(本開示に至った知見)
近年、画像認識および自然言語処理などの分野において、機械学習等による認識および識別方法が、著しい進歩を遂げており、材料特性の予測にも応用され始めている。
例えば、非特許文献1は、ニューラルネットワークを用いてペロブスカイト系材料の熱力学的安定性を予測する方法を開示している。ペロブスカイト系材料は、ABX_3という組成式で表現される材料であり、A、B、Xには異なる元素が指定される。非特許文献1の方法によれば、A、B、Xのそれぞれに未探索の元素の組合せを割り当てた組成式の熱力学的安定性、または、A(またはB、X)に2つ以上の元素を係数の和が1となるように割り当てた組成式の熱力学的安定性を予測することができる。この方法によれば、工数のかかる実験の回数を減らし、材料開発を促進することができる。
しかしながら、非特許文献1に開示された技術は、膨大な数の予測結果を出力することが可能であるが、予測結果のそれぞれが個々に提示されるため、予測結果それぞれの関係を認識することが困難である。
また、非特許文献4は、上述のように、ベイズ最適化を用いた材料特性の最適化および相図作成方法を開示している。実証例として、NaF-KF-LiF系における低融点組成探索、あるいは、相図探索結果として、予測値とともに実験値を三角相図上に重畳して表示している。しかしながら、表示方法を変更する機能は有していない。
特許文献1は、組成式の構成を変えた場合の特性を三角相図上に表示する方法を開示している。しかしながら、特許文献1のように単に三角相図を表示するだけでは、3元素の配合比率、すなわち2つの変数で表される範囲内の材料の特性を提示するにとどまる。そのため、化合物の探索変数の種類が多い場合、探索対象となる化合物の構成範囲全体を表示することができず、化合物の特性それぞれの関係を認識することが困難である。
特許文献2は、円グラフで示された複数のデータを行列状に配置して特性を可視化する方法を開示している。しかしながら、特許文献2に開示された技術では、例えばペロブスカイト系材料のように探索変数の種類が多い化合物の場合、探索対象となる化合物の構成範囲全体を表示することができず、化合物の特性それぞれの関係を認識することが困難である。
特許文献3は、膨大な数の原料の配合比率を入力し、目標とする特性を有する配合比率を出力する方法を開示している。しかしながら、特許文献3に開示された技術では、出力結果が局所的に提示されるため、探索対象となる化合物の構成範囲全体を表示することができず、化合物の特性それぞれの関係を認識することが困難である。また、配合比率によってマーカーを変更して表示しているが、組成式が複数の変数によって表現される場合に、表示に用いていない変数に基づいてマーカーを変える方法は開示しておらず、表示に用いていない変数の情報を把握することは困難である。
特許文献4は、予測精度や材料特性によってマーカーを変更して複数の材料を2次元表示する方法を開示している。しかしながら、3元素の配合比率、すなわち2つの変数で表される範囲内の材料の特性を提示するにとどまる。そのため、化合物の探索変数の種類が多い場合、化合物の特性の全体像を認識することが困難である。また、2つの変数を超える探索変数に応じて表示方法を変更する方法については開示していない。すなわち、3つ以上の探索変数がある場合に、予測値および実験値を探索対象となる化合物の構成範囲全体に表示することができず、化合物の特性それぞれの関係を認識することが困難である。
以上のように、上記各特許文献および各非特許文献に用いられている方法では、材料開発に役立つ表示が不足しているか、適切に行われていない。その結果、材料開発の支援が不十分である。
そこで、本開示の一態様に係る情報表示方法では、例えば実施の形態2A~2Cに示すように、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を取得し、前記複数の化合物のそれぞれの構成に対応する位置に当該化合物の特性予測値を示すマップを生成し、1つ以上の候補化合物のそれぞれの構成を示す候補点を、当該候補化合物の構成に対応する前記マップ上の位置に重畳し、1つ以上の前記候補点が重畳された前記マップを含む画像を生成して出力し、前記候補化合物は、それぞれ前記マップに示される前記特性予測値を有する前記複数の化合物のうちの実験の候補とされる化合物である。例えば、上述の画像は表示部に出力されて表示される。また、候補化合物は、例えば、特性に関する実験の候補とされる化合物であってもよい。また、本開示における情報表示方法は、特性表示方法とも言える。
これにより、マップにおける各特性予測値と1つ以上の候補点との関係を容易に把握することができ、材料探索の効率化を図ることができる。つまり、ユーザは、表示される画像内のマップから、次の実験で有望な候補点を容易に見つけ出すことができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
あるいは、本開示の一態様に係る情報表示方法では、複数の化合物のそれぞれの構成に対応する位置に当該化合物の特性予測値を示すマップを取得し、1つ以上の候補化合物のそれぞれの構成を示す候補点を、当該候補化合物の構成に対応する前記マップ上の位置に重畳することによって生成される、前記マップを含む画像を出力し、前記候補化合物は、それぞれ前記マップに示される前記特性予測値を有する前記複数の化合物のうちの実験の候補とされる化合物である。このような情報表示方法であっても、上述と同様の作用効果を得ることができる。
また、前記情報表示方法では、さらに、前記候補点の表示方法を示す表示方法情報を取得し、前記候補点の重畳では、前記表示方法情報にしたがって1つ以上の前記候補点を前記マップに重畳してもよい。
これにより、候補点が表示方法情報によって示される表示方法にしたがってマップに重畳されるため、その表示方法の設定に応じて、ユーザの材料探索の目的に合った態様で候補点を表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記表示方法情報は、前記マップ上の予め定められた複数の位置にのみ前記候補点が重畳されることを、前記候補点の表示方法として示してもよい。
これにより、マップ上における実験に使用することが困難な点、またはユーザが意図しない点が、候補点として決定されて表示されることを抑制することができる。
また、前記表示方法情報は、前記マップに重畳される前記候補点の上限数を、前記候補点の表示方法として示し、前記候補点の重畳では、前記上限数以下で、かつ1つ以上の前記候補点を前記マップに重畳してもよい。
これにより、それぞれ候補点となり得る多くの点がマップに存在するような場合であっても、マップに重畳される候補点の数が制限される。したがって、例えば、多くの点から有望な点のみを候補点として絞ってユーザに提示することができ、その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記表示方法情報は、複数の前記候補点間の予め定められている第1最小離間距離を、前記候補点の表示方法として示し、前記候補点の重畳では、互いに前記第1最小離間距離以上離れている複数の前記候補点を前記マップに重畳してもよい。
これにより、ユーザは、化合物の構成に一定の違いがある候補点を容易に把握することができる。また、候補点の密集を避けることができ、視認性を向上することができる。
また、前記表示方法情報は、1つ以上の前記候補点のそれぞれに対応する前記候補化合物の実験の順序を実験計画として表示させることを、前記候補点の表示方法として示してもよい。
これにより、候補点が複数存在する場合に、どの順番でどの候補点の実験を行うべきかがユーザに提示される。したがって、その順番にしたがってユーザが候補点の実験を行うことによって、ユーザは効率的に実験を進めることができる。つまり、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、前記表示方法情報は、1つ以上の前記候補点のうち、当該候補点が重畳される前記マップ上の位置において示される前記特性予測値が基準値以上の候補点を、残りの候補点よりも強調して表示させることを、前記候補点の表示方法として示してもよい。例えば、前記基準値は、前記複数の化合物のそれぞれの特性予測値の平均値もしくは中央値、または、ユーザによって指定された値であってもよい。
これにより、ユーザは、マップに重畳されている1つ以上の候補点から、基準値以上の特性予測値が示されている候補点を、容易に見つけ出すことができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記表示方法情報は、1つ以上の前記候補点のそれぞれを、当該候補点の優先度に応じて複数のグループのうちの何れか1つのグループに分類し、前記グループに対応付けられている態様のマークを前記マップに重畳することを、前記候補点の表示方法として示してもよい。候補点の優先度は、例えば、その候補点において示される特性予測値であってもよい。
これにより、ユーザは、マップに重畳される各候補点が属するグループ、すなわちそのグループに属する候補点の特徴、例えば優先度が大きいか、中程度か、小さいかなどを容易に把握することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記マップは、第1座標軸および第2座標軸のそれぞれに沿ってマトリクス状に配列された複数の画像要素マップを含み、前記複数の画像要素マップのそれぞれは、第3座標軸および第4座標軸を有し、前記マップの生成では、前記第1座標軸、前記第2座標軸、前記第3座標軸、および前記第4座標軸を、化合物の構成を表現するために用いられる第1変数、第2変数、第3変数、および第4変数にそれぞれ対応付け、前記複数の化合物のそれぞれについて、前記複数の画像要素マップのうち、当該化合物の構成を表現するために用いられる前記第1変数の値および前記第2変数の値に関連付けられている画像要素マップを特定し、特性された前記画像要素マップ上における、当該化合物の構成を表現するために用いられる前記第3変数の値および前記第4変数の値に対応する位置に、当該化合物の特性予測値をマッピングしてもよい。
これにより、マップは、それぞれ4つの変数によって表現される複数の化合物の構成に対して特性予測値を示すことができ、広い範囲で化合物の特性予測値を分かり易く表示することできる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記表示方法情報は、前記複数の画像要素マップのそれぞれに重畳される前記候補点の数を、前記候補点の表示方法として示し、前記候補点の重畳では、前記複数の画像要素マップのそれぞれに、前記表示方法情報によって示される数の前記候補点を重畳してもよい。
これにより、マップに含まれる複数の画像要素マップに対して候補点を偏りなく重畳させることができる。その結果、ユーザは、マップにおいて広く分散された候補点を容易に確認することができる。
また、前記情報表示方法では、さらに、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を取得し、前記実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を、当該化合物の構成に対応する前記マップ上の位置に重畳し、前記画像の生成では、1つ以上の前記候補点および1つ以上の前記特性実験値が重畳された前記マップを含む前記画像を生成してもよい。
これにより、ユーザは、マップにおける候補点と特性実験値およびその特性実験値の位置とを容易に比較することができる。その結果、ユーザは、候補点に対応する化合物の実験を行うか否かを、特性実験値およびその特性実験値の位置に基づいて容易に判断することができる。したがって、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、前記表示方法情報は、前記候補点と前記特性実験値の位置との間の予め定められている第2最小離間距離を、前記候補点の表示方法として示し、前記候補点の重畳では、取得された前記実験済みの1つ以上の特性実験値のそれぞれの位置から、1つ以上の前記候補点を前記第2最小離間距離以上離して前記マップに重畳してもよい。
これにより、特性実験値の位置の近くに候補点が重畳されることを抑制することができる。その結果、特性実験値を有する実験済みの化合物に近い構成を有する候補化合物に対して実験が行われることによって同様の実験結果が繰り返し得られることを抑え、これまでにない新しい実験結果が得られる可能性を高めることができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記情報表示方法では、さらに、前記画像の生成の後に、さらに、前記特性実験値の取得が繰り返し実行され、新たな特性実験値が取得された場合、前記マップに重畳される全ての前記候補点が、前記新たな特性実験値の位置から前記第2最小離間距離以上離れるように、既に重畳されている1つ以上の前記候補点を更新してもよい。
これにより、候補化合物の実験が行われるたびに、新たな特性実験値が取得され、その新たな特性実験値に応じて適切な候補点を表示することができる。これにより、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、前記情報表示方法では、さらに、前記特性予測値の取得、前記マップの生成、前記表示方法情報の取得、前記特性実験値の取得、前記候補点の重畳、前記特性実験値の重畳、および前記画像の生成が繰り返し実行された後、繰り返し実行された前記画像の生成において生成された複数の画像を、記録媒体から読み出し、前記複数の画像を含む複合画像を生成して出力してもよい。
これにより、ユーザは、これまでの実験の経過を振り返ることができ、今後の材料探索の方針を適切に判断することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記候補点の重畳では、化合物の構成を示す候補点データを格納しているデータベースから、1つ以上の前記候補点を取得し、取得された1つ以上の前記候補点を前記マップに重畳してもよい。
これにより、候補点が例えば候補点データベースなどのデータベースから取得されるため、複数の化合物のそれぞれの特性予測値に関わらずに、その候補点をマップに重畳することができる。したがって、予め重要とされる候補点をマップ上に表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、前記候補点の重畳では、前記複数の化合物のそれぞれの特性予測値に基づいて、1つ以上の前記候補点を決定し、決定された1つ以上の前記候補点を前記マップに重畳してもよい。
これにより、複数の化合物のそれぞれの特性予測値に基づいて、候補点が決定されるため、例えば、最大の特性予測値、最小の特性予測値、目標値に最も近い特性予測値などの最良の特性予測値が示されている位置を、候補点に決定することができる。したがって、材料探索のさらなる効率化を図ることができる。
また、前記情報表示方法では、さらに、化合物の構成を表現するために用いられる複数の変数と、前記複数の変数のそれぞれについて、当該変数がとり得る値または元素を示す複数の選択肢データとを取得し、前記特性予測値の取得では、前記複数の変数のそれぞれに対して前記複数の選択肢データから1つの選択肢データを選択することによって得られる選択肢データの組み合わせごとに、当該組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性予測値を取得してもよい。例えば、前記特性予測値の取得では、前記組み合わせごとに、当該組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性予測値を、所定のアルゴリズムを用いて取得してもよい。
これにより、適切な特性予測値を取得することができる。つまり、それぞれ構成が異なる複数の化合物のそれぞれの特性値を適切に予測することができる。また、随時行われる化合物の実験によって所定のアルゴリズムが更新される場合には、その特性値の予測精度を高めることができる。
なお、上記情報表示方法に含まれる各処理または各動作は、情報表示装置またはコンピュータによって実行される。例えば、情報表示装置またはコンピュータは、プロセッサと、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体とを備える。記録媒体は、例えばメモリであって、上記情報表示方法に含まれる各処理または各動作をプロセッサに実行させるためのプログラムを格納している。プロセッサは、そのプログラムを記録媒体から読み出して実行する。これにより、上記情報表示方法に含まれる各処理または各動作が実行される。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。上記の情報表示方法の作用効果は情報表示装置およびプログラムにおいても同様に実現される。
また、本開示は、実施の形態1、2および3を含み、実施の形態1は、実施の形態1Aおよび1Bを含む。実施の形態2は、実施の形態2A、2Bおよび2Cを含み、実施の形態3は、実施の形態3A、3B、3Cおよび3Dを含む。以下、各実施の形態について順に説明する。
(実施の形態1A)
本実施の形態における表示システムは、複数の化合物のそれぞれの特性予測値をマップの形態で表示する。
[表示システム100の構成]
図1は、本実施の形態における表示システム100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す表示システム100は、入力部110と、予測器データベース(DB)120と、特性表示装置130と、表示部140とを備える。なお、特性表示装置130は、情報表示装置の一例である。
[入力部110]
入力部110は、ユーザによる入力操作を受け付け、その入力操作に応じた入力信号を特性表示装置130に出力する。例えば、入力部110は、例えばキーボード、タッチセンサ、タッチパッドまたはマウスなどとして構成されていてもよい。
[予測器データベース120]
予測器データベース120は、例えばコンピュータプログラムである予測器を格納している記録媒体である。具体的には、予測器データベース120は、複数の化合物のそれぞれの特性値を予測するための予測器を記憶している。予測される特性値は、例えば、電気伝導度、熱伝導率、バンドギャップなどであって、以下、特性予測値とも呼ばれる。また、予測器は、所定の計算アルゴリズムに基づくコンピュータプログラムである。所定の計算アルゴリズムは、機械学習によって得られるアルゴリズムであってもよい。予測器データベース120は、例えば不揮発性のメモリで構成される。予測器は、化合物に関するデータの入力に対して、その化合物の特性値を出力する。そのデータは、例えば化合物の組成式である。
なお、予測器は、化合物の特性予測値を出力すれことができれば、どのような形式であってもよい。予測器から出力される特性予測値は、例えば、非特許文献1および非特許文献2に記載された予測器を用いて算出される値であってもよい。非特許文献1は、ペロブスカイト系化合物の熱力学的安定性を予測する手法について開示している。非特許文献2は、化合物が高イオン伝導性を示す確率値を予測する方法を開示している。なお、化合物は、材料と同義である。
また、予測器から出力される特性予測値は、例えば、密度汎関数法により算出される特性値であってもよい。密度汎関数法の処理を行うには結晶構造の指定が必要である。その結晶構造は、入力部110からの入力信号によって指定されてもよい。また、予測器は、予測対象の化合物の結晶構造が不明であっても、その化合物と同一の組成式を有し、かつ、既知の結晶構造を有する化合物の特性値を、その予測対象の化合物の特性予測値として出力してもよい。また、予測器は、予測対象の化合物の組成式が、予測可能な化合物の組成式と異なる場合には、その予測対象の化合物の組成式の一部の元素を別の元素に置換して暫定的な結晶構造を作成し、その作成された結晶構造を有する化合物に対して密度汎関数法の計算を行えばよい。あるいは、化合物の一つの結晶構造が実験的に検証される場合には、予測器は、その結晶構造を採用し、前述と同様に密度汎関数法を実行すればよい。
また、予測器から出力される特性予測値は、例えば、非特許文献3に記載されているAb initio molecular dynamics(AIMD)と呼ばれる手法を用いて算出される特性値であってもよい。非特許文献3は、イオンの拡散係数を計算する方法について開示している。なお、特性値は、予測値に限られず、実験的に得られた電気伝導度、熱伝導率などの特性値であってもよい。
予測器データベース120は、予測値取得部132の要求に応じた予測器、すなわち化合物の特性を予測するのに適した予測器を予測値取得部132に出力する。
[表示部140]
表示部140は、特性表示装置130から画像を取得し、その画像を表示する。このような表示部140は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどであるが、これらに限定されない。
表示部140は、例えば、情報端末、電子実験ノートが導入された情報端末などに備わる表示部である。また、表示部140は、原料若しくは化合物を合成するために用いる合成装置、原料若しくは化合物を反応させるために用いる反応装置、化合物を分析するために用いる分析装置、化合物を評価するために用いる評価装置などに備わる表示部であってもよい。
[特性表示装置130]
特性表示装置130は、入力部110から入力信号を取得し、その入力信号に応じた複数の化合物の特性値を、予測器データベース120の予測器を用いて予測する。さらに、特性表示装置130は、入力部110から表示方法を示す入力信号を第1表示方法情報として取得し、その表示方法にしたがって、各化合物の予測された特性値を特性予測値として示す画像を生成する。そして、特性表示装置130は、その生成された画像を表示部140に出力する。
[特性表示装置130の構成]
特性表示装置130は、探索範囲取得部131と、予測値取得部132と、表示方法取得部133と、画像処理部134とを備える。なお、特性表示装置130は、例えば中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)などのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置130として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
[探索範囲取得部131]
探索範囲取得部131は、入力部110から化合物の探索範囲を示す入力信号を取得する。そして、探索範囲取得部131は、その入力信号を探索範囲信号として予測値取得部132に出力する。化合物の探索範囲とは、特性値の予測対象とされる各化合物の組成式、構成などの範囲である。本実施の形態では、その予測対象とされる化合物は固体電解質であり、その化合物の組成式は、例えば以下の(式1)で示される。
Li2-3a-4b(M31-xM3’x)a(M41-yM4’y)1+bO3 ・・・(式1)
探索範囲取得部131は、(式1)の変数a、b、x、y、M3、M3’、M4、M4’のそれぞれが取り得る各データ(すなわち後述の選択肢データ)を探索範囲として取得する。
図2は、探索範囲の一例を示す図である。探索範囲に含まれる探索点は、あらかじめ指定された1つ以上のデータ(例えば元素LiおよびOとその係数)と、1つ以上の範囲変数とで表現され、すべての範囲変数のそれぞれに対して値または元素が指定された場合に、一つの組成式を示す。つまり、すべての範囲変数のそれぞれに対して値または元素が指定された場合に、それらの範囲変数を用いて示されるデータ表現は、化合物の1つの構成すなわち組成式を示す。データ表現は、例えば、上記(式1)および図2に示すLi2-3a-4b(M31-xM3’x)a(M41-yM4’y)1+bO3である。なお、範囲変数は、探索変数とも呼ばれ、単に、変数とも呼ばれる。
ここで、範囲変数には、カテゴリ変数、離散変数、連続変数などがある。カテゴリ変数は、化合物を構成する元素の種類を示す。例えば、カテゴリ変数は、変数M3、M3’、M4、M4’である。変数M3、M3’のそれぞれは、4つの選択肢データ「La、Al、Ga、In」のうちの何れか1つを取り得る。この場合、変数M3、M3’のそれぞれに対して取り得る選択肢データの組み合わせは、6通り(4C2=6)である。変数M4、M4’のそれぞれは、3つの選択肢データ「Ti、Zr、Hf」のうちの何れか1つをとり得る。この場合、変数M4、M4’のそれぞれに対して取り得る選択肢データの組み合わせは、3通り(3C2=3)である。なお、LiおよびOは予め固定された元素であり、カテゴリ変数に該当しない。
離散変数は、化合物の組成比を決めるための数値を示す。離散変数に対して取り得る複数の選択肢データの数値は、互いに離散して存在する。また、離散変数における選択肢データの数は、連続変数よりも少ない。例えば、離散変数は、それぞれ元素の係数を決定するための変数a、bである。変数aは、5つの選択肢データ「0.0、 0.05、 0.1、 0.15、 0.2」のうちの1つを取り得る。変数aに対して取り得る選択肢データの組み合わせは、5通り(5C1=5)である。変数bは、4つの選択肢データ「0.0、 0.1、 0.2、 0.3」のうちの1つを取り得る。変数bに対して取り得る選択肢データの組み合わせは、4通り(4C1=4)である。
連続変数は、化合物の組成比を決めるための数値を示す。連続変数における選択肢データの数は、例えば、離散変数およびカテゴリ変数よりも多く、選択肢データの変化に対する特性値の変化を詳しく分析したい場合に適した変数である。なお、連続変数における選択肢データの数は5つ以上あることが望ましい。例えば、連続変数は、それぞれ元素の係数を決定するための変数x、yである。変数x、yはそれぞれ、最小値0.0から最大値1.0までステップ幅0.1で示される11個の選択肢データのうちの1つを取り得る。つまり、変数x、yのそれぞれに対して取り得る選択肢データは、11通りである(11C1=11)。
なお、図2に示す例では、連続変数の11個の選択肢データは、最小値0.0、最大値1.0およびステップ幅0.1を用いて表現されているが、「0.0、 0.1、 0.2、 0.3・・・、 1.0」のように11個の係数そのもので表現されてもよい。また、連続変数は、ステップ幅を0.1に比べてより小さくし、特性予測値などの検索データがより連続的に変化する様に設定されてもよい。より小さいステップ幅の例は0.01、0.001などである。連続変数はユーザによって指定されてもよい。例えば、探索変数x、yのそれぞれが連続変数とすることがユーザによって指定されてもよい。この場合、探索変数x、yそれぞれの最小値および最大値がユーザによって指定され、探索変数x、yそれぞれのステップ幅には、特性表示装置130が予め記憶している値が用いられてもよい。
図2に示すデータ表現の組成式では、連続変数xで表されるM3およびM3’の比率は、一方の比率を変化させると他方の比率が変化する負の相関関係を有している。同様に、連続変数yで表されるM4およびM4’の比率は、一方の比率を変化させると他方の比率が変化する負の相関関係を有している。
言い換えれば、それぞれ変数であるM3、M3’、M4、M4’、a、b、x、yは、選択肢データを用いて、以下のように表現される。
M3∈{La,Al,Ga,In}
M3’∈{La,Al,Ga,In}
M4∈{Ti,Zr,Hf}
M4’∈{Ti,Zr,Hf}
a∈{0.0, 0.05, 0.1, 0.15, 0.2}
b∈{0.0, 0.1, 0.2, 0.3}
x∈{0.0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0}
y∈{0.0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1.0}
そして、M3、M3’、M4、M4’、a、b、x、yのそれぞれの変数に対して、その変数に対応する複数の選択肢データから1つの選択肢データを選択することによって、選択肢データの組み合わせが得られる。その組み合わせは、(M3,M3’,M4,M4’,a,b,x,y)=(La,Al,Ti,Zr, 0.1, 0.1, 0.1, 0.1),(La,Al,Ti,Zr, 0.1, 0.1, 0.1, 0.2),(La,Al,Ti,Zr, 0.1, 0.1, 0.1, 0.3),・・・などである。つまり、組み合わせの数は多くある。このような選択肢データの組み合わせによって、化合物の構成である組成式が一意に表現される。また、上述の探索範囲は、これらのすべての組み合わせを含む範囲であり、上述の探索点は、1つの組み合わせ、または化合物の構成を意味しているとも言える。なお、複数の変数のそれぞれが取り得る選択肢データの組み合わせは、以下、複数の変数の組み合わせとも呼ばれる。例えば、変数x、yのそれぞれが取り得る選択肢データの組み合わせは、変数x、yの組み合わせとも呼ばれる。
これらの範囲変数に対して指定される値または元素を変更して探索点を生成すると、様々な探索点が生成され、これらの集合が探索範囲を表す。
[予測値取得部132]
予測値取得部132は、探索範囲取得部131から探索範囲信号を取得する。そして、予測値取得部132は、その探索範囲信号によって示される探索範囲に含まれる複数の変数のそれぞれが取り得る選択肢データの全ての組み合わせを生成する。その組み合わせによって化合物の組成式が表現される。したがって、それらの組み合わせに応じた複数の組成式または構成が生成される。
図3は、選択肢データの組み合わせによって表現される組成式の一例を示す図である。図3は、生成される複数の組成式と、その複数の組成式のそれぞれに用いられる変数M3、M3’、M4、M4’、a、b、x、yのそれぞれの選択肢データとを示す。なお、本開示では、組成式に含まれる各元素の係数(すなわち組成比を示す数値)は、下付き文字で示される場合と、元素を示す文字と同様、通常の文字で示される場合とがある。
なお、組成式のデータ表現は、図3のように選択肢データそのものを示すことなく、変数に対して取り得る選択肢データの順番を示してもよい。例えば、離散変数aの5つの選択肢データが「0.0、 0.05、 0.1、 0.15、 0.2」である場合、その順番で選択肢データが特定される。この場合、例えば、離散変数a=0.1の代わりに、離散変数aの選択肢データ「0.1」の順番「3」が、組成式のデータ表現に用いられてもよい。
予測値取得部132は、予測器データベース120から予測器を取得し、生成した複数の組成式をその予測器に入力することによって、それらの組成式を有する化合物の特性予測値を取得する。
図4は、取得された各化合物の特性予測値の一例を示す図である。
予測値取得部132は、図4(図中の右端)に示すように、探索範囲から生成された複数の組成式のそれぞれに対して、その組成式を有する化合物の特性予測値を取得する。予測値取得部132は、複数の組成式のそれぞれについて、その組成式と、その組成式に対して取得された特性予測値とを関連付けて画像処理部134に出力する。なお、その出力される組成式は、上述の複数の変数の組み合わせであってもよい。
[表示方法取得部133]
表示方法取得部133は、入力部110から表示方法を示す入力信号を第1表示方法情報として取得する。そして、表示方法取得部133は、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。第1表示方法情報によって示される表示方法は、各組成式によって示される化合物の特性予測値を表示する方法である。
[画像処理部134]
画像処理部134は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の組成式および特性予測値を取得する。さらに、画像処理部134は、表示方法取得部133から第1表示方法情報を取得する。画像処理部134は、その第1表示方法情報によって示される表示方法にしたがって複数の化合物の特性予測値を示すマップを生成し、そのマップを含む画像を表示部140に表示する。
[マップの具体例]
図5A~図5Cは、マップの一例を示す図である。
画像処理部134は、例えば図5Aに示すマップMaを生成する。このマップMaは、座標軸A1およびA2を有する。座標軸A1には、例えば連続変数xが割り当てられ、座標軸A2には、例えば連続変数yが割り当てられる。マップMaにおける変数x、yのそれぞれの数値によって示される各位置のセルには、その変数x、yのそれぞれの数値を組成式に含む化合物の特性予測値に応じた濃淡度の色が付されている。なお、特性予測値は、例えばバンドギャップであって、マップMaには、その特性予測値と濃淡度との関係を示すスケールが付されている。
例えば、表示方法取得部133は、ユーザによる入力部110に対する入力操作に応じて、第1表示方法情報を取得する。この第1表示方法情報は、例えば、座標軸A1に割り当てられる変数xと、座標軸A2に割り当てられる変数yとを示す。さらに、その第1表示方法情報は、座標軸に割り当てられない変数M3、M3’、M4、M4’、aおよびbのそれぞれの選択肢データを指定選択肢データとして示す。そして、表示方法取得部133は、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。
画像処理部134は、その第1表示方法情報にしたがって、変数xをマップMaの座標軸A1に割り当て、変数yをマップMaの座標軸A2に割り当てる。さらに、画像処理部134は、予測値取得部132によって取得された複数の化合物の特性予測値から、変数M3、M3’、M4、M4’、aおよびbのそれぞれが指定選択肢データを示す各化合物の特性予測値を特定する。そして、画像処理部134は、特定された各化合物の特性予測値に応じた濃淡度の色を、その化合物の組成式に含まれる変数x、yのそれぞれの数値によって示されるマップMa上の位置に付ける。
例えば、その色は黒色または白色であって、特性予測値が大きいほど、その特性予測値に対して濃い黒色がマップMaに付けられ、逆に、特性予測値が小さいほど、その特性予測値に対して薄い黒色がマップMaに付けられる。しかし、その色は、黒色または白色以外の他の色であってもよい。また、画像処理部134は、色の濃淡度の代わりに、色の種類によって特性予測値をマップMa上に示してもよい。例えば、画像処理部134は、1番目に大きい特性予測値に赤色を割り当て、2番目に大きい特性予測値に橙色を割り当て、3番目に大きい特性予測値に黄色を割り当て、4番目に大きい特性予測値に白色を割り当て、5番目に大きい特性予測値に黄緑色を割り当て、6番目に大きい特性予測値に水色を割り当て、7番目に大きい特性予測値に青色を割り当ててもよい。そして、画像処理部134は、予測値取得部132から取得した特性予測値の大きさに対して割り当てられた色をマップMaに付けてもよい。この場合には、マップMaは、ヒートマップのように表示される。
また、このマップMaによって示される特性予測値を有する複数の化合物では、変数x、y以外の変数、すなわちマップMaの座標軸に用いられない変数M3、M3’、M4、M4’、aおよびbのそれぞれは、同一の選択肢データを示す。つまり、変数M3、M3’、M4、M4’、aおよびbのそれぞれの選択肢データは、指定選択肢データに固定され、変数x、yのそれぞれの数値に応じた化合物の特性予測値がマップMaに表示される。言い換えれば、マップMaでは、変数M3、M3’、M4、M4’、aおよびbのそれぞれの選択肢データの組み合わせが固定されている。例えば、変数(M3,M3’,M4,M4’,a,b)=(La,Al,Ti,Zr,0.05, 0.1)のように、変数M3、M3’、M4、M4’、aおよびbのそれぞれの選択肢データは、指定選択肢データに固定される。
なお、マップMaの座標軸に用いられる変数、例えば変数x、yは、可変変数または可視化変数と呼ばれてもよく、マップMaの座標軸に用いられない変数、例えば変数M3、M4などは、固定変数、非可視化変数、余剰変数、または非活用変数などと呼ばれてもよい。また、本実施の形態におけるマップMaは、画像要素マップMaとも呼ばれる。
また、画像処理部134は、図5Bに示すように、特性予測値を補間し、補間された特性予測値を示すマップMaを表示部140に表示してもよい。つまり、画像処理部134は、変数xの11個の数値「0.0、 0.1、 0.2、・・・、 10.0」および変数yの11個の数値「0.0、 0.1、 0.2、・・・、 10.0」に応じた121(=11×11)点の特性予測値に基づいて、それらの点間の特性予測値を算出する。画像処理部134は、例えば、線形補間、バイリニア補間、バイキュービック補間などを用いて特性予測値を補間してもよい。
また、図5Aおよび図5Bでは、座標軸A1に割り当てられる連続変数xの数値範囲と、座標軸A2に割り当てられる連続変数yの数値範囲とは等しい。つまり、連続変数x、yの数値範囲は、最小値0.0から最大値1.0までの範囲である。そのため、図5Aおよび図5Bに示すマップMaの形状は、正方形である。しかし、マップMaの形状は、マップMaの座標軸の割り当て方法に依存し、他の形状であってもよい。
例えば、マップMaの形状は、長方形であってもよく、図5Cのように、三角形であってもよい。
図5Cの例では、IN(N1-x-ySexAsy)の組成式を有する化合物の特性予測値を示す三角形のマップMaが表示される。図5Aおよび図5Bの例と同様、マップMaにおける変数x、yのそれぞれの数値によって示される各位置のセルには、その変数x、yのそれぞれの数値を組成式に含む化合物の特性予測値に応じた濃淡度の色が付されている。
このように、本実施の形態における特性表示装置130は、予測値取得部132、表示方法取得部133、および画像処理部134を備える。予測値取得部132は、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を取得する。表示方法取得部133は、その特性予測値の表示方法を示す第1表示方法情報を取得する。画像処理部134は、その第1表示方法情報にしたがって複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップMaを生成する。さらに、画像処理部134は、そのマップMaを含む画像を生成して出力する。ここで、そのマップMaは、化合物の構成を表現するために用いられる複数の変数のうちの少なくとも2つの変数をそれぞれ示す座標軸を有する。例えば、上述の画像は表示部140に出力されて表示される。
これにより、第1表示方法情報が取得され、その第1表示方法情報によって示される表示方法にしたがって、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップMaが生成される。その結果、第1表示方法情報によって示される表示方法が、新規材料の探索の目的に則して設定されれば、その生成されたマップMaを含む画像を表示することによって、新規材料の探索、すなわち材料開発を適切に支援することができる。また、マップMaは、上述の座標軸を有するため、複数の化合物のそれぞれの構成に対応する位置に、その化合物の特性予測値を示すことができる。そして、探索対象となる多くの化合物のそれぞれの特性予測値がマップMaとして表示されるため、それらの特性予測値を適切に可視化することができ、ユーザは、化合物の構成と特性予測値との関係を容易に認識することができる。つまり、ユーザは、マップMaにおける特性予測値の全体像を容易に把握することができる。なお、新規材料あるいは新規化合物の探索は、材料探索とも呼ばれる。
なお、特性表示装置130は、表示方法取得部133を備えていなくてもよい。この場合、画像処理部134は、取得された特性予測値を用いて生成されるマップMaを含む画像を出力する。そのマップMaは、化合物の構成を表現するために用いられる少なくとも2つの変数をそれぞれ示す座標軸を有し、その複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップである。このような特性表示装置130であっても、上述と同様の作用効果を得ることができる。
また、第1表示方法情報は、特性予測値を示すための色の決定方法と、特性予測値を示すための表示形式の決定方法との少なくとも1つを、特性予測値の表示方法として示してもよい。例えば、色の決定方法によって、特性予測値に応じた色が決定され、表示形式の決定方法によって、特性予測値に応じた色の濃淡度が決定される。その結果、本実施の形態における画像処理部134は、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性予測値に応じた色または色の濃淡度を示すマップMaを生成する。
これにより、各化合物の特性予測値が、その特性予測値に応じた色または色の濃淡度によって示されるため、ユーザは特性予測値の大きさを容易に把握することができる。例えば、ユーザは、類似する構成を有する化合物間における特性予測値の差異を容易に把握することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置130は、探索範囲取得部131を備える。探索範囲取得部131は、化合物の構成を表現するために用いられる複数の変数と、複数の変数のそれぞれについて、その変数がとり得る値または元素を示す複数の選択肢データとを取得する。そして、予測値取得部132は、その複数の変数のそれぞれに対して複数の選択肢データから1つの選択肢データを選択することによって得られる選択肢データの組み合わせごとに、その組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性予測値を取得する。つまり、探索範囲取得部131は、上述の組み合わせごとに、その組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性予測値を、所定のアルゴリズムを用いて取得する。例えば、所定のアルゴリズムは、予測器データベース120に格納されている予測器である。
これにより、適切な特性予測値を取得することができる。つまり、それぞれ構成が異なる複数の化合物の特性値を適切に予測することができる。また、随時行われる化合物の実験によって所定のアルゴリズムが更新される場合には、その特性値の予測精度を高めることができる。
図6は、マップMaの他の例を示す図である。
画像処理部134は、図6に示すように、特性予測値を離散化し、その離散化された特性予測値に応じた濃淡度の色をマップMaに付してもよい。例えば、画像処理部134は、特性予測値「0.5~4.0」を0.25間隔で離散化する。したがって、画像処理部134は、予測値取得部132から取得された特性予測値が例えば0.7であれば、その特性予測値を例えば0.75に置き換える。
例えば、表示方法取得部133は、特性予測値の離散化とその間隔とを示す入力信号を第1表示方法情報として入力部110から取得し、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。画像処理部134は、その第1表示方法情報にしたがって、予測値取得部132から取得された各化合物の特性予測値を離散化する。
このように、本実施の形態における画像処理部134は、特性予測値を離散化し、離散化された特性予測値を示すマップMaを生成する。
つまり、本実施の形態では、取得された特性予測値そのものに応じた濃淡度の色をマップMaに付けることに限定されず、図6のように、離散化された特性予測値に応じた濃淡度の色をマップMaに付けてもよい。これにより、マップMaにおいて同程度の特性予測値を持つ領域の視認性が向上し、特性予測値の変化傾向または分布を把握しやすくすることができ、特性予測値の把握にかかる工数を削減することができる。
図7A~図7Dは、マップMaの他の例を示す図である。
画像処理部134は、図7Aに示すように、特性予測値が基準値に近いほど、その特性予測値に対して低い濃淡度を設定し、特性予測値が基準値から離れているほど、その特性予測値に対して高い濃淡度を設定してもよい。例えば、表示方法取得部133は、基準値を示す第1表示方法情報を入力部110から取得し、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。画像処理部134は、その第1表示方法情報に示される基準値にしたがって特性予測値に対して濃淡度を設定する。
図7Aの例の場合、基準値は、2.65~2.85[eV]の範囲内の値である。なお、低い濃淡度は、色が薄いことを意味し、高い濃淡度は、色が濃いことを意味する。また、画像処理部134は、特性予測値が基準値よりも大きい場合と、特性予測値が基準値よりも小さい場合とで、それらの特性予測値に対して同一系統の色を設定してもよい。例えば、図7Aに示す例のように、2.85[ev]を超える特性予測値は、基準値よりも大きく、2.65[ev]未満の特性予測値は、基準値よりも小さい。そして、マップMaにおいて、2.85[ev]を超える特性予測値が示されている領域r1と、2.65[ev]未満の特性予測値が示されている領域r2とは、同一系統の色であってもよい。逆に、画像処理部134は、特性予測値が基準値よりも大きい場合と、特性予測値が基準値よりも小さい場合とで、それらの特性予測値に対して互いに異なる系統の色を設定してもよい。例えば、マップMaにおいて、2.85[ev]を超える特性予測値が示されている領域r1は、赤系統の色で示され、2.65[ev]未満の特性予測値が示されている領域r2は、青系統の色で示されてもよい。また、画像処理部134は、基準値と等しい特性予測値が示されている領域に対して予め定められている白色を設定する。しかし、その領域に設定される色は、白色に限定されることなく、赤色などの他の色であってもよい。また、特性予測値は、図6の例のように、離散化されていてもよく、離散化されていなくてもよい。特性予測値が離散化される場合、マップMaにおける複数の領域は例えば等高線によって区切られたように表示される。
画像処理部134は、図7Bに示すように、マップMaにおいて、基準値よりも小さい特性予測値が示されている領域r2に対して、予め定められているパターンのハッチングをかけてもよい。そのパターンは、ストライプのパターンであってもよく、図7Bの例のように、複数のドットからなるパターンであってもよい。つまり、画像処理部134は、その領域r2に対して複数のドットを重畳してもよい。また、画像処理部134は、その領域r2に対しては、特性予測値に応じた濃淡度の色の代わりに、複数のドットのみを重畳してもよい。
