JP2009519284A - ポリアニオンを伴うクロピドグレルの塩、および医薬製剤製造のためのその使用 - Google Patents

ポリアニオンを伴うクロピドグレルの塩、および医薬製剤製造のためのその使用 Download PDF

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Abstract

【解決手段】ポリアニオンを伴う活性成分クロピドグレルの塩が記載される。この塩は、大部分が非晶形であり、ポリアニオンは少なくとも4つの陰性電荷を有するが、好ましくは7つを超え、特に好ましくは10を超える電荷を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、活性成分クロピドグレルの塩、およびその製造方法および医薬製剤におけるその使用に関する。
クロピドグレル((+)-(S)-α-(2-クロロフェニル)-6,7-ジヒドロチエノ[3,2-c]ピリジン-5(4)-酢酸メチル)(図1)は、欧州特許EP-A-0 099 802号および米国特許US 4 529 596号に活性成分として開示されている。クロピドグレルは、血小板凝集の阻害剤として作用するため、例えば発作または心筋梗塞等の血栓塞栓事象の予防に好ましく使用されている。
欧州特許EP-A-0 281 459号において、クロピドグレルを無機塩の形態、特に結晶性硫酸水素塩として使用することが提案されている。またこの書類では、クロピドグレルのさらなる塩が開示されているが、一部の例では非晶性塩および/または吸湿性塩として記載されていることから、これらの塩は精製が難しく、医薬目的の製剤化は厳しい。
欧州特許EP 1 480 985 B1号によれば、大部分が医薬製剤に使用される硫酸水素クロピドグレルは、酸性プロトンのため高い酸強度を有し、賦形剤との適合性を低下させる。この特許では、国際特許WO 2004/072085 A2号および欧州特許EP 1415993 A1号と同様、実質的に結晶性化合物を形成し、容易に精製することが可能な、一価の有機アルキル−およびアリールスルホン酸の塩を形成するための使用が提案される。これらの塩は、ジオキサン、トルエン等の有機溶媒中で製造される。精製に求められる結晶化度は、塩がしばしば吸着される溶媒残留物を溶媒和物と含む場合は、特に顕著である。
結晶性硫酸水素クロピドグレルおよび結晶性有機アルカリ−またはアリールスルホン酸塩の不利点は、溶解性が低いことと、溶解速度が遅いことである。従って、米国特許US 6,284,277号および国際特許WO 2004/026879号には、マンニトールまたはアラニン等の低分子、またはポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース等の非荷電ポリマー(国際特許WO 2004/026879号)の存在下、結晶性硫酸水素クロピドグレルを凍結乾燥することによって、結晶形態の硫酸水素クロピドグレルより溶解性が向上した硫酸水素クロピドグレルの非晶性製剤の製造が開示されている。しかし、強酸性の硫酸水素塩が残るため、賦形剤に対して悪影響を及ぼすであろう。例えば、ポリエチレングリコールは、酸性条件下で急速に分解する。
驚くべきことに、欧州特許EP-A-0 281 459号、国際特許WO 2004/072085 A2号、欧州特許EP 1415993 A1号、欧州特許EP 1 480 985 B1号の開示に反して、我々の研究において、クロピドグレルもまたポリアニオンと共に、活性成分の経口医薬製剤の製造に好適な、安定で実質的に非晶性塩を形成することが分かった。ポリアニオンは、例えば、カラギーナン、ポリスチレンスルホン酸(PSS)またはポリビニルリン酸であり得る。
従って、本発明の態様は、ポリアニオンを伴うクロピドグレルの塩に関する。別の態様は、医薬製剤におけるこれらの塩の使用に関する。また、さらなる態様は、例えば塩酸塩等の一価のクロピドグレル塩と共に該クロピドグレル−ポリアニオン塩より析出し得る、安定な混合塩に関する。これらの化合物におけるポリアニオン塩の含量は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%であるべきであり、40%を超えることが有利である。加えて、本発明のさらなる態様は、好ましくは酸性水溶液からの析出を含む、クロピドグレル−ポリアニオン塩の製造方法に関する。
