WO2022050015A1 - 位置指示器 - Google Patents

Abstract

筐体の中空部内に、位置指示器用カートリッジが収納される電磁誘導方式の位置指示器に、サイドスイッチの機能を設ける。　軸心方向の一端側に配される磁性体コアに巻回されている第１のコイルと、第１のコンデンサとからなる第１の共振回路を備える位置指示器用カートリッジが筐体の中空部内に収納されている。位置指示器用カートリッジの外部に、位置指示器用カートリッジとは独立して、位置指示器用カートリッジの第１のコイルと磁気的に結合可能な位置に第２のコイルが設けられると共に、使用者の操作を受けることが可能に設けられている操作部を通じた操作によりオン、オフされるスイッチが設けられている。スイッチがオンとされたときに、第２のコイルを含む閉回路が生成される。

Description

位置指示器

　この発明は、筐体の中空部内に、位置指示器用カートリッジが収納される電磁誘導方式の位置指示器に関する。

　近年の小型化の嗜好により、携帯型の電子機器も、より小型化の要求が強くなっている。そして、この種の小型の携帯型の電子機器の入力デバイスとして、電子機器に搭載される位置検出センサと、当該位置検出センサと信号をインタクラクションすることで位置指示を行う電子ペンなどの位置指示器が使用されるようになっている。

　この種の位置指示器は、電子機器の小型化に合わせて、より細型のものが求められている。また、最近は、電子ペンなどの位置指示器は、文具の延長として捉えられ、その内部構成をモジュール化して、ボールペンの替え芯（リフィルやカートリッジ）と同様に取り扱えるようにする要望もあった。

　このような背景から、位置指示器の内部構成がモジュール化され、カートリッジ部品として取り扱えることができるようにした位置指示器が提供されている（例えば特許文献１（特許第５８６９１９３号公報）参照）。以下、この明細書では、位置指示器の内部構成部品をモジュール化して一体化し、ボールペンの替え芯のように交換可能に構成したものを位置指示器用カートリッジと称することとする。

　特許文献１に開示されている位置指示器用カートリッジは、電磁誘導方式のもので、位置検出センサとインタラクションを行う先端部側に、コイルが巻回された磁性体コアが設けられていると共に、この磁性体コアと結合される筒状体部内に、コイルと接続されて共振回路を構成するためのコンデンサが配設されている回路基板が設けられている。

　そして、特許文献１においては、位置指示器の筐体には、位置指示器用カートリッジの先端部側となる軸心方向の一端側に開口が設けられると共に、その開口を通じて位置指示器用カートリッジの先端部を、出没可能とするノック式機構部が設けられている。

　この位置指示器によれば、位置指示器用カートリッジを構成する磁性体コア及び筒状体部を細くすることで、位置指示器用カートリッジ全体の細型化が可能となり、位置指示器の細型化が実現できる。そして、位置指示器用カートリッジを、市販のボールペンの替え芯と互換性を取れる構成とすることができるようになる。

　また、位置指示器の筐体内に位置指示器用カートリッジが収納される構成であるので、位置指示器の構成を簡単にすることができると共に、位置指示器用カートリッジを交換可能な構成とすることができ、便利である。

　ところで、この種の位置指示器は、一般に、筒状の筐体の側周面から操作可能に露出する操作部を、例えば押下操作することでオン、オフされる、いわゆるサイドスイッチと呼ばれるスイッチを備える。このサイドスイッチのオン、オフ操作は、位置検出装置を備える電子機器において、例えばマウスポインターのクリック操作に対応する機能などの所定の機能に対応付けられて設定されている。使用者は、適宜、位置指示器においてサイドスイッチをオン、オフ操作することで、上述の予め定められた機能を電子機器に指示することができる。

　電磁誘導方式の位置指示器では、例えば特許文献２（特開２０１８－０１８１４９号公報）に記載されているように、磁性体コアに巻回されているコイルとコンデンサとからなる共振回路に対して、サイドスイッチを介して別のコンデンサを接続するように構成することで、共振回路の共振周波数を変化させ、これにより、サイドスイッチのオン、オフを、位置検出装置を備える電子機器側に伝達するように構成されている。

特許第５８６９１９３号公報 特開２０１８－０１８１４９号公報

　上述の特許文献２に開示されているように、従来の電磁誘導方式の位置指示器においては、磁性体コアに巻回されているコイルとコンデンサとからなる共振回路に対する別のコンデンサの接続を、サイドスイッチのオン、オフにより制御することにより、共振回路の共振周波数を変化させ、これにより、サイドスイッチのオン、オフを位置検出装置側に伝達するように構成されている。

　このため、上述したような位置指示器用カートリッジを筐体内に収納するように構成する位置指示器において、サイドスイッチを設けようとする場合には、次のような問題があった。

　すなわち、共振回路は、位置指示器用カートリッジ内の回路基板に構成されるので、従来は、サイドスイッチを位置指示器用カートリッジ内に配設する必要がある。一方、サイドスイッチをオン、オフさせるための操作部は、位置指示器の筐体に開口を設けて外部に露出させて設ける必要がある。そのため、従来の手法を用いる場合には、位置指示器用カートリッジの筐体には、位置指示器の筐体の外部に露出する操作部の操作子を当該位置指示器用カートリッジの筐体内に押し込んでサイドスイッチをオン、オフするための開口を設ける必要がある。

　しかし、細型の位置指示器用カートリッジの筐体に開口を設けると、強度が低下するという問題がある。また、位置指示器用カートリッジの筐体に開口を設けた場合には、位置指示器用カートリッジを防水仕様とすることが困難になるという問題もある。

　また、位置指示器用カートリッジの筐体内のスイッチと、位置指示器の筐体の外部に露出する操作部との位置合わせが不可欠となり、構成が複雑になると共に、位置指示器の製造に手間がかかるという問題がある。

　この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした位置指示器を提供することを目的とする。

　上記の課題を解決するために、
　筐体の中空部内に、位置指示器用カートリッジが収納される電磁誘導方式の位置指示器であって、
　前記位置指示器用カートリッジは、軸心方向の一端側に配される磁性体コアに巻回されている第１のコイルと、第１のコンデンサとからなる第１の共振回路を備え、
　前記位置指示器用カートリッジの外部に、前記位置指示器用カートリッジとは独立して、前記位置指示器用カートリッジの前記第１のコイルと磁気的に結合可能な位置に第２のコイルが設けられると共に、使用者の操作を受けることが可能に設けられている操作部を通じた操作によりオン、オフされるスイッチが設けられており、
　前記スイッチがオンとされたときに、前記第２のコイルを含む閉回路が生成される
　ことを特徴とする位置指示器を提供する。

　上述の構成の位置指示器においては、筐体の中空部内に、磁性体コアに巻回されている第１のコイルとコンデンサとで構成される第１の共振回路を備える位置指示器用カートリッジが収納されている。そして、位置指示器には、位置指示器用カートリッジの外部に、位置指示器用カートリッジとは独立して、位置指示器用カートリッジの磁性体コアに巻回される第１のコイルと磁気的に結合可能な位置に第２のコイルが設けられている。また、位置指示器には、使用者が操作可能なように操作部が配設されていると共に、この操作部の操作によりオン、オフされるスイッチが設けられ、このスイッチがオンとされると、第２のコイルを含む閉回路が形成され、第２のコイルに電流が流れることが可能な状態となる。

　スイッチがオフであるときには、閉回路は生成されず、第２のコイルには電流は流れない。このため、第１のコイルと第２のコイルとの間の相互誘導作用は生じないので、第１の共振回路の共振周波数は、第１のコイルと第１のコンデンサとで決まる共振周波数となる。

　そして、使用者により操作部が操作されて、スイッチがオンとされると、閉回路が生成されるので、第１のコイルと第２のコイルとの間で相互誘導作用が生じる状態となり、これにより、第１の共振回路のインダクタンスが変化して、その共振周波数が変化する。したがって、位置検出装置側では、スイッチのオン、オフの状態を、位置指示器からの受信信号の周波数の変化に基づいて検出することができる。

　この構成の位置指示器においては、スイッチは、位置指示器用カートリッジの外部に、位置指示器用カートリッジとは独立して設けられている第２のコイルに電流が流れることが可能なような閉回路の形成を制御するものであり、位置指示器用カートリッジの第１の共振回路の構成部品とはなっていない。したがって、操作部は、位置指示器用カートリッジに対して機械的に関与させるように構成する必要はなく、位置指示器用カートリッジとは独立に構成できる。そして、第２のコイルは、位置指示器用カートリッジの第１のコイルと磁気的に結合が可能に状態で設けられればよいので、位置指示器用カートリッジには、何ら変更を加える必要はない。

　このため、上記の構成の位置指示器によれば、筐体内に位置指示器用カートリッジを収納する位置指示器において、位置指示器用カートリッジを交換可能に構成したり、ノック式機構部により、位置指示器の筐体の開口から先端部を出没可能に構成したりするようにした場合であっても、サイドスイッチを備えるようにすることができる。すなわち、上記の構成の位置指示器によれば、位置指示器用カートリッジにサイドスイッチを設けなくても、サイドスイッチの機能を備えることができる。

