WO2022138774A1 - 歯のケア用組成物及び生体組織における石灰化促進方法 - Google Patents

歯のケア用組成物及び生体組織における石灰化促進方法 Download PDF

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Abstract

スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はアリール基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む、歯のケア用組成物。また、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を促進させるために用いる組成物。

Description

歯のケア用組成物及び生体組織における石灰化促進方法 関連出願の相互参照
 本国際出願は、2020年12月22日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2020-212421号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2020-212421号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
 本開示は、歯のケア用組成物、及び生体組織(例えば、歯及び歯周組織)における石灰化促進方法に関する。
 石灰化が起こる生体組織として、例えば歯や骨などの硬組織が知られている。歯の象牙質は、俗に歯の神経と呼ばれる歯髄を取り囲む組織であり、歯の最表層を構成するエナメル質によって覆われている。象牙質内には、エナメル質との境界から歯髄に向かって放射状の無数の象牙細管が走っている。象牙細管内には、歯髄の最外層に存在する象牙芽細胞の突起が伸びており、象牙芽細胞は、象牙質の形成及び修復を行っている。
 象牙細管の内部は組織液で満たされており、歯髄内の血管から象牙細管を通じて歯全体に栄養が送られる。
 また、象牙細管は、歯に与えられた温度刺激、機械的刺激、化学的刺激等の外部刺激を歯髄へ伝達する機構でもある。摩耗、う蝕等によってエナメル質が削れて象牙質が露出したり、歯周炎、老化等に伴い歯肉が退縮することによって元々歯肉に覆われ隠れていた象牙質が露出したりすると、外部刺激が歯髄に強く伝達されるようになる。その結果、知覚過敏の症状が生じる。
 外部刺激が歯髄に伝達されると、歯を保護するための種々の生体反応が生じる。例えば、象牙質が侵食された部分では、歯髄側に突出するように第三象牙質と呼ばれる象牙質が新たに形成される。第三象牙質は、有機性基質が石灰化することにより形成されると考えられている。第三象牙質は、外部刺激の強さの程度により、さらに反応象牙質と修復象牙質とに分類されることが知られている。また、露出した象牙質の表面では、象牙細管内で石灰化が起こることにより象牙細管が封鎖される。これらの石灰化の現象は、象牙芽細胞が担っていると考えられている。
 近年、象牙芽細胞に発現する、外部刺激に応答する種々の膜チャネルが、象牙質における石灰化に関与していることが判明してきている。例えば、非特許文献1では、象牙芽細胞に発現するTRPA1(TRP:Transient receptor potential)チャネルの阻害剤を添加することにより、象牙質における石灰化が抑制されることが示されている。
木村麻記、外14名、「象牙芽細胞におけるアルカリ感受性TRPA1チャネル活性化は石灰化を促進する」、歯科学報、東京歯科大学学会、2016年、第116巻、第3号、p.231
 本発明者らは、TRPA1チャネルを活性化する化合物を中心に鋭意検討した結果、特定の化合物が生体組織における石灰化を促進することを新たに見出した。
 本開示の一局面は、生体組織(例えば、歯及び歯周組織)における石灰化を促進することができる技術を提供することが好ましい。
 本開示の一態様は、歯のケア用組成物であって、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はアリール基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む。
 本開示の一態様では、イソチオシアネート類が、メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネートを含んでもよい。
 本開示の一態様では、イソチオシアネート類が、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを含んでもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物がチューインガムであってもよい。歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、1回当たりの推奨摂取量中のイソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、歯のケア用組成物1個中のイソチオシアネート類の含有量が、0.036μmol以上であってもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物がキャンディであってもよい。歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、1回当たりの推奨摂取量中のイソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、歯のケア用組成物1個中のイソチオシアネート類の含有量が、0.12μmol以上であってもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物が錠菓であってもよい。歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、1回当たりの推奨摂取量中のイソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、歯のケア用組成物1個中のイソチオシアネート類の含有量が、0.012μmol以上であってもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物がトローチ剤であってもよい。歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、1回当たりの推奨摂取量中のイソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、歯のケア用組成物1個中のイソチオシアネート類の含有量が、0.084μmol以上であってもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物が歯磨き剤であってもよい。歯のケア用組成物について1回当たりの推奨使用量がある場合には、1回当たりの推奨使用量中のイソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨使用量がない場合には、歯のケア用組成物1g中のイソチオシアネート類の含有量が、0.036μmol以上であってもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物は、知覚過敏の改善及び知覚過敏の予防から選ばれる一つ以上のために使用されてもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物は、歯の組織を強化するために使用されてもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物は、象牙質における石灰化を促進するために使用されてもよい。
