WO2018117267A1 - 置換ピペリジン化合物の塩 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗腫瘍剤として有用な1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の溶解性、安定性、経口吸収性に優れ、大量製造可能な化合物の塩及びその結晶を提供することを目的とする。本発明は、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩、及び粉末X線回折スペクトルにおいて、特定の回折角に特徴的なピークを有する結晶である該塩酸塩に関する。

Description

置換ピペリジン化合物の塩
 本発明は、溶解性及び経口吸収性に優れ、抗腫瘍剤として有用な置換ピペリジン化合物に関し、特に結晶である該塩酸塩に関する。また、本発明は置換ピペリジン化合物の塩酸塩を含有する医薬組成物、特に経口投与用の医薬組成物に関する。さらには、置換ピペリジン化合物の塩酸塩またはその結晶の製造方法にも関する。
 一般的に、経口投与用の医薬組成物においては、有効成分の優れた溶解性、安定性、経口吸収性、大量製造可能な方法などが求められる。有効成分が有機化合物の場合、溶解性などを改善するために有効成分の塩を検討するが、最適な塩を予測することは困難である。
 また、化合物に結晶多形が存在する場合、結晶多形は、同一分子であって結晶中の原子や分子の配列が異なるものを示すが、粉末X線回折測定(XRD測定)で得られるピークは結晶多形の間で異なる。また、それぞれの結晶多形の間で溶解性、安定性、経口吸収性などが異なることが知られており、医薬品を開発する上で、様々な観点から最適な結晶形を見出すことが求められる。
 現在、抗腫瘍剤として複数のオーロラ(Aurora)A阻害剤が報告されている。優れたオーロラA阻害作用を有し、抗腫瘍活性を示す化合物として1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸(以下、「化合物1」とも言う)が報告されている(特許文献1、2)。
国際公開第2013/129443号 米国特許9012475号
 しかし、これらの報告には、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸(化合物1)の塩及び塩の結晶については詳細な検討がなされておらず、溶解性、安定性や経口吸収性に関する記載はされていない。
 一方、化合物1は、塩を形成しないフリー体は、溶解性、経口吸収性が低いことが判明した。薬剤の投与形態として経口投与は患者にとって負担の少ない投与方法であり、従って、経口吸収性の向上は、化合物1の製剤化にとって非常に重要な課題となる。
 そこで本発明は、抗腫瘍剤として有用であり、溶解性、安定性及び経口吸収性に優れ、大量製造可能な化合物1の塩及びその結晶を提供することを目的とする。
 本発明者らは、化合物1の様々な塩について特性を検討し、鋭意研究を重ねた結果、特に塩酸塩が溶解性及び経口吸収性に優れていること、及びその結晶が溶解性、安定性、経口吸収性に優れ、大量製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、以下の[1]~[25]に係るものである。
[1] 1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩。
[2] 粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶である、前記[1]に記載の塩。
[3] 粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶である、前記[1]又は[2]に記載の塩。
[4] 下記に示される粉末X線回折スペクトルにより特徴づけられる、前記[1]~[3]のいずれかに記載の塩。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000004
[5] 示差熱分析において、234±5℃に吸熱ピークを有する前記[1]~[4]のいずれかに記載の塩。
[6] 重量比が90%以上である前記[1]~[5]のいずれかに記載の塩。
[7] 水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素、非プロトン性極性溶媒及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上を含む溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸塩酸塩。
[8] C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上の溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、[7]に記載の塩酸塩。
[9] 酢酸エチル、エタノール及び塩酸の群から選ばれる1つ又は2つ以上の溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、[7]又は[8]に記載の塩酸塩。
[10] 酢酸エチル、エタノール、塩酸の混合溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、[7]~[9]のいずれか1項に記載の塩酸塩。
[11] 粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、前記[7]~[10]のいずれかに記載の塩酸塩。
[12] 粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、前記[7]~[11]のいずれかに記載の塩酸塩。
[13] 下記に示される粉末X線回折スペクトルにより特徴づけられる、前記[7]~[12]のいずれかに記載の塩酸塩。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000005
[14] 示差熱分析において、234±5℃に吸熱ピークを有する前記[7]~[13]のいずれかに記載の塩酸塩。
[15] 工程(1) 1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸及び塩酸を溶媒に添加する工程、及び
 工程(2) 前記工程(1)で得られた溶媒を攪拌して、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩を析出させる工程
を含む製造方法により製造された1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩。
