JP2014518260A - 抗血栓症化合物 - Google Patents

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Abstract

血栓塞栓症及び心血管疾患の治療又は予防のための、新規な化合物である、(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレル及びその医薬的に許容できる塩を開示する。

Description

本発明は抗血栓症化合物、特にクロピドグレルの中間代謝物質の本質的に純粋な異性体、つまり(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルおよびその医薬的に許容できる塩に関連するものである。本発明はまた血小板凝集阻害剤、クロピドグレルの欠点を改善する方法にも関連しており、当該方法は血栓症および/または塞栓症の症状を、血小板凝集を抑制することにより緩和するために(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルの本質的に純粋な異性体を、フリーまたは医薬的に許容できる塩の形態で単離したものを投与することからなる。
血栓性または血栓塞栓性の事象に起因する状態は西洋文化圏での成人の病気や死亡の主たる原因である。血管内の血栓症や塞栓症は多くの病気に共通した臨床症状である。止血系の無規律な活性化は血栓症や塞栓症を生じる可能性があり、そしてそれは脳や心筋などの重要な臓器への血液の流れを減少させる。ある患者群は特に血栓症や塞栓症の傾向があることが特定されている。これらには(1)手術後に動けない、(2)慢性の充血性の心不全を持つ、(3)アテローム硬化性血管疾患を持つ、(4)悪性腫瘍を持つ、または(5)妊娠中である患者が含まれる。大部分の血栓症を起こしやすい個人は特定できる止血障害を持たないが、再発性血栓症に罹りやすくさせる遺伝性または後天性の凝固性亢進または前血栓の状態を持つ個人の所定のグループがある。(Harrison's Principles of Internal Medicine、12版、McGraw Hill)
効果的な一次止血には3つの重要な事象が求められる:血小板粘着、顆粒の放出および血小板凝集である。怪我の数秒の間に血小板は血管副内皮内のコラーゲン原線維に粘着する。この相互作用はフォン・ヴィルブランド因子である糖タンパク質により促進され、血管内腔に発生する強いせん断力にもかかわらず血小板が血管壁に固着し続けることを可能とする。フォン・ヴィルブランド因子は血小板レセプター部位と内皮下のコラーゲン原線維との間の結合を形成することによりこの仕事を達成する。
一次止血栓が形成されると、血漿凝固タンパク質は二次止血を開始するために活発化される。生理学上の傷に対する反応である止血栓と病理学上の血栓との間にはほとんど違いがない。血栓症はしばしば悪いところにまたは悪い時期に発生する凝固として記述される。血液の流れがゆっくりとした静脈に形成される止血栓または血栓は、豊富な繊維素と捕捉された赤血球が与えられており、比較的少量の血小板を含む。これらの血栓はしばしば脚の静脈に形成され、破裂し肺循環に塞栓形成する。逆に強い流れの条件下で動脈に形成される血の塊は血小板から構成され少量の繊維素を含む。これらの動脈血栓は容易に動脈壁から移動し、離れた所に塞栓形成し一時的または恒久的な局所貧血を生じる。これは特に脳と網膜の循環に良く見られ一時的な単眼盲(黒内障)または発作を含む、一過性の神経性機能障害(一過性虚血発作)にいたる場合もある。さらに、多くの心筋梗塞がアテローム硬化性の冠状動脈内に形成される血栓によるという証言が増えている。(前述の議論は主としてHarrison's Principles of Internal Medicineハリソンの内科学原理、12版、McGraw Hillから採用した。)
細胞外ヌクレオチドおよびその血小板の受容体は心循環系の重要な構成要素であり、血小板活性化や血管緊張の制御のような機能に関連している。アデノシン二リン酸(ADP)およびアデノシン三リン酸(ATP)は、生理学上の止血過程および動脈血栓症の発展および拡張において重要な役割を担っている(2)。ADP自身は血小板凝集の弱い作用物質であり、トロンビンやコラーゲンなどの強い作用物質に比べると可逆反応のみ誘発する。しかしながらADPは、血小板濃度の高い顆粒の中に大量に存在し、血管の傷の部位での活性化の際に解放されることにより、多くの血小板の反応を増幅し、血栓の安定化に寄与するいわゆる二次作用物質である。細胞外ヌクレオチドの受容体は2つのクラスの膜受容体から構成されるP2族に所属している。:P2Xリガンド開口型のカチオンチャンネル(P2X1-7)および糖タンパク質結合したP2Y受容体(P2Y1,2,4,6,11,12,13,14)。個々のこれらの受容体は血小板の活性化および凝集の際に特別な機能を持っており、血栓症におけるそれらの関与は当然密接な関係を持っている。
ADPおよびATPは血小板活性化において重要な役割を担うので、それらの受容体は抗血栓症治療薬の潜在的な標的である。ATP開口型のカチオンチャンネルP2X1および2つの糖タンパク質結合したADP受容体、P2Y1とP2Y12は選択的に血小板凝集と血栓の形成に寄与する。血栓の成長と安定化における中心的役割により、P2Y12受容体はチクロピジン、クロピドグレル、プラスグレルなどのおもにチエノピリジンクラス化合物の抗血栓症治療薬の確立された標的である。
早期の経皮的冠動脈介入(PCI)やステント留置を受けた患者を含む、冠動脈症候群(ACS)を持つ患者への抗血小板療法の頼みの綱は、アスピリンとクロピドグレルの配合投与である。アスピリンは血小板トロンボキサンA2の生成と血小板の活性化を抑制し、大出血イベントの可能性を約60%(絶対リスク増加(ARI)約0.5%)に増加させるかわりに、血管イベントが22%(絶対リスク減少(ARR)約2%)と高いリスクのある患者の虚血性イベントの再発リスクを軽減する。クロピドグレルは血小板受容体P2Y12を妨げることによりADPにより誘発される血小板の活性化抑制し、ACSを持つ患者のアスピリン療法と合わせると虚血性イベントの再発リスクをさらに20%(ARR約2.1%)まで減少し、その場合大出血イベントはアスピリン単独療法からは統計的には増加しない。
クロピドグレル(式I)、化学名「(+)-(S)-メチル2-(2-クロロフェニル)-2-(6,7-ジヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン-5(4H)-イル)アセテート」は現在血液の血小板凝集の抑制において至適基準であると考えられている。クロピドグレルはその硫酸水素塩、塩酸塩、ベンゼンスルホン酸塩として市場に出回っている。過去12年以上に渡り、虚血性イベントやその他の心血管障害の制御に広く使用されている。
