WO2023176390A1

WO2023176390A1 - 情報処理装置、情報処理方法、および記録媒体

Info

Publication number: WO2023176390A1
Application number: PCT/JP2023/006963
Authority: WO
Inventors: 真秀林; 裕也高山; 哲男池田; 誠史友永; 泰宏湯川
Original assignee: ソニーグループ株式会社
Priority date: 2022-03-16
Filing date: 2023-02-27
Publication date: 2023-09-21

Abstract

本技術は、広告の効果を精度よく測定することができるようにする情報処理装置、情報処理方法、および記録媒体に関する。本技術の情報処理装置は、ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、ユーザが広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、広告の効果を測定する効果測定部を備える。効果測定部は、遭遇タイミングから消費タイミングまでの所要消費時間に応じた重みを用いて算出した評価値に基づいて、広告の効果を測定する。本技術は、例えば、車両により提示される広告の効果を測定するサーバに適用することができる。

Description

情報処理装置、情報処理方法、および記録媒体

　本技術は、情報処理装置、情報処理方法、および記録媒体に関し、特に、広告の効果を精度よく測定することができるようにした情報処理装置、情報処理方法、および記録媒体に関する。

　トラックなどの車両が、広告の表示媒体として利用されている。広告は、歩行者や他の車両の運転者などの消費者の消費行動を促進させる効果を有する。

　広告の効果は、例えば、広告に対する運転者の注視度と運転者の消費行動の適合度に基づいて測定される（例えば、特許文献１参照）。

特開２０２１－３６３６６号公報

　一般的に、消費者は、街中で広告を見かけたとしてもそのタイミングで消費行動を起こさず、広告を見てから時間が経った帰宅後などのタイミングで消費行動を起こすと考えられる。特許文献１に記載の技術においては、消費者が広告を見てから消費行動を起こすまでの時間差が、広告の効果の測定に反映されていないため、広告の効果の測定精度が低くなる可能性がある。

　本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、広告の効果を精度よく測定することができるようにするものである。

　本技術の一側面の情報処理装置は、ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の効果を測定する効果測定部を備える。

　本技術の一側面の情報処理方法は、情報処理装置が、ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の評価値を算出する。

　本技術の一側面の記録媒体は、ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の評価値を算出する処理を実行させるためのプログラムを記録する。

　本技術の一側面においては、ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の評価値が算出される。

本技術の一実施形態に係る広告評価システムの構成例を示す図である。広告主用端末と広告事業者サーバの構成例を示すブロック図である。広告情報の例を示す図である。広告提示用車両の構成例を示すブロック図である。車両情報の例を示す図である。個人端末の構成例を示すブロック図である。消費者情報の例を示す図である。広告効果測定サーバの構成例を示すブロック図である。注視度の算出方法の例を示す図である。 AISASモデルに基づく消費段階の例を示す図である。評価システムに応じた消費段階の判定方法の例を示す図である。広告対象物のカテゴリに応じた予測消費時間の例を示す図である。所要消費時間と予測消費時間の差に応じた重みの値の例を示す図である。広告効果測定サーバが行う処理について説明するフローチャートである。図１４のステップＳ２において行われる評価システム判定処理について説明する。フローチャートである。広告一覧アプリで表示される画面の例を示す図である。受動型評価システムの処理の流れを説明する。検索用アプリで表示される画面の例を示す図である。検索キーの例を示す図である。能動型評価システムの処理の流れを説明するフローチャートである。潜在型評価システムにおける消費段階の判定方法の例を示す図である。潜在型評価システムの処理の流れを説明するフローチャートである。広告の効果の分析結果を利用する例を示す図である。広告の効果を分析する広告効果測定サーバの構成例を示すブロック図である。広告の効果の分析結果を利用する広告主用端末の構成例を示すブロック図である。広告の効果の分析結果を利用する広告提示用車両の構成例を示すブロック図である。消費段階に応じた報酬の例を示す図である。消費段階に応じて報酬を決定する広告事業者サーバの構成例を示すブロック図である。消費段階に応じた報酬を受け取る広告提示用車両の構成例を示すブロック図である。消費段階の原因を分析する広告効果測定サーバの構成例を示すブロック図である。消費者情報に応じたフィードバック内容を示す図である。消費段階の分析結果を利用する広告主用端末の構成例を示すブロック図である。消費者の移動方法に応じた広告の例を示す図である。消費者の移動方法を判定する広告効果測定サーバの構成例を示すブロック図である。消費者の移動方法に応じて広告を変更する広告提示用車両の構成例を示すブロック図である。消費者の周辺の地図情報に応じた広告の例を示す図である。消費者の周辺の地図情報に応じて広告を変更する広告提示用車両の構成例を示すブロック図である。屋外広告媒体の構成例を示すブロック図である。コンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。

　以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
　１．広告評価システムの構成
　２．広告効果測定サーバの動作
　３．適用例

＜１．広告評価システムの構成＞
・広告評価システム全体について
　図１は、本技術の一実施形態に係る広告評価システムの構成例を示す図である。

　図１の広告評価システムは、広告主用端末１、広告事業者サーバ２、広告提示用車両３、個人端末４、および広告効果測定サーバ５により構成される。広告主用端末１、広告事業者サーバ２、広告提示用車両３、個人端末４、および広告効果測定サーバ５は、例えば、ネットワークを介して接続される。

　広告主用端末１は、スマートフォン、タブレット端末、PCなどにより構成される。広告主となる企業は、商品やサービスの利用を促進するための広告を、広告事業者となる他の企業に委託し、広告主用端末１を操作して、当該広告についての情報である広告情報を定義する。広告主用端末１は、広告主による操作に基づいて定義した広告情報を広告事業者サーバ２に送信する。

　広告事業者サーバ２は、広告事業者により管理される。広告事業者は、広告主から委託された広告を広告事業者サーバ２に集約する。広告事業者サーバ２は、広告主用端末１から送信されてきた広告情報を複数の広告提示用車両３のそれぞれに振り分けて送信する。

　広告提示用車両３は、広告を消費者に提示する広告媒体が設けられたラッピングカーや、トラック、タクシー、その他の小型自動車により構成される。

　広告提示用車両３は、例えば、広告事業者サーバ２から送信されてきた広告情報に対応する広告画像を、広告媒体としてのディスプレイに表示する。図１の例では、広告提示用車両３の側面に設けられたディスプレイに、飲料の購入を促進するための広告が表示されている。

　広告提示用車両３は、広告を提示しながら走行した位置情報の履歴などを示す車両情報を定義し、広告効果測定サーバ５に送信する。

　個人端末４は、ユーザとなる消費者が携帯するスマートフォン、タブレット端末、PCなどのデジタルデバイスにより構成される。消費者は、歩行者や、広告提示用車両３以外の車両の搭乗者、自転車の運転者などを含む。

　消費者は、例えば、外出先で遭遇した広告提示用車両３により提示される広告を見て、帰宅後に当該広告の広告対象物を購入するなどの消費行動を起こす。消費者は、例えば個人端末４を用いてEC(Electronic Commerce)サイトを閲覧し、広告対象物を購入することができる。

　個人端末４は、消費者の位置情報の履歴、個人端末４に対する操作内容の履歴などを示す消費者情報を定義し、広告効果測定サーバ５に送信する。

　広告効果測定サーバ５は、広告提示用車両３と個人端末４から車両情報と消費者情報を取得し、車両情報と消費者情報に基づいて広告の効果を測定する機能を有する情報処理装置により構成される。

・広告主用端末１と広告事業者サーバ２について
　図２は、広告主用端末１と広告事業者サーバ２の構成例を示すブロック図である。

　図２に示すように、広告主用端末１は、広告情報定義部２１を備える。

　広告情報定義部２１は、広告主による操作に応じて広告情報を定義する。

　図３は、広告情報の例を示す図である。

　図３の例では、広告情報として、企業、商品名、価格、カテゴリ、広告形式、広告内容、ターゲット層、および予測消費時間が定義される。

　企業には広告主の企業の名称が記録され、商品名には、広告対象物の名称が記録される。価格には、広告対象物の価格が記録され、カテゴリには、飲料、食品、場所、イベントといった広告対象物の種類が記録される。なお、広告対象物には、飲料や食品などの物だけではなく、イベントなどのサービスも含まれる。

　広告内容には、犬、猫、成人女性といった広告に登場するものや人物が記録され、予測消費時間には、消費者が広告を見てから消費行動を起こすまでに要すると予測される時間が記録される。

　広告情報定義部２１は、定義した広告情報を、図２の広告事業者サーバ２の広告情報蓄積部３１に供給する。なお、図１では、広告主用端末１と広告事業者サーバ２がネットワークを介して接続されるとして説明したが、無線または有線の通信により広告主用端末１と広告事業者サーバ２が直接接続されるようにしてもよい。この場合、広告情報は、無線または有線の通信を用いて広告主用端末１から広告事業者サーバ２に供給される。

