン及び前記第2エタロンの少なくとも一方の温度を変更することで、前記調整を行ってもよい。
このように、温度が変更されることにより、エタロンが熱膨張又は熱収縮し、エタロンの長さが変化する。これにより、エタロンの温度を変更することで、光路長を簡単に調整することができる。
また、例えば、前記制御部は、前記信号の強度が閾値以上である場合に、前記計測を行ってもよい。
これにより、十分な強度のミー散乱光を受光できる場合に計測が開始されるので、ミー散乱光を簡単に直接抽出することができる。
また、例えば、前記光源は、LED(Light Emitting Diode)又はレーザ素子であってもよい。
これにより、十分な強度の光を散乱体に向けて出射させることができる。
本開示の一態様に係る散乱体計測方法は、第1光を出射するステップと、前記第1光の光路上に配置された第1エタロンの内部で前記第1光を干渉させて第1干渉光を出射するステップと、第2光の光路上に配置された第2エタロンの内部で前記第2光を干渉させて第2干渉光を出射するステップと、前記第2干渉光を受光し、受光強度に応じた信号を生成するステップと、前記第1干渉光が連続体で反射されることにより発生する反射光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記第1エタロン内での前記第1光の光路長χ、及び、前記第2エタロン内での前記第2光の光路長χの少なくとも一方の調整を、前記反射光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて行うステップと、前記第1干渉光が散乱体で散乱されることにより発生する散乱光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記散乱光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記散乱体に含まれるエアロゾルの計測を行うステップとを含む。
これにより、上記散乱体計測装置の場合と同様に、ミー散乱光を簡単に直接抽出することができる。
以下では、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平行又は垂直などの要素間の関係性を示す用語、及び、円柱体又は角柱体などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
(実施の形態1)
[1.概要]
まず、実施の形態1に係る散乱体計測装置の構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100による散乱体101の計測を説明するための図である。図2は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100による連続体102を利用した光路長の調整を説明するための図である。
図1に示されるように、本実施の形態に係る散乱体計測装置100は、大気中に出射光L2を出射し、大気中に存在する散乱体101が出射光L2を散乱させることで発生する散乱光L3を取得し、取得した散乱光L3を処理することで、散乱体101に含まれるエアロゾルの有無及び/又は濃度を計測する。散乱体101は、散乱体計測装置100による計測の対象空間中に浮遊している。
対象空間は、例えば、住居、オフィス、介護施設又は病院などの建物の一部屋である。対象空間は、例えば、壁、窓、ドア、床及び天井などで仕切られた空間であり、閉じられた空間であるが、これに限らない。対象空間は、屋外の開放された空間であってもよい。また、対象空間は、バス又は飛行機などの移動体の内部空間であってもよい。
散乱体101は、計測対象物であるエアロゾル、及び、空気を構成する分子を含む。エアロゾルは、具体的には、対象空間内を浮遊している浮遊粒子状物質、生物系粒子又は微小水滴などである。浮遊粒子状物質には、塵埃(dust)、フューム(fume)、煤塵(smoke dust)、煙霧(haze)、スモッグ(smog)又はPM2.5などが含まれる。生物系粒子には、空中に浮遊するカビ若しくはダニ、又は花粉なども含まれる。また、微小水滴には、霧(fog)、ミスト又は靄(mist)などの自然発生的な水滴だけでなく、咳又はくしゃみなどの人体から動的に発生する物質が含まれる。エアロゾルの粒径は、例えば約1nmから約100μmの範囲である。また、エアロゾルの濃度は、約1個/cmから約1010個/cmの範囲である。
計測対象物であるエアロゾルは、空気を構成する分子に比べて十分に大きい。本実施の形態では、エアロゾルの粒径が出射光L2の波長以上であるので、エアロゾルは、出射光L2を散乱させることでミー散乱光を発生させる。空気を構成する分子は、出射光L2の波長よりも十分に小さいので、出射光L2を散乱させることでレイリー散乱光を発生させる。したがって、散乱体計測装置100が取得する散乱光L3には、ミー散乱光とレイリー散乱光とが含まれる。ここでのミー散乱光は、ミー散乱による後方散乱光である。散乱体計測装置100は、散乱光L3からミー散乱光を抽出し、抽出したミー散乱光に基づいてエアロゾルの有無及び濃度を計測する。
また、散乱体計測装置100は、図2に示されるように、連続体102に向けて出射光L2を出射し、連続体102が出射光L2を反射させることで発生する反射光L5を取得し、取得した反射光L5を処理することで、光路長の調整を行う。光路長の調整の詳細については後で説明するが、光路長が調整されることにより、十分な強度でミー散乱光を抽出することができる。
連続体102は、エアロゾルより大きく、空間的な広がりを有する物体である。連続体102は、散乱体101とは異なり、空間中に浮遊しない。連続体102は、固体連続体であり、例えば弾性体である。弾性体とは、与えられている圧力を取り除いた場合に元の状態に復帰する固体である。連続体102は、例えば、出射光L2を反射するための1mm以上の反射面を有する物体である。連続体102は、具体的には、壁、柱、天井、床若しくは窓などの建築構造物、カーテン若しくは棚などの家具、又は、家電製品などである。
本実施の形態に係る散乱体計測装置100は、対象空間内の異なる方向に向けて出射光L2を出射する。つまり、散乱体計測装置100は、出射光L2の出射方向を変更することができる。出射光L2の出射方向は、例えば、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)ミラー(図示せず)などによって変更される。あるいは、散乱体計測装置100全体の向きを変更することで、出射光L2の出射方向が変更されてもよい。散乱体計測装置100は、対象空間内を出射光L2で走査することにより、対象空間内のエアロゾルの分布を作成することができる。また、光路長の調整が必要な場合に、散乱体計測装置100は、連続体102に向けて出射光L2を出射することができる。
