WO2021230295A1 - 発達段階判定装置、発達段階判定方法、プログラム及び端末装置 - Google Patents

Abstract

発達段階判定装置は、乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する動作情報取得部と、動作情報取得部が取得する動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定部と、発達段階判定部が判定した発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御部とを備える。

Description

発達段階判定装置、発達段階判定方法、プログラム及び端末装置

　本発明は、発達段階判定装置、発達段階判定方法、プログラム及び端末装置に関する。
　本願は、２０２０年５月１５日に、日本に出願された特願２０２０－０８５７５２号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

食べる・話す・呼吸するなどの口腔機能は高齢期になると低下する。口腔機能の低下は、例えば、誤嚥性肺炎などの原因となることから、口腔機能の低下を抑止することは、健康寿命の延伸に向けて大きな課題である。
　この口腔機能の低下の程度は、乳幼児期・学童期の口腔機能の獲得の状況に大きく左右されることが知られている。特に、乳幼児の口腔機能の発達には、発達の程度に応じた、離乳食の調製及び与え方への留意が重要である。
　したがって、乳幼児の口腔機能の発達の程度を、養育する保護者等が正しく認識する必要があり、客観的に判定する方法が求められている。口腔機能の発達の程度を客観的に判定するためには、判定が自動化されることが好ましい。
　従来、口腔機能の自動判定については、例えば特許文献１のような技術が開示されている。

特開２００４－２４２９０２号公報

　しかしながら、特許文献１に示すような技術では、咀嚼回数など限られた情報しか得られず、乳幼児期における口腔機能の発達の程度を客観的に判定することまでは、必ずしもできなかった。

　本発明の一実施形態は、乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する動作情報取得部と、前記動作情報取得部が取得する前記動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定部と、前記発達段階判定部が判定した前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御部と、を備える発達段階判定装置である。

本発明の一実施形態の発達段階判定装置において、前記所定の判定基準には、乳幼児の口唇、口角、舌及び顎の少なくとも１つの部位の、前記発達段階に応じた基準動作が含まれる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置において、前記動作情報には、食物が捕食されてから嚥下されるまでの期間のうち、少なくとも一部の期間における口唇、口角、舌及び顎の少なくとも１つの部位の動きの情報が含まれる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置において、前記動作情報には、食物が捕食される前の期間における口唇、口角、舌及び顎の少なくとも１つの部位の動きの情報が含まれる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置において、前記表示制御部は、前記発達段階判定部が判定した前記発達段階に対応する情報を表示装置にさらに表示させる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置において、前記表示制御部は、前記発達段階判定部が判定した前記発達段階に対応する情報を過去の判定結果履歴と併せてグラフ化し表示装置に表示させる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置において、前記表示制御部は、前記発達段階判定部が判定した前記発達段階が更新されるまでの間、前記発達段階に対応する複数の情報のなかから選択された情報を、前記発達段階に対応する更新後の情報として表示装置に表示させる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置は、表示対象の情報を更新する更新操作を受け付ける操作受付部をさらに備え、前記表示制御部は、前記操作受付部が前記更新操作を受け付けたことに応じて、前記発達段階に対応する情報を更新させて、更新後の情報を表示装置に表示させる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置において、前記表示制御部は、前記動作情報取得部に対する前記動作情報の提供頻度と、前記操作受付部による前記更新操作の受付頻度とに基づいて、前記動作情報の提供を促す情報を表示装置に表示させる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置は、乳幼児に与えられた食物の種類を示す食物情報を取得する食物情報取得部と、前記食物情報取得部が取得する前記食物情報が示す食物の種類が、前記発達段階判定部が判定した前記発達段階において摂取される食物として適しているか否かを判定する種類判定部と、をさらに備え、前記表示制御部は、前記種類判定部による判定結果を表示装置にさらに表示させる。

　本発明の一実施形態の発達段階判定装置は、前記動作情報取得部が取得する前記動作情報に基づいて、乳幼児に与えられた食物の分量を判定する分量判定部をさらに備え、前記表示制御部は、前記分量判定部の判定結果に基づく情報を表示装置にさらに表示させる。

　本発明の一実施形態は、コンピュータが、乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する動作情報取得手順と、前記動作情報取得手順において取得される前記動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定手順と、前記発達段階判定手順において判定された前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御手順と、を有する発達段階判定方法である。

　本発明の一実施形態は、コンピュータに、乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する動作情報取得手順と、前記動作情報取得手順において取得される前記動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定手順と、前記発達段階判定手順において判定された前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御手順と、を実行させるためのプログラムである。

　本発明の一実施形態は、乳幼児の食物の経口摂取の動作を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像に基づく動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定装置に対して、前記動作情報を出力する出力部と、前記出力部が出力した前記動作情報に基づいて前記発達段階判定装置が判定した前記発達段階を示す情報を取得する取得部と、前記取得部が取得する前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御部と、を備える端末装置である。

　本発明によれば、乳幼児期における口腔機能の発達の程度を客観的に判定することができる発達段階判定装置、発達段階判定方法、プログラム及び端末装置を提供することができる。

本実施形態の発達段階判定システムの機能構成の一例を示す図である。 本実施形態の判定基準情報の第１の例を示す図である。 本実施形態の判定基準情報の第２の例を示す図である。 本実施形態の判定基準情報の第３の例を示す図である。 本実施形態の判定基準情報の第４の例を示す図である。 本実施形態の判定基準情報の第５の例を示す図である。 本実施形態の発達段階判定システムの動作の一例を示す図である。 本実施形態の離乳食情報の一例を示す図である。 本実施形態の離乳食与え方情報の一例を示す図である。 本実施形態の端末装置に表示される情報の一例である。 本実施形態の端末装置に表示される情報の他の一例である。

　以下、図面を参照して本実施形態の発達段階判定システム１について説明する。
　図１は、本実施形態の発達段階判定システム１の機能構成の一例を示す図である。
　発達段階判定システム１は、発達段階判定装置１０と、端末装置２０とを備える。発達段階判定装置１０と、端末装置２０とは、ネットワーク３０と、発達段階判定装置１０と、端末装置２０とを備える。発達段階判定装置１０と端末装置２０とは、ネットワーク３０を介して互いに接続される。
　発達段階判定装置１０は、例えば、サーバ装置によって構成される。端末装置２０は、例えば、スマートフォンやタブレットによって構成される。