[16] 粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、前記[15]に記載の塩。
[17] 粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、前記[15]又は[16]に記載の塩。
[18] 下記に示される粉末X線回折スペクトルにより特徴づけられる、前記[15]~[17]のいずれかに記載の塩。
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000006
[19] 前記工程(1)における溶媒が、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、又はこれらの混合溶媒から選択される前記[15]~[18]のいずれかに記載の塩。
[20] 前記工程(1)における溶媒が、エタノール、酢酸エチル、アセトン又はこれらの混合溶媒から選択される、前記[15]~[19]のいずれかに記載の塩。
[21] 前記[1]~[20]のいずれかに記載の塩又はその結晶を含有する医薬組成物。
[22] 前記[1]~[20]のいずれかに記載の塩又はその結晶を含有する経口投与用の医薬組成物。
[23] 水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素、非プロトン性極性溶媒及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上を含む溶媒を使用することを特徴とする、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸塩酸塩の製造方法。
[24] 工程(1) 1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸及び塩酸を溶媒に添加する工程、及び
 工程(2) 前記工程(1)で得られた溶媒を攪拌して、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩を析出させる工程
を含む、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩又はその結晶の製造方法。
[25] 前記工程(1)における溶媒がC1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、又はこれらの混合溶媒から選択される、前記[24]に記載の方法。
 本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2016-249767号の開示内容を包含する。
 本発明によれば、化合物1の塩酸塩は、溶解性、経口吸収性に優れ、また、溶解性、安定性、経口吸収性に優れ、さらに大量製造が可能な結晶として取得できることから、医薬品、とりわけ経口投与用の医薬品として利用が期待できる。
化合物1の塩酸塩の粉末X線回折スペクトルを示す(縦軸は強度(cps)、横軸は回折角(2θ)を表す)。12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の特徴的なピークを1~7の番号で示す。 化合物1の塩酸塩の示差走査熱量(DSC)曲線を示す(縦軸は熱流(W/g)、横軸は温度(℃)を表す)。 化合物1のメシル酸塩の粉末X線回折スペクトルを示す(縦軸は強度(cps)、横軸は回折角(2θ)を表す)。 化合物1のメシル酸塩の示差走査熱量(DSC)曲線を示す(縦軸は熱流(W/g)、横軸は温度(℃)を表す)。 化合物1のカリウム酸塩の粉末X線回折スペクトルを示す(縦軸は強度(cps)、横軸は回折角(2θ)を表す)。 化合物1のカリウム塩の示差走査熱量(DSC)曲線を示す(縦軸は熱流(W/g)、横軸は温度(℃)を表す)。 化合物1のナトリウム酸塩の粉末X線回折スペクトルを示す(縦軸は強度(cps)、横軸は回折角(2θ)を表す)。 化合物1のナトリウム塩の示差走査熱量(DSC)曲線を示す(縦軸は熱流(W/g)、横軸は温度(℃)を表す)。 化合物1のフリー体の粉末X線回折スペクトルを示す(縦軸は強度(cps)、横軸は回折角(2θ)を表す)。 化合物1のフリー体の示差走査熱量(DSC)曲線を示す(縦軸は熱流(W/g)、横軸は温度(℃)を表す)。 化合物1の塩酸塩の動的蒸気吸着システム(DVS)分析(水分吸脱着試験)の結果を示す(縦軸は重量(%chg)、横軸はサンプル環境の相対湿度(%)を表す)。 化合物1のカリウム塩の動的蒸気吸着システム(DVS)分析(水分吸脱着試験)の結果を示す(縦軸は重量(%chg)、横軸はサンプル環境の相対湿度(%)を表す)。
 本発明において、塩酸塩を形成する化合物は、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸(化合物1)である。構造を以下に示す。
 化合物1は、オーロラA阻害活性を有し、優れた抗腫瘍活性を示すことが知られている置換ピペリジン化合物のひとつである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 化合物1は、例えば特許文献1に記載の方法によって製造することができる。具体的には、特許文献1では、化合物1をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、エタノール-酢酸エチルの混合溶液にて白色固体を得ている。
 上記した通り、白色固体として得られる化合物1は、溶解性が低く、経口投与製剤を調製しても腸管内において固体状態では腸管膜を通過できないため血中に薬物を輸送することが困難であると予想された。さらに静脈投与製剤の調製を考慮しても、輸液等の容量が非常に大きくなることが懸念された。また経口投与した場合の吸収性が低いという課題を有することが判明した。
 結晶は、原子や分子が規則的な繰り返し構造を配置している固体を示し、繰り返し構造を持たないアモルファス(非晶質)の固体とは異なる。粉末X線回折測定(XRD測定)、示差走査熱量測定(DSC測定)、示差熱熱重量同時測定(TG-DTA)、赤外分光法(IR)などの方法により、結晶、又はアモルファスの固体を調べることができる。
 結晶多形は、同一分子であって結晶中の原子や分子の配列が異なるものを示し、XRD測定で得られるピークが結晶多形の間で異なることが知られている。また、それぞれの結晶多形の間で溶解性、経口吸収性、安定性などが異なることが知られており、様々な観点から医薬品を開発する上で最適な結晶を見出すことが求められる。