　広告事業者サーバ２は、広告情報蓄積部３１と通信部３２を備える。

　広告情報蓄積部３１は、広告主用端末１から供給された広告情報を保持する。

　通信部３２は、広告提示用車両３などの他の装置とネットワークを介して通信を行う。具体的には、通信部３２は、広告情報蓄積部３１に保持される広告情報を広告提示用車両３に送信する。

・広告提示用車両３について
　図４は、広告提示用車両３の構成例を示すブロック図である。

　図４に示すように、広告提示用車両３は、通信部４１、広告情報蓄積部４２、提示制御部４３、広告提示部４４、走行情報取得部４５、および車両情報定義部４６を備える。

　通信部４１は、広告事業者サーバ２や広告効果測定サーバ５などの他の装置とネットワークを介して通信を行う。具体的には、通信部４１は、広告事業者サーバ２から送信されてきた広告情報を受信し、広告情報蓄積部４２に供給する。また、通信部４１は、車両情報定義部４６から供給された車両情報を広告情報蓄積部４２に保持される広告情報とともに、広告効果測定サーバ５に送信する。

　広告情報蓄積部４２は、通信部４１から供給された広告情報を保持する。

　提示制御部４３は、広告情報蓄積部４２から広告情報を取得し、当該広告情報に対応する広告画像や広告音声を例えば広告事業者サーバ２からネットワークを介して取得する。提示制御部４３は、広告画像や広告音声を広告提示部４４に供給し、広告画像を表示させたり、広告音声を出力させたりする。

　提示制御部４３は、広告提示部４４から提示された広告と、その広告が提示された時間とを示す情報を車両情報定義部４６に供給する。

　広告提示部４４は、ディスプレイやスピーカにより構成される。広告提示部４４は、提示制御部４３による制御に従って、広告を消費者に提示する。なお、広告提示部４４として、広告画像が印刷されたポスターやラッピングを広告提示用車両３に貼付することも可能である。

　走行情報取得部４５は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から受信したGNSS信号に基づいて、広告提示用車両３の位置情報を取得し、車両情報定義部４６に供給する。

　車両情報定義部４６は、提示制御部４３と走行情報取得部４５から供給された情報を、広告提示用車両３に関する情報とともに、車両情報として記録する。

　図５は、車両情報の例を示す図である。

　図５の例では、車両情報として、車種、車体の色、走行記録、広告掲載記録、および広告掲載位置が定義される。

　車種には、広告提示用車両３の種類が記録され、車体の色には、広告提示用車両３の車体の色が記録される。走行記録には、広告提示用車両３の位置情報の時系列データ（履歴）が記録され、広告掲載記録には、提示された広告とその広告の提示時間が記録される。広告掲載位置には、窓や側面といった、広告提示用車両３の車体上の広告媒体の位置が記録される。

　車両情報定義部４６は、定義した車両情報を、図４の通信部４１に供給する。

・個人端末４について
　図６は、個人端末４の構成例を示すブロック図である。

　図６に示すように、個人端末４は、入力部６１、表示制御部６２、表示部６３、位置情報取得部６４、消費者情報定義部６５、および通信部６６を備える。

　入力部６１は、消費者による操作の入力を受け付け、操作の内容を示す操作情報を表示制御部６２に供給する。

　表示制御部６２は、例えばブラウザやアプリケーション（アプリ）の画面を表示部６３に表示させる。表示制御部６２は、入力部６１から供給された操作情報に基づいてブラウザやアプリの画面を制御する。表示制御部６２は、操作情報とブラウザ履歴を示す情報を消費者情報定義部６５に供給する。

　表示部６３は、表示制御部６２による制御に従って各種の画面を表示する。

　位置情報取得部６４は、例えばGNSS衛星から受信したGNSS信号に基づいて、個人端末４の位置情報を取得し、消費者情報定義部６５に供給する。

　消費者情報定義部６５は、表示制御部６２と位置情報取得部６４から供給された情報を消費者情報として記録する。

　図７は、消費者情報の例を示す図である。

　図７の例では、消費者情報として、位置情報記録、端末操作記録、およびブラウザ履歴が定義される。

　位置情報記録には、消費者（個人端末４）の位置情報の時系列データ（履歴）が記録され、端末操作記録には、消費者がいつ端末を操作していたかが記録される。ブラウザ履歴には、ブラウザやアプリに対する消費者の操作内容やブラウザ上での消費者の閲覧内容が記録される。

　消費者情報定義部６５は、定義した消費者情報を、図６の通信部６６に供給する。

　通信部６６は、広告効果測定サーバ５などの他の装置とネットワークを介して通信を行う。具体的には、通信部６６は、消費者情報定義部６５から供給された消費者情報を広告効果測定サーバ５に送信する。なお、位置情報記録がスマートフォンにより取得され、端末操作記録やブラウザ履歴がPCにより取得されるといったように、ある消費者についての消費者情報に記録される情報が複数のデバイスにより取得されるようにしてもよい。

・広告効果測定サーバ５について
　図８は、広告効果測定サーバ５の構成例を示すブロック図である。

　図８に示すように、広告効果測定サーバ５は、通信部８１、評価システム判定部８２、評価システム実行部８３、および広告情報更新部８４を備える。

　通信部８１は、広告提示用車両３や個人端末４などの他の装置とネットワークを介して通信を行う。具体的には、通信部８１は、広告提示用車両３から送信されてきた車両情報と広告情報、および、個人端末４から送信されてきた消費者情報を受信する。通信部８１は、広告情報、車両情報、および消費者情報を評価システム実行部８３に供給する。

　評価システム判定部８２は、広告の効果を測定する例えば受動型評価システム、能動型評価システム、潜在型評価システムのうち、評価システム実行部８３が実行する評価システムを判定する。実行する評価システムの判定は、例えば図示しない経路を介して通信部８１から取得された消費者情報に基づいて行われる。評価システム判定部８２は、３つの評価システムの中から選択した評価システムを評価システム実行部８３に実行させる。

　評価システム実行部８３は、評価システム判定部８２により選択された評価システムを実行し、広告情報、車両情報、および消費者情報に基づいて広告の効果を測定する。なお、評価システム実行部８３が実行する受動型評価システム、能動型評価システム、および潜在型評価システムの詳細については後述して説明する。

　評価システム実行部８３は、注視度算出部９１、表示制御部９２、消費段階判定部９３、広告効果測定部９４、および判定方法記憶部９５により構成される。

　注視度算出部９１は、通信部８１から供給された消費者情報に記録された消費者の位置情報記録と、車両情報に記録された広告提示用車両３の走行記録とに基づいて、消費者が遭遇した広告である遭遇広告を判定する。注視度算出部９１は、例えば、ある時刻において消費者の位置情報と広告提示用車両３の位置情報が一致した場合、車両情報を参照し、当該時刻において広告提示用車両３により提示されていた広告を、遭遇広告として判定する。

　注視度算出部９１は、消費者情報に記録された位置情報記録、端末操作記録、およびブラウザ履歴、並びに、車両情報に記録された走行記録および広告掲載位置に基づいて、遭遇広告に対する消費者の注視度を算出する。

　図９は、注視度の算出方法の例を示す図である。

　図９の例では、注視度算出部９１は、消費者が遭遇広告に遭遇した時の、消費者に対する広告媒体の相対位置、消費者に対する広告媒体の相対速度、広告提示用車両３と消費者の進行方向、広告提示用車両３の走行車線、消費者による個人端末４の操作時間、および個人端末４が起動していたアプリの少なくともいずれかに基づいて注視度を算出する。

　消費者が遭遇広告に遭遇した時の、消費者に対する広告媒体の相対位置、消費者に対する広告媒体の相対速度、広告提示用車両３と消費者の進行方向、および広告提示用車両３の走行車線は、消費者の位置情報記録と広告提示用車両３の走行記録に基づいて取得される。また、消費者による個人端末４の操作時間、および個人端末４が起動していたアプリは、消費者の端末操作記録やブラウザ履歴に基づいて取得される。

　注視度算出部９１は、これらの情報に基づいて、消費者が広告を視認しやすい状況にあるほど、注視度として高い値を算出する。

　注視度算出部９１は、例えば、消費者に対する広告媒体の相対位置が近ければ注視度として高い値を算出し、消費者に対する広告媒体の相対速度が遅ければ注視度として高い値を算出する。また、注視度算出部９１は、広告提示用車両３と消費者の進行方向が同じ方向であるならば注視度として高い値を算出し、消費者が歩行者である場合、広告提示用車両３の走行車線が歩行者側の車線であるならば注視度として高い値を算出する。注視度算出部９１は、消費者による個人端末４の操作時間が短ければ注視度として高い値を算出し、個人端末４が動画アプリなどを起動している場合は注視度として低い値を算出する。

