WO2024085077A1 - 放射線量解析方法、放射線量解析装置、制御プログラム、記録媒体 - Google Patents

放射線量解析方法、放射線量解析装置、制御プログラム、記録媒体 Download PDF

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Abstract

線源からの放射線によって危険臓器が受ける影響を精度良く評価する。放射線量解析方法は、線源から放出される放射線の照射対象の近傍に該線源を収容可能なアプリケータ(50)が設置された対象者を撮像した画像であって、設置されたアプリケータが写る3次元医用画像を取得し、該3次元医用画像に写るアプリケータ(50)の基準軸を決定する基準軸決定工程(S1)と、基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の基準軸からの距離に基づいて、線源から複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する第1放射線量解析工程(S4)と、を含む。

Description

放射線量解析方法、放射線量解析装置、制御プログラム、記録媒体
 本開示は、線源からの放射線が臓器に与える影響を評価可能な放射線量解析方法および放射線量解析装置に関する。
 小線源治療は、対象者の標的臓器に放射線を放出する線源を挿入し、当該対象臓器に存在する病巣部位(例えば、悪性腫瘍など)に高線量の放射線を集中的に照射する治療である。標的臓器への線源の挿入には、例えば、遠隔操作式後充填法(RALS:Remote After Loading System)が用いられる。
 対象臓器に設置された中空のアプリケータ内に移動した線源から放出される放射線は、標的臓器ではない正常臓器(例えば、標的臓器の周囲にあり、病巣部位が存在しない臓器)にも影響を与え得る。このような正常臓器は、危険臓器(OAR:organ at risk)と呼称される。
 例えば、特許文献1には、患者の放射線療法治療のための治療計画に対応する線量分布に関して解剖学的構造の輪郭を評価することを支援するシステムが開示されている。
日本国特開2022-027812号公報
 同じ対象者であっても、標的臓器の位置および/または形状は変化するため、設置されているアプリケータの設置状況も変化し得る。また、危険臓器の位置および/または形状も日々大きく変化し得る。それゆえ、同じ対象者であっても小線源治療を実施する度に、高い放射線量を受ける危険臓器の部位が異なっている可能性がある。また、小線源治療に関する治療計画においては、複数回の小線源治療の実施(例えば、週に1回、数週間に亘り実施)を含む場合が多い。それゆえ、小線源治療(特に、小線源治療を複数回実施した場合の当該一連の小線源治療)によって危険臓器が受ける影響を精度良く評価することは困難であった。
 本開示の一態様は、小線源治療によって対象者の危険臓器が受ける影響を精度良く評価し得る放射線量解析方法および放射線量解析装置を実現する。
 上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る放射線量解析方法は、線源から放出される放射線の照射対象の近傍に該線源を収容可能なアプリケータが設置された対象者を撮像した画像であって、設置された前記アプリケータが写る3次元医用画像を取得し、該3次元医用画像に写る前記アプリケータの基準軸を決定する基準軸決定工程と、前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の前記基準軸からの距離に基づいて、前記線源から前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する第1放射線量解析工程と、を含む。
 本開示の一態様に係る放射線量解析装置は、線源から放出される放射線の照射対象の近傍に該線源を収容可能なアプリケータが設置された対象者を撮像した画像であって、設置された前記アプリケータが写る3次元医用画像を取得し、該3次元医用画像に写る前記アプリケータの基準軸を決定する基準軸決定部と、前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の前記基準軸からの距離に基づいて、前記線源から前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する第1放射線量解析部と、を備える。
 本開示の各態様に係る放射線量解析装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記放射線量解析装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記放射線量解析装置をコンピュータにて実現させる放射線量解析装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
 本開示の一態様によれば、小線源治療によって対象者の危険臓器が受ける影響を精度良く評価できる。
本開示の一実施形態に係る放射線量解析装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。 本開示の一実施形態に係る放射線量解析方法の概略を説明するための図である。 放射線量解析装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。 対象者に実施された小線源治療による対象者の臓器への影響を示す2次元ヒート図の一例を示す図である。 同じ対象者に実施された複数回の小線源治療のそれぞれによる対象者の臓器への影響を示す2次元ヒート図を積算して、一連の小線源治療による対象者の臓器への影響を総合的に評価する方法の一例を示す図である。 標的臓器にアプリケータを設置した様子を示す図である。 アプリケータを標的臓器(子宮)に設置された対象者を撮像したX線CT画像の例である。 図7と同じ対象者を別の日に撮像したX線CT画像の例である。 放射線量解析装置を備える評価システムの概略構成の一例を示す図である。 標的臓器(子宮)に対する小線量治療を受けた15人の対象者のそれぞれに、従来の評価方法および本開示に係る放射線量解析方法を適用して、危険臓器(小腸)が受けた放射線量を評価した結果を示すグラフである。
