WO2024070079A1 - エコー除去装置、及び、エコー除去方法 - Google Patents

エコー除去装置、及び、エコー除去方法 Download PDF

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Abstract

エコー除去装置は、エコー信号の推定用の適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部と、所定期間の遠端信号を参照信号として記憶する参照信号記憶部と、参照信号に基づいて互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出部と、複数の基準値を記憶する基準値記憶部と、複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定部とを備え、適応フィルタ更新部は期間長決定部にて決定された第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を用いて適応フィルタを更新する。

Description

エコー除去装置、及び、エコー除去方法
 本開示は、エコー除去装置、及び、エコー除去方法に関する。
 スピーカから出力された音がマイクに再入力されることにより生じるエコー音を除去する技術が知られている。
 特許文献1には、エコー音の成分を除去するエコーキャンセル手段のフィルタ係数を予め記憶しておく技術が開示されている。具体的には、特許文献1は、エコーキャンセラの適応フィルタ係数が未学習である場合、方向推定のために用いる簡易構成のエコーキャンセラにより推定された係数を初期値とする。また、特許文献1は、適応フィルタ係数が学習済みである場合、それまでに学習された方向別の適応フィルタ係数を記憶しておき、この係数を用いてエコーキャンセル処理を行う。
日本国特開2010-114554号公報
 しかしながら、特許文献1は、マイクの周囲の環境が変化した後に推定方向が切り替わった場合、変化する前の周囲の環境にて学習された適応フィルタ係数を用いることとなり、即座にエコーキャンセル処理を再開することが難しい。
 本開示の目的は、マイクの周囲の環境が変化した場合であっても即座にエコー音を除去することができる技術を提供することにある。
 本開示の一態様に係るエコー除去装置は、遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカから出力された音が空間を伝搬してマイクに入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去装置であって、前記マイクから入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成部と、前記エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部と、所定期間の前記遠端信号を参照信号として記憶する参照信号記憶部と、前記参照信号記憶部に記憶された参照信号と前記適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成部と、前記マイク信号から前記疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去部と、前記エコー除去後信号に基づいて前記送話信号を生成する出力信号生成部と、前記参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出部と、前記基準値算出部によって算出された前記複数の基準値を記憶する基準値記憶部と、前記複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定部と、を備え、前記適応フィルタ更新部は、前記期間長決定部にて決定された前記第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を前記基準値記憶部から取得し、前記第1の基準値を用いて前記適応フィルタを更新する。
 本開示の一態様に係るエコー除去方法は、遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカから出力された音が空間を伝搬してマイクに入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去方法であって、前記マイクから入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成ステップと、前記エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新ステップと、所定期間の前記遠端信号を参照信号として参照信号記憶部に記憶する参照信号記憶ステップと、前記参照信号記憶部に記憶された参照信号と前記適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成ステップと、前記マイク信号から前記疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去ステップと、前記エコー除去後信号に基づいて前記送話信号を生成する出力信号生成ステップと、前記参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出ステップと、前記基準値算出ステップによって算出された前記複数の基準値を基準値記憶部に記憶する基準値記憶ステップと、前記複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定ステップと、を含み、前記適応フィルタ更新ステップは、前記期間長決定ステップにて決定された前記第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を前記基準値記憶部から取得し、前記第1の基準値を用いて前記適応フィルタを更新する。
 本開示の一態様に係るエコー除去装置は、遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカから出力された音が空間を伝搬してマイクに入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去装置であって、前記エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部と、所定期間の前記遠端信号を参照信号として記憶する参照信号記憶部と、前記参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出部と、前記基準値算出部によって算出された前記複数の基準値を記憶する基準値記憶部と、前記複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定部と、を備え、前記適応フィルタ更新部は、前記期間長決定部にて決定された前記第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を前記基準値記憶部から取得し、前記第1の基準値を用いて前記適応フィルタを更新する。
 なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
 本開示の技術によれば、マイクの周囲の環境が変化した場合であっても即座にエコー音を除去することができる。
実施の形態1に係る音声入出力システムの構成例を示すブロック図 実施の形態1に係るエコー除去装置の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る、参照信号記憶部、基準値算出部、基準値記憶部及び適応フィルタ更新部を詳細に説明するための図 実施の形態2に係るエコー除去装置の構成の第1例を示すブロック図 実施の形態2に係るエコー除去装置の構成の第2例を示すブロック図 実施の形態2に係るゲイン調整部の処理の第1例を示すフローチャート 実施の形態2に係るゲイン調整部の処理の第2例を示すフローチャート 実施の形態2に係る周波数領域にてエコー信号を除去する処理例を示すフローチャート 実施の形態2に係るエコー除去装置の構成の第3例を示すブロック図 実施の形態2に係る目的音判定部の処理例を示すフローチャート
 以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
 図1は、実施の形態1に係る音声入出力システム1の構成例を示すブロック図である。
 音声入出力システム1は、WEB会議システム2と、ミキサ3と、少なくとも1つのマイク4と、少なくとも1つのスピーカ5とを含む。例えば、図1に示すように、近端側の部屋の音声入出力システム1と、遠端側の部屋の音声入出力システム1とが、通信ネットワーク(図示しない)を介して接続され、近端側の部屋のユーザと、遠端側の部屋のユーザとは、リモート会議を行うことができる。以下では、近端側の部屋の音声入出力システム1に注目して説明するが、以下の説明は、遠端側の部屋の音声入出力システム1にも当てはまる。
 WEB会議システム2は、通信ネットワーク(図示しない)を介して、他のWEB会議システム2と接続される。WEB会議システム2は、専用の装置、サーバ又はPCとして構成されてよい。なお、遠端側の部屋のWEB会議システム2がPCとして構成され、遠端側のマイク4及びスピーカ5は、PCに接続されたヘッドセットであってもよい。
 ミキサ3は、通信ネットワークを介して、WEB会議システム2に接続される。通信ネットワークは、例えば、有線LAN(Local Area network)、無線LAN、インターネット、又は、VPN(Virtual Private Network)によって構成されてよい。なお、ミキサ3は、ラックマウントミキサであってよい。
 ミキサ3には、少なくとも1つのマイク4と少なくとも1つのスピーカ5とが接続される。また、ミキサ3は、少なくとも1つのエコー除去装置10を備える。エコー除去装置10は、ミキサ3に追加搭載可能なDSPボードに実装されてもよい。
 エコー音は、WEB会議システム2からミキサ3に入力された遠端側のユーザの音声がスピーカ5から出力され、その出力音が、点線矢印901に示すように、空間を伝達してマイク4に入力され、この入力音声の信号がWEB会議システム2を介して遠端側に送信されることで、遠端側のユーザが発した音声が再度遠端側に帰還することにより発生する音である。
 なお、本実施の形態では、遠端側のユーザが発した音声を含む信号であって、遠端側から近端側に送信される信号を、遠端信号と称する。また、近端側のミキサ3から遠端側に送信される信号を、送話信号と称する。
 エコー除去装置10は、マイク4から入力された入力音声に含まれる遠端側のユーザが発した音声を除去し、その除去した音声(以下、エコー除去後音声と称する)を含む送話信号を、WEB会議システム2に出力する。この出力された送話信号は、遠端側のWEB会議システム2に送信され、遠端側のスピーカ5から出力される。これにより、遠端側のスピーカ5において、エコーが発生することを抑止できる。
 しかし、接続されているマイク4の本数、マイク4が存在する位置及び環境等が変化した場合、エコー音も変化し得る。以下では、このようにマイク4の環境が変動した場合でも、即座にエコー音を除去できるエコー除去装置10について詳細に説明する。
 図2は、実施の形態1に係るエコー除去装置10の構成例を示すブロック図である。
 エコー除去装置10は、マイク信号生成部11、エコー信号除去部12、出力信号生成部13、参照信号記憶部14、基準値算出部15、基準値記憶部16、適応フィルタ更新部17、疑似エコー信号生成部18、及び、期間長決定部19を含む。
 なお、マイク信号生成部11、エコー信号除去部12、出力信号生成部13、基準値算出部15、適応フィルタ更新部17、疑似エコー信号生成部18、及び、期間長決定部19は、エコー除去装置10が備える半導体回路として構成されてもよいし、エコー除去装置10が備えるプロセッサにて実行されるコンピュータプログラムとして実現されてもよい。また、参照信号記憶部14、及び、基準値記憶部16は、エコー除去装置10が備える揮発性又は不揮発性のメモリとして構成されてよい。
 マイク信号生成部11は、マイク4に入力された入力音声に基づいてマイク信号m[i]を生成し、出力する。ここで、iは時刻インデックスを示す。
 エコー信号除去部12は、マイク信号生成部11から出力されたマイク信号m[i]から、後述する疑似エコー信号生成部18によって生成された疑似エコー信号y^[i]を除去してエコー除去後信号を生成し、出力する。
 出力信号生成部13は、エコー信号除去部12から出力されたエコー除去後信号に基づいて送話信号e[i]を生成し、出力する。出力信号生成部13は、エコー除去後信号をそのまま送話信号として出力してもよいし、エコー除去後信号に所定の処理を施して送話信号を生成及び出力してもよい。
 参照信号記憶部14は、WEB会議システム2からスピーカ5に出力される遠端信号と同等の遠端信号を、所定期間分、参照信号x[i]として記憶する。参照信号記憶部14の詳細については後述する。
 基準値算出部15は、参照信号記憶部14に記憶されている参照信号を用いて基準値を算出する。基準値算出部15は、互いに異なる複数の期間のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出してよい。そして、基準値算出部15は、その算出した複数の期間のそれぞれに対応する複数の基準値を基準値記憶部16に記憶させる。基準値算出部15の詳細については後述する。
 基準値記憶部16は、基準値算出部15によって算出された複数の期間のそれぞれに対応する複数の基準値を記憶する。基準値記憶部16の詳細については後述する。