しかしながら、クロピドグレルは幾つかの潜在的な限界を持っている。第一に活動の始まりが遅れ、投与と治療活性との間に時間のずれが観察される。光透過凝集測定法(LTA)(5μM ADP体外)により測定されるような、ADPにより誘発される血小板の凝集の50%抑制の療法的に重要な水準は、300mgのクロピドグレル負荷投与量の投与の後4-6時間経つまで到達されず、600mgの2倍の投与でも2時間経過するまで到達されない。第二に、投与量の天井効果があり、通常の投与量300mgから900mgへ3倍にしてもわずか60%のADP誘発血小板凝集の抑制(5μM ADP)しかもたらさず、50%の血小板凝縮抑制よりも少ない(ADPの20μMにより誘発(体外))。第三に、クロピドグレルが関与するほとんどすべての臨床試験では、クロピドグレル療法に対する反応における個人間の変動性により、多くの患者において療法上の血小板抑制水準は達成されないことを示している。これらの人々はクロピドグレルに対する「不応答者」または「低応答者」と呼ばれる。不応答者は中国人の人口の約14%、白色人種の3-4%に上る。全体的には低応答者は、総患者数において23%に近くであり、抑制活動の変動は、総患者数の約45%において報告されている。クレピドグレルの急速な代謝作用が特別なCYPアイソフォーム(患者の約4%-18%)の表現型を持つ患者において報告されており、そしてそれは高い血小板凝集を伴うより深刻な出血エピソードにつながる。これらの広い変動性と臨床試験のデータを考慮して、FDAはあるクラスの患者にはクロピドグレルは効果がないことを強調し、治療の前にクロピドグレルに対する低応答者を特定するための患者の遺伝子型のスクリーニングを実施することを指摘する警告ラベルを箱に入れることを求めている。
クロピドグレルの抑制活動における変動性はクロピドグレルを代謝する肝臓酵素の活動の違いから来ており、またクロピドグレルのP-糖タンパク質気質としての腸管吸収の限界にもよることが発見されている。クロピドグレルの摂取にあたって代謝物質を生成する一連の代謝反応が開始される。これらの反応はCYP450と同様に人肝臓カルボキシルエストラーゼ(hCE)の活動により仲介される。クロピドグレルの代謝過程は以下に示される(スキーム1)。クロピドグレルの代わりに特定の代謝物質を患者へ投与する治療作用剤として使用することは以前には指摘されていなかった。
最近承認された薬品を用いての患者の治療、すなわちプラスグレルは患者に出血エピソードを受けやすくし、そしてそれは命の危険をおびやかす場合もあり、体重60kg以下および75才以上の患者にそれを適用することは制限されている。プラスグレルは硬変症のリスクがある患者において肝臓病/毒性を増加させることも発見されており、それゆえFDAにより市販後医薬品安全性監視が指摘されており、発がん性の疑いもある。これらの深刻な副作用に関する限り、クロピドグレルは比較的安全であり、一般的に、比較的少量の出血と肝臓毒性をもたらす。さらに心循環系の死亡発生率はクロピドグレルでの治療に従った方がプラスグレルに比較して非常に減少し、それゆえクロピドグレルの効能の改善は患者群における血栓症および/または塞栓症のリスクを他の構造的に改良された薬品よりもかなり良く減少させる可能性がある。
(2’S)-オキソ-クロピドグレルは、前記のスキームに示されるとおり、酸化代謝ステップの間に形成される中間代謝物質である。クロピドグレルの活性な代謝物質は式IIIで構造が示されており、血小板を抑制することが分かっている唯一の異性体であると記されているが、その絶対的な構成はいまだ決定されていない。4R,1’S-異性体の活性代謝物質は文献に報告されている(Hagihara et al, Drug Metab. Pharmacokinet. 23 (6): 412〜420 (2008) & Proceedings of the 54th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, 2008年)。治療化合物としての活性代謝物質の使用はその瞬間的で強い反応性の性質のためにチエノピリジン派生物が一つもないことにより文献においては提案されていない。3つの異なる異性体がクロピドグレルの2位置での酸化から予想されており、すべては互いに相互転換可能であり以下に示される。
2-オキソ-クロピドグレルが式IIの構造を取った場合、一つの新たなキラル中心を7aの位置に生成し、それにより2つの異なるキラル異性体が存在することが可能となる。しかしながら、式VIのチエノ環の芳香性および関連するすぐに転換する性質と、構造II、VIおよびVIIの間の化合物のケトーエノール形態の力学的平衡により、キラル中心は崩壊させられ、2-オキソ-クロピドグレルの7a位置でのラセミ化反応が予想され、式IIの化合物が異性体の混合物として存在することになるであろう。クロピドグレルの投与の間に、活性代謝物質の双方の異性体が生成されることが示されており、中間のオキソ-代謝物質はほとんど同じ比率の立体異性体の混合物として存在することを意味する。(Thromb Haemost, 2011年;105:696-705)
さらに、プラスグレルの代謝物質の経路が文献に詳述されており(参照:Farid et al,Drug metabolism and disposition,、2007年、35巻、p1096-1104)、式II、VIおよびVIIの異性体の可能性のある代謝物質の経路についての新たな情報が提供されており、式IIから生成される活性代謝物質のみが薬理学的活動を示すことを明らかにした。
それゆえに、クロピドグレルやプラスグレルなどの現在の治療の選択肢により提供されていない、満たされない医学的要求がある。
Harrison's Principles of Internal Medicine、12版、McGraw Hill Hagihara et al, Drug Metab. Pharmacokinet. 23 (6): 412〜420 (2008) & Proceedings of the 54th ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, 2008年 Thromb Haemost, 2011年;105:696-705 Farid et al,Drug metabolism and disposition、2007年、35巻、p1096-1104
それゆえに、遅れた活動の開始、高い個人間の変動性、低代謝者の状態、投与量の天井効果を含む、その深刻な限界を改良し、ADP誘発血小板凝集における抑制能力を増加させることによりクロピドグレルの効能を改善するために、改善した薬品または改善したクロピドグレルを提供する必要性がある。
本発明者は、クロピドグレルの使用は、今日利用できる抗血小板薬の中では至適標準であるとみなされているが、上で先に詳述した理由で、一貫した様式で、安全に迅速な血小板凝集の抑制において、本質的な臨床的に重大な限界が存在することを発見している。本発明は、それゆえに血栓症および塞栓症の治療/予防のための新しい物質と同様に少なくとも上述したクロピドグレルの臨床上の障害を改良する、そのような治療に用いられる組成を提供することを目指している。
