WO2023171378A1 - 試料調製システム及び試料調製方法 - Google Patents

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    • G01N35/00Automatic analysis not limited to methods or materials provided for in any single one of groups G01N1/00 - G01N33/00; Handling materials therefor
    • G01N35/08Automatic analysis not limited to methods or materials provided for in any single one of groups G01N1/00 - G01N33/00; Handling materials therefor using a stream of discrete samples flowing along a tube system, e.g. flow injection analysis

Abstract

完全閉鎖型の試料調製システムにおいて、簡便に共洗いする技術を提供することを主目的とする。 本技術は、緩衝液容器から、緩衝液を空容器へ供給する緩衝液供給工程と、試料容器から、試料をリザーバーへ移送する移送工程と、前記リザーバー内の前記試料を、中空糸モジュールへ通流する中空糸処理工程と、前記空容器内の前記緩衝液を、前記試料容器へ移送後、前記リザーバーへ移送する共洗い工程と、を密閉状態で行う、試料調製方法を提供する。

Description

試料調製システム及び試料調製方法
 本技術は、試料調製システム及び試料調製方法に関し、特には生体関連粒子を含む試料を調製するために用いられる試料調製システム及び試料調製方法に関する。
 種々の方式で生体関連粒子の分取又は分析が行われている。例えば、閉鎖空間内又は開放空間内で生体関連粒子の分取又は分析を行う手法が開発されている。当該分取又は分析のための代表的な手法として、例えばフローサイトメトリー(以下FCMともいう)を挙げることができる。生体関連粒子の分取又は分析を行うために、蛍光標識した抗体を使って細胞染色が行われる。当該細胞染色によって、特定の細胞集団を解析及び/又は分取することが可能になる。例えば、FITC標識したCD3抗体を用いることで、T細胞を染色することができ、染色されたT細胞は、例えばFCMによって解析及び/又は分取することができる。FCMでは、すべての細胞を1つずつ解析していくため、非常に高精細な解析及び/又は精製が可能である。
 FCMなど、全ての細胞を1つずつ解析する生体関連粒子分析では、分析時間は、分析対象となる細胞の数に相関する。そのため、分析対象となる細胞が多数含まれるが目的細胞が少ない試料は、当該生体関連粒子分析のために要する時間の無用な増大をもたらす。そこで、例えば、生体関連粒子分析に付される試料を粗精製することで、目的細胞の割合を高めることができる。その結果、分析時間を短縮することができる。
 このような粗精製に関連しうる技術がこれまでにいくつか提案されている。例えば下記特許文献1には、「赤血球と白血球を含む細胞懸濁液から赤血球を除去し、白血球を回収する細胞分離方法」が記載されている。当該方法は、「(A)細胞懸濁液を、容器に細胞分離材を充填して得られる細胞分離フィルターの流入口より導入し、白血球を細胞分離フィルターに捕捉する工程、(B)洗浄液を細胞分離フィルターの流入口より導入し、細胞分離フィルターを洗浄する工程、および(C)回収液を細胞分離フィルターの流出口より導入し、細胞分離フィルターに捕捉された白血球を回収する工程、を含み、洗浄液および回収液が2価カチオンキレート剤を含み、(洗浄液の2価カチオンキレート剤の濃度(W/V)):(回収液の2価カチオンキレート剤の濃度(W/V))が1:200~200:1であることを特徴とする」が記載されている。
国際公開第2014/119529号パンフレット
 前述の通り、分取又は分析の対象である目的粒子の含有割合を高くするために、分取又は分析の前に、目的粒子の含有割合を高める前処理を行う場合がある。また、分取又は分析の対象である目的粒子の染色等の前処理を行う場合もある。これらのような試料の前処理においては、試料容器や流路等に残存する試料、即ち、デッドボリュームが問題となる場合がある。例えば、希少細胞を分析対象とする場合等、扱う試料の量が少量であればあるほど、デッドボリュームの問題は顕著となる。
 デッドボリュームを低減し、試料投入量の正確さや試料調製効率を向上させるために、試料容器や流路等に残存する試料を緩衝液で共洗いすることがとても有効である。しかし、試料等の調製に用いる物質が外部環境と流体連通しないように構成する、所謂、完全閉鎖型のシステムでは、共洗いを行うことが難しいといった問題があった。特に、中空糸を用いて、試料の複雑な調製操作を行う装置では、扱う試料が比較的少量であるため、共洗いを行うことが非常に重要であるにも関わらず、共洗いを行うことが難しいといった問題があった。
 そこで、本技術では、完全閉鎖型の試料調製システムにおいて、簡便に共洗いする技術を提供することを主目的とする。
 本技術では、まず、緩衝液容器から、緩衝液を空容器へ供給する緩衝液供給工程と、
 試料容器から、試料をリザーバーへ移送する移送工程と、
 前記リザーバー内の前記試料を、中空糸モジュールへ通流する中空糸処理工程と、
 前記空容器内の前記緩衝液を、前記試料容器へ移送後、前記リザーバーへ移送する共洗い工程と、
 を密閉状態で行う、試料調製方法を提供する。
 本技術に係る試料調製方法では、前記中空糸処理工程及び前記共洗い工程を、順不同又は同時に行うことができる。
 本技術に係る試料調製方法における前記中空糸処理工程では、試料の濃縮処理を行うことができる。
 また、前記中空糸処理工程では、試料の溶媒交換処理を行うこともできる。
 本技術に係る試料調製方法では、試料のインキュベーションを行うインキュベーション工程を行うことができる。
 本技術に係る試料調製方法では、試料の濃度の調整を行う濃度調整工程を行うことができる。
 本技術に係る試料調製方法では、中空糸処理後の前記試料を、前記リザーバーへ回収する回収工程を行うことができる。
本技術に係る試料調製方法において、前記試料は、生体関連粒子を含有していてもよい。
 この場合、前記生体関連粒子は、細胞であってもよい。
 本技術では、次に、試料容器に接続する試料容器用接続部と、
 緩衝液容器に接続する緩衝液容器用接続部と、
 調製中の試料を収容するリザーバーと、
 前記リザーバー内の前記試料が通流される中空糸モジュールと、
 空容器と、
 が密閉連結され、
 前記空容器が、前記試料容器用接続部と前記リザーバーの間に配された、
 試料調製用キットを提供する。
 本技術では、更に、試料容器に接続する試料容器用接続部と、
 緩衝液容器に接続する緩衝液容器用接続部と、
 調製中の試料を収容するリザーバーと、
 前記リザーバー内の前記試料が通流される中空糸モジュールと、
 空容器と、
 が密閉連結され前記空容器が、前記試料容器用接続部と前記リザーバーの間に配された、
試料調製用キットと、
 前記試料容器及び前記緩衝液容器から前記リザーバーへ、前記試料及び前記緩衝液の移送を担う第1ポンプと、
 前記リザーバーと前記中空糸モジュールとの間で、前記試料の循環を担う第2ポンプと、
を有する試料調製装置と、
 を有する試料調製システムを提供する。
 本技術に係る試料調製システムの前記第1ポンプは、前記緩衝液容器から前記空容器への緩衝液の移送も担うことができる。
 本技術に係る試料調製システムの前記第1ポンプは、前記空容器から前記試料容器への緩衝液の移送も担うことができる。
 本技術に係る試料調製システムには、前記第1ポンプ及び/又は前記第2ポンプを制御する制御部を備えることができる。
 前記制御部による制御は、自動制御であってもよい。
本技術に係る試料調製システム1の第1実施形態を模式的に示す模式概念図である。 本技術に係る試料調製用キット10の第1実施形態を模式的に示す模式概念図である。 本技術に係る試料調製システム1の第2実施形態を模式的に示す模式概念図である。 本技術に係る試料調製用キット10の第2実施形態を模式的に示す模式概念図である。 本技術に係る試料調製システム1の第3実施形態を模式的に示す模式概念図である。 本技術に係る試料調製方法の第1実施形態のフロー図である。 本技術に係る試料調製方法の第2実施形態のフロー図である。