[2.構成]
次に、散乱体計測装置100の具体的な構成について、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100の構成を示す図である。
図3に示されるように、散乱体計測装置100は、エタロン10及び20と、光源30と、集光部40及び41と、受光器50と、信号処理回路60と、制御部70と、軸調整部80とを備える。
エタロン10は、第1光の光路上に配置され、第1光を内部で干渉させて第1干渉光を出射する第1のエタロンの一例である。本実施の形態では、第1光は、光源30から出射される光L1である。エタロン10は、光L1の光路上に配置され、光L1を内部で干渉させて出射光L2を出射する。エタロン10から出射される出射光L2は、第1干渉光の一例であり、例えば、等しい周波数間隔の複数本のピークを有する光である。複数本のピークを有する光は、マルチ光とも呼称される。
図4は、エタロン10の構造を示す図である。図4に示されるように、エタロン10は、透光部11と、2つの多層膜12及び13とを有する。エタロン10の形状は、例えば、多層膜12及び13が並ぶ方向を柱軸方向とする円柱体又は角柱体などである。多層膜12及び13が並ぶ方向は、エタロン10の光軸方向であり、多層膜12の光入射面及び多層膜13の光出射面に垂直な方向である。
透光部11は、例えば石英又は水晶などの透明な材料を用いて形成されている。透光部11は、2つの多層膜12及び13に挟まれており、2つの多層膜12及び13の各々に接触している。
2つの多層膜12及び13はそれぞれ、複数の誘電体膜の積層構造を有する誘電体多層膜である。例えば、2つの多層膜12及び13はそれぞれ、屈折率が低い誘電体膜と屈折率が高い誘電体膜とを交互に積層されることで形成されている。誘電体膜としては、例えば、チタン酸化膜、ハフニウム酸化膜、シリコン酸化膜などが用いられる。なお、透光部11は、空気層であってもよく、2つの多層膜12及び13は、一定距離を保つように枠体などによって固定されていてもよい。
本実施の形態では、図4に示されるように、光L1は、エタロン10の多層膜12から入射し、エタロン10の内部で多重反射される。多重反射された光が互いに干渉し、等しい周波数間隔の複数本のピークを有するマルチ光が出射光L2として多層膜13から出射される。
エタロン20は、第2光の光路上に配置され、第2光を内部で干渉させて第2干渉光を出射する第2のエタロンの一例である。本実施の形態では、第2光は、出射光L2が照射される対象物に応じて異なる。具体的には、図1に示されるように出射光L2が散乱体101に照射された場合には、第2光は、出射光L2が散乱体101で散乱されることにより発生する散乱光L3である。図2に示されるように出射光L2が連続体102に照射された場合には、第2光は、出射光L2が連続体102で反射されることにより発生する反射光L5である。
図3に示されるように、エタロン20は、散乱光L3の光路上に配置され、散乱光L3を内部で干渉させて、散乱光L3に含まれるミー散乱光を、干渉光L4として通過させる。干渉光L4は、第2干渉光の一例である。なお、散乱体計測装置100内では、反射光L5の光路は、散乱光L3の光路と同じである。つまり、エタロン20は、反射光L5の光路上に配置されている。エタロン20に反射光L5が入射した場合、エタロン20は、反射光L5を内部で干渉させて干渉光L4を出射する。
エタロン20は、エタロン10と同様に、入射する光を内部で干渉させて、等しい周波数間隔の複数本のピークを有する光として出射する。エタロン20とエタロン10とは、実質的に同一の光学特性を有する。つまり、エタロン10及び20の各々に同じ光を入射した場合に、各々から出射される光の周波数間隔が同じになる。例えば、エタロン20は、エタロン10と同じ構成を有する。つまり、エタロン20は、図4に示されるエタロン10と同様に、透光部11と、2つの多層膜12及び13とを有する。
本実施の形態では、エタロン10及びエタロン20の各々の長さLが所定の条件を満たすように調整されており、散乱光L3に含まれるミー散乱光を、干渉光L4として通過させ、レイリー散乱光の通過を抑制する。これにより、散乱光L3からレイリー散乱光を適切に削減することができるので、エアロゾルに起因するミー散乱光を受光器50に受光させることができる。
光源30は、第1光を出射する光源である。図3に示されるように、光源30は、光L1をエタロン10に向けて出射する。光L1は、例えばパルス光であるが、連続光であってもよい。光L1は、特定の波長帯域にピークを有する単色光であってもよく、ブロードな波長帯域を含む光であってもよい。ピークの帯域幅は、例えば、10pmから10nmの範囲である。光L1は、例えば、紫外光、可視光又は赤外光などである。
なお、光源30とエタロン10との間には、光L1を反射するミラーが配置されていてもよい。ミラーによって光L1の光路を曲げることができるので、散乱体計測装置100内での光源30の配置の自由度を高めることができる。
光源30は、例えば、パルスレーザ光を光L1として出射する半導体レーザ素子である。光L1のビームモードは、例えばマルチ縦モードであるが、シングルモードであってもよい。一例として、光源30は、405nmの近傍にピークを有するレーザ光を光L1として出射する。あるいは、光源30は、LED(Light Emitting Diode)素子であってもよい。また、光源30は、ハロゲンランプなどの放電ランプであってもよい。
集光部40は、散乱光L3又は反射光L5を集光する部材である。集光部40は、散乱体101又は連続体102とエタロン20との間に配置される。集光部40は、例えば、少なくとも1つの凸レンズを含むが、少なくとも1つの反射鏡を含んでもよい。例えば、集光部40は、コリメートレンズを含むレンズ群を含んでもよく、集光した散乱光L3又は反射光L5を平行光に変換してエタロン20に向けて出射する。また、集光部40には、ピンホールが含まれてもよい。散乱光L3の強度が高い場合は、特に、集光部40が配置されていなくてもよい。つまり、散乱体計測装置100は、集光部40を備えなくてもよい。
集光部41は、エタロン20を通過した光を集光する。例えば、集光部41は、エタロン20から出射される干渉光L4を集光する。集光部41は、受光器50の受光面に干渉光L4を集光する。集光部41は、エタロン20と受光器50との間に配置される。集光部41は、例えば、少なくとも1つの凸レンズを含むが、少なくとも1つの反射鏡を含んでもよい。散乱体計測装置100は、集光部41を備えなくてもよい。