 本開示の別の態様は、象牙質における石灰化を促進する方法(ヒトに対する医療行為を除く。)である。方法は、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はアリール基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む、歯のケア用組成物を歯に適用することを含む。
 本開示の一態様では、イソチオシアネート類が、メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート類を含んでもよい。
 本開示の一態様では、イソチオシアネート類が、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを含んでもよい。
 本開示の一態様では、歯のケア用組成物は、少なくとも一部が口腔内で唾液に溶解するものであってもよい。また、方法は、唾液中のイソチオシアネート類の濃度が0.04mol/m3以上となるように、歯のケア用組成物を口腔内に適用することを含んでもよい。
 本開示の別の態様は、象牙質における石灰化を促進する方法である(ヒトに対する医療行為を除く。)。方法は、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はフェニル基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む液体を歯に接触させることを含む。液体中のイソチオシアネート類の濃度が0.04mol/m3以上である。
 本開示の別の態様は、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を促進させるために用いる組成物である。
 本開示の一態様では、上記組成物は、有効成分としてイソチオシアネート類(ただし、アリルイソチオシアネート及びn-アルキルイソチオシアネートを除く)を含んでもよい。
 本開示の一態様では、上記イソチオシアネート類は、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート及び6-メチルスルホニルヘキシルイソチオシアネートのうち少なくとも1つであってもよい。
 本開示の一態様によれば、生体組織における石灰化を促進することができる技術が提供される。
0.04nM~400nMでの6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 4μM~400μMでの6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 6-メチルスルホニルヘキシルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 フェネチルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 4-メチルスルフィニルブチルアミンについての石灰化促進作用の評価結果である。 n-ヘキシルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 1μM~100μMでのアリルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 500μMでのアリルイソチオシアネートについての石灰化促進作用の評価結果である。 炭酸脱水素酵素の阻害剤であるドルゾラミドを添加した場合についての石灰化阻害試験の評価結果である。 ラットを用いた6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)の反応象牙質形成能の解析結果である。図13では、生理食塩水又は6-MSITCの投与2週間後にラットの両側下顎骨試料をマイクロCTで撮像したスライス画像(μCT画像)、及び当該μCT画像の歯の部分を拡大した拡大画像を示している。図の左側は生理食塩水投与群(コントロール;A1)の結果であり、右側は500μM 6-MSITC投与群(A2)の結果である。本図において、象牙質:D、エナメル質:E、歯髄:P、窩洞:Cで示す。図中の太矢印及び細矢印は新規反応象牙質形成が観察された部分を示しており、太矢印で示す部分は石灰化の程度が大きい高石灰化領域を、細矢印で示す部分は石灰化の程度が小さい低石灰化領域を示す。 ラットを用いた6-MSITCの反応象牙質形成能の解析結果である。図14では、図13に記載のラットの両側下顎骨試料をマイクロCTで撮像した際のスライスデータから3次元立体構築により作成した3次元構築画像を示している。図の左側は生理食塩水投与群(コントロール;A1)の結果であり、右側は500μM 6-MSITC投与群(A2)の結果である。本図において、象牙質:D、エナメル質:E、歯髄:P、窩洞:Cで示す。図中の太矢印で示す部分は、新規反応象牙質形成が観察された部分(高石灰化領域)を示す。
 [生体組織における石灰化を促進する組成物]
 本開示に係る生体組織における石灰化を促進する組成物は、以下のいずれかの態様により実施することができる。
 本開示の一態様に係る歯のケア用組成物は、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はアリール基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む。
 本発明者らの検討によれば、このような構造を有するイソチオシアネート類は、歯の象牙質における形成・再生・石灰化を促進することが可能である。ここでいう「象牙質における石灰化」とは、歯の象牙質において起こる様々な石灰化現象を含む。象牙質における石灰化の例としては、先に述べたような、反応象牙質及び修復象牙質の形成に伴う石灰化、象牙細管内での石灰化等が挙げられる。以下、象牙質における石灰化を促進する作用のことを、単に「石灰化促進作用」ともいう。
 本開示の別の態様は、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を促進させるために用いる組成物である。「TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を促進させるために用いる組成物(以下、「TRPA1及びCA活性化促進組成物」ともいう。)」とは、当該組成物を生体組織に適用することにより、TRPA1チャネルの活性化が促進され、かつ、炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化が促進される組成物をいう。より具体的には、TRPA1及びCA活性化促進組成物とは、当該組成物を生体組織に接触させることにより、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を、当該生体組織を構成する細胞において促進する組成物をいう。生体組織としては、例えば、口腔組織、歯周組織等が挙げられる。例えば、生体組織は、歯及び歯周組織であってもよい。また例えば、生体組織は歯であってもよく、歯槽骨であってもよい。なお、本願において、生体組織としては骨や歯などの硬組織を想定しており、血管などの軟部組織における石灰化(すなわち、異所性石灰化)は想定していない。生体組織が歯である場合、TRPA1及びCA活性化促進組成物は、当該組成物を歯に接触させることにより、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を、象牙芽細胞において促進する組成物であってもよい。なお、当該組成物は、少なくともTRPA1チャネルを含む当該組成物の受容体の活性化を促進させるものであってもよい。