 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、化合物1が塩酸と良好な塩を形成し、これが溶解性及び経口吸収性において非常に優れた塩であることを見出した。さらに、化合物1の塩酸塩の結晶が溶解性、安定性、経口吸収性及び大量製造可能な製法において非常に優れた結晶であることを見出した。
 以下、詳細に説明する。
 先述したように、本明細書中における、化合物1とは1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸であるが、これは塩を形成していないフリー体を言う。
 化合物1のフリー体そのものには、結晶が存在する。化合物1のフリー体の結晶は、下記の比較例4に示す方法により得られる。
 化合物1は酸と塩を形成する。一般的に薬学的に許容される酸の塩としては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、マンデル酸、フマル酸、アスパラギン酸塩、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、馬尿酸、グルタル酸塩、アジピン酸塩、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、p-トルエンスルホン酸(p-トシル酸)、グルタミン酸等の有機酸などの多数の酸との塩が挙げられる。
 また、化合物1はアルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の塩基と塩を形成する。一般的に薬学的に許容される塩基の塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩など、多数の塩が挙げられる。
 化合物1のメシル酸塩は、化合物1のフリー体に比べて溶解度が優れているが、他の塩と比べて満足できるものではない。
 化合物1のカリウム塩、及びナトリウム塩は、化合物1のフリー体に比べて吸収性が優れているが、昇温時において結晶形が変化する可能性があり、また非常に吸湿性が高く、品質管理において満足できるものではなく、大量製造に向いていない。
 それに対して、本発明に係る化合物1の塩酸塩(以下、単に「本発明の塩酸塩」と称することがある。)は、溶解性及び経口吸収性に優れ、該塩酸塩の結晶とした場合に溶解性、安定性及び経口吸収性に優れ、大量製造が可能であるため、医薬品開発の塩として適している。
 本発明の塩酸塩は、塩酸と化合物1のモル比が1:1の塩であり、元素分析、イオンクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動などの分析方法により決定することができる。
 本発明の塩酸塩は、単一の結晶、2以上の結晶多形の混合物、非晶質、又はこれらの混合物のいずれでもよいが、重量比で50%以上の結晶を有する塩酸塩が好ましく、重量比で60%以上、70%以上、80%以上、特に90%以上の結晶を有する塩酸塩がより好ましい。ここで、「重量比」とは、本発明の塩酸塩の中で特定の結晶の重量のパーセンテージをいう。
 本発明の塩酸塩の結晶は、結晶面の成長の違いにより外形が異なる晶癖も含まれる。そのため、該結晶のXRD測定で得られる回折角2θのピークのパターンは同じでも、ピークの相対強度が異なるものも含まれる。ここでいう相対強度とは、粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θのピークのうち、ピーク面積が最大のものを100とした際の、各ピーク面積の相対値である。
 加えて、本発明における粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θのピークの誤差は約±0.2°である。これは、測定に用いられた機器、試料調製、データ解析の方法などにより生じる誤差である。よって、本発明における結晶をXRD測定した際には、得られた回折角2θの誤差±0.2°を考慮する。
 本発明の塩酸塩の結晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する。好ましい実施形態において、本発明の塩酸塩の結晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも5つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する。より好ましい実施形態において、本発明の塩酸塩の結晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶である。特に好ましい実施形態において、本発明の塩酸塩の結晶は、粉末X線回折スペクトルが図1に記載された結晶である。
 実施例において示すように、フリー体の化合物1、及び化合物1の他の塩では、上記の3つ以上の回折角(2θ±0.2°)での特徴的なピークは、全く観察されなかった。
 示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry;DSC)測定(示差熱分析ともいう)のDSC曲線において測定される吸熱ピークの測定温度は、昇温速度や試料の純度等により誤差を生じる。よって、本発明の結晶をDSC測定した際には、吸熱ピーク(ピークトップ値)の誤差は±5.0℃を考慮する。その際に使用する「付近」という用語は±5.0℃を意味する。
 典型的な実施形態において、本発明の塩酸塩は、DSC曲線において、図2で示す示差熱熱重量同時測定の結果のとおり、234℃付近(234±5℃、すなわち229~239℃)に吸熱ピークを有する。なお、先述したように、本明細書における吸熱ピークとは、ピークのトップの値を意味する。更に、化合物1のカリウム塩及びナトリウム塩では、温度上昇に伴って不安定であることが判明したが、本発明の塩酸塩ではDSC曲線において融点付近でのピーク以外にピークは観察されず、高温下に置かれた場合でも安定である。
 また、本発明の塩酸塩の結晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有し、かつDSC曲線において、234±5℃に吸熱ピーク(ピークトップ値)を有することが好ましい。本発明の塩酸塩の結晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも5つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有し、かつDSC曲線において、229~239℃に吸熱ピーク(ピークトップ値)を有することがより好ましい。本発明のメシル酸塩の結晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有し、かつDSC曲線において、229~239℃に吸熱ピーク(ピークトップ値)を有することがさらに好ましい。
