JP2001026477A - 誘電体ペーストならびにそれを用いたディスプレイ用部材およびその製造方法 - Google Patents

誘電体ペーストならびにそれを用いたディスプレイ用部材およびその製造方法

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JP2001026477A
JP2001026477A JP2000117556A JP2000117556A JP2001026477A JP 2001026477 A JP2001026477 A JP 2001026477A JP 2000117556 A JP2000117556 A JP 2000117556A JP 2000117556 A JP2000117556 A JP 2000117556A JP 2001026477 A JP2001026477 A JP 2001026477A
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JP2000117556A
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Akihiko Tanaka
明彦 田中
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Kazuharu Shimizu
一治 清水
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Toray Industries Inc
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  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】誘電体層および隔壁層を形成し、同時に焼成す
る場合に生じる誘電体層の亀裂や剥離を解消できる誘電
体ペーストならびにそれを用いたディスプレイ用部材お
よびその製造方法。 【解決手段】ディスプレイ用部材の製造に用いる誘電体
ペーストであって、熱により硬化することを特徴とする
誘電体ペーストによって達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体ペーストお
よびそれを用いた誘電体層上に高精細の隔壁層を歩留ま
りよく形成したディスプレイ用部材の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】大きく重いブラウン管に代わる画像形成
装置として、軽く、薄型のいわゆるフラットディスプレ
イが注目されている。フラットディスプレイとして液晶
ディスプレイが盛んに開発されているが、これは画像が
暗い、視野角が狭いといった課題が残っている。この液
晶ディスプレイに代わるものとして自発光型の放電型デ
ィスプレイであるプラズマディスプレイパネルや電子放
出素子を用いた画像形成装置は、液晶ディスプレイに比
べて明るい画像が得られると共に、視野角が広い、さら
に大画面化、高精細化の要求に応えうることから、その
ニーズが高まりつつある。
【0003】電子放出素子には、熱電子放出素子と冷陰
極電子放出素子がある。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(FE型)、金属/絶縁層/金属型(MIM型)や表
面伝導型などがある。このような冷陰極電子源を用いた
画像形成装置は、それぞれのタイプの電子放出素子から
放出される電子ビームを蛍光体に照射して蛍光を発生さ
せることで画像を表示するものである。この装置におい
て、前面ガラス基板と背面ガラス基板にそれぞれの機能
を付与して用いるが、背面ガラス基板には、複数の電子
放出素子とそれらの素子の電極を接続するマトリックス
状の配線が設けられる。これらの配線は、電子放出素子
の電極部分で交差することになるので絶縁するための誘
電体層が設けられる。さらに両基板の間で耐大気圧支持
部材として隔壁が形成される。
【0004】プラズマディスプレイパネルの場合、それ
ぞれの機能を付与した前面板と背面板との間に設けられ
た放電空間内で対向する表示電極およびアドレス電極間
にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入され
ているガスから発生した紫外線を、放電空間内の蛍光体
にあてることにより表示を行うものである。前面板と背
面板にはそれぞれ電極が形成されているが、これらを被
覆する形で誘電体層が形成されている。さらに、背面ガ
ラス基板には、放電の広がりを一定領域に抑え、表示を
規定のセル内で行わせると同時に、かつ均一な放電空間
を確保するために隔壁が設けられている。
【0005】背面板のガラス基板上に形成する誘電体層
は、隔壁の剥がれや倒れを防ぐ効果を有することが知ら
れている。特に、隔壁を感光性ガラスペースト法で形成
する場合には、隔壁上部と下部の重合硬化の差に起因す
る剥がれが生じ易く、隔壁層形成のアンダーガラス層と
して、誘電体層を形成することは歩留まり向上に有効で
ある。
【0006】また、誘電体層と隔壁パターンを同時に焼
成する技術が、特開平7−57630に開示されてい
る。この同時焼成技術により、大幅な工程短縮が可能と
なる。また、焼成回数を減らすことで、ガラス基板の焼
成時の反りや割れをなくすことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の誘電体
ペーストを用いて同時焼成を行う場合には、乾燥時およ
び焼成時に発生する隔壁の収縮応力によって誘電体ペー
ストの塗布膜の亀裂や誘電体ペーストの塗布膜と基板と
の剥離などが発生したり、感光性ペースト法においては
隔壁パターンの現像時に誘電体ペーストの塗布膜まで溶
けてしまうという問題があった。またサンドブラスト法
においては、誘電体塗布膜が研磨剤により研削されてし
まうという問題があった。
【0008】そこで本発明は、誘電体層と隔壁層とを同
時に焼成する工程において生じる誘電体層の亀裂や剥離
を解消できる誘電体ペーストならびにそれを用いたディ