この発明による位置指示器の第１の実施形態である電子ペンの構成例を示す図である。 この発明による位置指示器の第１の実施形態における位置指示器用カートリッジの例である電子ペン本体部の構成例を説明するための図である。 第１の実施形態の電子ペンの要部の構成例を説明するための図である。 第１の実施形態の電子ペンの電子回路例及び位置検出装置の回路例を示す図である。 この発明による位置指示器の第２の実施形態である電子ペンの構成例を示す図である。 この発明による位置指示器の第３の実施形態である電子ペンの構成例を示す図である。 この発明による位置指示器の第４の実施形態である電子消去具の構成例を示す図である。 この発明による位置指示器の他の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。 この発明による位置指示器の他の実施形態の要部の回路構成例を説明するための図である。 この発明による位置指示器の他の実施形態の構成例を説明するための図である。 この発明による位置指示器の他の実施形態の構成例を説明するための図である。

　以下、この発明による位置指示器の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。

　［第１の実施形態］
　図１は、この発明による位置指示器の第１の実施形態の構成例を示す図であり、この例は、位置指示器が電磁誘導方式の電子ペンの場合である。この第１の実施形態の電子ペン１は、筒状の筐体２の中空部２ａ内に、位置指示器用カートリッジの例である電子ペン本体部３が収納され、ノック式機構部４により、電子ペン本体部３のペン先側が、筐体（電子ペン筐体）２の長手方向の一端の開口２ｂ側から出し入れされるノック式の構成を備える。この実施形態では、電子ペン本体部３は、交換可能の構成とされ、筐体２に対して着脱可能とされている。

　この例の電子ペン１の筐体２は、図１に示すように、筐体筒状部２１に対してペン先スリーブ部２２がねじ込まれることで構成されている。ペン先スリーブ部２２は、ペン先に行くほど先細となるようなテーパー形状を有するものとされており、筐体２のペン先側の開口２ｂは、このペン先スリーブ部２２の先端部に設けられている。

　図１（Ａ）は、電子ペン本体部３の全体が筐体２の中空部２ａ内に収容されている状態を示し、図１（Ｂ）は、ノック式機構部４により電子ペン本体部３のペン先側が、筐体２の開口２ｂから突出した状態を示している。なお、図１の例では、電子ペン１の筐体２を破断した断面により示し、当該筐体２の内部が見える状態として示している。

　この実施形態の電子ペン１は、市販のノック式ボールペンと互換性が取れる構成とされている。筐体２及び当該筐体２内に設けられるノック式機構部の例であるノック式機構部４は、周知の市販のノック式ボールペンと同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成される。

　図２は、電子ペン本体部３の構成例を、市販のノック式ボールペンの替え芯と比較して示す図である。すなわち、図２（Ａ）は、市販のノック式ボールペンの替え芯６を示し、また、図２（Ｂ）は、この実施形態の電子ペン本体部３の構成例を示している。

　市販のノック式ボールペンの替え芯６は、図２（Ａ）に示すように、ボールが先端に配設されているペン先部６１と、インク収納部６２とが、結合部６３で結合されて一体化された周知の構成を備える。結合部６３は、インク収納部６２と同じ径を有する。

　一方、この実施形態の電子ペン本体部３においては、図２（Ｂ）に示すように、コイル３１が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア３２が筒状体部３３と結合されている。そして、芯体３４が、フェライトコア３２の貫通孔（図２では図示を省略）を通じて挿通されて、筒状体部３３内に設けられている筆圧検出部３５に嵌合されて電子ペン本体部３の一部として設けられる。図２に示すように、芯体３４は、一方の端部３４ａ（以下、先端部３４ａという）が、ペン先として、フェライトコア３２から突出され、他方の端部が筆圧検出部３５に嵌合される。

　筆圧検出部３５は、例えば特許文献：特開２０１１－１８６８０３号公報に記載されている周知の構成の筆圧検出手段を使用した、筆圧に応じて静電容量が変化する可変容量コンデンサの構成とされる。なお、筆圧検出部３５は、例えば、特開２０１３－１６１３０７号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする半導体素子を用いた構成することもできる。

　筒状体部３３内には、さらにプリント基板３６が収納されている。このプリント基板３６には、コイル３１に並列に接続されて共振回路を構成するコンデンサ３７が設けられている。そして、筆圧検出部３５で構成される可変容量コンデンサは、このプリント基板３６に形成されているコンデンサ３７に並列に接続されて、前記共振回路の一部を構成するようにされている（後述の図４参照）。

　芯体３４は、フェライトコア３２の貫通孔を挿通して、筒状体部３３内の筆圧検出部３５に嵌合される。芯体３４は、交換可能とされている。

　この例の場合には、図２（Ａ）及び図２（Ｂ）に示すように、電子ペン本体部３のペン先側の寸法は、ボールペンの替え芯６のペン先側の寸法とほぼ等しくなるように構成されている。

　以上のような構成の電子ペン本体部３を、その筒状体部３３をノック式機構部４に嵌合させることにより、筐体２内に収納することができる。そして、この実施形態の電子ペン１においては、使用者は、位置検出装置と共に使用するときには、ノック棒４２の端部４２ａを押下する。すると、電子ペン１においては、図１（Ｂ）に示すように、芯体３４の先端部３４ａ及びフェライトコア３２のコイルの非巻回部の一部が筐体２の開口２ｂから突出する状態となる。電子ペン１の使用者は、この状態で、位置検出装置のセンサ上において、指示位置の入力操作をする。

　電子ペン１の使用が終了したら、ノック棒４２の端部４２ａを再押下することで、図１（Ａ）に示すように、電子ペン本体部３の全体は筐体２の中空部２ａ内に収容させる状態とすることができる。このときには、電子ペン本体部３の全体が筐体２の中空部２ａ内に収容されて、電子ペン本体部３の芯体３４の先端部３４ａは、筐体２により保護される状態となる。

　そして、この実施形態の電子ペン１の筐体２の中空部２ａ内には、図１に示すように、サイドスイッチ７が設けられた回路基板８が、電子ペン本体部３の筐体２の中空部２ａ内での軸心方向の移動を邪魔しないように配設されている。

　また、この実施形態の電子ペン１においては、サイドスイッチ７をオンにすることにより、電子ペン本体部３の共振回路の共振周波数をシフトさせるための部材として、電子ペン本体部３の共振回路のコイル３１と相互誘導結合するように磁気的に結合可能なコイル９が、筐体２の中空部２ａのペン先側に設けられる。

　図３は、電子ペン１のペン先側及びサイドスイッチ７が設けられている位置近傍の構成を説明するための部分拡大図で、この図３をも参照して、サイドスイッチ７、回路基板８及びコイル９の配設位置及び構成を、さらに説明する。

　図１及び図３に示すように、この実施形態の電子ペン１の筐体２の筐体筒状部２１のペン先側の内部には、コイル９が巻回されているコイル保持部１０が装着されている。コイル保持部１０は、電子ペン本体部３を挿通可能な貫通孔を有する筒状部１０ａを備え、当該筒状部１０ａの外周にコイル９が巻回されている。

　そして、図１及び図３に示すように、コイル保持部１０の筒状部１０ａのペン先側とは反対側には、リング状に張り出す鍔状部１０ｂが形成されており、この鍔状部１０ｂが筐体２の筐体筒状部２１の内壁面に接合されることで、筐体筒状部２１のペン先側にコイル９が配設される。コイル保持部１０の筒状部１０ａは、その一部が筐体筒状部２１よりも外部に突出する状態とされている。そして、ペン先スリーブ部２２が、当該ペン先スリーブ部２２の中空部内に、コイル保持部１０の筒状部１０ａを収納する状態で、筐体筒状部２１に対してねじ込まれて結合されることで、コイル９が筐体２内に配設される。

　この場合に、電子ペン本体部３のペン先部のコイル３１は、ノック式機構部４により、図１及び図３に示すように、コイル保持部１０の筒状部１０ａの貫通孔を挿通して、筐体２の開口２ｂから出没するように軸心方向に移動されるが、移動しても、電子ペン本体部３の共振回路のコイル３１とコイル９とは常に磁気的に結合可能な位置関係が保持されるように構成されている。

　すなわち、この例では、図１（Ｂ）に示すように、電子ペン本体部３のペン先部が筐体２の開口２ｂから外部に突出する電子ペン１の使用状態においても、少なくともコイル３１の一部（この例では大部分）が、コイル保持部１０の筒状部１０ａの貫通孔内に存在するように構成されている。

　図１及び図３に示すように、筐体２の筐体筒状部２１の側周面の、軸心方向の中ほどの位置には、サイドスイッチ７を押下操作するための操作部１１用の開口２ｃが形成されている。回路基板８は、筐体２の筐体筒状部２１の内壁面の、開口２ｃが存在する範囲を覆うような位置に設けられている。図３に示すように、回路基板８は、この例では、例えば両面テープなどの接着用部材８ａ，８ｂを介して、筐体２の筐体筒状部２１の内壁面に接着されて、電子ペン本体部３の筐体筒状部２１内での軸心方向の移動を邪魔しないように配設されている。サイドスイッチ７は、図１及び図３に示すように、この開口２ｃから外部に臨むように、回路基板８に配設されている。操作部１１は、例えばゴム部材などの弾性部材で構成され、押下操作に対する弾性復帰が可能である。

　そして、図３に示すように、コイル９の両端部９ａ，９ｂは、回路基板８にまで延長され、回路基板８の導体パターンに例えば半田付けされる。この実施形態では、回路基板８には、コイル９と接続されて共振回路を構成するコンデンサ１２が設けられている。この場合に、サイドスイッチ７がオンとされているときに、コイル９に対してコンデンサ１２が並列に接続される閉回路として共振回路が形成されるように構成されている。