 また、本発明の塩酸塩は、動的蒸気吸着システム(Dynamic Vapour Sorption;DVS)分析を行った場合、湿度5%から75%の環境下において重量変化が0.5%未満であり、吸湿性が低く、長期保存時の安定性も非常に優れている。
 更に、本発明の塩酸塩は、フリー体との比較において、経口吸収性が顕著に向上する。従って、経口投与を意図する製剤において、本発明の塩酸塩の使用は非常に有益である。
 本発明の塩酸塩またはその結晶は、化合物1と塩酸を特定の溶媒に添加し、撹拌して析出させることにより得ることができる。従って、本発明は、
 (1) 1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸(化合物1)及び塩酸を溶媒に添加する工程、及び
 (2) 前記工程(1)で得られた溶媒を攪拌して、化合物1の塩酸塩を析出させる工程
を含む、化合物1の塩酸塩またはその結晶の製造方法も提供する。
 また本発明は、前記製造方法により製造された化合物1の塩酸塩またはその結晶も提供する。
 本発明の塩酸塩またはその結晶の製造方法に用いられる化合物1は、非晶質、結晶、その他の結晶形、又はこれらの混合物のいずれでもよい。
 また、本発明の塩酸塩またはその結晶の製造方法において添加する塩酸の量は、モル比で化合物1の1~30倍であり、好ましくは1~10倍であり、より好ましくは1.1倍~5倍である。
 本発明の塩酸塩またはその結晶の製造方法において使用できる溶媒は、水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素、非プロトン性極性溶媒などが挙げられ、これらの混合溶媒も用いることが出来る。
 C1-6アルコールは、炭素数が1~6のアルコールを示し、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられ、好ましくはエタノールである。
 C1-6エステルは、炭素数が1~6のエステルを示し、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどが挙げられ、好ましくは酢酸エチルである。
 C1-6ケトンは、炭素数が1~6のケトンを示し、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられ、好ましくはアセトンである。
 C1-6エーテルは、炭素数が1~6のエーテルを示し、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。
 C1-6炭化水素は、炭素数が1~6の炭化水素を示し、n-ヘキサン、n-ペンタン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、石油エーテルなどが挙げられる。
 非プロトン性極性溶媒は、アセトニトリル、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
 本発明の塩酸塩またはその結晶の製造方法において使用できる溶媒は、上記の溶媒、又はこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは、水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン又はこれらの混合溶媒である。より好ましくは、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン又はこれらの混合溶媒であり、さらに好ましくは、エタノール、酢酸エチル、アセトン又はエタノール-酢酸エチルの混合溶媒である。エタノール-酢酸エチルの混合溶媒における、それぞれの溶媒の比はエタノール1容量に対して酢酸エチルが0.1~10容量であり、好ましくは0.5~5容量であり、さらに好ましくは1~2容量である。
 本発明の塩酸塩またはその結晶の製造方法において使用できる溶媒量は、化合物1の1~100(容量/重量)倍である。好ましくは3~50(容量/重量)倍であり、より好ましくは5~30(容量/重量)倍である。
 本発明の塩酸塩又はその結晶を析出させる工程における温度は、用いる溶媒によって適宜設定され、0℃から溶媒の沸点の間で設定される。また、析出させる工程における温度は一定である必要はなく、0℃から溶媒の沸点の間で加熱又は冷却することができる。
 本発明の塩酸塩又はその結晶を析出させる工程における撹拌は、撹拌機、撹拌羽根、マグネチックスターラーなど、溶媒量や反応釜の大きさに応じて適宜用いて行う。撹拌速度は1~600rpmであり、好ましくは10~300rpmである。
 また、一般的に塩や結晶などの析出における撹拌時間は、短すぎると析出が十分に進まず、高収率で塩や結晶が得られない。一方、長すぎると有効成分の分解が起こり、収率が低下するため、適切な時間が設定される。本発明の塩酸塩を析出させる工程における撹拌時間は、0.5~72時間が挙げられ、好ましくは1~24時間であり、より好ましくは2~12時間である。
 本発明の塩酸塩の結晶を析出させる工程において、種晶として化合物1の塩酸塩の結晶を加えてもよい。加える種晶は、結晶化における化合物1の塩酸塩の理論収量の0.1~10重量%であり、好ましくは1~3重量%である。
 溶媒中に析出した本発明の塩酸塩又はその結晶は、例えば、濾取、有機溶媒による洗浄、減圧乾燥等の公知の分離精製手段によって、単離精製することができる。洗浄に使用される有機溶媒としては、上記製造に使用可能な溶媒と同じ溶媒が挙げられる。
 減圧乾燥における気圧は0.1気圧(atm)以下であり、0.05気圧以下が好ましい。また、減圧乾燥における温度は0℃~200℃であり、好ましくは25℃~100℃である。
 本発明はまた、水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素、非プロトン性極性溶媒及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上を含む溶媒を使用することを特徴とする、化合物1の塩酸塩の製造方法も提供する。 また本発明は、前記製造方法により製造された化合物1の塩酸塩またはその結晶も提供する。
 C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素及び非プロトン性極性溶媒としては、それぞれ上記の溶媒が挙げられる。
 ハロゲン化水素水溶液としては、好ましくは塩酸が挙げられる。
 一実施形態において、上記本発明の塩酸塩又はその結晶は、水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素、非プロトン性極性溶媒及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上の溶媒を使用して製造し得る。