 〔実施形態1〕
 以下、本開示の一実施形態に係る放射線量解析方法および放射線量解析装置1について詳細に説明する。以下では、対象者の臓器に線源からの放射線を照射する小線源治療を例に挙げて説明する。なお、本開示の一実施形態に係る放射線量解析方法および放射線量解析装置1は、小線源治療にのみ適用されるものではなく、その他の放射線治療法においても適用され得る。ただし、本開示の一実施形態に係る放射線量解析方法は、あくまで各種放射線治療法における標的臓器および/または危険臓器の放射線量のデータを取得するための方法である。当該放射線量解析方法によって得られたデータをもとに、医師が対象者の治療計画や治療方針の決定を行う。よって、本開示の一実施形態に係る放射線量解析方法は、医師が治療計画等の決定を行う際の補助的な方法であって、当該医師が行う診断等の医療行為を包含していない。
 (小線源治療の概要)
 はじめに、小線源治療の概要について、図6~図8を用いて説明する。
 小線源治療は、図6に示すように、ワイヤー形状の線源を格納している線源装置5と、対象者の標的臓器に挿入された、内部に線源を収容可能な中空のアプリケータ50を接続して行われる。遠隔操作によって、線源装置5から連結管51を介してアプリケータ50内に線源を送り込むことが可能である。
 アプリケータ50内に移動した線源から放出される放射線は、標的臓器ではない正常臓器(例えば、標的臓器の周囲にあり、病巣部位が存在しない臓器)にも影響を与え得る。このような正常臓器は、危険臓器と呼称される。図6は、標的臓器にアプリケータを設置した様子を示す図であり、標的臓器TR、および危険臓器R1、R2が示されている。
 従来、小線源治療によって危険臓器が受ける影響を評価するために、以下の(1)~(3)の方法が用いられている。
 (1)アプリケータを標的臓器に挿入した様子を撮像したX線画像において、標的臓器と危険臓器との間の距離を想定し、想定した距離と同じだけアプリケータから離れた評価点を設定し、該評価点における放射線量に基づいて、危険臓器が受ける影響を評価する。
 (2)アプリケータを標的臓器に挿入する。そして、放射線不透過性の液体を内包するバルーンを所定の危険臓器内または近傍に設置した様子を撮像したX線画像において、バルーンの位置を基準点として、基準点における放射線量に基づいて、危険臓器が受ける影響を評価する。
 (3)アプリケータ50を標的臓器に挿入した様子を撮像したX線CT(Computed Tomography)画像に基づいて、危険臓器の輪郭を細かい領域(すなわち小体積を有する領域)に分割し、個々について線源から受ける放射線量を解析する。解析後、危険臓器の特定の領域が受ける放射線量を代表値として評価する。
 上記(1)の方法では、危険臓器の形状および位置がX線画像からはわからないため、危険臓器が受ける影響を正確に評価することはできない。また、上記(2)の方法では、バルーンを設置可能な位置における影響しか評価することができない。また、上記(3)の方法では、危険臓器の形状および/または位置が大きく変化し得る場合、同一の対象者に実施した一連の小線源治療(例えば、週1回の小線源治療を数週間に亘って実施)によって危険臓器が受けた影響を評価することは困難である。
 近年、上記(3)の方法の問題点を解決するために、同一の対象者について、小線源治療を実施する度に撮像されたX線CT画像における危険臓器の形状および位置の変化を解析し、適当な補正を加える技術が提案されている。しかし、この技術を適用可能な危険臓器は、X線CT画像において輪郭が明確であり、かつ、形状および位置が大きく変化しない危険臓器に限定される。
 例えば、対象者の子宮が標的臓器であり、子宮にアプリケータ50を設置して小線源治療を実施する場合、膀胱、直腸、および小腸は危険臓器となり得る。図7は、アプリケータを標的臓器(子宮)に設置された対象者を撮像したX線CT画像の例である。図8は、図7と同じ対象者を別の日に撮像したX線CT画像の例である。X線CT画像における膀胱、および直腸の像は不鮮明であるため、図7および図8には、X線CT画像を読影する能力を有する医療関係者によって入力された、膀胱および直腸の輪郭が示されている。
 図7および図8からわかるように、同じ対象者であっても、標的臓器の位置および/または形状が可変である場合、設置されているアプリケータの設置状況も変化し得る。また、膀胱、直腸、および小腸などの危険臓器の位置および/または形状も、毎回大きく変化し得る。それゆえ、同じ対象者の同じ標的臓器に対する小線源治療であっても、小線源治療を実施する度に、高い放射線量を受けた危険臓器の部位が異なっている可能性がある。小線源治療に関する治療計画においては、複数回の小線源治療の実施(週に1回、数週間に亘り実施)を含む場合が多い。従来の方法では、小線源治療(特に、小線源治療を複数回実施した場合の当該一連の小線源治療)によって危険臓器が受ける影響を精度良く評価することは困難であった。
 (放射線量解析装置1の構成)
 小線源治療は、対象者の、悪性腫瘍などの病巣部位(照射対象)を含む標的臓器および/または病巣部位の近傍に、放射線を放出する線源を挿入し、多くの線量の放射線を病巣部位に集中的に照射する治療である。標的臓器は、病巣部位の近傍の臓器であるといえる。ここで、病巣部位の近傍とは、病巣部位からの距離が実寸法で1cm以下である領域を指していてもよい。あるいは、病巣部位の近傍とは、病巣部位からの距離が実寸法で5cm以下である領域を指していてもよい。本開示の一実施形態に係る放射線量解析装置1は、対象者に実施された小線源治療において、対象者の臓器が受けた放射線量を解析する装置である。