 以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、本技術の範囲がこれらの実施形態のみに限定されることはない。なお、本技術の説明は以下の順序で行う。
 1.試料調製システム1
 (1)試料調製システム1の全体構成
 (2)試料
 (3)試料調製用キット10
 (3-1)試料容器用接続部101
 (3-2)緩衝液容器用接続部102
 (3-3)リザーバー103
 (3-4)中空糸モジュール104
 (3-5)空容器105
 (4)試料調製装置
 (4-1)第1ポンプP01
 (4-2)第2ポンプP02
 (4-3)第3ポンプP03
 (5)制御部
 (6)分析部21
 (7)記憶部
 (8)表示部
 (9)ユーザーインターフェース
 2.試料調製方法
 <第1実施形態>
 (1)試料調製装置への試料調製用キット10の設置
 (2)試料調製用キット10と試料容器C01及び緩衝液容器C02の接続
 (3)プライミング工程S05
 (4)緩衝液供給工程S01
 (5)移送工程S02
 (6)中空糸処理工程S03
 (7)共洗い工程S04
 (8)回収工程S09
 <第2実施形態>
 (1)第1中空糸処理工程S03a(濃縮処理)
 (2)第2中空糸処理工程S03b(溶媒交換処理)
 (3)デッドボリューム回収処理工程S06
 (4)インキュベーション工程S07
 (5)第3中空糸処理工程S03c(濃縮処理)
 (6)第4中空糸処理工程S03d(溶媒交換処理)
 (7)濃度調整工程S08
 (8)回収工程S09
 1.試料調製システム1
 (1)試料調製システム1の全体構成
 図1は、本技術に係る試料調製システム1の第1実施形態を示す模式図である。本技術に係る試料調製システム1は、試料調製用キット10と、試料調製装置と、を有する。試料調製用キット10は、試料容器用接続部101と、緩衝液容器用接続部102と、リザーバー103と、中空糸モジュール104と、空容器105と、を有する。また、試料調製装置は、第1ポンプP01と、第2ポンプP02と、を有する。その他、制御部、分析部21、記憶部、表示部、ユーザーインターフェース等を備えることも可能である。以下、各部等について、詳細に説明する。
 (2)試料
 本技術に係る試料調製システム1で調製することが可能な試料は特に限定されないが、例えば、調製後に分析や分取等の対象となるサンプルや、該サンプルを染色するための試薬等を挙げることができる。
 サンプルとしては、例えば、粒子を含有するサンプルが挙げられる。粒子としては、細胞、微生物、ウィルス等の生体関連粒子、或いはラテックス粒子やゲル粒子、工業用粒子等の合成粒子などが広く含まれ得る。
 生体関連粒子には、各種細胞を構成する染色体、リボソーム、ミトコンドリア、オルガネラ(細胞小器官)などが含まれる。細胞には、動物細胞(例えば、血球系細胞など)及び植物細胞が含まれる。細胞としては、血液系細胞、組織系細胞が挙げられる。血液系細胞としては、例えば、白血球(例えば末梢血単核細胞)、赤血球、及び血小板を挙げることができる。白血球としては、例えば、単球(マクロファージ)、リンパ球、好中球、好塩基球、及び好酸球を挙げることができる。細胞は、例えばT細胞及びB細胞などの浮遊系細胞であってもよい。組織系細胞としては、例えば、接着系の培養細胞又は組織からばらされた接着系細胞などであってもよい。また、細胞は、腫瘍細胞であってもよい。細胞は、培養されたものであってよく又は培養されていないものであってもよい。生体関連粒子は、例えば、スフェロイド及びオルガノイドなどの細胞塊であってもよい。
 微生物には、大腸菌などの細菌類及びイースト菌などの菌類が含まれうる。ウィルスは、例えばDNAウィルス又はRNAウィルスであってよく、エンベロープを有する又は有さないウィルスであってよい。
 生体関連粒子は、核酸、タンパク質、及びこれらの複合体などの生物学的高分子も包含されうる。これら生物学的高分子は、例えば細胞から抽出されたものであってよく又は血液サンプル若しくは他の液状サンプルに含まれるものであってもよい。
 工業用粒子としては、例えば、有機又は無機高分子材料、金属等であってもよい。有機高分子材料には、ポリスチレン、スチレン・ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート等が含まれる。無機高分子材料には、ガラス、シリカ、磁性体材料等が含まれる。金属には、金コロイド、アルミ等が含まれる。これらの粒子の形状は、一般には球形であるのが普通であるが、本技術では、非球形であってもよく、また、その大きさ、質量等も特に限定されない。
 本技術に係る試料調製システム1で調製することが可能な試料は、液体の状態であり、前記の粒子を含有する液体が挙げられる。前記生体関連粒子を含有する液体としては、生物から得られる液体であってよく、例えば、体液が挙げられる。体液としては、血液、リンパ液、組織液(例えば組織間液、細胞間液、及び間質液など)、又は体腔液(例えば漿膜腔液、胸水、腹水、心嚢液、脳脊髄液(髄液)、関節液(滑液)など)が挙げられる。また、生体関連粒子を含有する液体は、これら体液から得られる液体であってもよい。
 本技術の一つの実施態様において、前記生体関連粒子含有液体は、血液サンプルであってよく、特には白血球を含むサンプルであってよい。生体関連粒子含有液は、特には、赤血球分離処理が行われた血液サンプルであってよい。なお、当該血液サンプルは、赤血球が完全に除去されたものでなくてよく、赤血球を含むものであってよい。例えば、生体から採取された血液中の赤血球の量が、当該分離処理によって減少された血液サンプルであってよい。
 本技術に係る試料調製システム1により調製された試料は、生体関連粒子の分取又は分析に付される試料として用いることができる。例えば、本技術の試料調製システム1により調製された試料は、閉鎖空間内で生体関連粒子の分取又は分析を行う装置に付される試料、又は、開放空間内で生体関連粒子の分取又は分析を行う装置に付される試料として用いることができる。前記閉鎖空間内で生体関連粒子の分取又は分析を行う装置として、例えば、特開2020-76736号公報に記載された微小粒子分取装置を挙げることができるが、これに限定されない。前記開放空間内で生体関連粒子の分取又は分析を行う装置として、例えば、特開2020-51936号公報に記載された微小粒子測定装置を挙げることができるが、これに限定されない。本技術の試料調製システム1は、このような分取又は分析を行う装置に付される試料を調製するために用いることができる。
 (3)試料調製用キット10
 図2は、「本技術に係る試料調製用キット10の第1実施形態を模式的に示す模式概念図である。」試料調製用キット10は、試料容器用接続部101と、緩衝液容器用接続部102と、リザーバー103と、中空糸モジュール104と、空容器105と、を有する。また、これらの各部は、各流路L01~L08等を介して密閉状態で接続されている。各流路L01~L08の材質は、特に限定されず、用いる試料等の種類や性質に応じて、自由に選択することができる。また、これらの流路L01~L08の横断面の寸法等の形態は、通流される試料の種類や性質に応じて、適宜設定することができる。各流路L01~L08の具体例としては、例えば、チューブを挙げることができる。
 本技術の試料調製システム1は、試料等の調製に用いる物質が外部環境と流体連通しないように構成された、所謂、完全閉鎖型システムである。完全閉鎖型にすることで、試料の汚染を防止することができる。例えば、本技術の試料調製システム1で調製する試料が、生体関連粒子を含有する試料である場合は、汚染を防止することは非常に重要である。
 本技術の試料調製システム1に用いる試料調製用キット10は、ディスポーザブルであることが好ましい。ディスポーザブルにすることで、試料のコンタミネーションを防止することができる。また、ディスポーザブルにすることで、別の試料を調製する場合に、洗浄等の工程を省略することができ、調製時間やコストを削減することができる。
 本技術では、本技術に係る試料調製用キット10の状態で流通させることができる。即ち、本技術に係る試料調製システム1では、試料等の調製に用いる物質が通流する試料調製用キット10を、後述する試料調製装置から取り外して、流通させることで、試料調製用キット10をディスポーザブルにすることができる。