スプレイ用部材およびその製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ディ
スプレイ用部材の製造に用いる誘電体ペーストであっ
て、熱により硬化することを特徴とする誘電体ペースト
ある。
【0010】また本発明は、上記の誘電体ペーストを用
いて製造したことを特徴とするディスプレイ用部材であ
る。
【0011】また本発明は、誘電体ペーストを基板上に
塗布し、その塗布膜を熱により硬化し、その上に隔壁パ
ターンを形成した後に、誘電体ペースト塗布膜と隔壁パ
ターンとを同時に焼成する工程を含むことを特徴とする
ディスプレイ用部材の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明をプラズマディスプ
レイの作製手順に従って説明する。但し本発明はプラズ
マアドレス液晶ディスプレイならびに電子放出素子また
は有機電界発光素子を用いたディスプレイにおいても、
好ましく適用される。
【0013】プラズマディスプレイの背面板の基板に
は、通常、ソーダガラスや旭硝子社製のPD−200な
どの高歪み点ガラス基板を用いて製造されるものであ
る。ガラス基板上には、導電性金属により電極を形成す
る。導電性金属としては、銀、銅、クロム、アルミニウ
ム、ニッケル、金などを用いることができる。電極は幅
20〜200μmのストライプ状に形成される。
【0014】次に誘電体層の形成のために、基板上に誘
電体ペーストを塗布する。誘電体層は基板上に形成され
た電極を被覆して保護し絶縁する作用を有すると共に、
その上に形成される隔壁の形成性を改良する効果を有す
るものである。
【0015】本発明の誘電体ペーストは、熱により硬化
することを特徴とする。つまり、このような誘電体ペー
ストをディスプレイ用部材の誘電体層の形成に用いて予
め熱により硬化することにより、隔壁形成用ペーストの
塗布膜もしくは隔壁パターンの収縮による応力に耐え、
また感光性ペースト法による隔壁形成においては現像時
の溶剤にも耐性を有し、誘電体層と隔壁の同時焼成を歩
留まり良く実現できることを本発明者等は見出した。ま
たサンドブラスト法による隔壁形成においても誘電体ペ
ースト塗布膜を硬化させることにより、誘電体塗布膜が
研磨剤により研削されることを防ぐことができ、誘電体
層と隔壁の同時焼成を歩留まり良く実現できることを本
発明者等は見出した。
【0016】このような特徴を有する誘電体ペースト
は、例えば、誘電体ペースト中に、熱重合開始剤と不飽
和結合を有する有機成分とを含有させることにより好ま
しく達成することができる。これにより、不飽和結合の
開裂反応の連鎖によって重合または架橋反応を進行さ
せ、誘電体ペースト塗布膜の分子構造を3次元網目構造
を有するものに変化させることができる。
【0017】熱重合開始剤は、例えば熱により活性ラジ
カルとなり、炭素−炭素2重結合のような不飽和結合の
開裂反応を開始することができる。本発明で用いる熱重
合開始剤は、半減期10時間の温度が40〜130℃で
あるものが好ましく、60〜110℃がより好ましい。
半減期とは、一定温度における熱重合開始剤の分解速度
をあらわす指標で、元の熱重合開始剤が分解して、その
濃度が1/2になるまでに要する時間によって示され
る。その時間が10時間となる温度を半減期10時間の
温度とする。熱重合開始剤として適当な安定性と活性と
を有することが、ペーストの安定性を保持すると共に本
発明の目的に適した熱重合活性を示すために好ましい。
半減期10時間の温度を40℃以上とすることで、誘電
体ペーストの安定性を保持することができ、130℃以
下とすることで加熱に対する活性を十分に発揮すること
ができる。
【0018】このような熱重合開始剤は、有機過酸化
物、アゾ化合物から選ばれた少なくとも一種のラジカル
重合開始剤を好ましく選択することができる。これらの
化合物で上記の半減期10時間の温度が40〜130℃
を有するものとして具体例をあげると、有機過酸化物と
しては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ
−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エ
トキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキ
シイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−
エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(3−
メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネー
ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−
ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシピバレート、3,5,5−yトリメチルヘキサノイ
ルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカ
ノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、琥
珀酸パーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブ
チルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、m−ト
ルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、ベンゾイルパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシマレ
イン酸、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチル
パーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、
シクロヘキサンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)オクタン、t−ブチルパーオ
キシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−
ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレ
ート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、メ
チルエチルケトンパーオキサイド、α,α’−ビス(t
−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオ
キサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサ
イド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどが上げられ
る。アゾ化合物としては、2,2−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビスイソブチ
ロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニト
リル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カル
ボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチ
ル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イ
ソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル
−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒド
ロキシメチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビ
ス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチ
ル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−
メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミ
ド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−
2−メチルプロピオンアミド]2,2’−アゾビス(N
−ブチルーメチルプロピオンアミド)2,2’−アゾビ
ス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミ
ド)、2,2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミ
ダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライ
ド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2
−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−
アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−
イル)フ゜ロハ゜ン]ジサルフェートジハイドレイトなどが上
げられる。
【0019】不飽和結合を有する有機成分を導入するに
は例えば炭素−炭素2重結合を有するモノマー類を加え
ることが好ましく、また、重合体に炭素−炭素2重結合
を有する側鎖を導入するなどの方法を用いることも好ま
しい。誘電体ペーストに用いる有機成分としては、エチ
ルセルロース、メチルセルロース等に代表されるセルロ
ース系化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリ
レート、イソブチルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、イソブチルアクリレートなど
のアクリル系化合物等を用いることができる。また後述
する隔壁の形成には感光性ペースト法が好ましく採用さ
れるが、それに用いる感光性ペーストの有機成分として
は、2重結合を有する感光性モノマーや、側鎖に2重結
合を有する置換基を導入した感光性ポリマーもしくは感
光性オリゴマーを配合して用いることが多く、これらと
同じ有機成分を誘電体ペーストに用いることが、焼成の
際の脱バインダー性(分解によってバインダーが除去さ
れる際の特性)の点で最も好ましいと考えられる。
【0020】後述する通り、これに限定されるものでは
ないが、隔壁形成用感光性ペーストの有機成分として
は、側鎖にカルボン酸基や不飽和置換基を有するアクリ
ル系共重合体を用いることがパターン形成性や現像性の
点で好ましく、誘電体ペーストにも、この共重合体を適
用することが最も好ましい。また誘電体ペーストの有機
成分としてアクリル系樹脂を用いると、無機粉末の分散
のための媒体(バインダー)となり、ペーストを塗布す
る際に適度の粘度を示すなどペースト特性を調整する役
割も果たし、焼成の際には速やかに熱分解し揮散すると
いう利点もある。
【0021】アクリル系樹脂としては、アクリル酸また
はアクリル酸アルキル類およびメタクリル酸またはメタ
クリル酸アルキル類の単独または共重合体を用いること
が好ましく、ペーストに好ましい特性を与えるようにそ
の特性を選択することができるが、ポリアクリル酸、ポ
リメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル
酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸
エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸
ブチル、ポリメタクリル酸ヘキシルなどの単独重合体や
これらの重合体を構成するモノマーの組合せで得られる