画像処理部134は、図7Cに示すように、基準値に対応する等値線L1をマップMaに重畳してもよい。例えば、等値線L1は、図7Cに示すように、特性予測値が基準値の範囲内である領域r3と、特性予測値がその範囲未満である領域r2との境界に重畳される。なお、画像処理部134は、複数のドットをマップMaに重畳せずに、等値線L1をマップMaに重畳してもよく、等値線L1のみをマップMaに重畳してもよい。これにより、ユーザは、基準値近傍の特性予測値の領域、あるいは、基準値を超える特性予測値の領域を容易に把握することができる。
画像処理部134は、図7Dに示すように、マップMaにおいて、条件を満たしていない特性予測値が示されている領域r4(図7Dの例ではストライプの領域)に対して、予め定められている色、または予め定められている濃淡度の色を付けてもよい。その色は、黒色であってもよい。または、画像処理部134は、その領域r4に対して、予め定められているパターンのハッチングをかけてもよい。つまり、画像処理部134は、その領域r2に対してストライプのパターンを重畳してもよい。上述の条件は、例えば、特性予測値が下限値以上であるという条件である。下限値は、図7Dの例では、2.45[eV]である。
例えば、表示方法取得部133は、その条件または下限値を示す第1表示方法情報を入力部110から取得し、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。画像処理部134は、その第1表示方法情報にしたがって、例えば図7DのようなマップMaを生成する。下限値未満の領域は、例えば、材料探索において考慮しなくてもよい領域である。したがって、図7Dの例では、ユーザは、材料探索において考慮しなくてもよい領域を容易に把握することができる。
このように、本実施の形態における第1表示方法情報は、以下の(a)~(e)のうちの少なくとも1つを、特性予測値の表示方法として示す。(a)は、基準値と同一の特性予測値を、予め定められている色または色の濃淡度によってマップMa上に示す方法である。(b)は、基準値よりも大きい特性予測値を第1系統の色で示し、その基準値よりも小さい特性予測値を第2系統の色で示す方法である。(c)は、マップMa上における、基準値と同一の特性予測値が示されている第1領域と、その基準値と異なる特性予測値が示されている第2領域との境界に、境界線を重畳する方法である。(d)は、マップMa上において所定の条件を満たす特性予測値が示されている第3領域と、マップMa上において所定の条件を満たしていない特性予測値が示されている第4領域とのうちの一方の領域を、予め定められた色または色の濃淡度で示す方法である。(e)は、その第3領域と第4領域とのうちの一方の領域に、複数のドットまたはストライプのパターンを重畳する方法である。例えば、(a)および(b)の方法は、図7A~図7Cに示す表示方法であり、(c)の方法は、図7Cに示す表示方法であり、(d)の方法は、図7Dに示す表示方法であり、(e)の方法は、図7B~図7Dに示す方法である。なお、(c)の境界線は、図7Cの等値線L1に相当する。
これにより、ユーザは、基準値に等しい特性予測値が示されている領域、基準値よりも大きい特性予測値もしくは小さい特性予測値が示されている領域、それらの領域の境界、または、所定の条件を満たしている領域もしくは満たしていない領域を、容易に把握することができる。
また、上述の例では、基準値は、第1表示方法情報によって示される。つまり、基準値は、入力部110への入力操作によって、ユーザにより指定される値である。しかし、その基準値は、特性予測値から決定される値であってもよい。例えば、基準値は、マップMaに示される全ての特性予測値の平均値または中央値であってもよい。
つまり、本実施の形態における基準値は、複数の化合物のそれぞれの特性予測値の平均値もしくは中央値、または、ユーザによって指定された値である。
これにより、マップMaの全体からの複数の領域への区分け、またはそれらの領域間の境界線を表示するため適切な基準値を容易に設定することができる。
図8は、マップMaの他の例を示す図である。
画像処理部134は、図8に示すように、特性予測値の勾配を示す矢印をマップMaに重畳してもよい。例えば、表示方法取得部133は、矢印の重畳を示す第1表示方法情報を入力部110から取得し、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。画像処理部134は、その第1表示方法情報にしたがって、マップMa上の各位置における特性予測値に対する勾配を算出し、その勾配を示す矢印をその位置に重畳する。矢印は、勾配の向きを指し、勾配の大きさに比例した長さを有する。これにより、変数x、yのそれぞれの数値に応じた特性予測値の変化の大きさと向きとを容易に把握することができる。
つまり、本実施の形態における画像処理部134は、マップMa上に示される特性予測値の勾配を特定し、その勾配の向きおよび大きさを示す矢印をマップMaに重畳する。これにより、ユーザは、マップMa上の矢印を見ることによって、その特性予測値の変数x,yに対する変化を容易に把握することができる。
図9Aおよび図9Bは、マップMaの他の例を示す図である。
画像処理部134は、図9Aに示すように、変数x、yのそれぞれの数値の同一の組み合わせを有する複数の化合物の特性予測値のうち、最良の特性予測値を、その同一の組み合わせに対応するマップMa上の位置に示してもよい。最良の特性予測値は、例えば、最大の特性予測値である。なお、最良の特性予測値は、最良値とも呼ばれ、最小の特性予測値であってもよく、予め定められた基準値に最も近いと特性予測値であってもよい。
具体的には、変数x、yのそれぞれの数値の同一の組み合わせが変数(x,y)=(0.1, 0.2)である場合、画像処理部134は、それぞれ変数(x,y)=(0.1, 0.2)を組成式に含む複数の化合物の特性予測値を特定する。つまり、画像処理部134は、予測値取得部132によって取得された全ての化合物の特性予測値の中から、それぞれ変数(x,y)=(0.1, 0.2)を組成式に含む複数の化合物の特性予測値を絞り込む。次に、画像処理部134は、それらの特定された複数の特性予測値の中から、最良の特性予測値を最良値として決定する。そして、画像処理部134は、マップMa上における変数(x,y)=(0.1, 0.2)に対応する位置に、その決定された最良値を、その最良値に応じた濃淡度の色で示す。このような最良値の決定は、マップMa上における各位置に対して実行され、決定された最良値が、マップMa上のその位置に示される。
また、画像処理部134は、変数(x,y)=(0.1, 0.2)だけでなく、変数(M3,M3’,M4,M4’)=(La,Al,Ti,Zr)を組成式に含む複数の化合物の特性予測値を特定してもよい。つまり、その複数の化合物のそれぞれの組成式に含まれる変数(M3,M3’,M4,M4’)の選択肢データを同一または固定にしてもよい。この場合、変数(a,b)のそれぞれの数値の組み合わせを互いに異ならせることによって複数の組成式が表現され、その複数の組成式のそれぞれによって示される化合物の特性予測値の中から、最良の特性予測値が最良値として決定される。
例えば、図9Aに示すように、マップMaの各位置における最良値(すなわちバンドギャップ)は、3.0[eV]を超えている。この場合、ユーザは、変数x、yのそれぞれの数値がそれらの数値範囲「0.0~1.0」内の何れであっても、変数a、bのそれぞれの数値を調整することによって、3.0[eV]を超える特性予測値を得ることができると把握することができる。したがって、何れの数値を取るかがあまり重要でない変数(例えば変数a、b)については考慮することなく、座標軸に用いた重要な変数(例えば変数x、y)と特性予測値との関係に着目した特性予測値の表示を行うことができる。
また、画像処理部134は、図9Bに示すように、変数x、yのそれぞれの数値の同一の組み合わせを有する複数の化合物の特性予測値の平均値を、その同一の組み合わせに対応するマップMa上の位置に示してもよい。
具体的には、変数x、yのそれぞれの数値の同一の組み合わせが変数(x,y)=(0.1, 0.2)である場合、画像処理部134は、それぞれ変数(x,y)=(0.1, 0.2)を組成式に含む複数の化合物の特性予測値を特定する。つまり、画像処理部134は、予測値取得部132によって取得された全ての化合物の特性予測値の中から、それぞれ変数(x,y)=(0.1, 0.2)を組成式に含む複数の化合物の特性予測値を絞り込む。次に、画像処理部134は、それらの特定された複数の特性予測値の平均値を算出する。そして、画像処理部134は、マップMa上における変数(x,y)=(0.1, 0.2)に対応する位置に、その算出された平均値を、その平均値に応じた濃淡度の色で示す。このような平均値の決定は、マップMa上における各位置に対して実行され、算出された平均値が、マップMa上のその位置に示される。
また、画像処理部134は、変数(x,y)=(0.1, 0.2)だけでなく、変数(M3,M3’,M4,M4’)=(La,Al,Ti,Zr)を組成式に含む複数の化合物の特性予測値を特定してもよい。つまり、その複数の化合物のそれぞれの組成式に含まれる変数(M3,M3’,M4,M4’)の選択肢データを同一または固定にしてもよい。この場合、変数(a,b)のそれぞれの数値の組み合わせを互いに異ならせることによって複数の組成式が表現され、その複数の組成式のそれぞれによって示される化合物の特性予測値の平均値が算出される。
さらに、変数a、bのそれぞれの数値範囲が設定されてもよい。例えば、表示方法取得部133は、変数(a,b)=(0.05, 0.1)を示す第1表示方法情報を取得し、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。画像処理部134は、その第1表示方法情報にしたがって、変数a∈{0.0, 0.05, 0.1}および変数b∈{0.0, 0.1, 0.2}のように、変数a、bのそれぞれの数値範囲を設定する。つまり、画像処理部134は、第1表示方法情報によって示される変数a、bのそれぞれの数値について、その数値と、その数値の前後にある1つの数値とを数値範囲に含める。この場合、変数a,bのそれぞれの数値範囲内の数値の組み合わせを互いに異ならせることによって複数の組成式が表現され、その複数の組成式のそれぞれによって示される化合物の特性予測値の平均値が算出される。なお、画像処理部134は、平均値の代わりに、微分値、分散などを算出してもよい。これにより、変数a、bを変更した場合の特性予測値の変動も考慮した特性予測値の表示を行うことができ、特性予測値のロバスト性を把握することができる。
このように、本実施の形態では、複数の変数のうち、マップMaの座標軸A1、A2に用いられる2つの変数x、y以外の変数である非活用変数aがある場合、第1表示方法情報は、その非活用変数aを用いて特性予測値を表示することを、特性予測値の表示方法として示す。これにより、マップMaの座標軸A1、A2に用いられる2つの変数x、yに限定されることなく、非活用変数aも用いて特性予測値が表示されるため、材料開発を適切に支援することができる。
具体的には、本実施の形態における第1表示方法情報は、複数の変数のうち、マップMaの座標軸A1、A2に用いられる2つの変数x、y以外の変数である非活用変数aがある場合、その非活用変数aに第1値、第2値、または所定の数値範囲内の各数値を代入することを、特性予測値の表示方法として示す。ここで、(a)その非活用変数aに第1値が代入される場合、画像処理部134は、ユーザによって指定された第1値を示す非活用変数aを用いて表現される構成を有する複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップMaを生成する。また、(b)その非活用変数aに第2値が代入される場合、画像処理部134は、マップMaに示される特性予測値が所定の条件を満たすように第2値を決定し、決定された第2値を示す非活用変数aを用いて表現される構成を有する複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップMaを生成する。また、(c)その非活用変数aに所定の数値範囲内の各数値が代入される場合、画像処理部134は、マップMa上の位置ごとに、それぞれその位置に対応する数値を示す2つの変数x、yを用いて表現される構成を有する複数の化合物の特性予測値の平均値を算出する。そして、画像処理部134は、マップMa上の位置ごとに、その位置に対して算出された特性予測値の平均値を示すマップMaを生成する。ここで、その特性予測値の平均値が算出される複数の化合物のそれぞれの非活用変数aは、所定の数値範囲内の互いに異なる数値を示す。なお、非活用変数は、離散変数aなどのように、マップMaの座標軸に活用されない変数であって、非可視化変数とも呼ばれる。また、非活用変数として変数aだけでなく変数bがある場合には、変数a、bのそれぞれに対して第1値、第2値、または、所定の数値範囲内の各数値が代入される。また、上述の(a)の場合には、例えば図5Aに示すマップMaが表示される。つまり、上述の(a)の場合には、ユーザによる入力部110への入力操作によって、離散変数aなどの非活用変数の選択肢データが、上述の指定選択肢データとして第1値に指定または固定される。また、上述の(b)の場合における所定の条件は、例えば、特性予測値が上述の最良値となる条件である。
これにより、(a)の場合には、ユーザによって非活用変数に第1値が指定されるため、マップMaに表示される特性予測値を有する化合物の構成をユーザが任意に選択することができる。また、(b)の場合には、所定の条件を材料探索に求められる条件に設定することによって、例えばユーザが非活用変数の値を指定することなく、材料探索に求められる条件を満たすマップMaを簡単に表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。つまり、材料開発を適切に支援することができる。また、(c)の場合には、非活用変数が取り得る値の変化を、マップMa上の特性予測値に反映することができ、非活用変数に対する特性予測値のロバスト性を向上することができる。
[処理動作]
図10は、本実施の形態における表示システム100の処理動作を示すフローチャートである。
(ステップS111)
まず、探索範囲取得部131は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じて、入力部110から出力される探索範囲信号を取得する。この探索範囲信号は、例えば図2に示すような化合物の探索範囲を示す入力信号である。つまり、探索範囲取得部131は、探索範囲を取得する。そして、探索範囲取得部131は、その探索範囲信号を予測値取得部132に出力する。
(ステップS112)
予測値取得部132は、その探索範囲信号を探索範囲取得部131から取得し、その探索範囲信号によって示される探索範囲にしたがって、複数の変数のそれぞれの選択肢データを組み合わせる。例えば、探索範囲内で可能な全ての組み合わせが生成される。そして、予測値取得部132は、複数の化合物のそれぞれの組成式、すなわち組み合わせを、予測器データベース120の予測器に入力することによって、それらの化合物の特性予測値を取得する。予測値取得部132は、それらの化合物の特性予測値と、その化合物の組成式とを関連付けて画像処理部134に出力する。
なお、本実施の形態では、予測値取得部132は、予測器データベース120から予測器を取得し、その予測器を用いて特性予測値を取得する。しかし、予測値取得部132は、予測器データベース120に格納されている、化合物の特性値を予測するための少なくとも1つの予測器から、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を取得してもよい。この場合であっても、複数の化合物のそれぞれに対して適切な特性予測値を取得することができる。
(ステップS113)
表示方法取得部133は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じてその入力部110から出力される第1表示方法情報を取得する。この第1表示方法情報は、例えば図5A~図9Bに示すような特性予測値の表示方法を示す。そして、表示方法取得部133は、その第1表示方法情報を画像処理部134に出力する。
(ステップS114)
画像処理部134は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性予測値および組成式を取得し、表示方法取得部133から第1表示方法情報を取得する。そして、画像処理部134は、その第1表示方法情報によって示される表示方法にしたがって、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップMaを生成し、そのマップMaを含む画像を表示部140に出力する。
(ステップS115)
表示部140は、画像処理部134から画像を取得し、その画像を表示する。
このようなステップS111~S115の処理が実行されることによって、材料である化合物の特性予測値の表示、すなわち特性表示が行われる。
(実施の形態1Aの変形例1)
上記実施の形態では、マップMaの座標軸には、変数x、yが用いられ、変数a、bは用いられていない。本変形例における画像処理部134は、変数x、yだけでなく、変数a、bも座標軸に用いてマップを生成する。
図11は、本変形例におけるマップの一例を示す図である。
画像処理部134は、図11に示すように、複数のマップMaの配列からなる画像マップMbを生成して表示部140に表示する。この場合、画像処理部134は、マップMaの座標軸A1、A2に割り当てられなかった2つの変数を、画像マップMbの2つの座標軸A3、A4に割り当てる。2つの座標軸A3、A4に割り当てられる変数は、例えば離散変数a、bである。
なお、マップMaは、画像マップMbと区別して画像要素マップMaとも呼ばれる。さらに、画像要素マップMaおよび画像マップMbは、単に、マップとも呼ばれる。
離散変数aが有する選択肢データは、0.0、 0.05、 0.1、 0.15、 0.2の5通りであり、離散変数bが有する選択肢データは、0.0、 0.1、 0.2、 0.3の4通りである。よって、図11におけるカテゴリ変数の組み合わせ1つあたりの画像要素マップMaは5×4=20個となる。つまり、画像マップMbは、5×4個の画像要素マップMaの配列からなる。
上述の例においては、ユーザにとって視覚的な理解がしやすくするために、連続変数x、yと離散変数a、bとを比較したときに、組み合わせの数が多い連続変数x、yを画像要素マップMaの座標軸に割り当て、組み合わせの数が少ない離散変数a、bを、画像要素マップMaの配列の座標軸に割り当てるという工夫がなされている。各変数の割り当ては、ユーザによって任意に行われてもよく、画像処理部134が組み合わせの数を算出して自動的に各変数の割り当てを行ってもよい。
(実施の形態1Aの変形例2)
上記実施の形態における複数の範囲変数には、カテゴリ変数M3、M3’、M4、M4’と、離散変数a、bと、連続変数x、yとが含まれるが、他の変数が含まれてもよい。本変形例における複数の範囲変数には、上述の各変数だけでなく、例えば、化合物の生成のプロセスに用いられる条件を示す1つ以上のプロセス変数が含まれる。
図12は、本変形例におけるプロセス変数の一例を示す図である。
プロセス変数は、プロセス条件とも呼ばれる変数であって、例えば、化合物の焼成方法を示す変数Pa、化合物の焼成時間を示す変数Pb、化合物の焼成温度を示す変数Pcなどである。変数Paは、例えば、固相反応法、ボールミルなどを選択肢データとして示す。変数Pbは、例えば、1時間、2時間、3時間などを選択肢データとして示す。変数Pcは、例えば、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃などを選択肢データとして示す。
例えば、探索範囲取得部131は、変数M3、M3’、M4、M4’、a、b、x、yのそれぞれが取り得る各選択肢データと、変数Pa、Pb、Pcのそれぞれが取り得る各選択肢データとを取得する。予測値取得部132は、M3、M3’、M4、M4’、a、b、x、y、Pa、Pb、Pcのそれぞれが取り得る選択肢データの全ての組み合わせを生成する。そして、予測値取得部132は、予測器データベース120から予測器を取得し、生成された全ての組み合わせ(すなわち組成式およびプロセス条件)をその予測器に入力することによって、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を取得する。なお、化合物の組成式、または、化合物の組成式およびプロセス条件は、以下、化合物の構成とも呼ばれる。また、プロセス変数は、変数Pa、Pb、Pcに限らず、どのような変数であってもよい。画像処理部134は、変数Pa、Pb、Pcのうちの1つ以上の変数をマップMaまたはMbの座標軸に割り当ててもよい。
これにより、組成式だけでなくプロセス条件も探索範囲に含まれるため、その探索範囲のプロセス条件に合致する条件で生成された化合物の特性予測値を取得することができ、その取得された特性予測値を示すマップを表示することができる。
(実施の形態1B)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態1Aと同様、複数の化合物のそれぞれの特性予測値をマップの形態で表示するとともに、1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値をそのマップに重畳する。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1Aと同一の構成要素については、実施の形態1Aと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[表示システム200の構成]
図13は、本実施の形態における表示システム200の構成の一例を示すブロック図である。図13に示す表示システム200は、入力部110と、予測器データベース120と、特性表示装置230と、表示部140と、実験データベース(DB)150とを備える。なお、特性表示装置230は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置230は、実験によって得られた化合物の特性値である特性実験値を実験データベース150から取得して、その特性実験値が重畳されたマップを生成し、そのマップを表示部140に表示する。このような特性表示装置230は、探索範囲取得部131と、予測値取得部132と、表示方法取得部133と、実験値取得部232と、画像処理部234とを備える。なお、特性表示装置230は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置230として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
[実験データベース150]
実験データベース150は、化合物の組成式(すなわち化学式)、その化合物の化合物識別情報、および、その化合物の特性実験値を示す実験データを格納している記録媒体である。なお、この記録媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。探索範囲にプロセス変数が含まれる場合は、その実験データには、実験で用いられたプロセス条件を示す実験プロセス情報も予め含められていてもよい。
図14は、実験データベース150に格納されている実験データの一例を示す図である。実験データは、図14の例のように、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の組成式、化合物識別情報、および特性実験値を示す。化合物識別情報は、いわゆるIDであり、名前、符号、あるいは数字など、化合物が識別可能な情報であればよい。例えば、実験データは、化合物の組成式(formula)「Li1.45La0.045Ti1.1Al0.005O3」と、その化合物のID「000001-00001-001」と、その化合物の特性実験値(exp.data)「2.349」とを示す。なお、この組成式は、(M3,M3’,M4,M4’,a,b,x,y)=(La,Al,Ti,Zr, 0.05, 0.1, 0.1, 0)によって定義されている。図14におけるID「000001-00001-001」は、3階層の数字(000001,00001,001)で構成されている。例えば、化合物に含まれる元素Zrと元素Tiの組成範囲の異なる5つの化学式に対して、第1階層の番号「000001」~「000005」が割り当てられるように、IDが登録されている。このように、化合物の組成式を分類できるようなIDを付与すると、複数のユーザによる実験データベース150の管理が容易になる。また、図14における特性実験値の種別は、化合物に応じて任意に選択される。例えば、電池材料では特性実験値は伝導度であり、熱電変換材料では特性実験値は熱電変換性能指数などである。
なお、実験データは、化合物の生成に用いられたプロセス条件および解析情報を示していてもよい。プロセス条件は、例えば、焼成方法、焼成時間、焼成温度などである。解析情報は、例えば、化合物の結晶構造、原料の種別、原料残存の有無などを示す。原料残存の有無は、化合物の合成または生成のために用いられた原料が、その化合物の合成または生成後に残存しているか否かを示す情報である。
[実験値取得部232]
実験値取得部232は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を実験データベース150から取得する。構成は、化合物の組成式であってもよく、その組成式およびプロセス条件であってもよい。例えば、実験値取得部232は、探索範囲取得部131から探索範囲を取得し、その探索範囲に含まれる構成を有する化合物の特性実験値を、その構成と共に取得する。実験値取得部232は、その1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を画像処理部234に出力する。
[表示方法取得部133]
表示方法取得部133は、入力部110から、特性予測値の表示方法を示す第1表示方法情報と、特性実験値の表示方法を示す第2表示方法情報とを取得する。そして、表示方法取得部133は、その第1表示方法情報および第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。
[画像処理部234]
画像処理部234は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値を取得し、実験値取得部232から、1種以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。さらに、画像処理部234は、表示方法取得部133から第1表示方法情報および第2表示方法情報を受ける。画像処理部234は、その第1表示方法情報によって示される表示方法にしたがって複数の化合物の特性予測値を示すマップを生成する。さらに、画像処理部234は、1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を、その化合物が有する構成に対応するマップ上の位置に重畳する。このとき、画像処理部234は、第2表示方法情報によって示される表示方法にしたがって特性実験値をマップ上に重畳する。そして、画像処理部234は、その1つ以上の化合物の特性実験値が重畳されたマップを含む画像を表示部140に出力する。なお、マップは、画像要素マップMaであってもよく、画像マップMbであってもよい。
[表示部140]
表示部140は、画像処理部234から画像を取得し、その画像、すなわち、1つ以上の化合物の特性実験値が重畳されたマップを含む画像を表示する。
[マップの具体例]
図15は、マップの一例を示す図である。
画像処理部234は、一例として特性実験値を円形などのマークとして、実施の形態1Aの画像要素マップMaに重畳する。例えば、その円形などのマークの色または色の濃淡度は、特性実験値を示す。つまり、画像処理部234は、画像要素マップMa上の位置であって、実験によって生成された化合物の構成を示す上述の組み合わせに応じた位置に、その化合物の特性実験値に応じた色または色の濃淡度を有するマークを重畳する。なお、そのマークの重畳は、特性実験値の重畳とも呼ばれる。また、本開示における特性実験値の一例は、実験によって得られた化合物のバンドギャップであるが、これに限定されるものではない。
これにより、特性実験値が特性予測値から外れた値である場合には、その特性実験値のマークが有する色または色の濃淡度と、周囲の色または色の濃淡度との違いを目立たせることができる。その結果、特性実験値が特性予測値から外れていることを視覚的に理解しやすくすることができる。言い換えれば、特性実験値のマークにおける色または色の濃淡度と、特性予測値における色または色の濃淡度とが視覚的に同じであれば、特性実験値と特性予測値とはほぼ一致していることが視覚的にすぐ理解できる。
このように、本実施の形態における特性表示装置230は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を取得する実験値取得部232を備える。そして、画像処理部234は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を、その化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置に重畳し、その特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を生成する。
これにより、画像要素マップMaに示される範囲において特性予測値と特性実験値とを容易に比較することができ、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置230は、特性実験値の表示方法を示す第2表示方法情報を取得する表示方法取得部133を備える。そして、画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって特性実験値を画像要素マップMaに重畳する。
これにより、特性実験値が第2表示方法情報によって示される表示方法にしたがって画像要素マップMaに重畳されるため、その表示方法の設定に応じて、ユーザの材料探索の目的に合った態様で特性実験値を表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
図16は、マップの他の例を示す図である。
画像処理部234は、図16に示すように、(1)特性実験値と、その特性実験値に対応する濃淡度との対応関係と、(2)特性予測値と、その特性予測値に対応する濃淡度との対応関係とを、一致させてもよい。つまり、画像処理部234は、特性実験値に対する濃淡度のスケールと、特性予測値に対する濃淡度のスケールとを一致させてもよい。これにより、特性予測値と特性実験値とが同値である場合には、同じ濃淡度がそれらの値に割り当てられて、その濃淡度の色が画像要素マップMaに付される。その結果、特性予測値と特性実験値との類似の程度を容易に把握することができる。
つまり、本実施の形態における特性表示装置230では、特性予測値が、その特性予測値に応じた色または色の濃淡度である第1表示態様によって画像要素マップMaに示される。また、特性実験値が、その特性実験値に応じた色または色の濃淡度である第2表示態様を有するマークとして画像要素マップMaに重畳される。この場合、第2表示方法情報は、特性実験値に対する第2表示態様のスケールを、特性予測値に対する第1表示態様のスケールに一致させることを、特性実験値の表示方法として示す。
これにより、特性予測値および特性実験値のそれぞれのスケールが一致するため、特性予測値と特性実験値との比較をさらに容易に行うことができる。
また、図16に示されるように、画像処理部234は、特性実験値に対する濃淡度のスケールと、特性予測値に対する濃淡度のスケールとを一致させながら、特性予測値に対しては離散化を行い、実験予測値に対しては離散化を行わなくてもよい。特性実験値は、画像要素マップMa上の一部の領域で重点的に取得されることが多い。また、それらの特性実験値は似通っていることが多い。そこで、視認性を高めるために特性予測値の離散化は行われるが、特性実験値の離散化は行われないことによって、特性実験値の細かな差異を容易に読み取ることができる。
図17は、マップの他の例を示す図である。
画像処理部234は、図17に示すように、複数の特性実験値のマークが重なる場合には、特性実験値が良好なほど、その特性実験値を示すマークを前側(すなわち表側)に近づけて配置してもよい。つまり、画像処理部234は、特性実験値の重畳の順序を決定してもよい。
例えば、表示方法取得部133は、複数のマークの配置方法を特性実験値の表示方法として示す第2表示方法情報を入力部110から取得し、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。画像処理部234は、その第2表示方法情報を表示方法取得部133から取得すると、その第2表示方法情報にしたがって、特性実験値が良好なほど、その特性実験値を示すマークを前側(すなわち表側)に近づけて配置する。なお、特性実験値が良好とは、特性実験値が大きいという意味であってもよく、特性実験値が小さいという意味であってもよく、画像要素マップMa上におけるその特性実験値と同じ位置に示される特性予測値に近いという意味であってもよい。
これにより、材料探索に有益な情報を提示することができる。つまり、画像要素マップMa上に特性実験値を重畳させると、画像要素マップMaの座標軸に用いられていない変数の数の分だけ、同じ位置に特性実験値のマークが重なる。また、画像要素マップMa上における互いに近い位置に配置される複数のマークが重なる。このように複数のマークが重なると、最前のマーク以外のマークの全てまたは一部は、最前のマークによって隠されてしまう。これに対し、図17に示す例では、最も良好な特性実験値のマークが最前に表示されるため、材料探索に有益な情報を提示することができる。
このように、本実施の形態における特性表示装置230では、第2表示方法情報は、複数の特性実験値がそれぞれマークとして重なり合って画像要素マップMaに重畳される場合に、マークの重なりの順序を規定するルールを、特性実験値の表示方法として示す。そして、画像処理部234は、複数の特性実験値のそれぞれのマークをそのルールにしたがって重なり合わせて画像要素マップMaに重畳する。また、そのルールは、(a)特性実験値が大きいほど、その特性実験値のマークを表側に近づけて配置すること、(b)特性実験値が所定の値に近いほど、その特性実験値のマークを表側に近づけて配置すること、または、(c)特性実験値が重畳される画像要素マップMa上の位置において示される特性予測値にその特性実験値が近いほど、その特性実験値のマークを表側に近づけて配置すること、を規定する。
これにより、大きい特性実験値、所定の値に近い特性実験値、特性予測値に近い特性実験値などの良好な特性実験値を示すマークが、他の特性実験値を示すマークに隠れて見え難くことを抑制することができ、材料探索の効率化を図ることができる。
図18は、マップの他の例を示す図である。
実験値取得部232は、上述のように、その探索範囲に含まれる構成を有する化合物の特性実験値を取得するが、その探索範囲に関わらず、実験データに示される全ての特性実験値を取得してもよい。このときには、実験値取得部232によって取得された特性実験値に対応する化合物の構成が、画像要素マップMa上の構成と一致しない場合がある。具体的には、図18に示すように、実験値取得部232によって取得された特性実験値に対応する化合物の組成式は、窒化物の組成式であって、例えば、Li1.45(La0.5Ga0.5)0.05(Ti0.5Zr0.5)1.1N3である。一方、画像要素マップMaで示される組成式は、酸化物の組成式であって、例えば、Li1.45(La1-xGax)0.05(Ti1-yZry)1.1O3である。変数x、yに着目すれば、その窒化物の組成式「Li1.45(La0.5Ga0.5)0.05(Ti0.5Zr0.5)1.1N3」は、その画像要素マップMaにおける(x,y)=(0.5, 0.5)の位置に対応する。しかし、その窒化物の組成式は、酸化物の組成式に一致しておらず、画像要素マップMa上にその窒化物の組成式に対応する位置は存在していない。
このような場合、画像処理部234は、そのような窒化物の組成式に対応する特性実験値を示すマークをその画像要素マップMaに重畳しない。
また、探索範囲および実験データのそれぞれにプロセス条件が含まれているときには、実験値取得部232によって取得された特性実験値に対応する化合物のプロセス条件が、画像要素マップMaに対応するプロセス条件と一致しない場合がある。画像要素マップMaに対応するプロセス条件とは、画像要素マップMaに示される全ての特性予測値の取得に用いられたプロセス変数の1つの組み合わせである。具体的な例では、特性実験値に対応する化合物の焼成時間「5時間」は、画像要素マップMaに示される全ての特性予測値の取得に用いられた変数Pbの焼成時間「10時間」に一致しない。
このような場合、画像処理部234は、そのような焼成時間「5時間」に対応する特性実験値を示すマークを、焼成時間「10時間」に対応する画像要素マップMaに重畳しない。
このように、画像要素マップMaに対応していない特性実験値の重畳を行わないことによって、その特性実験値の重畳によって生じ得る誤解を抑えることができる。
あるいは、画像処理部234は、上述の窒化物の組成式を示すための新たな変数をマップに対して設定することによって、その窒化物の特性実験値をそのマップに重畳してもよい。
または、画像処理部234は、特性実験値に対応する組成式およびプロセス条件が、画像要素マップMaに対応する組成式およびプロセス条件に一致していなくても、所定の条件を満たす特性実験値を画像要素マップMaに重畳してもよい。所定の条件は、特性実験値に対応する組成式およびプロセス条件のうち、画像要素マップMaに対応する組成式およびプロセス条件と一致していない部分が、例えばユーザによって指定された部分である条件であってもよい。例えば、上述の窒化物の組成式における元素Nは、画像要素マップMaに対応する組成式における元素Oと異なっている。したがって、その元素Oが、ユーザによって指定された部分であれば、画像処理部234は、その窒化物の組成式に対応する特性実験値を、画像要素マップMa上の位置(x,y)=(0.5, 0.5)に重畳してもよい。その位置(x,y)=(0.5, 0.5)は、画像要素マップMa上において、窒化物の組成式に最も近い構成に対応する位置である。または、その所定の条件は、特性実験値に対応する組成式およびプロセス条件が探索範囲内にあるという条件である。
あるいは、画像処理部234は、特性実験値に対応する組成式およびプロセス条件と、画像要素マップMaに対応する組成式およびプロセス条件との類似度を算出し、その類似度が閾値以上であれば、その特性実験値を画像要素マップMaに重畳してもよい。例えば、画像処理部234は、特性実験値に対応する組成式およびプロセス条件をベクトルで示し、画像要素マップMaに対応する組成式およびプロセス条件をベクトルで示し、それらのベクトルの差分のノルムを距離として算出する。特性実験値に対応する組成式およびプロセス条件と、画像要素マップMaに対応する組成式およびプロセス条件との類似度は、その距離が短いほど高く、逆に、その距離が長いほど低い。そして、画像処理部234は、その距離が閾値以下であれば、つまり、類似度が閾値以上であれば、その特性実験値を画像要素マップMaに重畳する。なお、ベクトルは、周期表に示される元素のそれぞれの係数と、複数のプロセス変数のそれぞれの値とを要素として含んでいてもよい。また、画像処理部234は、その距離の最大値が1であり、最小値が0になるように、距離を規格化し、規格化された距離が閾値以下であるか否かを判定し、閾値以下であれば、その特性実験値を画像要素マップMaに重畳してもよい。
このように、本実施の形態における特性表示装置230では、第2表示方法情報は、特性実験値を有する化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置が存在しない場合に、(a)画像要素マップMa上において、その特性実験値を有する化合物の構成に最も近い構成に対応する位置に、その特性実験値を重畳すること、または、(b)画像要素マップMa上にその特性実験値を重畳しないこと、を特性実験値の表示方法として示す。この場合、画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって特性実験値の画像要素マップMaへの重畳に関する処理を行う。
これにより、(a)の場合には、画像要素マップMa上の何れの位置にも対応していない構成を有する化合物の特性実験値であっても、その構成にもっとも近い構成に対応する位置にその特性実験値が重畳される。したがって、画像要素マップMaに対応していない構成を有する化合物の特性実験値も、その画像要素マップMaに適切に関連付けて示されるため、ユーザによる材料探索の効率化を図ることができる。また、(b)の場合には、画像要素マップMaに対応していない特性実験値の重畳が行われないため、その特性実験値の重畳によって生じ得る誤解を抑えることができる。
なお、上述の例では、画像処理部234が、実験値取得部232によって取得された特性実験値を重畳するか否かを判定する。しかし、実験値取得部232が、実験データベース150の実験データに示される全ての特性実験値の中から、画像要素マップMaに重畳される特性実験値のみを取得して、画像処理部234に出力してもよい。この場合、実験値取得部232は、画像処理部234による上述の判定手法と同様に、実験データに示される特性実験値が、画像要素マップMaに重畳される特性実験値であるか否かを判定する。そして、画像処理部234は、実験値取得部232によって取得された特性実験値を重畳するか否かを判定することなく、その特性実験値を画像要素マップMaに重畳する。
図19は、マップの他の例を示す図である。
画像処理部234は、特性実験値そのものに応じて、その特性実験値を画像要素マップMaに重畳するか否かを判定してもよい。例えば、表示方法取得部133は、実験閾値を示す第2表示方法情報を入力部110から取得し、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。実験閾値は、例えば2.0[eV]である。画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、例えば図19の(a)に示す画像要素マップMaを、図19の(b)に示す画像要素マップMaに変更する。図19の(a)に示す画像要素マップMaでは、バンドギャップ0.0~0.35[eV]の範囲にある特性実験値が重畳されている。一方、図19の(b)に示す画像要素マップMaでは、バンドギャップ2.0[eV]以上の特性実験値が重畳され、バンドギャップ2.0[eV]未満の特性実験値は重畳されていない。つまり、画像処理部234は、バンドギャップ0.0~3.5[eV]の範囲にある特性実験値のうち、2.0[eV]未満の特性実験値を画像要素マップMaに重畳しないと判定し、2.0[eV]以上の特性実験値を画像要素マップMaに重畳すると判定する。これにより、特性実験値の絞り込みが行われる。その結果、画像処理部234は、図19の(b)に示す画像要素マップMaを生成して、その画像要素マップMaを含む画像を表示部140に表示する。
このように、本実施の形態における特性表示装置230では、第2表示方法情報は、実験済みの1つ以上の化合物の特性実験値のうち、予め定められた第1閾値以上の特性実験値を画像要素マップMaに重畳し、第1閾値未満の特性実験値を画像要素マップMaに重畳しないことを、特性実験値の表示方法として示す。例えば、第1閾値は、上述の実験閾値であって、具体的な一例では2.0[eV]である。
これにより、例えば、多くの特性実験値が取得された場合に、ノイズとして扱われるような重要でない特性実験値を画像要素マップMaに重畳させず、取得された多くの特性実験値のうち重要な特性実験値のみに絞って、その重要な特性実験値を画像要素マップMaに重畳することができる。その結果、画像要素マップMaに重畳される重要な特性実験値を見易くすることができ、材料探索の効率化を図ることができる。
図20Aは、マップの他の例を示す図である。
画像処理部234は、図20Aに示すように、所定の条件を満たす特性実験値を強調して重畳してもよい。所定の条件は、直近の一定期間の実験、すなわち現時点から一定期間前までの間の実験によって、特性実験値が得られたことである。一定期間は、例えば2週間である。または、所定の条件は、直近に行われた所定数の実験によって特性実験値が得られたことである。直近の所定数は、例えば3である。
つまり、表示方法取得部133は、上述の所定の条件を示す第2表示方法情報を入力部110から取得し、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、図20Aに示すように、その所定の条件を満たす特性実験値を、その所定の条件を満たさない特性実験値よりも強調して画像要素マップMaに重畳する。具体的には、直近2週間、すなわち現時点から2週間前までの間の実験によって得られた特性実験値が大きく強調されたマークとして画像要素マップMaに重畳され、その他の特性実験値が小さなマークとして画像要素マップMaに重畳される。または、直近3個の特性実験値、すなわち直近に行われた3回の実験によって得られた3個の特性実験値のそれぞれが大きく強調されたマークとして画像要素マップMaに重畳される。一方、その3回の実験以前の実験によって得られた特性実験値は、小さなマークとして画像要素マップMaに重畳される。
図20Bは、マップの他の例を示す図である。
画像処理部234は、図20Bに示すように、基準値より大きいという条件を満たす特性実験値を強調して重畳してもよい。つまり、この場合、上述の所定の条件は、特性実験値が基準値よりも大きいことである。