 TRPA1及びCA活性化促進組成物を適用することにより細胞においてTRPA1チャネルの活性化が促進されることは、例えば、当該組成物をTRPA1を発現する細胞に接触させた場合に、当該組成物を接触させなかった場合と比較して、TRPA1チャネルの活動が高まることを確認することにより調べることができる。TRPA1チャネルの活動は、当業者に周知の方法で測定することができる。例えば、TRPA1の活動を計測する方法として、電位固定パッチクランプ、電流固定パッチクランプ、その他のすべてのパッチクランプモードを用いることができる。また例えば、TRPA1の活動を計測する方法として、種々の蛍光試薬を用いた細胞内カルシウムイメージング、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を用いた蛍光タンパク質強制発現による細胞内イオンイメージング、種々の蛍光試薬・FRETを用いた細胞内シグナルイメージング、種々の蛍光試薬・FRETを用いた分光蛍光光度計やフローサイトメータによる蛍光分析、分子生物学的方法(PCR、タンパク質発現解析等)等を用いることができる。
 また、TRPA1及びCA活性化促進組成物を適用することにより細胞において炭酸脱水素酵素が触媒する反応が活性化されることは、例えば、当該組成物を炭酸脱水素酵素を発現する細胞に接触させた場合に、当該組成物を接触させなかった場合と比較して、炭酸脱水素酵素の活動が高まることを確認することにより調べることができる。炭酸脱水素酵素の活動は、当業者に周知の方法で測定することができる。例えば、炭酸脱水素酵素の活動を計測する方法として、上記のTRPA1の活動を計測する方法と同様の方法を用いることができる。
 本発明者らの検討によれば、TRPA1及びCA活性化促進組成物は、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を、生体組織を構成する細胞において促進することにより、その生体組織における石灰化を促進することが可能である。例えば生体組織が歯である場合、TRPA1及びCA活性化促進組成物は、当該組成物を歯に接触させることにより、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を、象牙芽細胞において促進することにより、歯(具体的には、象牙質)における石灰化を促進することが可能である。
 TRPA1及びCA活性化促進組成物は、例えば、イソチオシアネート類(ただし、アリルイソチオシアネート及びn-アルキルイソチオシアネートを除く)を含んでいてもよい。ここで、n-アルキルイソチオシアネートとは、末端に置換基のないアルキルイソチオシアネートをいう。換言すれば、n-アルキルイソチオシアネートとは、イソチオシアネート類(R-N=C=S;Rは置換基)のうち、Rが末端(具体的には、-N=C=S基と反対側の末端)に置換基のないアルキル基であるものをいう。イソチオシアネート類(ただし、アリルイソチオシアネート及びn-アルキルイソチオシアネートを除く)は、例えば、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はアリール基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類であってもよい。
 [イソチオシアネート類]
 イソチオシアネート類としては、例えば、末端にメチルスルフィニル基、メチルスルホニル基、メチルチオ基、又はアリール基を有するアルキルイソチオシアネートであってもよい。このようなイソチオシアネート類として、例えば、メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート、メチルスルホニルアルキルイソチオシアネート、メチルチオアルキルイソチオシアネート、アリールアルキルイソチオシアネート等が挙げられる。アリール基としては、特にフェニル基が好ましい。
 メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネートとしては、例えば、3-メチルスルフィニルプロピルイソチオシアネート、4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、5-メチルスルフィニルペンチルイソチオシアネート、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、7-メチルスルフィニルヘプチルイソチオシアネート、8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート等が挙げられる。
 メチルスルホニルアルキルイソチオシアネートとしては、例えば、6-メチルスルホニルヘキシルイソチオシアネート等が挙げられる。
 メチルチオアルキルイソチオシアネートとしては、例えば、3-メチルチオプロピルイソチオシアネート、4-メチルチオブチルイソチオシアネート、5-メチルチオペンチルイソチオシアネート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート、7-メチルチオヘプチルイソチオシアネート、8-メチルチオオクチルイソチオシアネート等が挙げられる。
 アリールアルキルイソチオシアネートとしては、例えば、ベンジルイソチオシアネート、フェネチルイソチオシアネート等が挙げられる。
 これらのイソチオシアネート類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 イソチオシアネート類としては、高い石灰化促進作用が得られることから、4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、6-メチルスルホニルヘキシルイソチオシアネート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート、及びフェネチルイソチオシアネートからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを含むことがより好ましい。
 イソチオシアネート類としては、高い石灰化促進作用が得られるという観点では、末端に置換基を有するアルキル基の炭素数(末端の置換基の炭素数を除く)が、3~16であることが好ましく、3~8であることがより好ましく、4~8であることが更に好ましく、6であることが最も好ましい。
 また、イソチオシアネート類の有する置換基は、含硫黄置換基又はアリール基であることが好ましい。含硫黄置換基は、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)又はスルフィド結合(-S-)であることが好ましく、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)又はスルフィド結合(-S-)であることがより好ましく、スルフィニル基(-S(=O)-)又はスルホニル基(-S(=O)2-)であることが更に好ましく、スルフィニル基(-S(=O)-)であることが最も好ましい。アリール基は、1若しくは複数の置換基が結合している又は置換基が結合していないアリール基であり、当該置換基は、例えば、水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基及び炭化水素基の群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。炭化水素基としては、例えば、C1-4アルキル基、C1-4アルケニル基及びC1-4アルキニル基の群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