 本開示において、標的臓器は、子宮、膣、前立腺、食道、舌、乳房、および胆管、のいずれかであってもよい。これらの標的臓器に悪性腫瘍等が生じた場合、当該悪性腫瘍を照射対象とする小線源治療の計画が検討され得る。また、本開示において、危険臓器は、肺、胃、小腸、大腸、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、および、骨のいずれか1つ以上であってもよい。標的臓器および危険臓器は、3次元医用画像において、少なくとも医療関係者が輪郭を判別可能な臓器であればよい。
 まず、図2を参照しながら、図1を用いて、本開示の一実施形態に係る放射線量解析装置1の構成を説明する。図1は、放射線量解析装置1の構成の一例を示す機能ブロック図である。図2は、本開示の一実施形態に係る放射線量解析方法の概略を説明するための図である。図2には、標的臓器TRにアプリケータ50を設置した様子、および、標的臓器TRの近傍には、危険臓器R1、R2が存在している様子が示されている。
 放射線量解析装置1は、制御部10、記憶部20、入力部30、および表示部40を備えていてもよい。制御部10は、一例において、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部10は、記憶部20に記憶されているソフトウェアである制御プログラムを読み取ってRAM(Random Access Memory)等のメモリに展開して各種機能を実行する。入力部30は、キーボードおよびタッチパネル等であってもよい。なお、図1に示す記憶部20では、説明の簡略化のために、制御プログラムの図示を省略している。
 図1に示すように、制御部10は、基準軸決定部11、輪郭特定部12、交差検出部13、放射線量解析部14、および出力制御部15を備えていてもよい。
 [基準軸決定部11]
 基準軸決定部11は、アプリケータ50が設置された対象者を撮像した3次元医用画像に基づいて基準軸Lを決定する。ここで、3次元医用画像は、設置されたアプリケータ50が写る画像である。3次元医用画像は、3次元X線CT画像または3次元MRI(Magnetic Resonance Imaging)画像であってもよい。これらの3次元医用画像を用いることにより、基準軸決定部11は、対象者に設置されたアプリケータ50の実際の設置状況に基づいて正確に基準軸Lを決定することができる。
 基準軸Lは、3次元医用画像に写るアプリケータ50の中心を通り、該アプリケータ50における線源の進行方向の奥側(例えば、アプリケータの先端側)に位置する第1端501の近傍と、該進行方向の手前側に位置する第2端502の近傍とを結ぶ軸であってもよい。
 [輪郭特定部12]
 輪郭特定部12は、対象者の臓器の輪郭を、前記3次元医用画像において特定する。輪郭特定部12が特定する輪郭は、アプリケータ50が設置された臓器である標的臓器、および、標的臓器とは異なる臓器であって、線源から放出される放射線の影響を受け得る危険臓器R1、R2、の少なくともいずれかの臓器の輪郭であってよい。輪郭特定部12は、3次元医用画像を確認した医療関係者によって入力部30を介して入力された、該3次元医用画像における臓器の輪郭を示す輪郭情報に基づいて輪郭を特定してもよい。あるいは、輪郭特定部12は、X線CT画像から臓器に対応する所定のハンスフィールド(HU:Hounsfield Unit)値を有する領域を自動検出し、当該領域の周縁部を輪郭として特定してもよい。所定のHU値を有する領域の自動検出には、任意の公知の解析アルゴリズムが適用され得る。
 [交差検出部13]
 交差検出部13は、基準軸Lを中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面P1~P3のうち、臓器の輪郭と交差する仮想円筒面を検出する。図2には、基準軸Lからの距離がd1である仮想円筒面P1、基準軸Lからの距離がd2である仮想円筒面P2、および基準軸Lからの距離がd3である仮想円筒面P3が示されている。図2に示すX軸は基準軸Lと平行な軸であり、Y軸は仰臥位の患者における腹背方向であり、基準軸Lと直交する軸である。図2において、仮想円筒面P1およびP2は、標的臓器TRと交差しており、仮想円筒面P3は、危険臓器R2の輪郭と交差している。一方、仮想円筒面P1~P3は、危険臓器R1の輪郭とは交差していない。仮想円筒面と各臓器の輪郭と交差の検出には、任意の公知の解析アルゴリズムが適用され得る。
 複数の仮想円筒面P1~P3は、基準軸Lから第1距離離れる毎に生成されており、第1距離は、実寸法における所定距離に対応する3次元医用画像上における距離であってもよい。例えば、図2において、d2とd1との差、およびd3とd2との差は、いずれも第1距離(例えば、実寸法における所定1mmに対応する距離)であってもよい。あるいは、複数の仮想円筒面P1~P3は等間隔に生成されていなくてもよく、それぞれ基準軸Lから任意の距離離れた位置に生成されてもよい。すなわち、図2において、d2とd1との差と、d3とd2との差とは同じでなくてもよい。放射線量解析部14は、第1距離として所望の距離を設定可能であってもよい。放射線量解析部14は、第1距離をより短く設定することにより、放射線による対象者の臓器への影響の解析精度を向上させることができる。
 [放射線量解析部14]
 対象者に設置されたアプリケータ50内の線源から放出される放射線の線量は、アプリケータ50からの距離に応じて減少する。それゆえ、複数の仮想円筒面P1~P3のそれぞれは、同じ線量の放射線が到達する面を表しているといえる。