例えば、表示方法取得部133は、基準値を示す第2表示方法情報を入力部110から取得し、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、図20Bに示すように、その基準値よりも大きい特性実験値を、その基準値以下の特性実験値よりも強調して画像要素マップMaに重畳する。具体的には、基準値よりも大きい特性実験値が大きく強調されたマークとして画像要素マップMaに重畳され、基準値以下の特性実験値が小さなマークとして画像要素マップMaに重畳される。なお、上述とは逆に、所定の条件は、特性実験値が基準値よりも小さいことであってもよい。また、その基準値は、図7A~図7Dの例で用いられた基準値であってもよい。
あるいは、画像処理部234は、図20Bに示すように、特性予測値との差が差分閾値未満であるという条件を満たす特性実験値を強調して重畳してもよい。つまり、この場合、上述の所定の条件は、画像要素マップMa上の同一位置に示される特性実験値と特性予測値との差が差分閾値未満であることである。特性予測値および特性実験値がバンドギャップである場合、その差分閾値は、例えば0.5[eV]である。
例えば、表示方法取得部133は、その差分閾値を示す第2表示方法情報を入力部110から取得し、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、図20Bに示すように、特性予測値との差が差分閾値未満である特性実験値を、その差が差分閾値以上である特性実験値よりも強調してマップMaに重畳する。具体的には、特性予測値との差が差分閾値未満である特性実験値が大きく強調されたマークとして画像要素マップMaに重畳され、特性予測値との差が差分閾値以上である特性実験値が小さなマークとして画像要素マップMaに重畳される。なお、上述とは逆に、所定の条件は、画像要素マップMa上の同一位置に示される特性実験値と特性予測値との差が差分閾値以上であることであってもよい。
このように、本実施の形態における特性表示装置230では、第2表示方法情報は、実験済みの1つ以上の化合物の特性実験値のうち、所定の条件を満たす特性実験値を、所定の条件を満たさない特性実験値よりも強調させた態様で画像要素マップMaに重畳することを、特性実験値の表示方法として示す。この場合、画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、所定の条件を満たす特性実験値を強調させた態様で画像要素マップMaに重畳する。
これにより、ユーザは、画像要素マップMa上に重畳されて表示される各特性実験値が所定の条件を満たしているか否かを、視覚的に簡単に把握することができる。したがって、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置230では、上述の所定の条件は、(a)特性実験値が、現在から予め定められた期間前までに取得された特性実験値であること、(b)特性実験値が、直近に取得された予め定められた数の特性実験値のうちの1つであること、(c)特性実験値が、予め定められた第2閾値以上であること、または、(d)特性実験値と、その特性実験値を有する化合物と同一の構成を有する化合物に対して取得された特性予測値との差分が、予め定められた第3閾値以上もしくは第3閾値未満であること、である。例えば、第2閾値は、上述の基準値であって、第3閾値は、上述の差分閾値である。
これにより、(a)および(b)では、ユーザは、新しい特性実験値を視覚的に容易に把握することができる。また、(c)の場合には、ユーザは、例えば重要な特性実験値を視覚的に容易に把握することができ、(d)の場合には、ユーザは、特性予測値に近い特性実験値を視覚的に容易に把握することができる。
図21は、マップの他の例を示す図である。
画像処理部234は、図21に示すように、特性実験値のマークを、その特性実験値に対応する非活用変数に応じた態様で画像要素マップMaに重畳してもよい。非活用変数は、例えば、実験データベース150の実験データにおいて、各化合物の特性実験値に関連付けられている。非活用変数は、例えばプロセス条件を示す変数であって、より具体的な例では、焼成温度である。また、非活用変数は、特性実験値とは異なる種別の特性を示す変数であってもよい。つまり、非活用変数は、画像要素マップMaの座標軸に用いられていない変数であると言える。
例えば、表示方法取得部133は、非活用変数に応じた表示を促す第2表示方法情報を入力部110から取得し、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。実験値取得部232は、各化合物の構成および特性実験値と共に、その化合物の非活用変数も画像処理部234に出力する。画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、図21に示すように、特性実験値のマークを、その特性実験値に対応する非活用変数によって示されるデータに応じた態様に形成して画像要素マップMaに重畳する。非活用変数が焼成温度である場合、非活用変数によって示されるデータは、例えば500℃、750℃、1000℃などである。具体的には、画像処理部234は、焼成温度が500℃で焼成された化合物の特性実験値のマークを円形に形成し、焼成温度が750℃で焼成された化合物の特性実験値のマークを三角形に形成し、焼成温度が1000℃で焼成された化合物の特性実験値のマークを四角形に形成する。
また、上述の例では、非活用変数の数は1つであるが、2つ以上であってもよい。この場合、画像処理部234は、2つ以上の非活用変数のそれぞれの場合の数における積を算出し、その積の数だけ互いに異なるマークの態様を決定する。例えば、焼成方法、焼成温度および焼成時間が、3つの非活用変数として存在する。焼成方法の場合の数が2であり、焼成時間の場合の数が7であり、焼成温度の場合の数が3である場合、画像処理部234は、2×7×3=42個の互いに異なるマークの態様を決定する。そして、画像処理部234は、その42個のマークの態様のうち、特性実験値に対応する焼成方法、焼成温度および焼成時間に応じた態様を選択し、その特性実験値のマークを、その選択された態様に形成する。
マークの態様は、例えば、マークの形状、色、サイズなどであってもよく、マークの縁線の色、幅などであってもよく、これら以外であってもよい。なお、互いに異なるマークの態様の数が多くなるほど、それらのマークの視認性または識別性が下がる。したがって、非活用変数の場合の数における積は、それらのマークが識別可能な有限個であることが好ましい。例えば、互いに異なるマークの態様の数は、2個以上15個以下である。
このように、本実施の形態における特性表示装置230では、画像処理部234は、実験済みの1つ以上の化合物の特性実験値のそれぞれに、少なくとも1つの非活用変数が関連付けられている場合、その少なくとも1つの非活用変数のそれぞれの場合の数の積を、マークの形態の種別数として算出する。そして、画像処理部234は、その実験済みの1つ以上の化合物の特性実験値のそれぞれについて、種別数の形態のうち、その特性実験値に関連付けられている少なくとも1つの非活用変数の各々が示すデータの組み合わせに応じた形態を選択し、選択された形態のマークを画像要素マップMaに重畳する。例えば、少なくとも1つの非活用変数は、特性実験値を有する化合物の焼成に用いられた焼成温度、焼成時間、および焼成方法をデータとして示す。
これにより、ユーザは、画像要素マップMa上に重畳されて表示される各特性実験値に関連付けられている少なくとも1つの非活用変数のそれぞれのデータを、その特性実験値のマークの形態から視覚的に容易に把握することができる。したがって、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置230では、その少なくとも1つの非活用変数のそれぞれは、特性実験値を有する化合物の生成に用いられるプロセス条件、または、特性実験値を有する化合物の属性を示す。
これにより、ユーザは、画像要素マップMa上に重畳されて表示される特性実験値を有する化合物のプロセス条件または属性を、その特性実験値のマークの形態から視覚的に容易に把握することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置230では、画像処理部234は、マークの形態の種別数として2以上15以下の数を算出する。
例えばマークの形態の種別数が16以上であれば、それらの形態を識別することが難しくなる。したがって、その種別数が2以上15以下であることによって、それらの形態の識別性を高めることができる。その結果、ユーザは、画像要素マップMa上に重畳されて表示される各特性実験値に関連付けられている少なくとも1つの非活用変数のそれぞれのデータを、さらに容易に把握することができる。したがって、材料探索の効率化をさらに図ることができる。なお、上述の例では、焼成方法の場合の数が2であり、焼成時間の場合の数が7であり、焼成温度の場合の数が3である場合、画像処理部234は、2×7×3=42個の互いに異なるマークの態様を決定する。この場合、マークの形態の種別数は42であって16以上であるため、画像処理部234は、3つの非活用変数のうち焼成温度を省いてもよい。これにより、画像処理部234は、2×7=14個の互いに異なるマークの態様を決定し、マークの形態の種別数を15以下に抑えてもよい。
図22Aは、マップの他の例を示す図である。
画像処理部234は、図22Aに示すように、特性実験値のマークを、その特性実験値に対応する解析情報に応じた態様で画像要素マップMaに重畳してもよい。解析情報は、上述のように、例えば、化合物の結晶構造などを示す。結晶構造の種類には、例えば、結晶相A、結晶相Bなどがある。また、解析情報は、実験データベース150の実験データにおいて、各化合物の特性実験値に関連付けられている。
例えば、表示方法取得部133は、解析情報に応じた表示を促す第2表示方法情報を入力部110から取得し、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。実験値取得部232は、各化合物の構成および特性実験値と共に、その化合物の解析情報も画像処理部234に出力する。画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、図22Aに示すように、特性実験値のマークを、その特性実験値に対応する解析情報に応じた態様に形成して画像要素マップMaに重畳する。例えば、画像処理部234は、結晶相Aの結晶構造を有する化合物の特性実験値のマークを円形に形成し、結晶相Bの結晶構造を有する化合物の特性実験値のマークを三角形に形成する。
図22Bは、マップの他の例を示す図である。
上述の解析情報は、化合物を合成するための原料の種類を示していてもよい。原料の種類には、例えば、Li2O(純度99%)、Li2O(純度99.99%)などがある。この場合、画像処理部234は、図22Bに示すように、特性実験値のマークを、その特性実験値に対応する原料の種類に応じた態様で画像要素マップMaに重畳してもよい。例えば、画像処理部234は、原料「Li2O(純度99%)」から合成された化合物の特性実験値のマークを円形に形成し、原料「Li2O(純度99.99%)」から合成された化合物の特性実験値のマークを三角形に形成する。
図22Cは、マップの他の例を示す図である。
上述の解析情報は、化合物を合成するために使用された原料の残存の有無を示していてもよい。この場合、画像処理部234は、図22Cに示すように、特性実験値のマークを、その特性実験値に対応する原料残存の有無に応じた態様で画像要素マップMaに重畳してもよい。例えば、画像処理部234は、原料が残った化合物(すなわち原料残存:有)の特性実験値のマークを円形に形成し、原料が残らなかった化合物(すなわち原料残存:無)の特性実験値のマークを三角形に形成する。
このように、本実施の形態における特性表示装置230では、化合物の属性は、(a)化合物の結晶相の種類、(b)化合物の原料の種類、または、(c)化合物が生成されたときにその化合物の原料が残存したか否か、である。
これにより、ユーザは、画像要素マップMa上に重畳されて表示される特性実験値を有する化合物の結晶相の種類、原料の種類、または原料の残存の有無を、その特性実験値のマークの形態から視覚的に容易に把握することができる。
[処理動作]
図23は、本実施の形態における表示システム200の処理動作を示すフローチャートである。
本実施の形態における表示システム200は、実施の形態1Aの表示システム100と同様、ステップS111~S113の処理を実行する。次に、表示システム200は、ステップS121~S124の処理を実行する。
(ステップS121)
実験値取得部232は、実験データベース150から、各化合物の構成および特性実験値を取得し、画像処理部234に出力する。なお、実験データベース150において、各化合物の構成および特性実験値に、プロセス条件、解析情報などが関連付けられていれば、実験値取得部232は、そのプロセス条件、解析情報なども特性実験値と共に取得して、画像処理部234に出力してもよい。
(ステップS122)
表示方法取得部133は、ステップS113と同様、ユーザによる入力部110への入力操作に応じてその入力部110から出力される第2表示方法情報を取得する。この第2表示方法情報は、例えば図15~図22Cに示すような特性実験値の表示方法を示す情報である。そして、表示方法取得部133は、その第2表示方法情報を画像処理部234に出力する。
(ステップS123)
画像処理部234は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性予測値および構成を取得し、表示方法取得部133から第1表示方法情報を受ける。そして、画像処理部234は、その第1表示方法情報にしたがって、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップを生成する。なお、マップは、画像要素マップMaであってもよく、画像マップMbであってもよい。さらに、画像処理部234は、実験値取得部232から、1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値および構成を取得し、表示方法取得部133から第2表示方法情報を受ける。そして、画像処理部234は、その第2表示方法情報にしたがって、1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値をマップに重畳する。これにより、1つ以上の化合物の特性実験値が重畳されたマップが生成される。画像処理部234は、その1つ以上の化合物の特性実験値が重畳されたマップを含む画像を表示部140に出力する。
(ステップS124)
表示部140は、画像処理部234から画像を取得し、その画像、すなわち、1つ以上の化合物の特性実験値が重畳されたマップを含む画像を表示する。
このようなステップS111~S113およびS121~S124の処理が実行されることによって、化合物の特性予測値および特性実験値に関する特性表示が行われる。これにより、特性予測値を示すマップ上に特性実験値が重畳されるため、ユーザは特性実験値の全体像を適切に認識することができる。さらに、ユーザは、特性予測値と特性実験値との関係を容易に認識することができる。
なお、ステップS121において特性実験値が取得されない場合には、特性表示装置230は、実施の形態1Aの特性表示装置130と同様、ステップS121~S124の代わりに、ステップS114およびS115の処理を実行する。
(実施の形態1Bの変形例)
画像処理部234は、実施の形態1Aの変形例1のように画像マップMbを生成し、その画像マップMbに特性実験値を重畳してもよい。なお、画像マップMbは、複数の画像要素マップMaの配列からなるマップである。
図24Aおよび図24Bは、本変形例における画像マップMbの一例を示す図である。
画像処理部234は、画像マップMbに含まれる何れかの画像要素マップMaに、その画像要素マップMaに対応する構成を有する化合物の特性実験値を重畳する。ここで、実験値取得部232によって取得された各化合物の構成および特性実験値には、画像マップMbのうちの何れの画像要素マップMaにも対応していない構成および特性実験値が含まれている場合がある。
例えば、画像マップMbは、図24Aに示すように、変数(M3,M3’,M4,M4’)=(La,Ga,Ti,Zr)に対応する。また、この画像マップMbに含まれる各画像要素マップMaは、離散変数a、bのそれぞれの選択肢データの組み合わせに対応している。ここで、例えば、化合物の組成式「Li0.77(La0.5Ga0.5)0.15(Ti0.5Zr0.5)1.195O3」および特性実験値が、実験値取得部232によって取得される。この場合、その化合物の組成式における離散変数bは0.195であるため、その組成式は、画像マップMbのうちの何れの画像要素マップMaにも対応していない。
そこで、本変形例における画像処理部234は、実験値取得部232によって取得された化合物の組成式と、画像マップMb上の各位置に対応する組成式とをそれぞれベクトルで表す。実験値取得部232によって取得された組成式のベクトルは、以下、第1ベクトルと呼ばれ、画像マップMb上の各位置に対応する組成式のベクトルは、以下、第2ベクトルと呼ばれる。なお、これらのベクトルは、例えば6つの変数(M3,M3’,M4,M4’,a,b,x,y)によって定義される。画像処理部234は、第1ベクトルと、画像マップMb上の各位置の第2ベクトルとの差分のノルムを、距離として算出する。なお、その距離は、上述のように規格化された距離であってもよい。そして、画像処理部234は、図24Aに示すように、算出された複数の距離のうち、最短の距離に対応する画像マップMb上の位置1700に、その実験値取得部232によって取得された化合物の特性実験値を重畳する。なお、位置1700は、画像マップMbに含まれる1つの画像要素マップMa上の位置である。
また、画像処理部234は、算出された複数の距離のうち、閾値以下であって、かつ、最短の距離に対応する画像マップMb上の位置に、特性実験値を重畳してもよい。閾値は、例えば0.01である。あるいは、画像処理部234は、算出された複数の距離のうち、閾値以下の距離に対応する画像マップMb上の位置に、特性実験値を重畳してもよい。閾値以下の距離に対応する画像マップMb上の位置が複数あれば、画像処理部234は、それらの複数の位置に特性実験値を重畳してもよい。
また、画像処理部234は、算出された複数の距離に、最短の距離が複数ある場合には、図24Bに示すように、複数の最短の距離のそれぞれに対応する画像マップMb上の位置1701に、特性実験値を重畳してもよい。例えば、化合物の組成式「Li1.475(La0.5Ga0.5)0.175(Ti0.5Zr0.5)1.0O3」および特性実験値が、実験値取得部232によって取得される。この場合、その化合物の組成式における離散変数aは0.175であるため、その組成式は、画像マップMbのうちの何れの画像要素マップMaにも対応していない。
この場合、画像処理部234は、上述のように、その組成式に対応する第1ベクトルと、画像マップMb上の各位置の第2ベクトルとの差分のノルムを、距離として算出する。そして、画像処理部234は、図24Bの例では、算出された複数の距離のうち、最短の距離に対応する画像マップMb上の2つの位置1701を特定する。なお、この2つの位置1701は、互いに隣り合う2つの画像要素マップMaにそれぞれ含まれている。画像処理部234は、その実験値取得部232によって取得された化合物の特性実験値を、その2つの位置1701に重畳する。なお、位置1700に対応する距離は、上述の閾値「0.01」以下であり、2つの位置1701に対応する距離は、その閾値よりも長い。そのため、閾値以下の条件が適用される場合、すなわち、閾値以下の距離に対応する画像マップMb上の位置に特性実験値が重畳される場合には、位置1700に特性実験値が重畳されても、2つの位置1701には特性実験値は重畳されない。
このように、本実施の形態における特性表示装置230では、画像マップMbは、第1座標軸および第2座標軸のそれぞれに沿ってマトリクス状に配列された複数の画像要素マップMaを含み、その複数の画像要素マップMaのそれぞれは、第3座標軸および第4座標軸を有する。そして、画像処理部234は、第1座標軸、第2座標軸、第3座標軸、および第4座標軸を、上述の複数の変数のうちの第1変数、第2変数、第3変数、および第4変数にそれぞれ対応付ける。画像処理部234は、その複数の化合物のそれぞれについて、複数の画像要素マップMaのうち、その化合物の構成を表現するために用いられる第1変数の値および第2変数の値に関連付けられている画像要素マップMaを特定する。次に、画像処理部234は、特定された画像要素マップMa上における、その化合物の構成を表現するために用いられる第3変数の値および第4変数の値に対応する位置に、その化合物の特性予測値をマッピングする。例えば、第1変数、第2変数、第3変数、および第4変数は、上述の変数a、b、x、およびyである。
これにより、画像マップMbなどのマップは、それぞれ4つの変数によって表現される複数の化合物の構成に対して特性予測値を示すことができ、広い範囲で化合物の特性予測値を分かり易く表示することできる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置230では、画像処理部234は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、複数の画像要素マップMaのうち、その化合物の構成を表現するために用いられる第1変数の値および第2変数の値に関連付けられている画像要素マップMaが存在しない場合、その画像要素マップMaの代わりに、第1変数および第2変数の各々の値に最も近い値に関連付けられている画像要素マップMaを特定する。そして、画像処理部234は、特定された画像要素マップMa上における、その化合物の構成を表現するために用いられる第3変数の値および第4変数の値に対応する位置に、その化合物の特性実験値を重畳する。
例えば、第1変数および第2変数がそれぞれ離散変数であるために、第1変数の値および第2変数の値に関連付けられている画像要素マップMaが存在しない場合がある。しかし、本実施の形態では、それらの値に最も近い値に関連付けられている画像要素マップMaが特定されて、その画像要素マップMaに特性実験値が重畳される。したがって、離散変数によって特性実験値が画像要素マップMaに表示されなくなることを抑制することができる。
以上のように、実施の形態1A、1Bおよびそれらの変形例を含む実施の形態1では、特性予測値の表示方法を第1表示方法情報によって適切に設定することができる。また、実施の形態1Bおよびその変形例では、特性実験値の表示方法を第2表示方法情報によって適切に設定することができる。
ここで、本実施の形態では、表示方法取得部133は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じて生成された第1表示方法情報を取得する。
これにより、ユーザによって特性予測値の表示方法を任意に設定することができ、利便性を向上することができる。なお、第2表示方法情報についても同様であって、ユーザによって特性実験値の表示方法を任意に設定することができ、利便性を向上することができる。
一方、表示方法取得部133は、予測値取得部132によって取得された複数の化合物のそれぞれの特性予測値に基づいて、特性予測値の表示方法を決定することによって、その第1表示方法情報を取得してもよい。例えば、表示方法取得部133は、画像要素マップMa上の特性予測値の最大値および最小値を示すための予め定められた色または色の濃淡度を、予測値取得部132によって取得された複数の化合物の特性予測値のうちの最大値および最小値に対応付けて画像要素マップMaを生成することを、特性予測値の表示方法として決定する。
これにより、特性予測値に基づいてその特性予測値の表示方法が決定されるため、その特性予測値に適した表示を行うことができ、材料探索の効率化を図ることができる。
具体的な例では、予測値取得部132によって取得された複数の化合物の特性予測値の最大値は、3.5であり、最小値は0.0である。この場合、表示方法取得部133は、予め定められている最大の濃淡度を、その特性予測値の最大値「3.5」に割り当て、予め定められている最小の濃淡度を、その特性予測値の最小値「0.0」に割り当てる。つまり、表示方法取得部133は、このような濃淡度と特性予測値との関係を、特性予測値の表示方法として決定する。その結果、表示方法取得部133は、その表示方法を示す第1表示方法情報を取得する。次に、例えば予測器データベース120の予測器が更新されることによって、予測値取得部132は、新たに複数の化合物の特性予測値を取得する。このとき、例えば、予測値取得部132によって新たに取得された複数の化合物の特性予測値の最大値は、1.5であり、最小値は1.0である。この場合、表示方法取得部133は、予め定められている最大の濃淡度を、その特性予測値の最大値「1.5」に割り当て、予め定められている最小の濃淡度を、その特性予測値の最小値「1.0」に割り当てる。つまり、表示方法取得部133は、このような濃淡度と特性予測値との新たな関係を、特性予測値の表示方法として決定する。その結果、表示方法取得部133は、新たな表示方法を示す第1表示方法情報を取得する。画像処理部234は、このように特性予測値に基づいて決定された表示方法を示す第1表示方法情報にしたがって、その特性予測値を示す画像要素マップMaを生成する。これにより、取得される特性予測値の範囲が広くても狭くても、あるいは、その範囲内の特性予測値が大きくても小さくても、その範囲に応じた濃淡度で、その特性予測値が表示される。したがって、ユーザは濃淡度から特性予測値を容易に把握することができ、材料探索の効率化を図ることができる。
(実施の形態2A)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態1Aと同様、複数の化合物のそれぞれの特性予測値をマップの形態で表示するとともに、1つ以上の候補点をそのマップに重畳する。候補点は、今後の実験に用いられる化合物の候補(すなわち候補化合物)の構成を示す点である。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1Aおよび1Bと同一の構成要素については、実施の形態1Aおよび1Bと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[表示システム300の構成]
図25は、本実施の形態における表示システム300の構成の一例を示すブロック図である。図25に示す表示システム300は、入力部110と、予測器データベース120と、特性表示装置330と、表示部140と、実験データベース150とを備える。なお、特性表示装置330は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置330は、取得された化合物の特性予測値に基づいて、または、その特性予測値と特性実験値の位置とに基づいて、候補点を決定し、その候補点を画像要素マップMa上に重畳する。なお、特性実験値の位置は、特性実験値が得られた実験済みの化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置である。そして、特性表示装置330は、その候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に表示する。このような特性表示装置330は、探索範囲取得部131と、予測値取得部132と、表示方法取得部133と、実験値取得部232と、候補点決定部331と、画像処理部334とを備える。なお、特性表示装置330は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置330として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
[予測値取得部132]
本実施の形態における予測値取得部132は、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の構成と、その構成に対して取得された特性予測値とを関連付けて画像処理部334に出力するとともに、その構成および特性予測値を候補点決定部331にも出力する。なお、化合物の構成は、化合物の組成式であってもよく、探索範囲に当該化合物を生成するためのプロセス条件が含まれる場合には、化合物の構成は、化合物の組成式およびプロセス条件であってもよい。プロセス条件は、例えば、焼成方法、焼成時間、焼成温度等を含む。
[実験値取得部232]
本実施の形態における実験値取得部232は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を実験データベース150から取得する。そして、実験値取得部232は、その実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、取得された構成および特性実験値を候補点決定部331に出力する。
[表示方法取得部133]
表示方法取得部133は、入力部110から、候補点の表示方法を示す第3表示方法情報を取得する。そして、表示方法取得部133は、その第3表示方法情報を候補点決定部331および画像処理部334に出力する。
[候補点決定部331]
候補点決定部331は、予測値取得部132から化合物の構成および特性予測値を取得し、実験値取得部232から化合物の構成および特性実験値を取得する。さらに、候補点決定部331は、表示方法取得部133から第3表示方法情報を取得する。そして、候補点決定部331は、その第3表示方法情報にしたがって、画像要素マップMa上の全ての位置から、1つ以上の位置をそれぞれ候補点として決定する。このとき、候補点決定部331は、画像要素マップMa上の各位置に示される特性予測値に基づいて、候補点を決定する。または、候補点決定部331は、その各位置に示される特性予測値と、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成に対応する画像要素マップMa上の位置、すなわち特性実験値の位置とに基づいて、候補点を決定する。
例えば、候補点決定部331は、画像要素マップMa上における閾値以上の特性予測値が示されている第1位置を候補点に決定する。または、候補点決定部331は、画像要素マップMa上における閾値以下の特性予測値が示されている第2位置を候補点に決定する。または、候補点決定部331は、画像要素マップMa上における、目標値との差が閾値以下の特性予測値が示されている第3位置を候補点に決定する。その目標値は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じて設定される値であってもよい。その場合、候補点決定部331は、入力部110から表示方法取得部133を介してその目標値を取得し、その目標値を用いて候補点を決定する。
なお、上述の例では、候補点決定部331は、閾値以上の特性予測値が示されている第1位置を候補点に決定するが、画像要素マップMa上の全ての特性予測値のうち、上位K個の特性予測値がそれぞれ示されている第1位置を候補点に決定してもよい。なお、Kは1以上の予め定められた整数であって、上位K個の特性予測値は、他の何れの特性予測値よりも大きい。また、候補点決定部331は、閾値以下の特性予測値が示されている第2位置を候補点に決定するが、閾値以下の全ての特性予測値のうち、上位L個の特性予測値がそれぞれ示されている第2位置を候補点に決定してもよい。なお、Lは、1以上の予め定められた整数であって、上位L個の特性予測値は、閾値以下の他の何れの特性予測値よりも大きい。また、候補点決定部331は、目標値との差が閾値以下の特性予測値が示されている第3位置を候補点に決定するが、画像要素マップMa上の全ての特性予測値のうち、目標値との差が下位J個の特性予測値がそれぞれ示されている第3位置を候補点に決定してもよい。なお、Jは1以上の予め定められた整数であって、下位J個の特性予測値は、目標値との差が他の何れの特性予測値よりも小さい。
また、候補点決定部331は、複数の第1位置のうち、互いに所定の距離以上離れている2つ以上の第1位置のそれぞれを候補点に決定してもよい。同様に、候補点決定部331は、複数の第2位置のうち、または、複数の第3位置のうち、互いに所定の距離以上離れている2つ以上の位置のそれぞれを候補点に決定してもよい。また、候補点決定部331は、実験済みの2つの化合物の構成および特性実験値が得られている場合には、画像要素マップMa上の2つの特性実験値の位置の中間地点にある位置を、候補点に決定してもよい。また、候補点決定部331は、上述の複数の第1位置のうち、何れの特性実験値の位置よりも所定の距離以上だけ離れている第1位置を、候補点に決定してもよい。同様に、候補点決定部331は、上述の複数の第2位置のうち、または、複数の第3位置のうち、何れの特性実験値の位置よりも所定の距離以上だけ離れている位置を、候補点に決定してもよい。
[画像処理部334]
画像処理部334は、実施の形態1Aと同様に、画像要素マップMaを生成する。さらに、画像処理部334は、表示方法取得部133から第3表示方法情報を取得し、その第3表示方法情報にしたがって、候補点決定部331によって決定された1つ以上の候補点をその画像要素マップMaに重畳する。つまり、画像処理部334は、その1つ以上の候補点のそれぞれを示すマークを画像要素マップMaに重畳する。そして、画像処理部334は、その1つ以上の候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に出力する。
[表示部140]
表示部140は、画像処理部334から画像を取得し、その画像、すなわち、その1つ以上の候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示する。
[マップの具体例]
図26は、候補点が重畳された画像要素マップMaの一例を示す図である。
画像処理部334は、第3表示方法情報にしたがって、候補点を例えば星形などのマークとして、実施の形態1Aの画像要素マップMaに重畳する。つまり、候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、画像要素マップMaの全ての位置から1つ以上の候補点を決定する。そして、画像処理部334は、その1つ以上の候補点に星形のマークを重畳する。
このように、本実施の形態における特性表示装置330は、予測値取得部132と、画像処理部334とを備える。予測値取得部132は、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を取得する。画像処理部334は、複数の化合物のそれぞれの構成に対応する位置にその化合物の特性予測値を示す画像要素マップMaを生成する。次に、画像処理部334は、1つ以上の候補化合物のそれぞれの構成を示す候補点を、その候補化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置に重畳する。そして、画像処理部334は、1つ以上の候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を生成して出力する。ここで、上述の候補化合物は、それぞれ画像要素マップMaに示される特性予測値を有する複数の化合物のうちの実験の候補とされる化合物である。例えば、上述の画像は表示部140に出力されて表示される。
これにより、画像要素マップMaにおける各特性予測値と1つ以上の候補点との関係を容易に把握することができ、材料探索の効率化を図ることができる。つまり、ユーザは、表示部140に表示される画像内の画像要素マップMaから、次の実験で有望な候補点を容易に見つけ出すことができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
なお、特性表示装置330は、予測値取得部132を備えていなくてもよい。また、画像処理部334は、画像要素マップMaを生成するが、生成することなく取得してもよい。つまり、画像処理部334は、複数の化合物のそれぞれの構成に対応する位置に当該化合物の特性予測値を示す画像要素マップMaを取得する。そして、画像処理部334は、1つ以上の候補化合物のそれぞれの構成を示す候補点を、当該候補化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置に重畳することによって生成される、画像要素マップMaを含む画像を出力する。また、上述のように、候補化合物は、それぞれ画像要素マップMaに示される特性予測値を有する複数の化合物のうちの実験の候補とされる化合物である。このような特性表示装置330であっても、上述と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置330は、その候補点の表示方法を示す第3表示方法情報を取得する表示方法取得部133を備える。画像処理部334は、その第3表示方法情報にしたがって1つ以上の候補点を画像要素マップMaに重畳する。
これにより、候補点が第3表示方法情報によって示される表示方法にしたがって画像要素マップMaに重畳されるため、その表示方法の設定に応じて、ユーザの材料探索の目的に合った態様で候補点を表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置330は、複数の化合物のそれぞれの特性予測値に基づいて、1つ以上の候補点を決定する候補点決定部331を備える。画像処理部334は、候補点決定部331によって決定された1つ以上の候補点を画像要素マップMaに重畳する。
これにより、複数の化合物のそれぞれの特性予測値に基づいて、候補点が決定されるため、例えば、最大の特性予測値、最小の特性予測値、目標値に最も近い特性予測値などの最良の特性予測値が示されている位置を、候補点に決定することができる。したがって、材料探索のさらなる効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置330は、探索範囲を取得する探索範囲取得部131を備える。この探索範囲取得部131は、化合物の構成を表現するために用いられる複数の変数と、その複数の変数のそれぞれについて、その変数がとり得る値または元素を示す複数の選択肢データとを取得する。予測値取得部132は、その複数の変数のそれぞれに対して複数の選択肢データから1つの選択肢データを選択することによって得られる選択肢データの組み合わせごとに、その組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性予測値を取得する。つまり、予測値取得部132は、上述の組み合わせごとに、その組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性予測値を、所定のアルゴリズムを用いて取得する。
これにより、適切な特性予測値を取得することができる。つまり、それぞれ構成が異なる複数の化合物のそれぞれの特性値を適切に予測することができる。また、随時行われる化合物の実験によって所定のアルゴリズムが更新される場合には、その特性値の予測精度を高めることができる。
図27は、候補点が重畳された画像要素マップMaの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、画像要素マップMaのうち、変数x、yの組み合わせによって表現される複数の点(以下、格子点ともいう)から、1つ以上の候補点を決定してもよい。格子点は、例えば、変数(x,y)=(0.0, 0.0),(0.0, 0.1),(0.0, 0.2),・・・,(1.0, 0.8),(1.0, 0.9),(1.0, 1.0)によって示される11×11個の点である。そして、画像処理部334は、その決定された1つ以上の候補点にマークを重畳する。言い換えれば、候補点決定部331は、所定の化合物の構成(すなわち組成式)に対応する候補点を抽出している。あるいは、候補点決定部331は、候補点を格子点に制限しているとも言える。
例えば、図27に示すように、11×11個の格子点のうち、変数(x,y)=(0.2, 0.2),(0.9, 0.1)の2つの格子点が、それぞれ候補点として決定され、その候補点を示すマークが画像要素マップMaに重畳される。
このように、本実施の形態における特性表示装置330では、第3表示方法情報は、画像要素マップMa上の予め定められた複数の位置にのみ候補点が重畳されることを、候補点の表示方法として示す。
これにより、例えば、変数(x,y)=(0.001, 0.002)などの点のように、画像要素マップMa上における実験に使用することが困難な点、またはユーザが意図しない点が、候補点として決定されて表示されることを抑制することができる。
図28は、候補点が重畳された画像要素マップMaの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、決定される候補点の数をn個(nは1以上の整数)以下に制限してもよい。図28の例では、n=5である。例えば、候補点決定部331は、画像要素マップMa上において(n+1)個以上の仮候補点を決定し、それらの仮候補点の優先度を特定する。そして、候補点決定部331は、それらの複数の仮候補点から、優先度が高い上位n個の仮候補点をそれぞれ候補点として決定する。仮候補点は、例えば、上述の第1位置、第2位置、または第3位置にある点である。また、例えば、(n+1)個以上の仮候補点のそれぞれが第1位置である場合には、優先度は、その第1位置における特性予測値であってもよい。また、例えば、(n+1)個以上の仮候補点のそれぞれが第2位置である場合には、優先度は、その第2位置における特性予測値であってもよい。また、例えば、(n+1)個以上の仮候補点のそれぞれが第3位置である場合には、優先度は、その第3位置における特性予測値と目標値との差の逆数であってもよい。また、優先度は、各特性実験値の位置から仮候補点までの距離のうちの最短の距離であってもよい。
画像処理部334は、このように決定されたn個以下の候補点を画像要素マップMaに重畳して表示部140に表示する。これにより、ユーザは有望な実験候補となる候補点を容易に把握することができる。
つまり、本実施の形態における特性表示装置330では、第3表示方法情報は、画像要素マップMaに重畳される候補点の上限数を、候補点の表示方法として示す。この場合、画像処理部334は、その上限数以下で、かつ1つ以上の候補点を画像要素マップMaに重畳する。
これにより、それぞれ候補点となり得る多くの点が画像要素マップMaに存在するような場合であっても、画像要素マップMaに重畳される候補点の数が制限される。したがって、例えば、多くの点から有望な点のみを候補点として絞ってユーザに提示することができ、その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
図29は、候補点が重畳された画像要素マップMaの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、図29に示すように、画像要素マップMaに重畳される候補点間の直線距離が所定の距離以上となるように各候補点を決定してもよい。候補点間の直線距離は、2つの候補点のそれぞれの連続変数(x,y)によって示される画像要素マップMa上の位置の間の直線距離である。また、所定の距離は、例えば、連続変数x、yのそれぞれのステップ幅(すなわち1メモリ)の3倍の距離である。つまり、所定の距離は、3メモリであるとも言える。なお、所定の距離は、第1最小離間距離とも呼ばれる。
例えば、候補点決定部331は、画像要素マップMa上の複数の仮候補点から、最も良好な特性予測値が示されている仮候補点を、1つ目の候補点として決定する。最も良好な特性予測値が示されている仮候補点は、上述の優先度が最も高い仮候補点であってもよい。例えば、最も良好な特性予測値が示されている仮候補点は、複数の仮候補点のそれぞれが第1位置である場合、それらの複数の仮候補点のうち、最大の特性予測値が示されている仮候補点である。
次に、候補点決定部331は、1つ目の候補点から所定の距離未満にある仮候補点を削除し、残りの1つ以上の仮候補点の中から、1つ目の候補点の次に良好な特性予測値が示されている仮候補点を、2つ目の候補点として決定する。候補点決定部331は、このような処理を、仮候補点が全て削除されるまで繰り返し行うことによって、2つ以上の候補点を決定する。これらの候補点間の直線距離は、上述の所定の距離以上である。
あるいは、候補点決定部331は、複数の仮候補点から2つ以上の仮候補点をそれぞれ候補点としてランダムに決定し、2つの候補点間の直線距離が所定の距離以上になるように、一方の候補点を、その候補点と異なる位置にある仮候補点に移し替える。つまり、候補点決定部331は、一方の候補点を移動させる。候補点決定部331は、このような候補点の移動を逐次的に行うことによって、2つ以上の候補点のそれぞれの間の直線距離を上述の所定の距離以上に設定する。
画像処理部334は、候補点決定部331によって上述のように決定された、互いに所定の距離以上離れた複数の候補点を画像要素マップMaに重畳する。
このように、本実施の形態における特性表示装置330では、第3表示方法情報は、複数の候補点間の予め定められている第1最小離間距離を、候補点の表示方法として示す。この場合、画像処理部334は、互いにその第1最小離間距離以上離れている複数の候補点を画像要素マップMaに重畳する。
これにより、ユーザは、化合物の組成式(すなわち構成)に一定の違いがある候補点を容易に把握することができる。また、候補点の密集を避けることができ、視認性を向上することができる。