 (3-1)試料容器用接続部101
 試料容器用接続部101は、試料容器C01に接続する部位である。試料容器C01は、本技術に係る試料調製用キット10には必須ではなく、調製対象の試料が予め封入された容器を用いることができる。例えば、調製対象の試料が、血液試料である場合、患者等から採取した血液が、必要に応じて遠心分離等の処理を行った後に封入された血液バッグ等を、試料容器C01とすることができる。即ち、図2に示す本技術に係る試料調製用キット10の第1実施形態のように、試料容器用接続部101には、試料容器C01が接続されていない状態で、流通させることができる。
 一方、本発明に係る試料調製用キット10には、試料容器C01を予め備えていてもよい。例えば、調製対象の試料が染色等に用いる各種薬剤や各種試薬等(以下、「試薬等」とも称する)である場合、試薬バッグ等の試料容器C01を試料容器用接続部101に接続した状態で、試薬等付きの試料調製用キット10として流通させることもできる。
 試料容器C01と試料容器用接続部101との接続方法は、密閉状態での接続が可能であれば特に限定されない。例えば、試料容器C01の蓋部を穿刺可能な素材で形成し、試料容器用接続部101を注射針等の流路を有し、かつ、穿刺可能に構成することで、密閉状態での接続を可能とすることができる。
 試料容器用接続部101は、後述するリザーバー103と、流路L01及び流路L06を介して、密閉状態で接続されている。流路L01には、バルブV01を設けることができる。また、流路L06には、バルブV06と、後述する試料調製装置の第1ポンプP01を設置する第1ポンプP01設置部を設けることができる。バルブV01及びV06の開閉、並びに後述する第1ポンプP01の駆動によって、試料容器C01からリザーバー103への試料の通流が可能又は不可能となる。
 図3は、本技術に係る試料調製システム1の第2実施形態を模式的に示す模式概念図である。本技術に係る試料調製システム1では、前述の通り、試料として、調製後に分析や分取等の対象となるサンプルや、該サンプルを染色するための試薬を用いることができる。そして、これらは併用することもできる。この場合、試料容器C01として、サンプル容器C01aと、試薬容器C01bと、を用いることができ、本技術に係る試料調製用キット10には、サンプル容器用接続部101aと、試薬容器用接続部101bと、を備えることができる。
 サンプル容器用接続部101aは、後述するリザーバー103と、流路L01a及び流路L06を介して、密閉状態で接続されている。流路L01aには、バルブV01aを設けることができる。バルブV01a及びV06の開閉、並びに後述する第1ポンプP01の駆動によって、サンプル容器C01aからリザーバー103へのサンプルの通流が可能又は不可能となる。
 試薬容器用接続部101bは、後述するリザーバー103と、流路L01b及び流路L06を介して、密閉状態で接続されている。流路L01bには、バルブV01bを設けることができる。バルブV01b及びV06の開閉、並びに後述する第1ポンプP01の駆動によって、試薬容器C01bからリザーバー103へのサンプルの通流が可能又は不可能となる。
 なお、図3及び図4に示す第2実施形態では、試料容器用接続部101を2つ備える実施形態を例示したが、試料容器用接続部101は、3つ以上備えることもできる。例えば、サンプルへの染色等を2段階で行う等、試薬を2種以上用いる場合等、サンプル容器用接続部101a、第1試薬容器用接続部101b、第2試薬容器用接続部(図示されていない)の3つの試料用容器用接続部を備えることも可能である。
 (3-2)緩衝液容器用接続部102
 緩衝液容器用接続部102は、緩衝液容器C02に接続する部位である。緩衝液容器C02は、本技術に係る試料調製用キット10には必須ではなく、共洗いや試料調製に用いることができる緩衝液が予め封入された容器を、試料調製用キット10とは別に用意して用いることができる。即ち、図2に示す本技術に係る試料調製用キット10の第1実施形態のように、緩衝液容器用接続部102には、緩衝液容器C02が接続されていない状態で、流通させることができる。
 一方、本発明に係る試料調製用キット10には、緩衝液容器C02を予め備えていてもよい。例えば、緩衝液容器C02を緩衝液容器用接続部102に接続した状態で、緩衝液付きの試料調製用キット10として流通させることもできる。
 緩衝液容器C02と緩衝液容器用接続部102との接続方法は、密閉状態での接続が可能であれば特に限定されない。例えば、緩衝液容器C02の蓋部を穿刺可能な素材で形成し、緩衝液容器用接続部102を、注射針等のように、流路を有し、かつ、穿刺可能に構成することで、密閉状態での接続を可能とすることができる。
 緩衝液容器用接続部102は、後述するリザーバー103と、流路L02及び流路L06を介して、密閉状態で接続されている。流路L02には、バルブV02を設けることができる。バルブV02及びV06の開閉、並びに後述する第1ポンプP01の駆動によって、緩衝液容器C02からリザーバー103への緩衝液の通流が可能又は不可能となる。
 なお、図1及び図2に示す第1実施形態では、緩衝液容器用接続部102を1つ備える実施形態を例示したが、図3~図5に示す第2実施形態及び第3実施形態に係る試料調製システム1のように、緩衝液容器用接続部102(102a及び102b)を、2つ以上備えることもできる。例えば、サンプル容器C01aの共洗い用の緩衝液と、染色用の緩衝液等が、異なる場合等は、緩衝液容器用接続部102(102a及び102b)を、必要な緩衝液の数分備えることが可能である。
 (3-3)リザーバー103
 本技術に係る試料調製用キット10には、調製中の試料を収容するリザーバー103を備える。リザーバー103の具体的な形態は特に限定されず、調製中の試料を収容することが可能であれば、円筒体、断面が多角(三角、四角或いはそれ以上)の多角筒体、円錐体、断面が多角(三角、四角或いはそれ以上)の多角錐体、或いはこれらを1種又は2種以上組み合わせた形態など、試料の状態等に応じて、適宜自由に設計することができる。
 また、リザーバー103を構成する素材についても特に限定されず、調製中の試料の状態等に影響のない範囲で、適宜自由に選択することができる。本技術では特に、加工成形のし易さなどの観点から、リザーバー103が樹脂により構成されていることが好ましい。本技術において、用いることができる樹脂の種類等も特に限定されず、試料を収容に適用可能な樹脂を、1種又は2種以上適宜自由に選択して用いることができる。例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、アクリル、ポリサルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどの疎水性かつ絶縁性のポリマーやコポリマー、ブレンドポリマー等が挙げられる。
 本技術では、これらの中でも特に、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、及びポリサルホンから選ばれる一種以上の樹脂でリザーバー103を形成することが好ましい。これらの樹脂は、血液試料に対して低凝固活性であるという性質を有するため、血液試料の測定に好適である。
 リザーバー103には、液体を回収する流路が接続されていてもよい。液体回収流路は、例えば、中空糸モジュール104による処理の前、途中、又は後の試料を、リザーバー103から採取するために用いることができる。また、液体回収流路は、例えば、後述するインキュベーション処理の前、途中、又は後の試料を、リザーバー103から採取するために用いることもできる。
 リザーバー103には、メンブレンフィルタ等の各種フィルタや、液量センサ等の各種センサを備えることができる。また、リザーバー103では、後述するように、試料のインキュベーションを行うことができるため、例えば、インキュベーションに適した温度を保持するための温度制御機構を備えることも可能である。