 放射線量解析部14(第1放射線解析部、第2放射線解析部)は、基準軸Lを中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面P1~P3の各々の基準軸Lからの距離d1~d3に基づいて、線源から複数の仮想円筒面P1~P3の各々に到達する放射線量を解析する。
 ここで、放射線量解析部14は、複数の仮想円筒面P1~P3のうち、下記の第1仮想円筒面および第2仮想円筒面を特定してもよい。
・第1仮想円筒面:臓器の輪郭と接触する、または、臓器の輪郭との交差を示す線によって囲まれた領域の面積が最小である仮想円筒面。
・第2仮想円筒面:第1仮想円筒面から、基準軸Lから離れる方向に第2距離だけ離れた仮想円筒面。
 すなわち、第1仮想円筒面は、臓器の外表面に接する、または外表面に最も近い仮想円筒面であってもよく、第2仮想円筒面は、外表面から第2距離だけ当該臓器の深部を通る仮想円筒面であってもよい。この場合、放射線量解析部14は、第1仮想円筒面と、第2仮想円筒面と、臓器の輪郭と、によって囲まれた領域に対応する臓器が受けた放射線量を解析してもよい。
 この場合、放射線量解析部14は、第1仮想円筒面と、第2仮想円筒面と、臓器の輪郭と、によって囲まれた領域の体積が、所定の体積(例えば、実寸法で2cmに対応する体積)となる第2仮想円筒面を検出してもよい。あるいは、臓器の輪郭から当該臓器の内部の方へ所定の距離(例えば、実寸法で5mmに対応する距離)だけ第1仮想円筒面から離れている仮想円筒面を第2仮想円筒面として検出してもよい。
 上記の構成によれば、放射線量解析装置1は、第1仮想円筒面を検出することにより、臓器の表面に到達し得る放射線の線量を解析することが可能である。同様に、上記の構成によれば、放射線量解析装置1は、第2仮想円筒面を検出することにより、例えば、当該臓器の表面から所定の深さ(例えば、実寸法で5mm)にまで到達し得る放射線の線量を解析することが可能である。
 また、放射線量解析部14は、実施された照射毎に解析された、臓器が受けた放射線量を積算して、照射が複数回実施されたことによって当該臓器が受ける影響を評価してもよい。この構成によれば、照射対象への放射線の複数回の照射が含まれる小線源治療を実施した場合に、該小線源治療によって対象者の臓器が累積的に受ける影響を総合的に評価することができる。
 この場合、放射線量解析部14は、対象者の臓器が受けた放射線量を示す情報を、第1軸と、第2軸とによって規定される2次元情報として出力してもよい。ここで、第1軸は、仮想円筒面上の軸であって、基準軸Lに平行な軸であり、第2軸は、基準軸Lを回転中心とする、所定の基準方向からの回転角度を示す軸である。すなわち、第1軸および第2軸によって規定される面は、仮想円筒面を、基準軸Lに平行な線であって、基準軸Lから基準方向に伸ばした線と交差する線に沿って切断し展開した2次元平面であってもよい。ここで、基準方向は、例えば、基準軸Lから対象者の腹側に向かう方向であってもよい。対象者の臓器が受けた放射線量を示す情報を、このように2次元情報として示すことによって、複数回の小線源治療の各々において臓器が受けた放射線量を、容易に積算して解析することが可能となる。放射線量解析部14が出力する2次元情報については、後に具体例を挙げて説明する。
 なお、臓器の輪郭を特定する機能と、臓器の輪郭と仮想円筒面との交差を検出する機能とを備える放射線量解析装置1を例に挙げて説明した。しかし、放射線量解析装置1は、少なくとも基準軸決定部11および放射線量解析部14を備えていればよく、図1に示す構成に限定されない。
 [出力制御部15]
 出力制御部15は、表示部40に解析結果を表示させる。なお、出力制御部15は、放射線量解析装置1とは別体の表示装置(図示せず)に解析結果を表示させてもよい。あるいは、出力制御部15は、放射線量解析装置1と通信可能に接続されている任意の装置(図示せず)に解析結果を送信してもよい。
 (放射線量解析装置1が行う処理の流れ)
 続いて、図3を用いて、放射線量解析装置1が行う処理(放射線量解析方法)の流れを説明する。図3は、放射線量解析装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
 まず、基準軸決定部11は、対象者に設置されたアプリケータ50が写る3次元医用画像を取得し、当該3次元医用画像に写るアプリケータ50の基準軸Lを決定する(ステップS1:基準軸決定工程)。アプリケータ50は、対象者の身体の内部に設置され得る。
 次に、輪郭特定部12は、対象者の臓器の輪郭を、3次元医用画像において特定する(ステップS2:輪郭特定工程)。
 続いて、交差検出部13は、基準軸Lを中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面のうち、特定された輪郭と交差する仮想円筒面を検出する(ステップS3:交差検出工程)。
 次に、放射線量解析部14(第1放射線量解析部)は、基準軸Lを中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の基準軸Lからの距離に基づいて、線源から複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する(ステップS4:第1放射線量解析工程)。
 なお、ステップS3の処理とステップS4の処理の順序はこれに限定されない。例えば、ステップS4の処理の後にステップS3の処理を実行する構成であってもよい。
 次に、放射線量解析部14(第2放射線量解析部)は、臓器の輪郭と交差する仮想円筒面の各々について、基準軸Lとの距離、線源からの放射線の線量、臓器の輪郭との交差を示す線によって規定される領域の面積に基づいて、臓器が受けた放射線量を解析する(ステップS5:第2放射線量解析工程)。ステップS5において、臓器が受けた放射線量を解析する際に、放射線が臓器内を通過する距離に応じた線量勾配を考慮する構成であってもよい。なお、放射線量解析装置1は、上記ステップS2~S3を実行しない場合にも、ステップS5の処理を実行可能であってもよい。