図30は、候補点が重畳された画像要素マップMaの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、例えば図30に示すように、複数の候補点と実験計画とを決定する。実験計画は、その複数の候補点のうち、何れの候補点をどの順番で実験すべきかを示す情報である。候補点決定部331は、その決定された複数の候補点と実験計画とを示す情報を画像処理部334に出力する。例えば、候補点決定部331は、上述のように複数の候補点を決定し、さらに、それらの複数の候補点から優先度の高い順にn個の候補点を、実験計画に含まれる候補点(以下、計画候補点という)として決定する。例えば、n=5である。そして、候補点決定部331は、n個の計画候補点のそれぞれに対して、優先度の高い順に実験番号を割り当てる。例えば、候補点決定部331は、n個の計画候補点のうち、最も優先度の高い計画候補点に対して実験番号「1」を割り当て、2番目に優先度の高い計画候補点に対して実験番号「2」を割り当てる。これにより、n個の計画候補点と、それらの計画候補点の実験番号とを示す実験計画が生成される。
画像処理部334は、候補点決定部331から複数の候補点と実験計画とを示す情報を取得する。そして、画像処理部334は、その複数の候補点を画像要素マップMaに重畳する。さらに、画像処理部334は、その実験計画に含まれるn個の計画候補点のそれぞれの実験番号を画像要素マップMaに付し、さらに、1つの計画候補点から次の実験番号の計画候補点を指し示す矢印を画像要素マップMaに重畳する。このような矢印の重畳などは、第3表示方法情報にしたがって実行される。
具体的な例では、画像処理部334は、複数の候補点のうちの5つの計画候補点に対して、実験番号(1)、(2)、(3)、(4)および(5)をそれぞれ付す。そして、画像処理部334は、実験番号(1)の計画候補点から実験番号(2)の計画候補点を指し示す矢印と、実験番号(2)の計画候補点から実験番号(3)の計画候補点を指し示す矢印とを重畳する。さらに、画像処理部334は、実験番号(3)の計画候補点から実験番号(4)の計画候補点を指し示す矢印と、実験番号(4)の計画候補点から実験番号(5)の計画候補点を指し示す矢印とを重畳する。画像処理部334は、このように実験番号および矢印が付された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に表示する。したがって、実験番号(1)の計画候補点から、実験番号(2)の計画候補点、実験番号(3)の計画候補点、実験番号(4)の計画候補点、実験番号(5)の計画候補点の順に、実験すべきことを示す実験計画が表示部140からユーザに提示される。
このように、本実施の形態における特性表示装置330では、第3表示方法情報は、1つ以上の候補点のそれぞれに対応する候補化合物の実験の順序を実験計画として表示させることを、候補点の表示方法として示す。
これにより、候補点が複数存在する場合に、どの順番でどの候補点の実験を行うべきかがユーザに提示される。したがって、その順番にしたがってユーザが候補点の実験を行うことによって、ユーザは効率的に実験を進めることができる。つまり、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。なお、図30の例では、実験計画は、実験番号および矢印によって示されるが、これに限定されることなく、他の態様で示されてもよい。
図31は、候補点が重畳された画像要素マップMaの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、例えば図31のように、複数の候補点を、特性予測値が基準値以上の候補点と、特性予測値が基準値未満の候補点とに分類してもよい。基準値は、例えば、画像要素マップMaにおける各位置の特性予測値の平均値、その特性予測値の中央値、または、任意の値であるが、これらに限定されるものではない。候補点決定部331は、入力部110から表示方法取得部133を介して、基準値に関する第3表示方法情報を取得し、その第3表示方法情報にしたがって基準値を決定する。そして、候補点決定部331は、複数の候補点のそれぞれについて、その候補点において示される特性予測値が基準値以上であるか否かを判定し、基準値以上であると判定すると、その候補点に対して例えば1を示すフラグを付ける。一方、候補点決定部331は、候補点において示される特性予測値が基準値未満であると判定すると、その候補点に対して例えば0を示すフラグを付ける。そして、候補点決定部331は、それらの複数の候補点およびフラグを画像処理部334に出力する。
画像処理部334は、候補点決定部331から複数の候補点およびフラグを取得すると、第3表示方法情報にしたがって、図31に示すように、1を示すフラグが付与されている候補点に対しては、例えば星形のマークを割り当てる。また、画像処理部334は、0を示すフラグが付与されている候補点に対しては、例えば逆三角形のマークを割り当てる。そして、画像処理部334は、画像要素マップMa上の候補点に、その候補点に割り当てられた形態のマークを重畳し、そのマークが重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に表示する。その結果、各態様のマークによって示される候補点が画像要素マップMaに重畳されて表示される。
したがって、基準値以上の特性予測値が示されている候補点を、基準値未満の特性予測値が示されている候補点よりも強調表示することができる。また、探索範囲全体を把握しつつ、注目すべき複数の候補点を同時に把握することができる。
なお、基準値が、任意の値であって、例えば、画像要素マップMaにおいて10番目に大きい特性予測値に等しい場合には、最も大きい特性予測値が示されている候補点から、10番目に大きい特性予測値が示されている候補点まで、それらの候補点を強調表示させることができる。また、上述の例とは逆に、基準値未満の特性予測値が示されている候補点が、基準値以上の特性予測値が示されている候補点よりも強調表示されてもよい。
このように、本実施の形態における特性表示装置330では、第3表示方法情報は、1つ以上の候補点のうち、その候補点が重畳される画像要素マップMa上の位置において示される特性予測値が基準値以上の候補点を、残りの候補点よりも強調して表示させることを、候補点の表示方法として示す。例えば、本実施の形態における特性表示装置330では、その基準値は、複数の化合物のそれぞれの特性予測値の平均値もしくは中央値、または、ユーザによって指定された値である。
これにより、ユーザは、画像要素マップMaに重畳されている1つ以上の候補点から、基準値以上の特性予測値が示されている候補点を、容易に見つけ出すことができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
図32は、候補点が重畳された画像要素マップMaの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、例えば図32のように、複数の候補点を、3つのグループに分類してもよい。図32の例では、3つのグループは、候補点グループ1、候補点グループ2、および候補点グループ3である。これらのグループへの分類は、図31の例のように、特性予測値と基準値との比較によって行われてもよい。例えば、候補点決定部331は、候補点の特性予測値が第1基準値以上であれば、その候補点を候補点グループ1に分類する。また、候補点決定部331は、候補点の特性予測値が第1基準値未満でかつ、第2基準値以上であれば、その候補点を候補点グループ2に分類する。そして、候補点決定部331は、候補点の特性予測値が第2基準値未満であれば、その候補点を候補点グループ3に分類する。第1基準値および第2基準値のそれぞれは、例えば、画像要素マップMaにおける各位置の特性予測値の平均値、その特性予測値の中央値、または、任意の値であるが、これらに限定されるものではない。また、第1基準値は、第2基準値よりも大きい値である。具体的な一例では、第1基準値は2.5eVであり、第2基準値は1.5eVである。
または、各グループへの分類には、候補点の特性予測値の代わりに上述の優先度が用いられてもよい。この場合に用いられる優先度は、特性予測値であってもよく、特性予測値と目標値との差の逆数であってもよい。例えば、候補点決定部331は、候補点の優先度が第1優先基準値以上であれば、その候補点を候補点グループ1に分類する。また、候補点決定部331は、候補点の優先度が第1優先基準値未満でかつ、第2優先基準値以上であれば、その候補点を候補点グループ2に分類する。そして、候補点決定部331は、候補点の優先度が第2優先基準値未満であれば、その候補点を候補点グループ3に分類する。なお、第1優先基準値および第2優先基準値は、優先度と比較される基準値であって、第1優先基準値の方が第2優先基準値よりも大きい。また、第1優先基準値および第2優先基準値は、以下、優先基準値と総称されることがある。優先基準値は、各候補点の優先度の平均値、その優先度の中央値、または、任意の値であるが、これらに限定されるものではない。
候補点決定部331は、このように複数の候補点を3つのグループに分類すると、その複数の候補点と、それらの候補点が属するグループを示すグループ識別情報と関連付けて画像処理部334に出力する。
画像処理部334は、候補点決定部331から複数の候補点およびグループ識別情報を取得すると、図32に示すように、候補点グループ1を示すグループ識別情報に関連付けられている候補点に対しては、例えば星形のマークを割り当てる。また、画像処理部334は、候補点グループ2を示すグループ識別情報に関連付けられている候補点に対しては、例えば逆三角形のマークを割り当てる。さらに、画像処理部334は、候補点グループ3を示すグループ識別情報に関連付けられている候補点に対しては、例えば四角形のマークを割り当てる。これらのマークの割り当ては、第3表示方法情報にしたがって実行される。
そして、画像処理部334は、画像要素マップMa上の候補点に、その候補点に割り当てられた形態のマークを重畳し、そのマークが重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に表示する。その結果、各態様のマークによって示される候補点が画像要素マップMaに重畳されて表示される。
このように、本実施の形態における特性表示装置330では、第3表示方法情報は、1つ以上の候補点のそれぞれを、その候補点の優先度に応じて複数のグループのうちの何れか1つのグループに分類し、そのグループに対応付けられている態様のマークを画像要素マップMaに重畳することを、候補点の表示方法として示す。候補点の優先度は、例えば、その候補点において示される特性予測値であってもよい。
これにより、ユーザは、画像要素マップMaに重畳される各候補点が属するグループ、すなわちそのグループに属する候補点の特徴、例えば優先度が大きいか、中程度か、小さいかなどを容易に把握することができる。
[処理動作]
図33は、本実施の形態における表示システム300の処理動作を示すフローチャートである。
本実施の形態における表示システム300は、実施の形態1Aの表示システム100と同様、ステップS111およびS112の処理を実行し、実施の形態1Bの表示システム200と同様、ステップS121を実行する。次に、表示システム300は、ステップS131~S134の処理を実行する。
(ステップS131)
表示方法取得部133は、ステップS113と同様、ユーザによる入力部110への入力操作に応じてその入力部110から出力される第3表示方法情報を取得する。この第3表示方法情報は、例えば図26~図32に示すような候補点の表示方法を示す情報である。そして、表示方法取得部133は、その第3表示方法情報を候補点決定部331および画像処理部334に出力する。
(ステップS132)
候補点決定部331は、予測値取得部132から複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値を取得し、実験値取得部232から1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。さらに、候補点決定部331は、表示方法取得部133から第3表示方法情報を取得する。そして、候補点決定部331は、その第3表示方法情報にしたがって、その複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値と、1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値とに基づいて、1つ以上の候補点を決定する。
(ステップS133)
画像処理部334は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の構成および特性予測値を取得する。さらに、画像処理部334は、候補点決定部331から1つ以上の候補点を取得する。また、画像処理部334は、表示方法取得部133から第3表示方法情報を取得する。なお、画像処理部334は、実施の形態1Aと同様に、表示方法取得部133から特性予測値の表示方法を示す第1表示方法情報を受けてもよい。
画像処理部334は、取得された複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値に基づいて、画像要素マップMaを生成する。このとき、画像処理部334は、第1表示方法情報を受けていれば、その第1表示方法情報にしたがって画像要素マップMaを生成してもよい。さらに、画像処理部334は、第3表示方法情報にしたがって、候補点決定部331から取得された1つ以上の候補点をその画像要素マップMaに重畳する。つまり、画像処理部334は、1つ以上の候補点を示すマークをその画像要素マップMaに重畳する。画像処理部334は、その1つ以上の候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に出力する。
(ステップS134)
表示部140は、画像処理部334からその画像を取得し、その画像、すなわち、1つ以上の候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示する。
このようなステップS111、S112、S121、S131~S134の処理が実行されることによって、化合物の特性予測値および候補点に関する特性表示が行われる。
(実施の形態2Aの変形例)
画像処理部334は、実施の形態1Aの変形例1のように画像マップMbを生成し、その画像マップMbに候補点を重畳してもよい。なお、画像マップMbは、複数のマップMaの配列からなるマップである。
図34は、本変形例における画像マップMbの一例を示す図である。
画像処理部334は、第3表示方法情報にしたがって、図34に示すように、画像マップMbに候補点を重畳する。ここで、候補点決定部331は、入力部110から表示方法取得部133を介して、候補点の制限数を示す第3表示方法情報を取得すると、その制限数だけ候補点を決定する。例えば、制限数は、画像マップMbに対してn個(nは、1以上の整数であって、例えば10)である。その結果、画像処理部334は、画像マップMbに例えば10個の候補点を重畳する。
これにより、例えば、ユーザは、1週間に実施可能な実験数が10個である場合に、制限数nをn=10に設定することで、当該1週間において実験の対象とされる候補点を容易に把握することができる。
図35は、本変形例における画像マップMbの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、例えば図35のように、画像マップMbに重畳される複数の候補点を、図31に示す例と同様に、特性予測値が基準値以上の候補点と、特性予測値が基準値未満の候補点とに分類してもよい。なお、画像マップMbに用いられる基準値は、例えば、画像マップMbにおける各位置の特性予測値の平均値、その特性予測値の中央値、または、任意の値であるが、これらに限定されるものではない。
具体的には、候補点決定部331は、画像マップMbに重畳される複数の候補点のそれぞれについて、その候補点において示される特性予測値が基準値以上であるか否かを判定し、基準値以上であると判定すると、その候補点に対して例えば1を示すフラグを付ける。一方、候補点決定部331は、候補点において示される特性予測値が基準値未満であると判定すると、その候補点に対して例えば0を示すフラグを付ける。そして、候補点決定部331は、それらの複数の候補点およびフラグを画像処理部334に出力する。
画像処理部334は、図31に示す例と同様、候補点決定部331から複数の候補点およびフラグを取得すると、図35に示すように、1を示すフラグが付与されている候補点に対しては、例えば星形のマークを割り当てる。また、画像処理部334は、0を示すフラグが付与されている候補点に対しては、例えば逆三角形のマークを割り当てる。そして、画像処理部334は、画像マップMb上の候補点に、その候補点に割り当てられた形態のマークを重畳し、そのマークが重畳された画像マップMbを含む画像を表示部140に表示する。その結果、各態様のマークによって示される候補点が画像マップMbに重畳されて表示される。
また、候補点決定部331は、複数の基準値を用いて、それらの基準値と各候補点の特性予測値との比較結果に応じて、複数の候補点を3つ以上のグループに分類してもよい。あるいは、候補点決定部331は、図32の例と同様、候補点の特性予測値の代わりに上述の優先度を用い、優先基準値と各候補点の優先度との比較結果に応じて、複数の候補点を複数のグループに分類してもよい。候補点決定部331は、例えば図35のように、複数の候補点を2つのグループに分類すると、その複数の候補点と、それらの候補点が属するグループを示すグループ識別情報とを関連付けて画像処理部334に出力する。
画像処理部334は、候補点決定部331から複数の候補点およびグループ識別情報を取得すると、図35に示すように、優先度が優先基準値以上のグループを示すグループ識別情報に対応する候補点に対しては、例えば星形のマークを割り当てる。また、画像処理部334は、優先度が優先基準値未満のグループを示すグループ識別情報に対応する候補点に対しては、例えば逆三角形のマークを割り当てる。
そして、画像処理部334は、画像マップMb上の候補点に、その候補点に割り当てられた形態のマークを重畳し、そのマークが重畳された画像マップMbを含む画像を表示部140に表示する。その結果、各態様のマークによって示される候補点が画像マップMbに重畳されて表示される。
これにより、ユーザは、画像マップMbに重畳される各候補点が属するグループ、すなわちそのグループに対応する候補点の特徴、例えば特性予測値または優先度が大きいか、小さいかなどを容易に把握することができる。
図36は、本変形例における画像マップMbの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、画像マップMbに含まれる各画像要素マップMaに重畳される候補点の数をn個(nは1以上の整数)に設定してもよい。図36に示す例では、n=1である。例えば、入力部110は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じて、候補点の数を示す第3表示方法情報を表示方法取得部133に出力する。表示方法取得部133は、その第3表示方法情報を取得し、その第3表示方法情報を候補点決定部331に出力する。候補点決定部331は、第3表示方法情報を表示方法取得部133から受け取り、画像マップMbの各画像要素マップMaに対して、その第3表示方法情報によって示される数だけ候補点を決定する。これにより、ユーザは、画像マップMbに広く分散させた候補点を容易に確認することができる。
このように、本変形例における特性表示装置330では、画像マップMbは、第1座標軸および第2座標軸のそれぞれに沿ってマトリクス状に配列された複数の画像要素マップMaを含み、その複数の画像要素マップMaのそれぞれは、第3座標軸および第4座標軸を有する。画像処理部334は、その第1座標軸、第2座標軸、第3座標軸、および第4座標軸を、化合物の構成を表現するために用いられる第1変数、第2変数、第3変数、および第4変数にそれぞれ対応付ける。そして、画像処理部334は、複数の化合物のそれぞれについて、複数の画像要素マップMaのうち、その化合物の構成を表現するために用いられる第1変数の数および第2変数の値に関連付けられている画像要素マップMaを特定する。次に、画像処理部334は、特定された画像要素マップMa上における、その化合物の構成を表現するために用いられる第3変数の値および第4変数の値に対応する位置に、その化合物の特性予測値をマッピングする。例えば、第1変数、第2変数、第3変数、および第4変数は、上述の変数a、b、x、およびyである。
これにより、画像マップMbなどのマップは、それぞれ4つの変数によって表現される複数の化合物の構成に対して特性予測値を示すことができ、広い範囲で化合物の特性予測値を分かり易く表示することできる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本変形例における特性表示装置330では、第3表示方法情報は、複数の画像要素マップMaのそれぞれに重畳される候補点の数を、候補点の表示方法として示す。画像処理部334は、複数の画像要素マップMaのそれぞれに、その第3表示方法情報によって示される数の候補点を重畳する。
これにより、画像マップMbに含まれる複数の画像要素マップMaに対して候補点を偏りなく重畳させることができる。その結果、ユーザは、画像マップMbにおいて広く分散された候補点を容易に確認することができる。
(実施の形態2B)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態2Aと同様、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップを生成し、そのマップに候補点を重畳するとともに、さらに、1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値もそのマップに重畳する。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態2Aと同一の構成要素については、実施の形態2Aと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態におけるマップは、画像要素マップMaであるが、画像マップMbであってもよい。
[表示システム400の構成]
図37は、本実施の形態における表示システム400の構成の一例を示すブロック図である。図37に示す表示システム400は、入力部110と、予測器データベース120と、特性表示装置430と、表示部140と、実験データベース150とを備える。なお、特性表示装置430は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置430は、候補点だけでなく、実験によって得られた化合物の特性実験値も画像要素マップMaに重畳し、その候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に表示する。このような特性表示装置430は、探索範囲取得部131と、予測値取得部132と、表示方法取得部133と、実験値取得部232と、候補点決定部331と、画像処理部434とを備える。なお、特性表示装置430は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置430として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
[実験値取得部232]
本実施の形態における実験値取得部232は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を実験データベース150から取得する。そして、実験値取得部232は、その実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、取得された構成および特性実験値を候補点決定部331に出力するとともに、画像処理部434にも出力する。
[画像処理部434]
画像処理部434は、実施の形態2Aと同様に、画像要素マップMaを生成する。また、画像処理部434は、実施の形態2Aと同様に、表示方法取得部133から第3表示方法情報を取得し、その第3表示方法情報にしたがって、候補点決定部331によって決定された1つ以上の候補点をその画像要素マップMaに重畳する。さらに、画像処理部434は、実験値取得部232から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。そして、画像処理部434は、その実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を画像要素マップMaに重畳する。この化合物の特性実験値の重畳では、画像処理部434は、その化合物が有する構成に対応する画像要素マップMa上の位置に、その化合物の特性実験値を重畳する。つまり、画像処理部434は、特性実験値を示すマークを画像要素マップMaに重畳する。そして、画像処理部434は、実験済みの1つ以上の化合物の特性実験値および1つ以上の候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に出力する。
[マップの具体例]
図38は、候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaの一例を示す図である。
画像処理部434は、第3表示方法情報にしたがって、候補点を例えば星形などのマークとして画像要素マップMaに重畳する。つまり、候補点決定部331は、画像要素マップMaの全ての位置から1つ以上の候補点を決定し、画像処理部434は、その1つ以上の候補点に星形のマークを重畳する。さらに、画像処理部434は、化合物の特性実験値を例えば円形などのマークとして画像要素マップMaに重畳する。つまり、画像処理部434は、実験値取得部232から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の構成および特性実験値を取得すると、その化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置に、その化合物の特性実験値に応じた濃淡度の色を有する円形のマークを重畳する。
このように、本実施の形態における特性表示装置430では、実験値取得部232は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を取得する。そして、画像処理部434は、その実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を、その化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置に重畳する。画像処理部434は、1つ以上の候補点および1つ以上の特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を生成する。
これにより、ユーザは、画像要素マップMaにおける候補点と特性実験値およびその特性実験値の位置とを容易に比較することができる。その結果、ユーザは、候補点に対応する化合物の実験を行うか否かを、特性実験値およびその特性実験値の位置に基づいて容易に判断することができる。したがって、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
図39は、候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaの他の例を示す図である。
候補点決定部331は、第3表示方法情報にしたがって、候補点として成り得る上述の複数の仮候補点のうち、何れの特性実験値の位置よりも所定の距離以上離れている位置を、最終的な候補点に決定する。その所定の距離は、例えば、連続変数x、yのそれぞれのステップ幅(すなわち1メモリ)の3倍の距離である。つまり、所定の距離は、3メモリであるとも言える。なお、この所定の距離は、第2最小離間距離とも呼ばれる。
画像処理部434は、第3表示方法情報にしたがって、候補点決定部331によって上述のように決定された1つ以上の候補点を画像要素マップMaに重畳する。さらに、画像処理部434は、実験済みの化合物の特性実験値も、その化合物の構成に対応する画像要素マップMa上の位置に重畳する。
これにより、実験済みの化合物の構成に対応する位置(すなわち特性実験値の位置)およびその周辺から、候補点を除外することができ、効率的な候補点の探索を行うことができる。
つまり、本実施の形態における特性表示装置430では、第3表示方法情報は、候補点と特性実験値の位置との間の予め定められている第2最小離間距離を、候補点の表示方法として示す。画像処理部434は、実験値取得部232によって取得された1つ以上の特性実験値のそれぞれの位置から、1つ以上の候補点を第2最小離間距離以上離して画像要素マップMaに重畳する。
これにより、特性実験値の位置の近くに候補点が重畳されることを抑制することができる。その結果、特性実験値を有する実験済みの化合物に近い構成を有する化合物(すなわち候補化合物)に対して実験が行われることによって同様の実験結果が繰り返し得られることを抑え、これまでにない新しい実験結果が得られる可能性を高めることができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
図40は、画像要素マップMaの状態遷移の一例を示す図である。
例えば、画像処理部434は、実験値取得部232によって特性実験値が取得されていない場合には、図40の(a)に示す画像要素マップMaを表示部140に表示する。この図40の(a)に示す画像要素マップMaには、複数の候補点が重畳され、特性実験値は重畳されていない。
ここで、ユーザは、その画像要素マップMaにおける複数の候補点のうちの1つの候補点b1の実験を行う。具体的には、ユーザは、候補点b1によって示される構成を有する化合物の実験を行う。この実験によって、実験データベース150の実験データが更新される。つまり、新たな化合物の構成および特性実験値が実験データに書き込まれる。その結果、実験値取得部232は、その新たな化合物の構成および特性実験値を取得し、それらを候補点決定部331および画像処理部434に出力する。画像処理部434は、その新たな化合物の構成および特性実験値を実験値取得部232から取得すると、図40の(b)に示すように、その構成に対応する画像要素マップMa上の位置にその特性実験値を重畳する。つまり、候補点b1の位置に新たな特性実験値が重畳された画像要素マップMaが表示部140に表示される。
次に、ユーザは、特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れている候補点だけが表示されるように入力部110を操作する。これにより、表示方法取得部133は、入力部110からそのユーザによる入力操作に応じた情報を取得する。つまり、表示方法取得部133は、特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れている候補点だけが表示される表示方法を示す第3表示方法情報を取得する。そして、表示方法取得部133は、その第3表示方法情報を候補点決定部331および画像処理部434に出力する。その結果、候補点決定部331は、図39の例と同様、図40の(b)に示す画像要素マップMaに重畳されている複数の候補点のうち、特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れている候補点のみを残し、特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れていない候補点を削除する。つまり、候補点決定部331は、候補点を決定し直して更新する。画像処理部434は、このように決定し直された1つ以上の候補点と特性実験値とが重畳された画像要素マップMaを表示部140に表示する。これにより、ユーザは、より効率的に実験を進めることができる。
なお、上述の例では、図40の(b)に示す画像要素マップMaが表示部140に表示されるが、特性実験値が取得される前に第3表示方法情報が既に取得されている場合には、図40の(b)に示す画像要素マップMaは表示されなくてもよい。つまり、図40の(a)に示す画像要素マップMaが表示され、さらに、実験が行われた後には、図40の(c)に示す画像要素マップMaが直接表示されてもよい。また、図40の(c)に示す画像要素マップMaが表示された後、さらに、実験が繰り返し行われて新たな特性実験値が得られたときには、上述と同様の処理が繰り返し実行される。つまり、候補点決定部331は、図40の(c)に示す画像要素マップMaに重畳されている複数の候補点のうち、新たな特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れている候補点のみを残し、新たな特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れていない候補点を削除する。その結果、図40の(c)に示す画像要素マップMaに重畳されている複数の候補点が更新される。
図41は、画像要素マップMaの状態遷移の一例を示す図である。
候補点決定部331は、図30の例と同様、図41の(a)に示すように、複数の候補点と実験計画とを決定する。なお、実験計画は、その複数の候補点のうち、何れの候補点をどの順番で実験すべきかを示す情報である。候補点決定部331は、その決定された複数の候補点と実験計画とを示す情報を画像処理部434に出力する。
画像処理部434は、候補点決定部331から複数の候補点と実験計画とを示す情報を取得する。そして、画像処理部434は、その複数の候補点を画像要素マップMaに重畳する。さらに、画像処理部434は、その実験計画に含まれるn個の計画候補点のそれぞれの実験番号を画像要素マップMaに付し、さらに、1つの計画候補点から次の実験番号の計画候補点を指し示す矢印を画像要素マップMaに重畳する。
ここで、ユーザは、例えば、実験番号(1)の計画候補点によって示される構成を有する化合物(すなわち候補化合物)の実験を行う。これによって、その化合物の特性実験値が得られ、実験データベース150の実験データが更新される。つまり、実験によって得られた新たな化合物の構成および特性実験値が実験データに書き込まれる。その結果、実験値取得部232は、その新たな化合物の構成および特性実験値を取得し、それらを候補点決定部331および画像処理部434に出力する。画像処理部434は、その新たな化合物の構成および特性実験値を実験値取得部232から取得すると、図41の(b)に示すように、その構成に対応する画像要素マップMa上の位置、すなわち実験番号(1)の計画候補点の位置に、その特性実験値を重畳する。つまり、実験番号(1)の計画候補点の代わりに、新たな特性実験値が画像要素マップMaに重畳される。
さらに、候補点決定部331は、その新たな化合物の構成および特性実験値を実験値取得部232から取得する。このとき、候補点決定部331は、図40の例と同様に、図41の(a)に示す画像要素マップMaに重畳されている複数の候補点のうち、特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れている候補点のみを残す。そして、候補点決定部331は、特性実験値の位置から第2最小離間距離以上離れていない候補点を削除する。つまり、候補点決定部331は、候補点を決定し直して更新することによって、図41の(b)に示すように、実験番号(1)の計画候補点が重畳されていた特性実験値の位置から、第2最小離間距離以上離れていない例えば3つの候補点を削除する。画像処理部434は、このように決定し直された1つ以上の候補点と特性実験値とが重畳された画像要素マップMa、すなわち、実験番号(2)から(5)までの4つの計画候補点を含む複数の候補点と、特性実験値とが重畳された画像要素マップMaを表示部140に表示する。
ここで、さらに、ユーザは、例えば、実験番号(2)の計画候補点によって示される構成を有する化合物(すなわち候補化合物)の実験を行う。これによって、その化合物の特性実験値が得られ、実験データベース150の実験データが更新される。その結果、上述と同様、実験値取得部232は、その新たな化合物の構成および特性実験値を取得し、それらを候補点決定部331および画像処理部434に出力する。画像処理部434は、その新たな化合物の構成および特性実験値を実験値取得部232から取得すると、図41の(c)に示すように、その構成に対応する画像要素マップMa上の位置、すなわち実験番号(2)の計画候補点の位置に、その特性実験値を重畳する。つまり、実験番号(2)の計画候補点の代わりに、新たな特性実験値が画像要素マップMaに重畳される。
また、予測器データベース120の予測器は、実験データが更新されると、その実験データの更新結果に応じて最新の状態に更新されてもよい。例えば、予測器が教師ありの機械学習によって得られるモデルである場合、実験データに新たに追加された化合物の構成および特性実験値を教師データに用いた再学習が、予測器に対して実行される。その結果、予測値取得部132は、更新された予測器を予測器データベース120から取得し、その予測器を用いて、複数の化合物のそれぞれの構成に対応する特性予測値を取得し直す。候補点決定部331は、それらの複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値を予測値取得部132から取得し、それらに基づいて、1つ以上の候補点を改めて決定する。これにより、例えば、図41の(c)に示すように、実験番号(5)の計画候補点の周囲に新たな2つの候補点が追加される。
また、候補点決定部331は、図41の(b)に示す例と同様、図41の(c)に示すように、実験番号(2)の計画候補点が重畳されていた特性実験値の位置から、第2最小離間距離以上離れていない例えば2つの候補点を削除する。画像処理部434は、このように決定し直された1つ以上の候補点と特性実験値とが重畳された画像要素マップMa、すなわち、実験番号(3)から(5)までの3つの計画候補点を含む複数の候補点と、2つの特性実験値とが重畳された画像要素マップMaを表示部140に表示する。これにより、ユーザは、より効率的に実験を進めることができる。
このように、本実施の形態における特性表示装置430では、画像要素マップMaが表示された後に、さらに、実験値取得部232による処理が繰り返し実行され、新たな特性実験値が取得された場合、画像処理部434は、画像要素マップMaに重畳される全ての候補点が、新たな特性実験値から第2最小離間距離以上離れるように、既に重畳されている1つ以上の候補点を更新する。
これにより、候補化合物の実験が行われるたびに、新たな特性実験値が取得され、その新たな特性実験値に応じて適切な候補点を表示することができる。これにより、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
[処理動作]
図42は、本実施の形態における表示システム400の処理動作を示すフローチャートである。
本実施の形態における表示システム400は、実施の形態2Aの表示システム300と同様、図33に示すステップS111、S112、S121、S131、およびS132の処理を実行する。次に、表示システム400は、ステップS141およびS142の処理を実行する。
(ステップS141)
画像処理部434は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値を取得する。さらに、画像処理部434は、候補点決定部331から1つ以上の候補点を取得する。さらに、画像処理部434は、実験値取得部232から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。また、画像処理部434は、第3表示方法情報を表示方法取得部133から受ける。
画像処理部434は、取得された複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値に基づいて、画像要素マップMaを生成する。さらに、画像処理部434は、候補点決定部331から取得された1つ以上の候補点をその画像要素マップMaに重畳し、実験値取得部232から取得された1つ以上の特性実験値をその画像要素マップMaに重畳する。その候補点の重畳は、第3表示方法情報にしたがって行われる。画像処理部434は、その1つ以上の候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に出力する。
(ステップS142)
表示部140は、画像処理部434から画像を取得し、その画像、すなわち、1つ以上の候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示する。
このようなステップS111、S112、S121、S131、S132、S141、およびS142の処理が実行されることによって、化合物の特性予測値、候補点および特性実験値に関する特性表示が行われる。その結果、ユーザは、画像要素マップMa上における特性実験値の全体像を、特性予測値および候補点と比較しながら適切に認識することができる。
(実施の形態2Bの変形例)
本変形例における表示システムは、特性表示装置430によって生成された画像、すなわち、1つ以上の候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を保存して表示する機能を有する。なお、本変形例における各構成要素のうち、実施の形態2Bと同一の構成要素については、実施の形態2Bと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[表示システム401の構成]
図43は、本変形例における表示システム401の構成の一例を示すブロック図である。図43に示す表示システム401は、実施の形態2Bにおける表示システム400が有する全ての構成要素と、画像格納部410とを備える。
[画像格納部410]
画像格納部410は、画像処理部434によって生成された、1つ以上の候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を特性表示画像として格納するための記録媒体である。この記録媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
[画像処理部434]
本変形例における画像処理部434は、実施の形態2Bと同様、特性表示画像を生成するとともに、その生成された特性表示画像を画像格納部410に格納する。このとき、画像処理部434は、特性表示画像に対して、その特性表示画像が生成された日付を示す日付情報を付加してもよく、その特性表示画像の生成に用いられた探索範囲などを参考情報として付加してもよい。
さらに、画像処理部434は、過去の特性表示画像に関する表示方法を示す第3表示方法情報を表示方法取得部133から受けると、その第3表示方法情報にしたがって画像格納部410から1つ以上の特性表示画像を読み出す。そして、画像処理部434は、その1つ以上の特性表示画像を含む履歴一覧画像を生成して表示部140に出力する。
[履歴一覧画像の具体例]
図44は、特性表示画像の履歴の一例を示す図である。
入力部110は、ユーザによる入力操作を受け付け、その入力操作に応じた探索範囲および期間を、過去の特性表示画像に関する表示方法として示す第3表示方法情報を表示方法取得部133に出力する。その期間は、例えば、2021年1月~2021年3月である。表示方法取得部133は、その第3表示方法情報を取得し、その第3表示方法情報を画像処理部434に出力する。画像処理部434は、表示方法取得部133から第3表示方法情報を取得すると、その第3表示方法情報に応じた1つ以上の特性表示画像を画像格納部410から検索する。つまり、画像処理部434は、第3表示方法情報によって示される探索範囲と同一の探索範囲を示す参考情報が付加され、かつ、その第3表示方法情報によって示される期間内の日付を示す日付情報が付加されている特性表示画像を、画像格納部410から検索する。
そして、画像処理部434は、その検索によって見つけ出された1つ以上の特性表示画像を、それらに付加されている日付情報の日付の順に並べることによって、履歴一覧画像を生成し、その履歴一覧画像を表示部140に出力する。その結果、例えば図44に示すように、履歴一覧画像が表示部140に表示される。
例えば、その履歴一覧画像は、図44の(a)に示す2021年1月20日に生成された特性表示画像と、図44の(b)に示す2021年2月20日に生成された特性表示画像と、図44の(c)に示す2021年3月20日に生成された特性表示画像とを含む。これらの特性表示画像が日付の古いものから順に配列されている。
これにより、ユーザの入力操作によって指定された期間、すなわち3か月間における、1か月ごとの特性実験値および候補点の更新状況を、ユーザは容易に把握することができる。
なお、図44の例では、履歴一覧画像に3つの特性表示画像が含まれているが、第3表示方法情報に該当する特性表示画像が4つ以上であれば、4つ以上の特性表示画像を含む履歴一覧画像が表示されてもよい。逆に、第3表示方法情報に該当する特性表示画像が1つまたは2つであれば、1つまたは2つの特性表示画像を含む履歴一覧画像が表示されてもよい。また、第3表示方法情報に該当する特性表示画像が所定数(例えば100個など)以上であれば、それらの特性表示画像は間引かれてもよい。その結果、所定数未満の特性表示画像を含む履歴一覧画像が表示される。これにより、多くの特性表示画像が履歴一覧画像に含まれて表示されることを抑えて、各特性表示画像を見やすくすることができる。
このように、本実施の形態における特性表示装置430では、上述の画像要素マップMaを含む画像の生成および表示が繰り返し実行された後、画像処理部434は、それらの複数の画像を画像格納部410から読み出し、その複数の画像を含む複合画像を生成し、表示部140に出力する。その複合画像は、上述の履歴一覧画像である。なお、上述の画像の生成および表示が繰り返し実行されるためには、特性予測値の取得、画像要素マップMaの生成、第3表示方法情報の取得、特性実験値の取得、候補点の重畳、特性実験値の重畳、および画像の生成が繰り返し実行される。
これにより、ユーザは、これまでの実験の経過を振り返ることができ、今後の材料探索の方針を適切に判断することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