 適応フィルタ更新部17は、基準値記憶部16に記憶されている複数の基準値のうちのいずれか1つの基準値と、参照信号と、送話信号とを用いて、適応フィルタを更新(学習)する。
 疑似エコー信号生成部18は、参照信号と、適応フィルタ更新部17によって更新される適応フィルタとを用いて、疑似エコー信号を生成する。疑似エコー信号は、上記したエコー信号除去部12にて使用される。
 期間長決定部19は、適応フィルタに使用する基準値を選択するための、期間長を決定する。上記の適応フィルタ更新部17は、期間長決定部19によって決定された期間長に対応する基準値を基準値記憶部16から取得して使用する。期間長決定部19は、ミキサ3に接続されているマイク4の本数に基づいて期間長を決定してよい。また、期間長決定部19は、ミキサ3に接続されているマイク4の本数が変化した場合、期間長を決定し直してよい。また、期間長決定部19は、ミキサ3に接続されているマイク4の位置又は周囲の環境が変化した場合、期間長を決定し直してもよい。
 なお、接続されるマイク4の本数と期間長との対応関係は、予め定められてよい。また、当該対応関係は、マイク4が存在する環境毎に異なってよい。例えば、マイク4が存在する環境にて、接続されるマイク4の本数と期間長とを変えながらどの期間長が最もエコー除去効果が高いかを予め測定し、その測定結果に基づいて、接続されるマイク4の本数と期間長との対応関係を定めてよい。
 図3は、実施の形態1に係る、参照信号記憶部14、基準値算出部15、基準値記憶部16、及び、適応フィルタ更新部17を詳細に説明するための図である。
 参照信号記憶部14は、所定期間分の参照信号を記憶する。参照信号記憶部14は、例えばリングバッファ31として構成され、古い参照信号は新しい参照信号に順次置き換えられてよい。
 参照信号記憶部14は、例えば、期間[i]~[i-L3+1]の参照信号x[i]~x[i-L3+1]を記憶する。ここで、iは時刻インデックスを示し、x[i]は時刻インデックスiのときの参照信号を示す。L0、L1、L2、L3はタップ長を示す整数であり、L0<L1<L2<L3である。
 基準値算出部15は、互いに異なる複数のタップ長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する。本実施の形態では、基準値をノルム値とする。例えば、基準値算出部15は、タップ長L0のノルム値算出部40と、タップ長L1のノルム値算出部41と、タップ長L2のノルム値算出部42と、タップ長L3のノルム値算出部43とを有する。タップ長L0のノルム値算出部40と、タップ長L1のノルム値算出部41と、タップ長L2のノルム値算出部42と、タップ長L3のノルム値算出部43とは、並列に算出処理を行ってよい。これにより、基準値算出部15は、4つのノルム値を高速に算出することができる。
 タップ長L0のノルム値算出部40は、次の式(1)により、タップ長L0のノルム値NL0[i]を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 タップ長L1のノルム値算出部41は、次の式(2)により、タップ長L1のノルム値NL1[i]を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 タップ長L2のノルム値算出部42は、次の式(3)により、タップ長L2のノルム値NL2[i]を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 タップ長L3のノルム値算出部43は、次の式(4)により、タップ長L3のノルム値NL3[i]を算出する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 なお、上記の式(1)は、次の式(5)によって算出されてもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 これは、前回の時刻タイミング[i-1]で算出済みのノルム値NL0[i-1]に、現在の時刻インデックスiの参照信号の絶対値|x[i]|を加算し、期間外となった時刻インデックス[i-L0]の参照信号の絶対値|x[i-L0]|を減算して、タップ長L0のノルム値NL0[i]を算出する方法である。これにより、タップ長L0のすべての参照信号の絶対値を加算する方法と比べて計算量が少なくなるので、高速にノルム値を算出できる。タップ長L1のノルム値NL1[i]、タップ長L2のノルム値NL2[i]、タップ長L3のノルム値NL3[i]についても同様である。
 また、タップ長L0のノルム値NL0[i]は、上記の式(1)に代えて、次の式(6)によって算出されてもよい。タップ長L1のノルム値NL1[i]、タップ長L2のノルム値NL2[i]、タップ長L3のノルム値NL3[i]についても同様である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 タップ長L0のノルム値算出部40は、算出したタップ長L0のノルム値NL0[i]を、基準値記憶部16に格納する。タップ長L1のノルム値算出部41は、算出したタップ長L1のノルム値NL1[i]を、基準値記憶部16に格納する。タップ長L2のノルム値算出部42は、算出したタップ長L2のノルム値NL2[i]を、基準値記憶部16に格納する。タップ長L3のノルム値算出部43は、算出したタップ長L3のノルム値NL3[i]を、基準値記憶部16に格納する。これにより、基準値記憶部16には、NL0[i]、NL1[i]、NL2[i]、NL3[i]が格納される。
 適応フィルタ更新部17は、期間長決定部19による決定に応じて、基準値記憶部16から、NL0[i]、NL1[i]、NL2[i]、NL3[i]のうちのいずれか1つを選択する。以下、ここで選択されたタップ長をLと表現し、選択されたノルム値をN[i]と表現する。
 適応フィルタ更新部17は、次の式(7)により、適応フィルタ係数の更新量Δω(i)[l]を算出する。ここで、lはタップインデックスを示し、μ[l]はタップインデックスlに対応したステップゲインを示し、e[i]は送話信号を示す。φ()は非線形関数を示す。φ()の例として、恒等関数id(x)=x、sign()、tanh()等が挙げられる。例えば、φ(e[i])は、tanh(αe[i])であってよい。ここで、αはスケーリング係数である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
 適応フィルタ更新部17は、式(7)で算出した適応フィルタ係数の更新量Δω(i)[l]を用いて、次の式(8)により、適応フィルタ係数ω(i+1)[l]を算出する。ここで、ω(i)[l]は、時刻インデックスiにおけるlタップ目の適応フィルタ係数を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