驚くべきことに、異性体の混合物から立体選択的方法により、反対の異性体を含まない単独の2-オキソ-クロピドグレル活性異性体を分割することが可能であると現在証明されている。信じられていることに反して、高度に活性的なクロピドグレルの活性代謝物質の異性体が、それぞれの位置でのグループの割り当てによると(図1式IIに示される番号によると)、 (7aS,2’S)配置を有する、2-オキソクロピドグレルから生成された。優れた活性が前臨床薬理学的評価により確認されている。我々が驚いたことに、単離された異性体は安定状態を保ち、ケトーエノール互変異性や平衡状態を通した通常の状態で(7aR,2’S)-異性体へ転換しない。本発明の化合物は溶液中であっても通常の条件下で問題にならない程度しか異性体の混合物へ転換しないことを示している。
そのため一態様において、本発明は、異性体が豊富で実質的に純粋に単離された(7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレル{化学名:メチル-(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサハイドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート}および医薬的応用のためのその医薬的に許容できる塩を提供する。本発明の化合物は実質的に純粋な状態で製造するのに十分に安定であり、長期間保存し医薬的に使用するための薬品製品(製剤)を製造するためにも十分に安定でもある。本発明の化合物は、例えばIIB異性体を除く、式VIの化合物、式VIIの化合物のような、他の異性体を実質的に含まない。ここで言う実質的に含まないとは、これらの化合物が個々にまたは累積的に10%以下、望ましくは5%以下、より望ましくは3%以下、さらに望ましくは1.0%以下を意味する。
別の態様において、本発明は、硫酸およびメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸で当該異性体の混合物を処理し、本発明の化合物を選択的に結晶化することから構成される、キラル選択合成から得られる異性体の混合物から実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレル異性体を合成する方法を含んでいる。(7aS,2’S)異性体の結晶化は(7aR,2’S)異性体の連続的または同時転換か、または望まれない(7aR,2’S)異性体の転換を伴わずに実施される。その異性体は十分保持できる固体の立体配置(構造)で生成される。選択的に沈殿した塩は製剤準備などに使用される場合もあり、または適切な塩基と中和され自由な形態で純粋な異性体の化合物として得られる場合もある。
本発明のさらに別の実施形態において、(7aS,2’S)/(7aR,2’S)異性体の混合物を極性有機溶媒中で処理し、任意の純粋異性体の種結晶を加え、結晶化した化合物を純粋な異性体として単離することにより、純粋な(7aS,2’S)異性体を選択的に結晶化させることを可能とする。(7aS,2’S)異性体の結晶化は(7aR,2’S)異性体の連続的または同時転換か、または望まれない(7aR,2’S)異性体の転換を伴わずに実施される。この過程において(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルは自由な塩基の形態で実質的に純粋な形態で単離され、適切な酸で処理することにより医薬的に許容できる塩へ転換することができる。
本発明はまた、本発明の化合物の出現がなければ不可能である式IV、VIまたはVIIのクロピドグレルの酸性代謝物質に関連する副作用を避けまたは軽減しつつ、単離された(7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩のある量を投与することを含む、血栓症および/または塞栓症の治療を必要とする患者に対する血栓症および/または塞栓症の治療および/または予防の方法を提供する。
本発明のこの態様での好ましい実施形態においてその方法は、望ましくない代謝生成物質やその他の異性体をクロピドグレルの投与から取り除くことにより、実質的により高い投与量のクロピドグレルの投与により観察されるよりも大きな療法上の効果を実質的に達成する。
本発明のこの態様での好ましい実施形態において、その方法は、実質的により高い投与量のクロピドグレルの投与により観察されるよりも、体内での活性代謝物質の形成の濃度がより大きいか同等である結果をもたらす。
本発明のあらゆる態様において、単離された実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルの投与に際しての療法的活動の始まりが、実質的により高い投与量のクロピドグレルの投与により観察されるよりも少なくとも50%早い。
さらに本発明のあらゆる態様において、単離された(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩は、さまざまな投与量で投与される。例えば、20から40mgの投与量は実質的により高い投与量のクロピドグレル300mgに相当する。または実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその塩の投与量35から80mgは実質的により高い投与量のクロピドグレル600mgに相当する。または更なる実施形態として実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその塩の投与量50から100mgは実質的により高い投与量のクロピドグレル900mgに相当する。またはまた更なる実施形態として実質的に純粋な単離された(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその塩の投与量3から15mgは実質的により高い投与量のクロピドグレル75mgに相当する。または実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその塩の投与量6から20mgは実質的により高い投与量のクロピドグレル150mgに相当する。その式の化合物の異なる塩は異なる分子量を持つので、投与量の計算の目的のために化合物の非塩の形態(すなわち塩基)での投与量に基づいていることを考慮すべきである。
患者への一連の繰り返し投与量の投与に関連する療法に代わるものとして、より高い負荷投与量を一回以上の維持量を伴い実施される。例えば、負荷投与量20から60mgの実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその塩を患者に投与すると多くの患者においてADPに誘発される人の血液の血小板凝集が50%以上抑制される結果をもたらす。本発明のある実施形態において、これまたは代わりの負荷投与量は、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその塩3から15mgの維持量を伴い患者に投与され、ADPに誘発される人の血液の血小板凝集が50%以上抑制される結果をもたらす。