　［回路構成例］
　図４は、この第１の実施形態の位置指示器としての電子ペン１の回路構成例を示すと共に、この電子ペン１と電磁誘導結合することで位置検出を行う位置検出装置２００の回路構成例を示す図である。

　すなわち、電子ペン１は、電子ペン本体部３の回路構成として、コイル３１と、コンデンサ３７と、筆圧検出部３５で構成される可変容量コンデンサＣｖとが並列に接続されることにより構成された第１の共振回路ＲＣ１を備える。また、電子ペン１の回路基板８においては、筐体２に設けられたコイル９の一端とコンデンサ１２との一端が接続されると共に、コイル９の他端とコンデンサ１２の他端との間にサイドスイッチ７が接続されており、サイドスイッチ７がオンとなることにより、コイル９の他端とコンデンサの他端とが接続されて閉回路が形成される。この閉回路は、コイル９とコンデンサ１２とからなる第２の共振回路ＲＣ２となる。

　電子ペン１において、サイドスイッチ７がオフであるときには、第２の共振回路ＲＣ２は形成されず、コイル９に電流を流す閉回路が形成されない。この時には、電子ペン１の電子ペン本体部３の第１の共振回路ＲＣ１のコイル３１と、第２の共振回路ＲＣ２のコイル９との間では相互誘導作用は生じないので、電子ペン１の電子ペン本体部３の共振回路ＲＣ１の共振周波数は、コイル３１とコンデンサ３７及び可変容量コンデンサＣｖとで定まる周波数ｆ１となる。

　一方、電子ペン１において、使用者により操作部１１が操作されて、サイドスイッチ７がオンとされると、コイル９とコンデンサ１２とからなる共振回路ＲＣ２が生成され、コイル９に電流が流れる閉回路が形成される。すると、電子ペン１の電子ペン本体部３の第１の共振回路ＲＣ１のコイル３１と第２の共振回路ＲＣ２のコイル９との間に相互誘導作用を生じるようになる。このため、電子ペン１の電子ペン本体部３の共振回路ＲＣ１の共振周波数は、前記周波数ｆ１とは異なる周波数ｆ２となる。

　一方、位置検出装置２００は、位置検出センサ２０１と、位置検出回路２０２とを備えて構成されている。位置検出センサ２０１は、Ｘ軸方向ループコイル群２０１Ｘと、Ｙ軸方向ループコイル群２０１Ｙとが積層されて構成されたものである。

　位置検出回路２０２は、発振器２０４と、電流ドライバ２０５と、選択回路２０６と、切り替え接続回路２０７と、受信アンプ２０８と、位置検出用回路２０９と、筆圧検出用回路２１０と、サイドスイッチ操作検出回路２１１と、制御部２１２とからなる。制御部２１２は、マイクロプロセッサにより構成されている。制御部２１２は、選択回路２０６におけるループコイルの選択、切り替え接続回路２０７の切り替えを制御すると共に、位置検出用回路２０９及び筆圧検出用回路２１０での処理タイミングを制御する。

　そして、位置検出センサ２０１のＸ軸方向ループコイル群２０１Ｘ及びＹ軸方向ループコイル群２０１Ｙが選択回路２０６に接続されている。選択回路２０６は、２つのループコイル群２０１Ｘ，２０１Ｙのうちの一個のループコイルを順次選択する。発振器２０４は、周波数ｆ０の交流信号を発生する。発振器２０４は、発生した交流信号を、電流ドライバ２０５と筆圧検出用回路２１０に供給する。電流ドライバ２０５は、発振器２０４から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路２０７へ送出する。

　切り替え接続回路２０７は、制御部２１２からの制御により、選択回路２０６によって選択されたループコイルが接続される接続先（送信側端子Ｔ、受信側端子Ｒ）を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Ｔには電流ドライバ２０５が、受信側端子Ｒには受信アンプ２０８が、それぞれ接続されている。そして、位置検出センサ２０１から信号を送信する場合には、切り替え接続回路２０７は端子Ｔ側に切り替えられ、逆に、位置検出センサ２０１が外部からの信号を受信する場合には、切り替え接続回路２０７は端子Ｒ側に切り替えられる。

　そして、切り替え接続回路２０７が、端子Ｔ側に切り替えられている場合には、選択回路２０６により選択されたループコイルに、電流ドライバ２０５からの電流が供給される。これにより、当該選択されたループコイルにおいて磁界が発生し、これに対向する電子ペン１の電子ペン本体部３の第１の共振回路ＲＣ１に作用させるための信号（電波）を送信するようにできる。

　一方、切り替え接続回路２０７が、端子Ｒ側に切り替えられている場合には、選択回路２０６により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路２０６及び切り替え接続回路２０７を介して受信アンプ２０８に送られる。受信アンプ２０８は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、位置検出用回路２０９、筆圧検出用回路２１０及びサイドスイッチ操作検出回路２１１へ送出する。

　すなわち、Ｘ軸方向ループコイル群２０１Ｘ及びＹ軸方向ループコイル群２０１Ｙの各ループコイルには、電子ペン１の電子ペン本体部３の第１の共振回路ＲＣ１から送信（帰還）される電波によって誘導電圧が発生する。

　位置検出用回路２０９は、電子ペン１の電子ペン本体部３の第１の共振回路ＲＣ１の共振周波数の成分について、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をデジタル信号に変換し、制御部２１２に出力する。

　制御部２１２は、位置検出用回路２０９からの共振周波数成分についてのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルのそれぞれに基づいて、電子ペン１の電子ペン本体部３の先端部３４ａのＸ軸方向及びＹ軸方向の指示位置の座標値を算出する。

　筆圧検出用回路２１０は、受信アンプ２０８からの受信信号を発振器２０４からの交流信号で同期検波し、両信号の周波数変位（位相差）に基づいて、電子ペン１の電子ペン本体部３の先端部３４ａに印加されている筆圧を検出する。

　サイドスイッチ操作検出回路２１１は、受信アンプ２０８からの出力信号の周波数に基づき、電子ペン１の電子ペン本体部３の第１の共振回路ＲＣ１の共振周波数を検出し、検出した周波数が、サイドスイッチ７がオフのときの共振周波数か、オンのときの共振周波数かを検出し、その検出結果を制御部２１２に出力する。制御部２１２は、このサイドスイッチ操作検出回路２１１の出力に基づいて、サイドスイッチ７がオンとされたか否かを検出するようにする。

　制御部２１２は、検出した電子ペン１による指示位置の座標値、筆圧値及びサイドスイッチ７のオン、オフの検出結果の情報を、位置検出装置が搭載されている電子機器が備える情報処理部（ホストコンピュータ）に送信する。

　上述したように、第１の実施形態の電子ペン１においては、電子ペン本体部３とは別個に、電子ペン本体部３の第１の共振回路のコイル３１と磁気的に結合する位置に、第２のコイル９を設け、電子ペン１の筐体２に設けたサイドスイッチ７のオン、オフにより、第２のコイル９と第２のコンデンサ１２とからなる第２の共振回路からなる閉回路をオン、オフさせるように構成した。これにより、第１の実施形態の電子ペン１によれば、電子ペン本体部３の共振回路（第１の共振回路）を２種の共振周波数を備える共振回路の構成としたり、電子ペン本体部３にサイドスイッチを設けたりする必要はなく、電子ペン本体部３は、開口を設けるように加工を加えることなくそのまま使用することができる。

　したがって、第１の実施形態の電子ペン１によれば、ノック式機構部４により電子ペン本体部３を軸心方向に移動させる場合にも、比較的簡単な構成で、サイドスイッチの機能を備えることができる。

　［第２の実施形態］
　上述の第１の実施形態の位置指示器の例としての電子ペン１では、位置指示器用カートリッジの例としての電子ペン本体部の第１の共振回路の共振周波数を、サイドスイッチのオンにより変化させる第２のコイルは、電子ペン１の筐体２の内部に設けるようにしたが、電子ペン１の筐体２の外側に設けることもできる。

　第２の実施形態の位置指示器は、第１の実施形態と同様に、位置指示器が電子ペンの場合であって、かつ、その筐体の中空部内に、位置指示器用カートリッジの例としての電子ペン本体部３が、ノック式機構部４により、筐体の先端の開口から出没可能の状態で収納される場合であって、第２のコイルを電子ペンの筐体の外側に設けるように構成した場合である。

　図５は、この第２の実施形態の位置指示器の例としての電子ペン１Ａの構成例を示す図であり、第１の実施形態の電子ペン１の図１（Ａ）に対応している。この図５に示す第２の実施形態の電子ペン１Ａにおいて、第１の実施形態の電子ペン１と同様の部分については、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。

　この第２の実施形態の電子ペン１Ａの筐体２Ａは、この例では、筐体筒状部２１とペン先スリーブ部２２とに分離されてはおらず、単一の筒状部材で構成されており、ペン先側に開口１Ａｂを備え、後端側に開口２Ａｃを備える。そして、この第２の実施形態の電子ペン１Ａの筐体２Ａにおいては、筐体２Ａの中空部２Ａａ内に、電子ペン本体部３が収納され、ノック式機構部４により、電子ペン本体部３の芯体３４の先端部３４ａ側を、開口２Ａｂから出没させるように構成されている。

　そして、第２の実施形態の電子ペン１Ａにおいては、図５に示すように、筐体２Ａのペン先側の外周部分に、電子ペン本体部３の先端部のフェライトコア３２に巻回されているコイル３１と磁気的に結合可能な位置関係でコイル９Ａが設けられる。