好ましくは、クロピドグレルのポリアニオン塩は、安定で非吸湿性である。さらに、塩は、好ましくはクロピドグレルの含量が多く、余計な水素イオンの含量が少ない。さらには、塩は工業的規模で製造され得る。さらに、塩は、概して、消化管において容易かつ迅速に溶解する。特に医薬用途には、クロピドグレルの安定で非吸湿性のポリアニオン塩が好ましい。
クロピドグレルは、2つの異性体のラセミ混合物として、および純粋な異性体としてのいずれでも使用し得るが、より活性が高いことから、(S)-(+)-異性体が好ましい。
ポリアニオンは、分子量が好ましくは500g/molを超え、1分子当り少なくとも4つの負電荷単位、好ましくは7を超え、特に好ましくは10を超える電荷を有する、高分子化合物である。アニオン電荷は、好ましくは、例えば、有機硫酸基、スルホン酸基またはリン酸基、およびいくつかのカルボン酸基が知られている、pKa値が3.5未満の酸性基によって達成される。一方、このような特性を有することが知られているポリアニオンは、例えば、カラギーナン、硫酸コンドロイチン、ヘパリン、硫酸デキストラン、スルホエチルセルロース、DNA等の、自然発生化合物およびその修飾物である。例えば、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアネトールスルホン酸塩、硫酸ポリビニル、スルホン酸ポリビニル、ポリリン酸、リン酸ポリビニル等の、合成ポリアニオンはさらに好適である。ヘパリン、ポリアネトールスルホン酸塩と、またはDNAとの塩を形成することにより、これまでのクロピドグレルの経口使用とは対照的に、非経口処方(ある環境において持続性製品として)も可能な、組み合わせ製品を製造することが可能になる。
これまで記載された結晶性塩と対照的に、製造されるポリ塩は部分的に非晶性であり、好ましくは実質的または大部分非晶性または完全に非晶性であることから、純粋な結晶性塩より良好な溶解速度が達成される。それにもかかわらず、実施例に記載する通り、ポリアニオン塩は容易に精製され、高純度で製造され得る。また、ポリアニオン塩は、例えば塩酸塩等の一価のアニオンとの混合塩としても製造され得、従って、
1.例えば塩酸塩等の、無機塩の安定化を達成し、
2.全組成物中の活性成分の含量を高くし、
3.実質的に非晶性の性質が保持される間、溶解度の低下は極僅かである。
製造されるポリアニオン塩は、クロピドグレル硫酸水素塩(HSO4 -)と比較して、殆ど遊離H+イオンを含まないので、酸性度は極めて低く、賦形剤または体に対する有害な副作用を回避することが可能である。
驚くべきことに、所望のクロピドグレル−ポリアミン塩は、クロピドグレルの易溶性の塩の溶液を低pH範囲でポリアニオン水溶液に添加すると、容易に析出し得ることを発見した。析出物は、遠心分離または濾過により容易に除去し得る。出発物質として使用される易溶性のクロピドグレル塩は、好ましくは、硫酸水素クロピドグレル、臭化水素酸塩または特に易溶性の塩酸塩のような、無機アニオンを有する。追加または任意の凍結乾燥工程を、その後の、例えば洗浄による置換アニオンの任意の除去と共に、実施し得る。
また、これらの出発物質は、ポリアニオンとの反応の前に、特に以下の3方法により、遊離クロピドグレル塩基よりその場で製造され得る:
a)樹脂状のクロピドグレル塩基をメタノールに溶解し、HCl溶液と反応させ、メタノールを留去する。
b)樹脂状のクロピドグレル塩基をクロピドグレル液滴の分散液と共にHCl中に溶解する
c)クロピドグレル塩基を、例えば、クロロホルム、ジエチルエーテルまたは酢酸エチル等の水と非混和性の有機溶媒中に抽出し、その後、塩酸中の好適なポリアニオンの溶液と共に振とうする。
一価のアニオンを用いた製造方法と対照的に、等モル比のクロピドグレルとアニオンの代わりに、明らかに過剰量のクロピドグレルを用いることは有益であることがわかった。これは、一方で析出塩の収率を劇的に増加させ、他方で、ポリマーの負荷を増し、クロピドグレル/ポリアニオン比を向上させる。