 より具体的な実施形態において、上記本発明の塩酸塩又はその結晶は、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上の溶媒を使用して製造し得る。
 より具体的な実施形態において、上記本発明の塩酸塩又はその結晶は、酢酸エチル、エタノール及び塩酸の群から選ばれる1つ又は2つ以上の溶媒を使用して製造し得る。特定の実施形態において、上記本発明の塩酸塩又はその結晶は、酢酸エチル、エタノール、塩酸の混合溶媒を使用して製造し得る。
 上記の方法によって得られた本発明の塩酸塩は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を、塩酸塩の総重量に対する重量比で50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上含む。
 好ましくは、本発明の塩酸塩は、粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を、塩酸塩の総重量に対する重量比で50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、又は90%以上含む。
 上記の方法によって得られた本発明の塩酸塩又はその結晶は、図1に示される粉末X線回折スペクトルにより特徴づけられ得る。また、上記の方法によって得られた本発明の塩酸塩又はその結晶は、示差熱分析において、234±5℃に吸熱ピークを有するものであり得る。
 本発明は、本発明の塩酸塩を含有する医薬組成物にも関する。中でも、化合物1が優れたオーロラA阻害活性を有することから、本発明の塩酸塩は抗腫瘍剤として有用である。対象となる癌は特に制限されないが、頭頚部癌、消化器癌(食道癌、胃癌、消化管間質腫瘍、十二指腸癌、肝臓癌、胆道癌(胆嚢・胆管癌など)、膵臓癌、小腸癌、大腸癌(結腸直腸癌、結腸癌、直腸癌など)など)、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮癌(子宮頚癌、子宮体癌など)、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、尿路上皮癌、骨・軟部肉腫、血液癌(B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、末梢性T細胞性リンパ腫、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病など)、多発性骨髄腫、皮膚癌、中皮腫等が挙げられる。
 本発明の塩酸塩を含む医薬組成物は、必要に応じて薬学的担体を配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能である。該形態としては、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等のいずれでもよく、好ましくは、経口剤である。すなわち、本発明に係る医薬組成物は、経口投与用の医薬組成物であることが好ましい。なお、これらの種々の投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。経口投与用の医薬組成物は、例えば粉末剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等の形態とすることができる。
 薬学的担体としては、製剤素材として慣用の各種有機或いは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また、必要に応じて防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、安定化剤等の製剤添加物を用いることもできる。
 上記の各投与単位形態中に配合されるべき本発明の塩酸塩の量は、これを適用すべき患者の症状により、あるいはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では0.05~1000mg、注射剤では0.01~500mg、坐剤では1~1000mgとするのが望ましい。
 また、上記投与形態を有する薬剤の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、本発明の塩酸塩として通常成人(体重50kg)1日あたり0.05~5000mg、好ましくは0.1~1000mgとすればよく、これを1日1回又は2~3回程度に分けて投与するのが好ましい。
 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。本発明は実施例により十分に説明されているが、当業者により種々の変更や修飾が可能であろうことは理解される。したがって、そのような変更や修飾が本発明の範囲を逸脱するものでない限り、それらは本発明に包含される。
 実施例で用いた各種試薬は、特に記載の無い限り市販品を使用した。
<プロトン核磁気共鳴(H-NMR)測定>
 H-NMR測定は、AL400(400MHz;日本電子(JEOL))、Mercury400(400MHz;アジレント・テクノロジー社)型スペクトロメータ、又は400M NMRプローブ(Protasis)を装備したInova400(400MHz;アジレント・テクノロジー社)型スペクトロメータを使用し、重溶媒中にテトラメチルシランを含む場合は内部基準としてテトラメチルシランを用い、それ以外の場合には内部基準としてNMR溶媒を用いて測定した。得られたH-NMRチャートは全δ値をppmで示した。
 略号の意味を以下に示す。
 s:シングレット
 d:ダブレット
 t:トリプレット
 q:カルテット
 dd:ダブル ダブレット
 dt:ダブル トリプレット
 td:トリプル ダブレット
 tt:トリプル トリプレット
 ddd:ダブル ダブル ダブレット
 ddt:ダブル ダブル トリプレット
 dtd:ダブル トリプル ダブレット
 tdd:トリプル ダブル ダブレット
 m:マルチプレット
 br:ブロード
 brs:ブロードシングレット
<粉末X線回折測定(XRD測定)>
 粉末X線回折は、試験物質適量を必要に応じてメノウ製乳鉢で軽く粉砕した後、次の試験条件に従って測定した。
  装置:リガク RINT-ULTIMA+2100(リガク社製)
  ターゲット:CuKα
  走査範囲:5.0~40.0°
  ステップサイズ:0.02°
  スキャンスピード:0.2°/秒
 データ処理を含む装置の取り扱いは、各装置で指示された方法及び手順に従った。
<示差熱熱重量同時測定(DSC測定)>
 DSC測定は、次の試験条件に従って測定した。
  装置:TA Instruments Q1000
  試料:およそ5mg
  昇温速度:10℃/分