共重合体などが好ましい。
【0022】また、誘電体ペースト中に熱により架橋反
応が進行する架橋剤を添加することによっても誘電体ペ
ースト塗布膜の硬化を好ましく達成することができる。
架橋剤としては有機シランおよび有機チタニウム、有機
ジルコニウム、有機アルミニウムなどの有機金属化合物
を用いることができる。ペーストの安定性のために常温
で安定な有機シラン、有機チタニウムを用いることが好
ましい。
【0023】このような有機シラン、有機金属化合物の
具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルアセト
キシシラン、トリエトキシメチルシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
ス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセチ
ルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ
トキシシラン、テトライソプロピルチタネート、テトラ
−n−ブチルチタネート、テトラキス(2−エチルヘキ
ソキシ)チタネート、テトラステアロイルチタネート、
ジヒドロキシ−ビス(ラクテート)チタン、チタンラク
テートアンモニウム塩、チタンアセチルアセトナート、
チタンオクチレングリコレート、ジプロポキシチタン−
ビス(ラクテート)、トリ−n−ブトキシチタンモノス
テアレート、ブチルチタネートダイマー、イソプロピル
トリステアロイルチタネート、テトライソプロピルビス
(ジオクチルホスファイト)チタネート、アルミニウム
イソプロピレート、アルミニウムアセチルアセトナー
ト、アルミニウムオキシドイソプロピレート、アルミニ
ウムオキシドオクテート、アルミニウムオキシドステア
レート、アルミニウムトリス(アセチルアセトナー
ト)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテー
ト)、オクチル酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニ
ル、ジルコニウム−n−プロピレート、ジルコニウム−
n−ブチレート、テトラ−n−ブトキシジルコニウム等
があげられる。また硬化成分として不飽和結合を有する
有機成分と有機シラン、有機金属化合物を併用すること
も有効である。
【0024】本発明の誘電体ペーストは、無機成分とし
て、ガラス転移点400〜550℃、軟化点450〜6
00℃である低融点ガラスを無機成分の50〜95重量
%と、フィラーを無機成分の5〜50重量%含有するこ
とが好ましい。誘電体層を形成する低融点ガラスのガラ
ス転移点を500℃以下、軟化点を600℃以下とする
ことで、高温焼成を必要とせず、焼成の際にガラス基板
に歪みを生じない。また、ガラス転移点を400℃以
上、軟化点を450℃以上とすることで、後工程の蛍光
体層の形成や封着の際に誘電体層に歪みを生じることが
なく、膜厚精度を保つこともできる。
【0025】誘電体ペーストに配合される無機粉末中の
低融点ガラスは、酸化物換算表記で、 酸化ビスマス 10〜85重量% 酸化珪素 3〜50重量% 酸化ホウ素 5〜40重量% 酸化亜鉛 4〜40重量% からなる組成を有するものが好ましい。この組成範囲で
あると520〜580℃でガラス基板上に焼き付けるこ
とができる誘電体ペーストが得られる。
【0026】ガラス粉末中の酸化ビスマスは、10〜8
5重量%の範囲で配合される。10重量%以上とするこ
とで、焼き付け温度や軟化点を制御する効果が現れる。
85重量%以下にすることによって、ガラスの耐熱温度
が低くなりすぎることが防止されるので、ガラス基板上
への焼き付けが適正に行われる。
【0027】酸化珪素は、3〜50重量%の範囲で配合
できるが、3重量%以上とすることにより、ガラス層の
緻密性、強度や安定性を向上させ、また熱膨張係数がガ
ラス基板の値と近いものとなり、従ってガラス基板との
ミスマッチを防止することができる。50重量%以下と
することによって、軟化点やガラス転移点が低くなり、
580℃以下でガラス基板上に緻密に焼き付けることが
できる。
【0028】酸化ホウ素は5〜40重量%の範囲で配合
することによって、電気絶縁性、強度、熱膨張係数、緻
密性などの電気、機械および熱的特性を向上することが
できる。50重量%以下とすることによってガラスの安
定性を保つことができる。
【0029】酸化亜鉛は4〜40重量%の範囲で添加さ
れるのが好ましい。4重量%以上にすることによって緻
密性向上の効果が現れ、40重量%以下にすることによ
って焼き付け温度が低くなり過ぎて制御できなくなるこ
とを防ぎ、また絶縁抵抗を保持することができる。
【0030】上記ガラス成分は、実質的にアルカリ金属
を含まないことが好ましい。というのは、誘電体層は多
くの場合、銀電極やガラス基板に接触して形成されるた
め、銀電極の銀イオンやガラス基板の成分とのイオン交
換反応に帰因する黄色化などの問題を防ぐためである。
実質的に含まないとは、具体的にはガラス成分中に、ア
ルカリ金属の合計含有量が0.5重量%以下であるこ
と、好ましくは、0.1重量%以下であることを意味す
る。
【0031】フィラーは、焼成時の収縮率を小さくし、
基板にかかる応力を低下させるなどの効果がある。フィ
ラー添加量を5重量%以上とすることで、焼成収縮率を
低くしたり、熱膨張係数を制御する効果が得られる。ま
た、フィラー添加量を50重量%以下とすることで、焼
成後の誘電体層の緻密性や強度を保つことが可能とな
り、同時に、クラック発生などの欠陥を防止することが
できる。
【0032】フィラーとして、軟化点650〜850℃
の高融点ガラス、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化
ケイ素、チタン酸バリウムおよび酸化ジルコニウムから
なる群から選ばれた少なくとも一種が好ましく用いられ
る。
【0033】さらに、本発明の誘電体ペーストは、導電
性粉末を無機成分の0.5〜10重量%含有することが
好ましい。AC型プラズマディスプレイパネルにおい