本発明の4つ目の態様によると、クロピドグレル投与量の投与に従い観察される血栓症および/または塞栓症の治療および/または予防における、個人間の血小板反応性の変動性および代謝負荷量を最小にする方法であって、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩を、それを必要とする患者へ投与することを含む方法を提供する。
個人間の変動性はCYP450のアイソフォームおよび、例えばCYP2C19*2対立因子またはCYP2C19*17対立因子等のその多様な形態の発現のために起こる。さらに言えば、別の言葉で言えば、個人間の変動性はP-糖たんぱく質の排出輸送による。
本発明の5つ目の態様によると、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩およびプロトンポンプ阻害剤の投与から構成される血栓症または塞栓症の治療または予防の方法を提供している。
本発明のあらゆる態様において、ここに説明する方法は一つ以上の別の治療薬の投与段階を含む場合がある。これらには例えばアスピリン、シロスタゾールおよびジピリダモールから選択された抗血小板治療薬を含む場合がある。これらの追加の治療薬は主要な活性成分と同時に、継時的に、後にまたは複合して投与される場合がある。
本発明の6つ目の態様によると、ここに記述される方法においての使用上の組成が提供されている。疑いを避けるために、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩としての活性成分量の投与について言及されており、これは本発明のこの態様での組成の範囲に含まれる。
本発明の7つ目の態様によると、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその医薬的に許容できるその塩の固定した投与量の組成が1から60mgの実質的に純粋な2-オキソ-クロピドグレル異性体またはその塩を含む当該組成で特長づけられて提供されている。
本発明の望ましい態様からは、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩の固定した投与量の組成5から30mgを含む。その固定した投与量の組成は追加のまたは代わりの一つ以上のアスピリン、シロスタゾールおよびジピリダモールから選択された抗血小板治療薬を含む場合がある。
本発明の利点は単離された実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルまたはその塩を使用することにより実現され、そしてそれは実質的に式IIB異性体を同様に含まない。
図1は、Chiralpak AD-Hカラムで分析した(7aS,2’S)-オキソ-クロピドグレル重硫酸塩のHPLCクロマトグラムを表している。 図2は、Chiralpak AD-Hカラムで分析した(7aS,2’S)/(7aR,2’S)-オキソ-クロピドグレル塩基混合物質のHPLCクロマトグラムを表している。 図3は、Chiralpak AD-Hカラムで分析した実質的に純粋な((7aS,2’S))-オキソ-クロピドグレル自由塩基のHPLCクロマトグラムを表している。 図4は、Chiralpak AD-Hカラムで分析した(7aS,2’S)/(7aR,2’S)-オキソ-クロピドグレル塩酸塩のHPLCクロマトグラムを表している。 図5は、(7aS,2’S)-オキソ-クロピドグレル自由塩基のIRスペクトルを表している。 図6は、(7aS,2’S)-オキソ-クロピドグレル重硫酸塩のIRスペクトルを表している。 図7は、(7aS,2’S)/(7aR,2’S)-オキソ-クロピドグレル塩酸塩のIRスペクトルを表している。 図8は、実質的に純粋な(7aS,2’S)-オキソ-クロピドグレル自由塩基の粉末X線回折パターンを表している。 図9は、(7aS,2’S)-オキソ-クロピドグレル重硫酸塩の粉末X線回折パターンを表している。 図10は、(7aS,2’S)/(7aR,2’S)-オキソ-クロピドグレル塩酸塩の粉末X線回折パターンを表している。 図11は、(7aS,2’S)-オキソ-クロピドグレル重硫酸塩の示差走査熱量グラフを表している。
他に指定のない限り、ここで使用されるすべての技術的および科学的用語は本発明が属する分野の通常のスキルの者により通常理解されるものと同じ意味を持つ。ここで記述されるものと類似または同等のあらゆる方法や物質は本発明の実施または試験に使用できるが、望ましい方法や物質は記述される。本発明を記述するために、ある用語はここに次のように特別に定義される。
逆に明記されない限り、「含んでいる」、「含む」、「含めている」および「含める」は「限界なく含んでいる」ことを意味し、それが続く特定または同様のアイテムまたは、その直後に続く事象のいかなる一般的陳述に限定して解釈されてはならない。本発明の実施形態は相互に排他的ではないが、様々な組み合わせで実施される。本発明の記述された実施形態および開示された例は付加請求に明らかにされているように発明の限界ではなくむしろ例示の目的のために与えられている。
現在驚くべきことに、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレル(式IIA)または医薬的に許容できる塩として単離可能であることを発見されており、そしてそれはADPに誘発される血小板凝集を高度に抑制し早期に抑制を開始するために人に投与でき、クロピドグレルの一つ以上の障害を改良する。本発明は、血栓症、塞栓症および関連する病気の状態の治療に長い間求められていた要求を満たす。本発明の様々な態様はこれ以降に特別な実施形態/条件で詳細に記述される。
信じられていることに反して、驚くべきことに本発明は2-オキソ−クロピドグレルの単独異性体を式IIBの反対の立体異性体を含まない形で分解することができ、混合物に比較してより効率的な望ましい完全な構成の活性代謝物質をもたらすことを可能にする。本発明はエノール型を通して反対の立体異性体{(7aR,'S)-異性体}からダイナミック変換を伴うまたは伴わない異性体の混合物質の中から一つの異性体{(7aS,2’S)-異性体}を優先立体選択的に結晶化させる方法により実現される。2-オキソ-クロピドグレルは3つの異性体の形態で存在でき、つまり式II、VIおよびVIIの構造で存在できる。それらの一つは追加のキラル中心を生成するのみであり、それによって一つの構造式IIのみキラル異性を示し、それゆえに2つのキラル異性体を生成し、最も重要なことにそれらの一つだけがクレピドグレル活性代謝物質の望ましい異性体をもたらすことができる。式VIIの化合物は生体内のチオフェン環を開く代謝をするが、興味深いことにそれらのうち一つもADP受容体に対して活性を示さず(ペリエロら、薬品代謝&性質、2002年、p1288-1295)、それゆえに正しいクロピドグレル代謝をもたらす異性体が医薬的な利益のある異性体である。テトラヒドロピリジンの核とチオフェン環との間で環の二重結合が裏返ると、7a位置でのキラル中心を破壊し、特にその形成の間には異性体の混合という結果をもたらす。それゆえに現在まで選択的に異性体の一つを排他的に単離できる報告がない。信じられていることに反して、式IIA構造の異性体を排他的に単離することが現在可能となっており、驚くべきことにその単離された異性体は安定であり、ケトーエノール互変異性や平衡状態を通して混合物質に変換することに抵抗する。本発明の化合物は溶液においても通常の条件下ではわずかしか異性体の混合物質へ変換しない。本発明の化合物は例えば式IIBの異性体を除く式VI、VIIの化合物のような他の異性体を実質的に含まない。ここで言う実質的に含まないとはこれらの化合物の個々にまたは累積的に10%以下、望ましくは5%以下、さらに望ましくは3%以下、より更に望ましくは1.0%以下を意味する。
