WO2019207942A1 - 免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するためのバイオマーカー - Google Patents
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Abstract
本発明は、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するための診断剤を提供する。本発明は、パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するための診断剤を提供する。特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、一定レベル以上である場合、被験体は、免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される。
Description
免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)によるがん治療の効果を評価するためのマーカー、診断剤、キットおよび方法に関する。
正常の体内では、免疫監視機構が働いており、がん化した細胞を排除する。活性化したCD8陽性、細胞傷害性T細胞は、がん化された細胞の癌抗原を認識して、サイトカイン、パーフォリン、グランザイムBを放出することで、がん細胞をアポトーシスに至らせる(非特許文献1)。一方がん細胞は、がん細胞表面上のPD-L1と、T細胞表面上のPD-1を結合させ、T細胞を不活性化することによって、免疫監視機構から逃避する。抗PD-1抗体であるニボルマブおよびペムブロリズマブは、ヒト型モノクローナル抗体で、この免疫監視機構からの逃避を防ぐ薬剤である。ニボルマブおよびペムブロリズマブは、PD-1に結合し、PD-L1からの活性化抑制シグナルを阻害することで、T細胞を再活性化する。再活性化されたT細胞の働きにより、がん細胞は、アポトーシスに至る。
ニボルマブおよびペムブロリズマブは、様々ながん種で臨床試験(治験)が行われており、化学療法の治療歴のある進行期がん患者において、高い奏効率および、無増悪生存期間、全生存期間の延長を示している。
Voskoboinik I, Whisstock JC, Trapani JA. Perforin and granzymes: function, dysfunction and human pathology. Nat Rev Immunol. 2015 Jun;15(6):388-400.
本発明者は、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果をパーフォリンの発現レベルを測定することによって評価することができることを見出した。パーフォリンは、健常者においても発現されているタンパク質であるため、パーフォリンががん治療の効果を評価するために使用することができることは予想外なことであった。さらに、驚くべきことに、免疫チェックポイント阻害剤の種類によって、パーフォリンの発現レベルの挙動に差が見られることが明らかになった。これにより、効果的な予測因子が見いだされ、ニボルマブおよびペムブロリズマブにより生じる費用を削減することができる。
したがって、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による被験体における癌に対する治療の効果を評価するための診断剤。
(項目2)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目1に記載の診断剤。
(項目3)
前記癌が肺癌である、項目1または2に記載の診断剤。
(項目4)
前記パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルである、項目1~3のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目5)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目1~4のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目6)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目1~5のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目7)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6に記載の診断剤。
(項目8)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目7に記載の診断剤。
(項目9)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6に記載の診断剤。
(項目10)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目9に記載の診断剤。
(項目11)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目10に記載の診断剤。
(項目12)
パーフォリンのタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目13)
パーフォリンの発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目14)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてパーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目15)
パーフォリンの発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目16)
前記パーフォリンは、血液試料におけるものである、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
前記パーフォリンの発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目14~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目14~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目19に記載の方法。
(項目23)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目22に記載の方法。
(項目24)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目23に記載の方法。
(項目25)
パーフォリンに加えて、FASリガンド、グランザイムB、CD137、TNFαまたはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目14~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための、免疫チェックポイント阻害剤を含むコンパニオン試薬であって、免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目27)
ニボルマブによるがん治療の効果を評価するための、ニボルマブを含むコンパニオン試薬であって、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目28)
ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベル約1.2倍以上である場合、前記被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目26に記載のコンパニオン試薬。
(項目29)
ペムブロリズマブによる癌に対する治療の効果を評価するための、ペムブロリズマブを含むコンパニオン試薬であって、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目30)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目28に記載のコンパニオン試薬。
(項目31)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目30に記載のコンパニオン試薬。
(項目32)
CD137の発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための診断剤。
(項目33)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目32に記載の診断剤。
(項目34)
前記癌が肺癌である、項目32または33に記載の診断剤。
(項目35)
前記CD137の発現レベルが、血液試料中のCD137のタンパク質のレベルである、項目31~34のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目36)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目31~34のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目37)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目32~36のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目38)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性であることが示される、項目37に記載の診断剤。
(項目39)
CD137のタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目40)
CD137の発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目41)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてCD137の発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目42)
CD137の発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目43)
前記CD137は、血液試料におけるものである、項目41または42に記載の方法。
(項目44)
前記CD137の発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目41~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目41~44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目45に記載の方法。
(項目47)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目46に記載の方法。
(項目48)
CD137に加えて、FASリガンド、グランザイムB、パーフォリン、TNFαまたはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目41~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目1A)
パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による被験体における癌に対する治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤。
(項目2A)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目1Aに記載の診断剤。
(項目3A)
前記癌が肺癌である、項目1Aまたは2Aに記載の診断剤。
(項目4A)
前記パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルである、項目1A~3Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目5A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目1A~4Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目6A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目1A~5Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目7A)
前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目5Aまたは6Aに記載の診断剤。
(項目8A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Aに記載の診断剤。
(項目9A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Aに記載の診断剤。
(項目10A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Aに記載の診断剤。
(項目11A)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目10Aに記載の診断剤。
(項目12A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Aに記載の診断剤。
(項目13A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目12Aに記載の診断剤。
(項目14A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目13Aに記載の診断剤。
(項目15A)
パーフォリンのタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目16A)
パーフォリンの発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目17A)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するために、該被験者から分離した生体検体についてパーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目18A)
パーフォリンの発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目19A)
前記パーフォリンは、血液試料におけるものである、項目17Aまたは18Aに記載の方法。
(項目20A)
前記パーフォリンの発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目17A~19Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目21A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目17A~20Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目22A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目21Aに記載の方法。
(項目23A)
前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目21Aまたは22Aに記載の方法。
(項目24A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目23Aに記載の方法。
(項目25A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目23Aに記載の方法。
(項目26A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目22Aに記載の方法。
(項目27A)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目22Aに記載の方法。
(項目28A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目22Aに記載の方法。
(項目29A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目28Aに記載の方法。
(項目30A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目29Aに記載の方法。
(項目31A)
パーフォリンに加えて、FASリガンド、グランザイムB、CD137、TNFα、CYFRA、CRP、LDH、KL-6またはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目17A~30Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目32A)
免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための、免疫チェックポイント阻害剤を含むコンパニオン試薬であって、免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目33A)
抗PD-1抗体による癌に対する治療の効果を評価するための、抗PD-1抗体を含むコンパニオン試薬であって、該抗PD-1抗体投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、コンパニオン試薬。
(項目34A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目33Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目35A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目33Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目36A)
ニボルマブによるがん治療の効果を評価するための、ニボルマブを含むコンパニオン試薬であって、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目37A)
ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベル約1.2倍以上である場合、前記被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目36Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目38A)
ペムブロリズマブによる癌に対する治療の効果を評価するための、ペムブロリズマブを含むコンパニオン試薬であって、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目39A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目37Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目40A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目39Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目41A)
CD137の発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤。
(項目42A)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目41Aに記載の診断剤。
(項目43A)
前記癌が肺癌である、項目41Aまたは42Aに記載の診断剤。
(項目44A)
前記CD137の発現レベルが、血液試料中のCD137のタンパク質のレベルである、項目41A~43Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目45A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目41A~44Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目46A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目41A~45Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目47A)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性であることが示される、項目46Aに記載の診断剤。