クロピドグレル−ポリアニオン塩の析出を、以下のいくつかの実施例に記載し、以下の図に示す。
好ましい態様の詳細な説明
サンプルの分析的特性
紫外可視分光法(ヴァリアン(Varian)、キャリ(Cary)50)を、製造した化合物の定性および定量的特性解析に使用したところ、水中のクロピドグレルH+について、250-285nmの領域(図2)に、以下の紫外可視ピークを有する、特徴的なスペクトルを得る
λmax = 271 nm ε = 680 L/mol × cm
λmax = 278 nm ε = 603 L/mol × cm
λmax = 301 nm ε = 105 L/mol × cm
λmax = 342 nm ε = 46 L/mol × cm
製造した化合物におけるクロピドグレルとポリアニオンとの比を、CHN分析によってさらに確認した。クロピドグレル−ポリアニオン塩の溶解速度および溶解度を、0.05M HCl中、紫外可視分光法で定量した。STOE STADI P透過回折計、Cu K α1 放射線(1.5406 A)を用いて、粉体サンプルに対して、結晶/非晶比についてのX線による研究を実施した。
実施例1:
クロピドグレルHBrからのクロピドグレル−PSSの製造
804mg(2mmol)のクロピドグレルHBrを、20mLの0.2M HClに溶解する。この溶液に、攪拌下、ポリスチレンスルホン酸(PSS)のナトリウム塩の0.1モノモル溶液(モノマー基準のモル数)10mlを添加する。溶液を攪拌下5℃に冷却した後、析出物を遠心分離で除去する。析出物を各回1mLの0.05M HClで3回洗浄した後、真空乾燥する。
収率: 理論値:505mg, 実測値 230mg = 46%
活性成分負荷:1.77mgの生成物を2mlの0.05M HCl(0.885 g/L)に溶解し、紫外可視スペクトルを記録することによって、活性成分の負荷を分析した。271nmにおける消光は、E = 1.628であり、PSSの消光ε271 = 330 L/mol×cmおよびクロピドグレルの消光ε271 = 680 L/mol×cmを含み、ε271 = 1010 L/mol×cmである。これにより、負荷における第一近似は、生成物中、クロピドグレル58.5% m/m(1:1の生成物について、Mw = 505 g/mol)となり、これは理論的に達成可能な63%を幾分下回る。二回目の分析では57.9%であった。これは、PSS基の92%がクロピドグレルと共に負荷されることを意味する。
元素分析:出発物質および製造された化合物の元素分析により、表1に示す値が得られるが、理論的PSS組成物を使用して、化合物を計算し、生成組成物においてPSSとクロピドグレルの1:1負荷率を推定している:
表1:出発物質および製造された化合物における元素の構成比
分子量:クロピドグレル臭化水素酸塩 402 g/mol、PSS (モノマーユニット) 206 g/mol、クロピドグレル-PSS 505.45 g/mol
元素分析により、所望の生成物であるクロピドグレル-PSSの組成物を確認する。同様に、幾分低負荷量の分光学的結果が確認されるが、これは、炭素含量および硫黄含量が、100%クロピドグレル負荷の場合に予測される量より僅かに少ないためである。
溶解度
化合物の溶解度を、各回20 mgを500μLの0.05M HClで負荷し、攪拌下25℃で48時間インキュベートして測定した。析出物を充分に遠沈し、上澄を0.05M HClで希釈し、スペクトルを記録した。化合物のg/Lにおける溶解度Lを消光より測定した。
LclopiPSS = 0.0195 mol/L = 9.9 g/L
溶解速度
溶解速度を、0.05M HCl溶液(pH 1.3)中、25℃で測定した。この目的のため、乳鉢で粉末にした一定量のクロピドグレル塩を、4 mLの石英のキュベット中に秤量し、マグネチックスターラーと共に紫外可視分光計にセットした。時間:t0 = 0sにおいて、2 mLの0.05M HClを添加し、271 nmにおける消光の増加を追跡した。t(における溶解が完了した時点の消光を、20時間攪拌し、サンプルを50℃で短時間過熱した後に測定した。図3aは、溶解速度、および溶解完了時の値(点線)を示す。25℃で20分後、83%のクロピドグレル-PSS化合物が遊離する。