て、表示電極とアドレス電極間でプラズマ放電させると
空間電荷が発生し、その大部分が表示電極上に形成され
ている誘電体層上に蓄積される。この蓄積された電荷に
よる電圧で偶発的に放電が生じて画質を悪くするという
問題が起こる。このような画質の劣化の原因となる電荷
の蓄積を解消するために、誘電体層に導電性粉末を配合
し、蓄積電荷をリークさせることが有効である。導電性
粉末は、具体的には、クロムまたはニッケルから選んだ
金属粉末や酸化インジュウム、酸化スズ、酸化チタンな
どの金属酸化物に不純物を混入した半導体を使用するこ
とができる。導電性粉末の添加量は0.5〜10重量%
であることが好ましい。0.5重量%以上とすること
で、有効に電荷をリークすることができ、偶発放電を防
ぐことができる。10重量%以下とすることで、誘電体
層の緻密性を保持することができる。
【0034】誘電体ペーストは、有機成分に無機粉末を
混合・分散した様態を有するものであり、無機粉末を有
機成分の中に均一に混合・分散することが良好な塗布性
のために好ましく、このようなペーストを得るため、無
機粉末の平均粒径、最大粒径およびタップ密度などが適
正な範囲にあることが好ましい。
【0035】無機粉末の平均粒径は0.2〜1.5μ
m、最大粒径は10μm以下であり、タップ密度が0.
6g/cm3であることが好ましい。このような範囲の
粒度およびその分布、そして単位容積当たりの粉末質量
を有するものが、ペーストへの充填性および分散性が良
好であり、従って塗布性の優れたペーストが調製できる
ので、緻密で均一な塗布膜を得ることが可能になる。
【0036】粒径は、レーザ散乱・回折法で測定した値
であり、平均粒径は50%体積粒径、最大粒径は粒径の
最大値である。粒子の凝集力は表面積に依存するため、
平均粒径を0.2μm以上とすることで凝集性を抑え、
ペースト中での分散性がよくなり、緻密かつ均一な塗布
膜が得られる。また、1.5μm以下とすることで形成
された誘電体ペースト塗布膜の緻密性がよくなり、内部
にボイドなどが発生しない。また、塗布膜表面に不要な
凹凸も生じない。最大粒径を10μm以下にすること
も、内部でのボイド発生や表面の不要な凹凸の発生を防
止するために必要である。
【0037】無機粉末のタップ密度を0.6g/cm3
以上、好ましくは0.7g/cm3以上とすると、粉末
の充填性・分散性がよくなり、気泡や凝集物を生じにく
くなる。
【0038】誘電体層の厚みは、焼成後で4〜18μ
m、より好ましくは8〜15μmであることが均一で緻
密な誘電体層を形成するために好ましい。厚さを18μ
m以下とすることで、焼成の際の脱バインダー性が良好
となり、バインダーの残存に起因するクラックが生じな
い。またガラス基板にかかる応力も小さくなるので基板
が反るなどの問題も生じない。また、4μm以上とする
ことで平坦性で均一かつ緻密な誘電体層を形成すること
ができ、電極部分の凹凸によって誘電体層にクラックが
入るなどの問題が生じない。
【0039】基板上に誘電体ペーストを塗布した後に、
塗布膜を熱により硬化する。誘電体ペースト塗布膜の熱
による硬化は、隔壁を形成するための後の工程において
誘電体ペースト塗布膜が隔壁形成用ペーストの塗布膜も
しくは隔壁パターンの収縮による応力に耐え、また感光
性ペースト法における現像時の溶剤による溶解にも耐
え、誘電体層と隔壁の同時焼成を歩留まり良く実現する
うえで必要である。誘電体ペースト塗布膜を熱により硬
化する条件としては、120〜150℃で10〜30分
が適当であり、従って、誘電体ペーストを塗布した後に
上記の温度、時間で塗布膜の乾燥と硬化とを同時に行え
ば良い。熱による硬化には熱風乾燥機やIR乾燥機を用
いることができる。
【0040】次いで隔壁のパターンを形成する。隔壁の
パターン形成には、ペーストのスクリーン印刷を繰り返
すスクリーン印刷法やペーストの塗布膜上にレジストを
形成し、研磨剤により不要な部分を取り除き、最後にレ
ジストを剥離するサンドブラスト法、感光性ペーストを
塗布し、乾燥後に露光・現像する感光性ペースト法、ペ
ースト塗布膜を金型で加圧した後、金型を取り除いて隔
壁パターンを形成するプレス成型法等が用いられるが、
パターンの高精細化や工程の簡略化が可能である点か
ら、感光性ペースト法が特に好ましい。以下、感光性ペ
ースト法の手順に従って説明する。
【0041】隔壁用感光性ペーストは、次のような態様
のものが好ましい。
【0042】感光性有機成分は、露光に用いるエネルギ
ーを吸収して生起する光反応による変化を利用してパタ
ーンを形成するものである。これには、光の作用した部
分が溶剤に対して溶解するようになる光溶解型(ポジ
型)と光の作用した部分が溶媒に対して不溶になる光不
溶化型(ネガ型)が知られている。感光性の隔壁形成用
感光性ペーストに用いるのはいずれであってもよいが、
無機成分と混合して確固としたパターンを形成するに
は、重合および架橋反応などによって光硬化して溶剤に
不溶になる型の感光性成分を用いることが好ましい。
【0043】隔壁ペーストの感光性有機成分は、感光性
モノマと感光性または非感光性オリゴマもしくはポリマ
を主成分とし、光重合開始剤を含有するものである。
感光性モノマとしては、活性な炭素−炭素二重結合を有
する化合物が好ましく、官能基として、ビニル基、アリ
ル基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルア
ミド基を有する単官能および多官能化合物が応用され
る。特に多官能アクリレート化合物および/または多官
能メタクリレート化合物を有機成分中に10〜80重量
%含有させたものが好ましい。多官能アクリレート化合
物および/または多官能メタクリレート化合物には多様
な種類の化合物が開発されているので、それらから反応
性、屈折率などを考慮して選択することが可能である。
【0044】感光性有機成分として、光反応で形成され
る硬化物物性の向上やペーストの粘度の調整などの役割
を果たすと共に、未露光部の現像性をコントロールする
機能を果たす成分としてオリゴマもしくはポリマが加え
られる。これらのオリゴマもしくはポリマとしては、炭