(項目48A)
CD137のタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目49A)
CD137の発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目50A)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてCD137の発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目51A)
CD137の発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目52A)
前記CD137は、血液試料におけるものである、項目50Aまたは51Aに記載の方法。
(項目53A)
前記CD137の発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目50A~52Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目54A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目50A~53Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目55A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目54Aに記載の方法。
(項目56A)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目55Aに記載の方法。
(項目57A)
CD137に加えて、FASリガンド、グランザイムB、パーフォリン、TNFα、CYFRA、CRP、LDH、KL-6またはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目50A~56Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目1B)
免疫チェックポイント阻害剤による被験体における癌に対する治療の効果を評価または予測するための方法であって、該方法は、パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する工程を含む、方法。
(項目2B)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目1Bに記載の方法。
(項目3B)
前記癌が肺癌である、項目1Bまたは2Bに記載の方法。
(項目4B)
前記パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルである、項目1B~3Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目5B)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目1B~4Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目6B)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目1B~5Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目7B)
前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目5Bまたは6Bに記載の方法。
(項目8B)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Bに記載の方法。
(項目9B)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Bに記載の方法。
(項目10B)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Bに記載の方法。
(項目11B)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目10Bに記載の方法。
(項目12B)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Bに記載の方法。
(項目13B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目12Bに記載の方法。
(項目14B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目13Bに記載の方法。
(項目15B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
免疫チェックポイント阻害剤を該被験体に投与する工程と、
該免疫チェックポイント阻害剤投与後の該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを、該免疫チェックポイント阻害剤投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルと比較する工程と、
免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、該免疫チェックポイント阻害剤の投与を継続する工程と
を含む、方法。
(項目16B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを測定する工程と、 免疫チェックポイント阻害剤を該被験体に投与する工程と、
該抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、該PD-1抗体を該被験体に投与する工程と
を含む、方法。
(項目17B)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目16Bに記載の方法。
(項目18B)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目16Bに記載の方法。
(項目19B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
ニボルマブを該被験体に投与する工程と、
該ニボルマブ投与後2日目の該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを、該ニボルマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルと比較する工程と、
ニボルマブ投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、および/または、ニボルマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、所定のレベルよりも高い場合、該ニボルマブの投与を継続する工程と
を含む、方法。
(項目20B)
ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベル約1.2倍以上である場合、前記被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目19Bに記載の方法。
(項目21B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
ペムブロリズマブを該被験体に投与する工程と、
該ペムブロリズマブ投与後2日目の該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを、該ペムブロリズマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルと比較する工程と、
ペムブロリズマブ投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、該ペムブロリズマブの投与を継続する工程と
を含む、方法。
(項目22B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目21Bに記載の方法。
(項目23B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目22Bに記載の方法。
(項目24B)
免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するための方法であって、該方法は、CD137の発現レベルを検出、測定または定量する工程を含む、方法。
(項目25B)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目24Bに記載の方法。
(項目26B)
前記癌が肺癌である、項目24Bまたは25Bに記載の方法。
(項目27B)
前記CD137の発現レベルが、血液試料中のCD137のタンパク質のレベルである、項目24B~26Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目28B)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目24B~27Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目29B)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目24B~29Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目30B)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性であることが示される、項目29Bに記載の方法。
(項目1)
パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による被験体における癌に対する治療の効果を評価するための診断剤。
(項目2)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目1に記載の診断剤。
(項目3)
前記癌が肺癌である、項目1または2に記載の診断剤。
(項目4)
前記パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルである、項目1~3のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目5)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目1~4のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目6)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目1~5のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目7)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6に記載の診断剤。
(項目8)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目7に記載の診断剤。
(項目9)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6に記載の診断剤。
(項目10)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目9に記載の診断剤。
(項目11)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目10に記載の診断剤。
(項目12)
パーフォリンのタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目13)
パーフォリンの発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目14)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてパーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目15)
パーフォリンの発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目16)
前記パーフォリンは、血液試料におけるものである、項目14または15に記載の方法。
(項目17)
前記パーフォリンの発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目14~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目14~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目19に記載の方法。
(項目23)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目22に記載の方法。
(項目24)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目23に記載の方法。
(項目25)
パーフォリンに加えて、FASリガンド、グランザイムB、CD137、TNFαまたはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目14~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための、免疫チェックポイント阻害剤を含むコンパニオン試薬であって、免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目27)
ニボルマブによるがん治療の効果を評価するための、ニボルマブを含むコンパニオン試薬であって、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目28)
ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベル約1.2倍以上である場合、前記被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目26に記載のコンパニオン試薬。
(項目29)
ペムブロリズマブによる癌に対する治療の効果を評価するための、ペムブロリズマブを含むコンパニオン試薬であって、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目30)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目28に記載のコンパニオン試薬。
(項目31)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目30に記載のコンパニオン試薬。
(項目32)
CD137の発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための診断剤。
(項目33)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目32に記載の診断剤。
(項目34)
前記癌が肺癌である、項目32または33に記載の診断剤。
(項目35)
前記CD137の発現レベルが、血液試料中のCD137のタンパク質のレベルである、項目31~34のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目36)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目31~34のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目37)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目32~36のいずれか一項に記載の診断剤。
(項目38)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性であることが示される、項目37に記載の診断剤。
(項目39)
CD137のタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目40)
CD137の発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目41)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてCD137の発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目42)
CD137の発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目43)
前記CD137は、血液試料におけるものである、項目41または42に記載の方法。
(項目44)
前記CD137の発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目41~43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目41~44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目45に記載の方法。
(項目47)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目46に記載の方法。
(項目48)
CD137に加えて、FASリガンド、グランザイムB、パーフォリン、TNFαまたはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目41~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目1A)
パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による被験体における癌に対する治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤。
(項目2A)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目1Aに記載の診断剤。
(項目3A)
前記癌が肺癌である、項目1Aまたは2Aに記載の診断剤。
(項目4A)
前記パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルである、項目1A~3Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目5A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目1A~4Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目6A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目1A~5Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目7A)
前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目5Aまたは6Aに記載の診断剤。
(項目8A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Aに記載の診断剤。
(項目9A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Aに記載の診断剤。
(項目10A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Aに記載の診断剤。
(項目11A)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目10Aに記載の診断剤。
(項目12A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Aに記載の診断剤。
(項目13A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目12Aに記載の診断剤。
(項目14A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目13Aに記載の診断剤。
(項目15A)
パーフォリンのタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目16A)