　また、筐体２Ａの側周面の、軸心方向の中ほどの位置には、サイドスイッチ７を押下操作するための操作部１１用の開口２Ａｃが形成されている。さらに、筐体２Ａの内壁面の、この開口２Ａｃが存在する範囲を覆うような位置には、回路基板８が、電子ペン本体部３の筐体筒状部２１内での軸心方向の移動を邪魔しないように、例えば両面テープなどの接着用部材（図示は省略）により接着されて配設されている。サイドスイッチ７は、図５に示すように、開口２Ａｃから外部に臨む状態で、回路基板８に配設されている。

　そして、コイル９Ａの両端９Ａａ及び９Ａｂは、筐体２Ａの中空部２Ａａ内に、図示を省略した貫通孔を通じて導入されて、第１の実施形態のコイル９と同様に、回路基板８のサイドスイッチ７を通じてコンデンサ１２（図５では図示は省略）と接続され、サイドスイッチ７がオンのときに、コイル９Ａとコンデンサ１２とからなる共振回路を形成するように構成されている。

　この第２の実施形態の電子ペン１Ａによれば、電子ペン本体部３の共振回路のコイル３１と磁気的に結合するコイル９Ａが、電子ペン１Ａの筐体２Ａの外部に設けられている点を除けば、第１の実施形態の電子ペン１と全く同様な動作を行うことができ、同様の作用効果を奏する。

　なお、上述の第２の実施形態の電子ペン１Ａの筐体２Ａは、上述の例では、１個の筒状体の構成としたが、筐体２Ａのサイドスイッチ７を押下操作する操作部１１用の開口２Ａｃが設けられている部位よりも、より後端側において、筐体２Ａを２分して、両者を、例えばねじ込みや、圧入嵌合により結合するように構成してもよい。そのように、筐体２Ａを２分にして、分離可能の構成した場合には、電子ペン本体部３の交換を容易に行うことができる。

　［第３の実施形態］
　この発明による位置指示器の第３の実施形態は、第１の実施形態の電子ペン１の変形例である。上述した第１の実施形態の電子ペン１では、電子ペン本体部３を筐体２内に１本のみを収納するようにした。この第３の実施形態では、筐体内に複数本の電子ペン本体部を収納させ、ノック式機構部により、その複数本の電子ペン本体部の内の１本を選択して、その選択した電子ペン本体部のペン先部の先端を、筐体のペン先側の開口から突出させて使用することができるように構成する。

　上述したように、第１の実施形態の電子ペン１の電子ペン本体部３は、ボールペンの替え芯６と互換性を取れる構成を備えるようにされている。市販のボールペンとしては、インク色の異なる替え芯を装着した多色ボールペンが存在する。この第３の実施形態は、電子ペン本体部３を、この多色ボールペンの筐体と同様の構成の筐体に収納することで構成される電子ペンを提供するものである。

　図６（Ａ）は、この第３の実施形態の電子ペン１Ｍの外観を示す構成図である。電子ペン１Ｍの筐体２Ｍは、市販のノック式の多色ボールペンの筐体及びノック式機構部と同様の構成を備えている。この筐体２Ｍ内には、この例では、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅが収納されている。

　この電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅは、多色ボールペンの替え芯と同寸法に構成されている点を除けば、第１の実施形態の電子ペン本体部３と同様に構成されており、それぞれ、先端側にはフェライトコア３２に巻回されているコイル３１が設けられており、筒状体部３３には、コイル３１と共に共振回路を構成するコンデンサ３７と、筆圧検出部３５とが設けられている。

　ただし、この第３の実施形態の場合の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅにおいては、電子回路部品が配設される筒状体部３３には、自身の識別情報（以下、ＩＤ情報という）を位置検出装置に送信する機能を実現するための制御部及びその周辺回路が設けられる。電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅの電子回路例については後述する。

　電子ペン１Ｍのノック式機構部には、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれが嵌合されるノック棒４２Ｂ，４２Ｒ，４２Ｅが備えられている。そして、ノック棒４２Ｂ，４２Ｒ，４２Ｅのいずれかが、ペン先側にスライド移動されることで、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのいずれかの芯体３４の先端部３４ａ及びフェライトコア３２の一部が突出して、位置検出装置のセンサと電磁誘導結合するようにされる。

　そして、この実施形態の場合、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅと共に使用される位置検出装置は、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれから送信されてくるＩＤ情報を受信して判別する機能を備える。すなわち、この実施形態の場合の位置検出装置は、ＩＤ情報に基づいて電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅの違いを判別して、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれに割り当てられた機能を実現するようにする。

　以下に説明する例では、例えば、電子ペン本体部３Ｂは、その指示位置に応じて表示する軌跡（文字や図形）を黒色で表す機能を割り当てられ、電子ペン本体部３Ｒは、その指示位置に応じて表示する軌跡を赤色で表す機能を割り当てられ、電子ペン本体部３Ｅは、その指示位置に応じて、先に指示入力された軌跡を消去する機能を割り当てられる。電子ペン本体部に割り当てられる機能は、この例のような指示位置に応じた軌跡の表示色のみではなく、種々の機能が可能であり、例えば軌跡の太さや、実線、点線、一点鎖線などの表示する線の種別などであってもよい。

　図６（Ｂ）は、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅの一つ、ここでは、電子ペン本体部３Ｂの電子回路構成例を示すものである。他の電子ペン本体部３Ｒ，３Ｅは同一の回路構成を備え、同一の動作をするものであることは言うまでもない。

　電子ペン本体部３Ｂは、図６（Ｂ）に示すように、第１の実施形態の電子ペン本体部３と同様に、コイル３１に対して、筒状体部３３に設けられているコンデンサ３７及び筆圧検出部３５の可変容量キャパシタＣｖが並列に接続された第１の共振回路ＲＣ１を備えると共に、例えばＩＣ（Integrated Circuit）からなる制御部３００と、整流回路３０１と、スイッチ回路３０２とを備える。

　整流回路３０１は、第１の共振回路ＲＣ１にて位置検出装置から電磁誘導結合により受信した交流信号を整流して電源電圧Ｖｃｃを生成し、制御部３００に供給する。

　スイッチ回路３０２は、第１の共振回路ＲＣ１のコイル３１に並列に接続され、制御部３００によりオン・オフ制御されるように構成されている。

　制御部３００は、この例では、電子ペン本体部３Ｂの製造者番号、製品番号及び、上述のような機能の種別等の情報を含む、例えば８ビットのデジタル信号からなるＩＤ情報を、内蔵するメモリ３００Ｍに記憶している。そして、制御部３００は、メモリ３００Ｍに記憶しているＩＤ情報の各ビットの値が、例えば「０」のときにはスイッチ回路３０２をオフ、「１」のときにはスイッチ回路３０２をオンとするように、スイッチ回路３０２をオン・オフ制御することで、位置検出装置から受信した交流信号を断続させてＡＳＫ（Amplitude Shift Keying）信号を生成して、前記ＩＤ情報を位置検出装置に送信するようにする。

　そして、この第３の実施形態の電子ペン１Ｍにおいては、図６（Ａ）に示すように、筐体２Ａの中空部のペン先側に、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅの先端部の全てを包含して、その周囲を覆うように、第２のコイル９Ｍが設けられる。すなわち、第２のコイル９Ｍは、図６（Ａ）の例においては、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅに共通の１個が、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれのコイル３１と磁気的に結合するような状態で、筐体２Ｍの中空部のペン先側に設けられる。

　そして、筐体２Ｍの側周面の、軸心方向の中ほどの位置には、開口（図６では図示を省略）が形成されていると共に、筐体２Ｍの内壁面の、この開口が存在する範囲を覆うような位置に回路基板８Ｍが、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅの、電子ペン１Ｍの筐体２Ｍ内での軸心方向の移動を邪魔しないように、例えば両面テープなどの接着用部材により接着されて配設されている。そして、回路基板８Ｍには、筐体２Ｍの側周面の開口から望むように、サイドスイッチ７Ｍが設けられていると共に、このサイドスイッチ７Ｍを押下操作するための操作部１１Ｍが、筐体２Ｍの側周面の開口から外部に突出するように配設されている。

　そして、回路基板８Ｍには、図６（Ｂ）に示すように、サイドスイッチ７Ｍがオンとされたときに、コイル９Ｍと第２の共振回路ＲＣ２Ｍを構成するように接続されたコンデンサ１２Ｍ（図６（Ａ）では図示を省略）が配設されている。

　この第３の実施形態の電子ペン１Ｍと電磁誘導結合する位置検出装置では、前述の第１の実施形態の電子ペン１に対応する位置検出装置２００と同様に、位置検出用回路２０９、筆圧検出用回路２１０及びサイドスイッチ操作検出回路２１１の機能を備えると共に、さらに、電子ペン１Ｍの各電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３ＥからのＩＤ情報を検出する機能を備えている。

　そして、この第３の実施形態では、位置検出装置において、電子ペン１Ｍの３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれについて、サイドスイッチ７Ｍの操作に対応する機能を設定可能とされており、それぞれの機能が、ＩＤ情報に対応して記憶されている。したがって、位置検出装置には、サイドスイッチの機能は、電子ペン１Ｍの３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅの全てについて同じ機能を設定することもできるし、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれ毎に異なる別々の機能を割り当て設定することもできる。