  測定温度:室温~300℃
 データ処理を含む装置の取り扱いは、各装置で指示された方法及び手順に従った。
<液体クロマトグラフィー(HPLC)測定>
 液体クロマトグラフィーによる測定は、次の試験条件に従って測定した。
  装置: アジレント・テクノロジー社1200 シリーズバイナリLC システム
  移動相A:10mM NaHPO水溶液(pH6.5)
  移動相B:アセトニトリル
  グラジエント:表1に記載
  カラム:Ascentis Express C18,150mm×4.6mm i.d.,2.7μm
  測定波長:210nm
 データ処理を含む装置の取り扱いは、各装置で指示された方法及び手順に従った。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
<動的蒸気吸着システム(DVS)分析>
 動的蒸気吸着システム(DVS)分析は以下の条件にて行った。
  装置:TA Instruments VTI SGA-100
  試料:約10 mg
  測定温度:25℃
  RH steps:5-95-1%RH by 5%RH
<実施例1 化合物1の塩酸塩(種晶なし)>
 特許文献1に記載の方法によって得られた化合物1(250mg)を、エタノール(2.0mL)に懸濁し、4M塩酸-酢酸エチル溶液(0.18mL)、酢酸エチル(2.8mL)を順次加え、85℃にて6時間撹拌した。得られた懸濁液を室温まで冷却後、固体を濾取し、酢酸エチルにて洗浄した。得られた固体を100℃にて減圧乾燥し、化合物1の塩酸塩(190mg)を結晶として得た。
 得られた化合物1の塩酸塩の結晶の粉末X線回折スペクトルを図1に示す。すなわち、回折角(2θ)12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°に特徴的なピークが観測された。図1におけるこれらのピークの2θの値及び相対強度(概数)の数値は以下の表に示す通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 化合物1の塩酸塩の結晶のDSC測定におけるDSC曲線を図2に示す。DSC曲線では約234℃に吸熱ピーク(ピークトップ値)を示した。
 また、得られた化合物のH-NMRスペクトルは以下の通りであった。
H-NMR(400MHz、DMSO-d):δppm 10.34(2/2H,brs),7.70-7.59(4/2H,m),7.46-7.37(3/2H,m),7.32-7.29(1/2H,m),6.78-6.73(2/2H,m),6.32(1/2H、s)、6.30(1/2H,s),4.24-4.20(2/2H,m),3.25-3.21(2/2H,m),3.09-2.97(8/2H,m),2.31(3/2H、s)、2.29(3/2H,s),2.05-2.00(2/2H,m),1.91-1.81(2/2H,m),1.68-1.52(4/2H,m)。
 本実施例において、エタノールの代わりにアセトンを用いた際も、同様の化合物1の塩酸塩を得た。
<実施例2 化合物1の塩酸塩(種晶あり)>
 特許文献1に記載の方法によって得られた化合物1(8.46g)を、エタノール(34mL)に懸濁し、4M塩酸-酢酸エチル溶液(6.1mL)、酢酸エチル(45mL)を順次加え、80℃に昇温した。その後、実施例1で得られた化合物1の塩酸塩の結晶(50mg程度)を投入し、6時間撹拌した。得られた懸濁液を5℃まで冷却後、固体を濾取し、酢酸エチルにて洗浄した。得られた固体を100℃にて減圧乾燥し、化合物1の塩酸塩(8.16g)を白色固体として得た。
 得られた化合物1の塩酸塩の分析データは、実施例1と同様のものが得られた。
<比較例1 化合物1のメシル酸塩>
 特許文献1に記載の方法によって得られた化合物1(1.00g)を、テトラヒドロフラン(10mL)に懸濁し、メシル酸(メタンスルホン酸:0.135mL)を加え溶解させた。室温にて一晩攪拌し、析出した固体を濾取し、酢酸エチルにて洗浄した。得られた固体を85℃にて減圧乾燥し、メタンスルホン酸塩アモルファス(1.11g)を得た。
 得られたアモルファス(300mg)に、酢酸エチル(10mL)を加え、80℃にて64時間加熱懸濁した。懸濁液を室温に冷却後、固体を濾取し、酢酸エチルにて洗浄した。得られた固体を85℃にて減圧乾燥し、化合物1のメシル酸塩(224mg)を結晶として得た。
 得られた化合物1のメシル酸塩の結晶の粉末X線回折スペクトルを図3に示す。すなわち、回折角(2θ)8.62°、14.47°、15.46°、19.05°、19.56°、20.35°、20.69°、24.16°及び26.79°に特徴的なピークを示した。またDSC測定におけるDSC曲線を図4に示す。
 また、得られた化合物のH-NMRスペクトルは以下の通りであった。
H-NMR(400MHz、DMSO-d6):δppm 10.1(1H,brs),7.72-7.66(1H,m),7.62-7.53(1H,m),7.46-7.28(2H,m),6.75-6.67(1H,m),6.31-6.28(1H,m),4.26-4.16(1H,m),3.28-3.18(1H,m),3.12-2.94(4H,m),2.35-2.23(6H,m),2.07-2.00(1H,m),1.95-1.80(1H,m),1.68-1.48(2H,m)。
<比較例2 化合物1のカリウム塩>
 特許文献1に記載の方法によって得られた化合物1(414mg)、エタノール(20mL)、水(5.0mL)の混合物に、5M水酸化カリウム水溶液(164μL)を加え、加熱還流し溶解させた。混合物を室温に冷却後、減圧濃縮した。得られた残渣にメチルエチルケトン/水=10/1の混合溶媒(6mL)を加えて加熱還流した。得られた溶液を40℃にて11時間撹拌し、生じた懸濁液を室温にて終夜撹拌した。固体を濾取し、メチルエチルケトン/水=20/1の混合溶媒にて洗浄した。得られた固体を100℃にて減圧乾燥し、化合物1のカリウム塩(325mg)を結晶として得た。
 得られた化合物1のカリウム塩の結晶の粉末X線回折スペクトルを図5に示す。すなわち、回折角(2θ)10.66°、10.62°、18.61°、19.34°、20.60°及び21.54°に特徴的なピークを示した。またDSC測定におけるDSC曲線を図6に示す。
 また、得られた化合物のH-NMRスペクトルは以下の通りであった。
H-NMR(400MHz、DMSO-d6):δppm 9.13(1H,brs),7.66-7.62(1H,m),7.41-7.37(1H,m),7.31-7.24(2H,m),6.52-6.51(1H,m),5.96(1H,brs),4.17-4.14(1H,m),3.25-3.15(1H,m),3.11-2.99(2H,m),2.78-2.63(2H,m),2.13-2.11(3H,m),2.02-1.98(1H,m),1.82-1.79(1H,m),1.29-1.15(2H,m)。