本発明は実質的に純粋な(7aS,2'S)-2-オキソクロピドグレルを合成する方法を提供する。その過程は第一に我々の同時懸案中の申請に開示されているような合成ルートを通って(7aS,2'S)/(7aR,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルの混合物を合成することを含む。本発明によるその過程はメチル-(R)-2-(4-ニトロフェニルスルフォニルオキシ)-2(2-クロロフェニル)アセテートを5,6,7,7a-テトラヒドロ-4H-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-オンを反応させて少量の式VI、VIIを含む式IIAとIIBの化合物異性体の混合物質を形成し、当該異性体の混合物質を硫酸およびメタンスルホン酸やベンゼンスルホン酸などのスルホン酸で処理し、(7aS,2’S)異性体を選択的に結晶化させることを含む。望ましくはその過程は(7aR,2’S)異性体の変態により達成され、不活性の異性体が活性の化合物に変換され、このようにして使用のために取り出すことができるようにする。本発明の異性体は特に優れた医薬的活性により特徴づけられている。この過程は(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルをその酸塩の形態で直接単離することを可能とし、そしてそれは適切な反応条件下では自由塩基の形態に変換される。本発明の化合物の単離の過程は適切な温度、望ましくは0から30℃で実施される。
本発明の異性体は特異な医薬的な活性とさらにNMR、キラルHPLCによる他の異性体からの構造的に同定により特徴づけられる。異性体の混合物からは光学的に回転した特徴を示す。
酸は望ましくは硫酸および例えばメタンスルホン酸やベンゼンスルホン酸などのスルホン酸から選択される。単離および立体選択的変換は適切な溶媒中でもたらされる。溶媒は有機溶媒から選択される。適切な溶媒には、C1-C4アルコール、エステルおよびケトン類などの極性溶媒を含む。代表的なC1-C4アルコールにはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどを含む。代表的なエステル溶媒にはエチルアセテート、ブチルアセテート、プロピルアセテートなどを含む。ケトン類にはこれに限定されるわけではないがアセトン、メチルエチルケトンおよびアセトンニトリルなどのニトリル類を含む。
本発明による過程において、2-オキソ-クロピドグレル異性体混合物質の溶液は最初に得られ、選択した酸が得られた溶液に添加される。これらの段階は熱間または冷間で実施され反応に適した条件は溶媒の選択と使用される酸に依存する。反応の温度範囲は低温から室温までに及ぶ。混合物は充分な結晶を立体選択的に沈殿させるために適切な冷却の下適切な時間保持される。結晶化過程は(7aS,2’S)異性体へ完全に変換できる十分な時間実施され、5から20時間が適切である。
本発明の代替の実施形態において、(7aS,2’S)-/(7aR,2'S)-異性体の混合物は極性有機溶媒中で処理され、(7aS,2’S)異性体を選択的に結晶化させ純粋な異性体として単離することが可能となる場合がある。混合物は選択により選択的結晶化を容易にするために実質的に純粋な(7aS,2’S)異性体自由塩基で種付けされる。(7aS,2’S)異性体の結晶化は(7aR,2’S)異性体の連続的または同時変換により、または望ましくない(7aS,2’S)異性体の変態を伴わずに進行する。望ましくはその過程は望ましくない異性体が活性化合物に変換し使用のために回収できるように、(7aR,2’S)異性体の変換により達成される。この過程において、(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルは実質的に純粋な形態のその自由塩基の形態で単離される。(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレル塩基は適切な溶媒中で適切な酸により処理されることにより医薬的に許容できる塩に変換される。
単離および立体選択的変換は適切な溶媒中でもたらされる。有益な溶媒は極性有機溶媒である。適切な溶媒にはエチルアセテート、メタノールなどのアルコールを含みそれら単独または混合したものが含まれる。
生成物の特性検出および異性体の定量はキラルHPLCを使用して実施される。分析条件は以下の表1に示される。
純粋な異性体と異性体の混合物の代表的なHPLCクロマトグラフは図1-2に示される。
粉末X線回折パターン、IRスペクトルおよびDSCデータは図5-11に示される。
式IIの化合物はクロピドグレルの中間代謝物質である。この代謝物質の構造とクロピドグレルの代謝経路中におけるその位置はほぼ20年間に渡り知られていたにもかかわらず、血栓症や塞栓症の治療のための活性作用剤としてのその使用は以前は指摘されていなかった。これは一部はこの代謝物質とここで先に言及される代謝の経路における式IVとして同定されるものが不活性であることが発見されていたからである。さらに単独の異性体の存在は、オキソクロピドグレルの異性体の性質とその式IIB、VIおよびVIIの異性体の混合物への変換により本発明の出現なくしては可能ではなかった。
発明者は現在実質的に純粋な(7aS,2’S)-オキソ−クロピドグレルまたは医薬的に供用できる塩を製造できており、それは好都合にクロピドグレルの代わりに患者に投与され、クロピドグレルの使用に関連するすべてではないが幾らかの不利益を改良する。実質的に純粋な(7aS,2’S)-オキソ-クロピドグレルの式II化合物を患者に投与することにより、生体内の不活性な代謝物質の量を少なくする。さらにそれは式II(クロピドグレルの反対)の化合物を活性代謝物質へ変換するCYPの仲介段階を減少させるだけではなく、不活性なクロピドグレルの生成におけるCYPの代謝負荷をも減少させる。このようにクロピドグレルを代謝する患者の能力へのCYPの影響は効能上効果的に減少される。