［端末装置２０の機能構成］
　端末装置２０は、撮像部２１と、表示部２２と、操作検出部２３とを備える。撮像部２１は、端末装置２０の利用者の操作に基づいて撮像を行う。表示部２２は、例えば、液晶ディスプレイを備えており、撮像部２１によって撮像される画像や、発達段階判定装置１０からネットワーク３０を介して送信される情報を表示する。操作検出部２３は、例えば、タッチパネルを備えており、端末装置２０の利用者による操作を検出する。
　端末装置２０は、撮像部２１によって撮像された画像などの情報を、ネットワーク３０を介して発達段階判定装置１０に送信する。
　なお、発達段階判定装置１０と端末装置２０との間において、画像や文字などの情報は、上述したようにネットワーク３０を介して通信されるが、以下の説明においては、「ネットワーク３０を介する」との説明は省略する。

　本実施形態の一例では、端末装置２０は、発達段階判定装置１０に対して被写体４０（例えば、乳幼児）の動作情報を送信する。動作情報の一例として、被写体４０の食事中の口元が撮像された画像がある。
　端末装置２０の利用者は、食事中の乳幼児の口元が、撮像部２１の撮像画角内に含まれるように端末装置２０の位置・方向を調整して、撮像操作を行う。この結果、撮像部２１が撮像した動画には、食事中の乳幼児の口元の動作が含まれることになる。すなわち、この一例において動作情報とは、乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す情報である。

　動作情報には、食事中の乳幼児の口唇、口角、舌、及び顎の動作が含まれていることが好ましい。
　また、動作情報には、食物が捕食されてから嚥下されるまでの期間のうち、少なくとも一部の期間における口唇、口角、舌、及び顎の少なくとも１つの部位の動きの情報が含まれることが好ましい。
　また、動作情報には、食物が捕食される前の期間における口唇、口角、舌、及び顎の少なくとも１つの部位の動きの情報が含まれることが好ましい。
　すなわち動作情報には、食事中の乳幼児の口元の動作をより詳しく示す情報が含まれていることが好ましい。動作情報に食事中の乳幼児の口元の動作をより詳しく示す情報が含まれていれば、発達段階の判定精度をより向上させることができる。

　なお、動作情報は、口唇、口角、舌、及び顎の動作を判定できる情報が含まれていればよく、必ずしも動画（例えば、互いに異なるタイミングにおいて撮像された複数のフレーム画像が、撮像時系列の順に並べられた一連の画像）である必要はない。例えば、動作情報は、動画内の被写体の動きが抽出されたベクトル情報などであってもよい。

［発達段階判定装置１０の機能構成］
　発達段階判定装置１０は、動作情報取得部１１０と、記憶部１２０と、発達段階判定部１３０と、表示制御部１４０と、操作受付部１５０と、食物情報取得部１６０と、種類判定部１７０と、分量判定部１８０とを備える。
　なお、ここでは動作情報取得部１１０と、記憶部１２０と、発達段階判定部１３０と、表示制御部１４０と、操作受付部１５０とについて説明し、食物情報取得部１６０、種類判定部１７０及び分量判定部１８０の説明は後述する。

　動作情報取得部１１０は、端末装置２０が送信する動作情報を取得する。一例として、端末装置２０は、動作情報を送信する出力部（不図示）を備えている。この場合、動作情報取得部１１０は、出力部から送信される動作情報を取得する。
　動作情報には、乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す情報が含まれている。すなわち、動作情報取得部１１０は、乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する。
　動作情報取得部１１０は、取得した動作情報を発達段階判定部１３０に出力する。

　記憶部１２０には、判定基準情報１２１が記憶されている。判定基準情報１２１の一例について、図２～図６を参照して説明する。

　図２～図６は、本実施形態の判定基準情報１２１の一例を示す図である。判定基準情報１２１とは、乳幼児の発達段階と、発達段階を判定するための判定基準とが対応づけられた情報である。この一例において、乳幼児の発達段階は、第１段階～第５段階の５段階である。
　例えば、発達段階「第一段階」には、判定基準「舌の頻繁な突出、舌に指を近づけると吸い付く（原始反射）、指しゃぶり、玩具なめ、首がすわり始める」が対応づけられている。
　すなわち、記憶部１２０には、乳幼児の発達段階の所定の判定基準が記憶されている。

　なお、判定基準情報１２１には、乳幼児の口唇、口角、舌、及び顎の少なくとも１つの部位の、発達段階に応じた基準動作が含まれていることが好ましい。

　ここで、判定基準情報１２１として記憶されている判定基準の一例について説明する。
　（１）各発達段階を通して、判定基準の基準動作において重要な部位は、「舌、唇、口角、顎」である。この場合、所定の判断基準には、上記のうち少なくとも１つの部位の、発達段階に応じた基準動作が含まれる。

　（２）各発達段階において、上記部位は以下のように関与する。
　・全段階（第１段階～第５段階）：判定基準における重要部位が「舌」であることが共通する。
　・第２段階～第４段階：判定基準における重要部位が「唇、口角、顎」であることが共通する。
　・第４段階のみ：判定基準に、「歯」の使い方及び「頬」の動きが含まれる。
　・第１段階及び第５段階：判定基準に「手」の使い方が含まれる。
　・第２段階～第５段階：判定基準に、「首と頭」の動きが含まれる。
　以上のことから、次に示すことが考えられる。
　・第１段階の判定において、「舌」の情報を必須の判定基準とすることが好ましい。より好ましくは、各発達段階の判定において、「舌」の情報を必須の判定基準とすることが望ましい。
　・第２段階～第４段階では、「唇、顎」の情報をさらに加えることが好ましい。さらに「口角」の情報を加えることがより好ましく、その場合は特に第４段階で加えることが好ましい。
　・第４段階では、さらに「歯、頬」の情報を補助的に追加することが好ましい。
　・第１段階及び第５段階では、さらに「手」の情報を補助的に追加することが好ましい。
　・第２段階～第５段階では、さらに、「首と頭」の情報を補助的に追加することが好ましい。

　（３）各発達段階を跨いだ、各部位の具体的な動きの変化は以下のとおりである。
　・舌（第１段階～第５段階）：「口元に食物を近づけたときの、口先から舌が頻繁に突出する」→「前記動きが抑えられる」→「舌が上下に動く」→「舌が上下左右に動く」→「舌が自由自在に動く」。
　・唇（第２段階～第４段階）：「下唇が上唇の下に入る」→「前記動きが抑えられ、上下唇は左右対称に動く」→「上下唇が左右非対称に動く」。
　・口角（第２段階→第４段階）：「口角は動かない」→「左右同時に対象に伸縮」→「左右非対称に動く」。
　・顎（第２段階～第４段階）：「顎は上下に僅かに動く」→「上下に動く」→「上下左右に動く」。
　・歯の使い方（第４段階～第５段階）：「前歯でかじり取るように食物を取り込む」→「大きな食べ物を前歯でかじり取れる」。
　・頬（第４段階～第５段階）：「頬を膨らませて咀嚼する」→「リズミカルに頬を膨らませて咀嚼する」。
　・手：「指しゃぶり（第１段階）」、「手づかみで食べることができる、自ら食器を使って食べることができる（第５段階）」。
　・首と頭（第２段階～第５段階）：「首がすわっている、首と頭が頻繁には動かない」→「食べ物に向かって首から頭をわずかに突き出す」→「食べ物に向かって首から頭を大きく突き出す」→「首と頭が自由自在に動き、正しい姿勢を保持できる」。