素−炭素二重結合を有する化合物から選ばれた成分の重
合または共重合により得られた炭素連鎖の骨格を有する
ものが好ましい。特に、分子側鎖にカルボキシル基と不
飽和二重結合を有する重量平均分子量2000〜6万、
より好ましくは3000〜4万のオリゴマもしくはポリ
マが用いられるが、不飽和二重結合を導入するには、カ
ルボキシル基を側鎖に有するオリゴマましくはポリマ
に、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン
性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸
クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させると
よい。エチレン性不飽和基数は、反応条件により適宜選
択することができる。前記のオリゴマもしくはポリマの
酸価は、現像許容幅や未露光部の現像液に対する溶解性
の点から50〜160が、特に70〜140の範囲が好
ましい。
【0045】露光により光反応を開始するために、さら
に、光重合開始剤が好ましく添加される。本発明におい
て好ましい感光性モノマ、感光性オリゴマ、感光性ポリ
マの官能基は多くの場合ラジカル重合性であるため、そ
の場合、光重合開始剤もラジカル種を発生するものから
選んで用いられる。
【0046】また、場合によっては光重合開始剤の効果
を補助するために増感剤を加えることもある。
【0047】隔壁形成用感光性ペーストの含有する無機
粉末の熱特性は、誘電体ペーストの無機粉末の熱特性と
近似していることが好ましい。基板となるガラス板に悪
影響を与えることなく誘電体層形成と隔壁層形成との同
時焼成を実現するためである。、また下記するように1
00μm以上の厚さの隔壁ペースト塗布膜に高精細なパ
ターンを露光し、高アスペクト比のパターンを解像度高
く形成するためには、露光用の活性光線を塗布膜の最下
部まで出来るだけ直進的に透過させることが好ましい。
このため、隔壁形成用感光性ペーストに配合する無機粉
末は光透過性の高いものを選び、さらに、平均屈折率が
感光性有機成分のそれに近いことが好ましい。
【0048】隔壁形成用感光性ペーストの無機粉末の組
成としては、これに限定されるものでないが、下記組成
のガラス粉末から構成されていることが好ましい。すな
わち、酸化物換算表記で、 酸化リチウム 3〜15重量% 酸化珪素 10〜30重量% 酸化ホウ素 20〜40重量% 酸化バリウム 2〜15重量% 酸化アルミニウム 10〜25重量% の組成を有するものである。
【0049】隔壁パターンの形状保持性や精度の向上、
隔壁形成時の焼成収縮率を低下させるためにフィラーを
無機粉末に対し10〜50重量%添加することが好まし
い。ガラス粉末とフィラーからなる無機粉末中で、フィ
ラーを10重量%以上添加することにより、焼成収縮率
を低くしたり、熱膨張係数を制御することができ、隔壁
の形状保持性や精度が向上する。さらに、フィラーの添
加は、得られた隔壁の強度を維持する上で好ましい。一
方、フィラーの含有量を50重量%以下とすることで、
焼成後の隔壁の緻密性を維持し、隔壁の強度を保ち、剥
がれたり脱落するなどの欠陥を防ぐことができる。ま
た、隔壁中への微量水分の吸着や有機成分の残留を防
ぎ、従って放電特性の低下を防ぐことができる。フィラ
ーは、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、コーディエライト、ムライト、スピネルおよび高融
点ガラスの群から選ばれたすくなくとも一種を好ましく
用いることができる。
【0050】誘電体ペーストと同様に、隔壁形成用感光
性ペーストを構成する無機粉末にも、良好な塗布性を得
るための平均粒径、最大粒径およびタップ密度の好まし
い適正範囲が存在する。無機粉末の平均粒径は1.5〜
6μm、最大粒径は30μm以下が好ましい。平均粒径
を1.5μm以上とすることで粉末の凝集を抑え、ペー
スト中での分散性を良好なものとし、緻密な塗布膜が形
成でき、高精細なパターンを得ることができる。一方、
6μm以下とすることで、形成された隔壁の緻密性がよ
くなり、内部にボイドなどが発生することなく機械的強
度を向上させることができ、また内部の真空度を低下さ
せたりすることもない。さらに隔壁の表面に不要な凹凸
がなく、封着時に支障を生じることもなくなる。最大粒
径を30μm以下にすることも機械的強度や表面の不要
な凹凸を防止する上で有利である。タップ密度は0.6
g/cm3以上、より好ましくは0.7g/cm3以上と
することで、粉末の充填性・分散性をよくし、気泡や凝
集物を生じにくくし、光透過性が高く、優れたパターン
特性を示す隔壁形成用感光性ペーストを得ることができ
る。
【0051】感光性の隔壁形成用ペーストの無機粉末と
感光性有機成分との配合比率としては、60/40〜9
0/10(重量部)が好ましい。さらに、65/35〜
85/15(重量部)であることが焼成による収縮率の
点からも好ましい。
【0052】以上の感光性有機成分や無機粉末に加え、
必要に応じて感光性ペーストに紫外線吸収剤、重合禁止
剤、分散剤、安定剤などの添加剤を加えることもでき
る。
【0053】感光性ペーストの塗布は、スクリーン印刷
法、バーコーター法、ロールコータ法、ドクターブレー
ド法などの一般的な方法で行うことができる。塗布厚さ
は、所望の隔壁の高さとペーストの焼成による収縮率を
考慮して決めることができるが、通常好ましい隔壁の焼
成後の高さは60〜170μmであり、焼成収縮を考慮
すると塗布する隔壁ペースト塗布膜の厚さは100〜2
20μmあることが好ましい。
【0054】隔壁用感光性ペーストを塗布後に乾燥して
露光を行う。露光に使用される活性光線は、紫外線が最
も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高
圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが使用さ
れる。超高圧水銀灯を光源とした平行光線を用いる露光
機が一般的である。