受光器50は、集光部40によって集光された散乱光L3又は反射光L5のうち、エタロン20から出射される干渉光L4を受光し、受光強度に応じた信号を生成して出力する。受光強度は、干渉光L4の強度であり、例えば、受光器50が生成する信号の信号強度で表される。エタロン20に散乱光L3が入射した場合、受光器50が生成する信号の信号強度は、散乱光L3に含まれるミー散乱光の強度に相当する。
受光器50は、光電変換を行う素子であり、例えば、PMT(Photomultiplier Tube)である。あるいは、受光器50は、PMTとフォトンカウンタとを有してもよい。また、受光器50は、アバランシェフォトダイオードであってもよい。受光器50は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであってもよい。
信号処理回路60は、受光器50から出力された信号を分析することで、散乱体101に含まれるエアロゾルを分析する。例えば、信号処理回路60は、信号の信号強度に基づいてエアロゾルの有無及び濃度を決定する。具体的には、信号処理回路60は、信号強度とエアロゾルの濃度とを対応付けた対応情報を参照することで、信号強度に対応するエアロゾルの濃度を決定する。対応情報は、例えば、信号処理回路60が備えるメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
また、信号処理回路60は、出射光L2が出射されてから干渉光L4を受光するまでに要する時間に基づいて、TOF(Time Of Flight)方式によって散乱体101までの距離を算出する。信号処理回路60は、算出した距離と出射光L2を出射した方向とに基づいて、対象空間内のエアロゾルの位置を特定する。出射光L2の出射方向を変更しながらエアロゾルの位置の特定を繰り返すことで、信号処理回路60は、対象空間内でのエアロゾルの分布を作成する。
信号処理回路60は、複数の回路部品を含む1つ又は複数の電子回路で構成されている。1つ又は複数の電子回路はそれぞれ、汎用的な回路でもよく、専用の回路でもよい。つまり、信号処理回路60が実行する機能は、電子回路などのハードウェアで実現される。あるいは、信号処理回路60は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで実現されてもよい。信号処理回路60が実行する機能は、プロセッサで実行されるソフトウェアで実現されてもよい。
制御部70は、散乱体計測装置100が備える各構成要素の動作を制御する。具体的には、制御部70は、光源30、受光器50、信号処理回路60及び軸調整部80を制御する。
例えば、制御部70は、エタロン10内での光の光路長、及び、エタロン20内での光の光路長の少なくとも一方の光路長の調整を行う。本実施の形態では、制御部70は、エタロン20内での光の光路長の調整を行う。具体的には、制御部70は、軸調整部80を制御することにより、エタロン20内での光の光路長を変化させる。
制御部70は、反射光L5がエタロン20に入射した場合に、受光器50から出力される信号に基づいて、光路長の調整を行う。この場合の受光器50から出力される信号は、反射光L5の干渉光L4に対応する信号である。なお、反射光L5の干渉光L4とは、反射光L5がエタロン20に入射した場合に、エタロン20から出射される干渉光L4である。
また、制御部70は、散乱光L3を受光器50が受光した場合に、受光器50から出力される信号に基づいて、散乱体101の計測を行う。この場合の受光器50から出力される信号は、散乱光L3の干渉光L4に対応する信号である。なお、散乱光L3の干渉光L4とは、散乱光L3がエタロン20に入射した場合に、エタロン20から出射される干渉光L4である。具体的には、散乱光L3の干渉光L4は、散乱光L3に含まれるミー散乱光である。制御部70による光路長の調整及び散乱体101の計測の具体的な処理については、後で説明する。
制御部70は、複数の回路部品を含む1つ又は複数の電子回路で構成されている。1つ又は複数の電子回路はそれぞれ、汎用的な回路でもよく、専用の回路でもよい。つまり、制御部70が実行する機能は、電子回路などのハードウェアで実現される。制御部70は、例えば、マイクロコントローラであってもよい。具体的には、制御部70は、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどで実現されてもよい。制御部70が実行する機能は、プロセッサで実行されるソフトウェアで実現されてもよい。制御部70と信号処理回路60とは、メモリなどのハードウェア資源を共用してもよい。
軸調整部80は、エタロン20の光軸の傾きを調整する。エタロン20の光軸の傾きが変更されることで、エタロン20内での散乱光L3又は反射光L5の光路長が変化する。
軸調整部80は、例えば、エタロン20を支持する支持部と、当該支持部を回動させるステッピングモータとを含む。ステッピングモータは、例えば、エタロン20の光軸に平行で、かつ、光軸を含む面内で支持部を回動させる。これにより、エタロン20の光軸を傾けることができる。なお、軸調整部80は、ステッピングモータの代わりにアクチュエータを備えてもよく、特に限定されない。
散乱体計測装置100が備える各構成要素は、例えば、図示しない筐体の内部に収容されている。筐体は、散乱体計測装置100の外郭筐体であり、遮光性を有する。筐体には、出射光L2並びに散乱光L3及び反射光L5を通過させるための開口が設けられている。開口は、出射光L2用と散乱光L3及び反射光L5用とに対応させて1つずつ設けられていてもよい。集光部40に含まれる集光レンズの1つは、当該開口に設けられていてもよい。
[3.基本動作]
次に、散乱体計測装置100の基本動作について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100の基本動作を示すフローチャートである。基本動作は、散乱体101の計測、及び、光路長の調整に共通する動作である。
図5に示されるように、まず、光源30が第1光を出射する(S1)。第1光である光L1は、図3に示されるように、エタロン10に入射する。次に、エタロン10は、第1光を内部で干渉させて第1干渉光を出射する(S2)。エタロン10から出射された第1干渉光である出射光L2は、例えば、図1に示される散乱体101で散乱されて、散乱光L3として散乱体計測装置100に戻ってくる。あるいは、出射光L2は、図2に示される連続体102で反射されて、反射光L5として散乱体計測装置100に戻ってくる。
次に、集光部40は、第1干渉光が散乱又は反射されることで発生する第2光を集光する(S3)。具体的には、集光部40は、第2光である散乱光L3又は反射光L5を集光して、エタロン20に入射させる。次に、エタロン20は、集光された第2光を内部で干渉させて第2干渉光を出射する(S4)。エタロン20から出射された第2干渉光である干渉光L4は、集光部41によって受光器50の受光面に集光される。