パーフォリンの発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目17A)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するために、該被験者から分離した生体検体についてパーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目18A)
パーフォリンの発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目19A)
前記パーフォリンは、血液試料におけるものである、項目17Aまたは18Aに記載の方法。
(項目20A)
前記パーフォリンの発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目17A~19Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目21A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目17A~20Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目22A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目21Aに記載の方法。
(項目23A)
前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目21Aまたは22Aに記載の方法。
(項目24A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目23Aに記載の方法。
(項目25A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目23Aに記載の方法。
(項目26A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目22Aに記載の方法。
(項目27A)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目22Aに記載の方法。
(項目28A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目22Aに記載の方法。
(項目29A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目28Aに記載の方法。
(項目30A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、項目29Aに記載の方法。
(項目31A)
パーフォリンに加えて、FASリガンド、グランザイムB、CD137、TNFα、CYFRA、CRP、LDH、KL-6またはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目17A~30Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目32A)
免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための、免疫チェックポイント阻害剤を含むコンパニオン試薬であって、免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目33A)
抗PD-1抗体による癌に対する治療の効果を評価するための、抗PD-1抗体を含むコンパニオン試薬であって、該抗PD-1抗体投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、コンパニオン試薬。
(項目34A)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目33Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目35A)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目33Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目36A)
ニボルマブによるがん治療の効果を評価するための、ニボルマブを含むコンパニオン試薬であって、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目37A)
ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベル約1.2倍以上である場合、前記被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目36Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目38A)
ペムブロリズマブによる癌に対する治療の効果を評価するための、ペムブロリズマブを含むコンパニオン試薬であって、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
(項目39A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目37Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目40A)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目39Aに記載のコンパニオン試薬。
(項目41A)
CD137の発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤。
(項目42A)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目41Aに記載の診断剤。
(項目43A)
前記癌が肺癌である、項目41Aまたは42Aに記載の診断剤。
(項目44A)
前記CD137の発現レベルが、血液試料中のCD137のタンパク質のレベルである、項目41A~43Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目45A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目41A~44Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目46A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目41A~45Aのいずれか一項に記載の診断剤。
(項目47A)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性であることが示される、項目46Aに記載の診断剤。
(項目48A)
CD137のタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。
(項目49A)
CD137の発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
(項目50A)
被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてCD137の発現レベルを検出、測定または定量する方法。
(項目51A)
CD137の発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
(項目52A)
前記CD137は、血液試料におけるものである、項目50Aまたは51Aに記載の方法。
(項目53A)
前記CD137の発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、項目50A~52Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目54A)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目50A~53Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目55A)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目54Aに記載の方法。
(項目56A)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、項目55Aに記載の方法。
(項目57A)
CD137に加えて、FASリガンド、グランザイムB、パーフォリン、TNFα、CYFRA、CRP、LDH、KL-6またはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、項目50A~56Aのいずれか一項に記載の方法。
(項目1B)
免疫チェックポイント阻害剤による被験体における癌に対する治療の効果を評価または予測するための方法であって、該方法は、パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する工程を含む、方法。
(項目2B)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目1Bに記載の方法。
(項目3B)
前記癌が肺癌である、項目1Bまたは2Bに記載の方法。
(項目4B)
前記パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルである、項目1B~3Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目5B)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目1B~4Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目6B)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目1B~5Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目7B)
前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目5Bまたは6Bに記載の方法。
(項目8B)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Bに記載の方法。
(項目9B)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、項目7Bに記載の方法。
(項目10B)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Bに記載の方法。
(項目11B)
前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目10Bに記載の方法。
(項目12B)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目6Bに記載の方法。
(項目13B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目12Bに記載の方法。
(項目14B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目13Bに記載の方法。
(項目15B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
免疫チェックポイント阻害剤を該被験体に投与する工程と、
該免疫チェックポイント阻害剤投与後の該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを、該免疫チェックポイント阻害剤投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルと比較する工程と、
免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、該免疫チェックポイント阻害剤の投与を継続する工程と
を含む、方法。
(項目16B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを測定する工程と、 免疫チェックポイント阻害剤を該被験体に投与する工程と、
該抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、該PD-1抗体を該被験体に投与する工程と
を含む、方法。
(項目17B)
前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目16Bに記載の方法。
(項目18B)
前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目16Bに記載の方法。
(項目19B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
ニボルマブを該被験体に投与する工程と、
該ニボルマブ投与後2日目の該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを、該ニボルマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルと比較する工程と、
ニボルマブ投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、および/または、ニボルマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、所定のレベルよりも高い場合、該ニボルマブの投与を継続する工程と
を含む、方法。
(項目20B)
ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベル約1.2倍以上である場合、前記被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目19Bに記載の方法。
(項目21B)
癌を有する被験体における癌を治療する方法であって、該方法は、
ペムブロリズマブを該被験体に投与する工程と、
該ペムブロリズマブ投与後2日目の該被験体における血清中パーフォリンタンパク質のレベルを、該ペムブロリズマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルと比較する工程と、
ペムブロリズマブ投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前または投与開始時の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、該ペムブロリズマブの投与を継続する工程と
を含む、方法。
(項目22B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目21Bに記載の方法。
(項目23B)
ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、項目22Bに記載の方法。
(項目24B)
免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するための方法であって、該方法は、CD137の発現レベルを検出、測定または定量する工程を含む、方法。
(項目25B)
前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、項目24Bに記載の方法。
(項目26B)
前記癌が肺癌である、項目24Bまたは25Bに記載の方法。
(項目27B)
前記CD137の発現レベルが、血液試料中のCD137のタンパク質のレベルである、項目24B~26Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目28B)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、項目24B~27Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目29B)
前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、項目24B~29Bのいずれか一項に記載の方法。
(項目30B)
抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性であることが示される、項目29Bに記載の方法。
本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明のバイオマーカーを使用して、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価することが可能である。
本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
本明細書において「約」とは、本明細書で使用される場合、後に続く数値の±10%を意味する。
本明細書において「約」とは、本明細書で使用される場合、後に続く数値の±10%を意味する。
本明細書において、「がん免疫療法」とは、生物の有する免疫機能を用いてがんを治療する方法をいう。がん免疫療法には、大きく分けて、がんに対する免疫機能を強化することによるがん免疫療法と、がんの免疫回避機能を阻害することによるがん免疫療法が存在する。さらに、がん免疫療法には、体内での免疫機能を賦活化する能動免疫療法と、体外で免疫機能を賦活化させた、または増殖させた免疫細胞を体内に戻すことによる受動免疫療法とがある。がん免疫療法は、免疫チェックポイントを調整することによっても達成し得る。発明に記載される方法によって、このようながん免疫療法の治療効果に対する応答性を予測あるいは判定することができることを見出した。
本明細書において「免疫チェックポイント」とは、本明細書で使用される場合、免疫担当細胞(T細胞を含む)上に発現し、リガンドと結合することによって、当該免疫担当細胞に対し免疫応答を阻害するシグナルを伝達する分子をいう。免疫チェックポイントおよびそのリガンドには、例えば、PD-1、CTLA-4、TIM3、LAG3、PD-L1、PD-L2、BTNL2、B7-H3、B7-H4、CD48、CD80、2B4、BTLA、CD160、CD60、CD86またはVISTA等の分子が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、本発明における「免疫チェックポイント阻害剤」とは、免疫チェックポイントとそのリガンドとの結合を阻害することにより、当該免疫チェックポイントによるシグナル伝達を阻害する薬剤をいう。
免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫チェックポイント(阻害)療法は、近年大きな注目を集めている(Pardoll DM. The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer. 2012 Mar 22;12(4):252-64.)。がん細胞は、様々なタンパク質を表面に発現させるが、これが、T細胞などの免疫細胞による攻撃からの回避につながっているため、通常の状態では、生体の免疫機能のみではがん組織を排除できなくなっていると考えられている。免疫チェックポイント阻害剤は、そのようながん組織から免疫機能への抑制的シグナルの伝達を司る、リガンド-受容体相互作用等を阻害することによって、生体の免疫機能による効率的ながんの排除を可能にするものである。
免疫チェックポイント阻害剤の代表的な例は、PD-1阻害剤である。PD-1阻害剤としては、抗PD-1抗体であるニボルマブ(Nivolumab;オブジーボTMとして販売されている)およびペムブロリズマブ(Pembrolizumab;キイトルーダTMとして販売されている)が挙げられるがこれらに限定されない。1つの好ましい実施形態では、ニボルマブが対象として選択され得る。別の実施形態では、ペムブロリズマブが対象として選択され得る。もちろん、他のPD-1阻害剤についても同程度に本発明を利用することができると考えられる。
免疫チェックポイント阻害剤の他の例としては、PD-L1阻害剤(例えば、抗PD-L1抗体であるアベルマブ、デュルバルマブまたはアテゾリズマブ)が挙げられる。
免疫チェックポイント阻害剤の他の例としては、CTLA-4阻害剤(例えば、抗CTLA-4抗体であるイピリムマブまたはトレメリルマブ)が挙げられる。
さらなる実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、TIM-3(T-cell immunoglobulin and mucin containing protein-3)、LAG-3(lymphocyte activation gene-3)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、またはTIGIT(T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domain)などの免疫チェックポイントタンパク質を標的としてもよい。