【0055】露光後、露光部分と未露光部分の現像液に
対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、
浸漬法、スプレー法、ブラシ法などが用いられる。現像
液には、感光性の隔壁ペースト中の有機成分、特にオリ
ゴマもしくはポリマが溶解可能な溶液を用いるとよい。
本発明で好ましく使用されるカルボキシル基を側鎖に有
する感光性または非感光性オリゴマもしくはポリマは、
アルカリ水溶液で現像することができる。隔壁のパター
ニングは、焼成による収縮を考慮して行うとよいが、焼
成後の隔壁のサイズとしてはピッチ100〜250μ
m、高さ60〜170μm、幅15〜60μmを有する
ものが好ましく、主としてストライプ状に形成される
が、格子状を有する場合もある。
【0056】隔壁パターンを形成した後に、予め熱によ
り硬化した誘電体ペーストの塗布膜と隔壁パターンを同
時に焼成して、誘電体層と隔壁層を形成する。焼成雰囲
気や温度は、ペーストや基板の特性によって異なるが、
通常は空気中で焼成される。焼成炉としては、バッチ式
の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができ
る。バッチ式の焼成の場合、誘電体ペースト塗布膜の上
に隔壁パターンが形成されたガラス基板を室温から50
0℃程度まで数時間掛けてほぼ等速で昇温した後、さら
に焼成温度として設定された500〜580℃に30〜
40分間で上昇させて、15〜30分間保持して焼成を
行う。
【0057】焼成温度は用いるガラス基板のガラス転移
点より低いことが好ましいので自ずから上限が存在す
る。焼成温度を580℃以下、焼成時間を15〜30分
に設定することで、ダレなどの欠陥がない良好な隔壁を
得ることができる。
【0058】このようにして得られた隔壁に挟まれたセ
ル内に、赤、緑、青に発光する蛍光体ペーストを塗布し
てプラズマディスプレイ用パネルの背面板が構成され
る。
【0059】この背面板と前面板とを張り合わせた後、
封着、ガス封入し、駆動用ドライバーICを実装してプラ
ズマディスプレイが作製される。
【0060】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明
する。ただし、本発明はこれに限定されるものではな
い。なお、実施例中の濃度は断りのない場合は重量%で
ある。
【0061】(実施例1)125mm角のガラス基板
(旭硝子社製PD200)上に、感光性銀ペーストを用
いてストライプ状の線幅110μm、ピッチ55μm、
厚さ3μmの電極を形成した。その電極付きガラス基板
上の全面に下記の熱重合性誘電体ペーストをスクリーン
印刷法により塗布した。
【0062】誘電体ペーストの組成:ガラス粉末A70
重量部、フィラー(酸化ケイ素:日本アエロジル社のア
エロジル200)1重量部、導電体粉末(酸化チタン)
7重量部、アクリル系ポリマー(ダイセル化学製、サイ
クロマーP・ACA250)9重量部、モノマー(MG
P400)9重量部、熱重合開始剤(1,1−アゾビス
(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、半減期10
時間の温度は88℃)1重量部、分散剤(ノプコスーパ
ー092)0.3重量部、ゲル化防止剤(ベンゾトリア
ゾール)1.7重量部、レベリング剤1重量部。
【0063】ガラス粉末Aの組成と特性:酸化ビスマス
38%、酸化ケイ素6%、酸化ホウ素20%、酸化亜鉛
20%、酸化アルミニウム4%。ガラス転移点475
℃、軟化点515℃、熱膨張係数75×10-7/℃、密
度4.61g/cm3
【0064】ペーストは、これらの成分からなる混合物
を3本ローラー混練機で混練して作製した。導電性粉末
として混入された酸化チタンはフィラー成分としての役
割も有する。誘電体ペーストを塗布した後、150℃で
10分間熱重合を行った。
【0065】次に隔壁形成用の感光性ペーストを用いて
隔壁パターンの形成を行った。上記の誘電体ペースト膜
を熱重合した塗布膜上にダイコート法で感光性ペースト
を塗布した。感光性ペーストの組成は次の通りである。
【0066】感光性ペーストの組成:ガラス粉末B60
重量部、バインダー(X4007)10重量部、感光性
モノマー(MGP400)10重量部、光重合開始剤
(チバガイギー社製、イルガキュア369)、γ−ブチ
ロラクトン17重量部。
【0067】ガラス粉末Bの組成と特性:酸化リチウム
7%、酸化ケイ素23%、酸化ホウ素32%、酸化バリ
ウム4%、酸化アルミニウム20%、酸化カルシウム5
%、酸化マグネシウム6%、酸化亜鉛3%。ガラス転移
点495℃、軟化点530℃、熱膨張係数75×10-7
/℃、密度2.54g/cm3。ペーストは、これらの
成分からなる混合物を3本ローラー混練機で混練して作
製した。
【0068】感光性ペースト塗布膜は乾燥した後、スト
ライプ状パターンのフォトマスクを介して、200mJ
/cm2の露光量を与えた後、0.2%の2−アミノエ
タノール水溶液で現像し、ピッチ220μm、線幅30
μm、高さ160μmの隔壁パターンを形成した。誘電
体ペースト塗布膜は、十分に硬化されており、現像液に
溶解しなかった。その後、ローラーハース式焼成炉を用
いた焼成温度570℃で15分間焼成して、良好な形状
の隔壁層を得た。
【0069】この隔壁形成した基板に赤、緑、青3色の
蛍光体層を形成し、前面板と合わせて封着し、ガス注入
を行ってパネルを作製した。隔壁の欠陥によるクロスト
ーク等の表示欠陥のない良好なディスプレイを得ること
ができた。
【0070】(実施例2)誘電体ペーストに配合する熱
重合開始剤として半減期10時間の温度が41℃のジイ
ソプロピルパーオキシジカーボネートを用いた他は実施
例1を繰り返した。実施例1と同様に誘電体層塗布膜は
十分に硬化されており、焼成後、誘電体層の剥離などの
欠陥の発生はなく良好なディスプレイ用部材を得ること
ができた。
【0071】(実施例3)誘電体ペーストに配合する熱
重合開始剤として半減期10時間の温度が100℃の過
酢酸t−ブチルを用いた他は実施例1を繰り返した。実
施例1と同様に誘電体塗布膜は十分に硬化されており、