(実施の形態2C)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態2Bと同様、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示すマップを生成し、そのマップに候補点および特性実験値を重畳する。ここで、本実施の形態における特性表示装置は、その候補点を特性予測値などから決定することなく、データベースから取得する。なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態2Aおよび2Bと同一の構成要素については、実施の形態2Aおよび2Bと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態におけるマップは、画像要素マップMaであるが、画像マップMbであってもよい。
[表示システム500の構成]
図45は、本実施の形態における表示システム500の構成の一例を示すブロック図である。図45に示す表示システム500は、入力部110と、予測器データベース120と、特性表示装置530と、表示部140と、実験データベース150と、候補点データベース(DB)510とを備える。なお、特性表示装置530は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置530は、探索範囲取得部131と、予測値取得部132と、表示方法取得部133と、実験値取得部232と、候補点取得部531と、画像処理部534とを備える。なお、特性表示装置530は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置530として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
なお、本実施の形態における予測値取得部132は、複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値を画像処理部534に出力する。また、本実施の形態における実験値取得部232は、1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を画像処理部534に出力する。さらに、本実施の形態における表示方法取得部133は、第3表示方法情報を画像処理部534に出力する。つまり、本実施の形態における予測値取得部132、実験値取得部232、および表示方法取得部133は、候補点取得部531に対して、候補点を決定するための情報などを出力しない。
[候補点取得部531]
候補点取得部531は、例えば、探索範囲取得部131から探索範囲信号を取得する。そして、候補点取得部531は、その探索範囲信号によって示される探索範囲に含まれる構成を有する1つ以上の化合物を候補点データベース510から検索する。候補点取得部531は、その検索によって見つけ出された化合物の構成を候補点として候補点データベース510から取得し、その候補点を画像処理部534に出力する。
[画像処理部534]
画像処理部534は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値を取得し、実験値取得部232から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。また、画像処理部534は、候補点取得部531から1つ以上の候補点を取得し、表示方法取得部133から第3表示方法情報を受ける。画像処理部534は、複数の化合物の特性予測値を示す画像要素マップMaを生成し、その画像要素マップMaに対して、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を重畳する。さらに、画像処理部534は、第3表示方法情報にしたがって、1つ以上の候補点を画像要素マップMaに重畳する。そして、画像処理部534は、1つ以上の化合物の特性実験値および1つ以上の候補点が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に出力する。
[候補点データベース510]
候補点データベース510は、複数の化合物のそれぞれの構成などを示す候補点データを格納している。
図46は、候補点データベース510に格納されている候補点データの一例を示す図である。候補点データは、例えば図46に示すように、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の管理番号、組成式、焼成方法、焼成温度および焼成時間を、化合物の構成として示す。なお、焼成方法、焼成温度および焼成時間は、化合物を焼成するためのプロセス条件である。例えば、候補点データは、図46に示すように、1つの化合物の管理番号「1」、組成式「Li1.45La0.90Ti1.0Ga0.10O3」、焼成方法「1:固相法」、焼成温度「100℃」、および焼成時間「3時間」を示す。
候補点取得部531は、例えば、探索範囲取得部131から探索範囲信号を取得し、その探索範囲信号によって示される探索範囲に含まれる化合物の組成式を、候補点として候補点データから取得する。つまり、候補点取得部531は、探索範囲に含まれる変数M3、M3’、M4、M4’、x、y、aおよびbのそれぞれの選択肢データの全ての組み合わせを生成する。そして、候補点取得部531は、その組み合わせごとに、その組み合わせを有する組成式を候補点として候補点データから取得する。また、探索範囲にプロセス条件である変数Pa、PbおよびPcが含まれている場合には、候補点取得部531は、変数Pa、PbおよびPcを含む複数の変数のそれぞれの選択肢データの全ての組み合わせを生成する。そして、候補点取得部531は、その組み合わせごとに、その組み合わせに該当する組成式およびプロセス条件を候補点として候補点データから取得する。あるいは、候補点取得部531は、探索範囲に関わらず、候補点データに示される全ての化合物の組成式、または、組成式およびプロセス条件を候補点として取得してもよい。
[マップの具体例]
図47は、候補点および特性実験値が重畳された画像要素マップMaの一例を示す図である。
候補点取得部531は、1つ以上の化合物のそれぞれの構成を候補点として候補点データベース510から取得する。このとき、候補点取得部531は、候補点だけでなく、その候補点である構成(すなわち組成式など)に関連付けられている管理番号も取得する。そして、候補点取得部531は、その候補点および管理番号を画像処理部534に出力する。
画像処理部534は、図47に示すように、複数の化合物のそれぞれの特性予測値を示す画像要素マップMaを生成する。そして、画像処理部534は、候補点取得部531によって取得された1つ以上の候補点と、実験値取得部232によって取得された実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値とを、その画像要素マップMaに重畳する。さらに、画像処理部534は、その1つ以上の候補点のそれぞれと共に候補点取得部531によって取得された管理番号を示す参照画像a1を、その候補点に関連付けて画像要素マップMaに重畳する。参照画像は、候補点からの吹き出しの形態を有していてもよい。そして、画像処理部534は、実験済みの1つ以上の化合物の特性実験値と、1つ以上の候補点および参照画像a1とが重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に出力する。これにより、その画像要素マップMaが、図47に示すように表示部140に表示される。
ここで、画像処理部534は、プロセス条件を表示部140に表示してもよい。例えば、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、1つの候補点を選択する。より具体的には、ユーザは、入力部110に含まれるマウスなどを用いて、所望の候補点にカーソルを合わせ、そのマウスのボタンをクリックすることによって、その候補点を選択する。その結果、表示方法取得部133は、その入力操作に応じた入力信号を入力部110から取得し、その入力信号によって示される、ユーザによって選択された候補点を画像処理部534に通知する。画像処理部534は、その通知を受けると、その選択された候補点に対応するプロセス条件を示す参照画像を表示部140に表示する。例えば、プロセス条件は、上述の参照画像a1に含めて表示されてもよい。
あるいは、画像処理部534は、ユーザの入力操作に関わらず、1つ以上の候補点のそれぞれに対して管理番号およびプロセス条件を示す参照画像を、画像要素マップMaに予め重畳しておいてもよい。
あるいは、画像処理部534は、先に、参照画像a1を含まない画像要素マップMaを表示部140に表示し、ユーザによる入力部110への入力操作が行われた後に、図47に示す画像要素マップMaを表示部140に表示してもよい。つまり、ユーザによる入力操作の後に、各候補点に対して管理番号を示す参照画像a1が画像要素マップMaに重畳され、その画像要素マップMaを含む画像が表示部140に表示される。または、ユーザによるその入力操作が1つの候補点を選択する操作である場合には、画像処理部534は、その選択された候補点のみに対して参照画像a1を画像要素マップMaに重畳し、その画像要素マップMaを含む画像を表示部140に表示してもよい。
このように、本実施の形態における特性表示装置530では、候補点取得部531は、1つ以上の候補点を候補点データベース510から取得し、画像処理部534は、その取得された1つ以上の候補点を画像要素マップMaに重畳する。なお、その候補点データベース510は、化合物の構成を示す候補点データを格納している。例えば、図46に示すように、候補点データベース510は、複数の候補点(すなわち複数の組成式)を示す候補点データを格納している。
これにより、候補点が候補点データベース510などのデータベースから取得されるため、予測値取得部132によって取得される複数の化合物のそれぞれの特性予測値に関わらずに、その候補点を画像要素マップMaに重畳することができる。したがって、予め重要とされる候補点を画像要素マップMa上に表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
[処理動作]
図48は、本実施の形態における表示システム500の処理動作を示すフローチャートである。
本実施の形態における表示システム500は、実施の形態2Bの表示システム400と同様、図42に示すステップS111、S112、S121、およびS131の処理を実行する。さらに、表示システム500は、ステップS151、S152およびS153の処理を実行する。
(ステップS151)
候補点取得部531は、候補点データベース510の候補点データから、1つ以上の候補点のそれぞれと、その候補点に関連付けられている管理番号とを取得する。そして、候補点取得部531は、その取得された1つ以上の候補点およびそれらの管理番号を画像処理部534に出力する。
(ステップS152)
画像処理部534は、予測値取得部132から、複数の化合物のそれぞれの化合物の構成および特性予測値を取得する。さらに、画像処理部534は、候補点取得部531から1つ以上の候補点およびそれらの管理番号を取得する。さらに、画像処理部534は、実験値取得部232から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。また、画像処理部534は、第3表示方法情報を表示方法取得部133から受ける。
画像処理部534は、取得された複数の化合物のそれぞれの構成および特性予測値に基づいて、画像要素マップMaを生成する。さらに、画像処理部534は、候補点取得部531から取得された1つ以上の候補点をその画像要素マップMaに重畳し、それらの候補点に対応する管理番号を示す参照画像a1を、その候補点に関連付けて画像要素マップMaに重畳する。その候補点の重畳は、第3表示方法情報にしたがって行われる。さらに、画像処理部534は、実験値取得部232から取得された1つ以上の特性実験値をその画像要素マップMaに重畳する。画像処理部534は、その1つ以上の候補点、参照画像a1および特性実験値が重畳された画像要素マップMaを含む画像を表示部140に出力する。
(ステップS153)
表示部140は、画像処理部534から画像を取得し、その画像、すなわち、1つ以上の候補点、参照画像a1および特性実験値が重畳された画像要素マップMaを表示する。
このようなステップS111、S112、S121、S131、およびS151~S153の処理が実行されることによって、化合物の特性予測値、候補点、管理番号、および特性実験値に関する特性表示が行われる。その結果、ユーザは、画像要素マップMa上における特性予測値、特性実験値および候補点の全体像を適切に認識することができ、さらに、その候補点に関する管理番号を容易に把握することができる。
(実施の形態3A)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態1および2において用いられた、複数の化合物のそれぞれの特性予測値の代わりに、それらの化合物の特性評価値をマップの形態で表示する。なお、特性評価値は、マップ上の各位置に対応する構成を有する化合物の特性に対する評価値であって、化合物の特性に関する実験の指標として扱われる。このような特性評価値は、選択される算出方法に応じた値を示す。したがって、その算出方法が、実施の形態1および2の特性予測値を取得するための算出方法に等しい場合には、本実施の形態における表示システムは、実施の形態1および2と同様、特性評価値として特性予測値をマップの形態で表示する。さらに、本実施の形態における表示システムは、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成を実験点としてそのマップに重畳する。また、本実施の形態における表示システムは、上述のマップを含む画像を第1画像として表示し、特性評価値の表示方法が変更されると、その第1画像を第2画像に変更する。
なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1および2と同一の構成要素については、実施の形態1および2と同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
[表示システム600の構成]
図49は、本実施の形態における表示システム600の構成の一例を示すブロック図である。図49に示す表示システム600は、入力部110と、評価器データベース(DB)620と、特性表示装置630と、表示部140と、評価表示データベース(DB)640と、実験データベース650とを備える。なお、特性表示装置630は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置630は、評価器データベース620および評価表示データベース640を用いて複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。そして、特性表示装置630は、取得されたそれらの特性評価値を示すマップを生成する。さらに、特性表示装置630は、1つ以上の化合物のそれぞれの実験点をそのマップに重畳して表示部140に表示する。このような特性表示装置630は、評価値取得部632と、表示方法取得部633と、実験点取得部635と、画像処理部634とを備える。なお、特性表示装置630は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置630として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。また、本実施の形態におけるマップは、画像マップMbであるが、画像要素マップMaであってもよく、複数の画像マップMbからなるマップであってもよい。
[表示方法取得部633]
表示方法取得部633は、入力部110から入力信号を取得し、その入力信号に応じて、特性評価値の表示方法に関する第1情報d10を評価表示データベース640から取得する。そして、表示方法取得部633は、その第1情報d10を評価値取得部632、実験点取得部635および画像処理部634に出力する。これにより、その第1情報d10によって示される表示方法にしたがったマップを含む画像が第1画像として表示部140に表示される。
さらに、表示方法取得部633は、入力部110からその表示方法の変更を示す入力信号を取得すると、第1情報d10を入力信号に応じて変更し、変更後の第1情報d10を評価値取得部632、実験点取得部635および画像処理部634に出力する。これにより、その変更後の第1情報d10にしたがったマップを含む画像が第2画像として表示部140に表示される。
[評価値取得部632]
評価値取得部632は、表示方法取得部633から第1情報d10を取得する。そして、評価値取得部632は、その第1情報d10によって示される探索範囲に含まれる複数の変数のそれぞれが取り得る選択肢データの全ての組み合わせを生成する。その組み合わせによって化合物の構成(例えば組成式)が表現される。したがって、それらの組み合わせに応じた複数の構成が生成される。
評価値取得部632は、評価器データベース620から1つ以上の評価器を取得し、生成された複数の構成をその1つ以上の評価器のそれぞれに入力する。その結果、評価値取得部632は、構成ごとに、その構成を有する化合物の1種類以上の特性のそれぞれに対する特性評価値を取得する。このとき、評価値取得部632は、上述の第1情報d10にしたがってそれらの特性評価値を取得する。
[実験点取得部635]
実験点取得部635は、表示方法取得部633から第1情報d10を取得する。そして、実験点取得部635は、その第1情報d10によって示される探索範囲に対応する実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成を実験データベース650から取得し、その1つ以上の化合物のそれぞれの構成を実験点として画像処理部634に出力する。なお、実験点取得部635は、その探索範囲に関わらず、実験データベース650に格納されている全ての化合物の構成をそれぞれ実験点として取得してもよい。
[画像処理部634]
画像処理部634は、評価値取得部632から、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得し、実験点取得部635から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの実験点を取得する。さらに、画像処理部634は、表示方法取得部633から第1情報d10を受ける。画像処理部634は、その第1情報d10にしたがって複数の化合物の特性評価値を示すマップを生成し、さらに、実験点取得部635によって取得された1つ以上の実験点をマップに重畳する。なお、特性評価値を示すマップの生成では、画像処理部634は、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性評価値に応じた濃淡度の色を、その化合物の構成に対応するマップ上の位置に付ける。その特性評価値に応じた濃淡度の色は、特性評価値に応じた色であってもよい。また、実験点の重畳では、画像処理部634は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の実験点に対応するマップ上の位置に、黒円形のマークを重畳する。画像処理部634は、このように1つ以上の実験点が重畳されたマップを含む画像を、第1画像または第2画像として表示部140に出力する。
[評価器データベース620]
評価器データベース620は、化合物の特性値を評価するための少なくとも1つの評価器を格納している記録媒体である。この記録媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
評価器は、例えば機械学習などによって構築された所定の計算アルゴリズムに基づくコンピュータプログラムである。この評価器は、評価値取得部632からの構成(すなわち複数の変数の組み合わせ)の入力に対して、その構成を有する化合物の特性値の評価値を、特性評価値として出力する。なお、その構成は、探索範囲に含まれる複数の変数のそれぞれが取り得る選択肢データの組み合わせによって表現される。
特性評価値は、実験の指標であり、一例として、Least Absolute Shrinkage and Selection Operator(LASSO)回帰、Random Forest回帰などの機械学習モデルによって得られる特性の予測値である。なお、その予測値は、実施の形態1および2の特性予測値に相当する。また、特性評価値は、ベイズ最適化における獲得関数の出力値であってもよい。獲得関数は、次の実験候補(すなわち、次の実験に用いられる化合物の構成の候補、または実施の形態2の候補化合物)を決定するための関数である。一例として、その獲得関数には、GaussianProcess回帰による予測値の平均値と予測値の分散値を利用した、Expected Improvement(EI)、Probability of Improvement(PI)、Upper Confidence Bound(UCB)などがある。
また、1つの評価器は、電気化学的特性、熱化学的特性などの様々な化合物の特性に対する特性評価値を出力してもよい。また、評価器データベース620は複数の評価器を格納し、これらの複数の評価器は、評価対象の特性に応じて使い分けられてもよい。例えば、評価器データベース620は、電気化学的特性に対する特性評価値を出力する評価器Aと、熱化学的特性に対する特性評価値を出力する評価器Bとを格納している。この場合、評価値取得部632は、評価対象の特性が例えば電気化学的特性である場合には、評価器Aを取得し、その評価器Aを用いて、複数の化合物のそれぞれの電気化学的特性に対する特性評価値を取得する。または、評価値取得部632は、評価対象の特性が例えば熱化学的特性である場合には、評価器Bを取得し、その評価器Bを用いて、複数の化合物のそれぞれの熱化学的特性に対する特性評価値を取得する。これにより、各評価器の計算アルゴリズムの複雑化を抑制でき、各特性における評価精度と処理速度との向上を図ることができる。なお、本開示では、上述の例に限定されることなく、評価器は、複数の変数の組み合わせによって表現される構成を有する化合物に対して、特性評価値を出力することができれば、どのような形式であってもよい。このような特性値の評価は、化合物の特性値の探索とも言える。
[評価表示データベース640]
評価表示データベース640は、特性評価値の表示方法に関する情報を格納している記録媒体である。この記録媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
図50は、評価表示データベース640に格納されている情報の一例を示す図である。
評価表示データベース640は、図50に示すように、特性評価値の表示方法に関する情報である第1情報d10を格納している。この第1情報d10は、第1色彩情報d11、算出方法情報d12、マップ配列情報d13、探索範囲情報d14、第1表示対象情報d15、および表示範囲情報d16を含む。
第1色彩情報d11は、マップに示される特性評価値の色相、彩度、明度のうちの少なくとも1つを色属性として示す。
算出方法情報d12は、特性評価値の算出方法に関する情報、すなわち、特性評価値を算出するために評価器に対して適用される情報である。算出方法情報d12は、例えば、特性評価値の算出に用いられる評価器の種別、具体的には機械学習モデルの種別を示す情報であってもよく、その評価器に用いられるパラメータであってもよい。例えば、評価器がニューラルネットワークである場合には、パラメータは、そのニューラルネットワークに用いられる重みまたはバイアスなどであってもよい。
マップ配列情報d13は、画像処理部634によって生成されるマップの形態を示す情報である。例えば、画像処理部634によって生成されるマップが、図11に示す画像マップMbのように、変数x、yを示す座標軸A1、A2を有する画像要素マップMaを複数含んでいる場合、マップ配列情報d13は、それらの画像要素マップMaの配列方法などを示す。
探索範囲情報d14は、特性評価値の算出に用いられる探索範囲を示す。第1表示対象情報d15は、特性評価値に関する表示対象の特性を示す。表示範囲情報d16は、特性評価値の表示範囲を示す。なお、第1情報d10に含まれる上述の各情報の詳細については、後述する。
[実験データベース650]
図51は、実験データベース650に格納されている各データの一例を示す図である。
実験データベース650は、図51に示すように、化合物基本データ651と1つ以上の化合物詳細データ652とをそれぞれ実験データとして格納している記録媒体である。この記録媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。化合物基本データ651は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの基本的な情報を示す。1つ以上の化合物詳細データ652のそれぞれは、その化合物の詳細な情報を示す。
図52は、化合物基本データ651の一例を示す図である。
化合物基本データ651は、1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の化合物識別情報であるIDと、その化合物の組成式と、その化合物のプロセス条件と、その化合物の1つ以上の特性と、その化合物の結晶相とを示す。図52に示す化合物基本データ651は、例えば、実験済みの化合物のID「000001-00001-001」と、その化合物の組成式「Li1.45La0.045Ti1.1Al0.005O3」と、プロセス条件「焼成温度:400℃、焼成時間:3時間」と、その化合物の特性「特性1:2.349eV、特性2:213℃」と、その化合物の結晶相「cubic-perovskite」とを示す。なお、その化合物の組成式およびプロセス条件を含む構成は、変数(M3,M3’,M4,M4’,a,b,Temp,Time,x,y)=(La,Al,Ti,Zr, 0.05, 0.1, 400, 3, 0.1, 0)によって定義されている。
化合物識別情報であるIDは、化合物の名前、符号、或いは数字列などであって、化合物が識別可能な情報であればよい。図52におけるID:000001-00001-001は、3階層の数字(000001、00001、001)で構成されている。例えば、化合物に含まれる元素Zrと元素Tiの組成範囲の異なる5つの化合物の構成に対して、第1階層の番号「000001」~「000005」が割り当てられるように、IDが登録されている。
化合物の上述の特性1は、例えばバンドギャップであり、上述の特性2は、耐熱温度である。特性1および特性2と、結晶相とは、それぞれ特性実験値として扱われる。なお、図52に示す例では、バンドギャップ、耐熱温度、および結晶相がそれぞれと特性実験値として扱われるが、これに限定されることなく、化合物に応じた任意の特性が特性実験値として扱われてもよい。例えば、電池材料に用いられる化合物に対しては、電気伝導度が特性実験値として扱われてもよく、熱電変換材料に用いられる化合物に対しては、熱電変換性能指数が特性実験値として扱われてもよい。
図53は、化合物詳細データ652の一例を示す図である。
化合物詳細データ652は、実験済みの化合物の化合物識別情報であるIDと、その化合物の付随情報とを含む。付随情報は、いわゆるメタデータであり、一例として、化合物の実験を行った研究者または実験者の氏名と、その付随情報の登録日と、その実験が行われたときの気温および湿度と、プロセス情報と、計測データとを含む。
プロセス情報は、化合物の合成または生成に用いられた原材料と、化合物の実組成とを示す。なお、実組成は、例えばLi1.451La0.0450Ti1.102Al0.005O3.01のように、厳密な組成比を示す組成式、あるいは、組成比として小数点以下3桁または4桁までの数値を示す組成式である。また、プロセス情報は、化合物の実験手順、坩堝の形状およびサイズ、実験に用いられた装置の種類、その装置の製造番号などを示してもよい。
計測データは、特性実験値を導出するために計測器によって得られたデータであり、例えば、電気抵抗率(electrical resistance)、示差走査熱量(DSC:Differential scanning calorimetry)、X線回折(XRD:X‐ray diffraction)などを示す。なお、計測データは、これらに限定されるものではなく、化合物に応じた任意のデータを示してもよい。
なお、本実施の形態における実験データベース650は、化合物基本データ651と化合物詳細データ652とを格納しているが、化合物基本データ651を最低限格納していればよい。本実施の形態では、化合物詳細データ652が実験データベース650に格納されていることによって、材料開発をより適切に支援することができる。例えば、化合物詳細データ652が、研究者または実験者の氏名、登録日、気温および湿度などを示している場合、実験データの信憑性を向上することができる。また、化合物詳細データ652がプロセス情報を示している場合、より具体的な材料特性の探索および実験データの価値向上が期待される。また、化合物詳細データ652が計測データを示している場合、特性実験値の生データを容易に把握することができる。
[マップの具体例]
図54および図55は、本実施の形態におけるマップの一例を示す図である。なお、図56は、図55のマップの凡例などを示す。つまり、図55の[A]~[R]は、図56に示されるA~Rに対応付けられている組成式である。
図54および図55では、4つのカテゴリ変数(M3,M3’,M4,M4’)のそれぞれの選択肢データの組み合わせごとに、画像マップMbが示されている。この画像マップMbは、4つの変数(x,y,a,b)のそれぞれの選択肢データの組み合わせごとに、その組み合わせによって表現される構成を有する化合物の特性評価値を示すマップである。そして、画像マップMbは、複数の画像要素マップMaの配列(またはマトリクス)からなる。画像要素マップMaの2つの座標軸には連続変数x、yが割り当てられ、画像要素マップMaの配列(すなわち画像マップMb)の2つの座標軸には離散変数a、bが割り当てられている。なお、変数の割り当て方法はこれに限定されない。探索範囲に含まれる全ての選択肢データの組み合わせのそれぞれに対して取得された特性評価値は、そのまま表示されてもよい。また、探索範囲に含まれる全ての組み合わせ以外の組み合わせに対しては、特性評価値の補間が行われてもよい。このような特性評価値は、特性予測値と同様、色または色の濃淡度によって示される。
ここで、図54は、4つのカテゴリ変数の2通りの組み合わせのそれぞれに対応する画像マップMbを示し、図55は、4つのカテゴリ変数の18通りの組み合わせのそれぞれに対応する画像マップMbを示す。本開示のマップに含まれる画像要素マップMaの数は、2つの離散変数a、bのそれぞれの選択肢データの組み合わせの数と、4つのカテゴリ変数(すなわち元素)のそれぞれの選択肢データの組み合わせの数とによって決まる。すなわち、探索範囲情報d14に示される探索範囲が広いほど、画像要素マップMaの数は増える。そのため、視覚的に理解しやすくするための表示の工夫をすることがユーザにとって重要となる。
表示の一例として、ユーザが組成式「Li2-3a-4b(M31-xM3’x)a(M41-yM4’y)1+bO3」およびプロセス条件「焼成方法Pa、焼成時間Pb、焼成温度Pc」で表現される化合物の構成について特性評価値を探索する場合について、図54および図55を用いて説明する。
画像処理部634は、評価表示データベース640から表示方法取得部633を介して、第1情報d10を取得し、その第1情報d10に含まれるマップ配列情報d13に示されるマップの形態にしたがってマップを生成する。具体的には、まず、画像処理部634は、連続変数x、yと離散変数a、bとプロセス変数Pa、Pb、Pcとから、4つの変数a、b、x、yを選択する。これは、画像マップMbの2つの座標軸と、その画像マップMbに含まれる画像要素マップMaの2つの座標軸とを合わせた4つの座標軸に、4つの変数を割り当てる必要があるからである。
次に、画像処理部634は、画像要素マップMaの2つの座標軸に連続変数x、yを割り当てる。なお、実施の形態1と同様、連続変数x、yはそれぞれ、最小値0.0から最大値1.0までステップ幅0.1で示される11個の選択肢データのうちの1つを取り得る。つまり、連続変数x、yのそれぞれに対して取り得る選択肢データは、11通りである。そのため、画像要素マップMaは、正方形である。なお、実施の形態1と同様、画像要素マップMaの形状は、画像要素マップMaの座標軸の割り当て方法に依存し、三角形であっても、その他の図形であってもよい。
そして、画像処理部634は、画像要素マップMaの配列の2つの座標軸に離散変数a、bを割り当てる。離散変数aが有する選択肢データは、0.0、 0.05、 0.1、 0.15、 0.2の5通りであり、離散変数bが有する選択肢データは、0.0、 0.1、 0.2、 0.3の4通りである。よって、図54におけるカテゴリ変数の組み合わせ1つあたりの画像要素マップMaは5×4=20個となる。
さらに、カテゴリ変数では、元素La、Al、Ga、Inのうち、変数M3、M3’のそれぞれに選択される元素である選択肢データの組み合わせが6通りあり、元素Ti、Zr、Hfのうち、変数M4、M4’のそれぞれに選択される元素である選択肢データの組み合わせが3通りある。その結果、図55では、カテゴリ変数の組み合わせに対応する画像マップMb、すなわち20個の画像要素マップMaからなる画像マップMbが、横方向に6つ、縦方向に3つ、合計18個(画像要素マップは、20個×18個=合計360個)表示されている。画像処理部634は、図55に示すように、18個の画像マップMbからなるマップを生成してもよく、図54に示すように、その18個の画像マップMbのうちの2つの画像マップMbを含むマップを生成してもよい。また、画像処理部634は、1つの画像マップMbをマップとして生成してもよく、1つの画像要素マップMaをマップとして生成してもよい。すなわち、本実施の形態におけるマップは、1個以上の画像マップMbの集合であってもよく、1個以上の画像要素マップMaの集合であってもよい。
評価値取得部632は、評価表示データベース640から表示方法取得部633を介して、第1情報d10を取得し、その第1情報d10に含まれる探索範囲情報d14に示される探索範囲に基づいて特性評価値を算出する。評価値取得部632は、変数x、y、a、b、Pa、Pb、Pcのそれぞれの選択肢データの全ての組み合わせに対して、特性評価値を取得する。また、評価値取得部632は、特性評価値を取得するときには、その第1情報d10に含まれる算出方法情報d12および第1表示対象情報d15を用いる。つまり、評価値取得部632は、算出方法情報d12に示される特性評価値の算出方法と、第1表示対象情報d15に示される表示対象の特性とにしたがって、評価器データベース620から1つ以上の評価器を取得し、それらの評価器を用いて特性評価値を取得する。例えば、表示対象の特性は、バンドギャップであるが、これに限定されるものではない。
ここで、探索範囲に含まれる複数の変数には、マップの座標軸に用いられる変数である可視化変数と、マップの座標軸に用いられない非可視化変数とが含まれる。例えば、可視化変数が変数x、y、a、bである場合、非可視化変数は変数Pa、Pb、Pcである。非可視化変数Pa、Pb、Pcのそれぞれの選択肢データの1つの組み合わせに対して、図55に示す18個の画像マップMbが生成される。なお、非可視化変数は、マップの座標軸に用いられない変数であるため、非活用変数とも呼ばれる。
したがって、画像処理部634は、その非可視化変数Pa、Pb、Pcのそれぞれの選択肢データの1つの組み合わせを決定し、その決定された選択肢データの組み合わせに対応する特性評価値を示すマップを生成する。図12に示すように、非可視化変数である変数Paには、「固相反応法」、「ボールミル」の2通りの選択肢データがあり、変数Pbには、1、3、5の3通りの選択肢データがあり、変数Pcには、100、110、120、130、140、150、160の7通りの選択肢データがある。したがって、画像処理部634は、変数Pa、Pb、Pcのそれぞれの選択肢データの2×3×7=42通りの組み合わせの中から、1つの組み合わせを決定する。例えば、画像処理部634は、変数Paの選択肢データとして「固相反応法」を決定し、変数Pb、Pcのそれぞれの選択肢データとして最小値を決定してもよい。つまり、画像処理部634は、非可視化変数(Pa、Pb,Pc)=(固相反応法、1,100)を決定する。または、画像処理部634は、入力部110から表示方法取得部633を介して入力信号を取得し、その入力信号に応じた組み合わせを決定してもよい。
なお、上述の例では、評価値取得部632が、上記複数の変数の全ての組み合わせに対する特性評価値を取得し、画像処理部634が、それらの特性評価値からマップに示される特性評価値を決定する。しかし、評価値取得部632が、マップに示される特性評価値のみを取得し、画像処理部634は、評価値取得部632によって取得された全ての特性評価値をマップに示してもよい。
また、画像処理部634は、マップの生成には、第1情報d10に含まれる第1色彩情報d11および表示範囲情報d16を用いる。例えば、画像処理部634は、表示範囲情報d16にしたがって設定された、その特性評価値に応じた濃淡度の色であって、かつ、第1色彩情報d11によって示される色相などの色を、その特性評価値を有する化合物の構成に対応するマップ上の位置に付ける。また、画像処理部634は、視覚的に理解しやすい表示方法の更なる工夫として、マップの上部に化合物のデータ表現を表示したり、特性評価値と色または色の濃淡度との関係を示すスケールを表示したり、範囲変数の値を表示してもよい。
また、図54および図55に示すように、実験点取得部635は、実験データベース650から1つ以上の実験点を取得する。そして、実験点取得部635は、第1情報d10に含まれる第1表示対象情報d15が表示対象の特性として特性1を示している場合には、その実験データの化合物基本データ651において特性1に関連付けられている化合物の構成を、その化合物基本データ651から抽出する。なお、特性1は、例えばバンドギャップである。
次に、画像処理部634は、実験点取得部635によって取得された1つ以上の実験点のそれぞれについて、その実験点である化合物の構成に対応するマップ上の位置を決定し、その位置に実験点として黒円形のマークを重畳する。なお、そのマークの重畳は、実験点の重畳とも呼ばれる。また、本実施の形態では、実験点は特性1についての実験点であって、化合物基本データ651において特性1が登録されている化合物の構成が実験点として抽出されているが、これに限定されるものではない。
このように、本実施の形態における特性表示装置630は、図54または図55に示す画像マップMbなどのマップを第1情報d10にしたがって生成する。そして、特性表示装置630は、そのマップを含む画像を第1画像として表示部140に表示する。ここで、本実施の形態では、表示方法取得部633は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じて第1情報d10を変更する。これにより、特性表示装置630は、その変更された第1情報d10にしたがってマップを変更する。その結果、特性表示装置630は、第1画像を、変更後のマップを含む第2画像に変更し、その第2画像を表示部140に表示する。
以下、第1画像から第2画像に変更される具体的な例について、詳細に説明する。
[画像の変更の具体例1]
図57Aおよび図57Bは、算出方法情報d12の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図57Aは、第1情報d10に含まれる算出方法情報d12と、その算出方法情報d12にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図57Bは、変更後の算出方法情報d12と、その変更後の算出方法情報d12にしたがって表示部140に表示される第2画像の一例を示す。
例えば、表示方法取得部633は、図57Aの(b)に示す算出方法情報d12を評価表示データベース640から取得する。算出方法情報d12は、機械学習モデルと、ベイズ最適化(獲得関数)と、表示とをそれぞれ設定項目として示す。これらの設定項目は選択肢としても扱われる。機械学習モデルの設定項目は、機械学習モデルの複数の種別と、それらの種別の機械学習モデルに対する複数の設定パラメータとをそれぞれ選択肢として示す。
例えば、図57Aおよび図57Bでは、機械学習モデルの複数の種別は、LASSO(least absolute shrinkage and selection operator)回帰、Support Vector回帰、Gradient Boosting回帰、およびGaussian Process回帰である。これらの種別のそれぞれが機械学習モデルの種別の選択肢である。さらに、LASSO回帰に対する複数の設定パラメータは、それぞれalphaの数値であって、0.01、0.1、0、1、および10である。これらの数値のそれぞれが設定パラメータの選択肢である。
また、機械学習モデルの設定項目には、グリッドサーチが選択肢として含まれている。グリッドサーチでは、機械学習モデルおよび設定パラメータが最適化される。
ベイズ最適化(獲得関数)の設定項目は、例えば、EI(Expected Improvement)と、PI(Probability of Improvement)と、UCB(Upper Confidence Bound)とをそれぞれ選択肢として示す。なお、UCBが選択された場合、その分散係数の値は、浮動小数点型で記憶および管理される。
表示の設定項目は、例えば、予測平均と、予測分散と、「予測平均+予測分散」とをそれぞれ選択肢として示す。これらの選択肢は、特性評価値の種別である。なお、「予測平均+予測分散」が選択された場合、その分散係数の値は、浮動小数点型で記憶および管理される。
図57Aの(b)の例では、機械学習モデルの設定項目が選択され、さらに、Gradient Boosting回帰が選択されている。さらに、そのGradient Boosting回帰における第1設定パラメータ「n_estimators」に対して「100」が選択され、第2設定パラメータ「max_depth」に対して「3」が選択され、第3設定パラメータ「max_features」に対して「0.5」が選択されている。また、ベイズ最適化は選択されておらず、表示の設定項目では予測平均が選択されている。
評価値取得部632は、このような算出方法情報d12を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その算出方法情報d12にしたがって、評価器データベース620から1つ以上の評価器を取得し、その1つ以上の評価器を用いて複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。ここで取得される特性評価値は、例えば、実施の形態1および2の特性予測値に相当する。画像処理部634は、図57Aの(a)に示すように、このように取得された各化合物の特性評価値を示す画像マップMbを生成する。さらに、画像処理部634は、1つ以上の実験点を実験点取得部635から取得し、その1つ以上の実験点を画像マップMbに重畳する。画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳された画像マップMbを含む第1画像を生成して表示部140に表示する。
図57Aの(a)に示す第1画像では、画像マップMbに含まれる変数(a,b)=(0.0, 0.2)に対応する画像要素マップMa1の特性評価値(すなわち、予測平均)が、他の画像要素マップMaよりも大きい。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、第1情報d10の算出方法情報d12を変更する。つまり、表示方法取得部633は、その算出方法情報d12の変更を示す入力信号を入力部110から取得すると、その入力信号に応じて算出方法情報d12を、図57Bの(b)に示すように変更する。
図57Bの(b)の例では、機械学習モデルの設定項目が選択され、さらに、Gaussian Process回帰が選択されている。さらに、そのGaussian Process回帰における設定パラメータ「kernel」に対して「rbf」が選択されている。また、ベイズ最適化の設定項目が選択され、さらに、UCBが選択されている。なお、UCBにおける分散係数は2.0である。また、表示の設定項目では、「予測平均+予測分散」が選択されている。このように、算出方法情報d12は、図57Aの(b)に示す状態から、図57Bの(b)に示す状態に変更される。
評価値取得部632は、このように変更された算出方法情報d12を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その算出方法情報d12にしたがって、評価器データベース620から1つ以上の評価器を取得し、その1つ以上の評価器を用いて複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。画像処理部634は、図57Bの(a)に示すように、このように取得された各化合物の特性評価値を示す画像マップMbを生成する。そして、画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳されたその画像マップMbを含む第2画像を生成して表示部140に表示する。これにより、第1画像が第2画像に変更される。
図57Bの(a)に示す第2画像では、画像マップMbに含まれる変数(a,b)=(0.0, 0.0)に対応する画像要素マップMa2の特性評価値(すなわち、予測平均+予測分散)が、他の画像要素マップMaよりも大きい。予測分散は、特性の予測値の不確実さを表す指標であり、画像マップMbにおける特性実験値が得られていない領域では予測値の分散が大きい。言い換えれば、画像要素マップMa2には実験点がないため、その画像要素マップMa2の特性評価値(予測平均+予測分散)が大きくなっている。