実施例2
クロピドグレル塩基からのクロピドグレル−カラギーナンの製造(方法(a)、上記参照)
6.42 gのクロピドグレル(20 mmol)を、100 mLのメタノールに室温で溶解する。そこに、200 mLの0.2M HCl(40 mmol)を添加する。透明な溶液を、ロータリーエバポレータで約120 mLまで濃縮し、再び水で150 mLとした。pH 0.67の透明な0.133Mクロピドグレル塩酸塩溶液を得る。この溶液90 mL(12 mmol)を、60 mLのIV型λ−カラギーナン(シグマ−アルドリッチ)の0.1M溶液(6 mmol)に、室温で強攪拌下、添加した。溶液を、攪拌下、5℃に冷却し、析出物を濾別する。析出物を、各回24 mLの0.05M HClで再懸濁し、濾過することによって、3回洗浄する。その後、析出物を真空乾燥した。
収率:理論値:3324 mg、実測値2042 mg = 61.4%
活性成分負荷:活性成分負荷を、実施例1と同様に、2回測定したところ、それぞれ57.26および57.19%であり、即ち、57.9%の理論値の98%であった。
元素分析:出発物質および製造された化合物の元素分析により、表2に示す値が得られる。カラギーナンについての測定値は、式より得られる値とは明らかに異なる。測定したカラギーナン組成物は、クロピドグレル−カラギーナン塩の理論値の計算に使用した。生成組成物は、カラギーナンとクロピドグレルの1:1電荷比であると推定された。
表2:出発物質および製造された化合物における元素の構成比
分子量:クロピドグレル塩 321 g/mol、カラギーナン(モノマーユニット) 256 g/mol、クロピドグレル-カラギーナン 554 g/mol
元素分析は、予想した組成物と幾分異なるが、天然物であるカラギーナンの不均一組成物によって説明可能であると思われる。
溶解度
実施例1と同様に溶解度を測定したところ、25℃での0.05M HCl中で
Lclopicarra = 0.0634 mol/L = 35.1 g/L
である。
溶解速度
実施例1と同様に、溶解速度を測定した。図3bは、溶解速度、および溶解完了時の値(点線)を示す。25℃で20分後、99%のクロピドグレル−カラギーナン化合物が遊離する。生成物は非常に迅速に溶解し、溶解は、ほんの数分後に、実質的には100%完了する。
実施例3
クロピドグレル塩基からのクロピドグレル−カラギーナン/HCl混合塩の製造(方法(b)、上記参照)
3.21 gのクロピドグレル塩基(10 mmol)を、激しい攪拌と超音波によって、50 mLの2M HCl(100 mmol)に溶解する。低濃度のHClと対照的に、1分間未満での溶解が可能である。次に、溶液を、激しく攪拌しながら、4 mLの10M NaOH(90 mmol)でpHを約0に調整し、100 mLの0.05M λ−カラギーナン水溶液(5 mmol)に添加する。10M NaOHを添加してpHを1に上げ、溶液を攪拌しながら5℃に冷却する。析出物を遠沈し、各回12 mLの0.05M HClで3回洗浄した後、真空乾燥する。
収率:理論値:2770 mg、実測値1620 mg = 58.5%
活性成分負荷:活性成分負荷を、実施例1と同様に、2回測定したところ、それぞれ72.26および74.1%であり、即ち、純クロピドグレル−カラギーナン塩の57.9%負荷に対して理論値の126%であった。この差は、以下の元素分析で示す通り、クロピドグレル塩酸塩との混合塩の形成に起因する。純クロピドグレル塩酸塩は、水溶液から自然に単離することはできず、文献には非常に吸湿性が高いことが記載されている。負荷からカラギーナンアニオンと塩化物アニオンとの比を計算すると(100%カラギーナン塩=57.9%負荷;100%塩化物塩=89.9%負荷)、カラギーナン:塩化物比=1.13である。
元素分析:製造した化合物の元素分析により、混合塩である根拠が提供された。元素分析によって測定されたカラギーナン組成物は、クロピドグレル−カラギーナン塩の理論値の計算に使用した。生成組成物は、カラギーナンとクロピドグレルの電荷比が1:1であると推定された(表3)。