 上記の構成によれば、放射線量解析装置1は、対象者に設置されているアプリケータ50の基準軸Lを決定し、当該基準軸Lからの距離に基づいて、放射線によって対象者の臓器が受ける影響を解析する。決定された基準軸Lは、実際に設置されているアプリケータ50の設置状況に対応しているため、放射線量解析装置1は、用いられた線源の位置を正確に特定できる。それゆえ、放射線量解析装置1は、対象者の臓器が受ける影響を精度良く評価することができる。
 対象者に複数回の小線源治療が実施された場合、放射線量解析装置1(例えば、放射線量解析部14)は、小線源治療毎に解析された、対象者の臓器が受けた放射線量を積算して、小線源治療が複数回実施されたことによって当該臓器が累積的に受ける影響を評価する(ステップS6:評価工程)。この場合、放射線量解析装置1(例えば、放射線量解析部14)は、ステップS4における解析結果を、対象者に実施された小線源治療によって、臓器が受けた放射線量を示す情報を示す2次元情報として出力してもよい。
 (放射線量解析結果を示す2次元情報)
 ここで、放射線量解析結果を示す2次元情報について、図4を用いて説明する。図4は、対象者に実施された小線源治療による対象者の臓器への影響を示す2次元ヒート図の一例を示す図である。
 実施した小線源治療において実際に設置されたアプリケータ50の基準軸Lからの距離に基づいて放射線量が解析された解析結果は、図4に示すようなヒート図として示され得る。図4において、受けた放射線量が多い部分ほど、より濃く示されている。図4に示されたヒート図は、一例として、解析対象となる臓器(例えば、小腸)の表面から所定の深さ(例えば、5mm)に到達した放射線量のみを示している。このように、放射線量解析部14は、解析対象となる臓器について、当該臓器の表面から所定の深さまでの部分を対象として放射線の線量を解析する構成であってもよい。
 図4の縦軸(第1軸、X軸)は、仮想円筒面上の軸であって、前記基準軸Lに平行な軸である。一方、図4の横軸(第2軸、V軸)は、基準軸Lを回転中心とする、所定の基準方向からの角度(deg)を示している。図4において、設定された基準方向は、対象者の腹側に向かう方向であり、横軸の左端と右端とは基準方向を示している。横軸の中央部は対象者の背中側に向かう方向である。すなわち、図4に示す2次元ヒート図は、仮想円筒面を基準軸Lに平行な線であって、基準軸Lから対象者の腹側に向かう方向に伸ばした線と交差する線に沿って切断し展開した平面である、と表現可能である。図4は、解析対象となる臓器の、基準軸Lから対象者の背中側に向かう方向に位置する部分に放射線が多く照射されたことを示している。
 次に、図5を用いて、複数回の小線源治療のそれぞれによる対象者の臓器への影響を解析する方法について説明する。図5は、同じ対象者に実施された複数回の小線源治療のそれぞれによる対象者の臓器への影響を示す2次元ヒート図を積算して、一連の小線源治療による対象者の臓器への累積的な影響を評価する方法の一例を示す図である。なお、実施される小線源治療の回数は、例えば、対象者に対する治療計画に応じて任意に決定され得る。図5では、3回の小線源治療が実施された場合に、これら3回の小線源治療による対象者の臓器への累積的な影響を評価する場合を例に挙げて示している。
 小線源治療を実施する度に、同じ基準方向が設定された2次元ヒート図が生成され得る。この場合、同じ対象者について生成された各2次元ヒート図は、実施した複数回の小線源治療のそれぞれにおける、対象者の臓器が受けた影響を示している。そして、各2次元ヒート図は、同じ基準方向が設定されているため、横軸で示される角度が示す向きは共通している。また、各2次元ヒート図に示された放射線量(濃淡)は、実施した複数回の小線源治療のそれぞれにおいて実際に設置されたアプリケータ50の基準軸Lからの距離に基づいて解析された放射線量に基づいている。各2次元ヒート図における対応する位置の放射線量を積算する場合、実施した小線源治療毎に解析対象となる臓器の位置が変動しているかもしれない。そこで、複数回の小線源治療における解析対象となる臓器の位置の不確かさを考慮してもよい。例えば、2次元ヒート図上のある点の放射線量について一定範囲内で座標を変位させた領域を想定し、当該想定した領域における放射線量を統計的に解析して求めることを許容してもよい。これにより、複数回実施した小線源治療によって、解析対象の臓器のどの部分が放射線による累積的な影響を受けたかを解析可能である。
 この構成によれば、放射線量解析装置1は、小線源治療を複数回実施した場合に臓器が受ける影響を、アプリケータ50が設置された標的臓器の位置および/または形状が可変であっても、精度良く評価することができる。また、放射線量解析装置1は、形状および/または位置が大きく変化し得る臓器が、複数回実施された小線源治療によって受ける影響も精度良く評価することができる。
 〔実施形態2〕
 放射線量解析装置1は、複数のユーザの各々から画像データを受け付け、各画像データに基づいて、小線源治療による標的臓器および危険臓器が受けた放射線量を解析した解析結果を、各画像データの送信元であるユーザに提供してもよい。ここで、複数のユーザの各々は、例えば、異なる医療施設に所属していてもよい。このような構成を備える放射線量評価システム100について、図9を用いて説明する。図9は、放射線量解析装置1を備える放射線量評価システム100の概略構成の一例を示す図である。例えば、図9に示すように、放射線量評価システム100は、通信ネットワーク9を介して各ユーザが使用する通信装置6a、6bと通信可能に接続されている放射線量解析装置1を備えていてもよい。