 本技術では、試薬等を用いる場合、図2に示す第2実施形態のように、試料容器C01として、サンプル容器C01aと試薬等容器C01bをそれぞれ備えることもできるが、リザーバー103に、予め所定の試薬等を、固体化して、或いは液体のまま収容しておくことも可能である。例えば、染色用の試薬を、予めリザーバー103に入れておくことができる。また、例えば、試料の安定化等を目的とするための薬剤を、予めリザーバー103に入れておくことができる。より具体的には、例えば、本技術に係る試料調製システム1を、血液試料の調製に用いる場合、例えば、血液凝固を阻害する薬剤等を、予めリザーバー103に入れておくことで、試料調製中に血液凝固を防止することができる。
 このように、リザーバー103に予め薬剤や試薬等を収容しておくことで、試薬等容器C01bが不要となり、システムの小型化やコストの低減が可能である。また、ユーザーの試薬等交換等の手間が不要となり、試薬等容器C01b等のメンテナンスも不要となるためにユーザービリティを向上させることもできる。
 (3-4)中空糸モジュール104
 中空糸モジュール104は、インレット1041、容器1042、アウトレット1043、及び廃液用のアウトレット1044を有する。容器1042内に、中空糸が充填されている。
 中空糸モジュール104に含まれる中空糸は、調製される試料の種類やサイズ等の形態に応じて、自由に選択することができる。本技術で用いる中空糸を形成する素材は特に限定されない。例えば、mPES(修飾ポリエーテルスルホン、ME(混合セルロースエステル)、PES(ポリエーテルスルホン)、PS(ポリスルホン)等を1種または2種以上用いて、中空糸を形成することができる。
 本技術で用いる中空糸のMWCO(Molecular Weight Cut Off)として表される孔サイズも、特に限定されず、調製される試料の種類やサイズ等の形態に応じて自由に設計することができる。例えば、1kD以上1000kD以下、好ましくは2kD以上900kD以下、より好ましくは3kD以上800kD以下とすることができる。本技術で用いる中空糸の孔サイズは、例えば、0.1μm以上1.0μm以下、好ましくは0.15μm以上0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以上0.8μm以下とすることができる。
 中空糸モジュール104は、リザーバー103内の試料を通流させることができるように構成されている。例えば、図1に示す通り、中空糸モジュール104は、リザーバー103と、流路L03及び流路L04によって接続されている。流路L03及び流路L04をまとめて、循環流路ともいう。
 リザーバー103内の試料は、流路L03を通って、中空糸モジュール104へと供給され、そして、中空糸モジュール104を通過した試料は、流路L04を通って、リザーバー103へと戻される。これにより、試料が、リザーバー103と中空糸モジュール104との間を循環する。
 このように、本技術に係る試料調製システム1は、好ましくは、リザーバー103と中空糸モジュール104との間で試料を循環させる循環流路(流路L03及び流路L04)を備えることができる。
 なお、循環の方向は逆方向であってもよい。すなわち、リザーバー103内の試料は、流路L04を通って、中空糸モジュール104へと供給し、そして、中空糸モジュール104を通過した試料は、流路L03を通って、リザーバー103へと戻すように、循環してもよい。
 流路L03には、後述する試料調製装置の第2ポンプP02を設置するための第2ポンプ設置部を設けることができる。また、流路L04には、バルブV04を設けることができる。バルブV04の開閉、及び後述する第2ポンプP02の駆動によって、リザーバー103と中空糸モジュール104との間で試料を循環させることができる。
 中空糸モジュール104には、試料の中空糸処理の結果生じる廃液(中空糸処理における透過液ともいえる)が排出されるアウトレット1044と、廃液又は透過液が流れる流路L07を接続することもできる。また、流路L07の先には、廃液又は透過液を回収する透過液回収容器106を備えることができる。
 流路L07には、後述する試料調製装置の第3ポンプP03を設置するための第3ポンプ設置部を設けることができる。試料の中空糸処理の結果生じる廃液又は透過液は、後述する第3ポンプP03の駆動によって、廃液又は透過液回収容器106へと回収することができる。
 流路L07、及び廃液又は透過液回収容器106は、本技術に係る試料調製用キット10に必須ではない。例えば、廃液又は透過液を、その後の分析等に用いずに廃棄する場合には、中空糸モジュール104からの廃液又は透過液の回収を閉鎖的に行う必要性は低いため、本技術に係る試料調製用キット10には、流路L07、及び廃液又は透過液回収容器106を備えずに、必要に応じて、外部の流路や回収容器を接続することも可能である。
 一方、廃液又は透過液を、その後の分析や別の用途に用いる場合には、中空糸モジュール104からの廃液又は透過液の回収を閉鎖的に行うことで、廃液又は透過液の汚染を防止することができる。このような場合には、本技術に係る試料調製用キット10に、流路L07、及び廃液又は透過液回収容器106を密閉接続した状態で備えることが好ましい。
 或いは、本技術に係る試料調製用キット10に廃液又は透過液回収容器106は備えずに、流路L07、及び廃液又は透過液回収容器106へ接続するための廃液又は透過液回収容器用接続部107を備えることもできる。即ち、図2に示す本技術に係る試料調製用キット10の第1実施形態や、図4に示す本技術に係る試料調製用キット10の第2実施形態のように、廃液又は透過液回収容器用接続部107には、廃液又は透過液回収容器106が接続されていない状態で、流通させることができる。この場合、密閉可能な容器を、廃液又は透過液回収容器106として用い、この容器の蓋部を穿刺可能な素材で形成し、透過液回収容器用接続部107を、注射針等のように、流路を有し、かつ、穿刺可能に構成することで、密閉状態での接続を可能とすることができる。
 流路L04には、図3に示す第2実施形態のように、分岐流路L08を設けることができる。このとき、流路L04には、バルブV04の他に、バルブV07を備えることができる。分岐流路L08は、流路L04のバルブV04とバルブV07の間から流路L06へと延びており、流路L06上の第1ポンプP01設置部とバルブV06との間の位置で流路L06と接続されている。
 分岐流路L08は、循環流路(L03及びL04)から分岐しており、流路L06を介して、リザーバー103へと通じているとも言える。このように、本技術に係る試料調製システム1には、循環流路(L03及びL04)から分岐しており且つ前記リザーバー103へと通じている分岐流路L08を備えることができる。この分岐流路L08は、後述するように、デッドボリューム回収処理のために用いることができる。
 分岐流路L08上には、バルブV08を設けることができる。バルブV08の開閉によって、流路L04から流路L06への液体の流れ又はその反対の流れが、可能又は不可能となる。
 (3-5)空容器105
 本技術に係る試料調製用キット10には、空容器105を備えることを特徴とする。そして、空容器105は、試料容器用接続部101とリザーバー103の間に配されていることを特徴とする。また、空容器105は、後述する試料調製装置の第1ポンプP01を設置する第1ポンプP01設置部とリザーバー103の間に配されている。この空容器105は、試料容器C01及び試料容器C01と接続する流路L01や流路L06を共洗いする際に用いられる。共洗い方法の詳細は、後述する。
 空容器105は、緩衝液容器用接続部102と、流路L05、流路L06、及び流路L02を介して、密閉状態で接続されている。バルブV05及びV02の開閉、並びに後述する第1ポンプP01の駆動によって、緩衝液容器C02から空容器105への緩衝液の通流が可能又は不可能となる。
 また、空容器105は、試料容器用接続部101と、流路L05、流路L06、及び流路L01を介して、密閉状態で接続されている。バルブV05及びV01の開閉、並びに後述する第1ポンプP01の駆動によって、空容器105から試料容器C01への共洗い用の緩衝液の通流が可能又は不可能となる。
 なお、図1~図4に示す第1実施形態や第2実施形態では、空容器105を1つ備える実施形態を例示したが、図5に示す第3実施形態に係る試料調製システム1のように、空容器105(105a、105b)を、2つ以上備えることもできる。例えば、サンプル容器C01aの共洗い用の緩衝液と、染色用の緩衝液が、異なる場合等は、それぞれの共洗い用に、空容器105(105a、105b)を、必要な緩衝液の数分備えることが可能である。