　この第３の実施形態の電子ペン１Ｍにおいては、ノック式機構部のノック棒４２Ｂ，４２Ｒ，４２Ｅのいずれかを軸心方向にノック操作（摺動移動操作）することで、そのノック操作されたノック棒に嵌合されている電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのいずれかのペン先部を、筐体２Ｍの開口２Ｍａから突出させて、位置検出装置と電磁結合することが可能な状態とすることができる。以下の説明では、ペン先部が筐体２Ｍの開口２Ｍａから突出させられて、位置検出装置と電磁結合することが可能な状態となっている電子ペン本体部を、選択中電子ペン本体部と称する。

　第３の実施形態における位置検出装置では、そのペン先が開口２Ｍａから突出している選択中電子ペン本体部の第１の共振回路ＲＣ１と位置検出センサとの電磁誘導結合により、そのペン先部により指示された位置を検出すると共に、ペン先部に印可された筆圧値を検出する。また、位置検出装置では、選択中電子ペン本体部からの信号に含まれるＩＤ情報により、選択中電子ペン本体部が、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのいずれであるかを判別する。

　そして、電子ペン１Ｍにおいて、使用者により操作部１１Ｍが操作されたときには、図６（Ｂ）に示すように、サイドスイッチ７Ｍがオンとなることにより、第２の共振回路ＲＣ２Ｍが閉回路として生成される。これにより、選択中電子ペン本体部の第１の共振回路ＲＣ１の共振周波数が変化し、位置検出装置では、その周波数変化を検出することで、サイドスイッチ７Ｍがオンとされたことを検出する。そして、位置検出装置では、選択中電子ペン本体部に対応するＩＤ情報に対応して設定されて記憶されているサイドスイッチ７Ｍの対応機能を判別し、その対応機能の情報を、例えば無線通信部を通じてホストコンピュータに送信する。

　以上説明したように、第３の実施形態の電子ペン１Ｍにおいては、ノック式機構部により３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのペン先部のいずれかを筐体２Ｍの開口２Ｍａから突出させて使用することができるものにおいて、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅに手を加えることなく、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれについてのサイドスイッチの機能を実現することができる。

　この場合に、サイドスイッチの機能を実現するための部材は、筐体２Ｍに、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれについて、サイドスイッチ、操作部及びコイルを設けるように構成してもよいが、上述した第３の実施形態においては、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅに共用される、１個のサイドスイッチ７Ｍ、操作部１１Ｍ及び１個のコイル９Ｍを設ける構成であるので、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれについて、サイドスイッチ、操作部及びコイルを設ける場合に比べて、構成を簡単にすることができる。

　そして、上述の第３の実施形態の電子ペン１Ｍでは、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅは、それぞれを識別するＩＤ情報を送信する機能を備えているため、サイドスイッチ７Ｍに対応する機能として、３本の電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれ毎に異なる対応機能を設定することができて、便利である。

　なお、位置検出装置が電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれを識別する方法としては、上述の第３の実施形態のようにＩＤ情報を用いる方法に限られるものではない。例えば、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれの共振回路ＲＣ１の共振周波数を、互いに異なる周波数としておき、位置検出装置で、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれから受信する周波数の違いを検出することで、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれを識別するように構成してもよい。

　また、上述の第３の実施形態の説明では、１個の筐体に収納可能な電子ペン本体部の数は、３個としたが、２個でも、４個以上であってもよい。

　また、上述の第３の実施形態の電子ペン１Ｍの筐体２Ｍは、１個の筒状体の構成としたが、第１の実施形態の電子ペン１と同様に、ペン先スリーブ部と、筒状本体部筐体とに分離して、例えばねじ込みや、圧入嵌合により結合するように構成してもよい。そのように、筐体２Ｍを２分にして、分離可能の構成した場合には、電子ペン本体部３Ｂ，３Ｒ，３Ｅのそれぞれの交換を容易に行うことができる。

　また、上述の第３の実施形態では、第２の共振回路ＲＣ２Ｍを構成する第２のコイル９Ｍは、筐体２Ｍの中空部内に設けるようにしたが、上述した第２の実施形態の電子ペン１Ａと同様に、筐体２Ｍのペン先側の外周部分に設けるようにしてもよい。

　その場合には、サイドスイッチ７Ｍを押下操作する操作部１１Ｍ用の開口が設けられている部位よりも、より後端側の位置において、筐体２Ｍを２分して、両者を、例えばねじ込みや、圧入嵌合により結合するように構成してもよい。

　［第４の実施形態］
　上述の第１～第３の実施形態は、位置指示器が電子ペンの場合であったが、この発明の位置指示器は、電磁誘導方式の電子消去具にも適用可能である。電磁誘導方式の電子消去具は、電磁誘導方式の電子ペンにより位置指示入力した筆記データ（座標データ）を、電子ペンにより位置指示した位置を、電子消去具により位置指示することで消去するものである。

　図７は、この発明による位置指示器の第４の実施形態としての電子消去具１ＥＲを説明するための図である。図７（Ａ）の外観図に示すように、電子消去具１ＥＲは、円筒形状の筐体２ＥＲの軸心方向の一方の端部（前端）に消去部１３を備え、当該筐体２ＥＲの中空部内に位置指示器用カートリッジの例として消去具本体部３ＥＲが収納されている。この例では、消去具本体部３ＥＲは、筐体２ＥＲの他方の端部（後端）に装着される保持部１４に嵌合固定されている。

　消去部１３は、円形の先端面１３ａと、この先端面１３ａの外周（外縁）から筒状に延びた側周面１３ｂを有する。

　消去具本体部３ＥＲは、この例では、前述した第１の実施形態の電子ペン１の電子ペン本体部３と同様の構成を備えるもので、電子ペン本体部３と同様の部分には、同一参照番号にサフィックス「ＥＲ」を付加して示す。すなわち、消去具本体部３ＥＲは、ペン先側にコイル３１ＥＲが巻回されたフェライトコア３２ＥＲが設けられており、フェライトコア３２ＥＲの貫通孔を挿通して、芯体３４ＥＲが、筒状体部３３ＥＲ内の圧力検出部（図示は省略）に嵌合されている。圧力検出部は、電子ペン本体部３の筆圧検出部３５と同様の構成を有する。

　図７（Ｂ）は、電子消去具１ＥＲの筐体２ＥＲ及び消去部１３を軸心方向に沿って半分に切断し、その手前側部分を取り除いて示した図である。消去部１３は、凹部１３ｃを有するカップ形状のものであり、当該凹部１３ｃの開口部側の端部が外側に張り出した形状を有している。消去部１３と消去具本体部３ＥＲが装着された保持部１４とが筐体２ＥＲに取り付けられると、消去具本体部３ＥＲの芯体３４ＥＲの先端部３４ＥＲａは、消去部１３の凹部１３ｃの内壁面の底面に僅かに接触するようにされる。

　この場合に、消去部１３の先端面１３ａ及び側周面１３ｂと、凹部１３ｃの内壁面との間には、図７（Ｂ）に示したように所定の厚さ部分が存在している。このため、電子消去具１ＥＲが使用されていない状態では、消去具本体部３ＥＲの芯体３４ＥＲの先端部３４ＥＲａは、消去部１３の先端面１３ａ及び側周面１３ｂから所定距離、離隔された位置に保持される。

　そして、この実施形態の電子消去具１ＥＲにおいては、消去部１３は、外側より押圧されれば、筐体２ＥＲの内部側に摺動可能（軸心方向に移動可能）になっている。このため、消去部１３に加えられる圧力が消去具本体部３ＥＲの芯体３４ＥＲに伝達され、消去具本体部３ＥＲに搭載されている圧力検出部によって、消去部１３に加えられた圧力を検出できる。また、消去部１３に加えられた圧力が解除されれば、消去具本体部３ＥＲは消去部１３を押し戻し、消去部１３は元の位置に復帰するように構成されている。

　この実施形態の電子消去具１ＥＲは、電子ペンを用いて入力した筆跡情報が、電子機器の表示画面に画像情報として表示されていた場合に、当該画像情報の消去する部分に対応する操作面上の位置に合わせて位置指示することで、当該位置指示した部分の筆跡情報（座標情報）を消去するようにする。

　この場合に、この実施形態の電子消去具１ＥＲにおいては、電子消去具１ＥＲを傾けて、先端面１３ａと側周面１３ｂとが形成する角部、即ち、先端面１３ａの外縁部分を操作面との接触部として消去指示をすることができる。

　この場合に、位置検出装置では、電子機器の情報処理部（ホストコンピュータ）に、電子消去具１ＥＲの角部の操作面との接触部の位置及び範囲の情報を送り、ホストコンピュータでは、筆記情報の画像情報の表示画面において、接触部の位置を中心とした消去範囲を、例えば円形マークで表示することができるようにする。このようにすれば、使用者が電子消去具１ＥＲの先端面１３ａと側周面１３ｂとが形成する角部で消去指示する際に、消去指示位置及び範囲を知ることができて、便利である。なお、接触部を中心とした消去範囲は、消去具本体部３ＥＲに設けられている圧力検出部で検出された圧力に応じた大きさとすることができる。

　そして、図７（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、以上のように構成される第４の実施形態の電子消去具１ＥＲの筐体２ＥＲの消去部１３側の端部の外周部には、消去具本体部３ＥＲのコイル３１ＥＲと磁気的に結合するコイル９ＥＲが巻回されて設けられている。なお、コイル９ＥＲは、筐体２ＥＲの内部において、消去具本体部３ＥＲのコイル３１ＥＲと磁気的に結合するように設けられていてもよい。