 イソチオシアネート類は、化学的に合成してもよく、植物から抽出し精製してもよい。植物としては、例えば、アブラナ科植物等が挙げられる。アブラナ科植物としては、本わさび(ワサビ)、西洋わさび(ホースラディッシュ)、カラシナ、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、チンゲンサイ、コマツナ、ミズナ、カブ、ケール、クレソン、ダイコン、シロイヌナズナ、ナズナ、マカ等が挙げられる。特に、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、本わさび、とりわけ本わさびの根茎の抽出物に多く含まれる。
 本発明者らの検討によれば、TRPA1チャネルを活性化する化合物であっても、石灰化促進作用を示さないものがある。例えば、アリルイソチオシアネートは、TRPA1チャネルを活性化する化合物であることが報告されており、その50%効果濃度(EC50)は、64.53±3.12μMである(Andrew H. et al. TRP channel activationby reversible covalent modification. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 2006 Dec.19; 103(51): 19564-19568.)。しかし、本発明者らの検討によれば、後述する実験結果の図10及び図11に示すように、アリルイソチオシアネートを添加した場合には500μMまでの範囲で石灰化作用が示されなかった。
 さらに、後述する実験結果の図12に示すように、炭酸脱水素酵素の阻害剤であるドルゾラミドと、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートとを併用すると、石灰化が阻害されることが新たに判明した。これにより、象牙質における石灰化には、TRPA1チャネルだけでなく、象牙芽細胞中の炭酸脱水素酵素も関わっていることが初めて解明された。つまり、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、象牙芽細胞において、TRPA1チャネルの活性化のみならず、炭酸脱水素酵素が触媒する反応も活性化することで、象牙質における石灰化を促進していることが示唆された。
 以上より、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を促進させる物質は、象牙質における石灰化を促進することができる可能性が示唆された。象牙芽細胞において、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化の両方が促進されることにより、石灰化が促進される作用機序としては、例えば以下のような作用機序が考えられる。
 1)「TRPA1及びCA活性化促進組成物」が、TRPA1チャネルを含むTRPチャネル及び細胞膜におけるその他のカルシウムイオン流入経路、並びに細胞内カルシウムイオン動員系を活性化することにより、細胞内カルシウム濃度が増加し、
 2)カルシウム排出系(ナトリウムカルシウム交換・細胞膜Ca-ATPase及び細胞外にカルシウムを排出する能動輸送体・受動輸送体並びに小胞輸送)が活性化され、細胞外へのカルシウム排出が促進される。
 その一方で、
 3)「TRPA1及びCA活性化促進組成物」が細胞内炭酸脱水素酵素を活性化し、これにより生じた細胞内重炭酸イオンが細胞外に放出され、細胞外のアルカリ環境が生成され、
 4)細胞外(象牙質形成部位)において、アルカリ環境でカルシウムが沈殿することで、象牙質形成が促進される。
 本開示の歯のケア用組成物並びに「TRPA1及びCA活性化促進組成物」による石灰化促進作用は、上記のような作用機序に基づいていてもよい。
 また、上記イソチオシアネート類には、TRPA1チャネルの活性化作用を示すか明らかになっていない化合物も含まれている。例えば、8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート、6-メチルスルホニルイソチオシアネート等は、TRPA1チャネルを活性化するか否かが現段階では明らかになってはないものの、本発明者らの検討により、石灰化促進作用を有することが新たに判明した。今回石灰化促進作用を有することが新たに判明した物質、具体的には、後述する実験結果の図3~図7に示す6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート、4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート、6-メチルスルホニルヘキシルイソチオシアネート、及びフェネチルイソチオシアネートについても、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートと同様に、象牙芽細胞において、TRPA1チャネルを活性化するとともに、炭酸脱水素酵素が触媒する反応も活性化することで、象牙質における石灰化を促進していることが示唆された。
 以下、生体組織における石灰化を促進する組成物の一例としてイソチオシアネート類を含む組成物を例示し、その用途、組成物中の他の成分及び使用方法を説明する。しかし、生体組織における石灰化を促進する組成物はイソチオシアネート類を含む組成物に限定されるものではなく、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を促進させるために用いる組成物であれば、以下に説明する用途、組成物中の他の成分及び使用方法と同様に実施できる。
 [イソチオシアネート類を含む組成物の用途]
 イソチオシアネート類は、先に述べたとおり象牙質における形成・再生・石灰化を促進することから、例えば、歯のケアのために好適に使用することができる。ここで、「歯のケア」とは、歯を冒す疾病及び疾患又は関連の医学的状況の治療的処置及び予防的処置、並びに歯の組織を強化、維持及び再生することをいう。歯を冒す疾病及び疾患又は関連の医学的状況には、制限されるものではないが、摩耗、う蝕等によりエナメル質が削れることによる象牙質の露出や、歯周炎、老化等に伴い歯肉が退縮することによる象牙質の露出、象牙質の露出による知覚過敏等が含まれる。特に、イソチオシアネート類は、歯の組織を強化するため、知覚過敏を予防するため及び/又は知覚過敏を改善するため、象牙質における形成・再生・石灰化を促進するため等に、使用することができる。また、イソチオシアネート類は、先に述べたとおり、炭酸脱水素酵素が触媒する反応を活性化することから、象牙芽細胞中の炭酸脱水素酵素刺激剤、象牙芽細胞によって行われる炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化剤等としても使用することができる。
 言い換えれば、イソチオシアネート類は、歯のケア用組成物の製造のための応用に好適に使用することができる。具体的には、イソチオシアネート類は、歯の組織強化用の組成物、知覚過敏の予防及び/又は改善用の組成物、象牙質における形成・再生・石灰化促進用の組成物等の製造のための応用に使用することができる。また、イソチオシアネート類は、象牙芽細胞中の炭酸脱水素酵素刺激用の組成物、象牙芽細胞によって行われる炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化用組成物等の製造のための応用等にも使用することができる。
 また、イソチオシアネート類を含む組成物は、例えば、食品(特に、歯のケア用食品)、医薬品及び医薬部外品(特に、口腔用製剤)、オーラルケア製品等として好適に使用することができる。
 食品としては、例えば、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミ、チョコレート、スナック、米菓、干菓子、氷菓、その他のフィルム状、ソフトカプセル状の菓子等の菓子類、スルメ等の干物類、飲料類、サプリメント類、その他一般加工食品(冷凍食品等を含む)等が挙げられる。