 疑似エコー信号生成部18は、式(8)で算出された適応フィルタ係数を用いて、次の式(9)により、疑似エコー信号y^[i]を生成する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000009
 エコー信号除去部12は、式(9)で算出された疑似エコー信号y^[i]を用いて、次の式(10)により、エコー除去後信号(送話信号)e[i]を生成する。すなわち、エコー信号除去部12は、マイク信号m[i]から疑似エコー信号y^[i]を除去し、エコー除去後信号(送話信号)e[i]を生成する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000010
 出力信号生成部13は、このように生成されたエコー除去後信号(送話信号)e[i]を、WEB会議システム2へ出力する。これにより、エコー音を除去した送話信号を送信できる。
 上述した方法によれば、基準値記憶部16には、最新の時刻インデックスiにおける、タップ長がそれぞれ異なるノルム値NL0[i]、NL1[i]、NL2[i]、NL3[i]が格納される。よって、適応フィルタ更新部17は、接続されるマイク4の本数が変わった場合又はマイク4が存在する環境が変わった場合等、エコー音の特性が変化した場合に、基準値記憶部16に格納されている互いに異なる複数のノルム値のうち、特性が変化したエコー信号の除去に最適なノルム値を選択することにより、適応フィルタを、変化後のエコー信号を適切に除去可能なものに即座に更新できる。すなわち、エコー除去装置10は、エコー音の特性が変化した場合であっても、即座にエコー音の除去を行うことができる。
 なお、上述では、タップ長の数をL0、L1、L2、L3の4つとして説明したが、タップ長の数は2つ以上であればいくつであってもよい。
(実施の形態1のまとめ)
 実施の形態1には次の技術が開示される。
<技術A1>
 遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカ5から出力された音が空間を伝搬してマイク4に入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去装置10は、マイク4から入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成部11と、エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部17と、所定期間の遠端信号を参照信号として記憶する参照信号記憶部14と、参照信号記憶部14に記憶された参照信号と適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成部18と、マイク信号から疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去部12と、エコー除去後信号に基づいて送話信号を生成する出力信号生成部13と、参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出部15と、基準値算出部15によって算出された複数の基準値を記憶する基準値記憶部16と、複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定部19と、を備え、適応フィルタ更新部17は、期間長決定部19にて決定された第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を基準値記憶部16から取得し、第1の基準値を用いて適応フィルタを更新する。
 これにより、基準値記憶部16には、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値が記憶されているため、適応フィルタ更新部17は、期間長決定部19の決定に応じて適切な第1の基準値を基準値記憶部16から即座に取得して適応フィルタを更新することができる。すなわち、エコー除去装置10は、マイク4の環境が変化した場合に、即座に適切なエコー除去を行うことができる。
<技術A2>
 技術A1に記載のエコー除去装置10において、期間長は、タップ長であり、基準値は、ノルム値であり、基準値算出部15は、タップ長に対応する参照信号に基づいて、タップ長に対応するノルム値を算出する。
 これにより、複数のタップ長のそれぞれに対応する複数のノルム値が基準値記憶部16に記憶される。
<技術A3>
 技術A1又はA2に記載のエコー除去装置10において、期間長決定部19は、接続されているマイクの数に基づいて第1の期間長を決定する。
 これにより、エコー除去装置10は、接続されているマイク4の数が変化した場合に、即座に適切なエコー除去を行うことができる。
<技術A4>
 遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカ5から出力された音が空間を伝搬してマイク4に入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去方法は、マイク4から入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成ステップと、エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新ステップと、所定期間の遠端信号を参照信号として参照信号記憶部14に記憶する参照信号記憶ステップと、参照信号記憶部14に記憶された参照信号と適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成ステップと、マイク信号から疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去ステップと、エコー除去後信号に基づいて送話信号を生成する出力信号生成ステップと、参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出ステップと、基準値算出ステップによって算出された複数の基準値を基準値記憶部16に記憶する基準値記憶ステップと、複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定ステップと、を含み、適応フィルタ更新ステップは、期間長決定ステップにて決定された第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を基準値記憶部16から取得し、第1の基準値を用いて前記適応フィルタを更新する。
 これにより、基準値記憶部16には、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値が記憶されているため、適応フィルタ更新ステップは、期間長決定ステップの決定に応じて適切な第1の基準値を基準値記憶部16から即座に取得して適応フィルタを更新することができる。すなわち、エコー除去装置10は、マイク4の環境が変化した場合に、即座に適切なエコー除去を行うことができる。