　すなわち、判定基準情報１２１として記憶されている判定基準には、判定対象の発達段階に応じた追加項目や、各項目間の相対的な優先度が付されていてもよい。

　また、判定基準情報１２１には、「判定基準の動作が起こる流れ」及び「発達段階の判定において優先度が高い動作」の情報が含まれていてもよい。上述した「判定基準」、「判定基準の動作が起こる流れ」及び「発達段階の判定において優先度が高い動作」の具体例について説明する。

（１）第１段階（哺乳期）
　Ａ．判定基準：
　　・舌の頻繁な突出。
　　・舌に指を近づけると吸い付く（原始反射）。
　　・指しゃぶり。
　　・玩具なめ。
　　・首がすわり始める。
　Ｂ．判定基準の動作が起こる流れ：
　　１．口元にスプーン等のモノを近づけたとき、舌を口先から頻繁に突出させる。
　　　舌に指を近づけると吸い付く。
　　　指しゃぶり、玩具なめ。
　Ｃ．発達段階の判定において優先度が高い動作：
　　・口元にスプーン等のモノを近づけたとき、舌を口先から頻繁に突出させる。

（２）第２段階（離乳初期（ゴックン期））
　Ａ．判定基準：
　　・下唇が上唇の下に入る。
　　・口角がほとんど動かない。
　　・舌が前後に動く、舌でのどの奥に食べ物を送る。
　　・顎が上下にわずかに動く。
　　・唇を閉じて飲み込む。
　　・上唇で食物を取り込む。
　　・食べ物を見たときに口元を動かす（食べ物に興味を示す）。
　　・食べ物が口の近くには運ばれてくると口を開ける。
　　・首がすわっている。
　　・首と頭が頻繁には動かない。
　　・「口元にスプーン等のモノを近づけたとき、舌を口先から出す」という動作の頻度が減少する。
　　・口元にスプーン等のモノを近づけても、舌で押し出さなくなる。
　Ｂ．判定基準の動作が起こる流れ：
　　１．「口元にスプーン等のモノを近づけたとき、舌を口先から出す」という動作の頻度が減少する。
　　　食べ物を見たときに口元を動かす（食べ物に興味を示す）。
　　　首がすわっている。
　　　首と頭が頻繁には動かない。
　　２．食べ物が口の近くに運ばれてくると口を開ける。
　　　舌が前後に動く、舌でのどの奥に食べ物を送る、口角はほとんど動かない。
　　３．口元にスプーン等のモノを近づけても、舌で押し出さなくなる。
　　　上唇で食べ物を取り込む、下唇が上唇の下に入る、顎が上下にわずかに動く。
　　　唇を閉じて飲み込む。
　Ｃ．発達段階の判定において優先度が高い動作：
　　・下唇が上唇の下に入る。
　　・食べ物が口の近くには運ばれてくると口を開ける。
　　・唇を閉じて飲み込む。
　　・顎が上下にわずかに動く。

（３）第３段階（離乳中期（モグモグ期））
　Ａ．判定基準：
　　・つぶして飲み込んでいる間、上下唇をしっかり閉じている。
　　・口角が左右同時に水平に伸縮する。
　　・舌が上下に動き、上顎に押し付ける。
　　・顎を上下に動かして食べ物をつぶす。
　　・唇を閉じて２～３秒モグモグしてから飲み込む。
　　・食べ物に向かって首から頭をわずかに突き出す。
　Ｂ．判定基準の動作が起こる流れ：
　　１．唇を閉じて２～３秒モグモグしてから飲み込む。
　　　舌が上下に動き、上顎に押し付ける。
　　　口角が左右同時に水平に伸縮する。
　　２．食べ物に向かって首から頭をわずかに突き出す。
　　　顎を上下に動かして食べ物をつぶす。
　　　つぶして飲み込んでいる間、上下唇をしっかりと閉じている。
　Ｃ．発達段階の判定において優先度が高い動作：
　　・つぶして飲み込んでいる間、上下唇をしっかりと閉じている。
　　・唇を閉じて２～３秒モグモグしてから飲み込む。
　　・顎を上下に動かして食べ物をつぶす。

（４）第４段階（離乳後期（カミカミ期））
　Ａ．判定基準：
　　・上下唇が左右非対称にねじれながら動く。
　　・口角が左右非対称に動く（片側引き）。
　　・舌が上下左右に動く。
　　・顎が上下左右に動く。
　　・前歯でかじりとるように食物を取り込む。
　　・頬を膨らませて咀嚼する。
　　・食べ物に向かって首から頭を大きく突き出す。
　　・口唇でしっかり食べ物を取り込める。
　　・歯ぐきで硬い食べ物をすりつぶすような動きをする。
　Ｂ．判定基準の動作が起こる流れ：
　　１．食べ物に向かって首から頭を大きく突き出す。
　　　口唇でしっかり食べ物を取り込める。
　　　舌が上下左右に動く、頬を膨らませて咀嚼する。
　　２．上下唇が左右非対称にねじれながら動く、口角が左右非対称に動く。
　　　顎が上下左右に動く。
　　３．前歯でかじり取るように食物を取り込む。
　　　歯ぐきで硬い食べ物をすりつぶすような動きをする。
　Ｃ．発達段階の判定において優先度が高い動作：
　　・口角が左右非対称に動く。
　　・上下唇が左右非対称にねじれながら動く。
　　・頬を膨らませて咀嚼する。
　　・前歯でかじりとるように食物を取り込む。
　　・顎が上下左右に動く。