次に、受光器50は、第2干渉光である干渉光L4を受光する(S5)。受光器50は、受光した干渉光L4を光電変換することで、干渉光L4の強度に応じた信号強度を有する信号を生成して出力する。次に、信号処理回路60は、受光器50から出力される信号を処理する(S6)。例えば、信号処理回路60は、散乱光L3に基づく信号を処理することで、ミー散乱光の強度を取得し、エアロゾルの位置及び濃度を分析する。
[4.動作]
次に、散乱体計測装置100の動作について説明する。
図6は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100の動作を示すフローチャートである。図6に示されるように、散乱体計測装置100は、まず、光路長の調整を行う(S10)。光路長の調整を行った後、散乱体計測装置100は、散乱体101の計測を行う(S20)。
上述したように、光路長の調整は、連続体102からの反射光L5がエタロン20に入射した場合、すなわち、反射光L5の干渉光L4を受光器50が受光した場合に行われる。散乱体101の計測は、散乱体101からの散乱光L3がエタロン20に入射した場合、すなわち、散乱光L3の干渉光L4を受光器50が受光した場合に行われる。例えば、制御部70は、反射光L5の干渉光L4が受光器50によって受光されるまで、散乱体101の計測の実行を禁止している。
なお、散乱光L3及び反射光L5のいずれの干渉光L4を受光器50が受光したかの判定は、受光器50から出力される信号の信号強度に基づいて行われる。通常、散乱体101によって散乱された散乱光L3は、連続体102によって反射された反射光L5よりも弱い光である。つまり、散乱光L3の信号強度は、反射光L5の信号強度より低い。したがって、制御部70は、受光器50から出力される信号の信号強度が閾値より高い場合に、受光器50が反射光L5を受光したと判定し、光路長の調整を行う。制御部70は、受光器50から出力される信号の信号強度が閾値より低い場合に、受光器50が散乱光L3を受光したと判定し、散乱体101の計測を行う。閾値は、散乱光L3と反射光L5とを判別できる値であれば、特に限定されない。
あるいは、散乱体計測装置100から連続体102までの距離が判明している場合、出射光L2を出射してから反射光L5が戻ってくるまでに要する所要時間が分かる。このため、制御部70は、出射光L2を出射してからの時間に基づいて、受光器50が散乱光L3及び反射光L5のいずれを受光したか判定してもよい。具体的には、出射光L2を出射してからの時間が上記所要時間に実質的に一致する時間に受光された光を反射光L5と判定し、それ以外の光を出射光L2として判定してもよい。
これにより、図7に示されるように、散乱体計測装置100と連続体102との間に散乱体101が存在する場合であっても、連続体102からの反射光L5を利用して、光路長の調整を行うことができる。図7は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100と連続体102との間に散乱体101が存在する場合の光路長の調整を説明するための図である。
なお、散乱体101の濃度が高すぎる場合、安定した強度の反射光L5を受光できない場合がある。この場合、散乱体計測装置100は、散乱体101が拡散されて濃度が低くなるまで待機する。あるいは、散乱体計測装置100は、連続体102とは異なる方向に位置する別の連続体に向けて出射光L2を照射してもよい。
また、制御部70は、光路長の調整を行う調整モードと、散乱体101の計測を行う計測モードとを有し、当該2つの動作モードをユーザからの指示に基づいて切り替えてもよい。例えば、散乱体計測装置100は、ユーザからの指示を受け付ける入力装置を備える。入力装置は、マイクロフォンなどの音声入力装置又はタッチパネルディスプレイである。あるいは、入力装置は、モードの選択又は切り替えを受け付ける物理的な操作ボタンであってもよい。制御部70は、調整モードの指示を受け付けた場合に、出射光L2の出射方向を連続体102に向けることで、反射光L5の干渉光L4を受光器50に受光させることができ、光路長の調整を行う。制御部70は、計測モードの指示を受け付けた場合に、出射光L3の出射方向を大気中に向けることで、散乱光L3の干渉光L4を受光器50に受光させることができ、散乱体101の計測を行う。なお、出射光L2の出射方向の変更は、ユーザが手動で行ってもよい。
[4−1.光路長の調整(S10)]
次に、光路長の調整(S10)について、図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100による光路長の調整処理(S10)を示すフローチャートである。
図8に示されるように、散乱体計測装置100は、連続体102に向けて出射光L2を出射する(S11)。次に、受光器50は、出射光L2が連続体102で反射されることにより発生した反射光L5の干渉光L4を受光する(S12)。なお、出射光L2の出射(S11)及び干渉光L4の受光(S12)は、具体的には図5に示される基本動作に沿って行われる。
制御部70は、干渉光L4の信号強度が最大でなければ(S13でNo)、光路長を調整する(S14)。具体的には、制御部70は、軸調整部80を制御することで、エタロン20の光軸の傾きを変更する。光軸の傾きが変更されることにより、光路長が変化する。光路長が変化した後、ステップS11に戻り、再び出射光L2を連続体102に向けて出射する。以降、干渉光L4の信号強度が最大になるまで、光路長の調整(S14)が繰り返される。
干渉光L4の信号強度が最大である場合(S13でYes)、光路長の調整は終了する。
以上のように、光路長は、干渉光L4の信号強度が最大になるときの値に調整される。このため、調整後に行われる散乱体101の計測では、干渉光L4の信号強度が最大になる。したがって、微弱な散乱光L3に含まれるミー散乱光成分を最大強度で抽出することができるので、散乱体101の計測精度を高めることができる。
なお、光路長の調整は、信号強度が所定の値以上になるまで繰り返してもよい。所定の値は、例えば、信号強度の最大値の50%以上の値である。所定の値は、信号強度の最大値でなくてもよい。
[4−2.散乱体の計測(S20)]
次に、散乱体の計測(S20)について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100による散乱体101の計測処理(S20)を示すフローチャートである。
図9に示されるように、散乱体計測装置100は、散乱体101に向けて出射光L2を出射する(S21)。次に、受光器50は、出射光L2が散乱体101で散乱されることにより発生した散乱光L3の干渉光L4を受光する(S22)。なお、出射光L2の出射(S21)及び干渉光L4の受光(S22)は、具体的には図5に示される基本動作に沿って行われる。