　また、電子消去具１ＥＲの筐体２ＥＲの側周面の、軸心方向の中ほどの位置には、開口２ＥＲｃが形成され、この開口２ＥＲｃから、サイドスイッチ７ＥＲを押下操作するための操作部１１ＥＲが設けられている。そして、筐体２ＥＲの内壁面の、この開口２ＥＲｃが存在する範囲を覆うような位置には、回路基板８ＥＲが、消去具本体部３ＥＲと接触しないように、例えば両面テープなどの接着用部材（図示は省略）により接着されて配設されている。サイドスイッチ７ＥＲは、図７（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、開口２ＥＲｃから外部に臨み、操作部１１ＥＲにより押下操作可能の状態で、回路基板８ＥＲに配設されている。

　そして、コイル９ＥＲの両端９ＥＲａ及び９ＥＲｂは、筐体２ＥＲの中空部２ＥＲａ内に、図示を省略した貫通孔を通じて導入されて、第１の実施形態のコイル９と同様に、回路基板８ＥＲのサイドスイッチ７ＥＲを通じてコンデンサ１２ＥＲ（図７では図示は省略）と接続され、サイドスイッチ７ＥＲがオンのときに、第２の共振回路を形成するように構成されている。

　したがって、操作部１１ＥＲが押下操作されて、サイドスイッチ７ＥＲがオンとされると、コイル９ＥＲとコンデンサ１２ＥＲとからなる第２の共振回路が生成され、コイル９ＥＲに電流が流れる閉回路が形成される。すると、消去具本体部３ＥＲの第１の共振回路の共振周波数はコイル３１ＥＲと、第２の共振回路のコイル９ＥＲとが相互誘導作用を生じるようになる。このため、消去具本体部３ＥＲの第１の共振回路の共振周波数は、サイドスイッチがオフであるときの周波数とは異なる周波数となる。

　位置検出装置では、上述の実施形態における説明と同様にして、電子消去具１ＥＲの消去具本体部３ＥＲの第１の共振回路の共振周波数を検出し、検出した周波数が、サイドスイッチ７ＥＲがオフのときの共振周波数か、オンのときの共振周波数かを検出し、その検出結果をホストコンピュータに送るようにする。ホストコンピュータでは、サイドスイッチに割り当てられている機能を実行する。

　電子消去具１ＥＲのサイドスイッチ７ＥＲの操作に対応付けられる機能としては、種々の機能が可能であるが、例えば以下のような機能としてもよい。

　上述したように、電子消去具１ＥＲでは、消去部１３にかけられた圧力（押圧力）を消去具本体部３ＥＲの圧力検出部で検出でき、この検出結果を磁界として送出される位置指示信号に含むようにして送信できる。このため、位置検出装置を備える電子機器側においては、指示位置と共に消去部１３にかけられている圧力も検出できるので、その検出した圧力に応じて、消去指示位置の中心位置（電子消去具１ＥＲの角部の接触部に対応）を中心として消去範囲を広げたり、狭めたりすることが可能になる。

　そこで、この例の電子消去具１ＥＲにおいては、サイドスイッチ７ＥＲがオフであるときには、消去範囲は、電子消去具１ＥＲの角部の接触部を中心とした一定の半径の狭い範囲として、圧力検出部で検出された圧力は消去範囲には反映しないようにする。一方、サイドスイッチ７ＥＲがオンとされたときには、圧力検出部で検出された圧力を消去範囲に反映させるようにする。なお、この場合に、電子機器の表示画面においては、電子消去具１ＥＲによる消去範囲を、接触点Ｐの位置を中心とした円で表示して、使用者に通知するようにしてもよい。この場合に、サイドスイッチ７ＥＲがオフであるときには、消去範囲を示す円の半径は一定とし、サイドスイッチ７ＥＲがオンであるときには、消去範囲を示す円の半径は、検出された圧力に応じた値とされて表示するようにする。

　［その他の実施形態］
　＜サイドスイッチが複数個の例＞
　上述の実施形態の位置指示器では、サイドスイッチは１個として、一つの機能を割り当てるようにしたが、サイドスイッチを２個以上の複数個を設けて、それら複数個のサイドスイッチのそれぞれに、別々の機能を割り当てるようにしてもよい。その場合の位置指示器用カートリッジの例としての電子ペン本体部や消去具本体部の第１の共振回路の共振周波数を変更させるための構成例としては、以下に説明するような種々の構成がある。以下、サイドスイッチが２個の場合の例について説明する。

　まず、２個のサイドスイッチのそれぞれを押下操作する操作部の構成としては、回路基板に２個のサイドスイッチを設け、その２個のサイドスイッチのそれぞれを、それぞれ独立の操作部を用いて押下操作するように構成する。この場合に、２個のサイドスイッチは、位置指示器用カートリッジを収納する位置指示器の筐体の軸心方向を長手方向とする回路基板の、長手方向（軸心方向）に異なる位置に配置する。あるいは、位置指示器の筐体の中空部内において、筐体の内周面方向の互いが重ならない角度範囲位置に、筐体の軸心方向を長手方向とする回路基板を２枚、互いに重ならないように設け、それら２枚の回路基板のそれぞれにサイドスイッチを設けると共に、対応する位置に操作部を設けるように形成してもよい。

　また、上記のように、操作部を２個のサイドスイッチのそれぞれ毎に別に設けるのではなく、それら２個のサイドスイッチを、シーソー運動可能に設けられている１個のシーソー操作部により、オン、オフさせる構成とすることもできる。

　図８は、１個のシーソー操作部により、２個のサイドスイッチをオン、オフさせる構成の一例の要部を説明するための要部断面図である。図８に示すように、この例においては、位置指示器の筐体２Ｗの軸心方向に沿った中間部分に長孔の開口２Ｗｄを形成すると共に、この開口２Ｗｄから、使用者が操作可能に突出するシーソー操作部１１Ｗを設ける。そして、筐体２Ｗの、開口２Ｗｄの内側に回路基板８Ｗを設けると共に、この回路基板８Ｗに、シーソー操作部１１Ｗのシーソー運動の支軸１１Ｗｃの軸受け部８Ｗａを設ける。

　また、図８に示すように、回路基板８Ｗの、長手方向（軸心方向）に異なる位置に、２個のサイドスイッチ７Ｗ１，７Ｗ２を設けると共に、これら２個のサイドスイッチ７Ｗ１，７Ｗ２を、シーソー運動可能に設けられているシーソー操作部１１Ｗにより、オン、オフさせる構成とする。すなわち、シーソー操作部１１Ｗの長手方向の一方の端部には、サイドスイッチ７Ｗ１を押下操作する押下部１１Ｗａが形成され、長手方向の他方の端部には、サイドスイッチ７Ｗ２を押下操作する押下部１１Ｗｂが形成されている。したがって、使用者が、図８において、押下部１１Ｗａを矢印で示すように押下すると、サイドスイッチ７Ｗ１をオンとすることができ、また、押下部１１Ｗｂを矢印で示すように押下すると、サイドスイッチ７Ｗ２をオンとすることができる。

　次に、位置指示器用カートリッジの例としての電子ペン本体部や消去具本体部の第１の共振回路の共振周波数を変更させるための部分の構成の例を、例えば図８の例の２個のサイドスイッチ７Ｗ１，７Ｗ２の場合について図９を用いて説明する。

　図９（Ａ）は、第１の例を示す図であり、この第１の例においては、第２のコイルとして、２個のコイル９Ｗ１及び９Ｗ２を設ける。２個のコイル９Ｗ１及び９Ｗ２は、第１の実施形態のように、筐体２Ｗの中空部内に設けてもよいし、筐体２Ｗの外周部に設けてもよい。さらには、２個のコイル９Ｗ１及び９Ｗ２の一方は、筐体２Ｗの中空部内に設け、他方は筐体２Ｗの外周部に設けるようにしてもよい。

　そして、図９（Ａ）の例においては、回路基板８Ｗには、２個のコンデンサ１２Ｗ１及び１２Ｗ２を設ける。そして、サイドスイッチ７Ｗ１を介してコイル９Ｗ１の一端とコンデンサ１２Ｗ１の一端とを接続すると共に、コイル９Ｗ１の他端とコンデンサ１２Ｗ１の他端とを接続するように構成する。また、サイドスイッチ７Ｗ２を介してコイル９Ｗ２の一端とコンデンサ１２Ｗ２の一端とを接続すると共に、コイル９Ｗ２の他端とコンデンサ１２Ｗ２の他端とを接続するように構成する。

　したがって、サイドスイッチ７Ｗ１がオンとされると、コイル９Ｗ１とコンデンサ１２Ｗ１とからなる共振回路ＲＣ２１が生成されて、位置指示器用カートリッジの第１の共振回路の共振周波数が変更される。また、サイドスイッチ７Ｗ２がオンとされると、コイル９Ｗ２とコンデンサ１２Ｗ２とからなる共振回路ＲＣ２２が生成されて、位置指示器用カートリッジの第１の共振回路の共振周波数が変更される。

　この場合に、共振回路ＲＣ２１の共振周波数と、共振回路ＲＣ２２の共振周波数が、互いに異なるように設定される。したがって、第１の共振回路の共振周波数は、サイドスイッチ７Ｗ１がオンとされたときと、サイドスイッチ７Ｗ２がオンとされたときとで、異なる。位置検出装置側では、この第１の共振回路の共振周波数の違いに応じた位置指示器からの受信信号の周波数の違いを検出することで、サイドスイッチ７Ｗ１と、サイドスイッチ７Ｗ２のいずれがオンとされたかを検出する。