本発明は血栓症および塞栓症の治療および予防のための方法を提供し、その方法は実質的により多くの投与量のクロピドグレルを投与することにより達成されるよりも大きいかまたは同等の生体内での濃度の活性なクロピドグレル代謝物質を形成することをもたらすように、単離された実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレル(式IIA)またはその医薬的に許容できる塩のあらかじめ決められた投与量を投与することを含む。望ましい実施形態においては、本発明は従来のクロピドグレルの療法上の投与量の投与に比較してクロピドグレルの活性代謝物質療法的濃度を達成するために必要な活性成分の投与量を実質的に減らすことができる。このように投与量の許容性と効能は非常に高められる。
本発明は短時間にADP誘発血小板凝集を50%以上抑制することを達成することにより療法の活性の始まりを改善し、個人間の変動性を減少するのみではなく、不活性の代謝物質(例えば式IV)に関連する副作用を除去し肝臓への代謝負荷を減少させる。
本発明の態様において、アスピリン、シロスタゾールおよびジピリダモールなどの抗血小板治療薬を含む一つ以上の追加の活性化合物が投与される場合がある。抗血小板治療薬は抗血小板活動の望ましい水準を達成するためクロピドグレル活性代謝物質と同様または異なる機構により作用する場合がある。第二の、またはそれに続く抗血小板治療薬は別々に、順次に、または同時に実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩と伴に投与される。
本発明の態様において、実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩の20mgから100mgの範囲の投与量が初期負荷投与量として投与され、必要であればそれに続いて3mgから20mgの維持投与量が、それぞれクロピドグレルの300mgから900mgの負荷投与量と75mgから150mgの維持投与量で得られる量と同等または大きい活性代謝物質の全身濃度となるように投与される。より望ましくは、本発明の負荷投与量は20mgから80mgの間であり、維持投与量は5mgから15mgの間である。さらにクロピドグレルによって提供されるよりも望まれる抑制が同等かわずかに劣る場合には、より少ない投与量が投与される。上述の投与量は平均体重60kgの人間において計算されている。投与量の調整は患者の体重、病気の深刻度、CYPの遺伝的多様性に従って、標的とする血小板抑制のために開業医の自由裁量により必要とされる。
本発明の態様において、ここで討議される方法での使用のための組成が提供されている。例えば、本発明は1mgから60mgの単離された実質的に純粋な(7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩を含む製剤組成と選択により一つ以上の医薬的に許容できる医薬品添加物の固定した投与量を提供している。本発明の組み合わせの固定投与量はアスピリン、シロスタゾールなどの抗血小板/心循環系の治療薬を含む一つ以上の活性化合物と伴に投与され、そしてそれはクロピドグレルの活性代謝物質と同様のまたは別の機構で作用する。
式IIAの化合物の発明の選択はクロピドグレルの使用に比較して抗血小板治療における改善に非常に貢献し、その療法的効率を5−10倍改善すると同様にクロピドグレル治療と関連する毒性/副作用または代謝負荷を軽減する。
本発明は投与後の短時間にクロピドグレルの望ましい活性代謝物質異性体の療法上効果的な濃度を提供し、そしてそれは活性の開始を改善するのみではなく、ADP誘発血小板凝集を50%以上抑制することを達成する。活動の始まりは (ADP誘発血小板凝集の50%抑制により測定される) 、クロピドグレルの4-6時間に比較して、1時間未満、より好ましくは30分以内に達成される。式IIAの化合物の投与量に無関係に、最大の血小板凝集は経口投与の1時間未満に達成される。本発明はクロピドグレルの高投与量で観察される投与量の天井効果を改良し、非常に多い活性代謝物質を生産し、肝臓における代謝負荷を減少させる。さらにクロピドグレルはP-糖タンパク質(Pgp)基質であるので、その吸収はPgp阻害物質または誘導物質により影響を受け、そしてそれはクロピドグレルの臨床上の効果を変える可能性がある。この効果は本発明の組成の投与により非常に減少される。さらに本発明は式IIA と共同してプロトンポンプ阻害剤を使用することを可能とする。これは、CYP2C19の役割(クロピドグレルの代謝において重要な役割を果たす)が、PPIがCYP2C19の阻害物質となり、本発明の組成と方法を使用することにより実質的に減少するからであると考えられている。
増加する活性代謝物質とより大きな血小板阻害活動を除き、本発明の組成と方法はクロピドグレル投与の後のクロピドグレル酸(式IV)の形成によりみられる毒性/関連する副作用を減少する。クロピドグレルの致死量はラット1kg当たり5000mgであり、90%のクロピドグレルは生体内でクロピドグレル酸に変換される。このようにクロピドグレルの毒性の約90%はクロピドグレル酸代謝物質(式IV)に関連するものと思われる。本発明の組成と方法により患者に投与される活性成分の量を有利に減少でき、他方投与後のクロピドグレル酸代謝物質などの形成を取り除かれたとして、関連する毒性または副作用は現状のクロピドグレル療法による使用に比較して少なくとも9-10倍減少される。
本発明による組成や方法に使用される組成は望ましくはその医薬的に許容できる形態でもたらされる。そのような酸添加塩の例には鉱酸との塩、特にハロゲン化水素酸(フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、塩酸など)、硝酸、炭酸、硫酸などとの塩、低アルキルスルホン酸との塩、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸との塩、アリールスルホン酸との塩、例えば、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸との塩、および有機カルボン酸との塩、例えば、酢酸、プロパン酸、酪酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、マンデル酸、アスコルビン酸、乳酸、グルコン酸、クエン酸などとの塩を含む。医薬的に許容できない塩は、本発明による方法や組成に用いられる化合物の製造に用いられる場合がある。望ましい塩は硫酸水素塩(重硫酸塩)とベンゼンスルホン酸塩である。
本発明の方法と組成は、望まれる水準の抗結晶凝集活動を達成するためにクロピドグレル活性代謝物質と同様または異なる機構で作用する、アスピリン、シロスタゾールおよびジピリダモールなどの心循環系(心血管系)または抗血小板治療薬を含む一つ以上の活性化合物を使用する場合がある。第二のまたはそれに続く抗血小板治療薬は式IIAまたはその医薬的に許容できる塩としての投与とは個別に、同時にまたは後に投与される。本発明は血小板凝集抑制の望ましい目標を達成するためのそのような改良を含む。