（５）第５段階（離乳完了期）
　　　Ａ．判定基準：
　　・舌が自由自在に動く。
　　・歯や歯ぐきでリズミカルに噛んだり、つぶすことができる。
　　・首と頭が自由自在に動き、正しい姿勢を保持できる。
　　・手指で食べ物を握ったり離したりできる。
　　・持ちやすい玩具などを手で持ち、口元に運ぶことができるようになる。
　　・手づかみで食べることができる。
　　・大きな食べ物を前歯でかじり取れる。
　　・頭を動かさずに手を口の前に持ってくることができる。
　　・自ら食器を使って食べることができる。
　Ｂ．判定基準の動作が起こる流れ：
　　１．舌が自由自在に動かせる。
　　　歯や歯ぐきでリズミカルに噛んだり、つぶすことができる。
　　２．首と頭が自由自在に動き、正しい姿勢を保持できる。
　　　手指で食べ物を握ったり離したりできる。
　　　持ちやすい玩具などを手で持ち、口元に運ぶことができるようになる。
　　３．手づかみで食べることができる。
　　　大きな食べ物を前歯でかじり取れる。
　　　頭を動かさずに手を口の前に持ってくることができる。
　　４．自ら食器を使って食べることができる。
　Ｃ．発達段階の判定において優先度が高い動作：
　　・手づかみで食べることができる。
　　・自ら食器を使って食べることができる。
　　・歯や歯ぐきでリズミカルに噛んだり、つぶすことができる。

　図１に戻り、発達段階判定部１３０は、動作情報取得部１１０が取得する動作情報あるいは判定基準情報１２１（所定の判定基準）のいずれか１つ以上に基づいて、動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する。
　発達段階判定部１３０が行う判定手順には、既知の画像処理アルゴリズムが適用される。ここでいう画像アルゴリズムには、静止画を処理対象とするアルゴリズムや、動画を処理対象とするアルゴリズムなどが広く含まれる。
　なお、発達段階判定部１３０は、乳幼児の口唇、口角、舌及び顎の動作が機械学習された結果を参照して、発達段階を判定するものであってもよい。
　発達段階判定部１３０は、発達段階の判定結果を表示制御部１４０に出力する。

　また、発達段階判定部１３０は、動作情報取得部１１０が取得する動作情報あるいは判定基準情報のいずれか１つ以上に基づいて、動作情報が示す動作から乳幼児の口腔機能を数値化しながら発達段階を判定するものであっても良い。その場合は、月齢ごとの口腔機能に関する望ましい数値を平均値・標準偏差とともに示しながら発達段階を判定するものであってもよい。また、口腔機能の数値からグラフを作成し、表示制御部１４０に出力してもよい。このグラフには口腔機能の数値について、履歴とともに、平均値や標準偏差などの情報を示すこともできる。このように構成することにより発達過程がより細かく把握でき、利用者は被写体である乳幼児の成長の実感を得られやすくなる。さらに、利用者に利用を継続する動機を与えることができる。

　また、発達段階判定部１３０は、乳幼児の食物の経口摂取の動作のうち、特徴的な瞬間を示す静止画に基づいて、発達段階を判定してもよい。この場合、端末装置２０は、乳幼児の食物の経口摂取の動作のうち、発達段階の特徴を反映する瞬間を判定する特徴動作判定部（不図示）を備えていてもよい。この特徴動作判定部は、撮像部２１による乳幼児の食物の経口摂取の動作の撮像中に、発達段階の特徴を反映する瞬間が現れた場合、その瞬間を特徴動作として判定する。特徴動作判定部は、特徴動作が現れたと判定した場合、撮像部２１に静止画を撮像させたり、静止画を撮像することを促す表示（又は音）を提示させたりしてもよい。
　また、端末装置２０は、静止画を撮像するタイミングを指示する説明情報（例えば、スプーンを近づけたとき・口に入れて３秒後、など）を表示させてもよい。
　このように構成することにより、発達段階判定システム１は、乳幼児が食物を経口摂取している間の（つまり、長時間の）動画を端末装置２０から判定装置１０に送信する場合に比べて、情報量を低減することができる。

　また、端末装置２０は、撮像部２１が撮像した画像から、発達段階の判定に用いられない部分の画像（例えば、背景画像などの乳幼児の口元以外の画像）を削除した画像を、動作情報として判定装置１０に送信してもよい。このように構成された端末装置２０によれば、動作情報として送信される画像の情報量を削減することができる。

　表示制御部１４０は、発達段階判定部１３０の判定結果に基づく情報を、端末装置２０に対して出力する。この結果、端末装置２０の表示部２２には、発達段階判定部１３０の判定結果に基づく情報が表示される。
　すなわち、表示制御部１４０は、発達段階判定部１３０が判定した発達段階を示す情報を端末装置２０（つまり、表示装置）に表示させる。

　操作受付部１５０は、端末装置２０に対して行われた操作を受け付ける。具体的には、端末装置２０の操作検出部２３（例えば、タッチパネル）は、表示部２２の表示面への操作を検出すると、検出した操作に応じた操作情報を発達段階判定装置１０に対して出力する。操作受付部１５０は、端末装置２０から出力された操作情報を受け付ける。操作受付部１５０は、受け付けた操作の内容に応じて、発達段階判定装置１０の各部に操作情報を出力する。この結果、発達段階判定装置１０の各部は、端末装置２０に対して行われた操作に応じて動作する。

［発達段階判定システム１の動作］
　次に、図７を参照して、発達段階判定システム１の動作の一例について説明する。
　図７は、本実施形態の発達段階判定システム１の動作の一例を示す図である。

（ステップＳ１０）発達段階判定装置１０の動作情報取得部１１０は、端末装置２０から動作情報を取得する。上述したように、この一例において動作情報とは、食事中の乳幼児の口元が撮像された動画である。

　なお、発達段階の判定精度を低下させないようにするためには、端末装置２０を操作する利用者は、乳幼児の顔のうち鼻下から顎の先までが撮像部２１の画角内に収まるように撮像することが好ましい。表示制御部１４０は、端末装置２０に「鼻下から顎の先までを撮像する」といった指示を表示部２２に表示させてもよいし、表示部２２に顔の外形や鼻や顎の輪郭を示すガイドラインを、撮像部２１の撮像画像に重ねて表示させてもよい。

　また、表示制御部１４０は、撮像タイミングの指示を表示部２２に表示させてもよい。
例えば、「スプーンを口元に運んでから、飲み込むまで撮影する」といった指示を表示部２２に表示させてもよい。

　また、発達段階の判定精度を低下させないようにするためには、動作情報の長さを長くすることが好ましい。表示制御部１４０は、撮像時間や、撮像部２１が乳幼児の顔の正面を捉えている時間などを、表示部２２に表示させてもよい。
　また、表示制御部１４０は、撮像中に乳幼児が撮像部２１の方向に顔を向けるように注意を引く情報（例えば、フラッシュ点滅や音）を提示させてもよい。

　また、表示制御部１４０は、月齢・体重などの乳幼児の成長状態に関する情報を入力させる画像を表示部２２に表示させてもよい。この場合、動作情報取得部１１０は、動作情報とともに、成長状態に関する情報を取得する。
　また、動作情報取得部１１０は、取得した成長状態に関する情報を、記憶部１２０に履歴情報として記憶させてもよい。