　注視度算出部９１は、遭遇広告に対する注視度を示す情報を、図８の表示制御部９２と広告効果測定部９４に供給する。また、注視度算出部９１は、消費者が遭遇広告に遭遇したタイミングである遭遇タイミングを示す情報を広告効果測定部９４に供給する。

　表示制御部９２は、遭遇広告の一覧を、注視度算出部９１により算出された注視度が高い順に並べて個人端末４の表示部６３に表示させる。表示制御部９２は、例えば、通信部８１から供給された広告情報に記録された情報の一部を、広告の一覧として表示させる。

　消費段階判定部９３は、通信部８１から供給された消費者情報に記録された端末操作記録とブラウザ履歴に基づいて、消費者が起こした消費行動の段階である消費段階を判定する。消費段階判定部９３は、消費段階の判定方法を示す情報を、判定方法記憶部９５から取得し、当該判定方法に従って消費段階を判定する。例えば、消費段階判定部９３は、図１０に示すAISASモデルに基づいて消費段階を判定する。

　AISASモデルでは、消費者が起こす消費行動が、注目・認知（Attention）、興味・関心（Interest）、検索（Search）、購買（Action）、および共有（Share）の５つの段階に分類される。

　注目・認知の段階は、潜在層に広告対象物を認知してもらうために配信された広告を消費者が見た段階である。興味・関心の段階は、消費者が広告を見て、広告対象物に興味や関心を持った段階である。

　検索の段階は、消費者が検索エンジンやソーシャルメディアなどで検索したり、情報を収集したりして、広告対象物となる商品やサービスと他の商品やサービスとを比較した段階である。購買の段階は、消費者が、商品やサービスを比較したり、検討したりした後、広告対象物を購入した段階である。共有の段階は、広告対象物を利用して満足した消費者が、ソーシャルメディアなどで、広告対象物についての情報を共有（発信）した段階である。

　なお、消費者が広告に遭遇した場合、注目・認知の段階と興味・関心の段階の消費行動を消費者が既に起こしたと考えられるため、消費段階判定部９３は、消費行動が、検索、購買、および共有のいずれの段階であるかを判定する。なお、消費段階は、評価システム実行部８３全体が実行する評価システムに応じて異なる判定方法を用いて判定される。

　図１１は、評価システムに応じた消費段階の判定方法の例を示す図である。

　図１１に示すように、受動型評価システムでは、消費者がアプリ上で広告についての詳細を見た場合、消費段階判定部９３は、検索の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。また、消費者がアプリ上で購入ボタンを押した場合、消費段階判定部９３は、購買の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。さらに、消費者がアプリ上で共有ボタンを押した場合、消費段階判定部９３は、共有の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。

　能動型評価システムでは、消費者がアプリ上で広告を検索した場合、消費段階判定部９３は、検索の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。また、消費者がアプリ上で購入ボタンを押した場合、消費段階判定部９３は、購買の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。さらに、消費者がアプリ上で共有ボタンを押した場合、消費段階判定部９３は、共有の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。

　潜在型評価システムでは、消費者が検索サイトで広告対象物についての情報を検索した場合、消費段階判定部９３は、検索の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。また、消費者がECサイトで広告対象物を購入した場合、消費段階判定部９３は、購買の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。さらに、消費者が広告対象物についての情報をSNS(Social Networking Service)で投稿した場合、消費段階判定部９３は、共有の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定する。

　潜在型評価システムでは、消費段階判定部９３は、消費者が検索サイトで検索したことや、ECサイトで購入したこと、SNSで投稿したことを、ブラウザ履歴に基づいて特定し、消費段階を判定することができる。なお、消費段階判定部９３は、消費者の位置情報記録に基づいて、消費者が広告対象物に関する店舗に移動したことを特定し、消費者が購買の段階の消費行動を起こしたと判定することも可能である。

　消費者が消費行動を起こした場合、消費段階判定部９３は、消費者が消費行動を起こしたタイミングである消費タイミングを示す情報を、消費段階を示す情報とともに図８の広告効果測定部９４に供給する。

　広告効果測定部９４は、広告が消費行動にどれくらい結びついたかを広告の効果として判定する。広告効果測定部９４は、例えば、広告の効果の判定方法を示す情報を判定方法記憶部９５から取得し、当該方法に従って評価値を算出する。広告効果測定部９４は、算出した評価値に基づいて広告の効果を判定する。評価値Ｖは、例えば、下式（１）で示すように、注視度Ｇと消費段階Ｃのうちの少なくともいずれかに基づいた評価式ｆと重みｗを用いて算出される。

　式（１）において、重みｗの値は、遭遇タイミングから消費タイミングまでに要した時間である所要消費時間と、遭遇タイミングから消費タイミングまでに要すると予測される時間である予測消費時間に基づいて設定される。なお、予測消費時間は、広告情報において広告対象物のカテゴリに応じて定義される。

　図１２は、広告対象物のカテゴリに応じた予測消費時間の例を示す図である。

　図１２の例では、飲食店や飲料の予測消費時間Ｔ_predictとして、１日の期間が定義され、服、食品、および日用品の予測消費時間Ｔ_predictとして、遭遇タイミングから次の週末までの期間が定義される。

　家電の予測消費時間Ｔ_predictとして、１ヵ月の期間が定義され、テーマパークの予測消費時間Ｔ_predictとして、遭遇タイミングから次の連休が終わるまでの期間が定義される。イベントや期間限定セールの予測消費時間Ｔ_predictとして、遭遇タイミングから開催期が終わるまでの期間が定義される。なお、消費段階ごとに予測消費時間が定義されるようにしてもよい。

　広告効果測定部９４は、所要消費時間と予測消費時間の差に応じて重みｗの値を変化させる。

　図１３は、所要消費時間と予測消費時間の差に応じた重みｗの値の例を示す図である。図１３において、横軸は所要消費時間Ｔを示し、縦軸は重みｗを示す。

　図１３のＡの例では、所要消費時間Ｔが予測消費時間Ｔ_predict以下である場合、広告効果測定部９４は、重みｗとして一定の値を設定する。所要消費時間Ｔが予測消費時間Ｔ_predictを超えた場合、広告効果測定部９４は、重みｗの値を０に設定する。重みｗを０とすることによって評価値Ｖも０となる。したがって、広告効果測定部９４は、広告が消費者の消費行動の原因となっていないと判定する。

　図１３のＢの例では、所要消費時間Ｔが予測消費時間Ｔ_predict以下である場合、広告効果測定部９４は、重みｗとして一定の値を設定する。所要消費時間Ｔが予測消費時間Ｔ_predictを超えた場合、広告効果測定部９４は、所要消費時間Ｔと予測消費時間Ｔ_predictの差が大きくなるほど重みｗの値を小さくする。

　図１３のＣの例では、所要消費時間Ｔが予測消費時間Ｔ_predict以下である場合、広告効果測定部９４は、所要消費時間Ｔと予測消費時間Ｔ_predictの差が小さくなるほど重みｗの値を小さくする。所要消費時間Ｔが予測消費時間Ｔ_predictを超えた場合、広告効果測定部９４は、重みｗの値を０に設定する。

　図８に戻り、広告効果測定部９４は、所要消費時間を示す情報を広告情報更新部８４に供給する。

　判定方法記憶部９５には、消費段階の判定方法や広告の効果の判定方法が記憶される。例えば、評価値Ｖを算出するための評価式ｆや重みｗの設定方法が判定方法記憶部９５に記憶される。

　広告情報更新部８４は、広告事業者サーバ２の広告情報蓄積部３１に保持される広告情報を更新する。例えば、広告情報更新部８４は、遭遇タイミングから消費タイミングまでに実際に要した所要消費時間の平均値を、予測消費時間として広告情報に記録する。

＜２．広告効果測定サーバの動作＞
・広告効果測定サーバ５全体の動作
　次に、図１４のフローチャートを参照して、以上のような構成を有する広告効果測定サーバ５が行う処理について説明する。

　ステップＳ１において、通信部８１は、車両情報を広告提示用車両３から取得し、消費者情報を個人端末４から取得する。

　ステップＳ２において、評価システム判定部８２は、評価システム判定処理を行う。評価システム判定処理により、評価システム実行部８３が実行する評価システムが消費者情報に基づいて判定される。評価システム判定処理の詳細については、図１５を参照して後述する。