他の態様では、本発明は式IIAの化合物またはその医薬的に許容できる塩の医薬的な組成の固定した投与量を提供しており、その当該式IIAの化合物の投与量は1mgから60mgに範囲で選択され、その組成は選択により医薬的に許容できる医薬品添加物を含む。本発明の投与量の固定した組成はクロピドグレル活性代謝物質と同様または異なる機構で作用する、アスピリン、シロスタゾールなどの抗血小板/心血管治療薬を含む一つ以上の活性化合物を含むまたはともに投与される。
本発明の医薬的な組成の固定した投与量は望ましくは即時放出または放出調整の投与量形態で日常的に経口により投与される。
投与量の形態は単一の単位での投与量、二つの別の単位での投与量または本発明を含む分野で知られているあらゆる様々な種類で定式化されるが、タブレット、ハードカプセル、ソフトカプセル、医薬的小袋および再構成のための粉末に限定されない。
本発明の定式にはさらに放出プロフィールを調整するために不溶解性浸透性ポリマーを含み、ここで「放出調整ポリマー」として定義される。これらのポリマーはタブレット、顆粒、カプセル、錠剤などの定式に被覆されるかまたは他の成分と伴に先に列記した定式のいずれかに混合される。
一つの実施形態において、本発明の医薬的医薬組成物は活性治療薬を医療品添加物と混合してタブレットの形態で調合されるものが提供される。代表的な医療品添加物には希釈剤、充填剤、接合剤、潤滑剤、崩壊剤、滑剤、着色剤、色素、味覚剤、放出調整ポリマー、甘味料、可塑剤、およびあらゆる許容できる補助物質、例えば、吸収促進薬、透過促進剤、界面活性剤、共活性剤、および特殊なオイルを含む。医療用添加物の例には第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウム、結晶セルロース、粉末セルロース、でん粉、アルファでん粉、ナトリウムでん粉グリコール酸塩、ブドウ糖、マンニット、ソルビット、ポビドン、エチルセルロース、ラクトース、カロチン、ケイ酸、およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、鉱油、グリセリン、硫酸ラウリルナトリウム、ポリエチレングリコール、およびタルクなどの潤滑剤を含む。ナトリウムでん粉グリコール酸塩、タルクおよび潤滑剤ステアリン酸マグネシウムは本発明の組成の調合のタブレット製造において補助するために使用される。式IIAの化合物の予備混合は当該化合物と成分を混合することにより得られ、その後混合物を選択によりその他の適する成分と伴に直接圧縮しまたは混合物をカプセルに満たし最終の投与量の形態を得る。式IIAの化合物の自由な形態での投与量は化合物をポリマーのような許容できる成分と伴に適切に処理することにより顆粒のプレミックスとして得られ、そしてそれは直接圧縮されるか追加の医療用添加物と伴に定式化される。
本発明の組成と方法は心循環系の病気やアテローム硬化症、不安定狭心症などの糖尿病、脳発作、血管形成術、血管内膜切除、金属製血管内人口装具の装着後の再狭窄、血栓溶解後の再血栓症、梗塞、虚血性由来の痴呆、末梢血行障害、血液透析、心房細動に関連する血栓塞栓障害の病理学上の状態の予防および治療、または血管内人口装具、大動脈冠動脈バイパスまたは安定または不安定狭心症の間に使用される。
式IIの化合物またはその酸塩は例示された方法により得ることができる。
式IIAの化合物の調合および医薬的な評価は以下に示される。
例1:2-オキソクロピドグレルの(7aS,2'S)/(7aR,2’S)-異性体の混合物の調合
a)メチル-(R)-2-ヒドロオキシ-2-(2-クロロフェニル)アセテート
4つ首丸底フラスコの2000mlのメタノール中に500gの(R)-2-クロロマンデル酸が注がれた。その後18.8gの硫酸が加えられ、反応が終了するまで還流のために熱せられた。その後過剰なメタノールが減圧下で蒸留された。残留物がジクロロメタンに入れられ、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗われた。ジクロロメタンは522gのメチル-(R)-2-ヒドロキシ-2-(2-クロロフェニル)アセテートをオイルとして得るために減圧下で蒸留された。収率:94%。純度:98.5%。
b)メチル(R)-2-(4-ニトロフェニルスルフォニルオキシ)-2-(2-クロロフェニル)アセテート
4つ首丸底フラスコ中に窒素雰囲気下で、640mlのジクロロメタン、221gの4-ニトロベンゼンスルホニルクロライド、12.1gの4-ジメチルアミノピリジンおよび200gのメチル-(R)-2-ヒドロオキシ-2-(2-クロロフェニル)アセテートが加えられた。約0℃で冷却され、101gのトリエチルアミンが加えられた。混合物は約0℃で反応が終了するまで撹拌された。反応生成量は塩酸水溶液中で急冷され、ジクロロメタンと伴に抽出された。ジクロロメタン層は減圧下で濃縮された。
濃縮後に得られた油性の生成量はその後エチルアセテート-ヘキサン混合物中での結晶化により純化され、減圧下で乾燥され、281gのメチル(R)-2-(4-ニトロフェニルスルフォニルオキシ)-2-(2-クロロフェニル)アセテートを得た。収率:73%。純度:93%。
c)メチル(7aS,2’S)/(7aR,2’S)-2(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート
4つ首丸底フラスコ中に窒素雰囲気下で、1000mlのアセトニトリル、49.5gの5,6,7,7a-テロラヒドロ-4H-チエノ[3,2-c]ピリジン-2-オンHCl、55gの炭酸ナトリウム、100gのメチル(R)-2-(4-ニトロフェニルスルフォニルオキシ)-2(2-クロロフェニル)アセテートが添加され、その混合物は約50℃で加熱された。反応後、反応生成量は濾過され、濾過液は濃縮され、濃縮された生成量はジクロロメタンに入れられ、水で洗われ、減圧下で濃縮された。油性の残留物はイソプロパノール(IPA)中でIPA.HCl溶液で処理され、濾過されて、塩酸塩として異性体の混合物を得た。そのために重炭酸ナトリウム溶液をpHがアルカリになるまで添加された。生成物はその後ジクロロメタン(MDC)中に抽出された。MDC層は水で洗われ、乾燥され、蒸留され、生成物は油性の残留物として得られた。
各キラルHPLC当たりの(7aS,2'S)/(7aR,2’S)-異性体の比率:53.62:46.38%
例2.メチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート
4つ首丸底フラスコ中に窒素雰囲気下で、150mlのエチルアセテート-メタノール、70gの異性体の混合物((7aS,2'S)/(7aR,2’S)異性体の比率=53.62:46.38)が入れられ、溶解のために暖められ、室温下で20時間撹拌され、得られた結晶は濾過され、固体は乾燥され52gのメチル(S)-2(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテートが得られた。収率:60%。各キラルHPLC当たりの(7aS,2'S)/(7aR,2’S)-異性体の比率:99.5:0.5.