　また、表示制御部１４０は、乳幼児の発達段階に応じて、取得すべき動作情報を変更したり、追加したりしてもよい。
　また、表示制御部１４０は、撮像タイミングや撮像対象の部位を示す情報（すなわち、撮影ガイド情報）を表示させてもよい。撮影ガイド情報を表示させる場合には、表示制御部１４０は、乳幼児の発達段階に応じてそれぞれ内容の異なる撮影ガイド情報を表示させてもよい。

　また、表示制御部１４０は、例えば、判定基準における重要部位が「手」である場合に、手の動作を撮像する代わりに、手の動作を利用者に入力させる表示（例えば、「手を使いますか？」という質問表示、及びこの質問に対する回答欄の表示）をさせてもよい。すなわち、表示制御部１４０は、撮像部２１によって撮像された画像以外の情報を動作情報に含めるべき情報として表示させてもよい。
　なお、表示制御部１４０が表示させる回答欄は、テキスト入力形式であってもよく、Ｙｅｓ／Ｎｏなどによる選択形式であってもよい。

（ステップＳ２０）発達段階判定部１３０は、記憶部１２０に記憶されている判定基準情報１２１を取得する。
（ステップＳ３０）発達段階判定部１３０は、端末装置２０によって撮像された乳幼児の食事動作が、乳幼児期の口腔機能の発達段階のうち、どの段階であるのかを判定する。
　具体的には、発達段階判定部１３０は、ステップＳ１０において取得された動作情報を検索キーにして、ステップＳ２０において取得された判定基準情報１２１を検索する。発達段階判定部１３０は、検索の結果、動作情報に対応する発達段階を得る。発達段階判定部１３０は、発達段階の判定結果を表示制御部１４０に出力する。

　なお、発達段階判定部１３０は、互いに異なるタイミングに撮像された複数の動作情報に基づいて、動作情報に統計演算を施すことにより、発達段階を判定してもよい。このように構成された発達段階判定部１３０によれば、発達段階の判定精度を向上させることができる。

　また、乳幼児の顔の表情が変化することによって、発達段階の判定精度が低下する場合がある。この場合、発達段階判定部１３０は、動作情報に通常の表情とは口元の形状が異なる表情（例えば、泣き顔や笑い顔など）が含まれている場合には、通常の表情とは口元の形状が異なる表情の部分を除外して、発達段階を判定するようにしてもよい。

　また、発達段階判定部１３０は、動作情報の内容によっては、発達段階を確定させることができない場合がある。発達段階判定部１３０は、発達段階の判定精度（例えば、６０％の確率で第３段階、など）を算出してもよい。この場合、表示制御部１４０は、算出された発達段階の判定精度を表示部２２に表示させてもよい。

　また、発達段階判定部１３０は、各発達段階の基準を満たした場合を１００とし、その割合で数値を算出してもよい（１～１００、など）。また、動画から被写体の動きが抽出されたベクトル情報を数値化してもよい。表示制御部１４０は、算出された数値を過去の判定結果（数値）と併せて、数値の推移としてグラフ化し表示部２２に表示させてもよい。

　また、発達段階判定部１３０は、被写体４０である乳幼児の年齢（月齢）情報や歯数情報などに基づいて、判定結果を補正してもよい。

　また、発達段階判定部１３０は、過去の判定結果の履歴に基づいて、発達段階を判定してもよい。過去の判定結果が履歴情報として記憶部１２０に記憶されていてもよい。この場合、発達段階判定部１３０は、記憶部１２０に記憶されている履歴情報にさらに基づいて、発達段階を判定する。

（ステップＳ４０）表示制御部１４０は、ステップＳ３０において判定された発達段階に対応する情報を取得する。ここで、「発達段階に対応する情報」について例示する。

　［発達段階に対応する情報の一例］
（１）離乳食の形態の情報
　表示制御部１４０は、離乳食の形態の情報を、発達段階に対応する情報として取得する。離乳食の形態の情報の一例について、図８を参照して説明する。

　図８は、本実施形態の離乳食情報１２２の一例を示す図である。この一例において、離乳食情報１２２は、発達段階判定装置１０の記憶部１２０に記憶されている。
　離乳食情報１２２には、発達段階と、発達段階に応じた離乳食の形態の情報とが対応付けられている。表示制御部１４０は、ステップＳ３０において判定された発達段階を検索キーにして離乳食情報１２２を検索することにより、発達段階に対応する離乳食の形態の情報（例えば、「第２段階」において「とろとろのポタージュ状・ヨーグルト状」）を取得する。

（２）離乳食の与え方の情報
　表示制御部１４０は、離乳食の与え方の情報を、発達段階に対応する情報として取得する。離乳食の与え方の情報の一例について、図９を参照して説明する。

　図９は、本実施形態の離乳食与え方情報１２３の一例を示す図である。この一例において、離乳食与え方情報１２３は、発達段階判定装置１０の記憶部１２０に記憶されている。
　離乳食与え方情報１２３には、発達段階と、発達段階に応じた離乳食の与え方の情報とが対応付けられている。表示制御部１４０は、ステップＳ３０において判定された発達段階を検索キーにして離乳食与え方情報１２３を検索することにより、発達段階に対応する離乳食の与え方の情報（例えば、「第３段階」において「下唇にスプーンをのせ、赤ちゃんが食べ物を取り込んで、モグモグ、ゴックンしたことを見届けてから、次の１さじを運ぶ」）を取得する。

（ステップＳ５０）図７に戻り、表示制御部１４０は、ステップＳ３０において判定された発達段階の情報、及びステップＳ４０において取得された発達段階に対応する情報を、それぞれ端末装置２０に出力する。

　図１０は、本実施形態の端末装置２０に表示される情報の一例である。端末装置２０の表示部２２には、判定結果画像Ｐ１１が表示される。この判定結果画像Ｐ１１とは、ステップＳ３０において判定された発達段階を示す画像である。ステップＳ３０において「第３段階」であると判定されている場合には、表示部２２には、「第３段階」（あるいは、発達段階を平易に表現した「モグモグ期」）が判定結果画像Ｐ１１として表示される。

　また、表示部２２には、操作画像Ｂ１１～操作画像Ｂ１４が表示されてもよい。
　操作画像Ｂ１１とは、「食事のアドバイス画面」を表示させるための操作画像である。
端末装置２０の利用者によって操作画像Ｂ１１が操作されると、端末装置２０は、操作画像Ｂ１１が操作されたことを示す操作情報を発達段階判定装置１０に出力する。操作受付部１５０は、端末装置２０が出力する操作情報を受け付け、表示制御部１４０に出力する。表示制御部１４０は、操作画像Ｂ１１「食事のアドバイス画面」が操作されたと判定すると、食事のアドバイス画面を、発達段階に対応する情報として端末装置２０に出力する。この結果、端末装置２０の表示部２２には、「食事のアドバイス画面」が表示される。
　ここで「食事のアドバイス画面」とは、例えば、上述した離乳食与え方情報１２３に記憶されている情報に基づいて生成された画像である。