 チューインガムとしては、例えば、板ガム、糖衣ガム、風船ガム等が挙げられる。キャンディとしては、例えば、ドロップ、タフィ、バタースコッチ等のハードキャンディ(水分含有量が6質量%である未満のキャンディ)、及び、キャラメル、ヌガー、マシュマロ等のソフトキャンディ類(水分含有量が6質量%以上のキャンディ)等が挙げられる。錠菓とは、錠剤状に成形された菓子、例えば、砂糖を主原料とし、結合材、果汁、フレーバ等を任意で混合したものを錠剤状に成形したものをいう。錠菓には、例えば、ラムネ菓子、タブレット菓子等と呼ばれるものが含まれる。ソフトカプセルとは、例えば、液状、ペースト状等の内容物を皮膜で包むように成形されたものをいう。飲料類としては、例えば、ゼリー飲料、栄養ドリンク、粉末飲料、清涼飲料等が挙げられる。サプリメント類としては、タブレット状、顆粒状、粉末状、ソフトカプセル状等のものが挙げられる。
 イソチオシアネート類を含む組成物は、特に、一般に清涼菓子と呼ばれる食品、及び一般的に機能性食品と呼ばれる食品に好適に使用することができる。清涼菓子とは、例えば、口腔内で清涼感が広がる菓子類をいう。清涼菓子の形態としては、例えば、上記のチューインガム、キャンディ、錠菓、フィルム状菓子、ソフトカプセル状菓子等の形態が挙げられる。機能性食品とは、例えば、所定の機関により効能の表示が認められた食品をいう。機能性食品には、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等が含まれる。
 医薬品及び医薬部外品としては、例えば、トローチ剤、バッカル錠、チュアブル錠、ガム剤等が挙げられる。
 オーラルケア製品としては、例えば、練り歯磨き、歯磨き粉、液体歯磨き等の歯磨き剤、洗口液(マウスウォッシュ)、マウスリンス、マウススプレー、口腔用軟膏等が挙げられる。
 [イソチオシアネート類を含む組成物中の他の成分]
 組成物には、有効成分であるイソチオシアネート類が有効量含まれる。「有効量」とは、生体組織に適用することにより当該生体組織における石灰化の促進を実現できるイソチオシアネート類の量を意味する。組成物には、当該イソチオシアネート類に加え、本開示の効果を損なわない範囲において、一般的に、食品、医薬品、医薬部外品、又はオーラルケア製品に用いられる各種任意成分を必要に応じて適宜配合してもよい。
 [イソチオシアネート類を含む組成物の使用方法]
 イソチオシアネート類を含む組成物を歯に適用することにより、象牙質における形成・再生・石灰化を促進することができる。また、イソチオシアネート類を含む組成物を歯に適用することにより、歯の組織を強化したり、知覚過敏の予防及び/又は改善をしたりすることができる。
 イソチオシアネート類を含む組成物を歯に適用するにあたり、イソチオシアネート類を含む液体を口腔内で歯に接触させることが好ましい。例えば、組成物が固体状である場合には、上記のチューインガム、キャンディ、トローチ剤等のように、組成物の一部が口腔内で唾液に溶解するものが好ましい。この場合、組成物を口腔内に含ませることにより、イソチオシアネート類を含む唾液(すなわち、液体)を歯に接触させることができる。また、イソチオシアネート類を含む組成物が液体状の場合には、組成物をそのまま、又は組成物を希釈した液体を口腔内に含ませることにより、イソチオシアネート類を含む液体を歯に接触させることができる。
 イソチオシアネート類は、イソチオシアネート類の口腔内での濃度(以下、単に「口腔内濃度」と呼ぶ。)が石灰化の促進を実現できる濃度以上となるように口腔内に適用される。例えば、高い石灰化促進作用が得られることから、イソチオシアネート類の口腔内濃度が0.04mol/m3以上となるように口腔内に適用することが好ましい。口腔内濃度とは、イソチオシアネート類を含む組成物が、上記のとおり固体状であり少なくとも一部が口腔内で唾液に溶解する形態の場合には、唾液中におけるイソチオシアネート類の濃度をいうものとする。また、イソチオシアネート類を含む組成物が液体状の場合には、当該組成物中、又は組成物を希釈して摂取又は使用する場合には当該希釈した組成物中のイソチオシアネート類の濃度をいうものとする。
 イソチオシアネート類を含む組成物が固体状である場合の口腔内濃度を算出するにあたり、唾液には、分泌量、成分組成等について個人差があることを考慮し、本開示では、標準的なケースを想定して、下記式(1)に基づいて算出するものとする。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 式(1)中の「1回当たりのイソチオシアネート類の適用量」は、イソチオシアネート類を含む組成物を口腔内に含ませる場合に、一度に口腔内に含ませた組成物に含まれるイソチオシアネート類の総量をいう。具体的には、イソチオシアネート類を含む組成物について1回当たりの推奨摂取量又は推奨使用量がある場合には、当該推奨摂取量又は推奨使用量に含まれるイソチオシアネート類の含有量とする。例えば、イソチオシアネート類を含む組成物が包装されたパッケージ内に、又は、イソチオシアネート類を含む組成物の広告に、推奨摂取量又は推奨使用量の表示がある場合には、「1回当たりのイソチオシアネート類の適用量」は当該推奨摂取量又は当該推奨使用量中のイソチオシアネート類の含有量である。一方、1回当たりの推奨摂取量又は推奨使用量が特にない場合には、「1回当たりのイソチオシアネート類の適用量」は、イソチオシアネート類を含む組成物を通常摂取する又は通常使用する量に含まれる、イソチオシアネート類の含有量とする。
 パッケージ内に推奨摂取量又は推奨使用量の表示がある場合としては、例えば、パッケージのラベルに推奨摂取量又は推奨使用量が記載されている場合、パッケージのラベルに記載されたURL、QRコード(登録商標)等を通じて表示される商品の説明内に推奨摂取量又は推奨使用量が記載されている場合、パッケージに添付された説明書等に推奨摂取量又は推奨使用量が記載されている場合等が挙げられる。なお、パッケージに添付された説明書には、医薬品や医薬部外品の添付文書が含まれる。また、広告に推奨摂取量又は推奨使用量の表示がある場合としては、CM(Commercial Message)、商品のホームページ等に推奨摂取量又は推奨使用量が表示されている場合等が挙げられる。なお、推奨摂取量又は推奨使用量に幅がある場合には、最低数値を採用する。例えば、1回あたり2~3個摂取することが推奨されている場合には、推奨摂取量として2個を採用する。
 例えば、イソチオシアネート類を含む組成物が、ガム、キャンディ、錠菓等、1個ずつに分かれている製品形態の場合において、推奨摂取量が2個とされている場合には、「1回当たりのイソチオシアネート類の適用量」は、製品1個当たりのイソチオシアネート類の含有量に2を乗じた値である。一方、推奨摂取量が特にない場合には、製品を通常摂取する量として通常1個以上であることから、製品1個当たりのイソチオシアネート類の含有量とする。
 また、例えば、イソチオシアネート類を含む組成物が、歯磨き剤等の場合において、1回当たりの推奨使用量がある場合には、「1回当たりのイソチオシアネート類の適用量」は、当該推奨使用量当たりのイソチオシアネート類の含有量である。一方、推奨使用量が特にない場合には、医薬部外品の薬用歯磨き剤における薬用成分の配合濃度が、約1gの使用を想定して設定されていることから、「1回当たりのイソチオシアネート類の適用量」は、1g当たりのイソチオシアネート類の含有量とする。
 また、式(1)中の「唾液の平均分泌量」には、安静時での口腔内の平均分泌量が約0.3ml/minである(渡部茂、「2.口腔感染症理解のための唾液の知識」、歯科薬物療法、日本歯科薬物療法学会、2016年、第35巻、第3号、p.165-169)ことから、0.3ml/minの値を採用する。