表3:製造された化合物における元素の構成比
元素分析は、塩化物混合塩の形成によって、予想した組成物と明らかに異なる。特に、塩素の高値および炭素含量と塩素含量との割合が混合塩の形成を裏付け、後者は特異的に負荷に由来するカラギーナンアニオンと塩化物アニオンとの割合によく一致する。
溶解度
実施例1と同様に溶解度を測定した。25℃での0.05M HCl中でLclopicarra/HCl = 0.026 mol/L = 14.4 g/Lである。これは、純粋な単塩の溶解度より明らかに低く、従って、低pHにおけるこの混合塩の優先的形成が説明される。
溶解速度
実施例1と同様に、溶解速度を測定した。図3cは、溶解速度、および溶解完了時の値(点線)を示す。クロピドグレル-カラギーナン/HCl混合塩は、純カラギーナン塩より実質的に溶解性が劣る。25℃で20分後、89.5%のみのクロピドグレル−カラギーナン化合物が遊離する。
実施例4
クロピドグレル硫酸水素塩からの硫酸クロピドグレル−デキストランの製造(方法c)
0.418 gのクロピドグレル硫酸水素塩(1 mmol)を30 mLの水に溶解し、分液漏斗中50%酢酸エチルと50%ジエチルエーテルの混合物の層で覆う。そこに3.5 mLの10M NaOHを添加し、長時間振とうする。初め曇っていた水相が実質的に透明になった後、水相を分離する。有機相を20 mLの水で一度洗浄する。その後、5 mLの0.1M硫酸デキストラン溶液および5 mLの0.3M HClを添加し、長時間振とうする。白色の析出物が水相に析出する。有機相を除去後、析出物を塩沈し、0.05M HClで3回洗浄して、真空乾燥する。
分子量:Mw = 617 g/mol
収率:理論値:308.5 mg、実測値212 mg = 68.7%
活性成分負荷:活性成分負荷を、実施例1と同様に、2回測定したところ、それぞれ59.2および60.7%であった。これは、製造元(シグマ)が示した硫酸塩含量から予測された値より幾分多い。この化合物および以下の化合物について、溶解度および百分率クロピドグレル含量のみ測定した。
溶解度
実施例1と同様に溶解度を測定した。25℃での0.05M HCl中でLclopidextran sulphate = 0.019 mol/L = 11.7 g/Lである。これは、純粋な単塩の溶解度より明らかに低く、従って、低pHでのこの混合塩の優先的形成が説明される。
実施例5:
クロピドグレル塩基からのクロピドグレル−ヘパリンの製造(方法a)
実施例2と同様に、より小ロットで、塩(Mw = 584 g/mol)を製造した。収率は22%であり、活性成分負荷は53.4%と測定されたが、これはほぼ理論値(54.9%)に相当する。0.05M HCl中の溶解度はLclopiheparin = 0.084 mol/L = 49.1 g/Lである。
実施例6:
クロピドグレル塩基からの硫酸クロピドグレル−コンドロイチンの製造(方法a)
実施例2と同様に、より小ロットで、塩(Mw = 530 g/mol)を製造した。しかし、この場合は、析出物は分離しかった。従って、溶液を凍結乾燥し、得られた固体を3回洗浄してNaClを除去した。収率は15%であり、活性成分負荷は51.7%と測定された(理論値60.6%)。活性成分負荷が低いことは、おそらく著しく高い溶解度Lclopichondroitin sulphate = 0.45 mol/L = 238 g/Lによって説明される。
実施例7:
クロピドグレル塩基からの硫酸クロピドグレル−ポリビニルの製造(方法a)
実施例6と同様に、塩(Mw = 443 g/mol)を製造した。ゼラチン様組成物が得られたが、凍結乾燥後には粉末も得られた。収率は35%であり、活性成分負荷は73.2%と測定された(硫酸基当り1つのクロピドグリルに対する理論値72.5%)。溶解度はLclopipolyvinyl phosphate = 0.22 mol/L = 97 g/Lであり、高度に希釈しても、不溶性の粒子が残る。
実施例8:
クロピドグレル塩基からのクロピドグレル−ポリビニルスルホン酸の製造(方法a)