 図9に示す放射線量評価システム100では、放射線量解析装置1は、各ユーザが小線源治療を施した対象者を撮像した医用画像の画像データを、各ユーザが使用する通信装置6a、6bのそれぞれから受信する。そして、放射線量解析装置1は、通信装置6aから受信した画像データに対応する解析結果を通信装置6aに送信し、通信装置6bから受信した画像データに対応する解析結果を通信装置6bに送信する。なお、放射線量解析装置1は、受信した画像データに関する解析結果を示したウェブページを画像データ毎あるいはユーザ毎に生成し、当該画像データの送信元であるユーザに当該ウェブページにアクセスするための情報を提供してもよい。
 なお、図9は、通信装置6a、6bと放射線量解析装置1とを含む放射線量評価システム100を示しているが、これに限定されない。放射線量評価システム100において、放射線量解析装置1は2以上の通信装置と通信可能であってもよい。
 このような構成を採用すれば、放射線量解析装置1は、複数のユーザのそれぞれから受信した画像データを解析して得た解析結果を、各画像データの送信元である各ユーザに提供することができる。例えば、放射線量解析装置1を管理する管理者は、受信した画像データに関する解析結果を提供するサービスに対する対価として、各ユーザ(もしくは各ユーザの所属施設)に対して所定の料金を請求してもよい。
 〔ソフトウェアによる実現例〕
 放射線量解析装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部10に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
 この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
 上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
 また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
 また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
 本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
 〔まとめ〕
 本開示の態様1に係る放射線量解析方法は、線源から放出される放射線の照射対象の近傍に該線源を収容可能なアプリケータが設置された対象者を撮像した画像であって、設置された前記アプリケータが写る3次元医用画像を取得し、該3次元医用画像に写る前記アプリケータの基準軸を決定する基準軸決定工程と、前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の前記基準軸からの距離に基づいて、前記線源から前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する第1放射線量解析工程と、を含む。
 本開示の態様2に係る放射線量解析方法は、上記態様1において、前記対象者の臓器の輪郭を、前記3次元医用画像において特定する輪郭特定工程と、
 前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面のうち、前記輪郭と交差する前記仮想円筒面を検出する交差検出工程と、前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量、および前記輪郭との交差を示す線によって規定される領域の面積に基づいて、前記臓器が受けた放射線の線量を解析する第2放射線量解析工程と、をさらに含んでいてもよい。
 本開示の態様3に係る放射線量解析方法は、上記態様1または2において、(1)前記基準軸決定工程と、(2)前記対象者の臓器の輪郭を、前記3次元医用画像において特定する輪郭特定工程と、(3)前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面のうち、前記輪郭と交差する前記仮想円筒面を検出する交差検出工程と、(4)前記第1放射線量解析工程と、(5)前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量、および前記輪郭との交差を示す線によって規定される領域の面積に基づいて、前記臓器が受けた放射線の線量を解析する第2放射線量解析工程と、をこの順序で行ってもよい。
 本開示の態様4に係る放射線量解析方法は、上記態様2または3において、前記第2放射線量解析工程において、前記臓器が受けた放射線量を示す情報は、前記仮想円筒面上の軸であって、前記基準軸に平行な軸である第1軸と、前記基準軸を回転中心とする、所定の基準方向からの角度を示す第2軸と、によって規定される2次元情報として示されてもよい。
 本開示の態様5に係る放射線量解析方法は、上記態様2から4のいずれかにおいて、前記臓器は、前記アプリケータが設置された臓器である標的臓器、および、前記標的臓器とは異なる臓器であって、前記線源から放出される放射線の影響を受け得る危険臓器、の少なくともいずれかであってもよい。
 本開示の態様6に係る放射線量解析方法は、上記態様2から5のいずれかにおいて、前記照射対象への放射線の照射は、前記対象者に複数回実施され、前記照射毎に解析された、前記臓器が受けた放射線量を積算して、前記照射が複数回実施されたことによって前記臓器が受ける影響を評価する評価工程をさらに含んでいてもよい。
 本開示の態様7に係る放射線量解析方法は、上記態様2から6のいずれかにおいて、前記第2放射線量解析工程において、前記複数の前記仮想円筒面のうち、(1)前記輪郭と接触する、または、前記輪郭との交差を示す線によって囲まれた領域の面積が最小である第1仮想円筒面と、(2)前記第1仮想円筒面から、前記基準軸から離れる方向に第2距離だけ離れた仮想円筒面である第2仮想円筒面と、を特定し、前記第1仮想円筒面と、前記第2仮想円筒面と、前記輪郭と、によって囲まれた領域に対応する前記臓器が受けた放射線量を解析してもよい。