制御部70は、干渉光L4の信号強度が閾値より低下していない場合(S23でNo)、出射光L2の出射方向を変更する(S24)。閾値は、例えば、信号強度の最大値の50%以上の値である。一例として、閾値は、信号強度の最大値の80%である。
出射方向を変更した後、ステップS21に戻り、再び出射光L2を散乱体101に向けて出射する。以降、干渉光L4の信号強度が閾値以下になるまで、出射方向の変更(S24)が繰り返される。これにより、散乱体計測装置100は、対象空間内の各位置におけるエアロゾルの有無及び濃度が得られるので、エアロゾルの分布を生成することができる。
干渉光L4の信号強度が閾値より低下した場合(S23でYes)、制御部70は、光路長の調整(S10)を再び実行する。例えば、光源30が発する熱、又は、対象空間の環境変化によって、信号強度が最大になるように調整した光路長が適切な値からずれる場合が起こりうる。光路長が適切な値からずれた場合には、干渉光L4の信号強度が低下する。散乱体計測装置100は、干渉光L4の信号強度が閾値より低下した場合に光路長の調整を再び行うことで、速やかに散乱体101の計測が可能な状態に復帰することができる。
なお、ステップS23における干渉光L4の信号強度は、連続体102からの反射光L5の干渉光の信号強度であってもよい。散乱体101からの散乱光L3に基づく干渉光L4の信号強度は、エアロゾルの濃度により変わる。このため、反射光L5の干渉光の信号強度を利用することで、ステップS23における判定の精度を高めることができる。例えば、散乱体計測装置100が室内空間を対象空間として散乱体101の計測を行う場合、出射光L2の出射方向には、室内空間を形成する壁又は天井などが連続体102の一例として存在する。具体的には、図7に示されるように、散乱体101の奥側に連続体102が存在する。したがって、散乱体101の計測を行いながら、連続体102からの反射光L5を利用して、干渉光L4の信号強度が閾値より低下したか否かを判定してもよい。これにより、反射光L5の干渉光L4の信号強度が低下した場合に、速やかに光路長を適切な状態にすることができるので、散乱体101の計測を可能な状態に速やかに復帰することができる。このように、散乱体計測装置100は、散乱体101の計測との合間に光路長の調整を行ってもよい。
また、光路長の調整を行うか否かの判定は、干渉光L4の信号強度と閾値との比較結果に基づく場合に限定されない。例えば、散乱体計測装置100では、所定の時間が経過する度に、光路長の調整が行われてもよい。
図10は、本実施の形態に係る散乱体計測装置100による散乱体101の計測処理(S20)の別の一例を示すフローチャートである。図10において、ミー散乱光を受光するまでの処理(S21及びS22)は、図9に示す計測処理と同じである。
制御部70は、所定時間が経過していない場合(S23aでNo)、出射光L2の出射方向を変更する(S24)。所定時間は、例えば、1時間、10分又は1分などであり、特に限定されない。出射方向を変更した後、ステップS21に戻り、再び出射光L2を散乱体101に向けて出射する。以降、所定時間が経過するまで、出射方向の変更(S24)が繰り返される。これにより、散乱体計測装置100は、対象空間内の各位置におけるエアロゾルの有無及び濃度が得られるので、エアロゾルの分布を生成することができる。
所定時間が経過した場合(S23aでYes)、制御部70は、光路長の調整(S10)を再び実行する。例えば、光源30が発する熱、又は、対象空間の環境変化によって、信号強度が最大になるように調整した光路長が適切な値からずれる場合が起こりうる。このため、所定時間が経過する度に光路長の調整を行うことで、干渉光L4の信号強度が高くて散乱体101の計測が可能な状態を維持することができる。
なお、散乱体計測装置100は、図10に示される時間の経過の判定と、図9に示される信号強度の判定との両方を行ってもよい。具体的には、所定時間が経過した場合、及び、信号強度が閾値より低下した場合の少なくとも一方が満たされた場合に、散乱体計測装置100は、光路長の調整を行ってもよい。
[5.計測の原理と光路長の調整]
散乱体計測装置100では、出射される光がエタロン10によって干渉され、受光される光がエタロン20によって干渉される。具体的には、光源30から出射される光L1がエタロン10に入射され、散乱光L3又は反射光L5がエタロン20に入射される。つまり、光の出射側及び受光側の各々にエタロンが設けられている。
図11は、エタロン10から出射される光のスペクトルの一例を示す図である。図11において、横軸は波長を表し、縦軸は信号強度を表している。
エタロン10を光が入射した場合、エタロン10内部で干渉されて出射される干渉光は、図11に示されるように周期的なスペクトルを持つ光になる。エタロン10から出射される出射光L2は、等しい波長間隔の複数のピークを有するマルチ光である。例えば、N個のピークを有するマルチ光を出射光L2として利用することで、ピークが1つのみのシングル光よりも全光強度をN倍にすることができる。
なお、図11において横軸は、周波数間隔に置き換えることができる。つまり、図11に示されるマルチ光は、等しい周波数間隔の複数のピークを有するマルチ光と同義である。
図12は、図11に示されるマルチ光のピークの1つを拡大して示す図である。図12において、横軸は波長を表し、縦軸は信号強度を表している。図12に示されるスペクトルを有する出射光L2が大気中に照射された場合、大気中に含まれる散乱体101によって散乱されることで、散乱光L3が発生する。
図13は、散乱光L3のスペクトルを示す図である。図13において、横軸は波長を表し、縦軸は信号強度を表している。
図13に示されるように、散乱光L3には、大気構成分子によるレイリー散乱光成分と、エアロゾルによるミー散乱光成分とが含まれる。ミー散乱光成分は、半値全幅の狭いピークを有するのに対して、レイリー散乱光成分は、ミー散乱光成分よりも半値全幅の広いピークを有する。これは、大気構成分子によるレイリー散乱光成分の半値全幅は、大気構成分子の熱運動により広がるためである。実測でのレイリー散乱光成分の半値全幅は、3.4GHzから3.9GHz程度であることが知られている。
一方、エアロゾルによるミー散乱光成分の半値全幅は、図12に示される出射光L2の半値全幅と同等である。散乱体計測装置100では、エタロン20とエタロン10とが実質的に同一の光学特性を有するため、エタロン20の透過スペクトルは、エタロン10の透過スペクトルと同じになる。したがって、エタロン20に散乱光L3が入射した場合、出射光L2と同じ周波数特性を有するミー散乱光のみが実質的に通過することができる。レイリー散乱光は、エタロン20を実質的にほとんど通過しない。このように、エタロン10及びエタロン20を利用することによって、散乱光L3からミー散乱光のみを簡単に直接抽出することができる。