上記のような免疫チェックポイントは、自己組織への免疫応答を抑制していると考えられるが、ウイルスなどの抗原が生体内に長期間存在する場合にもT細胞に免疫チェックポイントが増加する。腫瘍組織についても、生体内に長期間存在する抗原となっているため、これらの免疫チェックポイントによって抗腫瘍免疫を回避していると考えられ、上記のような免疫チェックポイント阻害剤は、このような回避機能を無効化し、抗腫瘍効果を奏する。
本発明において対象となるがんとしては、肺がん、非小細胞肺がん、腎(腎細胞)がん、前立腺がん、胃がん、精巣がん、肝(臓)がん、皮膚がん、メルケル細胞がん、食道がん、黒色腫、すい臓がん、膵がん、骨腫瘍・骨肉腫、大腸がん、軟部腫瘍、胆道がん、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(古典的ホジキンリンパ腫などのホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、膀胱がん、喉頭がん、子宮がん(体部・頸部)、頭頸部がん、卵巣がん、乳がん、高頻度マイクロサテライト不安定性を有する固形がん(MSI-High固形がん)、悪性胸膜中皮腫、舌がんなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の1つの実施形態では、肺がんを有する被験体のTCR多様性を、被験体のがん免疫療法に対する応答性の指標として用いる方法が提供される。特定の実施形態において、本発明において対象となるがんは、肺悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞がん、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形がん、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択され得る。
本明細書において「パーフォリン」とは、キラーT細胞やナチュラル・キラー細胞が行う標的細胞の破壊を実質的に担っている分子量6万5000~7万の糖蛋白である。これまで、キラー細胞類から分泌され、標的細胞の膜に埋まり込み、そこで孔を形成し、その細胞を破壊することが知られている。ヒトではc9-related protein(C9RP)とも呼ばれる。奥村等はマウス、ヒトでのクローン化に成功し、ラットでの報告と合わせて3種間でのアミノ酸配列の保存性の高さが確認されている。パーフォリン遺伝子は、マウスの第10染色体(Trapaniら、1990、J Exp Med、171:545-557)およびヒトの第17染色体(Shinkaiら、1989、Immunogenetics、30:452-457)に位置づけられている。エキソン1は非翻訳配列をコードし、全タンパク質が、エキソン2の一部およびエキソン3の全部(これは3’非翻訳領域も含む)によりコードされることが判明した。マウス(Kwonら、1989、Biochem Biophys Res Commun、158:1-10;Lowreyら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:247-251)、ヒト(LichtenheldおよびPodack、1989、J.Immunol.、143:4267-4274)およびラット(Ishikawaら、1989、J.Immunol.、143:3069-3073)。
パーフォリンは、ヒトmRNAのRefSeqは、NM_005041またはNM_001083116であり、タンパク質のRefSeqは、NP_001076585またはNP_005032であり、UniProtは、P14222である。
本明細書において「バイオマーカー」は、本明細書で使用される場合、試料中で検出することができる指標、例えば、予測的、診断的及び/又は予後診断的指標を指す。バイオマーカーは、ある特定の分子的、病理的、組織学的及び/又は臨床的特性によって特徴付けられる特定のサブタイプの疾患又は障害(例えば、癌)の指標の役割をすることができる。一部の実施態様では、バイオマーカーは遺伝子である。バイオマーカーには、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/又はRNA)、ポリヌクレオチドコピー数の変化(例えば、DNAコピー数)、タンパク質、ポリペプチド、ポリペプチド及びポリヌクレオチドの修飾(例えば翻訳後修飾)、炭水化物、及び/又は糖脂質をベースとした分子マーカーが含まれる。
本明細書において「発現レベル」とは、本明細書において使用される場合、生物学的試料中のバイオマーカーの量を指す。本明細書で使用される場合、「発現」とは、遺伝子からタンパク質が合成されること及びRNAが合成されることの両方を意味する。特定の実施形態では、「発現」は、遺伝子からタンパク質が合成されることを意味する。
(好ましい実施形態)
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。これらの実施形態について、当業者は適宜、任意の実施形態を組み合わせ得る。
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。これらの実施形態について、当業者は適宜、任意の実施形態を組み合わせ得る。
本発明者らは、発現レベル(血清試料中のパーフォリンのタンパク質のレベル)に基づき、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価することが可能であることを初めて見出した。驚くべきことに、本発明者は、さらに、抗PD-1抗体の種類によって、パーフォリンの発現レベルの経時的な挙動が異なることを見出した。例えば、ニボルマブが投与された患者において、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される。ニボルマブが投与された患者は、予想外にも、投与開始8日以降は、投与前よりもパーフォリンの発現レベルが低下する傾向があり、2日目にパーフォリンの発現レベルを測定することが重要であることが明らかになった。一方、ペムブロリズマブが投与された患者は、ニボルマブが投与された患者とは対照的に、投与後パーフォリンの発現レベルは、投与前と比べて同等または高い発現レベルを維持しており、投与開始22日目でも、投与前のパーフォリンの発現レベルよりも高かった。ニボルマブおよびペムブロリズマブは同じ抗PD-1抗体であるにもかかわらず、パーフォリンの発現レベルの挙動が異なっていることは予想外であった。
さらに、より詳細に解析を行ったところ、驚くべきことに、免疫チェックポイント阻害剤の投与前のパーフォリンレベルが一定レベルを超えていた場合、免疫チェックポイント阻害剤の投与に対して応答性または安定状態である可能性があることが明らかになった。
(診断剤)
1つの態様において、本発明は、パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤を提供する。1つの実施形態において、パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルであり得る。
1つの態様において、本発明は、パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤を提供する。1つの実施形態において、パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルであり得る。
がん免疫療法に対する応答は、RECIST v1.1(New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline (version 1.1))に基づいて決定することができる。
がん治療の効果は、腫瘍のサイズの変化などから、完全奏効(Complete Response:CR)、部分奏効(Partial Response:PR)、進行(Progressive Disease:PD)または安定(Stable Disease:SD)として判定することができる。
本明細書において、「奏効患者」(Responder)とは、がん治療に対して、完全奏効または部分奏効を示す被験体をいう。本明細書において、「非奏効患者」(Non-Responder)とは、がん治療に対して、進行または安定を示す被験体をいう。
被験体のがん治療に対する応答性は、被験体が「奏効患者」であることを含む。したがって、被験体のがん治療に対する応答性の判断は、被験体が奏効患者であるか非奏効患者であるかを判断することを含む。
(キット)
別の態様において、本発明は、パーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するためのキットを提供する。いくつかの実施形態において、パーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段は、パーフォリンのタンパク質に結合する手段と、該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段とを含んでもよい。特定の実施形態では、パーフォリンのタンパク質に結合する手段として、パーフォリンに結合することができる任意の化合物、タンパク質、ペプチド、核酸が挙げられる。特定の実施形態では、パーフォリンのタンパク質に結合する手段は、抗パーフォリン抗体である。抗パーフォリン抗体は、標識されていてもされていなくてもよい。標識されていない場合は、抗パーフォリン抗体の結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段として、抗パーフォリン抗体を特異的に認識する酵素標識された抗体(二次抗体)を使用し得る。標識の有無またはレベルが、パーフォリンの有無またはレベルを示す。そのような手段としては、当該分野で公知の手段、例えば、ELISAなどが挙げられるが、これに限定されない。
別の態様において、本発明は、パーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するためのキットを提供する。いくつかの実施形態において、パーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段は、パーフォリンのタンパク質に結合する手段と、該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段とを含んでもよい。特定の実施形態では、パーフォリンのタンパク質に結合する手段として、パーフォリンに結合することができる任意の化合物、タンパク質、ペプチド、核酸が挙げられる。特定の実施形態では、パーフォリンのタンパク質に結合する手段は、抗パーフォリン抗体である。抗パーフォリン抗体は、標識されていてもされていなくてもよい。標識されていない場合は、抗パーフォリン抗体の結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段として、抗パーフォリン抗体を特異的に認識する酵素標識された抗体(二次抗体)を使用し得る。標識の有無またはレベルが、パーフォリンの有無またはレベルを示す。そのような手段としては、当該分野で公知の手段、例えば、ELISAなどが挙げられるが、これに限定されない。
(バイオマーカー)
別の態様において、本発明は、パーフォリンの発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するためのバイオマーカーを提供する。さらなるバイオマーカーとしては、グランザイムB、FASリガンド、TNFα、CD137、CYFRA、CRP、LDH、KL-6を使用することができる。これらのバイオマーカーは単独で使用されてもよい。
別の態様において、本発明は、パーフォリンの発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するためのバイオマーカーを提供する。さらなるバイオマーカーとしては、グランザイムB、FASリガンド、TNFα、CD137、CYFRA、CRP、LDH、KL-6を使用することができる。これらのバイオマーカーは単独で使用されてもよい。
(方法)
別の実施形態において、本発明は、被験者における免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてパーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、パーフォリンの発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、被験者における免疫チェックポイント阻害剤によるがん治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてパーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する方法を提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、パーフォリンの発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法を提供する。
(コンパニオン試薬)
別の態様において、本発明は、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための、免疫チェックポイント阻害剤を含むコンパニオン試薬を提供する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示され得る。
別の態様において、本発明は、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための、免疫チェックポイント阻害剤を含むコンパニオン試薬を提供する。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示され得る。
免疫チェックポイント阻害剤としてニボルマブがコンパニオン試薬に含まれる実施形態において、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示され得る。特定の実施形態では、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。
免疫チェックポイント阻害剤としてペムブロリズマブがコンパニオン試薬に含まれる実施形態において、ペムブロリズマブを含むコンパニオン試薬であって、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。特定の実施形態では、ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。さらなる実施形態において、ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。
また、血清中パーフォリンタンパク質のレベルを測定し、被験体が非奏効患者であると判断することができ、免疫チェックポイント阻害剤を投与しない、または投与を中断もしくは中止するという判断も行うことができる。
本発明の組成物は、好ましくは医薬組成物であり、その有効成分として含まれる免疫チェックポイント阻害剤としては、例えば、PD-1阻害剤が挙げられる。PD-1阻害剤としては、抗PD-1抗体である、ニボルマブまたはペムブロリズマブが挙げられる。
組成物は、エアゾール、液剤、エキス剤、エリキシル剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、軟膏、散剤、錠剤、溶液、懸濁液、エマルジョン等の任意の剤形に製剤化することができる。組成物は、当技術分野で公知の任意の薬学的に許容される添加物および/または賦形剤を含んでよい。
本発明の組成物は、当業者によって決定される任意の適切な経路によって投与することができ、限定されるものではないが、静脈注射、点滴、経口、非経口、経皮などを挙げることができる。
本発明(診断剤、キット、方法、コンパニオン試薬等)のいくつかの実施形態において、使用され得る試料は、痰、血液、羊水、血漿、血清、精液、唾液、骨髄、尿、腹水、および胸水等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、血清試料が使用され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、測定されるパーフォリンの発現レベルは、前記試料中のタンパク質の発現レベルである。特定の実施形態において、測定されるパーフォリンの発現レベルは、血清試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルであり得る。
本発明のいくつかの実施形態において、使用され得る免疫チェックポイント阻害剤は、小分子化合物、抗体、タンパク質、ペプチド、核酸等挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1抗体であり、好ましくは、ニボルマブまたはペムブロリズマブである。免疫チェックポイント阻害剤の投与回数および投与量は、当業者であれば、毒性、有効性等を考慮して適切に設定することができる。免疫チェックポイント阻害剤の製造者の指示に従ってもよい。典型的には、オプジーボ(登録商標)(ニボルマブ)が投与される場合、2週間毎、3mg/kgの製剤を静脈投
与され、キイトルーダ(登録商標)(ペムブロリズマブ)が投与される場合、3週間毎、200mgの製剤を静脈投与され得る。
与され、キイトルーダ(登録商標)(ペムブロリズマブ)が投与される場合、3週間毎、200mgの製剤を静脈投与され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示され得る。上記発現レベルを満たしている限り、発現レベルの上限は特に限定されるものではないが、発現レベルの上限は典型的には約15000pgである。
本発明のいくつかの実施形態において、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pg、約5100pg~約5900pg、約5200pg~約5800pg、約5300pg~約5700pg、または約5400pg~約5600pgの範囲内の任意の値以上である場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示され得る。本発明の特定の実施形態において、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5500pg以上、より好ましくは約5450pg以上である場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pg、約6100pg~約6900pg、約6200pg~約6950pg、約6300pg~約6900pg、約6400pg~約6850pg、約6500pg~約6800pg、約6550pg~約6750pgの範囲内の任意の値以上である場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示され得る。本発明の特定の実施形態において、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6500pg以上、より好ましくは、約6600pgである場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、ニボルマブが投与された患者において、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg、約7000pg、約8000pg、約9000pg、約10000pg、約11000pg、または約12000pg以上である場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。さらなる実施形態において、投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルよりも少なくとも約1.05倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.15倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.25倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、または少なくとも約1.5倍高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。特定の実施形態では、ニボルマブが投与された患者において、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルよりも少なくとも約1.2倍高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。好ましい実施形態において、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であり得る。