　食事のアドバイス画面に表示される情報の一例には、
１．食事の与え方（口へのスプーンの持っていきかた、乳幼児の姿勢、一口一口のタイミング等）
２．食形態・栄養（その時期にふさわしい離乳食の形態、必要な栄養量）３．離乳食ステップのアドバイス（発達段階と与えている離乳食が合っていない場合は、正しいステップをアドバイス。例えば「ステップを一つ戻そう」「ステップを一つ進めよう」「しばらく日をおいてから離乳食を再開しよう」）
　などがある。

　なお、表示制御部１４０は、被写体４０の乳幼児が所定の月齢に到達してもステップアップしていない場合には、口腔機能発達を促すためのアドバイス（例：離乳食形態や与えた方アドバイス、トレーニング等）の情報を端末装置２０に表示させてもよい。

　操作画像Ｂ１２とは、「離乳食レシピ画面」を表示させるための操作画像である。端末装置２０の利用者によって操作画像Ｂ１２が操作されると、上述した場合と同様にして、表示制御部１４０は、離乳食レシピ画面を、発達段階に対応する情報として端末装置２０に出力する。この結果、端末装置２０の表示部２２には、「離乳食レシピ画面」が表示される。
　ここで「離乳食レシピ画面」とは、例えば、上述した離乳食情報１２２に記憶されている情報に基づいて生成された画像である。なお、「離乳食レシピ画面」には、例えば、調理の各段階を示した動画や、完成した離乳食が撮像された静止画が含まれていてもよい。

　操作画像Ｂ１３とは、「育児日誌（ステップアップカレンダー）画面」を表示させるための操作画像である。端末装置２０の利用者によって操作画像Ｂ１３が操作されると、上述した場合と同様にして、表示制御部１４０は、ステップアップカレンダー画面を、発達段階に対応する情報として端末装置２０に出力する。この結果、端末装置２０の表示部２２には、「ステップアップカレンダー画面」が表示される。
　ここで「ステップアップカレンダー画面」とは、例えば、日付単位、週単位、月単位などによって発達段階の時間的変化を表示する画面であり、ステップアップ記念日を表示するなど、手軽に成長の記録を残すことができる画面である。また、「ステップアップ」とは、発達段階が上昇すること（例えば、第１段階から第２段階に変化すること）をいう。

　ステップアップカレンダー画面に表示される情報の一例には、
　離乳食ステップアップの履歴の確認：
・各日付の食事動画
・実際に食べさせた離乳食メニュー
・各食材のアレルギー反応の有無
　などがある。

　また、ステップアップしたと判定されたのちに、発達段階の下降（ステップダウン。例えば、第３段階から第２段階に変化すること）が発生すると、利用者が不安に感じる場合がありうる。発達段階判定部１３０は、発達段階の判定を複数回行う場合には、ステップアップ後に発達段階が低めに判定された場合であっても、ステップダウンさせないように構成されていてもよい。
　また、発達段階判定部１３０は、発達段階を細かく区切って発達段階を判定してもよい。例えば、発達段階判定部１３０は、発達段階を１００等分して詳細段階を判定する場合、発達段階が「第３段階内の６０％」などと判定してもよい。

　また、発達段階が停滞（例えば、判定を重ねても第１段階から変化がないこと）すると、利用者が飽きを感じる場合がありうる。発達段階判定部１３０は、発達段階を細かく区切って発達段階を数値して判定してもよい。

　操作画像Ｂ１４とは、発達段階の詳細情報を表示させるための操作画像である。端末装置２０の利用者によって操作画像Ｂ１２が操作されると、上述した場合と同様にして、表示制御部１４０は、発達段階の詳細情報画面を、発達段階に対応する情報として端末装置２０に出力する。この結果、端末装置２０の表示部２２には、「発達段階の詳細情報画面」が表示される。「発達段階の詳細情報画面」の一例を図１１に示す。

　図１１は、本実施形態の端末装置２０に表示される情報の他の一例である。端末装置２０の表示部２２には、判定結果画像Ｐ２１～Ｐ２５がそれぞれ表示される。
　判定結果画像Ｐ２１とは、ステップＳ３０において判定された発達段階を示す画像であり、図１０を参照して説明した判定結果画像Ｐ１１と同様の画像である。ステップＳ３０において「第３段階」であると判定されている場合には、表示部２２には、「第３段階」（あるいは、発達段階を平易に表現した「モグモグ期」）が判定結果画像Ｐ２１として表示される。
　判定結果画像Ｐ２２とは、ステップＳ３０において判定された発達段階の、典型的な乳幼児の例を示す写真画像である。
　判定結果画像Ｐ２３とは、ステップＳ３０において判定された発達段階の、乳幼児の口元の動きを強調して示すイラスト画像である。
　判定結果画像Ｐ２４とは、ステップＳ３０において判定された発達段階の、乳幼児の口腔内の動きを強調して示すイラスト画像である。
　判定結果画像P２５とは、発達段階を数値化（１～１００、など）したものを、過去の判定結果（数値）と併せて、数値の推移としてグラフ化し表示部２２に表示させてもよい。
　表示制御部１４０は、上述した各種の画像情報や文字情報を、発達段階に対応する情報として、表示部２２に表示させる。

　上述したように、表示制御部１４０は、表示部２２に発達段階を示す情報（例えば、「第３段階」、「モグモグ期」）に加えて、発達段階に対応する情報（例えば、離乳食レシピや離乳食の与え方、良好な歯列形成を促すトレーニング、歯みがきなどの口腔ケア方法）を表示部２２に表示させる。
　すなわち、表示制御部１４０は、発達段階判定部１３０が判定した発達段階に対応する情報を端末装置２０（表示装置）にさらに表示させる。

［実施形態のまとめ］
　以上説明したように、発達段階判定システム１は、撮像部２１によって撮像された食事中の乳幼児の口元の動作と、所定の判定基準とに基づいて、発達段階判定部１３０が発達段階を判定する。このため、発達段階判定システム１によれば、乳幼児期における口腔機能の発達の程度を客観的に判定することができる。