 (4)試料調製装置
 本技術に係る試料調製システム1の試料調製装置には、第1ポンプP01と、第2ポンプP02と、を備える。また、試料調製装置には、第3ポンプP03を備えることも可能である。以下、各部について詳細に説明する。
 (4-1)第1ポンプP01
 第1ポンプP01は、試料容器C01及び緩衝液容器C02からリザーバー103へ、試料及び緩衝液の移送を担う。第1ポンプP01に用いることができるポンプの種類は、特に限定されない。例えば、チューブポンプが挙げられ、好ましくは、ペリスタルティックポンプが挙げられる。
 第1ポンプP01は、緩衝液容器C02から空容器105への緩衝液の移送も担うことができる。また、第1ポンプP01は、空容器105から試料容器C01への緩衝液の移送も担うことができる。これにより、試料容器C01及び試料容器C01と接続する流路L01や流路L06を共洗いすることができる。
 (4-2)第2ポンプP02
 第2ポンプP02は、リザーバー103と中空糸モジュール104との間で、試料の循環を担う。これにより、試料の中空糸処理を行うことができる。
 第2ポンプP02に用いることができるポンプの種類は、特に限定されない。例えば、チューブポンプが挙げられ、好ましくは、ペリスタルティックポンプが挙げられる。
 (4-3)第3ポンプP03
 第3ポンプP03は、試料の中空糸処理の結果生じる廃液又は透過液の、中空糸モジュール104から廃液又は透過液回収容器106への移送を担う。これにより、試料の中空糸処理の結果生じる廃液又は透過液を、廃液又は透過液回収容器106へと回収することができる。
 第3ポンプP03に用いることができるポンプの種類は、特に限定されない。例えば、チューブポンプが挙げられ、好ましくは、ペリスタルティックポンプが挙げられる。
 なお、第1ポンプP01、第2ポンプP02、及び第3ポンプP03は、同じ種類のポンプを用いてもよいし、それぞれ異なる種類のポンプを用いることもできる。
 (5)制御部
 本技術に係る試料調製システム1には、当該システムを構成する各要素の動作を制御する制御部(図示されていない)を備えることができる。当該制御部は、例えば、上記で述べたポンプ群及び/又はバルブ群の動作を制御することができる。例えば、当該制御部は、所定のプログラムに従って、前記ポンプ群及び/又はバルブ群の動作を自動的に制御することができる。
 また、当該制御部は、後述する分析部21による分析結果を受信するように構成することもできる。当該制御部は、分析部21による分析結果に応じて、前記ポンプ群及び/又はバルブ群の動作を制御してもよい。例えば、当該制御部は、所定の分析結果を受信したことに応じて、前記ポンプ群のいずれか1つ又は2つ以上の駆動を制御することができ、具体的には、前記ポンプ群のいずれか1つ又は2つ以上の駆動を開始又は停止することができる。
 また、当該制御部は、所定の分析結果を受信したことに応じて、前記バルブ群のいずれか一つ又は二つ以上の開閉を制御することができる。これにより、本技術に係る試料調製システム1は、後述する分析部21による分析結果に基づき、後述の試料調製方法に含まれる各種工程を制御することができ、例えば当該各種工程の開始又は終了を制御することができる。
 好ましくは、本技術に係る試料調製システム1は、後述する分析部21による分析結果に基づき、中空糸モジュール104への試料の通流操作を制御するように構成することができる。より具体的には、例えば、リザーバー内の試料が所望の濃度になった時点で、後述する中空糸モジュール104への試料の通流を自動的に終了することができる。
 当該制御部は、情報処理装置(コンピュータ)として構成されてよく、例えば汎用のコンピュータによって当該制御部の機能を実現することができる。
 また、当該制御部は、本技術に係る試料調製システム1を構成する試料調製装置に組み込まれていてもよいが、試料調製システム1を構成する試料調製用キット10と試料調製装置とに、ネットワークを通じて接続されていてもよい。
 なお、当該制御部は、本技術に係る試料調製システム1には必須ではなく、外部の情報処理装置等を用いて、制御することも可能である。
 (6)分析部21
 本技術に係る試料調製システム1には、分析部21が備えられていてよい。分析部21は、リザーバー103内の内容物の分析を行う。例えば、分析部21は、試料の濃度を測定する濃度測定部として構成することができる。当該濃度測定部は、例えば、粒子含有液の濁度を測定することにより、又は粒子含有液から生じる蛍光等の光情報を測定することによって、試料の濃度を測定することができる。分析部21による分析結果に応じて、例えば、中空糸モジュール104を用いた試料の濃縮処理等を継続又は停止することで、リザーバー103内の試料を、所望の濃度に調節することができる。
 なお、当該分析部21は、本技術に係る試料調製システム1には必須ではなく、例えば、リザーバー103内の内容物をサンプリングして、外部の分析装置等を用いて、分析することも可能である。
 (7)記憶部
 本技術に係る試料調製システム1には、各種データを記憶させる記憶部(図示されていない)を備えることができる。記憶部では、例えば、分析部21によって分析された試料の情報、制御部における制御処理の記録等、試料調製に関わるあらゆる事項を記憶することができる。
 当該記憶部は、本技術に係る試料調製システム1を構成する試料調製装置に組み込まれていてもよいが、試料調製システム1を構成する試料調製用キット10と試料調製装置とに、ネットワークを通じて接続されていてもよい。また、当該記憶部は、をクラウド環境に設けることもできる。この場合、ネットワークを介して、各ユーザーがクラウド上の記憶部に記録された各種情報を、共用することも可能である。
 なお、本技術に係る試料調製システム1において、記憶部は必須ではなく、外部の記憶装置等を用いて、各種データの記憶を行うことも可能である。
 (8)表示部
 本技術に係る試料調製システム1には、各種情報を表示する表示部(図示されていない)を備えることができる。表示部では、例えば、分析部21によって分析された試料の情報、制御部における制御処理の内容等、試料調製に関わるあらゆる事項を表示することができる。
 当該表示部は、本技術に係る試料調製システム1を構成する試料調製装置に組み込まれていてもよいが、試料調製システム1を構成する試料調製用キット10と試料調製装置とに、ネットワークを通じて接続されていてもよい。
 本技術において、表示部は必須ではなく、外部の表示装置を接続してもよい。表示部としては、例えば、ディスプレイやプリンタなどを用いることができる。
 (9)ユーザーインターフェース
 本技術に係る試料調製システム1には、オペレータ等のユーザーが操作するためのユーザーインターフェース(図示されていない)を備えることができる。ユーザーは、ユーザーインターフェースを通じて、各部にアクセスし、本技術に係る試料調製システム1の各部を制御することもできる。例えば、ユーザーインターフェースは、表示部に表示する事項を設定したり、中空糸処理の条件を設定したりすることが可能である。
 当該ユーザーインターフェースは、本技術に係る試料調製システム1を構成する試料調製装置に組み込まれていてもよいが、試料調製システム1を構成する試料調製用キット10と試料調製装置とに、ネットワークを通じて接続されていてもよい。
 本技術に係る試料調製システム1において、ユーザーインターフェースは必須ではなく、外部の操作装置を接続してもよい。ユーザーインターフェースとしては、例えば、マウス、キーボード等を用いることができる。
 2.試料調製方法
 本技術に係る試料調製方法は、緩衝液供給工程S01と、移送工程S02と、中空糸処理工程S03と、共洗い工程S04と、を行う方法である。また、必要に応じて、プライミング工程S05、デッドボリューム回収処理工程S06、インキュベーション工程S07、濃度調整工程S08、回収工程S09等を行うことも可能である。以下、各工程について、詳細に説明する。
 なお、各工程は、例えば、以下のように、所定のバルブ及び所定のポンプの制御によって行うことができる。なお、以下のバルブ及びポンプの制御は、ユーザーにより行うこともできるが、本技術に係る試料調製システム1自体(特には前記制御部)により、自動的に行うこともできる。
 <第1実施形態>