本発明のいくつかの実施形態において、ペムブロリズマブが投与された患者において、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降の任意の時点のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。いくつかの実施形態では、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降3サイクル目前の任意の時点(投与サイクルが3週間の場合、投与開始1日目~22日目)パーフォリンの発現レベルと、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルとが比較され得る。いくつかの実施形態において、ペムブロリズマブが投与された患者において、ペムブロリズマブの投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示され得る。
測定する対象としては、パーフォリンの他に、グランザイムB、FASリガンド、TNFα、CD137、CYFRA、CRP、LDH、KL-6が挙げられる。
(CD137)
本発明において、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果の指標として、パーフォリンに代えてCD137を使用することができる。CD137のRefSeqは、代表的に、NM_001561(mRNA),NP_001552(タンパク質)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約100pg、約110pg、約120pg、約130pg、約140pg、約150pg以上である場合、被験体は、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)による処置に対して応答性であることが示され得る。CD137は、上記任意の実施形態において、パーフォリンに代えて使用され得ることが理解され得る。
本発明において、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果の指標として、パーフォリンに代えてCD137を使用することができる。CD137のRefSeqは、代表的に、NM_001561(mRNA),NP_001552(タンパク質)である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約100pg、約110pg、約120pg、約130pg、約140pg、約150pg以上である場合、被験体は、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)による処置に対して応答性であることが示され得る。CD137は、上記任意の実施形態において、パーフォリンに代えて使用され得ることが理解され得る。
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値」の「範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。したがって、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に実施例を記載する。必要な場合、以下の実施例において、全ての実験は、和泉市立病院倫理委員会で承認されたガイドラインに従って実施した。また、文部科学省・厚生労働省・経済産業省作成の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年12月22日26文科振第475号厚生労働省発科1222第1号医政発1222 第1号)の指針にのっとって行った。また、ヒト遺伝子解析研究の倫理指針に準拠した。実験は、徳洲会グループ共同治験審査委員会における審査後、承認のもとに実施した。試薬類は具体的には実施例中に記載した製品(Perforin ELISA development kit, コスモバイオ社, MABTECH)を使用したが、他メーカー(Abcam、フナコシ)の同等品でも代用可能である。
(実施例1:ニボルマブ投与によるパーフォリン発現の変化)
本実施例では、ニボルマブが投与された非小細胞肺癌を有する患者における血清中のパーフォリンレベルを測定し評価した。
本実施例では、ニボルマブが投与された非小細胞肺癌を有する患者における血清中のパーフォリンレベルを測定し評価した。
(選択基準)
本試験では、以下の基準をすべて満たす患者を対象とした。
本試験では、以下の基準をすべて満たす患者を対象とした。
1)非小細胞肺癌であることが組織診又は細胞診により確認された患者
2)Stage IIIB/IV期又は再発の非小細胞肺癌と診断された患者
3)ニボルマブ投与予定の患者
4)同意取得時の年齢が20歳以上の患者(性別は問わない)
5)本研究の参加にあたり十分な説明を受けた後、患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者
(除外基準)
以下のいずれかに抵触する患者は本研究に組み入れないこととした。
2)Stage IIIB/IV期又は再発の非小細胞肺癌と診断された患者
3)ニボルマブ投与予定の患者
4)同意取得時の年齢が20歳以上の患者(性別は問わない)
5)本研究の参加にあたり十分な説明を受けた後、患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者
(除外基準)
以下のいずれかに抵触する患者は本研究に組み入れないこととした。
1)オプジーボ(登録商標)製剤の成分に対し過敏症の既往歴を有する患者
2)他の免疫チェックポイント阻害剤を投与中の患者
3)研究責任者が研究対象者として不適当と判断した患者
2)他の免疫チェックポイント阻害剤を投与中の患者
3)研究責任者が研究対象者として不適当と判断した患者
(試験方法)
1)ニボルマブ治療
ニボルマブの投与及び副作用の管理については、通常診療として実施した。すなわち、ニボルマブ(遺伝子組み換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間隔で点滴静注した。ニボルマブの投与は、原疾患の進行(Progressive disease:PD)(もしくは治療中止基準に抵触する)まで継続した。
1)ニボルマブ治療
ニボルマブの投与及び副作用の管理については、通常診療として実施した。すなわち、ニボルマブ(遺伝子組み換え)として、1回3mg/kg(体重)を2週間隔で点滴静注した。ニボルマブの投与は、原疾患の進行(Progressive disease:PD)(もしくは治療中止基準に抵触する)まで継続した。
2)血清の採取
初回ニボルマブの投与前(投与1日前から投与直前の間)、投与翌日(Day2)、8日後(Day8)、および15日後(Day15)に血液3mlをベノジェクトII(真空採血管)に採取した。転倒混和した容器を常温で5~10分間静置し、3,500rpm、5分間の遠心分離を行った。1.5mlの上清(血清)を300μLずつ3本のエッペンドルフチューブ(1.5ml程度のもの)に分注し、冷凍保存(-80度以下)した。
初回ニボルマブの投与前(投与1日前から投与直前の間)、投与翌日(Day2)、8日後(Day8)、および15日後(Day15)に血液3mlをベノジェクトII(真空採血管)に採取した。転倒混和した容器を常温で5~10分間静置し、3,500rpm、5分間の遠心分離を行った。1.5mlの上清(血清)を300μLずつ3本のエッペンドルフチューブ(1.5ml程度のもの)に分注し、冷凍保存(-80度以下)した。
3)細胞傷害性T細胞活性化酵素測定
市販されている測定キット(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用い、グランザイムBおよびCD137については2倍希釈、パーフォリンについては4~20倍希釈した血清の細胞傷害性T細胞の活性化酵素を測定した。細胞傷害性T細胞の活性化酵素量と、ニボルマブの肺癌に対する最良総合効果(RECISTガイドライン1.1版に基づく判定)を比較した。
市販されている測定キット(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用い、グランザイムBおよびCD137については2倍希釈、パーフォリンについては4~20倍希釈した血清の細胞傷害性T細胞の活性化酵素を測定した。細胞傷害性T細胞の活性化酵素量と、ニボルマブの肺癌に対する最良総合効果(RECISTガイドライン1.1版に基づく判定)を比較した。
(結果)
図1および図2は、それぞれPRおよびPDと診断されたニボルマブ処置患者の治療前後の代表的なCT画像を示す。以下の表1は、ニボルマブ処置患者の血清中のパーフォリン実測値を示す。
図1および図2は、それぞれPRおよびPDと診断されたニボルマブ処置患者の治療前後の代表的なCT画像を示す。以下の表1は、ニボルマブ処置患者の血清中のパーフォリン実測値を示す。
単位は、pg/mlである。patient 9、15、28および29は3ヶ月以内に死亡し症例である。patient 13および15は、それぞれ皮疹および肝炎に起因してパーフォリン濃度の急な上昇が生じたと推測される。day1は、投与1日前から投与直前の間を意味する。
図5は、ニボルマブ投与前のパーフォリン血清中濃度の分布を示す。PR患者は、ニボルマブ投与前のパーフォリンの血清中濃度が比較的高い傾向が見られた。ほとんどがPD患者では、投与前のパーフォリンの血清中濃度が9000pg/ml以下であったのに対し、PR患者では、5例中3例が、9000pg/ml以上であった。図6および図7は、ニボルマブ投与中のパーフォリンの血清中濃度の推移を示す。図8は、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリン濃度の投与前に対する比の分布を示す。PRの2例は、2日目にパーフォリンの上昇(投与前と比べて約1.2倍以上)が確認され、その後低下傾向が見られた。patient 18は、投与前のパーフォリンの血清中濃度が9000pg/ml以下であったが、2日目のパーフォリン血清中濃度が投与前よりも約1.3倍となっていた。SDおよびPD患者においては、2日目のパーフォリン血清中濃度が、投与前より1.2倍となったのは、19症例中わずか4例であり、そのうち1例は皮疹による急上昇と推測される。
以上より、ニボルマブが投与された患者のうちPRと判断された患者は、patient 16を除き、以下の基準に該当した。
(1)投与前のパーフォリン血清中濃度が、約9000pg/ml以上である。
(2)投与開始2日目のパーフォリン濃度の投与前に対する比が約1.2以上である。
(1)投与前のパーフォリン血清中濃度が、約9000pg/ml以上である。
(2)投与開始2日目のパーフォリン濃度の投与前に対する比が約1.2以上である。
patient 16は、初めはSDと診断され、のちにPRに変更となった症例である。
(実施例2:ペムブロリズマブ投与によるパーフォリン発現の変化)
(選択基準)
本試験では、以下の基準をすべて満たす患者を対象とした。
(選択基準)
本試験では、以下の基準をすべて満たす患者を対象とした。
1)非小細胞肺癌であることが組織診又は細胞診により確認された患者
2)Stage IIIB/IV期又は再発の非小細胞肺癌と診断された患者
3)非小細胞肺癌の組織で、PD-L1の発現が陽性と診断された方
4)ペムブロリズマブ投与予定の患者
5)同意取得時の年齢が20歳以上の患者(性別は問わない)
6)本研究の参加にあたり十分な説明を受けた後、患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者
2)Stage IIIB/IV期又は再発の非小細胞肺癌と診断された患者
3)非小細胞肺癌の組織で、PD-L1の発現が陽性と診断された方
4)ペムブロリズマブ投与予定の患者
5)同意取得時の年齢が20歳以上の患者(性別は問わない)
6)本研究の参加にあたり十分な説明を受けた後、患者本人の自由意思による文書同意が得られた患者
(除外基準)
以下のいずれかに抵触する患者は本研究に組み入れないこととした。
以下のいずれかに抵触する患者は本研究に組み入れないこととした。
1)キイトルーダ(登録商標)製剤の成分に対し過敏症の既往歴を有する患者
2)他の免疫チェックポイント阻害剤を投薬中の患者
3)研究責任者が研究対象者として不適当と判断した患者
(試験方法)
1)ペムブロリズマブ治療
ペムブロリズマブの投与及び副作用の管理については、通常診療として実施した。すなわち、ペムブロリズマブ(遺伝子組み換え)として、1回200mgを3週間隔で点滴静注した。ペムブロリズマブの投与は、原疾患の進行(Progressive disease:PD)(もしくは治療中止基準に抵触する)まで継続した。
2)他の免疫チェックポイント阻害剤を投薬中の患者
3)研究責任者が研究対象者として不適当と判断した患者
(試験方法)
1)ペムブロリズマブ治療
ペムブロリズマブの投与及び副作用の管理については、通常診療として実施した。すなわち、ペムブロリズマブ(遺伝子組み換え)として、1回200mgを3週間隔で点滴静注した。ペムブロリズマブの投与は、原疾患の進行(Progressive disease:PD)(もしくは治療中止基準に抵触する)まで継続した。
2)血清の採取
初回ペムブロリズマブの投与前(投与1日前から投与直前の間)、投与翌日(Day2)、8日後(Day8)、15日後(Day15)、22日後(Day22)に血液3mLをベノジェクトII(真空採血管)に採取した。転倒混和した容器を常温で5~10分間静置し、3,500rpm、5分間の遠心分離を行った。1.5mLの上清(血清)を330μLずつ3本のエッペンドルフチューブ(1.5mL程度のもの)に分注し、冷凍保存(-80度以下)した。
初回ペムブロリズマブの投与前(投与1日前から投与直前の間)、投与翌日(Day2)、8日後(Day8)、15日後(Day15)、22日後(Day22)に血液3mLをベノジェクトII(真空採血管)に採取した。転倒混和した容器を常温で5~10分間静置し、3,500rpm、5分間の遠心分離を行った。1.5mLの上清(血清)を330μLずつ3本のエッペンドルフチューブ(1.5mL程度のもの)に分注し、冷凍保存(-80度以下)した。
3)細胞傷害性T細胞活性化酵素測定
市販されている測定キット(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用い、グランザイムBおよびCD137については2倍希釈、パーフォリンについては4~20倍希釈した血清の細胞傷害性T細胞の活性化酵素を測定した。細胞傷害性T細胞の活性化酵素量と、ペムブロリズマブの肺癌に対する最良総合効果(RECISTガイドライン1.1版に基づく判定)を比較した。
市販されている測定キット(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用い、グランザイムBおよびCD137については2倍希釈、パーフォリンについては4~20倍希釈した血清の細胞傷害性T細胞の活性化酵素を測定した。細胞傷害性T細胞の活性化酵素量と、ペムブロリズマブの肺癌に対する最良総合効果(RECISTガイドライン1.1版に基づく判定)を比較した。
(結果)
図3および図4は、それぞれPRおよびPDと診断されたペムブロリズマブ処置患者の治療前後の代表的なCT画像を示す。以下の表2は、ペムブロリズマブ処置患者の血清中のパーフォリン実測値を示す。
図3および図4は、それぞれPRおよびPDと診断されたペムブロリズマブ処置患者の治療前後の代表的なCT画像を示す。以下の表2は、ペムブロリズマブ処置患者の血清中のパーフォリン実測値を示す。
単位は、pg/mlである。patient 2、10および11は3ヶ月以内に死亡し症例である。patient 17は、シュードプログレッションが認められた。day1は、投与1日前から投与直前の間を意味する。
図9は、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリン血清中濃度の分布を示す。投与前のパーフォリン血清中濃度は、PR、SD、PDの間で大きな差はみられなかった。図10および図11は、ペムブロリズマブ投与中のパーフォリンの血清中濃度の推移を示す。PR処置患者では、投与中、パーフォリンの血清中濃度の増加傾向が認められる。特に、図12に示されるように、ペムブロリズマブの2サイクル目開始直後(投与開始22日目)のパーフォリンの血清中濃度の投与前に対する比の分布に示されるように、PR処置患者において、シュードプログレッションが認められた患者(patient 17)を除き、投与開始22日目のパーフォリンの血清中濃度の投与前に対する比が約1.2以上となっていた。他方、SDおよびPD処置患者では、投与開始22日目のパーフォリンの血清中濃度の投与前に対する比が約1.2以上となった症例は認められなかった。
以上より、ペムブロリズマブが投与された患者のうちPRと判断された患者は、シュードプログレッションが認められた患者(patient 17)を除き、投与開始22日目のパーフォリンの血清中濃度の投与前に対する比が約1.2以上という基準に該当した。
(実施例3:CD137の測定)
実施例1および2において採取した血液試料を用いて、CD137の血清中濃度を測定した。測定は、フィルジェン株式会社に依頼し、Magnetic Luminex(登録商標) Assay Human Premixed Multi-Analyte Kit(R&D Systems, Inc., cat.# LXSAHM-10)またはRayBio(R)Human TNFRSF9 ELISA kit (RayBiotech, #ELH-TNFRSF9)を使用して測定された。
実施例1および2において採取した血液試料を用いて、CD137の血清中濃度を測定した。測定は、フィルジェン株式会社に依頼し、Magnetic Luminex(登録商標) Assay Human Premixed Multi-Analyte Kit(R&D Systems, Inc., cat.# LXSAHM-10)またはRayBio(R)Human TNFRSF9 ELISA kit (RayBiotech, #ELH-TNFRSF9)を使用して測定された。
結果を図13および図14に示す。図13は、ニボルマブ処置患者(PR、SDおよびPD)のCD137の血清中濃度の推移を示し、図14は、ペムブロリズマブ処置患者(PRおよびPD)のCD137の血清中濃度の推移を示す。PR患者における投与前のCD137の血清中濃度は、PD患者よりも高い傾向が認められる。すべてのPR患者における投与前のCD137の血清中濃度は、110pg/ml以上であったのに対し、すべてのPD患者における投与前のCD137の血清中濃度は、110pg/ml以下であった。
(実施例4:統計解析)
本実施例では、実施例1および2において試験した血液試料に、ニボルマブ投与患者11名およびペムブロリズマブ9名の血液試料をさらに加えて、合計ニボルマブ投与患者40名およびペムブロリズマブ27名の血液試料を測定した。
(実施例4:統計解析)
本実施例では、実施例1および2において試験した血液試料に、ニボルマブ投与患者11名およびペムブロリズマブ9名の血液試料をさらに加えて、合計ニボルマブ投与患者40名およびペムブロリズマブ27名の血液試料を測定した。
血液試料の測定は、パーフォリンおよびCD137についてはELISA、その他についてはFilgen社に委託しMagnetic Luminex(登録商標) Assay Human Premixed Multi-Analyte Kitにより行った。さらに、測定結果について詳細に統計解析を行った。統計解析は株式会社ダイナコムに委託して行った。以下の変数について解析を行った。
(ペムブロリズマブの変数)
"patient":症例番号
"age":年齢
"sex":性別(0=男性、1=女性)
"histotype":組織型(0=腺癌、1=扁平上皮癌、2=それ以外)
"smoking":喫煙歴(0=無、1=有)
"previous.treatment":前治療歴(0=無、1=有)
"PD.L1.expression":PD-L1発現(0=50%未満、1=50%以上)
"EGFR.mutation":EGFR変異(0=無、1=有)
"ALK.fusion":ALK融合遺伝子(0=無、1=有)
"treatment..times.":治療回数(2018年7月31日までに何度治療したか)
"adverse.effects1":副作用(0=無、1=グレード1および2、2=グレード3および4)
"adverse.effects2":副作用(0=無、1=有)
"pseudo.progression":シュードプログレッション(0=無、1=有)
"best.response..BR.":最大効果(0=PR、1=SD、2=PD)
"BR.days":最大効果判定日
"event.PFS":無増悪生存期間
"PFS.days":PFS判定日
"event.OS":全生存期間
"OS.days":OS判定日
"p":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.2未満、1=1.2以上;症例11,23、day22検体なし)
"p.2":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.2未満、1=1.2以上;NA=検体無し、または、3ヶ月未満で死亡、PDのため1回投与のみ)
"p.3":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.3未満、1=1.3以上;症例11,23、day22検体なし)
"p.4":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.3未満、1=1.3以上;NA=検体無し、または、3ヶ月未満で死亡、PDのため1回投与のみ)