　また、発達段階判定システム１によれば、乳幼児の成長とともに、口腔機能の発達段階が履歴として表示されるため、離乳食の種類や与え方についての客観的な指標を利用者に与えることができる。このため、利用者（例えば、乳幼児の保護者）は、口腔機能の発達段階に応じた適切な種類・与え方を選択できる。したがって、発達段階判定システム１によれば、子育て中の保護者の不安感を低減することができる。

［変形例］
　次に、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一の機能及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。

［発達段階が変化していない場合の表示情報の更新（１）］
　上述したように、発達段階判定部１３０は、端末装置２０から動作情報を取得するごとに、発達段階を判定する。乳幼児の発達段階が更新される（例えば、発達段階が１段階上昇する）ためには、相応の時間がかかる。このため、端末装置２０から乳幼児の動作情報を発達段階判定装置１０に出力したとしても、発達段階が更新されない状況が続く場合がある。このような場合において、端末装置２０に表示される情報が更新されないとすれば、発達段階判定システム１の利用を継続する動機が薄れてしまう場合がある。

　本変形例の表示制御部１４０は、端末装置２０から動作情報を取得したにもかかわらず、発達段階が変化していない場合には、発達段階に対応する情報について、前回送信した情報とは異なる情報を端末装置２０に出力する。
　すなわち、表示制御部１４０は、発達段階判定部１３０が判定した発達段階が更新されるまでの間、発達段階に対応する複数の情報のなかから選択された情報を、発達段階に対応する更新後の情報として端末装置２０（表示装置）に表示させる。
　このように構成された発達段階判定システム１によれば、乳幼児の発達段階が変化していない場合であっても、端末装置２０に表示される情報に変化を与えることができる。このため、発達段階判定システム１によれば、乳幼児の発達段階が変化していない場合であっても、発達段階判定システム１の利用者に対して、利用を継続する動機を与えることができる。

［発達段階が変化していない場合の表示情報の更新（２）］
　操作受付部１５０は、端末装置２０の利用者による表示対象の情報を更新する更新操作を受け付ける構成であってもよい。この場合、表示制御部１４０は、操作受付部１５０が更新操作を受け付けたことに応じて、発達段階に対応する情報を更新させて、更新後の情報を端末装置２０（表示装置）に表示させる。
　このように構成された発達段階判定システム１によれば、乳幼児の発達段階が変化していない場合であっても、端末装置２０に表示される情報に変化を与えることができる。このため、発達段階判定システム１によれば、乳幼児の発達段階が変化していない場合であっても、利用者に利用を継続する動機を与えることができる。

［操作頻度に基づく利用リマインド］
　発達段階判定システム１は、利用者がしばらくの期間、発達段階判定システム１を利用していないと判定した場合には、利用を促す表示（利用リマインド）を行ってもよい。
　すなわち、表示制御部１４０は、動作情報取得部１１０に対する動作情報の提供頻度と、操作受付部１５０による更新操作の受付頻度とに基づいて、動作情報の提供を促す情報を端末装置２０（表示装置）に表示させる。

　例えば、更新操作の受付頻度と、動作情報の提供頻度とがいずれも低い場合に、表示制御部１４０は、動作情報の提供を促す情報を端末装置２０（表示装置）に表示させる。この場合、発達段階判定システム１をあまり利用していない利用者に対して利用リマインドを行うことができる。
　また、更新操作の受付頻度は高いが、動作情報の提供頻度は低い場合に、表示制御部１４０は、動作情報の提供を促す情報を端末装置２０（表示装置）に表示させる。この場合、発達段階判定システム１による情報提供機能の利用頻度は高いが、発達段階の判定機能をあまり利用していない利用者に対して利用リマインドを行うことができる。

［離乳食の内容が発達段階に適しているか否かの判定］
　発達段階判定システム１は、乳幼児に与えられている離乳食が、乳幼児の発達段階に適したものであるか否かを判定する機能を備えていてもよい。この場合、発達段階判定装置１０は、食物情報取得部１６０と、種類判定部１７０とを備える。
　食物情報取得部１６０は、乳幼児に与えられた食物の種類を示す食物情報を取得する。
具体的には、利用者は、端末装置２０の撮像部２１を使用して、乳幼児に与えている離乳食の画像を撮像する。端末装置２０は、撮像部２１が撮像した離乳食の画像を発達段階判定装置１０に出力する。発達段階判定装置１０の食物情報取得部１６０は、端末装置２０から離乳食の画像を取得する。食物情報取得部１６０は、既知の画像マッチング手法を適用して離乳食の画像に撮像されている離乳食の種類を判定する。
　なお、食物情報取得部１６０は、端末装置２０に対して利用者が行う、離乳食の種類を文字入力操作やメニュー選択操作などの結果得られる情報を、食物情報として取得してもよい。
　また、上述した食物情報が示す食物の種類には、食材、調理方法、柔らかさ、サイズなどの食物の属性が広く含まれる。

　種類判定部１７０は、食物情報取得部１６０が取得する食物情報が示す食物の種類が、発達段階判定部１３０が判定した発達段階において摂取される食物として適しているか否かを判定する。
　具体的には、種類判定部１７０は、乳幼児の発達段階に応じてあらかじめ定められた食物の種類と、発達段階判定部１３０が判定した発達段階とに基づいて、乳幼児に与えられるべき食物の種類（当該乳幼児の発達段階において適した食物の種類）を判定する。種類判定部１７０は、判定した食物の種類（すなわち、発達段階に応じた理想的な食物の種類）と、食物情報取得部１６０が取得した食物情報が示す食物の種類（すなわち、実際に乳幼児に与えられた食物の種類）とを比較することにより、発達段階判定部１３０が判定した発達段階において摂取される食物として適しているか否かを判定する。
　この場合、表示制御部１４０は、種類判定部１７０による判定結果を端末装置２０（表示装置）にさらに表示させる。

　なお、乳幼児に与えられた食物の種類によって好き嫌いがある場合、好きな種類の食べ物を与えられた場合と、嫌いな種類の食べ物を与えられた場合とで、乳幼児の表情に差が生じる場合がある。乳幼児の表情に差が生じると、発達段階判定部１３０が発達段階を誤判定するなど、発達段階の判定精度が低下する場合がある。
　発達段階判定部１３０は、種類判定部１７０が判定した食物の種類に基づいて（つまり、好きな種類の食べ物を与えられた場合と、嫌いな種類の食べ物を与えられた場合とを判定して）、複数の動作情報を統計演算することにより、発達段階の判定精度を向上させるように構成されていてもよい。

　また、乳幼児に与えられる食べ物には、発達段階の判定に適した種類のものがある場合がある。この場合には、発達段階判定部１３０は、種類判定部１７０が判定した食物の種類に基づいて、発達段階の判定に適した種類の食べ物を与えられた場合の動作情報を利用することにより、発達段階の判定精度を向上させるように構成されていてもよい。