 図6は、本技術に係る試料調製方法の第1実施形態のフロー図である。第1実施形態に係る試料調製方法は、プライミング工程S05、緩衝液供給工程S01、移送工程S02、中空糸処理工程S03、共洗い工程S04、回収工程S09を行う方法である。以下、第1実施形態に係る試料調製方法の各工程について、図1に示す第1実施形態に係る試料調製システム1を参照しながら説明する。
 (1)試料調製装置への試料調製用キット10の設置
 まず、試料調製装置への試料調製用キット10の設置を行う。試料調製用キット10は、これ自体で流通可能であり、特に試料として生体関連粒子を含有する試料を扱う場合等には、汚染やコンタミネーションの防止のためにも、生体関連粒子を含有する試料が通流する試料調製用キット10はディスポーザブルにすることが好ましい。
 (2)試料調製用キット10と試料容器C01及び緩衝液容器C02の接続
 試料調製用キット10を試料調製装置へ設置後、試料容器C01、緩衝液容器C02の試料調製用キット10との接続を行う。接続は、外部汚染を防止するためにも、閉鎖状態を保ったまま接続することが好ましい。例えば、試料容器C01及び緩衝液容器C02の蓋部を穿刺可能な素材で形成し、試料容器用接続部101を注射針等で構成することで、密閉状態での接続を可能とすることができる。なお、前記(1)の「試料調製装置への試料調製用キット10の設置」と(2)の「試料調製用キット10と試料容器C01及び緩衝液容器C02の接続」は、順不同で行うことができる。
 (3)プライミング工程S05
 プライミング工程S05は、試料調製用キット10の各流路L01~L07、及び中空糸モジュール104を、緩衝液で充満する工程である。プライミング工程S05を行うことで、例えば、試料として生体関連粒子を含有する試料を用いる場合、生体関連粒子と流路L01~L07等との非特異的な結合による流路閉塞等を抑制することができる。
 プライミング工程S05は、例えば、バルブV02及びV06を開けた状態で第1ポンプP01を駆動すると、流路L02、流路L06、及びリザーバー103が、緩衝液によりプライミングされる。
 また、バルブV02、V06を閉じ、V04を開けた状態で第2ポンプP02を駆動すると、リザーバー103に満たされた緩衝液によって中空糸モジュール104がプライミングされる。リザーバー103の緩衝液が枯渇しそうな場合は、バルブV02、V06を開き、第1ポンプP01を駆動することで緩衝液不足分を補う。
 更に、V04を閉じた状態で、バルブV02及びV06を開けた状態で第3ポンプP03を駆動すると、流路L07が緩衝液によりプライミングされる。リザーバー103の緩衝液が枯渇しそうな場合は、バルブV02、V06を開き、第1ポンプP01を駆動することで緩衝液不足分を補う。なお、プライミング工程終了時に、リザーバー103は緩衝液が枯渇していなければよく、緩衝液で満たされている必要はない。
 (4)緩衝液供給工程S01
 緩衝液供給工程S01は、緩衝液容器C02から、緩衝液の一部を空容器105へ供給する工程である。例えば、バルブV02、及びV05を開けた状態で、第1ポンプP01を駆動することにより、緩衝液容器C02から、緩衝液を空容器105へ供給することができる。
 (5)移送工程S02
 移送工程S02は、試料容器C01から、試料をリザーバー103へ移送する工程である。例えば、バルブV01、及びV06を開けた状態で、第1ポンプP01を駆動させることで、試料容器C01から、試料をリザーバー103へ移送することができる。
 移送工程S02は、試料容器C01から試料が無くなった時点で終了する。
 (6)中空糸処理工程S03
 中空糸処理工程S03は、リザーバー103内の試料を、中空糸モジュールへ通流し、循環させて中空糸処理を行う工程である。例えば、バルブV04を開けた状態で、第2ポンプP02及び第3ポンプP03を駆動させることで、リザーバー103内の試料が、流路L03を通って中空糸モジュール104のインレット1041から容器1042内に入り、そして、容器1042を通過した試料はアウトレット1043から出て、流路L04を通ってリザーバー103へと戻る。これにより、容器1042内の中空糸によって、試料が濃縮される。濃縮に伴い生じる廃液は、廃液用のアウトレット1044から出て、流路L07を通って廃液又は透過液回収容器106へと回収される。
 なお、中空糸処理工程S03は、前記移送工程S02の途中で開始することも可能である。例えば、前記移送工程S02を行いながら、リザーバー103内の試料の量が規定量に達した時点で、中空糸処理工程S03を開始し、前記移送工程S02と中空糸処理工程S03とを、同時に進行させることも可能である。この際、リザーバー103の試料の量を調整しながら、前記移送工程S02と中空糸処理工程S03とを、進行させることが好ましい。
 中空糸処理工程S03では、試料の濃縮処理を行うことができる。例えば、生体関連粒子を含む試料を濃縮処理することで、目的の粒子の割合を高めることができる。その結果、生体関連粒子の分析時間を短縮することができ、分析効率を高めることができる。
 (7)共洗い工程S04
 共洗い工程S04は、空容器105内の緩衝液を、試料容器C01へ一旦、移送した後に、試料容器C01内の緩衝液を、リザーバー103へ移送する工程である。これにより、試料容器C01や流路L01を、緩衝液を用いて共洗いすることができる。
 共洗い工程S04は、例えば、まず、バルブV05、及びバルブV01を開けた状態で、第1ポンプP01を逆駆動させることで、空容器105内の緩衝液を試料容器C01へ、共洗いに必要な量、移送する。次に、バルブV01、及びバルブV06を開けた状態で、第1ポンプP01を正駆動させることで、試料容器C01内の緩衝液を、リザーバー103へ移送する。これらの操作によって、試料容器C01や流路L01を、緩衝液を用いて共洗いすることができる。
 共洗い工程S04は、試料を試料容器C01からリザーバー103へ移送する移送工程S02が終了した後であれば、中空糸処理工程S03の前後に行うこともできるし、中空糸処理工程S03と同時に行うこともできる。即ち、中空糸処理工程S03及び共洗い工程S04は、順不同又は同時に行うことができる。
 共洗い工程S04は、試料容器C01から緩衝液が無くなった時点で終了する。
 (8)回収工程S09
 回収工程S09は、中空糸処理後の試料を、リザーバー103へ回収する工程である。前記共洗い工程S04が終了し、リザーバー103の試料の量が適量になった時点で、中空糸処理工程S03も終了し、調製された試料がリザーバー103へ適量回収された状態で、試料の調製が終了する。
 回収工程S09では、後述するデッドボリューム回収処理工程S06を行うことで、中空糸や各流路に残留した試料を回収することも可能である。デッドボリューム回収処理工程S06の詳細は、後述する。
 <第2実施形態>
 図7は、本技術に係る試料調製方法の第2実施形態のフロー図である。第2実施形態に係る試料調製方法では、プライミング工程S05、緩衝液供給工程S01、移送工程S02、第1中空糸処理工程S03a、共洗い工程S04、第2中空糸処理工程S03b、デッドボリューム回収処理工程S06、インキュベーション工程S07、第3中空糸処理工程S03c、第4中空糸処理工程S03d、濃度調整工程S08、回収工程S09を行う方法である。以下、第1実施形態に係る試料調製方法の各工程について、図3に示す第2実施形態に係る試料調製システム1を参照しながら説明する。
 なお、準備工程(試料調製装置への試料調製用キット10の設置、試料調製用キット10と試料容器C01及び緩衝液容器C02の接続)、プライミング工程S05、移送工程S02、及び共洗い工程S04については、前述した第1実施形態に係る試料調製方法と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
 (1)第1中空糸処理工程S03a(濃縮処理)
 第1中空糸処理工程S03aでは、試料を中空糸処理することにより、試料の濃縮が行われる。具体的には、例えば、バルブV04、及びV07を開けた状態で、第2ポンプP02を駆動させることで、試料を、リザーバー103と中空糸モジュール104との間で循環させることができる。これにより、試料の濃縮を行うことができる。
 なお、第1中空糸処理工程S03aのその他の詳細は、前記第1実施形態に係る試料調製方法の中空糸処理工程S03と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