 また、式(1)中の「口腔内での平均滞在時間」は、口に含んだ、イソチオシアネート類を含む組成物が、口腔内に滞在する平均的な時間をいう。例えば、キャンディ等の口腔内で徐々に溶解する製品形態の場合は、組成物が口に含まれてから溶けて形がなくなるまでの平均的な時間をいう。また、例えば、ガム等の最終的に口から出される製品形態の場合は、「口腔内での平均滞在時間」は、ガム等を口から出すまでの平均的な時間をいう。「口腔内での平均滞在時間」は、組成物の製品形態での、大きさ、成分組成等によって適宜設定することができる。例えば、各製品形態での一般的な口腔内での滞在時間を想定し、以下の値を採用することができる。
 ガムの場合、一般的に3~5分程度なので、3分。
 キャンディの場合、一般的に10~15分程度なので、10分。
 錠菓の場合、一般的に20秒~2分程度なので、20秒。
 グミの場合、一般的に10~30秒なので、10秒。
 チョコレートの場合、一般的に10~30秒なので、10秒。
 トローチ剤の場合、一般的に7~8分なので、7分。
 式(1)を変形すると、下記式(2)となる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002

 式(2)及び上記各値に基づいて、口腔内濃度が0.04mol/m3以上である場合における1回当たりのイソチオシアネート類の適用量を算出すると、下記表1のようになる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 また、口腔内濃度は、より好ましくは0.05mol/m3以上、更に好ましくは0.4mol/m3以上、特に好ましくは0.5mol/m3以上である。これらの各口腔内濃度の場合における1回当たりのイソチオシアネート類の適用量を算出すると、下記表2のようになる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 また、口腔内濃度の上限に特に制限はないが、例えば、5.0mol/m3以下としてもよい。この口腔内濃度の場合における1回当たりのイソチオシアネート類の適用量を算出すると、下記表3のようになる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 以下に、本開示の一態様について実施例を挙げて説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
 [実施例1:ヒト象牙芽細胞を用いた石灰化促進作用の評価]
 1.ヒト象牙芽細胞(human odontoblast (HOB) cells)の培養
 HOB細胞をT75フラスコに播種し、コンフルエントになるまで培養した。培地としては、MEMα(ライフテクノロジーズ株式会社製、製品No.12561-049、12561-056)に、10%ウシ胎児血清(FBS)(ライフテクノロジーズ株式会社製、製品No.10437-028)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(ライフテクノロジーズ株式会社製、製品No.15140-122)、1%アムホテリシンB(Sigma-Aldrich製、製品No.A2942-100ML)を添加した培地(以下、「通常培地」という。)を使用した。また、培養は、37℃、5%CO2環境下で行った。
 その後、HOB細胞を、1ウェル当たりの細胞密度が1.78~2.56×105個/mLとなるように接着細胞培養プレート(住友ベークライト製)に播種し、同条件で培養した。なお、接着細胞培養プレートとしては、6~96ウェルのプレートを適宜使用した。
 4日後、培地を通常培地から石灰化培地、又は下記表4、表5に示す添加成分を下記表4、表5に示す濃度となるように石灰化培地に添加した培地(以下、「添加石灰化培地」という。)にそれぞれ交換した。石灰化培地とは、上記通常培地にL(+)-アスコルビン酸(和光純薬工業(現富士フイルム和光純薬)株式会社製、製品No.016-04805)を石灰化培地中の濃度(すなわち、最終濃度)が50μg/mL、β-グリセロリン酸(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品No.191-02042)を石灰化培地中の濃度(すなわち、最終濃度)が10mMとなるようにそれぞれ添加した培地である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 その後、1週間に2回石灰化培地又は添加石灰化培地を交換しながら、37℃、5%CO2環境下で、21日間又は28日間培養した後、以下の染色を行った。
 2.染色
 石灰化の促進効果を評価するため、Alizarin red染色及びvon Kossa染色を行った。なお、アリルイソチオシアネートを1μM、10μM及び100μM添加した場合については、Alizarin red染色のみ行った。
 (1)Alizarin red染色
 接着細胞培養プレートの規定の培地量と同量のダルベッコ-リン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(ライフテクノロジーズ株式会社製、製品No.14190-144)で、各ウェルを2回洗浄した。各ウェルからDPBSを除去し、規定の培地量の半分の量の4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液(富士フイルム和光純薬株式会社製、製品No.163-20145)を各ウェルに入れ、室温で5分間放置した。
 その後、規定の培地量と同量のDPBSで2回、各ウェルを洗浄した。各ウェルからDPBSを除去し、規定の培地量の半分の量のAlizarin red染色液を各ウェルに入れ、10分間放置した。Alizarin red染色液には、市販の染色液(製品名「アリザリンレッドS」、和光純薬工業(現富士フイルム和光純薬)株式会社製、製品No.011-01192)を超純水(Milli-Q(登録商標)水)に溶解し、水酸化アンモニウム水溶液を用いてpHを6.36~6.40の範囲に調整したものを用いた。
 その後、規定の培地量と同量の超純水(同上)で各ウェルを5回洗浄した。
 (2)von Kossa染色
 接着細胞培養プレートの規定の培地量と同量のダルベッコ-リン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(同上)で、各ウェルを3回洗浄した。各ウェルからDPBSを除去し、規定の培地量の半分の量の4%パラホルムアルデヒドリン酸緩衝液(同上)を各ウェルに入れ、室温で10分間放置した。
 その後、規定の培地量と同量の超純水(同上)で2回、各ウェルを洗浄した。各ウェルから超純水を除去し、規定の培地量と同量の5%AgNO3水溶液(AgNO3は、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品No.194-00832)を各ウェルに入れ、蛍光灯下で1時間放置した。
 その後、規定の培地量と同量の超純水(同上)で2回、各ウェルを洗浄した。各ウェルから超純水を除去し、規定の培地量と同量の0.5%チオ硫酸ナトリウム水溶液(チオ硫酸ナトリウムは、和光純薬工業(現富士フイルム和光純薬)株式会社製、製品No.197-03605)を各ウェルに入れ、室温で1~2分間放置した。
 その後、規定の培地量と同量の超純水(同上)で各ウェルを3回洗浄した。
 (3)解析
 染色後のHOB細胞を、デジタルカメラ(ソニー株式会社製、デジタル一眼カメラα6300)でウェルごとに撮影し、その写真を画像処理ソフトウェアImage J(開発元はNIH)を用いて解析した。
 3.考察
 解析結果を図1~図12に示す。