　ステップＳ３において、評価システム実行部８３は、評価システム判定部８２により判定された評価システムを実行し、車両情報や消費者情報に基づいて広告の効果を測定する。

　ステップＳ４において、広告情報更新部８４は、広告情報に記録された予測消費時間を更新する。

　ステップＳ５において、広告効果測定サーバ５は、広告の効果の測定を終了するか否かを判定する。広告効果測定サーバ５は、消費者が広告と遭遇してから所定の時間が経過した場合や、消費者が共有の段階の消費行動を起こした場合、広告期間が終了した場合などにおいて、広告の効果の測定を終了すると判定する。

　広告の効果の測定を終了しないとステップＳ５において判定された場合、ステップＳ１に戻り、それ以降の処理が繰り返し行われる。一方、広告の効果の測定を終了するとステップＳ５において判定された場合、処理は終了する。

　図１５のフローチャートを参照して、図１４のステップＳ２において行われる評価システム判定処理について説明する。

　ステップＳ２１において、評価システム判定部８２は、消費者が帰宅したか否かを判定する。評価システム判定部８２は、例えば、消費者の現在の位置情報が自宅の位置情報と一致する場合や、帰宅予定の時刻になった場合、消費者が帰宅したと判定する。

　消費者が帰宅したとステップＳ２１において判定された場合、ステップＳ２２において、評価システム判定部８２は、受動型評価システムを評価システム実行部８３に実行させる。

　一方、消費者が帰宅していないとステップＳ２１において判定された場合、ステップＳ２３において、評価システム判定部８２は、検索用アプリが個人端末４により起動されたか否かを判定する。検索用アプリは、遭遇した広告を消費者が検索するためのアプリである。

　検索用アプリが起動されたとステップＳ２３において判定された場合、ステップＳ２４において、評価システム判定部８２は、能動型評価システムを評価システム実行部８３に実行させる。

　一方、検索用アプリが起動されていないとステップＳ２３において判定された場合、ステップＳ２５において、評価システム判定部８２は、潜在型評価システムを評価システム実行部８３に実行させる。すなわち、消費者が帰宅した場合と検索用アプリが起動された場合以外の場合には、潜在型評価システムが評価システム実行部８３により常に実行される。

　ステップＳ２２、ステップＳ２４、およびステップＳ２５において、評価システム実行部８３が実行する評価システムが選択された後、図１４のステップＳ２に戻り、それ以降の処理が行われる。

・受動型評価システム
　受動型評価システムでは、消費者が帰宅した際、個人端末４により広告一覧アプリが起動される。

　図１６は、広告一覧アプリで表示される画面の例を示す図である。

　広告一覧アプリでは、図１６の左側に示すように、消費者の１日の位置情報記録に基づいて特定された、その日の遭遇広告の一覧が提示される。例えば、遭遇広告の一覧として、広告のタイトルと当該広告を提示している広告提示用車両３の画像が、消費者の注視度が高い順に並んで提示される。注視度が高い順に並べて遭遇広告の一覧を提示することで、気になる広告についての情報に消費者がたどり着きやすくすることが可能となる。

　図１６の左側の例では、トラックの側面に掲示された広告Ａ、タクシーの側面の窓に掲示された広告Ｂ、および、車両の背面に掲示された広告Ｃについての情報が、個人端末４に表示されている。

　消費者は、遭遇広告の一覧の中から気になる広告を選択することができる。広告一覧アプリでは、図１６の右側に示すように、消費者により選択された広告の詳細が提示される。図１６の右側の例では、画面の上側に広告のタイトルが表示され、広告のタイトルの下側に、広告提示用車両３により提示された広告画像Ａ１が表示される。

　広告画像Ａ１の下側には、広告文章が表示される。広告文章の下側には、消費者が広告Ａに遭遇した場所と時刻、および、広告Ａを提示していた広告提示用車両３の画像Ｐ１といった、消費者が広告Ａに遭遇したときの状況についての情報が表示される。

　画面の下側には、購入ボタンＢ１と共有ボタンＢ２が表示される。消費者は、購入ボタンＢ１を押すことで、広告Ａの広告対象物を購入することができ、共有ボタンＢ２を押すことで、広告対象物についての情報をSNSで共有することができる。

　広告効果測定サーバ５は、購入ボタンＢ１や共有ボタンＢ２が押されたことに応じて、消費段階を判定する。

　図１７のフローチャートを参照して、受動型評価システムの処理の流れを説明する。

　ステップＳ４１において、通信部８１は、消費者情報と車両情報を参照して、消費者の位置情報記録と広告提示用車両３の走行記録を取得する。

　ステップＳ４２において、注視度算出部９１は、消費者の位置情報記録と広告提示用車両３の走行記録に基づいて遭遇広告を判定し、表示制御部９２は、遭遇広告の一覧を取得する。また、注視度算出部９１は、消費者の位置情報記録と広告提示用車両３の走行記録に基づいて、消費者と遭遇広告の遭遇タイミングを取得する。

　ステップＳ４３において、注視度算出部９１は、注視度算出用の情報として、例えば、消費者の位置情報記録、消費者の端末操作記録、消費者のブラウザ履歴、および広告提示用車両３の走行記録を消費者情報と車両情報を参照して取得する。

　ステップＳ４４において、注視度算出部９１は、注視度算出用の情報に基づいて、遭遇広告に対する消費者の注視度を算出する。

　ステップＳ４５において、表示制御部９２は、個人端末４に広告一覧アプリを起動させ、注視度が高い順に並んだ遭遇広告の一覧を広告一覧アプリ上で表示させる。

　ステップＳ４６において、消費段階判定部９３は、広告一覧アプリに対する消費者の操作の監視を開始する。

　ステップＳ４７において、消費段階判定部９３は、消費者が消費行動を起こしたか否かを判定し、消費者が消費行動を起こすまで広告一覧アプリに対する操作の監視を継続する。消費段階判定部９３は、例えば、広告一覧アプリ上で購入ボタンや共有ボタンが押された場合、消費者が消費行動を起こしたと判定する。

　消費者が消費行動を起こしたとステップＳ４７において判定された場合、消費段階判定部９３は、広告一覧アプリに対する操作内容に基づいて、消費段階を判定し、消費タイミングを取得する。その後、ステップＳ４８において、広告効果測定部９４は、遭遇タイミングと消費タイミングの差を所要消費時間として取得する。

　ステップＳ４９において、広告効果測定部９４は、注視度、所要消費時間、および消費段階に基づいて評価値を算出し、評価値に基づいて広告の効果を測定する。

　ステップＳ５０において、評価システム実行部８３は、受動型評価システムの実行を終了するか否かを判定する。評価システム実行部８３は、例えば、消費者が共有の段階の消費行動を起こした場合、受動型評価システムの実行を終了すると判定する。

　受動型評価システムの実行を終了しないとステップＳ５０において判定された場合、ステップＳ４７に戻り、それ以降の処理が行われる。

　一方、受動型評価システムの実行を終了するとステップＳ５０において判定された場合、受動型評価システムの処理は終了する。

・能動型評価システム
　能動型評価システムでは、消費者は、広告提示用車両３の車体の色や広告に登場するものといった曖昧な記憶に基づいて、気になる広告を検索用アプリ上で検索することができる。

　図１８は、検索用アプリで表示される画面の例を示す図である。

　検索用アプリでは、図１８の左側に示すように、各種の検索キーを指定して広告を検索する画面が提示される。検索キーは、例えば、図１９に示すように、広告を見かけた場所、広告を見かけた時間、広告提示用車両３の種類、広告提示用車両３の車体の色、広告の内容、および前後の広告を含む。

　図１９の例では、広告を見かけた場所として、地名や地図上の位置が指定され、広告を見かけた時間として、午前と午後、２時間おきの時刻といったように幅を持たせた期間が指定される。広告提示用車両３の種類として、軽自動車や乗用車、トラックなどが指定され、広告の内容として、広告画像に登場した動物の種類や人物名、人物の属性が指定される。前後の広告として、消費者が検索したい広告の前後に提示された他の広告の広告主となる企業が指定される。

　これらの検索キーが指定されて広告が検索されると、図１８の矢印＃１の先に示すように、遭遇広告のうち、検索キーの条件に当てはまる広告の一覧が提示される。例えば、広告の一覧として、広告のタイトルと当該広告を提示している広告提示用車両３の画像が、消費者の注視度が高い順に並んで提示される。消費者が検索したい広告に対する注視度は高くなると考えられるため、注視度が高い順に並んだ広告の一覧を提示することで、消費者が意図する広告を見つけやすくなる。

　消費者は、広告の一覧の中から詳細を確認したい広告を選択することができる。検索用アプリでは、図１８の矢印＃２の先に示すように、消費者により選択された広告の詳細が提示される。ここでは、広告一覧アプリ上で表示される広告の詳細を提示する画面と同様の画面が表示される。