 (2)第2中空糸処理工程S03b(溶媒交換処理)
 本技術に係る試料調製方法では、試料の染色等の標識処理を行うことができる。標識処理としては、例えば、試料中の目的粒子に、蛍光標識抗体等の標識物質を結合させたり、試料中の目的核酸に、標識物質が結合した核酸をハイブリゼーションさせたりする方法が挙げられる。
 この際、試料の溶媒を、標識処理に適した溶媒へ交換することが好ましい。そこで、第2中空糸処理工程S03bを行って、中空糸モジュール104を用いた透析ろ過を行うことにより、溶媒交換処理を行うことができる。
 具体的には、例えば、バルブV02b及びV06を開けた状態で第1ポンプP01を駆動することにより、標識処理用緩衝液を、緩衝液用容器C02bからリザーバー103内に移送することができる。これにより、試料中の標識処理用緩衝液の割合を高めることができる。
 次に、バルブV02b及びV06を開けた状態での第1ポンプP01の駆動と同時並行的に、バルブV04及びV07を開けた状態で第2ポンプP02及び第3ポンプP03を駆動させる。第2ポンプP02及び第3ポンプP03の駆動により、リザーバー103内の試料が、流路L03を通って中空糸モジュール104のインレット1041から容器1042内に入り、そして、容器1042を通過した試料はアウトレット1043から出て、流路L04を通ってリザーバー103へと戻る。これにより、試料の溶媒が標識処理用緩衝液へ交換される。溶媒交換に伴い生じる廃液は、廃液用のアウトレット1044から出て、流路L07を通って廃液又は透過液回収容器106へと回収される。
 なお、バルブV02b及びV06を開けた状態での第1ポンプP01の駆動、並びに、バルブV04及びV07を開けた状態で第2ポンプP02及び第3ポンプP03の駆動は同時並行的に行われているが、これら2つの駆動操作は逐次的に行われてもよく、さらには逐次的に繰り返し行われてもよい。
 (3)デッドボリューム回収処理工程S06
 中空糸処理は、以下のとおり、所謂、デッドボリュームの問題を有する。即ち、中空糸処理では、中空糸カラムを含む液体を循環させながら、例えば濃縮又は透析ろ過などの処理を行う。そのため、当該処理が完了した段階では、リザーバー103以外の流路や中空糸モジュール内に試料が残存しており、この残存している試料の量が、デッドボリュームである。例えば、前記第2中空糸処理工程S03b(溶媒交換処理)が完了した時点では、流路L03、中空糸モジュール104、及び流路L04内に試料が残存しており、当該残存する試料の量がデッドボリュームである。
 デッドボリュームの問題は、中空糸処理によって目的とする物質が、リザーバー103内に多量に回収される場合は顕在化しない。しかしながら、例えばフローサイトメトリーなどの生体関連粒子分析においては、用いられる試料の量は比較的少量である場合が多く、例えば5mL程度である。当該量は、一般的な中空糸処理において想定される回収量よりも小さく、例えば一桁程度小さい。そのため、生体関連粒子分析においては、中空糸処理におけるデッドボリュームは、できるだけ小さくすることが望ましい。
 また、生体関連粒子分析において、例えば或る特定の免疫細胞など、希少細胞を分析対象とすることがある。そのため、細胞数の確保のためにも、中空糸処理におけるデッドボリュームは、できるだけ小さくすることが望ましい。
 そこで、リザーバー103と中空糸モジュール104との間で試料を循環させる循環流路から分岐しており、且つ、リザーバー103へと通じている分岐流路L08を設けることにより、デッドボリュームの問題を解消することができる。
 具体的には、まず、バルブV02b、V07、及びV08を開けた状態で第1ポンプP01を駆動させる。当該駆動に際して、他のバルブは閉じていてよく、または、他のポンプも駆動されていなくてよい。これにより、流路L04のうち、分岐流路L08と流路L04との接続箇所(バルブV04とV07との間にある接続箇所)からリザーバー103内の末端までの試料が、リザーバー103内に回収される。
 次に、ポンプP1を開放状態とし且つバルブV02b、V04、及びV08を開けた状態で、第2ポンプP02を逆駆動させる。これにより、流路L04のうち、分岐流路L08と流路L04との接続箇所(バルブ04とV07との間にある接続箇所)から中空糸モジュール104のアウトレット1043までの部分にある試料、中空糸モジュール104内にある試料、及び、流路L03内にある試料が、リザーバー103内に回収される。
 なお、第2ポンプP02の逆駆動において、第3ポンプP03も逆駆動させることができる。これにより、中空糸から試料に含まれる粒子が離脱することを促すことができる。第3ポンプP03の逆駆動は、例えば、低速で行うことができる。また、第3ポンプP03の逆駆動は、例えば、短時間(例えば0.1秒~5秒、特には0.5秒~3秒)で行うことができる。例えば、短時間の当該駆動が、1回以上、例えば、1回~10回、好ましくは2回~5回程度行うことができる。このように第3ポンプP03を逆駆動することによって、中空糸から粒子が離脱しやすくなり、リザーバー103へと回収される粒子の数を増やすことができる。
 (4)インキュベーション工程S07
 前述の通り、本技術に係る試料調製方法では、試料の染色等の標識処理を行うことができる。標識処理のために、試薬容器C01b内の試薬をリザーバー103内に導入し、インキュベーションを行うことができる。インキュベーション条件(例えば時間及び温度)は特に限定されず、試料や試薬の種類等に応じて、適宜、設定することができる。
 具体的には、例えば、バルブV01b及びV06を開けた状態でポンプP1を駆動することで、試料容器C01b内の試薬が、流路L01b及びL06を通って、リザーバー103内へ供給され、インキュベーションが行われる。
 (5)第3中空糸処理工程S03c(濃縮処理)
 第3中空糸処理工程S03cでは、溶媒交換された試料を中空糸処理することにより、溶媒交換された試料の濃縮が行われる。具体的には、例えば、バルブV04、及びV07を開けた状態で、第2ポンプP02を駆動させることで、試料を、リザーバー103と中空糸モジュール104との間で循環させることができる。これにより、溶媒交換された試料の濃縮を行うことができる。
 なお、第3中空糸処理工程S03cのその他の詳細は、前記第1実施形態に係る試料調製方法の中空糸処理工程S03と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
 (6)第4中空糸処理工程S03d(溶媒交換処理)
 第4中空糸処理工程S03dでは、標識処理用の溶媒に交換された試料の溶媒を、元の溶媒に戻すために、溶媒交換処理を行うことができる。
 具体的には、例えば、バルブV02a及びV06を開けた状態で第1ポンプP01を駆動することにより、緩衝液を、緩衝液用容器C02aからリザーバー103内に移送することができる。これにより、試料中の標識処理用緩衝液の割合が薄まり、元の緩衝液の割合を高めることができる。
 次に、バルブV02a及びV06を開けた状態での第1ポンプP01の駆動と同時並行的に、バルブV04及びV07を開けた状態で第2ポンプP02及び第3ポンプP03を駆動させる。第2ポンプP02及び第3ポンプP03の駆動により、リザーバー103内の試料が、流路L03を通って中空糸モジュール104のインレット1041から容器1042内に入り、そして、容器1042を通過した試料はアウトレット1043から出て、流路L04を通ってリザーバー103へと戻る。これにより、試料の溶媒が元の緩衝液へ交換される。溶媒交換に伴い生じる廃液は、廃液用のアウトレット1044から出て、流路L07を通って廃液又は透過液回収容器106へと回収される。
 なお、バルブV02a及びV06を開けた状態での第1ポンプP01の駆動、並びに、バルブV04及びV07を開けた状態で第2ポンプP02及び第3ポンプP03の駆動は同時並行的に行われているが、これら2つの駆動操作は逐次的に行われてもよく、さらには逐次的に繰り返し行われてもよい。
 なお、第4中空糸処理工程S03d(溶媒交換処理)の後には、必要に応じて、前述したデッドボリューム回収処理工程S06を行うことも可能である。
 (7)濃度調整工程S08
 本技術に係る試料調製方法では、濃度調整工程S08を行うことができる。濃度の調整は、例えば、濃度を下げる希釈処理であってよいし、濃度を高める濃縮処理であってもよい。