 図1~図7に示すように、スルフィニル基を有する6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)、スルフィド結合を有する6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート(6-MTITC)、4-メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート(4-MSITC)、及び8-メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート(8-MSITC)、スルホニル基を有する6-メチルスルホニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSFITC)、並びにアリール基を有するフェネチルイソチオシアネート(PITC)は、石灰化促進作用を有することが判明した。一方、図8に示すように、イソチオシアネート類ではない4-メチルスルフィニルブチルアミン(4-MS amine)は、石灰化促進作用を一切示さなかった。また、図9に示すように、置換基を有さないn-ヘキシルイソチオシアネート(n-Hexyl ITC)は石灰化促進作用を一切示さなかった。また、図10及び図11に示すように、アリル基を有するアリルイソチオシアネート(AITC)も、石灰化促進作用を一切示さなかった。
 以上の結果から、イソチオシアネート基(-N=C=S)が石灰化促進作用において重要な役割を持つ可能性が示唆された。さらに、イソチオシアネート類が置換基を有することが石灰化促進作用において重要である可能性が示唆された。また、スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、及びアリール基は、石灰化促進作用において重要な役割を持つ置換基であることが示唆された。
 また、図1~図2に示すように、6-MSITCにおいて、40μM(=0.04mol/m3)以上では特に高い石灰化促進作用が示された。また、図3に示すように、6-MTITCにおいて、400μM(=0.4mol/m3)以上では特に高い石灰化促進作用が示された。また、図4に示すように、6-MSFITCにおいて、50μM(=0.05mol/m3)以上では特に高い石灰化促進作用が示された。また、図5に示すように、4-MSITCは、50μM(=0.05mol/m3)以上では特に高い石灰化促進作用を示した。また、図6に示すように、8-MSITCにおいて、50μM(=0.05mol/m3)以上では特に高い石灰化促進作用が示された。また、図7に示すように、PITCにおいて、500μM(=0.05mol/m3)以上では特に高い石灰化促進作用が示された。
 以上の結果から、6-MSITC、6-MSFITC、4-MSITC及び8-MSITCにおいて特に石灰化促進作用が大きく、中でも6-MSITCの石灰化促進作用が最も大きかった。これより、末端に置換基を有するアルキル基の炭素数(末端の置換基の炭素数を除く)が4~8であるイソチオシアネート類が好ましく、末端に置換基を有するアルキル基の炭素数(末端の置換基の炭素数を除く)が6であるイソチオシアネート類がより好ましいことが示唆された。
 また、6-MSFITC及び4-MSITCについて50μMでの染色の程度を比較すると、4-MSITCよりも6-MSFITCにおけるカルシウム沈着が大きい(すなわち、石灰化の程度が大きい)ため、6-MSFITCは4-MSITCよりも石灰化促進作用が大きいことが示唆された。よって、石灰化促進作用は6-MSITC>6-MSFITC>4-MSITCの順で大きいことが示唆された。なお、8-MSITCの石灰化促進作用は4-MSITCと同程度であった。
 また、6-MSITC、6-MTITC、6-MSFITC及びPITCの上記特に高い石灰化促進作用が示された濃度を比較することにより、イソチオシアネート類の有する置換基としては、スルフィニル基(-S(=O)-)>スルホニル基(-S(=O)2-)>スルフィド結合(-S-)>アリール基の順で石灰化促進作用への寄与が大きいことが示唆された。
 さらに、図12に示すように、6-MSITCと炭酸脱水素酵素の阻害剤であるドルゾラミドとを併せて添加すると、石灰化促進作用が示されなかった。これにより、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートは、TRPA1チャネルの活性化のみならず、炭酸脱水素酵素も活性化することで、象牙質における石灰化を促進している可能性が示唆された。また、象牙芽細胞において、TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化が可能な物質は、象牙質における石灰化を促進することができる可能性が示唆された。
 [実施例2:6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)のin Vivoにおける反応象牙質形成能の解析]
 1.ラットを用いた6-MSITCの反応象牙質形成能の解析
 使用した動物(下記Wistar系ラット)は、特定の病原体を含まない条件でウッドチップを敷いた透明ケージに入れ明暗サイクル(12:12時間)で飼育した(温度:21~23℃、湿度40~60%)。餌と水は自由摂取とした。動物は、日本生理学会及び米国生理学会による「生理科学分野における動物の管理と使用のための指針」に基づいて取り扱われた。また、米国国立衛生研究所による実験手順のための動物の管理と使用に関するガイドラインに従って実験が実施された。さらに、本研究におけるすべての実験は東京歯科大学の動物実験委員会の承認を得て実施された(実験動物計画承認番号:190301、200301)。動物の苦痛を最小限に抑えるためにあらゆる努力が払われ、本研究で使用された動物は健康であり、実験期間中に合併症を起こすことはなかった。
 Wistar系ラットを3%イソフルラン(富士フイルム和光純薬株式会社)で麻酔した。同一個体の左右の下顎第一臼歯それぞれに、エナメル質から象牙質に至る窩洞を形成し、象牙質を露出させた。窩洞の形成は、デンタルモーター(VIVA MATE G5、Nakanishi Inc.)、低速ハンドピース(Torqtech、J. Morita Co.)及び歯科用ダイヤモンド・バー(Shofu Inc.)を用いて行った。左側第一臼歯の露出象牙質面に生理食塩水を浸漬したMedGel(P15シート)(新田ゼラチン株式会社)を置き、歯科用裏層材(アイオノジットベースライナー、DMG、ドイツ)で封鎖した(生理食塩水投与群;コントロール)。また、右側第一臼歯の露出象牙質面に500μM 6-MSITCを浸漬したMedGel(P15シート)(同上)を置き、歯科用裏層材(同上)で封鎖した(500μM 6-MSITC投与群)。
 投与2週間後、3%イソフルラン(同上)と三種混合麻酔薬(ドミトール、ミダゾラム及びベトルファール)でラットを安楽死させ、両側下顎骨試料を得た。得られた試料を、マイクロCT(μCT-50、Scano Medical、スイス)を用いて撮像した。撮像条件はそれぞれ、管電圧70kV、管電流200μA、撮像分解能はx=10μm、y=10μm、z=10μmとした。得られたスライス画像を用いて象牙質形成程度を評価した。また、画像分析ソフトウェア(TRI/3D-BON、RATOC System Engineering Co.)を用いて、スライスデータよりボリュームレンダリング法で3次元的立体構築を行い、得られた3次元構築画像により、形態学的観察を行った。
 2.考察
 図13のマイクロCT(μCT)画像の拡大画像に太矢印及び細矢印で示すように、生理食塩水投与群(コントロール;A1)と比較して500μM 6-MSITC投与群(A2)では明らかな新規反応象牙質形成が観測された。X線透過性から、反応象牙質には、低石灰化領域(細矢印で示す部分)と高石灰化領域(太矢印で示す部分)とが存在することが観測された。