ミー散乱光のみを抽出するためには、エタロン10とエタロン20との光学特性が実質的に同一でなくてはならない。具体的には、エタロン10内での光の光路長とエタロン20内での光の光路長とが同一、又は、後述する所定の条件を満たすことが期待される。しかしながら、エタロン10及び20の製造ばらつき、並びに、散乱体計測装置100の動作時に光源30などが発生する熱、及び、環境の変化などの影響によって光路長にずれが生じる。
本実施の形態に係る散乱体計測装置100では、制御部70が軸調整部80を制御することにより、エタロン20の光軸の傾きを変更する。光軸の傾きが変更されることで、エタロン20に入射する散乱光L3又は反射光L5の入射角が変化する。
図14は、エタロン20の光軸の傾きを変化させることによる光路長の変化を説明するための図である。図14に示されるように、エタロン20に入射角θで散乱光L3が入射した場合、多層膜12及び13と透光部11との屈折率差によって、透光部11内には入射角φで散乱光L3が入射する。このため、入射角0°で散乱光L3が入射する場合に比べて、透光部11内での光の光路長が長くなる。光路長が長くなることで、出射される光の周波数間隔が変化する。
エタロン20から出射される、複数本のピークを有する光の周波数間隔FSR(Free Spectral Range)は、以下の式(1)で表される。また、エタロン20の透過率T(ν)は、以下の式(2)で表される。
Figure 2021121787
ここで、νは、光の周波数である。Rは、エタロン20の反射率である。Aは、エタロン20による損失である。nは、エタロン20内部の屈折率である。エタロン20内部の屈折率とは、透光部11の屈折率であり、石英の場合1.47である。cは、光の速度であり、約3×10m/sである。Lは、図14にも示されるように、エタロン20の長さである。また、θは、エタロン20への光の入射角である。φは、エタロン20内部での光の入射角である。θとφとは、以下の式(3)で表される関係を満たしている。
Figure 2021121787
また、エタロン20の光路長χは、以下の式(4)で定義される。なお、光路長χは、エタロン20を通過する透過光間の光路差に相当する。
Figure 2021121787
なお、受光側のエタロン20だけでなく、出射側のエタロン10でも上記式(1)から(3)は成立する。
したがって、エタロン10の長さLは、出射光L2の周波数間隔FSRが3GHzで、かつ、入射角θが0°の場合、式(1)から、34mmになる。光路長χは、式(4)から、99.96mmとなる。
エタロン10又は20の光路長χは、φが0の場合、式(4)に示されるように、エタロン10及び20の長さLで決まる。一般的には、エタロンの長さLは、その加工精度により10μm以上異なる場合がある。したがって、制御部70は、軸調整部80を制御することで、エタロン10及び20の少なくとも一方の光軸を傾けることで、入射角θ及びφを変化させる。これにより、エタロン10の光路長χとエタロン20の光路長χとの少なくとも一方を調整する。
本実施の形態では、干渉光L4の信号強度が最大になるように、エタロン20の光路長χを変化させる。具体的には、干渉光L4の信号強度は、以下の式(5)を満たす場合に、最大になる。つまり、式(5)が干渉光L4の信号強度を最大にするための条件である。なお、式(5)のiは、整数である。
Figure 2021121787
ここで、一例として、エタロン10の長さLが42.8mmであり、エタロン20の長さLが42.803mmである場合を想定する。また、光源30から出射されるレーザ光である光L1の中心波長が607nmである。エタロン10及び20の各々の損失Aは0であり、各々の反射率Rは0.74である。このような条件の下でエタロン20の光軸の傾きと干渉光L4の信号強度との関係を算出した結果を図15に示す。
図15は、エタロン20の光軸の傾きと干渉光L4の信号強度との関係を示す図である。図15において、横軸は、エタロン20の光軸の傾きθを表し、縦軸は、エタロン20から出射される干渉光L4を表している。図15に示されるように、干渉光L4の信号強度は、周期的な極大を繰り返す。信号強度の各極大値は、実質的に同等であり、信号強度の最大値に相当する。このため、エタロン20の光軸の傾きを増加させ、又は、減少させることにより、信号強度を最大にすることができる。
例えば、図8に示されるステップS14が繰り返される度に、制御部70は、軸調整部80を制御することで、エタロン20の光軸の傾きを0.01°ずつ一方向に傾ける。これにより、信号強度が最大になる時の傾きを決定することができる。本実施の形態では、信号強度が高い反射光L5の干渉光L4を利用して光路長の調整を行うので、ノイズの影響が十分に抑えられ、精度良く光路長の調整を行うことができる。したがって、調整後に行われる散乱体101の計測精度も高めることができる。
[6.変形例]
ここで、実施の形態1の変形例について説明する。
実施の形態1では、エタロン20の光軸の傾きを変更することで光路長の調整を行ったが、光路長の調整を行う手段はこれに限定されない。本変形例では、エタロン20の温度を調整することで光路長の調整を行う。
例えば、散乱体計測装置100は、軸調整部80の代わりに、エタロン20の温度を調整する温度調整装置を備える。温度調整装置は、例えばヒーターである。
エタロン20は、温度が変化することにより熱膨張又は熱収縮する。これにより、エタロン20を通過する散乱光L3又は反射光L5の光路長が変化する。
図16は、エタロン20の温度を変化させることによる光路長の変化を説明するための図である。図16に示されるように、エタロン20の温度を高くすることにより、エタロン20が膨張した後のエタロン20の軸方向の長さLaは、膨張前の長さLよりも長くなる。エタロン20の軸方向の長さが膨張によって長くなることにより、光路長が変化する。例えば、エタロン20の光軸に平行に光が入射する場合、式(4)においてφ=0であるから、エタロン20の光路長χは、2nLで表される。したがって、エタロン20の膨張又は収縮によってエタロン20の長さLを変更することにより、光路長χが変化する。このため、実施の形態1と同様に、エタロン10の光路長χとエタロン20の光路長χとが上記式(5)を満たすように調整することができる。