 本開示の態様8に係る放射線量解析方法は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記基準軸決定工程において、前記3次元医用画像に写る前記アプリケータの中心を通り、該アプリケータにおける前記線源の進行方向の奥側に位置する第1端の近傍と、該進行方向の手前側に位置する第2端の近傍とを結ぶ軸を、前記基準軸として決定してもよい。
 本開示の態様9に係る放射線量解析方法は、上記態様5において、前記標的臓器は、子宮、膣、前立腺、食道、舌、乳房、および胆管、のいずれかであってもよい。
 本開示の態様10に係る放射線量解析方法は、上記態様5において、前記危険臓器は、肺、胃、小腸、大腸、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、および、骨のいずれか1つ以上であってもよい。
 本開示の態様11に係る放射線量解析装置は、線源から放出される放射線の照射対象の近傍に該線源を収容可能なアプリケータが設置された対象者を撮像した画像であって、設置された前記アプリケータが写る3次元医用画像を取得し、該3次元医用画像に写る前記アプリケータの基準軸を決定する基準軸決定部と、前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の前記基準軸からの距離に基づいて、前記線源から前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する第1放射線量解析部と、を備える。上記構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
 本開示の態様12に係る放射線量解析装置は、前記態様11において、前記対象者の臓器の輪郭を、前記3次元医用画像において特定する輪郭特定部と、前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面のうち、前記輪郭と交差する前記仮想円筒面を検出する交差検出部と、前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量、および前記輪郭との交差を示す線によって規定される領域の面積に基づいて、前記臓器が受けた放射線の線量を解析する第2放射線量解析部と、をさらに備えていてもよい。
 本開示の態様13に係るプログラムは、上記態様11または12に記載の放射線量解析装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記基準軸決定部および前記放射線量解析部としてコンピュータを機能させるための制御プログラムである。
 本開示の態様14に係る記録媒体は、上記態様13に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
 本開示の一実施例について以下に説明する。
 図10は、標的臓器(子宮)に対する小線量治療を受けた15人の対象者のそれぞれに、従来の評価方法および本開示に係る放射線量解析方法を適用して、危険臓器(小腸)が受けた放射線量を評価した結果を示すグラフである。
 15人の対象者の小腸が受けた放射線量を、従来の評価方法によって解析したところ(グラフの左側の軸に示すD2ccの値を参照)、Fr1~Fr4いずれにおいても、有意な差は認められなかった。ここで、15人の対象者は、週1回の小線源治療を4回受けており、Fr1~Fr4はそれぞれ、1回目の小線源治療~4回目の小線源治療を意味している。
 一方、15人の対象者の小腸が受けた放射線量を、本開示に係る放射線量解析方法によって解析したところ「#7」および「#15」の対象者の小腸は、有意の多い放射線量を浴びているという解析結果が得られた。実際、「#7」および「#15」の対象者の小腸には、小線源治療による障害が認められており、他の対象者の小腸には障害が認められていない。
 すなわち、本開示に係る放射線量解析方法は、対象者の危険臓器が受けた小線源治療による影響を定量的に評価し得ることが確認された。そして、本開示に係る放射線量解析方法を用いれば、小線源治療を受けた対象者の危険臓器に重大な副作用が生じるリスクを予見することが可能であることが分かった。
 1 放射線量解析装置
 11 基準軸決定部
 12 輪郭特定部
 13 交差検出部
 14 放射線量解析部(第1放射線量解析部、第2放射線量解析部)
 50 アプリケータ
 S1 基準軸決定工程
 S2 輪郭特定工程
 S3 交差検出工程
 S4 第1放射線量解析工程
 S5 第2放射線量解析工程
 S6 評価工程

Claims (14)

  1.  線源から放出される放射線の照射対象の近傍に該線源を収容可能なアプリケータが設置された対象者を撮像した画像であって、設置された前記アプリケータが写る3次元医用画像を取得し、該3次元医用画像に写る前記アプリケータの基準軸を決定する基準軸決定工程と、
     前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の前記基準軸からの距離に基づいて、前記線源から前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する第1放射線量解析工程と、を含む、
    放射線量解析方法。
  2.  前記対象者の臓器の輪郭を、前記3次元医用画像において特定する輪郭特定工程と、
     前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面のうち、前記輪郭と交差する前記仮想円筒面を検出する交差検出工程と、
     前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量、および前記輪郭との交差を示す線によって規定される領域の面積に基づいて、前記臓器が受けた放射線の線量を解析する第2放射線量解析工程と、をさらに含む、