焼成後、誘電体層の剥離などの欠陥の発生はなく良好な
ディスプレイ用部材を得ることができた。
【0072】(実施例4)誘電体ペーストの組成を以下
のものにした他は実施例1を繰り返した。 誘電体ペースト組成:ガラス粉末A50重量部、フィラ
ー(酸化チタン:石原産業社のR550)10重量部、
導電体粉末(導電性酸化チタン)3重量部、エチルセル
ロース1重量部、モノマー(MGP400)10重量
部、熱重合開始剤(1,1−アゾビス(シクロヘキサン
−1−カルボニトリル)、半減期10時間の温度は88
℃)1重量部、分散剤(ノプコスーパー092)0.3
重量部、レベリング剤1重量部。
【0073】実施例1と同様に誘電体層塗布膜は十分に
硬化されており、焼成後、誘電体層の剥離などの欠陥の
発生はなく良好なディスプレイ用部材を得ることができ
た。
【0074】(実施例5)誘電体ペーストの組成を以下
のものにした他は実施例1を繰り返した。 誘電体ペースト組成:ガラス粉末A50重量部、フィラ
ー(酸化チタン:石原産業社のR550)10重量部、
導電体粉末(導電性酸化チタン)3重量部、エチルセル
ロース1重量部、ケイ酸エチル10重量部、分散剤(ノ
プコスパース092)0.3重量部、レベリング剤1重
量部。実施例1と同様に誘電体層塗布膜は十分に硬化さ
れており、焼成後、誘電体層の剥離などの欠陥の発生は
なく良好なディスプレイ用部材を得ることができた。
【0075】(実施例6)誘電体ペーストの組成を以下
のものにした他は実施例1を繰り返した。 誘電体ペースト組成:ガラス粉末A50重量部、フィラ
ー(酸化チタン:石原産業社のR550)10重量部、
導電体粉末(導電性酸化チタン)3重量部、エチルセル
ロース1重量部、チタンジイソプロポキサイドビスエチ
ルアセトアセテート10重量部、分散剤0.3重量部、
レベリング剤1重量部。実施例1と同様に誘電体層塗布
膜は十分に硬化されており、焼成後、誘電体層の剥離な
どの欠陥の発生はなく良好なディスプレイ用部材を得る
ことができた。
【0076】(実施例7)誘電体ペーストに配合する導
電体粉末としてニッケル粉末1重量部を用いた他は実施
例1を繰り返した。誘電体塗布膜は十分に硬化してお
り、隔壁パターン形成時に現像液に溶解しなかった。実
施例1に記述したようにディスプレイパネルを形成し、
画像表示を行ったが隔壁の欠陥によるクロストーク等の
表示欠陥の発生はなく、画像の安定性も良好であった。
【0077】(実施例8)誘電体ペーストに配合するフ
ィラーとして酸化アルミニウム(住友化学社のAM−2
1)1重量部を用いた他は実施例1を繰り返した。実施
例1と同様に誘電体塗布膜は十分に硬化されており、誘
電体層と隔壁層間の剥離などの欠陥の発生はなく良好な
ディスプレイ用部材を得ることができた。
【0078】(比較例1)誘電体ペーストのバインダー
に硬化しないエチルセルロースのみを用いて、実施例1
を繰り返した。焼成後、誘電体層に亀裂や剥離が発生
し、PDPの作製に耐える良好な背面板が得られなかっ
た。
【0079】(比較例2)誘電体ペーストに配合する熱
重合開始剤を用いずに実施例1を繰り返した。隔壁形成
用感光性ペースト塗布膜に露光し現像した際に、誘電体
層が溶解した。 略記号に説明 X4007:40%メタクリル酸、30%メチルメタク
リレート、30%スチレンからなる共重合体のカルボキ
シル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレート
を不可反応させた重量平均分子量43,000、酸価9
5のポリマー MGP400:X2N-CH(CH3)-CH2-(OCH2CH(CH3))n-NX2 X:-CH2CH(OH)-CH2-CO-C(CH3)=CH2 n:2〜10
【0080】
【発明の効果】熱により硬化する誘電体ペーストを用
い、その塗布膜を熱硬化させた後、その上に感光性ペー
ストを用いて隔壁パターンを形成した後、熱重合した塗
布膜と隔壁パターンを同時に焼成する方法で欠陥がな
く、歩留まりの高いディスプレイ用部材の製造ができ
る。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディスプレイ用部材の製造に用いる誘電体
    ペーストであって、熱により硬化することを特徴とする
    誘電体ペースト。
  2. 【請求項2】熱重合開始剤を含有することを特徴とする
    請求項1記載の誘電体ペースト。
  3. 【請求項3】熱重合開始剤の半減期10時間の温度が4
    0〜130℃であることを特徴とする請求項2記載の誘
    電体ペースト。
  4. 【請求項4】熱重合開始剤が有機過酸化物、アゾ化合物
    から選ばれた少なくとも一種であるラジカル重合開始剤
    であることを特徴とする請求項2または3記載の誘電体
    ペースト。
  5. 【請求項5】アクリル系樹脂を含有することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか記載の誘電体ペースト。
  6. 【請求項6】架橋剤を含有することを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか記載の誘電体ペースト。
  7. 【請求項7】架橋剤が有機シランおよび有機チタニウム
    から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請
    求項6記載の誘電体ペースト。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか記載の誘電体ペー
    ストを用いて製造したことを特徴とするディスプレイ用
    部材。
  9. 【請求項9】誘電体ペーストを基板上に塗布し、その塗
    布膜を熱により硬化し、その上に隔壁パターンを形成し
    た後に、誘電体ペースト塗布膜と隔壁パターンとを同時
    に焼成する工程を含むことを特徴とするディスプレイ用
    部材の製造方法。
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