実施例6と同様に、塩(Mw = 428 g/mol)を製造した。収率は19%であり、活性成分負荷は48%と測定された(理論値75%)。活性成分負荷が低いことは、おそらく、塩の溶解度が著しく高いことLclopipolyvinylsulphonate = 0.4 mol/L = 171 g/L、および、場合によりポリアニオンの疎水性が低いことによって、説明される。
化合物の結晶化度の分析
測定は、実施例1〜3によるサンプル、クロピドグレル-PSS、クロピドグレル−カラギーナン、クロピドグレル−カラギーナン/HCl、および、比較のため、クロピドグレル硫酸水素塩について、X線粉末回折計で実施した。図4は、対応するスペクトルを示す。クロピドグレル硫酸水素塩(緑;曲線(3))が実質的に結晶構造を示す一方、製造した全ての生成物に見られる構造は、実質的に非晶性である。完全に非晶性の特性を有するクロピドグレル-PSS(図中赤;曲線(2))と非常に弱い構造を有するクロピドグレル−カラギーナン(曲線(4))と幾分より顕著な構造を有するクロピドグレル−カラギーナン/HClとの間にはなお、わずかな漸次的変化があるが、やはり実質的に非晶性である。
図1は、活性成分クロピドグレルの構造およびクロピドグレル−ポリアニオン塩の製造のための反応スキームである。 図2は、水中、pH1.2での、種々の濃度のクロピドグレル塩酸塩の吸収スペクトルである(実線の曲線(2):0.015Mおよび破線の曲線(1):0.0015M)。 図3は、0.05M HCl中、25℃での、塩からのクロピドグレルの遊離プロット(実線)、および完全に溶解した際の最高値(破線)である。3a)クロピドグレル-PSSからのクロピドグレルの遊離 図3は、0.05M HCl中、25℃での、塩からのクロピドグレルの遊離プロット(実線)、および完全に溶解した際の最高値(破線)である。3b)クロピドグレル−カラギーナンからのクロピドグレルの遊離 図3は、0.05M HCl中、25℃での、塩からのクロピドグレルの遊離プロット(実線)、および完全に溶解した際の最高値(破線)である。3c)クロピドグレル−カラギーナン/HCl混合塩からのクロピドグレルの遊離 図4は、製造したクロピドグレル−ポリアニオン化合物の粉末回折図である。

Claims (9)

  1. ポリアニオンを伴う活性成分クロピドグレルの塩であって、塩が実質的または大部分は非晶形であり、かつ、ポリアニオンが少なくとも4つの負電荷を有するが、好ましくは7より多く、極特別に好ましくは10より多い電荷を有する、塩。
  2. 請求項1に記載の、有機ポリアニオンを伴う活性成分クロピドグレルの塩であって、電荷キャリアとして、硫酸基、スルホン酸基またはリン酸基を有する、塩。
  3. 請求項1または2に記載の塩であって、ポリアニオンが、全てのタイプのカラギーナン、硫酸コンドロイチン、硫酸アルギン酸、硫酸デキストリン、スルホエチルセルロースおよびヘパリンを含む、塩。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の塩であって、ポリアニオンが、好ましくは、例えばポリスチレンスルホン酸塩、ポリアネトールスルホン酸塩、硫酸ポリビニル、リン酸ポリビニル等を含む、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基またはホスホン酸基を伴う合成ポリマーである、塩。
  5. ポリアニオンであるヘパリンまたはDNAを伴う請求項1〜3のいずれかに記載の塩であって、組み合わせの製品となり得る、塩。
  6. 請求項1〜5に記載の塩と一価のクロピドグレル塩とからなる混合塩であって、ポリアニオン塩の含量が少なくとも10%、好ましくは30%を超える、混合塩。
  7. 請求項1〜6に記載の塩の製造方法であって、塩を、ポリアニオンの水溶液を用いて易溶性のクロピドグレル塩のほぼ水溶液より析出させる、方法。
  8. 請求項1〜6に記載の塩の、医薬製剤を製造するための使用。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の塩を含む、医薬製剤。
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