以下に示す式IIA自由塩基の構造に対応するBRUKER 400MHz装置で収集された1H-NMR(DMSO-d6)スペクトルは表2に与えられる値を示した。
例3:メチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート硫酸水素塩の調合
4つ首丸底フラスコ中に窒素雰囲気下で、1750mlのアセトン、70gのメチル(S)-2(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート異性体混合物((7aS,2'S)/(7aR,2’S)-異性体の比率=51.42:47.48)が添加された。それは約5℃で冷却され、20.8gの硫酸がゆっくりと添加された。硫酸の添加後、約20℃から30℃で撹拌された。濾過され、減圧下で乾燥され、84gのメチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート硫酸水素塩が得られた。収率=93%、HPLCによる純度=99.5%、キラルHPLCによる異性体の比率=99.8:0.2。
以下に示す式IIA硫酸水素塩の構造に対応するBRUKER 400MHz装置で収集された1H-NMR(DMSO-d6)スペクトルは表3に与えられる値を示した。
例4:メチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテートベンゼンスルホン酸塩の調合
2.5gのメチル(S)-2(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート(異性体の混合物)を丸底フラスコに入れられた。約50から60℃でIPAを添加された。その後1.17gのベンゼンスルホン酸塩が添加された。表題の製品は選択的に結晶化され、冷却され、室温で維持され、濾過され、真空下で結晶が乾燥され、3.2gの製品を得た。
薬理学と毒物学
以下に報告される薬理学的および毒物学的結果は毒性と耐性およびそれらの活動の双方の観点から、特に血小板抑制と血栓性凝集についての本発明の組成の性質を論証している。
毒物学的研究
本発明の組成は優れた耐性と低い毒性を論証している。さらに様々な種の動物において急性、慢性、亜慢性、後発性の毒性について試験が実施され、これらの実験の間に実施された生化学的、巨視的、微視的試験においていかなる局所的または一般的反応、障害または不具合は論証されていない。
薬理学的研究
本発明組成の血小板凝集抑制活動および毒性は文献(カーディナル、D.Cおよびフラワー、R.J(1980年)J.Pharm. Meth.3巻、pp135-158;インガーマン−ウォジェンスキーら、(1983年)血栓止血、51巻、pp154-156)に報告される標準の手続きによりクロピドグレルと比較された。
化合物の血小板凝集抑制活動および抗血栓性活動は標準的方法によりラットで研究された。
ADPによる血小板凝集の測定
ADPまたはコラーゲンにより誘発される血小板の凝集活動は体外で決定された。
5%のガムアラビカ水溶液に製品を懸濁液として250-300gのSDを患う6匹のオスのラットの群に経口で投与された。投与の4時間後に2mlの血液がヘパリン処理されたチューブに眼窩後副鼻洞の穴から採取された。0.5mlの抗凝固剤処置された血液が同量の等張性生理食塩水溶液で希釈され、37℃で10分間培養された。培養された全血液に対して10μMのADPが添加され、血小板凝集に影響するインピーダンス(Ω)の変化がクロノログ全血血小板凝集計(型式592、クロノログコープ、米国)で8分間記録された。血小板凝集抑制の割合は溶媒対照群を100%として次の式により計算される。
ADPにより凝集の得られた結果は表4に示される。それらは式IIAの分子の活動を論証しており、クロピドグレルよりも非常に優れている。
抗血栓症活動
抗血栓症活動はFeCl3により誘発された動脈血栓症モデルで、ウィリアムA.シューマッハら、2007年(薬理学および実験治療学ジャーナル、322(1):369-377)およびタカオタナカら、2000年(薬理学欧州ジャーナル、401:413-418)で報告される標準的手続きに従って研究されている。
製品はDMSO(1mg/ml)中で溶解され、PEG/水(比:DMSO:PEG:水=5:50:45)で希釈され、一晩の断食後、250-300gの体重のSDを患う8匹のオスのラットの群に経口により投与された。投与1時間後、ラットはケタミン(100mg/kg;i.p)、キシラジン(10mg/kg;i.p.)で麻酔をかけられ、熱したパッドの上に置かれた。ラットの気管および肩の部位の無菌処理の後、気管領域の正中切開がなされ、総頸動脈を露わにするために率直な解剖がなされた。約2cmの総頸動脈が結合組織、頸静脈、迷走神経から自由にされ、~3mmのフィルター紙が30%FeCl3に手短に浸され動脈の周りに10分間置かれた。フィルター紙の除去から15分後動脈は単離され安楽死させられた。発展した血栓は取り出した動脈から削り出され24時間乾燥のため保持された。血栓の湿潤および乾燥時の重量は記録され、体重kg当たりの血栓重量mgとして表示された。%血栓形成抑制は以下の式を用いて計算される。
表5に示される結果は式IIAの(7aS,2’S)-2-オキソクロピドグレルはチオラクトン代謝物質の活性異性体であり、クロピドグレルよりも優れていることを示す。

Claims (23)

  1. 実質的に純粋な式IIAの化合物、またはその塩:
    (ここで、アスタリスクは(S,S)絶対立体化学的構造を持つキラル炭素中心を意味する)。
  2. 前記化合物が、他の式IIBのキラル異性体並びに式VIおよび/またはVIIの構造的異性体を実質的に含まず単離されている、請求項1に記載の化合物:
    (ここでアスタリスクはキラル炭素中心を意味する)。
  3. 前記他の式IIB、VI、またはVIIの異性体が、個々にまたは累積的に10重量%未満である、請求項2に記載の式IIAの化合物。
  4. 前記他の式IIB、VI、および/またはVIIの異性体が、3重量%未満である、請求項2に記載の式IIAの化合物。
  5. 前記他の式IIB、VI、および/またはVIIの異性体が、1.0重量%未満である、請求項2に記載の式IIAの化合物。
  6. 前記塩が、硫酸水素塩、メタンスルホン酸塩、およびベンゼンスルホン酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の式IIAの化合物。
  7. 異性体的に純粋に単離されたメチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテートまたはその塩、溶媒和物、錯体。
  8. メチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート硫酸水素塩。
  9. メチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテートメタンスルホン酸塩。
  10. メチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテートベンゼンスルホン酸塩。
  11. メチル(7aS,2’S)/(7aR,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート塩化水素。
  12. 式IIAの単離された化合物またはその医薬的に許容できる塩を含み、任意選択で医薬用賦形剤を含む、医薬組成物。
  13. 前記式IIAの化合物が、メチル(7aS,2’S)-2-(2-クロロフェニル)-2-(2,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロチエノ[3,2-c]-5-ピリジン-2-オン)アセテート硫酸水素塩である、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 請求項1に記載の式IIAの化合物またはその塩と、第二の抗血小板/心血管治療薬とから構成される、医薬的組み合わせ。
  15. 前記抗血小板/心血管治療薬が、アスピリン、シロスタゾール、およびジピリダモールからなる群から選択される、請求項14に記載の組み合わせ。
  16. 請求項1に記載の式IIAの化合物またはその塩と、胃のpH調整剤とから構成される、医薬的組み合わせ。
  17. 前記胃のpH調整剤が、プロトンポンプ阻害剤およびラニチジンから選択される、請求項16に記載の組み合わせ。
  18. (7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩の有効量の投与を含み、少なくとも式IVのクロピドグレル代謝物質に関連する副作用を避けまたは軽減しつつ、血栓症および/または塞栓症の治療を必要とする患者における血栓症および/または塞栓症の治療および/または予防方法。
  19. (7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩の有効量の投与を含み、少なくとも式IVの不活性なクロピドグレル代謝物質に関連する副作用を避けまたは軽減しつつ、血栓症および/または塞栓症の治療を必要とする人における血栓症および/または塞栓症の治療および/または予防のための生体内に活性なクロピドグレル代謝物質をもたらすための改良された方法。
  20. (7aS,2’S)-2-オキソ-クロピドグレルまたはその医薬的に許容できる塩の有効量の投与を含み、血栓症および/または塞栓症の治療および/または予防において、クロピドグレルの用量の投与後に観察される、個人間の血小板反応の変動性および代謝負荷を最小にする方法。
  21. 前記個人間の変動性が、CYP450アイソフォームおよびそれらの様々な形態の発現による、請求項20に記載の方法。
  22. 前記CYP450アイソフォームが、CYP2C19*2対立因子またはCYP2C19*17対立因子である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記個人間の変動性が、p-糖タンパク質排出輸送による、請求項20に記載の方法。
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