　広告効果測定サーバ５は、購入ボタンや共有ボタンが押されたことに応じて、消費段階を判定する。

　以上のように、広告を提示していた広告提示用車両３の車体の色や、広告を見かけた場所といったあいまいな情報に基づいて、広告に遭遇してから時間が経った後に消費者が広告を検索可能とすることで、消費者が広告の詳細を思い出せないことで消費の機会が失われることを防ぐことが可能となる。

　図２０のフローチャートを参照して、能動型評価システムの処理の流れを説明する。

　ステップＳ６１において、注視度算出部９１は、消費者による検索キーの入力を受け付ける。

　ステップＳ６２において、注視度算出部９１は、消費者の位置情報記録と広告提示用車両３の走行記録に基づいて遭遇広告を判定し、広告情報、車両情報、および消費者情報に基づいて、遭遇広告のうち、消費者により入力された検索キーの条件に一致する広告の一覧を取得する。また、注視度算出部９１は、消費者の位置情報記録と広告提示用車両３の走行記録に基づいて、消費者と遭遇広告の遭遇タイミングを取得する。

　ステップＳ６３において、注視度算出部９１は、注視度算出用の情報を取得する。

　ステップＳ６４において、注視度算出部９１は、注視度算出用の情報に基づいて、遭遇広告に対する消費者の注視度を算出する。

　ステップＳ６５において、表示制御部９２は、検索キーの条件に一致する遭遇広告の一覧を注視度が高い順に並べて検索用アプリ上で表示させる。

　ステップＳ６６において、消費段階判定部９３は、検索用アプリに対する消費者の操作の監視を開始する。

　ステップＳ６７において、消費段階判定部９３は、消費者が消費行動を起こしたか否かを判定し、消費者が消費行動を起こすまで検索用アプリに対する操作の監視を継続する。消費段階判定部９３は、例えば、検索用アプリ上で購入ボタンや共有ボタンが押された場合、消費者が消費行動を起こしたと判定する。

　消費者が消費行動を起こしたとステップＳ６７において判定された場合、消費段階判定部９３は、検索用アプリに対する操作内容に基づいて、消費段階を判定し、消費タイミングを取得する。その後、ステップＳ６８において、広告効果測定部９４は、遭遇タイミングと消費タイミングの差を所要消費時間として取得する。

　ステップＳ６９において、広告効果測定部９４は、注視度、所要消費時間、および消費段階に基づいて評価値を算出し、評価値に基づいて広告の効果を測定する。

　ステップＳ７０において、評価システム実行部８３は、能動型評価システムの実行を終了するか否かを判定する。評価システム実行部８３は、例えば、消費者が共有の段階の消費行動を起こした場合や検索用アプリを終了させた場合、能動型評価システムの実行を終了すると判定する。

　能動型評価システムの実行を終了しないとステップＳ７０において判定された場合、ステップＳ６７に戻り、それ以降の処理が行われる。

　一方、能動型評価システムの実行を終了するとステップＳ７０において判定された場合、能動型評価システムの処理は終了する。

・潜在型評価システム
　潜在型評価システムでは、消費者の位置情報記録、端末操作記録、およびブラウザ履歴に基づいて広告の効果が測定される。潜在型評価システムでは、受動型評価システムや能動型評価システムのように所定のアプリ（広告一覧アプリや検索用アプリ）を消費者が利用しない場合でも、消費段階を判定することができる。

　図２１は、潜在型評価システムにおける消費段階の判定方法の例を示す図である。

　潜在型評価システムでは、図２１の左上に示すように、広告提示用車両３の走行記録（移動履歴）と消費者個人の位置情報記録（移動履歴）に基づいて、消費者が広告を見た可能性があるか否かが判定される。例えば、ある時刻において広告提示用車両３と消費者の位置情報が一致した場合、消費者が広告を見た可能性があると判定される。

　消費者が広告を見た可能性がある場合、注目・認知の段階、または、興味・関心の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定される。

　また、潜在評価システムでは、図２１の右上に示すように、消費者個人のブラウザ履歴に基づいて、消費者が閲覧したウェブサイトの性質が特定される。消費者が閲覧したサイトが検索サイトである場合、検索の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定され、消費者が閲覧したサイトがECサイトである場合、購買の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定される。消費者が閲覧したサイトがSNSサイトである場合、共有の段階の消費行動を消費者が起こしたと判定される。

　なお、図２１の下段の矢印で示すように、潜在評価システムでは、注目・認知、興味・関心、検索、購買、および共有の段階の順に広告の効果が高いと判定される。

　図２２のフローチャートを参照して、潜在型評価システムの処理の流れを説明する。

　ステップＳ８１において、通信部８１は、消費者情報を参照して、消費者のブラウザ履歴と端末操作記録を取得する。

　ステップＳ８２において、消費段階判定部９３は、ブラウザ履歴と端末操作記録に基づいて、消費者が消費行動を起こしたか否かを判定し、消費者が消費行動を起こすまで、ブラウザ履歴と端末操作記録を監視する。例えば、消費段階判定部９３は、消費者が検索エンジンやECサイト、SNSサイトといった消費に関係するジャンルのページやアプリケーションにアクセスした場合、消費行動を起こしたと判定する。

　消費者が消費行動を起こしたとステップＳ８２において判定された場合、消費段階判定部９３は、ブラウザ履歴と端末操作記録に基づいて、消費段階を判定し、消費タイミングを取得する。その後、ステップＳ８３において、注視度算出部９１は、注視度算出用の情報を取得し、注視度算出用の情報に基づいて、消費行動の対象となる広告対象物の広告に対する注視度を算出する。また、注視度算出部９１は、消費者と当該広告の遭遇タイミングを、消費者の位置情報記録と広告提示用車両３の走行記録に基づいて取得する。

　ステップＳ８４において、広告効果測定部９４は、遭遇タイミングと消費タイミングの差を所要消費時間として取得する。

　ステップＳ８５において、広告効果測定部９４は、注視度、所要消費時間、および消費段階に基づいて評価値を算出し、評価値に基づいて広告の効果を測定する。

　ステップＳ８６において、評価システム実行部８３は、潜在型評価システムの実行を終了するか否かを判定する。評価システム実行部８３は、例えば、消費者が共有の段階の消費行動を起こした場合、潜在型評価システムの実行を終了すると判定する。

　潜在型評価システムの実行を終了しないとステップＳ８６において判定された場合、ステップＳ８２に戻り、それ以降の処理が行われる。一方、潜在型評価システムの実行を終了するとステップＳ８６において判定された場合、潜在型評価システムの処理は終了する。

　以上のように、本技術の広告効果測定サーバ５においては、注視度、遭遇タイミング、消費タイミング、および消費段階に基づいて、広告提示用車両３により提示される広告の効果が測定される。

　広告効果測定サーバ５において、注視度は、広告提示用車両３の走行記録、消費者の位置情報記録、消費者の端末操作記録などに基づいて算出される。広告効果測定サーバ５は、注視度に基づいて、消費者がどの広告に影響を受けて消費行動を起こしたかを判定することが可能となる。

　広告効果測定サーバ５は、各広告に設定された予測消費時間と、遭遇タイミングから消費タイミングまでの所要消費時間との差に応じて評価値を変えることで、消費者が広告から影響を受けているかを判定し、広告の効果を正確に測定することが可能となる。広告対象物のカテゴリごとに予測消費時間が設定されるため、消費行動を起こすまでにかかる時間が異なる様々な広告の効果を正確に測定することが可能となる。

　広告効果測定サーバ５は、広告一覧アプリや検索アプリを提供したり、ブラウザ履歴や端末操作記録を監視したりすることで、例えば商品を購入することだけを消費者の消費行動として判定するのではなく、消費者の消費行動を段階的に判定することが可能となる。

＜３．適用例＞
・広告の効果に基づいて広告を最適化する例
　広告評価システムは、広告の効果を測定した後、効果が高かった広告の属性や、広告提示用車両３の走行場所、走行速度、および種類といった当該広告の提示条件を分析し、分析結果を利用することも可能である。分析結果に応じて提示する広告を選択することで、広告の効果を高めることが可能となる。

　図２３は、広告の効果の分析結果を利用する例を示す図である。

　例えば、広告の効果を測定するための評価値と、当該広告を提示していた広告提示用車両３の走行記録とに基づいて、当該広告を提示するのに適した時刻、場所、速度などが分析される。広告提示用車両３は、図２３に示すように、分析結果に基づいて、現在の時刻、場所、速度などに応じて最適な広告を選択して提示する。