<技術A5>
 遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカ5から出力された音が空間を伝搬してマイク4に入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去装置10は、エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部17と、所定期間の遠端信号を参照信号として記憶する参照信号記憶部14と、参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出部15と、基準値算出部15によって算出された複数の基準値を記憶する基準値記憶部16と、複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定部19と、を備え、適応フィルタ更新部17は、期間長決定部にて決定された第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を基準値記憶部16から取得し、第1の基準値を用いて適応フィルタを更新する。
 これにより、基準値記憶部16には、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値が記憶されているため、適応フィルタ更新部17は、期間長決定部19の決定に応じて適切な第1の基準値を基準値記憶部16から即座に取得して適応フィルタを更新することができる。すなわち、エコー除去装置10は、マイク4の環境が変化した場合に、即座に適切なエコー除去を行うことができる。
(実施の形態2)
 実施の形態2では、実施の形態1にて説明済みの構成要素については、共通の参照番号を付して説明を省略する場合がある。
 図4A及び図4Bは、実施の形態2に係るエコー除去装置10の構成例を示すブロック図である。
 エコー除去装置10は、マイク信号生成部11、エコー信号除去部12、出力信号生成部13、参照信号記憶部14、基準値算出部15、基準値記憶部16、適応フィルタ更新部17、疑似エコー信号生成部18、期間長決定部19、目的音判定部20、ゲイン調整部21、周波数スペクトル変換部22A、周波数スペクトル変換部22B、参照スペクトル平滑化部23、疑似エコー信号スペクトル生成部24、周波数領域適応フィルタ更新部25、及び、スペクトル減算部26を含む。
 なお、目的音判定部20、ゲイン調整部21、周波数スペクトル変換部22A、周波数スペクトル変換部22B、参照スペクトル平滑化部23、疑似エコー信号スペクトル生成部24、周波数領域適応フィルタ更新部25、及び、スペクトル減算部26は、エコー除去装置10が備える半導体回路として構成されてもよいし、エコー除去装置10が備えるプロセッサにて実行されるコンピュータプログラムとして実現されてもよい。
 マイク信号生成部11、エコー信号除去部12、参照信号記憶部14、基準値算出部15、基準値記憶部16、適応フィルタ更新部17、疑似エコー信号生成部18、期間長決定部19については、実施の形態1にて説明済みであるので、ここでは説明を省略する。
 目的音判定部20は、エコー信号除去部12から出力されるエコー除去後信号に目的音信号が含まれているか否かを判定する。目的音信号とは、遠端側に送信され、遠端側での受聴が期待される音声の信号である。例えば、マイク入力信号をm[i]、近端音声信号をs[i]、エコー信号をy[i]とした場合、m[i]=s[i]+y[i]と表現され、目的音信号はs[i]に相当する。このs[i]は、マイク4に対する近端話者の発話音声となる。なお、目的音判定部20の処理の詳細については後述する。
 ゲイン調整部21は、目的音判定部20による判定結果に基づいて、エコー信号除去部12から出力されるエコー除去後信号のゲインを調整し、ゲイン調整後信号を出力する。例えば、ゲイン調整部21は、目的音判定部20がエコー除去後信号に目的音信号が含まれていると判定した場合、エコー除去後信号のゲインを増幅させる調整を行う。これにより、受聴者が目的音を良く聞きとれるようになる。例えば、ゲイン調整部21は、目的音判定部20がエコー除去後信号に目的音信号が含まれていないと判定した場合、エコー除去後信号のゲインを減衰させる調整を行う。これにより、除去しきれなかったエコー音が不要に大きく遠端へと送話されることを抑止できる。なお、ゲイン調整部21の処理の詳細については後述する。
 出力信号生成部13は、ゲイン調整部21から出力されるゲイン調整後信号に基づいて送話信号を生成し、出力する。出力信号生成部13は、ゲイン調整後信号をそのまま送話信号として出力してもよいし、ゲイン調整後信号に所定の処理を施して送話信号を生成及び出力してもよい。
 なお、周波数スペクトル変換部22A、周波数スペクトル変換部22B、参照スペクトル平滑化部23、疑似エコー信号スペクトル生成部24、周波数領域適応フィルタ更新部25、及び、スペクトル減算部26の処理については、後に図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
 次に、ゲイン調整部21の処理について詳細に説明する。ゲイン調整部21は、以下の図5A又は図5Bのいずれかの処理を行ってよい。
 図5Aは、実施の形態2に係るゲイン調整部21の処理の第1例を示すフローチャートである。
 ゲイン調整部21は、目的音判定部20による判定結果に基づいてエコー除去後信号に目的音信号が含まれているか否かを判定する(S201)。
 エコー除去後信号に目的音信号が含まれる場合(S201:YES)、ゲイン調整部21は、次の処理を実行する。
 ゲイン調整部21は、マイク信号m[i]のピーク値を算出する(S202)。
 ゲイン調整部21は、ステップS202で算出したマイク信号のピーク値に基づき、ゲイン調整値γを決定する(S203)。例えば、ゲイン調整部21は、マイク信号のピーク値が所定の閾値T1よりも大きい場合、ゲイン調整値γを1よりも小さな値(例えば0.9999)に決定し、マイク信号のピーク値が所定の閾値T2(<T1)よりも小さい場合、ゲイン調整値γを1よりも大きな値(例えば1.0001)に決定する。
 そして、ゲイン調整部21は、決定したゲイン調整値γをゲイン値gに乗算することでゲイン値gを更新する(S204)。そして、ゲイン調整部21は、処理をステップS220に進める。
 エコー除去後信号に目的音信号が含まれない場合(S201:NO)、ゲイン調整部21は、次の処理を実行する。
 ゲイン調整部21は、前回のゲイン値gが1よりも大きいか否かを判定する(S210)。
 前回のゲイン値gが1以下である場合(S210:NO)、ゲイン調整部21は、処理をステップS220に進める。