"ILD":間質性肺炎(0=無、1=有)
"CEA1":CEA値(投与前)
"CEA2":CEA値(投与後3か月)
"SCC1":SCC値(投与前)
"SCC2":SCC値(投与後3か月)
"CYFRA1":CYFRA値(投与前)
"CYFRA2":CYFRA値(投与後3か月)
"temp.1":体温(投与前)
"temp.2":体温(投与後1日以内)
"CRP.1":CRP値(投与前)
"CRP.2":CRP値(投与後3週間)
"LDH.1":LDH値(投与前)
"LDH.2":LDH値(投与後3週間)
"KL.6.1":KL-6値(投与前)
"KL.6.2":KL-6値(投与後3週間)
"p.day1":perforin値(day1)
"p.day2":perforin値(day2)
"p.day8":perforin値(day8)
"p.day15":perforin値(day15)
"p.day22":perforin値(day22)
"cd.day1":CD137値(day1)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day2":CD137値(day2)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day8":CD137値(day8)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day15":CD137値(day15)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day22":CD137値(day22)ELISAで測定した検体のみ
"cd.l.day1":CD137値(day1)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day2":CD137値(day2)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day8":CD137値(day8)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day15":CD137値(day15)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day22":CD137値(day22)Luminex assayで測定した検体を含める
"BR":最大効果(0=PR、1=SD+PD)
"p.day2.1":perforin day2/day1比 (p.day2/p.day1)
"p.day8.1":perforin day8/day1比 (p.day8/p.day1)
"p.day15.1":perforin day15/day1比 (p.day15/p.day1)
"p.day22.1":perforin day22/day1比 (p.day22/p.day1)
"cd.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.day2/cd.day1)
"cd.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.day8/cd.day1)
"cd.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.day15/cd.day1)
"cd.day22.1":CD137 day22/day1比(cd.day22/cd.day1)
"cd.l.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.l.day2/cd.l.day1)
"cd.l.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.l.day8/cd.l.day1)
"cd.l.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.l.day15/cd.l.day1)
"cd.l.day22.1":CD137 day22/day1比(cd.l.day22/cd.l.day1)
"temp":体温の投与前後差(temp.2-temp.1)
"CRP":CRPの投与前後比(CRP.2/CRP.1)
"LDH":LDHの投与前後比(LDH.2/LDH.1)
"KL.6":KL.6の投与前後比(KL.6.2/KL.6.1)
"CEA":CEAの投与前後比(CEA.2/CEA.1)
"SCC":SCCの投与前後比(SCC.2/SCC.1)
"CYFRA":CYFRAの投与前後比(CYFRA.2/CYFRA.1)
"patient":症例番号
"age":年齢
"sex":性別(0=男性、1=女性)
"histotype":組織型(0=腺癌、1=扁平上皮癌、2=それ以外)
"smoking":喫煙歴(0=無、1=有)
"previous.treatment":前治療歴(0=無、1=有)
"PD.L1.expression":PD-L1発現(0=50%未満、1=50%以上)
"EGFR.mutation":EGFR変異(0=無、1=有)
"ALK.fusion":ALK融合遺伝子(0=無、1=有)
"treatment..times.":治療回数(2018年7月31日までに何度治療したか)
"adverse.effects1":副作用(0=無、1=グレード1および2、2=グレード3および4)
"adverse.effects2":副作用(0=無、1=有)
"pseudo.progression":シュードプログレッション(0=無、1=有)
"best.response..BR.":最大効果(0=PR、1=SD、2=PD)
"BR.days":最大効果判定日
"event.PFS":無増悪生存期間
"PFS.days":PFS判定日
"event.OS":全生存期間
"OS.days":OS判定日
"p":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.2未満、1=1.2以上;症例11,23、day22検体なし)
"p.2":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.2未満、1=1.2以上;NA=検体無し、または、3ヶ月未満で死亡、PDのため1回投与のみ)
"p.3":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.3未満、1=1.3以上;症例11,23、day22検体なし)
"p.4":22日目のパーフォリン値/1日目のパーフォリン値(0=1.3未満、1=1.3以上;NA=検体無し、または、3ヶ月未満で死亡、PDのため1回投与のみ)
"ILD":間質性肺炎(0=無、1=有)
"CEA1":CEA値(投与前)
"CEA2":CEA値(投与後3か月)
"SCC1":SCC値(投与前)
"SCC2":SCC値(投与後3か月)
"CYFRA1":CYFRA値(投与前)
"CYFRA2":CYFRA値(投与後3か月)
"temp.1":体温(投与前)
"temp.2":体温(投与後1日以内)
"CRP.1":CRP値(投与前)
"CRP.2":CRP値(投与後3週間)
"LDH.1":LDH値(投与前)
"LDH.2":LDH値(投与後3週間)
"KL.6.1":KL-6値(投与前)
"KL.6.2":KL-6値(投与後3週間)
"p.day1":perforin値(day1)
"p.day2":perforin値(day2)
"p.day8":perforin値(day8)
"p.day15":perforin値(day15)
"p.day22":perforin値(day22)
"cd.day1":CD137値(day1)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day2":CD137値(day2)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day8":CD137値(day8)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day15":CD137値(day15)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day22":CD137値(day22)ELISAで測定した検体のみ
"cd.l.day1":CD137値(day1)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day2":CD137値(day2)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day8":CD137値(day8)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day15":CD137値(day15)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day22":CD137値(day22)Luminex assayで測定した検体を含める
"BR":最大効果(0=PR、1=SD+PD)
"p.day2.1":perforin day2/day1比 (p.day2/p.day1)
"p.day8.1":perforin day8/day1比 (p.day8/p.day1)
"p.day15.1":perforin day15/day1比 (p.day15/p.day1)
"p.day22.1":perforin day22/day1比 (p.day22/p.day1)
"cd.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.day2/cd.day1)
"cd.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.day8/cd.day1)
"cd.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.day15/cd.day1)
"cd.day22.1":CD137 day22/day1比(cd.day22/cd.day1)
"cd.l.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.l.day2/cd.l.day1)
"cd.l.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.l.day8/cd.l.day1)
"cd.l.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.l.day15/cd.l.day1)
"cd.l.day22.1":CD137 day22/day1比(cd.l.day22/cd.l.day1)
"temp":体温の投与前後差(temp.2-temp.1)
"CRP":CRPの投与前後比(CRP.2/CRP.1)
"LDH":LDHの投与前後比(LDH.2/LDH.1)
"KL.6":KL.6の投与前後比(KL.6.2/KL.6.1)
"CEA":CEAの投与前後比(CEA.2/CEA.1)
"SCC":SCCの投与前後比(SCC.2/SCC.1)
"CYFRA":CYFRAの投与前後比(CYFRA.2/CYFRA.1)
(ニボルマブの変数)
"patient":症例番号
"age":年齢
"sex":性別(0=男性、1=女性)
"histotype":組織型(0=腺癌、1=扁平上皮癌、2=それ以外)
"smoking":喫煙歴(0=無、1=有)
"previous.treatment":前治療歴(0=無、1=有)
"PD.L1.expression":PD-L1発現(0=50%未満、1=50%以上)
"EGFR.mutation":EGFR変異(0=無、1=有)
"ALK.fusion":ALK融合遺伝子(0=無、1=有)
"treatment..times.":治療回数(2018年7月31日までに何度治療したか)
"adverse.effects1":副作用(0=無、1=グレード1および2、2=グレード3および4)
"adverse.effects2":副作用(0=無、1=有)
"pseudo.progression":シュードプログレッション(0=無、1=有)
"best.response..BR.":最大効果(0=PR、1=SD、2=PD)
"BR.days":最大効果判定日
"event.PFS":無増悪生存期間
"PFS.days":PFS判定日
"event.OS":全生存期間
"OS.days":OS判定日
"ILD":間質性肺炎(0=無、1=有)"CEA1":CEA値(投与前)
"CEA2":CEA値(投与後3か月)
"SCC1":SCC値(投与前)
"SCC2":SCC値(投与後3か月)
"CYFRA1":CYFRA値(投与前)
"CYFRA2":CYFRA値(投与後3か月)
"temp.1":体温(投与前)
"temp.2":体温(投与後2日以内)
"CRP.1":CRP値(投与前)
"CRP.2":CRP値(投与後15日)
"LDH.1":LDH値(投与前)
"LDH.2":LDH値(投与後15日)
"KL.6.1":KL-6値(投与前)
"KL.6.2":KL-6値(投与後15日)
"p.day1":perforin値(day1)
"p.day2":perforin値(day2)
"p.day8":perforin値(day8)
"p.day15":perforin値(day15)
"cd.day1":CD137値(day1)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day2":CD137値(day2)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day8":CD137値(day8)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day15":CD137値(day15)ELISAで測定した検体のみ
"cd.l.day1":CD137値(day1)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day2":CD137値(day2)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day8":CD137値(day8)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day15":CD137値(day15)Luminex assayで測定した検体を含める
"BR":最大効果(0=PR、1=SD+PD)
"p.day2.1":perforin day2/day1比 (p.day2/p.day1)
"p.day8.1":perforin day8/day1比 (p.day8/p.day1)
"p.day15.1":perforin day15/day1比 (p.day15/p.day1)
"cd.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.day2/cd.day1)
"cd.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.day8/cd.day1)
"cd.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.day15/cd.day1)
"cd.l.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.l.day2/cd.l.day1)
"cd.l.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.l.day8/cd.l.day1)
"cd.l.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.l.day15/cd.l.day1)
"temp":体温の投与前後差(temp.2-temp.1)
"CRP":CRPの投与前後比(CRP.2/CRP.1)
"LDH":LDHの投与前後比(LDH.2/LDH.1)
"KL.6":KL.6の投与前後比(KL.6.2/KL.6.1)
"CEA":CEAの投与前後比(CEA.2/CEA.1)
"SCC":SCCの投与前後比(SCC.2/SCC.1)
"CYFRA":CYFRAの投与前後比(CYFRA.2/CYFRA.1)
"p":perforin day2/day1比(0=1.2未満、1=1.2以上)
"p.10ng"perforin値(day1)(0=10ng/ml未満、1=10ng/ml以上)
"patient":症例番号
"age":年齢
"sex":性別(0=男性、1=女性)
"histotype":組織型(0=腺癌、1=扁平上皮癌、2=それ以外)
"smoking":喫煙歴(0=無、1=有)
"previous.treatment":前治療歴(0=無、1=有)
"PD.L1.expression":PD-L1発現(0=50%未満、1=50%以上)
"EGFR.mutation":EGFR変異(0=無、1=有)
"ALK.fusion":ALK融合遺伝子(0=無、1=有)
"treatment..times.":治療回数(2018年7月31日までに何度治療したか)
"adverse.effects1":副作用(0=無、1=グレード1および2、2=グレード3および4)
"adverse.effects2":副作用(0=無、1=有)
"pseudo.progression":シュードプログレッション(0=無、1=有)
"best.response..BR.":最大効果(0=PR、1=SD、2=PD)
"BR.days":最大効果判定日
"event.PFS":無増悪生存期間
"PFS.days":PFS判定日
"event.OS":全生存期間
"OS.days":OS判定日
"ILD":間質性肺炎(0=無、1=有)"CEA1":CEA値(投与前)
"CEA2":CEA値(投与後3か月)
"SCC1":SCC値(投与前)
"SCC2":SCC値(投与後3か月)
"CYFRA1":CYFRA値(投与前)
"CYFRA2":CYFRA値(投与後3か月)
"temp.1":体温(投与前)
"temp.2":体温(投与後2日以内)
"CRP.1":CRP値(投与前)
"CRP.2":CRP値(投与後15日)
"LDH.1":LDH値(投与前)
"LDH.2":LDH値(投与後15日)
"KL.6.1":KL-6値(投与前)
"KL.6.2":KL-6値(投与後15日)
"p.day1":perforin値(day1)
"p.day2":perforin値(day2)
"p.day8":perforin値(day8)
"p.day15":perforin値(day15)
"cd.day1":CD137値(day1)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day2":CD137値(day2)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day8":CD137値(day8)ELISAで測定した検体のみ
"cd.day15":CD137値(day15)ELISAで測定した検体のみ
"cd.l.day1":CD137値(day1)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day2":CD137値(day2)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day8":CD137値(day8)Luminex assayで測定した検体を含める
"cd.l.day15":CD137値(day15)Luminex assayで測定した検体を含める
"BR":最大効果(0=PR、1=SD+PD)
"p.day2.1":perforin day2/day1比 (p.day2/p.day1)
"p.day8.1":perforin day8/day1比 (p.day8/p.day1)
"p.day15.1":perforin day15/day1比 (p.day15/p.day1)
"cd.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.day2/cd.day1)
"cd.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.day8/cd.day1)
"cd.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.day15/cd.day1)
"cd.l.day2.1":CD137 day2/day1比(cd.l.day2/cd.l.day1)
"cd.l.day8.1":CD137 day8/day1比(cd.l.day8/cd.l.day1)
"cd.l.day15.1":CD137 day15/day1比(cd.l.day15/cd.l.day1)