このように、算出方法情報d12の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第2画像に動的に変化する。これにより、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。例えば、材料開発の初期段階では、分散が考慮された「予測平均+予測分散」を特性評価値として表示部140に表示させ、材料開発の終期段階では、予測平均のみを特性評価値として表示部140に表示させることができる。
このように、本実施の形態における特性表示装置630は、表示方法取得部633と、評価値取得部632と、画像処理部634とを備える。表示方法取得部633は、複数の化合物を比較するための比較指標として特性評価値を表示させるための第1情報d10を取得する。評価値取得部632および画像処理部634は、第1情報d10に基づいて、その複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得し、その複数の化合物のそれぞれの構成に対応する位置に、その化合物の特性評価値を示す画像マップMbを生成する。そして、画像処理部634は、その画像マップMbを含む第1画像を生成して表示部140に出力する。さらに、画像処理部634は、第1情報d10が変更されると、変更された第1情報d10にしたがって画像マップMbを変更し、変更された画像マップMbを含む第2画像を生成して表示部140に出力する。例えば、上述の第1画像および第2画像は表示部140に出力されて表示される。
これにより、第1情報d10が変更されると、その変更内容に応じた画像マップMbが第2画像に含まれて表示されるため、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、第1情報d10は、化合物の構成を表現するために用いられる複数の変数と、その複数の変数のそれぞれについて、その変数がとり得る値または元素を示す複数の選択肢データとを示す探索範囲情報d14を含む。評価値取得部632は、その複数の変数のそれぞれに対して複数の選択肢データから1つの選択肢データを選択することによって得られる選択肢データの組み合わせごとに、その組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性評価値を取得する。
これにより、化合物の構成が、複数の変数のそれぞれの選択肢データの組み合わせによって表現されるため、その構成を明確に定義することができ、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を適切に取得することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、第1情報d10は、特性評価値の算出方法を示す算出方法情報d12を含む。評価値取得部632は、上述の選択肢データの組み合わせごとに、その組み合わせに対応する構成を有する化合物の特性評価値を、算出方法情報d12によって示される算出方法にしたがった所定のアルゴリズムを用いて算出する。表示方法取得部633では、算出方法情報d12によって示される算出方法が変更される。
これにより、算出方法情報d12が変更されると、その変更内容に応じた画像マップMbが第2画像に含まれて表示されるため、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な算出方法の視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、評価値取得部632は、その算出方法にしたがった所定のアルゴリズムを用いることによって、上述の選択肢データの組み合わせごとに、その組み合わせに対応する構成を有する化合物に対して予測される特性の値の予測分布を算出し、その予測分布に基づいてその化合物の特性評価値を算出する。例えば、予測分布は、Gaussian Process回帰によって得られ、特性評価値は、ベイズ最適化の獲得関数によって得られる。
これにより、予測分布に基づく特性評価値が算出されるため、予測平均に予測分散を含めた特性評価値を取得することができる。その結果、ユーザは、複数の化合物のそれぞれについて、予測分散も反映された特性評価値を容易に確認することができ、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、第1情報d10は、色相、彩度および明度のうちの少なくとも1つを特性評価値の色属性として示す第1色彩情報d11を含む。画像処理部634は、その複数の化合物のそれぞれの特性評価値を、第1色彩情報d11によって示される色属性を有する色で示す画像マップMbを生成する。図57Aおよび図57Bの画像マップMbは、その第1色彩情報d11にしたがって生成されている。表示方法取得部633では、その第1色彩情報d11によって示されるその色属性が変更される。例えば、表示方法取得部633は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じてその色属性を変更する。
これにより、画像マップMbに示される特性評価値の色は、変更された色属性を有する色に変更される。したがって、画像マップMbに示される特性評価値の色属性を任意に変更することができ、ユーザの見やすい画像マップMbを第2画像に含めて表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
[画像の変更の具体例2]
図58Aおよび図58Bは、探索範囲情報d14の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図58Aは、第1情報d10に含まれる探索範囲情報d14の一部と、その探索範囲情報d14にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図58Bは、変更後の探索範囲情報d14の一部と、その変更後の探索範囲情報d14にしたがって表示部140に表示される第2画像の一例を示す。
例えば、表示方法取得部633は、図58Aの(b)に示す非可視化変数の設定情報を含む探索範囲情報d14を評価表示データベース640から取得する。非可視化変数の設定情報は、非可視化変数の探索範囲を示す情報である。非可視化変数は、図12に示すプロセス変数であって、具体的には、焼成方法を示す変数Pa、焼成時間を示す変数Pb、および焼成温度を示す変数Pcなどである。図58Aおよび図58Bの例では、非可視化変数の設定情報は、それらの変数のうちの、焼成時間(すなわち変数Pb)および焼成温度(すなわち変数Pc)のそれぞれに対して選択された選択肢データを示す。本実施の形態では、焼成温度の変数Pcに対する複数の選択肢データには、300℃、400℃、500℃、および600℃があり、焼成時間の変数Pbに対する複数の選択肢データには、1時間、3時間、および5時間がある。そして、図58Aの例では、非可視化変数の設定情報は、焼成温度の変数Pcに対して選択された選択肢データとして、最小(すなわち300℃)を示し、焼成時間の変数Pbに対して選択された選択肢データとして、最小(すなわち1時間)を示している。
なお、図58Aおよび図58Bにおいて、焼成温度の変数Pcに対する最大は、4つの選択肢データ(300℃、400℃、500℃、および600℃)のうちの最大の温度、すなわち600℃であり、平均は、それらの4つの選択肢データの平均温度、すなわち450℃である。また、焼成温度の変数Pcに対する最良は、その4つの選択肢データのうちの例えば最も大きい特性評価値が得られる温度であり、ユーザ定義は、それらの選択肢データからユーザによって指定される温度である。
同様に、焼成時間の変数Pbに対する最大は、3つの選択肢データ(1時間、3時間、および5時間)のうちの最大の時間、すなわち5時間であり、平均は、それらの3つの選択肢データの平均時間、すなわち3時間である。また、焼成時間の変数Pbに対する最良は、その3つの選択肢データのうちの例えば最も大きい特性評価値が得られる時間であり、ユーザ定義は、それらの選択肢データからユーザによって指定される時間である。
評価値取得部632は、このような非可視化変数の設定情報を含む探索範囲情報d14を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その非可視化変数の設定情報に応じた特性評価値を取得する。つまり、評価値取得部632は、複数の化合物のうち、変数(Pb,Pc)=(1,300)を用いて表現される構成を有する各化合物に対する特性評価値を、1つ以上の評価器を用いて取得する。画像処理部634は、図58Aの(a)に示すように、このように取得された各化合物の特性評価値を示す画像マップMbを生成する。つまり、画像マップMbに示される各特性評価値を有する化合物は、変数(Pb,Pc)=(1,300)を用いて焼成された化合物であって、それらの変数の選択肢データは画像マップMbに対して固定されている。さらに、画像処理部634は、1つ以上の実験点をその画像マップMbに重畳する。画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳された画像マップMbを含む第1画像を生成して表示部140に表示する。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、第1情報d10の探索範囲情報d14に含まれる非可視化変数の設定情報を変更する。つまり、表示方法取得部633は、その非可視化変数の設定情報の変更を示す入力信号を入力部110から取得すると、その入力信号に応じて非可視化変数の設定情報を、図58Bの(b)に示すように変更する。
図58Bの(b)の例では、焼成温度について、ユーザ定義(500℃)が選択され、焼成時間については、最小(1時間)が選択されている。つまり、変数Pb、Pcのそれぞれの選択肢データが、(Pb,Pc)=(1,300)から(Pb,Pc)=(1,500)のように変更される。
評価値取得部632は、このように変更された非可視化変数の設定情報を含む探索範囲情報d14を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その変更された非可視化変数の設定情報に応じた特性評価値を取得する。つまり、評価値取得部632は、複数の化合物のうち、変数(Pb,Pc)=(1,500)を用いて表現される構成を有する各化合物に対する特性評価値を、1つ以上の評価器を用いて取得する。画像処理部634は、図58Bの(a)に示すように、このように取得された各化合物の特性評価値を示す画像マップMbを生成する。つまり、画像マップMbに示される各特性評価値を有する化合物は、変数(Pb,Pc)=(1,500)を用いて焼成された化合物であって、それらの変数の選択肢データは画像マップMbに対して固定されている。そして、画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳されたその画像マップMbを含む第2画像を生成して表示部140に表示する。
図58Bの(a)に示す画像マップMbでは、図58Aの(a)に示す画像マップMbよりも特性評価値が向上している領域(すなわち画像要素マップMa)が多い。したがって、ユーザは、焼成温度を300℃から500℃に変更して実験することが有効であると判断することができる。
このように、探索範囲情報d14に含まれる非可視化変数の設定情報の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第2画像に動的に変化する。これにより、ユーザは、画像マップMb上の位置の指定に用いられない変数である非可視化変数の影響を容易に確認でき、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
なお、非可視化変数の設定情報における焼成温度および焼成時間に対して、最良が選択された場合には、例えば、評価値取得部632は、変数Pb、Pcのそれぞれの選択肢データの全ての組み合わせに対して特性評価値を取得する。そして、評価値取得部632は、最大の特性評価値に対応する焼成温度および焼成時間を特定する。この場合には、ユーザは、非可視化変数の変更による特性評価値向上の可能性の有無を容易に確認することができる。
また、非可視化変数の設定情報における焼成温度および焼成時間に対して、平均が選択された場合には、例えば、評価値取得部632は、焼成温度の複数の選択肢データの平均と、焼成時間の複数の選択肢データの平均とに対応する特性評価値を取得する。この場合には、非可視化変数の変化に対して特性評価値が頑強な化合物の構成、すなわち量産時における材料特性の安定性向上が期待できる化合物の構成を議論しやすくなる。
このように、本実施の形態における特性表示装置630では、表示方法取得部633では、探索範囲情報d14によって示される、上述の複数の変数のうちの少なくとも1つの変数のそれぞれが取り得る複数の選択肢データが変更される。
これにより、選択肢データが変更されると、その変更内容に応じた画像マップMbが第2画像に含まれて表示されるため、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な選択肢データの視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
なお、非可視化変数の最大値および最小値を示す数値範囲データは、表示システム600が有するデータベースに予め保存されていてもよい。例えば、数値範囲データは、評価表示データベース640に保存されている探索範囲情報d14に予め含まれていてもよい。あるいは、材料の合成を行う合成装置、または材料の計測を行う計測装置である外部装置に、その数値範囲データが保存されている場合には、特性表示装置630は、その数値範囲データを外部装置から取得してもよい。例えば、特性表示装置630は、外部装置と接続され、その外部装置と通信することによって、外部装置から数値範囲データを取得する。これにより、例えば、図58Aおよび図58Bに示す焼成温度または焼成時間である非可視化変数に対して、ユーザが最小を選択した場合には、特性表示装置630は、数値範囲データに示される最小値を自動的に非可視化変数に代入または設定することができる。同様に、焼成温度または焼成時間である非可視化変数に対して、ユーザが最大を選択した場合には、特性表示装置630は、数値範囲データに示される最小値を自動的に非可視化変数に代入または設定することができる。これにより、外部装置などに依存して自動的に、その最大値または最小値をユーザに提示することができる。
[画像の変更の具体例3]
図59Aおよび図59Bは、第1表示対象情報d15の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図59Aは、第1情報d10に含まれる第1表示対象情報d15と、その第1表示対象情報d15にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図59Bは、変更後の第1表示対象情報d15と、その変更後の第1表示対象情報d15にしたがって表示部140に表示される第2画像の一例を示す図である。
例えば、表示方法取得部633は、図59Aの(b)に示す第1表示対象情報d15を評価表示データベース640から取得する。第1表示対象情報d15は、特性1、特性2、結晶相、および重畳を、それぞれ選択肢として示す。特性1は、例えばバンドギャップであり、特性2は、例えば耐熱温度である。ここで、その第1表示対象情報d15では、特性1が選択されている。
評価値取得部632は、このような第1表示対象情報d15を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その第1表示対象情報d15に応じた特性評価値を取得する。つまり、評価値取得部632は、複数の化合物のそれぞれの特性1に対する特性評価値を取得する。画像処理部634は、このように取得された特性1に対する特性評価値を示す画像マップMbを生成し、1つ以上の実験点をその画像マップMbに重畳する。
例えば、画像処理部634は、図59Aの(a)に示すように、1つ以上の実験点が重畳された画像マップMbを含む第1画像を表示部140に表示する。第1画像では、画像マップMbに含まれる変数(a,b)=(0.0, 0.0)に対応する画像要素マップMa3の特性評価値が、他の画像要素マップMaよりも大きい。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、第1情報d10の第1表示対象情報d15を変更する。つまり、表示方法取得部633は、その第1表示対象情報d15の変更を示す入力信号を入力部110から取得すると、その入力信号に応じて第1表示対象情報d15を、図59Bの(b)に示すように変更する。
図59Bの(b)の例では、第1表示対象情報d15において、特性1だけでなく、重畳も選択され、さらに、重畳に関する特性として特性2が選択されている。さらに、その特性2について、閾値があることが選択され、その閾値について、200以上が設定されている。
評価値取得部632は、このように変更された第1表示対象情報d15を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その第1表示対象情報d15に応じた特性評価値を取得する。つまり、複数の化合物のそれぞれの特性1に対する特性評価値は上述のように既に取得されているため、評価値取得部632は、複数の化合物のそれぞれの特性2に対する特性評価値を取得する。画像処理部634は、図59Bの(a)に示すように、複数の化合物のそれぞれに対して取得された特性1に対する特性評価値と、特性2に対する特性評価値とを示す画像マップMbを生成する。
このとき、画像処理部634は、第1表示対象情報d15において、重畳が選択され、その重畳に関する特性として特性2が選択されているため、図59Aの(a)に示す画像マップMbに対して、特性2の特性評価値を重畳する。より具体的には、第1表示対象情報d15において、特性2について、閾値があることが選択され、その閾値について、200以上が設定されている。したがって、画像処理部634は、上述の画像マップMbにおける特性2の特性評価値が200未満の領域をハッチングする。例えば、その領域は、ストライプのハッチングによって覆われる。
そして、画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳されたその画像マップMbを含む第2画像を生成して表示部140に表示する。これにより、第1画像が第2画像に変更される。
図59Bの(a)に示す第2画像では、画像マップMbのうち、特性2の特性評価値が200以上であって、かつ、特性1の特性評価値が最も大きい画像要素マップMaは、変数(a,b)=(0.1, 0.0)に対応する画像要素マップMa4である。
これにより、ユーザは、画像マップMbにおいて、特性1の特性評価値が大きく、かつ、特性2の特性評価値が閾値以上である領域を容易に確認することができる。なお、特性表示装置630は、複数の特性評価値を重畳せずに、それらの特性評価値を重み付け加算することによって新たな特性評価値を算出してもよい。例えば、評価値取得部632は、入力部110から表示方法取得部633を介して重みパラメータp(0<p<1)を取得し、特性評価値=(1-p)×(特性1の特性評価値)+p×(特性2の特性評価値)によって、新たな特性評価値を算出する。このような新たな特性評価値は、ユーザによる入力部110への入力操作によって定義される。この場合には、表示対象の特性評価値が1種類となるため、視覚的な理解が容易となる。
このように、第1表示対象情報d15の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第2画像に動的に変化する。これにより、ユーザは、複数の要求特性を満足する材料開発が容易となり、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
つまり、本実施の形態における特性表示装置630では、第1情報d10は、1つ以上の特性の種別を示す第1表示対象情報d15を含む。評価値取得部632は、複数の化合物のそれぞれについて、第1表示対象情報d15によって示される1つ以上の特性の種別の各々に対する特性評価値を取得する。表示方法取得部633では、第1表示対象情報d15によって示されるその1つ以上の特性の種別が変更される。
これにより、第1表示対象情報d15によって示される特性の種別が変更されると、その変更内容に応じた画像マップMbが第2画像に含まれて表示されるため、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な特性の視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。例えば、上述のように、ユーザは、複数の要求特性を満足する材料開発が容易となる。その結果、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
[画像の変更の具体例4]
図60Aおよび図60Bは、表示範囲情報d16の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図60Aは、第1情報d10に含まれる表示範囲情報d16と、その表示範囲情報d16にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図60Bは、変更後の表示範囲情報d16と、その変更後の表示範囲情報d16にしたがって表示部140に表示される第2画像の一例を示す。
例えば、表示方法取得部633は、図60Aの(b)に示す表示範囲情報d16を評価表示データベース640から取得する。表示範囲情報d16は、色の濃淡度で表現し得る特性評価値の範囲である表示範囲を、その表示範囲の上限と下限とによって示す。したがって、その表示範囲内の特性評価値には、その値に応じた濃淡度の色が割り当てられる。一方、表示範囲以上の特性評価値には、スケール範囲内の最大の濃淡度の色が割り当てられ、その表示範囲以下の特性評価値には、スケール範囲内の最小の濃淡度の色が割り当てられる。つまり、最大または最小の濃淡度の色からは、その濃淡度に対応する特性評価値は一意に特定されず、特性評価値が表示範囲以上であるか、表示範囲以下であるかのみ特定される。なお、スケール範囲は、予め定められた色の濃淡度の範囲である。
このような表示範囲情報d16は、上限に対して、データ最大値とユーザ定義とをそれぞれ選択肢として示し、かつ、下限に対して、データ最小値とユーザ定義とをそれぞれ選択肢として示す。データ最大値は、例えば画像マップMbにおける最大の特性評価値であり、データ最小値は、例えば画像マップMbにおける最小の特性評価値である。ユーザ定義は、ユーザによって定義される特性評価値であって、例えば、入力部110への入力操作によって指定される。ここで、図60Aの(b)における表示範囲情報d16では、上限に対してデータ最大値が選択され、下限に対してデータ最小値が選択されている。
画像処理部634は、このような表示範囲情報d16を表示方法取得部633から取得する。次に、画像処理部634は、その表示範囲情報d16に示される上限および下限にしたがって、評価値取得部632から取得された複数の化合物のそれぞれの特性評価値に対して色の濃淡度を割り当てる。例えば、上限に対して選択されたデータ最大値は「4.0」であり、下限に対して選択されたデータ最小値は「0.5」である。この場合、画像処理部634は、スケール範囲内の最大の濃淡度をデータ最大値「4.0」に割り当て、スケール範囲内の最小の濃淡度をデータ最小値「0.5」に割り当てる。さらに、画像処理部634は、0.5より大きく4.0未満の特性評価値に対しては、その特性評価値が大きいほど、スケール範囲内で大きい濃淡度を均等に割り当てる。そして、画像処理部634は、図60Aの(a)に示すように、それらの特性評価値を、その特性評価値に対して割り当てられた濃淡度の色で示す画像マップMbを生成し、1つ以上の実験点をその画像マップMbに重畳する。画像処理部634は、図60Aの(a)に示すように、その1つ以上の実験点が重畳された画像マップMbを含む第1画像を表示部140に表示する。
この場合、ユーザは、画像マップMbから、その画像マップMbにおける全体的な特性評価値の傾向を把握することができる。一方、その画像マップMbにおける一部の領域R1では、ユーザは、特性評価値が大きいことだけを把握することができ、その領域R1における各化合物の特性評価値、またはその特性評価値の分布を把握することは難しい。なお、領域R1は、変数(a,b)=(0.0, 0.0),(0.0, 0.1),(0.005, 0.0),(0.005, 0.1)に対応する4つの画像要素マップMaである。
そこで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、第1情報d10の表示範囲情報d16を変更する。表示方法取得部633は、その表示範囲情報d16の変更を示す入力信号を入力部110から取得すると、その入力信号に応じて表示範囲情報d16を、図60Bの(b)に示すように変更する。
図60Bの(b)の例では、表示範囲情報d16における上限に対してユーザ定義「4.00」が選択され、下限に対してユーザ定義「3.65」が選択されている。
画像処理部634は、このように変更された表示範囲情報d16を表示方法取得部633から取得する。次に、画像処理部634は、その表示範囲情報d16に示される上限「4.00」および下限「3.65」にしたがって、評価値取得部632から取得された複数の化合物のそれぞれの特性評価値に対して色の濃淡度を割り当てる。そして、画像処理部634は、図60Bの(a)に示すように、それらの特性評価値を、その特性評価値に対して割り当てられた濃淡度の色で示す画像マップMbを生成する。画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳されたその画像マップMbを含む第2画像を生成して表示部140に表示する。これにより、第1画像が第2画像に変更される。
この場合、図60Bの(a)に示すように、ユーザは、画像マップMbの領域R1における各化合物の特性評価値、またはその特性評価値の分布を容易に把握することができる。つまり、ユーザは、その領域R1内の特性評価値の違いを容易に確認することができる。一方、ユーザは、表示範囲の下限「3.65」以下の特性評価値が、画像マップMbの領域R1以外の領域で多く示されていることを把握することができる。
このように、表示範囲情報d16の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第2画像に動的に変化する。これにより、画像マップMbに示される特性評価値の範囲が広い場合であっても、その範囲のうちの表示範囲が設定されるため、ユーザは、その表示範囲における特性評価値の違いを容易に理解することができる。その結果、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
また、例えば、評価器の一例である学習済みの機械学習モデルから得られる予測値の分散を、特性評価値に用いた場合、材料探索の進行とともに、予測の不確実さが低下する、すなわち予測値の分散が小さくなる。なお、材料探索の進行では、実験によって得られた特性実験値を機械学習モデルの学習に用いることが繰り返し行われる。その結果、画像マップMbに示される特性評価値の範囲が変わる。そこで、図60Aおよび図60Bの例では、例えば、材料探索の進行に応じて適切な表示範囲を設定または指定することで、特性評価値を視覚的に理解しやすくすることも期待される。なお、上述の例では、予め定められた濃淡度の範囲から、その特性評価値に応じた濃淡度がその特性評価値に割り当てられるが、予め定められた色の範囲から、その特性評価値に応じた色がその特性評価値に割り当てられてもよい。
このように、本実施の形態における特性表示装置630では、第1情報d10は、特性評価値の表示範囲を示す表示範囲情報d16を含む。画像処理部634は、表示範囲情報d16によって示される特性評価値の表示範囲を、予め定められた色または色の濃淡度のスケール範囲に対応付け、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を、そのスケール範囲内におけるその特性評価値に応じた色または色の濃淡度によって示す画像マップMbを生成する。表示方法取得部633では、表示範囲情報d16によって示されるその表示範囲が変更される。
これにより、表示範囲情報d16によって示される表示範囲が変更されると、その変更内容に応じた画像マップMbが第2画像に含まれて表示されるため、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な表示範囲の視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。例えば、上述のように、材料探索の進行に応じて、画像マップMbに示される特性評価値の範囲が変化するような場合であっても、表示範囲の変更によって、その表示範囲に含まれる複数の特性評価値を互いに明確に異なる色または色の濃淡度で示すことができる。
[画像の変更の具体例5]
図61Aおよび図61Bは、探索範囲情報d14の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図61Aは、第1情報d10に含まれる探索範囲情報d14と、その探索範囲情報d14にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図61Bは、変更後の探索範囲情報d14と、その変更後の探索範囲情報d14にしたがって表示部140に表示される第2画像の一例を示す。
例えば、表示方法取得部633は、図61Aの(b)に示す探索範囲情報d14を評価表示データベース640から取得する。探索範囲情報d14は、例えば図2および図12に示す探索範囲と同様、各範囲変数に対する複数の選択肢データを探索範囲として示す情報である。
評価値取得部632は、このような探索範囲情報d14を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その探索範囲情報d14に応じた特性評価値を取得する。つまり、評価値取得部632は、その探索範囲に含まれる構成を有する複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。画像処理部634は、図61Aの(a)に示すように、これらの取得された特性評価値を示す画像マップMbを生成する。さらに、画像処理部634は、1つ以上の実験点をその画像マップMbに重畳し、1つ以上の実験点が重畳された画像マップMbを含む第1画像を表示部140に表示する。
ここで、ユーザは、その画像マップMbにおける変数b=0.0の領域R2を確認する。領域R2には、変数(a,b)=(0.0, 0.0),(0.05, 0.0),(0.1, 0.0),(0.15, 0.0),(0.2, 0.0)に対応する5つの画像要素マップMaが含まれている。ユーザは、その領域R2において、変数aが0.05以上では、その変数aの値の増加に伴って特性評価値が低下することを把握し、変数aが0.0と0.05との間の数値を示す場合に、特性評価値が極大になる可能性があると判断する。
そこで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、第1情報d10の探索範囲情報d14を変更する。表示方法取得部633は、その探索範囲情報d14の変更を示す入力信号を入力部110から取得すると、その入力信号に応じて探索範囲情報d14を、図61Bの(b)に示すように変更する。図61Bの(b)の例では、変数aの選択肢データとして0.025が追加されている。
評価値取得部632は、このように変更された探索範囲情報d14を表示方法取得部633から取得する。そして、評価値取得部632は、その探索範囲情報d14に応じた特性評価値を取得する。つまり、評価値取得部632は、追加された変数aの選択肢データ「0.025」に対応する複数の化合物のそれぞれの特性評価値をさらに取得する。画像処理部634は、これらの取得された特性評価値を示す画像マップMbを生成する。この画像マップMbには、図61Bの(a)に示すように、4つの画像要素マップMaを含む領域R3が、図61Aの(a)に示す画像マップMbに対して追加されている。なお、領域R3に含まれる4つの画像要素マップMaは、変数(a,b)=(0.025, 0.0),(0.025, 0.1),(0.025, 0.2),(0.025, 0.3)に対応する。そして、画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳されたその画像マップMbを含む第2画像を表示部140に表示する。
ユーザは、その画像マップMbにおける変数a=0.025の領域R3を確認する。そして、ユーザは、例えば、その画像マップMbに含まれる、変数b=0.0に対応する6つの画像要素マップMaのうち、領域R3にある変数(a,b)=(0.025, 0.0)に対応する画像要素マップMaにおいて、特性評価値が極大になっていることを確認することができる。なお、上述の例では、選択肢データの追加に応じて、画像マップMbにおける画像要素マップMaの数が増加するが、逆に、選択肢データの削除に応じて、画像マップMbにおける画像要素マップMaの数が減少してもよい。
このように、探索範囲情報d14の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第2画像に動的に変化する。これにより、ユーザは、材料探索の状況に応じて探索範囲の見直しが可能となり、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、画像マップMbは、第1座標軸および第2座標軸のそれぞれに沿ってマトリクス状に配列された複数の画像要素マップMaを含み、その複数の画像要素マップMaのそれぞれは、第3座標軸および第4座標軸を有する。画像処理部634は、その第1座標軸、第2座標軸、第3座標軸、および第4座標軸を、上述の複数の変数のうちの第1変数、第2変数、第3変数、および第4変数にそれぞれ対応付ける。さらに、画像処理部634は、複数の化合物のそれぞれについて、(a)複数の画像要素マップMaのうち、その化合物の構成を表現するために用いられる第1変数および第2変数の各々の値に関連付けられている画像要素マップMaを特定し、(b)特定された画像要素マップMa上における、その化合物の構成を表現するために用いられる第3変数および第4変数の各々の値によって示される位置に、その化合物の特性評価値をマッピングする。例えば、第1変数、第2変数、第3変数、および第4変数は、上述の変数a、b、x、およびyである。
これにより、画像マップMbなどのマップは、それぞれ4つの変数によって表現される複数の化合物の構成に対して特性評価値を示すことができ、広い範囲で化合物の特性評価値を分かり易く表示することできる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、表示方法取得部633において、探索範囲情報d14によって示される複数の選択肢データの数が増加または減少されると、画像処理部634は、画像マップMbに含まれる画像要素マップMaの数を増加または減少させる。具体的には、画像処理部634は、変更された探索範囲情報d14にしたがって画像マップMbに含まれる画像要素マップMaの数を増加または減少させる。
これにより、探索範囲情報d14によって示される選択肢データの数が変更されると、その変更内容に応じた数の画像要素マップMaが第2画像に含まれて表示されるため、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な画像要素マップの視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
[画像の変更の具体例6]
図62は、マップ配列情報d13の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図62の(a)は、第1情報d10に含まれるマップ配列情報d13にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図62の(b)は、変更後のマップ配列情報d13にしたがって表示部140に表示される第2画像の一例を示す。
例えば、表示方法取得部633は、マップ配列情報d13を評価表示データベース640から取得する。マップ配列情報d13は、20個の画像要素マップMaを4行5列に配置することを示す。画像処理部634は、このようなマップ配列情報d13を表示方法取得部633から取得する。次に、画像処理部634は、そのマップ配列情報d13にしたがって、4行5列に配置された20個の画像要素マップMaからなる画像マップMbを生成し、1つ以上の実験点をその画像マップMbに重畳する。画像処理部634は、図62の(a)に示すように、その1つ以上の実験点が重畳された画像マップMbを含む第1画像を表示部140に表示する。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、その画像マップMbに含まれる1つ以上の画像要素マップMaを選択する。例えば、ユーザは、関心がある1つ以上の画像要素マップMaとして、大きい特性評価値が示されている1つ以上の画像要素マップMaを選択する。このような画像要素マップMaの選択は、例えば、クリックまたはドラッグなどの入力操作によって行われる。例えば、ユーザは、変数(a,b)=(0.0, 0.1),(0.05, 0.1)のそれぞれに対応する画像要素マップMaに対してクリックを行い、画像マップMbにおける領域R4をドラッグによって指定する。領域R4は、変数(a,b)=(0.0, 0.0),(0.05, 0.0),(0.1, 0.0),(0.15, 0.0)に対応する4つの画像要素マップMaを含む。
入力部110は、その入力操作に応じた入力信号を表示方法取得部633に出力する。表示方法取得部633は、その入力信号を取得すると、その入力信号に応じてマップ配列情報d13を変更し、変更されたマップ配列情報d13を画像処理部634に出力する。変更されたマップ配列情報d13は、ユーザによって選択された例えば6個の画像要素マップMaのそれぞれの画像マップMb上における位置を示してもよい。なお、位置は、変数a、bによって指定される。
画像処理部634は、そのマップ配列情報d13にしたがって、ユーザによって選択された6個の画像要素マップMaからなる画像マップMbを生成する。そして、画像処理部634は、図62の(b)に示すように、1つ以上の実験点が重畳されたその画像マップMbを含む第2画像を表示部140に表示する。
このように、マップ配列情報d13の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第2画像に動的に変化する。これにより、複数の画像要素マップMa間の比較が容易となり、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
なお、表示方法取得部633は、入力信号に応じて、マップ配列情報d13によって示される複数の画像要素マップMaの配列を変更してもよい。つまり、表示方法取得部633は、複数の画像要素マップMaが並び替えられるように、マップ配列情報d13を変更してもよい。この場合、複数の画像要素マップ間の比較がさらに容易となる。また、画像処理部634は、第2画像を表示部140に表示するときには、選択された画像要素マップMaの数に応じて、それらの画像要素マップMaのサイズを変更してもよい。例えば、画像処理部634は、選択された画像要素マップMaの数が少なければ、それらの画像要素マップMaを拡大する。この場合には、ユーザの視認性向上が期待できる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、第1情報d10は、表示される画像要素マップMaの配列形態を示すマップ配列情報d13を含む。表示方法取得部633において、表示される画像要素マップMaの位置が選択されることによって、マップ配列情報d13が変更されると、画像処理部634は、既に生成された画像マップMbを、変更されたマップ配列情報d13によって示される配列形態にしたがって配置された少なくとも1つの画像要素マップMaを含む画像マップMbに変更する。
これにより、マップ配列情報d13によって示される画像要素マップMaの配列形態が変更されると、その変更内容に応じた配列形態の画像要素マップMaが第2画像に含まれて表示される。したがって、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を、様々な画像要素マップMaの配列形態の視点から表示することができる。その結果、複数の画像要素マップMa間の比較を容易にし、材料探索の効率化を図ることができる。
[処理動作]
図63は、本実施の形態における表示システム600の処理動作を示すフローチャートである。
(ステップS211)
表示方法取得部633は、特性評価値の表示方法に関する第1情報d10を評価表示データベース640から取得し、その第1情報d10を評価値取得部632、実験点取得部635、および画像処理部634に出力する。
(ステップS212)
実験点取得部635は、表示方法取得部633から第1情報d10を取得する。そして、実験点取得部635は、その第1情報d10の探索範囲情報d14によって示される探索範囲に対応する実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの実験点を、実験データベース650から取得する。実験点取得部635は、その実験済み1つ以上の化合物のそれぞれの実験点を画像処理部634に出力する。
(ステップS213)
評価値取得部632は、表示方法取得部633から第1情報d10を取得する。そして、評価値取得部632は、その第1情報d10の算出方法情報d12および探索範囲情報d14などにしたがって、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。このとき、評価値取得部632は、評価器データベース620の1つ以上の評価器を用いて、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。評価値取得部632は、その複数の化合物のそれぞれの構成と、それらの構成に対応する特性評価値とを、画像処理部634に出力する。
なお、本実施の形態では、評価値取得部632は、評価器データベース620から評価器を取得し、その評価器を用いて特性評価値を取得する。しかし、評価値取得部632は、評価器データベース620に格納されている、化合物の特性値を評価するための少なくとも1つの評価器から、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得してもよい。この場合であっても、複数の化合物のそれぞれに対して適切な特性評価値を取得することができる。
(ステップS214)
画像処理部634は、画像マップMbを含む第1画像を生成する。このとき、画像処理部634は、ステップS211で取得された第1情報d10と、ステップS213で取得された複数の化合物のそれぞれの構成および特性評価値とを用いて画像マップMbを生成する。さらに、画像処理部634は、ステップS212で取得された実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの実験点を、その画像マップMbに重畳する。そして、画像処理部634は、1つ以上の実験点が重畳された画像マップMbを含む第1画像を生成し、その第1画像を表示部140に出力する。
(ステップS215)
表示部140は、画像処理部634から第1画像を取得し、その第1画像を表示する。
(ステップS216)
ユーザは、入力部110に対して入力操作を行う。入力部110は、そのユーザによる入力操作に応じて、第1画像の表示の変更を示す入力信号を、特性表示装置630の表示方法取得部633に出力する。表示方法取得部633は、その入力信号を取得することによって、その第1画像の表示の変更を受け付ける。
(ステップS217)
表示方法取得部633は、ステップS216で取得された入力信号にしたがって、ステップS211で取得された第1情報d10を変更する。そして、表示方法取得部633は、その変更された第1情報d10を、評価値取得部632、実験点取得部635、および画像処理部634に出力する。
(ステップS218)
評価値取得部632および実験点取得部635は、その変更された第1情報d10を表示方法取得部633から取得すると、その第1情報d10の変更内容に応じて、特性評価値および実験点を取得し直す。そして、画像処理部634は、変更された第1情報d10にしたがって第2画像を生成する。この第2画像は、例えば、取得し直された特性評価値を示し、かつ、取得し直された実験点が重畳された画像マップMbを含む。画像処理部634は、その第2画像を表示部140に出力する。
(ステップS219)
表示部140は、画像処理部634から第2画像を取得し、その第2画像を表示する。
(実施の形態3Aの変形例)
上記実施の形態では、第1情報d10の変更を受け付けるために、第1情報d10に含まれる算出方法情報d12などの情報の全てが表示部140に表示される。具体的には、図57Aおよび図57Bに示すように、算出方法情報d12の全てが表示され、図58Aおよび図58Bに示すように、探索範囲情報d14の全てが表示される。このような情報に多くの設定項目または多くの非可視化変数が含まれている場合には、ユーザは、何れの設定項目または非可視化変数の選択肢を選択してよいかを迷う可能性がある。つまり、ユーザは、選択される選択肢の変更によってマップが大きく変化するような、複数の選択肢を有する設定項目または非可視化変数を容易に見つけることが困難である。
そこで、本変形例における画像処理部634は、各設定項目または各非可視化変数に対して優先度を算出する。その優先度は、設定項目または非可視化変数が有する複数の選択肢から選択される選択肢を変更することによってマップが変化する度合いを示す。そして、画像処理部634は、その優先度が高い設定項目または非可視化変数ほど、その設定項目または非可視化変数を優先的に表示部140に表示する。