　広告提示用車両３は、カメラなどを用いて周囲の人物の性別や年齢などの属性を認識し、属性に応じて最適な広告を選択して提示することも可能である。

　効果的な広告を選択して消費者に提示することによって、広告提示用車両３の提供者は、広告対象物の売上を増加させ、例えば売上に応じたインセンティブを得ることが可能となる。

　また、広告主は、分析結果に基づいて、効果が高い広告の提示条件についての情報を得ることができ、どのような広告提示用車両３に広告を提示させると効果があるかを知ることができる。広告による消費行動の促進が不十分な地域においても、効果が高い提示条件で広告を提示することによって、広い地域で広告の効果を向上させることが可能となる。

　図２４は、広告の効果を分析する広告効果測定サーバ５の構成例を示すブロック図である。図２４において、図８の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図２４に示す広告効果測定サーバ５の構成は、広告効果分析部１０１が設けられる点で、図８の広告効果測定サーバ５の構成と異なる。

　広告効果分析部１０１は、広告効果測定部９４により算出された評価値と、広告の属性や提示条件に基づいて、広告の効果が高くなる広告の属性や提示条件を分析する。広告の属性や提示条件は、広告情報、車両情報、および消費者情報を参照して取得される。

　図２５は、広告の効果の分析結果を利用する広告主用端末１の構成例を示すブロック図である。図２５において、図２の構成と同じ構成には同一の符号をしてある。重複する説明については適宜省略する。

　図２５に示す広告主用端末１の構成は、広告内容最適化部１１１が設けられる点で、図２の広告主用端末１の構成と異なる。

　広告内容最適化部１１１は、広告効果分析部１０１による分析結果に基づいて、広告の長さや内容などを最適化する。

　広告情報定義部２１は、広告内容最適化部１１１により最適化された広告の内容などを広告情報に記録する。

　図２６は、広告の効果の分析結果を利用する広告提示用車両３の構成例を示すブロック図である。図２６において、図４の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図２６に示す広告提示用車両３の構成は、提示方法最適化部１２１が設けられる点で、図４の広告提示用車両３の構成と異なる。

　提示方法最適化部１２１は、広告効果分析部１０１による分析結果に基づいて、走行場所や走行速度に応じて、提示する広告を最適化したり、広告を提示する広告提示用車両３上の位置を最適化したりする。例えば、広告提示用車両３に複数の広告提示部４４が設けられる場合、提示方法最適化部１２１は、効果が高い位置に設けられた広告提示部４４から広告が提示されるように、提示制御部４３を制御する。

　以上のように、広告の効果の測定結果に基づいて、より効果的な広告を作成したり、より効果的な広告の提示方法を決定したりすることが可能となる。

・消費段階に応じたインセンティブを授受する例
　広告事業者が自社で所有する車両に広告を提示させる他、タクシー会社やレンタカー会社、個人などの車両提供者に委託して、車両提供者が所有する車両に広告を提示させることも考えられる。これらの車両提供者には、報酬が与えられる。

　この場合、広告事業者は、消費段階に応じて、車両提供者が受け取る報酬を決定することができる。

　図２７は、消費段階に応じた報酬の例を示す図である。

　消費者が消費行動を起こした場合、消費行動の対象となる広告対象物の広告を、消費行動を起こす前に当該消費者に提示した広告提示用車両３の車両提供者には、図２７に示すように、消費段階が進むにつれて高くなる報酬が与えられる。消費段階は、検索、購買、および共有の順に進む。

　図２８は、消費段階に応じて報酬を決定する広告事業者サーバ２の構成例を示すブロック図である。図２８において、図２の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図２８に示す広告事業者サーバ２の構成は、報酬決定部１５１が設けられる点で、図２の広告事業者サーバ２の構成と異なる。

　報酬決定部１５１は、広告効果測定サーバ５の消費段階判定部９３による消費段階の判定結果に基づいて、広告提示用車両３の提供者に対する報酬を決定する。

　図２９は、消費段階に応じた報酬を受け取る広告提示用車両３の構成例を示すブロック図である。図２９において、図４の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図２９に示す広告提示用車両３の構成は、報酬授受部１６１が設けられる点で、図４の広告提示用車両３の構成と異なる。

　報酬授受部１６１は、報酬決定部１５１により決定された報酬の額を示す報酬情報に基づいて、広告事業者から報酬を受け取る。

　以上のように、広告事業者は、広告を見た消費者が起こした消費行動の段階に応じて、当該広告を提示した広告提示用車両３の提供者が受け取る報酬を決定することができる。

・過去に消費者が起こした消費行動の段階に基づいて広告を最適化する例
　広告評価システムは、消費者が共有の段階の消費行動を起こさなかった広告に関して、消費者が共有の段階の消費行動を起こさなかった原因を分析し、フィードバックすることも可能である。分析結果に応じて、より効果的な広告を作成したり、より効果的な広告の提示方法を決定したりすることが可能となる。

　図３０は、消費段階の原因を分析する広告効果測定サーバ５の構成例を示すブロック図である。図３０において、図８の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図３０に示す広告効果測定サーバ５の構成は、原因分析部２０１が設けられる点で、図８の広告効果測定サーバ５の構成と異なる。また、図３０に示す広告効果測定サーバ５の構成は、通信部８１から広告効果測定部９４に消費者情報が供給される点で、図８の広告効果測定サーバ５の構成と異なる。

　広告効果測定部９４は、消費段階判定部９３による消費段階の判定結果と、通信部８１から供給された消費者情報とを原因分析部２０１に供給する。

　原因分析部２０１は、消費段階判定部９３により判定された消費段階の原因を、広告効果測定部９４から供給された消費者情報に基づいて分析する。具体的には、消費者が共有の段階の消費行動を起こさなかった場合、原因分析部２０１は、消費者が共有の段階の消費行動を起こさなかった原因を、消費者情報に記録されたブラウザ履歴や端末操作記録に基づいて分析する。

　例えば、図３１に示すように、消費者が検索の段階の消費行動を起こしたが、価格比較サイトを閲覧していた場合、原因分析部２０１は、広告対象物の価格が高いことが、消費者が購買や共有の段階の消費行動を起こさなかった理由であると分析する。

　消費者が検索の段階の消費行動を起こしたが、口コミサイトを閲覧していた場合、原因分析部２０１は、広告対象物に対する口コミが悪いことが、消費者が購買や共有の段階の消費行動を起こさなかった理由であると分析する。

　消費者が検索の段階の消費行動を起こしたが、広告対象物の類似製品についてのサイトを閲覧していた場合、原因分析部２０１は、広告対象物が他社製品と比較されて負けたことが、消費者が購買や共有の段階の消費行動を起こさなかった理由であると分析する。

　消費者が購買の段階の消費行動を起こしたが、消費者がSNSでアクティブではないユーザである場合、原因分析部２０１は、消費者の属性が適さないことが、消費者が共有の段階の消費行動を起こさなかった理由であると分析する。

　消費者が購買の段階の消費行動を起こし、SNSでアクティブなユーザであるが、広告対象物についての情報をSNS上でシェアしていない場合、原因分析部２０１は、広告対象物としての商品の見た目が悪いことが、消費者が共有の段階の消費行動を起こさなかった理由であると分析する。

　図３２は、消費段階の分析結果を利用する広告主用端末１の構成例を示すブロック図である。図３２において、図２の構成と同じ構成には同一の符号をしてある。重複する説明については適宜省略する。

　図３２に示す広告主用端末１の構成は、広告内容最適化部２１１が設けられる点で、図２の広告主用端末１の構成と異なる。

　広告内容最適化部２１１は、原因分析部２０１による分析結果に基づいて、広告の長さや内容、広告対象物の価格などを最適化する。

　広告情報定義部２１は、広告内容最適化部２１１により最適化された広告の内容などを広告情報に記録する。

　なお、広告提示用車両３において、原因分析部２０１による分析結果に基づいて、走行場所や走行速度に応じて、提示される広告が最適化されたり、広告を提示する広告提示用車両３上の位置が最適化されたりしてもよい。

　以上のように、消費段階の原因に基づいて、より効果的な広告を作成したり、より効果的な広告の提示方法を決定したりすることが可能となる。

・消費者の移動方法に応じて広告を最適化する例
　広告提示用車両３は、歩行、自動車、および自転車といった消費者の移動方法に応じて、提示する広告を変更することも可能である。

　図３３は、消費者の移動方法に応じた広告の例を示す図である。

　消費者Ｃ１が歩行で移動している場合、図３３のＡに示すように、広告提示用車両３は、通常の広告を提示する。

　消費者Ｃ２が自動車で移動している場合、消費者Ｃ２は重い物を自動車に載せて持ち帰ることが可能なため、図３３のＢに示すように、広告提示用車両３は、家電の広告やまとめ買いがお得であるといった内容の広告を提示する。