"temp":体温の投与前後差(temp.2-temp.1)
"CRP":CRPの投与前後比(CRP.2/CRP.1)
"LDH":LDHの投与前後比(LDH.2/LDH.1)
"KL.6":KL.6の投与前後比(KL.6.2/KL.6.1)
"CEA":CEAの投与前後比(CEA.2/CEA.1)
"SCC":SCCの投与前後比(SCC.2/SCC.1)
"CYFRA":CYFRAの投与前後比(CYFRA.2/CYFRA.1)
"p":perforin day2/day1比(0=1.2未満、1=1.2以上)
"p.10ng"perforin値(day1)(0=10ng/ml未満、1=10ng/ml以上)
以下の変数はLog10対数変換を行った:
CEA1,CEA2,SCC1,SCC2,CYFRA1,CYFRA2,CRP.1,CRP.2,LDH.1,LDH.2,KL.6.1,KL.6.2,p.day1,p.day2,p.day8,p.day15,p.day22,p.day2.1,p.day8.1,p.day15.1,p.day22.1,cd.day1,cd.day2,cd.day8,cd.day15,cd.day22,cd.day2.1,cd.day8.1,cd.day15.1,cd.day22.1,cd.l.day1,cd.l.day2,cd.l.day8,cd.l.day15,cd.l.day22,cd.l.day2.1,cd.l.day8.1,cd.l.day15.1,cd.l.day22.1,CRP,LDH,KL.6,CEA,SCC,CYFRA。
CEA1,CEA2,SCC1,SCC2,CYFRA1,CYFRA2,CRP.1,CRP.2,LDH.1,LDH.2,KL.6.1,KL.6.2,p.day1,p.day2,p.day8,p.day15,p.day22,p.day2.1,p.day8.1,p.day15.1,p.day22.1,cd.day1,cd.day2,cd.day8,cd.day15,cd.day22,cd.day2.1,cd.day8.1,cd.day15.1,cd.day22.1,cd.l.day1,cd.l.day2,cd.l.day8,cd.l.day15,cd.l.day22,cd.l.day2.1,cd.l.day8.1,cd.l.day15.1,cd.l.day22.1,CRP,LDH,KL.6,CEA,SCC,CYFRA。
(用語解説)
ロジスティック回帰分析
2値の目的変数(例:生存と死亡、病気の発症の有無などのイベント)に対し、その確率を予測するための統計モデルを構築する手法。オッズ比は各因子の目的変数への影響を表し、1より大きい場合はイベントが起こるリスクを高め、1より小さい場合はリスクを低くすることを表す。
ロジスティック回帰分析
2値の目的変数(例:生存と死亡、病気の発症の有無などのイベント)に対し、その確率を予測するための統計モデルを構築する手法。オッズ比は各因子の目的変数への影響を表し、1より大きい場合はイベントが起こるリスクを高め、1より小さい場合はリスクを低くすることを表す。
Cox回帰分析
生存時間を説明する統計モデル(Coxの比例ハザードモデル)を構築する手法。ロジスティック回帰分析と似た手法であるが、ロジスティック回帰分析が観察終了時点の状態だけを扱うのに対し、Cox回帰分析は2値の変数に加えて期間を考慮した手法である。ハザード比もオッズ比と同様、イベント発生のリスクの指標になる。
生存時間を説明する統計モデル(Coxの比例ハザードモデル)を構築する手法。ロジスティック回帰分析と似た手法であるが、ロジスティック回帰分析が観察終了時点の状態だけを扱うのに対し、Cox回帰分析は2値の変数に加えて期間を考慮した手法である。ハザード比もオッズ比と同様、イベント発生のリスクの指標になる。
MICE法:Multivariate Imputation by Chained Equations
MICE法では、以下のような処理を行って欠測値の推定を行っている。はじめに連続的な量であれば平均値、カテゴリーデータであれば最頻値を求めて、仮のデータとして代入する。この状態では精度が悪いかもしれないが、すべての数値が埋め込まれた状態になる。ここから繰り返し処理で、欠測値が収束するまで、次のような処理を指定回数だけ行う。もともと欠測値だったセル一つを選び、そのカラムを目的変数として、それ以外のカラムを説明変数に見立て、線形予測(カテゴリーデータの場合は多項ロジスティック回帰など)を行い、前の値を更新する。次の欠測値の位置に着目して同様に再度予測を行い、その値を更新する。これを順番に欠測値に対して繰り返し行い、一定の安定性が出るまで繰り返して補完を行う方法である。
MICE法では、以下のような処理を行って欠測値の推定を行っている。はじめに連続的な量であれば平均値、カテゴリーデータであれば最頻値を求めて、仮のデータとして代入する。この状態では精度が悪いかもしれないが、すべての数値が埋め込まれた状態になる。ここから繰り返し処理で、欠測値が収束するまで、次のような処理を指定回数だけ行う。もともと欠測値だったセル一つを選び、そのカラムを目的変数として、それ以外のカラムを説明変数に見立て、線形予測(カテゴリーデータの場合は多項ロジスティック回帰など)を行い、前の値を更新する。次の欠測値の位置に着目して同様に再度予測を行い、その値を更新する。これを順番に欠測値に対して繰り返し行い、一定の安定性が出るまで繰り返して補完を行う方法である。
LASSO
統計モデルを構築する手法の一つ。
・説明変数がサンプル数より多くても計算できる。
・説明変数を選択しつつ、その回帰係数を得ることができる。
・代表となる説明変数を自動的に選択してくれるので、多重共線性の問題(説明変数同士の相関が高いときに解が求まらないこと)が発生しない。
といった特徴が挙げられる。
統計モデルを構築する手法の一つ。
・説明変数がサンプル数より多くても計算できる。
・説明変数を選択しつつ、その回帰係数を得ることができる。
・代表となる説明変数を自動的に選択してくれるので、多重共線性の問題(説明変数同士の相関が高いときに解が求まらないこと)が発生しない。
といった特徴が挙げられる。
LASSOは代表となる説明変数を選択するため、できるだけ少ない説明変数でモデルを構築したい場合に適している。また、LASSOはパラメーターαを変更することによりElastic Netとして機能させることができる。Elastic Netでは相関の高い変数をほぼ同時に選択するため、関連する代替可能な説明変数も含めて拾い上げたい場合に適している。
Leave-one-out cross validation
いくつものモデルを作製したときに、どのモデルが最適であったのかを検討する際に使用する解析方法。全サンプルから1つのサンプルを除き、残りのサンプルでモデルを作製したときに、あらかじめ抜いていたサンプルを正確に予測することができるかを検定する。
いくつものモデルを作製したときに、どのモデルが最適であったのかを検討する際に使用する解析方法。全サンプルから1つのサンプルを除き、残りのサンプルでモデルを作製したときに、あらかじめ抜いていたサンプルを正確に予測することができるかを検定する。
LASSOの場合では、パラメーターλを振ることでモデルに採用される説明変数の数が変化する。その中から最適なモデルを選択する基準として、以下の2つの基準がよく用いられる。
・λmin: 予測残差の平均値が最小となる位置
・λmin+1SE: λminより標準誤差分だけ予測残差が大きくなる位置(simplest model)
・λmin: 予測残差の平均値が最小となる位置
・λmin+1SE: λminより標準誤差分だけ予測残差が大きくなる位置(simplest model)
ダミー変数
カテゴリ型のデータを0または1で表現し直した変数。
今回のケースでは、例えば組織型(histotype)は腺、扁平上皮、その他(数値なら0,1,2)のいずれかの値をとる変数だが、これを以下の表のように表現する。例えばhist0の場合、histotypeが0の症例は1、0以外の場合は0、というように変換している。
カテゴリ型のデータを0または1で表現し直した変数。
今回のケースでは、例えば組織型(histotype)は腺、扁平上皮、その他(数値なら0,1,2)のいずれかの値をとる変数だが、これを以下の表のように表現する。例えばhist0の場合、histotypeが0の症例は1、0以外の場合は0、というように変換している。
1 単変量解析
1.1 データ前処理
治療前後のデータがある変数に関しては、比を計算した。いくつかの変数では上側に裾が伸びた分布をしており、正規分布に近づけるため対数変換を行った。
1.1 データ前処理
治療前後のデータがある変数に関しては、比を計算した。いくつかの変数では上側に裾が伸びた分布をしており、正規分布に近づけるため対数変換を行った。
観察中に転院した症例に関しては、生存のまま観察終了とするため、event.OSの値を0に修正した。死因不明の変死の症例に関しては、生存時間解析の対象から除外した。
1.2 ヒストグラム
Best responseをPR vs SD+PDに分類し、ヒストグラムを描画した。
Best responseをPR vs SD+PDに分類し、ヒストグラムを描画した。
1.3 分布の確認(先生の以前の解析を再現)
perforinのday1の濃度、perforinの比、CD137のday1の濃度をそれぞれBest responseのカテゴリごとにプロットし、分布を確認した。実施例1および2における症例のみの場合と、本実施例における新しい症例を加えた場合でそれぞれ確認した。また、3か月未満で死亡の症例を除いた場合と除かない場合でそれぞれ確認を行った。
結果、実施例1~3の結果と同様の分布が見られた。また、新しい症例を加えた場合と加えない場合とでほぼ同様の傾向が見られたため、以降の解析はすべて新しい症例を含めて行った。
perforinのday1の濃度、perforinの比、CD137のday1の濃度をそれぞれBest responseのカテゴリごとにプロットし、分布を確認した。実施例1および2における症例のみの場合と、本実施例における新しい症例を加えた場合でそれぞれ確認した。また、3か月未満で死亡の症例を除いた場合と除かない場合でそれぞれ確認を行った。
結果、実施例1~3の結果と同様の分布が見られた。また、新しい症例を加えた場合と加えない場合とでほぼ同様の傾向が見られたため、以降の解析はすべて新しい症例を含めて行った。
1.4 ログ・ランク検定
データをperforin比やperforin baseline値で2群に分けてPFS、OSそれぞれで生存曲線を描画し、ログ・ランク検定を用いて群間で生存関数に差があるかどうか解析した。
データをperforin比やperforin baseline値で2群に分けてPFS、OSそれぞれで生存曲線を描画し、ログ・ランク検定を用いて群間で生存関数に差があるかどうか解析した。
カットオフ値は、実施例1および2に基づき、Best response(PR vs SD+PD)を分ける解析で用いていたカットオフ値(perforin比1.2、perforin baseline値10 ng/ml)で行った。また、3か月未満で死亡の症例を除いた場合と除かない場合でそれぞれ確認を行った。
その結果、2群間で生存時間の差は見られなかった。ここで用いたカットオフ値はBest responseを分類するために設定されたものであり、生存時間の判定には適していない可能性がある。
1.5 単変量Cox回帰
続いて各変数がPFSあるいはOSにどのように寄与するかを調べるため、単変量Cox回帰分析を行った。
1.5 単変量Cox回帰
続いて各変数がPFSあるいはOSにどのように寄与するかを調べるため、単変量Cox回帰分析を行った。
表中のCoefficientは推定された予測式の係数であり、値が正の場合はその変数が生存期間を短くする方向に、負の場合は生存期間を長くする方向に働くことを示す。予測式は、「Coxの比例ハザードモデル」と呼ばれる、死亡確率を予測するための数式を指す。Coxの比例ハザードモデルは以下のような形式で表される。
λ(t,X)=λ0(t)exp(β1x1+…+βnxn)
式中、λ(t,X)は、時刻tにおける死亡確率を表し、
X=x1,…,xnは各説明変数の計測値を表し、
β1,…,βnはCoefficientsを表す。
λ(t,X)=λ0(t)exp(β1x1+…+βnxn)
式中、λ(t,X)は、時刻tにおける死亡確率を表し、
X=x1,…,xnは各説明変数の計測値を表し、
β1,…,βnはCoefficientsを表す。
ハザード比はイベント発生(ここでは増悪や死亡)のリスクの指標となる数値であり、1より大きい場合は生存時間を短く、1より小さい場合は生存時間を長くすることを表す。ハザード比の95%信頼区間が1をまたぐ場合は、その変数がどちらの方向にも寄与しないことになるが、反対に1をまたがない場合はリスクを大きく、あるいは小さくする方向に影響しているといえる。
ワルド検定は回帰係数が0でないかどうか(すなわち、その変数が生存時間に寄与しているかどうか)を調べる検定であり、以下に示す表にそのP値を示した。3か月未満で死亡の症例を除いた場合と除かない場合でそれぞれ確認を行った。
全症例での解析では、perforin測定値を含むいくつかの変数でワルド検定P値が有意水準0.05を下回っており、有意に生存時間に寄与する因子が見つかっている(表4および表5)。一方、3か月未満で死亡の症例を除いた場合では、全症例の場合に比べ有意な変数が少なくなっている。これについては早くに死亡する症例を除いたことにより、データが均質化しすぎてしまい、死亡のリスクを高める要因の情報が失われたと考えられる。
2 多変量解析
2.1 データ前処理
単変量解析と同様に、対数変換を行い、観察中に転院した症例のevent.OSの値を0に修正した。変死の症例に関しては、生存時間解析の対象から除外した。
2.1 データ前処理
単変量解析と同様に、対数変換を行い、観察中に転院した症例のevent.OSの値を0に修正した。変死の症例に関しては、生存時間解析の対象から除外した。
欠測値補完はMICE法により行う。まず目的変数が欠測の症例を除外し、半数以上が欠測の変数、値が1種類しかない変数を除外した。解析の目的に合わせて解析対象とする変数、症例だけを含むデータセットを作成し、それぞれに対してMICE法を適用して欠測値補完を行った。
欠測値補完後、カテゴリ変数のうち、最も頻度が少ない値が10%に満たない変数は以降の解析から除外した。値が3種類以上のカテゴリ変数はダミー変数化した。
2.2 多変量Cox回帰(一回投与時点のデータ)
一回投与時点(治療開始後、pembrolizumabでは22日以内、nivolumabでは15日以内)のデータを用いてPFS、OSそれぞれを目的変数とした多変量Cox回帰を行い、生存時間に寄与する変数の組み合わせを探索した。Elastic netとLASSOを用い、生存時間に強く寄与する変数を選択した。過剰適合を防ぐため、Leave-one-out cross validationによって最適な変数の組み合わせを決定した。今回はできるだけ汎用性の高いモデルを構築するため、LASSOで選択された変数の組み合わせを用いて回帰モデルを作成した。単変量解析と同様に、それぞれの変数の回帰係数、ハザード比と95%信頼区間、ワルド検定P値を示した。作成したモデルを用い、3か月、6か月、12か月時点での生存率を予測するためのノモグラムを作成した。さらに、作成したモデルに全症例のデータを適用して予測値を算出し、その予測値が全員の予測値の中央値を超えるかどうかで高リスク群、低リスク群に分けた。リスク群別の生存曲線を示し、群間で生存時間に差があるかどうか調べるためにログ・ランク検定を行った。
一回投与時点(治療開始後、pembrolizumabでは22日以内、nivolumabでは15日以内)のデータを用いてPFS、OSそれぞれを目的変数とした多変量Cox回帰を行い、生存時間に寄与する変数の組み合わせを探索した。Elastic netとLASSOを用い、生存時間に強く寄与する変数を選択した。過剰適合を防ぐため、Leave-one-out cross validationによって最適な変数の組み合わせを決定した。今回はできるだけ汎用性の高いモデルを構築するため、LASSOで選択された変数の組み合わせを用いて回帰モデルを作成した。単変量解析と同様に、それぞれの変数の回帰係数、ハザード比と95%信頼区間、ワルド検定P値を示した。作成したモデルを用い、3か月、6か月、12か月時点での生存率を予測するためのノモグラムを作成した。さらに、作成したモデルに全症例のデータを適用して予測値を算出し、その予測値が全員の予測値の中央値を超えるかどうかで高リスク群、低リスク群に分けた。リスク群別の生存曲線を示し、群間で生存時間に差があるかどうか調べるためにログ・ランク検定を行った。
pembrolizumabのPFSについての多変量Cox回帰では、選択された変数にperforin day2/day1比、day8/day1比およびday22測定値が含まれていた。day2/day1比が増加するにつれて増悪のリスクを高める方向に、day22測定値は増加するにつれて増悪のリスクを減らす方向に影響していることが確認された(表6)。ここで、表6のsmokingに注目すると、ハザード比が1を下回るので、喫煙によって増悪のリスクが低下するという結果になっている。この結果に関しては、非喫煙者が非常に少なく(27例中3例)、非喫煙者の予後が悪い方に偏っていたためだと考えられ、予後予測因子に含めるかどうかについては検討の余地がある。smokingに限らずほかの変数でも、予測因子として採用する意味があるかどうか検討する必要がある。
一方、OSについての多変量Cox回帰ではperforin day8/day1比が選択され、死亡のリスクを高める方向に影響することがわかった(表7)。nivolumabのPFSの多変量Cox回帰では、perforin day1測定値が選択されたが、有意ではなかった。またOS(5.2.2)ではperforin day2測定値、day2/day1比、day8/day1比を含むモデルが作成できたが、いずれの変数も有意ではなかった。
さらに3か月未満で死亡の症例を除くことが妥当であるかどうか確かめた。
まず、OSを予測するための以下のLASSOのlambda.minモデルの予測式にすべての症例のデータを適用し、予測値を算出した。続いて3か月未満で死亡の症例がすべて入るようにこの予測値のカットオフを設定し、カットオフを超えた症例をGroup1と定義した。pembrolizumabでは5症例(5症例すべて3か月未満で死亡の症例)、nivolumabでは8症例(うち7症例が3か月未満で死亡)がGroup1として分類された。
2.3 多変量Cox回帰(一回投与時点のデータ、Group1を除く)
上記の解析により、3か月未満で死亡の症例を一つのリスク群として予測可能であることを示した。続いて、Group1を除いたデータセットを用いて多変量でのCox回帰分析を行った。上記の解析と同様にElastic netとLASSOで変数選択を行い、Leave-one-out cross validationにより最適な変数の組み合わせを決定し、回帰モデルを作成した。それぞれの変数の回帰係数、ハザード比と95%信頼区間、ワルド検定P値を示した。
上記の解析により、3か月未満で死亡の症例を一つのリスク群として予測可能であることを示した。続いて、Group1を除いたデータセットを用いて多変量でのCox回帰分析を行った。上記の解析と同様にElastic netとLASSOで変数選択を行い、Leave-one-out cross validationにより最適な変数の組み合わせを決定し、回帰モデルを作成した。それぞれの変数の回帰係数、ハザード比と95%信頼区間、ワルド検定P値を示した。
作成したモデルを用い、3か月、6か月、12か月時点での生存率を予測するためのノモグラムを作成した。またモデルの予測値を用いて高リスク群、低リスク群に分け、生存曲線を示し、ログ・ランク検定を行った。
pembrolizumabでは、PFS、OSともにモデルは作成できなかった。この原因については、死亡のリスクが高いGroup1を除いたことによって、リスクの程度が似たような症例ばかりになってしまい、リスクを引き上げる要因が何なのかという情報が失われたか、あるいは症例数が不足していたためだと考えられる。一方、nivolumabの場合、PFSのモデルでは、perforinの変数は選択されなかった。OSのモデルではperforin day1測定値が10ng/ml以上であるかどうかの変数(p.10ng)が選択されたが、有意ではなかった。よって、生存時間解析では高リスク群(Group1)を除いてもモデルを改善することはできなかった。
2.4 ロジスティック回帰
2.4 ロジスティック回帰
治療開始当日、あるいは一回投与時点でのデータを用いてBest response(PR vs SD+PD)を予測する解析を試みた。Elastic netとLASSOで変数選択を行い、Leave-one-out cross validationにより最適な変数の組み合わせを決定し、回帰モデルを作成した。一時治療のデータを用いる場合、Group1を除く場合と除かない場合でそれぞれモデルを作成した。それぞれの変数の回帰係数、オッズ比と95%信頼区間、ワルド検定P値を示した。
作成したモデルを用い、SDまたはPDになる可能性を予測するためのノモグラムを作成した。また作成したモデルのROC曲線を示した。AUCは0.5~1の範囲をとり、1に近いほど判別性能が高いことを表す指標値である。