    請求項1に記載の放射線量解析方法。
  3.  前記基準軸決定工程と、
     前記対象者の臓器の輪郭を、前記3次元医用画像において特定する輪郭特定工程と、
     前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面のうち、前記輪郭と交差する前記仮想円筒面を検出する交差検出工程と、
     前記第1放射線量解析工程と、
     前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量、および前記輪郭との交差を示す線によって規定される領域の面積に基づいて、前記臓器が受けた放射線の線量を解析する第2放射線量解析工程と、をこの順序で行う、
    請求項1に記載の放射線量解析方法。
  4.  前記第2放射線量解析工程において、
      前記臓器が受けた放射線量を示す情報は、前記仮想円筒面上の軸であって、前記基準軸に平行な軸である第1軸と、前記基準軸を回転中心とする、所定の基準方向からの角度を示す第2軸と、によって規定される2次元情報として示される、
    請求項2または3に記載の放射線量解析方法。
  5.  前記臓器は、前記アプリケータが設置された臓器である標的臓器、および、前記標的臓器とは異なる臓器であって、前記線源から放出される放射線の影響を受け得る危険臓器、の少なくともいずれかである、
    請求項2または3に記載の放射線量解析方法。
  6.  前記照射対象への放射線の照射は、前記対象者に複数回実施され、
     前記照射毎に解析された、前記臓器が受けた放射線量を積算して、前記照射が複数回実施されたことによって前記臓器が受ける影響を評価する評価工程をさらに含む、
    請求項2または3に記載の放射線量解析方法。
  7.  前記第2放射線量解析工程において、
      前記複数の前記仮想円筒面のうち、(1)前記輪郭と接触する、または、前記輪郭との交差を示す線によって囲まれた領域の面積が最小である第1仮想円筒面と、(2)前記第1仮想円筒面から、前記基準軸から離れる方向に第2距離だけ離れた仮想円筒面である第2仮想円筒面と、を特定し、
      前記第1仮想円筒面と、前記第2仮想円筒面と、前記輪郭と、によって囲まれた領域に対応する前記臓器が受けた放射線量を解析する、
    請求項2または3に記載の放射線量解析方法。
  8.  前記基準軸決定工程において、
      前記3次元医用画像に写る前記アプリケータの中心を通り、該アプリケータにおける前記線源の進行方向の奥側に位置する第1端の近傍と、該進行方向の手前側に位置する第2端の近傍とを結ぶ軸を、前記基準軸として決定する、
    請求項1に記載の放射線量解析方法。
  9.  前記標的臓器は、子宮、膣、前立腺、食道、舌、乳房、および胆管、のいずれかである、
    請求項5に記載の放射線量解析方法。
  10.  前記危険臓器は、肺、胃、小腸、大腸、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、および、骨のうちのいずれか1つ以上である、
    請求項5に記載の放射線量解析方法。
  11.  線源から放出される放射線の照射対象の近傍に該線源を収容可能なアプリケータが設置された対象者を撮像した画像であって、設置された前記アプリケータが写る3次元医用画像を取得し、該3次元医用画像に写る前記アプリケータの基準軸を決定する基準軸決定部と、
     前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面の各々の前記基準軸からの距離に基づいて、前記線源から前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量を解析する第1放射線量解析部と、を備える、
    放射線量解析装置。
  12.  前記対象者の臓器の輪郭を、前記3次元医用画像において特定する輪郭特定部と、
     前記基準軸を中心軸として互いに半径が異なる複数の仮想円筒面のうち、前記輪郭と交差する前記仮想円筒面を検出する交差検出部と、
     前記複数の仮想円筒面の各々に到達する放射線量、および前記輪郭との交差を示す線によって規定される領域の面積に基づいて、前記臓器が受けた放射線の線量を解析する第2放射線量解析部と、をさらに備える、
    請求項11に記載の放射線量解析装置。
  13.  請求項11または12に記載の放射線量解析装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記基準軸決定部および前記第1放射線量解析部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
  14.  請求項13に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20110184283A1 (en) * 2008-07-25 2011-07-28 Tufts Medical Center system and method of clinical treatment planning of complex, monte carlo-based brachytherapy dose distributions
JP2022027812A (ja) * 2017-12-18 2022-02-14 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 放射線治療計画における線量分布に関する解剖学的構造の評価

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