　このように、広告提示用車両３は、消費者の移動方法に基づいて、消費者が持ち帰ることができる容量を推定し、容量に合った広告を提示することで、広告対象物を購入する確率を向上させることが可能となる。

　図３４は、消費者の移動方法を判定する広告効果測定サーバ５の構成例を示すブロック図である。図３４において、図８の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図３４に示す広告効果測定サーバ５の構成は、消費者移動方法判定部２５１が設けられる点で、図８の広告効果測定サーバ５の構成と異なる。

　消費者移動方法判定部２５１は、消費者情報に記録された消費者の移動情報記録に基づいて、広告提示用車両３の周囲にいる消費者の移動速度を算出し、移動速度に基づいて移動方法を推測する。

　図３５は、消費者の移動方法に応じて広告を変更する広告提示用車両３の構成例を示すブロック図である。図３５において、図４の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図３５に示す広告提示用車両３の構成は、提示方法最適化部２６１が設けられる点で、図４の広告提示用車両３の構成と異なる。

　提示方法最適化部２６１は、消費者移動方法判定部２５１により推測された消費者の移動方法に応じて、提示する広告を最適化したり、広告を提示する広告提示用車両３上の位置を最適化したりする。なお、広告提示用車両３に直接設けられたカメラにより撮像された画像に基づいて消費者の移動方法が推測されるようにしてもよい。

　以上のように、広告提示用車両３は、消費者の移動方法に基づいて、消費者が消費行動を起こす可能性が高い広告対象物の広告を提示することが可能となる。

・消費者の周辺の地図情報に応じて広告を最適化する例
　図３６は、消費者の周辺の地図情報に応じた広告の例を示す図である。

　自動車で移動している消費者は、自動車が走行している間にカーナビゲーション装置を操作することができない。このため、消費者の周囲に駐車場などの停車可能な場所がある場合、図３６のＡに示すように、広告提示用車両３は、レストランやショッピングモールといった、カーナビゲーション装置で目的地として設定する必要がある場所についての広告を提示する。

　消費者の周囲に駐車場などがない場合、図３６のＢに示すように、広告提示用車両３は、ECサイトで買うことが可能な広告対象物や、後で買うことが可能な広告対象物についての広告を提示する。

　図３７は、消費者の周辺の地図情報に応じて広告を変更する広告提示用車両３の構成例を示すブロック図である。図３７において、図４の構成と同じ構成には同一の符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。

　図３７に示す広告提示用車両３の構成は、周辺情報取得部３０１と提示方法最適化部３０２が設けられる点で、図４の広告提示用車両３の構成と異なる。

　周辺情報取得部３０１は、広告提示用車両３の周囲の地図情報を取得し、提示方法最適化部３０２に供給する。

　提示方法最適化部３０２は、広告効果測定サーバ５の消費者移動方法判定部２５１による推測結果に基づいて、広告提示用車両３の周囲にいる消費者が自動車などで移動しているかを判定する。消費者が自動車で移動している場合、提示方法最適化部３０２は、周辺情報取得部３０１から供給された地図情報に基づいて、広告提示用車両３の周囲に停車可能な場所があるかを判定する。

　提示方法最適化部３０２は、停車可能な場所の有無に応じて、提示する広告を最適化する。なお、広告提示用車両３に直接設けられたカメラにより撮像された画像に基づいて消費者の移動方法が推測されるようにしてもよい。

　以上のように、消費者（広告提示用車両３）の周囲の地図情報に基づいて、消費者が消費行動を起こす可能性が高い広告対象物の広告を提示することが可能となる。

・屋外広告の例
　本技術を、屋外広告媒体といった広告提示用車両３以外の広告媒体で提示される屋外広告の効果の測定に適用することも可能である。

　図３８は、屋外広告媒体３５１の構成例を示すブロック図である。

　屋外広告媒体３５１は、デジタルサイネージや屋外看板などの屋外や公共スペースに置かれた情報提示媒体により構成される。図３８に示すように、屋外広告媒体３５１は、通信部３６１、広告情報蓄積部３６２、提示制御部３６３、広告提示部３６４、および設置情報定義部３６５を備える。

　通信部３６１は、広告事業者サーバ２や広告効果測定サーバ５などの他の装置とネットワークを介して通信を行う。具体的には、通信部３６１は、広告事業者サーバ２から送信されてきた広告情報を受信し、広告情報蓄積部３６２に供給する。また、通信部３６１は、設置情報定義部３６５から供給された設置情報を広告情報蓄積部３６２に保持される広告情報とともに、広告効果測定サーバ５に送信する。

　広告情報蓄積部３６２は、通信部３６１から供給された広告情報を保持する。

　提示制御部３６３は、広告情報蓄積部３６２から広告情報を取得し、当該広告情報に対応する広告画像や広告音声を例えば広告事業者サーバ２からネットワークを介して取得する。提示制御部３６３は、広告画像や広告音声を広告提示部３６４に供給し、広告画像を表示させたり、広告音声を出力させたりする。

　提示制御部３６３は、広告提示部３６４により提示された広告と、その広告が提示された時間とを示す情報を設置情報定義部３６５に供給する。

　広告提示部３６４は、ディスプレイやスピーカにより構成される。広告提示部３６４は、提示制御部３６３による制御に従って、広告を消費者に提示する。なお、広告提示部３６４として、広告画像が印刷されたポスターなどを屋外広告媒体３５１に貼付することも可能である。

　設置情報定義部３６５は、提示制御部３６３から供給された情報を、屋外広告媒体３５１に関する情報とともに、設置情報として記録する。設置情報として、例えば、屋外広告媒体３５１の種類、色、設置位置、広告掲載記録、および広告掲載位置が定義される。設置情報定義部３６５において、屋外広告媒体３５１の設置位置はあらかじめ設定される。

　設置情報定義部３６５は、定義した設置情報を通信部３６１に供給する。

　なお、屋外広告媒体３５１がデジタルサイネージにより構成される場合、通信部３６１や広告情報蓄積部３６２の処理は、例えば、デジタルサイネージに内蔵されるプロセッサやメモリで実行される。屋外広告媒体３５１が屋外看板などのアナログな媒体により構成される場合、通信部３６１や広告情報蓄積部３６２などの処理は、屋外看板と別途で用意されたコンピュータやサーバで実行される。

　広告効果測定サーバ５は、屋外広告媒体３５１から取得した設置情報に基づいて、広告に対する注視度や遭遇タイミングなどを取得する。ここでは、広告効果測定サーバ５は、屋外広告媒体３５１の移動速度を０として、注視度を算出する。広告効果測定サーバ５は、注視度やその他の情報に基づいて、屋外広告媒体３５１により提示された広告の効果を測定することが可能となる。

＜コンピュータについて＞
　上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。

　図３９は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。広告主用端末１、広告事業者サーバ２、広告提示用車両３、個人端末４、広告効果測定サーバ５、および屋外広告媒体３５１の構成の一部は、例えば、図３９に示す構成と同様の構成を有するPCにより構成される。

　CPU(Central Processing Unit)５０１、ROM(Read Only Memory)５０２、RAM(Random Access Memory)５０３は、バス５０４により相互に接続されている。

　バス５０４には、さらに、入出力インタフェース５０５が接続される。入出力インタフェース５０５には、キーボード、マウスなどよりなる入力部５０６、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部５０７が接続される。また、入出力インタフェース５０５には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部５０８、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部５０９、リムーバブルメディア５１１を駆動するドライブ５１０が接続される。

　以上のように構成されるコンピュータでは、CPU５０１が、例えば、記憶部５０８に記憶されているプログラムを入出力インタフェース５０５及びバス５０４を介してRAM５０３にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。

　CPU５０１が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア５１１に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部５０８にインストールされる。

　コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。

＜その他＞
　なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素（装置、モジュール（部品）等）の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、１つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている１つの装置は、いずれも、システムである。

　なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。

　本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。

　例えば、本技術は、１つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。

　また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、１つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。

　さらに、１つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その１つのステップに含まれる複数の処理は、１つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。