 前回のゲイン値gが1よりも大きい場合(S210:YES)、ゲイン調整部21は、ゲイン調整値γを1よりも小さい値(例えば0.9999)に設定する。(S211)。
 そして、ゲイン調整部21は、決定したゲイン調整値γをゲイン値gに乗算することでゲイン値gを更新する。そして、ゲイン調整部21は、処理をステップS220に進める。
 ゲイン調整部21は、エコー除去後信号にゲイン値gを乗算し、ゲイン調整後信号を生成及び出力する(S220)。そして、ゲイン調整部21は、処理をステップS201に戻す。
 以上の処理によれば、エコー除去後信号に目的音信号が含まれていない場合、ゲイン調整値γは1よりも小さくなるので、上述した図5Aに示す処理を繰り返すことで、エコー除去後信号のレベルは徐々に小さくなる。つまり、除去しきれずエコー除去後信号に残っているエコー音も徐々に減衰する。これにより、除去しきれなかったエコー音が不要に大きくなった送話信号が遠端側に送信されることを抑止できる。
 図5Bは、実施の形態2に係るゲイン調整部21の処理の第2例を示すフローチャートである。
 ゲイン調整部21は、目的音判定部20による判定結果に基づいてエコー除去後信号に目的音信号が含まれているか否かを判定する(S231)。
 エコー除去後信号に目的音信号が含まれる場合(S231:YES)、ゲイン調整部21は、次の処理を実行する。
 ゲイン調整部21は、マイク信号m[i]のピーク値を算出する(S232)。
 ゲイン調整部21は、ステップS232で算出したマイク信号のピーク値に基づき、ゲイン調整値βを決定する(S233)。例えば、ゲイン調整部21は、マイク信号のピーク値が所定の閾値T1よりも大きい場合、ゲイン調整値βを正の値(例えば「+0.0001」)に決定し、マイク信号のピーク値が所定の閾値T2(<T1)よりも小さい場合、ゲイン調整値βを負の値(例えば「-0.0001」)に決定する。
 そして、ゲイン調整部21は、決定したゲイン調整値βをゲイン値gに加算することでゲイン値gを更新する(S234)。そして、ゲイン調整部21は、処理をステップS250に進める。
 エコー除去後信号に目的音信号が含まれない場合(S231:NO)、ゲイン調整部21は、次の処理を実行する。
 ゲイン調整部21は、前回のゲイン値gが1よりも大きいか否かを判定する(S240)。
 前回のゲイン値gが1以下である場合(S240:NO)、ゲイン調整部21は、処理をステップS250に進める。
 前回のゲイン値gが1よりも大きい場合(S240:YES)、ゲイン調整部21は、ゲイン調整値βを負の値(例えば「-0.0001」)に設定する。(S241)。
 そして、ゲイン調整部21は、決定したゲイン調整値βをゲイン値gに加算することでゲイン値gを更新する。そして、ゲイン調整部21は、処理をステップS250に進める。
 ゲイン調整部21は、エコー除去後信号にゲイン値gを乗算し、ゲイン調整後信号を生成及び出力する(S250)。そして、ゲイン調整部21は、処理をステップS231に戻す。
 以上の処理によれば、エコー除去後信号に目的音信号が含まれていない場合、ゲイン調整値βは負の値となるので、上述した図5Bに示す処理を繰り返すことで、エコー除去後信号のレベルは徐々に小さくなる。つまり、除去しきれずエコー除去後信号に残っているエコー音も徐々に減衰する。これにより、除去しきれなかったエコー音が不要に大きくなった送話信号が遠端側に送話されることを抑止できる。
 図6は、実施の形態2に係る周波数領域にてエコー信号を除去する処理例を示すフローチャートである。
 周波数スペクトル変換部22Aは、マイク信号生成部11からマイク信号を取得し(図4A参照)、周波数スペクトル変換部22Bは参照信号を取得する(S301)。
 周波数スペクトル変換部22Aはマイク信号を周波数スペクトルに変換し、周波数スペクトル変換部22Bは参照信号を周波数スペクトルに変換する(S302)。以下、マイク信号を周波数スペクトルに変換したものをマイク信号スペクトルと称し、参照信号を周波数スペクトルに変換したものを参照信号スペクトルと称する。ここで、周波数スペクトルとは時間領域信号を離散フーリエ変換または高速フーリエ変換によって変換することで得られる周波数領域信号を表し、複素スペクトル、その絶対値である振幅スペクトル、または二乗値であるパワースペクトルを表す。
 なお、周波数スペクトル変換部22Aは、ステップS301及びS302において、図4Bに示すように、エコー信号除去部12からエコー除去後信号を取得し、エコー除去後信号を周波数スペクトルに変換し、マイク信号スペクトルとしてもよい。図4A及び図4Bに示すいずれの方法によっても、目的音判定部20において目的音が存在するか否かの判別が可能である。
 参照スペクトル平滑化部23は、参照信号スペクトルを平滑化する(S303)。ここで、平滑化は周波数スペクトルを時間方向に平均化する処理を表し、移動平均処理や指数平滑化など、一般的に時系列信号に対して行われる平均化処理を表す。
 疑似エコー信号スペクトル生成部24は、平滑化した参照信号スペクトルと、周波数領域適応フィルタを用いて、疑似エコー信号の周波数スペクトルに相当する疑似エコースペクトルを生成する。周波数領域適応フィルタ更新部25は、平滑化した参照信号スペクトルと、スペクトル減算部26で算出される減算後のスペクトルに基づいて、周波数領域適応フィルタを更新する。周波数領域適応フィルタは、一般にLMS、NLMS、APA、RLS法などの適応アルゴリズムまたはICA、IVAなどの音源分離アルゴリズムを用いて減算後の周波数スペクトルが最小となるように更新される。
 スペクトル減算部26は、マイク信号スペクトルから疑似エコー信号スペクトルを減算し、近端音声信号の周波数スペクトルに相当する近端音声信号スペクトルを生成する(S305)。ここで、近端音声信号は、近端側のマイク4に入力された話者の音声の信号であり、目的音信号に相当する。
 なお、図7に示すように、周波数スペクトル変換部22Aの後段に非線形抑圧部28、周波数スペクトル逆変換部29を設け、非線形抑圧部28にて使用する抑圧量を算出するための抑圧量算出部27を設けても良い。抑圧量算出部27は、周波数スペクトル変換部22Aによって得られた周波数スペクトルとスペクトル減算部26で得られた周波数スペクトルとに基づいて、非線形抑圧部28にて使用する抑圧量を算出する。抑圧量はスペクトルサブトラクション法やウィーナフィルタといった一般的な方法によって算出される。非線形抑圧部28は、周波数スペクトル変換部22Aで得られた周波数領域の複素スペクトルに対し、抑圧量算出部27で得られた抑圧量を乗算することで非線形抑圧を行う。非線形抑圧が施された複素スペクトルは周波数スペクトル逆変換部29へと入力される。周波数スペクトル逆変換部29は入力された複素スペクトル信号を時間領域信号へと変換する処理であり、離散逆フーリエ変換や高速逆フーリエ変換によって求められる。