［離乳食の分量判定］
　発達段階判定システム１は、乳幼児に与えられている離乳食の分量を判定する機能を備えていてもよい。この場合、発達段階判定装置１０は、分量判定部１８０を備える。
　分量判定部１８０は、動作情報取得部１１０が取得する動作情報に基づいて、乳幼児に与えられた食物の分量を判定する。この場合、表示制御部１４０は、分量判定部１８０の判定結果に基づく情報を端末装置２０（表示装置）にさらに表示させる。
　このように構成された発達段階判定システム１によれば、離乳食の量が多すぎる場合や少なすぎる場合などに、利用者に情報を提供することができる。

　なお、分量判定部１８０は、乳幼児に与えられた食物の種類や、過去に乳幼児に与えられた食物の履歴に基づいて、離乳食の分量を判定してもよい。
　例えば、分量判定部１８０は、種類判定部１７０が判定した食物の種類にさらに基づいて、乳幼児に与えられた食物の分量を判定する。
　また例えば、記憶部１２０に過去に乳幼児に与えられた食物の履歴が記憶されている場合には、分量判定部１８０は、記憶部１２０に記憶された食物の履歴にさらに基づいて、離乳食の分量を判定してもよい。
　このように構成された発達段階判定システム１によれば、乳幼児に与えられた食物が、初めて与えられた種類の食物であるか、複数回与えられており慣れた種類の食物であるかによって、又は発達段階のステップアップ直後であるかどうかなど、状況に応じて離乳食の分量が適切であるか否かを利用者に提示することができる。

　なお、上述した各実施形態において、発達段階判定装置１０と、端末装置２０との機能分担の一例を説明したが、各装置は上述と異なる機能分担にして構成されていてもよい。
例えば、発達段階判定システム１は、発達段階判定装置１０の機能の全部又は一部が、端末装置２０において動作するソフトウエアとして実現されていてもよい。

　以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。

　なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、ＣＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ－ＲＯＭ、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。

　また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル（差分プログラム）であってもよい。

　１…発達段階判定システム、１０…発達段階判定装置、１１０…動作情報取得部、１２０…記憶部、１３０…発達段階判定部、１４０…表示制御部、１５０…操作受付部、１６０…食物情報取得部、１７０…種類判定部、２０…端末装置

Claims (14)

1. 　乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する動作情報取得部と、
   　前記動作情報取得部が取得する前記動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定部と、
   　前記発達段階判定部が判定した前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御部と、
   　を備える発達段階判定装置。
2. 　前記所定の判定基準には、乳幼児の口唇、口角、舌及び顎の少なくとも１つの部位の、前記発達段階に応じた基準動作が含まれる
   　請求項１に記載の発達段階判定装置。
3. 　前記動作情報には、食物が捕食されてから嚥下されるまでの期間のうち、少なくとも一部の期間における口唇、口角、舌及び顎の少なくとも１つの部位の動きの情報が含まれる
   　請求項１または請求項２に記載の発達段階判定装置。
4. 　前記動作情報には、食物が捕食される前の期間における口唇、口角、舌及び顎の少なくとも１つの部位の動きの情報が含まれる
   　請求項３に記載の発達段階判定装置。
5. 　前記表示制御部は、
   　前記発達段階判定部が判定した前記発達段階に対応する情報を表示装置にさらに表示させる
   　請求項１から請求項４のいずれか一項に記載の発達段階判定装置。
6. 　前記表示制御部は、
   　前記発達段階判定部が判定した前記発達段階に対応する情報を過去の判定結果履歴と併せてグラフ化し表示装置に表示させる
   　請求項５に記載の発達段階判定装置。
7. 　前記表示制御部は、
   　前記発達段階判定部が判定した前記発達段階が更新されるまでの間、前記発達段階に対応する複数の情報のなかから選択された情報を、前記発達段階に対応する更新後の情報として表示装置に表示させる
   　請求項６に記載の発達段階判定装置。
8. 　表示対象の情報を更新する更新操作を受け付ける操作受付部
   　をさらに備え、
   　前記表示制御部は、
   　前記操作受付部が前記更新操作を受け付けたことに応じて、前記発達段階に対応する情報を更新させて、更新後の情報を表示装置に表示させる
   　請求項７に記載の発達段階判定装置。
9. 　前記表示制御部は、
   　前記動作情報取得部に対する前記動作情報の提供頻度と、前記操作受付部による前記更新操作の受付頻度とに基づいて、前記動作情報の提供を促す情報を表示装置に表示させる
   　請求項８に記載の発達段階判定装置。
10. 　乳幼児に与えられた食物の種類を示す食物情報を取得する食物情報取得部と、
    　前記食物情報取得部が取得する前記食物情報が示す食物の種類が、前記発達段階判定部が判定した前記発達段階において摂取される食物として適しているか否かを判定する種類判定部と、
    　をさらに備え、
    　前記表示制御部は、
    　前記種類判定部による判定結果を表示装置にさらに表示させる
    　請求項１から請求項９のいずれか一項に記載の発達段階判定装置。
11. 　前記動作情報取得部が取得する前記動作情報に基づいて、乳幼児に与えられた食物の分量を判定する分量判定部
    　をさらに備え、
    　前記表示制御部は、
    　前記分量判定部の判定結果に基づく情報を表示装置にさらに表示させる
    　請求項１から請求項１０のいずれか一項に記載の発達段階判定装置。
12. 　コンピュータが、
    　乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する動作情報取得手順と、
    　前記動作情報取得手順において取得される前記動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定手順と、
    　前記発達段階判定手順において判定された前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御手順と、
    　を有する発達段階判定方法。
13. 　コンピュータに、
    　乳幼児の食物の経口摂取の動作を示す動作情報を取得する動作情報取得手順と、
    　前記動作情報取得手順において取得される前記動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定手順と、
    　前記発達段階判定手順において判定された前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御手順と、
    　を実行させるためのプログラム。
14. 　乳幼児の食物の経口摂取の動作を撮像する撮像部と、
    　前記撮像部が撮像した画像に基づく動作情報と、所定の判定基準とに基づいて、前記動作情報が示す動作が、乳幼児期の口腔機能の複数の発達段階のうち、いずれの段階であるのかを判定する発達段階判定装置に対して、前記動作情報を出力する出力部と、
    　前記出力部が出力した前記動作情報に基づいて前記発達段階判定装置が判定した前記発達段階を示す情報を取得する取得部と、
    　前記取得部が取得する前記発達段階を示す情報を表示装置に表示させる表示制御部と、
    　を備える端末装置。

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