＜構成の組み合わせ例＞
　本技術は、以下のような構成をとることもできる。

（１）
　ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の効果を測定する効果測定部を備える
　情報処理装置。
（２）
　前記効果測定部は、前記遭遇タイミングから前記消費タイミングまでの所要消費時間に応じた重みを用いて算出した評価値に基づいて、前記広告の効果を測定する
　前記（１）に記載の情報処理装置。
（３）
　前記効果測定部は、前記広告に対する前記ユーザの注視度と前記消費行動の段階のうちの少なくともいずれかに基づいた評価式と前記重みを用いて前記評価値を算出する
　前記（２）に記載の情報処理装置。
（４）
　前記重みは、前記所要消費時間と、前記遭遇タイミングから前記消費タイミングまでに要する予測消費時間との差に応じた値である
　前記（２）または（３）に記載の情報処理装置。
（５）
　前記予測消費時間は、前記広告対象物のカテゴリに応じて定義される
　前記（４）に記載の情報処理装置。
（６）
　前記所要消費時間に基づいて前記予測消費時間を更新する更新部をさらに備える
　前記（４）または（５）に記載の情報処理装置。
（７）
　前記注視度は、前記広告を前記ユーザに対して提示する広告媒体の位置情報の履歴、前記ユーザの位置情報の履歴、および前記ユーザが使用する端末に対する前記ユーザの操作内容の履歴の少なくともいずれかに基づいて算出される
　前記（３）乃至（６）のいずれかに記載の情報処理装置。
（８）
　前記注視度は、前記広告媒体の位置情報の履歴と前記ユーザの位置情報の履歴とに基づいて取得される、前記ユーザが前記広告に遭遇した時の、前記ユーザに対する前記広告媒体の相対位置、前記ユーザに対する前記広告媒体の相対速度、前記広告媒体が設けられた車両と前記ユーザの進行方向、および前記車両が走行する車線、並びに、前記ユーザの操作内容の履歴に基づいて取得される、前記ユーザが前記広告に遭遇した時の、前記ユーザの操作時間および前記端末が起動していたアプリケーションの少なくともいずれかに基づいて算出される
　前記（７）に記載の情報処理装置。
（９）
　前記消費行動の段階は、前記ユーザが、前記広告対象物を検索すること、前記広告対象物を購入すること、および前記広告対象物についての情報を発信することを含む
　前記（３）乃至（８）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１０）
　前記ユーザが遭遇した前記広告の一覧を、前記ユーザが使用する端末に表示させる表示制御部をさらに備える
　前記（３）乃至（９）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１１）
　前記消費タイミングは、前記ユーザが遭遇した前記広告の一覧に対する前記ユーザの操作内容に基づいて取得される
　前記（１０）に記載の情報処理装置。
（１２）
　前記表示制御部は、前記注視度が高い順に並んだ前記広告の一覧を、前記端末に表示させる
　前記（１０）または（１１）に記載の情報処理装置。
（１３）
　前記表示制御部は、前記ユーザが遭遇した前記広告のうち、前記ユーザにより指定された条件に応じた前記広告の一覧を、前記端末に表示させる
　前記（１０）乃至（１２）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１４）
　前記ユーザにより指定された前記条件は、前記広告に遭遇した場所、前記広告に遭遇した時間、前記広告を前記ユーザに対して提示する広告媒体が設けられた車両の種類、前記車両の色、前記広告の内容、および前後に提示された他の広告の少なくともいずれかを含む
　前記（１３）に記載の情報処理装置。
（１５）
　前記効果測定部は、前記ユーザが使用する端末に対する前記ユーザの操作内容に基づいて前記消費タイミングを取得する
　前記（１）乃至（１４）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１６）
　前記遭遇タイミングは、前記ユーザの位置情報の履歴と、前記広告を前記ユーザに対して提示する広告媒体の位置情報の履歴とに基づいて取得される
　前記（１）乃至（１５）のいずれかに記載の情報処理装置。
（１７）
　情報処理装置が、
　ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の評価値を算出する
　情報処理方法。
（１８）
　ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の評価値を算出する
　処理を実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。

　１　広告主用端末，　２　広告事業者サーバ，　３　広告提示用車両，　４　個人端末，　５　広告効果測定サーバ，　２１　広告情報定義部，　３１　広告情報蓄積部，　３２　通信部，　４１　通信部，　４２　広告情報蓄積部，　４３　提示制御部，　４４　広告提示部，　４５　走行情報取得部，　４６　車両情報定義部，　６１　入力部，　６２　提示制御部，　６３　表示部，　６４　位置情報取得部，　６５　消費者情報定義部，　６６　通信部，　８１　通信部，　８２　評価システム判定部，　８３　評価システム実行部，　８４　広告情報更新部，　９１　注視度算出部，　９２　表示制御部，　９３　消費段階判定部，　９４　広告効果測定部，　９５　判定方法記憶部，　１０１　広告効果分析部，　１１１　広告内容最適化部，　１２１　提示方法最適化部，　１５１　報酬決定部，　１６１　報酬授受部，　２０１　原因分析部，　２１１　広告内容最適化部，　２５１　消費者移動方法判定部，　２６１　提示方法最適化部，　３０１　周辺情報取得部，　３０２　提示方法最適化部，　３６１　通信部，　３６２　広告情報蓄積部，　３６３　提示制御部，　３６４　広告提示部，　３６５　設置情報定義部

Claims

　ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の効果を測定する効果測定部を備える
　情報処理装置。
　前記効果測定部は、前記遭遇タイミングから前記消費タイミングまでの所要消費時間に応じた重みを用いて算出した評価値に基づいて、前記広告の効果を測定する
　請求項１に記載の情報処理装置。
　前記効果測定部は、前記広告に対する前記ユーザの注視度と前記消費行動の段階のうちの少なくともいずれかに基づいた評価式と前記重みを用いて前記評価値を算出する
　請求項２に記載の情報処理装置。
　前記重みは、前記所要消費時間と、前記遭遇タイミングから前記消費タイミングまでに要する予測消費時間との差に応じた値である
　請求項２に記載の情報処理装置。
　前記予測消費時間は、前記広告対象物のカテゴリに応じて定義される
　請求項４に記載の情報処理装置。
　前記所要消費時間に基づいて前記予測消費時間を更新する更新部をさらに備える
　請求項４に記載の情報処理装置。
　前記注視度は、前記広告を前記ユーザに対して提示する広告媒体の位置情報の履歴、前記ユーザの位置情報の履歴、および前記ユーザが使用する端末に対する前記ユーザの操作内容の履歴の少なくともいずれかに基づいて算出される
　請求項３に記載の情報処理装置。
　前記注視度は、前記広告媒体の位置情報の履歴と前記ユーザの位置情報の履歴とに基づいて取得される、前記ユーザが前記広告に遭遇した時の、前記ユーザに対する前記広告媒体の相対位置、前記ユーザに対する前記広告媒体の相対速度、前記広告媒体が設けられた車両と前記ユーザの進行方向、および前記車両が走行する車線、並びに、前記ユーザの操作内容の履歴に基づいて取得される、前記ユーザが前記広告に遭遇した時の、前記ユーザの操作時間および前記端末が起動していたアプリケーションの少なくともいずれかに基づいて算出される
　請求項７に記載の情報処理装置。
　前記消費行動の段階は、前記ユーザが、前記広告対象物を検索すること、前記広告対象物を購入すること、および前記広告対象物についての情報を発信することを含む
　請求項３に記載の情報処理装置。
　前記ユーザが遭遇した前記広告の一覧を、前記ユーザが使用する端末に表示させる表示制御部をさらに備える
　請求項３に記載の情報処理装置。
　前記消費タイミングは、前記ユーザが遭遇した前記広告の一覧に対する前記ユーザの操作内容に基づいて取得される
　請求項１０に記載の情報処理装置。
　前記表示制御部は、前記注視度が高い順に並んだ前記広告の一覧を、前記端末に表示させる
　請求項１０に記載の情報処理装置。
　前記表示制御部は、前記ユーザが遭遇した前記広告のうち、前記ユーザにより指定された条件に応じた前記広告の一覧を、前記端末に表示させる
　請求項１０に記載の情報処理装置。
　前記ユーザにより指定された前記条件は、前記広告に遭遇した場所、前記広告に遭遇した時間、前記広告を前記ユーザに対して提示する広告媒体が設けられた車両の種類、前記車両の色、前記広告の内容、および前後に提示された他の広告の少なくともいずれかを含む
　請求項１３に記載の情報処理装置。
　前記効果測定部は、前記ユーザが使用する端末に対する前記ユーザの操作内容に基づいて前記消費タイミングを取得する
　請求項１に記載の情報処理装置。
　前記遭遇タイミングは、前記ユーザの位置情報の履歴と、前記広告を前記ユーザに対して提示する広告媒体の位置情報の履歴とに基づいて取得される
　請求項１に記載の情報処理装置。
　情報処理装置が、
　ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の評価値を算出する
　情報処理方法。
　ユーザが広告に遭遇した遭遇タイミングと、前記ユーザが前記広告の広告対象物に対する消費行動を起こした消費タイミングとに基づいて、前記広告の評価値を算出する
　処理を実行させるためのプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。