図64は、本変形例における第1画像の一例を示す図である。
画像処理部634は、算出方法情報d12に基づく画像マップMbを含む第1画像を生成するときには、例えば図64に示すように、算出方法情報d12の一部を示す算出方法画像d121を第1画像に含める。そして、画像処理部634は、その第1画像を表示部140に表示する。算出方法画像d121は、算出方法情報d12によって示される3つの設定項目、すなわち、機械学習モデルの設定項目、ベイズ最適化の設定項目、および表示の設定項目のうち、ベイズ最適化の設定項目のみを表している。つまり、画像処理部634は、ベイズ最適化の設定項目を、機械学習モデルの設定項目および表示の設定項目よりも優先的に表示する。より詳細には、画像処理部634は、ベイズ最適化の設定項目が有する複数の選択肢を、機械学習モデルの設定項目および表示の設定項目のそれぞれが有する複数の選択肢よりも優先的に表示する。
このような図64に示す第1画像が表示部140に表示されるときには、画像処理部634は、まず、複数の設定項目のそれぞれの優先度を算出する。複数の設定項目は、図64の例では、機械学習モデルの設定項目と、ベイズ最適化の設定項目と、表示の設定項目である。例えば、画像処理部634は、複数の設定項目から、1つの設定項目を処理対象項目として選択する。次に、画像処理部634は、その処理対象項目が有する複数の選択肢から、1以上の選択肢の組み合わせを選択する選択処理を繰り返し実行する。その各選択処理では、互いに異なる組み合わせが選択される。そして、画像処理部634は、選択処理が行われるたびに、その選択処理によって選択された1以上の選択肢の組み合わせに基づいて、マップ(例えば画像マップMb)を生成する。次に、画像処理部634は、生成された複数の画像マップMbに基づいて、それらの画像マップMb上の位置ごとに、その位置に示される特性評価値の分散値を算出する。そして、画像処理部634は、画像マップMb上の各位置における分散値の平均を、上述の処理対象項目の優先度として算出する。画像処理部634は、複数の設定項目のそれぞれを処理対象項目として順に選択し直すことによって、複数の設定項目のそれぞれの優先度を算出する。
なお、上述の例では、優先度は、分散値の平均によって算出されるが、これに限定されるものではない。例えば、画像処理部634は、処理対象項目の優先度を算出するときには、上述と同様に生成された複数の画像マップMbに基づいて、それらの画像マップMb上の位置ごとに、その位置に示される特性評価値の平均を、評価平均値として算出する。そして、画像処理部634は、複数の画像マップMbのそれぞれの、その位置に示される特性評価値と、その位置に対して算出された評価平均値との差分の絶対値の総和を、差分絶対値和として算出する。さらに、画像処理部634は、画像マップMb上の各位置における差分絶対値和の総和を、処理対象項目の優先度として算出する。
これにより、選択される選択肢の変更によってマップが大きく変化する設定項目、すなわち特性評価値が大きく変化する設定項目と、その設定項目が有する複数の選択肢とが優先的に表示される。したがって、ユーザは、材料開発に効果的な設定項目を容易に見つけることができる。つまり、ユーザは、選択される選択肢の変更によって、マップが大きく変動することを視覚的に容易に把握することができ、材料開発の効率化を図ることができる。
図65は、本変形例における第1画像の他の例を示す図である。
画像処理部634は、探索範囲情報d14に基づく画像マップMbを含む第1画像を生成するときには、例えば図65に示すように、探索範囲情報d14の一部を示す探索範囲画像d141を第1画像に含める。そして、画像処理部634は、その第1画像を表示部140に表示する。探索範囲画像d141は、探索範囲情報d14によって示される2つの非可視化変数、すなわち、焼成時間を示す変数Pbおよび焼成温度を示す変数Pcのうち、焼成温度を示す変数Pcのみを表している。つまり、画像処理部634は、焼成温度を示す変数Pcを、焼成時間を示す変数Pbよりも優先的に表示する。より詳細には、画像処理部634は、焼成温度を示す変数Pcが取り得る複数の選択肢データを、焼成時間を示す変数Pbが取り得る複数の選択肢データよりも優先的に表示する。
このような図65に示す第1画像が表示部140に表示されるときには、画像処理部634は、図64に示す例と同様に、複数の可視化変数のそれぞれの優先度を算出する。優先度の算出には、上述の分散値の平均、あるいは差分絶対値和の総和が用いられてもよい。また、画像処理部634は、画像マップMbに重畳される1以上の実験点に基づいて、複数の非可視化変数のそれぞれの優先度を算出してもよい。
具体的には、画像処理部634は、複数の非可視化変数から、1つの非可視化変数を処理対象変数として選択する。次に、画像処理部634は、その処理対象変数が取り得る複数の選択肢データから、1つの選択肢データを選択する選択処理を繰り返し実行する。なお、その複数の選択肢データは、例えば図58A、図58B、および図65に示す、最小、最大、最良、平均、およびユーザ定義などのうちの少なくとも2つである。また、その各選択処理では、互いに異なる選択肢データが選択される。そして、画像処理部634は、選択処理が行われるたびに、その選択処理によって選択された選択肢データと、実験データベース650に格納されている実験データとに基づいて、マップ(例えば画像マップMb)に重畳される1以上の実験点を特定する。
次に、画像処理部634は、繰り返し実行された選択処理によって特定された全ての実験点に対応付けられている処理対象変数の値の分散値を第1分散値として算出する。例えば、処理対象変数が、焼成温度を示す変数Pcであれば、図52に示す化合物基本データ651において、その特定された各実験点(例えば実験点の組成式)に対応付けられている焼成温度の分散値が、第1分散値として算出される。
さらに、画像処理部634は、実験データベース650の実験データに示されている処理対象変数の全ての値の分散値を、第2分散値として算出する。例えば、処理対象変数が、焼成温度を示す変数Pcであれば、図52に示す化合物基本データ651において示されている全ての焼成温度の分散値が、第2分散値として算出される。
そして、画像処理部634は、その第2分散値に対する第1分散値の比を、上述の処理対象変数の優先度として算出する。画像処理部634は、複数の非可視化変数のそれぞれを処理対象変数として順に選択し直すことによって、複数の非可視化変数のそれぞれの優先度を算出する。
これにより、選択される選択肢データの変更によってマップが大きく変化する非可視化変数、すなわち特性評価値が大きく変化する非可視化変数と、その非可視化変数が取り得る複数の選択肢データとが優先的に表示される。あるいは、マップに重畳される1以上の実験点について、値が大きくばらつく傾向にある非可視化変数と、その非可視化変数が取り得る複数の選択肢データとが優先的に表示される。したがって、ユーザは、材料開発に効果的な非可視化変数を容易に見つけることができる。また、ユーザは、効率的に各実験点を比較することができる。その結果、材料開発の効率化を図ることができる。
なお、図64および図65に示す例では、画像マップMbと、算出方法画像d121または探索範囲画像d141などの第1情報d10の画像とが、第1画像に含まれた状態で表示されるが、画像マップMbと第1情報d10の画像とは同時に表示されなくてもよい。つまり、画像マップMbと、第1情報d10の画像とは、互いに異なるタイミングに表示部140に表示されてもよい。
図66は、本変形例における画像処理部634による第1画像の生成の詳細な一例を示すフローチャートである。なお、図66は、図63のステップS214の詳細な処理動作を示す。
(ステップS214a)
まず、画像処理部634は、第1情報d10を複数のグループに分割する。具体的には、画像処理部634は、第1情報d10に含まれる算出方法情報d12、探索範囲情報d14などを複数のグループに分割する。例えば、算出方法情報d12は、その算出方法情報d12に含まれる複数の設定項目のそれぞれに対応するグループに分割される。つまり、1つのグループは、設定項目と、その設定項目が有する複数の選択肢とからなる。また、探索範囲情報d14は、その探索範囲情報d14に含まれる複数の非可視化変数のそれぞれに対応するグループに分割される。つまり、1つのグループは、非可視化変数と、その非可視化変数が取り得る複数の選択肢データとからなる。
(ステップS214b)
次に、画像処理部634は、その複数のグループのそれぞれの優先度を算出する。この優先度は、上述のように、分散値の平均、差分絶対値和の総和、実験点に基づく分散値などによって算出される。
(ステップS214c)
次に、画像処理部634は、優先度の高いグループを優先的に第1画像に含めて表示部140に表示する。例えば、図64または図65に示すように、画像処理部634は、複数のグループのうち、最も高い優先度を有するグループのみを第1画像に含めて表示する。この第1画像には、画像マップMbなどのマップが含まれている。
なお、上述の例では、1つのグループのみが表示されるが、画像処理部634は、複数のグループを優先度順に配列して表示部140に表示してもよい。つまり、画像処理部634は、優先度が高いグループほど、前または上に表示されるように複数のグループを配列する。また、画像処理部634は、複数のグループのうち、優先度が上位にある予め定められた規定数のグループだけを表示部140に表示してもよい。なお、その規定数は2以上の整数であって、その規定数のグループの優先度は、他のグループの優先度よりも高い。このような場合であっても、材料開発の支援に対して比較的貢献度の低いグループが表示されることを抑えることができる。その結果、図64および図65に示す例と同様の効果を奏することができる。
また、画像処理部634は、情報に含まれるグループの数が閾値以上か否かを判定し、グループの数が閾値以上の場合に、図66のフローチャートにしたがって、その情報を複数のグループに分割してもよい。これにより、グループの数が少ないときには、情報の全てが表示部140に表示され、ユーザは、迷うことなく第1情報d10を変更することができる。さらに、グループの数が多いときにも、優先度の高いグループが優先的に表示部140に表示されるため、ユーザは、迷うことなく第1情報d10を変更することができる。
また、図63および図66に示すフローチャートでは、第1情報d10に含まれる各グループの優先度が算出される前に、ステップS211で取得されたデフォルトの第1情報d10に基づいて特性評価値がステップS213で取得される。しかし、各グループの優先度が算出された後に、その優先度に基づく特性評価値が取得されてもよい。例えば、ステップS213では、評価値取得部632は、ステップS11で取得された第1情報d10のうちの算出方法情報d12を用いる場合、その算出方法情報d12に含まれる複数の設定項目のそれぞれの優先度を算出する。次に、評価値取得部632は、最も優先度の高い設定項目の選択肢が選択されるように、その算出方法情報d12を変更する。そして、評価値取得部632は、その変更された算出方法情報d12にしたがって、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。このよう場合でも、ステップS215では、画像処理部634は、図64に示す第1画像を表示部140に表示してもよい。
このように、本実施の形態における特性表示装置630では、表示方法取得部633は、複数の化合物を比較するための比較指標として特性評価値を表示させるための、それぞれ変更可能な複数の情報グループからなる第1情報d10を取得する。評価値取得部632および画像処理部634は、その複数の化合物のそれぞれの構成に対応する位置に、その化合物の特性評価値を示す画像マップMbを取得する。そして、画像処理部634は、複数の情報グループのそれぞれの優先度に基づいて生成される、画像マップMbを含む第1画像を出力する。例えば、第1画像は表示部140に出力されて表示される。なお、情報グループは、図66に示すグループに相当する。
これにより、例えば、最も高い優先度を有する情報グループが第1画像に含まれて表示され、他の情報グループの表示を抑制することができる。その結果、ユーザは、その表示されている情報グループを容易に選択して変更することができる。つまり、特性評価値の表示に有益な情報グループほど、その情報グループに対して高い優先度が付与されていれば、ユーザは、その情報グループの変更によるマップの変化を、容易に把握することができ、材料開発の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置630では、画像処理部634は、複数の情報グループのそれぞれについて、その情報グループの変更による画像マップMbの変化の度合いを、その情報グループの優先度として用いて、第1画像を生成する。これにより、ユーザは、情報グループの変更によって画像マップMbが大きく変化することを容易に確認することができ、材料開発の効率化を図ることができる。
(実施の形態3B)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態3Aと同様、複数の化合物のそれぞれの特性評価値をマップの形態で表示する。さらに、本実施の形態における表示システムは、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの実験点の代わりに、実施の形態1および2と同様、特性実験値をマップに重畳する。また、本実施の形態における表示システムは、後述の第2情報にしたがって特性実験値をマップに重畳する。
なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1、2および3Aと同一の構成要素については、実施の形態1、2および3Aと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、画像マップMbがマップの一例として挙げられているが、本実施の形態におけるマップは、画像マップMbに限定されることなく、画像要素マップMaであってもよく、複数の画像マップMbの集合であってもよい。
[表示システム700の構成]
図67は、本実施の形態における表示システム700の構成の一例を示すブロック図である。図67に示す表示システム700は、入力部110と、評価器データベース620と、特性表示装置730と、表示部140と、評価表示データベース640と、実験データベース650と、実験表示データベース(DB)740とを備える。なお、特性表示装置730は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置730は、実施の形態3Aの特性表示装置630と同様、評価器データベース620および評価表示データベース640を用いて複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。そして、特性表示装置730は、取得されたそれらの特性評価値を示すマップを生成する。さらに、特性表示装置730は、実験データベース650および実験表示データベース740を用いて、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値をマップに重畳する。このような特性表示装置730は、評価値取得部632と、表示方法取得部733と、実験値取得部732と、画像処理部734とを備える。なお、特性表示装置730は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置730として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
[表示方法取得部733]
表示方法取得部733は、入力部110から入力信号を取得し、その入力信号に応じて、第1情報d10を評価表示データベース640から取得し、さらに、特性実験値の表示方法に関する第2情報d20を実験表示データベース740から取得する。そして、表示方法取得部733は、その第1情報d10を評価値取得部632、実験値取得部732および画像処理部734に出力する。さらに、表示方法取得部733は、第2情報d20を実験値取得部732および画像処理部734に出力する。これにより、その第1情報d10および第2情報d20にしたがったマップを含む画像が第1画像として表示部140に表示される。
さらに、表示方法取得部733は、入力部110から特性評価値の表示方法の変更を示す入力信号を取得すると、第1情報d10を入力信号に応じて変更し、変更後の第1情報d10を評価値取得部632、実験値取得部732および画像処理部734に出力する。また、表示方法取得部733は、入力部110から特性実験値の表示方法の変更を示す入力信号を取得すると、第2情報d20を入力信号に応じて変更し、変更後の第2情報d20を実験値取得部732および画像処理部734に出力する。これにより、特性評価値および特性実験値のそれぞれの変更後の表示方法にしたがったマップを含む画像が第3画像として表示部140に表示される。なお、本実施の形態における第3画像は、第2情報d20の変更に伴って生成される画像である。
[実験値取得部732]
実験値取得部732は、表示方法取得部733から第1情報d10および第2情報d20を取得する。そして、実験値取得部732は、その第1情報d10の探索範囲情報d14と、第2情報d20とに対応する実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を、実験データベース650から取得し、それらを画像処理部734に出力する。なお、実験値取得部732は、その探索範囲情報d14に関わらず、実験データベース650に格納されている全ての化合物の構成および特性実験値を取得してもよい。
[画像処理部734]
画像処理部734は、評価値取得部632から、複数の化合物のそれぞれの構成および特性評価値を取得し、実験値取得部732から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。さらに、画像処理部734は、表示方法取得部733から第1情報d10および第2情報d20を取得する。画像処理部734は、第1情報d10および第2情報d20によって示される表示方法にしたがって、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を示すマップを生成し、さらに、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値をそのマップに重畳する。なお、特性評価値を示すマップの生成では、画像処理部734は、複数の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性評価値に応じた濃淡度の色を、その化合物の構成に対応するマップ上の位置に付ける。また、特性実験値の重畳では、画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性実験値に応じた濃淡度の色を有するマークを、その化合物の構成に対応するマップ上の位置に重畳する。その特性評価値または特性実験値に応じた濃淡度の色は、特性評価値または特性実験値に応じた色であってもよい。画像処理部734は、その1つ以上の特性実験値が重畳されたマップを含む画像を、第1画像、第2画像または第3画像として表示部140に出力する。
[実験表示データベース740]
実験表示データベース740は、特性実験値の表示方法に関する情報を格納している記録媒体である。この記録媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
図68は、実験表示データベース740に格納されている情報の一例を示す図である。
実験表示データベース740は、図68に示すように、特性実験値の表示方法に関する情報である第2情報d20を格納している。この第2情報d20は、第2色彩情報d21、第2表示対象情報d22、および表示条件情報d23を含む。
第2色彩情報d21は、マップに示される特性実験値の色相、彩度、明度のうちの少なくとも1つを色属性として示す。第2表示対象情報d22は、特性実験値に関する表示対象の特性を示す。表示条件情報d23は、特性実験値の表示に関する条件の有無と、その条件がある場合には、その条件の内容とを示す。例えば、条件の内容は、特性実験値が閾値以上であることである。
[画像の変更の具体例1]
図69Aおよび図69Bは、第2表示対象情報d22の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図69Aは、第2情報d20に含まれる第2表示対象情報d22と、その第2表示対象情報d22にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図69Bは、変更後の第2表示対象情報d22と、その変更後の第2表示対象情報d22にしたがって表示部140に表示される第3画像の一例を示す。なお、本実施の形態における各具体例では、第1情報d10は変更されず、第2情報d20が変更されることによって、第1画像が第3画像に変更される。
例えば、表示方法取得部733は、図69Aの(b)に示す第2表示対象情報d22を実験表示データベース740から取得する。第2表示対象情報d22は、特性実験値を示すためのマークに用いられる形状および色の濃淡度のそれぞれに対して、特性1、特性2、および結晶相を選択肢として示す。特性1は、例えばバンドギャップであり、特性2は、例えば耐熱温度である。つまり、その第2表示対象情報d22では、マークの形状によって表示される特性実験値の特性として、特性1、特性2、および結晶相がそれぞれ選択肢として示されている。さらに、その第2表示対象情報d22では、マークの色の濃淡度によって表示される特性実験値の特性として、特性1、特性2、および結晶相がそれぞれ選択肢として示されている。ここで、その第2表示対象情報d22では、マークの形状および色の濃淡度のそれぞれに対して特性1が選択されている。
実験値取得部732は、このような第2表示対象情報d22を表示方法取得部733から取得する。そして、実験値取得部732は、例えば、第1情報d10の探索範囲情報d14によって示される探索範囲に含まれる構成を有する化合物のうち、その第2表示対象情報d22において選択されている特性1の特性実験値に関連付けられている化合物を、実験データベース650の実験データから検索する。実験値取得部732は、その検索された実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性1の特性実験値を実験データベース650から取得し、それらを画像処理部734に出力する。
画像処理部734は、実施の形態3Aの画像処理部634と同様、評価値取得部632によって取得された特性1に対する特性評価値を示す画像マップMbを生成する。さらに、画像処理部734は、表示方法取得部733から第2表示対象情報d22を取得し、実験値取得部732から実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性1の特性実験値を取得する。そして、画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性1の特性実験値を示すマークを、その化合物の構成に対応する画像マップMb上の位置に重畳する。このとき、画像処理部734は、第2表示対象情報d22にしたがってマークを重畳する。つまり、画像処理部734は、特性1に応じた円形の形状を有し、かつ、特性1の特性実験値に応じた濃淡度の色を有するマークを画像マップMbに重畳する。
その結果、画像処理部734は、図69Aの(a)に示す第1画像を表示部140に表示する。この第1画像には画像マップMbが含まれ、その画像マップMbには、円形の形状であって、かつ、特性実験値に応じた濃淡度の色が付されたマークが重畳されている。つまり、特性実験値がそのマークとして画像マップMbに重畳されている。なお、画像処理部734は、特性評価値が特性実験値と同一の次元または単位で表現される場合には、特性実験値と濃淡度との関係と、特性評価値と濃淡度との関係とを、同一にしてもよい。言い換えれば、特性評価値に対する濃淡度のスケールと、特性実験値に対する濃淡度のスケールとを共通にしてもよい。これにより、1つの化合物に対する特性評価値と特性実験値とが大きく異なる場合には、画像マップMb上のその化合物に対応する位置における色の濃淡度と、特性実験値のマークに付される色の濃淡度とは大きく異なる。その結果、例えば、図69Aの(a)に示す例のように、特性評価値から大きく異なる特性実験値のマークe1を目立たせることができる。つまり、特性実験値が特性評価値から外れていることを視覚的に理解しやすくすることができる。言い換えれば、特性実験値のマークにおける色の濃淡度と特性評価値における色の濃淡度とが視覚的に同じであれば、ユーザは、特性実験値と特性評価値とはほぼ一致していることを視覚的にすぐ理解できる。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、第2情報d20の第2表示対象情報d22を変更する。例えば、表示方法取得部733は、その第2表示対象情報d22の変更を示す入力信号を入力部110から取得すると、その入力信号に応じて第2表示対象情報d22を、図69Bの(b)に示すように変更する。
図69Bの(b)の例では、マークの形状に対しては、結晶相が選択され、マークの色の濃淡度に対しては、特性1が選択されている。
実験値取得部732は、このように変更された第2表示対象情報d22を表示方法取得部733から取得する。そして、実験値取得部732は、探索範囲に含まれる構成を有する化合物のうち、その第2表示対象情報d22において選択されている特性1および結晶相のそれぞれの特性実験値に関連付けられている化合物を、実験データベース650の実験データから検索する。なお、本実施の形態では、結晶相の種別は、特性実験値として示される。実験値取得部732は、その検索された実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の構成と、その化合物の特性1の特性実験値と、その化合物の結晶相の特性実験値(すなわち結晶相の種別)とを実験データベース650から取得し、それらを画像処理部734に出力する。
画像処理部734は、表示方法取得部733から、変更された第2表示対象情報d22を取得し、実験値取得部732から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の構成と、特性1の特性実験値と、結晶相の特性実験値とを取得する。そして、画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性1の特性実験値および結晶相の特性実験値(すなわち結晶相の種別)を示すマークを、その化合物の構成に対応する画像マップMb上の位置に重畳する。このとき、画像処理部734は、第2表示対象情報d22にしたがってマークを重畳する。つまり、画像処理部734は、化合物の結晶相の特性実験値に応じた形状を有し、かつ、その化合物の特性1の特性実験値に応じた濃淡度の色を有するマークを画像マップMbに重畳する。
その結果、画像処理部734は、図69Bの(a)に示す第3画像を表示部140に表示する。この第3画像には画像マップMbが含まれ、その画像マップMbには、円形の形状を有し、かつ、特性1の特性実験値に応じた濃淡度の色が付されたマークe2と、三角形の形状を有し、かつ、特性1の特性実験値に応じた濃淡度の色が付されたマークe3と、が重畳されている。円形の形状のマークe2は、そのマークe2の位置に対応する構成を有する化合物の結晶相が第1種別であることを示し、三角形の形状のマークe3は、そのマークe3の位置に対応する構成を有する化合物の結晶相が第2種別であることを示す。
このように、マークの形状は、結晶相の特性実験値、すなわち結晶相の種別に応じて、円形、三角形などの形状に設定される。また、マークの色の濃淡度は、特性1の特性実験値に応じて設定される。その結果、図69Bの(a)に示す第3画像では、マークe3の色の濃淡度は、図69Aの(a)の例と同様、画像要素マップMa上におけるマークe3の位置およびその周辺の色の濃淡度と大きく異なり、マークe3の形状も、他のマークe2の形状と異なっている。したがて、その第3画像を見たユーザは、マークe3の位置に対応する構成を有する化合物について、その化合物の特性1の特性実験値が特性評価値から大きく異なり、かつ、その化合物の結晶相の種別が他のマークe2に対応する化合物の結晶相の種別と異なっていることを、視覚的に理解できる。つまり、本実施の形態における表示システム700では、例えばプロセス条件が最適ではない可能性があることをユーザに示唆することができる。このように、第2表示対象情報d22の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第3画像に動的に変化する。これにより、例えば、複数の化合物間において、それらの特性実験値の比較、および、結晶相の比較が容易となり、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
つまり、本実施の形態における特性表示装置730は、実験値取得部732と、表示方法取得部733と、画像処理部734とを備える。表示方法取得部733は、化合物の特性実験値を表示するための第2情報d20を取得する。実験値取得部732および画像処理部734は、その第2情報d20に基づいて、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性実験値を取得し、その化合物の構成に対応する画像マップMb上の位置にその化合物の特性実験値を重畳する。
これにより、第2情報d20に基づいて特性実験値が画像マップMbに重畳されるため、画像マップMbにおいて示される複数の化合物のそれぞれの特性評価値と特性実験値とを適切に対比可能に表示することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置730では、表示方法取得部733によって、第2情報d20が変更される。画像処理部734は、画像マップMbに重畳されている1つ以上の特性実験値の表示態様が変更された画像マップMbを含む第3画像を、表示部140に出力する。具体的には、画像処理部734は、変更された第2情報d20にしたがって、画像マップMbに重畳されている1つ以上の特性実験値の表示態様を変更することによって、その画像マップMbを変更し、変更された画像マップMbを含む第3画像を生成し、表示部140に出力する。例えば、その第3画像は表示部140に出力されて表示される。
これにより、第2情報d20が変更されると、その変更内容に応じた表示態様で特性実験値が重畳された画像マップMbが第3画像に含まれて表示されるため、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を様々な視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
また、本実施の形態における特性表示装置730では、第2情報d20は、1つ以上の特性の種別を示す第2表示対象情報d22を含む。実験値取得部732は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、第2表示対象情報d22によって示される1つ以上の特性の種別の各々に対する特性実験値を取得する。画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その1つ以上の特性の種別の各々に対する特性実験値に応じた形態のマークを画像マップMbに重畳する。表示方法取得部733では、第2表示対象情報d22によって示される1つ以上の特性の種別が変更される。
これにより、第2表示対象情報d22が変更されると、その変更内容に応じた表示態様で特性実験値が重畳された画像マップMbが第3画像に含まれて表示されるため、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な種別の特性の視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
また、本実施の形態における特性表示装置730では、第2情報d20は、色相、彩度および明度のうちの少なくとも1つを特性実験値の色属性として示す第2色彩情報d21を含む。画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値が、第2色彩情報d21によって示される色属性を有する色で重畳された画像マップMbを生成する。表示方法取得部733では、第2色彩情報d21によって示される色属性が変更される。例えば、表示方法取得部733は、ユーザによる入力部110への入力操作に応じてその色属性を変更する。
これにより、画像マップMbに示される特性実験値の色は、変更された色属性を有する色に変更される。したがって、画像マップMbに示される特性評価値の色属性を任意に変更することができ、ユーザの見やすい特性実験値が重畳された画像マップMbを第3画像に含めて表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
[画像の変更の具体例2]
図70Aおよび図70Bは、表示条件情報d23の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図70Aは、第2情報d20に含まれる表示条件情報d23と、その表示条件情報d23にしたがって表示部140に表示される第1画像の一例を示す。図70Bは、変更後の表示条件情報d23と、その変更後の表示条件情報d23にしたがって表示部140に表示される第3画像の一例を示す。
例えば、表示方法取得部733は、図70Aの(b)に示す表示条件情報d23を実験表示データベース740から取得する。表示条件情報d23は、特性実験値の表示に関する条件である閾値について、閾値設定「あり」と閾値設定「なし」とを選択肢として示す。ここで、その表示条件情報d23では、閾値設定「なし」が選択されている。
画像処理部734は、上述と同様、評価値取得部632によって取得された特性評価値を示す画像マップMbを生成する。さらに、画像処理部734は、表示方法取得部733から表示条件情報d23を取得し、実験値取得部732から実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。そして、画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性実験値を示すマークを、その化合物の構成に対応する画像マップMb上の位置に重畳する。このとき、画像処理部734は、表示条件情報d23にしたがってマークを重畳する。つまり、表示条件情報d23において閾値設定「なし」が選択されているため、画像処理部734は、実験値取得部732によって取得された特性実験値の大きさに関わらずに同一の形状を有し、かつ、その特性実験値に応じた濃淡度の色を有するマークを、画像マップMbに重畳する。
その結果、画像処理部734は、図70Aの(a)に示す第1画像を表示部140に表示する。この第1画像には画像マップMbが含まれ、その画像マップMbには、実験値取得部732によって取得された例えば全ての特性実験値のそれぞれが、円形の形状を有し、かつ、その特性実験値に応じた濃淡度の色を有するマークとして重畳されている。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、第2情報d20の表示条件情報d23を変更する。例えば、表示方法取得部733は、その表示条件情報d23の変更を示す入力信号を入力部110から取得すると、その入力信号に応じて表示条件情報d23を、図70Bの(b)に示すように変更する。
図70Bの(b)の例では、閾値設定「あり」が選択されている。さらに、その表示条件情報d23は、数値指定の閾値として閾値「3.5」を示す。つまり、表示条件情報d23は、特性実験値が閾値「3.5」以上であることを、条件の内容として示す。なお、表示条件情報d23では、件数指定の閾値が設定されてもよく、日付指定の閾値が設定されてもよい。件数指定の閾値が設定されている場合、その表示条件情報d23は、特性実験値の数が閾値以上または閾値以下であることを、条件の内容として示す。日付指定の閾値が設定されている場合、その表示条件情報d23は、特性実験値が実験によって得られた日付が閾値の日付以降または閾値の日付以前であることを、条件の内容として示す。
画像処理部734は、表示方法取得部733から、変更された表示条件情報d23を取得し、実験値取得部732から、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を取得する。そして、画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれについて、その化合物の特性実験値を示すマークを、その化合物の構成に対応する画像マップMb上の位置に重畳する。このとき、画像処理部734は、変更された表示条件情報d23にしたがってマークを重畳する。つまり、表示条件情報d23では、閾値設定「あり」が選択され、特性実験値が閾値「3.5」以上であることが示されている。したがって、画像処理部734は、図70Bの(a)に示すように、実験値取得部732によって取得された特性実験値が閾値「3.5」以上であれば、星形の形状を有し、かつ、その特性実験値に応じた濃淡度の色を有するマークe4を、その特性実験値として画像マップMbに重畳する。一方、画像処理部734は、実験値取得部732によって取得された特性実験値が閾値「3.5」未満であれば、円形の形状を有し、かつ、その特性実験値に応じた濃淡度の色を有するマークe5を、その特性実験値として画像マップMbに重畳する。言い換えれば、画像処理部734は、閾値「3.5」以上の特性実験値に対応するマークe4を、閾値「3.5」未満の特性実験値に対応するマークe5よりも強調させる。そして、画像処理部734は、図70Bの(a)に示すように、マークe4およびe5が重畳された画像マップMbを含む第3画像を表示部140に表示する。
このように、表示条件情報d23の変更によって、表示部140に表示される画像は、第1画像から第3画像に動的に変化する。これにより、例えば、ユーザは実験データを視覚的に理解しやすくなり、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
なお、図70Bの例では、画像処理部734は、閾値「3.5」以上の特性実験値に対応するマークe4の形状を、閾値「3.5」未満の特性実験値に対応するマークe5の形状と異ならせることによって、その閾値「3.5」以上の特性実験値を強調表示する。しかし、画像処理部734は、マークの形状以外の手法によって、閾値「3.5」以上の特性実験値を強調表示してもよい。例えば、マークに対する縁取り、マークに対する光彩による装飾などによって、そのマーク、またはそのマークに対応する特性実験値が強調表示されてもよい。
また、表示条件情報d23において件数指定の閾値が設定されている場合には、例えば、大きい順に閾値の数だけの特性実験値が強調表示される。これにより、ユーザは、多数の特性実験値から有望な特性実験値を容易に理解することができる。また、表示条件情報d23において日付指定の閾値が設定されている場合には、例えば、閾値の日付以降に実験によって得られた特性実験値が強調表示される。これにより、ユーザは、最近の実験状況、または日々の実験状況を容易に把握することができる。
このように、本実施の形態における特性表示装置730では、第2情報d20は、閾値に基づく特性実験値の表示条件を示す表示条件情報d23を含む。画像処理部734は、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値のうち、表示条件情報d23によって示される表示条件を満たす特性実験値と、その表示条件を満たしていない特性実験値とを互いに異なる態様でマップに重畳する。表示方法取得部733では、その閾値を大きく、または小さくすることによって表示条件情報d23によって示される表示条件が変更される。
これにより、表示条件情報d23が変更されると、その変更内容に応じた表示態様で特性実験値が重畳された画像マップMbが第3画像に含まれて表示されるため、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性評価値を様々な表示条件の視点から表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。例えば、閾値以上の表示条件を満たす特性実験値の表示態様を、閾値以上の表示条件を満たしていない特性実験値の表示態様よりも強調させることができる。さらに、例えば、ユーザによる閾値の変更によって、画像マップMbにおいて強調される特性実験値を、ユーザの見やすいように変更することができる。
なお、図69A~図70Bに示す画像の変更の具体例では、第1情報d10は変更されていないが、実施の形態3Aと同様、その第1情報d10も変更されてもよい。この場合、第3画像は、第1情報d10および第2情報d20のそれぞれの変更が反映された画像マップMbを含む。
[処理動作]
図71は、本実施の形態における表示システム700の処理動作を示すフローチャートである。
(ステップS211)
表示方法取得部733は、特性評価値の表示方法に関する第1情報d10を評価表示データベース640から取得し、その第1情報d10を評価値取得部632、実験値取得部732、および画像処理部734に出力する。
(ステップS221)
表示方法取得部733は、さらに、特性実験値の表示方法に関する第2情報d20を実験表示データベース740から取得し、その第2情報d20を実験値取得部732および画像処理部734に出力する。
(ステップS222)
実験値取得部732は、表示方法取得部733から第1情報d10および第2情報d20を取得する。そして、実験値取得部732は、その第1情報d10の探索範囲情報d14によって示される探索範囲に含まれる実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値であって、第2情報d20の第2表示対象情報d22によって示される種別の特性実験値を、その化合物の構成と共に実験データベース650から取得する。実験値取得部732は、その実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの構成および特性実験値を画像処理部734に出力する。
(ステップS213)
評価値取得部632は、表示方法取得部733から第1情報d10を取得する。そして、評価値取得部632は、その第1情報d10の算出方法情報d12および探索範囲情報d14などにしたがって、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。このとき、評価値取得部632は、評価器データベース620の1つ以上の評価器を用いて、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を取得する。評価値取得部632は、その複数の化合物のそれぞれの構成と、それらの構成に対応する特性評価値とを、画像処理部734に出力する。
(ステップS223)
画像処理部734は、画像マップMbを含む第1画像を生成する。このとき、画像処理部734は、ステップS211で取得された第1情報d10と、ステップS213で取得された複数の化合物のそれぞれの構成および特性評価値とを用いて画像マップMbを生成する。さらに、画像処理部734は、ステップS222で取得された実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値を、その化合物の構成に対応する画像マップMb上の位置に重畳する。このとき、画像処理部734は、ステップS221で取得された第2情報d20にしたがって、その特性実験値に対応する形態のマークを生成し、そのマークを特性実験値として重畳する。これによって、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値が重畳された画像マップMbを含む第1画像が生成される。画像処理部734は、その第1画像を表示部140に出力する。
(ステップS224)
表示部140は、画像処理部734から第1画像を取得し、その第1画像を表示する。
(ステップS225)
ユーザは、入力部110に対して入力操作を行う。入力部110は、そのユーザによる入力操作に応じて、第1画像の表示の変更を示す入力信号を、特性表示装置730の表示方法取得部733に出力する。表示方法取得部733は、その入力信号を取得することによって、その第1画像の表示の変更を受け付ける。
(ステップS226)
表示方法取得部733は、ステップS225において取得された入力信号にしたがって、ステップS211で取得された第1情報d10と、ステップS221で取得された第2情報d20とのうちの少なくとも1つの情報を変更する。そして、表示方法取得部733は、その変更された少なくとも1つの情報を、評価値取得部632、実験値取得部732、および画像処理部734のうちの少なくとも2つに出力する。つまり、表示方法取得部733は、第1情報d10が変更された場合には、その変更された第1情報d10を、評価値取得部632、実験値取得部732、および画像処理部734に出力する。また、表示方法取得部733は、第2情報d20が変更された場合には、その変更された第2情報d20を、実験値取得部732および画像処理部734に出力する。
(ステップS227)
評価値取得部632は、その変更された第1情報d10を表示方法取得部733から取得すると、その第1情報d10の変更内容に応じて、特性評価値を取得し直す。実験値取得部732は、その変更された第1情報d10および第2情報d20を表示方法取得部733から取得すると、その第1情報d10および第2情報d20の変更内容に応じて、特性実験値を取得し直す。そして、画像処理部734は、変更された第1情報d10および第2情報d20にしたがって第3画像を生成する。この第3画像は、例えば、取得し直された特性評価値を示し、かつ、取得し直された特性実験値が重畳された画像マップMbを含む。画像処理部734は、その第3画像を表示部140に出力する。