なお、式(5)で示したように、干渉光L4の信号強度は、エタロン10の光路長χとエタロン20の光路長χとの両方に基づいて決定される。したがって、制御部70は、エタロン10内での光の光路長を調整してもよい。具体的には、制御部70は、エタロン10の光軸の傾きを変化させてもよく、エタロン10の温度を変化させてもよい。あるいは、制御部70は、エタロン10内での光の光路長、及び、エタロン20内での光の光路長の両方を調整してもよい。また、制御部70は、光軸の傾きと温度との両方を変更することで、光路長の調整を行ってもよい。
また、制御部70は、エタロン10及びエタロン20の少なくとも一方の圧力を調整してもよい。例えば、散乱体計測装置100は、軸調整部80の代わりに、圧力調整部を備えてもよい。圧力調整部は、エタロン10又は20に加圧することで、エタロン10又は20の透光部11を押し縮めて長さLを短くすることができる。あるいは、圧力調整部は、エタロン10又は20に減圧することで、エタロン10又は20の透光部11を引き伸ばして長さLを短くすることができる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、実施の形態1と比較して、散乱体計測装置が連続体を備える点が相違する。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
[1.構成]
まず、本実施の形態に係る散乱体計測装置の構成について、図17A及び図17Bを用いて説明する。図17Aは、本実施の形態に係る散乱体計測装置200による光路長の調整を説明するための図である。図17Bは、本実施の形態に係る散乱体計測装置200による散乱体101の計測を説明するための図である。
図17Aに示されるように、本実施の形態に係る散乱体計測装置200は、実施の形態1に係る散乱体計測装置100と比較して、2つのミラー90及び91と、連続体202とを新たに備える点が相違する。
連続体202は、散乱体計測装置100の外郭筐体の内面である。あるいは、連続体202は、散乱体計測装置100の外郭筐体の内部に配置された光反射性を有する物体である。
ミラー90は、エタロン10から出射される出射光L2を連続体202に向けて反射する。ミラー90によって反射された出射光L2は、連続体202によって反射される。
ミラー91は、連続体202が出射光L2を反射することで発生する反射光L5をエタロン20に向けて反射する。ミラー91によって反射された反射光L5は、エタロン20に入射され、その一部が干渉光L4としてエタロン20から出射される。なお、集光部40は、ミラー91とエタロン20との間に配置されていてもよく、ミラー91で反射された反射光L5は、集光部40によって集光された後、エタロン20に入射してもよい。
ミラー90及び91は、例えば、鏡面反射する反射面を有する平板ミラーである。あるいは、ミラー90及び91の少なくとも一方は、凹面鏡であってもよい。
ミラー90及び91は、いずれも可動式ミラーである。具体的には、ミラー90は、図17Aに示される出射光L2の光路上の位置と、図17Bに示される出射光L2の光路上とは異なり、出射光L2を遮らない位置とに移動可能である。ミラー91は、図17Aに示される反射光L5の光路上の位置と、図17Bに示される散乱光L3の光路上とは異なり、散乱光L3を遮らない位置とに移動可能である。
ミラー90及び91は、例えば互いの位置関係及び姿勢が固定された状態で移動可能である。例えば、ミラー90及び91は、アクチュエータなどによって移動可能であり、定められた位置で固定される。具体的には、光路長の調整を行う場合には、ミラー90及び91は、図17Aに示される位置に固定される。散乱体の計測を行う場合には、ミラー90及び91は、図17Bに示される位置に固定される。なお、ミラー90及び91の移動は、制御部70によって制御される。
[2.動作]
次に、本実施の形態に係る散乱体計測装置200の動作について、図18を用いて説明する。図18は、本実施の形態に係る散乱体計測装置200の動作を示すフローチャートである。
図18に示されるように、まず、制御部70は、散乱体計測装置200の内部のミラー90及び91をそれぞれ、出射光L2の光路上の位置、及び、反射光L5の光路上の位置に移動させる(S30)。その後、散乱体計測装置200は、光路長の調整を行う(S10)。光路長の調整は、図8で示した処理と同じである。
光路長の調整が行われた後、制御部70は、散乱体計測装置200の内部のミラー90及び91をそれぞれ、出射光L2の光路上、及び、反射光L5の光路上から移動させる(S40)。その後、散乱体計測装置200は、散乱体101の計測を行う(S20)。散乱体101の計測は、図9又は図10で示した処理と同じである。
以上のように、光路長の調整を行う前には、図17Aに示されるように光路上にミラー90及び91が配置される。これにより、光源30から光L1が出射された場合に、図17Aに示されるように、出射光L2がミラー90で反射された後、連続体202で反射される。連続体202からの反射光L5は、ミラー91で反射された後、エタロン20に入射され、干渉光L4が受光器50に受光される。出射光L2及び反射光L5の光路はいずれも、散乱体計測装置200の内部のみであるので、外光に基づくノイズの影響を抑制することができる。
また、散乱体101の計測を行う場合には、図17Bに示されるように光路上からミラー90及び91が取り除かれる。これにより、実施の形態1に係る散乱体計測装置100と同様に、散乱体101の計測が可能になる。
[3.変形例]
ここで、実施の形態2の変形例について説明する。
図19Aは、本変形例に係る散乱体計測装置200aによる光路長の調整を説明するための図である。図19Bは、本変形例に係る散乱体計測装置200aによる散乱体101の計測を説明するための図である。
図19Aに示されるように、本変形例に係る散乱体計測装置200aは、実施の形態2に係る散乱体計測装置200と比較して、ミラー91及び連続体202の代わりに、ミラー91aを備える点が相違する。
ミラー91aは、散乱体計測装置100の外郭筐体の内部に配置された光反射性を有する物体である。つまり、ミラー91aは、実施の形態2に係るミラー91及び連続体202の機能を有する1つの物体である。
ミラー91aは、ミラー90によって反射された出射光L2を反射することで、反射光L5をエタロン20に向けて反射する。ミラー91aによって反射された反射光L5は、エタロン20に入射され、その一部が干渉光L4としてエタロン20から出射される。
ミラー91aは、例えば、可動式ミラーである。具体的には、ミラー91aは、図19Aに示されるように、ミラー90によって反射された出射光L2の光路上の位置と、図19Bに示されるように、散乱光L3の光路上とは異なり、散乱光L3を遮らない位置とに移動可能である。