<比較例3 化合物1のナトリウム塩>
 特許文献1に記載の方法によって得られた化合物1(250mg)に、2M水酸化ナトリウム水溶液(0.25mL)、メチルエチルケトン(10mL)を投入して、70℃にて14時間撹拌した。室温に冷却した後、固体をろ過し、メチルエチルケトンで洗浄後、減圧乾燥することによって、化合物1のナトリウム塩(207mg)を無色結晶として得た。
 得られた化合物1のナトリウム塩の結晶の粉末X線回折スペクトルを図7に示す。すなわち、回折角(2θ)10.28°、11.19°、15.52°、19.55°、及び26.48°に特徴的なピークを示した。またDSC測定におけるDSC曲線を図8に示す。
 また、得られた化合物のH-NMRスペクトルは以下の通りであった。
H-NMR(400MHz、DMSO-d6):δppm 7.65(1H、dd、J=6.5、8.3Hz) 、7.47-7.18(3H、m)、6.65-6.47(1H、m)、4.28-4.07(1H、d、J=9.0Hz)、3.30-2.94(4H、m)、2.91-2.59(2H、m)、2.12(3H、s)、2.05-1.69(2H、m)、1.39-1.04(2H、m)。
<比較例4 化合物1(フリー体)の結晶>
 特許文献1に記載の方法によって得られた化合物1(3.04g)、酢酸(6.0mL)、5M塩酸(6.0mL)の混合物を100℃にて1時間撹拌して溶解させた後、室温にて水25mL、5M水酸化ナトリウム水溶液6.1mLを加えた。得られた懸濁液を100℃にて撹拌し、エタノール(35mL)を加え、30分間撹拌した。懸濁液を室温に冷却後、固体を濾取し、水、エタノールにて洗浄した。得られた固体を50℃にて減圧乾燥し、化合物1のフリー体(2.83g)を白色固体として得た。
 得られた化合物1の結晶Iの粉末X線回折スペクトルを図9に示す。すなわち、回折角(2θ)12.97°、14.10°、16.14°、16.81°、17.56°、18.90°、19.19°、20.68°、24.79°、25.07°、及び30.98°に特徴的なピークを示した。またDSC測定におけるDSC曲線を図10に示す。
<試験例1-1 安定性試験(純度)>
 実施例1及び比較例1~4で得られた化合物1の塩酸塩、メシル酸塩、カリウム塩、ナトリウム塩、及びフリー体の結晶を、それぞれ40℃(開放系)、又は60℃(開放系)、光照射下(120万Lux・hr)の条件下にて1ヶ月放置した。その後、液体クロマトグラフィーにて純度を測定したところ、いずれの条件においても試験前後における純度変化は0.2%以下であった。表3に塩酸塩及びカリウム塩の結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 以上の結果より、化合物1の塩酸塩、メシル酸塩、カリウム塩、ナトリウム塩、及びフリー体の結晶は、いずれも固体としての安定性に優れた結晶であると判断した。
<試験例1-2 安定性試験(固体の変化)>
 実施例1の化合物1の塩酸塩、及び比較例1~4のメシル酸塩、カリウム塩、ナトリウム塩、及びフリー体の結晶のDSC測定の結果、カリウム塩及びナトリウム塩は比較的低温でも吸熱と発熱を示唆するチャートが得られた(図6及び8)が、塩酸塩、メシル酸塩及びフリー体ではそのようなチャートは得られなかった(図2、4および10)。
 以上の結果より、化合物1のカリウム塩及びナトリウム塩の結晶は、温度上昇に伴い、結晶形が変化するリスクが高い結晶と判断された。
<試験例2 溶解度測定>
 化合物1の塩酸塩、メシル酸塩、カリウム塩、ナトリウム酸、及び化合物1のフリー体を用いて溶解度測定を行った。具体的には、日本薬局方溶解性測定法に従って、実施例1で作製した化合物1の塩酸塩の結晶、比較例1で作成した化合物1のメシル酸塩の結晶、比較例2で作成した化合物1のカリウム塩の結晶、比較例3で作成した化合物1のナトリウム塩の結晶、及び化合物1のフリー体の結晶を試料とし、日本薬局方に準拠した溶出試験第1液、及び第2液に対する溶解度を測定した。結果を表4に示す。この結果より、化合物1の塩酸塩、カリウム塩、及びナトリウム塩が、メシル酸塩やフリー体に比べて溶解性に優れることが分かった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
<試験例3 動的蒸気吸着システム(DVS)分析>
 実施例1で得られた化合物1の塩酸塩、及び比較例2で得られたカリウム塩を動的蒸気吸着システム(DVS)分析にて吸湿性の確認を行った。 吸着及び脱着データは、5%RH間隔で相対湿度(RH)5%~95%の範囲で収集した。なお、測定前に窒素パージ下、1℃/分で25℃まで昇温し、5分間の重量変化が0.0100%未満になるまで最大6時間乾燥した。測定時は、5分間の重量変化0.0100%未満になるまで最大2時間平衡化した。
 化合物1の塩酸塩の結果を図11に、カリウム塩の結果を図12に示す。この結果より、化合物1の塩酸塩は、湿度5%から75%の上昇過程において重量変化が0.5%未満であったが、カリウム塩では重量変化が14%を超えることが確認された。また、同様に化合物1のナトリウム塩では40%以上の重量変化が確認された(データは示さない)。そのため、化合物1の塩酸塩は周囲の湿度に影響を受けることが極めて小さい塩であり、カリウム塩、及びナトリウム塩は周囲の湿度に影響を受けやすい塩であることが分かった。湿度の影響を受けやすくなることで、安定性が低下する可能性があり、また品質管理が難しいため、大量製造に向いていないと判断した。
<試験例4 吸収性試験>
 化合物1の投与量が50mg/kgとなるように化合物1の塩酸塩を0.5%HPMCに懸濁させ、BALB/cAマウスに経口投与した。経口投与後、0.5、1、2、4及び6時間後に眼底採血し、血漿を得た。得られた血漿中の化合物濃度をLC/MS(アジレントテクノロジー社Agilent 1200、サイエックス社AB Sciex API400)により測定し、経口吸収性の評価を行った。
 その結果、表5に示す通り、化合物1の塩酸塩は十分な血漿中濃度が観測され、良好な経口吸収性を示した。一方、化合物1のフリー体は十分な経口吸収性を示さず、経口投与製剤に有効成分として含有させることは難しく、経口投与では臨床効果を期待できないと考えられた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
 本発明における化合物1はオーロラA阻害活性を有し、優れた抗腫瘍活性を示す化合物であり、その塩酸塩は溶解性及び経口吸収性に優れ、また、該塩の結晶は溶解性、安定性、経口吸収性に優れ、かつ大量製造が可能である。そのため、化合物1の塩酸塩又は該塩の結晶は、医薬品、とりわけ経口投与用の医薬品、中でも経口投与用の抗腫瘍剤として利用が期待できる。