(ステップS228)
表示部140は、画像処理部734から第3画像を取得し、その第3画像を表示する。
(実施の形態3C)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態3Bと同様、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値が重畳されたマップを含む画像を生成して表示する。さらに、本実施の形態における表示システムは、過去に生成された1つ以上の画像を保存し、保存されている画像を表示する。
なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1、2、3Aおよび3Bと同一の構成要素については、実施の形態1、2、3Aおよび3Bと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、画像マップMbがマップの一例として挙げられているが、本実施の形態におけるマップは、画像マップMbに限定されることなく、画像要素マップMaであってもよく、複数の画像マップMbの集合であってもよい。
[表示システム800の構成]
図72は、本実施の形態における表示システム800の構成の一例を示すブロック図である。図72に示す表示システム800は、入力部110と、評価器データベース620と、特性表示装置830と、表示部140と、評価表示データベース640と、実験データベース650と、実験表示データベース740と、画像格納部820とを備える。なお、特性表示装置830は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置830は、実施の形態3Bの特性表示装置730と同様、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を示すマップを生成し、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値をそのマップに重畳する。そして、特性表示装置830は、そのマップを含む画像を生成して表示部140に表示する。ここで、本実施の形態における特性表示装置830は、その画像が生成された日付をその画像に付加し、日付が付加された画像を画像格納部820に保存する。そして、特性表示装置830は、日付を示す入力信号を入力部110から受けると、その日付に応じた画像を画像格納部820から取得して表示部140に表示する。
このような特性表示装置830は、評価値取得部632と、表示方法取得部833と、実験値取得部732と、画像処理部834とを備える。なお、特性表示装置830は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置830として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
[表示方法取得部833]
表示方法取得部833は、実施の形態3Bの表示方法取得部733と同様の機能を有するとともに、さらに、入力部110から日付を示す入力信号を日付設定情報d30として取得する。この日付設定情報d30は、ユーザによって設定された日付が付加された画像の表示を促す情報である。表示方法取得部833は、その日付設定情報d30を取得すると、その日付設定情報d30を画像処理部834に出力する。これにより、その日付設定情報d30によって示される日付が付加された画像が第4画像として表示部140に表示される。
さらに、表示方法取得部833は、入力部110から日付の変更を示す入力信号を取得すると、日付設定情報d30をその入力信号に応じて変更し、変更後の日付設定情報d30を画像処理部834に出力する。これにより、変更後の日付設定情報d30によって示される日付が付加された画像が第5画像として表示部140に表示される。
[画像処理部834]
画像処理部834は、実施の形態3Bの画像処理部734と同様の機能を有するとともに、さらに、生成されたマップを含む画像を画像格納部820に格納する。このとき、画像処理部834は、その画像が生成された日付をその画像に付加して画像格納部820に格納する。その画像は、第1画像、第2画像および第3画像のうちの何れの画像であってもよい。また、画像格納部820には、その日付が付加された画像が保存画像として画像格納部820に格納される。
また、画像処理部834は、表示方法取得部833から日付設定情報d30を取得すると、その日付設定情報d30によって示される日付が付加された保存画像を画像格納部820から検索する。そして、画像処理部834は、その日付が付加された保存画像を画像格納部820から取得し、その保存画像を第4画像または第5画像として表示部140に出力する。
[画像格納部820]
画像格納部820は、画像処理部834によって生成されたマップを含む画像を保存画像として格納するための記録媒体である。この記録媒体は、例えば、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。なお、画像格納部820に格納される保存画像には、その保存画像が生成された日付が付随情報として付加されている。
[画像の変更の具体例]
図73Aおよび図73Bは、日付設定情報d30の変更に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図73Aは、日付設定情報d30を受け付けるための設定画像と、その日付設定情報d30にしたがって表示部140に表示される第4画像の一例を示す。図73Bは、変更後の日付設定情報d30を受け付けるための設定画像と、その変更後の日付設定情報d30にしたがって表示部140に表示される第5画像の一例を示す。
例えば、表示方法取得部833は、日付設定情報d30を入力部110から取得する。具体的には、画像処理部834は、図73Aの(b)に示すように、その日付設定情報d30を受け付けるための設定画像を表示部140に表示する。設定画像は、日付の設定に対して、ONとOFFとをそれぞれ選択肢として示す。ユーザは、その設定画像を見ながら入力部110に対する入力操作を行う。例えば、ユーザは、その入力操作によってOFFを選択する。入力部110は、その入力操作に応じた入力信号である日付設定情報d30を表示方法取得部833に出力する。その日付設定情報d30は、日付の設定に対してOFFを示す。表示方法取得部833は、その日付設定情報d30を画像処理部834に出力する。
画像処理部834は、その日付設定情報d30を表示方法取得部833から取得すると、その日付設定情報d30においてOFFが示されているため、画像格納部820から最新の保存画像を取得する。そして、画像処理部834は、その最新の保存画像を第4画像として表示部140に出力する。つまり、画像処理部834は、図73Aの(a)に示す第4画像を表示部140に表示する。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、日付設定情報d30を変更する。具体的には、画像処理部834は、図73Bの(b1)~(b3)に示すように、その日付設定情報d30の変更を受け付けるための設定画像を表示部140に表示する。ユーザは、その設定画像を見ながら入力部110に対する入力操作を行う。例えば、ユーザは、その入力操作によってONを選択する。これにより、画像処理部834は、入力部110から表示方法取得部833を介して、そのONを示す入力信号を受け付けると、日付を設定するためのスライダーおよびスライダーバーと、連続再生ボタンとを設定画像に含める。ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、例えば図73Bの(b1)に示すように、スライダーを移動させて日付を2018年4月1日に設定する。その結果、日付設定情報d30が変更される。つまり、日付設定情報d30は、日付の設定に対してOFFを示す情報から、日付の設定に対して2018年4月1日を示す情報に変更される。表示方法取得部833は、その変更後の日付設定情報d30を入力部110から取得して、その変更後の日付設定情報d30を画像処理部834に出力する。
画像処理部834は、その変更後の日付設定情報d30を表示方法取得部833から取得すると、その変更後の日付設定情報d30に2018年4月1日が示されているため、2018年4月1日が日付として付加されている保存画像を画像格納部820から検索する。そして、画像処理部834は、その保存画像を画像格納部820から取得して、その保存画像を第5画像として表示部140に出力する。つまり、画像処理部834は、図73Bの(a1)に示す第5画像を表示部140に表示する。
同様に、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、例えば図73Bの(b2)または(b3)に示すように、スライダーを移動させて日付を2018年4月2日または2018年4月3日に設定する。この場合にも、上述と同様、日付設定情報d30が変更される。その結果、画像処理部834は、その変更後の日付設定情報d30を表示方法取得部833から取得すると、その変更後の日付設定情報d30に対応する日付が付加されている保存画像を画像格納部820から検索する。そして、画像処理部834は、その保存画像を画像格納部820から取得して、その保存画像を第5画像として表示部140に出力する。つまり、画像処理部834は、図73Bの(a2)または(a3)に示す第5画像を表示部140に表示する。
上述の例では、ユーザはスライダーを移動させたが、連続再生ボタンを選択してもよい。この場合、画像処理部834は、古い日付の保存画像から新しい日付の保存画像まで、各保存画像を画像格納部820から取得して、それらの保存画像を古い日付の保存画像から順に第5画像として表示部140に表示する。
このように、日付設定情報d30の変更によって、表示部140に表示される画像は、第4画像から第5画像に動的に変化する。これにより、ユーザは日々の実験進捗を容易に把握することができ、ユーザによる材料開発を適切に支援することができる。
なお、ユーザが複数の日付を設定した場合には、表示方法取得部833は、それらの複数の日付を示す日付設定情報d30を画像処理部834に出力してもよい。この場合、画像処理部834は、その複数の日付のそれぞれで生成された保存画像を日付順に並べて表示部140に表示してもよい。これにより、ユーザは複数の保存画像を容易に比較することができる。
また、画像処理部834は、画像マップMbを含む画像を変更操作不可能な状態の画像に変換し、その変更操作不可能な状態の画像を保存画像として画像格納部820に格納してもよい。そして、画像処理部834は、その保存画像を画像格納部820から取得してそのまま表示部140に表示してもよく、その保存画像を変更操作可能な状態の画像に再構成し、その再構成された画像を表示部140に表示してもよい。変更操作不可能な状態の画像は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、GIF(Graphics Interchange Format)、またはPNG(Portable Network Graphics)などの形式の画像であってもよい。このような変更操作不可能な状態の画像は、第1情報d10、第2情報d20、日付設定情報d30などの変更に応じて更新されることが不可能な画像である。一方、変更操作可能な状態の画像は、第1情報d10、第2情報d20、日付設定情報d30などの変更に応じて更新されることが可能な画像である。再構成は、その画像の状態を変更操作不可能な状態から変更操作可能な状態に戻す処理である。これにより、変更操作不可能な状態の画像の方が、変更操作可能な状態の画像よりもデータ量が少ない場合には、画像格納部820の記憶容量を抑えることができる。また、その変更操作不可能な状態の画像が画像格納部820から読み出されて変更操作可能な状態の画像に再構成された後に表示部140に表示されるため、ユーザは、第1情報d10、第2情報d20、日付設定情報d30などの変更を行うことによって、その表示された画像を更新することができる。これにより、過去に生成された画像の追加解析が可能となり、議論の円滑な進行およびより効率的な研究開発が期待される。
このように、本実施の形態における特性表示装置830では、画像処理部834は、第1画像が生成された時点を示す付随情報を第1画像に関連付け、その付随情報が関連付けられた第1画像を保存画像として画像格納部820に格納する。また、画像処理部834は、第2画像の生成では、その第2画像が生成された時点を示す付随情報をその第2画像に関連付け、その付随情報が関連付けられた第2画像を保存画像として画像格納部820に格納する。表示方法取得部833は、第1時点を示す時点情報を取得する。画像処理部834は、その時点情報によって示される第1時点に対応する付随情報に関連付けられている保存画像を、第4画像として画像格納部820から読み出して表示部140に出力する。また、表示方法取得部833では、時点情報によって示される第1時点が第2時点に変更される。このとき、画像処理部834は、第2時点に対応する付随情報に関連付けられている保存画像を、第5画像として画像格納部820から読み出し、第4画像の代わりに第5画像を表示部140に出力する。例えば、付随情報は、第1画像または第2画像が生成された日付を示し、時点情報は、上述の日付設定情報d30に相当する。また、第1時点および第2時点は、日付のような絶対的な時点であってもよく、最新の時点のように、相対的な時点であってもよい。例えば、第4画像および第5画像は表示部140に出力されて表示される。
これにより、例えば日付設定情報d30である時点情報に応じて、過去に生成された第1画像または第2画像を画像格納部820から読み出して第4画像として表示することができる。さらに、その時点情報の変更によって、ユーザの所望の時点で生成された第1画像または第2画像を記録媒体から読み出して第5画像として表示することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができる。
[処理動作]
図74は、本実施の形態における表示システム800の処理動作を示すフローチャートである。
(ステップS230)
まず、表示システム800は、画像生成処理を実行する。つまり、表示システム800は、このステップS230における画像生成処理では、実施の形態3Bにおける図71のフローチャートに示される各ステップ、または、そのフローチャートに含まれるステップS211、S213およびS221~S224を実行する。これにより、第1画像、第2画像および第3画像のうちの少なくとも第1画像が生成されて表示される。
(ステップS231)
次に、特性表示装置830の画像処理部834は、ステップS230の画像生成処理によって生成された画像を保存画像として保存する。このとき、画像処理部834は、画像が生成された日付をその画像に対して付加し、日付が付加された画像を保存画像として画像格納部820に格納する。
(ステップS232)
次に、特性表示装置830の表示方法取得部833は、日付設定情報d30を入力部110から受け付けたか否かを判定する。ここで、日付設定情報d30を受け付けていないと表示方法取得部833によって判定されると(ステップS232のNo)、表示システム800は、ステップS230からの処理を繰り返し実行する。
(ステップS233)
一方、ステップS232において、日付設定情報d30を受け付けたと表示方法取得部833によって判定されると(ステップS232のYes)、画像処理部834は、その日付設定情報d30を表示方法取得部833から取得する。そして、画像処理部834は、その日付設定情報d30によって示される日付が付加されている保存画像を第4画像として画像格納部820から取得する。
(ステップS234)
画像処理部834は、ステップS233で取得された第4画像を表示部140に出力することによって、その第4画像を表示部140に表示する。
(ステップS235)
次に、表示方法取得部833は、日付設定情報d30の変更を入力部110から受け付けたか否かを判定する。ここで、日付設定情報d30の変更を入力部110から受け付けていないと表示方法取得部833によって判定されると(ステップS235のNo)、特性表示装置830は、ステップS238の処理を実行する。
(ステップS236)
一方、日付設定情報d30の変更を入力部110から受け付けたと表示方法取得部833によって判定されると(ステップS235のYes)、画像処理部834は、第5画像を取得する。すなわち、画像処理部834は、変更後の日付設定情報d30によって示される日付が付加されている保存画像を第5画像として画像格納部820から取得する。
(ステップS237)
画像処理部834は、ステップS236で取得された第5画像を表示部140に出力することによって、その第5画像を表示部140に表示する。
(ステップS238)
次に、特性表示装置830は、処理の終了条件が満たされているか否かを判定する。例えば、特性表示装置830は、入力部110から入力信号を取得し、その入力信号が処理の終了を示している場合には、処理の終了条件が満たされていると判定する。ここで、特性表示装置830は、処理の終了条件が満たされていないと判定すると(ステップS238のNo)、ステップS235からの処理を繰り返し実行する。一方、特性表示装置830は、処理の終了条件が満たされていると判定すると(ステップS238のYes)、特性表示に関する全ての処理を終了する。
(実施の形態3D)
本実施の形態における表示システムは、実施の形態3Bと同様、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値が重畳されたマップを含む画像を生成して表示する。さらに、本実施の形態における表示システムは、マップ上における特性評価値または特性実験値が選択された場合には、その選択された特性評価値または特性実験値を有する化合物の組成式を表示する。
なお、本実施の形態における各構成要素のうち、実施の形態1、2、および3A~3Cと同一の構成要素については、実施の形態1、2、および3A~3Cと同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態では、画像マップMbがマップの一例として挙げられているが、本実施の形態におけるマップは、画像マップMbに限定されることなく、画像要素マップMaであってもよく、複数の画像マップMbの集合であってもよい。
[表示システム900の構成]
図75は、本実施の形態における表示システム900の構成の一例を示すブロック図である。図75に示す表示システム900は、入力部110と、評価器データベース620と、特性表示装置930と、表示部140と、評価表示データベース640aと、実験データベース650と、実験表示データベース740aとを備える。なお、特性表示装置930は、情報表示装置の一例である。
本実施の形態における特性表示装置930は、実施の形態3Bの特性表示装置730と同様、複数の化合物のそれぞれの特性評価値を示すマップを生成し、実験済みの1つ以上の化合物のそれぞれの特性実験値をそのマップに重畳する。そして、特性表示装置930は、そのマップを含む画像を生成して表示部140に表示する。ここで、本実施の形態における特性表示装置930は、そのマップ上における特性評価値が選択されると、その特性評価値を有する化合物の組成式を、評価表示データベース640aを用いて特定し、その組成式を表示部140に表示する。同様に、本実施の形態における特性表示装置930は、そのマップ上における特性実験値が選択されると、その特性実験値を有する化合物の組成式を、実験表示データベース740aを用いて特定し、その組成式を表示部140に表示する。
このような特性表示装置930は、評価値取得部632と、表示方法取得部933と、実験値取得部732と、画像処理部934とを備える。なお、特性表示装置930は、例えばCPUなどのプロセッサとメモリとから構成されていてもよい。この場合、プロセッサは、例えばメモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することによって、特性表示装置930として機能する。なお、メモリは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、揮発性のメモリと不揮発性のメモリとから構成されていてもよい。
[表示方法取得部933]
表示方法取得部933は、実施の形態3Bの表示方法取得部733と同様の機能を有する。さらに、表示方法取得部933は、ユーザによって選択された特性評価値または特性実験値を有する化合物の組成式を特定する。例えば、ユーザは、表示部140に表示されている画像を見て、その画像中のマップに示される特性評価値を、入力部110に対する入力操作によって選択する。入力部110は、そのユーザによる入力操作に応じて選択された特性評価値のマップ上における位置を示す入力信号を、位置情報d40として表示方法取得部933に出力する。表示方法取得部933は、その位置情報d40を入力部110から取得すると、その位置情報d40によって示される位置に対応する組成式を、評価表示データベース640aに含まれる後述の第1組成情報を用いて特定する。
同様に、例えば、ユーザは、表示部140に表示されている画像を見て、その画像中のマップに示される特性実験値を、入力部110に対する入力操作によって選択する。入力部110は、そのユーザによる入力操作に応じて選択された特性実験値のマップ上における位置を示す入力信号を、位置情報d40として表示方法取得部933に出力する。表示方法取得部933は、その位置情報d40を入力部110から取得すると、その位置情報d40によって示される位置に対応する組成式を、実験表示データベース740aに含まれる後述の第2組成情報を用いて特定する。
そして、表示方法取得部933は、その特定された組成式を画像処理部934に出力する。
[画像処理部934]
画像処理部934は、実施の形態3Bの画像処理部734と同様の機能を有する。さらに、画像処理部934は、表示方法取得部933から組成式を受けると、その組成式を示す組成画像を表示部140に出力する。これにより、その組成画像が表示部140に表示される。
[評価表示データベース640a]
図76は、評価表示データベース640aに格納されている情報の一例を示す図である。
本実施の形態における評価表示データベース640aは、実施の形態3A~3Cの評価表示データベース640と同様、第1情報d10を格納している記録媒体であって、さらに、第1組成情報d18を保持している。第1組成情報d18は、マップ上における各特性評価値の位置に対応する組成式を示す情報である。
[実験表示データベース740a]
図77は、実験表示データベース740aに格納されている情報の一例を示す図である。
本実施の形態における実験表示データベース740aは、実施の形態3Bおよび3Cの実験表示データベース740と同様、第2情報d20を格納している記録媒体であって、さらに、第2組成情報d24を保持している。第2組成情報d24は、マップ上における各特性実験値の位置に対応する組成式を示す情報である。
[画像の変更の具体例]
図78は、位置情報d40の取得に伴う画像の遷移の一例を示す図である。具体的には、図78の(a)は、表示部140に表示される第6画像の一例を示し、図78の(b)は、位置情報d40にしたがって表示部140に表示される第7画像の一例を示す。なお、第6画像は、例えば第1画像、第2画像または第3画像である。
例えば、画像処理部934は、図78の(a)に示すように、実施の形態3Bと同様、画像マップMbを含む第6画像を表示部140に表示する。また、その画像マップMbには1つ以上の特性実験値が重畳されている。
ここで、ユーザは、入力部110に対する入力操作を行うことによって、その1つ以上の特性実験値のうちの何れか1つを選択する。その結果、入力部110は、その入力操作に応じて、選択された特性実験値の画像マップMb上における位置を示す位置情報d40を表示方法取得部933に出力する。表示方法取得部933は、その位置情報d40を入力部110から取得すると、実験表示データベース740aから第2組成情報d24を取得する。そして、表示方法取得部933は、位置情報d40に示されている画像マップMb上の位置に関連付けられている組成式をその第2組成情報d24から検索する。表示方法取得部933は、その検索された組成式を画像処理部934に出力する。
画像処理部934は、その組成式を表示方法取得部933から取得すると、図78の(b)に示すように、その組成式を示す組成画像f1を生成する。そして、画像処理部934は、その組成画像f1を画像マップMbに重畳することによって第7画像を生成し、その第7画像を表示部140に出力する。その結果、図78の(b)に示すように、組成画像f1が重畳された第7画像が表示部140に表示される。つまり、表示部140に表示される画像が第6画像から第7画像に動的に変化する。
なお、図78の例では、特性実験値が選択されるが、特性評価値が選択されてもよい。この場合には、表示方法取得部933は、評価表示データベース640aから第1組成情報d18を取得する。そして、表示方法取得部933は、位置情報d40に示されている画像マップMb上の位置に関連付けられている組成式をその第1組成情報d18から検索する。表示方法取得部933は、その検索された組成式を画像処理部934に出力する。その結果、図78の(b)の例と同様、選択された特性評価値に対応する組成式を示す組成画像f1が画像マップMbに重畳され、その画像マップMbを含む第7画像が表示部140に表示される。
また、入力部110がマウスである場合、ユーザによる特性実験値または特性評価値の選択は、そのマウスのクリックによって行われてもよく、クリックアンドホールドによって行われてもよい。クリックアンドホールドの場合には、画像処理部934は、そのクリックアンドホールドが行われている間、組成画像f1を表示部140に表示させてもよい。
これにより、ユーザは、選択した特性評価値または特性実験値に対応する化合物の組成式を、範囲変数の選択肢データから求めることなく、簡便に把握することができる。その結果、議論の円滑な進行、および、より効率的な研究開発が期待される。また、特性評価値が選択された場合、組成画像f1に示される組成式は、厳密な組成式でなくてもよい。言い換えれば、画像要素マップMaの格子点以外の位置にある特性評価値が選択された場合、その位置の最近傍にある格子点に対応する組成式が、組成画像に含まれて表示されてもよい。
このように、本実施の形態における特性表示装置930では、表示方法取得部933は、第1画像、第2画像または第3画像である第6画像に含まれる画像マップMb上における、特性評価値または特性実験値の位置を示す位置情報d40を取得する。そして、表示方法取得部933は、その位置情報d40によって示される位置に対応する化合物の組成式に関する組成式データを取得する。画像処理部934は、その組成式データを示す組成画像f1を画像マップMbに重畳することによって、その第6画像を第7画像に変更する。例えば、第7画像は表示部140に出力されて表示される。なお、組成式データは、化合物の組成式そのものを示すデータであってもよく、組成式そのものに限らず、その組成式に関する内容であればどのような内容を示してもよい。
これにより、画像マップMbに示されている特性評価値または特性実験値を有する化合物の組成式を、その画像マップMbの座標軸から読み取ることが難しくても、位置情報d40によって、その組成式を示す組成画像f1が表示される。したがって、ユーザはその組成式を容易に把握することができる。その結果、材料探索の効率化を図ることができ、材料開発を適切に支援することができる。
なお、本実施の形態では、第1画像、第2画像または第3画像である第6画像が第7画像に変更されるが、その第6画像は、実施の形態3Cの第4画像であってもよく、第5画像であってもよい。
また、図78に示す例では、組成式を示す組成画像f1が表示されるが、その組成式には元素の係数が非可視化変数として含まれていてもよい。この場合には、その非可視化変数は、種々の態様で表示される。
図79は、元素の係数を非可視化変数として含む組成式を示す組成画像の例を示す図である。
例えば、第7画像は、組成式「Li2-3a-4b(Al1-xGax)a(Ti1-yZry)1+bOc」を有する化合物の画像マップMbを含む。この組成式には、元素Oの係数cが非可視化変数(すなわち非活用変数)として含まれている。その係数cには、例えば上述の第1値が代入される。その第1値は定数である。例えば、第1値は3(すなわち、c=3)である。この場合、画像マップMbには、組成式「Li2-3a-4b(Al1-xGax)a(Ti1-yZry)1+bO3」を有する複数の化合物のそれぞれの特性評価値が示される。ここで、ユーザは、画像マップMbのうち、変数(a,b,x,y)=(0.2, 0.1, 0.6, 0.3)の位置に示されている特性評価値を、例えば入力部110であるマウスの操作によって選択する。その結果、画像処理部934は、図79の(a)に示すように、組成画像f1と同一の組成画像f11を画像マップMbに重畳する。なお、係数cに第1値が代入される場合には、画像マップMb上の何れの位置が選択されても、その位置に対して重畳される組成画像には、第1値(すなわち3)が係数cとして表示される。
また、係数cには、上述の第2値が代入される場合がある。第2値は、画像マップMb上の各位置において、その位置に示される特性評価値が最良値となる条件を満たす値である。この場合、ユーザは、画像マップMbのうち、変数(a,b,x,y)=(0.2, 0.1, 0.6, 0.3)の位置に示されている特性評価値を、マウスの操作によって選択する。その結果、画像処理部934は、図79の(b)に示すように、組成画像f12を画像マップMbに重畳する。この組成画像f12によって示される組成式には、係数cとして「3.1」が含まれている。つまり、組成画像f12は、組成式「Li1.0Al0.08Ga0.12Ti0.77Zr0.33Oc」を有する複数の化合物のうち、最良値である特性評価値が得られる化合物の組成式には、第2値である「3.1」が係数cとして含まれていることを示している。さらに、ユーザは、画像マップMbのうち、別の位置に示されている特性評価値、例えば変数(a,b,x,y)=(0.2, 0.1, 0.6, 0.2)の位置に示されている特性評価値を、マウスの操作によって選択する。その結果、画像処理部934は、図79の(c)に示すように、組成画像f13を画像マップMbに重畳する。この組成画像f12によって示される組成式には、係数cとして「2.7」が含まれている。つまり、組成画像f12は、組成式「Li1.0Al0.08Ga0.12Ti0.88Zr0.22Oc」を有する複数の化合物のうち、最良値である特性評価値が得られる化合物の組成式には、第2値である「2.7」が係数cとして含まれていることを示している。このように、係数cに第2値が代入される場合には、画像マップMb上において選択される位置に応じて異なる第2値が、組成画像に表示される。
また、係数cには、上述の所定の数値範囲内の各数値が代入される場合がある。この場合、画像マップMbにおける、変数a、b、x、およびyによって示される各位置には、複数の化合物の特性評価値の平均値が示される。その複数の化合物のそれぞれは、組成式「Li2-3a-4b(Al1-xGax)a(Ti1-yZry)1+bOc」の係数cに代入される各数値によって表現される組成式を有する。なお、その組成式に含まれる変数a、b、x、およびyは、画像マップMbにおける位置に応じた値を示す。
ここで、ユーザは、画像マップMbのうち、変数(a,b,x,y)=(0.2, 0.1, 0.6, 0.3)の位置に示されている特性評価値を、マウスの操作によって選択する。その結果、画像処理部934は、図79の(d)に示すように、組成画像f14を画像マップMbに重畳する。この組成画像f14は、係数cの代わりに、算術処理を意味する単語「mean」を示す。つまり、組成画像f14は、元素Oの係数に基づく特性評価値の平均値が画像マップMbに表れていることを示している。あるいは、画像処理部934は、図79の(e)に示すように、組成画像f15を画像マップMbに重畳する。この組成画像f15は、特性評価値の平均値の算出に用いられる数値範囲、すなわち、係数cに代入される各数値の数値範囲「2.7-3.0」を示している。なお、係数cに所定の数値範囲内の各数値が代入される場合には、画像マップMb上の何れの位置が選択されても、その位置に対して重畳される組成画像には、「mean」またはその数値範囲「2.7-3.0」が表示される。
なお、図79の例では、特性評価値がマウスの操作によって選択されるが、特性予測値が選択されてもよく、特性実験値または実験点が選択されてもよい。特性予測値、特性実験値、または実験点が、選択物として選択される場合であっても、その選択物に対応する組成式を示す組成画像が画像マップMbに重畳される。その選択物が特性予測値の場合には、その特性予測値の算出に用いられた係数cを含む組成式を示す組成画像が重畳される。選択物が特性実験値の場合には、その特性実験値を有する化合物の組成式を示す組成画像が重畳され、選択物が実験点の場合には、その実験点に対応付けられている化合物の組成式を示す組成画像が重畳される。ここで、図24Aおよび図24Bに示す例では、特性実験値を有する化合物の組成式に対応するマップ上の位置が存在しない場合であっても、その特性実験値がマップ上に重畳される。このような例の場合にも、特性実験値が選択されると、上述と同様、その選択された特性実験値を有する化合物の組成式を示す組成画像がマップに重畳される。しかし、その例の場合には、重畳される組成画像の組成式は、マップ上の特性実験値の位置およびその周囲にある特性評価値に対応する組成式と異なる可能性がある。例えば、係数c=3に対応する画像マップMbに、「3」と異なる数値を係数cとして含む組成式を示す組成画像が重畳される場合ある。
このように、本実施の形態における特性表示装置930では、表示方法取得部933は、画像マップMb上における、特性予測値または特性実験値の位置を示す位置情報d40を取得する。そして、画像処理部934は、位置情報d40によって示される位置に対応する化合物の組成式に関する組成式データを取得し、その組成式データを示す組成画像を画像マップMbに重畳する。その組成式データは、特性予測値または特性実験値を有する化合物に関連付けられている非活用変数を含む。なお、非活用変数は、複数の変数のうち、画像マップMbの座標軸に用いられる変数a、b、x、y以外の変数である。また、組成式データは、第1組成情報d18または第2組成情報d24に含まれる例えば組成式を示すデータである。また、表示方法取得部933は、上述のマウスの操作による特性評価値または特性実験値の選択によって、その特性評価値または特性実験値の位置を示す位置情報d40を取得する。
これにより、特性予測値または特性実験値の位置からは、その位置に対応する化合物の非活用変数を把握することができなくても、その非活用変数を含む組成画像が画像マップMbに重畳されるため、表示されるその組成画像を見ることによって、非活用変数を容易に把握することができる。
また、組成画像には、組成式に含まれない変数が非可視化変数として表されていてもよい。その組成式に含まれない変数は、具体的な例では、プロセス変数であってもよい。
図80は、プロセス変数が非可視化変数として用いられている場合の組成画像の例を示す図である。
例えば、第7画像は、組成式「Li2-3a-4b(Al1-xGax)a(Ti1-yZry)1+bO3」を有する化合物の画像マップMbを含む。この画像マップMbの生成には、3つのプロセス変数、すなわち、焼成方法を示す変数Paと、焼成時間を示す変数Pbと、焼成温度を示す変数Pcとが、非可視化変数として用いられている。ここで、ユーザは、画像マップMbのうち、変数(a,b,x,y)=(0.2, 0.1, 0.6, 0.3)の位置に示されている特性評価値を、マウスの操作によって選択する。その結果、画像処理部934は、図80に示すように、組成画像f16を画像マップMbに重畳する。組成画像f16は、そのマウスによって選択された特性評価値を有する化合物の組成式だけでなく、その特性評価値の算出に用いられた変数Pa、Pb、Pcのそれぞれの選択肢データを示す。例えば、「焼成方法Pa=ボールミル」、「焼成時間Pb=1時間」、「焼成温度Pa=100℃」などが、組成画像f16によって示される。
なお、図79および図80の例でのマウスによる選択は、マウスのクリックであってもよく、クリックアンドホールドであってもよく、マウスオーバーであってもよい。また、マウスとは異なる入力デバイスを用いて、上述の選択物が選択されてもよい。
[処理動作]
図81は、本実施の形態における表示システム900の処理動作を示すフローチャートである。
(ステップS230)
まず、表示システム900は、画像生成処理を実行する。つまり、表示システム900は、このステップS230における画像生成処理では、実施の形態3Bにおける図71のフローチャートに示される各ステップ、または、そのフローチャートに含まれるステップS211、S213、およびS221~S224を実行する。これにより、第1画像、第2画像または第3画像が第6画像として表示される。
(ステップS241)
次に、特性表示装置930の表示方法取得部933は、位置情報d40を入力部110から受け付けたか否かを判定する。ここで、位置情報d40を受け付けていないと表示方法取得部933によって判定されると(ステップS241のNo)、表示システム900は、特性表示に関する処理を終了する。
(ステップS242)
一方、ステップS241において、表示方法取得部933は、位置情報d40を受け付けたと判定すると(ステップS241のYes)、評価表示データベース640aまたは実験表示データベース740aから、第1組成情報d18または第2組成情報d24を取得する。例えば、選択された特性評価値の位置が位置情報d40に示されている場合には、表示方法取得部933は、評価表示データベース640aから第1組成情報d18を取得する。また、選択された特性実験値の位置が位置情報d40に示されている場合には、表示方法取得部933は、実験表示データベース740aから第2組成情報d24を取得する。そして、表示方法取得部933は、その第1組成情報d18または第2組成情報d24から、選択された特性評価値または特性実験値を有する化合物の組成式を検索する。そして、画像処理部934は、その検索された組成式を含む組成画像f1を生成する。
(ステップS243)
画像処理部934は、ステップS242で生成された組成画像f1を、ステップS230で生成されて表示されている第6画像の画像マップMbに重畳することによって、第7画像を生成する。
(ステップS244)
画像処理部934は、ステップS243で生成された第7画像を表示部140に出力することによって、その第7画像を表示部140に表示する。
<その他の態様>
以上、本開示に係る種々の表示システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態なども、本開示の範囲内に含まれる。
例えば、上記各実施の形態では、画像要素マップMaまたは画像マップMbなどのマップが生成されるが、画像要素マップMaの代わりに画像マップMbが生成されてもよく、逆に、画像マップMbの代わりに画像要素マップMaが生成されてもよい。また、生成されるマップは、複数の画像マップMbの集合であってもよい。
また、上記各実施の形態では、実験値取得部232、実験値取得部732、および実験点取得部635は、探索範囲に含まれる構成を有する実験済みの化合物の特性実験値または実験点を取得する。しかし、実験値取得部232、実験値取得部732、および実験点取得部635は、その探索範囲だけでなく、その探索範囲に類似する範囲に含まれる構成を有する実験済みの化合物の特性実験値または実験点も取得してもよい。または、実験値取得部232、実験値取得部732、および実験点取得部635は、探索範囲に関わらず、実験データベース150または650に含まれる全ての化合物の特性実験値または実験点を取得してもよい。
また、上記各実施の形態における予測器データベース120および評価器データベース620は、新たな化合物の実験結果が得られるごとに、その実験結果に基づいて更新されてもよい。つまり、予測器データベース120および評価器データベース620は、実験データベース150または650に新たな実験結果が反映されるごとに更新されてもよい。
また、上記各実施の形態では、特性予測値、特性実験値、および特性評価値は、主に色の濃淡度によって示されるが、視覚的に表現される態様であれば、色の濃淡度以外の態様で示されてもよい。例えば、特性予測値、特性実験値、および特性評価値は、色によって示されてもよい。
また、上記実施の形態3A~3Dでは、第1情報d10または第2情報d20が変更される。このとき、特性表示装置は、その第1情報d10または第2情報d20を表示部140に表示し、ユーザは、それらを見ながら入力部110に対する入力操作を行うことによって、第1情報d10または第2情報d20を変更してもよい。
また、上記実施の形態1A、1B、2A~2C、および3A~3Dのうちの何れか1つを他の実施の形態に組み合わせてもよい。例えば、実施の形態1Aおよび1Bにおけるマップおよび特性実験値の表示態様を、実施の形態3A~3Dにおける特性評価値および特性実験値の表示態様に適用してもよい。また、例えば、実施の形態1Aおよび1Bにおけるマップおよび特性実験値の表示態様を、実施の形態2A~2Cにおける候補点の表示態様に適用してもよい。より具体的には、実施の形態2A~2Cでは、特性表示装置は、実施の形態1の第1表示方法情報および第2表示方法情報を取得し、それらの情報に応じた処理を行ってもよい。
例えば、上記各実施の形態における特性表示装置は、表示システムの一部であるが、その表示システムの全ての構成を含んでいてもよい。例えば、図13に示す特性表示装置230は、入力部110、予測器データベース120、実験データベース150などを備えていてもよい。また、特性表示装置は、複数のプロセッサを備えていてもよい。また、特性表示装置は、1つのコンピュータ装置として構成されていてもよく、互いに通信可能に接続された複数のコンピュータ装置から構成されていてもよい。すなわち、上記各実施の形態における特性表示装置に含まれる複数の構成要素は、1つの同一の装置に備えられることなく、互い異なる装置に分散して配置されていてもよい。
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の特性表示装置などを実現するプログラムは、例えば、図10、図23、図42、図48、図63、図66、図71、図74、および図81の少なくとも1つのフローチャートに含まれる各ステップをプロセッサに実行させてもよい。
(ハードウェア構成)
上記の表示システム100~900は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、およびマウスなどから構成されるコンピュータシステムにより構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、表示プログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、表示プログラムに従って動作することにより、表示システム100~900は、その機能を達成する。ここで表示プログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
さらに、上記の表示システム100~900を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
さらにまた、上記の表示システム100~900を構成する構成要素の一部または全部は、コンピュータに脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、およびRAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含んでも良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有しても良い。
また、本開示は、上記の表示システム100~900により実行される表示方法であるとしても良い。また、この表示方法は、コンピュータが表示プログラムを実行することで実現されてもよいし、表示プログラムからなるデジタル信号で実現されても良い。
さらに、本開示は、表示プログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体で構成されてもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどである。また、表示プログラムは、非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号で構成されてもよい。
また、本開示は、上記表示プログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線若しくは有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、またはデータ放送などを経由して伝送することで構成されてもよい。
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、表示プログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、表示プログラムに従って動作するとしても良い。
また、表示プログラムもしくは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または、表示プログラムもしくは上記デジタル信号を、上記ネットワークなどを経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施されてもよい。
また、表示システムは、サーバと、サーバに対してネットワークを介して接続されたユーザが所持する端末とで構成されてもよい。