 また、図14の3次元構築画像に太矢印で示すように、500μM 6-MSITC投与群では髄床底に近接するほど多量の反応象牙質形成が観測された。
 以上のように、in Vivoにおいても6-MSITCによる石灰化の促進が確認された。よって、実際に6-MSITCを歯に接触させることにより、歯の象牙質における石灰化を促進できることが示された。また、本実験では6-MSITCを歯に接触させてからわずか2週間で石灰化が起こっており、効果が現れるまでの期間が著しく短いことが分かった。例えば、一般的に歯科臨床で使用される水酸化カルシウムやMTA(Mineral Trioxide Aggregate)を用いた場合、通常、ヒトにおいて石灰化が起こるまでに3ヶ月を要するが、これと比較して上記のように6-MSITCによる石灰化が起こるまでの期間は著しく短く、6-MSITCによれば従来の薬剤よりも短期間で石灰化効果を得られることが期待される。したがって、本願発明の歯のケア用組成物、並びにTRPA1及びCA活性化促進組成物は、歯の組織を強化するため、知覚過敏を予防するため及び/又は知覚過敏を改善するため、象牙質における石灰化を促進するため等に、好適に使用することができることが示唆された。

Claims (19)

  1.  スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はアリール基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む、歯のケア用組成物。
  2.  前記イソチオシアネート類が、メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネートを含む、請求項1に記載の歯のケア用組成物。
  3.  前記イソチオシアネート類が、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを含む、請求項1又は請求項2に記載の歯のケア用組成物。
  4.  前記歯のケア用組成物がチューインガムであり、
     前記歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、前記1回当たりの推奨摂取量中の前記イソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、前記歯のケア用組成物1個中の前記イソチオシアネート類の含有量が、0.036μmol以上である、請求項3に記載の歯のケア用組成物。
  5.  前記歯のケア用組成物がキャンディであり、
     前記歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、前記1回当たりの推奨摂取量中の前記イソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、前記歯のケア用組成物1個中の前記イソチオシアネート類の含有量が、0.12μmol以上である、請求項3に記載の歯のケア用組成物。
  6.  前記歯のケア用組成物が錠菓であり、
     前記歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、前記1回当たりの推奨摂取量中の前記イソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、前記歯のケア用組成物1個中の前記イソチオシアネート類の含有量が、0.012μmol以上である、請求項3に記載の歯のケア用組成物。
  7.  前記歯のケア用組成物がトローチ剤であり、
     前記歯のケア用組成物について1回当たりの推奨摂取量がある場合には、前記1回当たりの推奨摂取量中の前記イソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨摂取量がない場合には、前記歯のケア用組成物1個中の前記イソチオシアネート類の含有量が、0.084μmol以上である、請求項3に記載の歯のケア用組成物。
  8.  前記歯のケア用組成物が歯磨き剤であり、
     前記歯のケア用組成物について1回当たりの推奨使用量がある場合には、前記1回当たりの推奨使用量中の前記イソチオシアネート類の含有量が、又は、1回当たりの推奨使用量がない場合には、前記歯のケア用組成物1g中の前記イソチオシアネート類の含有量が、0.036μmol以上である、請求項3に記載の歯のケア用組成物。
  9.  知覚過敏の改善及び知覚過敏の予防から選ばれる一つ以上のために使用される、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の歯のケア用組成物。
  10.  歯の組織を強化するために使用される、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の歯のケア用組成物。
  11.  象牙質における石灰化を促進するために使用される、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の歯のケア用組成物。
  12.  スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はアリール基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む、歯のケア用組成物を歯に適用することを含む、象牙質における石灰化を促進する方法(ヒトに対する医療行為を除く。)。
  13.  前記イソチオシアネート類が、メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート類を含む、請求項12に記載の象牙質における石灰化を促進する方法。
  14.  前記イソチオシアネート類が、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートを含む、請求項12又は請求項13に記載の象牙質における石灰化を促進する方法。
  15.  前記歯のケア用組成物は、少なくとも一部が口腔内で唾液に溶解するものであり、
     前記唾液中の前記イソチオシアネート類の濃度が0.04mol/m3以上となるように、前記歯のケア用組成物を口腔内に適用することを含む、請求項12~請求項14のいずれか1項に記載の象牙質における石灰化を促進する方法。
  16.  象牙質における石灰化を促進する方法であって、
     スルフィニル基(-S(=O)-)、スルホニル基(-S(=O)2-)、スルフィド結合(-S-)、又はフェニル基と、イソチオシアネート基(-N=C=S)と、を有するイソチオシアネート類を含む液体を歯に接触させることを含み、
     前記液体中の前記イソチオシアネート類の濃度が0.04mol/m3以上である、方法(ヒトに対する医療行為を除く。)。
  17.  TRPA1チャネルの活性化及び炭酸脱水素酵素が触媒する反応の活性化を促進させるために用いる組成物。
  18.  前記組成物は、有効成分としてイソチオシアネート類(ただし、アリルイソチオシアネート及びn-アルキルイソチオシアネートを除く)を含む、請求項17に記載の組成物。
  19.  前記イソチオシアネート類は、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート及び6-メチルスルホニルヘキシルイソチオシアネートのうち少なくとも1つである、請求項18に記載の組成物。
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