 例えば、希釈処理を行うために、バルブV02a及びV06を開けた状態で第1ポンプP01を駆動することにより、緩衝液を、緩衝液用容器C02aからリザーバー103内に移送することができる。これにより、試料の濃度を下げることができる。
 なお、当該希釈処理において、バルブV04及びV07を開けた状態で第2ポンプP02を駆動して、中空糸処理を行うこともできる。これにより、試料内の粒子を均一に分散させることができる。また、当該駆動によって、中空糸の孔に粒子が詰まることを防ぐこともできる。
 また、例えば、中空糸処理を行うことで、試料の濃縮処理をして濃度を高めることも可能である。中空処理の方法は、前述した第3中空糸処理工程S03c(濃縮処理)と同一であるため、ここでは説明を割愛する。
 (8)回収工程S09
 回収工程S09は、中空糸処理後の試料を、リザーバー103へ回収する工程である。リザーバー103の試料の量が適量になった時点で、前記濃度調整工程S08が終了し、調製された試料がリザーバー103へ適量回収された状態で、試料の調製が終了する。
 回収工程S09では、前記デッドボリューム回収処理工程S06を行うことで、中空糸や各流路に残留した試料を回収することも可能である。
 なお、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
〔1〕
 緩衝液容器から、緩衝液を空容器へ供給する緩衝液供給工程と、
 試料容器から、試料をリザーバーへ移送する移送工程と、
 前記リザーバー内の前記試料を、中空糸モジュールへ通流する中空糸処理工程と、
 前記空容器内の前記緩衝液を、前記試料容器へ移送後、前記リザーバーへ移送する共洗い工程と、
 を密閉状態で行う、試料調製方法。
〔2〕
 前記中空糸処理工程及び前記共洗い工程を、順不同又は同時に行う、〔1〕に記載の試料調製方法。
〔3〕
 前記中空糸処理工程では、試料の濃縮処理が行われる、〔1〕又は〔2〕に記載の試料調製方法。
〔4〕
 前記中空糸処理工程では、試料の溶媒交換処理が行われる、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の試料調製方法。
〔5〕
 試料のインキュベーションを行うインキュベーション工程を行う、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の試料調製方法。
〔6〕
 試料の濃度の調整を行う濃度調整工程を行う、〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の試料調製方法。
〔7〕
 中空糸処理後の前記試料を、前記リザーバーへ回収する回収工程を行う、〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の試料調製方法。
〔8〕
 前記試料は生体関連粒子を含有する、〔1〕から〔7〕のいずれかに記載の試料調製方法。
〔9〕
 前記生体関連粒子は細胞である、〔8〕に記載の試料調製方法。
〔10〕
 試料容器に接続する試料容器用接続部と、
 緩衝液容器に接続する緩衝液容器用接続部と、
 調製中の試料を収容するリザーバーと、
 前記リザーバー内の前記試料が通流される中空糸モジュールと、
 空容器と、
 が密閉連結され、
 前記空容器が、前記試料容器用接続部と前記リザーバーの間に配された、
 試料調製用キット。
〔11〕
 試料容器に接続する試料容器用接続部と、
 緩衝液容器に接続する緩衝液容器用接続部と、
 調製中の試料を収容するリザーバーと、
 前記リザーバー内の前記試料が通流される中空糸モジュールと、
 空容器と、
 が密閉連結され前記空容器が、前記試料容器用接続部と前記リザーバーの間に配された、
試料調製用キットと、
 前記試料容器及び前記緩衝液容器から前記リザーバーへ、前記試料及び前記緩衝液の移送を担う第1ポンプと、
 前記リザーバーと前記中空糸モジュールとの間で、前記試料の循環を担う第2ポンプと、
を有する試料調製装置と、
 を有する試料調製システム。
〔12〕
 前記第1ポンプは、前記緩衝液容器から前記空容器への緩衝液の移送も担う、〔11〕に記載の試料調製システム。
〔13〕
 前記第1ポンプは、前記空容器から前記試料容器への緩衝液の移送も担う、〔11〕又は〔12〕に記載の試料調製システム。
〔14〕
 前記第1ポンプ及び/又は前記第2ポンプを制御する制御部を有する、〔11〕から〔13〕のいずれかに記載の試料調製システム。
〔15〕
 前記制御部による制御は自動制御である、〔14〕に記載の試料調製システム。
1:試料調製システム
10:試料調製用キット
101:試料容器用接続部
102:緩衝液容器用接続部
103:リザーバー
104:中空糸モジュール
105:空容器
P01:第1ポンプ
P02:第2ポンプ
P03:第3ポンプ
21:分析部
S05:プライミング工程
S01:緩衝液供給工程
S02:移送工程
S03:中空糸処理工程
S04:共洗い工程
S09:回収工程
S03a:第1中空糸処理工程(濃縮処理)
S03b:第2中空糸処理工程(溶媒交換処理)
S06:デッドボリューム回収処理工程
S07:インキュベーション工程
S03c:第3中空糸処理工程(濃縮処理)
S03d:第4中空糸処理工程(溶媒交換処理)
S08:濃度調整工程

Claims (15)

  1.  緩衝液容器から、緩衝液を空容器へ供給する緩衝液供給工程と、
     試料容器から、試料をリザーバーへ移送する移送工程と、
     前記リザーバー内の前記試料を、中空糸モジュールへ通流する中空糸処理工程と、
     前記空容器内の前記緩衝液を、前記試料容器へ移送後、前記リザーバーへ移送する共洗い工程と、
     を密閉状態で行う、試料調製方法。
  2.  前記中空糸処理工程及び前記共洗い工程を、順不同又は同時に行う、請求項1に記載の試料調製方法。
  3.  前記中空糸処理工程では、試料の濃縮処理が行われる、請求項1に記載の試料調製方法。
  4.  前記中空糸処理工程では、試料の溶媒交換処理が行われる、請求項1に記載の試料調製方法。
  5.  試料のインキュベーションを行うインキュベーション工程を行う、請求項1に記載の試料調製方法。
  6.  試料の濃度の調整を行う濃度調整工程を行う、請求項1に記載の試料調製方法。
  7.  中空糸処理後の前記試料を、前記リザーバーへ回収する回収工程を行う、請求項1に記載の試料調製方法。
  8.  前記試料は生体関連粒子を含有する、請求項1に記載の試料調製方法。
  9.  前記生体関連粒子は細胞である、請求項8に記載の試料調製方法。
  10.  試料容器に接続する試料容器用接続部と、
     緩衝液容器に接続する緩衝液容器用接続部と、
     調製中の試料を収容するリザーバーと、
     前記リザーバー内の前記試料が通流される中空糸モジュールと、
     空容器と、
     が密閉連結され、
     前記空容器が、前記試料容器用接続部と前記リザーバーの間に配された、
     試料調製用キット。
  11.  試料容器に接続する試料容器用接続部と、
     緩衝液容器に接続する緩衝液容器用接続部と、
     調製中の試料を収容するリザーバーと、
     前記リザーバー内の前記試料が通流される中空糸モジュールと、
     空容器と、
     が密閉連結され前記空容器が、前記試料容器用接続部と前記リザーバーの間に配された、
    試料調製用キットと、
     前記試料容器及び前記緩衝液容器から前記リザーバーへ、前記試料及び前記緩衝液の移送を担う第1ポンプと、
     前記リザーバーと前記中空糸モジュールとの間で、前記試料の循環を担う第2ポンプと、
    を有する試料調製装置と、
     を有する試料調製システム。
  12.  前記第1ポンプは、前記緩衝液容器から前記空容器への緩衝液の移送も担う、請求項11に記載の試料調製システム。
  13.  前記第1ポンプは、前記空容器から前記試料容器への緩衝液の移送も担う、請求項11に記載の試料調製システム。
  14.  前記第1ポンプ及び/又は前記第2ポンプを制御する制御部を有する、請求項11に記載の試料調製システム。
  15.  前記制御部による制御は自動制御である、請求項14に記載の試料調製システム。
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