 図8は、実施の形態2に係る目的音判定部20の処理例を示すフローチャートである。本処理は、図6に示す処理の後に実行されてよい。
 目的音判定部20には、スペクトル減算部26によって生成された近端音声信号スペクトルが入力される(S401)。
 目的音判定部20は、所定帯域の近端音声スペクトルを平均化する(S402)。ここで、所定帯域は、人間の音声スペクトルが含まれる帯域であり、例えば0.5kHz~4kHzであってよい。
 目的音判定部20は、平均化した近端音声信号スペクトルを時間方向に平滑化し、平滑化信号を生成する(S403)。ここで、平滑化は、第1の時間(短時間)の時定数と、当該第1の時間よりも長い第2の時間(長時間)の時定数とによる指数平滑化出力の相加平均として算出されてよい。短時間の平滑化は信号の立ち上がりを素早く検出し、長時間の平滑化は信号の立下りをゆっくりと検出する役割を果たす。
 目的音判定部20は、平滑化信号に対するノイズフロアレベルを算出する(S404)。
 目的音判定部20は、平滑化信号及びノイズフロアレベルに基づいて第1の閾値を算出する(S405)。例えば、目的音判定部20は、ステップS404で算出したノイズフロアレベルに所定の第2の閾値を加えた値、又は、当該値よりも大きい値を、第1の閾値とする。
 目的音判定部20は、ステップS403で算出された平滑化信号のレベルが第1の閾値以上であるか否かを判定する(S406)。
 ステップS403で算出された平滑化信号のレベルが第1の閾値以上である場合(S406:YES)、目的音判定部20は、エコー除去後信号に目的音信号が含まれていると判定し(S407)、本処理を終了する。
 ステップS403で算出された平滑化信号のレベルが第1の閾値未満である場合(S406:NO)、目的音判定部20は、エコー除去後信号に目的音信号が含まれていないと判定し(S408)、本処理を終了する。
 なお、目的音判定部20は、次の方法によってエコー除去後信号に目的音信号が含まれているか否かを判定してもよい。すなわち、目的音判定部20は、マイク信号のレベルとエコー除去後信号のレベルとの差分が所定の第3の閾値未満である場合、目的音信号がエコー除去後信号に含まれていると判定し、当該差分が第3の閾値以上である場合、目的音信号がエコー除去後信号に含まれていないと判定してもよい。
 以上の処理により、目的音判定部20は、エコー除去後信号に目的音信号が含まれているか否かを判定できる。また、周波数領域で処理を行うことにより、所定帯域におけるスペクトルの調整及び判定が容易になる。
(実施の形態2のまとめ)
 実施の形態2には次の技術が開示される。
<技術B1>
 スピーカ5から出力された音が空間を伝搬してマイク4に入力された音であるエコー音を除去するエコー除去装置10は、マイク4から入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成部11と、エコー音に関する信号であるエコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部17と、スピーカ5から出力される音に関する信号である出力信号と適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成部18と、マイク信号から疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去部12と、エコー信号とは異なる信号である目的音信号がエコー除去後信号に含まれているか否かを判定する目的音判定部20と、目的音判定部20による判定結果に基づいてエコー除去後信号のゲインを調整するゲイン調整部21と、ゲイン調整部21によって調整されたエコー除去後信号に基づいて出力信号を生成する出力信号生成部13と、を備える。
 これにより、目的音信号がエコー除去後信号に含まれているか否かに応じてゲインを調整することができる。
<技術B2>
 技術B1に記載のエコー除去装置10において、目的音判定部20は、所定期間におけるエコー除去後信号を平準化した平準化信号のレベルが所定の第1の閾値以上である場合、目的音信号がエコー除去後信号に含まれていると判定する。
 これにより、目的音判定部20は、目的音信号がエコー除去後信号に含まれているか否かを判定できる。
<技術B3>
 技術B2に記載のエコー除去装置10において、第1の閾値は、平滑化信号に対するノイズフロアレベルに所定の第2の閾値を加えた値、又は、当該値よりも大きい値である。
 これにより、目的音信号がエコー除去後信号に含まれているか否かの判定に用いられる第1の閾値を決定できる。
<技術B4>
 技術B1に記載のエコー除去装置10において、目的音判定部20は、マイク信号のレベルとエコー除去後信号のレベルとの差分が所定の第3の閾値未満である場合、目的音信号がエコー除去後信号に含まれていると判定し、差分が前記第3の閾値以上である場合、
目的音信号が前記エコー除去後信号に含まれていないと判定する。
 これにより、目的音判定部20は、目的音信号がエコー除去後信号に含まれているか否かを判定できる。
<技術B5>
 技術B1からB4のいずれか1つに記載のエコー除去装置10において、ゲイン調整部21は、目的音信号がエコー除去後信号に含まれていないという判定結果であった場合、
エコー除去後信号のゲインを減衰させる調整を行う。
 これにより、目的音信号を含まないエコー除去後信号のゲインは減衰する。よって、エコー除去後信号に残っているエコー信号が不要に増幅された送話信号が遠端側に送信されることを抑止できる。
<技術B6>
 技術B1からB5のいずれか1つに記載のエコー除去装置10において、ゲイン調整部21は、目的音信号がエコー除去後信号に含まれているという判定結果であった場合、マイク信号のピーク値に基づいてエコー除去後信号のゲインの増幅又は減衰を決定する。
 これにより、目的音信号を含むエコー除去後信号のゲインは適切に調整される。よって、聴取者が目的音を良く聞きとれるようになる。
<技術B7>
 スピーカ5から出力された音が空間を伝搬してマイク4に入力された音であるエコー音を除去するエコー除去方法は、マイク4から入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成ステップと、エコー音に関する信号であるエコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新ステップと、スピーカ5から出力される音に関する信号である出力信号と適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成ステップと、マイク信号から疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去ステップと、エコー信号とは異なる信号である目的音信号がエコー除去後信号に含まれているか否かを判定する目的音判定ステップと、目的音判定ステップによる判定結果に基づいてエコー除去後信号のゲインを調整するゲイン調整ステップと、ゲイン調整ステップによって調整されたエコー除去後信号に基づいて出力信号を生成する出力信号生成ステップと、を含む。