ミラー90及び91aは、例えば互いの位置関係及び姿勢が固定された状態で移動可能である。具体的には、光路長の調整を行う場合には、ミラー90及び91aは、図19Aに示される位置に固定される。散乱体の計測を行う場合には、ミラー90及び91aは、図19Bに示される位置に固定される。なお、ミラー90及び91aの移動は、制御部70によって制御される。
このように、1つのミラー91aによって、実施の形態2に係るミラー91及び連続体202の2つの機能を実現してもよい。
(他の実施の形態)
以上、1つ又は複数の態様に係る散乱体計測装置及び散乱体計測方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
例えば、連続体102は、液体連続体であってもよい。具体的には、連続体102は、水槽に容れられた水であってもよい。散乱体計測装置100は、連続体102である水の水面に向けて出射光L2を出射し、水面からの反射光L5を取得してもよい。
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、エアロゾル計測装置が備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。また、エアロゾル計測装置は、単一の装置として実現されてもよい。
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
また、上記実施の形態において、信号処理回路、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、信号処理回路などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)などが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
また、上記の各実施の形態は、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、ミー散乱光を簡単に直接抽出することができる散乱体計測装置及び散乱体計測方法などとして利用でき、例えば、屋内での有害な微粒子の計測及び屋外での気象観測などに利用することができる。
10、20 エタロン
11 透光部
12、13 多層膜
30 光源
40、41 集光部
50 受光器
60 信号処理回路
70 制御部
80 軸調整部
90、91、91a ミラー
100、200、200a 散乱体計測装置
101 散乱体
102、202 連続体
L1 光
L2 出射光
L3 散乱光
L4 干渉光
L5 反射光

Claims (9)

  1. 第1光を出射する光源と、
    前記第1光の光路上に配置され、前記第1光を内部で干渉させて第1干渉光を出射する第1エタロンと、
    第2光の光路上に配置され、前記第2光を内部で干渉させて第2干渉光を出射する第2エタロンと、
    前記第2干渉光を受光し、受光強度に応じた信号を生成する受光器と、
    前記第1エタロン内での前記第1光の光路長χ、及び、前記第2エタロン内での前記第2光の光路長χのいずれか一方の調整を行う制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記第1干渉光が連続体で反射されることにより発生する反射光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記反射光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記調整を行い、
    前記第1干渉光が散乱体で散乱されることにより発生する散乱光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記散乱光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記散乱体に含まれるエアロゾルの計測を行う、
    散乱体計測装置。
  2. 前記制御部は、前記調整を行った後、前記計測を行う、
    請求項1に記載の散乱体計測装置。
  3. 前記計測は、前記第1干渉光の出射方向を変更しながら繰り返し行われ、
    前記制御部は、前記計測の合間に前記調整を行う、
    請求項1又は2に記載の散乱体計測装置。
  4. 前記制御部は、前記第2干渉光に対応する前記信号の信号強度が最大になるように前記調整を行う、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の散乱体計測装置。
  5. 前記制御部は、前記第1エタロン及び前記第2エタロンの少なくとも一方の光軸の傾きを変更することで、前記調整を行う、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の散乱体計測装置。
  6. 前記制御部は、前記第1エタロン及び前記第2エタロンの少なくとも一方の温度を変更することで、前記調整を行う、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の散乱体計測装置。
  7. 前記制御部は、前記信号の強度が閾値以上である場合に、前記計測を行う、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の散乱体計測装置。
  8. 前記光源は、LED(Light Emitting Diode)又はレーザ素子である、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の散乱体計測装置。
  9. 第1光を出射するステップと、
    前記第1光の光路上に配置された第1エタロンの内部で前記第1光を干渉させて第1干渉光を出射するステップと、
    第2光の光路上に配置された第2エタロンの内部で前記第2光を干渉させて第2干渉光を出射するステップと、
    前記第2干渉光を受光し、受光強度に応じた信号を生成するステップと、
    前記第1干渉光が連続体で反射されることにより発生する反射光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記第1エタロン内での前記第1光の光路長χ、及び、前記第2エタロン内での前記第2光の光路長χの少なくとも一方の調整を、前記反射光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて行うステップと、
    前記第1干渉光が散乱体で散乱されることにより発生する散乱光が前記第2光として前記第2エタロンに入射した場合に、前記散乱光の前記第2干渉光に対応する前記信号に基づいて前記散乱体に含まれるエアロゾルの計測を行うステップとを含む、
    散乱体計測方法。
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