　図９（Ｂ）は、第２の例を示す図であり、この第２の例においても、第１の例と同様に、第２のコイルとして、２個のコイル９Ｗ１及び９Ｗ２を設ける。ただし、回路基板８Ｗには、１個のコンデンサ１２Ｗを設ける。そして、サイドスイッチ７Ｗ１を介してコイル９Ｗ１の一端とコンデンサ１２Ｗの一端とを接続すると共に、サイドスイッチ７Ｗ２を介してコイル９Ｗ２の一端とコンデンサ１２Ｗの一端とを接続する。また、コイル９Ｗ１の他端とコンデンサ１２Ｗの他端とを接続すると共に、コイル９Ｗ２の他端とコンデンサ１２Ｗの他端とを接続するように構成する。

　すなわち、第２の例は、コンデンサ１２Ｗを、コイル９Ｗ１とコイル９Ｗ２とで共用し、サイドスイッチ７Ｗ１をオンとしたときには、コイル９Ｗ１とコンデンサ１２Ｗとからなる共振回路ＲＣ２１´を生成し、サイドスイッチ７Ｗ２をオンとしたときには、コイル９Ｗ２とコンデンサ１２Ｗとからなる共振回路ＲＣ２２´を生成する点が第１の例とは異なる。

　この第２の例においても、共振回路ＲＳ２１´の共振周波数と、共振回路ＲＣ２２´の共振周波数が、互いに異なるように設定されている。これにより、第１の例と同様にして、位置検出装置側では、サイドスイッチ７Ｗ１と、サイドスイッチ７Ｗ２のいずれがオンとされたかを検出することができる。

　図９（Ｃ）は、第３の例を示す図であり、この例においては、１個の第２のコイル９Ｗを設けると共に、回路基板８Ｗには、２個のコンデンサ１２Ｗ１と１２Ｗ２とを設ける。そして、サイドスイッチ７Ｗ１を介してコイル９Ｗの一端とコンデンサ１２Ｗ１の一端とを接続すると共に、サイドスイッチ７Ｗ２を介してコイル９Ｗの一端とコンデンサ１２Ｗ２の一端とを接続する。また、コイル９Ｗの他端とコンデンサ１２Ｗ１及びコンデンサ１２Ｗ２の他端とを接続するように構成する。

　すなわち、第３の例は、１個のコイル９Ｗに対して、サイドスイッチ７Ｗ１と、サイドスイッチ７Ｗ２とで、コンデンサ１２Ｗ１とコンデンサ１２Ｗ２とを切り替えるように構成した点が第１の例及び第２の例とは異なる。すなわち、第３の例においては、サイドスイッチ７Ｗ１をオンとしたときには、コイル９Ｗとコンデンサ１２Ｗ１とからなる共振回路ＲＣ２１´´を生成し、サイドスイッチ７Ｗ２をオンとしたときには、コイル９Ｗとコンデンサ１２Ｗ２とからなる共振回路ＲＣ２２´´を生成する。

　この第３の例においても、共振回路ＲＳ２１´´の共振周波数と、共振回路ＲＣ２２´´の共振周波数が、互いに異なるように設定されている。これにより、第１の例及び第２の例と同様にして、位置検出装置側では、サイドスイッチ７Ｗ１と、サイドスイッチ７Ｗ２のいずれがオンとされたかを検出することができる。

　なお、複数のサイドスイッチは２個に限られるものではなく、３個以上を設けて、上述と同様に互いに異なる共振周波数の第２の共振回路を構成するようにして、それら３個以上のサイドスイッチのそれぞれについて、互いに異なる機能を設定するようにすることができる。

　＜サイドスイッチが別筐体に設けられる例＞
　また、上述の実施形態では、第２のコイル、サイドスイッチ、さらには第２のコイルと共振回路を構成するコンデンサを備える回路基板は、位置指示器の筐体に設けるようにした。しかし、これらは、位置指示器の筐体とは別の筐体に設けてジャケット状に構成し、このジャケット状の部材（以下、ジャケット部材という）を、位置指示器の筐体に被せることで、上述したようなサイドスイッチの機能を備える位置指示器を構成するようにしてもよい。

　図１０は、その場合の構成例を示す図であり、図１０（Ａ）は、ジャケット部材１００の構成例を示す図、図１０（Ｂ）は、ノック式機構部を備える電子ペン１Ｓに、ジャケット部材１００が装着された状態を示している。

　図１０（Ｂ）に示すように、電子ペン１Ｓは、第１及び第２の実施形態の電子ペン１及び１Ａと同様に、電磁誘導方式の位置指示器用カートリッジの例である電子ペン本体部３を、電子ペン１Ｓの筐体２Ｓの中空部２Ｓａ内に収納して、ノック式機構部４により、筐体２Ｓの開口２Ｓｂから出没可能に構成されている。なお、図１０（Ｂ）において、第１及び第２の実施形態の電子ペン１及び１Ａと同様の構成部分には、同一の参照符号を付して、その説明は省略する。

　この例の電子ペン１Ｓの筐体２Ｓには、第２のコイルと、サイドスイッチ及びコンデンサを備える回路基板と、サイドスイッチの操作部は設けられてはおらず、ノック式ボールペンの筐体と同様の構成を備えている。すなわち、電子ペン１Ｓの筐体２Ｓには、サイドスイッチのための構成部分を備えていない構成である。

　ジャケット部材１００は、図１０（Ｂ）に示すように、電子ペン１Ｓの、少なくともペン先側を覆って、電子ペン１Ｓに被せられて、電子ペン１Ｓの筐体２Ｓに対して係止することができるように構成されている。

　ジャケット部材１００は、図１０（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、例えば樹脂からなる筒状のジャケット筐体１０１を備える。このジャケット筐体１０１の中空部１０１ａの内径は、電子ペン１Ｓの最大外径よりも大きくされている。そして、ジャケット筐体１０１の軸心方向の一端側（電子ペン１Ｓのペン先側）には、電子ペン１Ｓの筐体２Ｓのペン先側の外径とほぼ等しい内径の開口１０１ｂが形成されている。また、ジャケット筐体１０１の軸心方向の他端側（電子ペン１Ｓの後端側）には、電子ペン１Ｓの筐体２Ｓの後端側の外径とほぼ等しい内径の開口１０１ｃが形成されている。

　そして、ジャケット筐体１０１の開口１０１ｂ側の外周部には、第２のコイル１０２が巻回されて設けられている。また、ジャケット筐体１０１の側周面の、軸心方向の後端側の位置には、サイドスイッチ１０３を押下操作するための操作部１０５用の開口１０１ｄが形成されている。さらに、ジャケット筐体１０１の内壁面の、この開口１０１ｄが存在する範囲を覆うような位置には、回路基板１０４が、例えば両面テープなどの接着用部材（図示は省略）により接着されて配設されている。サイドスイッチ１０３は、ジャケット筐体１０１の開口１０１ｄから外部に臨むような状態で、回路基板１０４に配設され、操作部１０５により押下操作可能にしている。

　そして、第２のコイル１０２の両端１０２ａ及び１０２ｂは、ジャケット筐体１０１の中空部１０１ａ内に、図示を省略した貫通孔を通じて導入されて、回路基板１０４に接続される。そして、この回路基板１０４において、第２のコイル１０２が、サイドスイッチ１０３を通じて、この回路基板１０４に設けられているコンデンサ１０６と接続され、サイドスイッチ１０３がオンのときに、第２のコイル１０２とコンデンサ１０６とかなる共振回路が形成されるように構成されている。

　以上のように構成されているジャケット部材１００の後端側の開口１０１ｃから、電子ペン１Ｓが、そのペン先側から、ジャケット部材１００のジャケット筐体１０１の中空部１０１ａ内に挿入されることで、ジャケット部材１００が電子ペン１Ｓに被せられ、図１０（Ｂ）の状態で、ジャケット部材１００が電子ペン１Ｓの筐体２Ｓに対して係止する。

　なお、この例では、ジャケット筐体１０１の開口１０１ｂの内周壁面及び開口１０１ｃの内周壁面には、例えば弾性ゴムからなる弾性係止用部材１０７及び１０８が設けられており、この弾性係止用部材１０７及び１０８と電子ペン１Ｓの筐体２Ｓの外周面との間での弾性摩擦により、ジャケット部材１００は、電子ペン１Ｓに対して確実に係止する。

　そして、図１０（Ｂ）の状態において、ジャケット部材１００の操作部１０５が操作されず、サイドスイッチ１０３がオフであるときには、第２のコイル１０２とコンデンサ１０６とからなる共振回路は生成されないので、電子ペン１Ｓの電子ペン本体部３の第１のコイル３１とコンデンサ３７とからなる第１の共振回路の共振周波数は、当該第１のコイル３１とコンデンサ３７とから決まる第１の周波数ｆ１となる。

　一方、ジャケット部材１００の操作部１０５を押下操作すると、サイドスイッチ１０３がオンとなり、第２のコイル１０２とコンデンサ１０６とからなる共振回路が閉回路として形成される。すると、第１の共振回路の第１のコイル３１と第２のコイル１０２との間に相互誘導作用が生じ、第１の共振回路の共振周波数は、前記第１の共振周波数とは異なる第２の共振周波数となる。

　したがって、位置検出装置側では、上述の実施形態と同様にして、電子ペン本体部３の第１の共振回路の共振周波数の違いに応じた受信信号の周波数の変化を検出することにより、この例のジャケット部材１００が被せられた電子ペン１Ｓについても、サイドスイッチのオン、オフを検出することができる。