 これにより、目的音信号がエコー除去後信号に含まれているか否かに応じてゲインを調整することができる。
 以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
 なお、本出願は、2022年9月28日出願の日本特許出願(特願2022-155171)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
 本開示の技術は、マイクとスピーカを有するシステム及び装置、並びに、当該システム及び装置にてマイクから入力された音声信号を処理する方法及びコンピュータプログラム等に有用である。
1 音声入出力システム
2 WEB会議システム
3 ミキサ
4 マイク
5 スピーカ
10 エコー除去装置
11 マイク信号生成部
12 エコー信号除去部
13 出力信号生成部
14 参照信号記憶部
15 基準値算出部
16 基準値記憶部
17 適応フィルタ更新部
18 疑似エコー信号生成部
19 期間長決定部
20 目的音判定部
21 ゲイン調整部
31 リングバッファ
40 タップ長L0のノルム値算出部
41 タップ長L1のノルム値算出部
42 タップ長L2のノルム値算出部
43 タップ長L3のノルム値算出部
901 点線矢印

Claims (5)

  1.  遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカから出力された音が空間を伝搬してマイクに入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去装置であって、
     前記マイクから入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成部と、
     前記エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部と、
     所定期間の前記遠端信号を参照信号として記憶する参照信号記憶部と、
     前記参照信号記憶部に記憶された参照信号と前記適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成部と、
     前記マイク信号から前記疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去部と、
     前記エコー除去後信号に基づいて送話信号を生成する出力信号生成部と、
     前記参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出部と、
     前記基準値算出部によって算出された前記複数の基準値を記憶する基準値記憶部と、
     前記複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定部と、を備え、
     前記適応フィルタ更新部は、前記期間長決定部にて決定された前記第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を前記基準値記憶部から取得し、前記第1の基準値を用いて前記適応フィルタを更新する、
     エコー除去装置。
  2.  前記期間長は、タップ長であり、
     前記基準値は、ノルム値であり、
     前記基準値算出部は、前記タップ長に対応する前記参照信号に基づいて、前記タップ長に対応する前記ノルム値を算出する、
     請求項1に記載のエコー除去装置。
  3.  前記期間長決定部は、接続されている前記マイクの数に基づいて前記第1の期間長を決定する、
     請求項1又は2に記載のエコー除去装置。
  4.  遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカから出力された音が空間を伝搬してマイクに入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去方法であって、
     前記マイクから入力される音に基づいてマイク信号を生成するマイク信号生成ステップと、
     前記エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新ステップと、
     所定期間の前記遠端信号を参照信号として参照信号記憶部に記憶する参照信号記憶ステップと、
     前記参照信号記憶部に記憶された参照信号と前記適応フィルタとに基づいて疑似エコー信号を生成する疑似エコー信号生成ステップと、
     前記マイク信号から前記疑似エコー信号を除去してエコー除去後信号を生成するエコー信号除去ステップと、
     前記エコー除去後信号に基づいて送話信号を生成する出力信号生成ステップと、
     前記参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出ステップと、
     前記基準値算出ステップによって算出された前記複数の基準値を基準値記憶部に記憶する基準値記憶ステップと、
     前記複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定ステップと、を含み、
     前記適応フィルタ更新ステップは、前記期間長決定ステップにて決定された前記第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を前記基準値記憶部から取得し、前記第1の基準値を用いて前記適応フィルタを更新する、
     エコー除去方法。
  5.  遠端側から受信した遠端信号に基づいてスピーカから出力された音が空間を伝搬してマイクに入力された音に関する信号であるエコー信号を除去するエコー除去装置であって、
     前記エコー信号の推定に用いられる適応フィルタを更新する適応フィルタ更新部と、
     所定期間の前記遠端信号を参照信号として記憶する参照信号記憶部と、
     前記参照信号に基づいて、互いに異なる複数の期間長のそれぞれに対応する複数の基準値を並列に算出する基準値算出部と、
     前記基準値算出部によって算出された前記複数の基準値を記憶する基準値記憶部と、
     前記複数の期間長のうちの1つを第1の期間長に決定する期間長決定部と、を備え、
     前記適応フィルタ更新部は、前記期間長決定部にて決定された前記第1の期間長に対応する基準値である第1の基準値を前記基準値記憶部から取得し、前記第1の基準値を用いて前記適応フィルタを更新する、
     エコー除去装置。
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