pembrolizumabでは、全症例のデータを用いるとperforinの変数は選択されなかった。治療開始当日と一回投与時点で共通して、前治療歴とLDH関連の変数がリスクを高める因子として選択された。一回投与時点のデータでGroup1を除くと、前治療歴とLDHに加え、perforin day22/day1比が選択されたが有意ではなかった(表8)。このモデルのAUCは0.945と高かった。
pembrolizumabでは、全症例のデータを用いるとperforinの変数は選択されなかった。治療開始当日と一回投与時点で共通して、前治療歴とLDH関連の変数がリスクを高める因子として選択された。一回投与時点のデータでGroup1を除くと、前治療歴とLDHに加え、perforin day22/day1比が選択されたが有意ではなかった(表8)。このモデルのAUCは0.945と高かった。
nivolumabでは全症例を用いた解析では変数が選択されず、モデルを構築できなかった。一回投与時点のデータでGroup1を除く場合、EGFR mutationとともにperforin day15/day1比が選択されたが、有意ではなかった(表9)。このモデルのAUCは0.791であった。
3 最適カットオフ値(単変量解析)
最後にperforinの測定値を用いてBest responseを判別するカットオフ値の解析を試みた。本来はカットオフ値の算出と性能評価を別のデータセットで行うが、今回は症例数が少ないためカットオフ値の算出と性能評価に同じデータを用いている。そのため、過剰適合の可能性があることに留意する。
最後にperforinの測定値を用いてBest responseを判別するカットオフ値の解析を試みた。本来はカットオフ値の算出と性能評価を別のデータセットで行うが、今回は症例数が少ないためカットオフ値の算出と性能評価に同じデータを用いている。そのため、過剰適合の可能性があることに留意する。
3.1 最適カットオフ値(PR vs SD+PD)
perforinのday x/day1比でBest responseのPR vs SD+PDの2群を判別するための最適カットオフ値を求めた。カテゴリ別のボックスプロットと、判定に用いたROC曲線とAUCを示した。またカットオフ値で2群に分けた生存曲線をPFS、OSでそれぞれ描画し、ログ・ランク検定を行った。さらに単変量Cox回帰分析を行い、ハザード比と95%信頼区間、ワルド検定P値を求めた。
perforinのday x/day1比でBest responseのPR vs SD+PDの2群を判別するための最適カットオフ値を求めた。カテゴリ別のボックスプロットと、判定に用いたROC曲線とAUCを示した。またカットオフ値で2群に分けた生存曲線をPFS、OSでそれぞれ描画し、ログ・ランク検定を行った。さらに単変量Cox回帰分析を行い、ハザード比と95%信頼区間、ワルド検定P値を求めた。
まずPR vs SD+PDに分けた場合、pembrolizumabでは全症例の場合、Group1を除いた場合ともにday22/day1比でAUCが0.7を超えており、最も高かった。カットオフ値は1.185で、実施例2における1.2と近い値となった(図15A~図15C、表10)。ただし、このカットオフ値を用いたログ・ランク検定とCox回帰の結果は有意ではないため、このカットオフ値はBest responseの判別には適しているが、生存時間の判別には適していない可能性がある。一方、nivolumabではday15/day1比でAUCが最も高かったが、0.6程度と判別性能は十分とはいえなかった(表11)。またこのカットオフ値以下の症例は37例中2例のみとなっており、外れ値を拾っていることがわかる。
3.2 最適カットオフ値(PR+SD vs PD)
同様の手順でPR+SD vs PDに分け、perforin比とperforin day1測定値の最適カットオフ値を求める解析を行った。Group1を除くとPDの件数が極端に少なくなるため、全症例の解析のみを行った。
同様の手順でPR+SD vs PDに分け、perforin比とperforin day1測定値の最適カットオフ値を求める解析を行った。Group1を除くとPDの件数が極端に少なくなるため、全症例の解析のみを行った。
pembrolizumabでは、perforin比はどの日数でもAUC0.6前後と十分な予測性能は得られなかった。診断に用いるためには、少なくともAUC0.7以上必要であり、好ましくは0.8以上である。最もAUCが高いday8/day1比では、PFS、OSともにリスクを高める方向に影響するという結果が得られた(表12)。perforin day1では、6631.16 pg/mlでAUCが0.8を超えており、PFS、OSともにリスクを低下させる方向に影響することが分かった(表12、図16A~図16C)。nivolumabでも同じくperforin比ではAUC=0.6前後となっており、十分な予測性能は得られなかった(表13)。perforin day1測定値では5450.46pg/mlというカットオフ値でAUC=0.7程度であり、PFS、OSともにリスクを低下させる方向に影響することが分かった(表13、図17A~図17C)。
4 まとめ
・単変量Cox回帰の結果、perforinを含むいくつかの変数が生存時間に影響を与えていることが示された。
・単変量Cox回帰の結果、perforinを含むいくつかの変数が生存時間に影響を与えていることが示された。
・一回投与時点のデータを用いて多変量Cox回帰を行ったところ、pembrolizumabではday2/day1比は増悪のリスクを高める方向に、day22測定値は増悪のリスクを減らす方向に影響していることが確認された。また、perforin day8/day1比が死亡のリスクを高める方向に影響することがわかった。
・多変量Cox回帰の結果、pembrolizumabのPFSでは喫煙によって増悪のリスクが低下するという結果になっている。この結果に関しては、非喫煙者が非常に少なく、予後が悪い方に偏っていたためだと考えられる。smokingに限らずほかの変数でも、予測因子として採用するかどうか、その意味を考慮して検討する必要がある。
・一回投与時点のデータを用いて3か月未満で死亡する症例を含む高リスク群(Group1)を予測し、高リスク群を除いて生存時間解析を行ったが、モデルを改善することはできなかった。
・PR vs SD+PDを判別するロジスティック回帰分析では、Group1を除いた場合に限り、perforinの変数を含むモデルが構築された。しかし、perforin関連の有意な変数は見つからなかった。
・PR vs SD+PDを判別する最適カットオフ値を解析すると、pembrolizumabではperforin day22/day1比の1.185という値で最も判別性能が高かった。しかし、このカットオフ値は生存時間には影響を与えていなかった。
・PR+SD vs PDを判別する最適カットオフ値を解析すると、pembrolizumab、nivolumabともにperforin day1測定値が最も判別に適しており、PFS、OSともにリスクを低下させる方向に影響していた。
(注記)
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本出願は、2018年4月27日に出願された日本国出願特願2018-86669号に基づく優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参考として援用される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本出願は、2018年4月27日に出願された日本国出願特願2018-86669号に基づく優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参考として援用される。
免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD-1抗体)によるがん治療の効果を評価するためのマーカー、診断剤、キットおよび方法が提供される。このような技術に基づく製剤等に関連する産業(製薬等)において利用可能な技術が提供される。
Claims (57)
- パーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による被験体における癌に対する治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤。
- 前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、請求項1に記載の診断剤。
- 前記癌が肺癌である、請求項1または2に記載の診断剤。
- 前記パーフォリンの発現レベルが、血液試料中のパーフォリンのタンパク質のレベルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の診断剤。
- 前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の診断剤。
- 前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、請求項1~5のいずれか一項に記載の診断剤。
- 前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項5または6に記載の診断剤。
- 前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項7に記載の診断剤。
- 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項7に記載の診断剤。
- 前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、ニボルマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項6に記載の診断剤。
- 前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項10に記載の診断剤。
- 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの投与2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項6に記載の診断剤。
- ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項12に記載の診断剤。
- ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項13に記載の診断剤。
- パーフォリンのタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。 - パーフォリンの発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
- 被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するために、該被験者から分離した生体検体についてパーフォリンの発現レベルを検出、測定または定量する方法。
- パーフォリンの発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
- 前記パーフォリンは、血液試料におけるものである、請求項17または18に記載の方法。
- 前記パーフォリンの発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、請求項21に記載の方法。
- 前記抗PD-1抗体投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項21または22に記載の方法。
- 前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項23に記載の方法。
- 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前または投与開始時のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項23に記載の方法。
- 前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、請求項22に記載の方法。
- 前記投与前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、前記投与開始2日目のパーフォリンの発現レベルが、前記投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、請求項22に記載の方法。
- 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、請求項22に記載の方法。
- ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、請求項28に記載の方法。
- ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目のパーフォリン発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルの約1.2倍以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性である、請求項29に記載の方法。
- パーフォリンに加えて、FASリガンド、グランザイムB、CD137、TNFα、CYFRA、CRP、LDH、KL-6またはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、請求項17~30のいずれか一項に記載の方法。
- 免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するための、免疫チェックポイント阻害剤を含むコンパニオン試薬であって、免疫チェックポイント阻害剤投与後の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、免疫チェックポイント阻害剤投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルより高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
- 抗PD-1抗体による癌に対する治療の効果を評価するための、抗PD-1抗体を含むコンパニオン試薬であって、該抗PD-1抗体投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg以上、約5500pg以上、約6000pg以上、または約6500pg以上である場合、前記被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、コンパニオン試薬。
- 前記抗PD-1抗体がニボルマブであり、ニボルマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約5000pg~約6000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項33に記載のコンパニオン試薬。
- 前記抗PD-1抗体がペムブロリズマブであり、ペムブロリズマブ投与開始前のパーフォリンの発現レベルが、血清1mlあたり約6000pg~約7000pgの範囲内の任意の値以上である場合、前記被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性または安定状態である可能性があることが示される、請求項33に記載のコンパニオン試薬。
- ニボルマブによるがん治療の効果を評価するための、ニボルマブを含むコンパニオン試薬であって、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、被験体が免疫チェックポイント阻害剤による処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
- ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、血清1mlあたり9000pg以上である場合、および/または、ニボルマブ投与後2日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ニボルマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベル約1.2倍以上である場合、前記被験体がニボルマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項36に記載のコンパニオン試薬。
- ペムブロリズマブによる癌に対する治療の効果を評価するための、ペムブロリズマブを含むコンパニオン試薬であって、ペムブロリズマブの2サイクル目以降のパーフォリンの発現レベルが、ペムブロリズマブ投与前のパーフォリンの発現レベルより高い場合、被験体は、ペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、コンパニオン試薬。
- ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルよりも高い場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項37に記載のコンパニオン試薬。
- ペムブロリズマブの少なくとも投与開始22日目の血清中パーフォリンタンパク質のレベルが、ペムブロリズマブ投与前の血清中パーフォリンタンパク質のレベルの約1.2倍以上である場合、該被験体がペムブロリズマブによる処置に対して応答性であることが示される、請求項39に記載のコンパニオン試薬。
- CD137の発現レベルを検出、測定または定量する手段を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価または予測するための診断剤または予測診断剤。
- 前記癌が、悪性黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、肺癌、膵癌、大腸癌、肝細胞癌、胆道癌、胃癌、卵巣癌、食道癌、メルケル細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫、MSI-High固形癌、悪性胸膜中皮腫、頭頚部癌および尿路上皮癌からなる群から選択される、請求項41に記載の診断剤。
- 前記癌が肺癌である、請求項41または42に記載の診断剤。
- 前記CD137の発現レベルが、血液試料中のCD137のタンパク質のレベルである、請求項41~43のいずれか一項に記載の診断剤。
- 前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、請求項41~44のいずれか一項に記載の診断剤。
- 前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、請求項41~45のいずれか一項に記載の診断剤。
- 抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、被験体は、抗PD-1抗体による処置に対して応答性であることが示される、請求項46に記載の診断剤。
- CD137のタンパク質に結合する手段と
該結合に基づいてパーフォリンのタンパク質発現レベルを検出、測定または定量する手段と
を含む、免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのキット。 - CD137の発現レベルからなる、被験体における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するためのバイオマーカー。
- 被験者における免疫チェックポイント阻害剤による癌に対する治療の効果を評価するために、該被験者から分離した生体検体についてCD137の発現レベルを検出、測定または定量する方法。
- CD137の発現レベルを、免疫チェックポイント阻害剤による癌の処置に対する応答性の指標とする方法。
- 前記CD137は、血液試料におけるものである、請求項50または51に記載の方法。
- 前記CD137の発現レベルが、パーフォリンのタンパク質の発現レベルである、請求項50~52のいずれか一項に記載の方法。
- 前記免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体である、請求項50~53のいずれか一項に記載の方法。
- 前記抗PD-1抗体が、ニボルマブまたはペムブロリズマブである、請求項54に記載の方法。
- 抗PD-1抗体投与前の血清中CD137タンパク質のレベルが、血清1mlあたり約110pg以上である場合、前記被験体は、ニボルマブによる処置に対して応答性である、請求項55に記載の方法。
- CD137に加えて、FASリガンド、グランザイムB、パーフォリン、TNFα、CYFRA、CRP、LDH、KL-6またはこれらの任意の組合せの発現レベルが測定される、請求項50~56のいずれか一項に記載の方法。
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