　以上のようにして、サイドスイッチを備えない電子ペン１Ｓに対して、ジャケット部材１００を被せることにより、電子ペン１Ｓにサイドスイッチを設けたのと同様の動作を行わせることができる。

　すなわち、この例によれば、サイドスイッチを備えない電子ペンの構成は全く変更することなく、ジャケット部材を被せるだけでよいので、サイドスイッチを備えない電子ペンの所有者は、ジャケット部材を購入して、電子ペンに被せることにより、サイドスイッチを備える電子ペンを実現することができて、非常に便利である。

　なお、上述の例のジャケット部材１００は、第２のコイルをジャケット筐体１０１の外周部に巻回して設けるようにしたが、上述した第１の実施形態のように、第２のコイルをジャケット筐体１０１の中空部内の、電子ペン本体部３の第１のコイル３１と磁気的に結合することができる位置に設けるようにしてもよい。

　また、第２のコイル１０２は、筒状のジャケット筐体１０１の軸心方向が巻回中心方向となるように巻回するようにしたが、筒状のジャケット筐体１０１の軸心方向に交差する方向が巻回中心となるように設けてもよい。

　すなわち、例えば図１１に示すように、ジャケット筐体１０１の開口１０１ｂ側の側周面において、コイル１０２Ａを構成する導体線を、当該ジャケット筐体１０１の側周面の一点Ｐを巻回中心として、ジャケット筐体１０１の側周面の曲面に沿って巻回するようにしてコイル１０２Ａを形成するようにしてもよい。この場合に、コイル１０２Ａが形成される側周面は、ジャケット筐体１０１の軸心方向と平行ではなく、ペン先側に向かって細くなるように傾いている。第１～第４の実施形態における第２のコイル９，９Ａ，９Ｍ及び９ＥＲについても同様の変形例が可能である。

　また、このジャケット部材においても、図８及び図９を用いて上述した、複数個のサイドスイッチを備える構成とすることができる。

　また、ジャケット部材を適用する電子ペンは、第３の実施形態のような多色ボールペンと同様の構成を備える電子ペンであってもよいし、ノック式機構部を備えず、筐体内に電子ペン本体部を備える電子ペンであってもよい。また、ジャケット部材は、電子消去具にも適用可能である。

　［その他の例］
　上述の実施形態では、サイドスイッチにより、位置指示器用カートリッジの第１の共振回路の共振周波数を変化させるために、第２のコイルにコンデンサがサイドスイッチを介して接続される第２の共振回路を用いるようにした。しかし、第２の共振回路とすることなく、第２のコイルの両端をサイドスイッチを介して接続するように構成して、サイドスイッチのオンにより、第２のコイルの両端がサイドスイッチを介して互いに接続されて閉回路が形成されることで、第１の共振回路のコイルと、第２のコイルとが相互誘導することで、第１の共振回路の周波数を変更させるように構成してもよい。

　ただし、上述の実施形態のように、第２の共振回路の閉回路の生成をサイドスイッチのオン、オフにより制御するように構成することで、第１の共振回路の周波数の変化を規定することが容易となり、位置検出装置側で、サイドスイッチのオン、オフの操作状態検出を確実に行えるように構成することができるという効果を奏する。

　また、上述の実施形態では、サイドスイッチは、自己復帰式のスイッチを用いる例としたが、サイドスイッチとしては、自己復帰式のスイッチに限られず、どのようなスイッチをも用いることができることは言うまでもない。

　また、上述の位置指示器の実施形態としての電子ペンの説明では、いずれもノック式機構部を備えて、ノック操作により位置指示器用カートリッジの例としての電子ペン本体部の先端部を、電子ペンの筐体の開口から出没させる構成としたが、ノック式機構部を備えることなく、筐体内に、電子ペン本体部を、その先端部を筐体の開口から突出させる状態で保持させるように構成する電子ペンの場合にも、この発明が適用できることは言うまでもない。

　１，１Ａ，１Ｍ，１Ｓ…電子ペン、１ＥＲ…電子消去具、２，２Ａ，２Ｍ，２ＥＲ，２Ｓ…筐体、３，３Ｂ，３Ｒ，３Ｅ…電子ペン本体部、３ＥＲ…消去具本体部、４…ノック式機構部、７，７Ａ，７Ｍ，７Ｓ…サイドスイッチ、８，８Ａ，８Ｍ，８Ｓ…回路基板、９，９Ａ，９Ｍ…第２のコイル、１１，１１Ａ，１１Ｍ…操作部、１２…コンデンサ、３１…第１のコイル、３２…フェライトコア、３４…芯体、３５…筆圧検出部、３７…コンデンサ

Claims (16)

1. 　筐体の中空部内に、位置指示器用カートリッジが収納される電磁誘導方式の位置指示器であって、
   　前記位置指示器用カートリッジは、軸心方向の一端側に配される磁性体コアに巻回されている第１のコイルと、第１のコンデンサとからなる第１の共振回路を備え、
   　前記位置指示器用カートリッジの外部に、前記位置指示器用カートリッジとは独立して、前記位置指示器用カートリッジの前記第１のコイルと磁気的に結合可能な位置に第２のコイルが設けられると共に、使用者の操作を受けることが可能に設けられている操作部を通じた操作によりオン、オフされるスイッチが設けられており、
   　前記スイッチがオンとされたときに、前記第２のコイルを含む閉回路が生成される
   　ことを特徴とする位置指示器。
2. 　前記スイッチがオンとされたときに生成される閉回路は、前記第２のコイルに第２のコンデンサが接続されて構成される第２の共振回路である
   　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
3. 　前記筐体は、軸心方向の一端側が開口とされている筒状形状を備え、
   　前記位置指示器用カートリッジの前記軸心方向の一端側の先端部を前記開口から出没させるノック式機構部を備える
   　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
4. 　前記ノック式機構部は、ノック式の多色ボールペンに対応する機構部の構成を備え、１あるいは複数本の前記位置指示器用カートリッジが装着可能とされる
   　ことを特徴とする請求項３に記載の位置指示器。
5. 　前記第２のコイルと、前記スイッチと、前記操作部は、複数本の前記位置指示器用カートリッジに対して共通に用いられるように構成されている
   　ことを特徴とする請求項４に記載の位置指示器。
6. 　回路基板が、前記位置指示器用カートリッジの外部において、前記位置指示器用カートリッジの軸心方向に沿って配設されており、
   　前記回路基板に前記スイッチが設けられていると共に、前記スイッチをオン、オフ操作する前記操作部が前記筐体に設けられている開口を介して、外部から操作可能に露出するように設けられている
   　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
7. 　前記第２のコイルは、前記位置指示器用カートリッジの前記磁性体コアの少なくとも一部の周囲を囲むように配設されている
   　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
8. 　前記第２のコイルは、前記筐体内に配設されている
   　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
9. 前記第２のコイルは、前記筐体の外側に配設されている
   　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
10. 　前記位置指示器用カートリッジは、前記軸心方向の一端側の先端部に印加される圧力を検出する圧力検出部を備えており、前記第１の共振回路を通じて、位置指示信号と、前記圧力検出部で検出された前記圧力の情報とを送信する
    　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
11. 　前記第２のコイルが複数個設けられると共に、複数個の前記第２のコイルについて前記閉回路を生成する前記スイッチも、複数個の前記第２のコイルのそれぞれに対応して複数個設けられている
    　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
12. 　前記スイッチがオンとされたときに生成される閉回路は、前記第２のコイルに第２のコンデンサが接続されて構成される第２の共振回路であり、
    　前記第２のコンデンサは、複数個の前記第２のコイルに共通に用いられるように構成されている
    　ことを特徴とする請求項１１に記載の位置指示器。
13. 　前記スイッチがオンとされたときに生成される閉回路は、前記第２のコイルに第２のコンデンサが接続されて構成される第２の共振回路であり、
    　前記第２のコンデンサは、複数個の前記第２のコイルのそれぞれに異なる複数個が設けられている
    　ことを特徴とする請求項１１に記載の位置指示器。
14. 　前記スイッチがオンとされたときに生成される閉回路は、前記第２のコイルに第２のコンデンサが接続されて構成される第２の共振回路であり、
    　前記スイッチ及び前記第２のコンデンサは複数個が設けられていると共に、複数個の前記第２のコンデンサのそれぞれは、複数個の前記スイッチのそれぞれを介して、前記第２のコイルと接続されており、
    　前記操作部の操作による複数個の前記スイッチがそれぞれオン、オフされるように構成されていると共に、
    　前記操作部の操作によりオンとされる前記スイッチに応じて、前記第２のコイルと接続される前記第２のコンデンサが変更されて、前記第２の共振回路が切り替えられる
    　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
15. 　前記第２のコイル及び前記操作部、さらに、前記第２のコイルに電流が流れるように前記スイッチがオンのときに閉回路を生成するように回路は、前記筐体とは別の筐体に設けられており、
    　前記別の筐体内に、前記位置指示器用カートリッジを収納している前記筐体が、前記位置指示器用カートリッジの前記第１のコイルと、前記第２のコイルとが磁気的に結合可能の状態で挿入されて構成されてなる
    　ことを特徴とする請求項１に記載の位置指示器。
16. 　前記別の筐体と、前記位置指示器用カートリッジを収納している前記筐体とは、挿脱可能に構成されている
    　ことを特徴とする請求項１５に記載の位置指示器。

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