 本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (25)

  1.  1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩。
  2.  粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶である、請求項1に記載の塩。
  3.  粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶である、請求項1又は2に記載の塩。
  4.  下記に示される粉末X線回折スペクトルにより特徴づけられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の塩。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
  5.  示差熱分析において、234±5℃に吸熱ピークを有する請求項1~4のいずれか1項に記載の塩。
  6.  重量比が90%以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の塩。
  7.  水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素、非プロトン性極性溶媒及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上を含む溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸塩酸塩。
  8.  C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上の溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、請求項7に記載の塩酸塩。
  9.  酢酸エチル、エタノール及び塩酸の群から選ばれる1つ又は2つ以上の溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、請求項7又は8に記載の塩酸塩。
  10.  酢酸エチル、エタノール、塩酸の混合溶媒を使用することを特徴とする方法により製造された、請求項7~9のいずれか1項に記載の塩酸塩。
  11.  粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の塩酸塩。
  12.  粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、請求項7~11のいずれか1項に記載の塩酸塩。
  13.  下記に示される粉末X線回折スペクトルにより特徴づけられる、請求項7~12のいずれか1項に記載の塩酸塩。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
  14.  示差熱分析において、234±5℃に吸熱ピークを有する請求項7~13のいずれか1項に記載の塩酸塩。
  15.  工程(1) 1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸及び塩酸を溶媒に添加する工程、及び
     工程(2) 前記工程(1)で得られた溶媒を攪拌して、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩を析出させる工程
    を含む製造方法により製造された1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩。
  16.  粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°から選択される少なくとも3つ以上の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、請求項15に記載の塩。
  17.  粉末X線回折スペクトルにおいて、12.83°、13.54°、16.20°、18.27°、23.80°、29.10°、及び32.83°の回折角(2θ±0.2°)に特徴的なピークを有する結晶を含む、請求項15又は16に記載の塩。
  18.  下記に示される粉末X線回折スペクトルにより特徴づけられる、請求項15~17のいずれか1項に記載の塩。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-I000003
  19.  前記工程(1)における溶媒が、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、又はこれらの混合溶媒から選択される請求項15~18のいずれか1項に記載の塩。
  20.  前記工程(1)における溶媒が、エタノール、酢酸エチル、アセトン又はこれらの混合溶媒から選択される、請求項15~19のいずれか1項に記載の塩。
  21.  請求項1~20のいずれか1項に記載の塩又はその結晶を含有する医薬組成物。
  22.  請求項1~20のいずれか1項に記載の塩又はその結晶を含有する経口投与用の医薬組成物。
  23.  水、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、C1-6エーテル、C1-6炭化水素、非プロトン性極性溶媒及びハロゲン化水素水溶液の群から選ばれる1つ又は2つ以上を含む溶媒を使用することを特徴とする、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸塩酸塩の製造方法。
  24.  工程(1) 1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸及び塩酸を溶媒に添加する工程、及び
     工程(2) 前記工程(1)で得られた溶媒を攪拌して、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩を析出させる工程
    を含む、1-(2,3-ジクロロベンゾイル)-4-((5-フルオロ-6-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-4-カルボン酸の塩酸塩又はその結晶の製造方法。
  25.  前記工程(1)における溶媒が、C1-6アルコール、C1-6エステル、C1-6ケトン、又はこれらの混合溶媒から選択される、請求項24に記載の方法。
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